(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 43/16 20200101AFI20240703BHJP
B62J 43/23 20200101ALI20240703BHJP
B62J 9/27 20200101ALI20240703BHJP
B62J 9/14 20200101ALI20240703BHJP
B62J 11/24 20200101ALI20240703BHJP
【FI】
B62J43/16
B62J43/23
B62J9/27
B62J9/14
B62J11/24
(21)【出願番号】P 2023139279
(22)【出願日】2023-08-29
【審査請求日】2023-09-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】津島 寿夫
(72)【発明者】
【氏名】山村 理
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆世
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-83333(JP,A)
【文献】特開2010-83332(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2586686(EP,A1)
【文献】特開2010-76538(JP,A)
【文献】登録実用新案第3154660(JP,U)
【文献】特開平11-321747(JP,A)
【文献】特開2012-66669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 43/00, 9/00,11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインバッテリ及びサブバッテリの電力で走行可能な鞍乗型車両であって、
シート下方に設置された収容ボックスと、
前記メインバッテリを保持するメインホルダと、
前記サブバッテリを保持するサブホルダと、を備え、
前記メインホルダが前記収容ボックス外に設置され、
前記サブホルダが前記収容ボックス内に設置され、
前記収容ボックスにヘルメットが収容可能であり、
前記ヘルメットの装着口に前記サブバッテリが入り込むように、当該サブバッテリが前記サブホルダに保持されていることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
前記メインホルダ上の前記メインバッテリと前記サブホルダ上の前記サブバッテリが前記シート下方で前後に並んでいることを特徴とする
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記メインホルダは車幅方向の中央に設置されていることを特徴とする
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力によって走行する電動式の鞍乗型車両が開発されている。この種の鞍乗型車両として、メインバッテリとサブバッテリが設置されたスクータタイプの車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の鞍乗型車両では、シート前方に低床のフロアボードが設置されており、シート下方の空間がボディカバーによって覆われている。ボディカバーの内側には収容ボックスが設置されており、収容ボックスの上面開口がシートによって覆われている。シートが開かれることで収容ボックスにメインバッテリ及びサブバッテリが収容可能に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の鞍乗型車両では、収容ボックスがメインバッテリ及びサブバッテリに占有されている。収容ボックスに物品が収容されると、サブバッテリの収容できなくなって走行距離が短くなる。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、収容ボックス内に収容スペースを残しつつメインバッテリ及びサブバッテリを設置することができる鞍乗型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の鞍乗型車両は、メインバッテリ及びサブバッテリの電力で走行可能な鞍乗型車両であって、シート下方に設置された収容ボックスと、前記メインバッテリを保持するメインホルダと、前記サブバッテリを保持するサブホルダと、を備え、前記メインホルダが前記収容ボックス外に設置され、前記サブホルダが前記収容ボックス内に設置され、前記収容ボックスにヘルメットが収容可能であり、前記ヘルメットの装着口に前記サブバッテリが入り込むように、当該サブバッテリが前記サブホルダに保持されていることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の鞍乗型車両によれば、収容ボックス内にはメインバッテリが設置されないため、サブバッテリの収容スペースの他に物品の収容スペースが確保される。メインバッテリとサブバッテリによって走行距離を確保しつつ、収容ボックス内の収容スペースも確保することができる。また、サブバッテリを取り外すことで収容ボックスの収容スペースを広く利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】
