(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電話制御装置及び電話システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 3/58 20060101AFI20240703BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H04Q3/58 106
H04M3/42 P
(21)【出願番号】P 2020091339
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】浜野 幸浩
(72)【発明者】
【氏名】竹本 周平
(72)【発明者】
【氏名】浦山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】上家 聖来
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115844(JP,A)
【文献】特開2008-118511(JP,A)
【文献】特開2019-114995(JP,A)
【文献】特開2014-039191(JP,A)
【文献】特開2004-172759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q3/58-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話網に接続され、自機に収容された電話端末の呼制御を行う電話制御装置であって、
前記電話端末を使用する使用者の使用者名を記憶する使用者名記憶手段と、
電話端末の利用状況に応じて、少なくとも内線番号と前記使用者名とを対応付けて記憶する履歴情報記憶手段と、
接続された通話回線を通じて送受される音声信号について音声認識を行って、
自機に収容されている前記電話端末から発信を行った場合には発信者名を、自機に収容されている前記電話端末が着信に応答した場合には本来の着信者名を、通話対象者名
として認識する音声認識処理手段と、
自機に収容された前記電話端末が着信に応答して通話回線を接続した場合に、前記音声認識処理手段を通じて認識された前記通話対象者名と、前記使用者名記憶手段の前記使用者名とを照合し、一致する使用者名を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で前記抽出された前記使用者名に基づいて、前記履歴情報記憶手段の記憶情報を参照し、前記使用者名に対応付けられている前記内線番号の一覧リストを形成する形成手段と、
前記形成手段で形成された前記内線番号の一覧リストを、
着信に応答して通話回線を接続している前記電話端末
である引継元電話端末に提供
して、引継先電話端末の内線番号を特定できるようにする提供手段と、
自機に収容された前記電話端末の内、発信操作が行われた電話端末と、通話回線の引き継ぎのため
の操作が行われた電話端末と、転送されて通話回線が接続された電話端末とを引継先電話端末とし、当該引継先電話端末の内線番号と、前記抽出手段で抽出された
前記通話対象者名とを対応付けて、前記履歴情報記憶手段の前記内線番号と前記使用者名として、前記履歴情報記憶手段に記録する通話履歴形成手段と
を備えることを特徴とする電話制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話制御装置であって、
前記通話履歴形成手段
における前記通話回線の引き継ぎのための操作は、通話回線が保留状態になっている場合における保留応答のための操作である、
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話制御装置であって、
前記通話履歴形成手段は、前記電話端末に対して行われた操作の操作日時を取得して、前記内線番号と前記使用者名に対応付けて、前記履歴情報記憶手段に記録するものであり、
前記形成手段は、前記使用者名に対応付けられている前記内線番号を時系列順に並べた一覧リストを形成することを特徴とする電話制御装置。
【請求項4】
電話網に接続され、自機に接続された電話端末の呼制御を行う電話制御装置と、前記電話制御装置に対して複数の電話端末が接続されて構成される電話システムであって、
前記電話制御装置は、
前記電話端末を使用する使用者の使用者名を記憶する使用者名記憶手段と、
電話端末の利用状況に応じて、少なくとも内線番号と前記使用者名とを対応付けて記憶する履歴情報記憶手段と、
接続された通話回線を通じて送受される音声信号について音声認識を行って、
自機に収容されている前記電話端末から発信を行った場合には発信者名を、自機に収容されている前記電話端末が着信に応答した場合には本来の着信者名を、通話対象者名
として認識する音声認識処理手段と、
自機に収容された前記電話端末が着信に応答して通話回線を接続した場合に、前記音声認識処理手段を通じて認識された前記通話対象者名と、前記使用者名記憶手段の前記使用者名とを照合し、一致する使用者名を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で前記抽出された前記使用者名に基づいて、前記履歴情報記憶手段の記憶情報を参照し、前記使用者名に対応付けられている前記内線番号の一覧リストを形成する形成手段と、
前記形成手段で形成された前記内線番号の一覧リストを、
着信に応答して通話回線を接続している前記電話端末
である引継元電話端末に提供
して、引継先電話端末の内線番号を特定できるようにする提供手段と、
自機に収容された前記電話端末の内、発信操作が行われた電話端末と、通話回線の引き継ぎのため
の操作が行われた電話端末と、転送されて通話回線が接続された電話端末とを引継先電話端末とし、当該引継先電話端末の内線番号と、前記抽出手段で抽出された
前記通話対象者名とを対応付けて、前記履歴情報記憶手段の前記内線番号と前記使用者名として、前記履歴情報記憶手段に記録する通話履歴形成手段と
を備え、
前記電話端末は、
着信に応答し、通話回線を接続した場合に、前記電話制御装置から前記一覧リストの提供を受けて、前記一覧リストを表示手段に表示するように処理する表示処理手段を備えることを特徴とする電話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、会社などにおいて、一次応答者が、電話の引き継ぎ(取次ぎ)を効率よく行えるようにする電話制御装置、当該電話制御装置を用いて構成される電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビジネスホンシステムの使用者(ユーザ)がオフィスを長時間不在にする場合や外出する場合には、電話端末を通じて所定の設定を行うことで、例えば、着信に対して留守録や自動応答して予め登録した転送先に転送する等、何らかの対応ができる。更に、後に記す特許文献1には、転送設定端末を通じて応答がされない場合に、関係する他の電話端末に転送できるようにする発明が開示されている。また、後に記す特許文献2には、不在時において転送先内線での設定操作と転送先内線での着信応答操作を効率化するボタン電話装置に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-95066号公報
【文献】特開平5-75712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際のオフィスでは、個別着信ではなく代表電話番号、部署やグループの共通電話番号宛に着信されることが多い。このため、長時間席を外すとか外出するとしても、設定する煩雑さも伴って自分が使用する電話端末に対して留守録設定や転送設定をすることは少なく、部署やグループの誰かが一次応答(代理応答)して対応することがほとんどである。
【0005】
このようなとき、着信が発生すると本来の着信者(発信者が通話をしたい相手)が席にいないからといって、発信元に対して即座に「外出している。」と伝える一次応答者は少ない。多くの場合、少なくとも本来の着信者の予定表や行先掲示板を確認したり、例えば、実験室等のよく居る場所を確認したりしたうえで、それでも見つからなかった場合に「席を外している。」旨の対応をすることが多い。特に責任感が強い人ほど、本来の着信者を探す行動をとる傾向が大きく、一次応答者の負担が大きいという問題は今でも解消されていない。
