(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】錠剤カセット
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240703BHJP
B65D 83/04 20060101ALI20240703BHJP
B65B 37/12 20060101ALI20240703BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
B65D83/04 F
B65B37/12
B65B1/30 A
(21)【出願番号】P 2020157627
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】小池 直樹
(72)【発明者】
【氏名】見谷 光弘
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-043781(JP,A)
【文献】特開2011-045699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65D 83/04
B65B 37/12
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の錠剤を収容し、錠剤を排出する錠剤出口が形成されたカセット本体と、
前記カセット本体に回転可能に設けられたロータと、
前記カセット本体の錠剤出口の上方に設けられた仕切部材とを備え、
前記ロータが上側胴部と該上側胴部より大径の下側胴部とを有し、前記下側胴部に前記カセット本体に収容された錠剤を前記錠剤出口に案内する複数の錠剤案内溝と、前記仕切部材が進入する周溝とが形成されている錠剤カセットにおいて、
前記上側胴部と前記下側胴部との間は内周端から外周端に向かって低くなるように傾斜する傾斜面で形成され、
前記下側胴部の前記周溝より上方の高さは、前記下側胴部の前記周溝より下方の高さよりも低く
、
前記下側胴部の前記周溝より上方の高さは前記カセット本体に収容される錠剤の長さより小さく、前記下側胴部の前記周溝より下方の高さは、前記カセット本体に収容される錠剤の長さより大きく形成されていることを特徴とする錠剤カセット。
【請求項2】
多数の錠剤を収容し、錠剤を排出する錠剤出口が形成されたカセット本体と、
前記カセット本体に回転可能に設けられたロータと、
前記カセット本体の錠剤出口の上方に設けられた仕切部材とを備え、
前記ロータの外側面に、前記仕切部材より下方に位置する複数の下ブロック部
と前記仕切部材より上方に位置する複数の上ブロック部とが周方向に形成され、隣接する前記複数の下ブロック部の間
及び隣接する前記複数の上ブロック部の間に前記カセット本体に収容された錠剤を前記錠剤出口に案内する複数の錠剤案内溝が形成され
、前記複数の下ブロック部と前記複数の上ブロック部の間に前記仕切部材が進入する周溝が形成されている錠剤カセットにおいて、
前記上ブロック部の上面は内周端から外周端に向かって低くなるように傾斜する傾斜面で形成され、
前記複数の上ブロック部の高さは、前記複数の下ブロック部の高さよりも低く
、
前記複数の上ブロック部の高さは前記カセット本体に収容される錠剤の長さより小さく、前記複数の下ブロック部の高さは、前記カセット本体に収容される錠剤の長さより大きく
形成されていることを特徴とする錠剤カセット。
【請求項3】
多数の錠剤を収容し、錠剤を排出する錠剤出口が形成されたカセット本体と、
前記カセット本体に回転可能に設けられたロータと、
前記カセット本体の錠剤出口の上方に設けられた仕切部材とを備え、
前記ロータの外側面に、前記仕切部材より下方に位置する複数のブロック部
と前記仕切部材より上方に位置する複数の支持部とが周方向に形成され、隣接する前記複数のブロック部
の間及び前記複数の支持部の間に前記カセット本体に収容された錠剤を前記錠剤出口に案内する複数の錠剤案内溝が形成され
、前記複数のブロック部と前記複数の支持部の間に前記仕切部材が進入する周溝が形成されている錠剤カセットにおいて、
前記支持部の上面は内周端から外周端に向かって低くなるように傾斜する傾斜面で形成され、
前記複数の支持部の高さは、前記複数のブロック部の高さよりも低く
、
前記複数の支持部の高さは、前記カセット本体に収容される錠剤の長さより小さく、前記複数のブロック部の高さは、前記カセット本体に収容される錠剤の長さより大きく形成されていることを特徴とする錠剤カセット。
【請求項4】
前記周溝から前記傾斜面の内周端までの高さは、前記錠剤カセットに収容される錠剤の長さより小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の錠剤カセット。
【請求項5】
前記ロータの外側面と前記傾斜面と前記カセット本体の内面との間に、前記カセット本体に収容された錠剤を受け入れる錠剤ポケットが形成され、
前記傾斜面は、前記錠剤ポケットに進入した錠剤が前記カセット本体の内面に向かって寄り掛かるように形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の錠剤カセット。
