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特許7513982折畳み自在の支柱構造を有する卓上調理用の排煙器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】折畳み自在の支柱構造を有する卓上調理用の排煙器具
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
F24F7/06 101B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020149023
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043643
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】509321859
【氏名又は名称】株式会社ミートODA
(74)【代理人】
【識別番号】100114568
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 恒之
(72)【発明者】
【氏名】茂木 儀清
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106824963(CN,A)
【文献】登録実用新案第3188989(JP,U)
【文献】特開2002-139235(JP,A)
【文献】実開平04-050342(JP,U)
【文献】実開昭52-124043(JP,U)
【文献】実開平01-153439(JP,U)
【文献】特開昭62-288436(JP,A)
【文献】実開昭50-139461(JP,U)
【文献】特開2005-090841(JP,A)
【文献】実開昭59-011237(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-2048516(KR,B1)
【文献】米国特許第06808545(US,B1)
【文献】特開2003-176941(JP,A)
【文献】特開2001-343141(JP,A)
【文献】実開昭57-066432(JP,U)
【文献】実開昭54-089154(JP,U)
【文献】特公平07-076629(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2005/0017136(US,A1)
【文献】特表2019-552768(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0074268(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0044727(KR,A)
【文献】中国実用新案第214581603(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排煙器具の上部を覆うテント状のフードと、前記フードを担持する折り畳み式の支柱部と、前記フード内の排煙を室外に導く蛇腹構造の排煙ホースと、含む卓上調理用の排煙器具であって、
前記支柱部は、前記排煙ホースの端部が接続される円筒状のセンター筒部と、前記センター筒部の円筒側面外周に設けられた複数のフード担持枝と、前記フード担持枝の先端部のそれぞれに連接された伸縮自在の支柱脚とを備え、
前記フード担持枝は、前記センター筒部の外周に設けられた複数のヒンジ部によって、センター筒部に取り付けられ、前記ヒンジ部に嵌合したフード担持枝根元部分を中心として回動自在な構造となっており、本器具の使用時には、センター筒部を中心としてその外周方向に向かって展開拡張され、
前記支柱脚の頭頂部はヒンジ構造となっており、係るヒンジ部分に前記フード担持枝の先端部が回動自在な構造で嵌合され、本器具の使用時には、当該ヒンジ部分を回動中心として、前記フード担持枝から支柱脚が開脚され、前記支柱脚は、調理・食卓面に対してほぼ垂直に立脚されて、本器具の使用後には、前記センター筒部の円筒側面外周に沿って折り畳み収納できること、を特徴とする卓上調理用の排煙器具。
【請求項2】
前記排煙ホースの一端は、前記センター筒部の筒頂部に接続され、かつ前記センター筒部のベース部分には排煙・排気用の電動ファンが内蔵されている、ことを特徴とする請求項に記載された卓上調理用の排煙器具。
【請求項3】
