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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20240703BHJP
   G01N 27/06 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G01N27/416 353F
G01N27/416 302M
G01N27/06 B
G01N27/416 341M
G01N27/416 346
G01N27/416 316
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022113565
(22)【出願日】2022-07-14
(65)【公開番号】P2024011528
(43)【公開日】2024-01-25
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】水村 諒介
(72)【発明者】
【氏名】森川 範広
(72)【発明者】
【氏名】円谷 朋広
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/250622(WO,A1)
【文献】特開2022-42446(JP,A)
【文献】米国特許第5804971(US,A)
【文献】特開2006-71355(JP,A)
【文献】特開2020-165737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/49
G01N 21/00-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に応じた測定部を備えたセンサ部と、
前記測定部から取得したアナログ信号を増幅する増幅部を備え、前記センサ部に対して着脱可能に接続される前段信号処理部と、
前記前段信号処理部から取得したアナログ信号を前記測定部による測定結果に関するデジタル信号に変換するA/D変換部を備え、前記前段信号処理部に対して着脱可能に接続される信号処理部であって、該デジタル信号に基づいて前記測定部による測定結果を出力するための処理を行うことが可能な制御部に該デジタル信号を供給する信号処理部と、
を有することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記センサ部は、前記測定部としての電位差測定電極を備え、
前記前段信号処理部は、前記測定部から取得した電圧信号のインピーダンス変換を行うインピーダンス変換部を備え、
前記増幅部は、前記インピーダンス変換部から取得した電圧信号を増幅することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記センサ部は、前記測定部としての電気伝導率センサを備え、
前記前段信号処理部は、前記測定部に電圧を印加する電圧印加部と、前記測定部から取得した電流信号を電圧信号に変換するI/V変換部と、を備え、
前記増幅部は、前記I/V変換部から取得した電圧信号を増幅することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記センサ部は、前記測定部としての酸化還元電流測定電極を備え、
前記前段信号処理部は、前記測定部から取得した電流信号を電圧信号に変換するI/V変換部を備え、
前記増幅部は、前記I/V変換部から取得した電圧信号を増幅することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項5】
前記前段信号処理部は更に、前記測定部に電圧を印加する電圧印加部を有することを特徴とする請求項4に記載の計測装置。
【請求項6】
前記センサ部は、前記測定部としての光学センサを備え、
前記前段信号処理部は、前記測定部に電流を供給する電流供給部と、前記測定部から取得した電流信号を電圧信号に変換するI/V変換部と、を備え、
前記増幅部は、前記I/V変換部から取得した電圧信号を増幅することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、前記センサ部としての第1のセンサ部の前記測定部から取得したアナログ信号を処理する前記前段信号処理部としての第1の前段信号処理部と、前記センサ部としての前記第1のセンサ部とは測定対象が異なる第2のセンサ部の前記測定部から取得したアナログ信号を処理する前記前段信号処理部としての第2の前段信号処理部と、を取り替えて接続することが可能であり、
前記第1の前段信号処理部は、前記第2のセンサ部の前記測定部からのアナログ信号の処理を行わず、前記第2の前段信号処理部は、前記第1のセンサ部の前記測定部からのアナログ信号の処理を行わず、前記信号処理部は、前記第1の前段信号処理部と前記第2の前段信号処理部のいずれから取得したデジタル信号の処理も行うことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項8】
前記第1のセンサ部及び前記第2のセンサ部はそれぞれ、独立して、電位差測定電極、電気伝導率センサ、酸化還元電流測定電極及び光学センサを含む群から選択される前記測定部を備えていることを特徴とする請求項7に記載の計測装置。
【請求項9】
前記センサ部と前記前段信号処理部とを着脱可能に接続する第1の接続部を有し、前記第1の接続部は、ケーブルを介さずにコネクタ接続により、又はケーブルを介して、前記センサ部と前記前段信号処理部とを接続することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項10】
前記制御部を備え、前記信号処理部に対して着脱可能に接続される指示部を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項11】
前記前段信号処理部と前記信号処理部とを着脱可能に接続する第2の接続部を有し、前記第2の接続部は、ケーブルを介さずにコネクタ接続により、又はケーブルを介して、前記前段信号処理部と前記信号処理部とを接続することを特徴とする請求項10に記載の計測装置。
【請求項12】
前記信号処理部と前記指示部とを着脱可能に接続する第3の接続部を有し、前記第3の接続部は、ケーブルを介して前記信号処理部と前記指示部とを接続することを特徴とする請求項10に記載の計測装置。
【請求項13】
前記信号処理部と、前記制御部と、を備え、前記前段信号処理部に対して着脱可能に接続される指示部を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項14】
前記前段信号処理部と前記指示部とを着脱可能に接続する第4の接続部を有し、前記第4の接続部は、ケーブルを介して前記前段信号処理部と前記指示部とを接続することを特徴とする請求項13に記載の計測装置。
【請求項15】
前記前段信号処理部又は前記センサ部の少なくとも一方には、情報を記憶するメモリが設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項16】
前記センサ部は、前記測定部とは別に温度センサを備え、
前記前段信号処理部又は前記信号処理部のいずれか一方には、前記温度センサによる温度測定を行う温度測定回路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電位差測定電極(pH電極、酸化還元電位差測定電極(ORP電極)、イオン電極)、電気伝導率センサ、酸化還元電流測定電極(溶存酸素電極、残留塩素電極など)、光学センサ(光学式溶存酸素センサ、濁度センサなど)などを用いた、電位差計(pH計、酸化還元電位差計、イオンメータなど)、電気伝導率計、酸化還元電流測定器(溶存酸素計、残留塩素計など)、光学式測定器(光学式溶存酸素計、濁度計など)などの計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、pH電極、電気伝導率センサ、溶存酸素電極を用いた、pH計、電気伝導率計、溶存酸素計などの計測装置がある。このような計測装置において、測定部としてのpH電極、電気伝導率センサ、溶存酸素電極などを備えたセンサ部が、測定結果の表示などを行う指示部に対して着脱可能とされているものがある。また、近年では、センサ部と一体的に又はセンサ部に対して着脱可能にデジタル回路を持たせ、pH、電気伝導率、溶存酸素濃度などの水質パラメータの値の計算を上記デジタル回路で行い、得られた値をデジタル信号で指示部に送信する計測装置が開発されている。
【0003】
