(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】接点出力装置
(51)【国際特許分類】
H02H 3/02 20060101AFI20240702BHJP
H02H 3/087 20060101ALI20240702BHJP
H02H 3/05 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H02H3/02 N
H02H3/087
H02H3/05
(21)【出願番号】P 2023105038
(22)【出願日】2023-06-27
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】関 貫造
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-59647(JP,A)
【文献】特開2008-176526(JP,A)
【文献】特開2021-33600(JP,A)
【文献】特開2021-195010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 1/00-3/07
H02H 99/00
H02H 3/08-3/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部、及び、前記制御部に電源を供給する電源部、を備える接点出力回路をN系統(N≧2)と、前記N系統の接点出力回路それぞれの出力ラインをワイヤードオア接続したワイヤードオア回路部と、を具備する接点出力装置であって、
前記電源部は、
正極ラインに介在する過電流に対する遮断器、
を有し、
前記制御部は、
出力リレーと、
一端が駆動用電源部の出力に接続され、他端が当該接点出力回路の前記出力ラインに接続された前記出力リレーの動作接点と、
を有し、
前記ワイヤードオア回路部は、
前記正極ラインの上流側で共通接続された前記N系統それぞれの正極分流ラインを、分流用遮断器と電源供給方向を順方向とするダイオードとを介在させてワイヤードオア接続して出力する前記駆動用電源部、
を有する、
接点出力装置。
【請求項2】
前記接点出力回路の前記電源部は、
前記遮断器より電源電流下流側において、前記正極ラインと負極ラインとの間に接続されたコンデンサ、
を有する、
請求項1に記載の接点出力装置。
【請求項3】
前記ワイヤードオア回路部は、
前記N系統それぞれの故障反応リレー、
を有し、前記N系統の接点出力回路それぞれの出力ラインをワイヤードオア接続した後段において、
外部出力リレーと、
並列に接続した前記N系統それぞれの前記故障反応リレーの動作接点(と、
を直列に接続して有する、
請求項1又は2に記載の接点出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接点出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道信号保安システムなどで用いられる接点出力装置は、要求される高い信頼性を実現するために、同一装置を複数備えて冗長化した構成とされる。冗長化した構成として、例えば、特許文献1に開示されているように、接点出力回路(接点出力装置17,18)を2重系に構成し、各回路の接点出力をORゲートによってワイヤードオア接続して外部出力とする構成が知られている。この構成では、各回路が自系の故障時には動作を停止して自系の出力を切り離すことで、他系の回路は停止することなく出力を継続することができ、系を切り替える仕組みが不要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、冗長化した各接点出力回路の接点出力をワイヤードオア接続して外部出力とした構成では、ある系統の電源ラインが短絡故障した場合に他系統の回路も停止してしまうという問題があった。具体的には、例えば、2重化した接点出力回路の接点出力をワイヤードオア接続した構成において、1系の電源ラインが短絡故障した場合、1系の接点出力回路が動作を停止して自系の出力を切り離すまでにある程度の時間を要する。その切り離すまでの間にワイヤードオア接続を介して2系の電源ラインも1系の電源ラインと同電位となってしまい、その結果として、切り離す前に2系の接点出力回路も動作を停止してしまうという問題である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、冗長化した各接点出力回路の接点出力をワイヤードオア接続して構成した接点出力装置であって、ある系統の電源ラインが短絡故障しても他系統の接点出力回路の動作が停止することのない接点出力装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、