前記排煙ホースの一端は、前記センター筒部の筒頂部に接続され、かつ、前記排煙ホースの他の一端には、排煙・排気用のポータブル型電動ファンユニットが接続されること、を特徴とする請求項に記載された卓上調理用の排煙器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食卓上で調理を行う際に使用される排煙・排気器具であり、より詳細には、卓上で焼肉などを調理して食する際に生ずる煙や匂いを効率的に室外へ排出する機能を有し、かつ、その使用後はコンパクトに折り畳んで収納が可能な卓上調理用の排煙器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食生活の多様化に伴い、卓上で肉や野菜などの食材を加熱調理して同時に食事を饗するような食習慣が、一般家庭においても広く普及するようになってきた。係る調理・食事の際に問題となるのが、肉や野菜を焼くときに生ずる匂いや煙の問題である。このような煙は油脂成分を多く含むため、食卓を囲んでいる人々の衣類、或は室内の壁や家具などに付着しやすく、そこに匂いや汚れを残すおそれがあった。
【0003】
この対策として、例えば従来の外食専門の焼肉店であれば、それぞれの焼肉卓の上部や内部に強力な電動ファンなどを備えた排煙・排気設備が設けられており、肉や野菜を焼くときに発生した煙や匂いは、瞬時に吸引され店の外部に排出される仕組みとなっている。このため、焼肉店の客は、調理を行う際の匂いや煙に妨げられることなく、肉や野菜を焼きながら快適に食事を楽しむことができる。
【0004】
しかし、一般家庭の場合には係る本格的な設備を望むべくもなく、人々は食材の加熱調理のときに発生する大量の煙や、その匂いに悩まされながらも、食事を続けざるを得ない状況に甘んじていた。このような状況を改善すべく、従来から、いわゆる卓上調理用の排煙器具として、例えば、特許文献1~3に示すような様々の技術が開示されている。
【0005】
【文献】特開2002-139235号公報
【文献】特開2001-343141号公報
【文献】特開平8-166153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの従来技術は、逆L字型支柱の先端部に濾過シートと排煙ファンを内蔵した傘状部材を吊り下げて排煙処理を行うものや、電気照明スタンド型の支柱の先端部に排煙部材を設けて排煙処理を行うもの、或は、調理食卓の上に同様の傘状排煙部材を天井などから吊り下げて排煙処理を行うものであった。
【0007】
したがって、これらの従来技術では排煙部の固定方法に安定性を欠き、また、排煙部を支持する支柱が逆L字型やスタンド型、或は吊り下げ型であるため、器具全体の強度や転倒・落下防止の観点から一抹の危惧があった。さらに、器具全体の形の多くが一体型であるため、その使用が終了した後、器具を収納する際に大きさが極めて嵩張るという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような従来技術に見られた欠点を解決することを目的とするものであって、加熱調理卓の上に極めて安定して設置することができ、器具の使用後には、コンパクトに折り畳んで収納が可能な卓上調理用の排煙器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第の観点による卓上調理用の排煙器具は、
排煙器具の上部を覆うテント状のフードと、前記フードを担持する折り畳み式の支柱部と、前記フード内の排煙を室外に導く蛇腹構造の排煙ホースと、含む卓上調理用の排煙器具であって、
前記支柱部は、前記排煙ホースの端部が接続される円筒状のセンター筒部と、前記センター筒部の円筒側面外周に設けられた複数のフード担持枝と、前記フード担持枝の先端部のそれぞれに連接された伸縮自在の支柱脚とを備え、
前記フード担持枝は、前記センター筒部の外周に設けられた複数のヒンジ部によって、センター筒部に取り付けられ、前記ヒンジ部に嵌合したフード担持枝根元部分を中心として回動自在な構造となっており、本器具の使用時には、センター筒部を中心としてその外周方向に向かって展開拡張され、
