(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】格闘技のトレーニングデバイス
(51)【国際特許分類】
A63B 69/22 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A63B69/22
(21)【出願番号】P 2021533479
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(86)【国際出願番号】 AU2019051359
(87)【国際公開番号】W WO2020118364
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521239635
【氏名又は名称】ファツィオ,ライモンド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ファツィオ,ライモンド
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-526600(JP,A)
【文献】国際公開第97/029813(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0118092(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0214648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格闘技のトレーニングデバイスであって、
支持フレームと、
前記支持フレームから支持され、パンチを受けるための凸状面を含んだ、第1の中央パッドと、
前記第1の中央パッドの下方で前記支持フレームから支持され、パンチを受けるための凸状面を含んだ、第2の中央パッドと、
前記第1の中央パッドの上方でフレームから支持され、パンチを受けるための凸状面を含んだ、第3の中央パッドとを備え、
前記第1の中央パッドの凸状面は、前記第2の中央パッドにおける凸状面に対して、下方に傾けられ、
第1及び第2の側部パッドが設けられ、前記側部パッドの各々は、前記第1、第2、及び第3の中央パッドの、両端の垂直側に沿って延びるよう取り付けられた、細長いパッドを備える、
前記第1及び第2の側部パッドの上端部が、前記第3の中央パッドの上端部に隣接して位置され、かつ前記第1及び第2の側部パッドの下端部が、前記第2の中央パッドの下端部に隣接して位置されるよう、前記フレームに対して取り付けられる、格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項2】
前記第1及び第2の中央パッドにおける凸状面は、半円筒形状であり、それによって前記第2の中央パッドにおける凸状面の長手方向軸は垂直に向けられ、前記第1の中央パッドにおける凸状面の長手方向軸は、
前記支持フレームの下端部の近くよりも、前記
支持フレームの上端部の近くで
前記支持フレームから離れる、請求項1に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項3】
前記第3の中央パッドにおける凸状面は半円筒形状であり、それによって前記第3の中央パッドにおける凸状面の長手方向軸は垂直に向けられる、請求項
1または2に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項4】
前記第1及び第2の側部パッドの各々は
半円筒形状であ
る、請求項
1~3のうちいずれか一項に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2の側部パッドは、それらの上端部同士が下端部同士よりも離れるように、垂直に対して角度が付けられる、請求項
1~4のうちいずれか一項に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項6】
前記第1及び第2の側部パッドは、前記支持フレームから支持された細長い部材に設けられた、取付プレートに取り付けられる、請求項
1~5のうちいずれか一項に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項7】
前記細長い部材の上端部は、上部アームによって前記支持フレームから支持され、前記細長い部材の下端部は、下部アームによって支持され、前記上部及び下部アームは、その中にバネ部材を含む、請求項
6に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項8】