図2の鞍乗型車両をA-A線に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図4の車体後部をB-B線に沿って切断した断面図である。
【
図6】
図5の車体後部をC-C線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の鞍乗型車両は、メインバッテリ及びサブバッテリの電力によって走行する。シート下方には収容ボックスが設置され、収容ボックス外にメインホルダが設置され、収容ボックス内にサブホルダが設置されている。メインホルダにメインバッテリが保持され、サブホルダにサブバッテリが保持されている。収容ボックス内にメインバッテリが設置されないため、サブバッテリの収容スペースの他に物品の収容スペースが確保される。メインバッテリとサブバッテリによって走行距離を確保しつつ、収容ボックス内の収容スペースも確保することができる。また、サブバッテリを取り外すことで収容ボックスの収容スペースを広く利用することもできる。
【実施例】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例の鞍乗型車両について説明する。
図1は本実施例の鞍乗型車両の左側面図である。
図2は本実施例の鞍乗型車両の右側面図である。なお、以下の図では、鞍乗型車両から車体カバーを取り外した状態を示している。また、以下の図では、矢印Frは車両前方、矢印Reは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1及び
図2に示すように、鞍乗型車両1の車体フレーム10にはシート41前方に低床のフロアボード45が設置されている。車体フレーム10の前端部にはヘッドパイプ11が設けられており、ヘッドパイプ11から後斜め下方にフロントフレーム12が延びている。フロントフレーム12の下部には左右一対のロアフレーム13が接続され、一対のロアフレーム13がフロアボード45の下側を後方に延びている。一対のロアフレーム13の後部からシート41に向かって一対のサイドフレーム14が立ち上がり、一対のサイドフレーム14の上部が後方に屈曲してシートフレーム15が形成されている。
【0012】
ヘッドパイプ11にはステアリングシャフト(不図示)を介してフロントフォーク31が操舵可能に支持されている。ステアリングシャフトの上部にはハンドル32が設けられており、フロントフォーク31の下部には前輪33が回転可能に支持されている。一対のサイドフレーム14から後方にU字状の一対のリアフレーム16が延びており、一対のリアフレーム16の後端の一対のリアブラケット18には後輪34が回転可能に支持されている。また、リアブラケット18及びリアフレーム16の上部にはリアフェンダ35が取り付けられ、リアフェンダ35によって後輪34が上方から覆われている。
【0013】
一対のシートフレーム15上にはシート41が支持されており、シートフレーム15の下方には収容ボックス29が設置されている。収容ボックス29は一対のサイドフレーム14の内側に位置しており、収容ボックス29の上部の出し入れ口がシート41によって上方から覆われている。一対のロアフレーム13上にはフロアボード45が設置されており、フロアボード45上の踏面にはシート41に座った運転者の脚部が載置される。フロアボード45の後部上面や収容ボックス29内にはバッテリホルダ50を介してバッテリ53が設置されており、フロアボード45の後部下側にはモータ60が設置されている。
【0014】
なお、詳細は後述するが、本実施例の鞍乗型車両1には、バッテリホルダ50としてメインホルダ51とサブホルダ52が設置されている。メインホルダ51にはモータ60に対して電力を供給するメインバッテリ54が着脱可能に保持されており、サブホルダ52にはモータ60に対して予備電力を供給するサブバッテリ55が着脱可能に保持されている。以下においては、メインホルダ51及びサブホルダ52を区別しないときにはバッテリホルダ50と総称して説明し、メインバッテリ54及びサブバッテリ55を区別しないときにはバッテリ53と総称して説明する。
【0015】
モータ60の出力軸にはドライブスプロケット36が設けられ、後輪34の車軸にはドリブンスプロケット37が設けられている。モータ60のドライブスプロケット36と後輪34のドリブンスプロケット37がチェーン38を介して連結されている。バッテリ53からモータ60に電力が供給されて、モータ60によってドライブスプロケット36、チェーン38、ドリブンスプロケット37を介して後輪34が駆動されている。左側のロアフレーム13にはサイドスタンド39が設けられており、サイドスタンド39を立てることによって車体が左側(車幅方向一方側)に傾けられた状態で自立される。
