(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】リニューアル設備の配線評価システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/58 20200101AFI20240702BHJP
【FI】
G01R31/58
(21)【出願番号】P 2023030679
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2018111490の分割
【原出願日】2018-06-12
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】溝口 英史
(72)【発明者】
【氏名】小島 美典
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-139658(JP,A)
【文献】特開2003-75495(JP,A)
【文献】特開2002-257890(JP,A)
【文献】特開2005-62050(JP,A)
【文献】特開2015-230652(JP,A)
【文献】特開2013-185864(JP,A)
【文献】特開2012-112764(JP,A)
【文献】特開平7-333291(JP,A)
【文献】特開2015-1488(JP,A)
【文献】特許第7237471(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50-31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備の配線評価システムであって、
前記基幹装置側又は前記端末機器側に配置され、前記複数の既設配線の中から評価対象配線を選択
するための切替え順
が予め記憶
されており、当該切替え順で前記評価対象配線を順次選択して所定の試験電文を送信する試験送信装置と、
前記試験送信装置の配置側とは反対側となる前記基幹装置側又は前記端末機器側に配置され、前記複数の既設配線の中から前記試験送信装置で選択されたのと同じ評価対象配線
を選択するために前記切替え順
が予め記憶
されており、当該切替え順で前記評価対象配線を順次選択して、前記試験送信装置から送信された前記試験電文を受信して信頼性を評価する試験評価装置と、
を備え、
前記既設電線管は、前記複数の既設配線以外の所定の信号配線を通しており、
前記信号配線に、前記複数の既設配線が通常使用時に伝送する信号に影響を及ぼす適宜の信号が供給されている状態で、前記試験送信装置と前記試験評価装置を動作させて前記評価対象配線の評価試験を行うことを特徴とするリニューアル設備の配線評価システム。
【請求項2】
既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備の配線評価システムであって、
前記基幹装置側と前記端末機器側の間に設けられた試験用配線と、
前記基幹装置側又は前記端末機器側に設置され、前記複数の既設配線の中から評価対象配線を選択
するための切替え順
が予め記憶
されており、当該切替え順で前記評価対象配線を順次選択して所定の試験電文を送信すると共に、前記試験用配線から前記試験電文を受信して信頼性を評価する試験評価装置と、
前記試験評価装置の配置側とは反対側となる前記基幹装置側又は前記端末機器側に配置され、前記複数の既設配線の中から前記試験評価装置で選択されたのと同じ評価対象配線
を選択するために前記切替え順
が予め記憶
されており、当該切替え順で前記評価対象配線を順次選択して前記試験用配線に折り返し接続する端末折返し装置と、
を備え、
前記既設電線管は、前記複数の既設配線以外の所定の信号配線を通しており、
前記信号配線に、前記複数の既設配線が通常使用時に伝送する信号に影響を及ぼす適宜の信号が供給されている状態で、前記試験評価装置と前記端末折返し装置を動作させて前記評価対象配線の評価試験を行うことを特徴とするリニューアル設備の配線評価システム。
【請求項3】
既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備の配線評価システムであって、
前記基幹装置側と前記端末機器側の間に設けられた試験用配線と、
前記基幹装置側又は前記端末機器側に設置され、前記複数の既設配線の中から評価対象配線を選択
するための切替え順
が予め記憶
されており、当該切替え順で前記評価対象配線を順次選択して所定の試験電文を送信すると共に、前記試験用配線から前記試験電文を受信して信頼性を評価する試験評価装置と、
前記試験評価装置の配置側とは反対側となる前記基幹装置側又は前記端末機器側に配置され、前記複数の既設配線の中から前記試験評価装置で選択されたのと同じ評価対象配線
を選択するために前記切替え順
が予め記憶
されており、当該切替え順で前記評価対象配線を順次選択して前記試験用配線に折り返し接続する端末折返し装置と、
を備え、
前記試験用配線は、前記端末折返し装置から前記試験評価装置に向けて接続した2本の試験用上り配線であり、
前記試験評価装置は、複数の既設配線の中から2本単位に評価対象配線を順次選択して前記試験電文を送信すると共に、前記2本の試験用上り配線から前記端末折返し装置で折り返した前記試験電文を受信して信頼性を評価し、
前記端末折返し装置は、前記複数の既設配線の中から2本単位に前記試験評価装置で選択されたのと同じ評価対象配線を順次選択して前記2本の試験用上り配線に接続することを特徴とするリニューアル設備の配線評価システム。
【請求項4】
既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備の配線評価システムであって、
前記基幹装置側と前記端末機器側の間に設けられた試験用配線と、
前記基幹装置側又は前記端末機器側に設置され、前記複数の既設配線の中から評価対象配線を選択
するための切替え順
が予め記憶
されており、当該切替え順で前記評価対象配線を順次選択して所定の試験電文を送信すると共に、前記試験用配線から前記試験電文を受信して信頼性を評価する試験評価装置と、
前記試験評価装置の配置側とは反対側となる前記基幹装置側又は前記端末機器側に配置され、前記複数の既設配線の中から前記試験評価装置で選択されたのと同じ評価対象配線
を選択するために前記切替え順
が予め記憶
されており、当該切替え順で前記評価対象配線を順次選択して前記試験用配線に折り返し接続する端末折返し装置と、
を備え、
前記試験用配線は、
前記試験評価装置から前記端末折返し装置に向けて接続した1本の試験用下り配線と、
前記端末折返し装置から前記試験評価装置に向けて接続した2本の試験用上り配線と、
を備え、
前記試験評価装置は、複数の既設配線の中から1本単位に評価対象配線を順次選択し、選択した評価対象配線と前記試験用下り配線の2本に対し前記試験電文を送信すると共に、前記2本の試験用上り配線から前記端末折返し装置で折り返した前記試験電文を受信して信頼性を評価し、
前記端末折返し装置は、前記複数の既設配線を回り込み防止用のダイオードを介して共通接続すると共に、前記共通接続された終端側を前記試験用上り配線の一方に折返し接続し、前記試験用下り配線を前記試験用上り配線の他方に折返し接続したことを特徴とするリニューアル設備の配線評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニューアルする制御盤等の基幹装置と端末機器の接続に使用する既設配線の信頼性を評価するリニューアル設備の配線評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災発生時に二酸化炭素やハロンガス等の消火ガスを放出して火災を消火するガス系消火設備は、水損や汚損を嫌う機器を設置している室内において、消火による機器損失を最小限に抑えつつ迅速な消火を行うことを可能とする。
【0003】
このようなガス系消火設備は、制御盤に自動モードを設定していた場合には、防護区画に設置した2回線に接続された各火災感知器からの火災発報(2回線のAND発報)があった場合に、所定時間のカウントダウンを開始し、カウントダウンが終了すると、ガス放出条件が成立したと判断して、制御盤から起動装置に起動信号を出力して動作し、起動装置から二酸化炭素等の開放ガスを防護区画に対応したガス供給配管に設けた選択弁に供給して開くと共に消火ガス貯蔵容器の栓を開け、噴射ヘッドから消火ガスを放出する。
【0004】
また、制御盤に手動モードを設定していた場合には、監視員が目視又は火災感知器の発報によって火災を発見し、操作箱の扉を開いて起動スイッチを押すことで制御盤がカウントダウンを開始し、カウントダウンが終了すると同様にして消火ガスを放出する。
【0005】
図19は、30年ほど前に設置された古いガス系消火設備に設けた制御盤と操作箱の間の結線図である。
図19において、制御盤100には操作箱102からの起動信号と非常停止信号を受信する起動用受信部104、操作箱102に電源を供給する電源部106及び操作箱102側との通話連絡に使用する電話器をプラグで接続する電話ジャック110を備えた通話回路部108を設けている。
【0006】
また、操作箱102には、起動操作によりオンして起動信号を送信する起動スイッチ112、カウントダウン中の非常停止操作によりオンして非常停止信号を送信する非常停止スイッチ114、電源供給状態で点灯する電源灯116及び非常電話機のプラグを接続する電話ジャック118を設けている。
【0007】
制御盤100と操作箱102の間は、起動信号線S1、非常停止信号線S2、グランド線G、電源線KD、電源コモン線KDC、電話線T及び電話コモン線TCからなる6本の配線でパラレル結線しており、グランド線Gを除く6本の配線は例えば6芯ケーブル等を使用することで、制御盤100と操作箱102との間に埋設設置した電線管を通して結線している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平6-062432号公報
【文献】特開平11-245809号公報
【文献】特開2015-139658号公報
【文献】特開2003-75495号公報
【文献】特開2005-62050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで
図19に示したような設置から30年近くが経過したガス系消火設備にあっては、設備を構成する機器が老朽化していることから、設備機能を維持する共に現在設置しているガス系消火設備と同等な機能を持たせるように設備のリニューアルを必要とする時期に達している。
【0010】
この設備リニューアルにあっては、機能の拡張が図られた制御盤及び操作箱に置き換える工事を行い、また、制御盤と操作箱との間は、伝送線が少なくて済むシリアル伝送により各種信号を伝送するようにしている。
【0011】
この場合、リニューアルした制御盤と操作箱との間に新たに電線管を敷設して必要な本
数の配線を通すことは、施設の構造物の一部を壊して電線管を敷設する作業が必要となり、このような改修工事は行うことには無理があり、設備をリニューアルする場合の大きなネックとなっている。そこで、既設の電線管に通している配線をそのまま使用して、リニューアルした制御盤と操作箱との間を接続することが考えられる。
【0012】
しかしながら、既設の配線は設置からかなりの年数が経過しているため、絶縁抵抗やインピーダンスにばらつきがあることが想定され、シリアル伝送を行った場合に必要とする伝送品質が得られない場合が考えられる。
【0013】
また既設の電線管には防護区画に設置したスピーカに放送信号を送る放送配線も一緒に通しており、ガス放出制御に伴う放送中には大きな電力の放送信号が放送配線に流れ、制御盤と操作箱を結線している配線によっては大きなノイズが混入する場合があり、このような配線をシリアル伝送に使用していると伝送障害を起こし、必要とする信号のシリアル伝送が正常にできなくなる場合が想定される。
【0014】
本発明は、リニューアルした制御盤等の基幹装置と端末機器を結線する既設配線の信頼性を試験評価して伝送に適した既設配線の選定を可能とするリニューアル設備の配線評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[第1発明]
(リニューアル設備の配線評価システム)
本発明は、既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備の配線評価システムであって、
基幹装置側又は端末機器側に配置され、複数の既設配線の中から評価対象配線を選択しするための切替え順が予め記憶されており、当該切替え順で評価対象配線を順次選択して所定の試験電文を送信する試験送信装置と、
