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特許7514037バッテリモジュールの保護スイッチに応用される駆動回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】バッテリモジュールの保護スイッチに応用される駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240703BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240703BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J7/00 S
H02J7/00 302D
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023041868
(22)【出願日】2023-03-16
(65)【公開番号】P2023183371
(43)【公開日】2023-12-27
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】111122291
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】509343390
【氏名又は名称】新盛力科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】張文帆
(72)【発明者】
【氏名】李俊傑
(72)【発明者】
【氏名】馬君▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】陳嘉璋
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第215498732(CN,U)
【文献】特開2000-224018(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0273470(US,A1)
【文献】特開2009-106039(JP,A)
【文献】特開平2-297614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリモジュールの保護スイッチに応用される駆動回路であって、前記バッテリモジュールは前記保護スイッチに接続され、前記バッテリモジュールは、前記保護スイッチのターンオン時に充電又は放電を行い、前記駆動回路は、
PWM信号によりターンオン又はターンオフが制御される反転スイッチ及び非反転スイッチ、
一端が前記反転スイッチ及び前記非反転スイッチとともに第1ノードに接続され、他端が第2ノードに接続される第1キャパシタ、
正極が前記バッテリモジュールのバッテリ総電圧に接続され、負極が前記第2ノードに接続される第1ダイオード、
正極が前記第2ノードに接続され、負極が第3ノードに接続される第2ダイオード、
一端が前記第3ノードに接続され、他端が前記バッテリ総電圧に接続されるエネルギー貯蔵装置、及び
トランジスタスイッチであって、第1端子が前記保護スイッチに接続され、第2端子が前記第3ノードに接続され、制御端子が前記バッテリ総電圧に接続される駆動スイッチ、を含み、
前記PWM信号がハイレベルのときには、前記反転スイッチがターンオフし、前記非反転スイッチがターンオンし、前記バッテリ総電圧が前記第1キャパシタに充電することで、前記第1キャパシタに蓄積電圧が形成され、前記PWM信号がローレベルのときには、前記反転スイッチがターンオンし、前記非反転スイッチがターンオフし、基準電圧が前記反転スイッチを介して前記第1ノードに接続されることで、前記基準電圧と前記蓄積電圧を重畳した重畳電圧が前記第2ノードに形成され、前記重畳電圧が前記バッテリ総電圧よりも高くなったときには、前記バッテリ総電圧よりも高いブースト電圧が前記エネルギー貯蔵装置に形成され、前記第1キャパシタが充電されて前記蓄積電圧が前記バッテリ総電圧と等しくなったときには、前記バッテリ総電圧と前記基準電圧を重畳した最終的なブースト電圧が前記エネルギー貯蔵装置に形成され、前記駆動スイッチがターンオンすると、前記最終的なブースト電圧が、前記駆動スイッチを通じて前記保護スイッチをターンオン駆動させる駆動回路。
【請求項2】
前記保護スイッチは、前記バッテリモジュールのハイサイドに設けられるNチャネル電界効果トランジスタである請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記駆動スイッチは、Pチャネル電界効果トランジスタ又はPNPトランジスタである請求項1に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記最終的なブースト電圧は、前記バッテリ総電圧と前記保護スイッチの閾値電圧との合計よりも高い請求項1に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記最終的なブースト電圧と前記バッテリ総電圧との電圧差が前記駆動スイッチの閾値電圧よりも大きいとき、前記駆動スイッチはターンオンする請求項1に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記反転スイッチは、第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチを含み、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチはいずれも前記トランジスタスイッチであり、前記第1スイッチの第1端子は前記基準電圧に接続され、第2端子はグランドに接続され、制御端子は前記PWM信号を受信し、前記第2スイッチの第1端子はグランドに接続され、第2端子は前記基準電圧に接続され、制御端子は前記第1スイッチの前記第1端子に接続され、前記第3スイッチの第1端子は前記第1ノードに接続され、第2端子は前記基準電圧に接続され、制御端子は前記第2スイッチの前記第1端子に接続され、前記PWM信号が前記ハイレベルのときには、前記第1スイッチがターンオンし、前記第2スイッチがターンオンし、前記第3スイッチがターンオフし、前記PWM信号が前記ローレベルのときには、前記第1スイッチがターンオフし、前記第2スイッチがターンオフし、前記第3スイッチがターンオンする請求項1に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記第1スイッチは、Nチャネル電界効果トランジスタ又はNPNトランジスタであり、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチは、それぞれ、Pチャネル電界効果トランジスタ又はPNPトランジスタである請求項6に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記非反転スイッチは前記トランジスタスイッチであり、前記非反転スイッチの第1端子は前記第1ノードに接続され、第2端子はグランドに接続され、制御端子は前記PWM信号を受信し、前記PWM信号が前記ハイレベルのとき、前記非反転スイッチはターンオンし、前記PWM信号が前記ローレベルのとき、前記非反転スイッチはターンオフする請求項1に記載の駆動回路。
【請求項9】
前記非反転スイッチは、Nチャネル電界効果トランジスタ又はNPNトランジスタである請求項8に記載の駆動回路。
【請求項10】
更に、電圧レギュレータを含み、前記電圧レギュレータは、前記バッテリ総電圧に接続され、且つ前記バッテリ総電圧を利用して前記基準電圧を調節する請求項1に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回路に関し、特に、バッテリモジュールの保護スイッチに応用される駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴って、様々な電子機器が次第に人々の生活にとって不可欠なツールとなっている。電子機器をいつでもどこでも使用できるよう、通常、多くの電子機器の内部にはバッテリモジュールが設置されている。電子機器は、バッテリモジュールから供給されるエネルギーによって動作する。
【0003】
バッテリモジュールの使用上の安全性のために、通常、バッテリモジュールは、ハイサイド(例えば、正極)に保護スイッチが装着されており、使用する電子機器に保護スイッチを介して電気的に接続される。バッテリモジュールに異常(例えば、過電流)又は不適切使用(例えば、バッテリの正極と負極の接続ミス)が発生した場合には、バッテリモジュールに異常又は不適切使用が発生したままで充電或いは放電が継続されることに伴うバッテリモジュールの被害を保護スイッチのターンオフ制御によって回避可能である。
【0004】
バッテリモジュールは、MOS電界効果トランジスタ(例えば、NMOS電界効果トランジスタ)を保護スイッチとしている。また、これまでのものは、通常、集積IC(例えば、ドライバIC)を使用して保護スイッチを駆動させている。集積ICは、保護スイッチのゲートに対し、バッテリモジュールのバッテリ総電圧よりも大きな制御信号を付与することで、保護スイッチをターンオン駆動させて、バッテリモジュールによる充放電動作を可能とする。
【0005】
一般的に、集積ICは一定の駆動電流しか供給しない。よって、集積ICが同時に複数の並列に接続された保護スイッチを駆動しようとする場合には、駆動力が明らかに不足する。また、バッテリモジュールの電気供給時間を増やすために、バッテリモジュールの内部に設置されるセルの数は多ければ多いほどよい。従って、市場のバッテリモジュールのバッテリ総電圧は100Vを超えることが多い。しかし、半導体材料の特性上の要因から、集積ICの駆動電圧には、例えば75Vといった乗り越え難い電圧限界が存在する。つまり、集積ICの駆動電圧はバッテリモジュールのバッテリ総電圧よりも低い場合が多く、結果として、バッテリモジュールの保護スイッチを駆動できなくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、バッテリモジュールのハイサイドにおける保護スイッチに応用され、且つ、反転スイッチ、非反転スイッチ、キャパシタ、エネルギー貯蔵装置及び駆動スイッチを含む駆動回路を提供する。駆動回路は、動作時に、PWM信号を利用して反転スイッチ及び非反転スイッチのターンオン又はターンオフを制御することで、キャパシタの充電プログラムを実行するか、基準電圧とキャパシタの蓄積電圧との重畳を実行する。そして、基準電圧とキャパシタの蓄積電圧を重畳した電圧がバッテリモジュールのバッテリ総電圧よりも大きくなったとき、エネルギー貯蔵装置においてバッテリ総電圧よりも高いブースト電圧が取得される。続いて、キャパシタが更に充電されて、蓄積電圧がバッテリ総電圧と等しくなったとき、エネルギー貯蔵装置において、バッテリ総電圧と基準電圧を重畳した最終的なブースト電圧が取得される。この最終的なブースト電圧は、バッテリ総電圧と保護スイッチの閾値電圧との合計よりも高くなる。その後、最終的なブースト電圧が、ゲート駆動電圧となって保護スイッチをターンオン駆動可能とする。
【0007】
