(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20240703BHJP
【FI】
G06Q10/087
(21)【出願番号】P 2022164520
(22)【出願日】2022-10-13
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592135203
【氏名又は名称】キヤノンITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【氏名又は名称】木村 友輔
(74)【代理人】
【識別番号】100227857
【氏名又は名称】中山 圭
(72)【発明者】
【氏名】大下 吾朗
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-194412(JP,A)
【文献】特開2015-135567(JP,A)
【文献】特開平07-200679(JP,A)
【文献】特開2006-072701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象期間における、製品の複数の
出荷期限に係る納入条件に
対応する出庫予定量、前記製品の製造日が付与された在庫量および入庫量を取得する取得手段と、
前記対象期間において、前記出庫予定量に対する前記納入条件を満たす前記在庫量および前記入庫量に対して、当該出庫予定量に前記製品に設定される安全在庫量を加味した数量を引き当てた結果、引き当てできなかった数量を補充する発注量を決定する決定手段と、
前記製品の前記納入条件ごと
に、前記決定された発注量を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記納入条件ごとに前記
発注量を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定手段により
発注量を決定する納入条件の順序を制御する順序制御手段を備える請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定手段により発注量を決定する前記納入条件の順序の指定を受け付け
る受付手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記
発注量は、所定のロットサイズでまとめられることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記
決定手段は、
一納入条件に対して決定された
発注量に係る入庫量を、
他の納入条件に対する発注量の決定の際に引き当ての対象となる入庫量とすることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記納入条件は、製造日から
出荷期限
までの期間に係る条件であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
取得手段が、対象期間における、製品の複数の
出荷期限に係る納入条件に
対応する出庫予定量、前記製品の製造日が付与された在庫量および入庫量を取得する取得ステップと、
決定手段が、
前記対象期間において、前記出庫予定量に対する前記納入条件を満たす前記在庫量および前記入庫量に対して、当該出庫予定量に前記製品に設定される安全在庫量を加味した数量を引き当てた結果、引き当てできなかった数量を補充する発注量を決定する決定ステップと、
出力手段が、前記製品の前記納入条件ごと
に、前記決定された発注量を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
情報処理装置を、
対象期間における、製品の複数の
出荷期限に係る納入条件に
対応する出庫予定量、前記製品の製造日が付与された在庫量および入庫量を取得する取得手段と、
前記対象期間において、前記出庫予定量に対する前記納入条件を満たす前記在庫量および前記入庫量に対して、当該出庫予定量に前記製品に設定される安全在庫量を加味した数量を引き当てた結果、引き当てできなかった数量を補充する発注量を決定する決定手段と、
前記製品の前記納入条件ごと
に、前記決定された発注量を出力する出力手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
製品の調達計画を作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本における食品流通の分野では、3分の1ルールと呼ばれる商慣習が浸透している。3分の1ルールとは、食品の流通過程において製造者、販売者、消費者の3者が、製造日から賞味期限までの期間を3分の1ずつ均等に分け合うという考え方に基づく商慣習である。例えば、賞味期限が6カ月の場合、製造者は商品を製造してから販売者に2カ月以内に出荷し、販売者は賞味期限の2カ月前(製造から4カ月以内)に販売し、消費者は商品を購入した時点で賞味期限が2カ月ある状態を維持する。
【0003】
この商慣習は食品ロス発生の主要因の一つになっており、3分の1ルールを改め2分の1ルールを適用する動きが拡大しているが、現状では販売者によって2分の1ルールが許されたり、3分の1ルールでないと許されない取引が混在している。