【請求項6】
前記仕切部材の上方にある前記錠剤案内溝に収容された錠剤の上部は前記傾斜面より上方にあることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の錠剤カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多数の錠剤を収容して1錠ずつ連続して払い出すことができる錠剤カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
処方箋に応じて必要な種類と錠数の錠剤を払い出す錠剤払出装置には、種類の異なる錠剤を種類別に収容した複数の錠剤カセットと、該錠剤カセットが装着される棚状のモータベースとを備えている。錠剤カセットは、錠剤出口を有するカセット本体と、該カセット本体に回転可能に設けられ、錠剤案内溝を有するロータと、カセット本体の錠剤出口の上方に設けられた仕切部材とから構成されている。ロータはモータベースから供給される動力により回転可能になっている。ロータの回転により錠剤案内溝が錠剤出口に近づいてくると、仕切部材の上方にある錠剤と仕切部材の下方にある錠剤とが仕切部材で分離され、仕切部材の上方にある錠剤は仕切部材により落下が阻止され、仕切部材の下方にある錠剤は錠剤出口から排出され、モータベースの錠剤排出路を通って所定の位置に払い出される。
【0003】
ロータには、
図22(a)に示すように、仕切部材101の上方及び下方に錠剤案内溝102を有する2段ロータ100aと、
図22(b)に示すように、仕切部材101の下方に錠剤案内溝102を有する1段ロータ100bとがある。
【0004】
2段ロータ100aで楕円形や変形錠などの先端部が細くなった錠剤を排出する場合、不具合が生じることがある。すなわち、
図23(a)に示すように、楕円形の錠剤Tが錠剤案内溝102の入口を塞いだままなり、数錠の錠剤がカセット本体に残留することがある。また、
図23(b)に示すように、錠剤案内溝102にある楕円の錠剤T1,T2が互いに入り組んだ状態になると、仕切部材101によって上の錠剤T2と下の錠剤T1を分離できなくなり、仕切部材101が互いに入り組んだ錠剤T1,T2に当たって、錠剤T1,T2が損傷したり、仕切部材101が破損するほか、ロータ100aに異音が発生したり、ロータ100aの回転が停止する場合があった。
【0005】
そこで、錠剤が楕円形の場合は、1段ロータ100bが採用されている。1段ロータ100bでは、
図24に示すように、錠剤の残量が少なくなると、仕切部材101の上方に移動してきた錠剤T2~T6はロータ101bの駆動力を受けずに、仕切部材101の上に乗ったままとなるため、数錠の錠剤が残留することがある。
【0006】
このように、カセット本体に数錠の錠剤が残留したままになると、処方必要数に応じてPTPなどから除包した錠剤をカセットに投入して分包機を作動させると途中で欠品エラーが発生したり、当該カセット本体に種類の異なる錠剤を収容する場合に、残留した錠剤を取り出さなければならず、手間がかかるうえ、取り忘れると錠剤のコンタミが生じ、誤った錠剤を処方する恐れがあった。また、カセット本体に残留した錠剤を排出して計数することにより在庫確認を行う場合、誤った錠数が計数され、正確な在庫管理が行えないという問題が生じる。さらに、高齢者や子供の患者のためにカセット本体に収容した錠剤を半錠に分割するカッターを備える錠剤カセットの場合、所定量の錠剤をカセット本体に投入しても、一部の錠剤が残留するため、必要な錠数の半錠を排出できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1において、本願出願人は、薬剤の残留がなく、薬剤を最後の1錠まで確実に排出することができる薬剤フィーダの発明を提案している。特許文献1の薬剤フィーダは、錠剤収容溝を形成するロータ側面のブロック部の上面に突起を設けて、該突起が仕切部材に当たって仕切部材に動きを与えることで仕切部材上の薬剤を移動させるようになっている。
【0009】
本発明は、特許文献1とは別の観点から、薬剤の残留がなく、薬剤を最後の1錠まで確実に排出することができる錠剤カセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、
多数の錠剤を収容し、錠剤を排出する錠剤出口が形成されたカセット本体と、
前記カセット本体に回転可能に設けられたロータと、
前記カセット本体の錠剤出口の上方に設けられた仕切部材とを備え、
前記ロータが上側胴部と該上側胴部より大径の下側胴部とを有し、前記下側胴部に前記カセット本体に収容された錠剤を前記錠剤出口に案内する複数の錠剤案内溝と、前記仕切部材が進入する周溝とが形成されている錠剤カセットにおいて、
前記上側胴部と前記下側胴部との間は内周端から外周端に向かって低くなるように傾斜する傾斜面で形成され、
前記下側胴部の前記周溝より上方の高さは、前記下側胴部の前記周溝より下方の高さよりも低く、
