(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】光電センサ
(51)【国際特許分類】
H03K 17/78 20060101AFI20240703BHJP
G01V 8/12 20060101ALI20240703BHJP
H01H 35/00 20060101ALN20240703BHJP
【FI】
H03K17/78 T
G01V8/12 Z
H01H35/00 U
(21)【出願番号】P 2020040174
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】木焦 火炎
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-19939(JP,A)
【文献】実公平3-11753(JP,Y2)
【文献】特開2021-141021(JP,A)
【文献】特開2020-94907(JP,A)
【文献】特開2020-85626(JP,A)
【文献】特開2020-22091(JP,A)
【文献】特開2010-85357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V8/10-8/26
H01H35/00
H03K17/78-17/795
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域を順次通過していく複数の対象物の検出に用いられる光電センサであって、
前記検出領域に向けて光を出射する投光部と、
前記検出領域を挟んで前記投光部と対向して配置され、前記光の受光量に対応する時系列の信号値を取得する受光部と、
対象物が前記検出領域にあることを識別するための条件である到来条件を前記時系列の信号値が満たすか否かを判定することを前記到来条件が満たされるまで継続する処理と、
対象物が前記検出領域にないことを識別するための条件であるリセット条件を前記時系列の信号値が満たすか否かを判定することを前記リセット条件が満たされるまで継続する処理とを交互に繰り返す判定部と、を備え、
前記到来条件は、対象物が前記検出領域にない場合の受光量が得られている状態に続いて対象物が前記検出領域にない場合の受光量より受光量が大きい受光量増加状態となることを識別するための第1条件と、前記第1条件を満たした後に、前記第1条件充足の判断に寄与した前記受光量増加状態に続く受光量の急激な減少の発生を識別するための条件と、を含
み、
前記受光量の急激な減少は、前記時系列の信号値の微分値が、負数である第1閾値を下回ることを識別するための条件である、
光電センサ。
【請求項2】
前記リセット条件は、前記受光量増加状態に続いて対象物が前記検出領域にない場合の受光量が得られている状態となることを識別するための第2条件を含む、
請求項1に記載の光電センサ。
【請求項3】
前記リセット条件は、前記受光量増加状態よりも大きい受光量の急激な増加に続いて前記受光量増加状態となり、その前記受光量増加状態の寄与によって前記第2条件を満たすことを識別するための条件を含み、
前記受光量の急激な増加は、前記時系列の信号値の微分値が、正数である第2閾値を上回ることを識別するための条件である、
請求項2に記載の光電センサ。
【請求項4】
前記受光量増加状態は、前記時系列の信号値が、前記対象物が到来していない期間に取得される前記時系列の信号値の平均値より大きい第1基準値と、前記第1基準値より大きい第2基準値とにより定められる範囲内に所定の期間にわたって収まる状態である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光電センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明体を含む対象物を検出する光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物の有無を検出するセンサとして、対象物に光を照射し、対象物を透過する光を検出したり、対象物による光の遮蔽を検出したり、対象物により反射した光を検出したりする光電センサが用いられている。ここで、対象物は、透明体の場合がある。
【0003】
透明体を検出する光電センサについて、例えば下記特許文献1には、直線偏光を透明体に投光して、透明体を透過した光の2つ以上の偏光成分をそれぞれ個別に受光し、各偏光成分の受光量の変化に基づいて透明体の有無を検出する光電センサが記載されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、物体検出領域へ投光し、物体検出領域からの当該光の受光量を取得するタイミング又は期間の指示を受け付けて、指示に対応したタイミング又は期間に取得した受光量に基づいて、受光量を表示するための基準となる表示基準量を決定する光電センサが記載されている。光電センサは、さらに、取得した受光量に基づいて、物体の有無を判断するための閾値を表示基準量よりも小さな値として算出し、受光量が表示基準量以上である場合はゼロに、受光量が表示基準量よりも小さい場合は、受光量が小さくなるにつれ値が大きくなる表示用受光量に変換し、変換された表示用受光量を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-107475号公報
