(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電池用筐体、電池、電力消費装置、電池の製造方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240702BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240702BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20240702BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240702BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240702BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240702BHJP
【FI】
H01M50/204 201
H01M50/209
H01M50/30
H01M10/613
H01M10/647
H01M50/204 401F
H01M50/204 401H
H01M10/625
(21)【出願番号】P 2022567658
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 CN2020121996
(87)【国際公開番号】W WO2022082393
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】522010668
【氏名又は名称】ジアンス・コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】梁 成都
(72)【発明者】
【氏名】洪 家▲榮▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】汪 文礼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲海▼奇
(72)【発明者】
【氏名】胡 浪超
(72)【発明者】
【氏名】徐 晨怡
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-086641(JP,A)
【文献】特開2019-185970(JP,A)
【文献】特開2012-094313(JP,A)
【文献】中国実用新案第207441762(CN,U)
【文献】特開2017-073211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20 - 50/298
H01M 10/52 - 10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を載置するための載置板と、
前記載置板に設置される一方向重力弁と、
前記載置板に接続されて前記電池を収容する収容キャビティを形成するように構成される第1壁であって、前記第1壁に液体排出孔が設けられ、前記液体排出孔は前記筐体内の前記液体の液面の重力方向における高さが前記液体排出孔以上の時に、前記液体排出孔の高さを超える液体を排出するために用いられる、第1壁と、
を含み、
前記一方向重力弁は筐体内の液体の重力が閾値より小さい時に閉じて、且つ前記筐体内の液体の重力が前記閾値に達した時に開くように構成され、それにより前記一方向重力弁を介して前記液体を排出させるために用いられる、電池用筐体。
【請求項2】
前記一方向重力弁は、液体排出部材と、可動アセンブリと、を含み、
前記液体排出部材は第1貫通孔を有し、前記液体排出部材は前記筐体内の液体の重力が前記閾値に達した時に前記第1貫通孔を介して前記液体を排出するために用いられ、
前記可動アセンブリは、前記液体排出部材に取り付けられ且つ前記第1貫通孔に対して移動させることができ、それにより前記可動アセンブリは、前記筐体内の液体の重力が前記閾値より小さい時に前記第1貫通孔を密封し、前記筐体内の液体の重力が前記閾値に達した時に前記第1貫通孔が開く、請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記載置板に接続されて貯水キャビティを形成するために用いられる底板をさらに含み、前記貯水キャビティは前記第1貫通孔と連通し、前記第1貫通孔から排出された前記液体を収集する、請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記第1壁は第1サブ壁及び第2サブ壁を含み、前記第1サブ壁と前記第2サブ壁との間にキャビティが形成され、前記第1サブ壁は前記筐体の内壁であり、前記第2サブ壁は前記筐体の外壁であり、前記第1サブ壁に前記液体排出孔が設けられ、前記液面の重力方向における高さが前記液体排出孔以上の前記液体が前記キャビティに収集される、請求項
1に記載の筐体。
【請求項5】
前記第1壁は前記筐体の内外を連通するために用いられる通気孔をさらに含み、前記筐体は、前記通気孔を遮蔽することで前記通気孔を通って前記筐体の内部に流入したガスを凝縮するための凝縮部材をさらに含む、請求項
4に記載の筐体。
【請求項6】
前記凝縮部材は前記筐体の内表面に設置される、請求項
5に記載の筐体。
【請求項7】
前記筐体は前記電池の温度を調節するために用いられる熱管理部材をさらに含み、前記熱管理部材は前記第1壁と交差し、前記凝縮部材の第1部分は前記熱管理部材に沿って延伸して、前記熱管理部材に取り付けられ、前記凝縮部材の第2部分は前記第1壁に沿って延伸して、前記通気孔を遮蔽する、請求項
5又は
6に記載の筐体。
【請求項8】
前記凝縮部材は、前記通気孔を遮蔽するフード状構造を含む、請求項
5~
7のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項9】
前記フード状構造は前記通気孔の周囲の前記第1壁の領域に取り付けられ、且つガスを前記筐体に流入させるための第1開口を有する、請求項
8に記載の筐体。
【請求項10】
前記第1開口は、重力方向とは反対の方向である前記フード状構造の第1方向に設けられる、請求項
9に記載の筐体。
【請求項11】
前記第1開口はさらに消防システムの配管の接続箇所に流体が漏れた時に、前記接続箇所に漏れた流体を収集するために用いられる、請求項
9又は
10に記載の筐体。
【請求項12】
前記フード状構造の前記第1壁における投影面はU形面、V形面又は矩形面である、請求項
8~
11のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項13】
前記凝縮部材は、前記フード状構造の凝縮水を前記一方向重力弁に誘導するために用いられる流路をさらに含む、請求項
8~
12のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項14】
前記凝縮部材の、前記流路の両側の部分は、前記第1壁に取り付けられる、請求項
13に記載の筐体。
【請求項15】
前記フード状構造は前記流路に対向する第2開口を有し、前記第2開口は前記フード状構造の凝縮水を前記流路に誘導するために用いられる、請求項
