(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240702BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240702BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20240702BHJP
H05K 7/16 20060101ALI20240702BHJP
H10K 50/115 20230101ALI20240702BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240702BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20240702BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/30 308Z
H05B33/14 Z
H05K7/16 A
H10K50/115
H10K59/10
H10K77/10
(21)【出願番号】P 2023004957
(22)【出願日】2023-01-17
(62)【分割の表示】P 2020515308の分割
【原出願日】2019-04-12
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2018086304
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 秋男
(72)【発明者】
【氏名】小野谷 茂
(72)【発明者】
【氏名】福留 貴浩
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0315588(US,A1)
【文献】特開2018-059983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0044620(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0264489(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0135324(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0038798(US,A1)
【文献】特開2014-161009(JP,A)
【文献】特開2015-108676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/13-1/1334
1/1339-1/141
G09F9/00-9/46
H04N5/64-5/655
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル、第1の部品、可動モジュール、及び筐体を備える電子機器であって、
前記筐体は、第1の可動部、第2の部品、及び第3の部品を有し、
前記第3の部品には、前記第1の部品を収納する第1の空間が設けられ、
前記表示パネルは、可撓性を有する表示部を有し、
前記表示部は、第1の領域、第2の領域、及び第3の領域を有し、
前記第1の領域は、前記第2の部品に固定され、
前記第2の領域は、前記第1の空間に収納される前記第1の部品に固定され、
前記第1の可動部は、前記第2の部品と、前記第3の部品とを接続し、
前記可動モジュールは、第4の部品、第5の部品及び第2の可動部を有し、
前記第2の可動部は、前記第4の部品と、前記第5の部品とで形成する第2の角度を制御する機能を有し、
前記可動モジュールは、前記第1の可動部が前記第2の部品と前記第3の部品とで形成する第1の角度を保持する機能を有し、
前記第1の領域と、前記第2の領域との間に位置する前記第3の領域は、前記第1の角度に応じて曲面を形成する機能を有し、
前記第1の部品は、前記第1の角度に応じて前記第1の空間の中をスライド移動する、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、可撓性を有する表示パネルを備える電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、又は、製造方法に関する。又は、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法に関する。
【0003】
なお、本明細書等において、半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる素子、回路、又は装置等を指す。一例としては、トランジスタ、ダイオード等の半導体素子は半導体装置である。また別の一例としては、半導体素子を有する回路は、半導体装置である。また別の一例としては、半導体素子を有する回路を備えた装置は、半導体装置である。
【背景技術】
【0004】
スマートフォン、タブレット、電子ブック、ノート型パーソナルコンピュータ等のモバイル機器が普及している。モバイル機器が備える表示パネルは、より多くの情報を表示することに適した表示パネルが求められている。表示パネルは、画素のサイズを小さくすることで同じ大きさの表示面積に表示できる情報量が拡大した。ただし、モバイル機器は、モバイル機器としての可搬性を備え、且つ表示面積のさらなる大画面化を求められている。
【0005】
モバイル機器の形態として、可搬性を備えたままで大画面化する方法の一つとして折り畳み式の電子機器が提案されている。折り畳み式の電子機器は、二つ以上の表示パネルを備える電子機器、又は可撓性を有する表示パネルを用いる電子機器が提案されている。
【0006】
例えば特許文献1では、可撓性を有するディスプレイを用いた電子機器の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
モバイル機器では、多くの情報を表示し且つ大画面化する方法の一つとして可撓性を有する表示パネルを備えた折り畳み式の電子機器が提案されている。しかし、可撓性を有する表示パネルは、表示パネルが平面として保持される場合と比較し、当該表示パネルが折り畳まれた場合に表示パネルの位置がずれる課題がある。
【0009】
また、可撓性を有する表示パネルでは、表示パネルが曲がる部分に大きな力が係ることで表示パネルが有する配線などが断線する問題がある。
【0010】
表示パネルの表示面積を大画面化する場合、表示パネルが可撓性を有するため、外部から与えられる力によって表示パネルが電子機器から脱落してしまう課題がある。
【0011】
上記問題に鑑み、本発明の一態様は、新規な構成の電子機器を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、可撓性を有する表示パネルの曲率半径が管理される表示パネルを提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、可撓性を有する表示パネルが電子機器から脱落することを防ぐ電子機器を提供することを課題の一とする。
【0012】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【0013】
なお本発明の一態様の課題は、上記列挙した課題に限定されない。上記列挙した課題は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお他の課題は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない課題である。本項目で言及していない課題は、当業者であれば明細書又は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した課題、及び/又は他の課題のうち、少なくとも一つの課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、表示パネル、第1の部品、可動モジュール、及び筐体を備える電子機器である。筐体は、第1の可動部、第2の部品、及び第3の部品を有する。第3の部品には、第1の部品を収納する第1の空間が設けられる。表示パネルは、可撓性を有する表示部を有する。表示部は、第1の領域、第2の領域、及び第3の領域を有する。第1の領域は、第2の部品に固定される。第2の領域は、第1の空間に収納される第1の部品に固定される。第1の可動部は、第2の部品と、第3の部品とを接続する。可動モジュールは、第1の可動部が第2の部品と第3の部品とで形成する第1の角度を保持する機能を有する。第1の領域と、第2の領域との間に位置する第3の領域は、第1の角度に応じて曲面を形成する機能を有する。第1の部品は、第1の角度に応じて第1の空間の中をスライド移動する電子機器である。
【0015】
上記構成において、可動モジュールは、第4の部品、第5の部品、第6の部品、第7の部品、第8の部品、第2の可動部、第3の可動部、第4の可動部、及び第5の可動部を有する。第4の部品は、第1の可動部と第5の部品とに接続される。第5の部品は、第6の部品と接続される。第6の部品は、第7の部品と接続される。第7の部品は、第8の部品と接続される。第2の可動部は、第4の部品と、第5の部品とで形成する第2の角度を制御する。第3の可動部は、第5の部品と、第6の部品とで形成する第3の角度を制御する。第4の可動部は、第6の部品と、第7の部品とで形成する第4の角度を制御する。第5の可動部は、第7の部品と、第8の部品とで形成する第5の角度を制御する。第6の部品には、第7の部品を収納する第2の空間が設けられる。第7の部品には、第8の部品を収納する第3の空間が設けられる。第8の部品は、第3の部品に固定され、且つ、第1の空間が設けられる面とは異なる面に固定される電子機器が好ましい。
【0016】
上記構成において、第3の部品は、第1の空間の方向に向けて突出した形状の構造物を有する。第1の部品は、切欠き領域を有する。切欠き領域は、突出した形状の構造物が前記切欠き領域の中に位置するように配置される。切欠き領域の大きさが、第1の空間の中でスライド移動する第1の部品の可動可能な範囲となる電子機器が好ましい。
【0017】
上記構成において、筐体は、さらに第9の部品を有する。表示パネルは、電子部品が実装される第4の領域を有する。第2の部品は、第2の部品と第9の部品とで形成される第5の空間に第4の領域を収納するための開口部を有する。開口部は、第1の幅の部分と、第2の幅の部分とを有し、第1の幅は表示部が通過できるように表示部の厚さよりも大きく、第2の幅は、表示部の前記電子部品が実装された部分が通過できるようにその部分の厚さよりも大きい電子機器が好ましい。
【0018】
上記構成において、第6の部品には第7の部品が第2の空間に収納されず、且つ、第7の部品には第8の部品が第3の空間に収納されない場合、第4の空間は、第5の部品、第6の部品、及び第7の部品によって形成され、表示パネルの一部が、第4の空間内に位置する電子機器が好ましい。