試験送信装置の配置側とは反対側となる基幹装置側又は端末機器側に配置され、複数の既設配線の中から試験送信装置で選択されたのと同じ評価対象配線を選択するために切替え順が予め記憶されており、当該切替え順で評価対象配線を順次選択して、試験送信装置から送信された試験電文を受信して信頼性を評価する試験評価装置と、
を備え、
既設電線管は、複数の既設配線以外の所定の信号配線を通しており、
信号配線に、複数の既設配線が通常使用時に伝送する信号に影響を及ぼす適宜の信号が供給されている状態で、試験送信装置と試験評価装置を動作させて評価対象配線の評価試験を行うことを特徴とする。
【0016】
[第2発明]
(配線評価システム:端末折返し方式)
本発明は、既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備の配線評価システムであって、
基幹装置側と端末機器側の間に設けられた試験用配線と、
基幹装置側又は端末機器側に設置され、複数の既設配線の中から評価対象配線を選択しするための切替え順が予め記憶されており、当該切替え順で評価対象配線を順次選択して所定の試験電文を送信すると共に、試験用配線から試験電文を受信して信頼性を評価する試験評価装置と、
試験評価装置の配置側とは反対側となる基幹装置側又は端末機器側に配置され、複数の既設配線の中から試験評価装置で選択されたのと同じ評価対象配線を選択するために切替え順が予め記憶されており、当該切替え順で評価対象配線を順次選択して試験用配線に折り返し接続する端末折返し装置と、
を備え、
既設電線管は、複数の既設配線以外の所定の信号配線を通しており、
信号配線に、複数の既設配線が通常使用時に伝送する信号に影響を及ぼす適宜の信号が供給されている状態で、試験評価装置と端末折返し装置を動作させて評価対象配線の評価試験を行うことを特徴とする。
【0017】
[第3発明]
(端末折返しによる既設配線の2本単位の評価試験)
本発明は、既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備の配線評価システムであって、
基幹装置側と端末機器側の間に設けられた試験用配線と、
基幹装置側又は端末機器側に設置され、複数の既設配線の中から評価対象配線を選択しするための切替え順が予め記憶されており、当該切替え順で評価対象配線を順次選択して所定の試験電文を送信すると共に、試験用配線から試験電文を受信して信頼性を評価する試験評価装置と、
試験評価装置の配置側とは反対側となる基幹装置側又は端末機器側に配置され、複数の既設配線の中から試験評価装置で選択されたのと同じ評価対象配線を選択するために切替え順が予め記憶されており、当該切替え順で評価対象配線を順次選択して試験用配線に折り返し接続する端末折返し装置と、
を備え、
試験用配線は、端末折返し装置から試験評価装置に向けて接続した2本の試験用上り配線であり、
試験評価装置は、複数の既設配線の中から2本単位に評価対象配線を順次選択して試験電文を送信すると共に、2本の試験用上り配線から端末折返し装置で折り返した試験電文を受信して信頼性を評価し、
端末折返し装置は、複数の既設配線の中から2本単位に試験評価装置で選択されたのと同じ評価対象配線を順次選択して2本の試験用上り配線に接続する。
【0018】
[第4発明]
(端末折返しによる既設配線の1本単位の評価試験)
本発明は、既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備の配線評価システムであって、
基幹装置側と端末機器側の間に設けられた試験用配線と、
基幹装置側又は端末機器側に設置され、複数の既設配線の中から評価対象配線を選択しするための切替え順が予め記憶されており、当該切替え順で評価対象配線を順次選択して所定の試験電文を送信すると共に、試験用配線から試験電文を受信して信頼性を評価する試験評価装置と、
試験評価装置の配置側とは反対側となる基幹装置側又は端末機器側に配置され、複数の既設配線の中から試験評価装置で選択されたのと同じ評価対象配線を選択するために切替え順が予め記憶されており、当該切替え順で評価対象配線を順次選択して試験用配線に折り返し接続する端末折返し装置と、
を備え、
試験用配線は、
試験評価装置から端末折返し装置に向けて接続した1本の試験用下り配線と、
端末折返し装置から試験評価装置に向けて接続した2本の試験用上り配線と、
を備え、
試験評価装置は、複数の既設配線の中から1本単位に評価対象配線を順次選択し、選択した評価対象配線と試験用下り配線の2本に対し試験電文を送信すると共に、2本の試験用上り配線から端末折返し装置で折り返した試験電文を受信して信頼性を評価し、
端末折返し装置は、複数の既設配線を回り込み防止用のダイオードを介して共通接続すると共に、共通接続された終端側を試験用上り配線の一方に折返し接続し、試験用下り配線を試験用上り配線の他方に折返し接続する。
【発明の効果】
【0019】
[第1発明の効果]
(第1発明による基本的な効果)
本発明は、既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備の配線評価システムに於いて、基幹装置側又は端末機器側に配置され、複数の既設配線の中から評価対象配線を順次選択して所定の試験電文を送信する試験送信装置と、試験送信装置の配置側とは反対側となる基幹装置側又は端末機器側に配置され、複数の既設配線の中から試験送信装置で選択したと同じ評価対象配線を順次選択して、試験送信装置から送信された試験電文を受信して信頼性を評価する試験評価装置とを設けるようにしたため、電線管に通している既設配線の中から例えばシリアル伝送に対する信頼性の高い順に2本の既設配線を選択して新設した制御盤と操作箱との間のシリアル伝送に使用することができ、既設配線を使用して新設した基幹装置と端末機器との間で伝送を行うリニューアル設備の信頼性と安定性を確実に確保可能とする。
【0020】
また、リニューアルした制御盤と操作箱との間に、施設の構造物の一部を壊して新たに電線管を敷設して必要な本数の配線を通すような改修工事が不要となり、設備のリニューアルに要するコストの低減を可能とする。
【0021】
(エラー率による信頼性評価の効果)
また、試験送信装置は、試験電文を所定の伝送速度且つ所定の送信レベルにより複数回送信し、試験評価装置は、試験電文を受信してエラー率を測定し、測定したエラー率に基づいて信頼性のある既設配線を判定して表示するようにしたため、新設した基幹装置と端末機器との間で実際に行う例えばシリアル伝送と同じ条件で試験電文を送信してエラー率を測定して評価することが可能となり、実際の運用に対応した最適な既設配線の選択を可能とする。
【0022】
(放送信号による動的評価による効果)
また、既設電線管には端末機器側に設置したスピーカとの間を結線している放送配線を通しており、基幹装置からスピーカに放送配線を介して放送信号を送信している状態で、試験送信装置と試験評価装置を動作するようにしたため、既設配線の中から放送配線に流す放送信号の影響を受けにくい既設配線を選択して新設した基幹装置と端末機器との間のシリアル伝送に使用することを可能とし、リニューアル設備の信頼性と安定性を更に確実なものとすることを可能とする。
【0023】
この効果は、既設電線管に通している端末機器側に設置した電力駆動負荷との間を結線している負荷駆動配線に駆動信号を供給している状態で、試験送信装置と試験評価装置を動作した場合にも、同様に得られる。
【0024】
(既設配線の2本単位の評価試験)
また、試験送信装置は、複数の既設配線の中から2本単位に評価対象配線を順次選択して試験電文を送信し、試験評価装置は、複数の既設配線の中から2本単位に試験送信装置で選択したと同じ評価対象配線を順次選択し、選択した評価対象配線から試験電文を受信して信頼性を評価するようにしたため、既設配線の2本単位の組み合わせに対する信頼性の評価を可能とし、複数の既設配線の中から信頼性評価が最も高い2本の既設配線の組合せを選択することで、リニューアル設備で行うシリアル伝送の信頼性と安定性を確保可能とする。
【0025】
(既設配線の1本単位の評価試験による効果)
また、試験送信装置は、複数の既設配線の中から1本単位に評価対象配線を順次選択し、選択した評価対象配線と予め設けた試験用配線の2本に対し試験電文を送信し、試験評価装置は、複数の既設配線の中から1本単位に試験送信装置で選択したと同じ評価対象配線を順次選択し、選択した評価対象配線と試験用配線の2本から試験電文を受信して信頼性を評価するようにしたため、既設配線の1本単位の信頼性の評価を可能とし、複数の既設配線の中から信頼性評価が高い順に既設配線の2本を選択することで、リニューアル設備で行うシリアル伝送の信頼性と安定性を確保可能とする。
【0026】
(既設配線の自動選択による評価試験の効果)
また、試験送信装置は、試験電文を含む各種電文を送受信する第1送受信部と、第1送受信部に、複数の既設配線の中から評価対象配線を選択して接続する第1配線選択部と、第1配線選択部により複数の既設配線の中から評価対象配線を順次選択しながら第1送受信部により試験開始電文を送信し、その確認応答電文を受信した場合に試験電文を送信する制御を行う送信制御部とを備え、試験評価装置は、試験電文を含む各種電文を送受信する第2送受信部と、第2送受信部に、複数の既設配線の中から評価対象配線を選択して接続する第2配線選択部と、第2配線選択部により複数の既設配線の中から試験送信装置で選択したと同じ評価対象配線を順次選択し、選択した評価対象配線から第2送受信部により試験開始電文を受信した場合にその確認応答電文を送信し、続いて、試験電文を受信して信頼性を評価する制御を行う受信制御部とを備えるようにしたため、例えば、試験送信装置及び試験評価装置による評価対象配線として同じ既設配線を初期設定して評価試験を開始することで、複数の既設配線に対し総当り的に順次選択接続を行いながら自動的に評価試験を行うことを可能とし、検査員が一人であっても既設配線の評価を簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0027】
(既設配線の手動選択による評価試験の効果)
また、試験送信装置は、試験電文を含む各種電文を送受信する第1送受信部と、選択操作に基づいて、第1送受信部に、複数の既設配線の中から評価対象配線を選択して接続する第1配線選択部と、第1配線選択部により選択した評価対象配線に第1送受信部により試験開始電文を送信し、試験評価装置から確認応答電文を受信した場合に試験電文を送信する制御を行う送信制御部とを備え、試験評価装置は、試験電文を含む各種電文を送受信する第2送受信部と、選択操作に基づいて、第2送受信部に、複数の既設配線の中から評価対象配線を選択して接続する第2配線選択部と、第2配線選択部により選択した試験対象配線から第2送受信部により試験開始電文を受信した場合に確認応答電文を送信し、続いて試験電文を受信して信頼性を評価する制御を行う受信制御部とを備えるようにしたため、試験送信装置及び試験評価装置の各々で、トランシーバ等で検査員が連絡を取りながら手動で同じ既設信号線を選択する操作を行って評価試験を開始すると、まず試験送信装置から試験開始電文を送信し、これに対し試験評価装置から確認応答電文を送信することで、試験送信装置及び試験評価装置の各々が同じ既設配線を選択して接続していることを確認して試験電文を送信することとなり、試験送信装置及び試験評価装置で手動操作による既設配線を別々に切替えていても、既設配線の同期的な選択操作による試験電文の送信による評価を可能とする。
【0028】
[第2発明の効果]
(第2発明による基本的な効果)
本発明は、既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備の配線評価システムに於いて、基幹装置側と端末機器側の間に設けた試験用配線と、基幹装置側又は端末機器側に設置され、複数の既設配線の中から評価対象配線を順次選択して所定の試験電文を送信し、試験用配線から試験電文を受信して信頼性を評価する試験評価装置と、試験評価装置の配置側とは反対側となる基幹装置側又は端末機器側に配置され、複数の既設配線の中から試験評価装置で選択したと同じ評価対象配線を順次選択して試験用配線に折り返し接続する端末折返し装置とを設けるようにしたため、端末折返し装置は試験評価装置で選択したと同じ評価対象配線を選択して試験用配線に折返し接続するだけであり、評価対象配線に対する試験電文の送信と端末折返し装置で折り返した試験電文の受信による評価は全て試験評価装置で行うこととなり、評価試験の機能を試験評価装置の1台に集約することで、端末折返し装置は評価対象配線を試験用配線に折り返し接続するだけの簡単な装置となり、実質的に1台の装置による既設配線の評価を可能とし、第1発明の効果に加え、装置構成を簡単にしてコストを低減可能とする。
【0029】