13又は
14に記載の筐体。
【請求項16】
前記第2開口は、重力方向である前記フード状構造の第2方向に設けられる、請求項
15に記載の筐体。
【請求項17】
前記一方向重力弁はさらに前記流路内の凝縮水の重力が前記閾値に達した時に、前記流路内の凝縮水を前記筐体から排出するために用いられる、請求項
13~
16のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項18】
前記筐体は、前記筐体の内外の圧力を平衡させるための圧力平衡機構をさらに含む、請求項
5~
17のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項19】
前記圧力平衡機構は前記第2サブ壁に設置され、前記筐体の外部から前記圧力平衡機構を通過して前記キャビティに流入するガスは、前記通気孔を通って前記筐体の内部に流入する、請求項
18に記載の筐体。
【請求項20】
前記筐体は、前記筐体の内表面に設置される液体貯蔵部材をさらに含み、前記液体貯蔵部材は、前記筐体内の前記液体の液面における重力方向に沿った高さが前記液体貯蔵部材の高さに達する時に、前記液体貯蔵部材に流入する液体を収集し、且つ前記液体貯蔵部材に流入した液体を前記一方向重力弁に排出するために用いられる、請求項1~
19のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項21】
請求項1~
20のいずれか一項に記載の筐体を含み、前記筐体に収容される電池。
【請求項22】
電気エネルギーを供給するために用いられる請求項
21に記載の電池を含む電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池技術分野に関し、特に、電池用筐体、電池、電力消費装置、電池の製造方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は重要な動力用新エネルギーとして、ますます重視されている。電池は使用中に温度が変化するため、従来技術における電池は、一般的に電池の温度を下げる又は加熱するための熱管理部材を備えている。熱管理部材が電池の温度を下げる時に、筐体内の熱管理部材と接触する全ての部材に凝縮水が生成され、凝縮水は筐体内の帯電構造と接触して短絡を引き起こすことがある。
【0003】
従って、電池の安全性を向上させるために、凝縮水による電池の短絡を防止する筐体構造を設計する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、凝縮水による電池の短絡を防止することができる電池用筐体、電池、電力消費装置、電池の製造方法及びその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1態様によれば、電池を載置するために用いられる載置板と、前記載置板に設置される一方向重力弁と、を含み、前記一方向重力弁は前記筐体内の液体の重力が閾値より小さい時に閉じて、且つ前記筐体内の液体の重力が前記閾値に達した時に開くように構成され、それにより前記一方向重力弁を介して前記液体を排出させる電池用筐体を提供する。
【0006】
いくつかの実施例において、前記一方向重力弁は、液体排出部材と、可動アセンブリと、を含み、前記液体排出部材は第1貫通孔を有し、前記液体排出部材は前記筐体内の液体の重力が前記閾値に達した時に前記第1貫通孔を介して前記液体を排出するために用いられ、前記可動アセンブリは、前記液体排出部材に取り付けられ且つ前記第1貫通孔に対して移動させることができ、それにより前記可動アセンブリは、前記筐体内の液体の重力が前記閾値より小さい時に前記第1貫通孔を密封し、前記筐体内の液体の重力が前記閾値に達した時に前記第1貫通孔が開く。
【0007】
いくつかの実施例において、前記載置板に接続されて貯水キャビティを形成するために用いられる底板をさらに含み、前記貯水キャビティは前記第1貫通孔と連通し、前記第1貫通孔から排出された前記液体を収集する。
【0008】
いくつかの実施例において、前記載置板に接続されて前記電池を収容する収容キャビティを形成するように構成される第1壁をさらに含み、前記第1壁に液体排出孔が設けられ、前記液体排出孔は前記筐体内の前記液体の液面の重力方向における高さが前記液体排出孔以上の時に、前記液体排出孔の高さを超える液体を排出するために用いられる。
【0009】
いくつかの実施例において、前記第1壁は第1サブ壁及び第2サブ壁を含み、前記第1サブ壁と前記第2サブ壁との間にキャビティが形成され、前記第1サブ壁は前記筐体の内壁であり、前記第2サブ壁は前記筐体の外壁であり、前記第1サブ壁に前記液体排出孔が設けられ、前記液面の重力方向における高さが前記液体排出孔以上の前記液体が前記キャビティに収集される。
【0010】
いくつかの実施例において、前記第1壁は前記筐体の内外を連通するために用いられる通気孔をさらに含み、前記筐体は、前記通気孔を遮蔽することで前記通気孔を通って前記筐体の内部に流入したガスを凝縮するための凝縮部材をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施例において、前記凝縮部材は前記筐体の内表面に設置される。
【0012】
いくつかの実施例において、前記筐体は前記電池の温度を調節するために用いられる熱管理部材をさらに含み、前記熱管理部材は前記第1壁と交差し、前記凝縮部材の第1部分は前記熱管理部材に沿って延伸して、前記熱管理部材に取り付けられ、前記凝縮部材の第2部分は前記第1壁に沿って延伸して、前記通気孔を遮蔽する。
【0013】
いくつかの実施例において、前記凝縮部材は、前記通気孔を遮蔽するフード状構造を含む。
【0014】
いくつかの実施例において、前記フード状構造は前記通気孔の周囲の前記第1壁の領域に取り付けられ、且つガスを前記筐体に流入させるための第1開口を有する。
【0015】
いくつかの実施例において、前記第1開口は、重力方向とは反対の方向である前記フード状構造の第1方向に設けられる。
【0016】
いくつかの実施例において、前記第1開口はさらに消防システムの配管の接続箇所に流体が漏れた時に、前記接続箇所に漏れた流体を収集するために用いられる。
【0017】
いくつかの実施例において、前記フード状構造の前記第1壁における投影面はU形面、V形面又は矩形面である。
【0018】
いくつかの実施例において、前記凝縮部材は、前記フード状構造の凝縮水を前記一方向重力弁に誘導するために用いられる流路をさらに含む。
【0019】
いくつかの実施例において、前記凝縮部材の、前記流路の両側の部分は、前記第1壁に取り付けられる。
【0020】
いくつかの実施例において、前記フード状構造は前記流路に対向する第2開口を有し、前記第2開口は前記フード状構造の凝縮水を前記流路に誘導するために用いられる。
【0021】
いくつかの実施例において、前記第2開口部は、重力方向である前記フード状構造の第2方向に設けられる。
【0022】
いくつかの実施例において、前記一方向重力弁はさらに前記流路内の凝縮水の重力が前記閾値に達した時に、前記流路内の凝縮水を前記筐体から排出するために用いられる。
【0023】
