(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】熱交換器の製造装置、および熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B23P 21/00 20060101AFI20240703BHJP
F28F 9/02 20060101ALI20240703BHJP
F28D 1/053 20060101ALN20240703BHJP
【FI】
B23P21/00 301B
F28F9/02 301Z
F28D1/053 A
(21)【出願番号】P 2022060687
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 貴也
(72)【発明者】
【氏名】太畑 貴綺
(72)【発明者】
【氏名】清水 基史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 孝幸
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-503467(JP,A)
【文献】特開平02-172637(JP,A)
【文献】特開2011-242114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 21/00
F28F 9/02
F28D 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入穴(112,42)を含むヘッダ(21,22,24)と、フィン(16)に設置された伝熱管(13)とを備える熱交換器の製造装置であって、
上記伝熱管(13)のうち上記フィン(16)から突出する突出部(131)を、上記ヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)に挿入する機構を備え、
上記機構は、上記挿入穴(112,42)の延びる方向(V)が傾斜方向(W)に沿うように上記ヘッダ(21,22,24)を支持した状態で、上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入し、
上記傾斜方向(W)は上記突出部(131)の突出方向に対して傾斜した方向であ
り、
上記伝熱管(13)は、扁平管であり、
上記フィン(16)は、上記扁平管が差し込まれるフィン溝部(17)を含み、
上記機構は、上記突出部(131a)の突出方向が水平方向に対して平行になるように上記扁平管の位置を固定した状態で上記ヘッダ(21,22,24)を動かすことで、上記フィン溝部(17)の開口部(17a)側から上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入する、熱交換器の製造装置。
【請求項2】
請求項1
において、
上記機構は、上記突出部(131)を上記ヘッダ(21,22,24)の上記挿入穴(112,42)に挿入する際、上記突出部(131)を上記挿入穴(112,42)の内壁面(a2,a3)に接触させる、熱交換器の製造装置。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2において、
上記機構は、上記傾斜方向(W)側から上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入する、熱交換器の製造装置。
【請求項4】
請求項1
又は請求項2において、
上記機構は、上記突出部(131)の突出方向に対して垂直な方向側から上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入する、熱交換器の製造装置。
【請求項5】
請求項1
又は請求項2において、
上記機構は、上記突出部(131)の突出方向側から上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入する、熱交換器の製造装置。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか1項において、
上記機構は、上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入した後、上記突出部(131)に対して上記ヘッダ(21,22,24)を回転させる、熱交換器の製造装置。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか1項において、
上記伝熱管(13)が複数段設けられ、
上記機構は、上記複数段のうち最も上記傾斜方向(W)側の段に位置する上記伝熱管(13)の上記突出部(131)から上記挿入穴(112,42)に挿入する、熱交換器の製造装置。
【請求項8】
ヘッダ(21,22,24)と、フィン(16)に設置された伝熱管(13)と備える熱交換器の製造方法であって、
上記伝熱管(13)のうち上記フィン(16)から突出する突出部(131)を、上記ヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)に挿入する挿入工程を含み、
上記挿入工程では、上記挿入穴(112,42)の延びる方向(V)が傾斜方向(W)に沿うように上記ヘッダ(21,22,24)を支持した状態で、上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入し、
上記傾斜方向(W)は上記突出部(131)の突出方向に対して傾斜した方向であ
り、
上記伝熱管(13)は、扁平管であり、
上記フィン(16)は、上記扁平管が差し込まれるフィン溝部(17)を含み、
上記挿入工程では、上記突出部(131a)の突出方向が水平方向に対して平行になるように上記扁平管の位置を固定した状態で上記ヘッダ(21,22,24)を動かすことで、上記フィン溝部(17)の開口部(17a)側から上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入する、熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器の製造装置、および熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱交換器が開示されている。特許文献1に記載の熱交換器は、熱交換部と、ヘッダとを備える。熱交換器は、フィンと、フィンに差し込まれる伝熱管とを含む。伝熱管のうちフィンから突出する突出部にはヘッダが装着される。