(端末折返しによる既設配線の1本単位の評価試験による効果)
また、試験用配線は、試験評価装置から端末折返し装置に向けて接続した1本の試験用下り配線と、端末折返し装置から試験評価装置に向けて接続した2本の試験用上り配線と、
を備え、試験評価装置は、複数の既設配線の中から1本単位に評価対象配線を順次選択し、選択した評価対象配線と試験用下り配線の2本に対し試験電文を送信すると共に、2本の試験用上り配線から試験用端末装置で折り返した試験電文を受信して信頼性を評価し、端末折返し装置は、複数の既設配線を回り込み防止用のダイオードを介して共通接続した後に試験用上り配線の一方に折返し接続し、試験用下り配線を試験用上り配線の他方に折返し接続するようにしたため、試験評価装置側に検査員が一人付くだけで、既設配線の評価試験を行うことができ、評価試験を簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0030】
また、端末折返し装置は、既設配線を回り込み防止用のダイオードを介して共通接続して試験用上り配線に折返し接続するといった極めて簡単な折返し回路で済み、装置構成を簡単にしてコストを低減可能とする。
【0031】
(第2発明のそれ以外の効果)
第2発明における、エラー率による信頼性の評価による効果、放送信号による動的評価による効果、既設配線の2本単位の評価試験(自動選択及び手動選択)による効果は、基本的に第1発明の場合と同様になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】ガス系消火設備に設けた制御盤の機能構成を、操作箱を含む設備機器と共に示した説明図
【
図3】制御盤と操作箱の機能構成を6本の信号線とグランド用電線管による結線と共に示したブロック図
【
図4】試験送信装置と試験評価装置を設けて自動選択により2本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図
【
図5】
図4の配線評価システムで使用する配線選択情報を示した説明図
【
図6】
図4の配線評価システムによる処理動作を示したタイムチャート
【
図7】試験送信装置と試験評価装置を設けて手動選択により2本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図
【
図8】
図7の配線評価システムによる処理動作を示したタイムチャート
【
図9】信試験送信装置と試験評価装置を設けて自動選択により1本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図
【
図10】送信試験装置と試験評価装置を設けて手動選択により1本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図
【
図11】試験評価装置と端末折返し装置を設けて自動選択により2本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図
【
図12】
図11の配線評価システムによる処理動作を示したタイムチャート
【
図13】試験評価装置と端末折返し装置を設けて手動選択により2本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図
【
図14】
図13の配線評価システムによる処理動作を示したタイムチャート
【
図15】試験評価装置と端末折返し装置を設けて自動選択により1本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図
【
図16】
図15の配線評価システムによる処理動作を示したタイムチャート
【
図17】試験評価装置と端末折返し装置を設けて手動選択により1本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図
【
図18】
図17の配線評価システムによる処理動作を示したタイムチャート
【
図19】制御盤と操作箱の間を6本の信号線で結線した従来設備を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0033】
[目次]
1 ガス系消火設備の概要
2 設備の機能構成
3 既設配線を2本単位に自動選択する配線評価システム
4 既設配線を2本単位に手動選択する配線評価システム
5 既設配線を1本単位に自動選択する配線評価システム
6 既設配線を1本単位に手動選択する配線評価システム
7 端末折返しにより既設配線を2本単位に自動選択する配線評価システム
8 端末折返しにより既設配線を2本単位に手動選択する配線評価システム
9 端末折返しにより既設配線を1本単位に自動選択する配線評価システム
10 端末折返しにより既設配線を2本単位に手動選択する配線評価システム
11 本発明の変形例
【0034】
[1 ガス系消火設備の概要]
図1はリニューアル設備の一例としてガス系消火設備の全体構成図を示した説明図である。
図1に示すように、ガス系消火設備には、ガス系の消火設備を一括制御する基幹装置として機能する制御盤10を設け、また防護区画A,Bとなる各部屋の外に端末機器として機能する操作箱12を設置し、制御盤10に配線接続している。
【0035】
操作箱12は起動スイッチと起動スイッチを保護する扉を備え、手動モードを設定している場合、人が火災を発見したときに扉を開けて起動スイッチを操作することにより制御盤10に起動信号を送信し、消火剤としての消火ガスを放出させる。放出表示灯15は監視区域内に消火ガスが放出されていることを表示し、室内に入らないことを知らせる。
【0036】
制御盤10に対し本実施形態にあっては、最大で例えば4台の操作箱12を配線接続することが可能であり、4つの防護区画のガス放出制御を制御盤10で行う場合を例にとっている。
【0037】
噴射ヘッド14は防護区画A,B毎に設けられ、消火ガスを室内に放出する。スピーカ13は消火ガスが放出されることを放送し、人が防護区画内に存在する場合は直ちに避難することを促す。消火ガス貯蔵容器16は消火ガスを貯蔵する。消火ガス貯蔵容器16からのガス供給配管21は、閉止弁23を介して防護区画A,Bに対応してガス供給配管21に分岐して噴射ヘッド14に接続しており、この分岐部分のガス供給配管21のそれぞれに選択弁17を設けている。
【0038】
起動装置18は防護区画A,Bに対応して設け、制御盤10から消火ガス放出用の起動信号を受けて内蔵したソレノイドの通電により開弁して二酸化炭素などの開放ガスを放出し、開放ガスにより選択弁17を開放させると共に消火ガス貯蔵容器16の栓を開ける。選択弁17は起動装置18の起動による開放ガスを受けて開き、ガス供給配管21を介して火災の生じた防護区画A,Bの噴射ヘッド14に消火ガスを供給して噴射させる。
【0039】
火災感知器11は2回線の感知器回線で各防護区画A,Bの火災を監視している。圧力スイッチ20は消火ガス貯蔵容器16から消火ガスが放出されたことを検出し、制御盤10に検出信号を送り、火災の発生した防護区画に対応した放出表示灯15を点滅させる。ピストンレリーザ19は消火ガスが部屋に放出されたとき消火ガスを室外に漏れないようにダンパーで排煙口を閉じる。閉止弁23は消火ガス貯蔵容器16からの消火ガスの供給を手動で閉止する。
【0040】
[2 設備の機能構成]
図2はガス系消火設備に設けた制御盤の機能構成を、操作箱を含む設備機器と共に示したブロック図、
図3は制御盤及び操作箱の機能構成を配線接続と共に示したブロック図である。
【0041】
(制御盤の構成)
図2に示すように、ガス系消火設備は制御盤10を備え、制御盤10に対しては、防護施設内の例えば最大4つの防護区画に対応して、操作箱12、2系統の火災感知器11、起動装置18及びスピーカ13を配線接続している。
【0042】
制御盤10は回線ユニット24を備え、回線ユニット24に対しては、操作部26、表示部28、移報部30、スピーカ駆動部32及び7セグメント表示部34を設けている。
【0043】
制御盤10のガス系消火制御は
図1と共に説明すると次のようになる。制御盤10に自動モードを設定していた場合には、例えば防護区画Aに対する2系統の感知器回線に接続された各火災感知器11からの火災発報(2回線のAND発報)があった場合に所定時間のカウントダウンを開始と共にスピーカ13から消火ガスが放出されることを示す注意警報と退避警報を放送する。
【0044】
制御盤10には2桁表示の7セグメント表示部34を設けており、通常はカウントダウン初期値として所定の秒数を表示しており、カウントダウンを開始すると、残り時間の秒数を順次表示し、カウントダウン終了で零秒を表示する。
【0045】
このカウントダウンが終了するとガス放出条件が成立したと判定し、制御盤10から起動装置18にガス放出信号を出力して動作し、起動装置18から二酸化炭素等の開放ガスを選択弁17に供給して開くと共に消火ガス貯蔵容器16の栓を開け、ガス供給配管21を介して噴射ヘッド14から防護区画Aの室内に消火ガスを放出させる自動起動制御を行う。
【0046】
また、制御盤10に手動モードを設定していた場合には、監視員が目視又は火災感知器11の発報によって例えば防護区画Aの火災を発見し、防護区画Aの外側に設置している操作箱12の扉を開いて起動スイッチを押すことで起動信号を制御盤10に送信してカウントダウンを開始させ、カウントダウンが終了するとガス放出条件が成立したと判定し、自動モードの場合と同様にして防護区画Aの噴射ヘッド14から消火ガスを放出させる手動起動制御を行う。
【0047】
このような自動モード又は手動モードを設定した場合の動作においては、制御盤10から各操作箱12へ、あるいは各操作箱12から制御盤10に対して、各種の信号が伝送される。
【0048】
(制御盤の回線ユニット)
図3は制御盤と操作箱の機能構成を6本の配線とグランド用電線管による結線と共に示したブロック図である。
【0049】
図3に示すように、制御盤10に設けた回線ユニット24は、複数の防護区画の火災を監視すると共に火災に伴う消火ガスの放出制御を行うものであり、制御手段として機能する制御部38を備え、制御部38に対し
図2に示した操作部26、表示部28、移報部30及び7セグメント表示部34を接続している。
【0050】
また、制御部38は操作箱送受信部40を接続し、操作箱送受信部40から電線管64を通して引き出した例えば6本の配線を、防護区画の入口に設けた4台の操作箱12に順次接続している。制御盤10及び操作箱12には固有のアドレスが予め設定されており、制御盤10と操作箱12の間で少なくとも送信元アドレスを含む各種の電文信号(以下「電文」という)をシリアル伝送により送受信する。また、電線管64には、
図2に示したスピーカ駆動部32とスピーカ13を結ぶ放送配線を通している。
【0051】
(制御盤と操作箱の接続)
図3において、回線ユニット24に設けた制御部38は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成し、自動モード又は手動モードの設定に基づき防護区画に対するガス放出制御を行う。
【0052】
回線ユニット24の操作箱送受信部40には、防護区画に対応して設けた操作箱12を電線管64に通した例えば6本の配線により接続している。なお、制御盤10には
図2のように4台の操作箱12を接続しているが、
図3は1台の操作箱12との接続を代表して示している。
【0053】
回線ユニット24に設けた操作箱送受信部40と操作箱12の間は、電源線KD、電源コモン線KDC、シリアル伝送線S、シリアル伝送コモン線SC、電話線T及び電話コモン線TCの6本の配線により結線している。
【0054】
具体的には、制御盤10に設けた電源部(図示せず)からの正負の電源ラインを、電源線KDと電源コモン線KDCを介して操作箱12の電源部となる正負の電源ラインに接続している。また回線ユニット24に設けたシリアル送受信部46をシリアル伝送線Sとシリアル伝送コモン線SCを介して操作箱12に設けたシリアル送受信部54に接続している。
【0055】
また、制御盤10の金属筐体に設けたグランド端子G1及び操作箱12の金属筐体に設けたグランド端子G2はグランド接続によりグランド線として機能する電線管64に接続しており、電線管64をグランド線として使用することで、制御盤10と操作箱12のグランド電位を同電位としている。
【0056】
操作箱送受信部40にはシリアル送受信部46、通話回路部48及び電話ジャック50を設けている。通話回路部48は操作箱12の電話ジャック62に対する非常電話機のプラグ接続を検出した場合に制御部38に通話検出信号を出力して通話呼出しを行う。
【0057】
