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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】車両用制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/023 20060101AFI20240703BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20240703BHJP
   H04L 12/40 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B60R16/023 P
B60R1/26
H04L12/40 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021173782
(22)【出願日】2021-10-25
(65)【公開番号】P2023063773
(43)【公開日】2023-05-10
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 悠
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-154175(JP,A)
【文献】特開2020-137078(JP,A)
【文献】特開2008-186394(JP,A)
【文献】特開2009-274568(JP,A)
【文献】特開2022-100063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02 ; 16/023
B60R 1/20 - 1/31
B60R 11/00 - 11/06
H04N 7/18
H04L 12/28
H04L 12/40 - 12/417
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御情報を受信し、前記制御情報に従って動作して、所定の物理量を計測し、当該計測結果を表す検知情報を出力する車載センサと、
前記制御情報を前記車載センサへ送信可能であり、前記車載センサから前記検知情報を受信し、当該検知情報に基づいて所定の制御をそれぞれ実行する複数の制御ユニットと、
前記複数の制御ユニットを前記車載センサに接続するハブユニットと、
を備えた車両用制御システムであって、
前記ハブユニットは、
前記車載センサと前記複数の制御ユニットとの間にそれぞれ設けられ、前記制御ユニットから前記車載センサへ前記制御情報を送信する制御情報通信機能を有する複数の通信装置と、
前記複数の通信装置を制御する通信制御装置と、
を備え、
前記通信制御装置は、車両の動作状態に応じて、
前記複数の通信装置のうちの1つの通信装置の前記制御情報通信機能が有効化され、且つ前記複数の通信装置のうち前記1つの通信装置を除くすべての通信装置の前記制御情報通信機能が無効化された状態、又は、
すべての前記通信装置の前記制御情報通信機能が無効された状態に設定する、
ように構成されている、車両用制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御システムにおいて、
前記通信制御装置は、前記複数の通信装置のうちの第1通信装置の前記制御情報通信機能が有効化され、且つ前記第1通信装置を除くすべての前記制御情報通信機能が無効化された第1通信状態から、前記複数の通信装置のうちの第2通信装置の前記制御情報通信機能が有効化され、且つ前記第2通信装置を除くすべての前記制御情報通信機能が無効化された第2通信状態へ遷移させる際、前記第1通信状態から、すべての前記通信装置の前記制御情報通信機能を無効化したのち、前記第2通信状態へ遷移させる、ように構成された、車両用制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の車両制御システムにおいて、
前記通信制御装置は、車両のイグニッションスイッチがオフ状態であるときに特定条件が成立すると、すべての前記通信装置の前記制御情報通信機能が無効化された状態から前記第1通信状態に遷移させる、ように構成された、車両用制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両制御システムにおいて、
前記通信制御装置は、車両のイグニッションスイッチがオフ状態であるときに前記特定条件が成立することにより、すべての前記通信装置の前記制御情報通信機能が無効化された状態から前記第1通信状態に遷移し、その状態で車両のイグニッションスイッチがオン状態に遷移した場合、前記第1通信状態から、すべての前記通信装置の前記制御情報通信機能を無効化したのち、前記第2通信状態へ遷移させる、ように構成された、車両用制御システム。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の車両制御システムにおいて、
前記車載センサは、車両の周囲を撮影して得られた画像を表す画像データを出力するカメラユニットであり、
前記複数の制御ユニットは、前記画像データを車両の車室内に設置された映像表示装置に送信することにより前記映像表示装置に前記画像を表示させる電子ミラー機能を有する第1制御ユニットと、前記画像データを動画データに変換しつつ記憶装置に記憶させるレコーダー機能を有する第2制御ユニットと、を含み、
前記第1制御ユニットは前記第1通信装置を介して前記カメラユニットに接続され、前記第2制御ユニットは前記第2通信装置を介して前記カメラユニットに接続されるように構成された、車両用制御システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの車載センサが複数の制御ユニットで共用されるように構成された車両用制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1つの車載センサと複数の制御ユニットとを含み、前記車載センサが複数の制御ユニットで共用されるように構成された車両用制御システム(以下、「従来装置」と称呼する。)が提案されている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