【0004】
特許文献1には、顧客ごとに製品の納入期限が異なる場合に、顧客からのオーダ情報を製品の在庫情報および生産計画情報に引き当て、引き当てできなかったオーダ情報について新規の生産計画を作成し登録する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、製造者は、販売者へ出荷する出荷拠点ごとに、欠品しないようあらかじめ補給元拠点から補給して在庫する必要がある。このとき、出荷期限に余裕のある3分の1ルールに適合する商品を補給すると、その拠点での欠品や廃棄のリスクは軽減することができるが、すべての出荷拠点が補給元拠点に対し3分の1ルールに適合する商品を補給すると、補給元拠点で3分の1ルールに適合しないが2分の1ルールには適合する在庫が余ってしまい、廃棄になってしまう。このような出荷期限切れによる廃棄を防止することはコスト上も環境上も重要である。
【0007】
特許文献1では、顧客ごとの納入期限を考慮して製品の在庫情報および生産計画情報にオーダ情報の引き当てを行い、引き当てできなかったオーダ情報について新規の生産計画を作成し登録して対応しているが、対象日において納入条件ごとに補給・調達が必要な数量を把握することはできない。
【0008】
本発明では、複数の納入条件が課される製品に対し、納入条件ごとの調達必要量を提示する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、対象期間における、製品の複数の出荷期限に係る納入条件に対応する出庫予定量、前記製品の製造日が付与された在庫量および入庫量を取得する取得手段と、前記対象期間において、前記出庫予定量に対する前記納入条件を満たす前記在庫量および前記入庫量に対して、当該出庫予定量に前記製品に設定される安全在庫量を加味した数量を引き当てた結果、引き当てできなかった数量を補充する発注量を決定する決定手段と、前記製品の前記納入条件ごとに、前記決定された発注量を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の納入条件が課される製品に対し、納入条件ごとの調達必要量を提示する仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の情報処理装置の機能ブロック図である
【
図2】
図1の情報処理装置として適用可能な情報処理装置のハードウエア構成の一例を示す図である
【
図3】本実施形態における発注量算出処理を示すフローチャートである
【
図4】
図3におけるステップS108の詳細処理を示すフローチャートである
【
図5】
図4におけるステップS201の詳細処理を示すフローチャートである
【
図14】計算パターンテーブルの一例を示す図である
【
図16】ステップS103の処理を実行した時点で計算モデル管理部に格納されているデータの一例を示す図である
【
図17】ステップS102の処理を実行した時点で属性情報管理部に格納されているデータの一例を示す図である
【
図18】1回目の出荷期限(D=1)にてステップS201の処理が終了した時点でPSI情報管理部に格納されているデータの一例を示す図である
【
図19】1回目の出荷期限(D=1)にてステップS208の処理が終了した時点でPSI情報管理部に格納されているデータの一例である
【
図20】最後の出荷期限(D=2)にてステップS201の処理が終了した時点でPSI情報管理部に格納されているデータの一例を示す図である
【
図21】本発明の実施形態における処理が終了した時点でPSI情報管理部に格納されているデータの一例である
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理装置は、入出力部100、制御部101、データ管理部102から構成される。
【0015】
さらに制御部101は、計算モデル管理部101a、属性情報管理部101b、PSI情報管理部101c、安全在庫計算部101d、発注点計算部101e、発注量計算部101fから構成される。
【0016】
計算モデル管理部101aは、計算モデルテーブル102h(
図13)および計算パターンテーブル102i(
図14)から取得した計算モデルを格納し管理する。
属性情報管理部101bは、属性情報テーブル102a(
図6)および出荷期限情報テーブル102b(
図7)から取得した計算対象アイテムの属性情報を格納し管理する。
【0017】
PSI情報管理部101cは、
図18等に示すように、
図3に示す処理により算出されるPSIデータ等を格納し管理する。
【0018】
安全在庫計算部101dは、後述の(式1)の計算式などにより、安全在庫量を計算する。
【0019】
発注点計算部101eは、後述の(式2)の計算式などにより、発注点を計算する。
【0020】
発注量計算部101fは、後述の(式3)の計算式などにより、発注量を計算する。
【0021】
また、データ管理部102は、各種データを管理する機能部である。具体的には、属性情報テーブル102a(