一方、操作箱12には、シリアル送受信部54、制御部52、操作部56、表示部58、7セグメント表示器60及び電話ジャック62を設けている。操作部56には、扉開検知スイッチ、起動スイッチ、非常停止スイッチ、自動モード設定スイッチ、手動モード設定スイッチ及びランプ試験スイッチ等を設けている。表示部58には、電源灯、起動灯、火災灯、自動モード表示灯、手動モード表示灯、閉止弁閉灯、放出灯等を設けている。
【0058】
(シリアル伝送)
回線ユニット24の制御部38は、自動モード表示、手動モード表示、火災表示、起動表示、放出表示及び閉止弁閉表示等の電文を所定の電文形式により生成し、シリアル送受信部46に指示して送信する制御を行い、これを操作箱12のシリアル送受信部54で受信して制御部52からの表示指示により表示部58に設けた対応する表示灯を点灯させる。
【0059】
この場合の電文形式は、同期信号、送信元アドレス(制御盤アドレス)、宛先アドレス(操作箱アドレス)、コマンド、チェックコード等を含む形式とする。
【0060】
また、操作箱12の制御部52は、操作部56に設けた各種スイッチ操作に伴い自動モード設定、手動モード設定、ガス放出起動、非常停止、扉開検知等の制御用の電文を生成し、シリアル送受信部54に指示して送信する制御を行い、これを制御盤10のシリアル送受信部46で受信し、制御部38に各電文に対応した制御を行わせる。この場合の電文形式も、同期信号、送信元アドレス(操作箱アドレス)、宛先アドレス(制御盤アドレス)、コマンド、チェックコード等を含む形式とする。
【0061】
また、制御盤と操作箱の間のシリアル伝送は、制御盤10から操作箱12へは電圧モードで電文を送信し、操作箱12から制御盤10へは電流モードで電文を送信するR型火災報知設備で使用していると同様なシリアル伝送方式、或いは2本の配線でシリアル伝送可能な例えばRS485などを使用しても良い。RS485は、制御盤10に対し複数の操作箱12をマルチドロップに接続して信号を半二重でシリアル伝送することができる。
【0062】
制御盤10のシリアル送受信部46と操作箱12のシリアル送受信部54によるシリアル伝送は、所定の送信レベルで且つ所定の通信速度、例えば19600bpsの通信速度で行うようにしている。
【0063】
(既存設備のリニューアル)
図2及び
図3に示したガス系消火設備は、例えば
図19に示した制御盤100と操作箱102の間を6本の配線で結線している古い設備をリニューアルするために改修工事を行った設備である。
【0064】
即ち、
図19に示した古い設備に設置している制御盤100と操作箱102を撤去し、その間を結線していた6本の配線はそのまま電線管に通したまま残し、
図2及び
図3に示した制御盤10と操作箱12を新たに設置し、既設の6本の配線とグランド用電線管により結線する改修工事を行っている。
【0065】
この制御盤10と操作箱12を新たなものに交換する改修工事にあっては、それ以外の
図1に示した設備機器については、耐用年数を過ぎているか、耐用年数に近づいているものは新品に交換するが、それ以外の機器は旧設備のものをそのまま残し、交換した新たな制御盤10に接続している。
【0066】
このように古くなった既存のガス消火設備の既設配線とグランド用電線管を使用して、機能拡張を図った制御盤と操作箱に入れ替える改修工事を行うことで、設備の構造物の一部を壊して電線管を敷設する改修工事を解消し、古くなった設備のリニューアルを簡単且つ容易に押し進めることができる。
【0067】
このような既設配線と電線管を使用して古くなったガス系消火設備をリニューアルする場合、リニューアルした制御盤10と操作箱12の間でシリアル伝送を行う伝送線に、既設配線のシリアル伝送に対する信頼性を本発明の配線評価システムにより評価し、信頼性の高い既設配線をシリアル伝送に使用することが重要になる。
【0068】
[3 既設配線を2本単位に自動選択する配線評価システム]
(システム構成)
図4は送信試験装置と試験評価装置を設けて自動選択により2本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図ある。
【0069】
図4に示すように、本実施形態の配線評価システムは、例えば基幹装置となる制御盤10側に試験送信装置200を配置し、端末機器となる操作箱12側に試験評価装置300を配置する。
【0070】
試験送信装置200と試験評価装置300には、
図3に示した制御盤10と操作箱12の間を結線する既設の電線管64に通している6本の既設配線L1~L6を接続している。具体的には、制御盤10の制御盤端子台214と端子箱12の操作箱端子台314に既設配線L1~L6を接続し、制御盤端子台214に試験送信装置200の6本の試験配線を接続し、また、操作箱端子台314に試験評価装置300の6本の試験配線を接続する。
【0071】
この場合、6本の既設配線L1~L6の線端の各々にシールやタグ等をつけて配線番号を例えばL1~L6として表示し、また試験送信装置200及び試験評価装置300からの6本の試験配線の線端の各々にもシールやタグ等をつけて配線番号を同様にL1~L6として表示し、同じ配線番号となるように制御盤端子台214及び操作箱端子台314に接続する。
【0072】
試験送信装置200と試験評価装置300は、既設の電線管64に通している6本の既設配線L1~L6の中から2本単位に選択した評価対象配線により接続し、評価対象配線の一方をシリアル伝送線とし、他方をシリアル伝送コモン線として評価試験を行う。なお、以下の説明では、評価対象として選択した既設配線を、評価対象配線という場合がある。
【0073】
(試験送信装置の構成)
試験送信装置200は、送信制御部202、第1送受信部として機能するシリアル送受信部204、第1配線選択部として機能する2回路の切替スイッチ回路部224,226、操作部211及び表示部212を備え、送信制御部202は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成する。
【0074】
シリアル送受信部204は、試験評価装置300との間で試験電文を含む各種電文をシリアル伝送により送受信する。
【0075】
切替スイッチ回路部224,226は、6つの切替側に既設配線L1~L6を配線番号順に制御盤端子台214を介して接続し、切替スイッチ回路部224のコモン側をシリアル送受信部204のプラス側に接続し、切替スイッチ回路部226のコモン側をシリアル送受信部204のマイナス側に接続し、送信制御部202の指示を受けて切替制御される。切替スイッチ回路部224,226としては外部からの制御信号により切替え可能な半導体スイッチ等を使用する。
【0076】
送信制御部202は、2回路の切替スイッチ回路部224,226により既設配線L1~L6の中から2本単位に評価対象配線を順次選択しながらシリアル送受信部204により試験開始電文を送信し、その確認応答電文を試験評価装置300から受信した場合に試験電文を複数回、例えば100回連続して送信し、試験電文の送信終了で試験終了電文を送信する制御を行う。
【0077】
また、送信制御部202は、既設配線L1~L6の中から2本単位に評価対象配線を選択するため、そのメモリに、既設配線L1~L6の2本ずつの組合わせを示す配線選択情報を切替え順に予め記憶している。
【0078】
図5は
図4の試験送信装置200で使用する配線選択情報を示した説明図である。
図5に示すように、配線選択情報は、評価対象配線として選択する2本の既設配線について、縦欄にシリアル伝送線としての配線番号L1~L6を示し、横欄にシリアル伝送コモン線としての配線番号を示しており、両者の組み合わせとして(L1-L2)~(L6-L5)の30通りをメモリに予め記憶し、所定の順番に読出して評価対象配線として選択する。
【0079】
(試験評価装置の構成)
再び
図4を参照するに、試験評価装置300は、受信制御部302、第2送受信部として機能するシリアル送受信部304、第2配線選択部として機能する2回路の切替スイッチ回路部324,326、操作部311及び表示部312を備え、受信制御部302は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成する。
【0080】
切替スイッチ回路部324,326は、6つの切替側に既設配線L1~L6を配線番号順に操作箱端子台314を介して接続し、切替スイッチ回路部324のコモン側をシリアル送受信部304のプラス側に接続し、切替スイッチ回路部326のコモン側をシリアル送受信部304のマイナス側に接続している。
【0081】
受信制御部302は、切替スイッチ回路部324,326により複数の既設配線L1~L6の中から2本単位に試験送信装置200で選択したと同じ評価対象配線を順次選択し、選択した評価対象配線からシリアル送受信部304により試験開始電文を受信した場合にその確認応答電文を送信し、続いて、複数回連続して送信されてくる試験電文を受信して信頼性を評価する制御を行う。
【0082】
また、受信制御部302は、既設配線L1~L6の中から2本単位に評価対象配線を選択するため、そのメモリに、既設配線L1~L6について2本ずつの組合わせを示す配線選択情報を切替え順に予め記憶しており、この配線選択情報は、
図5に示した試験送信装置200側と同じものである。
【0083】
ここで、試験評価装置300に設けた受信制御部302による評価対象配線の評価は、試験評価装置300から連続送信される所定回数(単位送信回数)の試験電文を受信し、エラーとなった試験電文の受信回数を試験電文の受信総回数で割って単位送信回数当りのエラー率を測定し、測定したエラー率に基づいて信頼性を判定して判定結果を表示部312に表示する。
【0084】
また、受信制御部302によるエラー率の測定は、単位送信回数当りのエラー率以外に、単位時間当りのエラー率やシーケンス毎のエラー率等を測定して信頼性を判定しても良いし、これら複数種類のエラー率の組合せから信頼性を判定してしても良い。
【0085】
受信制御部302による信頼性の判定表示は、エラー率そのものを表示しても良いし、測定したエラー率が予め定めた閾値以下の場合に信頼性ありを表示しても良いし、更に、閾値を複数段階に定めて信頼性をランクA,B,Cというように判別して表示するようにしても良い。
【0086】
また、受信制御部302による信頼性の判定は、既設配線L1~L6の全ての評価試験が終了するまでメモリに測定したエラー率を保持しておき、操作部311による評価試験終了の操作入力を受けた場合に、評価対象配線L1~L6のエラー率、信頼性ありの有無、或いは信頼性ランクを一覧表示するようにしても良い。
【0087】
このような試験評価装置300による信頼性の評価結果の表示を見ることで、既設配線L1~L6の中からエラー率が最小となる最も信頼性の高い2本の既設配線を選択し、
図3に示すように、シリアル伝送線S及びシリアル伝送コモン線SCとして使用する。
【0088】
(配線評価制御)
図6は
図4の配線評価システムによる制御動作を示したタイムチャートである。
図6に示すように、評価試験を開始するために試験送信装置200及び試験評価装置300を検査員が起動すると、ステップS1,S2のように、予め記憶した配線選択情報の中から最初に評価試験を行う2本の評価対象配線として、例えば既設配線L1,L2が初期設定され、これに基づきステップS3,S4で評価対象配線L1,L2を選択する。
【0089】
続いて試験送信装置200はステップS5で試験開始電文を送信し、これを受信した試験評価装置300はステップS6で確認応答電文を送信する。確認応答電文を受信した試験送信装置200はステップS7で試験電文を複数回連続して送信し、試験評価装置300はステップS8で試験電文を受信してエラー率を測定する。
【0090】
このように試験送信装置200から試験電文を送信する場合、
図2に示した制御盤10に設けたスピーカ駆動部32を作動し、
図3に示したように、既設配線L1~L6と同じ既設の電線管64に通している放送配線M,MCに放送信号を流してスピーカ13を駆動した状態とし、近接配置している放送配線M,MCの放送信号による影響を受けた状態で試験電文の送信を行う。
【0091】
なお、試験送信装置200は試験開始電文を送信しても確認応答電文を受信できない場合は、試験評価装置300側での試験評価回線の選択が正しく行われていないことから、例えば所定のタイムアウト時間が経過した場合にエラー表示を行うことで、既設配線L1~L6の接続確認等の必要な対応を可能とする。
【0092】
試験送信装置200はステップS7で試験電文の送信を終了するとステップS9に進んで試験終了電文を送信し、ステップS10で全ての評価対象配線の選択を終了していないことを判別した場合は、ステップS11に進んで次の2本の組合せとなる評価対象配線を選択してステップS3に戻り、同様な制御動作を繰り返す。
【0093】