前記支持フレームは支柱を備え、前記支柱は、前記支柱に対する摺動運動のために取り付けられたスリーブを有し、前記中央パッド及び側部パッドは、前記スリーブに取り付けられる、請求項1~
7のうちいずれか一項に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項9】
前記中央パッド及び側部パッドは、前記スリーブに対して弾力性をもって取り付けれる、請求項
8に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項10】
バネ部材は、1つまたは複数の前記中央パッド及び側部パッドと、前記スリーブとの間に延びるよう設けられる、請求項
9に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項11】
下部パッドが設けられ、前記下部パッドは、前記第2の中央パッドの下端部に隣接して位置された上端部と、床に隣接して位置された下端部と、を有する円筒形パッドを備える、請求項
8~
10のうちいずれか一項に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項12】
前記下部パッドは、その下端部が上端部よりも前記支柱から離れて位置されるよう、角度が付けられる、請求項
11に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項13】
前記下部パッドは支持部材に支持され、前記支持部材は、上部分及び下部分を有する細長い部材を備え、前記上部分は前記スリーブから前方かつ下方に延び、前記下部分は、前記上部分の第2の端部から垂直方向下方に延びる、請求項
12に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項14】
前記支持部材の前記下部分は、
摺動運動のために、取付フレームによって前方に支持された支柱のブラケット内に受け取られる、請求項
13に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【請求項15】
前記取付フレームは、前記支柱から外側に延び、かつそこから外側に延びたバネ部材を含み、前記ブラケットはリングを備え、前記リングを通して前記支持部材の前記下部分は
前記ブラケット内に受け入れられる、請求項
14に記載の格闘技のトレーニングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボクシング、キックボクシング、またはパンチ及び/またはキックを伴う任意の他のスポーツなど、格闘技のトレーニングに使用されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
格闘技のトレーニングにおける共通のトレーニング訓練は、トレーナによって保持されたパンチパッドまたはキックパッドを伴う。これらのパッドは、ボクサーが様々なパンチを練習できるように、トレーナによって種々の位置の間で動かされる。
【0003】
このタイプのトレーニングは有効かつ効果的でありながら、トレーナに接近する必要があるために、トレーナが不在である場合に使用することができない。また、トレーナが在籍し得るジムにおいて、限られた参加者数のみが、このタイプのトレーニングを任意のある時間に使用できる。
【0004】
さらに、このタイプのトレーニングを提供するトレーナは、このタイプのパンチパッドの使用に関連付けられた、繰り返しのストレスに曝されることが多い。パッドを保持し、パンチの衝撃を受けることは、トレーナの腕関節にストレスを与え、それは長期的に重大な損傷を生じさせる場合がある。バッグまたはパッド入りで人体形状の装置など、固定されたパンチパッドで人が練習できる訓練デバイスが存在するが、これらのデバイスは、トレーナがパッドを保持して実施される訓練を、あまり良好に再現しない。
【0005】
格闘技のトレーニングのための、連続したデバイスは、上述の課題を考慮して開発されてきた。本出願者自身による過去の国際特許である、国際公開第2009/137869号は、トレーナを伴うトレーニングに対する、有用な代替を作り出すことによって、これらの課題に対処している。このデバイスは、ボクシングトレーニングに有用な特定の構成を提供する。
【0006】
本発明は、このタイプのトレーニングを提供するが、パッドをパンチと共にキックするのを可能にする構成設計も提供するよう設計された、別のデバイスに関する。様々なこのようなトレーニングデバイスは、パンチ及びキックを可能にするよう、過去に設計されている。このようなデバイスの1つの課題は、連続したパンチとキックとの間で変化させるときに、デバイスを使用する人は、定期的に位置をずらす必要があることが一般的であることである。
