(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】脱ワックス用架橋ポリマーの調製及びその実施
(51)【国際特許分類】
C08F 220/18 20060101AFI20240702BHJP
C08F 2/06 20060101ALI20240702BHJP
C08F 265/06 20060101ALI20240702BHJP
C08F 290/12 20060101ALI20240702BHJP
C10G 73/08 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C08F220/18
C08F2/06
C08F265/06
C08F290/12
C10G73/08
(21)【出願番号】P 2022552210
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 IN2021050393
(87)【国際公開番号】W WO2021255747
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】202041025174
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】519421190
【氏名又は名称】ヒンドゥスタン ペトロリアム コーポレーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チンタラパティ,シヴァ ケサヴァ ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】コッタリ,ナレシュ
(72)【発明者】
【氏名】ガナガッラ,シュリンヴァサ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】グナナセカラン,ヴァラヴァラス
(72)【発明者】
【氏名】バラサブラマニアム,ラヴィ
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第01145427(GB,A)
【文献】特表2005-526873(JP,A)
【文献】特表2014-509338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/18
C08F 2/06
C08F 265/06
C08F 290/12
C10G 73/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーであって、前記ポリマーは、
(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート70~77重量%と、
(b)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、
(c)少なくとも1つの架橋剤0.1~2.5重量%と、
(d)少なくとも1つの開始剤0.75~2.5重量%と、
から得られ、
前記ポリマーが5000~15000の数平均分子量を有
し、
前記少なくとも1つのアルキルアクリレートは、オクタデシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、エイコシルアクリレート及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素は、スチレンであり、
前記少なくとも1つの架橋剤は、シクロペンタジエン、又はジアリルエーテルであり、
前記少なくとも1つの開始剤は、ベンゾイルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、架橋ポリマー。
【請求項2】
請求項1に記載のポリマーの調整方法であって、前記方法は、
(a)前記少なくとも1つのアルキルアクリレートと、前記少なくとも1つの架橋剤と、前記少なくとも1つの開始剤とを、少なくとも1つの溶媒に溶解して第1混合物を得るステップと、
(b)前記第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップと、
(c)前記第2混合物に前記少なくとも1つのアルキルアクリレートと、前記少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、前記少なくとも1つの架橋剤と、前記少なくとも1つの開始剤とを加えて第3混合物を得るステップと、
(d)前記第3混合物を加熱してポリマーを得るステップと、
を含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記少なくとも1つの溶媒は、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、前記少なくとも1つのアルキルアクリレートは前記第1混合物に対して45~55重量%であり、前記少なくとも1つの架橋剤は前記第1混合物に対して0.1~1.0重量%であり、前記少なくとも1つの開始剤は前記第1混合物に対して0.7~1.2重量%である方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、前記第1混合物の加熱は80~120℃で、2~4時間行われる方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、前記少なくとも1つのアルキルアクリレートは前記第2混合物に対して15~32重量%であり、前記少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素は前記第2混合物に対して23~28重量%であり、前記少なくとも1つの架橋剤は前記第2混合物に対して0.1~1.5重量%であり、前記少なくとも1つの開始剤は前記第2混合物に対して0.8~1.3重量%である方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法であって、前記第3混合物の加熱は80~120℃で2~4時間行われる方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法であって、前記第3混合物を加熱した後、空気に曝露してポリマーを得る方法。
【請求項9】
潤滑油の脱ワックス方法であって、前記方法は、
(a)原料及び少なくとも1つの溶媒を得るステップと、
(b)前記原料と、前記少なくとも1つの溶媒と、請求項1に記載の脱ワックス用ポリマーと、を接触させて混合物を得るステップと、
(c)前記混合物を処理してワックス及び脱ワックス油を得るステップと、
を含み、
前記請求項1に記載のポリマーは、前記原料に対して0.08~0.12重量%である方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記原料は、石油、潤滑油、常圧残油、減圧蒸留塔の各種留分、軽質減圧軽油、重質減圧軽油、重質残渣油からなる群から選択され、
前記少なくとも1つの溶媒は、メチルエチルケトン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、プロパン、石油ナフサ、二塩化エチレン、塩化メチレン、二酸化硫黄及びそれらの組み合わせからなる群から選択される方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記原料と前記少なくとも1つの溶媒とを1:1~1:4の比率で接触させる方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記混合物の処理は、加熱、冷却、濾過、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される処理によって促進される方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記加熱は60~90℃で20~30分間行われ、前記冷却は-40℃~-10℃で行われ、前記濾過は100~300mmHgの圧力で行われる方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法であって、脱ワックス油の収率は前記原料に対して65~85%である方法。
【請求項15】
請求項9に記載の方法であって、脱ワックス油の流動点が-20℃~3℃である方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、潤滑油の分野に関するものであり、特に本開示は、潤滑油を脱ワックスする方法に関するものである。より詳細には、本開示は、潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
脱ワックスは、潤滑油の調製に用いられる重要な方法の1つであり、ワックスを除去し、著しく改善された曇点及び流動点の油をもたらすものである。当該方法は通常、ワックスを沈殿させる目的で油を冷却した後、油からワックスを濾過することによって行われる。油を溶解し、ワックスを沈殿させやすい溶媒を油に添加する実務は広く行われている。使用できる溶媒としては、低沸点の流動パラフィン、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、軽油、ケトンと芳香族炭化水素の混合物、例えばメチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、及び塩素化炭化水素、すなわちジクロロエタン、トリクロロエタンなどが挙げられる。