いくつかの実施例において、前記筐体は、前記筐体の内外の圧力を平衡させるための圧力平衡機構をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施例において、前記圧力平衡機構は前記第2サブ壁に設置され、前記筐体の外部から前記圧力平衡機構を通過して前記キャビティに流入するガスは、前記通気孔を通って前記筐体の内部に流入する。
【0025】
いくつかの実施例において、前記筐体は、前記筐体の内表面に設置される液体貯蔵部材をさらに含み、前記液体貯蔵部材は、前記筐体内の前記液体の液面における重力方向に沿った高さが前記液体貯蔵部材の高さに達する時に、前記液体貯蔵部材に流入する液体を収集し、且つ前記液体貯蔵部材に流入した液体を前記一方向重力弁に排出するために用いられる。
【0026】
本願の第2態様によれば、上記の筐体を含み、前記筐体に収容される電池を提供する。
【0027】
本願の第3態様によれば、電気エネルギーを供給するために用いられる上記の電池を含む、電力消費装置を提供する。
【0028】
本願の第4態様によれば、電池を載置板に取り付けるステップと、前記載置板に一方向重力弁を設置するステップと、を含み、前記一方向重力弁は前記筐体内の液体の重力が閾値より小さい時に閉じて、且つ前記筐体内の液体の重力が前記閾値に達した時に開くように構成され、それにより前記一方向重力弁を介して前記液体を排出させる、電池の製造方法を提供する。
【0029】
本願の第5態様によれば、電池を載置板に取り付けるために用いられる第1装置と、前記載置板に一方向重力弁を設置するために用いられる第2装置と、を含み、前記一方向重力弁は筐体内の液体の重力が閾値より小さい時に閉じて、且つ前記筐体内の液体の重力が前記閾値に達した時に開くように構成され、それにより前記一方向重力弁を介して前記液体を排出させる、電池の製造装置を提供する。
【0030】
本願の実施例が提供する電池用筐体によれば、一方向重力弁を設置し、且つ一方向重力弁の閾値に基づいて筐体内の液体を排出するタイミングを決定し、筐体内の液体が多すぎる場合、筐体内の液体を直ちに排出して、過剰な液体が筐体内に長時間滞留することを回避して、短絡等の安全上のリスクを減少させ、電池の耐用年数を延ばすことができる。筐体内の液体が少なく、一方向重力弁を開けるには足りない時には、筐体内に残された少量の液体は電池の安全性に影響を与えない状況で、筐体内部の電池の温度を下げる役割を果たすことができる。
【0031】
本願の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明し、以下に示される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の関連する図面を取得できることは自明である。
【0032】
ここで説明される図面は本願に対する更なる理解を提供するために用いられ、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例及びその説明は本願を解釈するために用いられ、本願に対する不当な限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1-A】本願の実施例に係る電力消費装置の構造概略図である。
【
図1-B】本願の実施例に係る電池の構造概略図である。
【
図1-C】本願の実施例に係る電池モジュールの構造概略図である。
【
図1-D】本願の実施例に係る電池セルの構造概略図である。
【
図2】本願の実施例に係る電池用筐体の内部の部分構造概略図である。
【
図3】本願の実施例に係る
図2におけるA-A方向の断面概略図である。
【
図4】本願の実施例に係る一方向重力弁の断面概略
図1である。
【
図5】本願の実施例に係る一方向重力弁の断面概略
図2である。
【
図6】本願の実施例に係る一方向重力弁の分解図である。
【
図7】本願の実施例に係る筐体の部分概略
図1である。
【
図8】本願の実施例に係る筐体の部分概略
図2である。
【
図9】本願の実施例に係る凝縮部材の構造概略図である。
【
図10】本願の実施例に係る別の凝縮部材の構造概略図である。
【
図11】本願の実施例に係るさらに別の凝縮部材の構造概略図である。
【
図12】本願の実施例に係る圧力平衡機構の構造概略図である。
【
図13】本願の実施例に係る液体貯蔵部材の構造概略図である。
【
図14】本願の実施例に係る電池の製造方法のフローチャートである。
【
図15】本願の実施例に係る電池の製造装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本願の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に図面及び実施例を参照しながら、本願の実施例を詳細に説明する。なお、ここで説明される具体的な実施例は本願を説明するためのもので、本願の好ましい実施例であるに過ぎず、これによって本願の保護範囲を限定するものではなく、従って、本願の構造、形状、原理に基づいて行われる等価変更は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【0035】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本願において出願の明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することが目的であり、本願を限定することを意図したものではない。本願の明細書と特許請求の範囲及び図面の説明における「含む」及び「有する」という用語及びそれらの類語は、排他的ではないものを意図している。
【0036】
本明細書における「実施例」への言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各所に該「実施例」という語が出現しても、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的で独立した又は代替的な実施例を指すものでもない。当業者は、本明細書に記載の実施例は他の実施例と組み合わせることができることを明示的かつ暗示的に理解する。
【0037】
本明細書における「及び/又は」という用語は、単に関連対象の関連、関係を説明しているに過ぎず、3種類の関係が存在可能であることを示し、例として、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在する、という3つの状況を示すことができる。なお、本明細書において記号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0038】
本願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、「第2」等の用語は異なる対象を区別するために用いられ、特定の順序を説明するために用いられるものではなく、1つ又は複数の該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。
【0039】
本願の説明において、別途説明されない限り、「複数」は2つ以上(2つを含む)を指し、同様に、「複数組」は2組以上(2組を含む)を指す。
