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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】プログラム、制御装置、記録システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20240703BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240703BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240703BHJP
   B41J 13/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B41J29/00 T
B41J29/38 401
G06F3/12 305
G06F3/12 324
G06F3/12 392
B41J13/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020106142
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001405
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】野本 伸寿
(72)【発明者】
【氏名】山田 克己
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-76173(JP,A)
【文献】特開2014-14941(JP,A)
【文献】特開2019-102863(JP,A)
【文献】特開2019-68426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0365542(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
B41J 2/01-2/215
G06F 3/09-3/12
B41J 13/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対し記録を行う記録手段を備えた記録装置を携帯情報端末から操作する為に前記携帯情報端末において実行されるプログラムであって、
前記記録装置は、
装置本体の底部に設けられ、媒体を収容する媒体収容部と、
前記媒体収容部から媒体を装置後方に送り出すピックローラーと、
前記媒体収容部から送り出された媒体を湾曲反転させる反転ローラーと、
前記反転ローラーを備えるユニットであって、前記装置本体の背面側から着脱可能な反転ユニットと、
前記反転ユニットを取り外すことで形成可能な媒体給送経路であって、前記装置本体の背面から前面に向けて手差しで媒体を送り込む為の媒体給送経路と、
前記反転ユニットに対し着脱可能に設けられた経路形成部材であって、前記反転ユニットを取り外した状態の前記装置本体に装着することで前記媒体給送経路の一部を形成する前記経路形成部材と、
前記装置本体の前面側に設けられ、各種情報を表示する操作パネルと、
前記反転ユニットが前記装置本体に装着されているか否かを検出する為のユニット検出部と、
前記経路形成部材が前記装置本体に装着されているか否かを検出する為の経路形成部材検出部と、
を備え、
前記プログラムは、前記媒体給送経路を利用して媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を前記携帯情報端末の表示部に表示させるステップを実行させ
前記イベントには、前記反転ユニットが前記装置本体から取り外されたことを検出した旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた通知が含まれ、
前記通知を受けて前記表示部に表示させる、前記ユーザー操作方法に関する情報は、
前記反転ユニットから前記経路形成部材を取り外すことを促す情報と、
取り外した前記経路形成部材を前記装置本体に取り付けることを促す情報と、
を含む、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
媒体に対し記録を行う記録手段を備えた記録装置を携帯情報端末から操作する為に前記携帯情報端末において実行されるプログラムであって、
前記記録装置は、
装置本体の底部に設けられ、媒体を収容する媒体収容部と、
前記媒体収容部から媒体を装置後方に送り出すピックローラーと、
前記媒体収容部から送り出された媒体を湾曲反転させる反転ローラーと、
前記反転ローラーを備えるユニットであって、前記装置本体の背面側から着脱可能な反転ユニットと、
前記反転ユニットを取り外すことで形成可能な媒体給送経路であって、前記装置本体の背面から前面に向けて手差しで媒体を送り込む為の媒体給送経路と、
前記反転ユニットに対し着脱可能に設けられた経路形成部材であって、前記反転ユニットを取り外した状態の前記装置本体に装着することで前記媒体給送経路の一部を形成する前記経路形成部材と、
前記装置本体の前面側に設けられ、各種情報を表示する操作パネルと、
前記装置本体の背面側に設けられ、人を検知する人感センサーと、
を備え、
前記プログラムは、前記媒体給送経路を利用して媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を前記携帯情報端末の表示部に表示させるステップを実行させ
前記イベントには、前記人感センサーが人を検知した旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた第1通知が含まれ、
前記第1通知を受けて前記表示部に表示させる、前記ユーザー操作方法に関する情報は、前記装置本体から前記反転ユニットを取り外すことを促す情報を含み、
更に前記イベントには、前記反転ユニットが前記装置本体から取り外されたことを検出した旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた第2通知が含まれ、
前記第2通知を受けて前記表示部に表示させる、前記ユーザー操作方法に関する情報は、
前記反転ユニットから前記経路形成部材を取り外すことを促す情報と、
取り外した前記経路形成部材を前記装置本体に取り付けることを促す情報と、
を含む、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプログラムにおいて、
前記イベントは、前記経路形成部材が前記記録装置の前記装置本体に装着された旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた通知が含まれ
前記経路形成部材が装着された旨の前記通知を受けて前記表示部に表示させる、前記ユーザー操作方法に関する情報は、前記媒体給送経路への媒体の送り込み方法に関する情報である、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、前記ユーザー操作方法に関する情報には、静止画及び動画の少なくともいずれかが含まれる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
媒体に対し記録を行う記録手段を備えた記録装置を携帯情報端末から操作する為に前記携帯情報端末を制御する制御装置であって、