制御部、及び、前記制御部に電源を供給する電源部、を備える接点出力回路をN系統(N≧2)と、前記N系統の接点出力回路それぞれの出力ラインをワイヤードオア接続したワイヤードオア回路部と、を具備する接点出力装置であって、
前記電源部は、
正極ラインに介在する過電流に対する遮断器(例えば、
図1のフューズF1)、
を有し、
前記制御部は、
出力リレーと、
一端が駆動用電源部の出力に接続され、他端が当該接点出力回路の前記出力ラインに接続された前記出力リレーの動作接点と、
を有し、
前記ワイヤードオア回路部は、
前記正極ラインの上流側で共通接続された前記N系統それぞれの正極分流ラインを、分流用遮断器(例えば、
図1のフューズF3,F4)と電源供給方向を順方向とするダイオード(例えば、
図1のダイオード46)とを介在させてワイヤードオア接続して出力する前記駆動用電源部、
を有する、
接点出力装置である。
【0007】
第1の発明によれば、冗長化した各接点出力回路の出力ラインをワイヤードオア接続した接点出力装置であって、ある系統の電源ラインが短絡故障しても他系統の接点出力回路の動作が停止することのない接点出力装置を実現することができる。
【0008】
つまり、ある系統において電源部の正極ラインと負極ラインとが短絡する故障が発生した場合、正極ラインに介在する遮断器の遮断によってその系統の接点出力回路は動作を停止し、出力リレーの動作接点が開放されて他系統とのワイヤードオア接続から切り離されるが、遮断器が遮断するまでにある程度の時間を要する。ワイヤードオア回路部において、各系統の接点出力回路の出力ラインは、当該系統の出力リレーの動作接点を介して共通の駆動用電源部の出力に接続されている。駆動用電源部は、各系統の電源部の正極ラインそのものではない正極分流ラインを、分流用遮断器と電源供給方向を順方向とするダイオードとを介在させてワイヤードオア接続して出力する。このため、ある系統の電源部の短絡故障の発生によってその系統の正極ラインの電位が低下しても、ワイヤードオア接続を介して他系統の電源部の正極ラインの電位が低下するといったことは生じない。また、各系統の正極分流ライン間に電位差が生じたとしても、正極分流ラインに介在させた電源供給方向を順方向とするダイオードによって、その電位差による電流が正極分流ラインに流れることが防止される。これにより、他系統の遮断器が遮断することがなく、他系統の接点出力回路の動作が停止することはない。
【0009】
第2の発明は、上述の発明において。
前記接点出力回路の前記電源部は、
前記遮断器より電源電流下流側において、前記正極ラインと負極ラインとの間に接続されたコンデンサ、
を有する、
接点出力装置である。
【0010】
第2の発明によれば、接点出力回路の電源部においてコンデンサの短絡故障により正極ラインと負極ラインとの短絡が生じたとしても、正極ラインに介在している遮断器の遮断によって当該系統の接点出力回路の動作が停止される。当該系統の接点出力回路の動作が停止したとしても、第1の発明の作用効果によって他系統の接点出力回路の動作が停止することはない。
【0011】
第3の発明は、上述の発明において、
前記ワイヤードオア回路部は、
前記N系統それぞれの故障反応リレー、
を有し、前記N系統の接点出力回路それぞれの出力ラインをワイヤードオア接続した後段において、
外部出力リレーと、
並列に接続した前記N系統それぞれの前記故障反応リレーの動作接点と、
を直列に接続して有する、
接点出力装置である。
【0012】
第3の発明によれば、接点出力回路の故障が検知されていない系統の故障反応リレーの動作接点が構成される。N系統の接点出力回路のうち、故障が検知されていない接点出力回路が1つ以上あるならば、外部出力リレーが動作(駆動又は復旧)することになり、接点出力装置の動作が停止することはない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本実施形態の接点出力装置1の概略回路構成図である。
図1に示すように、本実施形態の接点出力装置1は、2系統(N=2)の接点出力回路10(1系接点出力回路10a及び2系接点出力回路10b)と、ワイヤードオア回路部40とを具備する2重系の接点出力装置である。なお、各系統の接点出力回路10(10a,10b)は同一構成であるので、
図1では、1系接点出力回路10aの詳細な構成を示し、2系接点出力回路10bの詳細な構成は省略している。また、接点出力回路10(10a,10b)が有する構成要素について、1系接点出力回路10aの構成要素については符号の末尾に“a”を付し、2系接点出力回路10bの構成要素については符号の末尾に“b”を付している。
【0016】
1系接点出力回路10aと2系接点出力回路10bとが同じ回路構成であるため、以下の説明では、包括して「接点出力回路10」として「接点出力回路10」の内部回路構成を説明する。また、系統を識別する必要な箇所において構成要素の語頭に“1系”又は“2系”を付し、符号の末尾に“a”又は“b”を追加して説明する。