【0006】
以上のことに鑑み、この発明は、ビジネスホンシステムの環境下で、本来の着信者が不在であっても、一次応答者の負担を軽減し、かつ、結果的に発信者に対して不在である旨を通知する場合でも、一次応答者の責任感を満たせるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の電話制御装置は、
電話網に接続され、自機に収容された電話端末の呼制御を行う電話制御装置であって、
前記電話端末を使用する使用者の使用者名を記憶する使用者名記憶手段と、
電話端末の利用状況に応じて、少なくとも内線番号と前記使用者名とを対応付けて記憶する履歴情報記憶手段と、
接続された通話回線を通じて送受される音声信号について音声認識を行って、自機に収容されている前記電話端末から発信を行った場合には発信者名を、自機に収容されている前記電話端末が着信に応答した場合には本来の着信者名を、通話対象者名として認識する音声認識処理手段と、
自機に収容された前記電話端末が着信に応答して通話回線を接続した場合に、前記音声認識処理手段を通じて認識された前記通話対象者名と、前記使用者名記憶手段の前記使用者名とを照合し、一致する使用者名を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で前記抽出された前記使用者名に基づいて、前記履歴情報記憶手段の記憶情報を参照し、前記使用者名に対応付けられている前記内線番号の一覧リストを形成する形成手段と、
前記形成手段で形成された前記内線番号の一覧リストを、着信に応答して通話回線を接続している前記電話端末である引継元電話端末に提供して、引継先電話端末の内線番号を特定できるようにする提供手段と、
自機に収容された前記電話端末の内、発信操作が行われた電話端末と、通話回線の引き継ぎのための操作が行われた電話端末と、転送されて通話回線が接続された電話端末とを引継先電話端末とし、当該引継先電話端末の内線番号と、前記抽出手段で抽出された前記通話対象者名とを対応付けて、前記履歴情報記憶手段の前記内線番号と前記使用者名として、前記履歴情報記憶手段に記録する通話履歴形成手段と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ビジネスホンシステムの環境下で、本来の着信者が不在であっても、本来の着信者への電話の引継のために掛かる一次応答者の負担を軽減できる。しかも、結果的に発信者に対して不在である旨を通知する場合でも、本来の着信者を探す手立てが提供されるので、一次応答者の責任感を満たすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態の電話システムの全体構成例を説明するための図である。
【
図2】実施の形態の電話制御装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図3】アドレス管理DB(Data Base)の格納データの例を説明するための図である。
【
図4】電話制御装置の使用者情報DB(Data Base)の格納データの例を説明するための図である。
【
図5】電話制御装置の通話履歴ファイルの格納データの例を説明するため図である。
【
図6】実施の形態の電話端末の構成例を説明するための図である。
【
図7】実施の形態の電話端末の表示画面に表示される内線番号の一覧リストの表示例を説明するための図である。
【
図8】実施の形態のビジネスホンシステムで行われる処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図10】実施の形態の電話制御装置で実行される着信時の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図11】実施の形態の電話制御装置で実行される発信時の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、この発明の装置、システムの一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明による装置、システムを、会社のオフィスなどに構築されるビジネスホンシステム(ボタン電話システム)の電話制御装置と当該ビジネスホンシステムに適用した場合を例にして説明する。なお、ビジネスホンシステムは、電話制御装置が、複数の電話端末を収容して構成されるものである。電話制御装置は、内線と外線との間や内線電話端末同士の間をつなぐ小型の交換機として機能するものである。
【0013】
[電話システムの構成例]
図1は、この実施の形態の電話システムの全体構成例を説明するための図である。
図1に示すように、電話制御装置1が、構内ネットワーク2を介して、複数の電話端末3(1)、3(2)、…3(n)を収容することにより、ビジネスホンシステム10が構成されている。電話制御装置1は、外線電話網4にも接続されている。外線電話網4は、公衆交換電話網、携帯電話網、IP電話網などを含む。なお、この実施の形態において、電話端末3(1)、3(2)、…、3(n)のそれぞれは、IP電話端末であるものとして説明する。従って、電話制御装置1は、SIP(Session Initiation Protocol)サーバとしての機能を有するものである。もちろん、電話制御装置1に対しては、従来からのボタン電話装置を接続することもできる。
【0014】
これにより、電話端末3(1)、3(2)、…3(n)のそれぞれは、電話制御装置1を介して、外線電話網4に接続されている外線電話端末5や外線電話網4に基地局6を通じて接続される携帯電話端末7などと外線通話を行うことができる。外線電話端末5は、単独で外線電話網4に接続されている場合もあれば、他のビジネスホンシステムの電話端末として外線電話網4に接続される場合もある。また、電話端末3(1)、3(2)、…3(n)のそれぞれは、電話制御装置1を介して、構内ネットワーク2に接続されている自機以外の他の電話端末と内線通話を行うことができる。
【0015】
ビジネスホンシステム10において、例えば、代表電話番号や部署やグループの共通電話番号に着信が発生した場合、着信時点ではだれ宛の電話か分からない。このため、その時点において、電話に出ることができる者(一次応答者)が、まず着信に応答し、発信元が誰に電話を繋いで欲しいのか、つまり、発信元が通話を行いたい相手先である本来の着信者を確認する。当該本来の着信者が近くにいれば、口頭で電話がかかってきていることを伝え、電話を引き継ぐことになる。
【0016】
また、本来の着信者が近くにいない場合で、打ち合わせや外出で電話に出られないことが分かっている場合には、発信元に不在であることを通知し、電話を折り返すことを約束したり、電話のかけ直しを依頼したりする。しかし、近くにいない場合で、打ち合わせや外出ではないことが分かっている場合には、よく居る場所などに内線電話をかけて探さなければならない。しかし、通話対象者のよく居る場所の内線番号を調べなければならず、手間や時間がかかってしまう。
【0017】
そこで、ビジネスホンシステム10の電話制御装置1では、代表電話番号や部署やグループの共通電話番号に着信があり、一次応答者が電話端末3(n)を通じて応答操作を行って通話回線を接続した場合に、音声認識を行うことにより本来の着信者名を認識する。この後、音声認識により認識した本来の着信者が居る可能性の高い場所の内線番号を、自動的に当該一時応答者が使用する電話端末3(n)に通知して、当該電話端末3(n)のディスプレイの表示画面に表示し、電話の転送等に利用できるようにする。
【0018】
このため、電話制御装置1では、音声認識した本来の着信者名と、少なくとも本来の着信者が使用した電話端末3(m)の内線番号とを対応付けて履歴情報として記憶保持する。例えば、着信に応答して、本来の着信者名が音声認識され、保留操作されて、内線番号が入力されることにより、通話回線の転送が行われ、転送先が応答を許諾し保留が解除されて応答されたとする。この場合には、音声認識された本来の着信者名と転送先の内線番号とを対応付けて記憶保持する。
【0019】