前記支柱脚の頭頂部はヒンジ構造となっており、係るヒンジ部分に前記フード担持枝の先端部が回動自在な構造で嵌合され、本器具の使用時には、当該ヒンジ部分を回動中心として、前記フード担持枝から支柱脚が開脚され、前記支柱脚は、調理・食卓面に対してほぼ垂直に立脚され、本器具の使用後には、前記センター筒部の円筒側面外周に沿って折り畳み収納できること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明の第の観点による卓上調理用排煙器具は、前記第の観点において、前記排煙ホースの一端は、前記センター筒部の筒頂部に接続され、かつ前記センター筒部のベース部分には排煙・排気用の電動ファンが内蔵されている、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第の観点による卓上調理用排煙器具は、前記第の観点において、前記排煙ホースの一端は、前記センター筒部の筒頂部に接続され、かつ、前記排煙ホースの他の一端には、排煙・排気用のポータブル型電動ファンユニットが接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上の解決手段を備えた本発明によれば、一般家庭の食卓上で焼肉などを調理して食事を饗する際の煙や匂いを室内に充満させる事なく速やかに室外に吸出し、頗る快適な食卓環境を実現することができる。また、転倒のおそれが無い安定した器具の設置構造であり、かつ、使い終わった際も器具全体をコンパクトに折り畳んで収納できるような仕組みとなっている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実現するための最良の形態である実施例に関し、本明細書に添付した各々の図面に基づいて以下に説明を行う。
【0016】
(1)本発明による卓上調理用排煙器具の構造
先ず、本発明による卓上調理用の排煙器具(以下、単に「本器具」と言う。)の構造を、添付図面1に示す本器具全体の外観を表した斜視図に基づいて説明する。
【0017】
同図に示すように本器具は、主に、フード1、支柱部2、及び排煙ホース3から構成されている。フード1は、本器具全体の上部を覆う部材であり、いわゆるテント型の構造となっている。因みに、本器具の上部には卓上で加熱調理を行った際の熱気がこもるため、フード1の素材としては、例えば、難燃性の耐熱ビニールシートなどの素材を用いることが好ましい。
【0018】
但し、フード1の材質に関しては係る例示に限定されるものではなく、現実の実施態様に応じて、例えば、難燃性の繊維を使った耐熱布製シートや、耐熱紙製シートを用いることも可能である。或は、難燃性・耐熱性の処理を施した、木材・樹皮製のシートを用いるようにしても良い。
【0019】
また、調理卓・食卓上の明るさを担保し、フード内部への採光を促進すべく、フード1は透明性を備えることが望ましい。但し、その透明性に関しては必ずしも100%クリアである必要はなく、例えば、室内インテリアとの調和や、食事を行う際のムードの向上に鑑みれば、ある程度の光透過性を有する半透明の各種難燃性の耐熱シートを用いることも可能である。
【0020】
フード1のテント状屋根構造の略中央部には貫通孔11が設けられており、本器具の使用時には、この貫通孔11に後述する支柱部2のセンター筒部21における円筒部分が挿通されることになる。なお、貫通孔11の孔周縁部を、いわゆるギャザー状の伸縮構造として、センター筒部21の円筒外周部とフード1との密着性を向上させ、フード1の内部にこもった煙や排気がフード1の外部に漏れ出すことを防ぐ構造としても良い。
【0021】
さらに、フード1は全体として十分な柔軟性を備えるものであり、本器具の不使用時にはテーブルクロスやテーブルナプキンと同様に折り畳んで収納することが可能である。また、フード1の外観形状は図1に示すような四角テント型の形状に限定されるものではなく、例えば、円形や楕円型、或は、後述する支柱部2に設けられた支柱脚の本数に応じて、任意の多角形の形状を選定することも可能である。
【0022】
次に、支柱部2は本発明の要となる部分であり、本器具のいわば骨組みとなる部材である。図1に示すように、本器具は、組み上げられた支柱部2の上に前述のフード1を被せ、さらに、フード1の略中央部の貫通孔11に支柱部2の中心にあるセンター筒部21(後述)を挿通させて、センター筒部21の筒頂部に後述する排煙ホース3を接続して使用するものである。
【0023】
また、支柱部2は、その全体が折り畳み自在な構造となっており、本器具の不使用時にはコンパクトに折り畳んで収容することできる。本器具を使用するため支柱部2を組み上げた状態の斜視図を図2に、本器具の使用後に折り畳んで収納した状態の斜視図を図3に示す。これらの図に示すように支柱部2は、主に、センター筒部21、センター筒部ベース22、フード担持枝23、担持枝補強金具24、支柱脚25、及び支柱脚補強金具26から構成されている。
