IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-異物除去装置及び廃材処理システム 図1
  • 特許-異物除去装置及び廃材処理システム 図2
  • 特許-異物除去装置及び廃材処理システム 図3
  • 特許-異物除去装置及び廃材処理システム 図4
  • 特許-異物除去装置及び廃材処理システム 図5
  • 特許-異物除去装置及び廃材処理システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】異物除去装置及び廃材処理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 45/14 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B65G45/14 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022547372
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2020034753
(87)【国際公開番号】W WO2022054289
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘規
(72)【発明者】
【氏名】小田 琢也
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-140022(JP,U)
【文献】特開平02-221013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置の搬送面に載置して廃材を搬送し該廃材を再生する廃材処理システムに用いられ、該廃材に含まれることがある異物を除去する異物除去装置であって、
前記廃材と共に前記異物を外部へ掻き出すヘラ部材と、回転軸と、該回転軸を回転駆動する駆動部とを有し、該回転軸の回転動作により前記廃材の搬送方向に対して略直交する掻出方向へ前記ヘラ部材を周回させる掻出機構と、を備え
前記掻出機構は、前記掻出方向において前記搬送面に沿った形状を有するガイド部材を有しており、
前記ヘラ部材は前記ガイド部材に導かれて前記搬送面に沿って移動する、異物除去装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記回転軸の周囲に前記ヘラ部材が周回する周回軌道で形成されている、請求項に記載の異物除去装置。
【請求項3】
搬送装置の搬送面に載置して廃材を搬送し該廃材を再生する廃材処理システムに用いられ、該廃材に含まれることがある異物を除去する異物除去装置であって、
前記廃材と共に前記異物を外部へ掻き出すヘラ部材と、回転軸と、該回転軸を回転駆動する駆動部とを有し、該回転軸の回転動作により前記廃材の搬送方向に対して略直交する掻出方向へ前記ヘラ部材を周回させる掻出機構と、を備え
前記掻出機構は、前記回転軸に固定され前記回転軸に対して近接離間可能に前記ヘラ部材に係合する係合部材を有しており、
前記ヘラ部材は、前記係合部材に係合して前記回転軸に対して近接離間しつつ前記掻出方向において前記搬送面に沿って移動する、異物除去装置。
【請求項4】
搬送装置の搬送面に載置して廃材を搬送し該廃材を再生する廃材処理システムに用いられ、該廃材に含まれることがある異物を除去する異物除去装置であって、
前記廃材と共に前記異物を外部へ掻き出すヘラ部材と、回転軸と、該回転軸を回転駆動する駆動部とを有し、該回転軸の回転動作により前記廃材の搬送方向に対して略直交する掻出方向へ前記ヘラ部材を周回させる掻出機構と、を備え
前記掻出機構は、前記掻出方向において前記搬送面に沿った形状を有するガイド部材と、前記回転軸に固定され前記回転軸に対して近接離間可能に前記ヘラ部材に係合する係合部材とを有しており、
前記ガイド部材は、前記掻出方向を長手方向とする略長円状の周回軌道に形成され、
前記係合部材は、U字状に形成されたU字状部を有し該U字状部の中央突端側で前記回転軸に固定されており、
前記ヘラ部材は、前記回転軸側の端部において、前記係合部材のU字状部に係合して駆動力を伝達する伝達部材と、前記伝達部材に対して前記ヘラ部材の進行方向の先端側及び/又は進行方向の後端側で前記ガイド部材に挿入され該ヘラ部材の姿勢を制御する姿勢固定部と、を有している、異物除去装置。
