(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画定されたレーザ照射を作業面に生成するための装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/09 20060101AFI20240702BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20240702BHJP
B23K 26/073 20060101ALI20240702BHJP
B23K 26/066 20140101ALI20240702BHJP
【FI】
G02B27/09
B23K26/064 Z
B23K26/073
B23K26/066
(21)【出願番号】P 2023530250
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2021079020
(87)【国際公開番号】W WO2022106138
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】102020130651.2
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506065105
【氏名又は名称】トルンプフ レーザー- ウント ジュステームテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Laser- und Systemtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Strasse 2, D-71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ティルコアン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ハイメス
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-280325(JP,A)
【文献】国際公開第2019/134924(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/019374(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/09
B23K 26/064
B23K 26/073
B23K 26/066
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画定されたレーザ照射(12)を作業面(14)に生成するための装置であって、未加工レーザビーム(22)を生成するように構成されたレーザ光源(20)を有し、且つ前記未加工レーザビーム(22)を受けて、それを光軸(40)に沿って照射ビーム(26)に成形する光学的配置(24)を有し、前記照射ビーム(26)は、ワークピース(14)と交差するビーム方向(28)を定め、前記照射ビーム(26)は、前記ワークピース(14)の領域において、長軸ビーム幅を有する長軸(44)と、短軸ビーム幅を有する短軸(46)とを有するビームプロファイル(42;42’)を有し、その両方は前記ビーム方向(28)に垂直であり、前記光学的配置(24)は、出口アパーチャを有するビーム変形装置(30)と、長軸方向におけるビーム成形のための第1の光学素子群(56、60、62、64)と、短軸方向におけるビーム成形のための第2の光学素子群(34、36、38)とを含み、前記ビーム変形装置(30)は、拡張された未加工レーザビームを生成するために長軸方向に前記未加工レーザビーム(22)を拡張し、前記第1の光学素子群(56、60、62、64)は、前記拡張された未加工レーザビームを前記長軸方向において均質化する均質化装置(56)を含み、前記第2の光学素子群(34、36、38)は、前記ビーム変形装置(30)の前記出口アパーチャを前記作業面に画像化する少なくとも1つのレンズ(38)を含む装置において、前記第1の光学素子群(56、60、62、64)が、前記均質化装置(56)の下流で中間画像(66)を生成し、前記中間画像(66)を前記作業面(14)に画像化する画像化光学ユニットをさらに実装することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1の光学素子群(56、60、62、64)が、前記中間画像(66)の領域に配