【0007】
本発明は、上記の課題に対処すること、ならびに、様々なパンチ及びキックのコンビネーション間の、自然で容易な移行を可能にする方法で、パンチ及びキックのためにデバイスを特に好適にする構成を提供すること、を目的としたトレーニングデバイスに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によると、支持フレームと、支持フレームから支持され、パンチを受けるための凸状面を含んだ、第1の中央パッドと、第1の中央パッドの下方で、支持フレームから支持され、パンチを受けるための凸状面を含んだ、第2の中央パッドとを備え、第1の中央パッドの凸状面は、第2の中央パッドの凸状面に対して、下方に傾けられた、格闘技のトレーニングデバイスが提供される。
【0010】
好ましくは、第1及び第2の中央パッドの凸状面は、半円筒形状であり、それによって第2の中央パッドにおける凸状面の長手方向軸は垂直に向けられ、第1の中央パッドにおける凸状面の長手方向軸は、支柱の下端部の近くよりも、支柱の上端部の近くでポストから離れる。
【0011】
好ましい実施形態において、第3の中央パッドは、第1の中央パッドの上方でフレームから支持され、パンチを受けるための凸状面を含む。
【0012】
好ましくは、第3の中央パッドの凸状面は半円筒形状であり、それによって第3の中央パッドにおける凸状面の長手方向軸は、垂直に向けられる。
【0013】
好ましくは、第1及び第2の側部パッドが設けられ、側部パッドの各々は、第1、第2、及び第3の中央パッドの両端における垂直側に沿って、垂直に延びて取り付けられた、細長いパッドを備える。
【0014】
好ましくは、第1及び第2の側部パッドの各々は円筒形であり、第1及び第2の側部パッドの上端部が、第3の中央パッドの上端部に隣接して位置され、かつ第1及び第2の側部パッドの下端部が、第2の中央パッドの下端部に隣接して位置されるよう、フレームに対して取り付けられる。
【0015】
好ましくは、第1及び第2の側部パッドは、それらの上端部同士が下端部同士よりも離れるように、垂直に対して角度が付けられる。
【0016】
好ましい実施形態において、第1及び第2の側部パッドは、支持フレームから支持された細長い部材に設けられた取付プレートに、取り付けられる。
【0017】
好ましくは、細長い部材の上端部は、上部アームによって支持フレームから支持され、細長い部材の下端部は、下部アームによって支持され、上部及び下部アームの各々は、その中にバネ部材を含む。
【0018】
好ましい実施形態において、支持フレームは支柱を備える。この支柱は、支柱に対する摺動運動のために取り付けられたスリーブを有する。中央パッド及び側部パッドは、このスリーブに取り付けられる。
【0019】
好ましくは、中央パッド及び側部パッドは、スリーブに対して弾力的に取り付けられる。
【0020】
好ましくは、バネ部材は、1つまたは複数の中央パッド及び側部パッドと、スリーブとの間に延びるよう設けられる。
【0021】
好ましくは、下部パッドが設けられる。この下部パッドは、第2の中央パッドの下端部に隣接して位置された上端部と、床に隣接して位置された下端部と、を有する円筒形パッドを備える。
【0022】
好ましくは、下部パッドは、その下端部が上端部よりも支柱から離れて位置されるよう、角度が付けられる。
【0023】
好ましくは、下部パッドは支持部材に支持され、上部分及び下部分を有する細長い部材を備え、上部分はスリーブから前方かつ下方に延び、下部分は、上部分の第2の端部から垂直下方に延びる。
【0024】
好ましくは、支持部材の下部分は、取付フレームによって前方に支持された、支柱のブラケット内での摺動運動のために受け取られる。
【0025】
好ましくは、取付フレームは、支柱から外側に延び、かつそこから外側に延びたバネ部材を含む。ブラケットはリングを備え、このリングを通して支持部材の下部分は受け入れられる。
【0026】
次に本発明を、以下の図面を参照して、例として詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による格闘技のトレーニングデバイスの正面図である。
【
図2】
図1の格闘技のトレーニングデバイスにおける背面図である。
【
図3】
図1の格闘技のトレーニングデバイスにおける側面図である。
【