【0003】
従来、伝熱管の突出部にヘッダを装着する作業が行われる際、伝熱管の突出部が水平方向に沿って突出するように熱交換部が配置された状態で、ヘッダの挿入穴が水平方向に沿って延びつつ突出部と水平方向に対向するようにヘッダを配置した状態から、ヘッダを水平方向に移動させることで、ヘッダの挿入穴に突出部を挿入していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、伝熱管の突出部にヘッダを装着する作業が行われる際、終始、ヘッダを水平方向に移動させ続けることで伝熱管の突出部に対してヘッダからの同一方向(水平方向)の摩擦力がかかり続けるので、当該摩擦力により伝熱管が変形する、フィンに対して伝熱管が水平方向に位置ズレする等の不具合が発生する可能性があった。当該不具合の発生を回避するためには作業者の熟練度等の感覚に頼るような技術を要した。
【0006】
本開示の目的は、伝熱管(13)にヘッダ(21,22,24)を容易に装着できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は熱交換器の製造装置を対象とする。熱交換器は、挿入穴(112,42)を含むヘッダ(21,22,24)と、フィン(16)に設置された伝熱管(13)とを備える。熱交換器の製造装置は、上記伝熱管(13)のうち上記フィン(16)から突出する突出部(131)を、上記ヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)に挿入する機構を備え、上記機構は、上記挿入穴(112,42)の延びる方向(V)が傾斜方向(W)に沿うように上記ヘッダ(21,22,24)を支持した状態で、上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入し、上記傾斜方向(W)は上記突出部(131)の突出方向に対して傾斜した方向である。
【0008】
第1の態様では、伝熱管(13)にヘッダ(21,22,24)を容易に装着できる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、上記伝熱管(13)は、扁平管であり、上記フィン(16)は、上記扁平管が差し込まれるフィン溝部(17)を含み、上記機構は、上記フィン溝部(17)の開口部(17a)側から上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入する。
【0010】
第2の態様では、扁平管にヘッダ(21,22,24)を容易に装着できる。
【0011】
第3の態様は、第1または第2の態様において、上記機構は、上記突出部(131)を上記ヘッダ(21,22,24)の上記挿入穴(112,42)に挿入する際、上記突出部(131)を上記挿入穴(112,42)の内壁面(a2,a3)に接触させる。
【0012】
第3の態様では、突出部(131)を挿入穴(112,42)に挿入する際に、伝熱管(13)に対して作用する突出方向の摩擦力を効果的に低減できる。
【0013】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、上記機構は、上記傾斜方向(W)側から上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入する。
【0014】
第4の態様では、挿入穴(112,42)の延びる方向(V)が傾斜方向(W)に沿うようにヘッダ(21,22,24)を傾けた状態で、挿入穴(112,42)に突出部(131)を挿入できる。
【0015】
第5の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、上記機構は、上記突出部(131)の突出方向に対して垂直な方向側から上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入する。
【0016】
第5の態様では、挿入穴(112,42)の延びる方向(V)が傾斜方向(W)に沿うようにヘッダ(21,22,24)を傾けた状態で、挿入穴(112,42)に突出部(131)を挿入できる。
【0017】
第6の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、上記機構は、上記突出部(131)の突出方向側から上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入する。
【0018】
第6の態様では、挿入穴(112,42)の延びる方向(V)が傾斜方向(W)に沿うようにヘッダ(21,22,24)を傾けた状態で、挿入穴(112,42)に突出部(131)を挿入できる。
【0019】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、上記機構は、上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入した後、上記突出部(131)に対して上記ヘッダ(21,22,24)を回転させる。
【0020】
第7の態様では、挿入穴(112,42)に突出部(131)を挿入した後、突出部(131)に対してヘッダ(21,22,24)を回転させることで、ヘッダ(21,22,24)の姿勢を整えることができる。
【0021】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、上記伝熱管(13)が複数段設けられ、上記機構は、上記複数段のうち最も上記傾斜方向(W)側の段に位置する上記伝熱管(13)の上記突出部(131)から上記挿入穴(112,42)に挿入する。
【0022】
第8の態様では、複数段の伝熱管(13)にヘッダ(21,22,24)を容易に装着できる。
【0023】
第9の態様は、熱交換器の製造方法を対象とする。熱交換器は、ヘッダ(21,22,24)と、フィン(16)に設置された伝熱管(13)とを備える。熱交換器の製造方法は、上記伝熱管(13)のうち上記フィン(16)から突出する突出部(131)を、上記ヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)に挿入する挿入工程を含み、上記挿入工程では、上記挿入穴(112,42)の延びる方向(V)が傾斜方向(W)に沿うように上記ヘッダ(21,22,24)を支持した状態で、上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)を挿入し、上記傾斜方向(W)は上記突出部(131)の突出方向に対して傾斜した方向である。