試験評価装置300は試験送信装置200からの試験終了電文を受信すると、ステップS12に進み、全ての評価対象配線の選択を終了していないことを判別した場合は、ステップS13で次の2本の組合せとなる評価対象配線を選択し、ステップS4に戻って同様な制御動作を繰り返し、その後、ステップS12で全ての評価対象配線の選択終了を判別すると、ステップS14に進み、測定したエラー率に基づき、エラー率が最小となる信頼性の最も高い2本の既設配線を判定して判定結果を表示し、一連の制御動作を終了する。
【0094】
このように本実施形態にあっては、試験送信装置200及び試験評価装置300に既設配線l1~L6を接続して試験開始操作を行うと、既設配線L1~L6を2本単位に順次選択しながら自動的に評価試験を行って信頼性の最も高い2本の既設配線を示す判定結果を得ることができ、評価試験に要する手間と時間を低減可能とする。
【0095】
また、電線管64に通している放送配線に放送信号を供給している状態で、試験送信装置200と試験評価装置300を動作することで、既設配線L1~L6の中から放送配線M,MCに流す放送信号の影響を受けにくい2本の既設配線を選択して新設した制御盤10と操作箱12との間のシリアル伝送に使用することを可能とし、リニューアル設備の信頼性と安定性を更に確実なものとすることを可能とする。
【0096】
[4 既設配線を2本単位に手動選択する配線評価システム]
(システム構成)
図7は送信試験装置と試験評価装置を設けて手動選択により2本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図ある。
【0097】
図7に示すように、本実施形態の配線評価システムは、例えば基幹装置となる制御盤10側に試験送信装置200を配置し、端末機器となる操作箱12側に試験評価装置300を配置する。試験送信装置200と試験評価装置300は、既設の電線管64に通している6本の既設配線L1~L6の中から2本単位に選択操作した評価対象配線により接続し、評価対象配線の一方をシリアル伝送線とし、他方をシリアル伝送コモン線として使用する。
【0098】
(試験送信装置の構成)
試験送信装置200は、送信制御部202、第1送受信部として機能するシリアル送受信部204、第1配線選択部として機能する2回路の切替スイッチ206,208、操作部210及び表示部212を備え、送信制御部202は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成する。
【0099】
本実施形態の試験送信装置200は、操作部210による2回路の切替スイッチ206,208の切替操作により、既設配線L1~L6の中から2本単位に評価対象配線を選択して評価試験を行う点に特徴があり、それ以外の構成は
図4の実施形態と同様である。
【0100】
送信制御部202は、検査員が操作部210による切替スイッチ206,208の操作により、6本の既設配線L1~L6の中から2本単位の評価対象配線、例えば評価対象配線L1,L2を選択して試験起動操作を行った場合に、切替スイッチ206,208により選択した評価対象配線L1,L2にシリアル送受信部204により試験開始電文を送信し、これに対し試験評価装置300から確認応答電文を受信した場合に試験電文を複数回連続して送信する制御を行う。
【0101】
ここで、試験送信装置200と試験評価装置300の手動操作による2本単位の評価対象配線の選択は、それぞれに付いている検査員が例えばトランシーバ等で連絡を取りながら同じ試験対象回線を選択している。また、検査員による2本単位の評価対象配線の選択操作は、既設配線L1~L6について、
図5に示した2本ずつの組み合わせに従って行う。
【0102】
(試験評価装置の構成)
試験評価装置300は、受信制御部302、第2送受信部として機能するシリアル送受信部304、第2配線選択部として機能する2回路の切替スイッチ306,308、操作部310及び表示部312を備え、受信制御部302は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成する。
【0103】
本実施形態の試験送信装置300は、操作部310による2回路の切替スイッチ306,308の切替操作により、既設配線L1~L6の中から2本単位に評価対象配線を選択して評価試験を行う点に特徴があり、それ以外の構成は
図4の実施形態と同様である。
【0104】
受信制御部302は、検査員が試験送信装置200側の検査員と連絡をとって、操作部310により切替スイッチ306,308を操作して、試験送信装置200側と同じ例えば評価対象配線L1、L2を選択した状態で、選択した評価対象配線L1,L2から試験開始電文を受信した場合に確認応答電文を送信し、続いて複数回連続して送られてくる試験電文を受信して信頼性を評価する制御を行う。
【0105】
(配線評価制御)
図8は
図7の配線評価システムによる制御動作を示したタイムチャートである。
図8に示すように、評価試験に際しては、試験送信装置200と試験評価装置300のそれぞれに検査員が付き、試験送信装置200の検査員は、ステップS21で既設配線L1~L6の中の例えば既設配線L1,L2の2本を評価対象配線として選択する操作を行い、併せて、トランシーバ等により試験評価装置300側の検査員に既設配線L1,L2の選択を連絡し、これを受けて試験評価装置300側の検査員はステップS22で試験送信装置200と同じ既設配線L1,L2の選択操作を行う。これにより試験送信装置200と試験評価装置300の間は、選択した試験評価配線L1,L2で接続される。
【0106】
続いて、試験送信装置200側の検査員が試験開始操作を行うと、試験送信装置200がステップS23で試験開始電文を送信し、これを受信した試験評価装置300はステップS24で確認応答電文を送信する。
【0107】
ここで、試験評価装置300側の評価対象配線の選択を誤っていた場合には、試験送信装置200は試験開始電文を送信しても確認応答電文を受信することができず、例えば所定のタイムアウト時間が経過した場合にエラー表示を行うことで、試験評価装置300側での試験評価配線の選択を確認してやり直すといった対応を可能とする。
【0108】
続いて試験送信装置200は確認応答電文を受信すると、ステップS25で試験電文を複数回連続して送信する。この場合、既設配線L1~L6と同じ既設の電線管に通している放送配線に放送信号を流してスピーカを駆動した状態で試験電文の送信を行う。
【0109】
試験送信装置200が送信した試験電文は、試験評価装置300がステップS26で受信してエラー率を測定して保持する。試験送信装置200は試験電文の送信を終了するとステップS27で試験終了電文を送信し、これを受信した試験評価装置300はステップS28に進み、信頼性を判定して判定結果を表示する。
【0110】
このようにして2本の既設配線L1,L2の評価試験が終了したならば、同様にして、既設配線L1~L6の残りの2本単位の組合せについて同様な操作と制御動作を繰り返して信頼性の判定結果を取得し、2本単位の既設配線L1~L6の組合せの全てについて信頼性の評価が完了した際に、エラー率が最小となる信頼性の最も高い2本の既設配線を選択して、新設した制御盤と操作箱との間のシリアル伝送に使用するシリアル伝送線及びシリアル伝送コモン線とする。
【0111】
[5 既設配線を1本単位に自動選択する配線評価システム]
(システム構成)
図9は送信試験装置と試験評価装置を設けて自動選択により1本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図である。
【0112】
図9に示すように、本実施形態の配線評価システムは、例えば基幹装置となる制御盤10側に試験送信装置200を配置し、端末機器となる操作箱12側に試験評価装置300を配置する。試験送信装置200と試験評価装置300は、既設の電線管64に通している6本の既設配線L1~L6の中から選択した1本と試験用配線66により接続し、試験用配線66は、配線評価を行うための試験電文を含む各種の電文のシリアル伝送におけるシリアル伝送コモン線として使用する。
【0113】
(試験送信装置の構成)
試験送信装置200は、送信制御部202、第1送受信部として機能するシリアル送受信部204、第1配線選択部として機能する切替スイッチ回路部224、操作部211及び表示部212を備える。
【0114】
本実施形態の試験送信装置200は、送信制御部202による切替スイッチ回路部224の切替制御により、既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を自動的に選択して評価試験を行う点に特徴があり、それ以外の構成は
図4の実施形態と同様である。
【0115】
送信制御部202は、切替スイッチ回路部224により複数の既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を順次選択しながらシリアル送受信部204により試験開始電文を送信し、その確認応答電文を試験評価装置300から受信した場合に試験電文を複数回連続して送信し、試験電文の送信終了で試験終了電文を送信する制御を行う。
【0116】
また、送信制御部202は、既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を選択するため、そのメモリに、既設配線L1~L6の配線選択情報を切替え順に予め記憶している。
【0117】
(試験評価装置の構成)
試験評価装置300は、受信制御部302、第2送受信部として機能するシリアル送受信部304、第2配線選択部として機能する切替スイッチ回路部324、操作部311及表示部312を備える。
【0118】
本実施形態の試験送信装置300は、受信制御部302による切替スイッチ回路部324の切替制御により、既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を選択して評価試験を行う点に特徴があり、それ以外の構成は
図4の実施形態と同様である。
【0119】
受信制御部302は、切替スイッチ回路部324により複数の既設配線L1~L6の中から1本単位に試験送信装置200で選択したと同じ評価対象配線を順次選択し、選択した評価対象配線からシリアル送受信部304により試験開始電文を受信した場合にその確認応答電文を送信し、続いて、複数回連続して送信されてくる試験電文を受信して信頼性を評価する制御を行う。
【0120】
また、受信制御部302は、既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を選択するため、そのメモリに、既設配線L1~L6の配線選択情報を切替え順に予め記憶しており、この配線選択情報は試験送信装置200側と同じものである。
【0121】
(配線評価制御)
図9の配線評価システムによる制御動作は次のようになる。試験送信装置200及び試験評価装置300を検査員が起動すると、既設配線L1~L6の中から最初に評価試験を行う評価対象配線として、予め記憶した配線選択情報に基づき、例えば既設配線L1を初期設定しており、切替スイッチ回路部224により初期設定した評価対象配線L1を選択する。
【0122】
続いて試験送信装置200は試験開始電文を送信し、これを受信した試験評価装置300は確認応答電文を送信する。なお、試験送信装置200は試験開始電文を送信しても確認応答電文を受信できない場合は、試験評価装置300側での試験評価回線の選択に誤りがあるから、例えば所定のタイムアウト時間が経過した場合にエラー表示を行うことで、必要な対応を促すようにする。
【0123】
試験評価装置300からの確認応答電文を受信した試験送信装置200は試験電文を複数回連続して送信し、試験評価装置300は試験電文を受信してエラー率を測定する。この場合、既設配線L1~L6と同じ既設の電線管に通している放送配線に放送信号を流してスピーカを駆動した状態で試験電文の送信を行う。
【0124】
試験送信装置200は試験電文の送信を終了すると、試験終了電文を送信し、続いて、全ての評価対象配線の選択終了でないことを判別した場合は、次の評価対象配線を設定し、残りの評価対象配線L2~L6を順次選択しながら同様な制御動作を繰り返す。
【0125】
試験評価装置300は試験送信装置200からの試験終了電文を受信すると、全ての評価対象配線の選択終了でないことを判別した場合は次の評価対象配線を設定し、残りの評価対象配線L2~L6を順次選択しながら同様な制御動作を繰り返す。
【0126】
試験送信装置200は全ての評価対象配線の選択終了を判別すると、一連の制御動作を終了する。また、試験評価装置300は、既設配線L1~L6の全てについて信頼性の評価試験が完了したならば、エラー率の低い順に、即ち信頼性の高い順に2本の既設配線を選択して判定結果として表示し、新設した制御盤と操作箱との間のシリアル伝送に使用するシリアル伝送線及びシリアル伝送コモン線とする。