置された第1のマスク(68)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のマスク(68)が交換可能な部品として設計されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のマスク(68)が、並べて配置された多数のアパーチャを有する櫛状のストッパであり、前記アパーチャは前記作業面(14)の領域に別個の照射スポット(54a、54b、54c)を生成することを特徴とする、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の光学素子群(34、36、38)が、少なくとも1つの第2のマスク(70)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの第2のマスク(70)が前記ビーム変形装置(30)の領域に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の光学素子群(34、36、38)が、さらなる中間画像(71)を生成し、前記少なくとも1つの第2のマスクが前記さらなる中間画像(71)の領域に配置されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2のマスク(70)が交換可能な部品として設計されることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記画像化光学ユニットが、少なくとも1つのミラー素子、好ましくは複数の折り曲げを行う少なくとも2つのミラー素子を有する折り曲げ光学ユニットを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の光学素子群(34、36、38)が、前記光軸(40)に沿って、前記作業面(14)の最も近くに配置された投影レンズ(38)を含み、前記折り曲げ光学ユニットが前記光軸(40)に沿って、前記均質化装置(56)と前記投影レンズ(38)との間に配置されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ビームプロファイル(42;42’)が前記短軸ビーム幅にわたってトップハット形状強度プロファイル(48、50、52)を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画定されたレーザ照射を作業面に生成するための装置であって、未加工レーザビームを生成するように構成されたレーザ光源を有し、且つ未加工レーザビームを受けて、それを光軸に沿って照射ビームに成形する光学的配置を有し、照射ビームは、ワークピースと交差するビーム方向を定め、照射ビームは、作業面の領域において、長軸ビーム幅を有する長軸と、短軸ビーム幅を有する短軸とを有するビームプロファイルを有し、その両方はビーム方向に垂直であり、光学的配置は、出口アパーチャを有するビーム変形装置と、長軸方向におけるビーム成形のための第1の光学素子群と、短軸方向におけるビーム成形のための第2の光学素子群とを含み、ビーム変形装置は、拡張された未加工レーザビームを生成するために長軸方向に未加工レーザビームを拡張し、第1の光学素子群は、拡張された未加工レーザビームを長軸方向において均質化する均質化装置を含み、第2の光学素子群は、ビーム変形装置の出口アパーチャを作業面に画像化する少なくとも1つのレンズを含む、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、例えば(特許文献1)に記載されている。
【0003】
そのような装置からのライン状のレーザ照射は特にワークピースを機械加工するために使用することができる。例として、ワークピースは、支持材として機能するガラスプレート上のプラスチック材料であり得る。特に、プラスチック材料は、有機発光ダイオード(OLEDとして知られている)及び/又は薄膜トランジスタが製造されるフィルムであり得る。OLEDフィルムは、スマートフォン、タブレットPC、テレビセットのディスプレイ及びスクリーンディスプレイを備える他の機器向けに使用が増えている。フィルムは、電子構造が製造された後、ガラス支持体から切り離す必要がある。有利には、これは、細いレーザラインの形態のレーザ照射を使用して実行可能であり、細いレーザラインは確定された速度でガラスプレートに対して移動され、このプロセス中、ガラスプレートを介してフィルムの接着接続を破壊する。実用においては、そのような用途は、しばしばLLOすなわちレーザリフトオフと称される。
【0004】
画定されたレーザラインでワークピースを照射する別の用途は、支持板上の非晶質シリコンの細かい溶融であり得る。この例において、レーザラインは同様に確定された速度でワークピース表面に対して移動される。溶融の結果、比較的チープな非晶質シリコンを、より高いグレードの多結晶シリコンへ変換することができる。実用においては、そのような用途はしばしば固体レーザアニールすなわちSLAと称される。
【0005】
作業面上で、そのような用途は、できるだけ広い作業領域を獲得するために一方向にできるだけ長く、またそれぞれのプロセスに必要なエネルギー密度を提供するためにそれと比較して他方向に非常に短いレーザラインを必要とする。したがって、長く細いレーザラインが望ましく、それは、例えば作業面に平行な100mmの長さにわたる10μmのライン幅の大きなアスペクト比を有する。レーザラインが延在する方向は一般に長軸と称され、ライン幅は、ビームプロファイルとして知られているものの短軸と称される。通例、レーザラインは両方の軸に沿って確定された強度プロファイルを有する。例えば、レーザラインは長軸に沿ってできるだけ長方形又は台形である強度プロファイルを有することが望ましく、前記台形強度プロファイルは、複数のそのようなレーザラインがより長い全体ラインを形成するために並べて配置されるように意図されている場合、有利であり得る。用途に依存して、長方形強度プロファイル(トップハット形状プロファイルとして知られている)、ガウスプロファイル又は任意の他の強度プロファイルが、短軸に沿って望ましい。
【0006】
始めに言及した(特許文献1)は、始めに記載したタイプの装置であって、光学的配置の素子に関して多数の詳細を含む装置を開示している。光学的配置は、未加工レーザビームを平行にするコリメータ、ビーム変形装置、均質化装置及び焦点合わせステージを含む。ビーム変形装置は、平行化された未加工ビームを受け、それを長軸の方向に拡張する。原則として、ビーム変形装置はまた、複数のレーザ源から複数の未加工レーザビームを受け、前記未加工レーザビームを組み合わせ、それによってより強力なパワーを有する拡張されたレーザビームを形成し得る。均質化装置は、長軸の方向に所望のビームプロファイルを生成する。焦点合わせステージは、再成形されたレーザビームの焦点を、作業面の領域の確定された位置で合わせる。既知の装置はLLO及びSLA用途に適している。しかしながら、それは、いくつかの特定のLLO用途に関して、例えばμLEDとして知られているものを切り離す場合、準最適である。そのような例では、多数の別個のトップハット形状強度プロファイルを提供することが望ましいだろう。例として、多数の別個のトップハット形状強度プロファイルがラインに沿って等距離に配置される配置が望ましい場合がある。これは(特許文献1)からの装置によって提供されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2018/019374 A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これを踏まえて、本発明の第1の目的は、始めに記載したタイプの代替装置を特定することであり、それによって、大きなアスペクト比を有する画定されたレーザラインをコスト効率的に生成することが可能である。本発明の第2の目的は、作業面上の多数の異なる照射パターンをコスト効率的且つ柔軟に可能にする、始めに記載したタイプの装置を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これを背景にして、始めに記載したタイプの装置が、本発明の一態様に従って提案され、その例において、第1の光学素子群が、均質化装置の下流で中間画像を生成し、中間画像を作業面に画像化する画像化光学ユニットをさらに実装する。
【0010】
第1の光学素子群は、主に長軸方向に光学的屈折力を有する。その結果、それらは主に長軸の方向においてビームプロファイルに影響を及ぼす。これに対して、第2の光学素子群は、主に短軸方向に光学的屈折力を有する。その結果、それらは主に短軸の方向においてビームプロファイルに影響を及ぼす。例示的な実施形態において、光学素子はそれぞれ、円筒素子、特に円筒レンズ及び/又は円筒ミラーを含み得、それらはそれぞれ長軸の方向又は短軸の方向において光学的屈折力を発展させるように配置される。したがって、長軸の方向に成形されるビーム及び短軸の方向に成形されるビームは、好ましい例示的な実施形態において2つに分割され、それにより、長軸の方向に成形されるビーム及び短軸の方向に成形されるビームはそれぞれ別々に考慮することができる。これにより、長軸方向のビームプロファイルの強度プロファイル及び短軸方向のビームプロファイルの強度プロファイルを互いに別々に寸法決めし、最適化することが可能になる。結果として、新規装置は、例えば1000を超えるアスペクト比(長軸方向のビームプロファイルの範囲対短軸方向のビームプロファイルの範囲の比)を有する画定されたレーザ照射を可能にする。