図4a】格闘技のトレーニングデバイスの、下部パッドの第2の実施形態における上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図を参照すると、全体的に支持フレーム12及び複数のパッドを備えた、格闘技のトレーニングデバイス10が示される。示される実施形態において、支持フレーム12は支柱14を備える。支柱14には、その下端部に固定されたベースプレート16が設けられる。ベースプレート16には複数の穴18が設けられ、それによってベースプレート16は、これらの穴18を通して床の中に挿入された好適な締結具によって、床に固定され得る。
【0029】
格闘技のトレーニングデバイス10のパッドは、支柱14に対して高さ調整可能となるよう、支柱14に固定される。示される実施形態において、支柱14にはスリーブ20が設けられ、スリーブ20を通して支柱14は受け入れられ、それによってスリーブ20は、支柱14の長さの一部に沿って上下に摺動し得る。示される実施形態において、支柱14は矩形の横断面であり、スリーブ20は、支柱14を受け入れるよう対応した矩形の横断面を有する、管状の細長い部材から成る。
【0030】
スリーブ20は、支柱14に対して複数の位置に固定され得るように、1つまたは複数の固定部材によって支柱14に対して固定され得る。示される実施形態において、固定部材は、スリーブ20の後側のアパーチャを貫通する、バネ付勢されたピン24を含む。ピン24は、支柱14に向けて内側に動く傾向となるよう、バネ付勢される。ピン24は、その外側端部にハンドル部分26を含み、それによってピン24は、バネの力に対抗して、ハンドル部分26によって外側に引張られ得る。ピン24の内側端部は、支柱14の背面に設けられた複数の対応するアパーチャのうちの1つの中に受け入れられ、スリーブ20を支柱14に対して固定し得る。
【0031】
固定部材は、雌ネジを有するカラー30の中に受け入れられたネジ山付き部材を含む、係止部材28も備え得る。係止部材28は、スリーブ20の背面から外側へ延びる。係止部材28は、その内側端部を、支柱14の背面に向かうよう、または離れるよう動かすために、回転され得る。それによって係止部材28は、支柱14の背面に対して係合するよう締め付けられ、スリーブ20の、支柱14に対するいかなる移動も固定し得る。係止部材28の各々は、それらの外側端部にハンドル32を含み、係止部材28の回転を可能にする。
【0032】
スリーブ20には、スリーブ20と支柱14の下端部との間を接続する支持支材34も設けられる。支持支材34は、スリーブ20の重量の一部を支持するよう、シリンダ38内に受け入れられるピストン36を備える。それによって支持支材34は、スリーブ20を支柱14に対して上下に摺動させるプロセスを補助する。支柱14には、その上端部にキャップ90が設けられる。キャップ90は、支柱14に対するスリーブ20の上への移動を制限するよう設けられる。
【0033】
格闘技のトレーニングデバイス10は、概ね支柱14の正面で支持された複数の中央パッドを含む。示される実施形態において、第1の中央パッド42、第2の中央パッド44、及び第3の中央パッド46が設けられる。第1の中央パッド42は、支柱14の前方に支持され、第1の中央パッド42の下方に位置された第2の中央パッド44、及び第1の中央パッド42の上方に位置された第3の中央パッド46を伴う。
【0034】
第1、第2、及び第3の中央パッド42、44、及び46の各々には、支柱14から概ね外を向き、使用中にパンチを当てられ得る凸状面48が設けられる。中央パッド42、44、及び46の凸状面48は、一般的に半円筒形状であり、それらの中央領域は、中央パッド42、44、46の、支柱14から外を向いた側に位置される。
【0035】
中央パッド42、44、及び46は、発泡材などの好適な弾力材から形成され、中央パッド42、44、及び46に放たれるパンチの衝撃を吸収するために、外側のシート材カバーを有する。中央パッド42、44、及び46のうち1つまたは複数は、好ましくは支柱14に弾力性をもって取り付けられる。示される実施形態において、第1及び第3の中央パッド42及び46は、バネ部材50によって支柱に接続される。バネ部材50は、スリーブ20に固定された第1の端部と、中央パッド42及び46が取り付けられた中央バッキングプレート52に各々が固定された第2の端部と、を備えた、細長いコイルバネを備える。バネ部材50は、使用中に予測される繰り返しの衝撃に耐えるため、十分な強度の金属材料から形成される。示される実施形態において、第2の中央パッド42は、中央バッキングプレート52に取り付けられ、中央バッキングプレート52は、バネ部材50の第1の端部の下方におけるスリーブ20に、直接固定される。
【0036】