前記記録装置は、
装置本体の底部に設けられ、媒体を収容する媒体収容部と、
前記媒体収容部から媒体を装置後方に送り出すピックローラーと、
前記媒体収容部から送り出された媒体を湾曲反転させる反転ローラーと、
前記反転ローラーを備えるユニットであって、前記装置本体の背面側から着脱可能な反転ユニットと、
前記反転ユニットを取り外すことで形成可能な媒体給送経路であって、前記装置本体の背面から前面に向けて手差しで媒体を送り込む為の媒体給送経路と、
前記反転ユニットに対し着脱可能に設けられた経路形成部材であって、前記反転ユニットを取り外した状態の前記装置本体に装着することで前記媒体給送経路の一部を形成する前記経路形成部材と、
前記装置本体の前面側に設けられ、各種情報を表示する操作パネルと、
を備え、
前記制御装置は、前記媒体給送経路を利用して媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を前記携帯情報端末の表示部に表示させるステップを実行し、
前記イベントには、前記反転ユニットが前記装置本体から取り外されたことを検出した旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた通知が含まれ、
前記通知を受けて前記表示部に表示させる、前記ユーザー操作方法に関する情報は、
前記反転ユニットから前記経路形成部材を取り外すことを促す情報と、
取り外した前記経路形成部材を前記装置本体に取り付けることを促す情報と、
を含む、
ことを特徴とする制御装置
【請求項6】
媒体に対し記録を行う記録手段を備えた記録装置を携帯情報端末から操作する為に前記携帯情報端末を制御する制御装置であって、
前記記録装置は、
装置本体の底部に設けられ、媒体を収容する媒体収容部と、
前記媒体収容部から媒体を装置後方に送り出すピックローラーと、
前記媒体収容部から送り出された媒体を湾曲反転させる反転ローラーと、
前記反転ローラーを備えるユニットであって、前記装置本体の背面側から着脱可能な反転ユニットと、
前記反転ユニットを取り外すことで形成可能な媒体給送経路であって、前記装置本体の背面から前面に向けて手差しで媒体を送り込む為の媒体給送経路と、
前記反転ユニットに対し着脱可能に設けられた経路形成部材であって、前記反転ユニットを取り外した状態の前記装置本体に装着することで前記媒体給送経路の一部を形成する前記経路形成部材と、
前記装置本体の前面側に設けられ、各種情報を表示する操作パネルと、
前記装置本体の背面側に設けられ、人を検知する人感センサーと、
を備え、
前記制御装置は、前記媒体給送経路を利用して媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を前記携帯情報端末の表示部に表示させるステップを実行し、
前記イベントには、前記人感センサーが人を検知した旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた第1通知が含まれ、
前記第1通知を受けて前記表示部に表示させる、前記ユーザー操作方法に関する情報は、前記装置本体から前記反転ユニットを取り外すことを促す情報を含み、
更に前記イベントには、前記反転ユニットが前記装置本体から取り外されたことを検出した旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた第2通知が含まれ、
前記第2通知を受けて前記表示部に表示させる、前記ユーザー操作方法に関する情報は、
前記反転ユニットから前記経路形成部材を取り外すことを促す情報と、
取り外した前記経路形成部材を前記装置本体に取り付けることを促す情報と、
を含む、
ことを特徴とする制御装置
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の制御装置において、
前記イベントは、前記経路形成部材が前記記録装置の前記装置本体に装着された旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた通知が含まれ
前記経路形成部材が装着された旨の前記通知を受けて前記表示部に表示させる、前記ユーザー操作方法に関する情報は、前記媒体給送経路への媒体の送り込み方法に関する情報である、
ことを特徴とする制御装置
【請求項8】
媒体に記録を行う記録装置及び前記記録装置と通信が可能な携帯情報端末を含む記録システムであって、
前記記録装置は、
装置本体の底部に設けられ、媒体を収容する媒体収容部と、
前記媒体収容部から媒体を装置後方に送り出すピックローラーと、
前記媒体収容部から送り出された媒体を湾曲反転させる反転ローラーと、
前記反転ローラーを備えるユニットであって、前記装置本体の背面側から着脱可能な反転ユニットと、
前記反転ユニットを取り外すことで形成可能な媒体給送経路であって、前記装置本体の背面から前面に向けて手差しで媒体を送り込む為の媒体給送経路と、
前記反転ユニットに対し着脱可能に設けられた経路形成部材であって、前記反転ユニットを取り外した状態の前記装置本体に装着することで前記媒体給送経路の一部を形成する前記経路形成部材と、
前記装置本体の前面側に設けられ、各種情報を表示する操作パネルと、
を備え、
前記携帯情報端末は、表示部を備え、
前記記録装置は、前記反転ユニットが前記装置本体から取り外されたことを検出すると、当該検出を前記携帯情報端末に通知し、
前記携帯情報端末は、前記通知を受け、
前記反転ユニットから前記経路形成部材を取り外すことを促す情報と、
取り外した前記経路形成部材を前記装置本体に取り付けることを促す情報と、
を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする記録システム。
【請求項9】
媒体に記録を行う記録装置及び前記記録装置と通信が可能な携帯情報端末を含む記録システムであって、
前記記録装置は、
装置本体の底部に設けられ、媒体を収容する媒体収容部と、
前記媒体収容部から媒体を装置後方に送り出すピックローラーと、
前記媒体収容部から送り出された媒体を湾曲反転させる反転ローラーと、
前記反転ローラーを備えるユニットであって、前記装置本体の背面側から着脱可能な反転ユニットと、
前記反転ユニットを取り外すことで形成可能な媒体給送経路であって、前記装置本体の背面から前面に向けて手差しで媒体を送り込む為の媒体給送経路と、
前記反転ユニットに対し着脱可能に設けられた経路形成部材であって、前記反転ユニットを取り外した状態の前記装置本体に装着することで前記媒体給送経路の一部を形成する前記経路形成部材と、
前記装置本体の前面側に設けられ、各種情報を表示する操作パネルと、
前記装置本体の背面側に設けられ、人を検知する人感センサーと、
を備え、
前記携帯情報端末は、表示部を備え、
前記記録装置は、前記人感センサーが人を検知すると、当該検知を第1通知として前記携帯情報端末に通知し、
前記携帯情報端末は、前記第1通知を受け、前記装置本体から前記反転ユニットを取り外すことを促す情報を前記表示部に表示させ、
前記記録装置は、前記反転ユニットが前記装置本体から取り外されたことを検出すると、当該検出を第2通知として前記携帯情報端末に通知し、
前記携帯情報端末は、前記第2通知を受け、
前記反転ユニットから前記経路形成部材を取り外すことを促す情報と、