【0024】
第9の態様では、伝熱管(13)にヘッダ(21,22,24)を容易に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施形態に係る熱交換器の斜視図である。
【
図6】
図6は、熱交換器の製造装置の側面図である。
【
図7】
図7は、熱交換器の製造装置の正面図である。
【
図8】
図8は、熱交換器の製造装置の平面図である。
【
図9】
図9は、熱交換器の製造装置の斜視図である。
【
図10】
図10は、熱交換器の製造装置によりヘッダが保持されている状態を示す側面図である。
【
図11】
図11は、熱交換器の製造装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、熱交換部にヘッダを装着する手順を示す端面図である。
【
図13】
図13は、熱交換部にヘッダを装着する手順を示す端面図である。
【
図14】
図14は、熱交換部にヘッダを装着する手順を示す端面図である。
【
図15】
図15(a)~
図15(c)は、熱交換部にヘッダを装着する手順を示す斜視図である。
【
図16】
図16(a)~
図16(c)は、複数段の熱交換部に複数段のヘッダを装着する手順を示す斜視図である。
【
図17】
図17(a)~
図17(c)は、熱交換部にヘッダを装着する手順の第1変形例を示す端面図である。
【
図18】
図18(a)~
図18(c)は、熱交換部にヘッダを装着する手順の第2変形例を示す端面図である。
【
図19】
図19(a)~
図19(b)は、熱交換部にヘッダを装着する手順の第3変形例を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0027】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
<熱交換器の構成>
図1は、熱交換器(100)の斜視図である。
図2は、熱交換部(10)の斜視図である。
【0029】
熱交換器(100)は、例えば、空気調和機の室内機または室外機に設けられる。熱交換器は、空気を冷却源または加熱源として、冷媒の凝縮や蒸発を行う機器であり、例えば、蒸気圧縮式の冷凍装置の冷媒回路の構成要素である。冷媒回路を循環する冷媒としては、例えば、二酸化炭素冷媒を使用する。
【0030】
図1に示すように、熱交換器(100)は、室外空気と冷媒との熱交換を行う熱交換部(10)と、熱交換部(10)の他端側(
図1に示す熱交換器(100)の右端側)に設けられた冷媒分流器(20)、ヘッダ(21)と、ヘッダ(22)と、熱交換部(10)の一端側(
図1に示す熱交換器(100)の左前端側)に設けられたヘッダ(24)とを有する。熱交換器(100)において、冷媒分流器(20)、ヘッダ(21)、ヘッダ(22)、ヘッダ(24)および熱交換部(10)は、例えば、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、各部の接合は、例えば、炉中ロウ付け等のロウ付けによって行われる。
【0031】
熱交換部(10)は、熱交換器(100)の風上側の部分を構成する第1熱交換部(11)と、熱交換器(100)の風下側の部分を構成する第2熱交換部(12)とを有し、室外ファン(図示省略)の駆動によって発生する室外空気の通過方向(管列方向)に隣り合うように多列(例えば、2列)の熱交換部(11)、(12)が配置される。第1熱交換部(11)は、熱交換器(100)の上部を構成する第1メイン熱交換部(11a)と、熱交換器(100)の下部を構成する第1サブ熱交換部(11b)とを有する。また、第2熱交換部(12)は、熱交換器(100)の上部を構成する第2メイン熱交換部(12a)と、熱交換器(100)の下部を構成する第2サブ熱交換部(12b)とを有する。
【0032】
図2に示すように、熱交換部(10)は、例えば扁平管からなる複数の伝熱管(13)と、例えば差込フィンからなる複数のフィン(16)とから構成される。
【0033】
伝熱管(13)は、例えばアルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、伝熱面となる扁平面(14)と、冷媒が流れる多数の小さい内部流路(15)とを有する扁平多穴管である。複数の伝熱管(13)は、扁平面(14)が対向した状態で間隔を空けて並んでいる。複数の伝熱管(13)は、扁平面(14)に対して垂直な方向に沿って千鳥状に隣り合うように多列(例えば、2列)に配置される。各伝熱管(13)の長手方向の一端部(
図1の熱交換部(10)の左前端部)はヘッダ(24)に接続され、各伝熱管(13)の他端部(
図1の熱交換部(10)の右端部)はヘッダ(21)およびヘッダ(22)に接続される。
【0034】
フィン(16)は、例えばアルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、伝熱管(13)の長手方向に沿って間隔を空けて複数配置される。フィン(16)には、複数のフィン溝部(17)が形成される。複数のフィン溝部(17)は、フィン(16)の長手方向に沿って並んでいる。フィン溝部(17)に伝熱管(13)が差し込まれる。
【0035】
図1に示すように、冷媒分流器(20)は、液冷媒管(31)とヘッダ(21)の下部との間に接続される。冷媒分流器(20)は、例えば、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の部材である。冷媒分流器(20)は、液冷媒管(31)を通じて流入する冷媒を分流してヘッダ(21)の下部に導く、或いは、ヘッダ(21)の下部を通じて流入する冷媒を合流して液冷媒管(31)に導くように構成される。
【0036】
図1および
図2に示すように、ヘッダ(21)は、熱交換部(10)のうち第1熱交換部(11)の他端側(右端側)に設けられる。ヘッダ(21)には、第1熱交換部(11)を構成する伝熱管(13)(扁平管)の長手方向の他端部(右端部)が接続される。ヘッダ(21)は、例えばアルミニウム製またはアルミニウム合金製の部材である。ヘッダ(21)の上部には、ガス冷媒管(32)が接続されており、第1メイン熱交換部(11a)とガス冷媒管(32)との間で冷媒のやりとりが可能である。ヘッダ(21)の下部には、冷媒分流器(20)が接続されており、第1サブ熱交換部(11b)と冷媒分流器(20)との間で冷媒のやりとりが可能である。
