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特許7513843液圧式の駆動装置を動作させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】液圧式の駆動装置を動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/04 20060101AFI20240702BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F15B11/04 J
F15B11/02 V
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023524464
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2021078573
(87)【国際公開番号】W WO2022084173
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】102020213293.3
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゼンデルバッハ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヴァーラー
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102019201043(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017213650(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017219966(DE,A1)
【文献】特開平10-311301(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016214708(DE,A1)
【文献】特開2010-190383(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0252243(US,A1)
【文献】米国特許第05953977(US,A)
【文献】独国特許出願公開第19818480(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22
F15B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ(132)内に位置決め可能なピストン(134)を備えた液圧式の消費器(130)を含む液圧式の駆動装置(100)を動作させるための方法であって、
前記シリンダ(132)は、一方の接続口(A)において圧力媒体アキュムレータ(110)に接続され、他方の接続口(B)において比例弁(140)を介して圧力媒体シンク(120)に接続され、
前記ピストン(134)の位置(x)又は速度
【数1】
が、前記比例弁(140)の設定位置(y)が予め設定されるモデルに基づく閉ループ制御を使用して閉ループ制御され
前記ピストン(134)にかかる前記力についての目標値を達成するために、前記液圧式の駆動装置(100)内の目標圧力の計画と、その結果として生じる前記比例弁(140)の設定位置(y)とを介して前記比例弁(140)の設定位置(y)の目標経過曲線が推定される、方法。
【請求項2】
前記比例弁(140)を使用して前記ピストン(134)にかかる力についての目標値を設定調整、特に閉ループ制御するために、前記液圧式の駆動装置(100)の反転区間モデル(200)が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目標圧力の前記計画は、2つの前記接続口(A,B)の間の差分圧力を計画すること、又は、一方の側で圧力を測定し、他方の側で圧力を計画することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記比例弁(140)としてメインステージ(140.2)と、1つ又は複数のパイロットステージ(140.1)とを有する比例弁が使用される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記比例弁(140)の前記設定位置(y)を、特に下位の閉ループ制御の枠内において予め設定する際に、パイロット制御が行われる、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記比例弁(140)のための前記パイロット制御において、前記比例弁の前記メインステージ(140.2)の位置についての目標値がパイロット制御される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記シリンダ(132)は、前記接続口(A)において、弁(144)、特に切換弁を介して前記圧力媒体アキュムレータ(110)に接続される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記液圧式の駆動装置(100)のモデルに基づく監視の枠内において、変数の所定の値が、対応する測定値と比較される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記液圧式の駆動装置(100)は、液圧式の軸のために使用される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている計算ユニット(150)。