【0003】
脱ワックスプロセスでは、脱ワックス助剤も重要である。脱ワックス助剤は、ワックス結晶の形成、濾過速度の向上、脱ワックス油の収率の向上、ワックス中の油分の低減に役立つ。製油所によって処理する原油の種類や生産するグレード(grade cuts)が異なるため、製油所で使用する脱ワックス助剤もカスタマイズする必要がある。低粘度油に使用される脱ワックス剤は、高粘度油では機能しない場合がある。脱ワックス助剤の構造で最も重要な役割を果たすのは、脱ワックス助剤におけるアルキル基であることは言うまでもない。使用するアルキル基のサイズは、脱ワックスされるべき潤滑油の種類によって決まる。現在、より安価で、濾過速度が良好であり、脱ワックス油の収率が高い脱ワックス助剤を開発するための膨大な研究が進められている。
【0004】
EP0013150A1には、ケトン系脱ワックス溶媒と、ポリビニルピロリドンを含む脱ワックス助剤とを用いてワックス状炭化水素油を脱ワックスする方法が開示されている。US2158671Aには、空気の存在下で過酸化水素と触媒の混合物を用いてワックスを酸化することにより、油からワックスを分離することを含む脱ワックス方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、脱ワックス助剤の開発における最大の課題は、濾過プロセス中に、ワックス結晶がフィルターを詰まらせる傾向があることである。これは、濾過の時間とワックスケーキに捕捉される油の量を著しく増加させる。そのため、ワックス結晶の生成を抑え、それによって濾過にかかる時間を短縮し、油からのワックスの分離を早めることができる脱ワックス助剤を調製することが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様において、潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーが提供される。該ポリマーは、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート70~77重量%と、(b)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、(c)少なくとも1つの架橋剤0.1~2.5重量%と、(d)少なくとも1つの開始剤0.75~2.5重量%と、から得られ、5000~15000の数平均分子量を有する。
【0007】
本開示の別の態様において、前記ポリマーの調製方法が提供される。該方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを、少なくとも1つの溶媒に溶解して第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップと、(c)第2混合物に少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを加えて、第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を加熱してポリマーを得るステップとを含む。
【0008】
本開示の別の態様において、潤滑油を脱ワックスする方法が提供される。該方法は、(a)原料及び少なくとも1つの溶媒を得るステップと、(b)原料、少なくとも1つの溶媒、及び脱ワックス用ポリマーを接触させて、混合物を得るステップと、(c)混合物を処理して、ワックス及び脱ワックス油を得るステップとを含み、前記ポリマーは原料に対して0.08~0.12重量%である方法である。
【0009】
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点、並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の記載及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、より理解されるであろう。この概要は、簡略化された形式で概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、本発明の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、本発明の範囲を制限するために使用されることを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当業者であれば気付くであろうが、本開示は、具体的に説明したもの以外の変形例及び修正例も対象とする。また、本開示がそのような変形例及び修正例のすべてを含むことを理解されたい。本開示はまた、本明細書において個別にまたは集合的に言及または示唆したそのようなすべてのステップ、特徴、構成及び化合物、ならびにそのようなステップまたは特徴のいずれかまたはさらに多くの、任意の及びすべての組み合わせを含む。
【0011】
定義:
便宜上、本開示のさらなる説明の前に、本明細書で使用した特定の用語及び例がここに集められている。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らして読まれ、かつ、当業者によって理解されるべきである。本明細書で使用する用語は、当業者に認識されて知られている意味を有するが、便宜上及び完全を期すために、特定の用語及びそれらの意味について以下で説明する。
【0012】
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、冠詞の文法的目的語の1つまたは複数(つまり、少なくとも1つ)を指すために使用される。
【0013】
「備える(comprise)」及び「備える(comprising)」という用語は、包括的でオープンな意味で使用され、追加の部品が含まれてもよいことを意味する。「~のみからなる」と解釈されることを意図するものではない。
【0014】
この明細書全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「備える(comprise)」という単語、及び「備える(comprises)」及び「備える(comprising)」などの変形は、記載された部品またはステップまたは部品ならびにステップの集まりを含むことを意味すると理解されるが、他の任意の部品またはステップの除外を意味するものではない。
【0015】
「含む(including)」という用語は、「含むがこれに限定されない」の意味で使用され、「含む」及び「含むがこれに限定されない」は同じ意味で使用できる。
【0016】
「脱ワックス(dewaxing)」という用語は、潤滑油へとさらに加工する前に基油原料からワックスを除去するプロセスを指す。本開示では、脱ワックスは、原料油からワックスを除去することをいう。本開示では、脱ワックス用ポリマーを、「脱ワックス助剤(dewaxing aid)」ともいう。特に、本開示の架橋ポリマーもまた、「脱ワックス助剤」ということができる。
【0017】
「架橋剤(crosslinker)」という用語は、共有結合またはイオン結合によって2つのポリマー鎖を連結する分子を指す。本開示において、「架橋剤」とは、シクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群を指す。
【0018】
「開始剤(initiator)」という用語は、連鎖反応または重合反応を開始させることができる物質または化学物質を指す。本開示では、アルキルアクリレート、ビニル芳香族炭化水素、及び架橋剤の間の重合反応を開始させるために、開始剤が使用される。本開示の開始剤は、過酸化ベンゾイル、ベンゾイルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシドに限定されない。
【0019】
「数平均分子量」という用語は、ポリマーの総重量を分子の総数で割ったものとして定義される。本開示では、架橋ポリマーについて計算される数平均分子量は、5000~15000である。
【0020】
「ワックス(wax)」という用語は、炭素鎖長がC18~C75+の長鎖飽和炭化水素(直鎖アルカン/n-パラフィン)、特にn-パラフィン、ナフテン、イソパラフィンを主成分とする物質を指す。
【0021】
「原料(feed)」という用語は、脱ワックスする必要がある炭化水素原料を指す。本開示において、原料は、石油、潤滑油、常圧残油、減圧蒸留塔の各種留分、軽質減圧軽油、重質減圧軽油、重質残渣油に限定されない。
【0022】
「脱ワックス油(dewaxed oil)」という用語は、ワックス除去後の油を指す。本開示において、架橋ポリマーは脱ワックス助剤として作用し、原料の脱ワックスプロセスを促進し、脱ワックス油及びワックスをもたらす。
【0023】