また、着信時だけでなく、発信時においても、電話をかけている発信者名を音声認識し、この認識した発信者名と、用いている電話端末3(m)の内線番号とを対応付けて記憶保持する。当該発信者は、電話がかかって来た場合には、本来の着信者となる場合もあるためである。
【0020】
このような履歴情報があれば、本来の着信者が居る可能の高い場所に設置されている電話端末の内線番号の一覧リスト(所在リスト)を形成して、一次応答者の使用する電話端末3(n)に提供できる。これにより、一次応答者の使用する電話端末3(n)において、当該所在リストを表示し、本来の着信者を探しやすくすることができる。
【0021】
また、この際、履歴情報は、新しい履歴情報の方が、一般に本来の着信者が居る確率が高くなる。そこで、この実施の形態の電話制御装置1では、当該履歴情報を時系列順(発生順)に管理し、新しい履歴情報から優先して一次応答者に提供する。なお、上記の記載において、電話端末3(n)の括弧内の文字nと、電話端末3(m)の括弧内の文字mとは、1以上の整数を意味する。
【0022】
次に、この実施の形態のビジネスホンシステム10の電話制御装置1と電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…の構成例と、それらの装置において行われる処理について説明する。なお、この実施の形態において、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれは、基本的に同様の構成を有し、同様の機能を実現するものである。このため、以下においては、特に区別して示す必要がある場合を除き、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれを総称して電話端末3と記載する。
【0023】
[電話制御装置1の構成例]
図2は、電話制御装置1の構成例を説明するための図である。接続端101Tは、外線電話網4への接続端を構成する。通信I/F(Interface)101は、外線電話網4を通じての通信処理を行う部分である。すなわち、通信I/F101は、外線電話網4を介して送信されて来る自機宛ての信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換してこれを取り込む。また、通信I/F101は、自機から目的とする相手先に送信する信号を、送信用の形式の信号に変換してこれを外線電話網4に送出して相手先に送信する。
【0024】
制御部102は、図示しないがCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを備えたマイクロプロセッサであり、電話制御装置1の各部を制御する。記憶装置103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータの記録媒体への記録、読み出し、変更、削除などを行う。記憶装置103は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0025】
アドレス管理DB104は、HDDやSSDなどの記録装置部に作成され、自機に収容された電話端末3についてのアドレス情報やその他の管理情報を記憶保持する。
図3は、電話制御装置1のアドレス管理DB104の格納データの例を説明するための図である。
図3に示すように、アドレス管理DB104には、電話制御装置1に収容するようにされる電話端末3ごとに、「内線番号」、「IP(Internet Protocol)アドレス」、「ポート番号」、「その他」の各情報が記憶保持される。
【0026】
「内線番号」は、電話制御装置1に収容するようにされる全ての電話端末3のそれぞれに割り当てられる内線電話用の電話番号(内線電話番号)である。IPアドレスは、インターネットに接続可能な機器に対して、例えばDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバなどにより付与され、インターネットに接続可能な機器のそれぞれを一意に特定できる情報である。この実施の形態において、電話制御装置1に収容される電話端末3は、上述したようにIP電話端末であるので、各電話端末3にIPアドレスが割り当てられている。ポート番号は、各電話端末3が用いるポートの番号である。
【0027】
「その他」としては、例えば、各電話端末3のMACアドレス(Media Access Control address)、URL(Uniform Resource Locator)、各電話端末3を主に使用する使用者の氏名や設置場所を示す情報など、必要となる種々の情報を付加することが可能である。アドレス管理DB104の格納データにより、電話制御装置1は、自機に収容するようにされた各電話端末を把握し管理することができる。
【0028】
使用者情報DB105は、HDDやSSDなどの記録装置部に作成され、電話制御装置1に収容された電話端末3を利用して、かかって来た電話を受けたり、電話をかけたりする使用者である社員のそれぞれに関する情報を記憶保持する。
図4は、電話制御装置1の使用者情報DB105の格納データの例を説明するための図である。
図4に示すように、使用者情報DB105には、「社員番号」、「所属」、「氏名」、「読み仮名」の各情報が記憶保持される。
【0029】
「社員番号」は、各社員に付与され、各社員を一意に特定可能な社員の識別情報である。「所属」は、各社員の所属部署を示す情報である。
図4においては、説明を簡単にするため、所属は「所属部」を示しているが、「○○部△△課□□グループ」などのように、より詳細に所属を管理することももちろん可能である。「氏名」は、各社員の氏名であり、「読み仮名」は、各社員の氏名の読み仮名である。この使用者情報DB105の格納データは、通話時の音声認識により、通話対象者を認識する場合に用いられる。
【0030】
通話履歴ファイル106は、HDDやSSDなどの記録装置部に作成され、着信履歴、発信履歴、転送履歴、被転送履歴等を記憶保持する。
図5は、電話制御装置1の通話履歴ファイル106の格納データの例を説明するため図である。
図5に示すように、通話履歴ファイル106には、「操作日時」、「操作内容」、「引継元内線番号」、「相手先電話番号」、「引継先内線番号」、「引継先使用者名」、「引継先区分」が記憶保持される。
【0031】
「操作日時」は、電話端末3に対して操作が行われた日時を示す。「操作内容」は、電話端末3に対して行われた操作は、どのような操作かを示す情報である。「操作内容」には、例えば、着信応答(着応)、保留、保留応答(保応)、転送、発信、切断(オンフック)といった種々のものがある。「引継元内線番号」は、着信に応答した電話端末、又は、発信した電話端末の内線番号である。
【0032】
「相手先電話番号」は、着信に応答した場合の発信元の電話番号や発信した場合の着信先の電話番号である。「引継先内線番号」は、保留後に保留を解除して通話回線を接続した電話端末3、保留後に転送され、保留を解除して通話回線を接続した電話端末3、自機から発信後に通話回線を接続した電話端末3などの内線番号である。つまり、「引継先内線番号」は、最終的に通話回線を接続した電話端末3の内線番号である。従って、着信応答した電話端末3を通じて、最初に本来の着信者が応答した場合には、当該電話端末3の内線番号が「引継先内線番号」になる。また、この実施の形態においては、発信を行って通話を開始した場合には、発信した電話端末3の内線番号が、「引継元内線番号」にも、また、「引継先内線番号」にもなる。
【0033】
「引継先使用者名」は、電話端末3を通じて、着信応答したり、発信したりして接続した通話回線を通じて送受される通話音声の音声認識により認識された通話対象者名に基づき、使用者情報DB105を参照することにより抽出された使用者名である。すなわち、「引継先使用者名」は、本来の着信者である使用者や発信者である使用者の氏名等である。この実施の形態においては、後述もするように、所属部署の情報などを含む場合もある。「引継先区分」は、引継先の「内線番号」により特定される電話端末3により、通話回線が引き継がれて、通話が可能になったか否かを示す情報である。「引継先区分」は、通話回線が引き継がれて、通話が可能になった場合は「OK」、引き継がれなかった場合は「NG」となるものである。
【0034】
