(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】センサ誤差検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20240702BHJP
G01D 5/14 20060101ALI20240702BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20240702BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G01D5/12 K
G01D5/14 E
G01B7/30 H
B62D5/04
(21)【出願番号】P 2023502805
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2021069084
(87)【国際公開番号】W WO2022013075
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-02-06
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519383544
【氏名又は名称】アナログ・ディヴァイシス・インターナショナル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ギャヴィン・パトリック・コスグローヴ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・リチャード・ゴーボルド
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・グヨル
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・アンソニー・ステゲン
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2015/125235(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0245677(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0245893(US,A1)
【文献】特開2018-077096(JP,A)
【文献】特開2016-145813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/14
G01B 7/30
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気角度測定システムであって、
第1のサブセットの出力及び第2のサブセットの出力を含む第1の複数の出力を有する、第1の磁気角度センサであって、前記第1のサブセットの出力は、前記第2のサブセットの出力とは異なる
前記第1の複数の出力の組み合わせである、第1の磁気角度センサと、
第2の複数の出力を有する、第2の磁気角度センサと、
第1の信号処理経路内の第1の信号処理回路であって、前記第1の信号処理回路は、前記第1の磁気角度センサから、前記第1のサブセットの出力を受信し、かつ前記受信された第1のサブセットの出力に基づいて、第1の磁気角度データを判定するように構成された、第1の信号処理回路と、
前記第1の磁気角度センサから、前記第2のサブセットの出力を受信し、かつ前記受信された第2のサブセットの出力に基づいて、第2の磁気角度データを判定するように構成された、第2の信号処理経路内の第2の信号処理回路と、
前記第2の磁気角度センサから、前記第2の複数の出力を受信し、かつ前記受信された第2の複数の出力に基づいて、第3の磁気角度データを判定するように構成された、第3の信号処理経路内の第3の信号処理回路と、
前記第1の磁気角度データ、前記第2の磁気角度データ、及び前記第3の磁気角度データを比較し、かつ前記比較に基づいて、処理結果を判定するように構成された、プロセッサであって、
前記プロセッサは、前記処理結果に少なくとも部分的に基づ
いて、
前記第1の信号処理経路、前記第2の信号処理経路、及び前記第3の信号処理経路の故障を検出するように構成された、プロセッサと、を備える、磁気角度測定システム。
【請求項2】
前記処理結果が、前記第1の磁気角度データ、前記第2の磁気角度データ、及び前記第3の磁気角度データのうちの2つの間の一致を判定することによって判定される、請求項1に記載の磁気角度測定システム。
【請求項3】
前記処理結果が、
前記第1の磁気角度データ、前記第2の磁気角度データ、及び前記第3の磁気角度データのうちの2つの間の一致した2つの磁気角度データのうちの1つを含む、請求項1又は2に記載の磁気角度測定システム。
【請求項4】
前記第1の信号処理経路、前記第2の信号処理経路、及び前記第3の信号処理経路が独立した経路である、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁気角度測定システム。
【請求項5】
前記第1の信号処理経路、前記第2の信号処理経路、及び前記第3の信号処理経路を、故障がないか監視するように構成された、故障検出回路を更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の磁気角度測定システム。
【請求項6】
前記処理結果が、前記第1の磁気角度データ、前記第2の磁気角度データ、及び前記第3の磁気角度データの間に一致がないことを判定し、かつ前記故障が、前記3つの信号処理経路のうちの2つに存在することを判定することによって判定される、請求項5に記載の磁気角度測定システム。
【請求項7】
前記処理結果が、前記故障を有しない前記処理経路からの前記磁気角度データを含む、請求項5又は6に記載の磁気角度測定システム。
【請求項8】
第3の複数の出力を有する第3の磁気角度センサ、及び第4の複数の出力を有する第4の磁気角度センサと、
前記第3の磁気角度センサからの前記第3の複数の出力の第1のサブセットに基づいて、第4の磁気角度データを判定するように構成された、第4の信号処理経路内の第4の信号処理回路と、
前記第3の磁気角度センサからの前記第3の複数の出力の第2のサブセットに基づいて、第5の磁気角度データを判定するように構成された、第5の信号処理経路内の第5の信号処理回路と、
前記第4の磁気角度センサからの前記第4の複数の出力に基づいて、第6の磁気角度データを判定するように構成された、第6の信号処理経路内の第6の信号処理回路と、を更に備え、前記プロセッサが、前記比較と、前記第4の磁気角度データ、前記第5の磁気角度データ、及び前記第6の磁気角度データとに基づいて、前記処理結果を判定するように更に構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の磁気角度測定システム。
【請求項9】
前記処理結果が、前記第1の磁気角度データ、前記第2の磁気角度データ、及び前記第3の磁気角度データの間に一致がないことを判定し、かつ前記第4の磁気角度データ、前記第5の磁気角度データ、及び前記第6の磁気角度データが、前記第1の磁気角度データ、前記第2の磁気角度データ、及び前記第3の磁気角度データのうちの1つに一致することを判定することによって判定される、請求項8に記載の磁気角度測定システム。
【請求項10】
前記処理結果が、前記第4の磁気角度データ、前記第5の磁気角度データ、及び前記第6の磁気角度データに一致する、前記第1の磁気角度データ、前記第2の磁気角度データ、及び前記第3の磁気角度データのうちの前記1つを含む、請求項8又は9に記載の磁気角度測定システム。
【請求項11】
モータを制御するための方法であって、前記方法は、
第1の信号処理経路から第1のデータを、第2の信号処理経路から第2のデータを、及び第3の信号処理経路から第3のデータを取得することであって、前記第1のデータ及び前記第2のデータは
、第1のサブセットの出力及び第2のサブセットの出力を含む複数の出力を有する第1のセンサに関連付けられ、
前記第1のサブセットの出力は、前記第2のサブセットの出力とは異なる前記複数の出力の組み合わせであり、前記第1のデータは、前記第1のサブセットの出力によって生成され、前記第2のデータは、前記第2のサブセットの出力によって生成され、前記第3のデータは、前記第1のセンサとは異なる第2のセンサに関連付けられ、前記第1の信号処理経路、前記第2の信号処理経路、及び前記第3の信号処理経路は互いに独立している、取得することと、
前記第1のデータ、前記第2のデータ、及び前記第3のデータから、それぞれ第1の角度、第2の角度、及び第3の角度を判定することと、
プロセッサを用いて、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記第3の角度を比較することと、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記モータを制御することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記比較に基づいて前記モータを前記制御することが、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記第3の角度のうちの2つが一致すると判定することと、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記第3の角度のうちの2つが一致すると判定することに応答して、前記2つの一致する角度のうちの1つを使用して、前記モータを制御することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
