(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】支援装置および支援システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/00 20200101AFI20240703BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20240703BHJP
H05B 47/20 20200101ALI20240703BHJP
【FI】
H05B47/00
H05B47/175
H05B47/20
(21)【出願番号】P 2020202100
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】志知 輝一
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055848(JP,A)
【文献】特開2019-008966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H05B 47/175
H05B 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バトンのバトン位置情報
、および前記バトンの照明器具を設置する器具位置毎に
設けられた器具位置情報表示部に表示される器具位置情報を含むレイアウト情報と、前記バトンの前記器具位置毎に設置する前記照明器具の器具情報と、前記バトンの前記器具位置毎に対応した前記器具位置情報と前記器具情報とを紐付ける紐付け情報と
、を保存する
管理装置と通信可能とする支援装置であって、
撮影部と;
情報を表示する表示部と;
前記撮影部が前記バトンの前記器具位置毎に対応して設けられた前記器具位置情報表示部を撮影することで、前記器具位置情報表示部に表示される前記器具位置情報を認識する認識部と;
前記認識部で認識された前記バトンの前記器具位置情報に紐付けられている前記器具情報を前記管理装置から取得する取得部と;
前記取得部で取得された前記器具情報を前記表示部に表示させる制御部と;
を備えることを特徴とする
支援装置
。
【請求項2】
バトンのバトン位置情報、および前記バトンの照明器具を設置する器具位置毎に設けられた器具位置情報表示部に表示される器具位置情報を含むレイアウト情報と、前記バトンの前記器具位置毎に設置する前記照明器具の器具情報と、前記バトンの前記器具位置毎に対応した前記器具位置情報と前記器具情報とを紐付ける紐付け情報と、を保存する管理装置と;
撮影部と;
情報を表示する表示部と;
前記撮影部
が前記バトンの前記器具位置毎に対応して
設けられた前記器具位置情報表示部を撮影することで、前記器具位置情報表示部に表示される前記器具位置情報を認識する認識部と;
前記認識部で認識された前記バトンの前記器具位置情報に紐付けられている前記器具情報を前記管理装置から取得する取得部と;
前記取得部で取得された前記器具情報を前記表示部に表示させる制御部と;
を備えることを特徴とする支援システム。
【請求項3】
前記支援装置は、比較部および設定部をさらに備え、前記管理装置および
前記バトンと通信可能と
しており、
前記取得部は、前記バトンから前記器具位置毎に設置された前記照明器具の情報を前記器具位置情報とともに取得し、前記管理装置から前記バトンの前記器具位置情報に紐付けられている前記器具情報を取得
し、
前記比較部は、前記器具位置情報毎に前記照明器具の情報と前記器具情報とを比較
し、
前記設定部は、前記比較部により前記器具位置情報毎に前記照明器具の情報と前記器具情報とが対応する前記照明器具に対して前記管理装置から取得した前記照明器具の情報に含まれる所定の通信プロトコルのアドレスを設定する
ことを特徴とする
請求項1に記載の支援装置。
【請求項4】
前記支援システムは、比較部および設定部をさらに備え、
前記取得部は、前記バトンから前記器具位置毎に設置された前記照明器具の情報を前記器具位置情報とともに取得し、前記管理装置から前記バトンの前記器具位置情報に紐付けられている前記器具情報を取得
し、
前記比較部は、前記器具位置情報毎に前記照明器具の情報と前記器具情報とを比較
し、
前記設定部は、前記比較部により前記器具位置情報毎に前記照明器具の情報と前記器具情報とが対応する前記照明器具に対して前記照明器具の情報に含まれる所定の通信プロトコルのアドレスを設定す