【0037】
ヘッダ(22)は、熱交換部(10)のうち第2熱交換部(12)の他端側(右端側)に設けられる。ヘッダ(22)には、第2熱交換部(12)を構成する伝熱管(13)の他端部(右端部)が接続される。ヘッダ(22)は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された部材である。ヘッダ(22)によって、第2メイン熱交換部(12a)と第2サブ熱交換部(12b)との間での冷媒のやりとりが可能になる。
【0038】
図3は、ヘッダ(21,22)の斜視図である。
図3に示すように、ヘッダ(21,22)は、筐体(111)を含む。筐体(111)は中空の部材であるヘッダ(21,22)は、複数の挿入穴(112)を含む。複数の挿入穴(112)は、筐体(111)に形成される。複数の挿入穴(112)は、一列に並んでいる。挿入穴(112)は、筐体(111)の内部と筐体(111)の外部とを連通する。
【0039】
図1に示すように、ヘッダ(24)は、熱交換部(10)の一端側(左前端側)に設けられる。ヘッダ(24)には、熱交換部(10)を構成する伝熱管(13)の一端部(左前端部)が接続される。ヘッダ(24)は、例えばアルミニウム製またはアルミニウム合金製の部材である。ヘッダ(24)には、第1熱交換部(11)を構成する伝熱管(13)の一端部(左前端部)と、第2熱交換部(12)を構成する伝熱管(13)の一端部(左前端部)とを連通させるための連結路が形成される。これにより、隣り合う伝熱管(13)の一端部(左前端部)同士が連通する。ヘッダ(24)によって、第1熱交換部(11)と第2熱交換部(12)との間で冷媒のやりとりが可能となる。
【0040】
図4は、ヘッダ(24)の斜視図である。
図4に示すように、ヘッダ(24)は、ヘッダ(24)は、筐体(41)を含む。筐体(41)は中空の部材である。ヘッダ(24)は、複数の挿入穴(42)を含む。複数の挿入穴(42)は、筐体(41)に形成される。複数の挿入穴(42)は、千鳥状に二列に並んでいる。本実施形態では、複数の挿入穴(42)は、一段目に設けられる挿入穴(42a)と、2段目に設けられる挿入穴(42b)とで構成される。入穴(42)は、筐体(41)の内部と筐体(41)の外部とを連通する。
【0041】
以上の構成を有する熱交換器(100)が冷媒の蒸発器として機能する場合、
図1の冷媒
の流れを示す矢印のように、液冷媒管(31)から流入する冷媒が、冷媒分流器(20)およびヘッダ(21)の下部を通じて、第1サブ熱交換部(11b)に導かれる。第1サブ熱交換部(11b)を通過した冷媒は、ヘッダ(24)の下部を通じて、第2サブ熱交換部(12b)に導かれる。第2サブ熱交換部(12b)を通過した冷媒は、ヘッダ(22)を通じて、第2メイン熱交換部(12a)に導かれる。第2メイン熱交換部(12a)を通過した冷媒は、ヘッダ(24)の上部を通じて、第1メイン熱交換部(11a)に導かれる。第1メイン熱交換部(11a)を通過した冷媒は、ヘッダ(21)の上部を通じて、ガス冷媒管(32)に流出される。このような冷媒の流れの過程で、室外空気との熱交換によって冷媒が蒸発する。
【0042】
また、熱交換器(100)が冷媒の放熱器として機能する場合、
図1の冷媒の流れを示す矢印のように、ガス冷媒管(32)から流入する冷媒が、ヘッダ(21)の上部を通じて、第1メイン熱交換部(11a)に導かれる。第1メイン熱交換部(11a)を通過した冷媒は、ヘッダ(24)の上部を通じて、第2メイン熱交換部(12a)に導かれる。第2メイン熱交換部(12a)を通過した冷媒は、ヘッダ(22)を通じて、第2サブ熱交換部(12b)に導かれる。第2サブ熱交換部(12b)を通過した冷媒は、ヘッダ(24)の下部を通じて、第1サブ熱交換部(11b)に導かれる。第1サブ熱交換部(11b)を通過した冷媒は、ヘッダ(21)の下部および冷媒分流器(20)を通じて、液冷媒管(31)に流出される。このような冷媒の流れの過程で、室外空気との熱交換によって冷媒が放熱する。
【0043】
なお、本実施形態では、熱交換部(10)は、第1熱交換部(11)と第2熱交換部(12)とを含む2段の熱交換部で構成されるが、一段の熱交換部で構成されていてもよく、または、3段以上の熱交換部で構成されていてもよい。
【0044】
<熱交換部>
図5は、熱交換部(10)の一部の斜視図である。
図5において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、互いに垂直な方向である。
【0045】
図5に示すように、複数のフィン(16)の各々は、フィン(16)の長手方向がX軸方向と平行になるように配置される。複数の伝熱管(13)の各々は、伝熱管(13)の長手方向がZ軸方向と平行になるように配置される。
【0046】
複数のフィン(16)がZ軸方向に沿って並んでおり、複数の伝熱管(13)がX軸方向に沿って並んでいる。複数の伝熱管(13)の各々は、複数のフィン(16)をZ軸方向に横切るように配置される。複数の伝熱管(13)の各々は、横切るフィン(16)のフィン溝部(17)に差し込まれる。
【0047】
フィン溝部(17)は、フィン(16)のうちY軸方向の他方向側(Y2)に向かって凹む部分の内側に位置する空所である。フィン溝部(17)は、開口部(17a)を含む。開口部(17a)は、フィン溝部(17)の内部と外部とを連通し、フィン溝部(17)のうちY軸方向の一方向側(Y1)に位置する。フィン溝部(17)のうちY軸方向の他方向側(Y2)は、閉塞されており、フィン溝部(17)の底部を構成する。フィン溝部(17)に対しては、フィン(16)が開口部(17a)を通じて差し込まれる。
【0048】
複数の伝熱管(13)の各々は、突出部(131)を含む。突出部(131)は、伝熱管(13)のうちヘッダ(21)の挿入穴(112)(
図3参照)に挿入される部分である。本実施形態では、突出部(131)は、最もZ軸方向の一方向側(Z1)に位置するフィン(16,16a)から、Z軸方向の一方向側(Z1)に突出する部分である。
【0049】
<熱交換器の製造装置>
図6~
図11を参照して、熱交換器(100)の製造装置(200)について説明する。熱交換器(100)の製造装置(200)は、熱交換部(10)にヘッダ(21,22,24)を装着する処理を行う装置である。
【0050】
図6~