誤差を検出するために、前記第1の信号処理経路、前記第2の信号処理経路、及び前記第3の信号処理経路を監視することと、前記誤差の検出に応答して、活性故障フラグの表示を引き起こすことと、を更に含み、前記活性故障フラグが、前記検出された誤差を有する前記信号処理経路に関連付けられた、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記比較に基づいて前記モータを前記制御することが、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記第3の角度の不一致を判定することと、前記活性故障フラグが、前記第1の信号処理経路、前記第2の信号処理経路、及び前記第3の信号処理経路のうちの2つに関連付けられていることを判定することと、前記活性故障フラグが、前記第1の信号処理経路、前記第2の信号処理経路、及び前記第3の信号処理経路のうちの前記2つに関連付けられているという前記判定に応答して、前記活性故障フラグに関連付けられていない前記信号処理経路に関連付けられている前記角度を使用して、前記モータを制御することと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のセンサが異方性磁気抵抗センサであり、前記第2のセンサがトンネル磁気抵抗センサである、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第4の信号処理経路から第4のデータを、第5の信号処理経路から第5のデータを、及び第6の信号処理経路から第6のデータを取得することであって、前記第4のデータ及び前記第5のデータは第3のセンサに関連付けられ、前記第6のデータは、前記第3のセンサとは異なる第4のセンサに関連付けられ、前記第4の信号処理経路、前記第5の信号処理経路、及び前記第6の信号処理経路は互いに独立している、取得することと、
前記第4のデータ、前記第5のデータ、及び前記第6のデータから、それぞれ第4の角度、第5の角度、及び第6の角度を判定することと、
前記比較と、前記第4の角度、前記第5の角度、及び前記第6の角度とに基づいて、前記モータを制御することと、を更に含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記モータを制御することが、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記第3の角度の間に一致がないことを判定することと、前記第4の角度、前記第5の角度、及び前記第6の角度が、前記第1の角度、前記第2の角度、及び前記第3の角度のうちの1つに一致することを判定することと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
車両制御システムの一部として構成された、モータ制御システムであって、前記モータ制御システムは、
前記車両のハンドルと連通するシャフトと、
モータ制御のために、前記シャフトの回転を判定するための磁気角度測定システムと、を備え、前記磁気角度測定システムは、
第1のサブセットの出力及び第2のサブセットの出力を含む第1の複数の出力を有する、第1の磁気角度センサであって、前記第1のサブセットの出力は、前記第2のサブセットの出力とは異なる
前記第1の複数の出力の組み合わせである、第1の磁気角度センサと、
第2の複数の出力を有する、第2の磁気角度センサと、
第1の信号処理経路内の第1の信号処理回路であって、前記第1の信号処理回路は、前記第1の磁気角度センサから、前記第1のサブセットの出力を受信し、かつ前記受信された第1のサブセットの出力に基づいて、第1の磁気角度データを判定するように構成された、第1の信号処理回路と、
前記第1の磁気角度センサから、前記第2のサブセットの出力を受信し、かつ前記受信された第2のサブセットの出力に基づいて、第2の磁気角度データを判定するように構成された、第2の信号処理経路内の第2の信号処理回路と、
前記第2の磁気角度センサから、前記第2の複数の出力を受信し、かつ前記受信された第2の複数の出力に基づいて、第3の磁気角度データを判定するように構成された、第3の信号処理経路内の第3の信号処理回路と、
前記第1の磁気角度データ、前記第2の磁気角度データ、及び前記第3の磁気角度データを比較し、かつ前記比較に基づいて、処理結果を判定するように構成された、プロセッサであって、前記モータ制御は、前記処理結果に少なくとも部分的に基づく、プロセッサと、を含む、モータ制御システム。
【請求項19】
前記処理結果が、前記第1の磁気角度データ、前記第2の磁気角度データ、及び前記第3の磁気角度データのうちの2つの間の一致を判定することによって判定される、請求項18に記載のモータ制御システム。
【請求項20】
前記処理結果が、
前記第1の磁気角度データ、前記第2の磁気角度データ、及び前記第3の磁気角度データのうちの2つの間の一致した2つの磁気角度データのうちの1つを含む、請求項18又は19に記載のモータ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年2月19日に出願の「Detecting Sensor Error」と題された、米国特許第10,309,803号に関連しており、参照により全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示はセンサに関し、より具体的には、感知素子の様々な組み合わせを通して、センサ誤差を検出するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
磁気センサは、自動車用ステアリングシステムを含む、様々な用途において、シャフトなどの機械的構成要素の線形位置若しくは円形位置、又は角度情報を取得するために、実装され得る。磁気角度センサで使用される磁気感知素子は、例えば、温度変化に起因する、感度レベルの変化及び非直線性誤差に悩まされることが多く、磁気センサ用のセンサ誤差検出機構を実装することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
記載された技術の方法及びデバイスは、それぞれ、その望ましい性質を単独で担うものがない、いくつかの態様を有する。
【0005】
一態様では、磁気角度測定システムが提供される。磁気角度測定システムは、第1の磁気角度センサ、第2の磁気角度センサ、第1の信号処理回路、第2の信号処理回路と、第3の信号処理回路、及びプロセッサを備える。第1の磁気角度センサは、第1のサブセットの出力及び第2のサブセットの出力を含む第1の複数の出力を有する。第1のサブセットの出力は、第2のサブセットの出力とは異なる。第2の磁気角度センサは、第2の複数の出力を有する。第1の信号処理回路は、第1の信号処理経路内にある。第1の信号処理回路は、第1の磁気角度センサから、第1のサブセットの出力を受信し、かつ受信された第1のサブセットの出力に基づいて、第1の磁気角度データを判定するように構成される。第2の信号処理経路内の第2の信号処理回路は、第1の磁気角度センサから、第2のサブセットの出力を受信し、かつ受信された第2のサブセットの出力に基づいて、第2の磁気角度データを判定するように構成される。第3の信号処理経路内の第3の信号処理回路は、第2の磁気角度センサから、第2の複数の出力を受信し、かつ受信された第2の複数の出力に基づいて、第3の磁気角度データを判定するように構成される。プロセッサは、第1の磁気角度データ、第2の磁気角度データ、及び第3の磁気角度データを比較し、かつ比較に基づいて、処理結果を判定するように構成される。磁気角度測定システムの故障許容分解能は、処理結果に少なくとも部分的に基づく。
【0006】
一実施形態では、処理結果を判定することは、第1の磁気角度データ、第2の磁気角度データ、及び第3の磁気角度データのうちの2つの間の一致を判定することを含む。
【0007】
一実施形態では、処理結果は、一致した2つの磁気角度データのうちの1つを含む。
【0008】
一実施形態では、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路は、独立した経路である。
【0009】
一実施形態では、本システムは、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路を、故障がないか監視するように構成された、故障検出回路を更に備える。
【0010】
一実施形態では、処理結果を判定することは、第1の磁気角度データ、第2の磁気角度データ、及び第3の磁気角度データの間に一致がないことを判定し、かつ故障が、3つの信号処理経路のうちの2つに存在することを判定することを含む。
【0011】
一実施形態では、処理結果は、故障を有しない処理経路からの磁気角度データを含む。
【0012】
一実施形態では、本システムは、第3の磁気角度センサ、第4の磁気角度センサ、第4の信号処理回路、第5の信号処理回路、及び第6の信号処理回路を更に備える。第3の磁気角度センサは第3の複数の出力を有し、第4の磁気角度センサは第4の複数の出力を有する。第4の信号処理経路内の第4の信号処理回路は、第3の磁気角度センサからの第3の複数の出力の第1のサブセットに基づいて、第4の磁気角度データを判定するように構成される。第5の信号処理経路内の第5の信号処理回路は、第3の磁気角度センサからの第3の複数の出力の第2のサブセットに基づいて、第5の磁気角度データを判定するように構成される。第6の信号処理経路内の第6の信号処理回路は、第4の磁気角度センサからの第4の複数の出力に基づいて、第6の磁気角度データを判定するように構成される。プロセッサは、比較と、第4の磁気角度データ、第5の磁気角度データ、及び第6の磁気角度データとに基づいて、処理結果を判定するように更に構成される。
【0013】
一実施形態では、処理結果を判定することは、第1の磁気角度データ、第2の磁気角度データ、及び第3の磁気角度データの間に一致がないことを判定することと、かつ第4の磁気角度データ、第5の磁気角度データ、及び第6の磁気角度データが、第1の磁気角度データ、第2の磁気角度データ、及び第3の磁気角度データのうちの1つに一致することを判定することと、を含む。
【0014】
一実施形態では、処理結果は、第4の磁気角度データ、第5の磁気角度データ、及び第6の磁気角度データに一致する、第1の磁気角度データ、第2の磁気角度データ、及び第3の磁気角度データのうちの1つを含む。
【0015】