従来装置は、カメラユニット(車載センサ)、第1制御ユニット及び第2制御ユニットを備える。これらの3つの装置は、シリアル通信バスにノードとしてそれぞれ接続されている。カメラユニットは、車両の周辺部を撮影して得られた画像データを出力する。第1制御ユニット及び第2制御ユニットは、カメラユニットから画像データを受信可能である。第1制御ユニット及び第2制御ユニットは、受信した画像データに基づいて、第1制御及び第2制御をそれぞれ実行可能である。
【0004】
カメラユニットは、露光時間、フレームレートなどを規定するパラメータ(以下、「カメラパラメータ」と称呼する。)に従って動作する。カメラパラメータは、第1制御ユニット又は第2制御ユニットからカメラユニットに送信される。
【0005】
第1制御ユニット及び第2制御ユニットは、車両の動作状態を監視している。具体的には、車両のイグニッションスイッチのオン・オフ状態を監視している。従来装置において、イグニッションスイッチがオン状態であるとき、第1制御ユニットがカメラパラメータをカメラユニットへ送信する権利を有し、第2制ユニットはカメラパラメータをカメラユニットへ送信する権利を有していない。一方、イグニッションスイッチがオフ状態であるとき、第2制御ユニットがカメラパラメータをカメラユニットへ送信する権利を有し、第1制ユニットはカメラパラメータをカメラユニットへ送信する権利を有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特願2020-214205号明細書
【発明の概要】
【0007】
上記のように、従来装置において、原則としては、いずれか一方の制御ユニットのみがカメラパラメータをカメラユニットへ送信する権利を有するが、実際には、第1制御ユニットと第2制御ユニットとが、略同時に、カメラパラメータをカメラユニットへ送信する事態が生じ得る。例えば、第2制御ユニットがカメラパラメータを送信している途中でイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替わると、第2制御ユニットのカメラパラメータの送信が終了していないにも関わらず、第1制御ユニットがカメラパラメータを送信してしまう虞がある。その場合、通信エラーが生じる。
【0008】
本発明の目的の一つは、車載センサと複数の制御ユニットとの間の通信エラーの発生頻度を低減させた車両用制御システムを提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用制御システム(1)は、
制御情報(CP)を受信し、前記制御情報に従って動作して、所定の物理量を計測し、当該計測結果を表す検知情報(G)を出力する車載センサ(10)と、
前記制御情報を前記車載センサへ送信可能であり、前記車載センサから前記検知情報を受信し、当該検知情報に基づいて所定の制御をそれぞれ実行する複数の制御ユニット(30、40、60)と、
前記複数の制御ユニットを前記車載センサに接続するハブユニット(20)と、
を備える。
前記ハブユニットは、
前記車載センサと前記複数の制御ユニットとの間にそれぞれ設けられ、前記制御ユニットから前記車載センサへ前記制御情報を送信する制御情報通信機能を有する複数の通信装置(211、213、214)と、
前記複数の通信装置を制御する通信制御装置(22)と、
を備え、
前記通信制御装置は、車両の動作状態に応じて、
前記複数の通信装置のうちの1つの通信装置の前記制御情報通信機能が有効化され、且つ前記複数の通信装置のうち前記1つの通信装置を除くすべての通信装置の前記制御情報通信機能が無効化された状態、又は、
すべての前記通信装置の前記制御情報通信機能が無効された状態に設定する、
ように構成されている。
【0010】
上記のように構成された本発明に係る車両用制御システムにおいて、車載センサは、複数の制御ユニットで共用されている。すなわち、各制御ユニットは、それぞれ制御情報を車載センサへ送信可能である。また、各制御ユニットは、車載センサから検知情報を受信可能であり、当該受信した検知情報に基づいて所定の制御をそれぞれ実行可能である。
【0011】
ここで、通信制御装置は、車両の動作状態に応じて、各通信装置の制御情報通信機能を有効化又は無効化する。その際、通信制御装置は、1つの通信装置の制御情報通信機能が有効化され、他の通信装置の制御情報通信機能が無効化された状態、又はすべての通信装置の制御情報通信機能が無効化された状態に設定する。すなわち、2つ以上の通信装置の制御情報通信機能が同時に有効化されている状態が生じないように、車両用制御システムが構成されている。そのため、複数の制御ユニットから略同時に制御情報が出力されたとしても、それらが同時に車載センサに伝達されるという事態が生じない。よって、本発明によれば、従来装置に比べて、車両用制御システムを構成する複数のユニット間における通信エラーの発生頻度を低減できる。
【0012】
本発明の一態様に係る車両用制御システムにおいて、
前記通信制御装置は、前記複数の通信装置のうちの第1通信装置(213)の前記制御情報通信機能が有効化され、且つ前記第1通信装置を除くすべての前記制御情報通信機能が無効化された第1通信状態から、前記複数の通信装置のうちの第2通信装置(211)の前記制御情報通信機能が有効化され、且つ前記第2通信装置を除くすべての前記制御情報通信機能が無効化された第2通信状態へ遷移させる際、前記第1通信状態から、すべての前記通信装置の前記制御情報通信機能を無効化したのち、前記第2通信状態へ遷移させる、ように構成されている。
【0013】