【文献】特開2009-152813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光電センサによって透明体を検出するために、例えば特許文献1に記載の技術のように、不透明体を検出する場合には必要とされなかったハードウェアを追加することがある。そのような光電センサは、実質的に透明体検出のための専用機となり、不透明体を検出する光電センサとは別に導入する必要があった。
【0007】
また、受光量と閾値の比較によって透明体を検出する場合、例えば特許文献2に記載の技術のように表示を工夫したとしても、閾値の設定は依然として困難な場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、閾値の設定が不要であり、簡易な構成で対象物が透明体の場合でも対象物を検出できる光電センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る光電センサは、検出領域を順次通過していく複数の対象物の検出に用いられる光電センサであって、検出領域に向けて光を出射する投光部と、検出領域を挟んで投光部と対向して配置され、光の受光量に対応する時系列の信号値を取得する受光部と、時系列の信号値が到来条件を満たすか否かを判定することを到来条件を満たすまで継続する処理と、時系列の信号値がリセット条件を満たすか否かを判定することをリセット条件を満たすまで継続する処理とを交互に繰り返す判定部と、を備え、到来条件は、対象物がない場合の受光量が得られている状態に続いて対象物がない場合の受光量より受光量が大きい受光量増加状態となることを識別するための第1条件を含む。
【0010】
この態様によれば、閾値の設定が不要であり、簡易な構成で対象物が透明体の場合でも対象物を検出できるようになる。
【0011】
上記態様において、到来条件は、第1条件を満たした後に、第1条件充足の判断に寄与した受光量増加状態に続く受光量の急激な減少の発生を識別するための条件を含んでもよい。
【0012】
この態様によれば、受光量増加状態の識別だけでなく、その後の受光量の急激な減少の発生を識別することで、到来検出における誤検出がより生じにくくなる。
【0013】
上記態様において、リセット条件は、受光量増加状態に続いて対象物がない場合の受光量が得られている状態となることを識別するための第2条件を含んでもよい。
【0014】
上記態様において、リセット条件は、受光量の急激な増加に続いて受光量増加状態となり、その受光量増加状態の寄与によって第2条件を満たすことを識別するための条件を含んでもよい。
【0015】
この態様によれば、受光量増加状態に続いて対象物がない場合の受光量が得られている状態の識別だけでなく、受光量の急激な増加に続いてその受光量増加状態となることを識別することで、通過終了検出(リセット条件識別)における誤検出がより生じにくくなる。
【0016】
上記態様において、受光量増加状態は、時系列の信号値が、対象物が到来していない期間に取得される時系列の信号値の平均値より大きい第1基準値と、第1基準値より大きい第2基準値とにより定められる範囲内に所定の期間にわたって収まる状態であってもよい。
【0017】
上記態様において、受光量の急激な減少は、時系列の信号値の微分値が、負数である第1閾値を下回ることを識別するための条件であってもよい。
【0018】
上記態様において、受光量の急激な増加は、時系列の信号値の微分値が、正数である第2閾値を上回ることを識別するための条件であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、閾値の設定が不要であり、簡易な構成で対象物が透明体の場合でも対象物を検出できる光電センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る光電センサを含む検出システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る光電センサの構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る光電センサの処理部の構成の一例を示す図である。
【
図4a】本実施形態に係る光電センサに対象物が接近する様子を示す図である。
【
図4b】本実施形態に係る光電センサから出射された光の一部が対象物によって反射されて受光される様子を示す図である。
【
図4c】本実施形態に係る光電センサから出射された光の一部が対象物によって反射されて受光量が減少する様子を示す図である。
【
図4d】本実施形態に係る光電センサから出射された光が対象物を透過する様子を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る光電センサにより測定される受光量の例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る光電センサにより実行される対象物を検出する処理のフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る光電センサにより実行される自動調整処理のフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る光電センサにより実行される対象物を検出する処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る光電センサにより実行される対象物を検出する処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る光電センサにより実行される対象物を検出する処理のフローチャートである。