電話制御装置1では、通話履歴ファイル106に記憶保持される情報により、どの電話端末3を通じて着信に応答したり、発信したりして通話回線を接続し、当該通話回線がどの電話端末3に引き継がれて、最終的な使用者(社員)は誰かを把握することができる。
なお、上記の通話対象者名は、接続された通話回線を通じて送受される音声信号について音声認識を行うことにより、本来の着信者や発信者として認識される電話端末3の使用者名を意味している。
【0035】
接続端107Tは、構内ネットワーク2への接続端を構成する。接続I/F(Interface)107は、電話制御装置1と、構内ネットワーク2を通じて電話制御装置1に収容される電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…との間の通信を可能にする。従って、電話制御装置1から電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…への信号は、接続I/F107において送信用の形式の信号に変換されて、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…に送信される。また、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…からの信号は、接続I/F107において自機において処理可能な形式の信号に変換されて取り込まれる。
【0036】
呼制御部108は、制御部102の制御の下、アドレス管理DB104の管理情報を用い、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…の発信、着信、応答、切断等の呼制御を行う。呼制御部108は、
図2に示すように、発信制御部1081と、着信制御部1082とを備えている。呼制御部108では、配下の電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…から発信(発信要求)を受け付けると、発信制御部1081が機能して、指示された相手先を呼び出すようにし、当該相手先が応答してきたら電話回線を接続して通話を可能にする。
【0037】
また、呼制御部108では、自機宛ての着信(相手先からの発信通知)を受け付けた場合には、着信制御部1082が機能して、配下の電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…に着信通知を行う。これにより、電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…では、リンガ306より呼び出し音が放音され、着信の発生が通知される。電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のいずれかにおいて、着信に応答する操作(オフフック操作)がなされると、着信制御部1082は、これを検知して、着信に応答し、オフフックがされた配下の電話端末3との間に電話回線を接続して通話を可能にする。
【0038】
この後、接続した電話回線を保留にしたり、転送したり、解放したりする処理は、配下の電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…からの要求に応じて、制御部102の制御の下に処理される。なお、制御部102は、配下の電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…が備えるLED(Light Emitting Diode)の点灯/消灯制御やディスプレイ307への表示のための制御なども行う。
【0039】
音声認識処理部111、使用者名抽出部112、所在リスト形成部113、所在リスト提供部114、通話履歴形成部115が、この発明の電話制御装置としての効果を奏するための主要部となる。すなわち、これらの各部の機能によって、着信に応答した場合に、本来の着信者が不在でも、適切な対応を迅速に取れるようにし、一次応答者の負担を軽減し、かつ、一次応答者の責任感を満たすこともできる。
【0040】
音声認識処理部111は、制御部102の制御の下、配下の電話端末3のいずれかが通話回線を接続して通話ができる状態になった場合に、通話回線を通じて送受される通話音声の音声認識を行って、通話対象者名を認識する。通話対象者名は、電話がかかって来た場合には、本来の着信者の苗字や氏名等であり、電話端末3から電話をかけた場合には、発信者の苗字や氏名等である。
【0041】
例えば、電話端末3を通じて着信に応答した場合には、発呼元からの通話音声に含まれる「技術部のaaaさんをお願いします。」という場合の「aaa」が通話対象者名に相当する。また、電話端末3を通じて着信に応答した場合には、着信先である電話端末3からの通話音声に含まれる「営業部のfffに代わります。」という場合の「fff」が通話対象者名に相当する。また、電話端末3を通じて発信した場合には、「株式会社XXの営業部の○○○です。」という場合の「○○○」が通話対象者名に相当する。
【0042】
しかし、通話においては、氏名(フルネーム)を告げる場合は少なく、所属部署と苗字を告げる場合が多い。このため、電話制御装置1の音声認識処理部111は、上述の例では、「技術部のaaa」、「営業部のfff」、「営業部の○○○」といった所属までを含む通話対象者名を認識して、把握する。もちろん、同じ部署に同姓の社員が複数存在する場合もある。その場合には、一次応答者は、「技術部にはaaaは2人おります、「aaa太郎」でしょうか、「aaa一郎」でしょうか。」というように、フルネームを確認することになる。この場合には、音声認識により、所属部署と通話対象者の氏名(フルネーム)とを認識できる。
【0043】
使用者名抽出部112は、音声認識処理部111を通じて認識された通話対象者名と、使用者情報DB105に記憶保持されている使用者(社員)の所属部署、苗字や氏名とを照合し、整合が取れた使用者名を抽出する。通話対象者名は、上述したように、音声認識の結果により、所属部署、本来の着信者の苗字や氏名、発信者の苗字や氏名等となる。このため、氏名(フルネーム)までの完全一致だと、使用者名が抽出できない場合ある。このため、所属部署、苗字または氏名に基づき、使用者情報DB105を参照し、少なくとも所属部署と苗字が一致し、他に候補がいない場合には、整合が取れたと判別して、使用者名(所属部署と使用者名(フルネーム))を抽出する。もちろん、通話対象者名としてフルネームが音声認識されている場合に、フルネームの一致も見ることになる。
【0044】
また、所属は認識されず、氏名の内の苗字だけ、或いは、氏名(フルネーム)だけが音声認識されて抽出されている場合には、これらの抽出された情報と、使用者情報DB105に記憶保持されている氏名の内の苗字、或いは、氏名(フルネーム)とを照合する。これにより、他に候補が無い状態である場合(整合が取れている場合)には、音声認識された通話対象者に対応する使用者(当該会社の社員)の氏名が特定できる。このように、使用者名抽出部112は、音声認識されて抽出された情報(通話対象者の所属、苗字(氏)、氏名(フルネーム))に基づき、使用者情報DB105を参照し、通話対象者となる電話端末3の使用者(社員)の氏名(使用者氏名)を抽出する。換言すれば、音声認識された通話対象が、電話端末3を使用する使用者(社員)として存在していることを確認するのが、使用者名抽出部112の機能である。
【0045】
なお、例えば、「営業部の花子さんをお願いします。」などのように、氏名の内の名により、本来の着信者を指定する場合もあると考えられる。このため、例えば認識した通話対象者名の文字数により、氏名(フルネーム)の音声認識ができていないと判別できる場合には、氏名の内の「名」の部分についても、照合を取るようにするようにしてもよい。
【0046】
所在リスト形成部113は、使用者名抽出部112で抽出された使用者名に基づいて、通話履歴ファイル106を参照し、当該使用者名により特定される使用者が使用した電話端末3の内線番号の一覧リストを形成する。当該内線番号の一覧リストは、本来の着信者や発信者が使用した電話端末の内線番号のリストであるので、本来の着信者や発信者が居た場所(所在)を示す所在リストとなる。換言すれば、当該所在リストは、本来の着信者の所在の候補を示すものである。なお、所在リスト形成部113は、所在リストを時系列順に新しい情報が上位に位置するように形成する。当該使用者が居る可能性の高い場所に設置されている電話端末3を優先的に表示するためである。