取り外した前記経路形成部材を前記装置本体に取り付けることを促す情報と、
を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする記録システム。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の記録システムにおいて、
前記記録装置は、前記経路形成部材が前記記録装置の前記装置本体に装着されたことを検出すると、当該検出を前記携帯情報端末に通知し、
前記携帯情報端末は、前記経路形成部材が装着された旨の前記通知を受け、前記媒体給送経路への媒体の送り込み方法に関する情報を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする記録システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に対し記録を行う記録手段を備えた記録装置を携帯情報端末から操作する為に前記携帯情報端末において実行されるプログラムに関する。また本発明は、媒体に対し記録を行う記録装置に関する。また更に本発明は、媒体に記録を行う記録装置及び前記記録装置と通信が可能な携帯情報端末を含む記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター等に代表される記録装置では、特許文献1に示される様に、装置前面に操作パネルを配置する構成が多く採用されている。操作パネルには表示部が設けられ、各種表示が行われる様に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-000898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録装置は、装置背面から所定の操作を行う様に構成されることが多い。特許文献1記載の複合機では、装置背面にジャム処理カバーを備え、このカバーを開くことで装置背面側からジャム処理を行うことができる様に構成されている。
しかしながら、ユーザーによっては装置背面側からの装置の操作方法を知らない場合がある。記録装置の表示部にその操作方法を表示する方法もあるが、上述した様に装置前面に操作パネルがある構成では、操作方法を視認しながら装置背面側で装置の操作を行うことはできず、ユーザーの利便性が損なわれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のプログラムは、媒体に対し記録を行う記録手段を備えた記録装置を携帯情報端末から操作する為に前記携帯情報端末において実行されるプログラムであって、前記記録装置の背面側から媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を前記携帯情報端末の表示部に表示させるステップを実行させることを特徴とする。
また本発明の記録装置は、媒体に対し記録を行う記録手段と、前記記録手段を備える装置本体の背面側から媒体を給送する給送経路と、を備え、前記装置本体の各種制御を行う制御手段は、携帯情報端末との通信が確立された状態で前記給送経路から媒体を給送する際に発生するイベントを検出すると、当該検出を前記携帯情報端末に通知することを特徴とする。
また本発明の記録システムは、媒体に記録を行う記録装置及び前記記録装置と通信が可能な携帯情報端末を含む記録システムであって、前記記録装置は、装置背面側から媒体を給送する際に発生するイベントを検出すると、当該検出を前記携帯情報端末に通知し、前記携帯情報端末は、前記通知を受け、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を前記携帯情報端末が備える表示部に表示させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】プリンターを前方側から見た斜視図。
図2】プリンターを前方側から見た斜視図。
図3】プリンターにおける媒体の搬送経路を示す図。
図4】プリンターにおける媒体の搬送経路を示す図。
図5】プリンターを背面側から見た斜視図。
図6】反転ユニットの斜視図。
図7】アダプターの斜視図。
図8】プリンター、携帯情報端末、及びサーバーの接続を示すブロック図
図9】プリンターの制御系統を示すブロック図。
図10】携帯情報端末の制御系統を示すブロック図。
図11】プリンター及び携帯情報端末が行う制御とユーザーが行う操作との関連を示すシーケンス図。
図12】プリンターが行う制御の流れを示すフローチャート。
図13】ユーザー操作方法を案内する画面の一例を示す図。
図14】ユーザー操作方法を案内する画面の一例を示す図。
図15】ユーザー操作方法を案内する画面の一例を示す図。
図16】プリンター及び携帯情報端末が行う制御とユーザーが行う操作との関連を示すシーケンス図。
図17】ユーザー操作方法を案内する画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係るプログラムは、媒体に対し記録を行う記録手段を備えた記録装置を携帯情報端末から操作する為に前記携帯情報端末において実行されるプログラムであって、前記記録装置の背面側から媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を前記携帯情報端末の表示部に表示させるステップを実行させることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、前記記録装置の背面側から媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報が前記携帯情報端末の表示部に表示されることとなるので、ユーザーは前記記録装置の背面側から媒体を給送する際の操作方法を視認性容易に確認することができ、ユーザーの利便性が向上する。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記イベントは、前記記録装置の背面側から媒体を給送する給送経路を閉塞するユニット体が取り外されたことを検出した旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた通知であることを特徴とする。
【0010】
前記記録装置の背面側から媒体を給送する際の給送経路を閉塞するユニット体が取り外されたということは、ユーザーが前記記録装置の背面側から媒体を給送しようとする意思表示であると言える。本態様では、前記イベントは、前記記録装置の背面側から媒体を給送する際の給送経路を閉塞するユニット体が取り外されたことを検出した旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた通知であるので、ユーザーの行動に見合った適切な操作方法を提示することができる。
【0011】
第3の態様は、第1の態様において、前記イベントは、前記記録装置の背面側から媒体を給送する給送経路を形成する経路形成部材が前記記録装置に装着された旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた通知であることを特徴とする。
【0012】