【
図11】第2実施形態に係る光電センサにより実行される自動調整処理のフローチャートである。
【
図12】第2実施形態に係る光電センサにより実行される対象物を検出する処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図13】第2実施形態に係る光電センサにより実行される対象物を検出する処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」と表記する。)を、図面に基づいて説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0022】
[第1実施形態]
[構成例]
図1及び2を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る光電センサ10の構成の一例について説明する。
図1は、第1実施形態に係る光電センサ10を含む検出システム1の概要を示す図である。検出システム1は、光電センサ10と、コントローラ20と、コンピュータ30と、ロボット40と、搬送装置50とを備える。
【0023】
光電センサ10は、検出領域10aに対象物100が到来したか否かに応じて値が変化する物理量に対応する信号値に基づいて、検出領域10aに対象物100が到来したことを検出する装置である。光電センサ10は、検出領域10aを順次通過していく複数の対象物100の検出に用いられる。光電センサ10は、透過型の光電センサであってよい。光電センサ10は、透過型で検出するように配置された投光用光ファイバ101及び受光用光ファイバ102を備えている。対象物100が光電センサ10の検出領域10aに到来すると、光電センサ10によって検出される光量が変動する。
【0024】
ここで、検出領域10aは、投光部11の光出射部分から受光部12の光入射部分に直接到達していた光線が、その領域に対象物100が存在することにより直接到達しなくなるような領域である。ここで、「直接到達しなくなる」には、到着しなくなる場合のほか、対象物100による光線の反射または屈折を経て間接的に到達するようになる場合も含む。
【0025】
対象物100は、光電センサ10による検出の対象となる物であり、任意の形状の物体である。本実施形態では、対象物100が透明部材で構成されている場合について記載する。もっとも、対象物100は、遮光部材で構成されていてもよい。対象物100は、例えば生産される製品の完成品であったり、部品等の未完成品であったりしてよい。
【0026】
コントローラ20は、ロボット40及び搬送装置50を制御する。コントローラ20は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)で構成されてよい。コントローラ20は、光電センサ10からの出力により対象物100が到来したことを検知し、ロボット40を制御する。
【0027】
コンピュータ30は、光電センサ10、コントローラ20及びロボット40の設定を行う。また、コンピュータ30は、コントローラ20から、コントローラ20による制御の実行結果を取得する。
【0028】
ロボット40は、コントローラ20による制御に従って、対象物100を操作したり加工したりする。ロボット40は、例えば対象物100をピックアップして別の場所に移動させたり、対象物100を切削したり、組み立てたりしてよい。
【0029】
搬送装置50は、コントローラ20による制御に従って、対象物100を搬送する装置である。搬送装置50は、例えばベルトコンベアであってよく、コントローラ20により設定された速度で対象物100を搬送してよい。
【0030】
図2は、本実施形態に係る光電センサ10の構成を示す図である。光電センサ10は、投光部11、受光部12、処理部13、操作部14及び出力部15を備える。
【0031】
<投光部>
投光部11は、対象物100が到来する検出領域10aに向けて光を出射する。投光部11は、投光素子11a及び駆動回路11bを含んでよい。投光素子11aは、LED(Light Emitting Diode)やレーザダイオードで構成されてよく、駆動回路11bは、投光素子11aを発光させるための電流を制御する。駆動回路11bは、投光素子11aを間欠的に、例えば0.1ms周期でパルス発光させてよい。投光素子11aから出射した光は、図示しないレンズ又は
図1の投光用光ファイバ101を介して、検出領域10aに照射されてよい。
【0032】
<受光部>
受光部12は、検出領域10aを挟んで投光部11と対向して配置され、光の受光量に対応する時系列の信号値を取得する。受光部12は、受光素子12a、増幅器12b、サンプル/ホールド回路12c及びA/D変換器12dを含んでよい。受光素子12aは、フォトダイオードによって構成されてよく、受光量を電気的な出力信号に変換する。受光部12は、検出領域10aにおいて反射又は透過した光を、図示しないレンズ又は
図1の受光用光ファイバ102を介して受光素子12aに入射させてよい。増幅器12bは、受光素子12aの出力信号を増幅する。サンプル/ホールド回路12cは、投光部11によるパルス発光のタイミングに同期して、増幅器12bにより増幅された受光素子12aの出力信号を保持する。これにより外乱光の影響が低減される。A/D変換器12dは、サンプル/ホールド回路12cにより保持されたアナログの信号値をデジタル値である受光量の値に変換する。受光部12は、検出領域10aからの光を受光し、受光量を逐次信号値に変換する測定部の一例である。