【0040】
本願の記載において、さらに、特に明確に規定及び限定しない限り、「取り付ける」、「つながっている」、「接続」、「取り付け」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、機械的構造の「つながっている」又は「接続」は物理的接続を指してもよく、例えば、物理的接続は固定接続であってもよく、例えば固定部材で固定接続されてもよく、例えばネジ、ボルト又は他の固定部材で固定接続されてもよい。物理的接続は取り外し可能な接続であってもよく、例えば互いに係着又は係合した接続であってもよい。物理的接続は一体接続であってもよく、例えば、溶接、接着又は一体成形して接続を形成するものであってもよい。回路構造の「つながっている」又は「接続」は、物理的接続を指す以外に、電気的接続又は信号接続を指すこともでき、例えば、直接接続、すなわち物理的接続であってもよく、中間の少なくとも1つの素子を介して間接的に接続されてもよく、回路の連通が達成されていればよく、さらには2つの素子内部の導通であってもよい。信号接続とは、回路による信号接続以外に、無線電波等の媒体を介した信号接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0041】
以下の実施例において各方位を明確に説明するために、いくつかの方位用語を使用することができ、例えば、
図1-Dにおける座標系で電池の各方位方向を定義すると、x方向は電池セル400の長さ方向を表し、y方向は水平面内でx方向に垂直であり、電池セル400の幅方向を表し、z方向はx方向及びy方向に垂直であり、電池の高さ方向を表す。また、上述したx方向、y方向、z方向等の、本実施例の電池の各部材の動作及び構成を説明するための指示方向の表現は、絶対的なものではなく相対的なものであり、電池の各部材が図に示される位置にある場合には適切であるが、その位置が変更された場合、それらの方向は変更に応じて異なる解釈がされるべきである。
【0042】
同じ方位に基づいて理解すると、本願の説明においては、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等の用語が指示する方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本願を説明しやすくし、説明を簡略化するためのものに過ぎず、対象の装置や素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され及び操作されるべきであることを指示又は暗示するものではなく、従って本願を限定するものと理解すべきではない。
【0043】
充電式電池は二次電池又は動力電池と呼ばれ、現在、幅広く使用されている充電式電池はリチウム電池であり、例えば、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池であるが、これに限定されない。説明の便宜上、本明細書では充電式電池を電池と総称する。
【0044】
電池の安全特性は電池の重要な特性を評価して、使用又は充電時に電池の安全性を可能な限り保証する必要がある。
【0045】
電池は一般的に複数の電池セルを接続し組み合わせて構成され、電池セルの使用中には、温度が変化する。温度が高すぎる時には熱管理部材によって電池セルの温度を下げて、電池セルの温度が高すぎることによる電池セルの故障、熱暴走、爆発等の事故の発生を防ぐ必要がある。
【0046】
しかしながら、熱管理部材等の部材内の液体が配管を通って筐体内部の電池を冷却する時に、上記液体の温度と筐体内部のガスとの間に温度差があるため、配管壁に凝縮水が形成されやすい。大量の凝縮水と電池が同一の筐体内に一緒に存在すると、短絡等の安全上の問題が発生しやすく、電池の耐用年数に深刻な影響を及ぼす。上記問題を解決するために、発明者は筐体内の導電部材を絶縁材料で被覆して導電部材と凝縮水との接触による短絡を防止するが、発明者らは、このような被覆は導電部材を完全に被覆することが難しく、且つ不規則な形状の導電部材に対して、このような被覆はより困難であることに気付いた。これに基づいて、発明者らは、筐体の熱管理部材が冷却した過剰な凝縮水を筐体内から排出することで短絡等の安全上の問題を解決することを試みた。
【0047】
これに鑑み、本願は、電池内部の凝縮水を排出しやすく、大量の凝縮水が電池内部で長時間凝集して安全上のリスクをもたらすことを防ぐ電池用筐体を提供する。本願の電池用筐体は、電池内部の凝縮水を直ちに排出することができるだけでなく、熱管理部材に接続された配管の管壁外側の凝縮水が排出しやすい位置にあるようにして、凝縮水が電池に及ぼす影響をさらに減少させ、これは電池セルが過剰な凝縮水により短絡するリスクを減少させることを含む。
【0048】
本願の実施例における電池は、電気エネルギーを動力として供給することができる様々な電力消費装置に応用することができる。ここでの電力消費装置は電気自動車、電車、電動自転車、ゴルフカート、ドローン又は船舶等であってもよいがこれらに限定されない。また、電力消費装置は、電池だけを使用して動力を供給する装置であってもよく、ハイブリッド型装置であってもよい。電池は電力消費装置に電気エネルギーを提供し、且つモータによって電動装置を駆動して走行させる。
【0049】
例えば、
図1-Aは本願の一実施例に係る電力消費装置の構造概略図を示し、電力消費装置は自動車であってもよく、自動車はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。自動車は電池200と、コントローラ210と、モータ220と、を含む。電池200は、自動車の動作電源及び駆動電源としてコントローラ210及びモータ220への給電に用いられ、例えば、電池200は自動車の起動、ナビゲーション及び走行時の作業電力の必要を賄う。例えば、電池200はコントローラ210に電力を供給し、コントローラ210は電池200がモータ220に電力を供給するように制御し、モータ220は電池200の電力を受け取り且つ自動車の駆動電源として使用し、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して自動車に駆動動力を提供する。
【0050】
電池が高機能を達成して使用ニーズを満たせるようにするため、電池200は互いに電気的に接続される複数の電池モジュールを含むことができ、
図1-Bに示すように、電池200は第1筐体201と、第2筐体202と、複数の電池モジュール300と、を含み、第1筐体201と第2筐体202は互いに係合され、複数の電池モジュール300は、第1筐体201と第2筐体202で囲まれて形成される空間内に配置される。いくつかの実施例において、第1筐体201と第2筐体202は密閉接続される。
【0051】
図1-Cに示すように、電池モジュール300は複数の電池セル400を含み、複数の電池セル400は、より大きな電流又は電圧を実現するために、直列接続、並列接続、又は直並列接続の形態で接続されてもよく、直並列接続とは直列接続と並列接続の組み合わせを指す。例えば、