前記下側胴部の前記周溝より上方の高さは前記カセット本体に収容される錠剤の長さより小さく、前記下側胴部の前記周溝より下方の高さは、前記カセット本体に収容される錠剤の長さより大きく形成されていることを特徴とする。
本発明では、ロータとカセット本体の間に進入した錠剤は、上側胴部と下側胴部の間の傾斜面に当たり、カセット本体の内面に向かって寄り掛かり、カセット本体の内面と接触する。この結果、錠剤とカセット本体の内面と間の摩擦により、錠剤がロータの回転方向に移動する速度がロータの回転速度よりも遅くなり、ロータから見た場合、錠剤ポケット内の錠剤はロータの回転方向の上流側に移動する。これにより、錠剤ポケットの錠剤は、ロータの錠剤案内溝とカセット本体の内面との間の錠剤排出経路に容易に進入する。
【0011】
前記課題を解決するための第2の手段として、本発明は、
多数の錠剤を収容し、錠剤を排出する錠剤出口が形成されたカセット本体と、
前記カセット本体に回転可能に設けられたロータと、
前記カセット本体の錠剤出口の上方に設けられた仕切部材とを備え、
前記ロータの外側面に、前記仕切部材より下方に位置する複数の下ブロック部と前記仕切部材より上方に位置する複数の上ブロック部とが周方向に形成され、隣接する前記複数の下ブロック部の間及び隣接する前記複数の上ブロック部の間に前記カセット本体に収容された錠剤を前記錠剤出口に案内する複数の錠剤案内溝が形成され、前記複数の下ブロック部と前記複数の上ブロック部の間に前記仕切部材が進入する周溝が形成されている錠剤カセットにおいて、
前記上ブロック部の上面は内周端から外周端に向かって低くなるように傾斜する傾斜面で形成され、
前記複数の上ブロック部の高さは、前記複数の下ブロック部の高さよりも低く、
前記複数の上ブロック部の高さは前記カセット本体に収容される錠剤の長さより小さく、前記複数の下ブロック部の高さは、前記カセット本体に収容される錠剤の長さより大きく
形成されていることを特徴とする。
【0012】
前記課題を解決するための第3の手段として、本発明は、
多数の錠剤を収容し、錠剤を排出する錠剤出口が形成されたカセット本体と、
前記カセット本体に回転可能に設けられたロータと、
前記カセット本体の錠剤出口の上方に設けられた仕切部材とを備え、
前記ロータの外側面に、前記仕切部材より下方に位置する複数のブロック部と前記仕切部材より上方に位置する複数の支持部とが周方向に形成され、隣接する前記複数のブロック部の間及び前記複数の支持部の間に前記カセット本体に収容された錠剤を前記錠剤出口に案内する複数の錠剤案内溝が形成され、前記複数のブロック部と前記複数の支持部の間に前記仕切部材が進入する周溝が形成されている錠剤カセットにおいて、
前記支持部の上面は内周端から外周端に向かって低くなるように傾斜する傾斜面で形成され、
前記複数の支持部の高さは、前記複数のブロック部の高さよりも低く、
前記複数の支持部の高さは、前記カセット本体に収容される錠剤の長さより小さく、前記複数のブロック部の高さは、前記カセット本体に収容される錠剤の長さより大きく形成されていることを特徴とする。
【0013】
前記周溝から前記傾斜面の内周端までの高さは、前記錠剤カセットに収容される錠剤の長さより小さいことが好ましい。
【0014】
前記ロータの外側面と前記傾斜面と前記カセット本体の内面との間に、前記カセット本体に収容された錠剤を受け入れる錠剤ポケットが形成され、
前記傾斜面は、前記錠剤ポケットに進入した錠剤が前記カセット本体の内面に向かって寄り掛かるように形成されていることが好ましい。
【0015】
前記仕切部材の上方にある前記錠剤案内溝に収容された錠剤の上部は前記傾斜面より上方にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、薬剤の残留がなく、薬剤を最後の1錠まで確実に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る錠剤カセットの上方から見た斜視図。
【
図10】ロータの胴部とカム板の下方から見た斜視図。
【
図11】錠剤ポケットと錠剤案内溝を示す断面図(a)、錠剤ポケットの傾斜面の拡大断面図(9b)。
【
図13】カム板のカム溝の形状を示すために、カム板の下方から見た錠剤カセットの横断面図。
【
図14】可動部材の右方及び左方から見た斜視図及び平面断面図。
【
図15】可動部材と錠剤案内溝の配置を示す断面図。
【
図16】錠剤ポケット内で整列した錠剤を示す平面図。
【
図18】錠剤ポケット内で整列した錠剤を示すロータの展開図。
【
図19】錠剤ポケットから錠剤排出経路への錠剤の移動を順に示すロータの展開図。
【
図20】
図19に続き錠剤ポケットから錠剤排出経路への錠剤の移動を順に示すロータの展開図。
【
図21】可動部材の動作を示す正面図及び可動部材の平面図。
【
図22】従来の2段ロータ(a)と1段ロータ(b)を示す断面図。
【
図23】2段ロータでの不具合を示すロータの展開図。
【
図24】1段ロータでの錠剤の残留を示すロータの展開図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1、