一態様では、モータを制御するための方法が提供される。第1のデータは、第1の信号処理経路から取得され、第2のデータは、第2の信号処理経路から取得され、第3のデータは、第3の信号処理経路から取得される。第1のデータ及び第2のデータは第1のセンサに関連付けられ、第3のデータは、第1のセンサとは異なる第2のセンサに関連付けられ、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路は互いに独立している。第1の角度、第2の角度、及び第3の角度は、それぞれ第1のデータ、第2のデータ、及び第3のデータから判定され、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度は、プロセッサを用いて比較される。モータは、比較に少なくとも部分的に基づいて制御される。
【0016】
一実施形態では、比較に基づいてモータを制御することは、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度のうちの2つが一致すると判定することと、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度のうちの2つが一致すると判定することに応答して、2つの一致する角度のうちの1つを使用して、モータを制御することと、を含む。
【0017】
一実施形態では、本方法は、誤差を検出するために、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路を監視することと、誤差の検出に応答して、活性故障フラグの表示を引き起こすことと、を更に含む。活性故障フラグは、検出された誤差を有する信号処理経路に関連付けられる。
【0018】
一実施形態では、比較に基づいてモータを制御することは、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度の不一致を判定することと、活性故障フラグが、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路のうちの2つに関連付けられていることを判定することと、活性故障フラグが、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路のうちの2つに関連付けられているという判定に応答して、活性故障フラグに関連付けられていない信号処理経路に関連付けられている角度を使用して、モータを制御することと、を含む。
【0019】
一実施形態では、第1のセンサは異方性磁気抵抗センサであり、第2のセンサはトンネル磁気抵抗センサである。
【0020】
一実施形態では、第4のデータは、第4の信号処理経路から取得され、第5のデータは、第5の信号処理経路から取得され、第6のデータは、第6の信号処理経路から取得される。第4のデータ及び第5のデータは第3のセンサに関連付けられ、第6のデータは、第3のセンサとは異なる第4のセンサに関連付けられ、第4の信号処理経路、第5の信号処理経路、及び第6の信号処理経路は互いに独立している。第4の角度、第5の角度、及び第6の角度は、それぞれ第4のデータ、第5のデータ、及び第6のデータからそれぞれ判定される。モータは、比較と、第4の角度、第5の角度、及び第6の角度とに基づいて制御される。
【0021】
一実施形態では、モータを制御することは、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度の間に一致がないことを判定することと、第4の角度、第5の角度、及び第6の角度が、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度のうちの1つに一致することを判定することと、を含む。
【0022】
一態様では、モータ制御システムが提供される。本システムは、車両制御システムの一部として構成されている。モータ制御システムは、車両のハンドルと連通するシャフトと、モータ制御のために、シャフトの回転を判定するための磁気角度測定システムとを備える。磁気角度測定システムは、第1の磁気角度センサ、第2の磁気角度センサ、第1の信号処理回路、第2の信号処理回路、第3の信号処理回路、及びプロセッサを備える。第1の磁気角度センサは、第1のサブセットの出力及び第2のサブセットの出力を含む第1の複数の出力を有する。第1のサブセットの出力は、第2のサブセットの出力とは異なる。第2の磁気角度センサは、第2の複数の出力を有する。第1の信号処理回路は、第1の信号処理経路内にある。第1の信号処理回路は、第1の磁気角度センサから、第1のサブセットの出力を受信し、かつ受信された第1のサブセットの出力に基づいて、第1の磁気角度データを判定するように構成される。第2の信号処理経路内の第2の信号処理回路は、第1の磁気角度センサから、第2のサブセットの出力を受信し、かつ受信された第2のサブセットの出力に基づいて、第2の磁気角度データを判定するように構成される。第3の信号処理経路内の第3の信号処理回路は、第2の磁気角度センサから、第2の複数の出力を受信し、かつ受信された第2の複数の出力に基づいて、第3の磁気角度データを判定するように構成される。プロセッサは、第1の磁気角度データ、第2の磁気角度データ、及び第3の磁気角度データを比較し、かつ比較に基づいて、処理結果を判定するように構成される。磁気角度測定システムの故障許容分解能は、処理結果に少なくとも部分的に基づく。
【0023】
一実施形態では、処理結果を判定することは、第1の磁気角度データ、第2の磁気角度データ、及び第3の磁気角度データのうちの2つの間の一致を判定することを含む。
【0024】
一実施形態では、処理結果は、一致した2つの磁気角度データのうちの1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
これらの図面、及び本明細書における関連する説明は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供され、限定を意図するものではない。
【0026】
【
図1A】特定の実施形態による、誤差検出システムの例示的な実装態様の概略図である。
【
図1B】特定の実施形態による、誤差検出システムの例示的な実装態様の概略図である。
【
図2A】特定の実施形態による、感知回路の例示的な実装態様の概略図である。
【
図3】特定の実施形態による、3つの信号処理経路を含む例示的な実装態様のブロック図である。
【
図3A】特定の実施形態による、3つの信号処理経路を含む別の例示的な実装態様のブロック図である。
【
図3B】特定の実施形態による、3つの信号処理経路を含む別の例示的な実装態様のブロック図である。
【
図4】特定の実施形態による、誤差検出方法の例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図5】特定の実施形態による、誤差検出方法の例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図6】特定の実施形態による、別の誤差検出システムの例示的な実装態様の概略図である。
【
図7】特定の実施形態による、誤差検出方法の例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
新規のシステム、装置、及び方法の様々な態様は、添付の図面を参照して、以下で更に十分に説明される。しかしながら、本開示の態様は、多くの異なる形態で具体化することができ、本開示を通して提示された、任意の特定の構造又は機能に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本開示の範囲を完全に伝達するように、これらの態様が提供される。本明細書の教示に基づいて、当業者は、本開示の範囲が、任意の他の態様とは独立して実装されるか、又は組み合わせられるかにかかわらず、本明細書に開示される新規のシステム、装置、及び方法の任意の態様を網羅することが意図されることを理解すべきである。例えば、本明細書に記載される任意の数の態様を使用して、装置が実装され得るか、又は方法が実践され得る。更に、範囲は、本明細書に記載される様々な態様に加えて、又はそれ以外の他の構造、機能性、又は構造及び機能性を使用して実施される、装置又は方法を包含することが意図される。本明細書に開示される任意の態様は、特許請求の範囲の1つ以上の要素によって具体化され得ることを理解されたい。
【0028】
特定の態様が本明細書に記載されているが、これらの態様の多くの変形及び順列は、本開示の範囲に含まれる。好ましい態様のいくつかの利益及び利点が言及されるが、本開示の範囲は、特定の利点、使用、又は目的に限定されることが意図されるものではない。むしろ、本開示の態様は、様々な有線技術及び無線技術、システム構成、光ネットワークを含むネットワーク、ハードディスク、並びに伝送プロトコルに広く適用可能であることが意図されており、それらのうちのいくつかは、好ましい態様の図及び以下の説明に例として示されている。詳細な説明及び図面は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって定義される、本開示の範囲を限定するのではなく、本開示の単なる例示である。
【0029】
本明細書では、同じ参照番号が、同一の又は機能的に類似した要素を示し得る図面を参照する。図面に示された要素が、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことが理解されるであろう。また、特定の実施形態は、図面に示されているよりも多くの要素、及び/又は図面に示されている要素のサブセットを含むことができることが理解されるであろう。更に、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の好適な任意の組み合わせを組み込むことができる。
【0030】
磁界ターンセンサシステムの概要
図1A及び
図1Bは、特定の実施形態による、誤差検出システムの例示的な実装態様の概略図である。図示された実装態様100は、シャフト106、磁石104、感知回路102及び回路基板108を含む。感知回路102の実施形態は、以下の
図2A~