【0019】
上記構成において、第6の部品が、第2の空間に第7の部品を収納し、且つ、第7の部品が、第3の空間に第8の部品を収納する場合、表示パネルが第4の部品、第5の部品、及び第6の部品のそれぞれの一部と平行に位置し、且つ表示パネルと接する電子機器が好ましい。
【0020】
上記構成において、表示パネルは、トランジスタを有し、トランジスタは、半導体層に多結晶シリコンを有する電子機器が好ましい。
【0021】
上記構成において、表示パネルは、トランジスタを有し、トランジスタは、半導体層に金属酸化物を有する電子機器が好ましい。
【0022】
上記各構成において、表示パネルは、トランジスタを有し、トランジスタは、バックゲートを有する電子機器が好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様は、新規な構成の電子機器を提供することができる。又は、本発明の一態様は、可撓性を有する表示パネルの曲率半径が管理される表示パネルを提供することができる。又は、本発明の一態様は、可撓性を有する表示パネルが電子機器から脱落することを防ぐ電子機器を提供することができる。
【0024】
なお本発明の一態様の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお他の効果は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、当業者であれば明細書又は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した効果、及び/又は他の効果のうち、少なくとも一つの効果を有するものである。したがって本発明の一態様は、場合によっては、上記列挙した効果を有さない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1(A)及び1(B)は電子機器を説明する断面図及び展開図である。
【
図2】
図2(A)及び2(B)は電子機器を説明する断面図及び展開図である。
【
図3】
図3(A)乃至3(D)は電子機器を説明する断面図である。
【
図4】
図4(A)及び4(B)は電子機器を説明する断面図である。
【
図5】
図5(A)乃至5(E)は電子機器を説明する断面図である。
【
図6】
図6(A)乃至6(C)は電子機器を説明する上面図及び展開図である。
【
図7】
図7(A)乃至7(C)は電子機器を説明する上面図及び展開図である。
【
図8】
図8(A)乃至8(C)は電子機器を説明する上面図及び展開図である。
【
図9】
図9(A)乃至9(C)は電子機器を説明する上面図及び展開図である。
【
図10】
図10(A)及び10(B)は表示パネルの上面図及び展開図である。
【
図14】
図14(A)乃至14(C)は表示パネルのブロック図及び回路図である。
【
図15】
図15(A)乃至15(D)は表示パネルの回路図及びタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
【0028】
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0029】
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0030】
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域又はドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域又はソース電極)の間にチャネル領域を有しており、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
【0031】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0032】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【0033】
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0034】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0035】
(実施の形態1)
本実施の形態では、可撓性を有する表示パネルを備えた電子機器について、
図1乃至
図9を用いて説明する。
【0036】
電子機器は、可撓性を有する表示パネル、第1の部品、可動モジュール、及び折り畳むことができる筐体を備えている。折り畳むことができる筐体は、第1の可動部、第2の部品、及び第3の部品を有する。以降において、説明を簡便にするために第1の可動部、第2の部品、又は第3の部品などの指定がない場合は、まとめて筐体として説明する。なお、第1の可動部は、第2の部品と、第3の部品とを接続し、さらに、第2の部品と、第3の部品とで形成する角度を制御することができる。例えば、第1の可動部には、ヒンジ等を用いることが好ましい。
【0037】
筐体は、少なくとも、第1の状態、又は第2の状態を保持することができる。例えば第1の状態は、筐体が折り畳まれた場合を示し、表示パネルの異なる二つの表示領域が接触、もしくは表示パネルが有する表示部の表示方向が向かい合う状態を示している。また、第2の状態は、開いた場合を示し、表示パネルが平面の状態を示し、表示部が同じ方向に向けて表示する状態を示している。なお、筐体の第3の状態とは、第1の状態から第2の状態へ移行する間の状態を示している。すなわち第3の状態は、表示部の一部が湾曲した状態で保持される状態である。なお、第3の状態については、
図3、又は
図4で詳細に説明する。また、第1の状態では、表示パネルの異なる二つの表示領域が接触、もしくは表示パネルが有する表示部の表示方向が向かい合う状態の場合、使用者には表示パネルが視認されない。よって、表示パネルは表示データを表示をしないことが好ましい。
【0038】
また、第3の部品には、第1の部品を収納する第1の空間が設けられることが好ましい。
【0039】
表示パネルは、可撓性を有する表示部を有し、表示部が第1の領域、第2の領域、及び第3の領域を有する。第1の領域には、第2の部品が固定され、第2の領域には、第3の部品に収納される第1の部品が固定される。なお、第1の部品は、第3の部品が有する第1の空間の中で固定されず、第1の部品が当該収納スペースの中でスライド移動することができることが好ましい。なお、第1の領域と第2の部品、又は第2の領域と第1の部品は、それぞれ有機樹脂層を介して固定される。有機樹脂層は、接着層として機能することが好ましい。
【0040】
次に、可動モジュールについて説明する。可動モジュールは、第1の可動部が第2の部品と第3の部品とで形成する第1の角度を保持することができる。第1の領域と、第2の領域との間に位置する第3の領域は、第1の角度に応じて曲面を形成することができる。第1の角度に応じて生ずる表示パネルの位置ずれの距離は、第1の部品が第1の空間の中をスライド移動する距離と同じとする。
【0041】
可動モジュールは、第4の部品、第5の部品、第6の部品、第7の部品、第8の部品、第2の可動部、第3の可動部、第4の可動部、及び第5の可動部を有する。第4の部品は、第1の可動部と第5の部品とに接続される。第5の部品は、第6の部品と接続される。第6の部品は、第7の部品と接続される。第7の部品は、第8の部品と接続される。第2の可動部は、第4の部品と、第5の部品とで形成する第2の角度を制御することができる。第3の可動部は、第5の部品と、第6の部品とで形成する第3の角度を制御することができる。第4の可動部は、第6の部品と、第7の部品とで形成する第4の角度を制御することができる。第5の可動部は、第7の部品と、第8の部品とで形成する第5の角度を制御することができる。
【0042】
なお、第6の部品には、第7の部品を収納する第2の空間が設けられ、さらに、第7の部品には、第8の部品を収納する第3の空間が設けられる。第8の部品は、第3の部品に固定され、且つ、第1の空間が設けられる面とは異なる面に固定される。なお、第2の空間は、第6の部品に切欠き領域を設けることで形成してもよい。第3の空間は、第7の部品に切欠き領域を設けることで形成してもよい。
【0043】
さらに、第3の部品は、第1の空間に向けて突出した形状の構造物を有することが好ましい。第1の部品は、切欠き領域を有し、切欠き領域は、突出した形状の構造物が切欠き領域の中に位置するように配置される。つまり、切欠き領域の大きさが、第1の空間の中で第1の部品がスライド移動できる可動範囲になる。
【0044】
また筐体は、さらに第9の部品を有する。表示パネルは、電子部品が実装される第4の領域を有する。第2の部品は、開口部を有する。当該開口部は、第2の部品と、第9の部品とで形成される第5の空間に第4の領域の表示パネルを収納することができる。当該開口部は、第1の幅の部分と、第2の幅の部分とを有することが好ましい。第1の幅は表示部が通過できるように表示部の厚さよりも大きいことが好ましい。第2の幅は、表示部の電子部品が実装された部分が通過できるようにその部分の厚さよりも大きいことが好ましい。なお、第5の空間には、バッテリ、又は電子部品が実装されたプリント基板などが収納されることが好ましい。また、第4の領域に実装される電子部品は、FPC、ドライバIC、又はコネクタなどが好ましい。第4の領域に実装される電子部品は、複数の電子部品が実装されたプリント基板と電気的に接続されることが好ましい。また、プリント基板が可撓性を有することが好ましい。
【0045】
表示パネルが可撓性を有する場合、表示パネルが曲げることができる曲率半径rは、表示パネルで用いる材料、又は膜厚等によって制限される。したがって、表示パネルの曲率半径rは、表示パネルが破損することなく曲げられる曲率半径の最小値(以下、曲率半径rという場合がある)以下にならないように制御する必要がある。
【0046】
まず、可動モジュールが第1の状態を保持する場合について説明する。第6の部品の第2の空間に第7の部品が収納されず、且つ、第7の部品の第3の空間に、第8の部品が収納されない場合、第5の部品、第6の部品、及び第7の部品によって第4の空間が形成される。したがって、第1の状態の場合は、表示パネルの一部が第4の空間内に位置することが好ましい。
【0047】
また、第1の状態の場合、表示パネルの第3の領域は、表示パネルが曲率半径rより小さくならないように第4の空間内に収納することができる。よって第1の状態を保持する場合、第3の領域が曲率半径rより小さくならないように可動モジュールによって制御することができる。表示パネルが曲率半径rより小さくならないように第4の空間内に収納されることで、表示パネルが有する配線、無機膜、有機膜、又は有機樹脂膜などが破壊されることを防ぐことができる。