【0011】
ビーム変形装置の出口アパーチャは、ビーム変形装置の出力部の光透過開口部であり、それを通して、拡張されたレーザビームは、均質化装置に供給されるために現れることができる。いくつかの例示的な実施形態において、短軸方向の出口アパーチャは、約1mmの開口部、より大まかには0.5mm~10mmの範囲の短軸に関する有効開口部を有し得る。第2の光学素子群は、この出口アパーチャを低減した方法で作業面に画像化することができ、また非常に小さなライン幅を有するレーザライン及び短軸方向のトップハット形状強度プロファイルを生成することができる。しかしながら、そのような低減した短軸画像化は、光軸に沿って比較的長い経路長さを必要とする。第1の光学素子群は、(光軸に沿って見られるように)均質化装置の下流で中間画像を生成し、この中間画像を作業面に画像化する。好ましい例示的な実施形態において、第1の光学素子群は、画像化均質化装置を含み、これは光軸に沿って確定された平面に長軸ビームプロファイルを生成する。この平面は中間画像平面として機能する。中間画像平面に生成された長軸ビームプロファイルは、第1の群のさらなる光学素子の助けを借りて作業面に画像化される。いくつかの例示的な実施形態において、均質化装置は光軸に沿って1つ又は複数のマイクロレンズアレイを含み得、中間画像は第1のマイクロレンズアレイのマルチレンズアパーチャの重ね合わせから生じる。より一般的に表現すると、第1の光学素子群は、均質化装置の助けを借りて、均質化装置の出力側で長軸ビームプロファイルの中間画像を生成し、この中間画像を、第1の群のさらなる光学要素の助けを借りて、作業面に画像化する。この(さらなる)画像化により、短軸画像化と比較して長軸画像化の比較的小さい範囲を、両方の画像表現が作業面において一致する程度まで、長くすることが可能である。結果として、新規装置は大きなアスペクト比を効率的に可能にする。
【0012】
したがって、新規装置は、ストッパを低減することによって、短軸方向に有利なトップハット形状強度プロファイルを実現することができ、短軸に関するその開口部直径は≧1mmであり得る。そのようなストッパは、製造上の観点からコスト効率的に製造可能である。それにもかかわらず、例えば10μmの小さなライン幅を得るために、及びさらにまた、製造上の観点から均質化装置をコスト効率的に維持するために、長軸方向の複数の画像化によって経路長さを橋渡しすることが有利である。新規装置は、中間画像の画像化によりこれを可能にする。
【0013】
さらに、中間画像平面は、長軸方向のビームプロファイルのセグメント化を任意選択的に得るために、櫛状のストッパの配置に非常に有利に使用することができる。必要であれば、これにより、多数の別個の照射スポットが長軸に沿って生成されるように新規装置を非常に容易に設計することが可能になる。したがって、新規装置の構造は、短軸方向の変化性(ビーム変形装置の出口アパーチャの助けを借りたライン幅の変化)及び長軸方向の変化性(適切なストッパによるレーザラインのセグメント化)を提供する。上述の目的は単純且つコスト効率的に達成される。
【0014】
本発明の好ましい構成において、第1の光学素子群は、中間画像の領域に配置された第1のマスクをさらに含む。
【0015】
いくつかの例示的な実施形態において、第1のマスクは、並べて配置された多数のアパーチャを有する、例えば多数の等距離に配置されたアパーチャを有する、櫛状のストッパであり得る。さらなる例示的な実施形態において、マスクは、セグメントに基づいて、交互の高度に反射性及び反射防止性の層でコーディングされたミラーを含み得る。アパーチャ又は交互の層は、長軸方向のビームプロファイルを、別個の照射スポットに有利にセグメント化し得る。原則として、第1のマスクは、光透過性又は反射性の領域と、光不透過性又は非反射性の領域の自由に選択された分布を有し得る。この構成において、新規装置は、長軸方向のビームプロファイルのコスト効率的なセグメント化の実行により可変基本概念を有利に使用する。本構成は、分離する必要があるμLEDのLLO用途に、又は、レーザ誘導型前方移動(LIFT)、すなわち既に分離されたμLEDの将来のディスプレイへの移動に特に有利である。