【請求項5】
前記掻出機構は、前記回転軸に固定され前記回転軸に対して近接離間可能に前記ヘラ部材に係合する係合部材を有しており、
前記ヘラ部材は、前記係合部材に係合して前記回転軸に対して近接離間しつつ前記掻出方向において前記搬送面に沿って移動する、請求項1、2、4のいずれか1項に記載の異物除去装置。
【請求項6】
前記掻出機構は、前記ヘラ部材を3つ有している、請求項1~のいずれか1項に記載の異物除去装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の異物除去装置であって、
前記搬送されている廃材の異物を検出する異物検出部と、
前記異物の検出に基づいて前記掻出機構を駆動する制御部と、
を備えた異物除去装置。
【請求項8】
前記廃材を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の上部に配設された、請求項1~7のいずれか1項に記載の異物除去装置と、
を備えた廃材処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、異物除去装置及び廃材処理システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、路盤材などを再生する廃材処理システムにおいては、リサイクル対象の廃材とリサイクル対象ではない異物が混ざった状態でコンベアなどの搬送装置で搬送されている。このような廃材処理システムにおいて、例えば、ベルトコンベア上方に廃材の搬送方向に沿って配設された支持軸を回動させ櫛歯状の掻出櫛により、ベルトコンベアの両側に形成されたスクラップシュートに異物を掻き出す異物除去装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この異物除去装置では、異物を検出すると、ベルトコンベアを停止させ、掻出櫛を駆動し、異物をベルトコンベアから除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭55-140022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の異物除去装置では、掻出櫛が往復動するため、ベルトコンベアの両側にスクラップシュートを設ける必要があり、異物を撤去する作業効率が悪かった。また、特許文献1の異物除去装置では、掻出櫛の先端が円弧状に移動するため、ベルトコンベアの搬送方向に直交する掻出方向の形状が円弧状でない場合は、掻出櫛の先端とベルトコンベアとの間に隙間が生じるため、十分に異物を除去することができないことがあった。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、効率よく異物を除去することができる異物除去装置及び廃材処理システムを提供することを主目的とする。
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本明細書で開示する異物除去装置は、
搬送装置の搬送面に載置して廃材を搬送し該廃材を再生する廃材処理システムに用いられ、該廃材に含まれることがある異物を除去する異物除去装置であって、
前記廃材と共に前記異物を外部へ掻き出すヘラ部材と、回転軸と、該回転軸を回転駆動する駆動部とを有し、該回転軸の回転動作により前記廃材の搬送方向に対して略直交する掻出方向へ前記ヘラ部材を周回させる掻出機構と、
を備えたものである。
【0008】
この異物除去装置は、回転軸の回転動作により、廃材の搬送方向に対して略直交する掻出方向へヘラ部材を周回させることによって、異物を搬送装置から除去する。即ち、この異物除去装置では、ヘラ部材を周回移動するため、ヘラ部材を往復移動せずに異物を除去することができる。したがって、この異物除去装置では、効率よく異物を除去することができる。ここで、「廃材」としては、例えば、再生路盤材などが挙げられる。また、「搬送方向に対して略直交する」とは、搬送方向に対して90°であるものや、搬送方向に対して75°以上115°以下、より好ましくは80°以上100°以下、更に好ましくは85°以上95°以下の範囲などを含む趣旨である。この異物除去装置において前記掻出機構は、前記搬送装置の搬送面に沿って前記ヘラ部材を周回させるものとしてもよい。この異物除去装置では、より確実に異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】廃材処理システム10の一例を示す概略説明図。