図6)、出荷期限情報テーブル102b(
図7)発注カレンダテーブル102c(
図8)、在庫量テーブル102d(
図9)、発注残テーブル102e(
図10)、販売予定量テーブル102f(
図11)、発注量テーブル102g(
図12)、計算モデルテーブル102h(
図13)、計算パターンテーブル102i(
図14)、計算順テーブル102j(
図15)に示すデータを管理する。
【0022】
属性情報テーブル102aには、アイテムID毎に、それぞれのアイテムの属性情報が格納されている。
【0023】
出荷期限情報テーブル102bには、アイテムIDと要求出荷期限毎の情報が格納されている。
【0024】
発注カレンダテーブル102cには、発注日と納入日とが対応付けられたデータが格納されている。
【0025】
在庫量テーブル102dには、アイテムの実績日と、当該実績日の在庫量が格納されている。
【0026】
発注残テーブル102eには、アイテムの入庫予定日と、当該入庫予定日の入庫予定量が格納されている。
【0027】
販売予定量テーブル102fには、アイテムの販売予定日と、当該販売予定日の販売量が格納されている。
【0028】
発注量テーブル102gには、
図3のフローチャートに示す処理により算出された発注量、安全在庫補正量などのデータが格納されている。
【0029】
計算モデルテーブル102hには、計算モデルIDごとに発注量・発注点・安全在庫量・最小安全在庫量・最大安全在庫量の計算パターンと、当該計算パターンの計算に必要なパラメータが格納されている。
【0030】
計算パターンテーブル102iには、計算パターンIDごとに計算パターン名、パラメータ使用フラグ、パラメータ名が格納されている。
【0031】
計算順テーブル102jには、出荷期限の計算順が格納されている。
【0032】
以下、
図2を用いて、
図1に示した情報処理装置のハードウエア構成の一例について説明する。
【0033】
図2において、201はCPUで、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM203あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な各種プログラム等が記憶されている。
【0034】
202はRAMで、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM203あるいは外部メモリ211からRAM202にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0035】
また、205は入力コントローラで、入力装置209等からの入力を制御する。206はビデオコントローラで、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置210への表示を制御する。なお、ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイに限られず、CRTディスプレイなどであっても良い。これらは必要に応じてクライアントが使用するものである。
【0036】
207はメモリコントローラで、ブートプログラム,各種のアプリケーション,フォントデータ,ユーザファイル,編集ファイル,各種データ等を記憶するハードディスク(HD)や、フレキシブルディスク(FD)、或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0037】
208は通信I/Fコントローラで、ネットワークを介して外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信等が可能である。
【0038】
なお、CPU201は、例えばRAM202内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ装置210上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ装置210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0039】
ハードウエア上で動作する各種プログラムは、外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM202にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。
【0040】
なお、全ての装置がこれらの構成を備えているわけではなく、必要なものを夫々備えていればよい。
【0041】
次に、
図3を用いて、本発明の実施形態において情報処理装置が行う発注量算出処理について説明する。
【0042】
なお、
図3のフローチャートで示す処理については、情報処理装置のCPU201が所定の制御プログラムを読み出して実行する処理である。
【0043】
ステップS101では、制御部101は、属性情報テーブル102a(
図6)から計算対象となるアイテムの件数を取得する。そして、取得した件数をLに代入する。
【0044】