図1-Cに示すように、電池セル400を立てることができ、電池セル400の高さ方向はz方向と一致し、電池セル400の長さ方向はx方向と一致し、複数の電池セル400はその幅方向に沿ってy方向に並べて設置される。又は、電池セル400を平置きすることができ、電池セル400の幅方向はz方向と一致し、電池セル400の長さ方向はx方向と一致し、複数の電池セル400はz方向に沿って少なくとも一層積み重ねることができ、各層はx方向に沿って間隔をあけて設置された複数の電池セル400を含む。
【0052】
本願の改良点を当業者に対してはっきりさせるために、まず、電池セル400の全体構成について説明する。
【0053】
図1-Dに示すように、電池セル400はハウジング40、電極アセンブリ30及びエンドカバーアセンブリ10を含み、エンドカバーアセンブリ10はエンドカバープレート10´を含み、エンドカバープレート10´はハウジング40と接続(例えば溶接)されて電池セル400のハウジングを形成し、電極アセンブリ30はハウジング40内に設置され、且つハウジング40内に電解液が充填される。電池セル400は、立方体形状、直方体形状、又は円筒形状であってもよい。
【0054】
電池セル30は実際の使用ニーズに応じて1つ又は複数設置することができる。
図1-Dに示すように、電池内に独立して巻回された少なくとも2つの電極アセンブリ30を設置することもできる。電極アセンブリ30は第1極性シート、第2極性シート及び隣接する第1極性シートと第2極性シートとの間に位置するセパレータを一緒に巻回又は積層することによって本体部を形成することができ、セパレータは隣接する第1極性シートと第2極性シートとの間に介在する絶縁体である。本実施例において、例示的に第1極性シートを正極シートとし、第2極性シートを負極シートとして説明する。正極活物質は正極シートの塗布領域に塗布され、負極活物質は負極シートの塗布領域に塗布される。本体部の塗布領域から伸び出す複数の未塗布領域が積層されてタブとなる。電極アセンブリ30は、2つのタブ301、すなわち正極タブ及び負極タブを含む。正極タブは正極タブの塗布領域から伸び出し、負極タブは負極タブの塗布領域から伸び出す。
【0055】
エンドカバーアセンブリ10は電極アセンブリ30の上部に設けられ、
図1-Dに示すように、エンドカバーアセンブリ10はエンドカバープレート10´及び2つの電極端子5を含み、2つの電極端子5はそれぞれ正極端子及び負極端子であり、各電極端子5に対応して1つの接続部材20が設けられ、接続部材20はエンドカバープレート10´と電極アセンブリ30との間に位置する。
【0056】
例えば、
図1-Dにおける電極アセンブリ30のタブ301は上部に位置し、正極タブは1つの接続部材20を介して正極端子に接続され、負極タブは別の接続部材20を介して負極端子に接続される。好ましくは、電池セル400は、それぞれハウジング40の両端に設置され2つのエンドカバーアセンブリ10を含むことができ、各エンドカバーアセンブリ10に1つの電極端子5が設置される。
【0057】
エンドカバープレート10´にさらに防爆部材を設置することができ、電池セル400内のガスが多すぎる場合に電池セル400内のガスを直ちに放出して、爆発の発生を防ぐ。
【0058】
エンドカバープレート10´に排気孔が設けられ、排気孔はエンドカバープレート10´の長手方向に沿った中間位置に設けられてもよい。防爆部材は減圧機構6を含み、減圧機構6は排気孔に設けられ、正常な状態で、減圧機構6は排気孔に密封して取り付けられるが、電池セル400が膨張してハウジング内の気圧がプリセット値を超えた場合、減圧機構6が作動して開き、ガスは減圧機構6を通過して外部へ放出される。
【0059】
減圧機構6とは、電池セル400の内部圧力又は内部温度が所定の閾値に達した時に作動して、内部圧力及び/又は内部の物質を逃がす素子又は部材である。減圧機構6は具体的に防爆弁、空気弁、減圧弁又は安全弁等の形式を用いることができ、且つ具体的には感圧又は感温の素子又は構造を用いることができ、すなわち、電池セル400の内部圧力又は温度が所定の閾値に達すると、減圧機構6が動作を実行するか又は減圧機構6に設けられた弱い構造が破壊され、内部圧力を逃がすことができる開口又は流路を形成する。本願で言及する閾値は圧力閾値又は温度閾値であってもよく、該閾値の設計は設計要件に応じて異なり、例えば危険又は暴走リスクが存在すると考えられる電池セル400の内部圧力又は内部温度値に基づいて、該閾値を設計又は決定することができる。且つ、該閾値は、例えば、電池セル400における正極シート、負極シート、電解液及びセパレータのうちの1つ又は複数に使用される材料に依存する可能性がある。
【0060】
本願で言及する「作動」とは、減圧機構6が動作し又は一定の状態まで活性化され、それにより電池セル400の内部圧力を逃がすことである。減圧機構6が動作することは、減圧機構6の少なくとも一部が破裂する、破砕する、引き裂かれる又は開く等を含むがこれらに限定されない。減圧機構6が作動すると、電池セル400の内部の高温高圧物質が、排出物として作動した箇所から外に排出される。この方式により、制御可能な圧力又は温度の状況下で電池セル400から圧力を逃がすことができ、潜在的でより深刻な事故の発生を回避する。本願で言及する電池セル400からの排出物は、電解液、溶解又は分裂した正負極シート、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧ガス、火炎等を含むがこれらに限定されない。高温高圧の排出物は電池セル400の減圧機構6が設置された方向に向かって排出され、より具体的には減圧機構6が作動する領域に向かう方向に沿って排出されることがあり、このような排出物の威力及び破壊力は非常に大きく、該方向における1つ又は複数の構造を破壊するのに十分である可能性がある。
【0061】
いくつかの実施例において、
図1-Dに示すように、エンドカバープレート10´に、電池セル400内に電解液を注入するための貫通孔が設けられ、貫通孔は円孔、楕円孔、多角形孔又は他の形状の孔を用いることができ、且つエンドカバープレート10´の高さ方向に沿って延伸させることができる。エンドカバープレート10´に、貫通孔を封止するための液注入部材2が設けられる。
【0062】
図2及び
図3に示すように、本願の実施例が提供する電池200用筐体500は、載置板510及び一方向重力弁520を含み、載置板510は主に電池200を載置するために用いられ、一方向重力弁520は載置板510に設置されて、筐体500内の液体の重力が閾値より小さい時に閉じて、且つ筐体500内の液体の重力が前記閾値に達した時に開くように構成され、それにより一方向重力弁520を介して液体を排出させる。
【0063】
本願の実施例が提供する筐体500は、一方向重力弁520を設置することにより、筐体内の液体が多すぎて、例えば液体の重力が閾値に達した時に、筐体500内の液体を直ちに排出することができ、それにより過剰な液体が筐体500内に長時間滞留することを回避して、安全上のリスクを減少させ、電池200の耐用年数を延ばすことができる。
【0064】