る
ことを特徴とする
請求項2に記載の支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明器具の仕込み作業を支援する情報を保存する管理装置に保存された情報を利用する支援装置および支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、舞台やテレビスタジオなどでは、演目や番組毎に合わせて、照明器具の仕込み作業が行われている。この仕込み作業では、バトンにどのような照明器具を設置するかを予め作成した仕込み図を参照しながら、バトンに照明器具を設置しなければならず、さらに、仕込み図を参照しながら、調光操作卓と照明器具との間で所定の通信プロトコルにより通信するためのアドレスや照明器具のモードを手作業で設定しなければならず、照明器具の仕込み作業の効率化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、照明器具の仕込み作業の効率化に対応できる支援装置および支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の支援装置は、バトンのバトン位置情報、およびバトンの照明器具を設置する器具位置毎に設けられた器具位置情報表示部に表示される器具位置情報を含むレイアウト情報と、バトンの器具位置毎に設置する照明器具の器具情報と、バトンの器具位置毎に対応した器具位置情報と器具情報とを紐付ける紐付け情報と、を保存する管理装置と通信可能とする支援装置である。支援装置は、撮影部と、情報を表示する表示部と、撮影部がバトンの器具位置毎に対応して設けられた器具位置情報表示部を撮影することで、器具位置情報表示部に表示される器具位置情報を認識する認識部と、認識部で認識されたバトンの器具位置情報に紐付けられている器具情報を管理装置から取得する取得部と、取得部で取得された器具情報を表示部に表示させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
実施形態によれば、照明器具の仕込み作業の効率化に対応できる管理装置、支援装置および支援システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態を示す照明システムに適用する支援システムの説明図である。
【
図2】同上支援システムの管理装置の構成図である。
【
図3】同上管理装置が有する紐付け情報の説明図である。
【
図4】同上レイアウト情報に基づくレイアウト図の説明図である。
【
図5】同上レイアウト図に照明器具を配置した説明図である。
【
図6】同上支援システムに用いられる支援装置であるグラスの構成図である。
【
図7】同上支援システムに用いられる支援装置である調光操作卓の構成図である。
【
図8】同上グラスに仕込み作業時の器具情報を表示した説明図である。
【
図9】同上グラスに保守作業時の器具情報を表示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0009】
図1において、10は照明システムである。照明システム10は、舞台やテレビスタジオなどでの照明演出を制御するものである。照明システム10は、複数の照明器具11、これら照明器具11を設置する複数のバトン12、およびこれらバトン12に設置された照明器具11を遠隔操作する調光操作卓13などを備えている。
【0010】
照明器具11は、例えばLEDや有機ELなどの発光素子やランプなどを光源として用いており、調光操作卓13による照明演出に応じた照明制御が可能になっている。照明器具11は、例えば、明るさ、光照射範囲、色彩、光照射角度などの照明制御が可能になっている。照明器具11は、DMXを拡張したRDM(Remote Device Management)規格に沿った通信プロトコルにより、調光操作卓13と双方向に通信可能なRDM規格対応照明器具である。照明器具11は、固有の器具ID、器具種類、メーカー、製品名、製造番号、機能を切り換えるためのモードなどの固有の器具情報を記憶しており、この固有の器具情報を調光操作卓13に送信可能とする。なお、器具情報には、点灯時間、通電時間、納入時期などを含む照明器具11の使用状況の情報が含まれていてもよい。