図2Bに関連して更に説明される。磁石104は、回転シャフト106に取り付けることができる。回転シャフト106は、特定の実装態様では、自動車のハンドルに関連付けられ得る。感知回路102は、磁石104の位置の変化を感知し、回転シャフト106の回転の表示を提供することができる。
図1A及び
図1Bに示された感知回路102と磁石104との位置関係は、説明のためのものである。別の実施形態では、実装態様は、磁石104が、シャフト106の端部に位置する双極子磁石であり得、かつ感知回路102が、磁石104の下に位置することができる、シャフト端部構成を使用することができる。位置関係は様々である。一実施形態では、感知回路102は、2つのセンサ、すなわち、第1のセンサ及び第2のセンサを備え得る。第2のセンサは、第1のセンサとは異なる場合がある。例えば、第2のセンサは、異なる感知原理及び異なる信号チェーン設計を使用して、堅牢性を確保することができる。
【0031】
実施形態では、異方性磁気抵抗(AMR)センサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ若しくはトンネル磁気抵抗(TMR)センサ、又は任意の他の好適な磁気抵抗(XMR)センサなどの磁気センサを使用して、開示された装置及び/又は方法を実施することができる。いくつかの実施形態では、磁気センサは、磁気抵抗センサ内の自由層の磁化方向に比例する、抵抗率の変化を測定することができる。AMRセンサ及びTMRセンサなどの磁気センサ、並びに磁気センサの感知素子の様々な組み合わせを使用することにより、誤差を検出することができる。例えば、本明細書に記載の実施形態は、AMRセンサの抵抗感知素子の短絡、出力回路の静電気放電(ESD)リーク、1つ以上のフィルタ(例えば、電磁適合性(EMC)フィルタ)の損傷、利得誤差、非直線性誤差等、又はそれらの任意の組み合わせに起因する、センサ誤差に関連する課題を克服することができる。
【0032】
他の実施形態では、差動正弦出力及び/又は差動余弦出力から位置情報を取得する、他の種類のセンサを使用して、本明細書に記載の誤差検出装置及び方法を実装し得る。例えば、レゾルバ、ホール効果センサ、光学センサなどのセンサ、又はそれらの任意の組み合わせが使用され得る。しかも、本明細書における開示は、例えば、温度によるセンサの変動に関係なく、感知誤差の自己チェックを提供することができる。
【0033】
特定のモータ制御用途では、シャフト106のモータシャフト角度を監視することが有益である。シャフト角度測定の誤差は、不正確なモータトルク出力につながる可能性がある。したがって、角度測定の結果が実際のシャフト角度に忠実であることと、角度測定の誤差がモータ制御システムに伝達されていることと、を確認することが重要である。更に、モータ制御用途では、ステアリングが利用可能なままであることが重要である。したがって、モータ制御システムが有効な測定角度を提供することは、故障の存在下で有益である。
【0034】
シャフト106のモータシャフト角度を監視することが有益であり得るシステムの実施例は、自動車における自動車用電動アシストステアリング(ePAS)システムである。多くのePASシステムでは、シャフト106の角度は、システムが正常に動作しているときに、モータ制御機能の一部として監視される。2つのセンサ又は単一のセンサからの角度出力の比較に依存する角度測定システムの事前診断は、2つの測定経路を有する。報告された角度測定値が著しく逸脱した場合、どの角度測定値が不正確かを判定できないため、システムは停止する。この課題に対処するために、角度測定システム(感知回路102の一部として含めることができる)は、どの角度測定値が不正確かを判定するように構成することができる。
【0035】
モータシャフト106が回転したターン数は、特定の車両機能のための重要な変数であり得る。例えば、ハンドルシャフトのターン数測定の誤差は、危険な状態の原因となり得る、不正確なステアリング角度の検出につながり得る。したがって、ターン数を正確に測定し、角度測定のいかなる誤差もモータ制御システムに伝達することが重要であり得る。更に、機能性を維持するために、どの角度測定値が不正確で、どの角度測定値が、有効な測定値に対して依存できるかを判定することが重要である。
【0036】
本開示では、感知回路102は、複数の信号経路からの角度測定値を使用して、角度測定値間の不一致を判定することができる。ある態様では、第2のセンサと、第1のセンサの固有の冗長性と、を組み合わせて、第1のセンサの測定角度と第2のセンサの測定角度との間が不一致の場合に、角度測定システムが、どのセンサが故障しているかを判定することを可能にすることができる。しかも、本開示では、第2のセンサは、異なる感知原理及び異なる信号チェーン設計を使用して、共通原因の故障事象に対する堅牢性を確保することができる。
【0037】
本開示の態様は、例えば、感知回路102を含む磁気角度センサに実装され得る。そのような磁気センサは、AMR感知素子及びTMR感知素子、信号調節エレクトロニクス、並びにインターフェースを含むことができる。一用途では、インターフェースは、PAS4、シリアル周辺装置インターフェース(SPI)、シングルエッジニブル伝送(SENT)インターフェース、周辺センサインターフェース(PSI5)、低電圧差動信号(LVDS)インターフェース、又は、車両内エアバッグ展開用に使用されるリモート加速度計のためのアプリケーションバイナリインターフェース(ABI)などの、ホスト電子制御ユニット(ECU)との通信用の周辺加速度センサ(PAS)インターフェースであってもよい。磁気角度センサは、自動車用ePASシステムに実装することができる。そのようなシステムは、道路車両の機能安全基準であるISO-26262に従って定義された、機能安全仕様を有する。本明細書で議論された原理及び利点は、機能安全仕様を満たすために、ePASシステムにおける(例えば、ハンドルに関連付けられ得る)シャフト106の角度測定における誤差を検出するために実装することができる。他の例では、図示された実装態様100は、他の仕様若しくは標準に準拠した他のシステム、又は角度感知の比較的低い誤差及び/若しくは堅牢なクロスチェックを必要とするシステムで、使用することができる。
【0038】
本明細書に記載されるように、磁気センサは、典型的には、2つのフルブリッジ、例えば、余弦ブリッジ及び正弦ブリッジを含む。余弦ブリッジ及び正弦ブリッジの各々は、それぞれ電圧、すなわち、VCOS及びVSINを出力する。例えば、単一の双極子磁石を使用するAMRセンサでは、「電気角度」は、逆正接(VSIN/VCOS)から算出された角度として理解することができ、本明細書でANGLEMAGとして表される「磁気角度」は、「電気角度」を2で割ることによって算出することができる。2つのブリッジが互いに約45°で回転するAMRの場合、2つのブリッジの出力は、約90°の相対位相シフトを伴う正弦波であり、センサの電気応答は磁気角度の2倍である。別の実施例では、TMRセンサの場合、「電気角度」は、「磁気角度」と同じであり得る。更に、「機械的角度」は、磁石設計に基づいて判定される角度として理解することができ、機械-磁気角度伝達関数に反映することができる。「機械的角度」及び「磁気角度」は、同じであり得又は互いに異なり得る。例えば、単一磁極対磁石を使用する特定の実施形態では、「機械的角度」及び「磁気角度」は同じである。しかしながら、他の実施形態では、例えば、磁気角ゼロ度が、所望の機械的角ゼロ度に対して回転される場合、「機械的角度」及び「磁気角度」は異なり得る。極性リングのような多極性磁石を使用する実施形態では、「機械的角度」は(ANGLEMAG/N)として表すことができる。ここで、Nは、磁極対の数である。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び方法は、双極子磁石又はリング磁石などの1つ以上の磁気素子を含み得る、回転シャフトを有する装置に適用され得る。感知素子による磁場の測定を使用して、シャフトの回転角度を判定することができる。
【0040】
磁界ターンセンサシステム及び誤差検出技術の実施例
図2Aは、一実施形態による、第1のセンサ110の例示的な実装態様の図を示す。第1のセンサ110は、1つ以上のハーフブリッジを備える。2つ以上のハーフブリッジを含むセンサ110は、1つ以上のフルブリッジとして構成され得る。
図2Aに図示された例示的な第1のセンサ110は、4つのハーフブリッジのシステムとして構成される、8つの感知素子R1~R8を含む。
図2Aに図示するように、第1のセンサ110は、出力V1を有する第1のハーフブリッジを形成する感知素子R1及びR3と、第2の出力V2を有する第2のハーフブリッジを形成する感知素子R2及びR4と、出力V3を有する第3のハーフブリッジを形成する感知素子R5及びR7と、出力V4を有する第4のハーフブリッジを形成する感知素子R6及びR8と、を含む。
【0041】
ハーフブリッジシステムの複数のハーフブリッジ(又は、対になったハーフブリッジであるフルブリッジ)は、互いに対して相対的な角度で配向され得、異なる方向の磁場に対して感受性があるように構成され得る。
図2Aでは、感知素子R1~R4を含むフルブリッジ、及び感知素子R5~R8を含むフルブリッジは、互いに対して角度αに配向される。図示された実施形態では、α=約45°である。一実施形態では、対になった2つのハーフブリッジ(フルブリッジである)の各々は、個々の信号処理経路、すなわち、各々が、第1のセンサとインターフェースとの間の経路である、第1の信号処理経路及び第2の信号処理経路を形成することができる。ここで、一方のフルブリッジは、余弦ブリッジに対応することができ、他方のブリッジは、正弦ブリッジに対応することができる。例えば、余弦ブリッジは、感知素子R1~R4を備えることができ、正弦ブリッジは、感知素子R5~R8を備えることができる。ここで、V2-V1=V
COS及びV4-V3=V
SINである。正弦ブリッジ及び余弦ブリッジのうちの一方のブリッジは、第1のセンサ110からインターフェースへの第1の経路である、第1の信号処理経路に含まれ得る。正弦ブリッジ及び余弦ブリッジの他方は、第1のセンサ110からインターフェースへの第2の経路である、第2のチャネルに含まれ得る。第1の経路は、第2の経路とは異なる。他の実施形態では、ハーフブリッジのシステムは、