特許文献1では、測定部を備えたセンサユニットと、測定部からのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する測定回路を備えた測定ユニットと、を備えたプローブが、装置本体に対して着脱自在とされた計測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-165737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図11は、従来の計測装置11の一例の全体構成を示す模式図である。この計測装置11は、測定部15を備えたセンサ部(センサユニット)12と、測定部15からのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する測定回路を備えた信号処理部13(測定ユニット)と、を備えたプローブが、指示部(装置本体)14に対して着脱可能とされている。そして、この計測装置11では、センサ部12は、信号処理部13に対して着脱可能とされている。このような構成によれば、消耗品である測定部(例えばpH電極)15を備えたセンサ部12を、測定回路を備えた信号処理部13に対して交換することができる。そのため、例えば、破損や劣化によってセンサ部12の交換が必要になった場合であっても、信号処理部13を再利用することができる。これにより、ランニングコストの低減や、環境負荷の低減を図ることができる。
【0006】
本願発明は、上記従来の計測装置を更に発展させたものである。つまり、例えば、計測装置で測定可能な測定項目を追加したり、既存のアナログセンサにデジタル回路の機能を持たせたりすることが望まれることがある。この際に、上記従来の構成では、センサ部が備えた測定部の種類(測定原理)が異なる場合には、信号処理部の全体を新たに開発することが必要となる。
【0007】
また、計測装置は、例えば、湖沼水などの環境水の水質の測定のために屋外で用いられる場合がある。このような場合、計測装置のセンサ部などは、埃が多く、湿度が高い環境で使用されたり、夏は直射日光が当たり、冬は寒気に晒されるといった、温度変化などの環境変化が大きい状況で使用されたりする。また、計測装置は、例えば、下水処理場やプラントにおいて水質の測定に用いられる場合がある。このような場合、計測装置のセンサ部などは、測定雰囲気中のガス成分の影響を受ける状況で使用されることがある。そして、上記のような状況で使用されると、湿度や酸化性ガスなどの影響で、信号処理部内の回路が腐食し、信号処理部の再利用が難しくなる可能性がある。例えば、pH測定の場合、センサ部と信号処理部との電気的接続、インピーダンス変換などのアナログ信号の初段の信号処理に関してはGΩレベルの高絶縁が必要となる。そのため、信号処理部は、一般的な電気回路では問題にならない軽微な絶縁低下であっても、測定に影響する可能性があり、交換が必要となることがある。この際に、上記従来の構成では、信号処理部の全体を交換することが必要となる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、種類が異なる測定部に対して、測定部からのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する回路の一部を共通化することを容易とすることである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、測定部からのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する回路のうち、絶縁低下などの劣化による影響を受けやすい部分のみの交換を容易とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は本発明に係る計測装置にて達成される。要約すれば、本発明は、測定対象に応じた測定部を備えたセンサ部と、前記測定部から取得したアナログ信号を増幅する増幅部を備え、前記センサ部に対して着脱可能に接続される前段信号処理部と、前記前段信号処理部から取得したアナログ信号を前記測定部による測定結果に関するデジタル信号に変換するA/D変換部を備え、前記前段信号処理部に対して着脱可能に接続される信号処理部であって、該デジタル信号に基づいて前記測定部による測定結果を出力するための処理を行うことが可能な制御部に該デジタル信号を供給する信号処理部と、を有することを特徴とする計測装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、種類が異なる測定部に対して、測定部からのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する回路の一部を共通化することを容易とすることができる。また、本発明によれば、測定部からのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する回路のうち、絶縁低下などの劣化による影響を受けやすい部分のみの交換を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例の計測装置の全体構成を示す模式図である。
図2】pH電極を用いる場合の計測装置の概略回路構成を示す模式図である。
図3】交流2極方式の電気伝導率センサを用いる場合の計測装置の概略回路構成を示す模式図である。
図4】電磁誘導方式の電気伝導率センサを用いる場合の計測装置の概略回路構成を示す模式図である。
図5】ポーラログラフ式の溶存酸素電極を用いる場合の計測装置の概略回路構成を示す模式図である。
図6】光学式の溶存酸素センサを用いる場合の計測装置の概略回路構成を示す模式図である。
図7】ゲートウェイ及びデジタルアンプの分解斜視図及び斜視図である。
図8】ゲートウェイの一部切り欠き断面側面図及びゲートウェイの要素の側面図である。
図9】計測装置の他の実施例を説明するための模式図である。
図10】計測装置の更に他の実施例を説明するための模式図である。
図11】従来の計測装置の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る計測装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0014】
[実施例1]
1.計測装置の概略構成
図1は、本実施例の計測装置1の全体構成を示す模式図である。本実施例では、計測装置1は、測定対象に応じた測定部(例えばpH電極)21を備えたセンサ部2を有する。また、本実施例では、計測装置1は、センサ部2の測定部21から取得したアナログ信号を増幅する増幅部を備え、センサ部2に対して着脱可能に接続される前段信号処理部としてのゲートウェイ(ここでは、「GW」とも表記する。)3を有する。また、本実施例では、計測装置1は、ゲートウェイ3から取得したアナログ信号をセンサ部2の測定部21による測定結果に関するデジタル信号に変換するA/D変換部を備え、ゲートウェイ3に対して着脱可能に接続される信号処理部としてのデジタルアンプ4を有する。デジタルアンプ4は、このデジタルアンプ4が変換した上記デジタル信号に基づいてセンサ部2の測定部21による測定結果を出力するための処理を行うことが可能な制御部に該デジタル信号を供給する。また、本実施例では、計測装置1は、デジタルアンプ4が変換した上記デジタル信号に基づいてセンサ部2の測定部21による測定結果を出力するための処理を行うことが可能な上記制御部を備え、デジタルアンプ4に対して着脱可能に接続される指示部(指示器)5を有する。なお、指示部5は、パーソナルコンピュータなどの汎用の機器で構成されていてもよい。例えば、このような場合に、センサ部2とゲートウェイ3とデジタルアンプ4とで計測装置1が構成されるものとみることもできる。
【0015】
また、本実施例では、計測装置1は、センサ部2とゲートウェイ3とを着脱可能に接続する第1の接続部6を有する。第1の接続部6は、ケーブルを介してセンサ部2とゲートウェイ3とを接続することができる。また、第1の接続部6は、ケーブルを介さずにコネクタ接続によりセンサ部2とゲートウェイ3とを接続することができる。また、本実施例では、計測装置1は、ゲートウェイ3とデジタルアンプ4とを着脱可能に接続する第2の接続部7を有する。第2の接続部7は、ケーブルを介さずにコネクタ接続によりゲートウェイ3とデジタルアンプ4とを接続することができる。また、第2の接続部7は、ケーブルを介してゲートウェイ3とデジタルアンプ4とを接続することができる。また、本実施例では、計測装置1は、デジタルアンプ4と指示部5とを着脱可能に接続する第3の接続部8を有する。第3の接続部8は、典型的には、ケーブルを介してデジタルアンプ4と指示部5とを接続するが、ケーブルを介さずにコネクタ接続によりデジタルアンプ4と指示部5とを接続してもよい。また、第3の接続部8は、デジタルアンプ4と指示部5とを無線で接続してもよい。
【0016】
