(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】配置特定システム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20240703BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
(21)【出願番号】P 2020034149
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】藤原 真之
(72)【発明者】
【氏名】前川 卓也
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-105662(JP,A)
【文献】国際公開第2010/021170(WO,A1)
【文献】特表2009-529278(JP,A)
【文献】特開2019-023591(JP,A)
【文献】特表2007-518968(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0348338(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0270933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14,
G01S 19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信装置(13)がそれぞれに対応して設けられた、それぞれが識別情報を有する複数の機器(10)の配置を特定する配置特定システム(1)であって、
前記複数の機器(10)のうち任意の2つの機器(10)の一方である第1機器に対応して設けられた第1近距離無線通信装置が、前記任意の2つの機器の他方である第2機器に対応して設けられた第2近距離無線通信装置から識別信号を含む信号を受信し、前記識別情報を受信したときの電波強度に関連付け、前記第1機器と前記第2機器との間の距離に関する情報と、前記第1機器と前記第2機器それぞれの前記識別情報と、を紐づけた第1距離情報を取得する第1距離情報取得部(331)と、
前記第1距離情報に基づいて、空間(α)におい
て左右対称及び上下対称に設定されている、前記複数の機器(10)の配列を決定する機器配列決定部(332)と、
前記配列の任意の位置にあって、前記機器(10)に基づいて位置が定義される第1仮想点の位置情報を取得する位置情報取得部(333)と、
入力部を介して入力され、前記配列の回転方向の自由度を固定する回転方向固定情報と、前記入力部を介して入力され、前記配列の反転方向の自由度を固定する反転方向固定情報と、を取得する固定情報取得部(334)と、
前記配列、前記位置情報、前記回転方向固定情報、および前記反転方向固定情報、に基づいて前記空間(α)に配置された前記複数の機器(10)の配置を特定する配置特定部(335)と、
を備え、
前記位置情報取得部(333)は、対象空間(α)における前記複数の機器(10)の図面(β)上の配列の重心と、対象空間(α)における前記機器配列決定部(332)が決定する前記複数の機器(10)の配列の重心と、が一致することを利用して前記第1仮想点の前記位置情報を取得する、
配置特定システム(1)。
【請求項2】
近距離無線通信装置(13)がそれぞれに対応して設けられた、それぞれが識別情報を有する複数の機器(10)の配置を特定する配置特定システム(1)であって、
前記複数の機器(10)のうち任意の2つの機器(10)の一方である第1機器に対応して設けられた第1近距離無線通信装置が、前記任意の2つの機器の他方である第2機器に対応して設けられた第2近距離無線通信装置から識別信号を含む信号を受信し、前記識別情報を受信したときの電波強度に関連付け、前記第1機器と前記第2機器との間の距離に関する情報と、前記第1機器と前記第2機器それぞれの前記識別情報と、を紐づけた第1距離情報を取得する第1距離情報取得部(331)と、
前記第1距離情報に基づいて、空間(α)におい
て左右対称及び上下対称に設定されている、前記複数の機器(10)の配列を決定する機器配列決定部(332)と、
前記配列の任意の位置にあって、前記機器(10)に基づいて位置が定義される第1仮想点の位置情報を取得する位置情報取得部(333)と、
入力部を介して入力され、前記配列の回転方向の自由度を固定する回転方向固定情報と、前記入力部を介して入力され、前記配列の反転方向の自由度を固定する反転方向固定情報と、を取得する固定情報取得部(334)と、
前記配列、前記位置情報、前記回転方向固定情報、および前記反転方向固定情報、に基づいて前記空間(α)に配置された前記複数の機器(10)の配置を特定する配置特定部(335)と、