【0033】
<処理部>
処理部13は、動作制御部13a、メモリ13b及び判定部13cを含む。処理部13は、例えば、マイクロプロセッサ、メモリ及びメモリに格納されたプログラム等から構成されるコンピュータとして構成されてよい。
【0034】
動作制御部13aは、後述する判定処理の他、光電センサ10全体の動作を統括制御してよい。
【0035】
メモリ13bは、受光部12で取得した、光の受光量に対応する時系列の信号値を記憶する。メモリ13bは、任意の記憶媒体で構成されてよいが、例えばFIFO(First In First Out)メモリで構成されてよい。
【0036】
判定部13cは、時系列の信号値が到来条件を満たすか否かを判定することを到来条件を満たすまで継続する処理と、時系列の信号値がリセット条件を満たすか否かを判定することをリセット条件を満たすまで継続する処理とを交互に繰り返す。ここで、到来条件は、対象物100が検出領域10aに到来したことを識別するための条件である。また、リセット条件は、対象物100が検出領域10aから脱出したことを識別するための条件である。
【0037】
<操作部>
操作部14は、光電センサ10の操作を行うためのものであり、操作スイッチ、表示器等を含んでよい。
【0038】
<出力部>
出力部15は、判定部13cによる判定結果を含む様々なデータの出力を行う。出力部15は、最も簡単には判定部13cによる判定結果の2値出力を行ってよい。出力部15は、判定部13cにより到来条件を満たすと判定された場合に、検出領域10aに対象物100が到来したことを示す信号を出力してよい。また、出力部15は、判定部13cによりリセット条件を満たすと判定された場合に、対象物100が検出領域10aから脱出したことを示す信号を出力してよい。出力部15は、大量のデータの出力を行える通信機能を備えていてもよい。
【0039】
図3は、第1実施形態に係る光電センサ10の動作を説明する図である。処理部13は、第1周期で、メモリ13bに記憶されている信号値を更新して、A/D変換器12dから出力された受光量のデジタル値を記憶する。
【0040】
メモリ13bの更新を行う第1周期は、投光部11のパルス発光及びA/D変換器12dによる変換の周期(第2周期とする)と同じであってもよいし、第2周期の整数倍のように異なっていてもよい。例えば、第2周期は、光電センサ10に固有の値(例えば0.1ms)に固定されていてもよい。第1周期は、
図1に示すコンピュータ30からコントローラ20経由で設定可能であってもよい。第1周期は、同時に処理したい信号値波形の範囲がメモリ13bに収まるように決められる必要がある。第1周期は、第2周期よりも長い場合が多く、例えば1msであってよい。
【0041】
判定部13cは、メモリ13bに格納されている信号値が到来条件を満たすか否かの判定又はリセット条件を満たすか否かの判定を第1周期で行い、判定結果を第1周期で動作制御部13aに対して出力する。
【0042】
到来条件は、対象物100がない場合の受光量が得られている状態に続いて対象物100がない場合の受光量より受光量が大きい受光量増加状態となることを識別するための第1条件を含んでよい。ここで、対象物100がない場合の受光量が得られている状態は、例えば、対象物100がない場合の受光量の平均値をμと表し、対象物100がない場合の受光量の標準偏差をσと表すとき、受光量が所定期間にわたってμ±c×σの範囲内となることであってよい。ここで、cは任意の定数であり、例えば1であってよい。
【0043】
また、受光量増加状態は、対象物100がない場合の受光量よりも有意に大きい受光量が得られている状態である。対象物100がない場合の受光量は、光学的又は電気的なノイズや、投光部11又は受光部12に与えられる振動によって変動するが、受光量増加状態における有意な受光量増加は、ノイズや振動による受光量の変動の大きさを超える大きさの受光量増加の場合であってよく、ノイズや振動による受光量の変動によっては生じない長さの時間にわたって持続する受光量増加の場合であってもよい。
【0044】
受光量増加状態は、時系列の信号値が、対象物100が到来していない期間に取得される時系列の信号値の平均値より大きい第1基準値と、第1基準値より大きい第2基準値とにより定められる範囲内に所定の期間にわたって収まる状態であってよい。例えば、対象物100が到来していない期間に取得される時系列の信号値の平均値をμと表し、対象物100が到来していない期間に取得される時系列の信号値の標準偏差をσと表すとき、第1基準値をμ+c1×σとし、第2基準値をμ+c2×σ(c1<c2)としてよい。ここで、c1及びc2は任意の定数であり、例えば、c1=2,c2=4であってよい。
【0045】
リセット条件は、受光量増加状態に続いて対象物100がない場合の受光量が得られている状態となることを識別するための第2条件を含んでよい。リセット条件は、例えば、受光量が所定期間にわたって第1基準値(μ+c1×σ)以上、第2基準値(μ+c2×σ)以下の範囲内となった後、受光量が所定期間にわたってμ±c1×σの範囲内となることであってよい。
【0046】
図4aは、本実施形態に係る光電センサ10に対象物100が接近する様子を示す図である。同図に示すように、検出領域10aに対象物100がない場合、投光部11から出射された光の一部が、受光部12によって受光される。
【0047】