また、本実施例では、デジタルアンプ4は、第1のゲートウェイ(例えば図2に示すpH測定用のゲートウェイ3A)と、第2のゲートウェイ(例えば図3に示す電気伝導率測定用のゲートウェイ3B)と、を取り替えて接続することが可能である。ここで、上記第1のゲートウェイ3Aは、センサ部2としての第1のセンサ部(pH測定用のセンサ部)2Aの測定部21Aから取得したアナログ信号を処理するゲートウェイ3である。また、上記第2のゲートウェイ3Bは、センサ部2としての上記第1のセンサ部2Aとは測定対象が異なる第2のセンサ部(電気伝導率測定用のセンサ部)2Bの測定部21Bから取得したアナログ信号を処理するゲートウェイ3である。上記第1のゲートウェイ3Aは、第2のセンサ部2Bの測定部21Bからのアナログ信号の処理を行わず、上記第2のゲートウェイ3Bは、第1のセンサ部2Aの測定部21Aからのアナログ信号の処理を行わない。一方、デジタルアンプ4は、第1のゲートウェイ3Aと第2のゲートウェイ3Bのいずれから取得したデジタル信号の処理も行うことが可能である。上記第1のセンサ部及び第2のセンサ部はそれぞれ、独立して、電位差測定電極、電気伝導率センサ、酸化還元電流測定電極及び光学センサを含む群から選択される測定部21を備えていてよい(図2図6参照)。
【0017】
このように、本実施例によれば、センサ部2及びゲートウェイ3を取り替えることで、計測装置1を、電位差計(pH計、酸化還元電位差計、イオンメータなど)、電気伝導率計、酸化還元電流測定器(溶存酸素計、残留塩素計など)、光学式測定器(光学式溶存酸素計、濁度計など)といった異なる測定項目の測定を行う計測装置1として使用することができる。なお、例えば、電位差測定電極であるpH電極とORP電極(又はイオン電極)、酸化還元電流測定電極である溶存酸素電極と残留塩素電極というように、測定原理が共通しており、ゲートウェイ3を共用することができる異なる種類のセンサ部2については、1つのゲートウェイ3に対して異なる種類のセンサ部2を取り替えて接続して用いることができる。
【0018】
そして、本実施例によれば、センサ部2の測定部21の種類(測定原理)に応じたアナログ信号の初段の信号処理(例えばpH測定の場合はインピーダンス変換など)をゲートウェイ3で行うことで、それ以降の機能構成(A/D変換部、演算部、表示部、操作部など)の共通化が可能となる。つまり、種類(測定原理)が異なる測定部21を備えたセンサ部2に対して、デジタルアンプ4、更には指示部5の共通化が可能となる。これにより、例えば、計測装置1で測定可能な測定項目を追加したり、既存のアナログセンサにデジタル回路の機能を持たせたりする際に、センサ部2が備えた測定部21の種類(測定原理)が異なる場合であっても、ゲートウェイ3のみを新しく開発し、デジタルアンプ4、更には指示部5については共通して使用することが可能である。
【0019】
また、ゲートウェイ3に、絶縁低下などの劣化による影響を受けやすい、センサ部2との電気的接続、アナログ信号の初段の信号処理(例えばpH測定の場合はインピーダンス変換など)を行う部分を持たせることで、劣化時の交換部品はゲートウェイ3となり、それ以降の機能構成(A/D変換部、演算部、表示部、操作部など)の長期利用(継続使用)が可能となる。つまり、センサ部2とデジタルアンプ4とをゲートウェイ3を介して接続する。そして、高絶縁を必要とする、センサ部2とデジタルアンプ4との接続部からアナログ信号の初段の信号処理を行う回路までを、ゲートウェイ3として独立させる。これにより、ゲートウェイ3とデジタルアンプ4との接続部、及びそれ以降の回路の絶縁要求は比較的低くなる。そのため、例えば腐食によって回路内の絶縁が低下した場合であっても、高絶縁が必要な部分を含むゲートウェイ3のみを交換することが可能である。これにより、廃棄する部分を最小限として、ランニングコストの低減や、環境負荷の低減を図ることができる。また、ゲートウェイ3とデジタルアンプ4との接続部の絶縁要求は比較的低いため、上記デジタルアンプ4の共通化に関して、マルチセンサ対応のデジタルアンプ4の開発自由度の増加が期待できる。
【0020】
また、センサ部2がゲートウェイ3に対して着脱可能とされているので、消耗品である測定部21を備えたセンサ部2を、ゲートウェイ3及びデジタルアンプ4に対して交換することができる。そのため、例えば、破損や劣化によってセンサ部2の交換が必要になった場合であっても、ゲートウェイ3及びデジタルアンプ4を再利用することができる。これにより、ランニングコストの低減や、環境負荷の低減を図ることができる。
【0021】
ここで、センサ部2からのアナログ信号の初段の信号処理は、センサ部2からゲートウェイ3に入力される信号の最初の処理のみに限定されるものではなく、ゲートウェイ3からデジタルアンプ4に入力する信号レベルへと増幅するまでの処理(前段処理、初期処理)を含むものである。
【0022】
2.測定項目ごとの計測装置の構成
次に、本実施例の計測装置1の構成について更に詳しく説明する。本実施例では、計測装置1は、種類(測定原理)が異なる測定部21を備えた複数のセンサ部2に対して、デジタルアンプ4、指示部5がそれぞれ共通化されている。図2図6は、測定項目ごとの計測装置1の構成を示す模式図である。
【0023】
本実施例では、計測装置1は、次のセンサ部2を取り替えて使用可能であるものとする。まず、測定部21Aとして電位差測定電極であるpH電極を備えたpH測定用のセンサ部(ここでは「pHセンサ部」ともいう。)2A(図2)である。また、測定部21Bとして交流2極方式の電気伝導率センサ(電気伝導率セル)を備えた電気伝導率測定用のセンサ部(ここでは「ECセンサ部」ともいう。)2B(図3)である。また、測定部21Cとして電磁誘導方式の電気伝導率センサを備えた電気伝導率測定用のセンサ部(ここでは「電磁誘導ECセンサ部」ともいう。)2C(図4)である。また、測定部21Dとして酸化還元電流測定電極である溶存酸素電極を備えた溶存酸素測定用のセンサ部(ここでは「DOセンサ部」ともいう。)2D(図5)である。また、測定部21Eとして光学センサである光学式溶存酸素センサを備えた溶存酸素測定用のセンサ部(ここでは「光学DOセンサ部」ともいう。)2E(図6)である。
【0024】
なお、各測定項目用の要素について、特に区別を要しない場合は、いずれかの測定項目用の要素であることを示す符号の末尾のA、B、C、D、Eを省略して総括的に説明することがある。
【0025】
まず、図2を参照して、pHセンサ部2Aを使用する場合の計測装置1の構成について更に説明する。
【0026】
計測装置1は、測定部21AとしてのpH電極(pH複合電極)を備えたpHセンサ部2Aと、pHセンサ部2Aに応じて構成されたゲートウェイ(ここでは、「pHゲートウェイ」ともいう。)3Aと、デジタルアンプ4と、指示部5と、を有する。また、計測装置1は、pHセンサ部2AとpHゲートウェイ3Aとを着脱可能に接続する第1の接続部6を有する。この第1の接続部6は、pHセンサ部2Aに設けられたセンサ部コネクタ24Aと、pHゲートウェイ3Aに設けられた第1のゲートウェイコネクタ38Aと、を有して構成される。図2では、第1の接続部6は、ケーブルを介さずにコネクタ接続によりpHセンサ部2AとpHゲートウェイ3Aとを接続するように示されている。ただし、本実施例では、第1の接続部6は、例えば、pHセンサ部2Aに結合され、先端にセンサ部コネクタ24Aが取り付けられたケーブル(例えば2m~10m)を介して、pHセンサ部2AとpHゲートウェイ3Aとを接続するようになっている。また、計測装置1は、pHゲートウェイ3Aとデジタルアンプ4とを着脱可能に接続する第2の接続部7を有する。この第2の接続部7は、pHゲートウェイ3Aに設けられた第2のゲートウェイコネクタ39Aと、デジタルアンプ4に設けられた第1のデジタルアンプコネクタ48と、を有して構成される。図2では、第2の接続部7は、ケーブルを介さずにコネクタ接続によりpHゲートウェイ3Aとデジタルアンプ4とを接続するように示されている。ただし、第2の接続部7は、例えば、pHゲートウェイ3Aに結合され、先端に第2のゲートウェイコネクタ39Aが取り付けられたケーブル(例えば2m~10m)を介して、pHゲートウェイ3Aとデジタルアンプ4とを接続するようになっていてもよい。また、計測装置1は、デジタルアンプ4と指示部5とを着脱可能に接続する第3の接続部8を有する。この第3の接続部8は、デジタルアンプ4に結合されたケーブル49b(例えば2m~10m)と、このケーブル49bの先端に取り付けられた第2のデジタルアンプコネクタ49aと、指示部5に設けられた指示部コネクタ57と、を有して構成される。典型的には、図2に示すように、第3の接続部8は、ケーブルを介してデジタルアンプ4と指示部5とを接続する。ただし、第3の接続部8は、ケーブルを介さずにコネクタ接続によりデジタルアンプ4と指示部5とを接続するようになっていてもよい。また、第3の接続部8は、デジタルアンプ4と指示部5とを無線で接続するようになっていてもよい。また、デジタルアンプ4と指示部5との間でのデジタル信号の伝送については、電気的な接続に限らず、光学的な結合手段によってデジタルアンプ4と指示部5とを接続することも可能である。