前記記録装置の背面側から媒体を給送する際の給送経路を形成する経路形成部材が前記記録装置に装着されたということは、ユーザーが前記記録装置の背面側から媒体を給送しようとする意思表示であると言える。本態様では、前記イベントは、媒体の給送経路を形成する為に前記給送経路を形成する経路形成部材が前記記録装置に装着された旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた通知であるので、ユーザーの行動に見合った適切な操作方法を提示することができる。
【0013】
第4の態様は、第1の態様において、前記イベントは、前記記録装置の背面側に設けられた人感センサーが人を検知した旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた通知であることを特徴とする。
【0014】
前記記録装置の背面側に設けられた人感センサーが人を検知したということは、ユーザーが前記記録装置の背面側から媒体を給送しようとする可能性があると言える。本態様では、前記イベントは、前記記録装置の背面側に設けられた人感センサーが人を検知した旨の、前記記録装置から前記携帯情報端末に向けた通知であるので、ユーザーの行動に見合う適切な操作方法を提示することができる。
【0015】
第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記ユーザー操作方法に関する情報には、静止画及び動画の少なくともいずれかが含まれることを特徴とする。
本態様によれば、前記ユーザー操作方法に関する情報には、静止画及び動画の少なくともいずれかが含まれるので、前記ユーザー操作方法がユーザーにとって視覚的に判り易くなる。
【0016】
第6の態様に係る記録装置は、媒体に対し記録を行う記録手段と、前記記録手段を備える装置本体の背面側から媒体を給送する給送経路と、を備え、前記装置本体の各種制御を行う制御手段は、携帯情報端末との通信が確立された状態で前記給送経路から媒体を給送する際に発生するイベントを検出すると、当該検出を前記携帯情報端末に通知することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、前記制御手段は、携帯情報端末との通信が確立された状態で前記給送経路から媒体を給送する際に発生するイベントを検出すると、当該検出を前記携帯情報端末に通知するので、前記携帯情報端末は、それに応じて前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を前記携帯情報端末の表示部に表示させることができる。これによりユーザーは前記記録装置の背面側から媒体を給送する際の操作方法を視認性容易に確認することができ、ユーザーの利便性が向上する。
【0018】
第7の態様に係る記録システムは、媒体に記録を行う記録装置及び前記記録装置と通信が可能な携帯情報端末を含む記録システムであって、前記記録装置は、装置背面側から媒体を給送する際に発生するイベントを検出すると、当該検出を前記携帯情報端末に通知し、前記携帯情報端末は、前記通知を受け、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を前記携帯情報端末が備える表示部に表示させることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記記録装置の背面側から媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報が前記携帯情報端末の表示部に表示されることとなるので、ユーザーは前記記録装置の背面側から媒体を給送する際の操作方法を視認性容易に確認することができ、ユーザーの利便性が向上する。
【0020】
第8の態様は、第7の態様において、前記記録装置は、装置前面側に各種情報を表示する操作パネルを備え、前記記録装置が備える前記操作パネルと、前記携帯情報端末が備える前記表示部とで、同じ情報を表示することを特徴とする。
本態様によれば、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0021】
第9の態様は、第8の態様において、前記記録装置が備える前記操作パネルでの表示と、前記携帯情報端末が備える前記表示部での表示は、同期されることを特徴とする。
本態様によれば、ユーザーの利便性をより一層向上させることができる。
【0022】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では記録装置の一例としてインクジェットプリンター1について説明する。以下、インクジェットプリンター1を単にプリンター1という。
尚、各図において示すX-Y-Z座標系は、X軸方向が装置幅方向であり、記録が行われる媒体の幅方向となる。
Y軸方向は装置奥行方向であり、記録時の媒体搬送方向に沿う方向である。+Y方向は装置背面から前面に向かう方向であり、-Y方向は装置前面から背面に向かう方向である。本実施形態ではプリンター1の周囲を構成する側面のうち、操作パネル6が設けられた側面つまり+Y方向の側面が装置前面となり、-Y方向の側面が装置背面となる。
Z軸方向は鉛直方向に沿う方向であり、装置高さ方向である。+Z方向が鉛直上方向であり、-Z方向が鉛直下方向である。
【0023】
尚、以下では媒体が送られていく方向を「下流」と称し、その逆方向を「上流」と称する場合がある。
また、本明細書では後述する記録ヘッド17から媒体に対しインクを吐出することを「記録」の用語を用いて表現する場合と、「印刷」の用語を用いて表現する場合とがある。「印刷」は「記録」の一態様であるが、いずれの場合であっても、本明細書においては記録ヘッド17から媒体に対しインクを吐出することを意味する。
【0024】
図1図2においてプリンター1は、媒体にインクジェット記録を行う装置本体2の上部に画像読取装置の一例であるスキャナー部3を備えており、即ちインクジェット記録機能に加えて原稿読み取り機能を備える複合機として構成されている。媒体の一例としては、記録用紙が挙げられる。
スキャナー部3は、装置本体2に対して回動可能に設けられており、回動することにより、図1に示す閉じた状態と不図示の開いた状態とをとり得る。
スキャナー部3は、原稿台3b(図3参照)を開閉する原稿カバー3aを備えている。原稿台3b(図3参照)の下には、Y軸方向に延設されるとともに、センサーモーター3d(図9参照)によってX軸方向に移動する読取センサー3c(図3参照)が設けられている。即ちスキャナー部3は、フラットベッドタイプの画像読取装置である。
【0025】
図1及び図2に示す様に装置本体2は装置前面に、各種操作設定を行い、また記録設定内容や記録画像のプレビュー表示などを行う為の操作パネル6を備えている。操作パネル6は、本実施形態ではタッチパネルとして構成され、各種情報を表示するとともに、ユーザーによる各種設定操作を受け付けるユーザーインターフェース(以下、「UI」と称する)が実現される。つまり操作パネル6は、プリンター1において各種情報を表示する表示部として機能する。ユーザーは、操作パネル6に表示されたUIに従って各種設定操作や実行操作を行う。
【0026】
装置前面には前面カバー4が設けられており、この前面カバー4を開くことで、媒体カセット10、媒体排出口9、媒体受けトレイ21などが露呈する。