図4bは、本実施形態に係る光電センサ10から出射された光の一部が対象物100によって反射されて受光される様子を示す図である。同図に示すように、対象物100が投光部11と受光部12に挟まれる領域に接近すると、投光部11から出射された光の一部が対象物100によって反射され、検出領域10aに対象物100がない場合よりも受光量が一時的に増大する。
【0048】
図4cは、本実施形態に係る光電センサ10から出射された光の一部が対象物100によって反射されて受光量が減少する様子を示す図である。同図に示すように、対象物100が投光部11と受光部12に挟まれる領域にさらに接近すると、投光部11から出射された光が対象物100によって反射され、受光部12に入射する光量が減少する。
【0049】
図4dは、本実施形態に係る光電センサ10から出射された光が対象物100を透過する様子を示す図である。同図に示すように、対象物100が投光部11と受光部12に挟まれる領域に侵入すると、投光部11から出射された光が対象物100を透過し、受光部12に入射するようになる。この時、受光量は、検出領域10aに対象物100がない場合よりも低下する。なお、対象物100が遮光部材で構成される場合、当然ながら受光部12に光が入射しなくなる。
【0050】
図5は、本実施形態に係る光電センサ10により測定される受光量(時系列の信号値)の例を示す図である。同図では、対象物100がない場合の受光量が得られている状態を示す第1領域Aと、対象物100がない場合の受光量より受光量が大きい受光量増加状態を示す第2領域Bと、受光量増加状態に続いて受光量の急激な減少が発生している第3領域Cと、受光量の急激な増大が発生している第4領域Dと、受光量の急激な増加に続く受光量増加状態を示す第5領域Eと、対象物100がない場合の受光量が得られている状態を示す第6領域Fと、を含む。
【0051】
検出領域10aに対象物100がない場合、第1領域Aのように、受光量が所定期間にわたって平均値μと実質的に等しい。ここで、平均値μは、検出領域10aに対象物100がない状態において取得された時系列の信号値の平均値である。また、受光量が所定期間にわたって平均値μと実質的に等しいとは、受光量が所定期間にわたってμ±c×σの範囲内となることであってよい。
図5では、μ±σ(c=1)の場合を例示している。
【0052】
検出領域10aに対象物100が接近し、投光部11から出射された光が反射されると、受光量が一時的に増加して、第2領域Bに示されている盛り上がり波形が観測される。盛り上がり波形は、受光量増加状態であり、受光量が所定期間にわたって第1基準値(μ+c
1×σ)以上、第2基準値(μ+c
2×σ)以下の範囲内に収まる。
図5では、第1基準値としてμ+2σ(c
1=2)を例示し、第2基準値としてμ+4σ(c
2=4)を例示している。
【0053】
光電センサ10は、対象物100がない場合の受光量が得られている状態に続いて受光量増加状態を識別した場合に、時系列の信号値が到来条件を満たすと判定する。光電センサ10は、第2領域Bのタイミングで到来条件を満たすと判定した後、リセット条件を満たすか否かをリセット条件を満たすまで継続する処理を行う。
【0054】
その後、受光量が急激に低下する第3領域Cが現れ、対象物100が通過する間、検出領域10aに対象物100がない状態において取得された時系列の信号値の平均値μよりも有意に小さい受光量でほぼ一定となる。
【0055】
その後、受光量が急激に増加する第4領域Dが現れ、第5領域Eに示されている盛り上がり波形が観測される。盛り上がり波形は、受光量増加状態であり、受光量が所定期間にわたって第1基準値(μ+2σ)以上、第2基準値(μ+4σ)以下の範囲内に収まる。
【0056】
続いて、第6領域Fにおいて、対象物100がない場合の受光量が得られている状態となり、受光量が所定期間にわたって平均値μと実質的に等しくなる。
【0057】
光電センサ10は、受光量増加状態に続いて対象物100がない場合の受光量が得られている状態を識別した場合に、時系列の信号値がリセット条件を満たすと判定する。光電センサ10は、第6領域Fのタイミングでリセット条件を満たすと判定した後、到来条件を満たすか否かを到来条件を満たすまで継続する処理を行う。
【0058】
このように、本実施形態に係る光電センサ10によれば、時系列の信号値が到来条件を満たすか否かを判定することと、リセット条件を満たすか否かを判定することを交互に繰り返すことで、閾値の設定を不要として、簡易な構成で対象物100が透明体の場合でも対象物100を検出できる。また、時系列の信号値が到来条件を満たすか否かを判定することと、リセット条件を満たすか否かを判定することを交互に繰り返すことで、対象物100の誤検出を防止することができる。
【0059】
図6は、本実施形態に係る光電センサ10により実行される対象物100を検出する処理のフローチャートである。はじめに、光電センサ10は、自動調整動作を行う(S10)。自動調整動作の詳細は、次図を用いて詳細に説明する。なお、自動調整動作は、光電センサ10の電源がオンとなった初回に一度行われればよく、処理を中断して再開する場合、自動調整動作は省略されてよい。
【0060】
次に、光電センサ10は、安定状態から盛り上がり波形検出待ちの処理を行う(S11)。すなわち、光電センサ10は、到来条件検出待ちの処理を行う。光電センサ10は、例えば、対象物100がない場合の受光量が得られている状態に続いて対象物100がない場合の受光量より受光量が大きい受光量増加状態となることを識別するための第1条件が満たされるのを待つ。