【0027】
pHセンサ部2Aは、測定部21Aとして、ガラス感応膜などのpH感応部を備えた測定電極(本実施例ではpHガラス電極)201Aと、比較電極202Aと、を有して構成されるpH電極(pH複合電極)を有する。また、pHセンサ部2Aは、温度補償などのために用いられる温度測定部としての温度センサ22Aを有する。温度センサ(温度検出素子)22Aは、例えば、2線式のサーミスタ式抵抗体(測温体、抵抗式測温体電極)で構成される。図2では模式的に示されているが、pHセンサ部2Aは、全体が細長形状とされ、その軸線方向の先端部に測定電極201Aが配置されるように、測定部21Aや温度センサ22Aが設けられている。また、pHセンサ部2Aは、上記先端部とは反対側の基端部に隣接して、筐体内にプリント基板を有する。そして、このプリント基板に、pHセンサ部2Aにおける電気回路が設けられている。このpHセンサ部2Aにおける電気回路は、センサ部コネクタ24A、又は測定部21Aや温度センサ22Aから引き出された配線と先端にセンサ部コネクタ24Aが設けられたケーブル内の配線との接続部などを含む。また、pHセンサ部2Aは、上記プリント基板を囲むように、例えばリング状とされる、シールド板23Aを有する。上述のように、本実施例では、pHセンサ部2Aは、測定部21Aとして、測定電極201Aと比較電極202Aとが一体とされたpH電極(pH複合電極)を有する。そして、pHゲートウェイ3Aとデジタルアンプ4とで構成される、pHセンサ部2Aの測定部21Aからのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する測定回路は、上記測定電極201Aと比較電極202Aとの間の電位差を電圧計で測定することによりガラス感応膜に発生した起電力を検出する。
【0028】
pHゲートウェイ3Aは、pHセンサ部2Aの測定部21Aから取得した電圧信号のインピーダンス変換を行うインピーダンス変換部(インピーダンス変換回路)31Aを有する。また、pHゲートウェイ3Aは、インピーダンス変換部31Aから取得した電圧信号を増幅する増幅部(増幅回路)32Aを有する。本実施例では、pHゲートウェイ3Aの増幅部32A及び他の測定項目用のゲートウェイ3の増幅部32は、各センサ部2からのアナログ信号のダイナミックレンジをそろえて、デジタルアンプ4で測定できる範囲に増幅するように構成されている。また、pHゲートウェイ3Aは、情報を記憶する電子的な記憶媒体で構成されたメモリ33Aを有する。本実施例では、メモリ33Aとしては、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory:電気的消去書き込み可能な読み出し専用メモリ)を用いた。しかし、メモリ33Aとしては、これに限定されるものではなく、EEPROM、フラッシュメモリ、電池バックアップ付きRAM、EPROM、ワンタイムROM、メモリ付きCPUなどから適宜選択して用いることができる。メモリ33Aには、詳しくは後述するように、校正データなどが記憶される。図2では模式的に示されているが、pHゲートウェイ3Aは、全体が略細長円筒形状の筐体を有し、この筐体内に、プリント基板を有する。そして、この筐体の軸線方向の一方の端部に第1のゲートウェイコネクタ38A、他方の端部に第2のゲートウェイコネクタ39Aが配置されるようにして、上記プリント基板に、pHゲートウェイ3Aにおける電気回路が設けられている。このpHゲートウェイ3Aにおける電気回路は、上記インピーダンス変換部31A、増幅部32A、メモリ33A、第1、第2のゲートウェイコネクタ38A、39Aなどを含む。また、pHゲートウェイ3Aは、上記プリント基板を囲むように、例えばリング状とされる、シールド板34Aを有する。
【0029】
デジタルアンプ4は、pHゲートウェイ3Aの増幅部32Aから取得した電圧信号を、pHセンサ部2Aの測定部21Aによる測定結果に関するデジタル信号に変換するA/D変換部(A/D変換回路)41を有する。また、デジタルアンプ4は、演算部としてのCPU42を有する。デジタルアンプ4のCPU42は、デジタルアンプ4における処理(動作)を統括的に制御する。特に、本実施例では、デジタルアンプ4のCPU42は、A/D変換部41から取得したデジタル信号を処理(校正データを用いた校正、温度測定値を用いた補正など)して、pHセンサ部2Aの測定部21Aによる測定結果(pH値)を求める。また、デジタルアンプ4は、情報を記憶する電子的な記憶媒体で構成された記憶部43を有する。本実施例では、デジタルアンプ4の記憶部43としては、EEPROMを用いた。しかし、デジタルアンプ4の記憶部43としては、これに限定されるものではなく、EEPROM、フラッシュメモリ、電池バックアップ付きRAM、EPROM、ワンタイムROM、メモリ付きCPUなどから適宜選択して用いることができる。デジタルアンプ4の記憶部43には、デジタルアンプ4における処理(動作)を制御するための手順及びデータなどが記憶されている。特に、本実施例では、デジタルアンプ4の記憶部43には、pHセンサ部2Aの測定部21Aによる測定結果(pH値)を演算し出力するための手順及びデータなどが記憶されている。また、デジタルアンプ4は、入出力回路(入出力部、通信ドライバ)44を有する。デジタルアンプ4の入出力回路44は、デジタルアンプ4のCPU42と指示部5との間のデジタル信号の伝送などを制御する。また、デジタルアンプ4は、pHゲートウェイ3Aのメモリ33Aに対する情報の読み込み及び書き込みを制御するメモリ読み込み/書き込み部(メモリ読み込み/書き込み回路)45を有する。また、デジタルアンプ4は、後述する指示部5の電源部56から給電されてデジタルアンプ4の被給電部及びpHゲートウェイ3Aの被給電部に電力を供給する電源供給部(電源供給回路)46を有する。また、デジタルアンプ4は、温度測定回路47を有する。温度測定回路47は、pHセンサ部2Aの温度センサ22AからpHゲートウェイ3Aを介して取得したアナログ信号を温度センサ22Aによる測定結果(温度測定値)を示すデジタル信号に変換して、デジタルアンプ4のCPU42、あるいは後述する指示部5のCPU51に供給する。図2では模式的に示されているが、デジタルアンプ4は、全体が略細長円筒形状の筐体を有し、この筐体内に、プリント基板を有する。そして、この筐体の軸線方向の一方の端部に第1のデジタルアンプコネクタ48、他方の端部にデジタルアンプ4の各部から引き出された配線と先端に第2のデジタルアンプコネクタ49aが設けられたケーブル49b内の配線との接続部が配置されるようにして、上記プリント基板に、デジタルアンプ4における電気回路が設けられている。このデジタルアンプ4における電気回路は、上記A/D変換部41、CPU42、記憶部43、入出力回路44、メモリ読み込み/書き込み部45、電源供給部46、温度測定回路47、第1のデジタルアンプコネクタ48、デジタルアンプ4の各部から引き出された配線と先端に第2のデジタルアンプコネクタ49aが設けられたケーブル49b内の配線との接続部などを含む。
【0030】
指示部5は、制御部としてのCPU51を有する。指示部5のCPU51は、指示部5における処理(動作)を統括的に制御する。特に、本実施例では、指示部5のCPU51は、デジタルアンプ4から取得したデジタル信号に基づいてpHセンサ部2Aの測定部21Aによる測定結果を出力するための処理を行う。なお、測定結果を出力する処理は、後述する表示部55により測定結果を表示する処理、指示部5に設けられるか指示部5に接続されたプリンタにより測定結果を印字して出力する処理、及び指示部5に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部機器において表示手段により表示するなどのために外部機器に向けて測定結果に関する信号を出力する処理のうちの少なくとも1つであってよい。また、指示部5は、情報を記憶する電子的な記憶媒体で構成された記憶部52を有する。指示部5の記憶部52としては、EEPROM、フラッシュメモリ、電池バックアップ付きRAM、EPROM、ワンタイムROM、メモリ付きCPUなどから適宜選択して用いることができる。指示部5の記憶部52には、指示部5における処理(動作)を制御するための手順及びデータなどが記憶されている。特に、本実施例では、指示部5の記憶部52には、pHセンサ部2Aの測定部21Aによる測定結果(pH値)、温度センサ22Aによる測定結果(温度測定値)などを出力(表示など)するための手順及びデータなどが記憶されている。指示部5の記憶部52は、測定結果を記憶することもできる。また、指示部5は、入出力回路(入出力部、通信ドライバ)53を有する。指示部5の入出力回路53は、指示部5のCPU51とデジタルアンプ4との間のデジタル信号の伝送などを制御する。また、指示部5は、操作キーなどの入力手段を備えた操作部54を有する。操作部54は、使用者(操作者)による測定の開始/停止、各種設定の入力などの指示を受け付け、指示部5のCPU51に伝送する。また、指示部5は、液晶ディスプレイなど表示手段を備えた表示部55を有する。表示部55は、指示部5のCPU51の制御のもとで、測定結果の表示、各種設定のための設定画面の表示などを行う。また、指示部5は、指示部5の被給電部及びデジタルアンプ4の電源供給部46に電力を供給する電源回路(電源部)56を有する。また、指示部5には、指示部コネクタ57が設けられている。