「流動点(pour point)」という用語は、油が重力下で流動できる最低温度を指す。本開示において、流動点は、脱ワックス油が重力下で自由に流れる最低温度を指す。
【0024】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または均等の方法及び材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、ここでは好ましい方法及び材料について説明する。本明細書に記載されているすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
比率、濃度、量、及びその他の数値データは、範囲形式(range format)で本明細書に示されてもよい。そのような範囲形式は単に便宜と簡潔さのために使用されるものであり、範囲の境界として明示的に記載された数値だけでなく、個々の数値とサブ範囲とが明示的に記載されているように、その範囲内に含まれるすべての個々の数値またはサブ範囲を含むように柔軟に解釈されるべきであることは理解されたい。例えば、約70~77重量%は、明示的に示された約70%から約77%の境界だけでなく、71~73%、74~77%などのサブ範囲や、71.4%、73.8%、75.6%などの特定の範囲内の小数を含む個々の量などのサブ範囲も含むものと解釈されるべきである。
【0026】
本開示は、例示のみを目的とする、本明細書に記載の特定の実施形態による範囲内に限定されない。機能的に均等な製造物、組成物、及び方法は、本明細書に記載されているように、明らかに本開示の範囲内にある。
【0027】
背景技術で述べたように、脱ワックス方法のために開発された種々の脱ワックス助剤がある。しかし、ワックスの析出と濾過に関する課題にはまだ取り組まれていない。効率的な脱ワックス助剤を得るために、様々なポリマーが試されてきた。しかし、欠点は依然として存在し、脱ワックス方法を著しく容易にする戦略が必要であった。脱ワックス方法は、核生成または吸着によって促進することができる。核生成において、脱ワックス助剤はワックス結晶の形成を開始させる種として機能する。吸着では、脱ワックス助剤が成長する結晶の表面に吸着し、その後のサイズと形状を変化させる。このように、核生成プロセス、又は吸着プロセスのいずれかを強化することによって、脱ワックス方法を改善することができる。本開示では、脱ワックス方法に有効な助剤を得ることを目的として、架橋剤を含有するポリマーを開発した。ポリマー中の架橋剤は、ワックス結晶成長の近接により、核生成率を高めることになる。
【0028】
本開示は、少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、少なくとも1つの架橋剤と、及び少なくとも1つの開始剤とから得られる架橋ポリマーを提供する。本明細書に開示された成分の範囲によって、脱ワックス用の架橋ポリマーが得られる。また本開示は、本明細書に開示される方法で実施される架橋ポリマーの調製方法を提供する。簡潔に言えば、本開示は、本明細書に開示される成分から得られる、能力のあるポリマー(proficient polymer)を提供するとともに、架橋ポリマーを得るための競争力のある方法を提供する。本開示はまた、本開示の架橋ポリマーを用いた脱ワックス方法を提供する。
【0029】
本開示の一実施形態では、潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーが提供され、該ポリマーは、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート70~77重量%と、(b)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、(c)少なくとも1つの架橋剤0.1~2.5重量%と、(d)少なくとも1つの開始剤0.75~2.5重量%と、から得られ、該ポリマーは5000~15000の数平均分子量を有する。
【0030】
本開示の一実施形態では、潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーが提供され、該ポリマーは、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート71~75重量%と、(b)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素24~26重量%と、(c)少なくとも1つの架橋剤0.2~1.0重量%と、(d)少なくとも1つの開始剤1.0~2.0重量%と、から得られ、該ポリマーは7000~15000の数平均分子量を有する。本開示の別の実施形態では、潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーが提供され、該ポリマーは、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート72~74重量%と、(b)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素24~25重量%と、(c)少なくとも1つの架橋剤0.3~0.9重量%と、(d)少なくとも1つの開始剤1.5~2.0重量%と、から得られ、該ポリマーは10000~15000の数平均分子量を有する。本開示のさらに別の実施形態では、潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーが提供され、該ポリマーは、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート73.17重量%と、(b)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素24.39重量%と、(c)少なくとも1つの架橋剤0.49重量%と、(d)少なくとも1つの開始剤1.95重量%と、から得られ、該ポリマーは13500~14500の数平均分子量を有する。
【0031】
本開示の一実施形態では、潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーが提供される。ここで、少なくとも1つのアルキルアクリレートは、オクタデシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、エイコシルアクリレート及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素は、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、アリルベンゼン、メチルスチレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。少なくとも1つの架橋剤は、シクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。少なくとも1つの開始剤は、ベンゾイルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
本開示の一実施形態では、潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーが提供される。ここで、少なくとも1つのアルキルアクリレートは、オクタデシルアクリレート及びデシルアクリレートからなる群から選択される。少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素は、スチレン及びビニルナフタレンからなる群から選択される。少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素は、スチレン及びビニルナフタレンからなる群から選択される。少なくとも1つの架橋剤は、シクロペンタジエン及びジアリルエーテルからなる群から選択される。少なくとも1つの開始剤は、ベンゾイルヒドロペルオキシド及びアゾビスイソブチロニトリルからなる群から選択される。本開示の別の実施形態では、潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーが提供される。ここで、少なくとも1つのアルキルアクリレートがオクタデシルアクリレートであり、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素がスチレンであり、少なくとも1つの架橋剤がシクロペンタジエン及びジアリルエーテルから選ばれ、少なくとも1つの開始剤がベンゾイルヒドロペルオキシドである。
【0033】
本開示の実施形態では、潤滑油を脱ワックスするための架橋ポリマーが提供される。該ポリマーは、(a)オクタデシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、エイコシルアクリレート及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた少なくとも1つのアルキルアクリレート70~77重量%と、(b)スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、アリルベンゼン、メチルスチレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、(c)シクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの架橋剤0.1~2.5重量%と、(d)ベンゾイルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの開始剤0.75~2.5重量%と、から得られ、該ポリマーは5000~15000の数平均分子量を有する。