ここで属性情報テーブル102aに登録されているアイテムの全件を取得して件数をカウントしても良いし、対象フラグがTrueであるアイテムのみを取得してカウントしても良い。
【0045】
ステップS102では、制御部101は、属性情報テーブル102a、出荷期限情報テーブル102b(
図7)、計算順テーブル102j(
図15)から計算対象アイテムの属性情報および出荷期限情報および計算順を取得し、取得した属性情報を属性情報管理部101aに格納する。
【0046】
例えば、対象のアイテムIDがITEM01の場合、出荷期限情報テーブル102bから要求出荷期限が1/2期限と1/3期限があることが分かり、それぞれ製造経過みなし日数が7日と3日であることが分かり、同様に計算順テーブル102jから出荷期限が短い順(1/3期限、1/2期限の順)に計算することがわかる。なお、製造経過みなし日数とは、出荷期限を指定して新規発注した場合に製造から何日経過した在庫が入庫されるかを推測するための推定値である。製造経過みなし日数は、統計的手法、ユーザによる指定、等により設定される。
【0047】
なお、格納した属性情報は、入出力部100からユーザによる変更が可能である。
図17に入出力部100に表示される設定画面の一例を示す。
【0048】
ステップS103では、制御部101は、ステップS102で取得した属性情報のうち、計算モデルIDをキーとして計算モデルテーブル102h(
図13)から計算に必要なパラメータを取得する。そして、属性情報管理部101aに指定値が格納されていない場合、ここで取得したパラメータにて補完して格納する。
【0049】
例えば、対象のアイテムIDがITEM01の場合、計算モデルIDはM01である。そのため、計算モデルIDがM01のパラメータとして、発注量計算パターンIDおよび発注量計算パターン値、発注点計算パターンIDおよび発注点計算パターン値、安全在庫計算パターンIDおよび安全在庫計算パターン値を取得する。
【0050】
なお、格納した属性情報は、入出力部100からユーザによる変更が可能である。
図16に入出力部100に表示される設定画面の一例を示す。
【0051】
ステップS104では、制御部101は、ステップS102で取得した属性情報のうち、発注カレンダIDをキーとして、発注カレンダテーブル102c(
図8)から発注カレンダを取得し、PSI情報管理部101cに格納する。
【0052】
ステップS105では、制御部101は、ステップS102で取得した属性情報のうち、アイテムIDをキーとして、在庫量テーブル102d(
図9)から、製造日ごとの在庫量を取得し、PSI情報管理部101cに格納する。
【0053】
例えばアイテムIDがITEM01の場合、2022年7月31日の在庫は2022年7月26日に製造したものが1437あることが分かる。
【0054】
ここで在庫量テーブル102dは履歴形式であっても構わない。この場合は、実績日もキー項目となる。
【0055】
ステップS106では、制御部101は、ステップS102で取得した属性情報のうち、アイテムIDをキーとして、発注残テーブル102e(
図10)から製造日、入庫予定日、入庫予定量を取得する。そして、取得した入庫予定量をPSI情報管理部101cに格納する。
【0056】
例えばITEM01の場合は、2022年7月29日に製造し、2022年8月1日に入庫予定量1000を予定していることがわかる。
【0057】
ステップS107では、制御部101は、ステップS102で取得した属性情報のうち、アイテムIDをキーとして、販売予定量テーブル102e(
図11)から要求出荷期限、販売予定日、販売量を取得する。そして、取得した販売量をPSI情報管理部101cに格納する。
【0058】
なお、該当する販売予定日のレコードが存在しない場合は、ゼロで補完する。
【0059】
例えば、ITEM01については、2022年8月1日の要求出荷期限が1/2期限の販売量は253を予定している。また、1/3期限の販売予定量は481というようになっている。
【0060】
ステップS108では、複数ある出荷期限ごとに発注量の計算処理を行う。本処理の詳細は、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
次に、
図4を用いて、本発明の実施形態において情報処理装置が行うステップS108に示す処理の詳細について説明する。
【0062】
なお、
図4のフローチャートで示す処理については、情報処理装置のCPU201が所定の制御プログラムを読み出して実行する処理である。
【0063】
以下の処理は複数ある出荷期限ごとに繰り返し実行する。
【0064】
ステップS201では、対象となる出荷期限について、ステップS105~S108で取得した各種のデータをもとにインプットデータの初期化を行う。本処理の詳細は、
図5のフローチャートを用いて説明する。
【0065】
ステップS301では、制御部101は、S106で取得した発注残をPSI情報管理部101cの発注残に格納する。
【0066】
ステップS302では、制御部101は、前回の出荷期限の計算で求めた発注量をPSI情報管理部101cの該当する出荷期限の発注量に格納する。
【0067】
