(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ポリオレフィンエラストマー製造工程の押出機における溶媒及び未反応物の回収方法
(51)【国際特許分類】
C08F 6/10 20060101AFI20240702BHJP
B01D 17/00 20060101ALI20240702BHJP
B01D 17/025 20060101ALI20240702BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C08F6/10
B01D17/00 503A
B01D17/025 502Z
B01D15/00 L
(21)【出願番号】P 2023519381
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 KR2021009670
(87)【国際公開番号】W WO2022071650
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0127118
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522318173
【氏名又は名称】ハンファ トータルエナジーズ ペトロケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANWHA TOTALENERGIES PETROCHEMICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】103,Dokgot-2-ro, Daesan-eup, Seosan-si, Chungcheongnam-do 31900, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パク チャン ホ
(72)【発明者】
【氏名】コ ミン ス
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03476736(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0009099(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0323674(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0071619(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104672363(CN,A)
【文献】特公昭38-002968(JP,B2)
【文献】特表2010-525108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/10
B01D 17/00
B01D 17/025
B01D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機(14)に
、ポリオレフィンエラストマーと溶媒と未反応物が混合された流れ(118)を導入し、水を注入して
、130~250℃、1atm未満の条件下で
、水、溶媒及び未反応物を気化させることにより、ポリオレフィンエラストマーから溶媒及び未反応物を除去する第1の段階と、
前記
押出機(14)で気化した流れ(201)をすべて液化する第2の段階と、
液-液分離器(30)を使用して、液化した流れを水と炭化水素に分離する第3の段階と、
吸着塔(10)を介して、分離された炭化水素内の水分を除去する第4の段階と、
水分が除去された炭化水素を蒸留塔(15)に移送する第5の段階と、
を含む、ポリオレフィンエラストマー製造工程の
押出機における溶媒及び未反応物の回収方法。
【請求項2】
前記第2の段階は、
前記
押出機(14)で気化した流れ(201)を冷却する段階と、
第1の圧縮機(21)を使用して、冷却された流れ(202)を加圧する段階と、
前記第1の圧縮機(21)によって加圧された流れ(203)を冷却して、第1の気-液分離器(23)に供給する段階と、
前記第1の気-液分離器(23)の気相流(205)は加熱し、液相流(209)は加圧する段階と、
第2の圧縮機(26)を使用して、前記第1の気-液分離器(23)によって分離されて加熱された流れ(206)を加圧する段階と、
前記第2の圧縮機(26)によって加圧された流れ(207)を冷却して、第2の気-液分離器(28)に供給する段階と、
前記第2の気-液分離器(28)の相対的に低い沸点を有するエチレンとエタン成分は気相流(212)で除去し、これより高い沸点を有する液相流(211)は加圧する段階と、
前記第1の気-液分離器(23)により分離されて加圧された流れ(210)と前記第2の気-液分離器(28)により分離されて加圧された流れを前記液-液分離器(30)に供給する段階と、