を備え、
前記固定情報取得部(334)は、前記回転方向固定情報として任意の位置にある第2仮想点が存在する方向に関する情報を取得し、前記反転方向固定情報として、任意の位置にある第3仮想点が存在する方向に関する情報を取得する、
あるいは、
前記固定情報取得部(334)は、前記回転方向固定情報として任意の位置にある前記第2仮想点が存在する方向に関する情報を取得し、前記反転方向固定情報として、任意の位置にある前記第3仮想点が存在する位置に関する情報を取得する、
あるいは、
前記固定情報取得部(334)は、前記回転方向固定情報として任意の位置にある前記第2仮想点が存在する位置に関する情報を取得し、前記反転方向固定情報として、任意の位置にある前記第3仮想点が存在する方向に関する情報を取得する、
配置特定システム(1)。
【請求項3】
前記第1仮想点、前記第2仮想点、および前記第3仮想点は、同一直線上の位置に存在せず、
前記第1仮想点、前記第2仮想点、または前記第3仮想点を通る軸に対して線対称の位置に存在しない、
請求項2に記載の配置特定システム(1)。
【請求項4】
前記第1距離情報は、無線通信における通信電波強度または通信時間に関する情報を含む、
請求項1から3のいずれか1つに記載の配置特定システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配置特定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2017-32469)のように、空間に設置された複数の機器の配置を特定するシステムがある。このようなシステムにおいては、機器の無線通信に基づく距離に関する情報と、空間の図面の情報と、から複数の機器の配置を特定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、機器の無線通信に基づく距離に関する情報と、空間の図面の情報と、からでは、機器の配置を特定することができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の配置特定システムは、それぞれが識別情報を有する複数の機器の配置を特定するシステムである。配置特定システムは、第1距離情報取得部と、配列決定部と、位置情報取得部と、固定情報取得部と、配置特定部と、を備える。第1距離情報取得部は、第1距離情報を取得する。第1距離情報は、複数の機器のうち任意の2つの機器間の距離に関する情報と、2つの機器それぞれの識別情報と、を紐づけた情報である。機器配列決定部は、第1距離情報に基づいて、複数の機器の配列を決定する。位置情報取得部は、配列の任意の位置にあって、機器に基づいて位置が定義される第1仮想点の位置情報を取得する。固定情報取得部は、回転方向固定情報と、反転方向固定情報と、を取得する。回転方向固定情報は、配列の回転方向の自由度を固定する。反転方向固定情報は、配列の反転方向の自由度を固定する。配置特定部は、配列、位置情報、回転方向固定情報、および反転方向固定情報、に基づいて空間に配置された複数の機器の配置を特定する。
【0005】
これによって、配置特定システムは、回転方向及び反転方向の自由度が固定された複数の機器の配列を決定し、機器の配置を特定することが可能である。
【0006】
第2観点の配置特定システムは、第1観点のシステムであって、位置情報取得部は、複数の機器の図面上の配列の重心と、機器配列決定部が決定する複数の機器の配列の重心と、が一致することを利用して、第1仮想点の位置情報を取得する。
【0007】
これによって、配置特定システムは、容易に第1仮想点の位置情報を取得することが可能であり、機器の配置を特定することに寄与する。
【0008】
第3観点の配置特定システムは、第1観点または第2観点のいずれかのシステムであって、固定情報取得部は、回転方向固定情報として任意の位置にある第2仮想点が存在する方向に関する情報を取得する。固定情報取得部は、反転方向固定情報として、任意の位置にある第3仮想点が存在する方向に関する情報を取得する。あるいは、固定情報取得部は、回転方向固定情報として任意の位置にある第2仮想点が存在する方向に関する情報を取得する。固定情報取得部は、反転方向固定情報として、任意の位置にある第3仮想点が存在する位置に関する情報を取得する。あるいは、固定情報取得部は、回転方向固定情報として任意の位置にある第2仮想点が存在する位置に関する情報を取得する。反転方向固定情報として、任意の位置にある第3仮想点が存在する方向に関する情報を取得する。
【0009】
これによって、配置特定システムは、機器の配置を特定することが可能である。
【0010】