【0061】
安定状態から盛り上がり波形への遷移が検出された場合、光電センサ10は、検出したことを出力する(S12)。検出したことの出力は、どのような態様で行われてもよいが、例えば、表示灯を点灯することとしたり、検出信号を外部に出力したりしてよい。
【0062】
その後、光電センサ10は、盛り上がり波形から安定状態検出待ちの処理を行う(S13)。すなわち、光電センサ10は、リセット条件検出待ちの処理を行う。光電センサ10は、例えば、受光量増加状態に続いて対象物100がない場合の受光量が得られている状態となることを識別するための第2条件が満たされるのを待つ。
【0063】
盛り上がり波形から安定状態への遷移が検出され、電源オフされない場合(S14:NO)、光電センサ10は、再び処理S11~S13を実行する。一方、電源オフされる場合(S14:YES)、対象物100を検出する処理が終了する。
【0064】
図7は、本実施形態に係る光電センサ10により実行される自動調整処理のフローチャートである。同図では、
図6の自動調整動作(S10)の詳細を示している。自動調整動作(S10)は、検出領域10aに対象物100がない状態で行われる。
【0065】
はじめに、光電センサ10は、投光量及び受光アンプゲインの調整を行う(S101)。そして、光電センサ10は、複数の信号値を取得し(S102)、複数の信号値の平均値μを算出する(S103)。また、光電センサ10は、複数の信号値の標準偏差σを算出する(S104)。
【0066】
続いて、光電センサ10は、平均値μ及び標準偏差σに基づいて、μ+c1×σを第1基準値に設定し(S105)、μ+c2×σを第2基準値に設定する(S106)。ここで、c1<c2である。なお、前述のように、第1基準値及び第2基準値は、受光量増加状態の判定に用いられる。
【0067】
図8は、本実施形態に係る光電センサ10により実行される対象物100を検出する処理の詳細を示すフローチャートである。同図では、
図6に示す処理のうち、処理S11~S12の詳細を示している。安定状態から盛り上がり波形検出待ちの処理(S11)は、信号値を取得し、メモリ13bに格納する処理(S111)と、信号値が所定期間にわたって平均値と実質的に等しいか否かを判定する処理(S112)とを含む。光電センサ10は、信号値が所定期間にわたって平均値と実質的に等しくなっていないと判定した場合(S112:NO)、新たな信号値を取得し、メモリ13bに格納する(S111)。一方、信号値が所定期間にわたって平均値と実質的に等しいと判定した場合(S112:YES)、光電センサ10は、新たな信号値を取得してメモリ13bに格納し(S113)、信号値が所定期間にわたって第1基準値以上、第2基準値以下の範囲内であるか否かを判定する(S114)。
【0068】
信号値が所定期間にわたって第1基準値以上、第2基準値以下の範囲内であると判定されると(S114:YES)、光電センサ10は、検出したことを出力する(S12)。
【0069】
図9は、本実施形態に係る光電センサ10により実行される対象物100を検出する処理の詳細を示すフローチャートである。同図では、
図6に示す処理のうち、処理S13の詳細を示している。盛り上がり波形から安定状態検出待ちの処理(S13)は、信号値を取得し、メモリ13bに格納する処理(S131)と、信号値が所定期間にわたって第1基準値以上、第2基準値以下の範囲内であるか否かを判定する処理(S132)とを含む。信号値が所定期間にわたって第1基準値以上、第2基準値以下の範囲内でないと判定した場合(S132:NO)、光電センサ10は、新たな信号値を取得し、メモリ13bに格納する(S131)。一方、信号値が所定期間にわたって第1基準値以上、第2基準値以下の範囲内であると判定した場合(S132:YES)、光電センサ10は、新たな信号値を取得てメモリ13bに格納し(S133)、信号値が所定期間にわたって平均値と実質的に等しいか否かを判定する(S134)。
【0070】
信号値が所定期間にわたって平均値と実質的に等しいと判定されると(S134:YES)、光電センサ10は、リセット条件が満たされたと判定し、再び到来条件の検出を行う(
図6参照)。
【0071】
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態に係る光電センサ10により実行される対象物を検出する処理のフローチャートである。本実施形態に係る光電センサ10の物理的構成は、第1実施形態の係る光電センサ10の物理的構成と同じであってよいが、本実施形態に係る光電センサ10の判定部13cにより用いられる到来条件及びリセット条件は、第1実施形態に係る光電センサ10の判定部13cにより用いられる到来条件及びリセット条件と異なる。
【0072】
具体的には、本実施形態において、到来条件は、対象物100がない場合の受光量が得られている状態に続いて対象物100がない場合の受光量より受光量が大きい受光量増加状態となることを識別するための第1条件と、第1条件を満たした後に、第1条件充足の判断に寄与した受光量増加状態に続く受光量の急激な減少の発生を識別するための条件とを含む。すなわち、本実施形態に係る光電センサ10は、
図5に示す第1領域A及び第2領域Bに加えて、第3領域Cを検出した場合に、到来条件が満たされたと判定する。
【0073】