装置後方上面には上面カバー8が開閉可能に設けられており、この上面カバー8を開くことで、延長支持部12Bを上方に展開させることができる。尚、延長支持部12Bは収納状態において図2の二点鎖線及び符号12B-1で示す様に後述する反転ユニット24の背面を覆う位置にある。従って反転ユニット24を取り外す場合、収納状態にある延長支持部12Bを上方に引き出すこととなる。
【0027】
続いて図3図4を参照してプリンター1における媒体の給送経路について説明する。プリンター1は、装置底部の媒体カセット10から媒体を給送する際の媒体給送経路T1、装置後方上部から媒体を給送する際の媒体給送経路T2、装置背面から媒体を給送する際の媒体給送経路T3(図4参照)、のこれら3つの媒体給送経路を有している。また符号T4は、送りローラー対15と排出ローラー対19との間の媒体搬送経路である。媒体給送経路T1、T2、T3のこれらは全て、媒体搬送経路T4に接続する。
【0028】
媒体給送経路T1では、媒体は媒体収容部としての媒体カセット10から、ピックローラー11によって-Y方向に送り出され、反転ローラー20によって湾曲反転させられ、記録ヘッド17の側である+Y方向、具体的には送りローラー対15に向けて送られる。この様に媒体給送経路T1は、媒体カセット10から送り出された媒体を反転ローラー20によって湾曲反転させる湾曲反転経路を含む。
ピックローラー11及び反転ローラー20は、搬送モーター53(図9参照)を動力源とする。尚、反転ローラー20の外周に沿って、従動ローラー22a、22b、22cが設けられている。
【0029】
媒体給送経路T2では、傾斜支持部12A及び延長支持部12Bによって傾斜姿勢に支持された媒体が、給送ローラー13及び補助ローラー14によって送りローラー対15に向けて送られる。即ち媒体給送経路T2は、装置後方上部にセットされた媒体を給送する経路である。給送ローラー13及び補助ローラー14は、搬送モーター53(図9参照)を動力源とする。
【0030】
媒体給送経路T3は、装置背面から前面に向けて手差しで媒体を送り込む為の経路である。媒体給送経路T3は、ほぼ直線状の経路であり、本実施形態では水平方向に沿って延びる経路である。媒体給送経路T3は、装置本体2の背面側から反転ユニット24を取り外し、反転ユニット24に設けられたアダプター23を取り外して図4に示す様に装置本体2に装着することで形成される。換言すれば、反転ユニット24は装着状態において媒体給送経路T3を閉塞するユニット体である。
【0031】
反転ユニット24は、図5に示す様に装置本体2の背面側から-Y方向に取り外す様に構成されており、図6に示す様に反転ローラー20を備えるユニット体として構成されている。反転ユニット24の上部において+Y方向には、図6に示す様にアダプター23が装着されている。媒体給送経路T3を利用して媒体を給送する際、アダプター23を反転ユニット24から取り外し、図4に示す様にプリンター1に装着する。
アダプター23には、図7に示す様にエッジガイド23a、23bが設けられている。エッジガイド23a、23bは、不図示のラックピニオン機構によって互いに接近し、或いは離間する様に設けられている。媒体給送経路T3により給送される媒体の幅方向端部が、エッジガイド23a、23bによりガイドされる。
【0032】
図3及び図4に戻り、媒体を記録ヘッド17と対向する位置へ送る送りローラー対15は、送りローラー15aと、ニップローラー15bとを備えて成る。送りローラー15aは、搬送モーター53(図9参照)を動力源とする。ニップローラー15bは、送りローラー15aに対して進退可能に設けられるとともに、不図示のばねによって送りローラー15aに向けて押圧されており、送りローラー15aとの間で媒体をニップして従動回転する。
【0033】
送りローラー対15の下流には、記録手段の一例である記録ヘッド17と、媒体支持部18とが対向配置されている。記録ヘッド17は、本実施形態ではインクを吐出するインクジェット記録ヘッドとして構成されている。媒体支持部18は、媒体を支持することにより、記録ヘッド17と媒体との間のギャップを規定する。
記録ヘッド17が設けられたキャリッジ16は、媒体幅方向に往復動可能に設けられているとともに、制御部50(図9参照)により制御されるキャリッジモーター51(図9参照)から動力を得て、X軸方向に移動する。
尚、キャリッジ16は、制御部50(図9参照)のもとで制御される調整機構49(図9参照)によりZ軸方向に変位可能となっており、この調整機構49により、記録ヘッド17と媒体支持部18の間隔が調整可能となっている。調整機構49は、例えば不図示のモーターとカム機構によって構成される。
【0034】
記録ヘッド17及び媒体支持部18の下流には、排出ローラー対19が設けられている。排出ローラー対19は、送りローラー19aと、ニップローラー19bとを備えて成る。送りローラー19aは、搬送モーター53(図9参照)を動力源とする。ニップローラー19bは、送りローラー19aに対して進退可能に設けられるとともに、不図示のばねによって送りローラー19aに向けて押圧されており、送りローラー19aとの間で媒体をニップして従動回転する。記録の行われた媒体は、排出ローラー対19によって装置外に向けて排出され、媒体受けトレイ21によって支持される。
【0035】
続いて図9を参照しつつプリンター1における制御系統について説明する。
制御部50は、装置本体2での媒体の給送、搬送、記録及び排出や、スキャナー部3での原稿読み取り動作等、プリンター1の各種制御を行う。制御部50には操作パネル6からの信号が入力され、また、操作パネル6でのUIを実現する為の信号が制御部50から操作パネル6に送信される。
【0036】
制御部50は、キャリッジモーター51、搬送モーター53、センサーモーター3d、のこれらモーターを制御する。本実施形態では各モーターはDCモーターである。
制御部50には、位置検出部57、回転検出部58、第1媒体検出部59、第2媒体検出部60、ユニット検出部61、アダプター検出部63、人感センサー64、のこれら検出部からの検出信号も入力される。
【0037】
位置検出部57はリニアエンコーダーであり、キャリッジ16のX軸方向における位置を検出する為の検出部である。回転検出部58はロータリーエンコーダーであり、搬送モーター53の回転量及び回転速度を検出する為の検出部である。
【0038】
ユニット検出部61は、装置本体2において反転ユニット24(図5参照)の装着位置に設けられた、反転ユニット24が装置本体2に装着されているか否かを検出する為の検出部である。ユニット検出部61は、本実施形態では接触式のセンサーで構成される。
尚、ユニット検出部61を用いて行う処理が不要な場合は、ユニット検出部61は省略することもできる。
【0039】
アダプター検出部63は、装置本体2においてアダプター23(図4参照)の装着位置に設けられた、アダプター23が装置本体2に装着されているか否かを検出する為の検出部である。アダプター検出部63は、本実施形態では接触式のセンサーで構成される。
尚、アダプター検出部63を用いて行う処理が不要な場合は、アダプター検出部63は省略することもできる。
【0040】
人感センサー64は、装置本体2の背面に設けられている(図5参照)。人感センサー64は、本実施形態では赤外線センサーであり、人が接近した際の赤外線量の変化を検知し、これにより制御部50はプリンター1の背面に対する人の近接を検知することができる。