図2】異物除去装置20の一例を示す斜視図。
図3】掻出機構30の一例を示す説明図。
図4】異物除去装置20の正面図及びブロック図。
図5】ヘラ部材31の掻き出し動作の説明図。
図6】廃材処理ルーチンの一例を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、廃材処理システム10の一例を示す概略説明図である。図2は、異物除去装置20の一例を示す斜視図である。図3は、掻出機構30の一例を示す説明図である。図4は、異物除去装置20の正面図及びブロック図である。図5は、ヘラ部材31の掻き出し動作の説明図である。廃材処理システム10は、異物が含まれる廃材を搬送し、この廃材から異物を除去して粉砕、分級して再利用可能にするシステムである。廃材としては、建物を破砕したコンクリートなどを含む再生路盤材としてもよい。また、異物としては、例えば、木くず、紙片、鉄、樹脂などが挙げられる。なお、本実施形態において左右方向、前後方向及び上下方向は各図に示した通りとして説明する。
【0011】
廃材処理システム10は、廃材を搬送面に載置して搬送する搬送装置15と、搬送装置15の上部に配設された異物除去装置20と、を備えている。また、廃材処理システム10は、このほかに、廃材を搬送する搬送装置11,16と、1次処理部10aと、2次処理部10bとを備えている。1次処理部10aは、搬送装置11と、1次破砕機12と、磁選機13と、1次スクリーン機14とを備えている。搬送装置11は、廃材を搬送面に載置して搬送方法Xに沿って搬送する装置であり、例えば、ベルトコンベアとして構成されている。なお、搬送装置11は、廃材を搬送するものであれば、ベルトコンベア以外の構成としてもよい。1次破砕機12は、原料である廃材を1次粉砕する装置である。この1次破砕機12は、例えば、所定の1次サイズ以下(例えば、40cm以下など)となるよう廃材を粉砕する。磁選機13は、廃材に含まれる磁性体の異物を磁力によって除去する装置である。1次スクリーン機14は、例えば、廃材がメッシュの上を通過することにより、1次サイズ以上の廃材と1次サイズ未満の廃材とを分離する装置である。2次処理部10bは、搬送装置16と、2次破砕機17と、吸選機18と、2次スクリーン機19とを備えている。搬送装置16は、搬送装置11、15と同様の構成を有する。2次破砕機17は、1次破砕機12よりも小さいサイズに廃材を2次粉砕する装置である。この2次破砕機17は、所定の2次サイズ以下(例えば、10cm以下)となるよう廃材を粉砕する。吸選機18は、空中を舞うような軽い異物を負圧を用いて吸着させて分離する装置である。2次スクリーン機19は、例えば、廃材がメッシュの上を通過することにより、2次サイズ以上の廃材と2次サイズ未満の廃材とを分離する装置である。
【0012】
異物除去装置20は、廃材に含まれている異物を廃材ごと掻き出して搬送経路から除去する装置である。この異物除去装置20は、1次処理部10aと2次処理部10bとの間に配設されている、異物除去装置20は、異物検出部22と、制御部24と、異物回収部25と、掻出機構30とを備えている。異物検出部22は、掻出機構30に対して搬送方法Xの上流側、且つ搬送装置15の上部に配設されたセンサである。この異物検出部22は、例えば、搬送装置15で搬送されている廃材からの赤外線を検出し、赤外線量に基づいて廃材の領域と廃材以外の物質の領域とを検出するものとしてもよい。あるいは、異物検出部22は、搬送装置15上の廃材を撮像し、その形状やRGB値、即ち色から廃材の領域と廃材以外の物質の領域とを検出するものとしてもよい。
【0013】
制御部24は、異物除去装置20の装置全体を制御するコントローラである(図4参照)。制御部24は、異物検出部22からの検出信号を入力すると共に、掻出機構30の駆動部36へ駆動信号を出力する。制御部24は、搬送装置15の搬送速度に応じたタイミングで掻出機構30を駆動させ、異物を搬送装置15から除去させる。