【0048】
次に、可動モジュールが第2の状態を保持する場合について説明する。第6の部品の第2の空間に第7の部品が収納され、且つ、第7の部品の第3の空間に第8の部品が収納される場合、表示パネルが、第4の部品、第5の部品、及び第6の部品のそれぞれの一部と平行に位置する。又は表示パネルが、第4の部品、第5の部品、及び第6の部品のそれぞれの一部と接することが好ましい。
【0049】
つまり、第4の部品、第5の部品、及び第6の部品の一部は、表示パネルを支持する面を有することが好ましい。なお、当該第6の部品の異なる一部、第7の部品、及び第8の部品は、第3の部品の裏面に配置され、さらに第3の部品と平行に位置する面を有することが好ましい。なお、第1の部品が配置される側を第3の部品の表面とし、第8の部品が固定される側を第3の部品の裏面とする。
【0050】
続いて、
図1乃至
図9を用いて電子機器10を詳細に説明をする。
図1(A)では、一例として電子機器10の断面図を示す。電子機器10は、表示パネル11、部品24、可動モジュール30、及び筐体を備えている。なお、
図17では、筐体の構成部品を実線で示している。
図17は、筐体の構成部品を説明する図である。
図17で示す筐体27は、可動部26、部品20、部品20a、部品21、部品22、及び部品23を有する。
【0051】
可動部26は、部品25、部品25a、部品25b、部品25c、及び部品25dによって構成される。部品25aと部品25bは、部品25を中心に回動することができる。部品25cは、部品20と部品25aを固定し、部品25dは、部品22と部品25bを固定する。つまり、可動部26は、第1のヒンジとして機能する。例えば、部品25c、及び部品25dは、ビスなどを用いることができる。もしくは、部品20と部品25aとが一体として形成されてもよい。同様に、部品22と部品25bとが一体として形成されてもよい。
【0052】
部品22には、部品24を収納する第1の空間22aが設けられている。表示パネル11は、可撓性を有する表示部を有する。表示部は、表示領域11a、表示領域11b、及び表示領域11cを有する。表示領域11aは、部品20aに固定される。表示領域11bは、部品22に収納される部品24と固定される。また、部品24は、部品22が有する第1の空間22aの中で固定されず、部品24が第1の空間22aの中でスライド移動することができることが好ましい。また、表示領域11aと部品20a、又は表示領域11bと部品24は、それぞれ有機樹脂層を介して固定される。有機樹脂層は、接着層として機能することができる。
【0053】
なお、表示領域11aの一部の領域では、順に部品20a、表示パネル11、及び部品21が重なることが好ましい。また、表示領域11bの一部の領域では、順に部品22、部品24、表示パネル11、及び部品23が重なることが好ましい。つまり、部品21及び部品23は、表示領域11a、11b、及び11cを囲うように配置され、表示パネル11の額縁として機能する。
【0054】
可動モジュール30は、可動部26が部品20aと部品22とで形成する第1の角度を保持することができる。表示領域11aと、表示領域11bとの間に位置する表示領域11cは、第1の角度に応じて曲面を形成する。第1の角度に応じて生ずる表示パネルの位置ずれの距離は、部品24が第1の空間22aの中をスライド移動する距離と同じとする。
【0055】
次に、
図1(B)では、可動モジュール30の構成について展開図を用いて詳細に説明する。可動モジュール30は、部品30a、部品31a、部品32a、部品33a、部品34a、可動部30b、可動部31b、可動部32b、及び可動部33bを有する。
【0056】
部品30aは、可動部26と部品31aとに接続される。部品31aは、部品32aと接続される。部品32aは、部品33aと接続される。部品33aは、部品34aと接続される。
【0057】
可動部30bは、部品30aと、部品31aとで形成する第2の角度を制御する。可動部31bは、部品31aと、部品32aとで形成する第3の角度を制御する。可動部32bは、部品32aと、部品33aとで形成する第4の角度を制御する。可動部33bは、部品33aと、部品34aとで形成する第5の角度を制御する。
【0058】
部品32aには、部品33aを収納する空間32cが設けられる。部品33aには、部品34aを収納する空間33cが設けられる。部品34aは、部品22に固定され、且つ、空間22aが設けられる面とは異なる面に部品34bを用いて固定される。以降において、説明を簡便化するために、部品24が配置される側を部品22の表面とし、部品34aが固定される側を部品22の裏面として説明する場合がある。なお、空間32cは、部品32aに切欠き領域を設けることで形成してもよい。空間33cは、部品33aに切欠き領域を設けることで形成してもよい。
【0059】
さらに、部品22は、第1の空間22aの方向に向けて突出した形状の構造物22bを有することが好ましい。部品24は、切欠き領域24aを有し、切欠き領域24aは、構造物22bが切欠き領域24aの中に位置するように配置される。切欠き領域24aの大きさが、第1の空間22aの中でスライド移動する部品24の可動範囲になる。なお、
図5では、第1の角度、切欠き領域24a、及び構造物22bの関係を説明し、さらに、
図6では、電子機器10の上面図を用いて、構造物22bと、切欠き領域24aについて詳細に説明する。
【0060】
次に、
図2を用いて電子機器10の構成について詳細に説明する。
図2(A)は筐体27が第2の状態を保持しているときの断面図である。
図2(A)では、一例として表示パネルが領域11dを有している。なお、表示パネルは、順に領域11d、表示領域11a、表示領域11c、及び表示領域11bが連続する領域で形成される。部品20aは、領域11dを部品20a、及び部品21で形成される第5の空間に収納するための開口部20s1を有する。表示パネル11は可撓性を有する。ただし、表示領域11cの曲げられる領域が、表示パネルの有する最少の曲率半径rより小さくならないように制御する必要がある。したがって、部品20は、領域11dの表示領域を収納するための第6の空間20s2を有することが好ましい。また、部品21a、及び部品21bは、表示パネル11を収納する第7の空間21sを有することが好ましい。表示パネル11は、部品21a、及び部品21bが形成する第7の空間21sで接するように設けられてもよいし、部品21a、又は部品21bの一部が表示パネル11と接さない領域を有してもよい。
【0061】
例えば、部品21a、及び部品21bが表示パネル11と接するように設けられる場合、表示パネル11は、部品21a、及び部品21bによって安定して固定される。もしくは、部品21a、又は部品21bの一部が表示パネル11と接さない領域を有することで、表示パネル11の加工ばらつきを第7の空間21sで吸収することができる。例えば、領域11dの表示パネルの厚さがばらつく場合、第7の空間21sがあることで表示パネル11が圧迫されて断線することを防ぐことができる。
【0062】
図8で詳細な説明をするが、開口部20s1は、第1の幅の部分と、第2の幅の部分とを有することが好ましい。第1の幅は表示パネル11の表示部が通過できるように表示部の厚さよりも大きいことが好ましい。第2の幅は、領域11dに電子部品が実装された部分が通過できるようにその部分の厚さよりも大きいことが好ましい。なお、第5の空間には、図中には表示していないがバッテリ、又は電子部品が実装されたプリント基板などが収納されることが好ましい。また、領域11dに実装される電子部品50は、FPC、ドライバIC、又はコネクタなどが好ましく、電子部品が実装されたプリント基板と電気的に接続されることが好ましい。また、プリント基板が可撓性を有することが好ましい。
【0063】
図2(B)では、電子機器10で用いる部品を展開して示している。
図2(A)では、電子部品50が表示パネル11の表示方向と異なる側に配置されているが、
図2(B)では、
図2(A)と異なり、電子部品51が表示パネル11の表示面と同じ側に配置されている。つまり、領域11dに設ける端子部は、表示面に設けてもよいし、表示面とは異なる面に設けてもよい。なお、第5の空間に配置するバッテリ、又は電子部品が実装されたプリント基板の配置に応じて適宜対応することが好ましい。
【0064】
図2(B)では、表示領域11cの幅は、距離πrより大きいことが好ましい。表示領域11cの幅を距離πrより大きくすることで、筐体27が第1の状態から第2の状態へ移行する場合に、部品21a、及び部品23が接触することを防ぐことができる。なお、πは円周率を示し、曲率半径rは0を含まない正の値である。
【0065】
次に電子機器10が、第1の状態、第3の状態、そして第2の状態に至る過程について
図3、
図4を用いて説明する。まず可動部26(
図1参照)、可動部30b、可動部31b、可動部32b、及び可動部33bの動作を次のように定義する。可動部26が、部品20aと、部品22とで形成する角度を第1の角度M1とする。可動部30bが、部品30aと、部品31aとで形成する角度を第2の角度M2とする。可動部31bが、部品31aと、部品32aとで形成する角度を第3の角度M3とする。可動部32bが、部品32aと、部品33aとで形成する角度を第4の角度M4とする。可動部33bが、部品33aと、部品34aとで形成する角度を第5の角度M5とする。
【0066】
最初に、電子機器10が有する筐体27が折り畳まれた第1の状態について
図3(A)を用いて説明する。
図3では、可動モジュール30に着目して説明を進める。なお、
図3(D)は、
図3(A)の可動モジュール30を拡大して示した図である。
【0067】
筐体27が第1の状態を保持する場合、部品32aには部品33aが空間32cに収納されず、且つ、部品33aには、部品34aが空間33cに収納されない状態を保持する。なお筐体27が第1の状態を保持する場合、第2の角度M2が略垂直であることが好ましい。
【0068】
また、筐体27が第1の状態を保持する場合では、
図3(D)で示すように部品31a、部品32a、及び部品33aによって第4の空間60が形成され、且つ、第4の空間60の内側に表示パネル11の一部が位置することが好ましい。
【0069】
なお、筐体27が第1の状態を保持する場合、表示領域11cは、表示パネル11が曲率半径rより小さくならないように第4の空間60内に収納することができる。よって筐体27が第1の状態を保持する場合、可動モジュール30が表示パネル11の表示領域11cの曲率半径rより小さくならないように制御することができる。つまり、表示パネル11が曲率半径rより曲がらないように第4の空間60内に表示パネル11を収納することで、表示パネル11が有する配線、無機膜、有機膜、又は有機樹脂膜などが破壊されることを防ぐことができる。より効率的に第4の空間60内へ表示領域11cを収納するためには、表示領域11aが部品20aに固定されていることが好ましい。可動部26の近傍まで表示パネル11が部品20aに固定されることで、表示領域11cが第4の空間60内に効率よく収納することができる。