なお、筐体500内の液体は、熱管理部材に接続された配管の外壁で発生される凝縮水以外に、電池セル400の減圧機構6が作動した時に放出される排出物等もあり、上記凝縮水及び排出物はいずれも筐体500内に滞留する可能性があり、電池200の耐用年数に影響し、ひいては安全上のリスクをもたらす可能性がある。本願の実施例は筐体内に一方向重力弁520を設置することにより、筐体500内の液体を直ちに排出することができ、上記液体が筐体500内に長時間滞留することを回避して、電池200の耐用年数を延ばし、使用の安全性を向上させることができる。
【0065】
本願の実施例において、電池200を載置するための載置板510は一般的に筐体500の底部に設置され、従って、載置板510に設置された一方向重力弁520も筐体500の底部に設置され、筐体500内の液体の排出に有利である。
【0066】
図2及び
図3に示すように、本願の実施例において、一方向重力弁520は筐体500の側壁に近づけて設置されてもよく、上記側壁には熱管理部材に接続された配管を通すための貫通孔が設置されており、貫通孔付近の配管の外壁には凝縮水が発生されやすい。従って、一方向重力弁520を貫通孔に近い位置に設置することにより、凝縮水の排出に役立つ。
【0067】
実際の応用において、閾値の大きさは実際の必要に応じて設定することができ、且つ閾値の大きさに基づいて一方向重力弁520の構造及びサイズを決定し、筐体500内部における液体排出の要件を満たすことができる。本願の実施例はこれについて特に限定しない。
【0068】
なお、本願の実施例で用いた液体を排出する構造は、重力に関連する一方向重力弁520であるため、閾値も重力に関連する値である。
【0069】
なお、本願の実施例が提供する一方向重力弁520による液体の排出以外に、さらに他の構造を用いて筐体500内の液体を排出することができ、筐体500内の液体の排出に役立つ任意の構造はいずれも本願の実施例の保護範囲内に属する。
【0070】
図4及び
図5に示すように、一例として、本願の実施例において、使用される装置は一方向重力弁520であり、且つ上記一方向重力弁520は液体排出部材521と、可動アセンブリ522と、を含み、液体排出部材521は第1貫通孔523を有し、液体排出部材521は筐体500内の液体の重力が閾値に達した時に第1貫通孔523を介して上記凝縮水及び排出物等の液体を排出するために用いられる。可動アセンブリ522は、液体排出部材521に取り付けられ且つ第1貫通孔523に対して移動させることができ、それにより可動アセンブリ522は、筐体500内の液体の重力が上記閾値より小さい時に第1貫通孔523を密封し、筐体500内の液体の重力が上記閾値に達した時に第1貫通孔523を開ける。
【0071】
ここで、
図4に示すのは筐体500内の液体の重力が閾値より小さい時に、可動アセンブリ522が第1貫通孔523を密封する場合であり、筐体500内の液体が少ないか又は液体がなく、液体を排出する必要がない時に、筐体500を密封する役割を果たす。
図5に示すのは筐体500内の液体の重力が閾値に達した時に、可動アセンブリ522が第1貫通孔523を開ける場合であり、筐体500内の液体が多く、液体を排出する必要がある時に、第1貫通孔523を開くことにより、液体を排出できるようにして、液体が筐体500の内部に長時間滞留して電池200の正常な使用に影響を与えることを回避する。
【0072】
実際の応用において、可動アセンブリ522の具体的な設置位置は複数あってもよく、例えば、可動アセンブリ522は第1貫通孔523の底部に設置されてもよく、第1貫通孔523の側壁に設置されてもよく、本願の実施例はこれについて特に限定しない。
【0073】
本願の実施例において、引き続き
図4及び
図5を参照し、液体排出部材521は収容キャビティ524を有することができ、可動アセンブリ522は該収容キャビティ524内に設置され、且つ収容キャビティ524内を上下に移動することができる。可動アセンブリ522が収容キャビティ524内を上下に移動することにより、第1貫通孔523の密封又は開放を実現する。
【0074】
実際の応用において、可動アセンブリ522は収容キャビティ524の内部で第1貫通孔523を密封及び開放する必要があり、従って、収容キャビティ524は第1貫通孔523と連通させる必要があり、それにより第1貫通孔523に流入する液体は収容キャビティ524から流れやすく、液体が排出されやすい。
【0075】
実際の応用において、収容キャビティ524は第1貫通孔523の底部に設置されてもよく、第1貫通孔523の中央部に設置されてもよく、且つ、収容キャビティ524の中心軸は第1貫通孔523の中心軸と同軸であってもよく、それにより可動アセンブリ522と第1貫通孔523との中心合わせに役立ち、より高い密封効果を達成する。
【0076】
実際の応用において、可動アセンブリ522の構造形態は様々であってもよく、重力の作用で第1貫通孔523の可動密封又は開放を実現できればよい。本願の実施例はこれについて特に限定しない。
【0077】
図6に示すように、本願の実施例において、可動アセンブリ522はさらにシール部材5221及び弾性部材5222を含み、シール部材5221は収容キャビティ524内に可動的に接続されて第1貫通孔523を密封又は開放する。弾性部材5222はシール部材5221に所定の支持力を提供するために用いられ、該所定の支持力の大きさは上記閾値と同じであり、筐体500内の液体の重力が所定の支持力より小さい時に、シール部材5221は第1貫通孔523を密封することができ、筐体500内の液体の重力が所定の支持力に達すると第1貫通孔523が開き、液体を排出することができる。
【0078】
本願の実施例においては、簡単な接続方式として、シール部材5221は弾性部材5222に直接接続することができ、弾性部材5222はシール部材5221を直接支持し、シール部材5221に所定の支持力を提供する。
【0079】
実際の応用において、シール部材5221は、断面積が第1貫通孔523の断面積より大きいガスケット等の構造部材であってもよく、弾性部材5222はバネであってもよく、且つバネの上端はシール部材5221に接続され、バネの下端はバネベース5223に支持される。バネベース5223は、バネの下端に対して固定ストッパの役割を果たすことができ、バネが伸縮過程でねじれてシール部材5221と第1貫通孔523の中心合わせに影響を与えることを回避して、シール効果に対する影響を小さくする。また、バネベース5223にさらに第2貫通孔5224を設ける必要があり、それにより収容キャビティ524内に流入した液体が第2貫通孔5224から排出される。
【0080】
本願の実施例が提供する筐体500は、載置板510に接続されて貯水キャビティを形成するために用いられる底板530をさらに含み、貯水キャビティは第1貫通孔523と連通し、第1貫通孔523から排出された液体を収集して、液体が筐体500から流出した後に電池200を使用する電力消費装置にそのまま流れて、安全上のリスクをもたらすことを回避する。
【0081】
実際の応用において、底板530は載置板510と取り外し可能に接続され、貯水キャビティ内の液体が一定量に達すると、底板530を取り外して貯水キャビティ内の液体を排出することができる。底板530に液体排出口を開設して、取り外し可能な封止栓で液体排出口を封止し、必要な時に封止栓を開けて、貯水キャビティ内の液体を排出することもできる。
【0082】