【請求項11】
コンピュータプログラムであって、計算ユニット(150)上で実行されるときに、前記計算ユニット(150)に、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法を実施させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムが記憶されている機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ内に位置決め可能なピストンを備えた液圧式の消費器を含む液圧式の駆動装置を動作させるための方法、並びに、当該方法を実施するための計算ユニット及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
電気液圧式の軸とは、(通常は電気モータ又は駆動部を用いて動作させられる)ポンプと、例えばシリンダピストンの位置の電気的又は電子的な閉ループ制御が可能である液圧シリンダとを備えた液圧式の駆動装置である。そのような電気液圧式の軸は、例えば、いわゆる深絞りプレス、射出成形機、ダイカスト機械、又は、他の成形技術の機械においても使用され、同様に、例えば重い負荷又は機械部品を動かすために使用される。同様に、ポンプの代わりに、例えば圧力媒体アキュムレータを使用することも、又は、両方を組み合わせて使用することも可能である。さらに、これに関連して、液圧式の駆動装置についても言及することができる。
【0003】
そのような(電気)液圧式の軸においては、通常、力解除位置制御が想定されており、即ち、例えば動作点に応じて、力制御又は位置制御が行われている。また、力制御の代わりに、例えば液圧シリンダ内において圧力の作用面を介した力と圧力との間の関係に基づいて等価的である圧力制御が想定されるものとしてもよい。また、位置制御の代わりに、速度制御を検討することも可能である。
【0004】
そのような閉ループ制御においては、ポンプ(若しくは駆動モータ)の吐出体積及び/又は回転数の閉ループ制御を行うことができる。しかしながら、例えば制御弁装置を、シリンダの流入口及び/又は流出口における動作流体の体積流量変更のために使用することも可能である。
【0005】
これらの成分には、例えば、最大圧力、無駄時間、設定速度制限など、それ自体に対して取られる使用上の制限がある。この目的のために、制限及び成分もモデルに記述してルール設計にインテリジェントに組み込むことができる。基本的に、そのような液圧システムの強い非線形性、無駄時間及び制限は、閉ループ制御及び開ループ制御についての問題を提示する。開ループ制御及び閉ループ制御におけるこれらの体系的制限を考慮するために、連続的な最適化問題がリアルタイムで解決可能である。ここでは特に、モデル予測制御(MPC)及び強化学習(RL)のアプローチが使用されるが、これらは実行時間中に高い計算能力を必要とする。高い帯域幅を有しているべきシステムにおいては、このことは、もはや有意に解決することができず、いずれにせよ高いサンプリングレートに対して有意ではなくなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の開示
本発明によれば、独立特許請求項の特徴を備えた、液圧式の駆動装置を動作させるための方法、並びに、当該方法を実施するための計算ユニット及びコンピュータプログラムが提案される。好適な実施形態は、従属請求項及び以下の説明の対象である。
【0007】
本発明は、シリンダ内に位置決め可能なピストンを備えた液圧式の消費器を含む液圧式の駆動装置を動作させるための方法に関する。この液圧式の駆動装置は、ここでは、例えば、A及びBにより示される、ピストンによって分離される2つのチャンバを有している。各チャンバは、この場合、複数の接続口(A,B)のうちの1つに割り当てられる。液圧式の駆動装置は、特に液圧式の軸であり得る。この場合、シリンダは、一方の接続口(例えば、A)において圧力媒体アキュムレータ(ここでは特に、低圧アキュムレータであり得る)及び/又はポンプに接続され、他方の接続口(例えば、B)において制御弁装置を介して圧力媒体シンクに接続される。ここでは特に、タンクが圧力媒体シンクとみなされる。しかしながら、(対応する接続により)、第1の側(即ち、チャンバA)を圧力媒体シンクとして使用することも考えられる(再生回路)。
【0008】
次いで、ピストンの位置又は速度が、制御装置の設定位置が予め設定されるモデルに基づく閉ループ制御を使用して又はその枠内において閉ループ制御される。この制御装置は、1つ又は複数の連続的に調節可能な弁を含み得る。
【0009】
この場合、好適には、制御装置を使用してピストンにかかる(制動)力についての目標値を設定調整、特に閉ループ制御するために、液圧式の駆動装置の反転区間モデル(又は反転システムモデル)が使用される。制御装置、例えば比例弁は、ここでは特に、閉ループ制御回路において使用され、即ち、(下位の)閉ループ制御回路においては、弁におけるスライダの設定調整も位置の実際値のフィードバックを用いて行うことができる。反転モデルにおいては、実際の出力変数(例えば位置)が、モデル入力として使用され、実際の入力変数(例えば体積流量又は圧力)は、モデル出力として使用される。