なお、当該アイテムを初めて計算する場合、本処理はスキップされる。
【0068】
ステップS303では、制御部101は、S107で取得した販売予定量をPSI情報管理部101c該当する出荷期限の出庫予定量に格納する。
【0069】
なお、当該アイテムの出荷期限が複数存在する場合、これまで計算した出荷期限すべての出庫予定量に格納する。
【0070】
例えば、ITEM01の場合、1/3期限、1/2期限の順に計算するため、1回目の1/3期限を計算する場合は1/3期限の出庫予定量に格納し、2回目の1/2期限を計算する場合は1/3期限の出庫予定量と1/2期限の出庫予定量に格納する。
【0071】
ステップS304では、制御部101は、S105で取得した在庫量をPSI情報管理部101cの在庫量に格納する。
【0072】
ステップS305では、制御部101は、S301からS304で格納した情報を基に、PSI情報管理部101cの在庫明細を作成する。
【0073】
出荷期限が1/3期限(1回目)の場合のS201の処理が終了した時点でのPSI情報管理部101cのPSI情報(入庫+出庫+在庫)と在庫明細の具体例を
図18に示す。
【0074】
以下の処理(ステップS201~S208)を対象日を進めながら繰り返し実行する。
【0075】
ステップS202では、制御部101は、対象日がステップS104で取得した発注カレンダの発注予定日と一致するレコードが存在するか否かを判定する。
【0076】
一致するレコードが存在する場合(ステップS202:真)は、処理をステップS203に移行する。
【0077】
一致するレコードが存在しない場合(ステップS202:偽)は、処理をステップS208へ移行する。
【0078】
例えば、対象日が8月1日の場合は、発注カレンダの発注予定日と一致するレコードが存在するため、処理をステップS203に移行する。
【0079】
他方、対象日が8月2日の場合は、発注カレンダの発注予定日と一致するレコードが存在しないので、処理をステップS208へ移行する。
【0080】
ステップS203では、対象日ごとに安全在庫量の計算処理を行う。制御部101は、ステップS103で取得した安全在庫計算パターンIDに従って、計算方法を分岐させる。例えば、ITEM01の場合、計算モデルIDはM01となり、計算モデルテーブル102h(
図13)から安全在庫計算パターンは2、安全在庫計算パターン値は100となるため、ITEM01の安全在庫量は100となる。安全在庫量については、他にも(式1)の計算式等により計算することが可能である。
【0081】
(式1)安全在庫量=安全係数×販売実績標準偏差×SQRT(発注間隔+納入LT)
※SQRT(N)はNの平方根を示す。
【0082】
例えば(式1)の計算式に従う場合、ITEM01の8月1日の安全在庫量は1.65x63.81xSQRT(3)≒182.36となる。
【0083】
ステップS204では、対象日ごとに発注点の計算処理を行う。処理の仕組みは、ステップS203と同様の仕組みで行う。発注点については、例えば(式2)の計算式により計算することが可能である。
【0084】
(式2)発注点=今回発注日から次回発注日に対する入庫日前日までの出庫予定量の合計(廃棄予定量含む)+安全在庫量
例えばITEM01の8月1日の発注点は、8月1日から、次回発注日の8月3日に対する入庫日の8月4日の前日、つまり8月3日までの出庫予定量の合計に安全在庫量を加えて(481+517+462)+100=1560となる。
8月2日は発注日となっていないため発注点の算出は不要、8月3日の発注点は、8月3日の廃棄予定量439も考慮して(462+520+439)+100=1521となる。廃棄予定量については後述する。
【0085】
ステップS205では、対象日ごとに発注要否の判定を行う。
【0086】
発注点>在庫量+発注残の場合(ステップS205:要)は、処理をステップS206に移行する。
【0087】
発注点≦在庫量+発注残の場合(ステップS205:否)は、処理をステップS208へ移行する。
【0088】
例えば、対象日が8月1日の場合は、発注点が1560に対し、在庫量が1437、発注残が1000のため、処理をステップS208に移行する。
【0089】
ステップS206では、対象日ごとに発注量の計算を行う。発注量については、例えば(式3)の計算式により計算することが可能である。
【0090】
(式3)発注量=CEILING(発注点-在庫量-今回発注日から次回発注に対する納入日前日までの発注残合計,発注ロット)
※CEILING(X,Y)はXをYの倍数の最も近い値に切り上げた数値。
【0091】
例えば、対象日が8月3日の場合は、発注点が1521に対し、在庫量が1439、発注残が0、発注ロットが1000のため、CEILING(1521ー1439ー0,1000)=1000となる。そして、計算した発注量をPSI情報管理部101cの該当する出荷期限の発注量に格納し、PSI情報管理部101cの在庫明細を更新する。このとき、計算した発注量の製造日は入庫日から製造経過みなし日数を減算して製造日を推測する。例えば、対象日が8月3日の場合は、入庫日が8月4日、製造経過みなし日数が3日なので、入庫される在庫の製造日は8月1日であるとみなす。また製造日は入庫日から計算しても良いし、発注日から計算しても良い。次に、製造日から各出荷期限および賞味期限を計算する。例えば、8月1日の製造日の場合、賞味期限の24を加算した8月24日となり、24日を3等分した8日が1/3期限、2等分した12日が1/2期限となる。