第4観点の配置特定システムは、第1観点から第3観点のいずれかのシステムであって、第1仮想点、第2仮想点、および第3仮想点は、同一直線上の位置に存在しない。第1仮想点、第2仮想点、または第3仮想点を通る軸に対して線対称の位置に存在しない。
【0011】
これによって、配置特定システムは、機器の配置を特定することが可能である。
【0012】
第5観点の配置特定システムは、第1観点から第4観点のいずれかのシステムであって、第1距離情報は、無線通信における通信電波強度または通信時間に関する情報を含む。
【0013】
これによって、配置特定システムは、機器の配置を特定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】配置特定システムの構成を示す模式図である。
【
図4】管理装置及び端末装置の構成を示す模式図である。
【
図8】配置特定システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)全体構成
図1は、本開示の一実施形態に係る配置特定システム1の構成を示す模式図である。なお、以下の説明において、同様の機能を有する複数の装置について共通の説明をする場合は同一符号を付して説明する。同様の機能を有する複数の装置から、一の装置を区別して説明するときには英小文字の添え字を付して説明する。例えば、空調機10a~10cはそれぞれ同様の機能を有する装置であるので、説明が共通する場合は空調機10と表記する。説明の便宜上、添え字を用いるが、これらは任意の数を表しており、数量がこれに限定されるものではない。
【0016】
配置特定システム1は、複数の機器の配置を特定するシステムである。配置特定システム1は、機器と、管理装置20と、端末装置30と、を備える。以下、本実施形態に係る配置特定システム1の特定対象として、対象空間(空間α)の冷房や暖房を行う「空調機」を例として説明する。ただし、本実施形態に係る配置特定システム1の特定対象は空調機に限られるものではない。
【0017】
管理装置20は、例えば、管理センタ3に設置される。管理センタ3の管轄エリア内には、多数の施設2(2a~2c)が存在する。施設2は、例えばオフィスビル、商業ビル、コンドミニアム等である。施設2には、例えば、部屋、テナント、エリア等である空間αが存在する。
【0018】
図2に示すように、機器としての複数の空調機10(室内機12)は、空間αにおいてそれぞれ設置位置Q(Q1~Q9)に設置される。なお、
図2は、空間αを示す図面βであって、空間αの平面図上に空調機10の設置位置Qが示されたものである。空間αにおいて、設置位置Qは、概ね左右対称及び上下対称に設置されている。複数の空調機10がそれぞれ設置位置Qに設置されると、サービスマン等が端末装置30を用いて管理装置20に空調機10の配置と識別情報とを紐づけて登録する配置登録作業を行う。管理装置20は、空調機10の配置と識別情報とが紐づけて登録されることによって、空調機10の管理を開始する。
【0019】
空調機10、管理装置20、及び端末装置30は、通信ネットワークNWを介して互いに接続されている。なお、通信ネットワークNWは、例えばインターネットであって、複数の物件にまたがるWAN(Wide Area Network)を含む。管理装置20は、通信ネットワークNWを介して空調機10及び端末装置30と各種情報を送受信することによって、空調機10の配置登録と空調機10の管理とを実行する。
【0020】
(2)機器
図3は、本実施形態に係る空調機10の構成を示す模式図である。空調機10は、図示されない圧縮機や熱交換器等から構成される冷媒回路を有する。空調機10は、室外機11と、複数の室内機12(12a~12c)と、複数の近距離無線通信装置13(13a~13c)と、を有する。室外機11は、冷媒回路の熱源として機能する機器であって、例えば施設2の屋上や地下室等に設置される。室内機12は、室内に設置された操作パネルまたはリモコン等から入力される操作信号に基づいて空間αの冷房や暖房を行う。ここで、室内機12は、空間αにおいて設置位置Qにそれぞれ設置される(
図2)。近距離無線通信装置13は、他の近距離
無線通信装置13又は端末装置30と近距離無線通信を行う。複数の近距離無線通信装置13は、それぞれ室内機12に対応して設けられる。なお、近距離無線通信装置13は、室内機12に内蔵されていてもよいし、室内機12の近傍の天井等に設置されていてもよい。
【0021】
室外機11、室内機12、近距離無線通信装置13には、それぞれ室外制御部111、室内制御部121(121a~121c)、近距離無線制御部131(131a~131c)が設けられている。室外制御部111、室内制御部121、および近距離無線制御部131は、それぞれ図示しないCPU、メモリ、通信インタフェース等によって構成され、専用通信線を介して接続される。
【0022】