【0010】
そのような位置制御/速度制御を用いることにより、例えば鋳造シリンダの動作の際に、様々な位相に対して又は様々な位相間での移行に対して特に良好にかつ迅速に反応することができる。さらに、そのような閉ループ制御は、特に簡単にかつ迅速にパラメータ化可能である。
【0011】
ピストンにかかる力についての目標値を達成するために、好適には、液圧式の駆動装置内の目標圧力の計画と、その結果として生じる比例弁の設定位置とを介して比例弁の設定位置の目標経過曲線が推定される。目標圧力の計画には、ここでは特に、2つの接続口の間の差分圧力を計画すること、又は、一方の側で圧力を測定し、他方の側で圧力を計画することが含まれる。それにより、このことは、ある種のパイロット制御又はハイブリッドパイロット制御と、閉ループ制御とを表す。
【0012】
この閉ループ制御において実際値が必要となる変数は、ここでは特に、ピストンの位置並びに2つの接続口(A及びB)側の2つの圧力である。これらは、例えば、適当なセンサを用いて捕捉することができる。したがって、モデルに基づく閉ループ制御の枠内においては、ピストンの位置から、ピストンの速度と加速度とを求めることもできる。次いで、そこからはさらに、所期の流量(体積流量)を両側において求めることができ、それゆえ、これらは相応に予め設定される。これに関連して、モデルに基づく閉ループ制御の場合、システムのモデルに基づいて(ここでは、前述のように、特に反転区間モデルが使用される)、軌道、即ち、変数(この場合位置)の経過曲線が事前に及びオンラインでも計算できることにも言及すべきであろう。制御変数は、モデルに基づく閉ループ制御の場合には状態変数とも称され、状態制限を考慮することができる。モデルのより詳細な説明については、図面の説明も参照されたい。
【0013】
一方の接続口(A側)を、例えば、切換弁を介して圧力媒体アキュムレータに接続することにより、そこでは、少なくとも一次近似において一定の圧力に由来させ、又は、ストローク及び速度に依存して事前計算することができ、それによって、他方の側(B側)における圧力のみが関連付けられる。したがって、軌道計画においては、基礎となる機械的な微分方程式、即ち特に、圧力、位置及び速度が考慮されている。この場合、圧力目標値の計画は、B側圧力の計画に限定することができる。なぜなら、他方の側は、圧力媒体アキュムレータに直接接続され、それによって、(少なくともほぼ)アキュムレータ圧力に相当するからである(動的な影響は、ここでは、各タイムスタンプでの計算においてA側圧力の測定を介して考慮される)。
【0014】
比例弁の設定位置を、前述のように特に下位の閉ループ制御の枠内において予め設定する際に、好適にはパイロット制御も同様に行われ、このパイロット制御は、比例弁の選択(直接開ループ制御される比例弁又はパイロット制御される比例弁)に応じて異なるものとすることができる。この場合、合目的的には、比例弁のメインステージの位置についての目標値がパイロット制御される。ここでは、基礎となるシステムに、例えば、無駄時間と状態制限とを有するPT2制御システムを記述することができる。次いで、パイロット制御は、弁のメインステージ目標値を入力として使用する。比例弁の動特性は、このようにして特に良好に考慮することができる。
【0015】
これについては、比例弁の内部状態が飽和していない限り、パイロット制御が有効であることに留意すべきである。ただし、比例弁を可及的に長く飽和状態に開ループ制御する試みは常に行われる。ここでの飽和状態とは、特に、パイロットステージを可及的に長く完全開放することを意味する。(通常の)閉ループ制御を用いた場合には、このことは、非常に短い期間でしか達成されないであろう。なぜなら、最大開度値を超えて存在する位置信号が失われるからである。それに対して、パイロット制御を用いれば、システムは、不安定になることなく動特性を獲得する。それにより、B側(又は比例弁側)における流量を十分な精度で設定又は予め設定することができる。
【0016】
ここでの特別な利点は、それ自体がフラットではないシステムでも(反転区間モデルを用いて)反転可能なことである。液圧シリンダを備えたシステムは、基本的にフラットとはみなされない。なぜなら、アクチュエータ力の生成(これは、機械的な微分方程式に導入される)が多義的であり、即ち、両側において所定の圧力差が圧力の多種多様な組合せにより形成されるからである。ただし、特に、ダイカスト回路の場合(又は一般に冒頭で述べた相互接続の場合)、それにもかかわらず反転は機能する。なぜなら、シリンダ内においては、圧力がバイアスされ、圧力媒体アキュムレータ側(A側)のチャンバが、例えば、切換弁を介してアキュムレータ圧力に直接連通するからである。そのため、状態空間表現においては、シリンダのこのチャンバ内の圧力は一定であることを想定することができる。それゆえ、力の上昇は、他方のチャンバ(B側)内の圧力だけに依存する。ただし、圧力媒体アキュムレータは(ある程度)固有の動特性を有し、それによって、圧力は実際には一定でないため、パイロット制御のエラーを最小にするために、さらなる補正をまだ行うことができる。例えば、圧力媒体アキュムレータ側(A側)におけるチャンバにおいて圧力が測定又は算出されることにより、この圧力は、付加的に他方のチャンバ又は他方の側(B側)の圧力計画にも使用することができる。したがって、(B側の)比例弁の弁開度又は設定位置は、唯一の設定変数(又はアクチュエータ)として使用することができる。