図9に示すように、熱交換器の製造装置(200)は、第1台(201)と、第2台(202)と、第3台(203)と、第4台(204)とを備える。
【0051】
第1台(201)には、第2台(202)がY軸方向(上下方向)に沿って移動可能に支持される。第1台(201)はY軸方向に沿って延びる形状を有する。第1台(201)におけるZ軸方向の他方向側(Z2)には、第2台(202)がY軸方向に沿って移動可能に設置される。
【0052】
第2台(202)には、第3台(203)がZ軸方向(前後方向)に沿って移動可能に支持される。第2台(202)は、X軸方向から見て略L字形状に屈曲した形状を有する。第2台(202)はX軸方向およびZ軸方向に対して平行な板面を有し、第2台(202)の当該板面上には第3台(203)がZ軸方向に沿って移動可能に設置される。
【0053】
第3台(203)には、第1回転軸(205)と、一対の第2回転軸(206)とが回転可能に設置される。第1回転軸(205)は、X軸方向(左右方向)に沿って延びる軸芯(205a)を有し、軸芯(205a)を中心にX軸回りに回転する。第1回転軸(205)には、第1回転軸(205)に対して第1回転軸(205)を回転させるだめの動力を付与する第1駆動源(207)が接続される。第1駆動源(207)は、例えば、モータを含む。
【0054】
一対の第2回転軸(206)の各々は、X軸方向(左右方向)に沿って延びる軸芯(206a)を有し、軸芯(206a)を中心に回転する。一対の第2回転軸(206)は、X軸方向に沿って互いに間隔を空けて配置される。一対の第2回転軸(206)は、第1回転軸(205)に対してZ軸方向の他方向側(Z2)に配置される。
【0055】
第1回転軸(205)と一対の第2回転軸(206)とには、ベルト(208)が巻かれる。第1駆動源(207)の動力により第1回転軸(205)が軸芯(205a)を中心に回転することで、ベルト(208)が回転し、ベルト(208)の回転に伴って一対の第2回転軸(206)が軸芯(206a)を中心に回転する。
【0056】
図9および
図10に示すように、第3台(203)はX軸およびZ軸に対して平行な板面を有し、第3台(203)の当該板面に対してZ軸方向の一方向側(Z1)には第4台(204)が配置される。第4台(204)には、一対の第2回転軸(206)が固定される。一対の第2回転軸(206)のうちの一つが第4台(204)におけるX軸方向の一方向側に固定され、一対の第2回転軸(206)のうちの他の一つが第4台(204)におけるX軸方向の他方向側に固定される。第4台(204)は、一対の第2回転軸(206)とともに回転する。
【0057】
第4台(204)には、挿入台(209)が設けられる。挿入台(209)は、ヘッダ(21)の形状に合わせて凹んだ形状の凹部(209a)を有する。凹部(209a)の開口(b1)と、ヘッダ(21)の開口(a1)とが同じ方向(Z軸方向の他方向側(Z2))を向くようにして、凹部(209a)にヘッダ(21)が挿入される。
【0058】
凹部(209a)にヘッダ(21)が挿入された状態で、第1駆動源(207)により第1回転軸(205)を回転させることで、第1回転軸(205)とともに第2回転軸(206)、第4台(204)、および挿入台(209)を回転させることができる。その結果、挿入台(209)の凹部(209a)内のヘッダ(21)を回転させて、例えば、
図15(a)に示すようにヘッダ(21)を傾斜させることができる。
【0059】
第4台(204)には、例えば、
図15(a)に示すようにヘッダ(21)を傾斜させたときにヘッダ(21)が挿入台(209)の凹部(209a)から出ていくことを防止するためのヘッダ支持部材(210)が設けられる。ヘッダ支持部材(210)は、シリンダ(211)と、押さえ部材(212)とを含む。シリンダ(211)は、ベース(211a)と、ピストン(211b)とを含む。ベース(211a)は、挿入台(209)に固定される。ピストン(211b)は、所定方向(G)に沿って移動可能となるように、ベース(211a)により支持される。所定方向(G)は、凹部(209a)の開口(b1)から底部(b2)に沿って延びる方向である。押さえ部材(212)は、ピストン(211b)に固定され、ピストン(211b)とともに所定方向(G)に沿って移動する。
【0060】
凹部(209a)にヘッダ(21)が挿入された状態で、シリンダ(211)は、ピストン(211b)の所定方向(G)の移動量を調整することで、ヘッダ(21)に対して押さえ部材(212)が凹部(209a)の開口(b1)の外側から対向するように、押さえ部材(212)を配置する。その結果、
図9に示すように、ヘッダ(21)が、押さえ部材(212)により凹部(209a)の外側から押さえられた状態となるので、
図15(a)に示すようにヘッダ(21)を傾斜させたときでも、ヘッダ(21)が挿入台(209)の凹部(209a)から出ていくことが防止され、ヘッダ(21)が凹部(209a)に挿入されている状態が保持される。なお、押さえ部材(212)は、ヘッダ(21)のうち隣り合う挿入穴(112)の間に位置する個所を抑えることで、ヘッダ(21)の挿入穴(112)を塞ぐことを回避している。
【0061】
図11に示すように、熱交換器の製造装置(200)は、第2駆動源(213)と、第3駆動源(214)と、記憶部(215)と、制御部(216)とを含む。第2駆動源(213)は、第2台(202)をY軸方向に沿って移動させる。第2駆動源(213)は、例えば、ロボシリンダを含む。第3駆動源(214)は、第3台(203)をZ軸方向に沿って移動させる。第3駆動源(214)は、例えば、ロボシリンダを含む。記憶部(215)は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリー)を含み、補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)をさらに含んでもよい。主記憶装置及び/又は補助記憶装置は、制御部(216)によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。制御部(216)は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部(216)は、記憶部(215)に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、熱交換器の製造装置(200)の各種構成要素(第1駆動源(207)、第2駆動源(213)、第3駆動源(214)等)を制御する。上記したヘッダ(21)を支持する部材(挿入台(209)およびヘッダ支持部材(210))と、ヘッダ(21)をX軸回りに回転させる第1駆動源(207)と、ヘッダ(21)をY軸方向に沿って移動させる第2駆動源(213)と、ヘッダ(21)をZ軸方向に沿って移動させる第3駆動源(214)と、第1駆動源(207)~第3駆動源(214)を制御する制御部(216)とは、本発明の機構の一例である。ヘッダ(22,24)についても、ヘッダ(21)と同様に、挿入台(209)およびヘッダ支持部材(210)により支持された状態で、制御部(216)が、第1駆動源(207)によりX軸回りに回転させ、第2駆動源(213)によりY軸方向に沿って移動させ、かつ、第3駆動源(214)によりZ軸方向に沿って移動させることができる。