図2に示すように、本願の実施例において、筐体500は、載置板510に接続されて電池200を収容する収容キャビティを形成するように構成される第1壁540をさらに含み、第1壁540に液体排出孔5403が設けられ、液体排出孔5403は筐体500内の液体の液面の重力方向における高さが液体排出孔5403以上の時に、液体排出孔5403の高さを超える液体を排出するために用いられる。これにより、筐体500内の液体が多すぎる時に、一方向重力弁520だけを使用するため、液体を直ちに、迅速に排出するという必要を満たせないという状況が生じることを回避して、筐体500内の液体が直ちに排出されることを保証する。
【0083】
実際の応用において、液体排出孔5403の設置位置は実際の状況に応じて設定することができ、例えば液体排出孔5403は第1壁540の載置板510に近い位置等に設置され、本願の実施例はこれについて特に限定しない。また、液体排出孔5403の形状は円形、楕円形、半円形等であってもよく、液体排出孔5403の大きさは筐体500の大きさに基づいて決定することができ、本願の実施例はこれについて特に限定しない。
【0084】
図7は第1壁540にある液体排出孔5403の構造概略図を示し、本願の実施例において、第1壁540は第1サブ壁5401及び第2サブ壁5402を含み、第1サブ壁5401と第2サブ壁5402との間にキャビティが形成され、第1サブ壁5401は筐体500の内壁であり、第2サブ壁5402は筐体500の外壁であり、第1サブ壁5401に液体排出孔5403が設けられ、即ち液体排出孔5403は第1壁540の第1サブ壁5401のみを貫通して、それにより液面の重力方向における高さが液体排出孔5403以上の液体はキャビティ内に収集され、筐体500内の液体を直ちに排出することができる。
【0085】
図8に示すように、第1壁540は、筐体500の内外を連通するために用いられる通気孔5404をさらに含む。実際の応用において、液体排出孔5403は通気孔5404の一部であってもよく、それにより液体排出の役割を果たすと同時に、通気の役割を果たすことができる。
【0086】
図2に示すように、本願の実施例において、筐体500は、通気孔5404を遮蔽し(すなわち液体排出孔5403の位置を遮蔽する)、通気孔5404を通って筐体500の内部に流入したガスを凝縮するために用いられる凝縮部材550をさらに含む。凝縮部材550によって、筐体500の内部に流入するガスを予め凝縮することができ、凝縮後の液体を所定の位置に収集することができ、ガスが筐体500内に拡散した後に凝縮が発生しても、凝縮した液体が筐体500内の各位置に分散することを回避して、凝縮水を収集する目的を達成し、凝縮水の排出に役立つ。
【0087】
本願の実施例において、凝縮部材550は筐体500の内表面の、通気孔5404に対向する位置に設置され、それによりガスが通気孔5404から流入する時に、最初に凝縮部材550に接触し、ガスが筐体内で凝縮して筐体内部の導電部材に接触することを防止するという目的を達成する。
【0088】
実際の応用において、
図3に示すように、筐体500は、電池200の温度を調節するために用いられる熱管理部材560をさらに含み、熱管理部材560は第1壁540と交差し、第1壁540を介して筐体500の内部に入り、電池200の温度調節を実現する。熱管理部材560は水冷プレート等の部材であってもよく、本願の実施例はこれについて特に限定しない。
【0089】
引き続き
図3を参照し、本願の実施例において、凝縮部材550の第1部分は熱管理部材560に沿って延伸して、上記熱管理部材560に取り付けられ、それにより凝縮部材550は熱管理部材560と熱伝達を行うことができるようになり、凝縮部材550は良好な凝縮効果を有する。凝縮部材550の第2部分は、通気孔5404を遮蔽するように第1壁540に沿って延伸し、通気孔5404から入ったガスが凝縮された凝縮水も凝縮部材550内に収集され、凝縮水が筐体500の他の位置に流れることを回避して、凝縮水の排出に役立つ。
【0090】
実際の応用において、凝縮部材550の構造形式は様々であり、本願の実施例において、凝縮部材550はフード状構造であってもよく、該フード状構造は通気孔5404を遮蔽することができ、通気孔5404から入ったガスはフード状構造に接触し、且つフード状構造において凝縮させることができ、且つ凝縮した凝縮水はフード状構造に沿って凝縮部材550の箇所に収集することができる。
【0091】
本願の実施例において、凝縮部材550と筐体500で囲まれた空間は一方向重力弁520の第1貫通孔523と連通し、凝縮部材550内に収集された凝縮水を一方向重力弁520に流すことができ、液体の重力が閾値に達すると、第1貫通孔523から排出される。
【0092】
引き続き
図2及び
図8を参照すると、フード状構造の凝縮部材550は、通気孔5404の周囲の第1壁540の領域に取り付けられ、且つガスを筐体500に流入させるための第1開口5501を有する。フード状構造内で凝縮されたガスは、第1開口5501から筐体500内に入る。上記ガスは既に1回凝縮されているため、筐体500内に入ったガスが再び凝縮する確率は低下し、凝縮したとしても、発生した凝縮水が多すぎることで安全上のリスクをもたらすことはない。
【0093】
本願の実施例において、第1開口5501は、重力方向とは反対の方向であるフード状構造の第1方向に設けられる。
【0094】
実際の応用において、電池セル400に熱暴走が発生した時に、電池セル400の内部から排出された高温高圧の排出物がより深刻な損害をもたらすことを防止するために、通常は筐体500の内部に消防システムが設置され、電池セル400に対する消防を実施する。
【0095】
本願の実施例において、第1開口5501の位置は消防システムの配管の接続箇所と対向していてもよく、消防システムの配管の接続箇所に流体漏れが発生した場合、第1開口5501は消防システムの配管の接続箇所に漏れた流体を収集することができ、それにより消防システムの配管の接続箇所に漏れた流体が筐体500の内部に流れて電池200に影響を与えることを回避する。
【0096】
実際の応用において、第1開口5501のサイズを大きく設定することができ、消防システムの配管の接続箇所から漏れた流体を受け止めることができるものであれば、本願の実施例は具体的なサイズを限定しない。
【0097】
実際の応用において、フード状構造の第1壁540における投影面は様々な形状、例えば、
図9に示す矩形面、
図10に示すU形面、
図11に示すV形面等を有してもよく、本願の実施例はこれについて特に限定しない。且つフード状構造の具体的な寸法は、筐体500が実際に収容可能な空間の大きさに基づいて決定することができ、本願の実施例はこれについて特に限定しない。
【0098】
図9~
図11に示すように、凝縮部材550のフード状構造に、フード状構造の凝縮水を一方向重力弁520に誘導するために用いられる流路5502がさらに設置される。凝縮部材550の、流路5502の両側の部分は、第1壁540に取り付けられる。
【0099】
実際の応用において、上記取り付けは溶接、接着等の様々な接続方式であってもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0100】