【0017】
即ち、このようにして、システムモデル及び負荷モデルを用いることにより、例えばアルミニウムダイカストのような非常に動的なプロセスを、関与するシステムコンポーネントの制御ループの動特性が最適でなくても取り扱うことができる。もはやすべてが閉ループ制御されるのではなく、(モデルを介して)部分的に、詳細には特に既知の設定変数制限と動特性制限とを考慮に入れてパイロット制御される。いわば、切換可能な計画フィルタアルゴリズムが提供され、これはリアルタイムでの状態軌道計画を可能にさせ、特にシリンダの圧力バイアス、アキュムレータ圧力、及び、アクチュエータ(即ち、比例弁)の無駄時間/設定動特性を考慮することができる。
【0018】
その他に、前述の想定と、基礎となるシステムモデルの線形化とによって、フラット性に基づくパイロット制御ルールを実装できる。これは、残余のエラー動特性を十分に小さくさせる。これにより、ルックアップテーブルや特性曲線を極力使用することのない後付け可能なパラメータ化が可能となる。付加的にこれによって、大小のシリンダユニットの開発を大幅に改善することができる。なぜなら、(例えば、ソフトウェアに写像される)基礎となる手順が基本的には変わらないまま、モデルパラメータのみが可変であるからであり、又は、モデルパラメータしか変更する必要がないからである。
【0019】
さらなる利点は、弁をこれまでよりもはるかに動的に開ループ制御することができることである。弁が小さい信号範囲にある限り、駆動制御時間を半減させることができる。フラットではないシステムは、それにもかかわらず、提案された方法又はそこで行われた調整を介すことにより、パイロット制御によって制御可能である。
【0020】
補足的に、液圧式の駆動装置のモデルに基づく監視の枠内において、変数の所定の値を対応する測定値と比較することもできる。このことは「状態監視」として行うことができる。さらに、可変のギア比を用いて効率及び精度を高めることも可能である。
【0021】
本発明に係る計算ユニット、例えば液圧式の軸の制御装置は、特にプログラミング技術に関して、本発明に係る方法を実施するように構成される。
【0022】
本発明に係る方法を、すべての方法ステップを実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品の形態において実装することも有利である。なぜなら、このことは、特に実行する制御装置がさらなる課題のためにも使用される理由によりいずれにせよ既存のものである場合には、特にわずかなコストの負担しかかからないからである。コンピュータプログラムを提供するための適当なデータ担体は、特に、例えばハードドライブ、フラッシュメモリ、EEPROM、DVDなどの磁気的、光学的及び電気的メモリである。コンピュータネットワーク(インターネット、イントラネットなど)を介したプログラムのダウンロードも可能である。
【0023】
本発明のさらなる利点及び実施形態は、以下の説明及び添付の図面から明らかとなる。
【0024】
上述の特徴及び以下においてさらに説明される特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれに提示された組合せにおいてだけでなく、他の組合せにおいても、又は、単独の状況においても、使用可能であることは言うまでもない。
【0025】
本発明は、実施例に基づき図面に概略的に示され、以下においては、図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る方法の実施に適した液圧式の駆動装置を概略的に示した図である。
図2】好適な実施形態における本発明に係る方法のシーケンスを概略的に示した図である。
図3】本発明に係る方法の圧力誘導に適した液圧式の駆動装置の第2の実施形態を概略的に示した図である。
図4】本発明に係る方法の圧力誘導に適した液圧式の駆動装置の第3の実施形態を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面の詳細な説明
図1には、以下においても説明されるように、本発明に係る方法を実施することができる液圧式の駆動装置100が概略的に示されている。この液圧式の駆動装置100は、本実施形態においては、2つの圧力媒体アキュムレータ110及び112を備え、この場合、圧力媒体アキュムレータ110は、特に、(例えば300バール未満、例えば、170バールから200バールまでの間の圧力を有する)低圧アキュムレータであり、圧力媒体アキュムレータ112は、特に、(例えば400バールを超える圧力を有する)高圧アキュムレータである。
【0028】
さらに、圧力媒体アキュムレータ110,112は、本案においては、位置決め可能なピストン134を備えたシリンダ132である液圧式の消費器130に接続可能である。ピストンの位置又はそこでの基準点の位置は、xにより示される。ピストンを用いることにより、例えば負荷136を移動させることができる。シリンダ132は、接続口Aにおいて切換弁として構成された弁144を介して圧力媒体アキュムレータ110(低圧アキュムレータ)に接続可能であり、比例弁146を介して圧力媒体アキュムレータ112(高圧アキュムレータ)に接続可能である。言うまでもなく、動作中は、好適には、2つの圧力媒体アキュムレータのうちの1つのみが接続され、この場合、本実施形態においては、特に圧力媒体アキュムレータ110(低圧アキュムレータ)への接続が、この場合には切換弁144の開弁時に観察される。