【0031】
第1の接続部6では、センサ部コネクタ24Aと第1のゲートウェイコネクタ38Aのそれぞれの対応する接点部(ピン、ピン受け穴など)同士が接続される。第1の接続部6には、pHセンサ部2Aの測定部21AとpHゲートウェイ3Aのインピーダンス変換部31Aとを接続するための接点部が設けられている。また、第1の接続部6には、pHセンサ部2Aの温度センサ22AとpHゲートウェイ3Aに設けられた温度センサ用中継線とを接続するための接点部が設けられている。また、第1の接続部6には、pHセンサ部2Aのシールド板23AとpHゲートウェイ3Aのシールド板34Aとを接続するための接点部が設けられている。
【0032】
第2の接続部7では、第2のゲートウェイコネクタ39Aと第1のデジタルアンプコネクタ48のそれぞれの対応する接点部(ピン、ピン受け穴など)同士が接続される。第2の接続部7には、pHゲートウェイ3Aの増幅部32Aとデジタルアンプ4のA/D変換部41とを接続するための接点部が設けられている。また、第2の接続部7には、pHゲートウェイ3Aに設けられた温度センサ用中継線とデジタルアンプ4の温度測定回路47とを接続するための接点部が設けられている。また、第2の接続部7には、pHゲートウェイ3Aのメモリ33Aとデジタルアンプ4のメモリ読み込み/書き込み部45とを接続するための接点部が設けられている。また、第2の接続部7には、pHゲートウェイ3Aのメモリ33Aとデジタルアンプ4の電源供給部46とを接続するための接点部が設けられている。また、図2では図示が省略されているが、第2の接続部7には、pHゲートウェイ3Aのシールド板34Aを、デジタルアンプ4を介して指示部5においてGNDに接続するための接点部が設けられている。なお、本実施例では、第2の接続部7には、pHセンサ部2A、pHゲートウェイ3Aでは使用されないが、デジタルアンプ4の構成の共通化のために、デジタルアンプ4の電源供給部46からセンサ部2の測定部21に電力を供給するための接点部が設けられている。
【0033】
第3の接続部8では、第2のデジタルアンプコネクタ49aと指示部コネクタ57のそれぞれの対応する接点部(ピン、ピン受け穴など)同士が接続される。第3の接続部8には、デジタル通信用の接点部と、電源供給用の接点部と、が設けられている。また、第3の接続部8には、pHセンサ部2Aのシールド板23A、pHゲートウェイ3Aのシールド板34Aを、デジタルアンプ4を介して指示部5においてGNDに接続するための接点部が設けられている。
【0034】
次に、図3図6を参照して、ECセンサ部2B(図3)、電磁誘導ECセンサ部2C(図4)、DOセンサ部2D(図5)、光学DOセンサ部2E(図6)を使用する場合の計測装置1の構成について更に説明する。
【0035】
なお、図3図6において、図2におけるものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素には同一の符号を付している(各測定項目用の同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、各測定項目用の要素であることを示す符号の末尾のA、B、C、D、Eを付した同一の番号を付している)。これらの要素については、図2を参照して行ったpH測定の場合の説明を援用し、詳しい説明は適宜省略する。また、ECセンサ部2B、電磁誘導ECセンサ部2C、DOセンサ部2D、光学DOセンサ部2Eに応じて構成されたゲートウェイ3を、それぞれ「ECゲートウェイ3B」、「電磁誘導ECゲートウェイ3C」、「DOゲートウェイ3D」、「光学DOゲートウェイ3E」ともいう。
【0036】
図3に示すように、ECセンサ部2Bは、測定部21Bとして、一対の電極203B、204Bを備えた電気伝導率センサ(電気伝導率セル)を有する。本実施例では、ECセンサ部2Bの測定部21Bは、白金黒電極を用いた交流2極方式の電気伝導率セルである。そして、ECゲートウェイ3Bとデジタルアンプ4とで構成される、ECセンサ部2Bの測定部21Bからのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する測定回路は、上記一対の電極203B、204Bの間に交流電圧を印加し、その際に流れる電流を電流計で測定してインピーダンスを検出する。そのため、ECゲートウェイ3Bには、ECセンサ部2Bの測定部21Bに交流電圧を印加する交流電圧印加部(交流電圧印加回路)35Bが設けられている。交流電圧印加部35Bは、デジタルアンプ4の電源供給部46から給電される。また、ECゲートウェイ3Bでは、ECセンサ部2Bの測定部21Bから取得されるアナログ信号は電流信号である。そのため、ECゲートウェイ3Bには、ECセンサ部2Bの測定部21Bから取得される電流信号を電圧信号に変換するI/V変換部(I/V変換回路)36Bが設けられている。ECゲートウェイ3Bでは、増幅部32Bは、I/V変換部36Bから取得した電圧信号を増幅する。上述のように、この増幅部32Bは、他の測定項目用のゲートウェイ3の増幅部32とダイナミックレンジをそろえるようにアナログ信号を増幅する。
【0037】
図4に示すように、電磁誘導ECセンサ部2Cは、測定部21Cとして、一対のコイル205C、206Cを備えた電磁誘導式電気伝導率センサを有する。そして、電磁誘導ECゲートウェイ3Cとデジタルアンプ4とで構成される、電磁誘導ECセンサ部2Cの測定部21Cからのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する測定回路は、上記一対のコイル205C、206Cの間で生じる誘導電流を電流計で測定する。そのため、電磁誘導ECゲートウェイ3Cには、電磁誘導ECセンサ部2Cの測定部21Cの一方のコイル206Cに交流電圧を印加する交流電圧印加部(交流電圧印加回路)35Cが設けられている。交流電圧印加部35Cは、デジタルアンプ4の電源供給部46から給電される。また、電磁誘導ECゲートウェイ3Cでは、電磁誘導ECセンサ部2Cの測定部21Cの他方のコイル205Cから取得されるアナログ信号は電流信号である。そのため、電磁誘導ECゲートウェイ3Cには、上記他方のコイル205Cから取得される電流信号を電圧信号に変換するI/V変換部(I/V変換回路)36Cが設けられている。電磁誘導ECゲートウェイ3Cでは、増幅部32Cは、I/V変換部36Cから取得した電圧信号を増幅する。上述のように、この増幅部32Cは、他の測定項目用のゲートウェイ3の増幅部32とダイナミックレンジをそろえるようにアナログ信号を増幅する。
【0038】
図5に示すように、DOセンサ部2Dは、測定部21Dとして、作用極207Dと対極208Dとを備えた溶存酸素電極を有する。本実施例では、DOセンサ部2Dの測定部21Dは、作用極207Dと対極208Dとを酸素ガス透過性隔膜で仕切られた収容部内に有する隔膜式ポーラログラフ型電極である。そして、DOゲートウェイ3Dとデジタルアンプ4とで構成される、DOセンサ部2Dの測定部21Dからのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する測定回路は、上記作用極207Dと対極208Dとの間に直流電圧を印加し、隔膜を透過した酸素が作用極で還元されるときに流れる電流を電流計で測定することで、溶存酸素に比例した拡散電流を検出する。そのため、DOゲートウェイ3Dには、DOセンサ部2Dの測定部21Dに直流電圧を印加する直流電圧印加部(直流電圧印加回路)35Dが設けられている。直流電圧印加部35Dは、デジタルアンプ4の電源供給部46から給電される。また、DOゲートウェイ3Dでは、DOセンサ部2Dの測定部21Dから取得されるアナログ信号は電流信号である。そのため、DOゲートウェイ3Dには、DOセンサ部2Dの測定部21Dから取得される電流信号を電圧信号に変換するI/V変換部(I/V変換回路)36Dが設けられている。DOゲートウェイ3Dでは、増幅部32Dは、I/V変換部36Dから取得した電圧信号を増幅する。上述のように、この増幅部32Dは、他の測定項目用のゲートウェイ3の増幅部32とダイナミックレンジをそろえるようにアナログ信号を増幅する。
【0039】