(2-1)室外制御部
室外制御部111には、記憶部112と、処理部113と、通信部114と、が設けられている。記憶部112は、各種情報を記憶するものであり、不揮発性メモリ及び揮発性メモリ等により構成される。例えば、記憶部112は、空調機10(室外機11、室内機12、及び、近距離無線通信装置13)の各種機能を実行するためのプログラムと、プログラムを実行するための各種情報を記憶する。
【0023】
処理部113は、CPUおよびキャッシュメモリ等を含み、各種情報処理を実行する。処理部113は、例えば、専用通信線を介して、室内制御部121(121a~121c)又は近距離無線制御部131(131a~131c)と各種信号等の送受信を行わせる。処理部113は、例えば、通信部114を介して、管理装置20と各種情報等の送受信を行わせる。
【0024】
通信部114は、通信ネットワークNWを含む外部ネットワークとの通信を実行するための通信インタフェースである。通信部114には、図示しないルーター等の装置を含んでいてもよい。
【0025】
(2-2)室内制御部
室内制御部121(121a~121c)には、記憶部122(122a~122c)と、処理部123(123a~123c)と、が設けられている。記憶部122は、各種情報を記憶するものであり、不揮発性メモリ及び揮発性メモリ等により構成される。例えば、記憶部122は、室内機12の各種機能を実行するためのプログラムと、プログラムを実行するための各種情報を記憶する。また、記憶部122は、室内機12それぞれに固有の識別情報を記憶している。識別情報は、例えば、室内機12の機器ID、MACアドレス、名称、等である。
【0026】
処理部123は、CPUおよびキャッシュメモリ等を含み、各種情報処理を実行する。処理部123は、例えば、専用通信線を介して、室外制御部111又は近距離無線制御部131と各種信号等の送受信を行わせる。
【0027】
(2-3)近距離無線制御部
近距離無線制御部131(131a~131c)には、記憶部132(132a~132c)と、処理部133(133a~133c)と、近距離無線通信部134(134a~134c)と、が設けられている。記憶部132は、各種情報を記憶するものであり、不揮発性メモリ及び揮発性メモリ等により構成される。例えば、記憶部132は、近距離無線通信装置13の各種機能を実行するためのプログラムと、プログラムを実行するための各種情報を記憶する。また、記憶部132は、近距離無線通信装置13に対応する室内機12の識別情報をあらかじめ記憶している。
【0028】
処理部133は、CPUおよびキャッシュメモリ等を含み、各種情報処理を実行する。処理部133は、例えば、専用通信線を介して、室外制御部111又は室内制御部121と各種信号等の送受信を行う。処理部133は、例えば、近距離無線通信部134を介して、他の近距離無線通信装置13又は端末装置30と近距離無線通信を行わせる。
【0029】
近距離無線通信部134は、近距離無線送信部135(135a~135c)と、近距離無線受信部136(136a~136c)と、を含む。近距離無線送信部135は、対応する室内機12の識別情報を含む信号を近距離無線通信によって送信する。近距離無線通信は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信であって、通信規格としてiBeacon(登録商標)に準拠していてもよい。近距離無線受信部136は、他の近距離無線通信装置13から識別情報を含む信号を受信する。識別情報を含む信号は、他の近距離無線通信装置13が近いほど強い電波強度で受信する。近距離無線受信部136が受信した識別情報(信号)は、該識別情報を受信したときの電波強度に関連付け、専用通信線を介して室外制御部111に送信される。
【0030】
室外制御部111は、近距離無線受信部136が受信した識別情報及び電波強度の情報を、通信部114を介して管理装置20に送信する。
【0031】
(3)管理装置20
図4に示される管理装置20は、1つ又は複数の空調機10のそれぞれに通信ネットワークNWを介して接続される。管理装置20は、例えば、スーパーコンピュータ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、タブレットデバイス、又はスマートフォン等である。また例えば、管理装置20は、複数のコンピュータやデバイスがネットワークで接続されることで構成されてもよい。
【0032】
管理装置20は、記憶部21、通信部22、及び処理部23、を有する。
【0033】
(3-1)記憶部
記憶部21は、各種情報を記憶するものであり、ROM、RAM、及び/又はハードディスク等を含む。ここでは、記憶部21は、管理装置20の各種機能を実行するためのプログラムと、プログラムを実行するための各種情報を記憶する。記憶部21は、図面βの情報をあらかじめ記憶している。