また、本実施形態において、リセット条件は、受光量増加状態に続いて対象物100がない場合の受光量が得られている状態となることを識別するための第2条件と、受光量の急激な増加に続いて受光量増加状態となり、その受光量増加状態の寄与によって第2条件を満たすことを識別するための条件とを含む。すなわち、本実施形態に係る光電センサ10は、
図5に示す第4領域Dと、第5領域E及び第6領域Fとを検出した場合に、リセット条件が満たされたと判定する。
【0074】
ここで、受光量の減少及び増加についての「急激な」とは、対象物100の端部が検出領域10aを横切るのに要する時間の間に対象物100の端部の通過を原因とする変化であると評価できる所定の大きさ以上の変化があることを意味する。ここで、所定の大きさは、例えば対象物100がない場合の受光量の大きさの5%、10%、又は20%であってよい。
【0075】
到来条件における受光量の急激な減少は、時系列の信号値の微分値が、負数である第1閾値を下回ることを識別するための条件であってよい。また、リセット条件における受光量の急激な増加は、時系列の信号値の微分値が、正数である第2閾値を上回ることを識別するための条件であってよい。
【0076】
到来条件について、受光量増加状態の識別だけでなく、その後の受光量の急激な減少の発生を識別することで、到来検出における誤検出がより生じにくくなる。また、リセット条件について、受光量増加状態に続いて対象物100がない場合の受光量が得られている状態の識別だけでなく、受光量の急激な増加に続いてその受光量増加状態となることを識別することで、通過終了検出(リセット条件識別)における誤検出がより生じにくくなる。
【0077】
はじめに、光電センサ10は、自動調整動作を行う(S20)。自動調整動作の詳細は、次図を用いて詳細に説明する。なお、自動調整動作は、光電センサ10の電源がオンとなった初回に一度行われればよく、処理を中断して再開する場合、自動調整動作は省略されてよい。
【0078】
次に、光電センサ10は、安定状態から盛り上がり波形検出待ちの処理を行う(S21)。続いて、光電センサ10は、立ち下がり波形検出待ちの処理を行う(S22)。すなわち、光電センサ10は、到来条件検出待ちの処理を行う。光電センサ10は、例えば、対象物100がない場合の受光量が得られている状態に続いて対象物100がない場合の受光量より受光量が大きい受光量増加状態となることを識別するための第1条件が満たされるのを待ち、第1条件を満たした後に、第1条件充足の判断に寄与した受光量増加状態に続く受光量の急激な減少の発生を識別するための条件が満たされるのを待つ。
【0079】
到来条件が検出された場合、光電センサ10は、検出したことを出力する(S23)。検出したことの出力は、どのような態様で行われてもよいが、例えば、表示灯を点灯することとしたり、検出信号を外部に出力したりしてよい。
【0080】
その後、光電センサ10は、立ち上がり波形検出待ちの処理を行う(S24)。続いて、光電センサ10は、盛り上がり波形から安定状態検出待ちの処理を行う(S25)。すなわち、光電センサ10は、リセット条件検出待ちの処理を行う。光電センサ10は、例えば、受光量の急激な増加に続いて受光量増加状態となり、その受光量増加状態に続いて対象物100がない場合の受光量が得られている状態となることを識別するための第2条件が満たされるのを待つ。
【0081】
リセット条件が検出され、電源オフされない場合(S26:NO)、光電センサ10は、再び処理S21~S25を実行する。一方、電源オフされる場合(S26:YES)、対象物100を検出する処理が終了する。
【0082】
図11は、本実施形態に係る光電センサ10により実行される自動調整処理のフローチャートである。同図では、
図10の自動調整動作(S20)の詳細を示している。自動調整動作(S20)は、検出領域10aに対象物100がない状態で行われる。
【0083】
はじめに、光電センサ10は、投光量及び受光アンプゲインの調整を行う(S201)。そして、光電センサ10は、複数の信号値を取得し(S202)、複数の信号値の平均値μを算出する(S203)。また、光電センサ10は、複数の信号値の標準偏差σを算出する(S204)。
【0084】
続いて、光電センサ10は、平均値μ及び標準偏差σに基づいて、μ+c1×σを第1基準値に設定し(S205)、μ+c2×σを第2基準値に設定する(S206)。ここで、c1<c2である。なお、前述のように、第1基準値及び第2基準値は、受光量増加状態の判定に用いられる。
【0085】
さらに、光電センサ10は、負数である第1閾値を設定し(S207)、正数である第2閾値を設定する(S208)。
【0086】
図12は、本実施形態に係る光電センサ10により実行される対象物100を検出する処理の詳細を示すフローチャートである。同図では、
図10に示す処理のうち、処理S21~S23の詳細を示している。安定状態から盛り上がり波形検出待ちの処理(S21)は、信号値を取得し、メモリ13bに格納する処理(S211)と、信号値が所定期間にわたって平均値と実質的に等しいか否かを判定する処理(S212)とを含む。光電センサ10は、信号値が所定期間にわたって平均値と実質的に等しくなっていないと判定した場合(S212:NO)、新たな信号値を取得し、メモリ13bに格納する(S211)。一方、信号値が所定期間にわたって平均値と実質的に等しいと判定した場合(S212:YES)、光電センサ10は、新たな信号値を取得してメモリ13bに格納し(S213)、信号値が所定期間にわたって第1基準値以上、第2基準値以下の範囲内であるか否かを判定する(S214)。
【0087】