【0062】
<熱交換部にヘッダを装着する手順の第1例>
熱交換器の製造装置(200)が、熱交換部(10)にヘッダ(21)を装着する手順の第1例について説明する。
【0063】
図3および
図5に示すように、ヘッダ(21)の複数の挿入穴(112)は、それぞれ、複数の突出部(131)と対応する。複数の挿入穴(112)に対して対応する突出部(131)が挿入されることで、熱交換部(10)にヘッダ(21)が装着される。
【0064】
挿入穴(112a)に突出部(131a)が挿入される手順について説明する。挿入穴(112a)は、ヘッダ(21)の複数の挿入穴(112)のうちのいずれかを示す。突出部(131a)は、複数の突出部(131)のうち挿入穴(112a)と対応する突出部(131)を示す。
【0065】
なお、
図15(a)~
図16(c)において、フィン(16)を示す四角柱は、複数のフィン(16)が並んで配置されている状態を簡素化して図示したものである。
【0066】
図12および
図15(a)に示すように、フィン溝部(17)の開口部(17a)が上方向を向き、突出部(131a)の突出方向が水平方向に対して平行になるようにして、熱交換部(10)が配置される。言い換えれば、Y軸方向の一方向側(Y1)が上方向となり、Z軸方向の一方向側(Z1)が突出部(131a)の突出方向となるようにして熱交換部(10)が配置される。突出部(131a)は、ヘッダ(21)の挿入穴(112)に挿入される際にヘッダ(21)からの圧力を受けて位置ズレすることが防止されるように、フィン押さえ(不図示)等を用いて位置固定される。
【0067】
図12、
図13、
図15(a)および
図15(b)に示すように、次に、制御部(216)は、第2駆動源(213)および第3駆動源(214)を制御して、突出部(131a)に対して傾斜方向(W)側にヘッダ(21)を配置し、傾斜方向(W)側から挿入穴(112a)に突出部(131a)を挿入する。傾斜方向(W)は、突出部(131a)の突出方向(Z1)に対して傾斜した方向であり、突出方向(Z1)に対する傾斜角度(θ)が鋭角となる方向である。本実施形態では、傾斜方向(W)は、突出方(Z1)向に対してY軸方向の一方向側(Y1)(上方側)へ傾斜した方向である。
【0068】
本実施形態では、フィン溝部(17)の開口部(17a)が上方向を向くようにフィン(16)が配置される。これにより、傾斜方向(W)側(上方向側)から挿入穴(112a)に突出部(131a)が挿入される際に、フィン溝部(17)の開口部(17a)側から挿入穴(112a)に突出部(131a)が挿入される状態となる。
【0069】
制御部(216)は、突出部(131a)に対して傾斜方向(W)側にヘッダ(21)を配置した状態から、第1駆動源(207)を制御して、挿入穴(112a)の延びる方向(V)が傾斜方向(W)に沿うようにヘッダ(21)の回転角度を調整した後、第2駆動源(213)および第3駆動源(214)を制御して、傾斜方向(W)に沿ってヘッダ(21)が移動されることで、ヘッダ(21)を突出部(131a)に近接させる。これにより、挿入穴(112a)の開口(a1)を通じて、挿入穴(112a)に突出部(131a)が挿入される。
【0070】
挿入穴(112a)の延びる方向(V)は、挿入穴(112a)の開口(a1)から挿入穴(112a)の底側に向かう方向を示す。また、本実施形態では、ヘッダ(21)が傾斜方向(W)に沿って移動することは、ヘッダ(21)が傾斜方向(W)に対して反対方向に移動することを示す。
【0071】
本実施形態では、突出部(131a)の角部(131b)が挿入穴(112a)の第1内壁面(a2)に接触するまで、ヘッダ(21)が傾斜方向(W)に沿って移動される。
【0072】
図13、
図14、
図15(b)および
図15(c)に示すように、突出部(131a)が挿入穴(112a)の第1内壁面(a2)に接触すると、制御部(216)は、第1駆動源(207)を制御して、突出部(131a)に対してヘッダ(21)を回転させる。この場合、挿入穴(112a)の延びる方向(V)が突出部(131a)の突出方向(本実施形態では、水平方向)に対して平行な状態になるまで、ヘッダ(21)が回転される。すなわち、突出方向(Z1)に対する傾斜方向(W)の傾斜角度(θ)が0度となるように、ヘッダ(21)が回転される。これにより、突出部(131a)の大部分が挿入穴(112a)に挿入されることで突出部(131a)にヘッダ(21)が装着される。
【0073】
ヘッダ(22)についてもヘッダ(21)と同様の手順で熱交換部(10)に装着される。
【0074】
<熱交換部にヘッダを装着する手順の第2例>
熱交換部(10)にヘッダ(24)を装着する手順の第2例について説明する。
【0075】
図4および
図16(a)~
図16(c)に示すように、制御部(216)は、第2駆動源(213)および第3駆動源(214)を制御して、突出部(131)の突出方向に対して傾斜した方向側からヘッダ(24)を移動させることで、ヘッダ(24)の一段目の複数の挿入穴(42,42a)の各々に対して、複数の突出部(131)のうちの一段目の突出部(131,131c)を挿入した後、第1駆動源(207)を制御して、ヘッダ(21)を回転させることで、ヘッダ(24)の2段目の複数の挿入穴(42,42b)の各々に対しも、複数の突出部(131)のうちの二段目の突出部(131,131d)を挿入する。その結果、熱交換部(10)にヘッダ(21)が装着される。
【0076】
<効果>