【0011】
照明器具11には、仕込み作業の際に、RDM規格に沿った通信プロトコルに用いられるアドレスや、機能などを切り換えるモードが設定される。
【0012】
また、バトン12は、舞台やテレビスタジオなどの天井側に、昇降装置により昇降可能に設置されている。バトン12は、長尺に設けられ、長手方向の複数箇所に、複数の照明器具11を吊下げ状態に設置する器具位置A1~A3の領域が設けられている。なお、
図1には、3つのバトン12の例を示し、さらに、バトン12毎に3つの器具位置A1~A3を示すが、これらに限られるものではない。
【0013】
バトン12には、長手方向に対して交差する方向の一側面である例えば正面側の視認可能な位置に、バトン12毎に固有のバトン認識情報を表示するバトン認識情報表示部15が表示されている。バトン認識情報表示部15には、例えば、バーコード、QRコード(登録商標)などの二次元コードや、L1、L2、L3…といった文字などが用いられている。
【0014】
バトン12には、バトン12に設置される照明器具11を通信可能に接続するノード(RDMノード)16が設けられている。ノード16は、RDM規格に沿った通信プロトコルにより、照明器具11や調光操作卓13と双方向に通信可能に接続する中継器である。ノード16は、例えばイーサネット(登録商標)などの有線または無線によるネットワークによりハブ17を介して調光操作卓13などと双方向に通信可能とする。ノード16は、バトン12の照明器具11が設置される器具位置A1~A3に対応して設けられた複数のポートP1~P3を有し、これらポートP1~P3に照明器具11の通信ケーブルが接続され、ポートP1~P3を通じて照明器具11と双方向に通信可能としている。ポートP1~P3毎にポートIDが付与されており、このポートIDに基づいてバトン12のどのポートP1~P3にどの照明器具11が接続されているかを特定可能としている。そして、ポートP1~P3に照明器具11の通信ケーブルを接続すると、ノード16を通じて照明器具11と調光操作卓13とが双方向に通信し、どのポートP1~P3つまりどの器具位置A1~A3にどの照明器具11が設置されているかを調光操作卓13で特定可能としている。なお、ノード16は、バトン12の納入時期を含むバトン情報を保存していてもよい。
【0015】
バトン12には、照明器具11が設置される器具位置A1~A3に対応して照明器具11に電力を供給する図示しないコンセントが設けられている。
【0016】
さらに、バトン12は、照明器具11が設置される器具位置A1~A3毎に対応して固有の器具位置情報を備えている。バトン12の認識情報表示部15が表示された面と同じ一側面である例えば正面側の視認可能な位置で、照明器具11が設置される器具位置A1~A3に対応して、つまり各ポートP1~P3の側部位置に、器具位置情報を示すタグである器具位置情報表示部19が表示されている。器具位置情報表示部19には、例えば、バーコード、QRコード(登録商標)などの二次元コードや、文字などが用いられる。なお、器具位置情報表示部19は、固有の器具位置情報として、例えばL1-A1、L1-A2…などのようにバトン情報と関連付けた情報を含んでもよいし、例えばA1~A24のように被らない情報を含んでもよい。
【0017】
なお、器具位置A1~A3毎に対応した器具位置情報には、器具位置A1~A3に対応して表示された器具位置情報表示部19の他に、ポートP1~P3毎に付与されているポートIDも含まれる。
【0018】
また、調光操作卓13は、ハブ17およびノード16を通じてバトン12に設置された照明器具11と通信し、照明演出に応じて照明器具11を制御する。調光操作卓13は、例えばオペレータによる操作に応じて制御対象の照明器具11のアドレスを含む制御情報を生成し、またはシーンに応じて制御対象の照明器具11のアドレスを含む制御情報を生成し、アドレスが示す照明器具11が接続されているバトン12のノード16に制御情報を送信する。ノード16は、制御情報をRDM規格に沿った制御信号に変換し、アドレスが示す照明器具11に対して制御信号を出力する。これにより、自己のアドレスの制御信号を受け取った照明器具11が動作して照明状態を変更する。このように、調光操作卓13は、RDM規格対応の制御情報に含まれるアドレスを用いて、各照明器具11を遠隔制御する。