【0014】
異物回収部25は、掻出機構30で掻き出された異物を含む廃材を回収するものであり、図1に示すように、搬送部と回収箱とを有している。搬送部は、搬送装置15と同様の構成であるベルトコンベアとしてもよい。回収箱は、搬送部から送られた異物を多く含む廃材を収容する箱体である。なお、異物回収部25は、更に異物と廃材とを分離する分離装置を有するものとし、分離した廃材を2次処理部10bへ再投入するものとして、廃棄物を低減させるものとしてもよい。
【0015】
掻出機構30は、廃材に含まれている異物を廃材ごと掻き出して搬送経路から除去する機構である。掻出機構30は、搬送装置15の上部に固定されている。搬送装置15は、搬送装置11と同様の構成であり、上面である搬送面23に廃材を載置して搬送する(図2参照)。搬送面23は、中央が平らであり、左右端部側が上方に傾斜した形状を有しており、左右端部側からの廃材の落下を抑制する形状となっている。この掻出機構30は、図3、4に示すように、筐体21と、ヘラ部材31と、回転軸35と、駆動部36と、ガイド部材40と、係合部材42とを備えている。掻出機構30は、回転軸35の回転動作により廃材の搬送方向Xに対して略直交する掻出方向Yへヘラ部材31を周回させる機構である。また、掻出機構30は、ヘラ部材31の先端が搬送装置15の搬送面23に沿うようにヘラ部材31を移動する機構である。ここで、搬送方向Xに対して略直交するとは、搬送方向Xに対して90°であるものや、搬送方向に対して75°以上115°以下、より好ましくは80°以上100°以下、更に好ましくは85°以上95°以下の範囲などを含む趣旨である。筐体21は、各構成物を支持する2枚の支持板と、支持板同士を四隅で固定する固定棒とにより構成されている。筐体21は、支持板の間に内部空間が形成され、この内部空間にヘラ部材31や回転軸35を支持している。
【0016】
ヘラ部材31は、廃材と共に異物を外部へ掻き出す部材である。ヘラ部材31は、その先端が搬送方法Xを長手方向とする板状部材である。このヘラ部材31は、図3、4に示すように、その根元である回転軸35側の端部に、伝達部材32と、姿勢固定部33とを有する。伝達部材32は、回転軸35側の端部において、係合部材42のU字状部43に係合して駆動部36の駆動力を伝達する円柱状の部材である。姿勢固定部33は、ヘラ部材31の進行方向の先端側及び進行方向の後端側でガイド部材40に挿入され、ヘラ部材31の姿勢を制御するブロック形状の部位である。ヘラ部材31の回転軸35側の中央部分には、係合部材42の回転駆動によりU字状部43が摺動可能な空間が設けられている(図3参照)。姿勢固定部33は、筐体21に形成されたガイド部材40に嵌め込まれており、ガイド部材40に沿って移動する。掻出機構30は、ヘラ部材31を3つ有しており、図5に示すように、それぞれのヘラ部材31は、搬送装置15上の異物の掻き出しを待機する待機位置Aと、異物を掻き出したあとの掻出位置Bと、掻出位置Bから待機位置Aへ至る途中の中間位置Cとに配置される。
【0017】
回転軸35は、筐体21の中央内側において回転可能に軸支されている。この回転軸35には、駆動部36の駆動軸とギアを介して接続されている。また、回転軸35には、係合部材42が配設されており、係合部材42は回転軸35と共に軸回転する。駆動部36は、筐体21の外部の中央に固定されている。この駆動部36は、回転軸35を回転駆動するモータである。駆動部36は、制御部24からの電力供給により駆動制御される。
【0018】
ガイド部材40は、図2~5に示すように、回転軸35の周囲においてヘラ部材31を周回させる周回軌道で筐体21の内側に形成されている。ガイド部材40は、掻出方向Yを長手方向とする略長円状の周回軌道に形成されている。ここで、「略長円状」とは、直線部位のない曲線形状のほか、曲線形状に一部直線部位を含んでもよい趣旨である。このガイド部材40では、上部、下部、左右部分に一部直線部位を含む(図3、4参照)。ガイド部材40は、ヘラ部材31の移動経路及び姿勢を固定することができればよく、筐体21から突出した壁部として形成されていてもよいし、筐体21の内側に削られて形成された溝部としてもよい。ガイド部材40は、その下部が掻出方向Yにおいて搬送面23に沿った形状を有している。即ち、ガイド部材40は、その下部の中央が平らであり、左右端部側において上方に傾斜した形状を有している。このため、図5に示すように、ヘラ部材31は、ガイド部材40に導かれることによって、ヘラ部材31の先端が搬送面23の全範囲に亘って接触するように移動する。