【0034】
本開示の一実施形態では、ポリマーの調整方法が提供される。該ポリマーは、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート70~77重量%と、(b)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、(c)少なくとも1つの架橋剤0.1~2.5重量%と、(d)少なくとも1つの開始剤0.75~2.5重量%と、から得られ、該ポリマーは5000~15000の数平均分子量を有する。この方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート、少なくとも1つの架橋剤、及び少なくとも1つの開始剤を、少なくとも1つの溶媒に溶解して第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップと、(c)第2混合物に少なくとも1つのアルキルアクリレート、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素、少なくとも1つの架橋剤、及び少なくとも1つの開始剤とを加えて第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を加熱してポリマーを得るステップと、を含む。
【0035】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、少なくとも1つの溶媒は、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0036】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法は以下のステップを含む。(a)オクタデシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、エイコシルアクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのアルキルアクリレートと、シクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの架橋剤と、ベンゾイルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの開始剤とを、キシレン、トルエン、エチルベンゼンからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中に添加して第1混合物を得るステップ、(b)第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップ、(c)オクタデシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、エイコシルアクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのアルキルアクリレートと、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、アリルベンゼン、メチルスチレン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、シクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの架橋剤と、ベンゾイルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの開始剤とを、第2混合物に添加して第3混合物を得るステップ、及び、(d)第3混合物を加熱してポリマーを得るステップ。
【0037】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは第1混合物に対して45~55重量%であり、少なくとも1つの架橋剤は第1混合物に対して0.1~1.0重量%であり、少なくとも1つの開始剤は第1混合物に対して0.7~1.2重量%である。
【0038】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは第1混合物に対して47~52重量%であり、少なくとも1つの架橋剤は第1混合物に対して0.15~5重量%であり、少なくとも1つの開始剤は第1混合物に対して0.8~1.0重量%である。本開示の別の実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは第1混合物に対して47~52重量%であり、少なくとも1つの架橋剤は第1混合物に対して0.15~5重量%であり、少なくとも1つの開始剤は第1混合物に対して0.8~1.0重量%である。本開示のさらに別の実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは第1混合物に対して48~49重量%であり、少なくとも1つの架橋剤は第1混合物に対して0.2~0.25重量%であり、少なくとも1つの開始剤は第1混合物に対して0.9~1.0重量%である。
【0039】
本開示の一実施形態では、ポリマーの調製方法が提供される。該方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート、少なくとも1つの架橋剤、及び、少なくとも1つの開始剤を、少なくとも1つの溶媒に溶解して、第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップと、(c)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを第2混合物に添加して、第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を加熱してポリマーを得るステップと、を含む。当該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは第1混合物に対して45~55重量%であり、少なくとも1つの架橋剤は第1混合物に対して0.1~1.0重量%であり、少なくとも1つの開始剤は第1混合物に対して0.7~1.2重量%である。
【0040】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、第1混合物の加熱は80~120℃で、2~4時間行われる。本開示の別の実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、第1混合物の加熱は90~110℃で、2.5~3.5時間行われる。本開示のさらに別の実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、第1混合物の加熱は100℃で3.0時間行われる。
【0041】
本開示の一実施形態では、ポリマーの調製方法が提供される。該方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを、少なくとも1つの溶媒に溶解して、第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップと、(c)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを第2混合物に添加して、第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を加熱してポリマーを得るステップと、を含む。ここで、第1混合物の加熱は80~120℃で2~4時間行われる。
【0042】
本開示の一実施形態では、ポリマーの調製方法が提供される。該方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを、少なくとも1つの溶媒に溶解して、第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップと、(c)第2混合物に少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを添加して、第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を加熱してポリマーを得るステップと、を含む。当該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは第1混合物に対して45~55重量%であり、少なくとも1つの架橋剤は第1混合物に対して0.1~1.0重量%であり、少なくとも1つの開始剤は第1混合物に対して0.7~1.2重量%であり、第1混合物の加熱は80~120℃で2~4時間行われる。