【0047】
所在リストは、使用者氏名と内線番号とからなり、アドレス管理DB104において、内線番号に対応付けて、電話端末3の設置場所が管理されている場合には、設置場所、すなわち、当該使用者の所在場所を示すことも可能である。所在場所は、例えば、「実験室」、「研修室」、「営業部」などのように示される。また、操作日時を含めたり、操作日だけを含めたり、或いは、当日の操作時刻だけを含めたりすることも可能である。
【0048】
所在リスト提供部114は、所在リスト形成部113で形成された所在リストを、接続I/F107及び接続端107Tを通じて構内ネットワーク2に送出し、着信に応答して通話回線を接続した一次応答者が使用する電話端末3に対して提供する処理を行う。これにより、一次応答者は、後述もするように、自己が使用する電話端末3のディスプレイに表示される所在リストを確認し、通話対象である本来の着信者が居る可能性の高い場所の電話端末3の内線番号を特定できる。これにより、内線電話をかけて、本来の着信者が居れば、通話回線を迅速に引き継ぐようにできることになるし、いなくても、居る可能性の高い場所の電話端末3に内線電話をかけて、本来の着信者を効率よく探すことができる。
【0049】
通話履歴形成部115は、通話回線を接続するために、或いは、通話回線の引き継ぎのために、電話端末3に対して行われた操作に応じて、内線番号と、使用者名抽出部112で抽出された使用者名と、操作日時とを対応付けた履歴情報を形成する。また、通話履歴形成部115は、形成した履歴情報を通話履歴ファイル106に記録する。通話回線を接続するために電話端末3に対して行われた操作には、例えば、着信応答、発信といった操作が含まれる。また、通話回線の引き継ぎのために電話端末3に対して行われた操作にも種々のものがあるが、その一例を挙げると、例えば、保留、転送、保留応答といった操作が含まれる。
【0050】
具体的に、通話回線を接続するために、或いは、通話回線の引き継ぎのために、電話端末3に対して操作が行われると、当該操作内容を示す情報が、当該電話端末3から構内ネットワーク2を通じて電話制御装置1に送信されて来る。電話制御装置1は、接続端107T及び接続I/F107を通じて当該操作内容を示す情報を受け付け、制御部102が各部を制御し、当該操作内容に応じた処理を行う。すなわち、着信に応答したり、発信したり、接続した通話回線を保留にしたり、保留を解除して通話回線を接続したり、通話回線の転送を行ったり、接続した通話回線を解放したりといった処理は、電話端末3からの操作内容を示す情報に応じて行われる。
【0051】
この場合に、通話履歴形成部115は、制御部102の制御の下、電話端末3からの操作内容を示す情報を受信した時点の日時を「操作日時」として時計回路120から取得する。時計回路120は、現在年月日、現在時刻、現在曜日を提供することができるものである。更に、通話履歴形成部115は、電話端末3からの操作内容を示す情報に基づいて、「操作内容」を特定する。
【0052】
特定した「操作内容」より、操作がされた電話端末3は、引継元か、それとも引継先かの区別ができる。例えば、着信応答、保留、転送といった操作が行われた電話端末3は引継元となる。また、通話回線が保留状態になっている場合に、保留キー、外線キー、パーク保留キーなどが操作されることにより保留応答の操作が行われた電話端末3は引継先となる。転送されて、転送を承諾し、転送元がオンフック操作されることにより通話回線が接続された場合にも、当該電話回線が接続された電話端末3も転送先となる。
【0053】
従って、通話履歴形成部115は、電話端末3からの操作内容に基づき、当該電話端末3が引継元である場合には、当該電話端末3の内線番号を「引継元内線番号」として特定する。また、通話履歴形成部115は、電話端末3からの操作内容に基づき、当該電話端末3が引継先である場合には、当該電話端末3の内線番号を「引継先の内線番号」として特定する。また、使用者名抽出部112で抽出された使用者名を、「引継先の使用者名」として特定する。更に、保留にされている通話回線が、引継先の電話端末3との間に接続された場合、即ち、通話回線が引き継がれた場合には、「引継先の区分」が「OK」にされ、引き継がれなかった場合には、「引継先の区分」が「NG」にされる。また、着信の場合には発信元の電話番号が「相手先電話番号」として特定され、発信の場合には、着信先の電話番号が「相手先電話番号」として特定される。
【0054】
このようにして、通話履歴形成部115は、必要となる情報を特定し、履歴情報を形成して、これを通話履歴ファイル106に記録する。これにより、
図5に示したように、通話履歴ファイル106にデータが記録される。
図5に示した通話履歴ファイル106の格納データにより、以下の内容が把握できる。まず、「2020年5月15日の午前9時1分」に、「内線番号が102」の電話端末3を通じて、「相手先電話番号が03-XXXX-XXXX」からの電話に「着信応答」している。これにより接続された通話回線を通じて送受される通話音声を音声認識することにより、本来の着信者名が認識され、これに整合する使用者名が、「総務部の鈴木太郎」であることが特定されている。
【0055】
この例の場合、「内線番号が102」の電話端末3の使用者は、「鈴木太郎」ではなかったため、「同日午前9時1分」に「保留操作」を行い、近くに居た「鈴木太郎」に口頭で電話がかかって来ている旨を通知した。これに応じて、「同日午前9時2分」に、「内線番号が101」の電話端末3を用いて「鈴木太郎」自身が保留応答の操作を行い、保留にされていた通話回線を引き継ぎ、通話が行われたことが示されている。従って、この時点において、「総務部の鈴木太郎」の所在が、内線番号が101の電話端末3の近傍である可能性が高いことが把握できる。
【0056】
また、「同日午前9時30分」に、「内線番号が101」の電話端末3を通じて、「相手先電話番号が03-AAAA-AAAA」からの電話に「着信応答」し、本来の着信者名が音声認識され、これに整合する使用者名が「開発部の東京四郎」であることが特定されている。この例の場合、「内線番号が101」の電話端末3の使用者は、「東京四郎」ではなかったため、「同日午前9時31分」に「保留操作」を行った。続いて、「内線番号が101」の電話端末3の使用者は、「同日午前9時31分」に、「東京四郎」が、自席に居る時に使用する「内線番号が301」の電話端末3に電話をかけて、「東京四郎」に電話がかかってきていることを告げた。
【0057】
しかし、「東京四郎」は、実験室にいると告げられたため、「内線番号が101」の電話端末3の使用者は、「同日午前9時32分」に、「内線番号が605」の実験室に配置された電話端末3に電話をかけて、「東京四郎」を呼び出すようにした。これに応じて、「同日午前9時32分」に、「内線番号が605」の電話端末3を用いて「東京四郎」自身が保留応答の操作を行い、保留にされていた通話回線を引き継ぎ、通話が行われたことが示されている。従って、「開発部の東京四郎」の所在が、内線番号が605の電話端末3の近傍である可能性が高いことが把握できる。
【0058】
また、「同日午前9時45分」に、「内線番号が605」の電話端末3を通じて、「相手先電話番号が03-BBBB-BBBB」に対して発信され、発信者名が音声認識され、これに整合する使用者名は、「開発部の東京四郎」であることが特定されている。従って、「開発部の東京四郎」の所在が、引き続き、内線番号が605の電話端末3の近傍である可能性が高いことが把握できる。
【0059】
なお、
図5に示した格納データの例は、通話履歴ファイル106の格納データの極一部であり、比較的に長い期間において、履歴情報を蓄積することにより、使用者が近傍にいる可能性の高い電話端末3の内線番号を特定することができる。このような通話履歴ファイル106の格納データに基づいて、所在リスト形成部113は、所在リストを形成できる。通話履歴ファイル106の格納データは、「操作日時」をも把握しているので、これに応じて、時系列順に新しい履歴情報から優先して利用し、所在リストを形成できる。