【0029】
さらに、シリンダ132は、接続口Bにおいて比例弁140を介して動作流体用のタンク120に接続されている。比例弁140のスライダの設定位置は、yにより示される。同様に、シリンダ132は、接続口Bにおいて比例弁142を介して接続口Aに接続することができる。ただし、本実施形態の場合においては、特に、比例弁142が閉弁されている図示の状況が観察されるべきである。
【0030】
しかしながら、基本的には、例えばアルミニウムダイカストの枠内において使用されるように、例えば、弁の適当な切り換え又は転換によって液圧式の駆動装置100の様々な動作位相のための様々な相互接続を実現することができる。
【0031】
シリンダ132又はピストン134において、A側ピストン面は、Aにより示され、環状のB側ピストン面は、Aにより示される。(ピストンチャンバ内の)A側圧力は、pであり、(環状チャンバ内の)B側圧力はpである。シリンダ132への又はシリンダ132からの吐出量又は流量は、A側においては、Qにより示され、B側においては、Qにより示される。
【0032】
制御ユニットとして構成された計算ユニット150を介して、例えば、弁140,142,144及び146は、駆動制御することができる。したがって、液圧式の駆動装置100は、液圧式の軸として使用することができる。
【0033】
図2には、好適な実施形態における本発明に係る方法のシーケンスが示されている。ピストンの位置xを閉ループ制御するために、フラット性に基づくパイロット制御部220を備えた状態制御部210が使用され、これは、例えば計算ユニット150上において実行することができ、液圧式の駆動装置100の反転モデル又は区間モデル200を使用する。ここでは、状態変数についての目標値(目標軌道)が決定される。これには特に、ピストンの位置xだけでなく、その時間導関数
【数1】
(速度)並びに圧力p及び/又はpも含まれる。これらは、状態制御部210及びパイロット制御部220に伝送される。次いで、ここでは、位置xについての目標値から比例弁140の設定位置yについての値が求められる。
【0034】
前述の軌道計画の枠内において、ピストンの位置xについての目標値は、例えばn次のローパスフィルタリングが施され、次いで、これによって、目標値の信号のn次導関数が得られる。これには、例えば、速度
【数2】
が属する。圧力p(ここでは、既に述べたように、A側における圧力は一定であるとみなすことができるため、B側における圧力のみが考慮される(ただし、両方の圧力でも可能である))は、速度及び加速度から決定することができる。フィルタパラメータは、好適には、(液圧式の駆動装置の)目標システムの動特性が(圧力媒体アキュムレータからの)既存の設定エネルギによって達成し得るように選択される。
【0035】
システムの反転モデル200に依存して適正な設定変数(比例弁の設定位置)yを決定することができると直ちに(体積流量方程式を用いて)B側における目標圧力に基づき、例えば、B側における体積流量Qについての目標値を決定することができ、そこからさらに設定位置yについての目標値を決定することができる。システムは、極わずかなずれによって位置を追跡し得るように開ループ制御することができる。システムの無駄時間による位相シフトは、保持され続ける。
【0036】
この設定位置yは、パイロットステージ140.1及びメインステージ140.2が考慮される下位の閉ループ制御の枠内において実施され、これによって、位置の実際値xistも表すピストンの力F及び速度
【数3】
についての実際値が生じる。この下位の閉ループ制御の枠内においては、同様にパイロット制御も行われ、詳細には、メインステージ140.2の設定位置又は位置において行われる。図3及び図4は、本発明に係る方法のシーケンスに関しては図1と異なるものではない。図3及び図4は、高圧アキュムレータ112に対する代替的な変形形態のみを示しているので、参照記号は、実質的に同一である。
【0037】
図3及び図4に概略的に示されている液圧式の駆動装置は、図1に示されている液圧式の駆動装置とは、高圧アキュムレータ112の代わりに(昇圧シリンダとも称される)増圧器152が使用される点において異なっており、この増圧器152は、例えば差動シリンダとして構成されている。この種の増圧器152の構造は公知であるため、さらなる説明は不要である。ここでは、低圧アキュムレータ110に接続した際に増圧器圧力チャンバをシリンダ132の支持方向に緊張させるために、アキュムレータ遮断弁146,148を介して増圧器圧力チャンバに接続可能となるさらなる低圧アキュムレータ111が必要である。増圧器152及びシリンダ132には制御弁装置が割り当てられており、この制御弁装置は、さらなる比例弁146,148が増圧器152の流出口に配置されている点において、相互に独立して操作可能な2つの比例弁140,142に分解された図1の制御弁装置とは異なっている。例えば、論理弁として構成され得る逆止弁143は、ピストンチャンバ内における圧力形成の際に、低圧アキュムレータ110に対するピストンチャンバ132の迅速な閉鎖をもたらす。
【0038】
圧力形成の閉ループ制御は、図3においては、増圧器の流出口に配置され、図4においては、さらなる変化形態として、増圧器152の流入口に配置された比例弁146を介して実現される。
図1
図2
図3
図4