【0019】
そして、照明システム10では、演目や番組毎の照明演出に合わせて、照明器具11の仕込み作業が行われる。この照明システム10には、照明器具11の仕込み作業を支援して効率化するための支援システム30が適用されている。
【0020】
支援システム30は、照明器具11の仕込み作業を支援する情報である支援情報を保存する管理装置31と、管理装置31に保存された支援情報を利用する支援装置32,33(第1の支援装置32および第2の支援装置33)とを備えている。支援装置32は、バトン12に対する照明器具11の設置や確認を支援するもので、眼鏡形のグラス34で構成されている。支援装置33は、管理装置31に保存された支援情報を利用して照明器具11のアドレスやモードなどの設定を支援するもので、調光操作卓13でその機能を兼用するように構成されている。なお、支援装置33は、調光操作卓13に限らず、他のコンピュータや管理装置31であってもよい。
【0021】
管理装置31は、例えばコンピュータにて構成されている。
図2に示すように、管理装置31は、管理装置31を制御する制御部40と、情報を記憶する記憶部41と、ハブ17を介してバトン12、グラス34および調光操作卓13と双方向に通信する通信部42、ディスプレイなどの表示部43、およびキーボードやマウスなどの操作部44を備えている。
【0022】
管理装置31は、バトン12のバトン位置情報、およびバトン12の照明器具11を設置する器具位置A1~A3毎に対応した器具位置情報を含むレイアウト情報と、バトン12の器具位置A1~A3毎に設置する照明器具11の器具情報と、これらバトン12の器具位置A1~A3毎に対応した器具位置情報と器具情報とを紐付ける紐付け情報とを含む仕込み作業を支援する支援情報を記憶部41に保存し、この支援情報をグラス34や調光操作卓13に提供する。なお、支援情報には、照明器具11毎の点灯時間、通電時間および納入時期などを含む器具情報や、バトン12の納入時期を含むバトン情報なども含まれていてもよい。さらに、照明器具11の器具情報には、バトン12に接続された照明器具11毎に予め付与されるRDM規格に沿った通信プロトコルのアドレス、つまり1~512のアドレス情報が含まれる。
【0023】
図3に管理装置31が有する紐付け情報の一例を示す。例えばL1のバトン12について、器具位置A1、A2、A3毎に、器具位置情報表示部19に表示される器具位置情報L1-A1、L1-A2、L1-A3と、ポートP1、P2、P3のポートIDと、管理装置31が予め照明器具11毎に付与するアドレスと、照明器具11の器具種類と、照明器具11の器具型番となどが紐付けられている。
【0024】
管理装置31は、例えばCADなどの別のコンピュータなどで作成された支援情報を取得して保存してもよいし、管理装置31自体で支援情報を作成して保存してもよい。
【0025】
図4にレイアウト情報に基づくレイアウト図の例を示す。レイアウト情報には、舞台やスタジオなどの施設形状と、バトン12の位置と、バトン12毎の器具位置A1~A3とが含まれている。レイアウト情報には、バトン12の器具位置A1~A3毎に対応して器具位置情報が紐付けられている。
【0026】
図5にレイアウト図に照明器具11を配置した例を示す。任意のバトン12の器具位置A1~A3に、任意の種類の照明器具11が配置されている。さらに、照明器具11の光照射方向の向きが水平方向および垂直方向の2軸のテキストデータとして設定されている。バトン12の器具位置A1~A3毎に配置された照明器具11には器具情報が紐付けられている。レイアウト情報と器具情報に基づいて、バトン12の器具位置A1~A3毎に対応した器具位置情報と、バトン12の器具位置A1~A3毎に配置される照明器具11の器具情報とが紐付けられている。
【0027】
したがって、管理装置31は、レイアウト情報と、照明器具11の器具情報と、紐付け情報とを含む仕込み作業を支援する支援情報を保存している。この支援情報には、照明器具11やバトン12の使用状況の情報が含まれていてもよい。
【0028】
さらに、管理装置31の制御部40は、支援情報に基づいたバトン12の器具位置A1~A3毎の照明器具11の設置情報と、上述したように器具位置A1~A3に設置されてポートP1~P3に接続されることで得られる実際の照明器具11の設置情報とを比較し、器具位置A1~A3に照明器具11が設置されているか否か、器具位置A1~A3に設置すべき照明器具11が正しく設置されているか否かを判断する判断部45の機能を有している。