【0127】
このように本実施形態にあっては、既設配線を1本単位に試験評価することから、装置構成が簡単で、短時間で評価試験を可能とする。
【0128】
ここで、本実施形態にあっては、
図4及び
図7のように2本単位の既設配線の試験評価はなく、1本単位に既設配線を選択してシリアル伝送線として試験評価しており、信頼性の高い順に選択した2本の既設配線の一方をシリアル伝送線とし他方をシリアル伝送コモン線とした試験評価は行っていないが、一方をシリアル伝送線とし他方をシリアル伝送コモン線として使用したとしても、試験評価した信頼性は維持可能といえる。
【0129】
[6 既設配線を1本単位に手動選択する配線評価システム]
(システム構成)
図10は試験送信装置と試験評価装置を設けて手動選択により1本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図である。
【0130】
図10に示すように、本実施形態の配線評価システムは、例えば基幹装置となる制御盤10側に試験送信装置200を配置し、端末機器となる操作箱12側に試験評価装置300を配置する。試験送信装置200と試験評価装置300は、既設の電線管64に通している6本の既設配線L1~L6の中から選択した1本と試験用配線66により接続し、試験用配線66は、配線評価を行うための試験電文を含む各種の電文のシリアル伝送におけるシリアル伝送コモン線として使用する。
【0131】
(試験送信装置の構成)
試験送信装置200は、送信制御部202、第1送受信部として機能するシリアル送受信部204、配線選択部として機能する切替スイッチ206、操作部210及び表示部212を備える。送信制御部202は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成する。
【0132】
本実施形態の試験送信装置200は、送信制御部202による切替スイッチ206の切替操作により、既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を手動操作で選択して評価試験を行う点に特徴があり、それ以外の構成は
図7の実施形態と同様である。
【0133】
送信制御部202は、検査員が操作部210による切替スイッチ206の操作により6本の既設配線L1~L6を1本単位に選択して試験起動操作を行った場合に、切替スイッチ206により選択した既設配線L1にシリアル送受信部204により試験開始電文を送信し、これに対し試験評価装置300から確認応答電文を受信した場合に試験電文を複数回連続して送信する制御を行う。
【0134】
ここで、試験送信装置200と試験評価装置300の手動操作による評価対象配線の選択は、それぞれに付いている検査員が例えばトランシーバ等で連絡を取りながら同じ評価対象配線を選択して行う。
【0135】
(試験評価装置の構成)
試験評価装置300は、受信制御部302、第2送受信部として機能するシリアル送受信部304、第2配線選択部として機能する切替スイッチ306、操作部310及び表示部312を備える。
【0136】
本実施形態の試験送信装置300は、操作部310による切替スイッチ306の切替制御により、既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を選択して評価試験を行う点に特徴があり、それ以外の構成は
図7の実施形態と同様である。
【0137】
受信制御部302は、検査員が試験送信装置200側の検査員と連絡をとって、操作部210により切替スイッチ206を操作して、試験送信装置200側と同じ評価対象配線L1を選択した状態で、選択した評価対象配線L1と試験用配線66から試験開始電文を受信した場合に確認応答電文を送信し、続いて複数回連続して送られてくる試験電文を受信して信頼性を評価する制御を行う。
【0138】
(配線評価制御)
図10の配線評価システムによる制御動作は次のようになる。試験評価に際しては、試験送信装置200と試験評価装置300のそれぞれに検査員が付き、試験送信装置200の検査員は、既設配線L1~L6の中の例えば既設配線L1を評価対象配線として選択する操作を行い、併せて、トランシーバ等により試験評価装置300側の検査員に、既設配線L1の選択を連絡し、これを受けて試験評価装置300の検査員は、試験送信装置200と同じ既設配線L1の選択操作を行う。これにより試験送信装置200と試験評価装置300の間は、選択した試験評価配線L1と試験用配線66で接続される。
【0139】
続いて、試験送信装置200側の係員が試験開始操作を行うと、試験送信装置200が試験開始電文を送信し、これを受信した試験評価装置300は確認応答電文を送信する。試験送信装置200は確認応答電文を受信するとステップS5で試験電文を予め定めた複数回に連続送信する。この場合、既設配線L1~L6と同じ既設の電線管に通している放送配線に放送信号を流してスピーカを駆動した状態で試験電文の送信を行う。
【0140】
ここで、試験評価装置300側の評価対象配線の選択を誤っていた場合には、試験送信装置200は試験開始電文を送信しても確認応答電文を受信することがなく、例えば所定のタイムアウト時間が経過した場合にエラー表示を行うことで、試験評価装置300側での試験評価配線の選択を確認してやり直すといった対応を可能とする。
【0141】
試験送信装置200から送信された試験電文は試験評価装置300はで受信され、試験評価装置300はエラー率を測定して保持する。試験送信装置200は試験電文の送信を終了すると試験終了電文を送信し、これを受信した試験評価装置300は測定保持している既設配線Lのエラー率に基づいて信頼性を判定して判定結果を表示する。
【0142】
このようにして既設配線L1の評価試験が終了したならば、残りの既設配線L2~L6について同様な選択操作と制御動作を繰り返して信頼性の評価結果を取得し、既設配線L1~L6の全ての信頼性の評価が完了した段階で、エラー率の低い順に、即ち信頼性の高い順に2本の既設信号線を選択して、新設した制御盤と操作箱との間のシリアル伝送に使用する。
【0143】
[7 端末折返しにより既設配線を2本単位に自動選択する配線評価システム]
(システム構成)
図11は試験送信装置と端末折返し装置を設けて自動選択により2本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図ある。
【0144】
図11に示すように、本実施形態の配線評価システムは、例えば基幹装置となる制御盤10側に試験評価装置201を配置し、端末機器となる操作箱12側に端末折返し装置301を配置する。
【0145】
試験評価装置201と端末折返し装置301は、既設の電線管64に通している6本の既設配線L1~L6の中から2本単位に選択した評価対象配線を試験用下り配線として接続し、評価対象配線の一方をシリアル伝送線とし、他方をシリアル伝送コモン線として評価試験を行う。
【0146】
また、端末折返し装置301から試験評価装置201に向けて試験用ケーブル70を設置し、試験用ケーブル70には2本の試験用上り配線74,76を設け、試験用上り配線74をシリアル伝送線とし、試験用上り配線76をシリアル伝送コモン線として評価試験を行う。
【0147】
これにより試験評価装置201から端末折返し装置301で折り返して戻るループ回線が形成され、このループ回線の下り側に、既設配線L1~L6から選択した2本の評価対象配線が位置することになる。
【0148】
(試験評価装置の構成)
試験評価装置201は、試験制御部203、送信部として機能するシリアル送信部216、受信部として機能するシリアル受信部218、第1配線選択部として機能する2回路の切替スイッチ回路部224,226、操作部211及び表示部212を備え、試験制御部203は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成する。
【0149】
シリアル送信部216は、切替スイッチ回路部224,226により既設配線L1~L6の中から選択した2本の評価対象配線を介して端末折返し装置301に対し試験電文を含む各種電文を送信する。シリアル受信部218は、試験用上り配線74,76を介して端末折返し装置301で折り返した試験電文を含む各種電文を受信する。シリアル受信部218のプラス側には試験用上り配線74を接続し、マイナス側には試験用上り配線76を接続している。
【0150】
切替スイッチ回路部224,226は、6つの切替側に既設配線L1~L6を配線番号順に制御盤端子台214を介して接続し、切替スイッチ回路部224のコモン側をシリアル送信部216のプラス側に接続し、切替スイッチ回路部226のコモン側をシリアル送信部216のマイナス側に接続し、送信制御部202の指示を受けて切替制御される。
【0151】
試験制御部203は、2回路の切替スイッチ回路部224,226により複数の既設配線L1~L6の中から2本単位に評価対象配線を順次選択しながらシリアル送信部216により試験開始電文を送信し、シリアル受信部218により端末折返し装置301で折り返した試験開始電文を受信した場合にシリアル送信部216により試験電文を複数回連続して送信し、続いて端末折返し装置301で折り返した試験電文をシリアル受信部218で受信してエラー率を測定し、試験電文の送信終了毎に試験終了電文を送信し、更に、全ての既設配線L1~L6の組合せについての評価試験を終了すると、エラー率が最小となる信頼性の最も高い2本の評価対象配線を判定して表示する制御を行う。
【0152】
また、試験制御部203は、既設配線L1~L6の中から2本単位に評価対象配線を選択するため、そのメモリに、
図5に示したと同じ既設配線L1~L6の2本ずつの組合わせを示す配線選択情報を切替え順に予め記憶している。
【0153】
(端末折返し装置の構成)
端末折返し装置301は、端末制御部303、シリアル受信部305、第2配線選択部として機能する2回路の切替スイッチ回路部324,326を備え、端末制御部303は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成する。
【0154】
切替スイッチ回路部324,326は、6つの切替側に既設配線L1~L6を配線番号順に操作箱端子台314を介して接続し、切替スイッチ回路部324のコモン側をシリアル受信部305のプラス側に接続すると共に試験用上り配線74に折返し接続し、切替スイッチ回路部326のコモン側をシリアル受信部305のマイナス側に接続すると共に試験用上り配線76に折返し接続している。
【0155】
端末制御部303は、切替スイッチ回路部324,326により複数の既設配線L1~L6の中から2本単位に試験評価装置201で選択したと同じ評価対象配線を順次選択して試験用上り配線74,76に折返し接続し、選択した評価対象配線からシリアル受信部305により試験終了電文を受信する毎に、配線選択情報に基づいて次の2本の評価対象配線を選択するように切替スイッチ回路部324,326を切替える制御を行う。
【0156】
また、端末制御部303は、既設配線L1~L6の中から2本単位に評価対象配線を選択するため、そのメモリに、
図5に示したと同じ既設配線L1~L6の2本ずつの組合わせを示す配線選択情報を切替え順に予め記憶している。
【0157】
(配線評価制御)
図12は
図11の配線評価システムによる制御動作を示したタイムチャートである。
図12に示すように、評価試験を開始するために試験評価装置201及び端末折返し装置301を検査員が起動すると、ステップS31,S32のように、予め記憶した配線選択情報の中から最初に評価試験を行う2本の評価対象配線として、例えば既設配線L1,L2が初期設定され、これに基づきステップS33,S34のように評価対象配線L1,L2を選択する。
【0158】
続いて試験評価装置201はステップS35で試験開始電文を送信し、試験開始電文は端末折返し装置301で折り返され、試験開始電文を受信した試験評価装置201はステップS36で試験電文を複数回連続して送信し、試験電文は端末折返し装置301で折り返され、試験開始電文を受信した試験評価装置201はステップS37で試験電文を受信してエラー率を測定する。この場合、既設配線L1~L6と同じ既設の電線管に通している放送配線に放送信号を流してスピーカを駆動した状態で試験電文の送信を行う。
【0159】
続いて、試験評価装置201はステップS38で試験終了電文を送信し、ステップS39で全ての評価対象配線の選択を終了していないことを判別した場合は、ステップS40に進んで次の2本の組合せとなる評価対象配線を選択してステップS33に戻り、同様な制御動作を繰り返す。
【0160】