図6に示すように、光学DOセンサ部2Eは、測定部21Eとして、投光部209Eと受光部210Eとを備えた光学式溶存酸素センサを有する。本実施例では、光学DOセンサ部2Eの測定部21Eは、特定の波長の励起光により蛍光を発する蛍光色素が固定された蛍光色素膜と、蛍光色素膜に励起光を照射する投光部209Eと、蛍光色素膜が発する蛍光を受光する受光部210Eと、を有する。そして、光学DOゲートウェイ3Eとデジタルアンプ4とで構成される、光学DOセンサ部2Eの測定部21Eからのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する測定回路は、蛍光色素膜に励起光を照射して発生させた蛍光の持続時間や強度を検出することで、蛍光色素の蛍光が溶存酸素によって妨げられることによる蛍光の持続時間の短縮、あるいは蛍光の強度の低下を検出する。そのため、光学DOゲートウェイ3Eには、光学DOセンサ部2Eの測定部21Eの投光部209Eに駆動電流を供給する電流供給部37Eが設けられている。電流供給部37Eは、デジタルアンプ4の電源供給部46から給電される。また、光学DOゲートウェイ3Eでは、光学DOセンサ部2Eの測定部21Cの受光部210Eから取得されるアナログ信号は電流信号である。そのため、光学DOゲートウェイ3Eには、上記受光部210Eから取得される電流信号を電圧信号に変換するI/V変換部(I/V変換回路)36Eが設けられている。光学DOゲートウェイ3Eでは、増幅部32Eは、I/V変換部36Eから取得した電圧信号を増幅する。上述のように、この増幅部32Eは、他の測定項目用のゲートウェイ3の増幅部32とダイナミックレンジをそろえるようにアナログ信号を増幅する。
【0040】
ここで、本実施例では、各測定項目用のゲートウェイ3の第2のゲートウェイコネクタ39の形状及びピンの構成は同じである。これにより、本実施例では、各測定項目用のゲートウェイ3の第2のゲートウェイコネクタ39は、各測定項目に対して共通化されたデジタルアンプ4の共通の第1のデジタルアンプコネクタ48に接続することができる。
【0041】
そして、デジタルアンプ4は、接続されたセンサ部2及びゲートウェイ3に応じて、センサ部2の測定部21による測定結果(pH値、電気伝導率値、溶存酸素濃度値)を求めて指示部5に出力する。デジタルアンプ4の記憶部43には、予め又は適宜追加して、デジタルアンプ4に接続されたセンサ部2及びゲートウェイ3に応じたデジタルアンプ4における処理(動作)を制御するための手順及びデータなどを記憶させることができる。デジタルアンプ4のCPU42は、デジタルアンプ4に接続されたセンサ部2及びゲートウェイ3に応じて、デジタルアンプ4の記憶部43に記憶された情報に基づいて、A/D変換部41から取得したデジタル信号を処理(校正データを用いた校正、温度測定値を用いた補正など)して、センサ部2の測定部21による測定結果(pH値、電気伝導率値、溶存酸素濃度値)を求めて指示部5に出力する。
【0042】
また、指示部5は、接続されたセンサ部2及びゲートウェイ3に応じて、センサ部2の測定部21による測定結果(pH値、電気伝導率値、溶存酸素濃度値)を出力(表示など)するための処理を行う。指示部5の記憶部52には、予め又は適宜追加して、指示部5に接続されたセンサ部2及びゲートウェイ3に応じた指示部5における処理(動作)を制御するための手順及びデータなどを記憶させることができる。指示部5のCPU51は、指示部5に接続されたセンサ部2及びゲートウェイ3に応じて、指示部5の記憶部52に記憶された情報に基づいて、デジタルアンプ4から取得されたデジタル信号を用いて、センサ部2の測定部21による測定結果(pH値、電気伝導率値、溶存酸素濃度値)、温度センサ22による測定結果(温度測定値)などを出力(表示など)するための処理を行う。
【0043】
なお、センサ部2とゲートウェイ3とが間違った組み合わせで接続された場合、ゲートウェイ3はセンサ部2に合わせた回路構成(電圧印加部、電流供給部など)を持っているので、適正に測定を行うことができない。また、例えばインピーダンス変換部を持ったゲートウェイ3を使用する測定部(pH、ORP、イオン)に電圧の印加や電流の供給を行うと、不具合(塩化銀が銀に還元されて電位がズレるなど)が生じる可能性もある。これに対して、例えばセンサ部2がメモリを内蔵している場合は(実施例2参照)、メモリの情報に基づいて、センサ部2とゲートウェイ3とが間違った組み合わせで接続されたことの警告(表示など)、あるいは電圧印加や電流供給の停止(禁止)を行うことができる。また、例えばセンサ部2にメモリが設けられていない場合など(設けられていてもよい)には、センサ部2とこれに対応するゲートウェイ3との正しい組み合わせごとに、接続部(ケーブルコネクタ、コネクタ)の形状を変えて、間違った組み合わせでは物理的に接続できないようにすることができる。
【0044】
3.ゲートウェイ
次に、本実施例におけるゲートウェイ3のコネクタまわりの構成について更に説明する。図7(a)は、ゲートウェイ3をデジタルアンプ4から取り外した状態を示す分解斜視図である。また、図7(b)は、ゲートウェイ3とデジタルアンプ4とを接続した状態を示す斜視図である。また、図8(a)は、ゲートウェイ3の一部切り欠き断面側面図である。また、図8(b)は、ゲートウェイ3に設けられるプリント基板及びコネクタの側面図である。
【0045】
図7(a)に示すように、ゲートウェイ3は、全体が略細長円筒形状のゲートウェイ筐体301を有する。このゲートウェイ筐体301の軸線方向の一方の端部(先端部)301aから突出するように第1のゲートウェイコネクタ38が設けられている。また、図7(a)、図8(a)に示すように、このゲートウェイ筐体301の軸線方向の他方の端部(基端部)301bに形成された凹部内に第2のゲートウェイコネクタ39が設けられている。また、デジタルアンプ4は、全体が略細長円筒形状のデジタルアンプ筐体401を有する。このデジタルアンプ筐体401の軸線方向の一方の端部(先端部)401aに、略円筒形状の筒状部402が設けられており、この筒状部402に形成された凹部内に第1のデジタルアンプコネクタ48が設けられている。また、このデジタルアンプ筐体401の軸線方向の他方の端部(基端部)401bから、先端に第2のデジタルアンプコネクタ49a(図7(a)には図示せず)が設けられたケーブル49bが引き出されている。
【0046】
図7(a)、(b)に示すように、ゲートウェイ筐体301の基端部301bに形成された凹部内に、デジタルアンプ筐体401の先端部401aに設けられた筒状部402がスライド移動させられて挿入され、嵌合される。これにより、第2のゲートウェイコネクタ39と第1のデジタルアンプコネクタ48の接点部同士が接続される。また、デジタルアンプ筐体401の筒状部402の外周面には、ゲートウェイ筐体301の基端部301bの凹部の内周面とデジタルアンプ筐体401の筒状部402の外周面との間を液密的に封止する封止部材としてのOリング403が設けられている。そして、ゲートウェイ筐体301の外周を取り巻くように配置される固定部材405の貫通穴に、ゲートウェイ筐体301が先端部301a側から挿通される。また、固定部材405の内周面に設けられた係合部(図示せず)が、ゲートウェイ筐体301の外周面に設けられた係合部307に係合されると共に、固定部材405の内周面に設けられた係止部(図示せず)が、デジタルアンプ筐体401の外周面に設けられた係止部404に係止される。これにより、ゲートウェイ3がデジタルアンプ4に固定される。デジタルアンプ4からゲートウェイ3を取り外す手順は、上記の取り付ける手順の逆である。このようにゲートウェイ3とデジタルアンプ4とが一体化されてデジタル変換ケーブルターミナル9が構成される。
【0047】
図8(a)、(b)に示すように、第1のゲートウェイコネクタ38と第2のゲートウェイコネクタ39が取り付けられたプリント基板302が、ゲートウェイ筐体301内に設けられた支持構造306に固定される。ゲートウェイ筐体301内には、プリント基板302を取り囲むようにシールド板34が配置されている。第2のゲートウェイコネクタ39の外周面と支持構造306の内周面との間は、Oリング305によって液密的に封止されている。一方、本実施例では、第1のゲートウェイコネクタ38とプリント基板302との接続部の周囲(該接続部と支持構造306との間)には充填部材304が充填され、液密的に封止されている。充填部材304の材料としては、これに限定されるもではないが、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料や、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどのゴム材料を用いることができる。本実施例では、充填部材304の材料としてフッ素樹脂を用いた。これにより、第1のゲートウェイコネクタ38まわりで、湿度や酸化性ガスなどの影響による腐食などに起因して、絶縁低下が生じることを抑制することができる。したがって、ゲートウェイ3の長寿命化を図ることができる。