【0034】
また記憶部21は、空調機10又は端末装置30から受信する各種情報を記憶する。記憶部21に記憶された情報は、適宜更新可能である。
【0035】
(3-2)通信部
通信部22は、通信ネットワークNWを含む外部ネットワークとの通信を実行するための通信インタフェースである。通信部22は、例えば、空調機10(室外制御部111)から識別情報及び電波強度の情報を受信する。また、通信部22は、識別情報及び電波強度の情報、あるいは、記憶部21に記憶された図面βの情報、を端末装置30に送信する。
【0036】
(3-3)処理部
処理部23は、CPUおよびキャッシュメモリ等を含み、各種情報処理を実行する。処理部23は、例えば、通信ネットワークNWを介して、各種情報の送受信を行わせる。
【0037】
(4)端末装置
図4に示される端末装置30は、通信ネットワークNWを介して管理装置20に接続される。端末装置30は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレットデバイス、又はスマートフォン等である。端末装置30は、記憶部31、通信部32、処理部33、表示部34、及び入力部35、を有する。
【0038】
(4-1)記憶部
記憶部31は、各種情報を記憶するものであり、ROM、RAM、及び/又はハードディスク等を含む。ここでは、記憶部31は、管理装置20の各種機能を実行するためのプログラムと、プログラムを実行するための各種情報を記憶する。
【0039】
また、記憶部31は、空調機10又は端末装置30から受信する各種情報を記憶する。記憶部31に記憶された情報は、適宜更新可能である。
【0040】
(4-2)通信部
通信部32は、通信ネットワークNWを含む外部ネットワークとの通信を実行するための通信インタフェースである。通信部32は、例えば、管理装置20から識別情報及び電波強度の情報、あるいは、図面βの情報、を受信する。通信部32が受信した情報は、記憶部31の適切な領域に適宜記憶される。
【0041】
(4-3)処理部
処理部33は、CPUおよびキャッシュメモリ等を含み、各種情報処理を実行する。処理部33は、第1距離情報取得部331、機器配列決定部332、位置情報取得部333、固定情報取得部334、配置特定部335、を含む。
【0042】
(4-3―1)第1距離情報取得部
第1距離情報取得部331は、通信部32が受信した識別情報及び電波強度の情報に基づいて第1距離情報を取得する。ここで、電波強度の情報は、言い換えると任意の2つの室内機12(空調機10)間の距離に関する情報である。第1距離情報は、該任意の2つの室内機12間の距離に関する情報と、識別情報とを紐づけた情報であって、例えば、表1に示す情報である。第1距離情報取得部331によって取得された第1距離情報は、それぞれ記憶部31の適切な領域に記憶される。
【0043】
【0044】
(4-3―2)機器配列決定部
機器配列決定部332は、記憶部31に記憶された複数の第1距離情報に基づいて室内機12の配列を決定する。例えば、機器配列決定部332は、記憶部31に記憶された複数の第1距離情報に基づいて、空間αに設置された室内機12(空調機10)の配列が
図5に示す配列であると決定することができる。ここで、
図5に示す配列は、左右対称であるため反転させることで
図6に示す配列となることが可能である。同様に、
図5に示す配列は、左右対称かつ上下対称であるため回転させることで例えば
図7に示す配列となることが可能である。言い換えると、機器配列決定部332によって決定される室内機12の配列は、反転方向の自由度と、回転方向の自由度と、が固定されていない配列である。機器配列決定部332において決定された空間αに設置された室内機12の配列に係る情報は、記憶部31の適切な領域に記憶される。
【0045】
(4-3―3)位置情報取得部
位置情報取得部333は、第1仮想点の位置を取得する。第1仮想点は、室内機12(空調機10)に基づいて位置が定義される任意の点である。具体的に、位置情報取得部333は、通信部32が受信した図面βの情報における室内機12の設置位置Qの重心Pの位置を第1仮想点の位置とする。ここで、機器配列決定部332が決定した配列の重心P´の位置が正しい場合には、重心P´の位置が図面βの情報における室内機12の設置位置Qの重心Pの位置が一致する。そのため、位置情報取得部333は、例えば、
図2に示す図面βの情報における室内機12の設置位置Qの重心Pの位置と、
図5,6,7に示される機器配列決定部332が決定した配列の重心はP´の位置と、を一致させる