【0017】
接点出力回路10は、制御部20と、制御部20に電源を供給する電源部30とを備える。
【0018】
制御部20は、制御論理部21と、出力リレー22と、出力リレー22を駆動する出力リレー駆動部24と、半導体スイッチ25と、故障リレー26と、故障リレー26を駆動する故障リレー駆動部28とを有する。制御部20が有する各部は、電源部30から供給される直流24Vの制御部用電源で動作する。
【0019】
制御論理部21は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される。制御論理部21は、図示しない上位装置から入力されるリレー制御信号に従って、光電結合方式のフェールセーフ駆動回路である出力リレー駆動部24を介して出力リレー22を駆動する。具体的には、リレー制御信号が制御有りのときは、交番信号を出力リレー駆動部24に出力して出力リレー22を駆動して動作接点23iを構成させるとともに、接点23iiの動作接点(C-N)を構成させる。一方、リレー制御信号が制御無しのときは、交番信号の出力を停止して出力リレー22を復旧させて動作接点23iを開放させるとともに、接点23iiの復旧接点(C-R)を構成させる。出力リレー22の動作接点23iは、一端がワイヤードオア回路部40の駆動用電源部45の出力(B24R(+))に接続され、他端が接点出力回路10の出力ラインLに接続されている。
【0020】
また、制御論理部21は、出力リレー22の接点23iiの接点と、リレー制御信号との合理性を判定する。すなわち、リレー制御信号の制御有無と、接点23iiの動作接点(C-N)又は復旧接点(C-R)の構成との一致を判定し、不一致の場合には、故障を検知したと判定して、故障リレー駆動部28を介して故障リレー26を復旧させた後、制御論理部21の動作を停止する。
【0021】
また、制御論理部21は、半導体スイッチ25のオン・オフを制御する。半導体スイッチ25は、例えばソリッドステートリレー(SSR:Solid State Relay)である。半導体スイッチ25は、外部出力リレー41の動作接点42iを保護するために、故障反応リレー43の動作接点44iと直列接続されて、外部用電源の28V正極ライン(B28~1B28,B28~2B28)と外部出力リレー41の動作接点42iとの間に設けられている。
【0022】
具体的には、制御論理部21は、出力リレー22を動作制御して動作接点23iの状態を確定した後に一定時間が経過することで外部出力リレー41の動作接点42iが安定状態となった状態で、半導体スイッチ25をオン制御して、外部出力リレー41の動作接点42iに外部用電源(1B28,2B28)を印加する。また、出力リレー22を復旧させる場合には、半導体スイッチ25をオフ制御して、外部出力リレー41の動作接点44iへの外部用電源(1B28,2B28)の印加を遮断した後に、出力リレー22を復旧制御する。
【0023】
また、制御論理部21は、半導体スイッチ25のオン・オフの状態と、半導体スイッチ25に出力するオン・オフの制御信号との合理性を判定する。すなわち、制御信号のオン・オフと、半導体スイッチ25のオン・オフの状態との一致を判定し、不一致の場合には、自系の故障を検知したと判定して、故障リレー駆動部28を介して故障リレー26を復旧させた後、制御論理部21の動作を停止する。
【0024】
故障リレー駆動部28は、光電結合方式のフェールセーフ駆動回路であり、制御論理部21から入力される駆動信号に従って故障リレー26を駆動する。制御論理部21は、自系の故障を検知していないときは、駆動信号として交番信号を出力し、故障リレー26を駆動して動作接点27を構成させ、故障を検知したときは、交番信号の出力を停止して故障リレー26を復旧させて動作接点27を開放させる。
【0025】
電源部30は、制御部20に動作のための直流24Vの制御部用電源を供給するとともに、ワイヤードオア回路部40に接点出力のための直流28Vの外部用電源を供給する。
【0026】
制御部用電源は、各系統の直流24Vの電源(B24)から当該系統の接点出力回路10用の電源を供給する。この電源(B24)から供給される正極側のラインを24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)と呼称し、負極側のラインを負極ライン(C24)と呼称する。また、電源(B24)からの電流は、制御部用電源による当該系統用の接点出力回路10用の電流の他に、ワイヤードオア回路部40にも並列に分流される。そこで、ワイヤードオア回路部40に並列に分流する正極側のラインを正極分流ライン(B24~1B24R,B24~2B24R)と呼称する。すなわち、正極分流ライン(B24~1B24R,B24~2B24R)は、24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)の上流側で共通に接続されたラインである。