【0048】
なお、本実施例では、第1のゲートウェイコネクタ38は、センサ部2に結合されたケーブルの先端に設けられたセンサ部コネクタ24の凹部内にスライド移動させられて挿入され、嵌合される。これにより、センサ部コネクタ24と第1のゲートウェイコネクタ38の接点部同士が接続される。
【0049】
4.メモリの利用態様
次に、ゲートウェイ3に設けられたメモリ33の利用態様の例について説明する。
【0050】
例えば、pH測定や溶存酸素濃度測定においては、センサ部2を使用する前に、標準液などを用いてセンサ部2の特性を校正し、この校正結果に基づいて測定値を計算・補正することが必要である。そこで、ゲートウェイ3のメモリ33に、センサ部2の測定部21に関する情報として、校正データを記憶させることが可能である。例えば、センサ部2を交換した場合に、新たなセンサ部2による最初の測定を行う前に、ゲートウェイ3のメモリ33に記憶されている交換前のセンサ部2に関する校正データを、新たなセンサ部2に関して標準液などを用いて取得した新たな校正データに更新する(書き換える)ことができる。センサ部2を交換した場合に限らず、例えば定期的に標準液などを用いた校正を行って、ゲートウェイ3のメモリ33に記憶されている校正データを更新することができる。また、センサ部2及びゲートウェイ3の工場出荷時などにおける検査時に、ゲートウェイ3のメモリ33に校正データを記憶させるようにしてもよい。デジタルアンプ4のCPU42は、標準液などを用いた所定の校正手順に従って取得した校正データを、メモリ読み込み/書き込み部45を介してゲートウェイ3のメモリ33に書き込むことができる。また、デジタルアンプ4のCPU42は、メモリ読み込み/書き込み部45を介して読み込んだ校正データに基づいて、測定結果を求めることができる。同様の処理を、指示部5のCPU51が行うようにしてもよい。このようにゲートウェイ3のメモリ33に校正データを記憶させることにより、例えば、センサ部2の設置個所とは異なる実験室などで、センサ部2、ゲートウェイ3及びデジタルアンプ4を校正用の指示部5に接続する(あるいは、センサ部2及びゲートウェイ3を校正用のデジタルアンプ4及び指示部5に接続する)などして校正を行って、ゲートウェイ3のメモリ33に校正データを記憶させることができる。これにより校正作業の容易化などを図ることができる。
【0051】
また、例えば、電気伝導率測定(交流2極方式)においては、センサ部2(電気伝導率セル)の感度を補正するためのセル定数の入力が必要となる。そこで、ゲートウェイ3のメモリ33に、センサ部2の測定部21に関する情報として、予めセル定数を記憶させておくことが可能である。これにより、このセル定数を測定結果(電気伝導率値)の演算・補正に使用することが可能である。例えば、センサ部2及びゲートウェイ3の工場出荷時などにおける検査時に、ゲートウェイ3のメモリ33にセル定数を記憶させるようにすることができる。このような構成とすることで、セル定数を自動設定することができるので、設定忘れや間違いを低減することができる。
【0052】
また、例えば、pH電極は、取引証明に使用する場合のように計量法による検定が必要な場合があり、この場合にはpH電極についての有効期間は2年である。このように有効期間が決まっているセンサ部2においては、センサ部2を使用し始めた際に有効期限(あるいは初めて使用日時)をゲートウェイ3のメモリ33に書き込んでおくことができる。そして、測定を行う度にゲートウェイ3のメモリ33に記憶された有効期限を読み出し、例えばデジタルアンプ4や指示部5に内蔵された時計と比較し、期限が近づいていることを指示部5などにおいて表示するなどして、使用者に知らせることができる。また、期限が過ぎている場合には、使用者に警告を発するか、又は使用を停止するようにすることもできる。また、必要に応じて、使用者が標準液による校正の有効期限を設定することもできる。つまり、使用者が標準液を用いて校正を行った際に、その標準液による校正の日時をゲートウェイ3のメモリ33に書き込むことができる。これにより、ゲートウェイ3のメモリ33に記憶された校正日時と有効期限とを比較し、注意や警告などのメッセージを随時表示などさせることができる。また、自動で又は使用者の指示により、標準液を用いて行った校正を行った日時の履歴情報をゲートウェイ3のメモリ33に記憶させることもできる。校正履歴は、現在まで行った校正の日時(年、月、日、時間のうちの少なくとも1つ)の全てを記憶させることに限定されるものではなく、最後の校正日時、あるいは最後から所定回数前までの校正日時などであってもよい。また、センサ部2の使用時間をゲートウェイ3のメモリ33に記憶させることも可能である。例えば、指示部5の電源が入っている状態でセンサ部2が指示部5に接続されている時間を積算することによって使用時間とする。さらに、ゲートウェイ3のメモリ33には、センサ部2の劣化判断情報を記憶させることもできる。例えば、センサ部2にはそれぞれ理論的な発生電位がある。個々のセンサ部2によってそれぞれ違いがあるので校正が必要になるが、基本的に理論からかけ離れた電位を発生することはない。そこで、理論電位から例えば10%下回ったら劣化と判断することができる。例えば、pH計では2点校正を行ない不斉電位と感度を算出するが、不斉電位に対しては0mVが基準で±30mV以上あった場合には異常、感度は59.16mVが基準で10%以上下回った場合に異常(劣化)と判断することができる。このような構成とすることにより、センサ部2の管理が容易となる。なお、ここでは、pH電極に関して説明したが、イオン電極、電気伝導率セル、溶存酸素電極などにも同様に適用し、同様の効果を達成し得るものである。
【0053】
また、例えば、イオン選択性電極の場合には、イオン標準液により校正を行なった際にその結果をゲートウェイ3のメモリ33に書き込み、更に、校正日時も校正データと共に書き込んでおくことができる。また、イオン選択性電極の場合も、校正期限などをゲートウェイ3のメモリ33に記憶されたデータに基づいて上記と同様に管理することができる。また、予めイオン価数を記憶させて、イオン価数を自動設定することもできる。これにより、設定忘れや間違いを低減すことができる。
【0054】
また、例えば、サーミスタ式温度計では、温度測定の精度又は互換性を上げるためにサーミスタに補正抵抗を入れたり、又は同じ特性の素子を選択して使用したりすることが行なわれる。したがって、センサ部2がサーミスタ(温度補償用の温度センサ、又は温度センサを単独)を備えている場合、ゲートウェイ3のメモリ33に、サーミスタの特性データ、例えばB定数、公称抵抗値、温度テーブルなどのデータを書き込んでおくことができる。そして、このデータを読み出し、測定抵抗値に基づいて演算することにより、精度の高い温度測定を行なうことができる。なお、サーミスタ電極の代わりに白金抵抗体など、その他の抵抗式測温体電極を使用した計測装置に対しても同様に適用して同じ効果を達成し得る。
【0055】
また、ゲートウェイ3のメモリ33に、センサ部2又はゲートウェイ3の少なくとも一方に関する識別情報を記憶させることが可能である。このセンサ部2又はゲートウェイ3の少なくとも一方に関する識別情報は、例えばセンサ部2又はゲートウェイ3の少なくとも一方の種類(測定項目)、型式名、製造番号などの情報を含む。例えば、センサ部2やゲートウェイ3の製造時や工場出荷時に、ゲートウェイ3のメモリ33に識別情報を記憶させるようにすることができる。そして、例えば、指示部5のCPU51は、ゲートウェイ3のメモリ33から取得した識別情報に基づいて、測定結果を出力する処理を、測定項目に応じた処理に自動的に切り替えることができる。また、指示部5のCPU51は更に、ゲートウェイ3のメモリ33から取得した識別情報に基づいて、指示部5に設けられた操作部54の機能を、測定項目に応じた機能に自動的に切り替えることができる。なお、例えば識別情報を用いない場合などには、上記表示や機能は、例えば指示部5の操作部54を介して使用者が手動で測定項目に応じて切り替えるようになっていてよい。
【0056】
このように、ゲートウェイ3のメモリ33には、校正データ、使用時間、劣化情報、校正履歴、補正係数、セル定数、イオン価数、識別情報のうちの少なくとも1つの情報が記憶されてよい。
【0057】
5.効果
以上説明したように、本実施例によれば、種類が異なる測定部21に対して、測定部21からのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する回路の一部を共通化することを容易とすることができる。
【0058】
また、本実施例によれば、測定部21からのアナログ信号を測定結果に関するデジタル信号に変換する回路のうち、絶縁低下などの劣化による影響を受けやすい部分のみの交換を容易とすることができる。
【0059】