図2は、本発明に係る錠剤払出装置の第1実施形態である錠剤カセット1を示す。錠剤カセット1は、図示しないモータベースに装着され、多数の錠剤を収容し、該錠剤を1錠ずつ半錠に分割して排出する装置である。錠剤カセット1は、錠剤分包機に多数個装着してそれぞれに異なる錠剤を収納し、処方に応じて必要な錠剤を排出するのに使用される。
【0020】
図3に示すように、錠剤カセット1は、基部2と、ロータ駆動部3と、カセット本体4と、蓋体5と、仕切・切断ブロック6と、ロータ7とを備えている。
【0021】
図4に示すように、基部2は、外枠8と、該外枠8の内側に設けられた内枠9とを備えている。内枠9には、ロータ駆動部3が取り付けられた台板10が設けられている。
【0022】
ロータ駆動部3は、台板10に取り付けられた駆動軸固定板11と、該駆動軸固定板11を貫通し、上端に係合凸部12aを有する駆動軸12と、該駆動軸12を駆動軸固定板11に回転可能に支持する軸受13と、駆動軸12の下端に取り付けられたロータギア14とを備えている。駆動軸12の係合凸部12aは、後述するロータ7の係合凹部40(
図10参照)に係合している。ロータギア14は、図示しないモータベースの駆動ギアに噛合して、当該駆動ギアの回転力を駆動軸12に伝達するようになっている。
【0023】
図5に示すように、カセット本体4は、上端が開口して内部に多数の錠剤が収容された矩形の錠剤収容部15と、該錠剤収容部15の下端に連続して設けられた円筒部16と、該円筒部16の下端に連続して設けられた底部17とで形成されている。円筒部16の一部には、切り欠き16aが設けられ、該切り欠き16aには後述する仕切・切断ブロック6が係合するようになっている。底部17にも、切り欠き16aと連続する切り欠き17aが設けられ、該切り欠き17aには、錠剤出口18aが形成された排出板18が係合するようになっている。さらに、底部17と排出板18の間に跨るように、係合孔19a、19bが形成され、該係合孔19a、19bが形成する1つの係合孔19に駆動軸固定板11が係合している。駆動軸固定板11にはカム板29が取り付けられている。円筒部16の内面には、後述する錠剤ポケット34の錠剤が摺動することによる痕跡が残らないように、超高分子量ポリエチレンからなるシート16bが装着されている。
【0024】
図3に戻ると、蓋体5は、カセット本体4の上端にヒンジ5aにより着脱可能に取り付けられ、カセット本体4の開口を開閉可能になっている。
【0025】
図6に示すように、仕切・切断ブロック6は、上側ブロック片20と、中間ブロック片21と、下側ブロック片22と、上側ブロック片20と中間ブロック片21の間に設けられた複数の第1スペーサ23及び仕切部材24と、中間ブロック片21と下側ブロック片22の間に設けられた第2スペーサ25及び切断刃26とを備え、これらは互いに積み重ねられている。上側ブロック片20と、中間ブロック片21と、下側ブロック片22と、第1スペーサ23、第2スペーサ25は、仕切・切断ブロック6の内面6aを形成し、該内面6aはカセット本体4の円筒部16の内周面と一致している。
【0026】
図7に示すように、仕切部材24は、基部24aと円弧状の櫛部24bとを有し、該櫛部24bが内面6aから突出するように設けられている。
【0027】
図8に示すように、切断刃26は、基部26aと、円弧状の刃部26bとを有し、該刃部26bが内面6aから突出するように設けられている。刃部26bは、ロータ回転方向上流側の端縁A1と、ロータ回転方向下流側の端縁A2を有する。刃部26bの刃先26cは、上流側端縁A1より下流側の始端B1と、下流側端縁A2より上流側にある終端B2とを有する。
【0028】
仕切・切断ブロック6は、内面6aがカセット本体4の円筒部16に切り欠き16aを介して円筒部16の内部を臨むとともに、
図11に示すように、仕切部材24の櫛部24bがロータ7の上側周溝32に進入し、切断刃26の刃部26bがロータ7の下側周溝33に、ロータ回転方向に沿って漸次進入するように、台板10に固定されている。
【0029】
ここで、
図8に示すように、カセット本体4の正面中心を正面位置P1、切断刃26のロータ回転方向上流側の端縁A1を保持開始位置P2、切断刃26の刃先26cのロータ回転方向上流側の始端B1を切断開始位置P3、切断刃26の刃先26cのロータ回転方向下流側の終端B2を切断完了位置P4、切断刃26のロータ回転方向上流側にある端縁A2を保持終了位置又は排出開始位置P5、カセット本体4の背面中心を背面位置P6、仕切・切断ブロック6のロータ回転方向下流側の端部を排出完了位置P7とする。背面位置P6には、カセット本体4の排出板18に形成された錠剤出口18aの中心がある。本実施形態では、駆動軸12の軸芯を中心にしてロータ回転方向に、正面位置P1は0度、保持開始位置P2は90度、切断開始位置P3は105度、切断完了位置P4は155度、保持終了位置又は排出開始位置P5は175度、背面位置P6は180度、切断完了位置P7は230度の位置にそれぞれ設定されているが、これらは一例であり、限定されるものではない。