【0016】
さらなる構成において、第1のマスクは交換可能な部品として設計される。
【0017】
この構成において、新規装置のユーザは、任意選択的に、第1のマスクを均質化装置の出力部で中間画像の領域に配置し得る、又は前記第1のマスクをそこから取り外し得る。いくつかの例示的な実施形態において、第1のマスクは、光学的配置のビーム経路内又は外へ任意選択的に移動され得る支持体上に保持され得る。これらの例示的な実施形態において、第1のマスクは、並進式及び/又は回転式に保持され得、その結果、任意選択的にビーム経路に押し込まれる及び/又は回動され得る。この構成により新規装置の使用分野が増える。
【0018】
さらなる構成において、第2の光学素子群は少なくとも1つの第2のマスクを含む。
【0019】
この構成において、新規装置は、ビームプロファイルの所望の強度プロファイルを簡単且つ効率的に短軸方向において得ることができるマスクを有する。いくつかの例示的な実施形態において、短軸方向のトップハット形状プロファイルは、第2のマスクの助けを借りて実装される。好ましくは、第2のマスクのアパーチャは、コスト効率的な実装を可能にするように、≧1mmである。
【0020】
さらなる構成において、少なくとも1つの第2のマスクがビーム変形装置の領域に配置される。
【0021】
第2のマスクをビーム変形装置の領域に配置することにより、短軸方向において、所望の強度プロファイル、特に急な勾配を有するトップハット形状プロファイルの効率的な実装が可能にある。
【0022】
さらなる構成において、第2の光学素子群はさらなる中間画像を生成し、少なくとも1つの第2のマスクはさらなる中間画像の領域に配置される。好ましくは、さらなる中間画像は、ビーム変形装置の中間画像である。
【0023】
この構成により、特にビーム変形装置の領域の設置スペースが限定的な場合、有利且つ可変の代替策が提供される。
【0024】
さらなる構成において、少なくとも1つの第2のマスクは交換可能な部品として設計される。
【0025】
この構成において、新規装置のユーザは、任意選択的に、第2のマスクをビーム経路に配置することができる、又は前記第2のマスクをビーム経路から取り外すことができる。いくつかの例示的な実施形態において、第2のマスクは、光学的配置のビーム経路内又は外に任意選択的に移動され得る支持体上に保持され得る。第2のマスクは並進式及び/又は回転式に保持され、その結果、任意選択的にビーム経路に押し込まれ得る及び/又は回動され得る。この構成は、短軸方向におけるビームプロファイルの迅速且つ個別の適合を可能にすることによって、新規装置の使用分野を増やす。
【0026】
さらなる構成において、画像化光学ユニットは、少なくとも1つのミラー素子を有し、好ましくは複数の折り曲げを行う少なくとも2つのミラー素子を有する折り曲げ光学ユニットを含む。
【0027】
この構成において、画像化光学ユニットは特に、長軸方向のビーム経路の複数の折り曲げを行う1つ又は複数の円筒ミラーを含み得る。この構成により上述の利点を維持しながら新規装置のコンパクトな実現が可能になる。
【0028】
さらなる構成において、第2の光学素子群は、光軸に沿って、作業面の最も近くに配置された投影レンズを含み、折り曲げ光学ユニットは、光軸に沿って、均質化装置と投影レンズの間に配置される。
【0029】
この構成において、第1の光学素子群はある意味では光軸に沿って第2の光学素子群の間に配置される。この配置もまたコンパクトな実現に寄与する。それはさらに短軸方向における高いビーム品質を可能にする。
【0030】
さらなる構成において、ビームプロファイルは、短軸ビーム幅にわたってトップハット形状強度プロファイルを有する。
【0031】
トップハット形状強度プロファイルは、μLED及び他の離散的な構成要素部品を分離するのに特に有利である。
【0032】
上述の特徴及びさらに以下で説明される特徴は、それぞれに指定された組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせ又はそれ自体においても有用であることが理解される。
【0033】
本発明の例示的な実施形態が図面に示され、以下の記載においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1a】新規装置の例示的な実施形態の長軸ビーム経路の簡略的且つ概略的な図を示す。