図2Aに図示された実施形態よりも多い又は少ないハーフブリッジを含んでもよい。
【0042】
図3は、一実施形態による、誤差検出器の例示的な実装態様300のブロック図である。図示された実装態様300は、第1のセンサ110、第2のセンサ120、インターフェース314、及びプロセッサ316を備えることができる。第1のセンサ110はAMRセンサであり得、第2のセンサ120はTMRセンサであり得る。
【0043】
第1のセンサ110とインターフェース314との間の第1の信号処理経路は、第1の増幅器304a、及び第1のアナログデジタル変換器306aを備えることができる。第1の信号処理経路は、インターフェース314の少なくとも一部を備えることができる。第1の信号処理経路は、インターフェース314を通じて、第1のデータをプロセッサ316に提供することができる。第1のデータは、第1のセンサ110に関連付けられ得る。第1のデータは、
図2Aに図示されたハーフブリッジの組み合わせに関連付けられ得る。例えば、第1の信号処理経路は、インターフェース314を通じて、第1のセンサ110からの角度測定データをプロセッサ316に提供することができる。
【0044】
第1のセンサ110とインターフェース314との間の第2の信号処理経路は、マルチプレクサ308、第2の増幅器304b、及び第2のアナログデジタル変換器306bを備えることができる。第2の信号処理経路は、インターフェース314の少なくとも一部を備えることができる。第2の信号処理経路は、インターフェース314を通じて、第2のデータをプロセッサ316に提供することができる。第2のデータは、第1のセンサ110に関連付けられ得る。第2のデータは、
図2Aに図示されたハーフブリッジの組み合わせのうちの別の1つに関連付けられ得る。例えば、第2の信号処理経路は、第1の信号処理経路に角度測定データを提供するために使用されるのとは異なる、第1のセンサ出力の組み合わせとは独立して、位相シフト角度を測定することができる。第1の信号処理経路に関連付けられた第1のセンサ出力の組み合わせは、第2の処理経路に関連付けられた第1のセンサ出力の組み合わせとは異なる。第2の信号処理経路は、インターフェース314を通じて、第1のセンサ110からの角度測定データをプロセッサ316に提供することができる。
【0045】
第2のセンサ120とインターフェース314との間の第3の信号処理経路は、第3の増幅器310、及び第3のアナログデジタル変換器312を備えることができる。第3の信号処理経路は、インターフェース314の少なくとも一部を含むことができる。第3の信号処理経路は、インターフェース314を通じて、第3のデータをプロセッサ316に提供することができる。第3の信号処理経路データは、第2のセンサ120に関連付けられ得る。第2のセンサ120は、第1のセンサ110とは異なり得る。第3の信号処理経路は、第1の信号処理経路及び第2の信号処理経路から独立することができる。第3の信号処理経路は、第1の信号処理経路及び第2の信号処理経路の要素を共有することなく、角度を検出するためのデータを取得することができる。例えば、第3の信号処理経路は、インターフェース314を通じて、第2のセンサ120からの角度測定データをプロセッサ316に提供することができる。他の態様では、第2のセンサ120は、第1のセットの出力及び第2のセットの出力を有することができ、第1のセンサ110に関連付けられた、本明細書に記載の回路及び診断のいずれかは、代わりに第2のセンサ120に関連付けられ得る。別の態様では、第1のセンサ110及び第2のセンサ120の両方は、それぞれ、第1のセットの出力及び第2のセットの出力に関連付けられ得、第1のセンサ110に関連付けられたように、本明細書に記載の回路及び診断に類似する追加の回路及び診断は、第2のセンサ120に関連付けられ得る。
【0046】
第1のセンサ110及び第2のセンサ120は、
図1A、
図1B、
図2Aに関連して上述された、感知回路102の一部であり得る。第3の信号処理経路は、
図3Bに図示するように、マルチプレクサ322で代替的に実装することができ、これは以下で更に詳細に説明される。第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路は、プロセッサ316への単一/複数の信号経路内の感知回路102からの信号を処理するための、任意の他の回路を更に含むことができる。例えば、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路は、
図3Bに図示するように、第1のセンサ110及び第2のセンサ120からの出力を較正するための較正回路324a、324b、324cを備えることができ、これは以下で更に詳細に説明される。実装態様300は、バイアス回路、フィルタ、温度センサ、ドライバなどを更に備えることができる。実装態様300は、プロセッサ316による計算を低減するために、アナログ回路素子を更に含むことができる。
図3には図示されていないが、第1のセンサ110及び第2のセンサ120からの信号は、本明細書に記載されるように、第1のセンサ110及び第2のセンサ120からの直接の信号、又は第1のセンサ110及び第2のセンサ120に続く、1つ以上の介在回路素子を経由した信号であり得る。
【0047】
インターフェース314は、シリアル周辺装置インターフェース(SPI)を備え得る。第1の増幅器304a、第2の増幅器304b、及び第3の増幅器310からの信号は、SPIを通じてプロセッサ316に送信され得る。一実施形態では、インターフェース314は、データ及び潜在的な診断情報を送信することができる、任意の好適なインターフェース規格であり得る。一実施形態では、インターフェース314は、AMBAバス又は任意の他のローカルバスインターフェースなどのオンチップインターフェースであり得る。説明のために、インターフェース314は、単一のボックスとして示される。インターフェース314は、複数のインターフェースを含むことができ、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路の各々は、個々のインターフェースを含むことができる。
【0048】
プロセッサ316は、角度及び/又は半径を計算する。プロセッサ316は、第1のデータ、第2のデータ、及び第3のデータをそれぞれ比較して、センサ誤差が存在するかどうかを検出することができる。一実施形態では、プロセッサ316は、(
図3Bに図示するように)同一位置又は別々であり得る、複数の処理素子を含むことができる。プロセッサ316は、命令及び算出された角度、半径、並びにセンサ110、センサ120からのデータを記憶するように構成されたメモリを備えることができる。プロセッサ316はまた、比較に対応するための、任意の好適な計算を実行することができる。第3のデータは、第3の信号処理経路から受信されたデータ、又は第3の信号処理経路から受信されたデータに基づいて計算された値であり得る。図示された実施形態のいずれかにおけるプロセッサ316は、例えば、電動アシストステアリング(ePAS)システムのホスト電子制御ユニット(ECU)によって実装され得る。
【0049】
図3Aは、特定の実施形態による、3つの信号処理経路を含む別の例示的な実装態様300Aのブロック図である。一実施形態では、図示された実装態様300Aは、第1の信号処理経路が、一対の第1の増幅器304a、304a’、及び一対の第1のアナログデジタル変換器306a、306a’を備え、第3の信号処理経路が、一対の第3の増幅器310、310’、及び一対の第3のアナログデジタル変換器312、312’を備えることを除いて、図示された実装態様300と同様である。図示された実装態様300Aは、第1のセンサ110、第2のセンサ120、インターフェース314、及びプロセッサ316を備えることができる。第1のセンサ110はAMRセンサであり得、第2のセンサ120はTMRセンサであり得る。
【0050】
第1のセンサ110とインターフェース314との間の第1の信号処理経路は、一対の第1の増幅器304a、304a’、及び一対の第1のアナログデジタル変換器306a、306a’を含むことができる。第1の信号処理経路は、インターフェース314の少なくとも一部を備えることができる。第1の信号処理経路は、インターフェース314を通じて、第1のデータをプロセッサ316に提供することができる。第1のデータは、第1のセンサ110に関連付けられ得る。第1のデータは、
図2Aに図示されたハーフブリッジの組み合わせに関連付けられ得る。一実施形態では、第1のデータは、
図2Aに図示された第1のセンサ110の4つのハーフブリッジ出力のうちの2つの2通りの組み合わせからの、2つのサブデータを含むことができる。例えば、4つのハーフブリッジ出力のうちの2つの2通りの組み合わせは、
図2Aに図示された、感知素子R1~R4を含む余弦ブリッジ、及び感知素子R5~R8を含む正弦ブリッジからの出力を含むことができる。第1のセンサ110の余弦ブリッジからの出力は、第1の増幅器304a及び第1のアナログデジタル変換器306aを通過することができる。第1のセンサ110の正弦ブリッジからの出力は、第1の増幅器304a’及び第1のアナログデジタル変換器306a’を通過することができる。
【0051】
第1のセンサ110とインターフェース314との間の第2の信号処理経路は、マルチプレクサ308、第2の増幅器304b、及び第2のアナログデジタル変換器306bを備えることができる。第2の信号処理経路は、インターフェース314の少なくとも一部を備えることができる。第2の信号処理経路は、インターフェース314を通じて、第2のデータをプロセッサ316に提供することができる。第2のデータは、第1のセンサ110に関連付けられ得る。第2のデータは、
図2Aに図示されたハーフブリッジの組み合わせのうちの別の1つに関連付けられ得る。例えば、第2の信号処理経路は、第1の信号処理経路に角度測定データを提供するために使用されるのとは異なる、第1のセンサ出力の組み合わせとは独立して、位相シフト角度を測定することができる。第2の信号処理経路は、インターフェース314を通じて、第1のセンサ110からの角度測定データをプロセッサ316に提供することができる。