【0030】
図9に示すように、ロータ7は、円筒状の胴部27と、略円錐状のキャップ28と、カム板29と、可動部材30と、支持板31とを備えている。
【0031】
ロータ7の胴部27は、上側胴部27aと、該上側胴部27aより大径の下側胴部27bと、上側胴部27aの内部に形成された支持部27cとを備えている。上側胴部27aと下側胴部27bの間には、内周端から外周端に向かって低くなるように傾斜する傾斜面27dが形成されている。下側胴部27bには、周方向に全周にわたって上側周溝32と下側周溝33が形成されている。下側胴部27bには、周4等配位置に、上端から下端まで切り欠かれることにより、鉛直方向に延びる錠剤案内溝53が形成されている。
【0032】
上側胴部27aの外面は、
図11(a)に示すように、カセット本体4の円筒部16の内面から錠剤Tの厚みより大きい寸法だけ離れている。上側胴部27aの外面と、カセット本体4の内面と、傾斜面27dとで囲まれる空間は、錠剤収容部15の錠剤Tを受け入れる環状空間の錠剤ポケット34(
図11(a)にドットのハッチングで示す)を形成している。上側胴部27aの上端は、内側に向かって上方に傾斜する傾斜面35となっている。
【0033】
図11(b)に示すように、上側胴部27aの高さH1は、錠剤ポケット34の深さを決定する。錠剤ポケット34は、錠剤Tが錠剤案内溝53に入る前に待機する場所であり、できるだけ多くの錠剤が待機できるように、錠剤Tが楕円の場合に横向きの錠剤Tが1~2錠分収容される高さH1を有することが、錠剤の排出率を向上させる点において好ましい。
【0034】
また、
図11(b)に示すように、傾斜面27dは、錠剤ポケット34に進入した錠剤Tがカセット本体4の内面(紙面左側)に向かって寄り掛かるように形成されている。水平面に対する傾斜面27dの角度αが小さいと、錠剤がカセット本体4の内面に向かって寄り掛かりにくくなり、また寄り掛かっても後述するように錠剤とカセット本体4の内面との摩擦による錠剤の制動効果が得られない。逆に、傾斜面27dの角度αが大きいと、錠剤がカセット本体4と傾斜面27dとの間に挟まって、楔効果によりロータ7の回転を妨げる。このため、傾斜面27dの角度αは、50~60°が好ましい。また、上側周溝32から傾斜面27dの内周端までの高さH2は、カセット本体4に収容される錠剤の長さ、すなわち、錠剤案内溝53にある錠剤Tの長手方向の長さLより小さい。
【0035】
上側胴部27aから見れば、下側胴部27bは、上側胴部27aの外周面から外側に突出するブロック部55であると言える。ブロック部55は、上側周溝32を挟んで上方に位置する上ブロック部55aと、下方に位置する下ブロック部55bとから構成されている。本明細書では、下ブロック部55bは単にブロック部55bと言い、上ブロック部55aはポケット部34の錠剤を支持する支持部55aと言うことがある。上ブロック部55a又は支持部55aの上面に傾斜面27dが形成されている。
【0036】
下側胴部27bの上側周溝32より下方の高さH3は、錠剤Tが楕円の場合に縦向きの錠剤Tが1錠分収容される高さを有する。本実施形態では、錠剤が楕円の場合、上側周溝32に進入する仕切部材24の下方の錠剤案内溝53に1錠の錠剤が収容され、仕切部材24の上方の錠剤案内溝53に1錠の錠剤が収容されるが、その上部半分は傾斜面27dより上方にあるため、従来の1段ロータや2段ロータではなく、1.5段ロータであると言える。1.5段ロータは、2段ロータよりもロータ7の高さが低くなり、カセット本体4の錠剤収容量を増加することができる。
【0037】
上側周溝32より下方の錠剤案内溝53には可動部材収容部36が形成されている。可動部材収容部36を形成するロータ回転方向上流側の面は、錠剤案内溝53を形成する固定側面37となっている。固定側37の上部には、上方に向かって錠剤案内溝53の幅が広くなる方向に傾斜するテーパ面37aが形成されている。固定側面37と、可動部材収容部36に収容される後述する可動部材30の可動側面49とが形成する錠剤案内溝53は、カセット本体4の円筒部17と対向して、錠剤排出経路54を形成する。
【0038】
下側胴部27bの下端には、
図10に示すように、支持板31を収容する支持板収容部38が形成され、内周面には、可動部材30の基部44が収容される凹部39が形成されている。
【0039】
支持部27cの下面には、駆動軸12の係合凸部12aが係合する係合凹部40が形成されている。
【0040】
図9に戻ると、ロータ7のキャップ28は、胴部27の上側胴部27aの内側に挿入されている。キャップ28の上面は上側胴部27aの上端の傾斜面35と連続する傾斜面41となっている。キャップ28の傾斜面41とロータ7の上側胴部27aの上端の傾斜面35には、ロータ7の回転に伴って錠剤収容部15に収容した錠剤を攪拌する放射状の段部42が形成されている。
【0041】
カム板29は、円環状の板で、下面には、
図10に示すように、環状のカム溝43が形成されている。カム板29は、下側胴部27bの内側に配置されているが、