【0043】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは第2混合物に対して15~32重量%であり、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素は第2混合物に対して23~28重量%であり、少なくとも1つの架橋剤は第2混合物に対して0.1~1.5重量%であり、少なくとも1つの開始剤は第2混合物に対して0.8~1.3重量%である。
【0044】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは第2混合物に対して20~28重量%であり、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素は第2混合物に対して24~26重量%であり、少なくとも1つの架橋剤は第2混合物に対して0.2~1.0重量%であり、少なくとも1つの開始剤は第2混合物に対して0.8~1.0重量%である。本開示の別の実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供され、当該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは第2混合物に対して24~25重量%であり、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素は第2混合物に対して24~25重量%であり、少なくとも1つの架橋剤は第2混合物に対して0.2~0.25重量%であり、少なくとも1つの開始剤は第2混合物に対して0.9~1.0重量%である。
【0045】
本開示の一実施形態では、ポリマーの調製方法が提供される。該方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを、少なくとも1つの溶媒に溶解して、第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップと、(c)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを第2混合物に添加して、第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を加熱してポリマーを得るステップと、を含む。当該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは第2混合物に対して15~32重量%であり、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素は第2混合物に対して23~28重量%であり、少なくとも1つの架橋剤は第2混合物に対して0.1~1.5重量%であり、少なくとも1つの開始剤は第2混合物に対して0.8~1.3重量%である。
【0046】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、第3混合物の加熱は80~120℃で2~4時間行われる。
【0047】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法において、第3混合物の加熱は90~110℃で2.5~3.5時間行われる。本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供され、当該方法において、第3混合物の加熱は100℃で3時間行われる。
【0048】
本開示の一実施形態では、ポリマーの調製方法が提供される。該方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを、少なくとも1つの溶媒に溶解して、第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップと、(c)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを、第2混合物に添加して第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を加熱してポリマーを得るステップと、を含む。当該方法において、第3混合物の加熱は80~120℃で2~4時間行われる。
【0049】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法においては、第3混合物を加熱した後、空気に曝露して停止して(termination)ポリマーを得る。本開示の別の実施形態では、本明細書に開示されるポリマーの調製方法が提供される。該方法においては、第3混合物を加熱した後、メタノール、エタノール、水、イソプロパノール、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの停止剤の存在下で停止させ、空気に曝露してポリマーを得る。
【0050】
本開示の一実施形態では、ポリマーの調製方法が提供される。該方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを、少なくとも1つの溶媒に溶解して、第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップと、(c)少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを第2混合物に加えて、第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を加熱してポリマーを得るステップと、を含み、第3混合物を加熱した後、空気に曝露して停止してポリマーを得る。
【0051】
本開示の実施形態では、ポリマーの調製方法が提供される。該方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート45~55重量%と、少なくとも1つの架橋剤0.1~1.0重量%と、少なくとも1つの開始剤0.7~1.2重量%とを、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒に溶解させるステップと、(b)第1混合物を80~120℃で2~4時間加熱して第2混合物を得るステップと、(c)少なくとも1つのアルキルアクリレート15~32重量%と、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、少なくとも1つの架橋剤0.1~1.5重量%と、少なくとも1つの開始剤0.8~1.3重量%とを、第2混合物に添加して、第3の混合物を得るステップと、(d)第3混合物を80~120℃で2~4時間加熱し、その後空気に曝露して停止してポリマーを得るステップと、を含む。
【0052】
本開示の一実施形態では、ポリマーの調製方法が提供される。該方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート45~55重量%と、少なくとも1つの架橋剤0.1~1.0重量%と、少なくとも1つの開始剤0.7~1.2重量%とを、キシレン、トルエン、エチルベンゼン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも1つの溶媒に溶解して第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を80~120℃で2~4時間加熱して第2混合物を得るステップと、(c)少なくとも1つのアルキルアクリレート15~32重量%と、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、少なくとも1つの架橋剤0.1~1.5重量%と、少なくとも1つの開始剤0.8~1.3重量%とを第2混合物に添加して、第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を80~120℃で2~4時間加熱し、その後空気に曝露して停止してポリマーを得るステップと、を含む。当該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートは、オクタデシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、エイコシルアクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素は、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、アリルベンゼン、メチルスチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、少なくとも1つの架橋剤は、シクロペンタジエン、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、少なくとも1つの開始剤は、ベンゾイルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、当該ポリマーの数平均分子量は5000~15000である。