。位置情報取得部333は、図面βの情報における室内機12の設置位置Qの重心Pの位置を演算処理によって算出することが可能である。位置情報取得部333によって取得された第1仮想点の位置に係る情報は、記憶部31の適切な領域に記憶される。
【0046】
(4-3―4)固定情報取得部
固定情報取得部334は、入力部35を介してサービスマン等が入力した回転方向固定情報と、反転方向固定情報と、を取得する。回転方向固定情報は、機器配列決定部332が決定した配列の回転方向の自由度を固定する情報であって、任意の位置にある第2仮想点の位置または方向に関する情報である。反転方向固定情報は、反転方向の自由度を固定する情報であって、任意の位置にある第3仮想点の位置または方向に関する情報である。なお、1仮想点、第2仮想点、および第3仮想点は、同一直線上の位置に存在しないことが好ましい。また、第1仮想点、第2仮想点、および第3仮想点は、第1仮想点、第2仮想点、または第3仮想点を通る軸に対して線対称の位置に存在しないことが好ましい。
【0047】
ここで、室内機12aの識別情報がA001であって、位置が
図2に示す設置位置Q1であるとする。例えば、サービスマン等は、入力部35を介して回転方向固定情報として、室内機12aの識別情報A001、及び、室内機12aの設置位置Q1、を入力することが可能である。このとき、室内機12aの位置が、第2仮想点の位置となる。また、サービスマン等は、室内機12aの識別情報であるA001、及び、第1仮想点からみた室内機12aの方向である北西を入力することが可能である。このとき、室内機12aの方向が、第2仮想点の方向となる。
【0048】
また、室内機12bの識別情報がA002であって、位置が
図2に示す設置位置Q2であるとする。例えば、サービスマン等は、入力部35を介して反転方向固定情報として、室内機12bの識別情報A002、及び、室内機12bの設置位置Q2、を入力することが可能である。このとき、室内機12bの位置が、第3仮想点の位置となる。また、サービスマン等は、室内機12bの識別情報であるA002、及び、第1仮想点からみた室内機12bの方向である北を入力することが可能である。このとき、室内機12bの方向が、第3仮想点の方向となる。
【0049】
なお、固定情報取得部334は、複数の回転方向固定情報、又は、複数の反転方向固定情報、を取得してもよい。言い換えると、固定情報取得部334は、任意の位置にある複数の第2仮想点の位置または方向に関する情報を取得してもよいし、任意の位置にある複数の第3仮想点の位置または方向に関する情報を取得してもよい。
【0050】
(4-3―5)配置特定部
配置特定部335は、機器配列決定部332が決定した配列、位置情報取得部333が取得した第1仮想点の位置情報、固定情報取得部334が取得した回転方向固定情報および反転方向固定情報、に基づいて空間αにおける室内機12の配置を特定する。具体的には、配置特定部335は、機器配列決定部332が決定した複数の配列から、位置情報取得部333が取得した第1仮想点の位置情報、固定情報取得部334が取得した回転方向固定情報および反転方向固定情報、に基づいて、反転方向の自由度と回転方向の自由度とが固定された配列(室内機12の配置)を特定する。配置特定部335において特定された情報は、記憶部31の適切な領域に記憶されるとともに、通信部32を介して管理装置20に送信される。
【0051】
(4-4)表示部
表示部34は、各種情報を表示するためのものであり、種々のディスプレイ及びスピーカ等により構成される。サービスマン等は、表示部34に表示された各種情報を参照して登録作業を行うことが可能である。
【0052】
(4-5)入力部
入力部35は、各種情報を入力するためのものであり、マウス、キーボード、及びタッチパネル等により構成される。サービスマン等は、入力部35を介して各種情報を入力することが可能である。
【0053】
(5)配置特定システムにおける処理
図8は、本実施形態に係る配置特定システム1における処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態に係る配置特定システム1は、
図2の図面βとして示される空間αに設置される複数の空調機10(室内機12)のそれぞれの配置を特定する。
【0054】
なお、ここで、空間αにはサービスマン等によって複数の室内機12が設置された状態である。室内機12に対応する近距離無線通信装置13は、室内機12の識別情報を記憶しており、所定の間隔毎に室内機12の識別情報を含む信号を近距離無線によって送信している。管理装置20は図面βの情報を記憶しており、端末装置30と図面βの情報を共有している。
【0055】
まず、複数の空調機10(室内機12)が空間αに設置されると、複数の近距離無線通信装置13は、それぞれ対応する室内機12の識別情報を含む信号を近距離無線送信部135から近距離無線によって送信する(ステップS1)。
