(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】組合せ端子
(51)【国際特許分類】
H01R 11/12 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
H01R11/12 E
(21)【出願番号】P 2021130534
(22)【出願日】2021-08-10
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】中村 英人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大亮
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-032456(JP,A)
【文献】特開2004-207209(JP,A)
【文献】特開2017-045524(JP,A)
【文献】特開2017-103188(JP,A)
【文献】特開2018-170245(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017211459(DE,A1)
【文献】特開2013-025922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトを用いて被固定部材に固定される第1端子と、
前記第1端子に組み付けられる第2端子と、
を備え、
前記第1端子および前記第2端子は、互いに係止することによって前記第1端子と前記第2端子とを組付け状態にロックするロック部を有し、
前記第2端子は、前記第1端子と前記第2端子との組付け状態で前記ボルトの頭部が入り込む切欠き部を有している組合せ端子。
【請求項2】
前記第1端子と前記第2端子とを相対的に回転させることで前記ロック部同士が係止し、
前記第2端子は、前記切欠き部が設けられる第2基板部を有し、
前記第2基板部における前記切欠き部の周囲に環状の第2平面部が設けられている請求項1に記載の組合せ端子。
【請求項3】
前記第1端子は、第1基板部を有し、
前記第2端子は、前記切欠き部が設けられる第2基板部を有し、
前記第1基板部と前記第2基板部とが積層された状態で前記第1端子と前記第2端子が組み付けられ、
前記第1端子と前記第2端子とを積層方向と交差する方向に相対的に変位させることで前記ロック部同士が係止し、
前記第1端子は、前記第1端子と前記第2端子との組付け状態で、前記切欠き部において露出する第1平面部を有している請求項1に記載の組合せ端子。
【請求項4】
前記ロック部同士が係止するために前記第1端子に対して前記第2端子を回転させる方向は、前記第1端子に対する前記ボルトの締め付け方向と同じ方向である請求項2に記載の組合せ端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組合せ端子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される端子の連結構造は、電線に接続され貫通孔が設けられた平板状の複数の端子と、複数の端子を固定部に固定するねじと、を備えている。ねじは、積層された複数の端子のそれぞれの貫通孔を貫通した状態で固定部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、端子の数を変更しようとした場合、端子の積層高さが変わるため、端子の数に対応した長さのねじを選定する必要がある。ねじを固定する際のトルクの管理も別途必要になる。端子の数を変更する工程においても、ねじを外す工程や、端子積層後に再度ねじを締結する工程が必要となり、工程数の増加を招いてしまう。
【0005】
本開示は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子の積層数が異なっても1種類のボルトだけで固定できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の組合せ端子は、
ボルトを用いて被固定部材に固定される第1端子と、
前記第1端子に組み付けられる第2端子と、
を備え、
前記第1端子および前記第2端子は、互いに係止することによって前記第1端子と前記第2端子とを組付け状態にロックするロック部を有し、
前記第2端子は、前記第1端子と前記第2端子との組付け状態で前記ボルトの頭部が入り込む切欠き部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、端子の積層数が異なっても1種類のボルトだけで固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1に係る組合せ端子が被固定部材に固定された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、4つの端子を組付けた組付け端子の斜視図である。
【
図4】
図4は、下側の2つの端子が初期状態にセットされた状態を示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に対して端子間の組付けが完了した状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図5の組付け端子に対してさらに上側の端子が初期状態にセットされた状態を示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図6に対して端子間の組付けが完了した状態を示す平面図である。
【
図8】
図8は、
図7の組付け端子に対してさらに上側の端子が初期状態にセットされた状態を示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図8に対して端子間の組付けが完了した状態を示す平面図である。
【