【0019】
係合部材42は、回転軸35に固定され、回転軸35に対して近接離間可能にヘラ部材31に係合する部材である。上述したように、ヘラ部材31が搬送面23に沿って移動することから、回転軸35と伝達部材32との距離がガイド部材40の位置に応じて変化する。係合部材42は、U字状部43の内部に係合した伝達部材32が近接離間して移動することによって、この距離のギャップを緩衝させる機能を有する。この係合部材42は、U字状に形成されたU字状部43を有し、このU字状部43の中央突端44側で回転軸35に固定されている。係合部材42は、U字状部43が回転軸35の外周に沿って中央突端部44側で3箇所が固定された形状を有している。即ち、係合部材42は、Y字状の部材の3つの先端がU字状に形成された形状を有する。ヘラ部材31は、伝達部材32が係合部材42のU字状部43に各々係合して回転軸35に対して近接離間しつつ掻出方向Yにおいて搬送面23に沿って移動する。
【0020】
このような掻出機構30では、回転軸35が駆動部36により回転駆動されると、係合部材42が回転し、U字状部43に係合した伝達部材32に駆動力が伝達され、ヘラ部材31の先端がガイド部材40に導かれて搬送面23に沿って移動すると共に、ガイド部材40の周回軌道に沿ってヘラ部材31が周回する。
【0021】
次に、このように構成された廃材処理システム10において、異物除去装置20の動作について説明する。図6は、異物除去装置20の制御部24が実行する廃材処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、制御部24が有する記憶部に記憶され、廃材処理システム10が始動されたのち実行される。このルーチンを開始すると制御部24は、搬送装置15を所定の搬送速度になるよう駆動し(S100)、異物を検出したか否かを異物検出部22からの信号に基づいて判定する(S110)。異物検出の判定は、例えば、廃材に含まれる異物が占める領域を異物検出部22の検出値から求め、その領域が閾値以上であるか否かに基づいて行うことができる。この閾値は、廃材に許容される異物の量に応じて適宜設定すればよいが、例えば、面積比で10%以上、20%以上、30%以上、40%以上などとすることができる。異物を検出したときには、制御部24は、搬送装置15の搬送速度に基づいたタイミングで掻出機構30を駆動させる(S120)。掻出機構30の駆動タイミングは、例えば、異物検出部22から掻出機構30までの距離と、廃材の搬送速度とにより、異物が掻出機構30へ至る時間から求めることができる。このタイミングは、上記求めた時間に対して所定のマージン(時間ずれ)を減じて求めてもよい。また、制御部24は、S120において、ヘラ部材31が待機位置Aから掻出位置Bへ至る範囲内で駆動部36を駆動させる。掻出機構30が駆動されると、ヘラ部材31が搬送面23に沿って移動し、搬送面23上の異物は、廃材と共に異物回収部25へ除去される(図5参照)。このとき、ヘラ部材31は、それぞれが周回するため、中間位置Cにあったヘラ部材31が待機位置Aへ移動し、掻出位置Bにあったヘラ部材31が中間位置Cへ移動する。S120のあと、またはS110で異物を検出しないときには、制御部24は、全ての廃材の処理が終了したか否かを判定し(S130)、全ての廃材の処理が終了していないときには、S100以降の処理を実行する。即ち、制御部24は、搬送装置15を所定の搬送速度で駆動し、異物を検出したときには、掻出機構30を駆動させ、異物を搬送装置15から廃材ごと除去する。一方、S130で全ての廃材の処理が終了したときには、制御部24は、このルーチンを終了する。