を含む、請求項1に記載のポリオレフィンエラストマー製造工程の
押出機における溶媒及び未反応物の回収方法。
【請求項3】
前記第2の段階は、
1つ以上の熱交換器(20)を使用して、前記
押出機(14)で気化した流れ(201)を液化する段階と、
液化した流れ(203)を加圧して、前記液-液分離器(30)に供給する段階と、
を含む、請求項1に記載のポリオレフィンエラストマー製造工程の
押出機における溶媒及び未反応物の回収方法。
【請求項4】
前記
押出機(14)内で気化した流れ(201)を加圧するために1つ以上の圧縮機またはブロワーを使用する、請求項1に記載のポリオレフィンエラストマー製造工程の
押出機における溶媒及び未反応物の回収方法。
【請求項5】
前記第3の段階において、
水と炭化水素の分離時、空気の流入を抑制するために常圧より高い圧力で運転するか、または
常圧以下で運転する場合、前記液-液分離器(30)として密閉型液-液分離器または3相分離器(気-液-液分離器)を使用する、請求項1に記載のポリオレフィンエラストマー製造工程の
押出機における溶媒及び未反応物の回収方法。
【請求項6】
前記密閉型液-液分離器または
前記気-液-液分離器を使用する場合、空気の流入を抑制するために不活性ガスを注入する、請求項5に記載のポリオレフィンエラストマー製造工程の
押出機における溶媒及び未反応物の回収方法。
【請求項7】
前記液-液分離器(30)導入時に水が凍ることを防止するために加熱する、請求項1に記載のポリオレフィンエラストマー製造工程の
押出機における溶媒及び未反応物の回収方法。
【請求項8】
前記液-液分離器(30)として気-液-液分離器を使用して、相対的に低い沸点を有する成分を気相流で除去する、請求項7に記載のポリオレフィンエラストマー製造工程の
押出機における溶媒及び未反応物の回収方法。
【請求項9】
前記液-液分離器(30)で分離された水が濃厚な流れ(214)をフィルタで固形物を除去した後、
前記押出機(14)に再循環(2)する、請求項1に記載のポリオレフィンエラストマー製造工程の
押出機における溶媒及び未反応物の回収方法。
【請求項10】
前記吸着塔(10)は、吸着剤としてモレキュラーシーブ、ゼオライト及びシリカゲルの少なくともいずれかを含む、請求項1に記載のポリオレフィンエラストマー製造工程の
押出機における溶媒及び未反応物の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィンエラストマー(POE:Polyolefin Elastomer)製造工程のフィニッシャー(finisher)において溶媒及び未反応物を回収する方法であって、ポリオレフィンエラストマーから未反応物及び溶媒回収のためにフィニッシャーに水を注入し、軽い物質を除去する流れを加えて水と炭化水素を分離する工程を追加することにより、工程において大気に放出される物質の量を最小化し、工程の効率性を向上させる、エチレン-オクテンゴム(EOR:Ethylene-Octene Rubber)及びエチレン-ブテンゴム(EBR:Ethylene-Butene Rubber)などのポリオレフィンエラストマーのフィニッシャーにおける製造用溶媒及び未反応物の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンエラストマーは、ポリオレフィン系製品の中で低い密度を持つエチレンとアルファオレフィンの共重合体であって、差別化された衝撃補強、高弾性特性と低い熱封合温度などの特性を示すため、自動車内外装材、遮音材、靴用品、食品用フィルム、封止材などに用いられている。
【0003】
前記のようなPOEの製造のため、メタロセン触媒が主に使用されており、その他にチーグラナッタ系の触媒を開発するか、または工場を増設してPOE製造工程の歩留まりや効率性を改善させる研究がなされてきたが、原料及び工程運営において所要の費用及び原料を用いる効率性の側面で改善の余地があった。
【0004】
POE工程は、主に2つの脱揮発機(devolatilizer)と1つのフィニッシャー(finisher、または押出機(extruder))から構成され、工程中に溶媒及び未反応物は気化して抜け出すが、そのうち相対的に高圧である最初の1次脱揮発機に入る前に温度を上昇させて一定圧力に減圧することで、最も多い量の溶媒と未反応物が分離して排出され、相対的に軽い物質であるエチレン(ethylene)などの物質組成が高く現れる。第2の2次脱揮発機では、運転圧力を非常に低くし、高粘度のポリオレフィンエラストマーに捕捉されているか、溶けている溶媒と未反応物(炭化水素)を分離して排出する。そこで、ポリオレフィンエラストマーに約3~20wt%未満の溶媒と未反応物を残して押出機に送られる。
【0005】