【0016】
メインバッテリ54及びサブバッテリ55を備えた電動式の鞍乗型車両1では、バッテリレイアウトによってはフロアボード45の踏面や収容ボックス29を十分に確保できない。また、一般的な鞍乗型車両では収容ボックス内に2つのバッテリが設置されるが、2つのバッテリに収容ボックス内が占有されてヘルメット等の物品が収容できない。そこで、本実施例の鞍乗型車両1では、収容ボックス29外にメインバッテリ54が設置され、収容ボックス29内にサブバッテリ55が設置されて、収容ボックス29内に物品用の収容スペースが十分に確保されている。
【0017】
以下、
図3及び
図4を参照して、鞍乗型車両の後部構造について説明する。
図3は本実施例の車体後部の右側面図である。
図4は
図2の鞍乗型車両をA-A線に沿って切断した断面図である。
【0018】
図3に示すように、一対のシートフレーム15上にはシート41が支持されており、収容ボックス29の前面よりもシート41が前方に突き出している。側面視にて収容ボックス29の前面は一対のサイドフレーム14と平行に形成され、一対のサイドフレーム14を覆うボディカバー26の内側に収容ボックス29が設置されている。ボディカバー26の内側では一対のサイドフレーム14の下部を連ねるフレームブリッジ21に収容ボックス29の下部が支持され、一対のシートフレーム15の後側を連ねるフレームブリッジ22に収容ボックス29の上部が支持されている。
【0019】
フロアボード45の後方からシート41に向けて一対のサイドフレーム14は立ち上がり、一対のサイドフレーム14よりも前方にシート41が突き出している。シート41の前半部はフロアボード45に対向しており、シート41の前半部によってフロアボード45の後部が上方から覆われている。一対のサイドフレーム14及び収容ボックス29がボディカバー26の内側に位置し、ボディカバー26の外側はフロアボード45とシート41に上下から挟まれた外部スペースになっている。フロアボード45とシート41の間の外部スペースが後方を除いて周囲に開放されている。
【0020】
フロアボード45とシート41の間の外部スペースにはメインホルダ51が設置され、収容ボックス29の内側にはサブホルダ52(
図4参照)が設置されている。メインホルダ51にはメインバッテリ54が保持され、サブホルダ52にはサブバッテリ55(
図5参照)が保持されている。側面視にてサイドフレーム14にメインバッテリ54が重ならないように、メインバッテリ54よりも後方に一対のサイドフレーム14が位置付けられている。ボディカバー26からメインバッテリ54が外部に露出されることで、着脱頻度の高いメインバッテリ54の着脱性が向上されている。
【0021】
メインホルダ51がシート41前端とサイドフレーム14の間に位置している。メインホルダ51にメインバッテリ54が保持されると、メインバッテリ54もシート41前端よりも後方に位置付けられる。このように、運転者の脚部よりも後方のスペースを利用してメインバッテリ54が設置される。運転者が脚部を真下に下ろした状態では、メインバッテリ54が運転者の脚部に干渉することがなく、シート41前方のフロアボード45には脚部を載せるのに十分な踏面が確保される。また、メインホルダ51は車幅方向の中央に設置されており、メインバッテリ54の側方を運転者の脚部の踏面として利用することもできる。
【0022】
メインバッテリ54はサイドフレーム14に沿うようにメインホルダ51に保持され、メインバッテリ54の後面の傾きがサイドフレーム14の傾きと略平行になっている。また、メインバッテリ54の上端部が下端部よりも前方になるように前傾している。メインバッテリ54がサイドフレーム14に近づけられると共に、メインバッテリ54の下端部が後方に位置付けられることでフロアボード45の踏面が広く確保されている。メインバッテリ54の真下にモータ60が設置されており、側面視にてメインバッテリ54とモータ60が上下に並べられることで、メインバッテリ54とモータ60がコンパクトに設置されている。
【0023】
フロアボード45が一対のロアフレーム13に下側から支持され、ロアフレーム13の下方にモータ60が位置付けられている。また、ロアフレーム13とサイドフレーム14の境界付近にリアフレーム16の基端部17が位置しており、このリアフレーム16の基端部17よりもモータ60が下方に位置付けられている。重量物であるモータ60が低位置にあるため、車体の重心が下がって走行安定性が向上する。さらに、停車状態でモータ60の駆動軸中心O1が後輪34の回転軸中心O2よりも下方に位置しているため、より車体の重心が下がって走行安定性が向上している。
【0024】
図4に示すように、収容ボックス29外にはメインホルダ51(