図12に示すように、駆動軸固定板11の上に載置されて固定されている。このため、カム板29は、ロータ7とともに回転しない。
【0042】
カム板29のカム溝43は、
図13に示すように、ロータ回転方向に、排出完了位置P7から正面位置P1を経て保持開始位置P2までの半径R1の第1カム溝43aと、切断開始位置P3と切断終了位置P4との間にある半径R2の第2カム溝43bと、背面位置P6と排出完了位置P7の間にある半径R3の第3カム溝43cと、第1カム溝43aと第2カム溝43bを接続する第1遷移溝43dと、第2カム溝43bから排出開始位置P5までの第2遷移溝43eと、排出開始位置P5から第3カム溝43cまでの第3遷移溝43fと、第3カム溝43cと第1カム溝43aを接続する第4遷移溝43gとを有している。第1カム溝43aの半径R1と、第2カム溝43bの半径R2と、第3カム溝43cの半径R3とは、R2<R1<R3の関係を有している。
【0043】
図14に示すように、可動部材30は、ロータ7の軸芯に平行に延びる柱状の基部44と、該基部44の下部から水平に延びるアーム部45と、該アーム部45の側面から基部44に平行に延びる平面視L字形の錠剤案内溝形成部46とを備えている。基部44には、該基部44を貫通する支軸47が設けられている。アーム部45の上面には、カムフォロアとなるピン48が取り付けられている。
【0044】
可動部材30の錠剤案内溝形成部46は、可動側面49と押圧面50を有する。錠剤案内溝形成部46の可動側面49は、ロータ7の下部胴部27bの固定側面37と対向して、錠剤案内溝53の側壁を形成する。錠剤案内溝形成部46の押圧面50は、錠剤案内溝53の底壁を形成する。錠剤案内溝形成部46の可動側面49と押圧面50には、錠剤案内溝53と直交するスリット51が形成され、該スリット51は、ロータ7の下側胴部27bの下側周溝33と同一高さにあって、周方向に連続している。押圧面50は、切断位置となるスリット51から上方及び下方に向かって錠剤案内溝53の深さが深くなる方向に傾斜する傾斜面50a、50bとなっている。可動側面49の上部は、上方に向かって錠剤案内溝53の幅が広くなる方向に傾斜するテーパ面49aが形成されている。
【0045】
図15に示すように、可動部材30は、錠剤案内溝形成部46がロータ7の下側胴部27bの可動部材収容部36に収容され、基部44がロータ7の下側胴部27bの内周面の凹部39に配置され、ピン48がカム板29のカム溝43に係合した状態で、基部44を貫通する支軸47により、カム溝43より外側でロータ7の下側胴部27bの下端に回動可能に取り付けられている。可動部材30の支軸47は、ロータ回転方向下流側に位置し、ピン48及び錠剤案内溝形成部46は、ロータ回転方向上流側に位置する。可動部材30の支軸47が入る支持穴は、ロータ7の下側胴部27bの底面に開口して上方に延びているため、錠剤Tの切断時に発生する粉が支軸47の上端の支持穴に入り込むことがなく、可動部材30の円滑な可動が保証される。可動部材30は、支軸47の上端が支持されて片持ち状態であるが、基部44の下面が支持板31に支持されることで、捻じれや傾きがなく、可動時に安定する。
【0046】
図9に戻ると、支持板31は、円環状で、ロータ7の下側胴部27bの下端の支持板収容部38に設置されてねじで固定され、
図12に示すように、可動部材30の下面を支持するようになっている。
【0047】
以上の構成からなる錠剤カセット1の錠剤案内溝53は、
図15に示すように、ロータ7の回転によりロータ回転方向に移動する。本実施形態では、錠剤案内溝53の位置に関して、正面位置P1から見て右側の排出完了位置P7から正面位置P1を経て左側の保持開始位置P2までの間を「通過位置」、側面の保持開始位置P2から背面の保持終了位置(排出開始位置)P5までを「保持位置」、排出開始位置P5から背面位置P6を経て排出完了位置P7までの間を「排出位置」という。
【0048】
また、錠剤案内溝53の溝幅、すなわち、可動部材30の可動側面49とロータ7の固定側面37とが形成する溝幅に関して、錠剤案内溝53が通過位置にあるときの溝幅をW1、保持位置にあるときの溝幅をW2,排出位置にあるときの溝幅をW3とすると、W2<W1<W3の関係がある。
【0049】
次に、錠剤カセット1の動作について説明する。
【0050】
錠剤払出指令により図示しないモータベースのモータギアが回転すると、ロータギア14を介して駆動軸12が回転し、ロータ7が上方から見て時計回り(下方から見て反時計回り)に回転する。錠剤収容部15に収容された多数の錠剤Tは、ロータ7の回転に伴って攪拌され、
図16に示すように、ロータ7の上側胴部27aとカセット本体4の円筒部16との間の環状の錠剤ポケット34に進入して整列する。
【0051】
ロータ7の上側胴部27aと下側胴部27bの間が、両者に直角な段差で形成されている場合は、錠剤ポケット34に進入した錠剤Tは、当該段差に乗ってロータ7とともに回転する。しかし、本実施形態の場合、