従来、前記のようなPOE工程において、押出機を使用する場合、第2の脱揮発機から相当量の炭化水素を除去してこそ、押出機で温度上昇とペレットを作製する過程で炭化水素が一部除去される過程を含めて最終製品で揮発性有機化合物(VOCs)の要求される含量に合わせることができる。このように第2の脱揮発機で相当な炭化水素が分離される場合、流れに粘度が非常に大きく増加して流動性の問題が発生し、押出機で揮発性有機化合物を除去するために減圧工程で運転する場合、空気の流入による製品が変色するという問題が発生した。最近、この問題を解決するために押出機に水やスチームを注入するフィニッシャーを使用して、効率的に押出機の役割を果たし、揮発性有機化合物である炭化水素(溶媒と未反応物)をポリオレフィンエラストマーから分離してもよい。そこで、第2の脱揮発機の出口で流動性が確保できるようにPOE含量80~95wt%までのみ未反応物を除去しても、フィニッシャーは、最終製品内に溶媒と未反応物(VOC)が500ppm以下で含まれるようにし、また、密閉された状態で運転されることにより、空気の流入による変色も発生しないという長所を持つ。しかし、押出機に比べて除去される炭化水素の量は増加したが、水やスチームの導入と減圧により製品から分離された炭化水素をリサイクルするという側面で不利になった。
【0006】
従来の押出機を使用する場合、分離対象である炭化水素が少なく、空気の流入でこれを除去し、除去された溶媒及び未反応物をリサイクルするか、または捨てた。しかし、フィニッシャーの場合には、製品から分離された炭化水素の量が多く、リサイクルしなければ、炭化水素の相当部分が無駄になり運転費の増加の原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術により製造されるPOE製造工程の押出機で発生した問題点を解決するとともに、フィニッシャーにおいて製品から分離される炭化水素(HCs)の回収工程を通じてエネルギーを最小化しつつ、POE製造工程においてリサイクルする技術を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図1は、POEを製造するための工程の流れ図である。
図1を参照すると、そのような工程は、溶媒と原料(1)及び再循環流が供給される反応器(10)、反応器(10)から排出される生成物を脱揮発し、未反応物を除去(1次脱揮発回収の流れ(102))し、その残りを排出(1次脱揮発製造の流れ(117))する1次脱揮発機(11)、1次脱揮発機(11)から排出される1次脱揮発製造の流れ(117)を再度脱揮発し、未反応物をさらに除去(2次脱揮発回収の流れ(104))し、その残りを排出(2次脱揮発製造の流れ(118))2次脱揮発機(12)、水(2)を用いて、2次脱揮発機(12)から排出される2次脱揮発製造の流れ(118)をスクラブすることにより、未反応物及び水(105)が気化し、高分子製品(3)が残留するフィニッシャー(14)、及び1次脱揮発機(11)で除去される1次脱揮発機回収の流れ(102)から低分子物質を除去(不純物除去の流れ(103))し、その残り(116)を反応器(10)に回収するフラッシュドラム(13)を含む。また、フィニッシャー(14)で除去される未反応物及び水(105)から水を除去し、その残りを排出(フィニッシャー反応処理の流れ(106))する吸着塔(10)、2次脱揮発機(12)で除去される2次脱揮発揮循環の流れ(104)及び吸着塔(10)から排出されるフィニッシャー反応処理の流れ(106)を蒸留し、その中間部から分離される流れ(110)を反応器(10)に回収するための1次蒸留塔(15)、フラッシュドラム(13)で除去される不純物除去の流れ(103)及び1次蒸留塔(15)の上部から分離される流れ(107A)を蒸留し、その下部から分離される流れ(109A)を反応器(10)に回収するための2次蒸留塔(16)、及び1次蒸留塔(15)の下部から分離される流れ(111)を蒸留し、その中間部から分離される流れ(114)を反応器(10)に回収する3次蒸留塔(17)をさらに含んでもよい。この場合、供給原料(1)が溶媒とエチレン及び溶媒より沸点が高い物質、例えば、1-オクテンの場合、前記再循環流は、1次蒸留塔(15)の下部から分離される流れ(111)を3次蒸留塔(17)に注入し、3次蒸留塔(17)の中間部から分離される(1-オクテンを含む)流れ(114)と、1次蒸留塔(15)の中間部から分離される流れ(110)と、1次蒸留塔(15)の上部から分離される流れ(107A)を2次蒸留塔(16)に注入して2次蒸留塔(16)の下部から分離される流れ(109A)を含む(C6化合物を含む)流れ(112A)からなる。一方、供給原料(1)が溶媒とエチレン及び溶媒よりも沸点が低い物質、例えば、1-ブテンの場合、前記再循環流は、1次蒸留塔(15)の中間部から分離される流れ(110)と、1次蒸留塔(15)の上部から分離される流れ(107A)を2次蒸留塔(16)に注入して2次蒸留塔(16)の下部から分離される流れ(109A)からなる。