【0060】
[電話端末3の構成例]
図6は、電話端末3の構成例を説明するためのブロック図である。制御部310は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどがCPUバスを通じて接続されて形成されたマイクロプロセッサである。制御部310は、電話端末3の各部を制御する。また、制御部310は、パケット化されて送受される制御データや音声データなどの種々のデータの分解処理/生成処理も行う。
【0061】
接続端301Tは、構内ネットワーク2への接続端を構成する。接続I/F301は、構内ネットワーク2を通じた電話制御装置1との接続を実現する。すなわち、接続I/F301は、自機宛てに送信されてきた信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換して自機に取り込む処理を行う。また、接続I/F301は、自機から送信する信号を、送信用の信号に変換し、これを送出する処理を行う。この実施の形態の電話端末3は、接続端301T及び接続I/F301を通じて電話制御装置1に対して有線接続されている。
【0062】
ハンドセット302は、スピーカ(受話器)とマイクロホン(送話器)とを備えたものである。また、電話端末3は、ハンドセット302が電話端末3の筐体の定位置に置かれているときにはオンフック状態となり、電話端末3の筐体の定位置から取り上げるとオフフック状態となるようにさている。このため、電話端末3においては、オンフック、オフフックの状態を制御部310が把握できる構成が整えられている。
【0063】
コーデック303は、制御部310においてパケット分解された音声データの供給を受けて、これを圧縮伸長してアナログ音声信号に変換し、オフフック状態のハンドセット302のスピーカに供給する。これにより、相手先からの音声がハンドセット302のスピーカから放音される。また、コーデック303は、オフフック状態のハンドセット302のマイクロホンにより収音されたアナログ音声信号をデジタル信号に変換し、これをデータ圧縮して制御部310に供給する。制御部310は、コーデック303からの音声データをパケット化して、これを接続I/F301及び接続端301Tを通じて相手先に送信する。
【0064】
操作入力部304は、使用者からの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を制御部310に提供する。操作入力部304には、テンキーや複数のファンクションキーなどが設けられている。制御部310は、操作入力部304を通じて受け付けた使用者による操作入力に応じた要求等を形成し、接続I/F301及び接続端301Tを通じて構内ネットワーク2送出して、電話制御装置1に提供する。
【0065】
LED(Light Emitting Diode)部305は、複数のLEDを備え、点灯、点滅、消灯の制御が制御部310によって行われ、種々の状態を使用者に通知する。例えば、着信、保留、オンフックなどの状態を通知する。リンガ(放音部)306は、制御部310の制御の下、着信時において着信音を放音させるものである。リンガ306は、その他にも、例えば、誤操作の場合の警告音を放音したり、制御部310の制御の下、音声メッセージなどを放音したりすることもできるものである。
【0066】
ディスプレイ307は、ディスプレイコントロールを備え、制御部310の制御の下、種々の情報をディスプレイ307の表示画面に表示する処理を行う。表示される情報には、入力した相手先の電話番号、発信元の電話番号、ガイダンスメッセージ、警告メッセージなど、種々の情報がある。なお、上述したように、電話制御装置1において形成され、電話端末3に提供される所在リストについても、制御部310が、当該所在リストをディスプレイ307に供給して表示させる。
【0067】
図7は、ディスプレイ307の表示画面に表示される所在リスト(内線番号の一覧リスト)の例を説明するためのである。
図7に示すように、本来の着信者の氏名と、当該着信者が使用した電話端末3の内線番号とが示されている。なお、
図7に示した所在リストの例は、
図5を用いて説明した通話履歴ファイル106の格納データに対応しており、使用者「東京四郎」が、内線番号605の電話端末3を続けて2回用いたことが示されている。
【0068】
なお、
図5に示した例では、内線番号301の電話端末3によっては、「東京四郎」が保留応答を行っていないために「引継先区分」が「NG」になっている。このため、
図7に示した所在リストの例では、内線番号301と「東京四郎」を関係付ける情報は載せていない。しかし、使用者名が「東京四郎」であることが特定された場合に、「東京四郎」が自席に居る時に通常使用される内線番号301の電話端末3にも内線電話がかけられている。このため、この情報をも所在リストに含めるようにしてもよい。
【0069】
すなわち、「引継先区分」が「NG」であっても、当該内線番号の電話端末3の近傍に居る可能性もあるため、「引継先区分」が「NG」の情報を所在リストに含めるようにしてもよい。また、上述したように、電話制御装置1で形成された所在リストが、電話端末3の設置場所や操作日時、或いは、操作日や表示当日の操作時刻を含む場合には、これらを表示することももちろん可能である。
【0070】
このように、電話端末3は、電話制御装置1と協働し、通話回線を接続して通話を可能にする共に、着信に応答した場合に、本来の着信者の所在を示す所在リストの提供を受けて、これを表示することができる。これにより、本来の着信者に対して、かかって来た電話を、容易に、かつ、迅速に取り次ぐことが可能になる。
【0071】
[ビジネスホンシステム10で行われる処理のまとめ]
図8、
図9は、ビジネスホンシステム10で行われる処理を説明するためのシーケンス図である。ここでは、外線電話端末5からビジネスホンシステム10の使用者である「開発部の東京四郎」宛に電話がかけられ、内線番号が101の電話端末3で着信応答がされ、所在リストに基づき、内線番号が605に通話回線が転送される場合を例にして説明する。
【0072】
図8に示すように、外線電話端末5よりビジネスホンシステム10の代表電話番号に発信されたとする(ステップS1)。当該発信が着信したビジネスホンシステム10の電話制御装置1は、配下の電話端末3に対して、着信を使用者に通知するために、鳴動するように指示を出す(ステップS2)。鳴動の指示を受け付けた配下の電話端末3のそれぞれでは、着信を通知するために端末鳴動を開始する(ステップS3)。
【0073】
この場合に、内線番号が101である電話端末3(1)において、応答操作がされ(ステップS4)、応答要求が電話制御装置1に送信される(ステップS5)。電話制御装置1は、電話端末3(1)からの応答要求に応じて、当該発信元の外線電話端末5に対して応答することを返信する(ステップS6)。これにより、電話制御装置1は、発信元の外線電話端末5と配下の電話端末3(1)との間に通話回線を接続し、通話を可能にする(ステップS7)。
【0074】
この後、電話制御装置1では、通話回線を通じて送受される通話音声について音声認識を行い、通話対象者名(本来の着信者名)を認識し、認識した通話対象者名に基づいて、使用者情報DB105を参照して、登録された使用者名を抽出する(ステップS8)。音声認識は、制御部102の制御の下、音声認識処理部111が行い、使用者名の特定は、制御部102の制御の下、使用者名抽出部112が行う。
【0075】
次に、制御部102の制御の下、所在リスト形成部113が、ステップS8で抽出された使用者名に基づいて、通話履歴ファイル106を参照し、対応する使用者についての所在リストを形成する(ステップS9)。ステップS9で形成された所在リストは、所在リスト提供部114が機能して、着信応答をした電話端末3(1)に提供する(ステップS10)。所在リストは、
図7に示した態様で、電話端末3(1)のディスプレイ307の表示画面に表示される(ステップS11)。
【0076】