【0022】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の廃材処理システム10が本開示の廃材処理システムに相当し、異物除去装置20が異物除去装置に相当し、搬送装置11,15,16が搬送装置に相当する。また、異物検出部22が異物検出部に相当し、掻出機構30が掻出機構に相当し、制御部24が制御部に相当する。また、ヘラ部材31がヘラ部材に相当し、回転軸35が回転軸に相当し、駆動部36が駆動部に相当し、ガイド部材40がガイド部材に相当し、係合部材42が係合部材に相当する。
【0023】
以上説明した本実施形態の異物除去装置20では、廃材と共に異物を外部へ掻き出すヘラ部材31と、回転軸35と、回転軸35を回転駆動する駆動部36とを有し、回転軸35の回転動作により廃材の搬送方向Xに対して略直交する掻出方向Yへヘラ部材31を搬送装置15の搬送面23に沿って周回させる掻出機構30と、を備える。この異物除去装置20は、回転軸35の回転動作により、掻出方向Yへヘラ部材31を搬送面23に沿って周回させることによって、異物を搬送装置15から除去することができる。即ち、この異物除去装置20では、ヘラ部材31を周回移動するため、往復移動する必要がないし、ヘラ部材31を搬送面23に沿って移動するため、より確実に異物を除去することができる。したがって、この異物除去装置20では、効率よく異物を除去することができる。また、異物除去装置20では、ヘラ部材31を一方向へ移動することから、ヘラ部材31を往復動させるのに対して、搬送装置15の片側にだけ異物回収部25を配設すればよいため、構成をより簡略化することができる。
【0024】
また、掻出機構30は、掻出方向Yにおいて搬送面23に沿った形状を有するガイド部材40を有しており、ヘラ部材31はガイド部材40に導かれて移動する。この異物除去装置20では、ガイド部材40という比較的簡易な構造によって、ヘラ部材31を搬送面23に沿って移動することができる。更に、ガイド部材40は、回転軸35の周囲にヘラ部材31が周回する周回軌道で形成されているため、ガイド部材40という比較的簡易な構造を用いて、ヘラ部材31を周回軌道上で周回させることができる。更にまた、掻出機構30は、回転軸35に固定され回転軸35に対して近接離間可能にヘラ部材31に係合する係合部材42を有しており、ヘラ部材31は、係合部材42に係合して回転軸35に対して近接離間しつつ掻出方向Yにおいて搬送面23に沿って移動する。この異物除去装置20では、係合部材42という比較的簡易な構造を用いて、ヘラ部材31を搬送面23に沿って移動することができる。
【0025】
更に、掻出機構30は、ヘラ部材31を3つ有しているため、連続的に異物を外部へ掻き出すこと可能であり、更に効率よく異物を除去することができる。更に、この掻出機構30は、回転軸35に固定され回転軸35に対して近接離間可能にヘラ部材31に係合する係合部材42が回転軸35の外周に沿って3箇所に固定されており、3つのヘラ部材31は、係合部材42の各々に係合している。また、3つのヘラ部材31は、それぞれが、異物を掻き出す前の待機位置A、異物を掻き出したあとの掻出位置B及び掻出位置から待機位置へ至る途中の中間位置Cに配設されている。このように構成された掻出機構30では、各位置にヘラ部材31を配置し、各位置からヘラ部材31を移動することによって、円滑に、連続的に異物を除去することができる。
【0026】
更にまた、掻出機構30は、掻出方向Yにおいて搬送面23に沿った形状を有するガイド部材40と、回転軸35に固定され回転軸35に対して近接離間可能にヘラ部材31に係合する係合部材42とを有している。また、ガイド部材40は、掻出方向Yを長手方向とする略長円状の周回軌道に形成され、係合部材42は、U字状に形成されたU字状部43を有し、このU字状部43の中央突端部44側で回転軸35に固定されており、ヘラ部材31は、回転軸31側の端部において、係合部材42のU字状部43に係合して駆動力を伝達する伝達部材32と、伝達部材32に対してヘラ部材31の進行方向の先端側及び後端側でガイド部材42に挿入され、ヘラ部材31の姿勢を制御する姿勢固定部33と、を有している。この掻出機構30では、ガイド部材40、係合部材42、ヘラ部材31の各々の構造により、ヘラ部材31を搬送面23に沿って周回させることができる。
【0027】
そしてまた、異物除去装置20は、搬送されている廃材の異物を検出する異物検出部22と、異物の検出に基づいて掻出機構30を駆動する制御部24と、を備える。この異物除去装置20では、異物を検出し、それに連動して掻出機構30を駆動することによって異物を自動的に除去することができる。