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明は、ポリオレフィンエラストマーと溶媒と未反応物が混合された流れ(118)が高温、減圧下で運転するフィニッシャー(14)に精製された水(2)とともに導入し、高粘度のポリオレフィンポリマーから水、溶媒及び未反応物が分離されてフィニッシャーの上部の気相流(105)に出る。この流れ(105)は、圧力を上げて(21,26,24,29)、温度を下げて(20,22,27)、2つの液相を有するようにし、水と炭化水素を2つの液相を分離する装置(30)から分離する。水分の多い流れ(214)は捨てるか、またはフィニッシャー(14)に導入して再循環(2)する。水分を除去した炭化水素の流れ(215)は、加圧(31)した後、吸着塔(10)を通過させて1ppm以下に水分が管理された流れ(106)は、2次脱揮発機(12)の上部の流れ(104)のように溶媒分離精製工程の1次蒸留塔(15)に導入するものである。
【0010】
一例として、本発明の実施例によるポリオレフィンエラストマー製造工程のフィニッシャーにおける溶媒及び未反応物の回収方法は、フィニッシャー(14)に水を注入して高温、低圧下で気化させることにより、ポリオレフィンエラストマーから溶媒及び未反応物を除去する第1の段階、前記フィニッシャー(14)で気化した流れ(201)をすべて液化する第2の段階、液-液分離器(30)を使用し、液化した流れを水と炭化水素に分離する第3の段階、吸着塔(10)を介して、分離された炭化水素内の水分を除去する第4の段階、及び水分が除去された炭化水素を蒸留塔(15)に移送する第5の段階を含んでもよい。
【0011】
また、前記第2の段階は、前記フィニッシャー(14)で気化した流れ(201)を冷却する段階、第1の圧縮機(21)を使用して冷却された流れ(202)を加圧する段階、前記第1の圧縮機(21)によって加圧された流れ(203)を冷却して、第1の気-液分離器(23)に供給する段階、前記第1の気-液分離器(23)の気相流(205)は加熱し、液相流(209)は加圧する段階、第2の圧縮機(26)を使用して、前記第1の気-液分離器(23)によって分離されて加熱された流れ(206)を加圧する段階、前記第2の圧縮機(26)によって加圧された流れ(207)を冷却して、第2の気-液分離器(28)に供給する段階、前記第2の気-液分離器(28)の相対的に低い沸点を有するエチレンとエタン成分は気相流(212)で除去し、これより高い沸点を有する液相流(211)は加圧する段階、及び前記第1の気-液分離器(23)によって分離されて加圧された流れ(210)と第2の気-液分離器(28)によって分離されて加圧された流れを前記液-液分離器(30)に供給する段階を含んでもよい。
【0012】
また、前記第2の段階は、1つ以上の熱交換器(20)を使用して、前記フィニッシャー(14)内で気化した流れ(201)を液化する段階、及び液化した流れ(203)を加圧して、前記液-液分離器(30)に供給する段階を含んでもよい。
【0013】
また、前記フィニッシャー(14)で気化した流れ(201)を加圧するため、1つ以上の圧縮機またはブロワーを使用してもよい。
【0014】
また、前記液-液分離器(30)として密閉型液-液分離器または3相分離器(気-液-液分離器)を使用してもよい。
【0015】
また、前記密閉型液-液分離器または気-液-液分離器を使用する場合、空気の流入を抑制するために不活性ガスを注入してもよい。
【0016】
また、前記液-液分離器(30)の導入時に水が凍ることを防止するために加熱してもよい。
【0017】
また、前記液-液分離器(30)として気-液-液分離器を使用して、相対的に低い沸点を有する成分を気相流で除去してもよい。
【0018】
また、前記液-液分離器(30)で分離された水が濃厚な流れ(214)をフィルタで固形物を除去した後、フィニッシャーに再循環2してもよい。
【0019】
また、前記吸着塔(10)は、吸着剤としてモレキュラーシーブ、ゼオライト及びシリカゲルのうち少なくともいずれかを含んでもよい。
【発明の効果】
【0020】
上述したように、本発明のポリオレフィンエラストマー製造工程のフィニッシャーにおける溶媒及び未反応物の回収方法は、従来のPOE工程の押出機の代わりに押出機に水やスチームを注入するフィニッシャーにおける溶媒及び未反応物の回収方法を改善するもので、空気の流入なしに最終製品内に炭化水素(未反応物と溶媒)が500ppm未満になるように炭化水素を効率よく分離した後、分離された炭化水素と水をエネルギーが最小となるように炭化水素を分離して溶媒、未反応モノマー及びコモノマーを精製する工程に移送し、POE製造工程でリサイクルすることにより運転費を節減しうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】POE製造工程において1-オクテンを共重合体として使用した製造工程に対する全体の流れ図である。