【0024】
センター筒部21は、支柱部2の中心となる部材であり中空型の円筒構造となっている。センター筒部21の素材は、軽量化及び防災上の観点から、難燃性・耐熱性の合成樹脂(例えば、難燃性の塩化ビニール樹脂やベークライト樹脂)を使用した成型品を用いることが好ましい。支柱部2を組み上げ、その上に前述のフード1を被せた後、センター筒部21の円筒筒頂部には、後述する蛇腹状の排煙ホース3が嵌合・連結されることは言うまでもない。
【0025】
センター筒部ベース22は、センター筒部21のベース(基台)となる部材であってセンター筒部21と一体成型されており、その内部には電動ファン22aが内蔵されている。センター筒部ベース22に電動ファン22aが内蔵されている様子を図4に示す。因みに、図4は、折り畳んだ状態の支柱部2を下側から覘いた斜視図である。
【0026】
電動ファン22aは、フード1の内部にこもった煙や匂いなどを外部に排気するためのファンである。電動ファン22aは、一般の家庭用商用電源(AC100V)で駆動されるものであれば、その機種等について特に限定されるものではない。もっとも、そのコストや汎用性等に鑑みれば、通常の単相誘導型の小型電動機を使用した電動ファンを用いることが好適である。
【0027】
なお、食事団欒時の静粛性や器具全体の小型化などを求める場合は、小型のスピンドル・モーターをファンの駆動原として用いるようにしても良い。また、電動ファンの排気性能に関しても特に限定は無いが、フード1の内部からの排気を迅速かつ円滑に行うことを考慮すれば、例えば、毎分10(立米)程度の排気能力を備えることが好ましい。
【0028】
さらに、センター筒部ベース22の内部には、排気・排煙に含まれる油脂成分を除去するための、取り外して交換が可能なエアーフィルタ部材(図示せず)を内蔵させるようにしても良い。また、排気・排煙の脱臭を目的として、例えば、植物などの活性炭を利用した交換可能な脱臭剤ユニット(図示せず)を備えるようにしても良い。
【0029】
フード担持枝23は、本器具の使用時にセンター筒部21を中心としてその外周方向に向かって展開拡張され、前述のフード1を担持するための、いわゆる「傘の骨」に相当する部材である。フード担持枝23は、センター筒部ベース22の外周に設けられたヒンジ部22bによって、センター筒部ベース22に取り付けられており、ヒンジ部22bに嵌合したフード担持枝23の根元部分を中心として回動自在な構造となっている。
【0030】
なお、図1~3には、支柱部2にフード担持枝23を、センター筒部21の外周への展開拡張間隔を90度間隔で4本設けた事例を示しているが、本発明は係る事例に限定されるものではない。すなわち、本発明の実施態様に応じて、例えば、本器具に備えるフード担持枝23の数を3本(センター筒部21の外周への展開拡張間隔が120度間隔)に減少させても、或は5本以上に増やしても良い。但し、卓上での調理・食事を行う際の利便性に鑑みれば、その本数は3乃至4本程度であることが好ましい。
【0031】
また、フード担持枝23の展開拡張時における安定性と強度を確保するため、フード担持枝23とセンター筒部21の円筒外周側面とは、フード担持枝補強金具24で連接される構造となっている。なお、フード担持枝補強金具24の両端部分は、フード担持枝23の根元部分と同様に、センター筒部21の円筒外周側面とフード担持枝23の上部のそれぞれに対して、回動自在なヒンジ構成によって連接されている。
【0032】
これによって、フード担持枝23をセンター筒部21の外周に十分に展開拡張したとき、このフード担持枝補強金具24が両者の間を、いわゆる三角アングルにおける架橋部材の役目を果たして連結する構造となり、支柱部2を組み上げた際の本器具の強度が十分に確保される仕組みとなる。
【0033】
なお、フード担持枝23やフード担持枝補強金具24の材質に関しては特に限定されるものではないが、その強度の維持や防錆性などの観点に鑑みれば、ステンレス鋼材やアルミ鋼材などの押型材を用いることが好ましい。なお、支柱部2全体の軽量化を目指すのであれば、ジュラルミン鋼材などの軽金属素材を多用することも可能である。
【0034】
続いて、フード担持枝23の各々の先端部分には、支柱脚25が連接されている。支柱脚25の頭頂部25aは、いわゆるヒンジ構造となっており、係る頭頂部25aのヒンジ部分にフード担持枝23の先端部が回動自在な構造で嵌合されている。すなわち、本器具の使用時には、頭頂部25aのヒンジ部分を回動中心として、フード担持枝23から支柱脚25が開脚され、支柱脚25は調理・食卓面に対してほぼ垂直に立脚される。