尚、人感センサー64を用いて行う処理が不要な場合は、人感センサー64は省略することもできる。
【0041】
第1媒体検出部59は図2に示す様に送りローラー対15の上流近傍に設けられ、媒体の先端及び後端の通過を検出する為の検出部である。図3に示した媒体給送経路T3が用いられる際、ユーザーにより差し入れられた媒体の先端が第1媒体検出部59による検出位置を通過すると、制御部50は不図示のスピーカーから”ピッ”という音を発するとともに送りローラー対15の回転を開始し、差し入れられた媒体を下流へ送る。
この第1媒体検出部59は、接触式或いは非接触式のセンサーで構成することができる。
【0042】
第2媒体検出部60はキャリッジ16において媒体と対向する位置に設けられた検出部であり、媒体のY軸方向エッジ位置やX軸方向エッジ位置の検出等に利用される。第2媒体検出部60は、検出光を発する発光部と媒体からの反射光を受光する受光部とを備える光学センサーで構成することができる。
【0043】
制御部50は、CPU54及びメモリ55を備えている。CPU54はメモリ55に保存されたプログラムに従って各種処理を行い、装置本体2やスキャナー部3における各種動作を制御する。メモリ55は読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリであり、装置本体2やスキャナー部3の各種制御を行う為のプログラムや各種パラメーター等が記憶されている。メモリ55に記憶された制御プログラム(図9において「SP」)70は、必要に応じてプリンター1の状態を、後述する携帯情報端末100に通知する。また操作パネル6を介してユーザーが入力した各種設定情報も、メモリ55に記憶される。
【0044】
制御部50は通信部62を備えている。通信部62は、外部機器と無線通信を行う為の通信モジュールであり、本実施例ではWi-Fi方式に従った無線通信を行う為の通信モジュールである。Wi-Fiは、国際規格であるIEEE802.11の規格に従って無線通信を実行する為の方式である。尚、名称としての「Wi-Fi」は、Wi-Fi Allianceの登録商標である。
但し通信部62はこれに限られず、国際規格であるIEEE802.15.1の規格に沿ったBluetooth方式により無線通信を行う通信モジュールであっても良く、更に赤外線通信や、その他の無線通信方式であっても良い。また通信部62は、以上の各種通信モジュールのうち複数を備えて構成されていても良い。
【0045】
以上の構成を備えるプリンター1は、図8に示す様にプリンター1と通信が可能な携帯情報端末100とともに記録システム200を構成する。携帯情報端末100の一例として、スマートフォンが挙げられる。また本実施例では、プリンター1及び携帯情報端末100はネットワーク400に接続可能であり、ネットワーク400を介して遠隔地にあるサーバー300とデータの送受信が可能となっている。
【0046】
携帯情報端末100は、図10に示す様に制御部101及び表示部105を備えている。表示部105は、本実施形態ではタッチパネルとして構成され、各種情報を表示するとともに、ユーザーによる各種設定操作を受け付けるUIが実現される。ユーザーは、表示部105に表示されたUIに従って各種設定操作や実行操作を行う。
【0047】
制御部101には表示部105からの信号が入力され、また、表示部105でのUIを実現する為の信号が制御部101から表示部105に送信される。
制御部101は、CPU102及びメモリ103を備えている。CPU102はメモリ103に格納されたプログラムに従って各種処理を行い、表示部105を制御する。メモリ103は読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリであり、CPU102によって実行されるプログラムや各種パラメーター等が記憶されている。メモリ103に記憶されたアプリケーションブログラム(図10及び以降においてにおいて「AP」)110は、詳しくは後述するがプリンター1の背面側から媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を表示部105に表示させるステップを実行させるプログラムである。
【0048】
尚、本明細書において「プリンター1の背面側から媒体を給送する際に発生するイベント」には、プリンター1の背面側から媒体を給送する際にユーザーが行う操作や動作、プリンター1における前記操作や前記動作の検出、プリンター1が前記操作や前記動作を検出した結果行う処理、などが含まれる。詳しくは後述するが、前記操作には反転ユニット24の取り外しやアダプター23の装着などが含まれ、前記動作にはプリンター1の背面へのユーザーの接近などが含まれる。またプリンター1が前記操作や前記動作を検出した結果行う処理には、前記操作や前記動作を検出した旨の携帯情報端末100への通知が含まれる。
【0049】
制御部101は、通信部104を備えている。通信部104には、移動体通信を行う為の通信モジュールに加え、Wi-Fi方式に従った無線通信を行う為の通信モジュールも含まれる。尚、通信部104には、Bluetooth方式により無線通信を行う通信モジュールが含まれていても良いし、赤外線通信や、その他の無線通信方式を行う為の通信モジュールが含まれていても良い。但し通信部104は、少なくともプリンター1と通信を確立できるものであることが必要となる。
【0050】
続いて図11を参照して、プリンター1の制御部50と、携帯情報端末100の制御部101が行う処理の流れを、ユーザー操作を交えて説明する。尚、以下では説明を判りやすくする為、プリンター1の制御部50が行う処理を、プリンター1が行う処理として説明する。同様に、携帯情報端末100の制御部101が行う処理を、携帯情報端末100が行う処理として説明する。
【0051】
ユーザーが携帯情報端末100においてプリンター1との接続操作を行うと(ステップS10)、プリンター1及び携帯情報端末100は接続処理を行う(ステップS11)。
尚、ユーザーがプリンター1の背面にいる状態でWi-Fiネットワークを識別するためのSSID(Service Set IDentifier)及びパスワードを容易に取得する為に、例えば図5に示す様に延長支持部12Bを上方に引き出して露呈する下部背面2aに、二次元コード化されたSSID及びパスワードを表示しておいても良い。二次元コードの一例として、QRコードが挙げられる。名称としてのQRコードは、デンソーウェーブの登録商標である。
【0052】
或いはプリンター1の背面に、NFC(Near Field Communication)方式に従った無線通信を行う為の通信部を設けた上で、携帯情報端末100がNFC方式の通信によってSSID及びパスワードを取得する様に構成しても良い。
【0053】
次に、ユーザーが携帯情報端末100においてプリンター1の操作アプリ即ちAP110(図10参照)の起動操作を行うと(ステップS12)、携帯情報端末100はAP110を起動させる(ステップS13)。
その状態でユーザーがプリンター1の背面側から反転ユニット24(図5参照)を取り外すと(ステップS14)、プリンター1は反転ユニット24が取り外されたことを検出した旨を携帯情報端末100に通知する(ステップS15)。するとこれを受けて携帯情報端末100では、以降のユーザー操作方法を案内するUIを表示する(ステップS16)。