仮に、第1通信状態から第2通信状態へ直接遷移させる場合に、第1通信装置の制御情報通信機能を無効化させるタイミングと、第2通信装置の制御情報通信機能を有効化させるタイミングに僅かなずれが生じ、第1通信装置及び第2通信装置の両方の制御情報通信機能が有効化された状態が生じる虞がある。これに対し、本態様によれば、第1通信装置及び第2通信装置の両方の制御情報通信機能が有効化された状態になる虞が無いので、通信エラーの発生頻度をさらに低減できる。
【0014】
本発明の他の態様に係る車両制御システムにおいて、
前記通信制御装置は、車両のイグニッションスイッチがオフ状態であるときに特定条件が成立すると、すべての前記通信装置の前記制御情報通信機能が無効化された状態から前記第1通信状態に遷移させる、ように構成されている。
【0015】
これによれば、特定条件が成立した場合(例えば、車両に物体が接近してきた場合)に、第1通信装置を除くすべての通信装置の制御情報通信機能を無効化したまま、第1通信装置の制御情報通信機能を有効化できる。そのため、通信エラーが生じない。
【0016】
本発明の他の態様に係る車両制御システムにおいて、
前記通信制御装置は、車両のイグニッションスイッチがオフ状態であるときに前記特定条件が成立することにより、すべての前記通信装置の前記制御情報通信機能が無効化された状態から前記第1通信状態に遷移し、その状態で車両のイグニッションスイッチがオン状態に遷移した場合、前記第1通信状態から、すべての前記通信装置の前記制御情報通信機能を無効化したのち、前記第2通信状態へ遷移させる、ように構成されている。
【0017】
これによれば、イグニッションスイッチのオン・オフ状態の遷移をトリガーとして、第1通信状態と第2通信状態とを切り替えることができる。
【0018】
本発明の他の態様に係る車両制御システムにおいて、
前記車載センサは、車両の周囲を撮影して得られた画像を表す画像データを出力するカメラユニットであり、
前記複数の制御ユニットは、前記画像データを車両の車室内に設置された映像表示装置に送信することにより前記映像表示装置に前記画像を表示させる電子ミラー機能を有する第1制御ユニットと、前記画像データを動画データに変換しつつ記憶装置に記憶させるレコーダー機能を有する第2制御ユニットと、を含み、
前記第1制御ユニットは前記第1通信装置を介して前記カメラユニットに接続され、前記第2制御ユニットは前記第2通信装置を介して前記カメラユニットに接続されるように構成されている。
【0019】
これによれば、カメラユニットと第1制御ユニットとの間の制御情報(例えば、カメラの動作を規定するパラメータ)の通信と、カメラユニットと第2制御ユニットの間の制御情報の通信とが干渉することに起因する通信エラーを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る車両用制御システムのブロック図である。
図2図2は、通信ケーブルの構成を示す概略図である。
図3図3は、車両用制御システムの状態遷移の第1の態様を示す状態遷移図である。
図4図4は、車両用制御システムの状態遷移の第2の態様を示す状態遷移図である。
図5図5は、車両用制御システムの状態遷移の第3の態様を示す状態遷移図である。
図6図6は、本発明の変形例に係る車両用制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(構成)
本発明の一実施形態に係る車両用制御システム1は、車両Vに搭載される。車両用制御システム1は、図1に示したように、カメラユニット10、ハブユニット20、第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40を備える。さらに、車両用制御システム1は、3本の通信ケーブル50を備える。カメラユニット10、第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40は、通信ケーブル50を介して、ハブユニット20にそれぞれ接続されている。
【0022】
カメラユニット10は、例えば、車両Vの後部に固定されている。ハブユニット20、第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40は、例えば、インストゥルメントパネル内に取り付けられている。車両Vのバッテリーから、ハブユニット20、第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40に電力Pが供給される。また、ハブユニット20からカメラユニット10に電力Pcが供給される。なお、車両Vのイグニッションスイッチのオン・オフ状態に関わらず、ハブユニット20、第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40に電力Pが供給されている。カメラユニット10、ハブユニット20、第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40は、原則として、イグニッションスイッチがオン状態のとき動作し、イグニッションスイッチがオフ状態のとき休止しているが、詳しくは後述するように、イグニッションスイッチがオフ状態であっても動作(起動)する場合がある。
【0023】
カメラユニット10は、デジタルカメラ11、カメラECU12及び信号変換装置13を備える。カメラユニット10は、I2C通信バスを備え、カメラECU12及び信号変換装置13が、I2C通信バスに接続されている。
【0024】
デジタルカメラ11は、レンズ及びイメージセンサを備える。デジタルカメラ11は、所定の時間間隔をおいて、車両Vの後方(及び側方)を撮影し、その画像(以下、「原画像」と称呼する。)を表す画像データ(以下、「原画像データG」と称呼する。)を生成して、カメラECU12に供給する。
【0025】