【0029】
また、支援装置32であるグラス34は、作業者が装着し、作業者が目視している実際の像に対して情報を重ねて表示する拡張現実AR(Augmented Reality)技術を用いたARグラスや、複合現実MR(Mixed Reality)技術を用いたMRグラスなどを用いてもよい。
【0030】
図1および
図6に示すように、グラス34は、支援装置本体であるグラス本体50と、このグラス本体50に設けられた撮影部51と、情報を表示する表示部52と、管理装置31と通信する通信部53と、グラス34を制御する制御部54とを備えている。
【0031】
グラス本体50は、作業者が透過して目視するグラス部50a、およびこのグラス部50aの両側に連結され作業者の左右の両耳に掛けるための左右のテンプル部を有し、眼鏡構造に形成されている。
【0032】
撮影部51は、グラス部50aの前方であって作業者がグラス部50aを通じて目視する目視方向を撮影するカメラが用いられる。撮影部51は、グラス本体50に設けられ、具体的にはグラス部50aまたはテンプル部のいずれかに設けられる。
【0033】
表示部52は、グラス部50aに設けられ、例えば透過型のディスプレイが用いられる。この表示部52は、グラス部50aを透過して目視される実際の像に、CG(Computer Graphics)などで表現される仮想表示物等の情報を重ねて表示する。なお、表示部52は、グラス部50aに情報を投影する投影形や、撮影部51によって撮影される画像を表示する液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどでもよい。
【0034】
通信部53は、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線方式により、例えば無線ルーターなどのアクセスポイント58と双方向に通信し、このアクセスポイント58およびハブ17を通じて管理装置31と双方向に通信する。
【0035】
制御部54は、マイコンなどで構成され、ソフトウェアにより認識部55、取得部56および表示制御部57の機能を有している。
【0036】
認識部55は、撮影部51で撮影されるバトン認識情報表示部15からバトン12のバトン認識情報を認識し、撮影部51で撮影される器具位置情報表示部19からバトン12の器具位置A1~A3を認識する。なお、器具位置情報表示部19が、固有の器具位置情報として、例えばL1-A1、L1-A2…などのようにバトン情報と関連付けた情報や、例えばA1~A24のように被らない情報を含んでいる場合には、器具位置情報表示部19をグラス34で撮影することで、その器具位置情報表示部19がどのバトン12のどの位置であるかを特定できる。
【0037】
取得部56は、認識部55で認識されたバトン12のバトン情報や器具位置情報に紐付けられている器具情報を管理装置31から取得する。
【0038】
表示制御部57は、取得部56で取得された器具位置情報に紐付けられている器具情報をバトン12の器具位置情報表示部19の位置に対応して表示部52で表示させる。さらに、表示制御部57は、バトン12に設置されている照明器具11の使用状況の情報をバトン12の器具位置情報表示部19の位置に対応して表示部52で表示させたり、バトン12の使用状況の情報をバトン認識情報表示部15の位置に対応して表示部52で表示させる。
【0039】
また、支援装置33である調光操作卓13は、仕込み作業時において、管理装置31から支援情報を取得し、その支援情報を利用してバトン12に設置された照明器具11のアドレスやモードなどの設定を支援する。
【0040】
図7に示すように、調光操作卓13は、調光操作卓13を制御する制御部60と、管理装置31と通信する通信部61と、ディスプレイなどの表示部62と、キーボードなどの操作部63とを備えている。
【0041】
制御部60は、マイコンなどで構成され、ソフトウェアにより取得部64、比較部65および設定部66の機能を有している。
【0042】
取得部64は、バトン12から器具位置A1~A3毎に設置された照明器具11の情報を器具位置情報(ポートID)とともに取得し、管理装置31からバトン12の器具位置A1~A3毎に対応した器具位置情報に紐付けられている器具情報を取得する。