図5参照)が設置されている。メインホルダ51は上方及び左側方を開放した凹状に形成されており、メインホルダ51に対して左側からメインバッテリ54が着脱可能になっている。メインホルダ51の前後壁には一対のガイド穴(不図示)が形成され、メインバッテリ54の下部にはガイド穴に嵌る一対のガイド軸(不図示)が形成されている。また、メインホルダ51の底面からホルダ端子(不図示)が突き出しており、メインバッテリ54の底面の挿込口内にバッテリ端子(不図示)が設けられている。
【0025】
収容ボックス29内にはサブホルダ52が設置されている。サブホルダ52は上方を開放した凹状に形成されており、サブホルダ52に対して上側からサブバッテリ55が着脱可能になっている。サブホルダ52の左右壁には一対のガイド穴(不図示)が形成され、サブバッテリ55の下部にはガイド穴に嵌る一対のガイド軸(不図示)が形成されている。また、サブホルダ52の底面からホルダ端子(不図示)が突き出しており、サブバッテリ55の底面の挿込口内にバッテリ端子(不図示)が設けられている。このように、収容ボックス29の内外に分けてメインバッテリ54及びサブバッテリ55が設置されている。
【0026】
この場合、メインホルダ51に対してサイドスタンド39側からメインバッテリ54が着脱可能になっている。車体左側にはサイドスタンド39が設けられており、鞍乗型車両1の停車時には車体が左側に傾けて自立される。メインホルダ51が左側に傾けられているため、メインホルダ51に対して左側からスムーズにメインバッテリ54が着脱される。また、サブホルダ52に対して上側からサブバッテリ55が着脱可能になっている。サブホルダ52が前側に傾けられており、収容ボックス29の前面をガイド面としてサブバッテリ55に対して上側からスムーズにサブバッテリ55が着脱される。
【0027】
収容ボックス29外のメインバッテリ54の右側にはロック機構56が設けられている。ロック機構56は一対のサイドフレーム14を繋ぐ横断プレート(不図示)に取り付けられている。ロック機構56にはロック片(不図示)が設けられており、メインバッテリ54にはロック穴(不図示)が設けられている。ロック機構56の前面にはキーシリンダ(不図示)が設けられており、メカニカルキーによってキーシリンダが回転されることで、ロック片がロック穴に嵌ってメインバッテリ54が着脱不能にロックされる。なお、シート41が閉じられた状態でロックされることでサブバッテリ55の着脱が規制される。
【0028】
図5及び
図6を参照して、バッテリレイアウトについて説明する。
図5は
図4の車体後部をB-B線に沿って切断した断面図である。
図6は
図5の車体後部をC-C線に沿って切断した断面図である。
【0029】
図5に示すように、シート41下方に収容ボックス29が設置されている。収容ボックス29の前面下部は一対のサイドフレーム14を連なるフレームブリッジ21に支持され、収容ボックス29の後面上部は一対のシートフレーム15(
図4参照)を連ねるフレームブリッジ22に支持されている。収容ボックス29の下部後側はリアフェンダ35を避けるように湾曲している。収容ボックス29外にメインホルダ51が設置され、収容ボックス29内にサブホルダ52が設置されて、メインホルダ51上のメインバッテリ54とサブホルダ52上のサブバッテリ55がシート41下方で前後に並んでいる。
【0030】
一対のシートフレーム15の前端にはヒンジ機構42を介してシート41が連結されている。シート41によって収容ボックス29の上面の出し入れ口が開閉され、収容ボックス29の出し入れ口を通じてサブホルダ52に対してサブバッテリ55が着脱される。サブバッテリ55の前面が収容ボックス29の前面に対向し、側面視にてサブバッテリ55が収容ボックス29の前面と平行になるように設置されている。また、サブバッテリ55の上端部が下端部よりも前方になるように前傾している。これにより、サブバッテリ55の上方かつ後方にヘルメット76用の収容スペースが確保される。
【0031】
収容ボックス29内にてサブバッテリ55はフレームブリッジ21の後側に位置している。サブバッテリ55の近辺の収容ボックス29の前面下部がフレームブリッジ21によって支持されることで、サブバッテリ55がサイドフレーム14に近い位置で保持されて振動が抑えられている。側面視にて、収容ボックス29の前端部にサイドフレーム14が重なり、収容ボックス29の前面に沿ってサイドフレーム14が延びている。これにより、サイドフレーム14よりも後方の収容ボックス29の側面を車幅方向に膨らませてヘルメット76用の収容スペースが広く確保される(
図6参照)。
【0032】
図5及び
図6に示すように、収容ボックス29の車幅方向の中央にサブバッテリ55が設置され、サブバッテリ55とシート41の間には空きスペースが確保されている。サブバッテリ55の車幅方向の寸法はサブバッテリ55の前後方向の寸法及び高さ方向の寸法よりも小さい。サブバッテリ55の上方だけでなく、サブバッテリ55の両側方にも空きスペースが確保されている。収容ボックス29の空きスペースにヘルメット76が収容可能に形成されている。ヘルメット76の略半球状の外殻には内装材が設けられており、ヘルメット76の下面には頭部が入り込む装着口77が形成されている。