カメラECU12は、CPU、RAM、ROMなどを含むマイクロコンピュータを備える。なお、本明細書において、「ECU」は電子制御装置(Electronic Control Unit)を意味し、CPU、RAM、ROMなどを含むマイクロコンピュータを含む。CPUはROMに格納されたインストラクションを実行することにより各種機能を実現する。カメラECU12は、デジタルカメラ11の各種カメラパラメータCPをデジタルカメラ11に送信する。なお、カメラパラメータCPは、詳しくは後述するように、第1制御ユニット30又は第2制御ユニット40からカメラECU12に供給される。
【0026】
信号変換装置13は、シリアライザ131を含む。シリアライザ131は、ポート131a、ポート131b及びポート131cを備える。シリアライザ131は、ポート131aに入力されたパラレル信号(所定の映像伝送規格に準拠したマルチレーンのシリアル信号及びクロック信号)を低電圧差動信号D+,D-に変換してポート131bから出力する機能を有する。さらに、シリアライザ131は、ポート131bに入力された信号をポート131cから出力する機能を有する。
【0027】
なお、以下の説明において、シリアライザ131のポート131bを入力ポートとして機能させるとともに、ポート131aを出力ポートとして機能させて、当該入力ポートに接続された装置から当該出力ポートに接続された装置へ信号を伝達させる機能をバックチャネル通信機能と称呼する。
【0028】
上記のように構成されたシリアライザ131のポート131aが、カメラECU12に接続されている。また、ポート131bが、通信ケーブル50を介して、ハブユニット20に接続されている。また、ポート131cが、I2C通信バスを介して、カメラECU12に接続されている。
【0029】
ハブユニット20は、信号変換装置21及びハブECU22を備える。ハブユニット20は、I2C通信バスを備え、信号変換装置21及びハブECU22が、I2C通信バスに接続されている。信号変換装置21は、1つのシリアライザ211と、2つのデシリアライザ212,213とを含む。
【0030】
シリアライザ211の構成は、カメラユニット10が備えるシリアライザ131と同様である。すなわち、シリアライザ211は、シリアライザ131のポート131a,131b,131cと同様のポート211a,211b,211cを備える。
【0031】
後述するように、ポート211cに、シリアライザ211の通信機能(ポート211aに入力されたパラレル信号PSを低電圧差動信号D+,D-に変換してポート211bから出力する機能、及びバックチャネル通信機能)を有効化するコマンドVa又は無効化するコマンドINVaが、I2C信号として供給される。シリアライザ211にコマンドVaが供給された場合、シリアライザ211の通信機能が有効になる。一方、シリアライザ211にコマンドINVaが供給された場合、シリアライザ211の通信機能が無効になる。ただし、シリアライザ211の通信機構が無効化されている状態であっても、シリアライザ211は、コマンドVaを受信可能である。
【0032】
デシリアライザ212は、ポート212a、ポート212b及びポート212cを備える。デシリアライザ212は、ポート212aに入力された低電圧差動信号D+,D-を、パラレル信号(所定の映像伝送規格に準拠したマルチレーンのシリアル信号)に変換してポート212bから出力する機能を有する。また、デシリアライザ212は、ポート212cに入力されたシリアル信号(所定の通信規格に準拠した信号(本実施形態では、I2C信号))を、ポート212aから出力する機能を有する。
【0033】
さらに、デシリアライザ212は、ポート212dを備える。デシリアライザ212は、ポート212aに入力された低電圧差動信号D+,D-と同一の信号(一部を修正した信号)をポート212dから出力する機能を有する。さらに、デシリアライザ212は、ポート212dに入力された信号と同一の信号(一部を修正した信号)をポート212aから出力する機能を有する。
【0034】
以下の説明において、デシリアライザ212のポート212c又はポート212dを入力ポートとして機能させるとともに、ポート212aを出力ポートとして機能させて、当該入力ポートに接続された装置から当該出力ポートに接続された装置へ信号を伝達させる機能をバックチャネル通信機能と称呼する。
【0035】
デシリアライザ213の構成は、デシリアライザ212の構成と同一である。すなわち、デシリアライザ213は、デシリアライザ212のポート212a,212b,212c,212dと同様のポート213a,213b,213c,213dを備える。
【0036】
後述するように、ポート213cに、デシリアライザ213のバックチャネル通信機能(デシリアライザ213のポート213c又はポート213dを入力ポートとして機能させるとともに、ポート213aを出力ポートとして機能させて、当該入力ポートに接続された装置から当該出力ポートに接続された装置へ信号を伝達させる機能)を有効化するコマンドVb又は無効化するコマンドINVbが、I2C信号として供給される。デシリアライザ213にコマンドVbが供給された場合、デシリアライザ213のバックチャネル通信機能が有効になる。一方、デシリアライザ213にコマンドINVbが供給された場合、デシリアライザ213のバックチャネル通信機能が無効になる。なお、デシリアライザ213のバックチャネル通信機能が有効であるか無効であるかに関わらず、デシリアライザ213は、ポート213aに入力された低電圧差動信号D+,D-をパラレル信号に変換してポート213bから出力可能であり、ポート213a(213d)に入力された信号と同一の信号をポート213d(213a)から出力可能である。
【0037】
なお、本実施形態では、デシリアライザ212のバックチャネル通信機能が、常に有効化されている。
【0038】
上記のように構成されたデシリアライザ212のポート212aが、通信ケーブル50を介して、カメラユニット10のシリアライザ131のポート131bに接続されている。また、デシリアライザ212のポート212bが、シリアライザ211のポート211aに接続されている。また、デシリアライザ212のポート212cがI2C通信バスに接続されている。また、デシリアライザ212のポート212dが、デシリアライザ213のポート213aに接続されている。