【0043】
比較部65は、器具位置情報毎に照明器具11の情報と器具情報とを比較する。
【0044】
設定部66は、比較部65により器具位置情報毎に照明器具11の情報と器具情報とが対応する照明器具11に対して、管理装置31から取得した照明器具11の情報に含まれるRDM規格に沿った通信プロトコルのアドレス、つまり1~512のアドレスを設定するとともに、モード番号を設定する。
【0045】
次に、支援システム30を用いた支援動作について説明する。
【0046】
図1において、照明器具11の仕込み作業を行う場合、作業者は、グラス34を装着し、例えばバトン認識情報表示部15がL1のバトン12を目視する。このとき、L1のバトン12は、昇降装置により作業者が作業可能な高さまで下降されている。
【0047】
作業者がバトン12を目視するのに応じて、撮影部51がバトン12を撮影する。撮影部51がバトン12の器具位置A1~A3毎に対応して表示された器具位置情報表示部19を撮影すると、グラス34の認識部55は、器具位置情報表示部19からバトン12の器具位置A1~A3毎に対応した器具位置情報を認識する。
【0048】
認識部55がバトン12の器具位置情報を認識すると、通信部53により管理装置31と通信し、取得部56によりバトン12の器具位置情報毎に紐付けられている器具情報を管理装置31から取得する。
【0049】
このとき、管理装置31では、支援情報に基づいたバトン12の器具位置A1~A3毎の設置すべき照明器具11の設置情報と、器具位置A1~A3に設置されてポートP1~P3に接続されることで得られる実際の照明器具11の設置情報とを比較し、器具位置A1~A3に照明器具11が設置されているか否か、器具位置A1~A3に設置すべき照明器具11が正しく設置されているか否かを判断している。そして、管理装置31は、バトン12の器具位置情報に紐付けられている器具情報に加えて、バトン12の器具位置情報毎に、実際に設置されていない未設置の照明器具11の器具情報、実際に正しく設置されている照明器具11の器具情報、設置が正しくなく異なっている照明器具11の器具情報などもグラス34に送信する。
【0050】
そして、グラス34は、取得部56がバトン12の器具位置情報毎に紐付けられている器具情報を取得すると、表示部52でグラス34のグラス部50aに器具情報を表示させる。
【0051】
図8にグラス34に仕込み作業時の器具情報を表示した例を示す。バトン12は、グラス34のグラス部50aを透過して目視される実際のバトン12の像である。ここでは、バトン12の器具位置A1~A3のいずれにも照明器具11が設置されていない状態にある。
【0052】
グラス34のグラス部50aには、バトン12の器具位置情報表示部19毎に対応して、器具位置情報に紐付けられている器具情報を表示する。表示する器具情報には、照明器具11の画像、種類名、アドレス番号、モード番号などが含まれている。さらに、グラス34のグラス部50aには、器具位置情報表示部19と器具情報の表示との間に、器具位置情報表示部19に向けて器具情報の表示を関連付ける矢印が表示される。さらに、器具表示には、照明器具11の光照射方向の向きの情報であって、例えば水平方向および垂直方向の2軸のテキストデータなどの情報も付加してもよい。
【0053】
これにより、作業者は、グラス部50aを透過して目視される実際のバトン12の器具位置情報表示部19毎つまり器具位置A1~A3毎に表示される器具情報を視認し、設置すべき照明器具11、および照明器具11を設置する器具位置A1~A3を容易に確認できる。作業者は、この確認に基づいて、設置すべき照明器具11を選択し、バトン12の対応する器具位置A1~A3に設置する。
【0054】
また、バトン12の対応する器具位置A1~A3に照明器具11を設置して対応するポートP1~P3に接続すると、照明器具11と管理装置31とが双方向に通信する。管理装置31は、バトン12のポートP1~P3の器具位置情報であるポートIDとポートP1~P3に接続された照明器具11の情報を取得し、ポートP1~P3つまりどの器具位置A1~A3にどの照明器具11が設置されているかを特定する。上述したように、管理装置31は、支援情報に基づいたバトン12の器具位置A1~A3毎の照明器具11の設置情報と、器具位置A1~A3に設置されてポートP1~P3に接続されることで得られる実際の照明器具11の設置情報とを比較し、器具位置A1~A3に設置すべき照明器具11が正しく設置されているか否かを判断し、判断結果の情報をグラス34に送信する。