以上、挿入穴(112,42)の延びる方向(V)が傾斜方向(W)に沿うように、ヘッダ(21)が支持された状態で、挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入される。これにより、伝熱管(13)の突出部(131)に対してヘッダ(21)を傾けた状態で挿入するので、伝熱管(13)の突出部(131)がヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)を摺動することで伝熱管(13)の突出部(131)に作用するヘッダ(21,22,24)からの水平方向の摩擦力を低減できる。これにより、当該摩擦力により伝熱管(13)が変形する、フィン(16)に対して伝熱管(13)が水平方向に位置ズレする等の不具合が発生することを抑制できる。その結果、伝熱管(13)にヘッダ(21,22,24)を容易に装着できる。また、突出部(131)の突出方向に対して傾斜した傾斜方向(W)側から上記挿入穴(112,42)に上記突出部(131)が挿入される。これにより、突出部(131)を挿入穴(112,42)に挿入する際に、挿入穴(112,42)に突出部(131)を斜めから挿入できるので、伝熱管(13)に作用する突出方向の摩擦力を効果的に低減できる。
【0077】
また、フィン溝部(17)の開口部(17a)側から挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入される。これにより、傾斜方向(W)側からヘッダ(21,22,24)を移動させて、ヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)に突出部(131)を挿入する際に、フィン溝部(17)に伝熱管(13)を押し込む方向側(下方向側)にヘッダ(21,22,24)を移動させることができる。その結果、ヘッダ(21,22,24)により伝熱管(13)をフィン溝部(17)の奥側へ押さえることができるので、フィン溝部(17)の開口部(17a)から伝熱管(13)が外れることを抑制できる。
【0078】
また、突出部(131)をヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)に挿入する際、突出部(131)の角部(131b)を挿入穴(112a)の第1内壁面(a2)に接触させる(
図13参照)。これにより、突出部(131)を挿入穴(112,42)に挿入する際に、ヘッダ(21,22,24)を水平方向(突出部(131)の突出方向)に沿って移動させる距離を効果的に減らすことができる。その結果、上記突出方向(水平方向)の摩擦力を効果的に低減できる。
【0079】
また、傾斜方向(W)に沿ってヘッダ(21,22,24)を移動させることで挿入穴(112,42)に突出部(131)を挿入した後、突出部(131)に対してヘッダ(21,22,24)を回転させる。これにより、挿入穴(112,42)に突出部(131)を挿入した後、突出部(131)に対してヘッダ(21,22,24)を回転させることで、ヘッダ(21,22,24)の姿勢を熱交換部(10)に装着されるときの姿勢に整えることができる。
【0080】
なお、熱交換部(10)にヘッダ(21,22,24)を装着する動作は、熱交換器の製造装置(200)によって行われるが、作業者の手作業で行われてもよい。
【0081】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう(例えば、下記(1)~(6))。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0082】
<第1変形例>
(1)
図12から
図14に示すように、本実施形態では、傾斜方向(W)側から挿入穴(112a)に突出部(131a)が挿入される際、突出部(131a)が挿入穴(112)の第1内壁面(a2)に接触してから、突出部(131a)に対してヘッダ(21,22)が回転される。しかし、本発明はこれに限定されない。熱交換部(10)にヘッダ(21,22)を装着する手順の第1変形例について説明する。
図17(a)および
図17(b)に示すように、傾斜方向(W)側から挿入穴(112a)に突出部(131a)が挿入される際、突出部(131a)が挿入穴(112a)に挿入された後、突出部(131a)が挿入穴(112 a)の内壁面に非接触の状態で、突出部(131a)に対してヘッダ(21,22)が回転されてもよい。すなわち、傾斜方向(W)側から挿入穴(112a)に突出部(131a)が挿入される際、突出部(131a)が挿入穴(112a)の第1内壁面(a2)に接触するよりも前に突出部(131a)に対してヘッダ(21,22)が回転されてもよい。
図17(b)および
図17(c)に示すように、ヘッダ(21,22)が回転された後、ヘッダ(21,22)がZ軸方向の他方向側(Z2)へ移動されることで、熱交換部(10)にヘッダ(21,22)が装着される。なお、ヘッダ(24)についても、突出部(131)の突出方向に対して傾斜した方向側から、ヘッダ(24)の挿入穴(42)に突出部(131)が挿入されて、挿入穴(42)の第1内壁面(a2)に突出部(131)が接触するとヘッダ(24)が回転されてもよく、または、挿入穴(42)の内壁面に突出部(131)が非接触の状態でヘッダ(24)が回転されてもよい。
【0083】
(2)本実施形態では、伝熱管(13)は、扁平管である。しかし、本発明はこれに限定されない。伝熱管(13)は、フィン(16)を挿通するように設置される円管状の伝熱管であってもよい。
【0084】
(3)
図5および、
図12~
図16(c)において、複数の突出部(131)のうちの一つの突出部(131)が他の一つの突出部(131)と連結される構造を有していてもよい。
【0085】
(4)
図5および、
図12~
図16(c)に示すように、本実施形態では、突出部(131)の突出方向に対してY軸の一方向側(Y1)(上方向側)から、ヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入される。しかし、本発明はこれに限定されない。突出部(131)の突出方向に対してY軸の他方向側(Y2)(下方向側)から、ヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入されてもよい。
【0086】
(5)熱交換部(10)において、伝熱管(13)(扁平管)が、一対のフィン(16)の間に配置され、伝熱管(13)の一側が一方のフィン(16)のフィン溝部(17)に差し込まれ、伝熱管(13)の他側が他方のフィン(16)のフィン溝部(17)に差し込まれる構造を有していてもよい(両差込マイクロ)。