【0035】
なお、支柱脚25の頭頂部25aは、支柱脚25と同様の金属部材で一体化構成としても良いが、製造工程の簡素化やコスト低減の観点に鑑みれば、頭頂部25aを強化合成樹脂製の別部材で成型し、本実施例に示すように支柱脚25の頭頂部に嵌合取り付ける構造としても良い。
【0036】
さらに、支柱脚25の下端先端部が調理・食卓面の表面を傷つけることを防止し、かつ、調理・食卓面上における支柱脚25のすべり止めとして、支柱脚25の下端先端部には脚端部25dが設けられている。脚端部25dは、すべり止め加工を施した強化合成樹脂部材や、或は、シリコンゴムや合成ゴム製の、いわゆるゴム足を支柱脚25の下端先端部に嵌合させるようにしても良い。
【0037】
また、支柱部2を組み上げたときのフード担持枝23と支柱脚25との強度と安定性を確保するため、フード担持枝23の側面には支柱脚補強金具26が設けられている。当該金具の一端は、フード担持枝23の側面に回動自在に吊り下げられており、他の一端には、その一部に開口部を有した、いわゆるスパナ型の丸穴が設けられている。
【0038】
一方、支柱脚25の側面には突起部25bが設けられており、フード担持枝23から支柱脚25を開脚して支柱部2を組み上げたとき、支柱脚補強金具26端部のスパナ型開口部を有する丸穴が、係る突起部25bに嵌合する仕組みとなっている。これによって、フード担持枝23から支柱脚25を開脚したとき、支柱脚補強金具26が両者の間を、いわゆる三角アングルの架橋部材として連結する構造となり、支柱部2を組み上げた際の本器具の強度が十分に確保される。
【0039】
なお、支柱脚25や支柱脚補強金具26の材質に関しては特に限定されるものではないが、その強度の維持や防錆性の観点に鑑みれば、前述のフード担持枝23やフード担持枝補強金具24などの部材と同様に、その素材としてステンレス鋼材やアルミ鋼材などの押型材を使用することが好適である。
【0040】
また、支柱脚25の中間部には、脚長アジャスター25cが備えられている。脚長アジャスター25cは、支柱脚25の垂直方向の長さを調整する部材であり、前述の頭頂部25aと同様に、支柱脚25と同一の金属部材で一体化構成するようにしても良いし、或は、強化合成樹脂製の別部材として構成し、支柱脚25に取り付けるようにしても良い。
【0041】
支柱脚25は、この脚長アジャスター25cによって、脚上部と脚下部の別部材として分離された構成となっている。すなわち、脚端部25dが設けられた支柱脚25の脚下部は、頭頂部25aの設けられた支柱脚25の脚上部の中に、その一部が収納される構造となっている。つまり、脚長アジャスター25cを調整することにより、支柱脚25の脚上部の中に収納される支柱脚25の脚下部の長さを加減することができる。これによって、支柱脚25の垂直方向全体の長さを一定の範囲で調整することが可能となる。
【0042】
脚長アジャスター25cの機構的な構造としては、2つの部材間の長さ調整に関する種々の従来技術を応用することが可能である。例えば、ラチェット歯車とラチェット爪の構造を利用して、支柱脚25の上脚部の中に収納される脚下部の長さを調整するようにしてもよい。因みに、この場合は、脚長アジャスター25cの一部に、ラチェット爪のリリース(解除)ボタンを設けることになる。
【0043】
また、脚長アジャスター25cの側面部に、支柱脚25の脚上部の中に収納される脚下部の側面を圧接するネジを設け、さらに、脚長アジャスター25cの側面から突出して、当該ネジを回転させる手動ノブを設けるようにしても良い。すなわち、係るノブを回して当該ネジを進退させ、支柱脚25の脚上部の中に収納される脚下部の側面を圧接・開放することによって、支柱脚25の脚上部の中に収められる脚下部の長さを調整することができる。
【0044】
なお、1本の支柱脚25に設ける脚長アジャスター25cの数は、実施例に示す事例に限定されるものではない。例えば、1本の支柱脚25に2つ以上の脚長アジャスター25cを設けるようにしても良い。つまり、支柱脚25を、あたかもカメラの三脚のように、多段式の伸縮自在な構造とし、複数段に亘って脚長調整を行えるような構造としても良い。これによって、支柱脚25の長さの可変範囲をさらに増加させることが可能となる。但し、器具全体の構造の簡素化や低コスト化に鑑みれば、支柱脚25の伸縮可変段数は1~2段程度に留める事が好ましい。