【0070】
次に、
図3(B)では、一例として、第1の角度M1が略45度(45度を含む)の場合を示している。
図3(B)では、第2の角度M2が略垂直を保持していることが好ましい。また、第3の角度M3は大きくなり、第4の角度M4と、第5の角度M5とが小さくなる。第2の角度M2が略垂直を保持することで、第3の角度M3乃至第5の角度M5が変化する。なお、第2の角度M2が略垂直でない場合は、第3の角度M3乃至第5の角度M5は上記とは異なる変化する。
【0071】
次に、
図3(C)では、一例として、第1の角度M1が略垂直(垂直を含む)の場合を示している。
図3(C)では、第2の角度M2が
図3(B)に比べ大きくなることが好ましい。また、第3の角度M3は小さくなり、第4の角度M4と、第5の角度M5とが大きくなる。第2の角度M2が
図3(B)に比べ小さくなることで、第3の角度M3乃至第5の角度M5が変化する。なお、第2の角度M2が小さくなる場合は、第3の角度M3乃至第5の角度M5は上記とは異なる変化する。
【0072】
次に、
図4(A)では、一例として、第1の角度M1が略135度(135度を含む)の場合を示している。
図4(A)では、第2の角度M2が
図3(C)に比べさらに大きくなることが好ましい。また、第3の角度M3は大きくなり、第4の角度M4と、第5の角度M5とが小さくなる。第2の角度M2が
図3(C)に比べ大きくなることで、第3の角度M3乃至第5の角度M5が変化する。
【0073】
最後に、
図4(B)では、一例として、第1の角度M1が略180度(180度を含む)の場合を示している。つまり、筐体27は第2の状態に変化が達する。
図4(B)では、第2の角度M2が
図4(A)に比べさらに大きくなり最大角になる。当該最大角とは、略180度を示している。また、第3の角度M3も当該最大角になる。第4の角度M4と、第5の角度M5とが小さくなり、最小角になる。当該最小角とは、略0度(0度を含む)を示している。よって、部品33aは、部品34aに収納され、部品32aは、部品33aに収納される。部品30a、部品31a、及び部品32aの一部は、表示パネル11と接し、且つ、表示パネル11を支持することができる。さらに、当該部品32aの他の部分、部品33a、又は部品34aは、部品22の裏面と接し、又は部品22と平行に位置する面を有することが好ましい。
【0074】
なお、
図3(B)、(C)、又は
図4(A)は、筐体27が第3の状態を示している。また、筐体27が第2の状態、又は第3の状態においては、表示領域11a乃至11cに表示データを表示することができる。
【0075】
また、
図3、又は
図4では、それぞれ略0度、略45度、略90度、略135度、又は略180度の例について示したが、筐体27が保持する第1の角度M1は、上記に限定されない。第1の角度は、略0度乃至略180度のいずれか一の角度を保持することができる。
【0076】
次に、
図5(A)乃至(E)では、第1の角度M1と、部品24が有する切欠き領域24a、部品22が有する突出した形状の構造物22bの関係について説明する。なお、説明のために
図5では、可動部26と、構造物22b、切欠き領域24a、第1の空間22aについて説明する。なお、
図5では、可動部26に最も近い位置Pna、構造物22bを有する位置、第1の空間22aの可動部26に最も遠い位置Pnbに着目して説明する。nは、1以上の正の整数である。
【0077】
なお、部品24の大きさ、幅は変化しない。また、部品24に設けられる切欠き領域24aの位置は変化しない。また、部品22に設けられた突出した形状の構造物22bが配置された位置は変化しない。また、構造物22bは、構造物22bの中心から幅S1を有する形状をしている。図中では、構造物の断面形状が半円状の例を示しているが、柱状などでもよく、形状は限定されない。また、構造物22bは、部品22の一部と共有する領域を有することが好ましい。例えば、部品22に第1の空間22aを加工する場合に、同時に構造物22bを形成してもよい。部品数を削減することで、電子機器の部品コストを低減することができる。なお、突出した形状の構造物を部品24が有する場合、切欠き領域は部品22が有する構成でもよい。
【0078】
図5(A)では、筐体27が第1の状態を保持する場合、第1の角度M1が略0度の場合について説明する。部品22は、部品24を収納する第1の空間22aを有し、部品24は、第1の空間22aの中をスライド移動することができる。なお、部品24は表示領域11bに固定されており、筐体27の第1の角度M1が変わることで表示領域11cに位置ずれが生じ、表示領域11bの位置が移動する。つまり、当該位置ずれの距離に応じて表示領域11bが移動し、表示領域11bの移動する距離に応じて部品24がスライド移動する。なお、表示領域11aは、位置L1の範囲まで部品20aに固定されていることが好ましい。表示領域11a、11b、及び11cの位置関係は、
図5(E)を参酌することができる。
【0079】
筐体27が第1の状態を保持する場合、表示領域11cの曲面が最少の曲率半径rより小さくならないように制御されることが好ましい。例えば、表示領域11aと、表示領域11bとが接するもしくは向かい合う場合、表示領域11cが曲率半径rより大きな曲面を形成する。よって、表示領域11bの一部が、表示領域11aから曲率半径rの2倍(直径)以上離れた位置に配置される。つまり、表示領域11cが曲率半径rと同じ、もしくはより大きな曲面を形成することで、表示領域11bの一部、及び表示領域11cには、位置ずれが生ずる。
【0080】
筐体27が第1の状態を保持する場合、当該位置ずれにより生じる距離は、第1の空間22aに収納された部品24がスライド移動する距離と同じとする。したがって、可動モジュール30は表示領域11cが曲率半径rより小さくならないように制御することができる。また、部品22が有する突出した形状の構造物22bと、部品24が有する切欠き領域24aの可動部26から遠い方の側面とが接することで、可動部26に向かってスライド移動する部品24の移動可能範囲が制限される。さらに、第1の空間22aの配置が、可動部26に最も近い位置P1aで部品24のスライド移動の移動可能範囲に制限が係るように決められることが好ましい。よって、部品24のスライド移動の移動可能範囲を管理することで、表示パネル11が曲率半径rより小さくならないように制御することができる。なお、表示領域11b、及び表示領域11bが固定された部品24は、可動部26に近い位置P1a及び位置P1bへスライド移動することが好ましい。
【0081】
次に
図5(B)では、第1の角度M1が略0度から略45度に変化する場合について説明する。表示パネル11に生ずる位置ずれは、第1の角度M1に応じて表示パネル11の位置が変化する。第1の角度M1が略0度から略45度に変化する場合、表示領域11b、表示領域11cは、距離dをスライド移動する。なお、表示領域11b、及び表示領域11bが固定された部品24は、可動部26に近い位置では、位置P1aから位置P2aへスライド移動し、可動部26から遠い位置では、位置P1bから位置P2bへスライド移動する。
【0082】
次に
図5(C)では、第1の角度M1が略0度から略90度に変化する場合について説明する。第1の角度M1が略0度から略90度に変化する場合、表示領域11b、表示領域11cは、距離2dをスライド移動する。なお、表示領域11b、及び表示領域11bが固定された部品24は、可動部26から近い位置では、位置P1aから位置P3aへスライド移動し、可動部26から遠い位置では、位置P1bから位置P3bへスライド移動する。
【0083】
次に
図5(D)では、第1の角度M1が略0度から略135度に変化する場合について説明する。第1の角度M1が略0度から略135度に変化する場合、表示領域11b、表示領域11cは、距離3dをスライド移動する。なお、表示領域11b、及び表示領域11bが固定された部品24は、可動部26から近い位置では、位置P1aから位置P4aへスライド移動し、可動部26から遠い位置では、位置P1bから位置P4bへスライド移動する。
【0084】
なお、第1の角度M1が略90度より大きく略180度より小さな場合は、位置L1を基点とする位置ずれが生ずる場合がある。これは、表示パネルが可撓性を有するため表示パネル11が位置Lを基点として可動部26から離れる方向に応力が働くためである。
【0085】
次に
図5(E)では、第1の角度M1が略0度から略180度に変化する場合について説明する。つまり、第1の角度M1が略180度に達することで、筐体27が第2の状態に達する。第1の角度M1が略0度から略180度に変化する場合、表示領域11b、表示領域11cは、距離4dをスライド移動する。なお、表示領域11b、及び表示領域11bが固定された部品24は、可動部26から近い位置では、位置P1aから位置P5aへスライド移動し、可動部26から遠い位置では、位置P1bから位置P5bへスライド移動する。第1の角度M1が略180度に達すると、表示パネル11は平面を形成する。したがって、
図5(A)乃至(D)のそれぞれで生ずる位置ずれは、全て解消する。
【0086】
続いて、
図6では、電子機器10の詳細について説明する。なお、
図6(A)では、電子機器10の上面図、
図6(B)では、可動モジュール30の展開図、及び
図6(C)では電子機器10の断面図について説明する。なお、
図6乃至
図9において、同一の符号が付された構成については説明を省略する。
【0087】
最初に、
図6(A)を用いて、電子機器10の上面図について説明する。
図6(A)は、
図2(A)で説明した電子機器10の上面図である。部品20、部品20a、部品21a、部品21b、部品22、又は部品23は、それぞれの部品を複数の固定具40により固定することができる。例えば固定具40には、ビスなどを用いると容易に、二つもしくは二つ以上の部品を固定することができる。なお、それぞれの部品は、複数の部品を一つの部品として形成してもよい。組み立て工程の簡略化、部品数の削減などの効果が得られる。
【0088】
また可動部26は、部品25、部品25a、及び部品25bにより構成され、部品25aは部品20に固定され、部品25bは部品22に固定される。なお、可動部26は、可動モジュール30の両端の外側に配置されることが好ましいが、可動部26の両端の外側に可動モジュール30が配置されてもよい。
【0089】
部品23、部品21a、部品21bは、額縁の機能を有している。なお、表示パネル11が可撓性を有する場合、順に部品22、部品24、表示パネル11の表示領域11b、部品23と重なる領域を有し、且つ、表示領域11bが部品24に固定されることで、表示パネル11が当該額縁から脱落することを防ぐことができる。