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の計測装置において、実施例1の計測装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。本実施例では、実施例1の計測装置1のいくつかの変形例について説明する。
【0060】
図9は、メモリの配置に関する実施例1の計測装置1の変形例を説明するための模式図である。実施例1では、ゲートウェイ3にメモリ33が設けられており、このメモリ33の利用態様の例について説明した。これに対し、図9に示すように、ゲートウェイ3にメモリ33を設けることに代えて、センサ部2にメモリ61を設けてもよい。この場合、ゲートウェイ3では、センサ部2のメモリ61とデジタルアンプ4との間での信号及び電力の中継のみ行われる。そのため、第1の接続部6には、センサ部2のメモリ61とゲートウェイ3に設けられたメモリ用中継線とを接続するための接点部が設けられ、第2の接続部7には、該メモリ用中継線とデジタルアンプ4のメモリ読み込み/書き込み部45、電源供給部46とを接続するための接点部が設けられる。そして、このセンサ部2のメモリ61には、実施例1においてゲートウェイ3のメモリ33に記憶させることができるとした情報を記憶させることができる。これにより、ゲートウェイ3のメモリ33の利用態様に関して説明した効果と同様の効果を得ることができる。なお、センサ部2のメモリ61と、ゲートウェイ3のメモリ33と、の両方を設けることもできる。この場合、例えば、両メモリに記憶された識別情報を比較することに基づいて、互いに対応しないセンサ部2とゲートウェイ3との誤装着の検知及び報知(表示部におけるエラー表示、音による警報など)、印加信号の停止(又は信号印加の禁止)などを行うことが可能となる。この処理は、デジタルアンプ4のCPU42、あるいは指示部5のCPU51が行うことができる。
【0061】
図10は、温度測定回路の配置に関する実施例1の計測装置1の変形例を説明するための模式図である。実施例1では、デジタルアンプ4に温度測定回路47が設けられていた。これに対し、図10に示すように、デジタルアンプ4に温度測定回路47を設けることに代えて、ゲートウェイ3に温度測定回路62を設けてもよい。この温度測定回路62は、センサ部2の温度センサ22から取得したアナログ信号を温度センサ22による測定結果(温度測定値)を示すデジタル信号に変換して、デジタルアンプ4のCPU42(あるいは指示部5のCPU51)に供給する。この場合、第1の接続部6には、センサ部2の温度センサ22とゲートウェイ3の温度測定回路とを接続するための接点部が設けられ、第2の接続部7には、ゲートウェイ3の温度測定回路62とデジタルアンプ4のCPU42、電源供給部46とを接続するための接点部が設けられる。このような構成により、センサ部2間で温度センサの種類や構成が異なる場合であっても、各温度センサに応じたゲートウェイ3を開発することで、デジタルアンプ4の構成を変更せずに対応することができる。
【0062】
また、実施例1におけるデジタルアンプ4の機能を、指示部5が包含していてもよい。つまり、計測装置1は、A/D変換部を備えた信号処理部と、測定部21による測定結果を出力するための処理を行うことが可能な制御部と、を備え、前段信号処理部(ゲートウェイ)3に対して着脱可能に接続される指示部5を有していてよい。この場合、計測装置1は、前段信号処理部3と指示部5とを着脱可能に接続する第4の接続部を有する。この第4の接続部は、典型的には、ケーブルを介して前段信号処理部3と指示部5とを接続するが、ケーブルを介さずにコネクタ接続により前段信号処理部3と指示部5とを接続してもよい。
【0063】
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0064】
上述の実施例では、電位差測定電極は、pH電極であるとして説明したが、pH電極、酸化還元電位差測定電極(ORP電極)、及びイオン電極のうちの少なくとも1つを含む群から選択される電位差測定電極であってよい。pH電極以外のイオン選択性電極(イオン電極)としては、ナトリウムイオン電極、塩化物イオン電極、臭化物イオン電極、よう化物イオン電極、シアン化物イオン電極、カドミウムイオン電極、銅イオン電極、銀イオン電極、硫化物イオン電極、フッ化物イオン電極、カリウムイオン電極、カルシウムイオン電極、硝酸イオン電極、アンモニア電極、炭酸ガス電極などが挙げられる。その他の利用可能なイオン電極であってもよい。
【0065】
上述の実施例では、酸化還元電流測定電極は、溶存酸素電極であるとして説明したが、溶存酸素電極、残留塩素電極、溶存オゾン電極、二酸化塩素電極、亜塩素酸イオン電極、過酸化水素電極、及び溶存水素電極のうちの少なくとも1つを含む群から選択される酸化還元電流測定電極であってよい。これらの酸化還元電流測定電極は、例えば、隔膜型又は露出型のポーラログラフ式、あるいは、ガルバニ式の酸化還元電流測定電極とされる。その他の利用可能な酸化還元電流測定電極であってもよい。なお、ガルバニ式の酸化還元電流測定電極が用いられる場合、ポーラログラフ式の酸化還元電流測定電極が用いられる場合に設けられる測定部21の電極対に電圧を印加するための電圧印加部(電圧印加回路)及びこれに接続される電源は不要である。
【0066】
上述の実施例では、光学センサは、光学式溶存酸素センサであるとして説明したが、光学式溶存酸素センサ、濁度センサ、吸光度センサ、及び蛍光センサのうちの少なくとも1つを含む群から選択される光学センサであってよい。その他の利用可能な光学センサであってもよい。濁度センサとしては、例えば90°散乱光測定方式のものが挙げられる。濁度センサは、例えば、センサ部2に投光部及び受光部を有し、センサ部2に設けた試料液導入部に導入された試料液に投光部からの光を導入し、試料液により散乱された光を受光部にて受光した量に応じた信号を出力する。ゲートウェイ3とデジタルアンプ4とで構成される濁度測定用の測定回路は、上述のように濁度センサが試料液に光を投入して90°方向の散乱光の受光量に応じて発する信号を検出する。その他の方式のものを利用することもできる。また、吸光度センサとしては、例えば、センサ部2に投光部、受光部、試料液導入部を有し、試料液導入部内の試料液に投光部から光を投入し、試料液を透過した光を受光部にて検出した光量に応じた信号を出力するものが挙げられる。ゲートウェイ3とデジタルアンプ4とで構成される吸光度測定用の測定回路は、投光部から試料液に光を照射させて、上述のようにして受光部が試料液透過光を受光して発する信号を検出する。また、蛍光センサとしては、例えば、センサ部2に励起刺激発生部としての励起光投光部と、受光部とを有し、センサ部2に設けた試料液導入部に導入された試料液に励起光投光部から励起光を照射して、試料液が発する蛍光を受光部にて受光した光量に応じた信号を出力するものが挙げられる。ゲートウェイ3とデジタルアンプ4とで構成される蛍光測定用の測定回路は、励起光投光部から励起光を試料液に照射させて、上述のように蛍光センサが試料液の発する蛍光を受光した量に応じて発する信号を検出する。
【0067】
また、計測装置1は、測定部として圧力センサ(圧力電極)を備えたセンサ部2を使用可能であってもよい。圧力センサは、大気圧測定、隔膜式電極と共に用いた場合の該電極の気圧補正、ダムなどにおける水深測定などに利用される。圧力センサとしては、例えば、当業者には周知のダイアフラム式の圧力センサ、半導体圧力センサなどが挙げられる。これらの圧力センサを用いる場合、ゲートウェイ3とデジタルアンプ4とで構成される圧力測定用の測定回路は、感圧素子に電圧を印加して、コンデンサの両端電圧の比又は電気抵抗の変化を検出する。その他の方式の圧力センサであってもよい。
【0068】
また、計測装置1は、測定部として温度センサを備える温度測定用の単独のセンサ部2を使用可能であってもよい。
【0069】
また、センサ部2に複数の測定部21が設けられていてもよい。この場合、ゲートウェイ3に、複数の測定部21に対応して、アナログ信号の初段の処理を行う機能構成が複数設けられていてよい(少なくとも一部の機能構成が複数の測定部21に対して共通化されていてもよい。)。
【0070】
また、校正データを用いて測定値を求める演算、測定に関する温度補償演算、単位の設定変更に伴う単位の変換などについて、デジタルアンプ4のCPU42と指示部5のCPU51とのいずれに演算を行う役割を与えてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 計測装置
2 センサ部
3 ゲートウェイ(前段信号処理部)
4 デジタルアンプ(信号処理部)
5 指示部
6 第1の接続部
7 第2の接続部
8 第3の接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11