【0052】
第2のセンサ120とインターフェース314との間の第3の信号処理経路は、一対の第3の増幅器310、310’、及び一対の第3のアナログデジタル変換器312、312’を備え得る。第3の信号処理経路は、インターフェース314の少なくとも一部を含むことができる。第3の信号処理経路は、インターフェース314を通じて、第3のデータをプロセッサ316に提供することができる。第3のデータは、第2のセンサ120に関連付けられ得る。第2のセンサ120は、第1のセンサ110とは異なり得る。第3の信号処理経路は、第1の信号処理経路及び第2の信号処理経路から独立することができる。第3の信号処理経路は、第1の信号処理経路及び第2の信号処理経路の要素を共有することなく角度を検出するためのデータを取得することができる。
【0053】
第1のアナログデジタル変換器、第2のアナログデジタル変換器、及び第3のアナログデジタル変換器306a、306a’、306b、312、及び312’はそれぞれ、例えば、シグマデルタアナログデジタル変換器、逐次近似レジスタ(SAR)アナログデジタル変換器などを含むことができる。ある態様では、マルチプレクサを有する経路上のアナログデジタル変換器は、チャネル変更後により迅速な整定時間を有することができるため、SARアナログデジタル変換器を使用することが有利であり得る。他の態様では、独立した信号経路のために異なる種類のアナログデジタル変換器を使用することは、共通原因の故障に対する堅牢性を高めることができる。第1のマルチプレクサ308は、第1のセンサ110(すなわち、第1のフルブリッジ及び第2のフルブリッジ)から、4つのハーフブリッジ出力を受信することができる。第1のマルチプレクサ308は、一対の第1の増幅器304a、304a’に送信された組み合わせとは異なる、ハーフブリッジ出力の1通りの組み合わせを選択し得る。第1のマルチプレクサ308は、4つのハーフブリッジ出力のうちの少なくとも3つを受信し得、一対の第1の増幅器304a、304a’に送信された組み合わせとは異なる、それらの出力の組み合わせを選択し得る。更に別の実施形態によれば、第2の増幅器304bの差動入力のうちの一方は、ハーフブリッジ出力を受信することができ、第2の増幅器304bの他方の差動入力は、第2の増幅器304bの他方の差動入力に提供する2つ以上のハーフブリッジ出力のうちの1つを選択するように配置された、マルチプレクサに電気的に接続されることができる。
【0054】
図3Bは、特定の実施形態による3つの信号処理経路を含む別の例示的な実装態様300Bのブロック図である。
図3Bの実装態様300Bは、
図3の回路300及び
図3Aの回路300Aの原理及び利点のいずれかを実施することができる。図示された実装態様300Bは、第1のセンサ110、第2のセンサ120、インターフェース314、及びプロセッサ316を備えることができる。第1のセンサ110はAMRセンサであり得、第2のセンサ120はTMRセンサであり得る。
【0055】
第1のセンサ110とインターフェース314との間の第1の信号処理経路は、一対の第1のアナログデジタル変換器306a、306a’、一対の第1の較正回路324a、324a’、及び第1の処理回路326aを備え得る。別の実施形態では、第1の信号処理経路は、第1の較正回路及び第1の処理回路を備え得る。
【0056】
第1の信号処理経路は、インターフェース314の少なくとも一部を備えることができる。第1の信号処理経路は、第1のデータ、及び第1のデータから算出された第1の角度のうちの少なくとも1つを、インターフェース314を通じてプロセッサ316に提供することができる。第1のデータは、第1のセンサ110に関連付けられ得る。第1のデータは、
図2Aに図示されたハーフブリッジの組み合わせに関連付けられ得る。一実施形態では、第1のデータは、
図2Aに図示された第1のセンサ110の4つのハーフブリッジ出力のうちの2つの2通りの組み合わせからの、2つのサブデータを含むことができる。例えば、4つのハーフブリッジ出力のうちの2つの2通りの組み合わせは、
図2Aに図示された、感知素子R1~R4を含む余弦ブリッジ、及び感知素子R5~R8を含む正弦ブリッジからの出力を含むことができる。第1のセンサ110の余弦ブリッジからの出力は、第1のアナログデジタル変換器306a、第1の較正回路324a、及び第1の処理回路326aを通過することができる。第1のセンサ110の正弦ブリッジからの出力は、第1のアナログデジタル変換器306a’、第1の較正回路324a’、及び第1の処理回路326aを通過することができる。
【0057】
第1のセンサ110とインターフェース314との間の第2の信号処理経路は、第1のマルチプレクサ308、第2の較正回路324b、第2のアナログデジタル変換器306b、及び第2の処理回路326bを備え得る。第2の信号処理経路は、インターフェース314の少なくとも一部を備えることができる。
【0058】
第2のセンサ120とインターフェース314との間の第3の信号処理経路は、第2のセンサ120、第2のマルチプレクサ322、第3のアナログデジタル変換器312、第3の較正回路324c、及び第3の処理回路326cを備え得る。第3の信号処理経路は、第1の信号処理経路及び第2の信号処理経路から独立することができる。第3の信号処理経路が第1の信号処理経路及び第2の信号処理経路から独立している実施形態では、第3の信号処理経路は、第1の信号処理経路及び第2の信号処理経路の要素を共有することなく角度を検出するためのデータを取得する。別の実施形態では、第3の信号処理経路は、
図3Aに図示するように、一対の増幅器及び一対のアナログデジタル変換器などの別々の経路を含むことができる。
【0059】
第1のセンサ110及び第2のセンサ120は、
図1A、
図1B、
図2Aに関連して上述された、感知回路102の一部であり得る。第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路は、プロセッサ316への信号経路内の感知回路102からの信号を処理するための、任意の他の回路を更に含むことができる。
【0060】
第2のマルチプレクサ322は、第2のセンサ120(すなわち、第1のフルブリッジ及び第2のフルブリッジ)から4つのハーフブリッジ出力を受信することができる。一実施形態では、第2のマルチプレクサ322は、ハーフブリッジ出力の1通りの組み合わせを選択し得る。第2のマルチプレクサ322は、4つのハーフブリッジ出力のうちの少なくとも3つを受信し得、それらの出力の組み合わせを選択し得る。
【0061】
第1の較正回路、第2の較正回路、及び第3の較正回路324a、324a’、324b、324cは、第1のセンサ110及び第2のセンサ120からの出力を較正することができる。一実施形態では、第1の較正回路、第2の較正回路、及び第3の較正回路324a、324a’、324b、324cは、機能的信号経路であり得る。第1の較正回路、第2の較正回路、及び第3の較正回路324a、324a’、324b、324cは、状態機械によって実装され得る。第1の較正回路、第2の較正回路、及び第3の較正回路324a、324a’、324b、324cは、例えば、角度測定システムの機械的公差によって引き起こされ得るセンサ110、120の誤差を補正することができる。較正は、動的較正及び/又は単一点較正を含むことができる。例えば、オフセット値は、各信号処理経路からの全体波形から監視及び収集される。収集されたオフセットは、角度を算出する前に、第1のデータ、第2のデータ、及び第3のデータから減算される。
【0062】
例示的な実装態様300Bは、診断回路328を更に備え得る。診断回路328は、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路と同じ場所に配置され得る。診断回路328は、較正回路324a、324a’、324b、324c及び/又は信号処理経路を監視することができる。一実施形態では、診断回路328は、正確な逐次動作を確実にするために、較正回路324a、324a’、324b、324cを監視することができる。一実施形態では、診断回路328は、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路の誤差をそれぞれ検出することができる。診断回路328は、3つの信号処理経路の各々に関連付けられた活性故障フラグを介して、信号処理経路上の誤差をプロセッサ316に通知することができる。例えば、診断回路328は、第1のセンサ110及び第2のセンサ120とプロセッサ316との間の接続解除を検出することができる。例えば、診断回路328は、第1のセンサ110、第2のセンサ120からプロセッサ316への信号が、正常動作範囲外にあるかどうかを検出することができる。いくつかの実施形態では、切れたボンドワイヤの検出、短絡検出などの診断は、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路上の誤差を検出するために使用され得る。図示されていない別の実施形態では、診断回路328は、診断回路328が第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路と同じ場所に配置されているときに、インターフェース314を介して診断信号をプロセッサ316に送信することができる。一実施形態では、診断回路328は、プロセッサ316の一部であり得る。したがって、プロセッサ316は、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路の誤差をそれぞれ監視することができる。別の実施形態では、メモリが破損していないかを確認することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路のうちの2つ以下は、1つ以上の回路を共有することができる。共有回路から誤差が検出されると、プロセッサ316は、共有回路を含む信号処理経路からのデータが信頼できないと判定することができる。例えば、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路のうちの2つは、電源又はバイアス回路を共有することができる。2つの信号処理経路に接続された電源が範囲外であるとき、プロセッサ316は、電源を共有する2つの信号処理経路が信頼できないと判定することができ、他の信号処理経路が信頼できると判定することができる。