【
図1b】
図1aの例示的な実施形態の短軸ビーム経路の簡略的且つ概略的な図を示す。
【
図2】新規装置の例示的な実施形態によるビームプロファイルの簡略図を示す。
【
図3】新規装置のいくつかの例示的な実施形態による有利なビームプロファイルの平面図を示す。
【
図4】
図1a及び1bの例示的な実施形態の長軸ビーム経路及び短軸ビーム経路をさらに詳細に示す。
【
図5】
図5a~cは、新規装置の例示的な実施形態による例示的な強度プロファイルを示す。
【
図6】長軸ビーム経路内のミラー折り曲げを備えた新規装置の好ましい例示的な実施形態の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
新規装置の例示的な実施形態が、その全体において、
図1a及び1bに参照符号10によって示されている。この例では、装置10は、作業面14の領域に配置されたワークピース16を機械加工するために、作業面14の領域にレーザライン12を生成する。この例では、レーザライン12はx軸の方向に延在し、ライン幅はここではy軸の方向にあるとみなされる。したがって、以後、x軸は作業面14(
図2参照)上に形成されたビームプロファイルの長軸を示し、y軸は短軸を示す。
【0036】
いくつかの例示的な実施形態において、ワークピース16は、ガラスプレート上に配置され且つレーザライン12によってガラスプレートから切り離されるように意図されたOLEDを有するフィルム層を含み得る。ワークピース16を機械加工するために、レーザライン12は矢印18の方向にワークピース16に対して移動することができる。
【0037】
装置10は、固体レーザであり得、例えば、赤外範囲又はUV範囲のレーザ光を生成するレーザ光源20を備える。例として、レーザ光源20は、1030nmのオーダーの波長を有するNd:YAGレーザを含み得る。さらなる例において、レーザ光源20は、ダイオードレーザ、エキシマーレーザ又は固体レーザを含み得、それらはそれぞれ、150nm~360nm、500nm~530nm、又は900nm~1070nmの波長を有するレーザ光を生成する。
【0038】
レーザ光源20は未加工レーザビーム22を生成し、これは、例えば光ファイバを介して光学的配置24に入力結合することができる。未加工レーザビーム22は、照射ビーム26に再成形され、これは光学的配置24によってビーム方向28を定める。ビーム方向28は、作業面14と交差する。
【0039】
光学的配置24は、ビーム変形装置30を含み、これは未加工レーザビーム22をx方向(長軸に対応する)に拡張する。好ましい例示的な実施形態において、ビーム変形装置30は、最初に記載した(特許文献1)に詳述されるビーム変形装置のように実現することができる。したがって、(特許文献1)は、ビーム変形装置及び後述する均質化装置に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
特に、ビーム変形装置30は、実質的に互いに平行である前側及び後側を有する透明なモノリシック平坦素子を含み得る。平坦素子は、
図1bに示されるように未加工レーザビーム22に対して鋭角に配置され得る。前側及び後側はそれぞれ反射コーディングを有し得、その結果、未加工レーザビーム22は、前側で斜めに平坦素子に入力結合され、平坦素子内で複数の反射を経験し、その後、平坦素子の後側で姿を現し、x軸の方向に拡張される。他の例示的な実施形態において、ビーム変形装置は、ストッパとして又はストッパの助けを借りて実現することができる。
【0041】
光学的配置24は長軸光学ユニット32を含み、これはここでは概略的に示されているに過ぎず、拡張された未加工レーザビームを長軸方向に成形し、それを作業面14上で画像化する。特に、長軸光学ユニット32は、1つ又は複数のマイクロレンズアレイ(ここでは図示せず)と、主に長軸方向に光学的屈折力を有する1つ又は複数のレンズとを含み得る。マイクロレンズアレイ及び1つ又は複数のレンズは、円筒レンズの形態で存在し得、それらはそれらのシリンダ軸とともにy方向に延在し、且つ長軸の方向において未加工レーザビーム22を均質化する画像化均質化装置を形成し、それにより長軸の方向において画定された、典型的にトップハット形状の強度プロファイルを得るようにする。
【0042】