第2及び第3の中央パッド44及び46における外側凸状面48は、それらの中央領域が使用中に概ね垂直となるよう向けられる。すなわち、第2及第3の中央パッド44及び44における凸状面48の半円筒形状は、使用中に概ね垂直である長手方向軸を有する。しかし、第1の中央パッド42における凸状面48は、その上端部が下端部よりも、格闘技のトレーニングデバイス10の前に立った人の近くに位置されるように、傾けられる。すなわち、第1の中央パッド42における凸状面48の半円筒形状は、長手方向軸を有し、この長手方向軸は、支柱14の下端部の近くよりも支柱14の上端部の近くにおいて、支柱14から離れる。
【0037】
第1、第2、及び第3の中央パッド42、44、及び46の凸状面48は、複数の平坦面によって画定され得る。示される実施形態において、中央パッド42、44、及び46の各々には、中央平坦面56、ならびに第1及び第2の側部平坦面57及び58が設けられる。中央平坦面56は、中央パッド42、44、及び46における凸状面48の中央に位置され、示される実施形態において概ね矩形である。第1及び第2の側部平坦面57及び58は、中央平坦面56に対して角度を付けて両側に延び、示される実施形態ではやはり概ね矩形の領域を備える。
【0038】
中央パッド42、44、及び46における、中央ならびに第1及び第2の側部平坦面56、57、及び58の各々には、それらの表面に印が設けられ得る。示される実施形態において、印は数字の印60から成り、それによって各表面部分56、57、58には固有の数字が設けられる。これらの数字は、格闘技のトレーニングデバイス10を使用する人に、指示した一連のパンチを中央パッド42、44、及び46の特定の領域に打つよう命じる場合に、指導目的で使用され得る。
【0039】
第1、第2、及び第3の中央パッド42、44、46の各々は、上面88を含む。上面88は、概ね平坦である。第1、第2、及び第3の中央パッド42、44、及び46の配置のため、第2の及び第3の中央パッド44及び46の上面88は、使用中に概ね水平である。第1の中央パッド42の上面88は、その前縁部が後縁部よりも低くなるよう、下方に角度が付けられる。
【0040】
格闘技のトレーニングデバイス10には、第1及び第2の側部パッド62及び64も設けられる。側部パッド62及び64の各々は、第1、第2、及び第3の中央パッド42、44、及び46の垂直側に沿って垂直に延びるよう、支柱14に対して取り付けられる。
【0041】
第1の側部パッド62は、第1の上部及び下部アーム66及び67によって支持される。第1の上部アーム66は、スリーブ20の第1の側部における上端部に隣接して固定される。第1の下部アーム66は、スリーブ20の第1の側部における下端部に隣接して固定される。第1の上部アーム66は、支柱14の第1の側の近くで上方に延びる細長い部材を備えた、第1の部分70と、支柱14の第1の側から離れるよう延びる細長い部材を備えた、第2の部分71と、を含む。第1の下部アーム67は、支柱14の第1の側から直接離れて延びた、細長い部材を備える。
【0042】
第1の上部及び下部アーム66及び67は、それらから外側に、支柱14に対して前方に延びたバネ部材50を含む。第1の側部パッド62は、第1の下部アーム67におけるバネ部材50の遠位端から、第1の上部アーム66におけるバネ部材50の遠位端まで延びた、細長い部材74に固定される。細長い部材74は、そこに固定された側部バッキングプレート53を含み、第1の側部パッド62を受ける。第1の側部パッド62は半円筒形状で、第1の側部パッド62の上端部が第3の中央パッド46の上端部に隣接するよう、かつ第1の側部パッド62の下端部が第2の中央パッド44の下端部に隣接するよう、配置される。
【0043】
第2の側部パッド64は、第2の上部及び下部アーム68及び69によって支持される。第2の上部アーム68は、その第2の側部における上端部に隣接したスリーブ20に固定される。第2の下部アーム68は、スリーブ20の第2の側部における下端部に隣接して固定される。第2の上部アーム68は、支柱14の第2の側の近くで上方に延びる細長い部材を備えた、第1の部分70と、支柱14の第2の側から離れるよう延びる細長い部材を備えた、第2の部分71と、を含む。第2の下部アーム69は、支柱14の第2の側から直接離れて延びた、細長い部材を備える。
【0044】
第2の上部及び下部アーム68及び69は、それらから外側に、支柱14に対して前方に延びたバネ部材50を含む。第2の側部パッド64は、第2の下部アーム69におけるバネ部材50の遠位端から、第2の上部アーム68におけるバネ部材50の遠位端まで延びた、細長い部材74に固定される。細長い部材74は、そこに固定された側部バッキングプレート53を含み、第2の側部パッド64を受ける。第2の側部パッド64は半円筒形状で、第2の側部パッド64の上端部が第3の中央パッド46の上端部に隣接するよう、かつ第2の側部パッド64の下端部が第2の中央パッド44の下端部に隣接するよう、配置される。