図10】
図10は、下側の2つの端子を組付けた組付け端子が被固定部材に固定された状態で、さらに上側の2つの端子を組付けた組付け端子を後付けする手順を説明する説明図である。
【
図11】
図11は、実施例2に係る組合せ端子が被固定部材に固定された状態を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第1端子金具と第1サブ端子を組み付けた状態をあらわす平面図である。
【
図15】
図15は、第2端子金具と第2サブ端子を組み付けた状態をあらわす平面図である。
【
図16】
図16は、第1端子モジュールと第2端子モジュールを組み付けた状態をあらわす平面図である。
【
図17】
図17は、第1端子モジュールが被固定部材に固定された状態で、さらに第2端子モジュールを後付けする手順を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の組合せ端子は、
(1)ボルトを用いて被固定部材に固定される第1端子と、
前記第1端子に組み付けられる第2端子と、
を備え、
前記第1端子および前記第2端子は、互いに係止することによって前記第1端子と前記第2端子とを組付け状態にロックするロック部を有し、
前記第2端子は、前記第1端子と前記第2端子との組付け状態で前記ボルトの頭部が入り込む切欠き部を有している。
本開示の構成によれば、第1端子と第2端子とが互いにロック部を係止することによって組付け状態にロックされた状態で、第2端子の切欠き部にボルトの頭部が入り込む。そのため、ボルトに第2端子が接触せずに第1端子を被固定部材に固定することができる。したがって、第1端子に第2端子が組付けられる構成であっても、1種類のボルトだけで被固定部材に固定できる。
(2)前記第1端子と前記第2端子とを相対的に回転させることで前記ロック部同士が係止し、前記第2端子は、前記切欠き部が設けられる第2基板部を有し、前記第2基板部における前記切欠き部の周囲に環状の第2平面部が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、第1端子に第2端子が組付けられた状態で第1端子をボルトで被固定部材に固定する際に、第2端子において切欠き部の周囲に第2平面部があることで、レンチなどの治具の姿勢を安定させることができる。
(3)前記第1端子は、第1基板部を有し、前記第2端子は、前記切欠き部が設けられる第2基板部を有し、前記第1基板部と前記第2基板部とが積層された状態で前記第1端子と前記第2端子が組み付けられ、前記第1端子と前記第2端子とを積層方向と交差する方向に相対的に変位させることで前記ロック部同士が係止し、前記第1端子は、前記第1端子と前記第2端子との組付け状態で、前記切欠き部において露出する第1平面部を有していることが好ましい。
この構成によれば、第1端子に第2端子が組付けられた状態でこれらの端子をボルトで被固定部材に固定する際に、第1端子において第2端子の切欠き部において露出する第1平面部があることで、レンチなどの治具の姿勢を安定させることができる。
(4)前記ロック部同士が係止するために前記第1端子に対して前記第2端子を回転させる方向は、前記第1端子に対する前記ボルトの締め付け方向と同じ方向であることが好ましい。
この構成によれば、第1端子に対して第2端子を回転させる際に、ボルトの締め付けが緩み難くなる。
【0010】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示の実施例1に係る組合せ端子1は、
図1~
図3に示すように、複数の端子10A,10B,10C,10Dを備えている。各端子10A,10B,10C,10Dは、互いの板面を対向させつつ組み合わされる。各端子10A,10B,10C,10Dは、それぞれ、図示しない電線の端末部に接続される。例えば、各電線は組合せ端子1によって車両のボディ等の接地部に接続されてアースされる。なお、以下の説明において、上下方向については、
図1~
図3を基準とする。上下方向は、各端子10A,10B,10C,10Dの板面の対向方向であり、また、各端子10A,10B,10C,10Dの積層方向でもある。
【0011】
<組合せ端子の構成>
各端子10A,10B,10C,10Dは、それぞれ、導電金属製の板材を曲げ加工等して一体に形成されている。本実施例1の場合、各端子10A,10B,10C,10Dは、形状を異にする4種類の端子で構成されている。端子10Bは本開示の「第1端子」に相当する。端子10Cは本開示の「第2端子」に相当する。
図1、
図3では、端子10A、端子10B、端子10C、端子10Dの順に積層されている。
【0012】
組合せ端子1は、
図1に示すように、ボルト30を用いて被固定部材40に対して締結されている。被固定部材40は、車両のボディ等として構成されている。ボルト30は、各端子10A,10B,10C,10Dを貫通するようにして被固定部材40に固定されている。ボルト30は、
図2に示すように、頭部31と、軸部32と、を有している。頭部31は、ねじ頭33と、座金34と、を具備している。座金34は、円形リング状であり、軸部32に挿通して使用される。
【0013】
端子10Aは、
図2に示すように、基板部11と、被ガイド部12と、係止部13と、ガイド部14と、圧着部15と、掛止部16と、弾性係止部17と、を有している。基板部11は、平面視円形の平板状をなしている。
【0014】
基板部11の中心部には、円形の貫通孔18が貫通して形成されている。貫通孔18には、組合せ端子1の上方からボルト30の軸部32が挿通される。基板部11には、貫通孔18を挟んだ径方向両側の位置に、一対の接点受部19が貫通して形成されている。各接点受部19は、基板部11においてスリット状に開口している。基板部11における貫通孔18を挟んだ径方向両側の位置に、接点部26が対をなして形成されている。接点部26と接点受部19とは、基板部11において周方向に間隔を置いて並んで配置されている。接点部26は、リブ状をなし、基板部11の上方に膨出するようにプレス加工して形成されている。