【0039】
また、シリアライザ211のポート211bが、通信ケーブル50を介して、後述する第1制御ユニット30に接続されている。また、シリアライザ211のポート211cが、I2C通信バスに接続されている。
【0040】
また、デシリアライザ212のポート212cがI2C通信バスに接続されている。また、デシリアライザ213のポート213dが、通信ケーブル50を介して、後述する第2制御ユニット40に接続されている。なお、デシリアライザ213のポート213bは利用されていない。
【0041】
ハブECU22は、詳しくは後述するように、第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40の動作状態に応じて、上記のコマンドVa,Vb,INVa,INVbを出力する。
【0042】
さらに、ハブユニット20は、車両Vのバッテリーから供給された電力Pを、カメラユニット10に供給可能な電力Pcに変換する電源装置23(レギュレーター又はスイッチング電源回路など)を備える。
【0043】
なお、シリアライザ211及びデシリアライザ212が、本発明の通信装置に相当する。また、ハブECU22は、本発明の通信制御装置に相当する。
【0044】
第1制御ユニット30は、信号変換装置31及び第1ECU32を備える。第1制御ユニット30は、I2C通信バスを備え、信号変換装置31及び第1ECU32が、I2C通信バスに接続されている。
【0045】
信号変換装置31は、デシリアライザ311を含む。デシリアライザ311の構成は、ハブユニット20のデシリアライザ212の構成と同一である。すなわち、デシリアライザ311は、ポート311a,311b,311c,311dを備える。デシリアライザ311は、ポート311aに入力された低電圧差動信号D+,D-を、パラレル信号(所定の映像伝送規格に準拠したマルチレーンのシリアル信号)に変換してポート311bから出力する機能を有する。また、デシリアライザ311は、ポート311cに入力されたシリアル信号(所定の通信規格に準拠した信号(本実施形態では、I2C信号))を、ポート311aから出力する機能を有する。
【0046】
デシリアライザ311のポート311aは、通信ケーブル50を介して、ハブユニット20のシリアライザ211のポート213bに接続されている。また、ポート311cは、I2C通信バスに接続されている。なお、ポート311dは利用されない。
【0047】
第1ECU32は、デシリアライザ311及びハブユニット20を介して、カメラユニット10から原画像データGを取得する。そして、第1ECU32は、当該原画像データGに基づいて、第1制御を実行する。例えば、第1ECU32は、カメラユニット10から取得した原画像データGを、車両Vの車室内に設置された映像表示装置(例えば、液晶ディスプレイ装置)に送信する。すなわち、第1ECU32は、当該映像表示装置に、車両Vの後方(又は側方)の画像を表示させる(電子ミラー機能)。
【0048】
第1制御ユニット30は、さらに、バッテリーから供給された電力Pの一部を外部へ供給する電源装置33を含む。第1ECU32が起動しているとき、電源装置33は、外部へ電力を供給可能である。一方、第1ECU32が起動していないとき(休止しているとき)、電源装置33は、外部へ電力を供給不能である。この電源装置33の出力ポートが、通信ケーブル50を介して、ハブユニット20のハブECU22に接続されている。ただし、本実施形態では、電源装置33からハブECU22に電力を供給しているのではなく、単に、電源装置33の出力を、第1ECU32の状態(第1ECU32が起動しているか否か)を検知するための信号(以下、「起動状態信号S1」と称呼する。)として利用しているにすぎない。つまり、第1ECU32が起動しているとき、起動状態信号S1の値(論理レベル)が「H」であり、第1ECU32が休止しているとき、起動状態信号S1の値(論理レベル)が「L」である。
【0049】
第2制御ユニット40の構成は、第1制御ユニット30の構成と略同一である。すなわち、第2制御ユニット40は、信号変換装置41及び第2ECU42を備える。第2制御ユニット40は、I2C通信バスを備え、信号変換装置41及び第2ECU42が、I2C通信バスに接続されている。また、信号変換装置41は、デシリアライザ411を含む。デシリアライザ411の構成及び機能は、デシリアライザ312の構成及び機能と同一である。
【0050】
第2ECU42は、デシリアライザ411及びハブユニット20を介して、カメラユニット10から原画像データGを取得する。そして、第2ECU42は、原画像データGに基づいて、第2制御を実行する。すなわち、第2ECU42は、例えば、カメラユニット10から順次送信されてくる原画像データGを所定のフォーマットに準拠した動画データに変換しつつ記憶装置に記憶させる(レコーダー機能)。
【0051】
また、第2制御ユニット40は、第1制御ユニット30と同様に、バッテリーから供給された電力Pの一部を外部へ供給する電源装置43を含む。電源装置43は、第2ECU42が起動しているとき、外部へ電力を供給可能であり、第2ECU42が起動していないとき(休止しているとき)、電源装置43は、外部へ電力を供給不能である。この電源装置43の出力ポートが、通信ケーブル50を介して、ハブユニット20のハブECU22に接続されている。ただし、本実施形態では、電源装置43からハブECU22に電力を供給しているのではなく、単に、電源装置43の出力を、第2ECU42の状態(第2ECUが起動しているか否か)を検知するための信号(以下、「起動状態信号S2」と称呼する。)として利用しているにすぎない。
【0052】