着信応答を行った電話端末3(1)の使用者は、提供された所在リストを確認し、本来の着信者は、内線番号が605の電話端末(n)の近傍に居る可能性が高いことが把握できたとする。この場合、電話端末3(1)の使用者は、通話回線を転送するために、保留キーを押下操作したとする(ステップS12)。これに応じて電話端末3(1)は、電話制御装置1に対して、保留要求を送信する(ステップS13)。電話制御装置1は、外線電話端末5との間に接続した通話回線を保留状態にし(ステップS14)、外線電話端末5に保留音を提供する(ステップS15)。
【0077】
この後、電話端末3(1)の使用者は、内線番号「605」を入力し、内線番号が605の電話端末3(n)に内線電話をかけるようにする(ステップS16)。内線番号「605」は、電話制御装置1に送信され(ステップS17)、電話制御装置1は、内線番号が「605」の電話端末3(n)を呼び出す(ステップS18)。これに応じて、電話端末3(m)は、図示しないが鳴動して内線着信を通知し、電話端末3(n)の近傍の使用者が応答操作を行うと、応答要求が電話制御装置1に送信される(ステップS19)。これに応じて、電話制御装置1は、引継元(転送元)の電話端末3(1)と引継先の電話端末3(n)との間に通話回線を接続し、通話を可能にする(ステップS20)。
【0078】
ステップS20における通話により、「開発部の東京四郎」宛に電話がかかってきていることを告げ、電話端末3(n)を通じて、「開発部の東京四郎」が、通話回線の転送を了承したとする。この場合、引継元の電話端末3(1)の使用者は、応答操作を行って電話回線を引き継ぐことを依頼し、オンフック操作を行うと、電話端末3(1)から電話制御装置1に切断要求が送信される(ステップS21)。これにより、電話端末3(1)と電話端末3(n)との間の通話回線が解放される。
【0079】
この後、電話端末3(n)を使用する「開発部の東京四郎」が、例えば、保留ボタンや外線キーなどを押下する所定の応答操作を行ったとする(ステップS22)。この場合、応答要求が電話制御装置1に送信され(ステップS23)、電話制御装置1は、保留にしていた外線電話端末5との間の通話回線を、電話端末3(n)との間に接続し、通話を可能にする(ステップS24)。この後、電話制御装置1の通話履歴形成部115が機能して、上述の一連の処理の履歴情報を形成して、通話履歴ファイル106に記録する(ステップS25)。
【0080】
ステップS25では、以下の履歴情報が形成され、通話履歴ファイル106に記録される。1つは、電話端末3(1)において、着信応答がされ、通話音声の音声認識を通じて、本来の着信者が「開発部の東京四郎」であることか抽出されたことを示す履歴情報が形成される。1つは、電話端末3(1)において、保留操作がされたことを示す履歴情報が形成される。1つは、電話端末3(1)において、内線番号605の電話端末3(n)に転送のための内線電話がかけられたことを示す履歴情報が形成される。最後に、電話端末3(n)を通じて、本来の着信者である「開発部の東京四郎」が保留応答を行ったことを示す履歴情報が形成される。ステップS25の後においては、発信元の外線電話端末5や着信先の電話端末3(n)において、オンフック操作が行われることにより、接続された通話回線が解放されることになる。
【0081】
なお、ここでは、全ての履歴情報が、ステップS25に示した処理において形成され、通話履歴ファイル106に記録されるものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、ステップS6の直後に、電話端末3(1)において、着信応答がされ、通話音声の音声認識を通じて、本来の着信者が「開発部の東京四郎」であることか抽出されたことを示す履歴情報を形成して記録する。次に、ステップS13の後に、電話端末3(1)において、保留操作がされたことを示す履歴情報を形成して記録する。
【0082】
次に、ステップS17の後に、電話端末3(1)において、内線番号605の電話端末3(n)に転送のための内線電話がかけられたことを示す履歴情報を形成して記録する。最後に、ステップS24の後に、電話端末3(n)を通じて、本来の着信者である「開発部の東京四郎」が保留応答を行ったことを示す履歴情報を形成して記録する。というように、電話端末3に対して行われる操作に呼応して、順次に履歴情報を形成し、通話履歴ファイル106に記録するようにしてももちろんよい。
【0083】
[電話制御装置1で行われる処理のまとめ]
次に、電話制御装置1において行われる処理についてまとめる。ここでは、説明を簡単にするため、外線電話端末からの発信が着信した場合の処理(着信時の処理)と、配下の電話端末3から外線には発信した場合の処理(発信時の処理)とに分けて説明する。
【0084】
<着信時の処理>
図10は、電話制御装置1で実行される着信時の処理を説明するためのフローチャートである。
図10に示した処理は、外線電話端末からの発信が電話制御装置1に着信した場合に、電話制御装置1の制御部102において実行される処理である。すなわち、電話制御装置1の制御部102は、自システムへの着信を検知すると、
図10に示す処理を実行する。制御部102は、呼制御部108の着信制御部1082を制御し、配下の電話端末3に対して着信を通知する(ステップS101)。更に、着信制御部1082は、配下の電話端末3において応答操作が行われることにより応答要求が送信されて来ると、発信元との間に通話回線を接続し、通話を開始させる(ステップS102)。
【0085】
この後、制御部102は、音声認識処理部111を制御して、通話音声の音声認識を行い、通話対象者名を認識する(ステップS103)。この場合の通話対象者名は、本来の着信者名であり、具体的には、上述もしたように、所属部署と、苗字または氏名である。この後、制御部102は、使用者名抽出部112を制御し、ステップS102で認識された通話対象者名(本来の着信者名)と、使用者情報DB105の使用者名との照合を行い、音声認識された通話対象者名に整合する使用者名を抽出する(ステップS104)。
【0086】
制御部102は、ステップS104の照合処理により、音声認識された通話対象者に整合する使用者名が抽出できたか否かを判別する(ステップS105)。ステップS105の判別処理において、音声認識された通話対象者に整合する使用者名が抽出できたと判別したとする。この場合、制御部102は、所在リスト形成部113を制御し、ステップS104において抽出した使用者名に基づいて、通話履歴ファイル106を参照し、当該使用者名により特定される使用者(社員)について所在リストを形成する(ステップS106)。
【0087】
次に、制御部102は、ステップS106で形成した所在リストを、着信応答した電話端末3に提供する(ステップS107)。この後、制御部102は、電話端末3からの指示に応じた処理を行う(ステップS108)。具体的には、保留、転送(他の電話端末3への内線電話)、保留応答などの指示に応じた処理が行われる。この後、制御部102は、通話履歴形成部115を制御して、ステップS108で受け付けた配下の電話端末3からの指示に応じた履歴情報を形成し、これを通話履歴ファイル106に記録する処理を行い(ステップS109)、この
図10に示す処理を終了する。
【0088】
また、ステップS105の判別処理において、音声認識された通話対象者に整合する使用者名が抽出できなかったと判別したとする。この場合、所在リストは形成できないので、制御部102は、上述したステップS108の処理と同様に、電話端末3からの指示に応じた処理を行い(ステップS110)、この
図10に示す処理を終了する。
【0089】
この
図10を用いて説明した着信時の処理により、音声認識により本来の着信者である使用者が特定できた場合には、当該使用者の所在リストを形成して、着信応答を行った電話端末3に提供できる。これにより、本来の着信者を探し回る手間を省き、迅速に本来の着信者に電話を引き継ぐことができる。従って、一次応答者の負荷を大幅に軽減できる。また、本来の着信者が近傍に居る可能性の高い電話端末3に内線電話をかけて探すことができるので、結果的に発信者に対して不在である旨を通知する場合でも、一次応答者の責任感を満たすこともできる。
【0090】
<発信時の処理>
図11は、電話制御装置1で実行される発信時の処理を説明するためのフローチャートである。