【0053】
本開示の実施形態では、ポリマーの調製方法が提供される。該方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート48~49重量%と、少なくとも1つの架橋剤0.2~0.25重量%と、少なくとも1つの開始剤0.9~1.0重量%とを、キシレン、トルエン、エチルベンゼン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも1つの溶媒に溶解させて第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を100℃で3.0時間加熱して第2混合物を得るステップと、(c)少なくとも1つのアルキルアクリレート24~25重量%と、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素24~25重量%と、少なくとも1つの架橋剤0.2~0.25重量%と、少なくとも1つの開始剤0.9~1.0重量%とを第2混合物に添加して、第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を100℃で3時間加熱し、その後空気に曝露して停止してポリマーを得るステップと、を含む。当該方法において、少なくとも1つのアルキルアクリレートはオクタデシルアクリレートであり、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素はスチレンであり、少なくとも1つの架橋剤はシクロペンタジエン、ジアリルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、少なくとも1つの開始剤はベンゾイルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0054】
本開示の一実施形態では、潤滑油を脱ワックスする方法が提供される。該方法は、(a)原料及び少なくとも1つの溶媒を得るステップと、(b)原料と、少なくとも1つの溶媒と、脱ワックス用ポリマーとを接触させて混合物(blend)を得るステップと、(c)混合物を処理してワックス及び脱ワックス油を得るステップと、を含み、当該ポリマーは原料に対して0.08~0.12重量%である。
【0055】
本開示の一実施形態では、潤滑油を脱ワックスする方法が提供される。該方法は、(a)原料及び少なくとも1つの溶媒を得るステップと、(b)原料と、少なくとも1つの溶媒と、(i)少なくとも1つのアルキルアクリレート70~77重量%と、(ii)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、(iii)少なくとも1つの架橋剤0.1~2.5重量%と、(iv)少なくとも1つの開始剤0.75~2.5重量%と、から得られる、数平均分子量が5000~15000のポリマーとを接触させて混合物を得るステップと、(c)混合物を処理してワックス及び脱ワックス油を得るステップと、を含み、当該ポリマーは原料に対して0.08~0.12重量%である。
【0056】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法が提供される。該方法において、原料は、石油、潤滑油、常圧残油、減圧蒸留塔の各種留分、軽質減圧軽油、重質減圧軽油、重質残渣油からなる群から選択され、少なくとも1つの溶媒は、メチルエチルケトン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、プロパン、石油ナフサ、二塩化エチレン、塩化メチレン、二酸化硫黄及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0057】
本開示の一実施形態では、潤滑油を脱ワックスする方法が提供される。該方法は、(a)石油、潤滑油、常圧残油、減圧蒸留塔の各種留分、軽質減圧軽油、重質減圧軽油、及び重質残渣油からなる群から選択される原料、並びに、メチルエチルケトン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、プロパン、石油ナフサ、二塩化エチレン、塩化メチレン、二酸化硫黄及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を得るステップと、(b)原料と、少なくとも1つの溶媒と、脱ワックス用ポリマーとを接触させて混合物を得るステップと、(c)混合物を処理してワックス及び脱ワックス油を得るステップと、を含み、当該ポリマーは原料に対して0.08~0.12重量%である。
【0058】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、少なくとも1つの溶媒が、メチルエチルケトン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、プロパン、石油ナフサ、二塩化エチレン、塩化メチレン、二酸化硫黄及びこれらの組み合わせからなる群から選択される方法が提供される。本開示の別の実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、少なくとも1つの溶媒が、メチルエチルケトン、ヘキサン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される方法が提供される。本開示のさらに別の実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、少なくとも1つの溶媒は、メチルエチルケトンとヘキサンが1:1である方法が提供される。
【0059】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、1:1~1:4の比率で、原料を少なくとも1つの溶媒と接触させる方法が提供される。
【0060】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、1:1.5~1:3.5の比率で、原料を少なくとも1つの溶媒と接触させる方法が提供される。本開示の別の実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、1:2~1:3.2の比率で、原料を少なくとも1つの溶媒と接触させる方法が提供される。本開示のさらに別の実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、1:3の比率で、原料を少なくとも1つの溶媒と接触させる方法が提供される。
【0061】
本開示の実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、混合物の処理が、加熱、冷却、濾過、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される処理によって促進される方法が提供される。
【0062】
本開示の一実施形態では、潤滑油の脱ワックス方法が提供される。該方法は、(a)原料及び少なくとも1つの溶媒を得るステップと、(b)原料と、少なくとも1つの溶媒と、脱ワックス用ポリマーとを接触させて混合物を得るステップと、(c)加熱、冷却、濾過、及びこれらの組合せからなる群から選択される処理により促進される混合物の処理により、ワックス及び脱ワックス油を得るステップと、を含み、当該ポリマーは原料に対して、0.08~0.12重量%である。
【0063】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、加熱は60~90℃で20~30分間行われ、冷却は-40℃~-10℃で行われ、濾過は100~300mmHgの圧力で行われる方法が提供される。
【0064】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、混合物の処理は、加熱、冷却、濾過、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるステップによって促進され、加熱は60~90℃で20~30分間行われる方法が提供される。当該方法において、冷却は-40℃~-10℃で行われ、濾過は100~300mmHgの圧力で行われる。
【0065】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、脱ワックス油の収率は、原料に対して65~85%である方法が提供される。
【0066】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、脱ワックス油の流動点が、-20℃~3℃である方法が提供される。
【0067】
本開示の一実施形態では、本明細書に開示される潤滑油の脱ワックス方法であって、脱ワックス油は、30~70秒/原料200mlで濾過される方法が提供される。
【0068】