【0056】
複数の近距離無線通信装置13は、他の近距離無線通信装置13が送信した信号を近距離無線受信部136において受信する(ステップS2)。近距離無線受信部136において受信された情報は、専用通信線を介して室外制御部111に送られ、通信部114を介して、信号に含まれる室内機12の識別情報、及び、信号を受信したときの電波強度の情報を関連付けて管理装置20に送信される(ステップS3)。
【0057】
管理装置20は、受信した室内機12の識別情報及び、電波強度の情報を通信部22を介して端末装置30に送信する(ステップS4)。
【0058】
端末装置30は、通信部32を介して管理装置20から室内機12の識別情報及び、電波強度の情報を受信する(ステップS5)。
【0059】
端末装置30の処理部33の第1距離情報取得部331は、通信部32が受信した識別情報及び電波強度の情報に基づいて第1距離情報を取得する(ステップS6)。第1距離情報取得部331が取得した第1距離情報は、記憶部31の適切な領域に記憶される。
【0060】
端末装置30の処理部33の機器配列決定部332は、記憶部31に記憶された複数の第1距離情報に基づいて、室内機12の配列を決定する(ステップS7)。機器配列決定部332によって決定される室内機12の配列は、反転方向の自由度と、回転方向の自由度と、が固定されていない配列である(
図5,6,7)。機器配列決定部332において決定された空間αに設置された室内機12の配列に係る情報は、記憶部31に記憶される。
【0061】
端末装置30の処理部33の位置情報取得部333は、第1仮想点の位置を取得する(ステップS8)。ここで、位置情報取得部333は、図面βの情報における室内機12の設置位置Qの重心Pの位置を演算処理によって算出することによって、第1仮想点の位置を取得する。位置情報取得部333によって取得された第1仮想点の位置に係る情報は、記憶部31に記憶される。
【0062】
固定情報取得部334は、入力部35を介してサービスマン等が入力した回転方向固定情報と、反転方向固定情報と、を取得する(ステップS9)。ここで、例えば、サービスマン等は、入力部35を介して、回転方向固定情報として室内機12aの識別情報がA001及び第1仮想点からみた室内機12aの方向(第2仮想点の方向)である北西を入力する。また、反転方向固定情報として室内機12bの識別情報がA002及び第1仮想点からみた室内機12bの方向(第3仮想点の方向)である北を入力する。
【0063】
なお、ステップS9において、サービスマン等は、表示部34に表示された図面βの情報及び入力画面等を参照して入力部35から入力を行うことが可能である。
【0064】
端末装置30の処理部33の配置特定部335は、機器配列決定部332がステップS7において決定した配列、位置情報取得部333がステップS8において取得した第1仮想点の位置情報、固定情報取得部334がステップS9において取得した回転方向固定情報および反転方向固定情報、に基づいて空間αにおける室内機12の配置を特定する(ステップS10)。
【0065】
配置特定部335において特定された室内機12の配置に係る情報は、通信部32を介して管理装置20に送信される(ステップS11)。
【0066】
管理装置20は、端末装置30から通信部22を介して受信した室内機12の配置に係る情報に基づいて室内機12(空調機10)の配置と識別情報とを紐づけて登録する(ステップS12)。これによって、管理装置20は、空調機10の管理を行うことが可能になる。
【0067】
(6)特徴
(6―1)
本開示に示す配置特定システム1は、それぞれが識別情報を有する複数の機器の配置を特定するシステムである。ここで、機器は、例えば、空調機10(室内機12)である。配置特定システム1は、第1距離情報取得部331と、機器配列決定部332と、位置情報取得部333と、固定情報取得部334と、配置特定部335と、を備える。第1距離情報取得部331は、第1距離情報を取得する。第1距離情報は、複数の機器のうち任意の2つの機器間の距離に関する情報と、2つの機器それぞれの識別情報と、を紐づけた情報である。機器配列決定部332は、第1距離情報に基づいて、複数の空調機10の配列を決定する。位置情報取得部333は、配列の任意の位置にあって、空調機10に基づいて位置が定義される第1仮想点の位置情報を取得する。固定情報取得部334は、回転方向固定情報と、反転方向固定情報と、を取得する。回転方向固定情報は、配列の回転方向の自由度を固定する。反転方向固定情報は、配列の反転方向の自由度を固定する。配置特定部335は、配列、位置情報、回転方向固定情報、および反転方向固定情報、に基づいて空間αに配置された複数の空調機10の配置を特定する。なお、第1距離情報は、無線通信における通信電波強度に関する情報を含む。