【0055】
グラス34は、正しく設置されている照明器具11の情報を取得した場合、グラス部50aを透過して目視されるバトン12の照明器具11上または対応する位置に、正しく設置されていることを表示する。例えば、正しく設置されている照明器具11に上に重ねて、青色表示や、「○」表示をする。
【0056】
一方、グラス34は、設置が正しくなく異なっている照明器具11の情報を取得した場合、グラス部50aを透過して目視されるバトン12の照明器具11上または対応する位置に、正しくなく異なっていることを表示する。例えば、正しくなく異なっている照明器具11上に重ねて、赤色表示や、「×」表示をする。
【0057】
これらにより、作業者は、グラス部50aを透過して目視されるバトン12の器具位置A1~A3に、設置すべき照明器具11が正しく設置されているか否かを容易に確認することができる。そして、照明器具11が間違って設置されている場合には、照明器具11を間違った位置から正しい位置に設置しなおしたり、正しい照明器具11に設置しなおす。
【0058】
次に、照明器具11を設置した後には、支援装置33である調光操作卓13により、各照明器具11に対して、RDM規格に沿った通信プロトコルで用いるアドレスやモード番号を自動的に設定する。
【0059】
調光操作卓13を操作し、所定の設定モードを選択することにより、調光操作卓13は照明器具11のアドレスおよびモード番号を自動設定する自動設定モードを実行する。あるいは、照明器具11をバトン12に設置してポートP1~P3に接続することで、照明器具11と調光操作卓13とが通信可能となることにより、自動設定モードを実行してもよい。
【0060】
自動設定モードでは、取得部64により、バトン12から器具位置A1~A3毎に設置された照明器具11の情報を器具位置情報(ポートID)とともに取得し、管理装置31からバトン12の器具位置A1~A3毎に対応した器具位置情報に紐付けられている器具情報を取得する。比較部65により、器具位置情報毎に照明器具11の情報と器具情報とを比較する。
【0061】
設定部66により、器具位置情報毎に照明器具11の情報と器具情報とが対応する照明器具11に対して、管理装置31から取得した照明器具11の情報に含まれるRDM規格に沿った所定の通信プロトコルのアドレスやモード番号を設定する。設定するアドレスやモードの設定情報は、器具位置情報(ポートID)に関連付けてバトン12に送信する。
【0062】
そして、照明器具11は、自己の器具位置情報(ポートID)に関連付けられている設定情報を取得し、アドレスを設定するとともにモード番号を設定する。
【0063】
したがって、照明器具11のアドレスやポート番号の設定は、一般に作業者による手作業で行われていたが、自動的に実行することができ、照明器具11の仕込み作業を効率化できる。
【0064】
また、支援システム30により照明器具11やバトン12の保守管理が可能となっている。
【0065】
作業者は、管理装置31やグラス34が有する操作部などで保守モードを選択し、グラス34を通じてバトン12を目視する。
【0066】
作業者がバトン12を目視するのに応じて、撮影部51がバトン12を撮影する。撮影部51がバトン12の器具位置A1~A3毎に対応した器具位置情報表示部19を撮影すると、グラス34の認識部55は、器具位置情報表示部19からバトン12の器具位置A1~A3毎に対応した器具位置情報を認識する。
【0067】
認識部55がバトン12の器具位置情報を認識すると、通信部53により管理装置31と通信し、取得部56によりバトン12の器具位置情報毎に紐付けられている器具情報を管理装置31から取得する。
【0068】
そして、グラス34は、取得部56がバトン12の器具位置情報毎に紐付けられている器具情報を取得すると、表示部52でグラス34のグラス部50aに器具情報を表示させる。
【0069】
図9にグラス34に保守作業時の器具情報を表示した例を示す。バトン12および照明器具11は、グラス34のグラス部50aを透過して目視される実際のバトン12および照明器具11の像である。