通信ケーブル50は、図2に示したように、一対の電線Wa+,Wa-を含む。電線Wa+,Wa-は、低電圧差動信号D+,D-の伝送経路である。電線Wa+と電線Wa-とは、互いに撚り合わせられて、ツイストペアケーブルを構成している。通信ケーブル50は、さらに、一対の電線Wb+,Wb-を含む。電線Wb+,Wb-は、電力Pcまたは起動状態信号S1或いは起動状態信号S2の伝送経路である。なお、一対の電線Wa+,Wa-と一対の電線Wb+,Wb-とが、1つのシース内に収容されて、一本の通信ケーブル50(ワイヤーハーネス)を構成している。通信ケーブル50として、電線Wa+,Wa-,Wb+,Wb-が撚り合わせられ、その周囲が金属箔、編組線などで覆われているSTQケーブルを採用してもよい。
【0053】
(作動)
第1ECU32及び第2ECU42は、車両Vのイグニッションスイッチのオン・オフ状態(イグニッション信号IGの値)を監視している。イグニッションスイッチがオン状態のとき、イグニッション信号IGの値(論理レベル)が「H」であり、イグニッションスイッチがオフ状態のとき、イグニッション信号IGの値が「L」であるように構成されている。原則として、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に遷移したとき、第1ECU32及び第2ECU42が起動する。一方、イグニッションスイッチがオン状態からオフ状態に遷移したとき、第1ECU32及び第2ECU42が休止する。
【0054】
第1ECU32が休止しているとき、起動状態信号S1が「L」であり、第1ECU32が起動しているとき、起動状態信号S1が「H」であるように電源装置33が構成されている。また、第2ECU42が休止しているとき、起動状態信号S2が「L」であり、第2ECU42が起動しているとき、起動状態信号S2が「H」であるように、電源装置43が構成されている。
【0055】
ハブECU22は、起動状態信号S1及び起動状態信号S2の値を常に監視している。起動状態信号S1及び起動状態信号S2の値がいずれも「L」である状態では、ハブECU22は休止している。ただし、この休止状態においても、ハブECU22は、起動状態信号S1及び起動状態信号S2の値を監視している。起動状態信号S1及び起動状態信号S2の値がいずれも「L」である状態から、起動状態信号S1及び起動状態信号S2の少なくとも一方の値が「L」から「H」に遷移したとき、ハブECU22が起動する。起動状態信号S1及び起動状態信号S2の値が「L」である状態に遷移すると、ハブECU22が休止する。電源装置23は、ハブECU22が起動しているとき電力Pcを出力し、ハブECU22が休止しているとき、電力Pcを出力しない。そのため、ハブECU22が休止している状態では、カメラユニット10は動作しない。
【0056】
また、ハブECU22は、起動状態信号S1,S2の値の変化に応じて、所定のコマンドをシリアライザ211及びデシリアライザ213に送信して、シリアライザ211及びデシリアライザ213の機能を有効化又は無効化する。なお、カメラユニット10が起動している状態では、シリアライザ131のすべての機能が有効化されている。また、ハブECU22が起動している状態では、デシリアライザ212のすべての機能が有効化されている。
【0057】
(具体例)
例えば、図3に示したように、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態になる(イグニッション信号IGの値が「L」から「H」に遷移する)と、第1ECU32及び第2ECU42が起動する。これにより、起動状態信号S1,S2の値が「L」から「H」に遷移する。よって、ハブECU22も起動する。そして、電源装置23は、カメラユニット10への電力Pcの供給を開始する。また、ハブECU22は、デシリアライザ213にコマンドINVbを送信するとともに、シリアライザ211にコマンドVaを送信する。これにより、カメラユニット10と第1制御ユニット30とがバックチャネル通信可能であり、且つカメラユニット10と第2制御ユニット40とがバックチャネル通信不能な状態になる。すなわち、第1ECU32がカメラパラメータCPをI2C信号として出力すると、当該信号は、デシリアライザ311、シリアライザ211,デシリアライザ212,シリアライザ131をこの順に経由して、カメラECU12に伝達される。そして、カメラECU12は、当該カメラパラメータCPに従って、デジタルカメラ11を制御(初期化)する。一方、仮に、第2ECU42がカメラパラメータCPをI2C信号として出力すると、当該信号は、デシリアライザ411を経由してデシリアライザ213に伝達されるが、デシリアライザ213のバックチャネル通信機能が無効化されているので、当該信号は、デシリアライザ212及びシリアライザ131には伝達されない。つまり、デシリアライザ213により、第2制御ユニット40とカメラユニット10との間のカメラパラメータCPの通信が遮断される。
【0058】
デジタルカメラ11は、第1ECU32から取得したカメラパラメータCPに従って動作する。具体的には、デジタルカメラ11は、所定の時間間隔を置いて、車両Vの後方(及び側方)を撮影して原画像データGを生成するとともに、当該原画像データGをカメラECU12に送信する。カメラECU12は、当該原画像データGをシリアライザ131に送信する。シリアライザ131に送信された原画像データGは、デシリアライザ212、シリアライザ211、デシリアライザ311をこの順に経由して、第1ECU32に伝達されるとともに、デシリアライザ212、デシリアライザ213、デシリアライザ411をこの順に経由して、第2ECU42に伝達される。
【0059】
第1ECU32及び第2ECU42は、取得した原画像データGに基づいて、第1制御及び第2制御をそれぞれ実行する。この状態において、イグニッションスイッチがオン状態からオフ状態になる(イグニッション信号IGの値が「H」から「L」に遷移する)と、第1ECU32及び第2ECU42は、休止状態に遷移する。これにより、起動状態信号S1,S2の値が「H」から「L」に遷移する。ハブECU22は、シリアライザ211及びデシリアライザ213にコマンドINVa及びコマンドINVbをそれぞれ送信した後、休止状態に遷移する。また、電源装置23は、カメラユニット10への電力Pcの供給を停止する。よって、カメラユニット10は動作しなくなる。