【0064】
第1の処理回路326a、第2の処理回路326b、及び第3の処理回路326cは、それぞれ第1の較正回路、第2の較正回路、及び第3の較正回路324a、324a’、324b、324cからの出力から、角度及び/又は半径を算出することができる。例えば、第1の処理回路326a、第2の処理回路326b、及び第3の処理回路326cは、座標回転デジタルコンピュータ(CORDIC)アルゴリズムを含むプロセッサを備えることができる。一実施形態では、第1の処理回路326a、第2の処理回路326b、及び第3の処理回路326cは、CORDICアルゴリズムを処理するための処理回路を備えることができる。他の態様では、較正回路は、処理回路の後に配置され得る。例えば、第1の較正回路、第2の較正回路、及び第3の較正回路324a、324a’、324b、324cは、センサ出力を直接操作することによって、センサオフセット/振幅誤差を補正することができる。次に、第1の処理回路326a、第2の処理回路326b、及び第3の処理回路326cは、較正回路出力を角度に変換することができる。ある態様では、処理回路の後の追加の較正回路は、角度測定システムにおける機械的公差によって導入された高調波などの他の誤差を補正することができる。
【0065】
角度及び/又は半径は、インターフェース314又は他の相互接続スキームを通じてプロセッサ316に送信され得る。第1の診断回路、第2の診断回路、及び第3の診断回路328からの出力は、プロセッサ316に送信され得る。プロセッサ316は、それぞれ第1の較正回路、第2の較正回路、及び第3の較正回路324a、324a’、324b、324cから算出された角度を比較して、センサ誤差が存在するかどうかを検出することができる。プロセッサ316はまた、比較に対応するための、任意の好適な計算を実行することができる。一実施形態では、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路は、集積回路に統合され得、プロセッサ316は、例えば、電動アシストステアリング(ePAS)システムのホスト電子制御ユニット(ECU)によって実装され得る。
【0066】
上述したように、第1の信号処理経路は、第1のセンサ110からの角度測定データを報告し、第2の信号処理経路は、第1の信号処理経路における角度測定データを独立して判定するために使用されるのとは異なる、第1のセンサ出力の組み合わせから、位相シフト角度を独立して測定し、第3の信号処理経路は、第2のセンサ120からの角度測定データを報告する。これらの3つの独立した角度測定データは、インターフェース314を通じてプロセッサ316に報告される。プロセッサ316は、角度測定値を比較し、どの角度をモータ制御に使用するかを判定することができる。表1は、3つの独立したセンサ測定データが不一致の場合の、例示的な決定プロセスを概説する。
【0067】
【0068】
表1のシナリオ1~4に見られるように、3つの独立したセンサ測定データが不一致の場合、プロセッサ316は、
図4に示されたプロセスを実装することができる。
図4は、特定の実施形態による、誤差検出方法の例示的なプロセスのフローチャートである。プロセスは、
図2A、
図3、
図3A、
図3Bに示された回路素子及びプロセッサを用いて実行することができる。
【0069】
ブロック402では、3つの信号処理経路から角度測定データが受信される。上述のように、3つの角度測定データは、それぞれ3つの信号処理経路を通して受信され得る。
【0070】
ブロック404では、角度測定データから角度が判定される。例えば、第1の信号処理経路からの第1の角度、第2の信号処理経路からの第2の角度、及び第3の信号処理経路からの第3の角度が判定され得る。
【0071】
ブロック406では、プロセッサ316が、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度を比較して、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度のうちの2つが一致していることを判定する。ある態様では、一致する角度は、閾値内で一致する角度であり得る。例えば、互いの所定の割合内にあると判定された角度値は、一致する角度であるとみなされ得る。
【0072】
ブロック408では、2つの一致する角度のうちの1つを用いて、モータ制御を続行する。
【0073】
ブロック410では、故障又は誤差が、2つの一致する角度とは異なる角度に対応する信号処理経路上に示される。
【0074】
プロセッサ316が、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度が一致していると判定すると、モータ制御は、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度のうちの1つを用いて続行することができる。第1の角度、第2の角度、及び第3の角度が全て一致しないと判定されたとき、追加情報なしに、モータ制御を実装する角度を判定することはできない場合がある。
【0075】
ある態様では、任意の一経路上の単一故障の例が、それでもモータが進むことを可能にする。しかも、モータ制御は、一致する角度を有する2つの信号処理経路によって独立して報告されるように、測定角度の精度に依存し得る。
図4のプロセスは、2つのセンサを有する3つのチャネルシステムを有利に達成する、
図3のシステムトポロジからの測定角度検証のための、3つの多数決システムのうちの2つを実装することができる。上述のセンサ及び信号処理の構成を使用することには、多くの利点がある。システムを2つのセンサに限定することにより、3つの異なるセンサを有する場合と比較して、コスト及び製造の複雑さが低減される。しかも、2つのセンサは、両方のセンサがより均一な磁場に遭遇するように、回転磁石の下に最適に設置することができる。
【0076】
上述したように、モータ角度測定システムは、第1の信号処理経路、第2の信号処理経路、及び第3の信号処理経路の電子測定経路上の診断を追加することによって、更に強化され得る。例えば、較正を実装する状態機械は、状態機械監視を含み得る。3つの較正状態機械のうちのいずれか1つが無効状態の場合、本システムは、3つの信号処理経路の各々に関連付けられた故障フラグのセットを介して通知され得る。これらの故障フラグの各々からの情報は、意思決定プロセスを強化するために使用することができる。例えば、3つの角度が全て不一致の場合、故障フラグ情報は、3つの信号処理経路のいずれかが故障フラグを含まないかどうかを識別することによって、モータ制御システムが低減機能モードで動作可能な状態を維持することを、可能にすることができる。例示的なシナリオを表2に概説する。
【0077】
【0078】
一致するセンサ測定データがない場合、プロセッサ316は、
図5に示されたプロセスを実施することができる。
図5は、特定の実施形態による、誤差検出方法の例示的なプロセスのフローチャートである。プロセスは、
図2A、
図3、
図3A、
図3Bに示された回路素子及びプロセッサを用いて実行することができる。
【0079】
ブロック502では、プロセッサ316が、第1の角度、第2の角度、及び第3の角度が互いに異なることを判定する。ブロック504では、プロセッサ316が、3つの信号処理経路のうちの2つが活性故障フラグを有することを判定する。活性故障フラグは、診断回路328及びプロセッサ316によって設定され得る。ブロック506では、活性故障フラグを有しない信号処理経路に関連付けられた角度を使用して、モータ制御を続行する。
【0080】
図6は、特定の実施形態による、別の誤差検出器システムの例示的な実施態様200の概略図である。図示された実装態様200は、シャフト206、磁石204、第1の感知回路202、第1の基板208、第2の感知回路202’、及び第2の基板208’を含む。図示するように、2つの感知回路202、202’は、1つのシャフト206の周りに配置され得る。別の実施形態では、実装態様は、磁石が、シャフトの端部に位置する双極子磁石であり得、かつ感知回路202、202’が、磁石の下に位置することができる、シャフト端部構成を使用することができる。実装態様200は、実装態様200が、2つの感知回路202、202’と、2つの感知回路202、202’がそれぞれ取り付けられた2つの基板208、208’と、を備えることを除いて、実装態様100と同様である。実装態様200は、ePASシステムであり得、モータ(図示せず)を更に備え得る。第1の感知回路202及び第2の感知回路202’は、
図2A、
図3、
図3A、
図3Bに示された感知回路102と同様の構造及び機能を有し得る。
【0081】
実装態様200がePASシステムであるとき、ePASシステムは、2つのセットの巻線(例えば、第1のセットの巻線及び第2のセットの巻線)を有するモータを備えることができる。ePASシステムは、2つのセットの巻線をそれぞれ駆動することができる、2つの異なるコントローラ(例えば、第1のコントローラ及び第2のコントローラ)を備えることができる。第1の感知回路202及び第2の感知回路202’は、独立して駆動され得る。第1の感知回路202は、例えば、第1のコントローラと関連付けられ得る。第2の感知回路202’は、例えば、第2のコントローラと関連付けられ得る。第1のコントローラは、3つのデータ又は角度情報を第1の感知回路202から受信することができ、第2のコントローラは、3つの異なるデータ又は角度情報を第2の感知回路202’から受信することができる。第1の電源は、第1の感知回路202に電力を供給することができ、第2の電源は、第2の感知回路202’に電力を供給することができる。したがって、誤差を検出するための2つの独立したチャネル、例えば、第1の電源、第1のコントローラ、及び第1の感知回路202を備える第1のチャネル(チャネル1)と、第2の電源、第2のコントローラ、及び第2の感知回路202’を備える第2のチャネル(チャネル2)と、を確立することができる。したがって、実装態様200は、各チャネルにおける故障を許容するように設計され得る。更に、モータ制御システムは、各チャネルに他のチャネルの状態を提供されるように、各チャネルのプロセッサ間の通信を可能にすることによって、強化され得る。チャネルの各々上の経路の各々の間の角度データを比較することによって、安全性及び制御性を更に向上させることができる。一実施形態では、第1のコントローラ及び第2のコントローラは、プロセッサ316に類似するプロセッサをそれぞれ備えることができる。