【0092】
ステップS207では、制御部101は、要求する出荷期限ごと発注量を、発注量テーブル102g(
図12)に保存する。
【0093】
ステップS208では、制御部101は、前日の出荷期限ごとの在庫量から当日の出荷期限ごとの出庫(出荷期限切れになり廃棄予定になった数量を含む)を減算し、さらに当日の入庫を加算した値を、当日の在庫量として更新する。そして、計算した当日の在庫量をPSI情報管理部101cの在庫量および在庫明細に格納する。
【0094】
例えば、8月3日の在庫量については、8月2日の在庫量-8月3日の出庫+8月3日の発注残+8月3日の入庫で求められる。具体的には、1439-(462+439)+0=538となる。廃棄予定の439は、製造日が7月26日の在庫について、1/3期限の期日である8月2日までに出庫予定とならなかった分が8月3日に出荷期限切れとなり廃棄予定となった数量である。
【0095】
図19は、ITEM01の1/3期限について、計算期間であるT=10(事前に設定)、つまり8月10日まで
図4に示す処理を実行した場合のPSI情報管理部101cのPSI情報(入庫+出庫+在庫)と在庫明細の一例を示す図である。
【0096】
図20は、ITEM01の1/2期限について、S201の処理が終了した場合のPSI情報管理部101cのPSI情報(入庫+出庫+在庫)と在庫明細の一例を示す図である。前回、つまり1/3期限について実行した結果である発注量、および、発注量に対する在庫明細が反映されていることがわかる。
【0097】
図21は、ITEM01の1/2期限について、計算期間であるT=10、つまり8月10日まで
図4に示す処理を実行した場合のPSI情報管理部101cのPSI情報(入庫+出庫+在庫)と在庫明細の一例を示す図である。1/3期限について実行した際に存在した廃棄予定がなくなっていることがわかる。
【0098】
上記により、複数の納入条件(出荷期限)が課される製品に対し、納入条件ごとの調達必要量を提示することが可能となる。
【0099】
また、販売者の要求する出荷期限が複数あっても、その出荷期限を守りつつ各出荷期限ごとの需要に応じた補給数を補給元へ要求することができ、かつ、補給元拠点での出荷期限切れによる廃棄を防止することができる。
【0100】
さらに、期限の短い在庫が潤沢に存在する場合、期限の長い順に計算すると、先に期限の長い需要に対して在庫が割り当てられるため、補充がかかりにくい。したがって、補給元拠点での出荷期限切れを最小化する場合は、期限の短い順に計算することで対応可能である。他方、どの出荷期限にも対応できるよう、なるべく期限の短い在庫を補給したい場合は、期限の長い順に計算することで対応可能である。
【0101】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
【0102】
また、本発明におけるプログラムは、
図3、
図4、
図5の処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムである。なお、本発明におけるプログラムは
図3、
図4、
図5の各装置の処理方法ごとのプログラムであってもよい。
【0103】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読み出し、実行することによっても本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0104】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0105】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、DVD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、EPROM、シリコンディスク等を用いることが出来る。
【0106】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0107】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0108】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、ひとつの機器から成る装置に適用しても良い。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0109】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ、データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0110】
100 入出力部
101 制御部
102 データ管理部