【0054】
このUIは、図13に示す画面111及び図14に示す画面112の様に、ユーザー操作方法を案内するメッセージと、その操作方法を図示する静止画或いは動画と、幾つかのユーザー操作を受け付ける操作ボタンとで構成される。例えば図13の画面111では、「反転ユニットからアダプターを取り外してください」のメッセージと、それを模式的に示す静止画が表示される。また、図13においてユーザーが「次へ」を押下すると、図14の画面112に示す様に「アダプターをプリンターに取り付けてください」のメッセージと、それを模式的に示す静止画が表示される。ユーザー操作方法に関する情報に静止画及び動画の少なくともいずれかを含めることで、ユーザー操作方法がユーザーにとって視覚的に判り易くなる。
尚、ユーザーが「スキップ」を押下した場合、本実施例では以降において説明するステップS22に進む。
【0055】
次にユーザーがアダプター23をプリンター1にセットすると(ステップS17)、プリンター1はアダプター23がセットされたことを検出した旨を携帯情報端末100に通知する(ステップS18)。するとこれを受けて携帯情報端末100では、更に以降のユーザー操作方法を案内するUIを表示する(ステップS19)。このUIは、例えば図15の画面113に示す様に「”ピッ”と音がするまで用紙を差し入れて下さい」のメッセージと、それを模式的に示す静止画とを含んで構成される。
【0056】
これに対してユーザーが媒体をプリンター1の媒体給送経路T3にセットすると(ステップS20)、プリンター1は媒体がセットされたことを検出した旨を携帯情報端末100に通知する(ステップS21)。するとこれを受けて携帯情報端末100では、印刷設定用のUIを表示部105に表示する(ステップS22)。この印刷設定用UIでは、媒体のサイズ、種類、記録品質、のこれらを設定する為のUIが提供される。媒体の種類には、例えば普通紙、光沢紙、などが含まれ、記録品質には、例えば「普通」、「きれい」などが含まれる。
【0057】
ユーザーが各種印刷設定を行い、”OK”を選択すると(ステップS23)、携帯情報端末100はその操作情報をプリンター1に送信する(ステップS24)。これを受けてプリンター1は、媒体への記録と、記録が行われた媒体の排出を行う(ステップS25)。それが完了すると、プリンター1は携帯情報端末100に対し印刷終了を通知し(ステップS26)、これを受けて携帯情報端末100は印刷継続確認を問うUIを表示させる(ステップS27)。ここでは、「印刷を続けますか?」と「終了しますか?」の2つをユーザーに選択させる為のUIが提供させる。
【0058】
ユーザーが印刷の継続を選択した場合、ステップS19に戻る。ユーザーが印刷の終了を選択した場合(ステップS29)、携帯情報端末100は表示部105に、以降のユーザー操作方法を案内するUIを表示させる。ここでは、例えばアダプター23のプリンター1からの取り外しと、これに続いて取り外したアダプター23の反転ユニット24への取り付けと、これに続いて反転ユニット24のプリンター1への装着と、のこれらの操作が案内される。
【0059】
ステップS29の操作案内が終了した場合或いはユーザーにより操作案内のスキップが選択されると、携帯情報端末100は表示部105にホーム画面を表示する(ステップS30)。
【0060】
図12を参照して図11のステップS25でのプリンター1の処理の流れについて説明する。プリンター1は、携帯情報端末100から操作情報を受信すると、第1媒体検出部59(図4参照)が媒体を検出しているか否かを判断する(ステップS101)。媒体を検出していない場合(ステップS101においてNo)、アラートを発する(ステップS105)。このアラートは、例えばプリンター1が備える不図示のスピーカーからのビープ音の発出や、プリンター1が備える操作パネル6への、媒体がセットされていない旨の警告表示が挙げられる。また、媒体がセットされていない旨の情報を携帯情報端末100に送信しても良い。これを受けて携帯情報端末100は、表示部105に、媒体がセットされていない旨の警告を表示することもできる。
【0061】
一方、媒体を検出した場合(ステップS101においてYes)、媒体への記録を行い(ステップS102)、記録の行われた媒体を排出し(ステップS103)、そして印刷が終了した旨を携帯情報端末100に通知する(ステップS104及び図11のステップS26)。
【0062】
以上説明した様にAP110は、プリンター1を携帯情報端末100から操作する為に携帯情報端末100において実行されるプログラムであって、プリンター1の背面側から媒体を給送する際に発生するイベント(図11においてステップS15、S18)に基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を携帯情報端末100の表示部105に表示させるステップ(図11においてステップS16、S19、S29)を実行させる。
またプリンター1は、携帯情報端末100との通信が確立された状態で媒体給送経路T3から媒体を給送する際に発生するイベント(図11においてステップS14、S17)を検出すると、当該検出を携帯情報端末100に通知する(図11においてステップS15、S18)。
またプリンター1及びプリンター1と通信が可能な携帯情報端末100を含む記録システム200において、プリンター1は、装置背面側から媒体を給送する際に発生するイベント(図11においてステップS14、S17)を検出すると、当該検出を携帯情報端末100に通知し(図11においてステップS15、S18)、携帯情報端末100は、前記通知を受け、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を携帯情報端末100が備える表示部105に表示させる。
以上によりユーザーは、プリンター1の背面側から媒体を給送する際の操作方法を視認性容易に確認することができ、ユーザーの利便性が向上する。
【0063】
またAP100の観点において上記イベントは、プリンター1の背面側から媒体を給送する際の給送経路である媒体給送経路T3を閉塞するユニット体、即ち反転ユニット24が取り外されたことを検出した旨の、プリンター1から携帯情報端末100に向けた通知である(図11のステップS15)。
即ちプリンター1の背面側から反転ユニット24が取り外されたということは、ユーザーがプリンター1の背面側から媒体を給送しようとする意思表示であると言える。そして上記イベントは、プリンター1の背面側から反転ユニット24が取り外されたことを検出した旨の、プリンター1から携帯情報端末100に向けた通知であるので、ユーザーの行動に見合った適切な操作方法を提示することができる。
【0064】
またAP100の観点において上記イベントは、媒体給送経路T3を形成する経路形成部材であるアダプター23がプリンター1に装着された旨の、プリンター1から携帯情報端末100に向けた通知である(図11のステップS18)。
即ちアダプター23がプリンター1に装着されたということは、ユーザーがプリンター1の背面側から媒体を給送しようとする意思表示であると言える。そして上記イベントは、アダプター23がプリンター1に装着された旨の、プリンター1から携帯情報端末100に向けた通知であるので、ユーザーの行動に見合った適切な操作方法を提示することができる。