図11に示した処理は、配下の電話端末3から外線への発信が行われた場合に、電話制御装置1の制御部102において実行される処理である。すなわち、電話制御装置1の制御部102は、配下の電話端末3から外線への発信要求を受信すると、
図11に示す処理を実行する。制御部102は、呼制御部108の発信制御部1081を制御し、指示された目的とする外線電話番号への発信処理を行う(ステップS201)。更に、発信制御部1081は、電話をかけた相手先から応答要求が返信されて来ると、発信元の配下の電話端末3と電話をかけた相手先との間に通話回線を接続し、通話を開始させる(ステップS202)。
【0091】
この後、制御部102は、音声認識処理部111を制御して、通話音声の音声認識を行い、通話対象者名を認識する(ステップS203)。この場合の通話対象者は、発信元の電話端末3の使用者(発信者)であり、発信者の所属部署、苗字または氏名が、発信者名として認識される。この後、制御部102は、使用者名抽出部112を制御し、ステップS202で認識された通話対象者名(発信者名)と、使用者情報DB105の使用者名との照合を行い、音声認識された通話対象者名に整合する使用者名を抽出する(ステップS204)。
【0092】
制御部102は、ステップS204の照合処理により、音声認識された通話対象者に整合する使用者名が抽出できたか否かを判別する(ステップS205)。ステップS205の判別処理において、音声認識された通話対象者に整合する使用者名が抽出できたと判別したとする。この場合、制御部102は、通話履歴形成部115を制御して、呼制御部108で受け付けた配下の電話端末3からの指示に応じた履歴情報を形成し、これを通話履歴ファイル106に記録する処理を行う(ステップS206)。
【0093】
ステップS206の処理の後と、ステップS205において、音声認識された通話対象者に整合する使用者名が抽出できなかったと判別した場合には、制御部102は、電話端末3からの指示に応じた処理を行う(ステップS207)。具体的には、保留、転送(他の電話端末3への内線電話)、保留応答、回線切断などの指示に応じた処理が行われる。
【0094】
この
図11を用いて説明した発信時の処理により、音声に認識により発信者である使用者が特定できた場合には、その使用者と、使用者した電話端末の内線番号を対応付けて、通話履歴ファイル106に記録できる。このため、発信時にも通話履歴ファイル106に履歴情報を更新できるので、着信時における本来の着信者の所在を特定する場合の情報を増やすことができる。
【0095】
[内線間の電話の場合]
ビジネスホンシステム10では、電話制御装置1に接続された電話端末3の間で内線通話が可能である。この場合、発信元も着信先も電話制御装置1の配下の電話端末であるため、着信処理と発信処理という区分けでは、
図10に示す着信処理と
図11に示す発信処理とを同時に実行しなければならなくなる。この場合、機能する処理部も使用されるデータベースやファイルも同じものであるため、好ましくない。
【0096】
そこで、内線間の通話の場合には、例えば、
図10に示す着信時の処理を実行し、ステップS103において、本来の着信者名だけでなく、発信者名も検出し、発信者名については、使用者名を抽出するようにする(ステップS104)。ここで、使用者名が抽出できた(照合できた)場合には(ステップS105)、履歴情報を形成して通話履歴ファイルを更新する処理だけを行うようにする(ステップS108)。一方、本来の着信者名については、上述したように
図10に示す処理で、所在リストの提供を含む処理を行えばよい。このように、音声認識された通話対象者が、発信者名か本来の着信者名かに応じて処理を変えることにより、内線電話の場合であっても対応できる。
【0097】
なお、音声認識された通話対象者が、発信者名か本来の着信者名かの区別は、上述もしたように、「技術部のaaaさんお願いします。」という部分の音声認識ができた場合には、「aaa」さんは、本来の着信者名であると区別できる。また、「営業部のfffです。」という部分の音声認識ができた場合には、「fff」さんは、発信者名であると区別できる。このように、発信者名か本来の着信者名かは、音声認識できたないようによって区別可能である。
【0098】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態のビジネスホンシステム10においては、電話制御装置1の機能によって、着信に応答して通話回線を接続し、通話音声を音声認識することにより、本来の着信者の使用者名が特定される。この場合に、使用者名が特定できた場合には、当該使用者の所在リストを形成して、着信応答を行った電話端末3に提供できる。これにより、本来の着信者を実際に探しに行くことなく、迅速に本来の着信者に電話を引き継ぐことができる。従って、一次応答者の負荷を大幅に軽減できる。また、本来の着信者が近傍に居る可能性の高い電話端末3に内線電話をかけて探すことができるので、結果的に発信者に対して不在である旨を通知する場合でも、一次応答者の責任感を満たすこともできる。しかも、電話端末3に対して行われた操作に応じて、履歴情報を形成し、これを通話履歴ファイル106に蓄積していくことができる。この履歴情報の蓄積が多くなれば、本来の着信者の所在場所をより正確に予測することができる。
【0099】
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、音声認識は、電話制御装置1で実行するようにしたが、これに限るものではない。例えば、通話回線を接続した電話端末3で音声認識を行い、その結果を電話制御装置1に通知して、電話制御装置1において利用するように構成することもできる。
【0100】
また、音声認識処理部111、使用者名抽出部112、所在リスト形成部113、所在リスト提供部114、通話履歴形成部115の機能を、例えば、インターネット上の所定のサーバ装置に設け、電話制御装置1は、これを利用するようにしてもよい。すなわち、電話制御装置1が備える機能の内の一部をクラウドサーバで実現し、電話制御装置をクラウドシステムとして構成することもできる。
【0101】
また、上述した実施の形態では、所在リストは、操作日時の新しいもの順に並べたものを形成するものとして説明したが、これに限るものではない。所在リストは、例えば、操作日時の新しいもの順に加えて、発生頻度の高い(利用頻度の高い)内線番号順に並べたものを形成することもできる。また、この場合、
図7に示したように、履歴情報の1件1件を表示するものではなく、例えば、内線番号605が5回、内線番号201が3回のように、利用回数をまとめて表示する態様とすることもできる。このような集計処理は、所在リスト形成部113において行うことができる。
【0102】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の使用者名記憶手段、履歴情報記憶手段の機能は、実施の形態の電話制御装置1の使用者情報DB105、通話履歴ファイル106が実現している。また、請求項の音声認識手段、抽出手段の機能は、電話制御装置1の音声認識処理部111、使用者名抽出部112が実現している。また、請求項1の形成手段、提供手段の機能は、電話制御装置1の所在リスト形成部113、所在リスト提供部114が実現している。また、請求項の通話履歴形成手段の機能は、電話制御装置1の通話履歴形成部115が実現している。また、請求項の電話端末の表示処理手段の機能は、制御部310とディスプレイ307が協働して実現している。
【符号の説明】
【0103】
1…電話制御装置、101T…接続端、101…通信I/F、102…制御部、103…記憶装置、104…アドレス管理DB、105…使用者情報DB、106…通話履歴ファイル、107T…接続端、107…接続I/F、108…呼制御部、1081…発信制御部、1082…着信制御部、111…音声認識処理部、112…使用者名抽出部、113…所在リスト形成部、114…所在リスト提供部、115…通話履歴形成部、120…時計回路、2…構内ネットワーク、3、3(1)、3(2)、3(3)、3(n)、3(m)…電話端末、301T…接続端、301…接続I/F、302…ハンドセット、303…コーデック、304…操作入力部、305…LED部、306…リンガ、307…ディスプレイ、4…外線電話網、5…外線電話端末、6…基地局、7…携帯電話端末