【0045】
このような伸縮構造を支柱脚25に付加することにより、本器具を組み上げた場合の器具の高さを任意にコントロールすることができる。これによって、後述する排煙ホース3を接続するときの本器具の高さ調整や、調理・食卓の一部に段差が有った場合などの事態にそなえ臨機応変に対応することが可能となり、本器具の使い勝手をさらに向上させることができる。
【0046】
前述したように支柱部2の各部は、フード担持枝23がセンター筒部21の円筒側面に沿って折り畳めるようになっており、さらに、フード担持枝23の内側に沿って支柱脚25を折り畳める構造となっている。したがって、本器具の不使用時には、支柱部2の全体を、センター筒部21を中心としてその周りに、図3に示したように極めてコンパクトな形で一つに纏めて折り畳めることになる。
【0047】
次に、排煙ホース3について説明を行う。排煙ホース3は、本器具を用いて焼肉などの卓上調理を行った場合に生ずる排煙や匂いを室外に導出するためのものである。したがって、その素材としては、耐熱性や難燃性を備えた素材が好適であり、例えば、塩化ビニールなどの難燃性の合成樹脂素材を用いることが好適である。
【0048】
また、本器具の設置場所すなわち調理・食卓と、排煙・排気を行う窓や戸口との相対位置は実際の使用態様に応じて千変万化する。このため、排煙ホースとしては、固定長・固定形状のホースや配管等を用いることが難しい。そこで、本発明では排煙ホース3として形状の柔軟性を有し、かつ伸縮の自在な、いわゆる蛇腹構造のホースを用いている。
【0049】
すなわち、排煙ホース3は、山折りと谷折りのリング状部材が交互に、そして多段に亘って縦続して接続された、いわゆる蛇腹式の構造となっている。このため、その長さや、設置経路はフレキシブルに設定することができる。係る、排煙ホース3を使用することにより、調理食卓と室外に開けた窓や戸口との相対位置に関わらず、本器具からの排煙ルートを自在かつ適切に設定することができる。
【0050】
(2)本器具の使用方法
次に、本器具の使用方法について説明を行う。本器具使用する場合は、先ず、調理食卓上、或はその近傍において支柱部2の組み立てを行う。
【0051】
具体的には、支柱部2のセンター筒部21から各フード担持枝23をセンター筒部21の外周に向かって展開して拡張する。この際に、フード担持枝補強金具24がセンター筒部21とフード担持枝23との間において、三角アングルの架橋部材として両部材の間をしっかりと連結するように、フード担持枝23をセンター筒部21の外周に向かって目一杯まで展開することが肝要である。
【0052】
次に、フード担持枝23の先端部から支柱脚25を開脚させる。そして、支柱脚25が十分に開脚された状態で、フード担持枝23の側面に吊り下げられた支柱脚補強金具26を動かし、その一端に設けた丸穴のスパナ型開口部を支柱脚25側面の支柱脚突起部25bに嵌合させて、フード担持枝23と支柱脚25との連結を固定する。
【0053】
続いて、完成された支柱部2を調理食卓上にセットし、脚長アジャスター25cを用いて必要に応じて各々の支柱脚25の長さを調整する。そして、セットされた支柱部2の上にフード1被せ、フード1の略中央部にある貫通孔11に、支柱部2のセンター筒部21の筒頂部を挿通する。これで、調理食卓上における本器具の設定が完了する。後は、フード1から突出しているセンター筒部21の筒頂部に排煙ホース3の一端を嵌合接続させ、排煙ホース3の他の一端を、所望の窓、或は戸口の開口部まで延伸させて設定作業を完了させる。
【0054】
(3)本発明のその他の実施例
本発明による卓上調理用の排煙器具の一つの実施例を以上に説明したが、本発明の実施は、係る実施例に限定されるものではない。
【0055】
本発明の第2の実施例として、例えば、排煙・排気用の電動ファンをセンター筒部ベース22の内部に設けるのではなく、窓や戸口など室外への開口部に置かれる排煙ホース3の一端に設けるようにしても良い。この場合の実施例を図5の斜視図に示す。同図において、フード1、支柱部2、及び排煙ホース3の各部材は、前記第1の実施例の場合と同様である。但し、前述のようにセンター筒部ベース22の内部には、排煙・排気用の電動ファン22aは内蔵されていない。
【0056】
ポータブル・ファンユニット4は、電動ファン(図示せず)を内蔵した可搬型のファンユニットである。すなわち、排煙ホース3により導出されてきた加熱調理時の排煙や排気は、係る電動ファンによって室外に排出される。なお、使用する電動ファンの機種や性能などにについて特に限定はないが、前記第1の実施例と同様に毎分10(立米)程度の排気能力を有することが好ましい。