【0015】
被ガイド部12は、板状をなし、基板部11の外周縁から複数突出している。各被ガイド部12の板面は、基板部11の板面と同一平面上に連続している。具体的には、各被ガイド部12は、基板部11の外周縁における3ヵ所の位置からそれぞれ径方向外側に突出する付け根部21と、各付け根部21から基板部11の外周の周方向に沿って湾曲状に延びる本体部22と、を有している。各被ガイド部12の付け根部21は、基板部11の外周縁において、周方向に120度の等間隔ではなく、不等間隔に配置されている。各被ガイド部12には、外周ガイド部28がそれぞれ設けられている。外周ガイド部28は、側面視矩形状をなし、本体部22の外周縁における付け根部21側の位置から立ち上がり、周方向ないし接線方向において後述するガイド部14よりも短く延びている。
【0016】
係止部13は、本開示の「ロック部」に相当する。係止部13は、各被ガイド部12にそれぞれ設けられている。係止部13は、平面視三角形の爪状をなし、本体部22の先端部寄りの位置において、径方向に沿った切り込み部を介して上方に膨出するようにプレス加工して形成されている。
【0017】
弾性係止部17は、本開示の「ロック部」に相当する。端子10Aの弾性係止部17は、後述する端子10Bの係止部13と互いに係止することによって端子10Aと端子10Bとを組付け状態にロックする。弾性係止部17は、各被ガイド部12にそれぞれ設けられている。弾性係止部17は、本体部22の板幅方向の両側縁のうち基板部11から遠い側縁である外周縁から径方向外側に突出するU字ループ形状部分を径方向内側に折り返して形成される。弾性係止部17の内側には、突出方向に沿って長い係止孔24が貫通して形成されている。
【0018】
ガイド部14は、各被ガイド部12にそれぞれ設けられている。ガイド部14は、
図2に示すように、側面視矩形状をなし、本体部22の板幅方向の両側縁のうち、基板部11に近い側縁である内周縁から立ち上がり、かつその本体部22の内周縁に沿って周方向ないし接線方向に延びるように形成されている。ガイド部14は、被ガイド部12における基板部11側において、付け根部21寄りの位置に設けられている。端子
10Aが曲げ加工される前の展開状態にあるときに、矩形の舌片部分が本体部22側に直角に曲げ起こされて、ガイド部14が形成される。
【0019】
圧着部15は、1つの被ガイド部12の付け根部21から径方向外側に突出している。圧着部15が連なる付け根部21(
図2の手前側の付け根部21)は、他の付け根部21よりも周方向に幅広に形成されている。圧着部15は、図示しない電線の端末部に圧着して接続される。
【0020】
掛止部16は、板片状をなし、周方向において圧着部15の形成側とは反対側に位置する1つの被ガイド部12から径方向外側に突出している。掛止部16は、途中で下向きに屈曲する段差部分を有している。掛止部16は、被固定部材40に掛け止められ、組合せ端子1の回転を規制する役割をはたす。
【0021】
端子10Bは、
図2に示すように、掛止部16が設けられていない点で端子10Aと異なっている。端子10Bは、基板部11と、被ガイド部12と、係止部13と、ガイド部14と、圧着部15と、弾性係止部17と、を有している。端子10Bの基板部11は、本開示の「第1基板部」の一例に相当する。端子10Bの係止部13、及び弾性係止部17は、本開示の「ロック部」の一例に相当する。
【0022】
端子10Cは、
図2に示すように、貫通孔18Cのサイズが端子10Bの貫通孔18よりも大きい点で端子10Bと異なっている。端子10Cは、基板部11と、被ガイド部12と、係止部13と、ガイド部14と、圧着部15と、弾性係止部17と、を有している。端子10Cの基板部11は、本開示の「第2基板部」の一例に相当する。
【0023】
基板部11の中心部には、円形の貫通孔18Cが貫通して形成されている。貫通孔18Cは、本開示の「切欠き部」の一例に相当する。貫通孔18Cのサイズ(径)は、端子10Bの貫通孔18のサイズ(径)よりも大きい。貫通孔18Cのサイズ(径)は、座金34のサイズ(径)よりも大きい。貫通孔18Cには、組合せ端子1の上方からボルト30の軸部32が挿通される。貫通孔18Cには、端子10Bと端子10Cとの組付け状態でボルト30の頭部31が入り込む。基板部11における貫通孔18Cの周囲には、環状の平面部23Cが設けられている。平面部23Cは、本開示の「第2平面部」に相当する。
【0024】
端子10Dは、
図2に示すように、弾性係止部17が設けられていない点で端子10Cと異なっている。端子10Dは、基板部11と、被ガイド部12と、係止部13と、ガイド部14と、圧着部15と、を有している。基板部11には、一対の接点部が設けられていない。
【0025】
<組合せ端子の組付け手順>
次に、本実施例1に係る組合せ端子1の組付け手順を説明する。
端子10Aと端子10Bの組付け、端子10Bと端子10Cの組付け、及び端子10Cと端子10Dの組付けによって、組合せ端子1の組付けが完了する。以下、それぞれの組付け手順について説明する。なお、以下の説明においては、必要に応じて、上下方向で隣り合う端子のうち、相対的に上側に位置する端子の各部の符号の末尾に「U」を付し、相対的に下側に位置する端子の各部の符号の末尾に「L」を付し、「上側」と「下側」とを区別する。
【0026】
下側2段の組合せ端子を形成する際には、端子10A,10Bの基板部11を、それぞれの貫通孔18が同心となるように、上下方向に積み重ね、
図4に示すように、それぞれの圧着部15が貫通孔18を中心とする45度に近い開き角度で開いた、初期状態にセットする。
【0027】