端末折返し装置301はステップS41で試験評価装置201からの試験終了電文の受信を判別すると、ステップS42に進み、全ての評価対象配線の選択を終了していないことを判別した場合は、ステップS43で次の2本の組合せとなる評価対象配線を選択し、ステップS34に戻って同様な制御動作を繰り返し、その後、ステップS42で全ての評価対象配線の選択終了を判別すると、一連の動作を終了する。
【0161】
試験評価装置201は、ステップS39で全ての評価対象配線の選択終了を判別した場合は、ステップS44に進み、測定したエラー率に基づき、エラー率が最小となる信頼性の最も高い2本の既設配線を判定して判定結果を表示し、一連の制御動作を終了する。
【0162】
このように本実施形態にあっては、端末折返し装置301は試験評価装置201で選択したと同じ評価対象配線を選択して試験用配線に折返し接続するだけであり、評価対象配線に対する試験電文の送信と端末折返し装置で折り返した試験電文の受信による評価は全て試験評価装置201で行うこととなり、評価試験の機能を試験評価装置201の1台に集約することで、端末折返し装置301は評価対象配線を試験用配線に折り返し接続するだけの簡単な装置となり、実質的に1台の装置による既設配線の評価を可能とし、装置構成を簡単にしてコストを低減可能とする。
【0163】
[8 端末折返し既設配線を2本単位に手動選択する配線評価システム]
(システム構成)
図13は試験送信装置と端末折返し装置を設けて手動選択により2本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図ある。
【0164】
図13に示すように、本実施形態の配線評価システムは、例えば基幹装置となる制御盤10側に試験評価装置201を配置し、端末機器となる操作箱12側に端末折返し装置301を配置する。
【0165】
試験評価装置201と端末折返し装置301は、既設の電線管64に通している6本の既設配線L1~L6の中から2本単位に選択操作した評価対象配線を試験用下り配線として接続し、評価対象配線の一方をシリアル伝送線とし、他方をシリアル伝送コモン線として評価試験を行う。
【0166】
また、端末折返し装置301から試験評価装置201に向けて試験用ケーブル70を設置し、試験用ケーブル70には2本の試験用上り配線74,76を設け、試験用上り配線74をシリアル伝送線とし、試験用上り配線76をシリアル伝送コモン線として評価試験を行う。
【0167】
これにより試験評価装置201から端末折返し装置301で折り返して戻るループ回線が形成され、このループ回線の下り側に、既設配線L1~L6から選択した2本の評価対象配線が位置することになる。
【0168】
(試験送信装置の構成)
試験評価装置201は、試験制御部203、送信部として機能するシリアル送信部216、受信部として機能するシリアル受信部218、第1配線選択部として機能する2回路の切替スイッチ206,208、操作部210及び表示部212を備え、試験制御部203は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成する。
【0169】
本実施形態の試験評価装置201は、操作部210による2回路の切替スイッチ206,208の切替操作により、既設配線L1~L6の中から2本単位に評価対象配線を選択して評価試験を行う点に特徴があり、それ以外の構成は
図11の実施形態と同様である。
【0170】
切替スイッチ206,208は、6つの切替側に既設配線L1~L6を配線番号順に制御盤端子台214を介して接続し、切替スイッチ206のコモン側をシリアル送信部216のプラス側に接続し、切替スイッチ208のコモン側をシリアル送信部216のマイナス側に接続し、操作部210の操作により切替えられる。
【0171】
試験制御部203は、2回路の切替スイッチ206,208の操作により複数の既設配線L1~L6の中から2本単位に評価対象配線を順次選択しながらシリアル送信部216により試験電文を複数回連続して送信し、端末折返し装置301で折り返した試験電文をシリアル受信部218で受信してエラー率を測定し、全ての既設配線L1~L6の組合せについて評価試験を終了すると、エラー率が最小となる信頼性の最も高い2本の評価対象配線を判定して表示する制御を行う。
【0172】
(端末折返し装置の構成)
端末折返し装置301は、第2配線選択部として機能する2回路の切替スイッチ306,308及び操作部310を備える。
【0173】
切替スイッチ306,308は、6つの切替側に既設配線L1~L6を配線番号順に操作箱端子台314を介して接続し、切替スイッチ306のコモン側を試験用上り配線74に折返し接続し、切替スイッチ308のコモン側を試験用上り配線76に折返し接続している。
【0174】
(配線評価制御)
図14は
図13の配線評価システムによる制御動作を示したタイムチャートである。
図14に示すように、評価試験に際しては、試験評価装置201と端末折返し装置301のそれぞれに検査員が付き、試験評価装置201の検査員は、ステップS51で既設配線L1~L6の中の例えば既設配線L1,L2の2本を評価対象配線として選択する操作を行い、併せて、トランシーバ等により端末折返し装置301側の検査員に既設配線L1,L2の選択を連絡し、これを受けて端末折返し装置301側の検査員はステップS52で試験評価装置201と同じ既設配線L1,L2の選択操作を行う。
【0175】
続いて試験評価装置201を検査員が起動すると、試験評価装置201はステップS53で試験開始電文を送信し、試験開始電文は端末折返し装置301で折り返され、試験開始電文を受信した試験評価装置201はステップS54で試験電文を複数回連続して送信する。この場合、既設配線L1~L6と同じ既設の電線管に通している放送配線に放送信号を流してスピーカを駆動した状態で試験電文の送信を行う。
【0176】
試験評価装置201から送信した試験電文は端末折返し装置301で折り返され、試験評価装置201はステップS55で試験電文を受信してエラー率を測定し、ステップS56で測定したエラー率の基づき信頼性を判定して表示する。
【0177】
このようにして2本の既設配線L1,L2の評価試験が終了したならば、
図5に示した配線選択情報に基づき、同様にして、既設配線L1~L6の残りの2本単位の組合せについて同様な選択操作と制御動作を繰り返して信頼性の判定結果を取得し、2本単位の既設配線L1~L6の組合せの全てについて信頼性の評価が完了した際に、エラー率が最小となる信頼性の最も高い2本の既設配線を選択して、新設した制御盤と操作箱との間のシリアル伝送に使用するシリアル伝送線及びシリアル伝送コモン線とする。
【0178】
このように本実施形態にあっては、端末折返し装置301は試験評価装置201で選択したと同じ評価対象配線を選択して試験用配線に折返し接続するだけであり、評価対象配線に対する試験電文の送信と端末折返し装置で折り返した試験電文の受信による評価は全て試験評価装置201で行うこととなり、評価試験の機能を試験評価装置201の1台に集約することで、端末折返し装置301は評価対象配線を試験用配線に折り返し接続する切替スイッチ306,306と操作部310だけの簡単な装置となり、実質的に1台の装置による既設配線の評価を可能とし、装置構成を簡単にしてコストを低減可能とする。
【0179】
[9 端末折返しにより既設配線を1本単位に自動選択する配線評価システム]
(システム構成)
図15は試験送信装置と端末折返し装置を設けて自動選択により1本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図ある。
【0180】
図15に示すように、本実施形態の配線評価システムは、例えば基幹装置となる制御盤10側に試験評価装置201を配置し、端末機器となる操作箱12側に端末折返し装置301を配置する。
【0181】
試験評価装置201と端末折返し装置301は、既設の電線管64に通している6本の既設配線L1~L6の中から1本単位に選択した評価対象配線を試験用下り配線として接続し、シリアル伝送線として評価試験を行う。
【0182】
また、端末折返し装置301から試験評価装置201に向けて試験用ケーブル70を設置し、試験用ケーブル70には1本の試験用下り配線72と2本の試験用上り配線74,76を設け、試験用下り配線72は既設配線L1~L6の中から選択した1本のシリアル伝送線と組み合わせるシリアル伝送コモン線となり、試験用上り配線74,76は何れか一方を折返し用のシリアル伝送線とし、他方を折返し用のシリアル伝送コモン線としている。
【0183】
これにより試験評価装置201から端末折返し装置301で折り返して戻るループ回線が形成され、このループ回線の下り側に、既設配線L1~L6から選択した1本の評価対象配線が位置することになる。
【0184】
(試験評価装置の構成)
試験評価装置201は、試験制御部203、送信部として機能するシリアル送信部216、受信部として機能するシリアル受信部218、配線選択部として機能する切替スイッチ回路部224、操作部211及び表示部212を備え、試験制御部203は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成する。
【0185】
シリアル送信部216は、切替スイッチ回路部224により既設配線L1~L6の中から順次選択した1本の評価対象配線を介して端末折返し装置301に対し試験電文を含む各種電文を送信する。
【0186】
シリアル受信部218は、試験用上り配線74,76を介して端末折返し装置301で折り返した試験電文を含む各種電文を受信する。シリアル受信部218のプラス側には試験用上り配線74を接続し、マイナス側には試験用上り配線76を接続している。
【0187】
切替スイッチ回路部224は、6つの切替側に既設配線L1~L6を配線番号順に制御盤端子台214を介して接続し、切替スイッチ回路部224のコモン側をシリアル送信部216のプラス側に接続している。また、シリアル送信部216のマイナス側には試験用下り配線72を接続している。
【0188】
試験制御部203は、切替スイッチ回路部224により複数の既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を順次選択しながらシリアル送信部216により試験開始電文を送信し、シリアル受信部218により端末折返し装置301で折り返した試験開始電文を受信した場合に試験電文を複数回連続して送信し、続いて端末折返し装置301で折り返した試験電文をシリアル受信部218で受信してエラー率を測定し、試験電文の送信終了毎に試験終了電文を送信し、更に、全ての既設配線L1~L6の組合せについて評価試験を終了すると、エラー率が最小となる信頼性の最も高い2本の評価対象配線を判定して表示する制御を行う。
【0189】
また、試験制御部203は、既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を選択するため、そのメモリに、既設配線L1~L6の配線選択情報を切替え順に予め記憶している。
【0190】
(端末折返し装置の構成)
端末折返し装置301は、既設配線L1~L6を接続した操作箱端子台314に対する6本の試験配線に、回り込み防止用のダイオードD1~D6を接続して終端側を共通接続し、更に、折返し配線78により試験用上り配線74に折返し接続している。また、試験用下り配線72を折返し配線80により試験用上り配線76に折返し接続している。
【0191】
回り込み防止用のダイオードD1~D6は、既設配線L1~L6の中から選択した評価対象配線を、他の既設配線から電気的に切離す。例えば既設配線L1を選択して試験電文を送信した場合、選択していない既設配線L2~L6がダイオードD2~D6により選択した既設配線L1から電気的に切離された状態となり、終端側を共通接続していても、他の既設配線L2~L6の影響を受けることなく、選択した既設配線L1の評価試験を可能とする。
【0192】
(配線評価制御)
図16は
図15の配線評価システムによる制御動作を示したタイムチャートである。
図16に示すように、評価試験を開始するために試験評価装置201を検査員が起動すると、ステップS61のように、予め記憶した配線選択情報の中から最初に評価試験を行う1本の評価対象配線として、例えば既設配線L1が初期設定され、これに基づきステップS62で評価対象配線L1を選択する。
【0193】
続いて試験評価装置201はステップS63で試験開始電文を送信し、試験開始電文は端末折返し装置301で折り返され、試験開始電文を受信した試験評価装置201はステップS64で試験電文を複数回連続して送信する。この場合、既設配線L1~L6と同じ既設の電線管に通している放送配線に放送信号を流してスピーカを駆動した状態で試験電文の送信を行う。