【
図2】本発明に実施例として使用されたフィニッシャーにおける炭化水素回収工程に対する流れ図である。
【
図3】本発明に実施例として使用されたフィニッシャーにおける炭化水素回収工程に対する流れ図である。
【
図4】本発明で比較例として使用されたフィニッシャーにおける炭化水素回収工程に対する流れ図である。
【
図5】本発明で比較例として使用されたフィニッシャーにおける炭化水素回収工程に対する流れ図である。
【
図6】本発明で比較例として使用されたフィニッシャーにおける炭化水素回収工程に対する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明によるポリオレフィンエラストマー製造工程の押出機で溶媒及び未反応物の回収工程を行うために具体的な内容を説明すると、次の通りであるが、本発明がPOEを生産するためのフィニッシャーのみに限定されるものではない。また、特に定義されない限り、すべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野で熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を有し、一般に本発明で使用される命名法及び方法は、この技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。
【0023】
図2と
図3は、フィニッシャー14で分離された炭化水素の大部分を回収する工程であり、
図4と
図6は、フィニッシャー14で分離された炭化水素の一部のみを回収する工程である。また、
図2の工程は、エネルギーレベルの低いユーティリティである冷却水を使用することにより、
図3の工程よりも同量の炭化水素を回収するのに少ない量の液化に必要な冷凍容量が要求される。そこで、
図2の工程が実際の投資費が少なくかかる。
【0024】
図2は、本発明の実施例として使用されたフィニッシャー14における炭化水素回収工程に対する流れ図である。高温(例えば、130~250℃、適切には、フィニッシャー14の運転圧力での溶媒と未反応物の沸点より30℃以上高い温度)、減圧(1atm未満、適切には、10~500torr)下でフィニッシャー14が運転されてもよい。このとき、フィニッシャー14で最終製品から水とともに分離された炭化水素の気相流(すなわち、気化した流れ)201を熱交換器20を使用して冷却させ、冷却された流れ202を圧縮機21を使用して加圧し、加圧された流れ203を熱交換器22を使用して冷却させた後、冷却された流れ204を気-液分離器23に導入する。気-液分離器23の気相流205は、熱交換器25を使用してわずかに加熱し、加熱された流れ206を第2の圧縮機26を使用して加圧し、加圧された流れ207を熱交換器27を使用して冷却させた後、冷却された流れ208を気-液分離器28に注入する。気-液分離器28の相対的に低い沸点を有するエチレンとエタン成分は気相流212で除去し、これより高い沸点を有する流れ211は、ポンプ29を使用して加圧する。一方、気-液分離器23の下部の流れ209をポンプ24を使用して加圧する。そこで、気-液分離器28によって分離されてポンプ29によって加圧された流れを気-液分離器23によって分離されてポンプ24によって加圧された流れ210とともに液-液分離器30に導入する。液-液分離器30で水と炭化水素を分離した後、相対的に水の多い流れ214は、廃水処理するか、またはフィルタ処理後、フィニッシャー14に再循環2し、相対的に炭化水素の多い流れ215は、ポンプ31を使用して加圧し、吸着塔10で微量の水分を除去し、0.1ppm以下の流れ106をPOEのSRU工程の1次蒸留塔15に導入する。
【0025】
図3は、本発明の実施例として使用されたフィニッシャー14における炭化水素回収工程に対する流れ図である。高温(例えば、130~250℃、適切には、フィニッシャー14の運転圧力での溶媒と未反応物の沸点より30℃以上高い温度)、減圧(1atm未満、適切には、10~500torr)下でフィニッシャー14が運転されてもよい。このとき、フィニッシャー14において最終製品から水とともに分離された炭化水素の気相流(すなわち、気化された流れ)201を1つ以上の熱交換器20を用いて、適切には、2つ以上の熱交換器20を使用してすべて液化させ、液化された流れ203をポンプ24を使用して加圧24し、加圧された流れ204を液-液分離器30に導入する。また、液-液分離器30の導入時に水が凍ることを防止するために適当な温度(40~50℃以下)まで加熱することができ、この場合、液-液分離器、または気-液-液分離器30を使用してもよい。そして、気-液-液分離器で相対的に低い沸点を有する成分を気相流で除去してもよい。液-液分離器30で水と炭化水素を分離した後、相対的に水の多い流れ214は、廃水処理するか、またはフィルタ処理後にフィニッシャーに再循環2し、相対的に炭化水素が多い流れ215は、ポンプ31を使用して加圧し、吸着塔10から微量の水分を除去し、0.1ppm以下の流れ106をPOEのSRU工程の1次蒸留塔15に導入する。