信号値が所定期間にわたって第1基準値以上、第2基準値以下の範囲内であると判定されると(S214:YES)、光電センサ10は、新たな信号値を取得してメモリ13bに格納し(S221)、信号値の微分が第1閾値を下回ったか否かを判定する(S222)。信号値の微分が第1閾値を下回っていない場合(S222:NO)、光電センサ10は、新たな信号値を取得し、メモリ13bに格納する(S221)。一方、信号値の微分が第1閾値を下回ったと判定した場合(S222:YES)、光電センサ10は、検出したことを出力する(S12)。
【0088】
図13は、本実施形態に係る光電センサ10により実行される対象物100を検出する処理の詳細を示すフローチャートである。同図では、
図10に示す処理のうち、処理S24~S25の詳細を示している。立ち上がり波形検出待ちの処理(S24)は、信号値を取得し、メモリ13bに格納する処理(S241)と、信号値の微分が第2閾値を上回ったか否かを判定する処理(S242)とを含む。信号値の微分が第2閾値を上回っていないと判定した場合(S242:NO)、新たな信号値を取得し、メモリ13bに格納する(S241)。
【0089】
一方、信号値の微分が第2閾値を上回ったと判定した場合(S242:YES)、光電センサ10は、盛り上がり波形から安定状態検出待ちの処理を行う(S25)。盛り上がり波形から安定状態検出待ちの処理(S25)は、信号値を取得し、メモリ13bに格納する処理(S251)と、信号値が所定期間にわたって第1基準値以上、第2基準値以下の範囲内であるか否かを判定する処理(S252)とを含む。信号値が所定期間にわたって第1基準値以上、第2基準値以下の範囲内でないと判定した場合(S252:NO)、光電センサ10は、新たな信号値を取得し、メモリ13bに格納する(S251)。一方、信号値が所定期間にわたって第1基準値以上、第2基準値以下の範囲内であると判定した場合(S252:YES)、光電センサ10は、新たな信号値を取得てメモリ13bに格納し(S253)、信号値が所定期間にわたって平均値と実質的に等しいか否かを判定する(S254)。
【0090】
信号値が所定期間にわたって平均値と実質的に等しいと判定されると(S254:YES)、光電センサ10は、リセット条件が満たされたと判定し、再び到来条件の検出を行う(
図10参照)。
【0091】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0092】
[付記1]
検出領域(10a)を順次通過していく複数の対象物(100)の検出に用いられる光電センサ(10)であって、
前記検出領域(10a)に向けて光を出射する投光部(11)と、
前記検出領域(10a)を挟んで前記投光部(11)と対向して配置され、前記光の受光量に対応する時系列の信号値を取得する受光部(12)と、
前記時系列の信号値が到来条件を満たすか否かを判定することを前記到来条件を満たすまで継続する処理と、前記時系列の信号値がリセット条件を満たすか否かを判定することを前記リセット条件を満たすまで継続する処理とを交互に繰り返す判定部(13c)と、を備え、
前記到来条件は、対象物(100)がない場合の受光量が得られている状態に続いて対象物(100)がない場合の受光量より受光量が大きい受光量増加状態となることを識別するための第1条件を含む、
光電センサ(10)。
【0093】
[付記2]
前記到来条件は、前記第1条件を満たした後に、前記第1条件充足の判断に寄与した前記受光量増加状態に続く受光量の急激な減少の発生を識別するための条件を含む、
請求項1に記載の光電センサ(10)。
【0094】
[付記3]
前記リセット条件は、前記受光量増加状態に続いて対象物(100)がない場合の受光量が得られている状態となることを識別するための第2条件を含む、
請求項1又は2に記載の光電センサ(10)。
【0095】
[付記4]
前記リセット条件は、受光量の急激な増加に続いて前記受光量増加状態となり、その前記受光量増加状態の寄与によって前記第2条件を満たすことを識別するための条件を含む、
請求項3に記載の光電センサ(10)。
【0096】
[付記5]
前記受光量増加状態は、前記時系列の信号値が、前記対象物(100)が到来していない期間に取得される前記時系列の信号値の平均値より大きい第1基準値と、前記第1基準値より大きい第2基準値とにより定められる範囲内に所定の期間にわたって収まる状態である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の光電センサ(10)。
【0097】
[付記6]
前記受光量の急激な減少は、前記時系列の信号値の微分値が、負数である第1閾値を下回ることを識別するための条件である、
請求項2に記載の光電センサ(10)。
【0098】
[付記7]
前記受光量の急激な増加は、前記時系列の信号値の微分値が、正数である第2閾値を上回ることを識別するための条件である、
請求項2に記載の光電センサ(10)。
【符号の説明】
【0099】
1…検出システム、10…光電センサ、10a…検出領域、11…投光部、11a…投光素子、11b…駆動回路、12…受光部、12a…受光素子、12b…増幅器、12c…サンプル/ホールド回路、12d…A/D変換器、13…処理部、13a…動作制御部、13b…メモリ、13c…判定部、14…操作部、15…出力部、20…コントローラ、30…コンピュータ、40…ロボット、50…搬送装置、100…対象物、101…投光用光ファイバ、102…受光用光ファイバ