【0028】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0029】
例えば、上述した実施形態では、掻出機構30は、係合部材42がU字状部43を備え、ヘラ部材31に形成された伝達部材32に係合するものとしたが、ヘラ部材31が移動可能であれば特にこれに限定されず、係合部材42に伝達部材が形成され、ヘラ部材31にU字状部を有するものとしてもよい。また、掻出機構30において、ヘラ部材31を一方向に周回させる場合、係合部材42は、U字状ではなく、J字状や棒状とすることができる。あるいは、掻出機構は、例えば、バネなどの押圧機構によってヘラ部材31を回転軸35の外周方向へ付勢した構造を有し、押圧機構の伸縮に応じてヘラ部材31が円弧状の軌道を外れても搬送面23に沿って移動可能とするものとしてもよい。
【0030】
上述した実施形態では、掻出機構30は、ヘラ部材31を3つ有するものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、掻出機構は、ヘラ部材31を2つ備えているものとしてもよいし、ヘラ部材31を4つ以上備えているものとしてもよいし、ヘラ部材31を1つ備えているものとしてもよい。この異物除去装置では、ヘラ部材31を1つ備えたものでは、異物除去の連続性は劣るが、構成を簡略化することができ、ヘラ部材を2つ以上備えているものは、構成の煩雑化が生じるが異物除去の連続性をより確保することができる。その中でも、待機位置A、掻出位置B及び中間位置Cの間で連続的に移動可能であるヘラ部材31を3つ備えた構成が、構成の煩雑化をできるだけ抑制し、より連続的に異物除去を実行することができ好ましい。
【0031】
上述した実施形態では、係合部材42を時計回りに回転駆動し、搬送装置15の左側に異物を掻き出すものとして説明したが、特にこれに限定されず、係合部材42を反時計回りに回転駆動し、搬送装置15の右側に異物を掻き出すものとしてもよい。なお、掻出機構30では、係合部材42の回転駆動方向を反転させることによって、ヘラ部材31を往復移動させ、異物を搬送装置15の左右に掻き出すこともできる。
【0032】
上述した実施形態では、掻出機構30が異物を掻き出す際に、搬送装置15の搬送速度を変更しないものとして説明したが、特にこれに限定されず、掻出機構30が異物を掻き出す際に搬送装置15の搬送速度を低下させてもよいし、搬送装置15を停止してもよい。掻出機構30は、搬送装置15の搬送速度を低下させると、より確実に異物を除去することができる。なお、廃材処理システム10において、搬送装置15の搬送速度の低下は、廃材の処理量の低下に繋がるため、単位時間あたりの処理量の観点からは、できるだけ行わない方が好ましい。
【0033】
上述した実施形態では、本開示を廃材処理システム10として説明したが、特にこれに限定されず、異物除去装置20としてもよいし、掻出機構30としてもよい。
【0034】
ここで、本開示は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の異物除去装置において、前記掻出機構は、前記掻出方向において前記搬送面に沿った形状を有するガイド部材を有しており、前記ヘラ部材は前記ガイド部材に導かれて前記搬送面に沿って移動するものとしてもよい。この異物除去装置では、ガイド部材という比較的簡易な構造によって、ヘラ部材を搬送面に沿って移動することができ、より確実に異物を除去することができる。
【0035】
ガイド部材を有する本開示の異物除去装置において、前記ガイド部材は、前記回転軸の周囲に前記ヘラ部材が周回する周回軌道で形成されているものとしてもよい。この異物除去装置では、ガイド部材という比較的簡易な構造を用いて、ヘラ部材を周回軌道上で周回させることができる。
【0036】
本開示の異物除去装置において、前記掻出機構は、前記回転軸に固定され前記回転軸に対して近接離間可能に前記ヘラ部材に係合する係合部材を有しており、前記ヘラ部材は、前記係合部材に係合して前記回転軸に対して近接離間しつつ前記掻出方向において前記搬送面に沿って移動するものとしてもよい。この異物除去装置では、係合部材という比較的簡易な構造を用いて、ヘラ部材を搬送面に沿って移動することができる。