【0090】
図6(B)は、
図1(B)で説明した可動モジュール30と同じ構成を有するため詳細な説明は省略する。なお、部品34aは、部品33aの一部と接続すればよく、一例として、
図6(A)では、二つの領域で部品34aは部品33aとが固定されている。なお、可動部30b、可動部31b、可動部32b、及び可動部33bは、ヒンジなどを用いて接続することが好ましい。例えば、可動部30bは、二つの領域で部品30aと、部品31aとが固定されている。また、可動部31bは、二つの領域で部品31aと、部品32aとが固定されている。また、可動部32bは、二つの領域で部品32aと、部品33aとが二つの領域で固定されている。また、可動部33bは、二つの領域で部品33aと、部品34aと固定されている。
【0091】
図6(C)は、
図2(A)で説明した電子機器10の説明を参酌することができる。なお、部品20aは、領域11dを部品20、及び部品20aで形成される第5の空間に収納するための開口部20s1を有する。また部品21bは、表示パネル11、部品21a、及び部品20と接することが好ましい。
【0092】
図7(A)では、
図6(A)と異なる電子機器10Aについて説明する。
図7(A)では、部品21が一つの部品として形成されている。部品の数を減らすことで、固定具40を削減し、組み立て工程を減らすことができる。なお、部品20aは、領域11dを部品20、及び部品20aで形成される第5の空間に収納するための開口部20s1を有する。また部品21は、表示パネル11、及び部品20aと接することが好ましい。
【0093】
図7(C)では、電子部品50が通過することができる幅の開口部20s1を有する。なお、開口部20s1と重なる位置に部品21が配置されることが好ましい。
【0094】
図8(A)では、
図7(A)と異なる電子機器10Bについて説明する。
図8(A)では、部品20aが、領域11dを部品20、及び部品20aで形成される第5の空間に収納するための開口部20s3を有する。また部品21は、表示パネル11、及び部品20aと接することが好ましい。なお、
図8では、部品21を透過部品として表示している。
【0095】
開口部20s3は、表示パネル11の表示部の厚さS3が通過する第1の幅と、電子部品50の厚さが通過する第2の幅S4とを有することが好ましい。なお、第2の幅は複数設けることができる。開口部20s3が第1の幅S3、及び第2の幅S4を有することで、部品20aは、広い面積で表示パネル11を支持することができる。また、第2の幅S4を有することで、表示パネル11は、電子部品50を実装した後でも、電子機器10Bの組み立てを容易にすることができる。
【0096】
図9(A)では、
図7(A)と異なる電子機器10Cについて説明する。
図9(A)では、部品20aが、開口部20s4を有する。
図9(C)では、開口部20s4について詳細な説明をする。
【0097】
電子機器10Cでは、領域11dに実装された電子部品52を開口部20s4に配置する。なお、表示パネル11は、電子部品52を介して電子部品53と電気的に接続する。例えば、電子部品52又は電子部品53は、コネクタなどを用いることができる。表示パネル11が、電子部品52を介して電子部品53と電気的に接続されるため領域11dが曲面を有さなくてもよい。曲面を有さないことで、曲率半径の制御を省略することができる。また、表示パネル11と、部品21の密着性を向上させることができる。また、電子機器11Cの組み立てを容易にすることができる。
【0098】
図1乃至
図9を用いることで、新規な構成の折り畳める電子機器を提供することができる。また、電子機器は、可撓性を有する表示パネルの曲率半径を制御することができる。表示パネルの曲率半径を制御する方法として、可動モジュール30、及び部品24を用いることで表示パネルの一部がスライド移動し、表示パネルが曲面を有する場合に生ずる位置ずれの大きさと同じ距離を表示パネルが移動することができる。したがって、表示パネルが曲面を有することで、曲面により生ずる応力により表示パネルが破壊されるのを防ぐことができる。また、可撓性を有する表示パネルが電子機器から脱落することを防ぐ電子機器を提供することができる。
【0099】
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
【0100】
(実施の形態2)
本実施の形態では、先の実施の形態で例示した表示パネルの一例について説明を行う。
【0101】
[構成例]
図10(A)に、表示パネル700の上面図を示す。表示パネル700は、シール材712により貼りあわされた第1の基板701と第2の基板705を有する。また第1の基板701、第2の基板705、及びシール材712で封止される領域において、第1の基板701上に画素部702、ソースドライバ704、及びゲートドライバ706が設けられる。また画素部702には、複数の表示素子が設けられる。
【0102】
また、第1の基板701の第2の基板705と重ならない部分に、FPC716(FPC:Flexible printed circuit)が接続される端子部708が設けられている。FPC716によって、端子部708及び信号線710を介して、画素部702、ソースドライバ704、及びゲートドライバ706のそれぞれに各種信号等が供給される。
【0103】
ゲートドライバ706は、複数設けられていてもよい。また、ゲートドライバ706及びソースドライバ704は、それぞれ半導体基板等に別途形成され、パッケージされたICチップの形態であってもよい。当該ICチップは、第1の基板701上、又はFPC716に実装することができる。なお、当該ICチップは、画素部702が表示データを表示する表示面と異なる面(裏面)に実装することができる。
【0104】
画素部702、ソースドライバ704及びゲートドライバ706はトランジスタを有することができる。。
【0105】
画素部702に設けられる表示素子としては、液晶素子、発光素子などが挙げられる。液晶素子としては、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、半透過型の液晶素子などを用いることができる。また、発光素子としては、マイクロLED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic LED)、QLED(Quantum-dot LED)、半導体レーザなどの、自発光性の発光素子が挙げられる。また、シャッター方式又は光干渉方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子や、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、又は電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示素子などを用いることもできる。
【0106】
図10(B)では、
図10(A)に示す表示パネル700が有する端子部708と、FPC716の接続について示している。
図10(B)では、表示データを表示する画素部702の裏面方向に貫通電極を用いて端子部708を露出させることができる。端子部708、及びFPC716の接続には、直径3μm程度の導電粒子CPを含む異方性導電膜を用いている。なお、端子部708には、ドライバIC、又はコネクタなどが接続されてもよい。
【0107】
[断面構成例]
以下では、表示素子として液晶素子及びEL素子を用いる構成について、
図11乃至
図13を用いて説明する。なお、
図11乃至
図13は、それぞれ
図10(A)に示す一点鎖線Q-Rにおける断面図である。
図11及び
図12は、表示素子として液晶素子を用いた構成であり、
図13は、EL素子を用いた構成である。
【0108】
〔表示パネルの共通部分に関する説明〕
図11乃至
図13に示す表示パネル700は、引き回し配線部711と、画素部702と、ソースドライバ704と、端子部708と、を有する。引き回し配線部711は、信号線710を有する。画素部702は、トランジスタ750及び容量素子790を有する。ソースドライバ704は、トランジスタ752を有する。
図12では、容量素子790が無い場合を示している。
【0109】
一例としてトランジスタ750及びトランジスタ752は、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した半導体層に金属酸化物を有する。該トランジスタは、オフ電流を低くできる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くでき、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくできるため、消費電力を低減する効果を奏する。以降では、半導体層に金属酸化物を有するトランジスタのことをOSトランジスタと呼ぶ。
【0110】
本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示パネルに用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。
【0111】
すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
【0112】
なお、トランジスタとして、様々な形態のトランジスタを用いることができる。よって、用いるトランジスタの種類に限定はない。例えば、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶(マイクロクリスタル、セミアモルファスとも言う)シリコンなどに代表される非単結晶半導体膜を有する薄膜トランジスタ(TFT)などを用いることができる。TFTを用いる場合、様々なメリットがある。例えば、単結晶シリコンの場合よりも低い温度で製造できるため、製造コストの削減、又は製造装置の大型化を図ることができる。製造装置を大きくできるため、大型基板上に製造できる。そのため、同時に多くの個数の表示パネルを製造できるため、低コストで製造できる。さらに、製造温度が低いため、耐熱性の弱い基板を用いることができる。そのため、透明基板(光透過性を有する基板)上にトランジスタを製造できる。そして、該基板上のトランジスタを用いて表示素子での光の透過を制御することができる。あるいは、トランジスタの膜厚が薄いため、トランジスタを構成する膜の一部は、光を透過させることができる。そのため、開口率を向上させることができる。
【0113】
なお、多結晶シリコンを製造するときに、触媒(ニッケルなど)を用いることにより、結晶性をさらに向上させ、電気特性のよいトランジスタを製造することが可能となる。その結果、ゲートドライバ回路(走査線駆動回路)やソースドライバ回路(信号線駆動回路)、信号処理回路(信号生成回路、ガンマ補正回路、DA変換回路など)を基板上に一体形成することができる。