【0070】
グラス34のグラス部50aには、バトン12の器具位置情報表示部19毎に対応して、器具位置情報に紐付けられている器具情報を表示する。表示する器具情報には、照明器具11の点灯時間、通電時間、納入時期などが含まれている。さらに、グラス34のグラス部50aには、器具位置情報表示部19と器具情報の表示との間に、器具位置情報表示部19に向けて器具情報の表示を関連付ける矢印が表示する。
【0071】
これにより、作業者は、グラス部50aを透過して目視される実際のバトン12の照明器具11毎に表示される器具情報を視認し、照明器具11の使用状況を容易に確認できる。
【0072】
さらに、点灯時間、通電時間、納入時期などが、予め設定された交換推奨時間や交換推奨時期を経過したり、交換報知時間や交換報知時期が経過した照明器具11については、交換推奨または交換を促す報知情報を器具情報の一部として表示してもよい。この場合、作業者は、交換推奨または交換を促す報知情報を確認し、交換すべき照明器具11を用意したり、照明器具11の使用を止めて用意しておいた新しい照明器具11と交換する。
【0073】
さらに、保守モードでは、グラス34の撮像部51でバトン12のバトン認識情報表示部15を撮影してバトン認識情報を認識することにより、グラス34のグラスプ50aにバトン情報認識表示部15の位置に対応して納入時期などのバトン情報を表示したり、バトン12の交換推奨または交換を促すように表示する。
【0074】
また、調光操作卓13にも調光操作卓認識情報を表示する調光操作卓認識情報表示部を表示し、調光操作卓認識情報と調光操作卓13の納入時期などの調光操作卓情報を紐付けて管理装置31などに保存しておくことにより、グラス34で調光操作卓認識情報に紐付けられている調光操作卓認識情報を表示することができる。
【0075】
そして、照明システム10に支援システム30を適用し、この支援システム30の管理装置31が、バトン12のバトン位置情報、およびバトン12の照明器具11を設置する器具位置A1~A3毎に表示された器具位置情報を含むレイアウト情報と、バトン12の器具位置A1~A3毎に設置する照明器具11の器具情報と、バトン12の器具位置A1~A3毎に対応した器具位置情報と器具情報とを紐付ける紐付け情報とを含む仕込み作業を支援する支援情報を記憶部41に保存しているため、照明器具11の仕込み作業の効率化に容易に対応できる。
【0076】
この管理装置31と通信可能な支援装置32により、バトン12の器具位置A1~A3毎に対応して表示された器具位置情報を撮影して認識し、器具位置情報に紐付けられている器具情報を管理装置31から取得し、取得された器具情報を表示するため、仕込み作業する作業者は、表示された器具情報を視認し、設置すべき照明器具11および設置位置A1~A3を容易に確認でき、照明器具11の仕込み作業を効率化できる。
【0077】
さらに、管理装置31と通信可能な支援装置33により、バトン12から器具位置A1~A3毎に設置された照明器具11の情報を器具位置情報とともに取得し、管理装置31からバトン12の器具位置情報に紐付けられている器具情報を取得し、器具位置情報毎に照明器具11の情報と器具情報とを比較し、器具位置情報毎に照明器具11の情報と器具情報とが対応する照明器具11に対して管理装置31から取得した照明器具11の情報に含まれる所定の通信プロトコルのアドレスを設定するため、照明器具11のアドレスを自動的かつ正確に設定することができ、照明器具11の仕込み作業を効率化できる。
【0078】
なお、支援装置32が認識部55を備えていたが、管理装置31が備えていてもよく、支援システム30として備えていればよい。
【0079】
また、支援装置32は、グラス34に限らず、撮影部および表示部などを有するスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコンなどであってもよい。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
11 照明器具
12 バトン
19 器具位置情報表示部
30 支援システム
31 管理装置
32,33 支援装置
51 撮影部
52 表示部
54 制御部
55 認識部
56 取得部
64 取得部
65 比較部
66 設定部
A1~A3 器具位置