【0037】
本開示の異物除去装置において、前記掻出機構は、前記ヘラ部材を3つ有しているものとしてもよい。この異物除去装置では、ヘラ部材を3つ備えているため、連続的に異物を外部へ掻き出すこと可能であり、更に効率よく異物を除去することができる。このとき、前記回転軸に固定され前記回転軸に対して近接離間可能に前記ヘラ部材に係合する係合部材は、前記回転軸の外周に沿って3箇所に固定されており、3つの前記ヘラ部材は、前記係合部材の各々に係合しているものとしてもよい。また、3つの前記ヘラ部材は、それぞれが、異物を掻き出す前の待機位置、異物を掻き出したあとの掻出位置及び前記掻出位置から前記待機位置へ至る途中の中間位置に配設されているものとしてもよい。なお、前記掻出機構は、前記ヘラ部材を2つ備えているものとしてもよいし、前記ヘラ部材を4つ以上備えているものとしてもよいし、前記ヘラ部材を1つ備えているものとしてもよい。この異物除去装置では、ヘラ部材を1つ備えたものでは、異物除去の連続性は劣るが、構成を簡略化することができ、ヘラ部材を2つ以上備えているものは、構成の煩雑化が生じるが異物除去の連続性をより確保することができる。
【0038】
本開示の異物除去装置において、前記掻出機構は、前記掻出方向において前記搬送面に沿った形状を有するガイド部材と、前記回転軸に固定され前記回転軸に対して近接離間可能に前記ヘラ部材に係合する係合部材とを有しており、前記ガイド部材は、前記掻出方向を長手方向とする略長円状の周回軌道に形成され、前記係合部材は、U字状に形成されたU字状部を有し該U字状部の中央突端側で前記回転軸に固定されており、前記ヘラ部材は、前記回転軸側の端部において、前記係合部材のU字状部に係合して駆動力を伝達する伝達部材と、前記伝達部材に対して前記ヘラ部材の進行方向の先端側及び/又は進行方向の後端側で前記ガイド部材に挿入され該ヘラ部材の姿勢を制御する姿勢固定部と、を有しているものとしてもよい。この異物除去装置では、ガイド部材、係合部材、ヘラ部材の各々の構造により、ヘラ部材を搬送面に沿って周回させることができる。ここで、「略長円状」とは、直線部位のない曲線形状のほか、曲線形状に一部直線部位を含んでもよい趣旨である。
【0039】
本開示の異物除去装置は、前記搬送されている廃材の異物を検出する異物検出部と、前記異物の検出に基づいて前記掻出機構を駆動する制御部と、を備えたものとしてもよい。この異物除去装置では、異物を検出し、それに連動して掻出機構を駆動することによって異物を自動的に除去することができる。
【0040】
本開示の廃材処理システムは、前記廃材を搬送する搬送装置と、前記搬送装置の上部に配設された、上述したいずれかに記載の異物除去装置と、を備えたものである。この廃材処理システムでは、上述した異物除去装置と同様に、ヘラ部材を周回移動するため往復移動する必要がないし、ヘラ部材を搬送面に沿って移動するためより確実に異物を除去することができる。したがって、この廃材処理システムでは、効率よく異物を除去することができる。また、廃材処理システムでは、上述したいずれかの異物除去装置を採用すれば、その採用した態様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本開示の異物除去装置及び廃材処理システムは、廃材の再生処理を行う技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 廃材処理システム、10a 1次処理部、10b 2次処理部、11 搬送装置、12 1次破砕機、13 磁選機、14 1次スクリーン機、15 搬送装置、16 搬送装置、17 2次破砕機、18 吸選機、19 2次スクリーン機、20 異物除去装置、21 筐体、22 異物検出部、23 搬送面、24 制御部、25 異物回収部、30 掻出機構、31 ヘラ部材、32 伝達部材、33 姿勢固定部、35 回転軸、36 駆動部、40 ガイド部材、42 係合部材、43 U字状部、44 中央突端部、A 待機位置、B 掻出位置、C 中間位置、X 搬送方法、Y 掻出方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6