光学的配置24はさらに、拡張された未加工レーザビームを短軸の方向において成形し、その焦点を作業面14上で合わせる複数の光学素子34、36、38を含む。光学素子34、36、38は、光軸40に沿って配置され、この例では、第1のレンズ34及び第2のレンズ36を含み、それらは一緒にテレスコープ配置を形成する。この例では、光学素子38は、1つ又は複数のレンズ素子を有する対物レンズであり、これは照射ビーム26の焦点を短軸方向において作業面14上で合わせる。
【0043】
光学的配置24は、その全体において、作業面14の領域に画定されたビームプロファイル42を有する照射ビーム26を生成するように構成される。
図2は、そのようなビームプロファイル42の理想的な表現を示す。ビームプロファイル42は、x軸及びy軸に沿ったそれぞれの位置に依存して作業面14におけるレーザ放射の強度Iを表す。示されるように、ビームプロファイル42は、x方向に長軸ビーム幅を有する長軸44と、y方向に短軸ビーム幅を有する短軸46とを有する。短軸ビーム幅46は、例えば半値全幅(FWHM)として、又は90%強度値間の幅(90%最大における全幅、FW@90%)として表され得る。この例では、ビームプロファイル42は、短軸の方向にトップハット形状のプロファイルを有し、第1の勾配48と、第2の勾配50と、第1の勾配48及び第2の勾配50の間の大部分が平らな平坦域52とを有する。特に、ビームプロファイル42は、特に短軸46全体に、異なる強度プロファイル、例えばガウス強度プロファイルを有し得る。
【0044】
図2に理想的な形で表現されているようなビームプロファイル42は、いくつかの用途に、例えば比較的大きなOLEDフィルムを支持板から切り離すのに望ましい。対照的に、他の用途に関して、ビームプロファイル42を複数の相互に離間された照射スポット54a、54b、54c…にセグメント化することが望ましい場合がある。
図3は、そのようなセグメント化されたビームプロファイル42’を、上からの作業面14の概略的な平面図において示す。好ましい例示的な実施形態において、光学的配置は、照射スポット54a、54b、54c…が長軸の方向に等しく分散されるビームプロファイル42’を生成することができる。この例では、長軸は好ましくは100mmのオーダーの距離にわたって延在する。この例において、照射スポット54a、54b、54c…は、例えば20μm×20μmの寸法を有する実質的に長方形のフットプリントをそれぞれ有利に有し、例えば100μmで互いに離間されてもよい。好ましくは、照射スポット54a、54b、54c…は、それぞれ、この例では短軸の方向にトップハット形状のプロファイルを有する。そのようなセグメント化されたビームプロファイル42’は、LLO又はLIFT用途に有利であり、その際、複数のμLEDが支持板から切り離される。新規装置10は、
図4~7をさらに参照して以下に説明されるような、いくつか例示的な実施形態においてそのような望ましいビームプロファイル42を容易に且つ効率的に可能にする。ここで、同じ参照符号は前に示したものと同じ要素を示す。
【0045】
図4は
図1a及び1bからの長軸光学ユニット32をさらに詳細に示す。長手方向軸光学ユニット32は、いくつかの例示的な実施形態において、光軸に沿って互いに確定された距離を取って配置された、第1のマイクロレンズアレイ58a及び第2のマイクロレンズアレイ58bを含み得る均質化装置56を含み得る。この例では、第1の光学素子60、第2の光学素子62及び第3の光学素子64は、ビーム経路のさらなるコースにわたって配置される。いくつかの例示的な実施形態において、素子60、62、64の1つ又は複数は、フーリエレンズであり得る。素子60、62、64は、
図6及び7を参照して以下に説明されるように、他の例示的な実施形態において、ミラー素子、特に円筒ミラーであり得る。
【0046】
この例では、均質化装置56及び光学素子60、62、64は、第1の光学素子群を形成し、拡張された未加工レーザビームを長軸の方向に成形する。対照的に、光学素子34、36、38は、拡張された未加工レーザビームを短軸の方向に成形する第2の光学素子群を形成する。既に上に示したように、この例の光学素子60は、長軸ビームプロファイルの中間画像66を生成する。中間画像66は、光学素子62、64の助けを借りて、作業面14で画像化される。有利には、この例において(第1の)マスク68が中間画像66の領域に配置され得る。特に、マスク68は、並べて配置された複数のアパーチャを有する櫛状のストッパであり得る。そのようなマスク68の使用は、
図3に従う相互に離間された照射スポット54a、54b、54c…を得るために、長軸の方向におけるビームプロファイル42’(