【0068】
管理装置20等において複数の空調機10の管理を行う場合、空調機10(室内機12)の識別情報と、配置と、を紐づけて管理装置20に登録する配置特定作業が必要である。この配置特定作業は、従来、室内機の施工後に室内機に対応するリモコン等を用いて室内機を動作させることによって、室内機毎を識別することによって行われていた。しかしながら従来の方法では、配置特定作業にかかる工数が多く、作業を完了するまでに多くの時間がかかる。
【0069】
一方で、特許文献1(特開2017-32469)に示されるように、室内機の無線通信に基づく距離に関する情報と、空間の図面の情報と、から複数の室内機の配置を特定するシステムでは、回転方向及び反転方向の自由度が固定されず複数の室内機の配置を特定することができない場合がある。
【0070】
本開示に示す配置特定システム1は、上記構成をとることによって、配置特定作業にかかる工数を削減し、効率的に作業を完了することができる。特に作業者がリモコン等を用いて室内機を動作させる等の作業がないため、作業を行うサービスマン等の負担を軽減させることが可能である。
【0071】
また、左右対称及び/又は上下対称の配列に設置された複数の空調機10であっても、配置を特定することが可能である。
【0072】
(6-2)
本開示に示す配置特定システム1の位置情報取得部333は、複数の空調機10の図面β上の配列の重心Pと、機器配列決定部332が決定する複数の機器の配列の重心P´と、が一致することを利用して、第1仮想点の位置情報を取得する。
【0073】
これによって、第1仮想点の位置情報を容易に取得することが可能である。また、サービスマン等が行う作業の工数を削減することが可能である。
【0074】
(6-3)
本開示に示す配置特定システム1の固定情報取得部334は、回転方向固定情報として任意の位置にある第2仮想点が存在する方向に関する情報を取得する。固定情報取得部334は、反転方向固定情報として、任意の位置にある第3仮想点が存在する方向に関する情報を取得する。
【0075】
あるいは、固定情報取得部334は、回転方向固定情報として任意の位置にある第2仮想点が存在する方向に関する情報を取得する。固定情報取得部334は、反転方向固定情報として、任意の位置にある第3仮想点が存在する位置に関する情報を取得する。
【0076】
あるいは、固定情報取得部334は、回転方向固定情報として任意の位置にある第2仮想点が存在する位置に関する情報を取得する。固定情報取得部334は、反転方向固定情報として、任意の位置にある第3仮想点が存在する方向に関する情報を取得する。
【0077】
これによって、機器配列決定部332において決定された空調機10の配列から空調機10の配置を特定することが可能である。
【0078】
(6-4)
本開示に示す配置特定システム1の第1仮想点、第2仮想点、および第3仮想点は、同一直線上の位置に存在しない。また、第1仮想点、第2仮想点、および第3仮想点は、第1仮想点、第2仮想点、または第3仮想点を通る軸に対して線対称の位置に存在しない。
【0079】
これによって、固定情報取得部334が、回転方向固定情報と反転方向固定情報とを取得することが容易になる。
【0080】
(7)変形例
(7-1)
本開示に示す配置特定システム1の第1距離情報は、通信電波強度に含む情報を含む情報であるが、第1距離情報は通信時間に関する情報を含む情報であってもよい。機器配列決定部332は、通信時間に関する情報を含む第1距離情報に基づいて、複数の空調機10の配列を決定することが可能である。
【0081】
(7-2)
本開示に示す配置特定システム1の固定情報取得部334は、入力部35を介してサービスマン等が入力した回転方向固定情報と反転方向固定情報とを取得するが、回転方向固定情報と反転方向固定情報とは、これ以外の方法によって取得されてもよい。
【0082】
例えば、端末装置30は、近距離無線通信が可能な近距離無線通信部を有し、近距離無線通信装置13が送信した信号を受信することによって回転方向固定情報と反転方向固定情報とを取得してもよい。これによって、固定情報取得部334は、容易に回転方向固定情報と反転方向固定情報とを取得することが可能である。
【0083】
(8)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0084】
1 配置特定システム
10 機器
331 第1距離情報取得部
332 機器配列決定部
333 位置情報取得部
334 固定情報取得部
335 配置特定部
α 空間
β 図面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】