本開示の一実施形態では、潤滑油を脱ワックスする方法が提供される。該方法は、(a)石油、潤滑油、常圧残油、減圧蒸留塔の各種留分、軽質減圧軽油、重質減圧軽油、及び重質残渣油からなる群から選択される原料、並びに、メチルエチルケトン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、プロパン、石油ナフサ、二塩化エチレン、塩化メチレン、二酸化硫黄及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を得るステップと、(b)原料と、少なくとも1つの溶媒と、脱ワックス用ポリマーとを接触させて混合物を得るステップと、(c)加熱、冷却、濾過、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるプロセスにより促進される混合物の処理により、ワックス及び脱ワックス油を得るステップと、を含む。当該方法において、前記ポリマーは、原料に対して0.08~0.12重量%あり、1:1~1:4の比率で原料と少なくとも1つの溶媒とを接触させ、脱ワックス油の収率は原料に対して65~85%であり、脱ワックス油の流動点は-20℃~3℃である。
【0069】
本開示の一実施形態では、潤滑油を脱ワックスする方法が提供される。該方法は、(a)石油、潤滑油、常圧残油、減圧蒸留塔の各種留分、軽質減圧軽油、重質減圧軽油、及び重質残渣油からなる群から選択される原料、並びに、メチルエチルケトン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、プロパン、石油ナフサ、二塩化エチレン、塩化メチレン、二酸化硫黄及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を得るステップと、(b)原料と、少なくとも1つの溶媒と、及び、(i)少なくとも1つのアルキルアクリレート70~77重量%と、(ii)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、(iii)少なくとも1つの架橋剤0.1~2.5重量%と、(iv)少なくとも1つの開始剤0.75~2.5重量%とから得られる数平均分子量が5000~15000のポリマーとを接触させ脱ワックスして混合物を得るステップと、(c)ワックス及び脱ワックス油を得るために、加熱、冷却、濾過、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるプロセスによって促進される混合物の処理により、ワックス及び脱ワックス油を得るステップと、を含む。当該方法において、前記ポリマーは原料に対して0.08~0.12重量%であり、1:1~1:4の比率で原料と少なくとも1つの溶媒とを接触させ、脱ワックス油の収率は原料に対して65~85%であり、脱ワックス油の流動点は-20℃~3℃である。
【0070】
特許発明の対象について特定の好ましい実施形態を参照してかなり詳細に説明したが、他の実施形態も可能である。
【0071】
実施例
以下、本開示について実施例とともに説明する。この実施例は、本開示の作用を説明することを意図するものであり、本開示の範囲について任意に限定することを意図するものではない。別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本開示の属する当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似するまたは均等の方法及び材料を、開示した方法及び組成物の実施に用いることはできるが、例示的な方法、装置及び材料は本明細書に記載されている。なお、本開示は、説明した特定の方法や実験条件に限定されず、そのような方法及び条件が適用されてもよいということを理解されたい。
【0072】
本開示では、脱ワックスのための助剤を得る目的で、架橋ポリマーを得ることを試みた。架橋ポリマーは、アルキルアクリレート、ビニル芳香族炭化水素、架橋剤、及び開始剤から得られる。これらの成分の重量%は、架橋ポリマーを調製するために適宜選択される。架橋ポリマーの調製は、逐次的な調製方法であり、その順序を変更すると、所望の架橋ポリマーが得られないであろう。従って、その調製方法を特定し、本明細書で説明する。
【0073】
実施例1
脱ワックス用の本開示の架橋ポリマー:
本開示の架橋ポリマーは、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート70~77重量%と、(b)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、(c)少なくとも1つの架橋剤0.1~2.5重量%と、(d)少なくとも1つの開始剤0.75~2.5重量%と、から得られ、前記ポリマーは5000~15000の数平均分子量を有する。架橋ポリマーの調製方法における架橋剤の使用は、本発明にとって重要である。
【0074】
ポリマー1(比較例):
以下に説明する方法でポリマー1を調製する。オクタデシルアクリレート(49.02重量%)を3つ口RBフラスコ(three necked RB flask)に入れ、キシレン溶液に溶解した過酸化ベンゾイル(0.98重量%)を注入して、第1混合物を得た。そのフラスコを100℃のオイルバスに浸し、第1混合物を3時間機械攪拌して第2混合物を得た。前記第2混合物に、キシレンに溶解したオクタデシルアクリレート(24.51重量%)、スチレン(24.51重量%)、及び過酸化ベンゾイル(0.98重量%)を注入し、攪拌を100℃でさらに3時間続けて、第3混合物を得た。メタノール0.5mLを滴下して重合を停止させ、空気に曝露し、ポリマー1を得た。得られたポリマーを脱ワックスプロセスに用いた。ポリマー1の特性分析結果をここに示す。1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.38-7.09(芳香族水素)、4.20-3.72(m,2H),2.65(q,J=7.6Hz,1H),2.45-2.11(m,3H),1.70-1.53(m,3H),1.39-1.14(m,30H),1.03-0.71(m,3H);IRデータ(cm-1):672.5,721.0,810.4,983.9.1083.8,1184.3,1270.9,1295.0,1407.9,1467.3,1727.1,2849.0,2915.9,2955.9;分子量(GPC):8500。
【0075】
架橋ポリマー2:
本開示の架橋ポリマー2の調製方法を以下に開示する。オクタデシルアクリレート(48.78重量%)、及びシクロペンタジエン(0.24重量%)を3つ口RBフラスコに入れた後、キシレン溶液に溶解した過酸化ベンゾイル(0.98重量%)を注入して、第1混合物を得た。第1混合物の入ったフラスコを100℃で加熱したオイルバスに浸し、3時間機械攪拌して、第2混合物を得た。前記第2混合物に、キシレン溶液に溶解したオクタデシルアクリレート(24.39重量%)、スチレン(24.39重量%)、シクロペンタジエン(0.24重量%)、及び過酸化ベンゾイル(0.98重量%)を注入して、第3混合物を得た。第3混合物を攪拌しながら100℃で3時間加熱した。その後、メタノール0.5mLを滴下して重合を停止させ、空気に曝露し、架橋ポリマーを得た。この架橋ポリマー2を用いて、脱ワックスプロセスを行った。架橋ポリマー2の特性分析結果をここに示す。1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.36-7.07(芳香族水素),4.18-3.76(m,2H),2.65(q,J=7.6Hz,1H),2.42-2.11(m,3H),1.70-1.51(m,3H),1.35-1.17(m,30H),1.04-0.73(m,3H);IRデータ(cm-1):695.2,751.5,793.1,1161.2,1265.2,1455.1,1455.7,1468.4,1514.7,1732.1,2849.3,2921.4;分子量(GPC):13500。
【0076】
架橋ポリマー3:
本開示の架橋ポリマー3の調製方法を以下に開示する。オクタデシルアクリレート(48.78重量%)、及びジアリルエーテル(0.24重量%)を3つ口RBフラスコに入れた後、キシレン溶液に溶解した過酸化ベンゾイル(0.98重量%)を注入して、第1混合物を得た。第1混合物の入ったフラスコを100℃で加熱したオイルバスに浸し、3時間機械攪拌して、第2混合物を得た。前記第2混合物に、キシレン溶液に溶解したオクタデシルアクリレート(24.39重量%)、スチレン(24.39重量%)、ジアリルエーテル(0.24重量%)、及び過酸化ベンゾイル(0.98重量%)を注入して、第3混合物を得た。第3混合物を攪拌しながら100℃で3時間加熱した。その後、メタノール0.5mLを滴下して重合を停止させ、空気に曝露し、架橋ポリマー3を得た。この架橋ポリマー3を、そのまま脱ワックスプロセスに用いた。架橋ポリマー3の特性分析結果をここに示す。1H-NMR(500MHz,CHLOROFORM-D)δ7.36-7.07(芳香族水素),4.18-3.76(m,2H),2.65(q,J=7.6Hz,1H),2.42-2.11(m,3H),1.70-1.51(m,3H),1.35-1.17(m,30H),1.04-0.73(m,3H);IRデータ(cm-1):695.2,751.5,793.1,1161.2,1265.2,1455.1,1455.7,1468.4,1514.7,1732.1,2849.3,2921.4;分子量(GPC):14500。