【0027】
制御部用電源は、24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)に介在するフューズF1と、フューズF1より電源電流下流側であって24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)と負極ライン(C24)との間に接続された電圧安定用のコンデンサCとを有しており、このフューズF1及びコンデンサCを介して、24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)と負極ライン(C24)との間の電圧として当該系統の接点出力回路10用の電源を供給する。フューズF1は、過電流に対する遮断器であり、過電流が流れると溶断することで遮断する。
【0028】
外部用電源は、各系統の直流28Vの電源(B28)を、28V正極ライン(B28~1B28,B28~2B28)に介在するフューズF2を介して、28V正極ライン(B28~1B28,B28~2B28)と負極ライン(C28)との間の電圧として供給する。
【0029】
ワイヤードオア回路部40は、各系統の接点出力回路10(10a,10b)それぞれの出力ラインL(La,Lb)をワイヤードオア接続した回路であり、外部出力リレー41と、各系統の故障反応リレー43(43a,43b)と、駆動用電源部45とを備える。
【0030】
外部出力リレー41は、一端に各系統の接点出力回路10(10a,10b)それぞれの出力ラインL(La,Lb)がワイヤードオア接続され、他端に、並列に接続された各系統の故障反応リレー43(43a,43b)の動作接点44ii(44iia,44iib)を介して制御部用電源の負極ライン(C24)が接続されている。つまり、ワイヤードオア回路部40は、N系統の接点出力回路10(10a,10b)それぞれの出力ラインL(La,Lb)をワイヤードオア接続した後段において、外部出力リレー41と、並列に接続したN系統それぞれの故障反応リレー43(43a,43b)の動作接点44ii(44iia,44iib)とを直列に接続して有する。
【0031】
故障反応リレー43は、対応する系統の故障リレー26の動作接点27と直列接続され、その直列接続の両端に、制御部用電源の24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)及び負極ライン(C24)が接続されている。つまり、故障反応リレー43は、故障リレー26の動作接点27が構成されている場合に駆動されて動作接点44i,44iiを構成し、動作接点27が開放されている場合に復旧されて動作接点44i,44iiを開放するといったように、故障リレー26に応じた動作をする。
【0032】
駆動用電源部45は、外部出力リレー41に駆動のための直流24Vの駆動用電源を供給する。駆動用電源部45は、各系統の正極分流ライン(B24~1B24R,B24~2B24R)を、電源供給方向を順方向とするダイオード46(46a,46b)を介在させてワイヤードオア接続して出力(B24R(+))する。正極分流ライン(B24~1B24R,B24~2B24R)は、各系統の制御部用電源の24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)の上流側で共通接続されたラインであって、当該直流24Vの電源(B24)を、分流用遮断器であるフューズF3,F4を介して供給する。なお、ワイヤードオア回路部40はリレー回路で構成されており、リレーの動作電圧値の精度は電子回路の電圧値ほどの精度を必要としないので、電圧安定用のコンデンサを設ける必要はない。
【0033】
さらに、ワイヤードオア回路部40は、接点出力のための出力正端子(+)、及び、出力負端子(-)を有する。出力正端子(+)は、外部出力リレー41の動作接点42iを介して、各系統の半導体スイッチ25及び故障反応リレー43の動作接点44iの直列接続を介した外部用電源の28V正極ライン(B28~1B28,B28~2B28)がワイヤードオア接続されている。出力負端子(-)は、外部出力リレー41の動作接点42iiを介して、外部用電源の負極ライン(C28)に接続されている。
【0034】
接点出力装置1の動作を説明する。先ず、全ての系統の接点出力回路10において故障が発生していない正常時には、全ての系統の故障リレー26が駆動されて動作接点27が構成され、故障反応リレー43も全て駆動されて動作接点44i,44iiが構成されている。また、ワイヤードオア回路部40において、外部出力リレー41の他端は、各系統の故障反応リレー43の動作接点44ii(44iia,44iib)の並列接続を介して制御部用電源の負極ライン(C24)に接続されている。そして、リレー制御信号に従って、各系統の接点出力回路10が同じ動作をする。すなわち、リレー制御信号に従って、各系統の出力リレー22が駆動又は復旧されて動作接点23iが構成又は開放され、この出力リレー22の動作接点23iの構成又は開放に応じて外部出力リレー41が駆動又は復旧されて動作接点42i,42iiが構成又は開放されて、接点出力が出力正端子(+)と出力負端子(-)の間に出力される。