【0033】
ヘルメット76が装着口77を下方に向けた状態で収容ボックス29に収容されると、収容ボックス29内のサブバッテリ55がヘルメット76の装着口77から内側に進入してヘルメット76の内側に位置付けられる。ヘルメット76の装着口77にサブバッテリ55が入り込むように、サブバッテリ55がサブホルダ52に保持されている。ヘルメット76の中空部分にサブバッテリ55が入り込むことで、収容ボックス29内でサブバッテリ55とヘルメット76がコンパクトに収容されている。収容ボックス29が無駄に大きくならないため、車両後部のボリュームを抑えることができる。
【0034】
以上、本実施例の鞍乗型車両1によれば、収容ボックス29内にはメインバッテリ54が設置されないため、サブバッテリ55の収容スペースの他に物品の収容スペースが確保される。メインバッテリ54とサブバッテリ55によって走行距離を確保しつつ、収容ボックス29内の収容スペースも確保することができる。また、サブバッテリ55を取り外すことで収容ボックス29の収容スペースを広く利用することもできる。
【0035】
なお、本実施例においては、フロアボードの上方にメインホルダが設置されたが、メインホルダが収容ボックス外でサブホルダが収容ボックス内に設置されていれば、メインホルダの設置箇所は特に限定されない。例えば、メインホルダが収容ボックスの後方に設置されてもよい。
【0036】
また、本実施例においては、メインホルダが車幅方向の中央に設置されているが、メインホルダが車幅方向の一方側又は他方側に偏って設置されていてもよい。
【0037】
また、本実施例においては、ヘルメットとしてハーフヘルメットが収容ボックスに収容されているが、収容ボックスに収容されるヘルメットの種類は特に限定されない。例えば、ヘルメットしてフルフェイスヘルメットやオープンフェイスヘルメットが収容ボックスに収容されてもよい。
【0038】
また、本実施例のバッテリのレイアウトは上記の鞍乗型車両には限定されず、他の鞍乗型車両に採用されてもよい。なお、鞍乗型車両とは、運転者がシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、運転者がシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0039】
以上の通り、第1態様は、メインバッテリ(54)及びサブバッテリ(55)の電力で走行可能な鞍乗型車両(1)であって、シート(41)下方に設置された収容ボックス(29)と、メインバッテリを保持するメインホルダ(51)と、サブバッテリを保持するサブホルダ(52)と、を備え、メインホルダが収容ボックス外に設置され、サブホルダが収容ボックス内に設置されている。この構成によれば、収容ボックス内にはメインバッテリが設置されないため、サブバッテリの収容スペースの他に物品の収容スペースが確保される。メインバッテリとサブバッテリによって走行距離を確保しつつ、収容ボックス内の収容スペースも確保することができる。また、サブバッテリを取り外すことで収容ボックスの収容スペースを広く利用することもできる。
【0040】
第2態様は、第1態様において、収容ボックスにヘルメット(76)が収容可能であり、ヘルメットの装着口(77)にサブバッテリが入り込むように、当該サブバッテリがサブホルダに保持されている。この構成によれば、ヘルメットの中空部分にサブバッテリが入り込むことで、収容ボックス内でサブバッテリとヘルメットがコンパクトに収容される。収容ボックスが無駄に大きくならないため、車両後部のボリュームを抑えることができる。
【0041】
第3態様は、第1態様又は第2態様において、メインホルダは車幅方向の中央に設置されている。この構成によれば、メインバッテリの側方を運転者の脚部の踏面として利用することができる。
【0042】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0043】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0044】
1 :鞍乗型車両
29 :収容ボックス
41 :シート
51 :メインホルダ
52 :サブホルダ
54 :メインバッテリ
55 :サブバッテリ
76 :ヘルメット
77 :装着口
【要約】
【課題】収容ボックス内に収容スペースを残しつつメインバッテリ及びサブバッテリを設置する。
【解決手段】鞍乗型車両は、メインバッテリ(54)及びサブバッテリ(55)の電力で走行する。鞍乗型車両には、シート(41)下方に設置された収容ボックス(29)と、メインバッテリを保持するメインホルダ(51)と、サブバッテリを保持するサブホルダ(52)と、が設けられている。メインホルダが収容ボックス外に設置され、サブホルダが収容ボックス内に設置されている。
【選択図】
図5