【0077】
架橋ポリマー4及び5:
架橋ポリマー4:架橋ポリマー4の調製方法を以下に開示する。オクタデシルアクリレート(44.6重量%)、及びシクロペンタジエン(4.5重量%)を3つ口RBフラスコに入れ、キシレン溶液に溶解した過酸化ベンゾイル(0.9重量%)を注入して、第1混合物を得た。第1混合物の入ったフラスコを100℃で加熱したオイルバスに浸し、3時間機械攪拌して、第2混合物を得た。前記第2混合物に、キシレン溶液に溶解したオクタデシルアクリレート(22.3重量%)、スチレン(22.3重量%)、シクロペンタジエン(4.5重量%)及び過酸化ベンゾイル(0.9重量%)を注入して、第3混合物を得た。第3混合物を攪拌しながら100℃で3時間加熱した。その後、メタノール0.5mLを滴下して重合を停止させ、空気に曝露し、架橋ポリマー4を得た。この架橋ポリマー4は、キシレンに不溶であった。架橋ポリマー4のIRデータ(cm-1):695.2、751.5、793.1、1161.2、1265.2、1455.1、1455.7、1468.4、1514.7、1732.1、2849.3、2921.4。
【0078】
架橋ポリマー5:架橋ポリマー5の調製方法を以下に開示する。オクタデシルアクリレート(44.6重量%)、及びジアリルエーテル(4.5重量%)を3つ口RBフラスコに入れ、キシレン溶液に溶解した過酸化ベンゾイル(0.9重量%)を注入して、第1混合物を得た。第1混合物の入ったフラスコを100℃で加熱したオイルバスに浸し、3時間機械攪拌して、第2混合物を得た。前記第2混合物に、キシレン溶液に溶解したオクタデシルアクリレート(22.3重量%)、スチレン(22.3重量%)、ジアリルエーテル(4.5重量%)、及び過酸化ベンゾイル(0.9重量%)を注入して、第3混合物を得た。第3混合物を攪拌しながら100℃で3時間加熱した。その後、メタノール0.5mLを滴下して重合を停止させ、空気に曝露し、架橋ポリマー5を得た。この架橋ポリマー5は、キシレンに不溶であった。架橋ポリマー5のIRデータ(cm-1):697.4,721.3,729.1,793.2,934.1,963.8,1022.5,1050.6,1123.8,1161.2,1328.4,1382.4,1463.7,1474.1,1515.3,1727.6,2849.6,2915.7,3272.2。
【0079】
架橋ポリマー4及び5は、非実施例として考慮される。アルキルアクリレート、架橋剤、及びビニル芳香族炭化水素の重量割合が、本明細書に開示されている範囲から外れていることがわかる。これらのポリマーはキシレンに不溶であるため、脱ワックス処理に使用することができない。したがって、これは、本開示の架橋ポリマーを得るためには、すべての成分が本明細書に開示される範囲内にある必要があることを示す。重量割合がずれると、脱ワックス方法のための所望の架橋ポリマーが得られない。
【0080】
ポリマー6(比較例):
ポリマー6の調製方法について説明する。キシレン溶液に溶解したオクタデシルアクリレート(75重量%)、スチレン(25重量%)、及び過酸化ベンゾイル(2重量%)を混合し、100℃で3時間、連続的に攪拌を行った。その後、メタノール0.5mLを滴下して重合を停止させ、空気に曝露した。得られたポリマー6を脱ワックス方法に用いた。
【0081】
実施例2
潤滑油の脱ワックス方法:
本開示の潤滑油の脱ワックス方法は、以下のステップを含む。石油、潤滑油、常圧残油、減圧蒸留塔の各種留分、軽質減圧軽油、重質減圧軽油、及び重質残渣油からなる群から選択される原料を、メチルエチルケトン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、プロパン、石油ナフサ、二塩化エチレン、塩化メチレン、二酸化硫黄及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒とともに、実施例1によるポリマーと混合して混合物を得るステップ。前記ポリマーは、原料に対して0.08~0.12重量%で添加され、一方、原料と溶媒は1:1~1:4の比率とされる。この混合物は、ワックスと脱ワックス油を得るための処理に供される。
【0082】
実際の脱ワックス方法では、1リットルのビーカーに、メチルエチルケトン(MEK)/ヘキサン(1:1)溶液375mL、0.1重量%のポリマー1、原料125mlを添加して、混合物を得た。この混合物を十分に撹拌した後、加熱して均一な溶液とした。さらに、この溶液を2~3℃/minで-30℃まで徐々に冷却し、200mmHg abs.の(絶対)圧力で、植物濾布付きフィルタースティック、メスシリンダー及び真空平衡装置からなる濾過アセンブリを通して濾過し、残留物及び濾過物を得た。さまざまな容量の濾過に要した時間を記録した。濾過後、残渣を-30℃で、125mLのMEK/ヘキサン(1:1)溶液で洗浄した。残留物洗浄液と洗浄液を含む濾液を回収し、最後的に残留物洗浄液と濾液洗浄液から溶媒を除去し、脱ワックス油を得た。この脱ワックス油についてさらに試験を行い、得られた結果を表1に記録する。
【0083】
【0084】
表1より、架橋ポリマー2及び3は、効率的な脱ワックス方法であることが分かる。ワックス層が分離し、原料からの脱ワックス油の分離に要した時間は、架橋ポリマー2及び3についてそれぞれ65秒及び44秒と速かった。さらに、脱ワックス油の収率は、原料に対して約70~71%と高かった。また、脱ワックス油の流動点は、架橋ポリマー2及び3でそれぞれ-10℃及び-9℃であり、競争的があることが分かった。したがって、架橋ポリマー2及び3は、本開示の実施例であると考えられ、脱ワックス方法を効率的に補助することができる。架橋ポリマー2及び3は全ての成分が開示された範囲内にあり、本開示に例示された方法によって調製されたものであった。
【0085】
しかしながら、表1から、ポリマー1及び6を用いた脱ワックス方法では、脱ワックス油(油層)とワックスとが分離せず、さらに、油の分離に要する時間は、それぞれ290秒及び380秒と長くなることが観察された。このように、ポリマー1及び6は、所望の脱ワックス方法には至らなかった。
【0086】
ポリマー1は、架橋剤を含まなかったため架橋されておらず、当該ポリマーを脱ワックス方法に使用した場合には、原料を効率的に脱ワックスすることができなかった。ポリマー中の架橋剤はワックス結晶形成における核生成速度を増加させ、それによりワックスの分離プロセスを向上させるため、きわめて重要である。ポリマー中に架橋剤が存在しないとワックス分離が全く又は殆どなくなり、油分離のための時間がより長くなるという望ましくない結果に終始した。
【0087】
さらに表1から、ポリマー6もまた、脱ワックス油を生成しなかったことが分かる。本開示の架橋ポリマーの調製方法は、第1、第2及び第3混合物を得るステップと、その後にポリマーを得るステップとを含む、2ステップの重合プロセスである。しかし、ポリマー6は、1つのステップで調製され、本開示に開示されるような第1、第2及び第3混合物の調製を伴わない。このように、ポリマー6は、本明細書に開示されたような方法から逸脱した方法によって調製された。このことは、架橋ポリマーを調製するステップに逸脱があると、所望の脱ワックス方法が得られないことを明確に示す。
【0088】
上記で定義した例から、脱ワックス用の架橋ポリマーは、本明細書に開示した範囲の成分及び重量%を有し、本明細書に開示した方法によって調製すべきであることが明確に立証される。成分、重量%、または調製方法におけるいかなる逸脱も、望ましくない架橋ポリマーまたは不適当な脱ワックス方法をもたらす。
【0089】
本開示の利点
本開示は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート70~77重量%と、(b)少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素23~28重量%と、(c)少なくとも1つの架橋剤0.1~2.5重量%と、(d)少なくとも1つの開始剤0.75~2.5重量%と、から得られる脱ワックス用架橋ポリマーを提供する。本開示の架橋ポリマーは、5000~15000の数平均分子量を有する。本開示はまた、ポリマーの調製方法を提供し、この方法は、(a)少なくとも1つのアルキルアクリレート、少なくとも1つの架橋剤、及び少なくとも1つの開始剤を、少なくとも1つの溶媒に溶解して第1混合物を得るステップと、(b)第1混合物を加熱して第2混合物を得るステップと、(c)第2混合物に少なくとも1つのアルキルアクリレートと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素と、少なくとも1つの架橋剤と、少なくとも1つの開始剤とを加えて、第3混合物を得るステップと、(d)第3混合物を加熱してポリマーを得るステップと、を備える。本開示はまた、本開示の架橋ポリマーを用いて原料を脱ワックスする方法を提供する。本開示は、脱ワックス油の収率が、原料に対して65~85%となる。本開示は、流動点が-20℃~3℃である脱ワックス油をもたらす。