図3)の単純且つ効率的なセグメント化を可能にする。
【0047】
代替的に又は追加的に、さらなるマスク70がこの例においてビーム変形装置30の領域に及び/又はビーム変形装置30の中間画像71の領域に配置され得る。さらなるマスク70は、光学素子34、36、38の短軸ビーム経路に関して≧1mmのアパーチャを有し得る。マスク70の助けを借りて、非常に急な勾配及び大部分平らな平坦域を有する、短軸の方向のトップハット形状強度プロファイルを容易に且つ効率的に得ることが可能である。この例において、短軸ビーム経路内の長い経路の長さは、作業面14上のアパーチャの画像化を有利に低減することを可能にし、それにより短軸の方向に20μmの照射スポット54a、54b、54c…の寸法を得るようにし、それは例示的な方法で
図3に示されている。
【0048】
例として、
図5aは、前述のマスク70の助けを借りて得られ得るような、短軸に関するビームプロファイル42、42’の強度プロファイルを示す。
図5bは、マスク68のない長軸に関するビームプロファイル42の強度プロファイルを示す。
図5cは、前述のマスク68を用いた長軸方向にセグメント化された強度プロファイルを示し、2つの相互に離間されたライン部分72a、72bを備える。相互に離間されたライン部分72a、72bを有する
図5cに従う強度プロファイルを得るために、マスク68は中間画像66の領域に2つの相互に離間されたアパーチャを有し得る。ビームプロファイル42は、例えば
図3に示すように、異なるマスク68を使用して異なるようにセグメント化することができる。
【0049】
図6は1つの例示的な実施形態における光学的配置24をさらに詳細に示す。それぞれこの例において円筒レンズとして具現化される短軸光学ユニットの前述の光学素子34、36、38に加えて、及び、それぞれこの例において円筒ミラーとして具現化される長軸光学ユニットの光学素子60、62、64に加えて、この例における光学的配置24は、テレスコープ式配置において2つのさらなるレンズ74、76も備える。レンズ74、76は未加工レーザビームの焦点をビーム変形装置30のエントランスアパーチャ上で合わせる。一緒に(さらなる)テレスコープを形成するレンズ34、36は、ビーム変形装置30の出力部に配置される。いくつかの例示的な実施形態において、任意選択の空間フィルタ78が、例えば生じ得る回折アーチファクトを低減するために、レンズ34、36の間に配置され得る。この例において、参照符号80は、拡張された未加工レーザビームを均質化装置56に偏向する光学的偏向ミラーを示す。偏向ミラー80は、光学的配置24のコンパクトな構造を可能にするのに有利に寄与する。この例において2つのマイクロレンズアレイ58a、58bを含み得る均質化装置56の下流で、均質化されたレーザビームは、さらなる偏向ミラー(この例では隠されている)の助けを借りて、ミラー60、62に案内される。この例において、ミラー60、62は、レーザビームを、
図7に簡略的に示されるように、複数回反射し、このプロセス中、マスク68の領域において中間画像を生成する。マスクされた中間画像は、ミラー60、62、64の助けを借りて、投影レンズ38に案内される。投影光学ユニット38は、拡張されたレーザビームの焦点を、照射ビーム26として作業面上で合わせ、そこでレーザライン12又は、マスク68に依存して、長軸の方向に分散され得る複数の照射スポットを生成する。この例において、支持体は参照符号82で示され、それは、所望の用途に応じて、マスク68をビーム経路内に又は外に移動するために使用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 装置
12 レーザライン
14 作業面
16 ワークピース
18 矢印
20 レーザ光源
22 未加工レーザビーム
24 光学的配置
26 照射ビーム
28 ビーム方向
30 ビーム変形装置
32 長軸光学ユニット
34、36、38 光学素子
40 光軸
42、42’ ビームプロファイル
44 長軸
46 短軸
48 第1の勾配
50 第2の勾配
52 平坦域
54a、54b、54c 照射スポット
56 均質化装置
58a 第1のマイクロレンズアレイ
58b 第2のマイクロレンズアレイ
60 第1の光学素子
62 第2の光学素子
64 第3の光学素子
66、71 中間画像
68、70 マスク
72a、72b ライン部分
74、76 レンズ
78 空間フィルタ
80 偏向ミラー
82 支持体