図17に示すように、ロータ7の上側胴部27aと下側胴部27bの間が傾斜面27dで形成されているので、錠剤ポケット34に進入した錠剤Tは、上側胴部27aと下側胴部27bの間の傾斜面27dに当たり、カセット本体4の内面に向かって寄り掛かり、カセット本体4の内面と接触する。この結果、錠剤ポケット34内の錠剤Tとカセット本体4の間の摩擦により、錠剤Tがロータ7の回転方向に移動する速度がロータ7の回転速度よりも遅くなり、ロータ7から見た場合、
図16中1点鎖線の矢印で示すように、錠剤ポケット34内の錠剤Tはロータ7の回転方向の上流側に移動する。これにより、
図18に示すように、錠剤ポケット34の錠剤Tは、ロータ7の錠剤案内溝53とカセット本体4の円筒部16の間の錠剤排出経路54に進入する。
【0052】
図18に示すように、図中右端の錠剤排出経路54に最初に進入した錠剤T1は、カセット本体4の底部17まで落ちる。次に、錠剤排出経路54に進入した錠剤T2は、錠剤T1の上に積み重なる。このようにして、錠剤排出経路54には、2つの錠剤が収容される。
【0053】
上側周溝32から傾斜面27dの内周端までの高さH2は、カセット本体4に収容される錠剤の長さより小さい。このため、錠剤排出経路54に収容された錠剤T1,T2のうち、仕切部材24より上の錠剤T2の上部は、傾斜面27dより高い位置にあり、錠剤ポケット34の錠剤T3を先頭とする整列した錠剤がロータ7の回転方向の上流側に移動してくるのを堰き止める機能を有している。この錠剤T2の堰き止め機能により、錠剤ポケット34から錠剤排出経路54にかけて、錠剤は逆L字状に整列する。
【0054】
錠剤排出経路54にある2つの錠剤T1,T2は、仕切部材24により上下に仕切られ、下側の錠剤T1は可動部材30によって保持されながら、切断刃26によって上下2つに切断されて錠剤出口18aから排出される。この動作については後で詳述する。
【0055】
カセット本体4に収容された錠剤が排出されて残り少なくなった場合、例えば、
図19(a)に示すように、錠剤ポケット34に2錠、錠剤排出経路54に2錠の錠剤が残った場合、錠剤ポケット34の2つの錠剤T3,T4は錠剤排出経路54の上の錠剤T2で堰き止められた状態で、ロータ7と共にロータ7の回転方向(図中左方向)に移動している。そして、錠剤排出経路54が錠剤出口18aに近づいても、錠剤ポケット34の錠剤T3,4は傾斜面27dに乗ったままで、仕切部材24の上方を通過する。このため、従来の残り少なくなった錠剤が仕切部材24に乗ったまま残留することはない。
【0056】
図19(b)に示すように、錠剤排出経路54の2つの錠剤T1.T2が仕切部材24により上下に仕切られると、錠剤排出経路54の下の錠剤T1は切断刃26によって切断され、上の錠剤T2は錠剤ポケット34の錠剤T3,4とともに仕切り板24の上方を通過する。
【0057】
図19(c)に示すように、錠剤排出経路54が錠剤出口18aに来ると、錠剤排出経路54の下の半錠に切断された錠剤T1は錠剤出口18aを通って排出される。
【0058】
図19(d)に示すように、錠剤排出経路54が仕切部材24を過ぎると、錠剤排出経路54の上の錠剤T2は錠剤排出経路54の下方に落ちる。錠剤ポケット34の錠剤T3は、今まで堰の機能を果たしていた錠剤排出経路54の上の錠剤T2が不在になることで、錠剤T4に押されてロータ7の回転方向の上流側に移動し、錠剤排出経路54の上の空いたスペースに落ち込む。
【0059】
図19(e)に示すように、錠剤ポケット34の錠剤T4は1錠に減り、ロータ7の回転方向の上流側に移動して錠剤排出経路54の上に落ち込んだ錠剤T3によって堰き止められる。錠剤排出経路54の錠剤T2,T3は2錠となる。
【0060】
続いて、
図20(a)~(e)に示すように、錠剤ポケット34にT4が1錠、錠剤排出経路54にT2,T3の2錠となった状態で、さらにロータ7が1回転すると、同様の動作により、錠剤ポケット34の錠剤はさらに1錠減ってゼロとなり、錠剤排出経路54の錠剤はT3,T4の2錠となる。錠剤排出経路54に残った2錠の錠剤T3,T4は、ロータ7がさらに2回転することで、すべて排出される。このようにして、カセット本体4には薬剤の残留がなくなり、薬剤を最後の1錠まで確実に排出することができる。
【0061】
次に、錠剤排出経路54における、可動部材30の作用について説明する。
【0062】
図21(a)に示すように、ロータ7の回転によりロータ7の錠剤案内溝53が、排出完了位置P7から正面位置P1を経て保持開始位置P2までの通過位置を移動している間は、可動部材30のピン48が半径R1の第1カム溝43aに係合しているので、可動部材30は回動しない。可動部材30の可動側面49とロータ7の固定側面37とが形成する錠剤案内溝53の溝幅W1は、広く一定に維持される。
【0063】