【0194】
試験評価装置201から送信した試験電文は端末折返し装置301で折り返され、試験開始電文を受信した試験評価装置201はステップS65で試験電文を受信してエラー率を測定する。
【0195】
続いて、試験評価装置201はステップS66で全ての評価対象配線の選択を終了していないことを判別した場合は、ステップS67に進んで次の2本の組合せとなる評価対象配線を選択してステップS62に戻り、同様な制御動作を繰り返す。
【0196】
試験評価装置201は、ステップS66で全ての評価対象配線の選択終了を判別した場合は、ステップS68に進み、測定したエラー率に基づき、エラー率が最小となる信頼性の最も高い2本の既設配線を判定して判定結果を表示し、一連の制御動作を終了する。
【0197】
このように本実施形態にあっては、評価対象配線の選択による試験電文の送信と端末折返し装置301で折り返した試験電文の受信による評価は全て試験評価装置201で行うこととなり、評価試験の機能を試験評価装置201の1台に集約することで、端末折返し装置301は評価対象配線を試験用配線に折り返し接続するだけの簡単な装置となり、実質的に1台の装置による既設配線の評価を可能とし、装置構成を簡単にしてコストを低減可能とする。
【0198】
また、本実施形態の端末折返し装置301は、既設配線L1~L6に対応した6本の試験配線に回り込み防止用のダイオードD1~D6を接続して終端側を共通接続して試験用上り配線74に折返し接続し、また、試験用下り配線72を試験用上る配線76に折返し接続した簡単な構成で済み、大幅なコスト低減を可能とする。
【0199】
また、検査員は試験評価装置201側に付くだけでよく、検査員1人により簡単且つ容易に既設配線の評価試験を行うことを可能とする。
【0200】
[10 端末折返しにより既設配線を1本単位に手動選択する配線評価システム]
(システム構成)
図17は試験評価装置と端末折返し装置を設けて手動選択により1本単位に既設配線を評価する配線評価システムの実施形態を示したブロック図ある。
【0201】
図17に示すように、本実施形態の配線評価システムは、例えば基幹装置となる制御盤10側に試験評価装置201を配置し、端末機器となる操作箱12側に端末折返し装置301を配置する。
【0202】
試験評価装置201と端末折返し装置301は、既設の電線管64に通している6本の既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を選択操作し、選択した評価対象配線を下り側のシリアル伝送線として評価試験を行う。
【0203】
また、端末折返し装置301から試験評価装置201に向けて試験用ケーブル70を設置し、試験用ケーブル70には1本の試験用下り配線72と2本の試験用上り配線74,76を設け、試験用下り配線72は既設配線L1~L6の中から選択した1本のシリアル伝送線と組み合わせるシリアル伝送コモン線となり、試験用上り配線74,76は何れか一方を折返し用のシリアル伝送線とし、他方を折返し用のシリアル伝送コモン線としている。
【0204】
これにより試験評価装置201から端末折返し装置301で折り返して戻るループ回線が形成され、このループ回線の下り側に、既設配線L1~L6から選択した1本の評価対象配線が位置することになる。
【0205】
(試験評価装置の構成)
試験評価装置201は、試験制御部203、送信部として機能するシリアル送信部216、受信部として機能するシリアル受信部218、配線選択部として機能する切替スイッチ206、操作部210及び表示部212を備え、試験制御部203は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路等で構成する。
【0206】
本実施形態の試験評価装置201は、操作部210による切替スイッチ206の切替操作により、既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を選択して評価試験を行う点に特徴があり、それ以外の構成は
図15の実施形態と同様である。
【0207】
シリアル送信部216は、切替スイッチ206により既設配線L1~L6の中から順次選択した1本の評価対象配線を介して端末折返し装置301に対し試験電文を含む各種電文を送信する。シリアル受信部218は、試験用上り配線74,76を介して端末折返し装置301で折り返した試験電文を含む各種電文を受信する。シリアル受信部218のプラス側には試験用上り配線74を接続し、マイナス側には試験用上り配線76を接続している。
【0208】
切替スイッチ206は、6つの切替側に既設配線L1~L6を配線番号順に制御盤端子台214を介して接続し、切替スイッチ206のコモン側をシリアル送信部216のプラス側に接続し、また、シリアル送信部216のマイナス側には試験用下り配線72を接続している。
【0209】
試験制御部203は、操作部210による切替スイッチ206の操作により複数の既設配線L1~L6の中から1本単位に評価対象配線を選択しながらシリアル送信部216により試験開始電文を送信し、シリアル受信部218により端末折返し装置301で折り返した試験開始電文を受信した場合に試験電文を複数回連続して送信し、続いて端末折返し装置301で折り返した試験電文をシリアル受信部218で受信してエラー率を測定し、試験電文の送信終了毎に試験終了電文を送信し、更に、全ての既設配線L1~L6の組合せについて評価試験を終了すると、エラー率が最小となる信頼性の最も高い2本の評価対象配線を判定して表示する制御を行う。
【0210】
(端末折返し装置の構成)
端末折返し装置301は、
図15の実施形態と同じであり、既設配線L1~L6を接続した操作箱端子台314に対する6本の試験配線に回り込み防止用のダイオードD1~D6を接続して終端側を共通接続し、更に、折返し配線78により試験用上り配線74に折返し接続している。また、試験用下り配線72を折返し配線80により試験用上り配線76に折返し接続している。
【0211】
(配線評価制御)
図18は
図17の配線評価システムによる制御動作を示したタイムチャートである。
図18に示すように、評価試験を開始する際に、検査員は試験評価装置201を起動し、続いて、ステップS71で既設配線L1~L6の中から最初に評価試験を行う1本の評価対象配線として、例えば既設配線L1を選択する。
【0212】
続いて試験評価装置201はステップS72で試験開始電文を送信し、試験開始電文は端末折返し装置301で折り返され、試験開始電文を受信した試験評価装置201はステップS73で試験電文を複数回連続して送信する。この場合、既設配線L1~L6と同じ既設の電線管に通している放送配線に放送信号を流してスピーカを駆動した状態で試験電文の送信を行う。
【0213】
試験評価装置201から送信した試験電文は試験電文は端末折返し装置301で折り返され、試験開始電文を受信した試験評価装置201はステップS74でエラー率を測定し、ステップS75で測定したエラー率に基づき、信頼性の高い順(エラー率の低い順)に2本の既設配線を判定して判定結果を表示し、一連の制御動作を終了する。
【0214】
このように本実施形態にあっては、評価対象配線の選択による試験電文の送信と端末折返し装置で折り返した試験電文の受信による評価は全て試験評価装置201で行うこととなり、評価試験の機能を試験評価装置201の1台に集約することで、端末折返し装置301は評価対象配線を試験用配線に折り返し接続するだけの簡単な装置となり、実質的に1台の装置による既設配線の評価を可能とし、装置構成を簡単にしてコストを低減可能とする。
【0215】
また、本実施形態の端末折返し装置301は、既設配線L1~L6に対応した6本の試験配線に回り込み防止用のダイオードD1~D6を接続して終端側を共通接続して試験用上り配線74に折返し接続し、また、試験用下り配線72を試験用上る配線76に折返し接続した簡単な構成で済み、大幅なコスト低減を可能とする。
【0216】
また、検査員は試験評価装置201側に付くだけでよく、検査員1人により簡単且つ容易に既設配線の評価試験を行うことを可能とする。
【0217】
[11 本発明の変形例]
(リニューアル設備)
上記の実施形態は、リニューアル設備としてガス系消火設備を例にとっているが、これは一例であり、既設の基幹装置と端末機器との間を結線している既設電線管に通した複数の既設配線の中から少なくとも2本を選択して、新設した基幹装置と端末機器との間の伝送に使用するリニューアル設備であれば、適宜の設備を対象とする。
【0218】
(試験制御用配線)
図4、
図7、
図9及び
図10の実施形態にあっては、試験電文以外の試験開始電文、確認応答電文、試験終了電文等を、評価対象として選択した既設配線により試験送信装置と試験評価装置との間で送受信しているが、他の実施形態として、試験送信装置と試験評価装置との間を専用の試験制御用配線で別途接続し、試験開始電文、確認応答電文、試験終了電文等の試験制御に用いる電文を送信するようにしても良い。
【0219】
この点は、
図11の試験評価装置と端末折返し装置を用いた配線評価システムも同様であり、試験評価装置と端末折返し装置との間を試験制御用配線で別途接続し、試験評価装置から端末折返し装置に試験制御用配線を介して評価対象配線の切替制御電文を送信し、端末折返し装置の回線選択を制御するようにしても良い。
【0220】
(試験送信装置と試験評価装置の配置)
上記の実施形態は、基幹装置となる制御盤側に試験送信装置を配置し、端末機器となる操作箱側に試験評価装置を配置しているが、逆に、制御盤側に試験評価装置を配置し、操作箱側に試験送信装置を配置しても良い。
【0221】
また、上記の他の実施形態は、基幹装置となる制御盤側に試験評価装置を配置し、端末機器となる操作箱側に端末折返し装置を配置しているが、逆に、制御盤側に端末折返し装置を配置し、操作箱側に試験評価装置を配置しても良い。
【0222】
(試験評価)
上記の実施形態は、制御盤と操作箱との間のシリアル伝送に使用する既設配線に試験電文を伝送してそのエラー率を測定して評価する場合を例にとっているか、エラー率以外に、既設配線の絶縁抵抗な漏洩電流等を合わせて測定して評価するようにしても良い。
【0223】
また、既設配線の絶縁抵抗や漏洩電流の測定による評価は、シリアル伝送のエラー率を試験評価する前に行い、絶縁抵抗や漏洩電流に問題がない場合に、試験電文のシリアル伝送による試験評価を行うようにしても良い。
【0224】
(放送配線)
上記の実施形態にあっては、評価対象とする既設配線と同じ既設配管に通している放送配線に放送信号を供給しながら、試験対象配線の評価試験を行うようにしているが、放送配線以外に評価対象とする既設配線の信号に影響を及ぼす適宜の信号配線、例えばモータや電磁弁等の電力駆動負荷を駆動する負荷駆動配線につき、同様に駆動信号を供給しながら、試験対象配線の評価試験を行うようにしても良い。
【0225】
(配線選択)
上記の実施形態は6本の既設配線を選択して信頼性を評価する場合を例にとっているが、評価対象とする既設配線の数に対応して、既設配線の選択数は適宜に定めることができる。また、想定される既設配線の最大数となる所定の切替数の選択を可能とするように切替スイッチ回路部又は切替スイッチを構成しておくことで、既設配線の本数が相違しても、対応することを可能とする。
【0226】
(定期点検)
上記の実施形態は、既設設備の制御盤と操作箱をリニューアルする改修工事におけるシリアル伝送に使用する配線の試験評価を例にとっているが、ガス系消火設備の保守点検に際に、シリアル伝送に使用している2本の配線に、試験送信装置と試験評価装置を接続して試験電文のエラー率を測定して信頼性を評価するようにしても良い。
【0227】
(その他)
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0228】
10:制御盤
11:火災感知器
12:操作箱
13:スピーカ
14:噴射ヘッド
15:放出表示灯
16:消火ガス貯蔵容器
17:選択弁
18:起動装置
20:圧力スイッチ
24:回線ユニット
38,52:制御部
40:操作箱送受信部
46,54,204,304:シリアル送受信部
64:電線管
66:試験用配線
70:試験用ケーブル
72:試験用下り配線
74,76:試験用上り配線
78,80:折返し配線
200:試験送信装置
201,300:試験評価装置
202:送信制御部
203:試験制御部
206,208,306,308:切替スイッチ
210,211,310,311:操作部
214:制御盤端子台
216:シリアル送信部
218,305:シリアル受信部
224,226,324,326:切替スイッチ回路部
301:端末折返し装置
302:受信制御部
303:端末制御部
314:操作箱端子台