【0114】
なお、微結晶シリコンを製造するときに、触媒(ニッケルなど)を用いることにより、結晶性をさらに向上させ、電気特性のよいトランジスタを製造することが可能となる。このとき、レーザー照射を行うことなく、熱処理を加えるだけで、結晶性を向上させることができる。その結果、ソースドライバ回路の一部(アナログスイッチなど)及びゲートドライバ回路(走査線駆動回路)を基板上に一体形成することができる。さらに、結晶化のためにレーザー照射を行わない場合は、シリコンの結晶性のムラを抑えることができる。そのため、画質の向上した画像を表示することができる。
【0115】
ただし、触媒(ニッケルなど)を用いずに、多結晶シリコンや微結晶シリコンを製造することは可能である。
【0116】
なお、シリコンの結晶性を、多結晶又は微結晶などへと向上させることは、パネル全体で行うことが望ましいが、それに限定されない。パネルの一部の領域のみにおいて、シリコンの結晶性を向上させてもよい。選択的に結晶性を向上させることは、レーザー光を選択的に照射することなどにより可能である。例えば、画素以外の領域である周辺回路領域にのみ、レーザー光を照射してもよい。又は、ゲートドライバ回路、ソースドライバ回路等の領域にのみ、レーザー光を照射してもよい。あるいは、ソースドライバ回路の一部(例えば、アナログスイッチ)の領域にのみ、レーザー光を照射してもよい。その結果、回路を高速に動作させる必要がある領域にのみ、シリコンの結晶化を向上させることができる。画素領域は、高速に動作させる必要性が低いため、結晶性が向上されなくても、問題なく画素回路を動作させることができる。結晶性を向上させる領域が少なくて済むため、製造工程も短くすることができ、スループットが向上し、製造コストを低減させることができる。また、必要とされる製造装置の数が少なくなるため、製造コストを低減させることができる。
【0117】
図11及び
図13に示す容量素子790は、トランジスタ750が有する半導体層と同一の膜を加工して形成され、低抵抗化された下部電極と、ソース電極又はドレイン電極と同一の導電膜を加工して形成される上部電極と、を有する。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750を覆う2層の絶縁膜が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造である。
【0118】
また、トランジスタ750、トランジスタ752、及び容量素子790上には平坦化絶縁膜770が設けられている。
【0119】
画素部702が有するトランジスタ750と、ソースドライバ704が有するトランジスタ752とは、異なる構造のトランジスタを用いてもよい。例えばいずれか一方にトップゲート型のトランジスタを適用し、他方にボトムゲート型のトランジスタを適用した構成としてもよい。なお、上記のソースドライバ704を、ゲートドライバ回路部と読み替えてもよい。
【0120】
信号線710は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極等と同じ導電膜で形成されている。このとき、銅元素を含む材料等の低抵抗な材料を用いると、配線抵抗に起因する信号遅延等が少なく、大画面での表示が可能となるため好ましい。
【0121】
端子部708は、接続電極760、異方性導電膜780、及びFPC716を有する。接続電極760は、FPC716が有する端子と異方性導電膜780を介して電気的に接続される。ここでは、接続電極760は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極等と同じ導電膜で形成されている。
【0122】
第1の基板701及び第2の基板705としては、例えばガラス基板、又はプラスチック基板等の可撓性を有する基板を用いることができる。
【0123】
また、第2の基板705側には、遮光膜738と、着色膜736と、これらに接する絶縁膜734と、が設けられる。
【0124】
〔液晶素子を用いる表示パネルの構成例〕
図11に示す表示パネル700は、液晶素子775を有する。液晶素子775は、導電層772、導電層774、及びこれらの間に液晶層776を有する。導電層774は、第2の基板705側に設けられ、共通電極としての機能を有する。また、導電層772は、トランジスタ750が有するソース電極又はドレイン電極と電気的に接続される。導電層772は、平坦化絶縁膜770上に形成され、画素電極として機能する。
【0125】
導電層772には、可視光に対して透光性の材料、又は反射性の材料を用いることができる。透光性の材料としては、例えば、インジウム、亜鉛、スズ等を含む酸化物材料を用いるとよい。反射性の材料としては、例えば、アルミニウム、銀等を含む材料を用いるとよい。
【0126】
導電層772に反射性の材料を用いると、表示パネル700は反射型の液晶表示パネルとなる。一方、導電層772に透光性の材料を用いると、透過型の液晶表示パネルとなる。反射型の液晶表示パネルの場合、視認側に偏光板を設ける。一方、透過型の液晶表示パネルの場合、液晶素子を挟むように一対の偏光板を設ける。
【0127】
図12に示す表示パネル700は、横電界方式(例えば、FFSモード)の液晶素子775を用いる例を示す。導電層772上に絶縁層773を介して、共通電極として機能する導電層774が設けられる。導電層772と導電層774との間に生じる電界によって、液晶層776の配向状態を制御することができる。
【0128】
図12において、導電層774、絶縁層773、導電層772の積層構造により保持容量を構成することができる。そのため、別途容量素子を設ける必要がなく、開口率を高めることができる。
【0129】
また、
図11及び
図12において図示しないが、液晶層776と接する配向膜を設ける構成としてもよい。また、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)、及びバックライト、サイドライトなどの光源を適宜設けることができる。
【0130】
液晶層776には、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、高分子ネットワーク型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。
【0131】
また、液晶素子のモードとしては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、ゲストホストモードなどを用いることができる。
【0132】
〔発光素子を用いる表示パネル〕
図13に示す表示パネル700は、発光素子782を有する。発光素子782は、導電層772、EL層786、及び導電膜788を有する。EL層786は、有機化合物、又は量子ドットなどの無機化合物を有する。
【0133】
有機化合物に用いることのできる材料としては、蛍光性材料又は燐光性材料などが挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。
【0134】
図13に示す表示パネル700には、平坦化絶縁膜770上に導電層772の一部を覆う絶縁膜730が設けられる。ここで、発光素子782は透光性の導電膜788有し、トップエミッション型の発光素子である。なお、発光素子782は、導電層772側に光を射出するボトムエミッション構造や、導電層772及び導電膜788の双方に光を射出するデュアルエミッション構造としてもよい。
【0135】
また、着色膜736は発光素子782と重なる位置に設けられ、遮光膜738は絶縁膜730と重なる位置、引き回し配線部711、及びソースドライバ704に設けられている。また、着色膜736及び遮光膜738は、絶縁膜734で覆われている。また、発光素子782と絶縁膜734の間は封止膜732で充填されている。なお、EL層786を画素毎に島状又は画素列毎に縞状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においては、着色膜736を設けない構成としてもよい。
【0136】
〔表示パネルに入力装置を設ける構成例〕
また、
図11乃至
図13に示す表示パネル700に入力装置を設けてもよい。当該入力装置としては、例えば、タッチセンサ等が挙げられる。
【0137】
例えばセンサの方式としては、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。又は、これら2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0138】
なお、タッチパネルの構成は、入力装置を一対の基板の内側に形成する、所謂インセル型のタッチパネル、入力装置を表示パネル700上に形成する、所謂オンセル型のタッチパネル、又は表示パネル700に貼り合わせて用いる、所謂アウトセル型のタッチパネルなどがある。
【0139】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0140】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0141】
(実施の形態3)
本実施の形態では、表示パネルについて、
図14を用いて説明を行う。
【0142】
図14(A)に示す表示パネルは、画素部702と、駆動回路部504と、保護回路791と、端子部707と、を有する。なお、保護回路791は、設けない構成としてもよい。
【0143】
画素部702や駆動回路部504が有するトランジスタに、OSトランジスタを適用することができる。また保護回路791にも、OSトランジスタを適用してもよい。
【0144】
画素部702は、X行Y列(X、Yはそれぞれ独立に2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動する複数の画素回路501を有する。
【0145】
駆動回路部504は、ゲート線GL_1乃至GL_Xに走査信号を出力するゲートドライバ706、データ線DL_1乃至DL_Yにデータ信号を供給するソースドライバ704などの駆動回路を有する。ゲートドライバ706は、少なくともシフトレジスタを有する構成とすればよい。またソースドライバ704は、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ704を構成してもよい。
【0146】
端子部707は、外部の回路から表示パネルに電源、制御信号、及び画像信号等を入力するための端子が設けられた部分をいう。
【0147】