【0045】
第1及び第2の側部パッド62、64を支持する細長い部材74は、細長い部材74の上端部同士が下端部同士よりも離れるよう、角度が付けられる。したがって第1及び第2の側部パッド62及び64は、より良好にキックを受けるよう、それらの上端部同士が下端部同士よりも離れるように、垂直に対して僅かに角度が付けられる。側部パッド62は、パンチにも使用され得る。
【0046】
格闘技のトレーニングデバイス10は、下部パッド76も含む。下部パッド76は円筒形で、第2の中央パッド44の下側に隣接した上端部を含む。下部パッド76の下端部は、使用中に、概ね床に隣接して位置される。下部パッド76の長手方向軸は、下部パッド76の下端部が上端部よりも支柱14から離れて位置されるよう、支柱14に対して傾けられる。
【0047】
下部パッド76は、支持部材78によって支持される。支持部材78は、上部分80及び下部分81を有する細長い部材を備える。上部分80は、スリーブ20の下端部に隣接して固定された第1の端部を有する。上部分80の第1の端部は、スリーブ20から直接外側に延びたバネ部材50によって、スリーブ20の前方に支持される。上部分80は、バネ部材50の外側端部から前方かつ下方に延びる。下部分81は、使用中に概ね垂直となるよう、上部分80の第2の端部から下方に延びる。
【0048】
支持部材78の下部分81は、取付フレーム84によって支柱14の前方に支持されたブラケット82内に受け取られる。取付フレーム84は、支柱14から外側に延び、そこから外側に延びたバネ部材50を含む。ブラケット82は、バネ部材50の遠位端に固定され、かつリング83を備え、リング83を通して支持部材78の下部分81は受け入れられる。したがって支持部材78は、リング83内の下部分81の摺動運動によって、スリーブ20の動きに伴い上下に動く。
【0049】
下部パッド76は、支持部材78を受け入れ得るよう、その中に長手方向のスリットを含む。マジックテープ(登録商標)またはタブなどの固定手段は、スリットにわたって係合され、下部パッド76を支持部材78に対して固定し得る。
【0050】
使用中、格闘技のトレーニングデバイス10は、中央パッド42、44、及び46の前に立つ人によって使用され得る。ユーザは、第1、第2、及び第3の中央パッド42、44、46に、様々なコンビネーションのパンチを向け得る。右ブローは、一般的に第1、第2、及び第3の中央パッド42、44、及び46の右側に向けられ、左ブローは、第1、第2、及び第3の中央パッド42、44、及び46の左側に向けられることになる。右または左ブローのいずれかは、第1、第2、及び第3の中央パッド42、44、及び46の中央部分に向けられ得る。第1及び第2の側部パッド62及び64は、対戦者の体に向けられることになるタイプのキックのために使用され得る。側部パッド62及び64は、パンチにも使用され得る。下部パッド76は、対戦者の脚に向けられることになるキックのために使用され得る。
【0051】
第1の中央パッド42は、一般的にストレートパンチ及びフックのために使用されることになる。第2の中央パッド44は、ボディリップ、ストレート、及びプッシュキックのため、ならびに第3の中央パッドは、一般的にアッパーカット及びフックのために使用されることになる。第1の中央パッド42は、使用中に対戦者が頭部をかがめているところに相当し、第3の中央パッドは、対戦者が直立しているところに相当する。
【0052】
格闘技のトレーニングデバイス10の様々なパッドの配置は、連続したパンチ及びキックのコンビネーションを可能にし、パッドは、これらのコンビネーションを、デバイスを使用する人の体位置の限定された変化を伴い、自然な方法で放たれ得るように位置される。
【0053】
図4は、格闘技のトレーニングデバイス10の下部パッド76を取り付けるための、代替の実施形態を示す。この実施形態において、下部パッドは、V形状の横断面を有するように屈曲したプレートを備えた、下部バッキングプレート54に取り付けられる。下部バッキングプレート54は、支持部材78に取り付けられる。下部パッド76は、その後側に楔形状の凹部を含み、下部バッキングプレート54を受け入れる。下部パッド76は、共に接続された複数の楔形状セグメント87としても設けられ、下部パッド76を形成し得る(
図4aで確認できるように)。
【0054】
様々な変更及び改良が、本発明の基本的な発明コンセプトから逸脱することなく、すでに説明したものに加えて、前述の実施形態に対して成し得ることは、当業者には容易に明確になるであろう。