本願の実施例において、フード状構造は流路5502に対向する第2開口5503を有し、第2開口5503はフード状構造の凝縮水を流路5502に誘導し、且つ流路5502を通して一方向重力弁520に流入させるために用いられ、一方向重力弁520はさらに、流路5502内の凝縮水の重力が上記閾値に達した時に、流路5502内の凝縮水を筐体500から排出するために用いられる。第2開口5503は重力方向であるフード状構造の第2方向に設けることができる。
【0101】
実際の応用において、流路5502を細いストリップ状に設計することができ、それにより流路の高さを大きくし、液体の圧力を増加させて、流路内の液体が一方向重力弁520の閾値に達し、且つ一方向重力弁が直ちに開くことを保証する。
【0102】
図12に示すように、筐体500は、筐体500の内外の圧力を平衡させるための圧力平衡機構570をさらに含む。実際の応用において、圧力平衡機構570は筐体にある通気孔5404に取り付けることができ、且つ筐体500の外部ガスは圧力平衡機構570を通して筐体500の内部に流入させることができる。
【0103】
図13に示すように、本願の実施例において、筐体500は、筐体500の内表面に設置される液体貯蔵部材580をさらに含み、液体貯蔵部材580は、筐体500内の液体の液面における重力方向に沿った高さが液体貯蔵部材580の高さに達する時に、液体貯蔵部材580に流入する液体を収集し、且つ液体貯蔵部材580に流入した液体を一方向重力弁520に排出するために用いられる。
【0104】
実際の応用において、液体貯蔵部材580は高さ制限板5801及び導流板5802を含み、高さ制限板5801は第1サブ壁5401の内表面と接触し、且つ高さ制限板5801と第1サブ壁5401との間に重力方向に沿って、上部が開口した液体高さ制限キャビティ5803が形成され、液体高さ制限キャビティ5803は、液体の表面が重力方向において液体高さ制限キャビティ5803より高い場合、液体を流入させることに用いられるように構成される。導流板5802は載置板510の電池セル400に向けられた表面と接触し、導流板5802と載置板510との間に導流路が設けられ、導流路の両端はそれぞれ液体高さ制限キャビティ5803及び一方向重力弁520に連通し、導流路は液体高さ制限キャビティ5803内の液体を一方向重力弁520に排出するために用いられる。
【0105】
他の態様によれば、本願は上記の筐体500を含む電池であって、筐体500は電池200を収容するために用いられる電池をさらに提供する。ここで、筐体500の具体的な構造形態及び動作原理は上記実施例において詳細に説明しており、本実施例はこれ以上説明しない。
【0106】
以上より、本願の実施例が提供する電池200は、上記の筐体500を設置し、筐体500に一方向重力弁520を設置することにより、一方向重力弁520の閾値に基づいて筐体500内の液体を排出するタイミングを決定し、筐体500内の液体が多すぎる場合、筐体500内の液体を直ちに排出して、安全上のリスクを減少させ、電池200の耐用年数を延ばすことができる。筐体500内の液体が少なく、一方向重力弁520を開けるには足りない時には、筐体内に残された少量の液体は電池200の安全性に影響を与えない状況で、筐体500内部の電池200の温度を下げる役割を果たすことができる。
【0107】
他の態様によれば、上記の電池200を含む電力消費装置であって、電池200は電気エネルギーを供給するために用いられる電力消費装置をさらに提供する。電池200は筐体500内に設置され、且つ筐体500は内部の液体を直ちに排出して、液体が筐体500内に長時間滞留することによる安全上のリスクを回避することができる。ここで、筐体500の具体的な構造形態及び動作原理は上記実施例において詳細に説明しており、本実施例はこれ以上説明しない。
【0108】
以上は本願の実施例の電池及び電力消費装置を説明し、以下では本願の実施例の電池の製造方法及びその装置を説明し、ここで詳細に説明しない部分は上記各実施例を参照することができる。
【0109】
他の態様によれば、本願の実施例は、電池の製造方法をさらに提供し、
図14に示すように、該電池の製造方法は以下のステップを含むことができる。
【0110】
ステップS1410では、電池を載置板に取り付ける。
【0111】
ステップS1420では、前記載置板に一方向重力弁が設置され、前記一方向重力弁は前記筐体内の液体の重力が閾値より小さい時に閉じて、且つ前記筐体内の液体の重力が前記閾値に達した時に開くように構成され、それにより前記一方向重力弁を介して前記液体を排出させる。
【0112】
筐体500の部分の実施例から分かるように、電池200は筐体500内に設置され、筐体500内の液体が多い場合、筐体500内に設置された一方向重力弁520を通して液体を排出することができ、それにより安全上のリスクを減少させ、電池200の耐用年数を延ばすことができる。
【0113】
筐体500の部分の実施例から分かるように、筐体500はさらに他の部材を含み、対応する方法によってこれらの部材を製造して、最終的に必要とされる液体を排出しやすい筐体500を得ることができる。実際の応用において、任意の可能な関連部材の製造及び関連部材の接続方法はいずれも本願の実施例の保護範囲内に属し、本願の実施例はここでの説明を省略する。
【0114】
他の態様によれば、本願の実施例は電池の製造装置をさらに提供し、
図15は、本願の実施例に係る電池の製造装置のブロック図を示す。
図15に示すように、該電池の製造装置1500は、第1装置1510と、第2装置1520とを含むことができる。
【0115】
第1装置1510は、電池を載置板に取り付けるために用いられ、載置板は筐体の一部に属し、筐体の底部に設置されることができる。
【0116】
第2装置1520は、前記載置板に一方向重力弁が設置されるために用いられることができる。
【0117】
一方向重力弁は筐体内の液体の重力が閾値より小さい時に閉じて、且つ筐体内の液体の重力が前記閾値に達した時に開くように構成され、それにより前記一方向重力弁を介して前記液体を排出させる。
【0118】
上記の各電池の製造装置の具体的な詳細は対応する電池用筐体の実施例で詳細に説明しているため、ここでの説明は省略する。
【0119】
本願の上記特許請求される主題及び各実施例における特徴の間は相互に参照することができ、構造が許容される場合、当業者は異なる実施例における技術的特徴を柔軟に組み合わせて、より多くの実施例を形成することができる。
【0120】
以上、本発明が提供する電池、電力消費装置、電池の製造方法及びその装置について詳細を紹介した。本明細書は具体的な実施例を用いて本願の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例の説明は、本願の方法及びその中心となる発想の理解を助けるためのものに過ぎない。指摘すべきこととして、当業者であれば、本願の原理から逸脱しない前提で、さらにいくつかの改良及び変更を行うことができ、それらの改良及び変更も本願の保護範囲とみなされるべきである。
【符号の説明】
【0121】
200 電池
500 筐体
510 載置板
520 一方向重力弁