初期状態においては、被ガイド部12Uの本体部22Uの先端部が被ガイド部12Lの付け根部21L側に位置する。また、外周ガイド部28Lの内側面に本体部22Uの先端部の外周縁が接触するように配置される。さらに、ガイド部14Lの内側面が基板部11Uの外周縁に沿って接触するように配置される。そして、各接点部26Lが各接点受部19Uに嵌まり込み、各端子10A,10Bが初期状態に仮止めされる。
【0028】
続いて、上記初期状態から端子10Bを、貫通孔18を中心として周方向に相対的に回転させる。本実施例1の場合、それぞれの圧着部15が互いに近づく方向に端子10Bを回転させる。すると、被ガイド部12Uの本体部22Uが本体部22Lの上面を摺動しつつ弾性係止部17Lの内側に入り込む。また、回転過程において、ガイド部14Lの外側面が被ガイド部12Uの本体部22Uの内周縁に沿って摺動し、かつ外周ガイド部28Lおよび弾性係止部17Lの内側面が被ガイド部12Uの外周縁に沿って摺動する。さらに、回転過程において、係止部13Uにより弾性係止部17Lが弾性変形させられる。
【0029】
回転完了時には、弾性係止部17Lが元の自然状態に復帰し、
図5に示すように、弾性係止部17Lの係止孔24Lに係止部13Uが嵌まり込む。これにより、端子10Aに対する端子10Bの回転動作が停止され、端子10Aと端子10Bとが正規状態に組み付けられる。このとき、それぞれの圧着部15は45度より小さい開き角度で開いた状態になる。また、回転完了時には、各接点部26Lが基板部11Uと接触し、端子10Aと端子10Bが導通接続される。
【0030】
端子10Aに組付けられた端子10Bに対してさらに端子10Cを組み付ける場合、端子10Aと端子10Bの組付け手順と同様の手順となる。まず、
図6に示すように、貫通孔18同士が同心となるように、端子10Bの基板部11Lの上面に端子10Cの基板部11Uを積み重ね、初期状態にセットする。次いで、
図7に示すように、端子10Bに対して端子10Cを相対的に回転させる。すると、端子10Aと端子10Bの組付けと同様に、係止部13Uが弾性係止部17Lに係止される。係止部13Uと弾性係止部17Lとが互いに係止することによって端子10Bと端子10Cとを組付け状態にロックされる。これにより、端子10Bおよび端子10Cが位置決めされた状態に固定される。
【0031】
端子10A,10Bに組付けられた端子10Cに対してさらに端子10Dを組み付ける場合、端子10Aと端子10Bの組付け手順と同様の手順となる。まず、
図8に示すように、貫通孔18C同士が同心となるように、端子10Cの基板部11Lの上面に端子10Dの基板部11Uを積み重ね、初期状態にセットする。次いで、
図9に示すように、端子10Cに対して端子10Dを相対的に回転させる。すると、端子10Aと端子10Bの組付けと同様に、係止部13Uが弾性係止部17Lに係止される。これにより、端子10Cおよび端子10Dが位置決めされた状態に固定される。
【0032】
端子10A,10B,10C,10Dを組み付けた組合せ端子1は、
図9に示すように、4つの圧着部15が貫通孔18を中心とした90度の開き角度の範囲内に一定間隔に並んで配置される。また、各被ガイド部12が先端位置を周方向にずらしつつ積層されるため、各端子間に段差が形成される。このため、各端子は、最下段から最上段にかけて段差を介して階段状に積層される。
【0033】
組合せ端子1は、
図1に示すように、ボルト30を用いて被固定部材40に固定される。まず、端子10Aの掛止部16を被固定部材40に設けられた第1孔41(
図2参照)に挿入されることで、組合せ端子1が被固定部材40に位置決めされる。このとき、各端子の貫通孔18が被固定部材40に設けられた円形の第2孔42(
図2参照)と同心となるようにする。ボルト30の軸部32を各端子の貫通孔18及び第2孔42に挿通するように、ボルト30を組合せ端子1に組付ける。ボルト30の軸部32は、例えば、被固定部材40の下面側(組合せ端子1とは反対側)に設けられるナット等に締結される。具体的には、端子10Bの上面(基板部11の端子10C側の面)がボルト30の頭部31に接触して締結力を付与される。端子10C,10Dの貫通孔18Cには、ボルト30の頭部31が入り込む。端子10C,10Dの貫通孔18Cは、ボルト30の頭部31と端子10C,10Dの接触を防止するように機能する。端子10C,10Dの貫通孔18Cは、ボルト30の頭部31と干渉しない。端子10C,10Dの貫通孔18Cには、頭部31から締結力を受ける面が設けられていない。
【0034】
このように、組合せ端子1がボルト30を用いて被固定部材40に固定された状態で、ボルト30の頭部31が端子10Cの貫通孔18Cに入り込む構成であるため、ボルト30によって締結することなく端子10Cを端子10Bに組み付けた状態にすることができる。すなわち、ボルト30に端子10Cが接触せずに端子10Bを被固定部材40に固定することができる。そのため、ボルト30の締結状態に関わらず、端子10Bに対して端子10Cを着脱させることができる。したがって、予め端子10Cを含む積層高さを考慮して、ボルト30の軸部32の長さを設定する必要がなくなる。すなわち、端子の積層数が異なっても1種類のボルト30だけで端子を固定できる。また、端子10Bに対して端子10Cを組付ける際には、ボルト30を外す工程や、端子積層後に再度ボルト30を締結する工程が必要なく、工程数を低減することができる。
【0035】
図10に示すように、端子10Aと端子10Bを組み付けた組付け端子をボルト30を用いて被固定部材40に固定しておき、端子10Cと端子10Dを組み付けた組付け端子を後付けしてもよい。この場合、端子10Bと端子10Cの組付け手順(
図6、
図7参照)によって、端子10C及び端子10Dの後付けが行われる。なお、端子10Cのみを、端子10Aと端子10Bを組み付けた組付け端子に対して後付けしてもよい。
【0036】