【0082】
第1のコントローラは、第2のコントローラと通信することができる。第1のコントローラは、第2のチャネル内の信号処理経路及び/又は角度に関連する情報を、受信することができる。第2のコントローラは、第1の通路内の信号処理経路及び/又は角度に関連する情報を、受信することができる。例えば、第1のコントローラは、1つ以上のデータ又は角度情報を、第2のチャネルから受信することができる。第1のチャネル内の第1の感知回路202からの3つの角度データ又は角度情報が互いに異なる場合、第2のチャネル内の第2のコントローラは、第1のチャネルからのどのデータ又は角度情報が正確かを判定するための一致度を、第1のコントローラに提供することができる。例えば、チャネル1の角度が全て不一致の場合、チャネル2からの情報は、正確な情報を提供するチャネル1の経路を識別することによって、システムが動作を維持することを可能にし得る。表3は、2つのチャネルシステムのうちの1つのチャネル上の3つの独立したセンサ測定データの間に不一致が生じた場合の、例示的な意思決定プロセスを概説する。
【0083】
【0084】
図7は、特定の実施形態による、誤差検出方法の例示的なプロセスのフローチャートである。プロセスは、
図2A、
図3、
図3A、
図3Bに示された回路素子及びプロセッサを用いて実行することができる。
【0085】
ブロック702では、第1のチャネル内の全ての角度が異なると判定される。
【0086】
ブロック704では、第2のチャネルが、第1のチャネルからの角度のうちの1つに一致すると判定される。例えば、第1のチャネルの角度情報のうちのどれもが一致しない、又は閾値差内で一致しない場合、第1のコントローラは、第2のコントローラから第2のチャネルの角度情報を受信し、第2のチャネルの角度情報を、第1のチャネルの角度情報と比較することができる。第1のコントローラは、比較に基づいて、第1のチャネルからのどの角度が正確かを判定することができる。例えば、第2のチャネルの3つの角度データ又は角度情報が一致、又は閾値差内で一致し、かつ第1のチャネルの角度データ又は角度情報のうちの1つと一致、又は閾値差内で一致するとき、第2のチャネルの角度データ又は角度情報と一致する、第1のチャネルの角度データ又は角度情報を使用して、第1のチャネルモータ制御を続行する。
【0087】
ブロック706では、第2のチャネルの角度に一致する、第1のチャネルの角度を使用して、第1のチャネルモータ制御を続行する。
【0088】
用語
本開示の態様は、様々な電子デバイスにおいて実施することができる。電子デバイスの実施例は、消費者用電子製品、消費者用電子製品の部品、電子試験装置、車載電子システムなどを含み得るが、これらに限定されない。電子デバイスの実施例は、コンピューティングデバイス、通信デバイス、家電機器、自動車電子システムなどを含み得るが、これらに限定されない。更に、電子デバイスは、未完成の製品を含むことができる。
【0089】
文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除き、説明及び特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」などの語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、つまり、「含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるべきである。加えて、本出願で使用されるとき、「本明細書で」、「上記で」、「以下で」という語、及び同様の意味の語は、本出願全体を指し、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。文脈上許容される場合、上記の発明を実施するための形態における、単数形又は複数形を使用する語はまた、それぞれ複数形又は単数形を含み得る。文脈上許容される場合、2つ以上の項目のリストに関する「又は」という語は、次の語の解釈を全て、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目の全て、及びリスト内の項目の任意の組み合わせを網羅することが意図されている。
【0090】
また、本明細書で使用された条件付きの言葉、とりわけ、「することができる(can)」、「することができるかもしれない、できた(could)」、「するかもしれない(might)」、「してよい(may)」、「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」、「などの(such as)」などは、特に明記しない限り、又は使用された文脈内で別様に理解されない限り、一般に、特定の実施形態は、特定の特徴、要素及び/又は状態を含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることが意図されている。したがって、そのような条件付きの言葉は、一般に、特徴、要素、及び/又は状態が、1つ以上の実施形態に何らかの形で必要とされること、又は、1つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素、及び/又は状態が、任意の特定の実施形態に含まれるか、又は実行されるべきかどうかを決定するための論理を、著者の入力又は指示の有無に関わらず、必ず含むことを暗示することが意図されていない。
【0091】
前述の説明及び特許請求の範囲は、ともに「接続」又は「結合」される要素又は特徴を指す場合がある。本明細書で使用される場合、別段の明示的な記載がない限り、「接続された」とは、1つの要素/特徴が、必ずしも機械的にではなく、別の要素/特徴に、直接的又は間接的に接続されることを意味する。同様に、別段の明示的な記載がない限り、「結合された」とは、1つの要素/特徴が、必ずしも機械的にではなく、別の要素/特徴に、直接的又は間接的に結合されることを意味する。したがって、図に示される様々な概略図は、要素及び構成要素の例示的な配置を描写するが、追加の介在要素、デバイス、特徴、又は構成要素は、実際の実施形態において存在し得る(描写された回路の機能性が悪影響を受けないと仮定する)。
【0092】
本明細書で使用される場合、「判定する」という用語は、多種多様な作用を包含する。例えば、「判定すること」は、算出、計算、処理、導出、調査、検索(例えば、表、データベース又は別のデータ構造内の検索)、確認などを含み得る。「判定すること」はまた、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)なども含み得る。「決定すること」はまた、解決すること、選択すること(selecting)、選択すること(choosing)、確立することなども含み得る。更に、本明細書で使用される「チャネル幅」は、特定の態様では、帯域幅を包含する場合もあれば、帯域幅と呼ばれる場合もある。
【0093】
上述の方法の様々な動作は、様々なハードウェアコンポーネント及び/若しくはソフトウェアコンポーネント、回路、並びに/又はモジュールなどの動作を実行することができる、任意の好適な手段によって実行され得る。一般に、図に示される任意の動作は、動作を実行することができる対応する機能手段によって実行され得る。
【0094】
本開示に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、本明細書に記載の機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ信号(FPGA)若しくは他のプログラマブルロジックデバイス(PLD)、離散ゲート若しくはトランジスタ論理、離散ハードウェアコンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせを用いて、実装又は実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代替として、プロセッサは、任意の市販のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械であってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0095】
本明細書で開示される方法は、記載された方法を達成するための1つ以上のステップ又は動作を含む。方法のステップ及び/又は動作は、特許請求の範囲から逸脱することなく、互いに交換され得る。換言すれば、ステップ又は動作の特定の順序が指定されない限り、特定のステップ及び/若しくは動作の順序並びに/又は使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく、修正され得る。
【0096】
実装態様は、上述の正確な構成及び構成要素に限定されないことを理解されたい。実装態様の範囲から逸脱することなく、上述の方法及び装置の配置、動作、及び詳細に対し、様々な修正、変更、及び変形を行うことができる。
【0097】
本発明は、特定の実施形態の観点から説明されてきたが、本明細書に記載の特徴及び利点の全てを提供しない実施形態を含む、当業者に明らかな他の実施形態も、本発明の範囲内である。また、上述の様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。更に、一実施形態の文脈で示された特定の特徴は、他の実施形態にも組み込まれ得る。