保護回路791は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図14(A)に示す保護回路791は、例えば、ゲートドライバ706と画素回路501の間の配線である走査線GL、又はソースドライバ704と画素回路501の間の配線であるデータ線DL等の各種配線に接続される。
【0148】
また、ゲートドライバ706とソースドライバ704は、それぞれ画素部702と同じ基板上に設けられていてもよいし、ゲートドライバ回路又はソースドライバ回路が別途形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)をCOGやTAB(Tape Automated Bonding)によって基板に実装する構成としてもよい。
【0149】
また、
図14(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、
図14(B)、(C)に示す構成とすることができる。
【0150】
図14(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL等が接続されている。
【0151】
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
【0152】
また、
図14(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL_a、電源供給線VL_b等が接続されている。
【0153】
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。トランジスタ554のゲートに与えられる電位に応じて、発光素子572に流れる電流が制御されることにより、発光素子572からの発光輝度が制御される。
【0154】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0155】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0156】
(実施の形態4)
以下では、画素に表示される階調を補正するためのメモリを備える画素回路と、これを有する表示パネルについて説明する。
【0157】
[回路構成]
図15(A)に、画素回路400の回路図を示す。画素回路400は、トランジスタTr1、トランジスタTr2、容量C1、及び回路401を有する。また画素回路400には、配線S1、配線S2、配線G1、及び配線G2が接続される。
【0158】
トランジスタTr1は、ゲートが配線G1と、ソース及びドレインの一方が配線S1と、他方が容量C1の一方の電極と、それぞれ接続する。トランジスタTr2は、ゲートが配線G2と、ソース及びドレインの一方が配線S2と、他方が容量C1の他方の電極、及び回路401と、それぞれ接続する。
【0159】
回路401は、少なくとも一の表示素子を含む回路である。表示素子としては様々な素子を用いることができるが、代表的には有機EL素子やLED素子などの発光素子、液晶素子、又はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子等を適用することができる。
【0160】
トランジスタTr1と容量C1とを接続するノードをN1、トランジスタTr2と回路401とを接続するノードをN2とする。
【0161】
画素回路400は、トランジスタTr1をオフ状態とすることで、ノードN1の電位を保持することができる。また、トランジスタTr2をオフ状態とすることで、ノードN2の電位を保持することができる。また、トランジスタTr2をオフ状態とした状態で、トランジスタTr1を介してノードN1に所定の電位を書き込むことで、容量C1を介した容量結合により、ノードN1の電位の変位に応じてノードN2の電位を変化させることができる。
【0162】
ここで、トランジスタTr1、トランジスタTr2のうちの一方又は両方に、OSトランジスタを適用することができる。そのため極めて低いオフ電流により、ノードN1及びノードN2の電位を長期間に亘って保持することができる。なお、各ノードの電位を保持する期間が短い場合(具体的には、フレーム周波数が30Hz以上である場合等)には、シリコン等の半導体を適用したトランジスタを用いてもよい。
【0163】
[駆動方法例]
続いて、
図15(B)を用いて、画素回路400の動作方法の一例を説明する。
図15(B)は、画素回路400の動作に係るタイミングチャートである。なおここでは説明を容易にするため、配線抵抗などの各種抵抗や、トランジスタや配線などの寄生容量、及びトランジスタのしきい値電圧などの影響は考慮しない。
【0164】
図15(B)に示す動作では、1フレーム期間を期間T1と期間T2とに分ける。期間T1はノードN2に電位を書き込む期間であり、期間T2はノードN1に電位を書き込む期間である。
【0165】
〔期間T1〕
期間T1では、配線G1と配線G2の両方に、トランジスタをオン状態にする電位を与える。また、配線S1には固定電位である電位Vrefを供給し、配線S2には第1データ電位Vwを供給する。
【0166】
ノードN1には、トランジスタTr1を介して配線S1から電位Vrefが与えられる。また、ノードN2には、トランジスタTr2を介して第1データ電位Vwが与えられる。したがって、容量C1には電位差Vw-Vrefが保持された状態となる。
【0167】
〔期間T2〕
続いて期間T2では、配線G1にはトランジスタTr1をオン状態とする電位を与え、配線G2にはトランジスタTr2をオフ状態とする電位を与える。また、配線S1には第2データ電位Vdataを供給する。配線S2には所定の定電位を与える、又はフローティングとしてもよい。
【0168】
ノードN1には、トランジスタTr1を介して第2データ電位V
dataが与えられる。このとき、容量C1による容量結合により、第2データ電位V
dataに応じてノードN2の電位が電位dVだけ変化する。すなわち、回路401には、第1データ電位Vwと電位dVを足した電位が入力されることとなる。なお、
図15(B)ではdVが正の値であるように示しているが、負の値であってもよい。すなわち、電位V
dataが電位V
refより低くてもよい。
【0169】
ここで、電位dVは、容量C1の容量値と、回路401の容量値によって概ね決定される。容量C1の容量値が回路401の容量値よりも十分に大きい場合、電位dVは第2データ電位Vdataに近い電位となる。
【0170】
このように、画素回路400は、2種類のデータ信号を組み合わせて表示素子を含む回路401に供給する電位を生成することができるため、画素回路400内で階調の補正を行うことが可能となる。
【0171】
また画素回路400は、配線S1及び配線S2に供給可能な最大電位を超える電位を生成することも可能となる。例えば発光素子を用いた場合では、ハイダイナミックレンジ(HDR)表示等を行うことができる。また、液晶素子を用いた場合では、オーバードライブ駆動等を実現できる。
【0172】
[適用例]
〔液晶素子を用いた例〕
図15(C)に示す画素回路400LCは、回路401LCを有する。回路401LCは、液晶素子LCと、容量C2とを有する。
【0173】
液晶素子LCは、一方の電極がノードN2及び容量C2の一方の電極と、他方の電極が電位Vcom2が与えられる配線と接続する。容量C2は、他方の電極が電位Vcom1が与えられる配線と接続する。
【0174】
容量C2は保持容量として機能する。なお、容量C2は不要であれば省略することができる。
【0175】
画素回路400LCは、液晶素子LCに高い電圧を供給することができるため、例えばオーバードライブ駆動により高速な表示を実現すること、駆動電圧の高い液晶材料を適用することなどができる。また、配線S1又は配線S2に補正信号を供給することで、使用温度や液晶素子LCの劣化状態等に応じて階調を補正することもできる。
【0176】
〔発光素子を用いた例〕
図15(D)に示す画素回路400ELは、回路401ELを有する。回路401ELは、発光素子EL、トランジスタTr3、及び容量C2を有する。
【0177】
トランジスタTr3は、ゲートがノードN2及び容量C2の一方の電極と、ソース及びドレインの一方が電位VHが与えられる配線と、他方が発光素子ELの一方の電極と、それぞれ接続される。容量C2は、他方の電極が電位Vcomが与えられる配線と接続する。発光素子ELは、他方の電極が電位VLが与えられる配線と接続する。
【0178】
トランジスタTr3は、発光素子ELに供給する電流を制御する機能を有する。容量C2は保持容量として機能する。容量C2は不要であれば省略することができる。
【0179】
なお、ここでは発光素子ELのアノード側がトランジスタTr3と接続する構成を示しているが、カソード側にトランジスタTr3を接続してもよい。そのとき、電位VHと電位VLの値を適宜変更することができる。
【0180】
画素回路400ELは、トランジスタTr3のゲートに高い電位を与えることで、発光素子ELに大きな電流を流すことができるため、例えばHDR表示などを実現することができる。また、また、配線S1又は配線S2に補正信号を供給することで、トランジスタTr3や発光素子ELの電気特性のばらつきの補正を行うこともできる。
【0181】
なお、
図15(C)、(D)で例示した回路に限られず、別途トランジスタや容量などを追加した構成としてもよい。
【0182】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0183】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図面を参照して説明する。
【0184】
図16で例示する電子機器は、筐体と、表示部に本発明の一態様の表示パネルを備えるものである。したがって、筐体を折り畳めることで、小型で可搬性を保持し、且つ大きな表示領域が実現された電子機器である。
【0185】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す機能等を有することができる。
【0186】
電子機器200は、入出力装置220として機能する。センサ210、入出力装置220は、表示部230、入力部240及び検知部250を備える。検知部250は、光センサを備えることが好ましい。電子機器が第1の状態を保持するとき光センサの検出値を用いて表示部230の表示を非表示にすることができる。電子機器の利用者が、使用していない期間の消費電力を削減することができる。なおセンサ210は、位置情報を検出する位置センサ、カメラ、温度センサ、指紋センサ等の一つもしくは複数を備えていることが好ましい。
【0187】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0188】
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態で述べたOSトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0189】