端子10Cの基板部11に平面部23Cが設けられているため、端子10A、端子10B、及び端子10Cを組み付けた組付け端子(
図7の状態を参照)をボルト30を用いて被固定部材40に固定する際に、レンチなどの治具の姿勢を安定させることができる。具体的には、レンチなどの治具を平面部23Cの上面に接触させておくことで、回転操作時等における姿勢が安定する。
【0037】
係止部13と弾性係止部17を係止するために下側の端子に対して上側の端子を回転させる方向(上側から見て時計回り方向)は、端子10Bに対するボルト30の締め付け方向(上側から見て時計回り方向)と同じ方向である。そのため、端子10Bに対して端子10Cや端子10Dを回転させる際に、ボルト30の締め付けが緩み難くなる。
【0038】
[実施例2]
図11~
図17は、実施例2の組み付け端子を説明する図面である。本開示の組み付け端子を具体化した実施例2の組み付け端子を、
図11~
図17を参照して説明する。本実施例2において、前後の方向については、
図11~
図13,17における斜め左下方を前方と定義する。上下の方向については、
図11~
図13,17にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、
図11~
図13,17における斜め左上方を左方、及び
図14~
図16における左右方向を、そのまま左右方向と定義する。
【0039】
本実施例1の組合せ端子201は、
図11に示すように、第1端子モジュール210と第2端子モジュール240とを組み付けて構成されている。
図14に示すように、第1端子モジュール210は、第1端子金具211と第1サブ端子232とを組み付けて構成されている。
図15に示すように、第2端子モジュール240は、第2端子金具241と第2サブ端子252とを組み付けて構成されている。第1端子金具211は、本開示の「第1端子」に相当する。第2端子金具241は、本開示の「第2端子」に相当する。
【0040】
<第1端子モジュール210>
第1端子金具211は、所定形状の金属板材に曲げ加工等を施して成形された単一部品である。図12に示すように、第1端子金具211は、板厚方向を上下方向に向けた1つの第1基板部212と、第1基板部212の右端縁から右方へ延出したオープンバレル状の圧着部213とを有する。第1基板部212の中心部には、第1基板部212を板厚方向に貫通する第1ボルト孔214が形成されている。
【0041】
第1ボルト孔214の孔縁部には、前後一対の第1受け部215が形成されている。第1受け部215は、第1基板部212に対して第1基板部212の板厚寸法分だけ段差状に低い位置に配置されている。前側の第1受け部215には抜止め孔216が形成され、後側の第1受け部215には抜止め突起217が形成されている。
【0042】
第1基板部212には、左右方向に間隔を空けた一対の第1ロック用嵌合部219が形成されている。一対の第1ロック用嵌合部219は、第1基板部212の前端縁から第1基板部212と面一状に前方へ突出した平板状の部位である。各第1ロック用嵌合部219には、第1ロック用嵌合部219の一部を下面側へ三角形状に叩き出すことによって、第1ロック部220が形成されている。第1ロック部220は、本開示の「ロック部」の一例に相当する。
【0043】
第1基板部212には、左右方向に間隔を空けた一対の第1ロック用支持部221が形成されている。一対の第1ロック用支持部221は、第1基板部212の後端縁から第1基板部212と面一状に後方へ突出した平板状の部位である。各第1ロック用支持部221には、それぞれ、第1弾性ロック片222と第1保護部228が一体に形成されている。第1弾性ロック片222は、本開示の「ロック部」の一例に相当する。
【0044】
右側の第1ロック用支持部221に形成された第1弾性ロック片222は、第1ロック用支持部221の後端縁から片持ち状に延出した形状である。第1弾性ロック片222は、屈曲部223と折返部224とを有する。屈曲部223は、第1ロック用支持部221の右端縁から第1ロック用支持部221の上面側へ半円形に屈曲した部位である。折返部224は、屈曲部223の上端縁から第1ロック用支持部221と平行に片持ち状に延出した平板状の部位である。折返部224の基端部225は屈曲部223に繋がり、折返部224の延出端部226は第1弾性ロック片222の先端部に位置する。
【0045】
第1弾性ロック片222には、第1ロック用支持部221からの延出方向に沿った1つのスリット227が形成されている。延出方向におけるスリット227の形成範囲は、屈曲部223の全体と、折返部224のうち延出端部226を除いた領域である。第1弾性ロック片222は、屈曲部223と折返部224を弾性変形させながら、屈曲部223を支点として第1ロック用支持部221の上面から離隔する方向、即ち上方へ弾性変位することが可能である。
【0046】
右側の第1ロック用支持部221に形成された第1保護部228は、第1ロック用支持部221の左端縁から第1ロック用支持部221の上面側へ突出している。第1保護部228は左右方向に直線状に延びたリブ状をなす。第1保護部228は、第1弾性ロック片222の左端縁、つまり延出端部226と殆ど隙間を空けずに左右に並ぶように配置されている。第1保護部228の上端の高さは、第1弾性ロック片222の上面と同じ高さである。第1保護部228は、第1ロック用支持部221の上面と折返部224の下面との隙間を左方から覆うように位置している。
【0047】
左側の第1ロック用支持部221に形成された第1弾性ロック片222は、右側の第1ロック用支持部221の第1弾性ロック片222と対称な形状である。左側の第1ロック用支持部221に形成された第1保護部228は、右側の第1ロック用支持部221の第1保護部228と対称な形状である。
【0048】