【0060】
ところで、イグニッションスイッチがオフ状態(つまり、車両Vが駐車された状態)において、車両Vに搭載された図示しないレーダーセンサが動作している。レーダーセンサは、例えば、車両Vの周囲の物体までの距離を測定し、その測定結果(距離の変化)に基づいて、物体が接近してきたか否かを判定する。そして、レーダーセンサは、その結果を表す接近感知信号ASを送信する。車両Vに接近する物体が存在しない場合、接近感知信号ASの値は「L」であり、車両Vに接近する物体が存在する場合、接近感知信号ASの値は「H」である。
【0061】
第2ECU42は、休止状態において、接近感知信号ASの値を監視している。第2ECU42は、接近感知信号ASの値が「L」から「H」に遷移したことを検知すると、第2ECU42が休止状態から起動状態に遷移する。なお、この場合、第1ECU32は、休止状態のままである。そのため、図4に示したように、起動状態信号S1の値が「L」のままであるが、起動状態信号S2の値が「L」から「H」に遷移する。これにより、ハブECU22が起動する。そして、電源装置23は、カメラユニット10へ電力Pcを供給し始める。これにより、カメラユニット10が起動する。さらに、ハブECU22は、デシリアライザ213にコマンドVbを送信するとともに、シリアライザ211にコマンドINVaを送信する。これにより、カメラユニット10と第1制御ユニット30とが通信不能であり、且つカメラユニット10と第2制御ユニット40とが通信可能な状態になる。この状態では、第1ECU32は、休止しているので、第1ECU32がカメラパラメータCPを出力することはない。仮に、第1ECU32がカメラパラメータCPをI2C信号として出力すると、当該信号は、デシリアライザ311を経由してシリアライザ211に伝達されるが、シリアライザ211の通信機能が無効化されているので、当該信号は、デシリアライザ212及びシリアライザ131には伝達されない。つまり、シリアライザ211により、第1制御ユニット30とカメラユニット10との間のカメラパラメータCPの通信が遮断される。これに対し、第2ECU42がカメラパラメータCPをI2C信号として出力すると、当該信号が、デシリアライザ411、デシリアライザ213、デシリアライザ212、シリアライザ131をこの順に経由して、カメラECU12に伝達される。そして、カメラECU12は、当該カメラパラメータCPに従って、デジタルカメラ11を制御(初期化)する。
【0062】
デジタルカメラ11は、第2ECU42から取得したカメラパラメータCPに従って動作する。具体的には、デジタルカメラ11は、所定の時間間隔を置いて、車両Vの後方(及び側方)を撮影して原画像データGを生成するとともに、当該原画像データGをカメラECU12に送信する。カメラECU12は、当該原画像データGをシリアライザ131に送信する。シリアライザ131に送信された原画像データGは、デシリアライザ212、デシリアライザ213、デシリアライザ411を経由して、第2ECU42に伝達される。なお、シリアライザ211の通信機能が無効化されているので、原画像データGは、第1制御ユニット30へは伝達されない。
【0063】
車両Vに接近する物体が存在しなくなると(又は、物体の接近を感知してから所定の時間が経過すると)、接近感知信号ASの値が「H」から「L」に遷移する。すると、第2ECU42は、起動状態から休止状態に遷移する。よって、起動状態信号S2の値が「H」から「L」に遷移する。そのため、ハブECU22は、シリアライザ211及びデシリアライザ213にコマンドINVa及びコマンドINVbをそれぞれ送信した後、休止状態に遷移する。また、カメラユニット10に電力Pcが供給されなくなり、カメラユニット10が動作しなくなる。
【0064】
また、イグニッションスイッチがオフ状態であって、第1ECU32が休止していて、且つ第2ECU42が起動している状態で、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に遷移すると、第1ECU32が起動する。これにより、図5に示したように、起動状態信号S1の値が「L」から「H」に遷移する。この場合、ハブECU22は、次のようにコマンドを送信する。
【0065】
まず、ハブECU22は、デシリアライザ213にコマンドINVbを送信する。これにより、第2制御ユニット40とカメラユニット10との間におけるカメラパラメータCPの通信が遮断される。この状態では、第1制御ユニット30とカメラユニット10との間におけるすべての通信が遮断されている。なお、起動状態信号S1及び起動状態信号S2の値は「H」であり、ハブECU22は起動している。そのため、電源装置23は電力Pcをカメラユニット10に供給している。よって、カメラユニット10は起動したままである。
【0066】
つぎに、ハブECU22は、シリアライザ211にコマンドVaを送信する。これにより、第1制御ユニット30とカメラユニット10との間におけるすべての通信が許可される。この状態において、第1ECU32は、カメラパラメータCPをカメラユニット10に送信する。デジタルカメラ11は、第1ECU32から取得したカメラパラメータCPに従って動作して、原画像データGを出力する。この原画像データGは、ハブユニット20を介して、第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40に伝達される。
【0067】
なお、本実施形態において、起動状態信号S1の値が「H」であり、且つ起動状態信号S2の値が「L」である状態は想定されていない。
【0068】
(効果)