【0065】
続いて図16を参照してプリンター1と携帯情報端末が行う処理の他の実施例を説明する。
図16のステップS40~S43については、図11のステップS10~S13と同様であるので、以下ではその説明は省略する。
本実施例ではユーザーがプリンター1の背面に接近し(ステップS44)、プリンター1がそれを人感センサー64(図5図9参照)により検知すると、プリンター1はその旨を携帯情報端末100に通知する(ステップS45)。
【0066】
するとこれを受けて携帯情報端末100では、以降のユーザー操作方法を案内するUIを表示する(ステップS46)。このUIは、例えば図17の画面114で示す様に、「プリンターから反転ユニットを取り外してください」のメッセージと、それを模式的に示す静止画とで構成される。
これに対しユーザーが反転ユニット24をプリンター1から取り外すと(ステップS47)、プリンター1は反転ユニット24が取り外されたことを検出した旨を携帯情報端末100に通知する(ステップS48)。以降のステップS49~S63については、図11を参照して説明したステップS16~S30と同様であるので、以下ではその説明は省略する。
【0067】
以上の様に、本実施例においても、プリンター1を携帯情報端末100から操作する為に携帯情報端末100において実行されるプログラムであるAP110は、プリンター1の背面側から媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、前記イベント発生以降のユーザー操作方法に関する情報を携帯情報端末100の表示部105に表示させるステップ(図16においてステップS46、S49、S52、S62)を実行させる。
これによりユーザーはプリンター1の背面側から媒体を給送する際の操作方法を視認性容易に確認することができ、ユーザーの利便性が向上する。
そして本実施例において上記イベントは、プリンター1の背面側に設けられた人感センサー64が人を検知した旨の、プリンター1から携帯情報端末100に向けた通知である。
【0068】
即ち、プリンター1の背面側に設けられた人感センサー64が人を検知したということは、ユーザーがプリンター1の背面側から媒体を給送しようとする可能性があると言える。そして上記イベントは、プリンター1の背面側に設けられた人感センサー64が人を検知した旨の、プリンター1から携帯情報端末100に向けた通知であるので、ユーザーの行動に見合う適切な操作方法を提示することができる。
【0069】
以上説明した実施例では、適宜以下の様にすることもできる。
(1)ユーザー操作方法は、携帯情報端末100の表示部105のみならず、プリンター1の操作パネル6に表示しても良い。その際、双方で表示される情報を同じにすることもできる。これにより、ユーザーの利便性を向上させることができる。
また、携帯情報端末100の表示部105での表示とプリンター1の操作パネル6での表示とを同期させてもよく、例えば一方において画面が切り替わった際、他方でも同じタイミングで画面が切り替わる様にしても良い。これにより、ユーザーの利便性をより一層向上させることができる。
(2)ユーザー操作方法に関する情報は、携帯情報端末100のメモリ103に保存されていても良いし、或いはプリンター1のメモリ55に保存されていても良く、その場合携帯情報端末100が無線通信によりプリンター1からユーザー操作方向に関する情報を取得する。また或いは、ユーザー操作方法に関する情報は図8のサーバー300に保存されていても良く、その場合携帯情報端末100がネットワーク400を介してサーバー300からユーザー操作方向に関する情報を取得する。
【0070】
(3)プリンター1の背面側から媒体を給送する際に発生するイベントとして、反転ユニット24のプリンター1からの取り外し、アダプター23のプリンター1への装着、プリンター1へのユーザーの接近、のこれらを一例として挙げたが、勿論これらに限られないことは言うまでもない。
例えば、携帯情報端末100においてユーザーが媒体給送経路として媒体給送経路T3を選択したことを上記イベントとしても良い。
(4)プリンター1背面へのユーザーの接近は、上記実施例では人感センサー64により検知した。しかし例えばプリンター1が、携帯情報端末100から受信した電波の入射角度に基づいてプリンター1に対する携帯情報端末100の角度を検出し、携帯情報端末100がプリンター1の背面よりも-Y方向に位置すると判断できる場合に、プリンター1背面にユーザーが接近したと判断する様にしても良い。
【0071】
(5)携帯情報端末100におけるアプリケーションプログラムであるAP110は、上記実施例ではユーザーが起動操作することとしたが、プリンター1の背面側から媒体を給送する際に発生するイベントに基づき、携帯情報端末100がAP110を自動で起動する様にしても良い。
【0072】
(6)装置背面側からのユーザー操作は、媒体給送経路T3を利用した媒体の給送のほか、ジャム処理が考えられる。装置内部で詰まった媒体を除去する場合、反転ユニット24を装置本体2から取り外すこととなる。そして媒体のジャム発生は、プリンター1の制御部50が第1媒体検出部59或いは第2媒体検出部60の検出情報をもとに検知できる為、プリンター1は媒体のジャム発生を検知した場合、携帯情報端末100にその旨を通知することができる。これを受けて携帯情報端末100は、表示部105に詰まった媒体の除去方法を表示させることもできる。
また装置内部でジャム発生を検知している状態で、プリンター1の背面へのユーザーの接近を検知した際、携帯情報端末100はその旨の通知をプリンター1から受けると、媒体給送経路T3を利用した媒体の給送に関する操作方法ではなく、ジャム処理方法を優先的に表示させることもできる。
【0073】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1…インクジェットプリンター、2…装置本体、3…スキャナー部、3a…原稿カバー、3b…原稿台、3c…読取センサー、3d…センサーモーター、4…前面カバー、6…操作パネル、8…上面カバー、9…媒体排出口、10…媒体カセット、11…ピックローラー、12A…傾斜支持部、12B…延長支持部、13…給送ローラー、14…補助ローラー、15…送りローラー対、15a…送りローラー、15b…ニップローラー、16…キャリッジ、17…記録ヘッド、18…媒体支持部、19…排出ローラー対、19a…送りローラー、19b…ニップローラー、20…反転ローラー、21…媒体受けトレイ、22a、22b、22c…従動ローラー、23…アダプター、24…反転ユニット、49…調整機構、50…制御部、51…キャリッジモーター、53…搬送モーター、54…CPU、55…メモリ、57…位置検出部、58…回転検出部、59…第1媒体検出部、60…第2媒体検出部、61…ユニット検出部、62…通信部、63…アダプター検出部、64…人感センサー、70…制御プログラム(SP)、100…携帯情報端末、101…制御部、102…CPU、103…メモリ、104…通信部、105…表示部、110…アプリケーションプログラム(AP)、111…画面、200…記録システム、300…サーバー、400…ネットワーク、T1、T2、T3…媒体給送経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17