第1サブ端子232は、所定形状の金属板材に曲げ加工等を施して成形された単一部品である。第1サブ端子232は、板厚方向を上下方向に向けた1つの第1板状基部233と、第1板状基部233の右端縁から右方へ延出したオープンバレル状の圧着部213とを有する。第1板状基部233の左端部には、段差状をなす回り止め部234が形成されている。回り止め部234は、本実施例1の組合せ端子の取付け対象である自動車のボディ(図示省略)に係止させる。ボディに回り止め部234を係止することによって、組合せ端子をボディに対してボルト締めするときに、組合せ端子の連れ回りを防止できる。
【0049】
第1板状基部233には、第1板状基部233を板厚方向に貫通する第1ボルト孔214が形成されている。第1ボルト孔214の孔縁部には、内外一対の第1覆い部235が形成されている。第1覆い部235は、第1板状基部233に対して第1板状基部233の板厚寸法分だけ段差状に高い位置に配置されている。外側の第1覆い部235には抜止め突起217が形成され、内側の第1覆い部235には抜止め孔216が形成されている。
【0050】
図14に示すように、第1端子金具211と第1サブ端子232を組み付けた状態では、第1基板部212が第1板状基部233の上面に積層され、第1覆い部235が第1受け部215の上面に積層されることによって、第1端子金具211と第1サブ端子232が板厚方向へ離隔しないように保持される。第1受け部215の抜止め孔216と抜止め突起217が、第1覆い部235の抜止め突起217と抜止め孔216に係止することによって、第1端子金具211と第1サブ端子232が前後方向へ離脱しないように保持される。
【0051】
第1端子モジュール210が組み付けられた状態では、第1端子金具211の第1ボルト孔214と第1サブ端子232の第1ボルト孔214が同軸状に配置され、第1端子金具211の圧着部213と第1サブ端子232の圧着部213が左右に隣り合うように配置される。
【0052】
<第2端子モジュール240>
第2端子金具241は、所定形状の金属板材に曲げ加工等を施して成形された単一部品である。
図12に示すように、第2端子金具241は、板厚方向を上下方向に向けた1つの第2基板部242と、第2基板部242の右端縁から右方へ延出したオープンバレル状の圧着部213とを有する。第2基板部242の中心部には、第2基板部242を板厚方向に貫通する第2ボルト孔243が形成されている。
【0053】
第2ボルト孔243の孔縁部には、前後一対の第2覆い部244が形成されている。第2覆い部244は、第2基板部242に対して第2基板部242の板厚寸法分だけ段差状に高い位置に配置されている。前側の第1覆い部235には抜止め突起217が形成され、後側の第2覆い部244には抜止め孔216が形成されている。
【0054】
第2基板部242には、左右方向に間隔を空けた一対の第2ロック用嵌合部245が形成されている。一対の第2ロック用嵌合部245は、第2基板部242の後端縁から第2基板部242と面一状に後方へ突出した平板状の部位である。各第2ロック用嵌合部245には、第2ロック用嵌合部245の一部を上面側へ三角形状に叩き出すことによって、第2ロック部246が形成されている。第2ロック部246は、本開示の「ロック部」の一例に相当する。
【0055】
第2基板部242には、一対の第2弾性ロック片248と、一対の第2保護部249が設けられている。第2弾性ロック片248は、本開示の「ロック部」の一例に相当する。右側の第2弾性ロック片248は、第2基板部242の右端縁から片持ち状に延出した形状である。
図15に示すように、第2弾性ロック片248は、屈曲部248Aと折返部248Bとを有する。屈曲部248Aは、第2基板部242の右端縁から第2基板部242の下面側へ半円形に屈曲した部位である。折返部248Bは、屈曲部248Aから第2基板部242と平行に
左方へ片持ち状に延出した平板状の部位である。折返部248Bの基端部248Cは屈曲部248Aに繋がり、折返部248Bの延出端部248Dは第2弾性ロック片248の先端部に位置する。
【0056】
第2弾性ロック片248には、第2基板部242からの延出方向に沿った1つのスリット248Eが形成されている。延出方向におけるスリット248Eの形成範囲は、屈曲部248Aの全体と、折返部248Bのうち延出端部248Dを除いた領域である。第2弾性ロック片248は、屈曲部248Aと折返部248Bを弾性変形させながら、屈曲部248Aを支点として第2基板部242の下面から離隔する方向、即ち下方へ弾性変位することが可能である。
【0057】
右側の第2保護部249は、下面側へ突出している。第2保護部249は前後方向に直線状に延びたリブ状をなす。第2保護部249は、第2弾性ロック片248の後端縁、つまり延出端部248Dと殆ど隙間を空けずに左右に並ぶように配置されている。第2保護部249の下端の高さは、第2弾性ロック片248の下面と同じ高さである。第2保護部249は、第2基板部242の下面と折返部248Bの上面との隙間を左方から覆うように位置している。
【0058】
左側の第2弾性ロック片248は、右の第2弾性ロック片248と左右対称な形状である。左側の第2保護部249は、右側の第2保護部249と左右対称な形状である。
【0059】
第2基板部242には、第1切欠き部242Aと、第2切欠き部242Bと、が設けられている。第1切欠き部242Aは、本開示の「切欠き部」の一例に相当する。第1切欠き部242Aは、第2基板部242の中心部よりわずかに後方寄りの位置に設けられている。第1切欠き部242Aのサイズ(径)は、第1ボルト孔214のサイズ(径)よりも大きい。第1切欠き部242Aのサイズ(径)は、座金264のサイズ(径)よりも大きい。第1切欠き部242Aは、第2基板部242を板厚方向に貫通する円形状の貫通孔である。第2切欠き部242Bは、第2基板部242の第1切欠き部242Aから後方に延びる四角形状の切欠きである。第2切欠き部242Bの後端は、第2基板部242の後端から後方に開放されている。第2切欠き部242Bは、一対の第2ロック用嵌合部245の間に設けられている。