上記のように、車両用制御システム1において、カメラユニット10は、第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40で共用されている。すなわち、第1ECU32及び第2ECU42は、それぞれカメラパラメータCPをカメラユニット10へ送信可能である。また、第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40は、カメラユニット10から原画像データGを受信可能であり、当該受信した原画像データGに基づいて第1制御及び第2制御をそれぞれ実行可能である。
【0069】
ここで、第1ECU32が起動している場合には、第2ECU42の起動状態に関わらず、ハブユニット20のデシリアライザ213のバックチャネル通信が禁止されている。すなわち、第2ECU42がカメラパラメータCPを送信したとしても、デシリアライザ213により、当該カメラパラメータCPの通信が遮断される。つまり、第2ECU42から出力されたカメラパラメータCPは、カメラユニット10に伝達されない。
【0070】
また、第1ECU32が休止していて、且つ第2ECU42が起動している状態から、第1ECU32が起動する際、まず、デシリアライザ213のバックチャネル通信が禁止される。すなわち、この状態では、シリアライザ211のバックチャネル通信が禁止されるとともに、デシリアライザ213のバックチャネル通信が禁止されている。よって、第1ECU32及び第2ECU42がカメラパラメータCPを出力したとしても、いずれもカメラユニット10に伝達されない。そして、その後、シリアライザ211のバックチャネル通信が許可される。この状態では、第1ECU32から出力されたカメラパラメータCPがカメラユニット10に伝達される。
【0071】
上記のように、シリアライザ211のバックチャネル通信が許可され、且つデシリアライザ213のバックチャネル通信が許可されている状態が生じないように、車両用制御システム1が構成されている。つまり、第1ECU32からカメラユニット10へのカメラパラメータCPの伝達経路と、第2ECU42からカメラユニット10へのカメラパラメータCPの伝達経路とが同時にカメラユニット10に接続されている状態が生じないように、車両用制御システム1が構成されている。よって、第1ECU32及び第2ECU42からそれぞれ出力されたカメラパラメータCPが同時にカメラユニット10に伝達されるという事態が生じない。よって、本実施形態によれば、従来装置に比べて、車両用制御システム1を構成する複数のユニット間における通信エラーの発生頻度を低減できる。
【0072】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、以下に述べるように、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0073】
<変形例1>
上記実施形態では、カメラユニット10を2つの制御ユニット(第1制御ユニット30及び第2制御ユニット40)で共用しているが、カメラユニット10を3つ以上の制御ユニットで共用してもよい。例えば、図6に示したように、上記実施形態に第3制御ユニット60を追加してもよい。この例に追いて、ハブユニット20は、デシリアライザ213と同一のデシリアライザ214を備えている。デシリアライザ214に第3制御ユニット60が接続されている。第3制御ユニット60から起動状態信号S3がハブECU22に入力されている。ハブECU22は、起動状態信号S1,S2,S3の値の組み合わせに応じて、シリアライザ211、デシリアライザ213及びデシリアライザ214の機能を有効化又は無効化する。つまり、ハブECU22は、シリアライザ211、デシリアライザ213及びデシリアライザ214のうちの1つの装置のバックチャネル通信が許可された状態又はすべての装置のバックチャネル通信が禁止された状態に設定する。これによっても、上記実施形態と同一の効果が得られる。
【0074】
<変形例2>
上記実施形態では、ハブECU22は、第1ECU32及び第2ECU42の起動状態(すなわち、起動状態信号S1,S2の値)に応じて、シリアライザ211及びデシリアライザ213の機能が有効化されている状態と無効化されている状態とをそれぞれ切り替える。これに代えて、ハブECU22は、例えば、車両のシフトポジションに応じて、シリアライザ211及びデシリアライザ213の機能が有効化されている状態と無効化されている状態とを切り替えてもよい。具体的には、シフトポジションが「D」(前進ポジション)に切り替えられたとき、ハブECU22は、デシリアライザ213のバックチャネル通信機能を無効化するとともに、シリアライザ211の通信機能を有効化する。また、シフトポジションが「P」(駐車ポジション)に切り替えられたとき、ハブECU22は、シリアライザ211の通信機能を無効化するとともに、デシリアライザ213のバックチャネル通信機能を有効化する。
【0075】
<変形例3>
上記実施形態では、各ユニット間において、差動信号伝送方式を採用しているが、これに代えて、シングルエンド信号伝送方式を採用してもよい。この場合、通信ケーブル50として、例えば、周知のコアキシャルケーブルを採用してもよい。この場合、ハブユニット20から電力Pcを供給する方式として、周知のPoC(Power over Coaxial)を採用するとよい。
【0076】
<変形例4>
上記実施形態のカメラユニット10は、本発明の車載センサに相当するが、本発明の車載センサは、カメラユニット10に限られない。例えば、車載センサとして、レーダー装置を採用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…車両用制御システム、10…カメラユニット、20…ハブユニット、21…信号変換装置、22…ハブECU、30…第1制御ユニット、40…第2制御ユニット、50…通信ケーブル、211…シリアライザ、213…デシリアライザ、CP…カメラパラメータ、G…原画像データ、IG…イグニッション信号、PS…パラレル信号、Pc…電力、S1…起動状態信号、S2…起動状態信号


図1
図2
図3
図4
図5
図6