【0087】
(6)
図12に示すように、本実施形態では、ヘッダ(21,22,24)が傾斜姿勢に支持された状態で、ヘッダ(21,22,24)が傾斜方向(W)の反対方向(
図12において左下方向)へ移動されることで、挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入される。傾斜姿勢は、挿入穴(112,42)の延びる方向(V)が傾斜方向(W)に沿うようにヘッダ(21,22,24)が傾いた姿勢である。ヘッダ(21,22,24)の姿勢が傾斜姿勢のとき、ヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)の開口(a1)が傾斜方向(W)の反対方向を向くようにヘッダ(21,22,24)が配置される。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0088】
<第2変形例>
熱交換部(10)にヘッダ(21,22,24)を装着する手順の第2変形例について説明する。第2変形例では、突出部(131)の突出方向に対して垂直な方向側(Y軸方向の一方向側(Y1))から挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入される。
図18(a)に示すように、突出部(131)に対してY軸方向の一方向側(Y1)(
図18(a)において上方向)にヘッダ(21,22,24)が配置される。そして、ヘッダ(21,22,24)が傾斜姿勢に支持された状態で、ヘッダ(21,22,24)がY軸方向の他方向側(Y2)(
図18(a)において下方向)へ移動されることで、挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入されてもよい。ヘッダ(21,22,24)がY軸方向の他方向側(Y2)へ移動されることは、言い換えれば、突出部(131)の突出方向に対して垂直な方向に沿って、ヘッダ(21,22,24)が移動されることを示す。ヘッダ(21,22,24)がY軸方向の他方向側(Y2)(下方向)へ移動されることで、挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入されると、突出部(131)が挿入穴(112,42)の第2内壁面(a3)に接触する。第2内壁面(a3)は、挿入穴(112,42)の開口(a1)側の壁面である。
図18(a)~
図18(c)に示すように、突出部(131)が挿入穴(112,42)の第2内壁面(a3)に接触すると、突出部(131)に対してヘッダ(21,22,24)が回転され、ヘッダ(21,22,24)がZ軸方向の他方向側(Z2)へ移動されることで、熱交換部(10)にヘッダ(21,22,24)が装着される。
【0089】
<第3変形例>
熱交換部(10)にヘッダ(21,22,24)を装着する手順の第3変形例について説明する。第3変型例では、突出部(131)の突出方向側(Z軸方向の一方向側(Z1))から挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入される。
図19(a)に示すように、突出部(131)に対してZ軸方向の一方向側(Y1)(
図19(a)において右方向)にヘッダ(21,22,24)が配置される。そして、ヘッダ(21,22,24)が傾斜姿勢に支持された状態で、ヘッダ(21,22,24)がZ軸方向の他方向側(Y2)(
図19(a)において左方向)へ移動されることで、挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入されてもよい。ヘッダ(21,22,24)がZ軸方向の他方向側へ移動されることは、言い換えれば、ヘッダ(21,22,24)が突出部(131)の突出方向に沿って移動されることを示す。ヘッダ(21,22,24)がZ軸方向の他方向側(Y2)(左方向)へ移動されることで、挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入されると、突出部(131)が挿入穴(112,42)の第1内壁面(a2)に接触する。第1内壁面(a2)は、挿入穴(112,42)の底側の壁面である。
図19(a)~
図19(b)に示すように、突出部(131)が挿入穴(112,42)の第1内壁面(a2)に接触すると、突出部(131)に対してヘッダ(21,22,24)が回転されることで、熱交換部(10)にヘッダ(21,22,24)が装着される。上記第1変型例~上記第3変形例において、伝熱管(13)にヘッダ(21,22,24)を装着する際、ヘッダ(21,22,24)の装着動作にヘッダ(21,22,24)の回転動作(突出部(131)が挿入穴(112,42)に挿入された後、突出方向(Z1)に対する傾斜方向(W)の傾斜角度(θ)が0度となるように、ヘッダ(21,22,24)が回転させる動作)を含めることで、伝熱管(13)に対して、終始、水平方向の摩擦力がかかり続けることを抑制して、伝熱管(13)に作用する水平方向の摩擦力を低減している。なお、上記第1変形例(
図17(b)参照)、上記第2変形例(
図18(b)参照)、および上記第3変形例(
図19(b)参照)において、挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入された後、突出部(131)に対してヘッダ(21,22,24)が回転される際、挿入穴(112,42)の延びる方向(V)が突出部(131)の突出方向に対して平行な状態になるまで、ヘッダ(21,22,24)が回転される。なお、上記第2変形例および第3変形例においても、上記第1変形例のように、ヘッダ(21,22,24)の挿入穴(112,42)に突出部(131)が挿入されて、挿入穴(42)の内壁面に突出部(131)が非接触の状態でヘッダ(24)が回転されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上に説明したように、本開示は、熱交換器の製造装置および熱交換器の製造方法について有用である。
【符号の説明】
【0091】
13 伝熱管
16 フィン
17 フィン溝部
17a フィン溝部の開口部
21、22、24 ヘッダ
42、112 ヘッダの挿入穴
131 伝熱管の突出部
a2 挿入穴の内壁面
W 傾斜方向