【0057】
また、第1の実施例と同様に、同ユニットには、排気中に含まれる油脂成分などを除去するためのエアーフィルタ部材や、或は、排気に含まれる匂い成分の脱臭の為、活性炭など利用した脱臭剤を備えるようにしても良い。なお、これらのエアーフィルタ部材や脱臭剤などの部材は、その掃除や交換等が容易に行えるように、ワンタッチ操作で同ユニットから着脱自在として具備することが好ましい。
【0058】
第2の実施例では、電動ファンはもちろんのこと、上記のエアーフィルタなどの各種要素を、全て狭いセンター筒部ベース22の内部に収容するという制約がないため、第一の実施例に較べて、より大型の、或は高性能のファンやフィルタ、或は脱臭剤などを使用することが可能となる。
【0059】
また、ポータブル・ファンユニット4には、充電式のバッテリーと家庭用交流電源(AC100V)からの充電回路を内蔵するようにしても良い。これによって、同ユニットは使用場所の近くにACコンセントを必要とするという制約から解放されるため、任意の位置に設置することが可能となり、窓や戸口など室外への開口部の選択が容易となり、本器具の利便性を一層高めることができる。
【0060】
さらに、本発明の第3の実施例として、支柱部2のフード担持枝23の中間部に、支柱脚25に設けられていたような脚長アジャスター25cと同様の長さ調整部材を設けるようにしても良い。これによって、調理・食卓の広さに応じて本器具の大きさを任意に可変させることができる。
【0061】
但し、この場合はフード担持枝23の長さが変化するため、本器具の上部を覆うフード1に或る程度の伸縮性を持たせる必要がある。したがって、フード1の素材としては、可塑性を有する難燃性のビニールシートなどを使用する必要がある。或は、フード担持枝23の長さ変化を2段或は3段という段階的なものに限定し、それに合わせて、フード1のサイズを予め、例えばLサイズ、Mサイズ、Sサイズというように製品のラインナップとして備えるようにしても良い。
【0062】
また、本発明の第4の実施例として、支柱部2の各々のフード担持枝23の先端部に
各フード担持枝23どうしを繋ぐ棒状の架橋部材をアタッチメント的に取り付けられるようにしても良い。これによって、各々のフード担持枝23を連結する強度が極めて高まるので、本器具使用時の安定性をさらに向上させることができる。
【0063】
以上に説明したように、本器具を用いれば一般家庭の食卓上で焼肉などを調理して食事をする際の煙や匂いを室内に充満させる事なく速やかに室外に吸出し、頗る快適な食卓環境を実現することができる。また、食事を終えた後は、器具全体をコンパクトに折り畳んで収納することが可能である。
【0064】
なお、本発明の実施形態は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、例えば、各々の実施例を構成する各部位の形状や配置或いはその素材等は、本発明の趣旨を逸脱することなく、現実の実施態様に即して適宜変更ができるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の構成は、一般家庭をはじめとして、食材を加熱しながら食事をとる環境を提供する各種の飲食業界や、それらの食材を提供する各種業界などにおいてもその利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本発明による卓上調理用排煙器具の実施例の概要を表す斜視図である。
図2】本器具の支柱部2を組み立てた際の概要を表す斜視図である。
図3】本器具の支柱部2を折り畳んだ際の概要を表す斜視図である。
図4】本器具の支柱部2を折り畳んだ際の底面を俯瞰した斜視図である。
図5】本発明による卓上調理用排煙器具の第2の実施例を表す斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
1 …フード
11 …貫通孔
2 …支柱部
21 …センター筒部
22 …センター筒部ベース
22a…電動ファン
22b…筒部ベースヒンジ部
23 …フード担持枝
24 …フード担持枝補強金具
25 …支柱脚
25a…支柱脚頭頂部
25b…支柱脚突起部
25c…脚長アジャスター
25d…脚端部
26 …支柱脚補強金具
3 …排煙ホース
4 …ポータブル・ファンユニット
図1
図2
図3
図4
図5