図21(b)に示すように、ロータ7の錠剤案内溝53が保持開始位置P2にくると、可動部材30のピン48が第1遷移溝43dに係合して、可動部材30が支軸47を中心に回動し、錠剤案内溝形成部46がロータ7の内側に向かって移動する。この結果、可動部30材の可動側面49がロータ7の固定側面37に向かって移動し、可動部材30の可動側面49とロータ7の固定側面37とが形成する溝幅がW2まで徐々に狭くなる。これにより、錠剤案内溝53の錠剤Tは、可動部材30の可動側面49とロータ7の固定側面37とで形成される狭い溝幅に支えられて保持される。また、錠剤案内溝53の錠剤Tとその上の錠剤ポケット34の錠剤T´との間に仕切部材24が進入するので、錠剤案内溝53の錠剤Tは上の錠剤T´で押されることがない。
【0064】
ロータ7の錠剤案内溝53が切断開始位置P3にくると、ロータ7の下側周溝33に切断刃26が進入し、切断終了位置P4に至る間に錠剤案内溝53の錠剤Tは上下に2分割されて切断される。
【0065】
ロータ7の錠剤案内溝53が切断開始位置P3から切断終了位置P4まで移動している間は、可動部材30のピン48が半径R2の第2カム溝43bに係合しているので、可動部材30は回動しない。可動部材30の可動側面49とロータ7の固定側面37とが形成する溝幅W2は、溝幅W1より狭く一定に維持される。
【0066】
ロータ7の錠剤案内溝53が保持位置を過ぎると、可動部材7のピン48が第2遷移溝43eに係合して、可動部材7が支軸47を中心に回動し、錠剤案内溝形成部46がロータ7の外側に向かって移動する。この結果、可動部材7の可動側面49がロータ7の固定側面37から離れるように移動し、可動部材7の可動側面49とロータ7の固定側面37とが形成する溝幅Wが徐々に広くなる。
【0067】
図21(c)に示すように、ロータ7の錠剤案内溝53が排出開始位置P5にくると、可動部材7のピン48が第3遷移溝43fに係合して、可動部材7が支軸47を中心に回動し、錠剤案内溝形成部46がさらにロータ7の外側に向かって移動する。この結果、可動部材30の可動側面49がロータ7の固定側面37から離れるように移動し、可動部材30の可動側面49とロータ7の固定側面37とが形成する溝幅Wがさらに広くなる。また、可動部材30の押出面50がロータ7の径方向外側に向かって移動して、分割された錠剤T1、T2を押し出すようになる。これにより、錠剤案内溝37の切断された錠剤T2、T2は、容易に落下する。
【0068】
錠剤案内溝53で切断された下側の半錠Tは、排出開始位置P5よりも上流側にある錠剤出口18aのロータ回転方向上流側の縁部にくると、錠剤出口18aから落下し、排出される。ロータ7の錠剤案内溝53がさらに移動すると、上側の半錠Tは、切断刃26の端縁A2から外れて錠剤出口18aから落下し、排出される。
【0069】
ロータ7の錠剤案内溝53が排出位置の第3カム溝43cに対応する位置にある間は、可動部材30のピン48が半径R3の第3カム溝43cに係合しているので、可動部材30は回動しない。可動部材30の可動側面49とロータ7の固定側面37とが形成する溝幅W3は、溝幅W1より広く一定に維持される。第3カム溝43cが設けられている位置の上方には、仕切部材24があることで、溝幅が広くなっても、2錠以上の錠剤Tが錠剤案内溝53に入らない。
【0070】
ロータ7の錠剤案内溝53が第3カム溝43に対応する位置を過ぎると、可動部材30のピン48が第4遷移溝43gに係合して、可動部材30が支軸47を中心に回動し、錠剤案内溝形成部46がロータ7の内側に向かって移動する。この結果、可動部材30の可動側面49がロータ7の固定側面37に向かって移動し、可動部材30の可動側面49とロータ7の固定側面37とが形成する溝幅Wが徐々に狭くなる。
【0071】
ロータ7の錠剤案内溝53が排出完了位置P7にくると、可動部材30のピン48が半径R1の第1カム溝43aに係合し、可動部材30の可動側面49とロータ7の固定側面37とが形成する溝幅W1は、一定に維持される。
【0072】
ロータ7の錠剤案内溝53が排出完了位置P7を過ぎると、錠剤案内溝53から仕切部材24が離れるので、排出された錠剤T1、T2の上方の錠剤T´が錠剤案内溝53に落下する。
【0073】
以上の動作がロータ7の回転に伴って繰り返されることで、錠剤案内溝53から錠剤Tが1錠ずつ切断されて半錠T1,T2となって排出される。
【0074】
前記実施形態では、
図11に示すように、錠剤案内溝53の仕切部材24より上方に1錠の錠剤Tを収容しているが、複数の錠剤Tを収容するようにしてもよい。この場合、ロータ7の傾斜面27dの位置は、仕切部材24より上方の一番上の錠剤よりも低い位置にし、仕切部材24より上方の一番上の錠剤の上部が傾斜面27dより高くなって、錠剤ポケット34の錠剤を堰き止めることができるようにする。
【0075】
また、前記実施形態では、錠剤を分割する切断刃26と、錠剤を保持する可動部材30とを有するが、本発明は切断刃26も可動部材30も有しない錠剤カセットにも適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 錠剤カセット
4 カセット本体
7 ロータ
18a 錠剤出口
27a 上側胴部
27b 下側胴部
27d 傾斜面
30 可動部材
32 上側周溝
37 固定側面
46 錠剤案内溝形成部
46a 傾斜面
49 可動側面
53 錠剤案内溝
54 錠剤排出経路
T 錠剤