【0060】
第1端子金具211と第2端子金具241との組付け状態で、第1切欠き部242Aにおいて第1端子金具211の第1基板部212が露出する。具体的には、第1基板部212の中心部分(第1ボルト孔214の外周の一部)が第1切欠き部242Aにおいて上方に露出する。この露出部分を第1平面部212Aとする。第2基板部242における、第1切欠き部242Aの前方には一対の第2接点部251が形成されている。一対の第2接点部251は、左右に隣り合うように配置され、第2基板部242の上面側へ突出している。
【0061】
第2サブ端子252は、所定形状の金属板材に曲げ加工等を施して成形された単一部品である。第2サブ端子252は、板厚方向を上下方向に向けた1つの第2板状基部253と、第2板状基部253の右端縁から右方へ延出したオープンバレル状の圧着部213とを有する。第2板状基部253には、第2板状基部253を板厚方向に貫通する第2ボルト孔243が形成されている。第2ボルト孔243の孔縁部には、前後一対の第2受け部254が形成されている。第2受け部254は、第2板状基部253に対して第2板状基部253の板厚寸法分だけ段差状に低い位置に配置されている。前側の第2受け部254には抜止め孔216が形成され、後側の第2受け部254には抜止め突起217が形成されている。
【0062】
図15に示すように、第2端子金具241と第2サブ端子252を組み付けた状態では、第2板状基部253が第2基板部242の上面に積層され、第2覆い部244が第2受け部254の上面に積層されることによって、第2端子金具241と第2サブ端子252が板厚方向へ離隔しないように保持される。第2覆い部244の抜止め突起217と抜止め孔216が、第2受け部254の抜止め孔216と抜止め突起217に係止することによって、第2端子金具241と第2サブ端子252が前後方向へ離脱しないように保持される。
【0063】
第2端子モジュール240が組み付けられた状態では、第2端子金具241の第1切欠き部242Aと第2サブ端子252の第2ボルト孔243が同軸状に配置され、第2端子金具241の圧着部213と第2サブ端子252の圧着部213が前後に隣り合うように配置される。
【0064】
<第1端子モジュール210と第2端子モジュール240の組付け手順>
両端子モジュール210,240の組付けは、第1端子金具211に対して第2端子金具241を前方から接近させながら、第1基板部212の上面に第2基板部242を積層し、第2ロック用嵌合部245の突出端部を、第1ロック用支持部221と第1弾性ロック片222との間に進入させ、第1ロック用嵌合部219の突出端部を、第2基板部242と第2弾性ロック片248との間に進入させる。第1端子金具211と第2端子金具241とを積層方向と交差する方向に相対的に変位させることでロック状態となる。
【0065】
両端子モジュール210,240を組み付ける過程では、第1弾性ロック片222が、第2ロック部246との干渉によって上方へ弾性変形すると同時に、第2弾性ロック片248が、第1ロック部220との干渉によって下方へ弾性変形する。一対の第1ロック用嵌合部219が一対の第2保護部249に対して左右から挟むように摺接するとともに、一対の第2ロック用嵌合部245が一対の第1保護部228に対して左右から挟むように摺接することによって、両端子モジュール210,240の左右方向への相対変位が規制される。
【0066】
両端子モジュール210,240が正規の組付け状態に至ると、第1ボルト孔214と第2ボルト孔243と第1切欠き部242Aが同軸状に配置される。第1弾性ロック片222は、弾性復帰して第2ロック部246が第1弾性ロック片222のスリット227に係止する。第2弾性ロック片248は、弾性復帰して第1ロック部220が第2弾性ロック片248のスリット248Eに係止する。これらの係止作用によって、両端子モジュール210,240が左右方向へ離脱しないようにロックされ、組合せ端子の組み付けが完了する。
【0067】
組合せ端子201は、図
11に示すように、ボルト260を用いて被固定部材270に固定される。ボルト260及び被固定部材270の構成は、第1実施形態のボルト30及び被固定部材40と同じ構成である。まず、回り止め部234を被固定部材270に設けられた第1孔271(
図12参照)に挿入されることで、組合せ端子201が被固定部材270に位置決めされる。このとき、同軸上の第1ボルト孔214と第2ボルト孔243と第1切欠き部242Aが、被固定部材270に設けられた円形の第2孔272(
図12参照)と同心となるようにする。ボルト260の軸部262を第1ボルト孔214と第2ボルト孔243と第1切欠き部242Aに挿通するように、ボルト260を組合せ端子201に組付ける。ボルト260の軸部262は、例えば、被固定部材270の下面側(組合せ端子201とは反対側)に設けられるナット等に締結される。具体的には、第1板状基部233の上面がボルト260の頭部261に接触して締結力を付与される。第2端子金具241の第1切欠き部242Aには、ボルト260の頭部261が入り込む。第1切欠き部242Aは、ボルト260の頭部261と第2端子金具241の接触を防止するように機能する。第2端子金具241の第1切欠き部242Aは、ボルト260の頭部261と干渉しない。第2端子金具241の第1切欠き部242Aには、頭部261から締結力を受ける面が設けられていない。
【0068】