【0026】
図4は、本発明の比較例として使用されたフィニッシャー14における炭化水素回収工程に対する流れ図である。
図4は、
図3と比較すると、フィニッシャー14で最終製品から水とともに分離された炭化水素の気相流201を1つ以上の熱交換器20を用いて、適切には、2つ以上の熱交換器20を使用して部分液化させ、これを気-液分離器23に導入し、気-液分離器23の気相流205は、フレアスタックに送るか、または完全酸化させて大気中に放出し、気-液分離器23の液相流209は、ポンプ24を使用して加圧し、加圧された流れ210を液-液分離器30に導入するという差異がある。
【0027】
図5は、本発明の比較例として使用されたフィニッシャー14における炭化水素回収工程に対する流れ図である。
図5は、
図2と比較すると、フィニッシャー14で最終製品から水とともに分離された炭化水素の気相流201に対して1つの圧縮機21のみを使用して加圧し、加圧された流れ203を部分液化22させるという差異があり、気-液分離器23においてその後の流れは、
図4に示す通りである。
【0028】
図6は、本発明の比較例として使用されたフィニッシャー14における炭化水素回収工程に対する流れ図である。
図6は、
図4と比較すると、気-液分離器23の気相流205に対して炭化水素をさらに回収するために1つの圧縮機21をさらに使用したことに差異がある。
【0029】
このような
図4~6は、この技術分野で通常の技術者であれば、前述した説明との差異及び後述する実験を参照しつつ、その構成を明確に理解できるので、これについてさらなる説明は、省略する。
【0030】
下記表1は、EOR caseである実施例1(
図2)と実施例2(
図3)及び比較例1~3(それぞれ
図4~6)において1-オクテン含量が35wt%のポリオレフィンエラストマーの流れ図においてフィニッシャー14に注入される水の量が最終ポリオレフィンエラストマーの10%質量比となるように水を注入したとき、フィニッシャー14の上部の流れ201から溶媒及び未反応物の回収方法に対するAspen plus模擬結果である流れに対する物質収支を示したものである。
【0031】
【0032】
表2は、表1のように工程模擬を行う場合、実施例1と2(
図2と3)及び比較例1~3(
図4~6)においてユーティリティを比較したものである。ユーティリティは、ポンプの効率を60%、圧縮機の効率を72%として計算した。実施例2-1の場合、フィニッシャー14の上部の流れ201を凝縮させるとき、冷凍機の容量を減らすため、冷却水(cooling water)と冷媒(chilling medium)に区分して2つの熱交換器20を使用した方法でのユーティリティ使用量である。
【0033】
【0034】
表1を参照すると、実施例1と2において炭化水素回収率が99%以上で損失される量が非常に少なく、水に含まれる炭化水素の量が1000ppmwt以下と非常に微量で、フィニッシャー14に再循環されて廃水量を減らすことができる。しかし、比較例1~3で水の相当量を再循環して使用可能であるが、炭化水素の回収率が60%程度で相当な炭化水素の損失があり、ほとんど損失される流体は、溶媒と1-オクテンである。
【符号の説明】
【0035】
1:供給原料
2:水
3:製品
4:エチレンパージ
5:パージ
6:重質物
7:エチレン及び1-ブテンパージ
10:吸着塔
11:1次脱揮発機
12:2次脱揮発機
13:フラッシュドラム
14:フィニッシャー
15:1次蒸留塔
16:2次蒸留塔
17:3次蒸留塔
20,22,25,24,27:熱交換器
24,29,31:ポンプ
21,26:圧縮機
30:2つの液相分離器
23,28:気-液分離器
101:反応器の注入の流れ
102:1次脱揮発された循環流
103:不純物除去の流れ
104:2次脱揮発された循環流
105:フィニッシャーの水が除去された排出流
106:吸着塔通過後の流れ
107(107A,107B,107C):1次蒸留処理された上部の流れ
108:2次蒸留処理された上部の流れ
109(109A,109B,109C):2次蒸留処理された下部の流れ
110:n-ヘキサンを含む流れ
111:1次蒸留処理された下部の流れ
112(112A,112B,112C):C6sの流れ
113:パージフロー
114:1-オクテンを含む流れ
115:重質物を含む流れ
116:反応器の再循環の流れ
117:1次脱揮発の製造の流れ
118:2次脱揮発の製造の流れ
119:1次蒸留塔注入の流れ
201:フィニッシャーの気相の流れ
212:パージの流れ
214:液-液分離器の水の濃厚な流れ
215:液-液分離器の炭化水素の濃厚な流れ