【0035】
次いで、故障時の動作として、“出力リレー22が駆動されている状態(つまり、動作接点23iが構成されている状態)において、1系電源部30aの制御部用電源のコンデンサCが短絡故障した場合”を想定する。1系電源部30aの制御部用電源のコンデンサCが短絡すると、その24V正極ライン(B24~1B24)と負極ライン(C24)とが短絡することになり、制御部用電源のフューズF1の両端に電位差が生じて電流が流れ、その特性に応じて所定時間後にフューズF1が溶断することで、24V正極ライン(B24~1B24)が負極ライン(C24)と同電位となる。すると、制御部用電源の供給によって動作する1系制御部20aの制御論理部21a、出力リレー駆動部24a、及び、故障リレー駆動部28aは動作を停止し、出力リレー22a、及び、故障リレー26aは復旧する。
【0036】
1系接点出力回路10aの出力リレー22aが復旧してその動作接点23iaが開放されることで、外部出力リレー41の一端にワイヤードオア接続されている各系統の接点出力回路10(10a,10b)の出力ラインL(La,Lb)のうち、故障が発生した1系接点出力回路10aの出力ラインLaがワイヤードオア接続から切り離されることになる。つまり、2系接点出力回路10bの出力ラインLbのみが外部出力リレー41の一端に接続されている状態となり、2系接点出力回路10bの出力リレー22bの動作(駆動又は復旧)に応じた接点出力が出力正端子(+)と出力負端子(-)の間に出力される。
【0037】
また、1系接点出力回路10aの故障リレー26aが復旧してその動作接点27aが開放されることで、1系の故障反応リレー43aが復旧してその動作接点44iiaが開放される。このため、外部出力リレー41の他端は、2系の故障反応リレー43bの動作接点44iibのみを介して負極ラインC24に接続されている。
【0038】
このとき、1系電源部30aのコンデンサCの短絡から、主にフューズF1の溶断に要するある程度の所要時間が生じる。コンデンサCの短絡から、1系の出力リレー22aが復旧してその動作接点23iaが開放されて、1系接点出力回路10aの出力ラインLaがワイヤードオア接続から切り離されるまでに、ある程度の所要時間が生じる。
【0039】
ワイヤードオア回路部40においてワイヤードオア接続されている各系統の接点出力回路10の出力ラインLは、当該系統の出力リレー22の動作接点23iを介して共通の駆動用電源部45の出力(B24R(+))が接続されている。このため、1系電源部30aのコンデンサCが短絡故障し、1系接点出力回路10aの出力ラインLaがワイヤードオア接続から切り離されるまでの間に、1系電源部30aの24V正極ライン(B24~1B24)の電位が低下しても、各系統の接点出力回路10の出力ラインLのワイヤードオア接続を介して、他系である2系電源部30bの24V正極ライン(B24~2B24)の電位が低下するといったことはない。
【0040】
また、1系電源部30aの制御部用電源のコンデンサCが短絡すると、その24V正極ライン(B24~1B24)の電位が低下し、それに伴って1系正極分流ライン(B24~1B24R)の電位も低下する可能性がある。駆動用電源部45は、各系統の正極分流ライン(B24~1B24R,B24~2B24R)を、電源供給方向を順方向としたダイオード46(46a,46b)を介在してワイヤードオア接続して出力している。そのため、1系正極分流ライン(B24~1B24R)の電位が低下しても、電位が高いほうの2系正極分流ライン(B24~2B24R)から電位が低いほうの1系正極分流ライン(B24~1B24R)へ、その電位差により電流が流れることが防止され、2系正極分流ライン(B24~2B24R)の電位が低下することがない。
【0041】
このため、2系電源部30bの制御部用電源のフューズF1は溶断せず、2系接点出力回路10bは動作を停止しない。
【0042】
また、2系電源部の制御部用電源のコンデンサCが短絡故障した場合も同様である。この場合、2系電源部のフューズF1が溶断して2系接点出力回路10bの出力ラインLbがワイヤードオア接続から切り離されるが、1系電源部30aのフューズF1は溶断せず、1系接点出力回路10aは動作を停止しない。
【0043】
[作用効果]
このように、本実施形態によれば、2系統の接点出力回路10(10a,10b)それぞれの接点出力をワイヤードオア接続し、一方の系統の電源部30(30a,・・・)の電源ライン(24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)及び負極ライン(C24))が短絡故障しても他方の系統の接点出力回路10(10a,10b)の動作が停止することのない接点出力装置1を実現することができる。