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、又はその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、又はその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、又はパッチ状ともいう。
【0190】
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種が含まれていてもよい。
【0191】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする)、又はインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、及びZ2は0よりも大きい実数)とする)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする)、又はガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、及びZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、又はInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう)である。
【0192】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0193】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、及びOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、又はIn(1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0194】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、又はCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
【0195】
一方、CAC-OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC-OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0196】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0197】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域とは、明確な境界として観察することが難しい場合がある。
【0198】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0199】
CAC-OSは、例えば基板を加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つ又は複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0200】
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひとつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折測定から、測定領域のa-b面方向、及びc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0201】
またCAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域(リング領域)と、該リング領域に複数の輝点が観測される。したがって、電子線回折パターンから、CAC-OSの結晶構造が、平面方向、及び断面方向において、配向性を有さないnc(nano-crystal)構造を有することがわかる。
【0202】
また例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0203】
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0204】
ここで、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。したがって、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0205】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
【0206】
したがって、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、及び高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
【0207】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC-OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0208】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0209】
本明細書において、特に断りがない場合、オン電流とは、トランジスタがオン状態にあるときのドレイン電流をいう。オン状態(オンと略す場合もある)とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧(VG)がしきい値電圧(Vth)以上の状態、pチャネル型トランジスタでは、VGがVth以下の状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオン電流とは、VGがVth以上のときのドレイン電流を言う。また、トランジスタのオン電流は、ドレインとソースの間の電圧(VD)に依存する場合がある。
【0210】
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態(オフと略す場合もある)とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、VGがVthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、VGがVthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、VGがVthよりも低いときのドレイン電流を言う。トランジスタのオフ電流は、VGに依存する場合がある。したがって、トランジスタのオフ電流が10-21A未満である、とは、トランジスタのオフ電流が10-21A未満となるVGの値が存在することを言う場合がある。
【0211】
また、トランジスタのオフ電流は、VDに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、VDの絶対値が0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、又は20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVDにおけるオフ電流を表す場合がある。
【0212】
なお、電圧とは2点間における電位差のことをいい、電位とはある一点における静電場の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。ただし、一般的に、ある一点における電位と基準となる電位(例えば接地電位)との電位差のことを、単に電位もしくは電圧と呼び、電位と電圧が同義語として用いられることが多い。このため、本明細書では特に指定する場合を除き、電位を電圧と読み替えてもよいし、電圧を電位と読み替えてもよいこととする。
【0213】
本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。
【0214】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0215】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
【0216】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【符号の説明】
【0217】
C1:容量、C2:容量、G1:配線、G2:配線、S1:配線、S2:配線、Tr1:トランジスタ、Tr2:トランジスタ、Tr3:トランジスタ、10:電子機器、10A:電子機器、10B:電子機器、10C:電子機器、11:表示パネル、11a:表示領域、11b:表示領域、11c:表示領域、11C:電子機器、20:部品、20a:部品、20s1:開口部、20s2:空間、20s3:開口部、20s4:開口部、21:部品、21a:部品、21b:部品、21s:空間、22:部品、22a:空間、22b:構造物、23:部品、24:部品、25:部品、25a:部品、25b:部品、25c:部品、25d:部品、26:可動部、27:筐体、30:可動モジュール、30a:部品、30b:可動部、31a:部品、31b:可動部、32a:部品、32b:可動部、32c:空間、33a:部品、33b:可動部、33c:空間、34a:部品、34b:部品、40:固定具、50:電子部品、51:電子部品、52:電子部品、53:電子部品、60:空間、200:電子機器、210:センサ、220:入出力装置、230:表示部、240:入力部、250:検知部、400:画素回路、400EL:画素回路、400LC:画素回路、401:回路、401EL:回路、401LC:回路、501:画素回路、504:駆動回路部、550:トランジスタ、552:トランジスタ、554:トランジスタ、560:容量素子、562:容量素子、570:液晶素子、572:発光素子、700:表示パネル、701:基板、702:画素部、704:ソースドライバ、705:基板、706:ゲートドライバ、707:端子部、708:端子部、710:信号線、711:配線部、712:シール材、716:FPC、730:絶縁膜、732:封止膜、734:絶縁膜、736:着色膜、738:遮光膜、750:トランジスタ、752:トランジスタ、760:接続電極、770:平坦化絶縁膜、772:導電層、773:絶縁層、774:導電層、775:液晶素子、776:液晶層、780:異方性導電膜、782:発光素子、786:EL層、788:導電膜、790:容量素子、791:保護回路