このように、組合せ端子201がボルト260を用いて被固定部材270に固定された状態で、ボルト260の頭部261が第2端子金具241の第1切欠き部242Aに入り込む構成であるため、ボルト260によって締結することなく第2端子金具241を第1端子金具211に組み付けた状態にすることができる。すなわち、ボルト260に第2端子金具241が接触せずに第1端子金具211を被固定部材270に固定することができる。そのため、ボルト260の締結状態に関わらず、第1端子金具211に対して第2端子金具241を着脱させることができる。したがって、予め第2端子金具241を含む積層高さを考慮して、ボルト260の軸部262の長さを設定する必要がなくなる。すなわち、端子の積層数が異なっても1種類のボルト260だけで端子を固定できる。また、第1端子金具211に対して第2端子金具241を組付ける際には、ボルト260を外す工程や、端子積層後に再度ボルト260を締結する工程が必要なく、工程数を低減することができる。
【0069】
図17に示すように、第1端子モジュール
210をボルト260を用いて被固定部材270に固定しておき、第2端子モジュール240を後付けしてもよい。なお、第2端子金具241のみを、第1端子モジュール
210に対して後付けしてもよい。
【0070】
第1切欠き部242Aにおいて第1端子金具211の第1平面部212Aが露出するため、ボルト260で被固定部材270に固定する際に、ボルト260を締結させるレンチなどの治具の姿勢を安定させることができる。具体的には、レンチなどの治具を第1平面部212Aの上面に接触させておくことで、回転操作時等における姿勢が安定する。
【0071】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例1では、端子10A,10B,10Dを組み付けて組付け端子を構成してもよい。この場合、端子10Bが本開示の「第1端子」に相当し、端子10Dが本開示の「第2端子」に相当する。端子10A,10C,10Dを組み付けて組付け端子を構成してもよい。この場合、端子10Aが本開示の「第1端子」に相当し、端子10Cが本開示の「第2端子」に相当する。
上記実施例1では、端子10Bを複数組付けて積層する構成としてもよい。同様に、端子10Cを複数組付けて積層する構成としてもよい。
上記実施例1では、被ガイド部および弾性係止部は、基板部の外周側の3箇所に配置されていたが一箇所のみに配置されていてもよく、あるいは4箇所以上に配置されていてもよい。
上記実施例1では、弾性係止部とガイド部とは被ガイド部に一体に連なるように設けられていたが、弾性係止部とガイド部の少なくとも一方は、被ガイド部とは別に設けられていてもよい。
上記実施例1では、端子10Dが弾性係止部を有していなかったが、端子10Dも弾性係止部を有していてもよい。
上記実施例1では、第2端子がガイド部を有していた。しかし、他の実施形態として、第2端子はガイド部を有していなくても良い。
上記実施例1では、係止部13と弾性係止部17を係止するために下側の端子に対して上側の端子を回転させる方向(上側から見て時計回り方向)が、端子10Bに対するボルト30の締め付け方向(上側から見て時計回り方向)と同じ方向であった。しかしながら、これらの方向が反対方向であってもよい。
上記実施例2では、保護部が両端子金具の組付け方向と平行に延びたリブ状をなすが、保護部は、両端子金具の組付け方向と交差する方向に延びたリブ状であってもよい。
上記実施例2では、弾性ロック片が、両端子金具の組付け方向と交差する方向へ片持ち状に延出しているが、弾性ロック片は、両端子金具の組付け方向と平行な方向へ片持ち状に延出した形状であってもよい。
上記実施例2では、ロック部を突起状とし、弾性ロック片のスリットにロック部を係止させるようにしたが、ロック部を孔状とし、弾性ロック片の突起を孔状のロック部に係止させてもよい。
上記実施例2では、第1端子金具が、予め第1サブ端子を組み付けた状態で第2端子金具に組み付けられるが、第1端子金具は、単独で第2端子金具に組み付けられるようにしてもよい。
上記実施例2では、第2端子金具が、予め第2サブ端子を組み付けた状態で第1端子金具に組み付けられるが、第2端子金具は、単独で第1端子金具に組み付けられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…組合せ端子
10…第1端子モジュール
10A…端子
10B…端子(第1端子)
10C…端子(第2端子)
10D…端子
11…基板部
12…被ガイド部
13…係止部(ロック部)
14…ガイド部
15…圧着部
16…掛止部
17…弾性係止部(ロック部)
18…貫通孔
18C…貫通孔(切欠き部)
19…接点受部
21…付け根部
22…本体部
23C…平面部(第2平面部)
24…係止孔
26…接点部
28…外周ガイド部
30…ボルト
31…頭部
32…軸部
33…ねじ頭
34…座金
40…被固定部材
41…第1孔
42…第2孔
201…組合せ端子
210…第1端子モジュール
211…第1端子金具(第1端子)
212…第1基板部
212A…第1平面部
213…圧着部
214…第1ボルト孔
215…第1受け部
216…抜止め孔
217…抜止め突起
219…第1ロック用嵌合部
220…第1ロック部(ロック部)
221…第1ロック用支持部
222…第1弾性ロック片(ロック部)
223…屈曲部
224…折返部
225…基端部
226…延出端部
227…スリット
228…第1保護部
232…第1サブ端子
233…第1板状基部
234…回り止め部
235…第1覆い部
240…第2端子モジュール
241…第2端子金具(第2端子)
242…第2基板部
242A…第1切欠き部
242B…第2切欠き部
243…第2ボルト孔
244…第2覆い部
245…第2ロック用嵌合部
246…第2ロック部(ロック部)
248…第2弾性ロック片(ロック部)
248A…屈曲部
248B…折返部
248C…基端部
248D…延出端部
248E…スリット
249…第2保護部
251…第2接点部
252…第2サブ端子
253…第2板状基部
254…第2受け部
260…ボルト
261…頭部
262…軸部
270…被固定部材
271…第1孔
272…第2孔