【0044】
つまり、ある系統において、電源部30のコンデンサCの短絡故障によって24V正極ラインB24~1B24,B24~2B24)と負極ライン(C24)とが短絡する故障が発生した場合、24V正極ラインに介在する遮断器であるフューズF1の遮断によってその系統の接点出力回路10は動作を停止し、出力リレー22の動作接点23iが開放されて他系統とのワイヤードオア接続から切り離されるが、遮断器が遮断するまでにある程度の時間を要する。
【0045】
ワイヤードオア回路部40において、各系統の接点出力回路10の出力ラインLは、当該系統の出力リレー22の動作接点23iを介して共通の駆動用電源部45の出力(B24R(+))に接続されている。駆動用電源部45は、各系統の電源部30の24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)そのものではない正極分流ライン(B24~1B24R,B24~2B24R)を、電源供給方向を順方向とするダイオード46(46a,46b)を介在させてワイヤードオア接続して出力する。このため、ある系統の電源部30の短絡故障の発生によってその系統の24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)の電位が低下しても、ワイヤードオア接続を介して他系統の電源部30の24V正極ライン(B24~1B24,B24~2B24)の電位が低下するといったことは生じない。また、各系統の正極分流ライン(B24~1B24R,B24~2B24R)の間に電位差が生じたとしても、正極分流ライン(B24~1B24R,B24~2B24R)に介在させた電源供給方向を順方向とするダイオード46(46a,46b)によって、その電位差による電流が正極分流ライン(B24~1B24R,B24~2B24R)に流れることが防止される。これにより、他系統の遮断器が遮断することがなく、他系統の接点出力回路10の動作が停止することはない。
【0046】
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0047】
(A)系統の数N
例えば、上述の実施形態では、2系統(N=2)の接点出力回路10(10a,10b)を備える接点出力装置1について説明したが、3系統以上(N>2)の接点出力回路を備える接点出力装置を構成してもよい。
【0048】
(B)遮断器
また、上述の実施形態では、過電流に対する遮断器としてフューズを備えるとしたが、これに限らず、例えば、NFB(No Fuse Breaker:ノーフューズブレーカ)や、MCB(Molded Circuit Breaker:サーキットブレーカ)といった他の遮断器としてもよく、短絡や過負荷により過電流が発生したときに配線を遮断する遮断器であればよい。
【符号の説明】
【0049】
1…接点出力装置
10(10a,10b)…接点出力回路
20(20a,・・・)…制御部
21(21a,・・・)…制御論理部
22(22a,・・・)…出力リレー
23i,23ii(23ia,23iia,・・・)…出力リレーの接点
24(24a,・・・)…出力リレー駆動部
25(25a,・・・)…半導体スイッチ
26(26a,・・・)…故障リレー
27(27a,・・・)…故障リレーの接点
28(28a,・・・)…故障リレー駆動部
30(30a,・・・)…電源部
F1,F2…フューズ
C…コンデンサ
40…ワイヤードオア回路部
41…外部出力リレー
42i,42ii…外部出力リレーの接点
43…故障反応リレー
44i,44ii,44iii…故障反応リレーの接点
F3,F4…フューズ
45…駆動用電源部
46(46a,46b)…ダイオード
【要約】
【課題】冗長化した各接点出力回路の接点出力をワイヤードオア接続して構成した接点出力装置において、ある系統の電源ラインが短絡故障しても他系統の接点出力回路の動作が停止することのない接点出力装置の実現。
【解決手段】接点出力装置1は、制御部20及び制御部20に電源を供給する電源部30を備える接点出力回路10をN系統(N≧2)と、N系統の接点出力回路10それぞれの出力ラインLをワイヤードオア接続したワイヤードオア回路部40とを具備する。制御部20は、出力リレー22と、一端が駆動用電源部45の出力に接続され、他端が当該接点出力回路10の出力ラインLに接続された出力リレー22の動作接点23iとを有し、ワイヤードオア回路部40は、24V正極ラインの上流側で共通接続されたN系統それぞれの正極分流ラインを、フューズF3,F4と電源供給方向を順方向とするダイオード46とを介在させてワイヤードオア接続して出力する駆動用電源部45を有する。
【選択図】
図1