本発明は、バッテリモジュールのバッテリ総電圧に保護スイッチの閾値電圧よりも高い基準電圧を重畳することで、重畳により得られるブースト電圧が、バッテリ総電圧と保護スイッチの閾値電圧との合計よりも常に高くなり得るようにする駆動回路を提供する。これにより、バッテリモジュールが超高圧のバッテリモジュールであったとしても、駆動回路は、適時に超高圧のゲート駆動電圧を供給して保護スイッチをターンオン駆動させられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的のために、本発明は、バッテリモジュールの保護スイッチに応用される駆動回路を提供する。バッテリモジュールは保護スイッチに接続される。バッテリモジュールは、保護スイッチのターンオン時に充電又は放電を行う。駆動回路は、PWM信号によりターンオン又はターンオフが制御される反転スイッチ及び非反転スイッチと、一端が反転スイッチ及び非反転スイッチとともに第1ノードに接続され、他端が第2ノードに接続される第1キャパシタと、正極がバッテリモジュールのバッテリ総電圧に接続され、負極が第2ノードに接続される第1ダイオードと、正極が第2ノードに接続され、負極が第3ノードに接続される第2ダイオードと、一端が第3ノードに接続され、他端がバッテリ総電圧に接続されるエネルギー貯蔵装置と、トランジスタスイッチであって、第1端子が保護スイッチに接続され、第2端子が第3ノードに接続され、制御端子がバッテリ総電圧に接続される駆動スイッチ、を含む。PWM信号がハイレベルのときには、反転スイッチがターンオフし、非反転スイッチがターンオンし、バッテリ総電圧が第1キャパシタに充電することで、第1キャパシタに蓄積電圧が形成される。PWM信号がローレベルのときには、反転スイッチがターンオンし、非反転スイッチがターンオフし、基準電圧が反転スイッチを介して第1ノードに接続されることで、基準電圧と蓄積電圧を重畳した重畳電圧が第2ノードに形成され、重畳電圧がバッテリ総電圧よりも高くなったときには、バッテリ総電圧よりも高いブースト電圧がエネルギー貯蔵装置に形成される。第1キャパシタが充電されて蓄積電圧がバッテリ総電圧と等しくなったときには、バッテリ総電圧と基準電圧を重畳した最終的なブースト電圧がエネルギー貯蔵装置に形成される。駆動スイッチがターンオンすると、最終的なブースト電圧が、駆動スイッチを通じて保護スイッチをターンオン駆動させる。
【0009】
本発明の一実施例において、保護スイッチは、バッテリモジュールのハイサイドに設けられるNチャネル電界効果トランジスタである。
【0010】
本発明の一実施例において、駆動スイッチは、Pチャネル電界効果トランジスタ又はPNPトランジスタである。
【0011】
本発明の一実施例において、最終的なブースト電圧は、バッテリ総電圧と保護スイッチの閾値電圧との合計よりも高い。
【0012】
本発明の一実施例において、最終的なブースト電圧とバッテリ総電圧との電圧差が駆動スイッチの閾値電圧よりも大きいとき、駆動スイッチはターンオンする。
【0013】
本発明の一実施例において、反転スイッチは、第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチを含む。第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチはいずれもトランジスタスイッチである。第1スイッチの第1端子は基準電圧に接続され、第2端子はグランドに接続され、制御端子はPWM信号を受信する。第2スイッチの第1端子はグランドに接続され、第2端子は基準電圧に接続され、制御端子は第1スイッチの第1端子に接続される。第3スイッチの第1端子は第1ノードに接続され、第2端子は基準電圧に接続され、制御端子は第2スイッチの第1端子に接続される。PWM信号がハイレベルのときには、第1スイッチがターンオンし、第2スイッチがターンオンし、第3スイッチがターンオフする。PWM信号がローレベルのときには、第1スイッチがターンオフし、第2スイッチがターンオフし、第3スイッチがターンオンする。
【0014】
本発明の一実施例において、第1スイッチは、Nチャネル電界効果トランジスタ又はNPNトランジスタであり、第2スイッチ及び第3スイッチは、それぞれ、Pチャネル電界効果トランジスタ又はPNPトランジスタである。
【0015】
本発明の一実施例において、非反転スイッチはトランジスタスイッチであり、非反転スイッチの第1端子は第1ノードに接続され、第2端子はグランドに接続され、制御端子はPWM信号を受信する。PWM信号がハイレベルのとき、非反転スイッチはターンオンし、PWM信号がローレベルのとき、非反転スイッチはターンオフする。
【0016】
本発明の一実施例において、非反転スイッチは、Nチャネル電界効果トランジスタ又はNPNトランジスタである。
【0017】
本発明の一実施例において、更に、電圧レギュレータを含む。電圧レギュレータは、バッテリ総電圧に接続され、且つバッテリ総電圧を利用して基準電圧を調節する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、PWM信号がハイレベルの際に本発明の駆動回路が動作する場合の概略回路図である。
図2図2は、PWM信号がローレベルの際に本発明の駆動回路が動作する場合の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び図2を参照する。これらは、それぞれ、PWM信号がハイレベルの際に本発明の駆動回路が動作する場合の概略回路図と、PWM信号がローレベルの際に本発明の駆動回路が動作する場合の概略回路図である。本発明の駆動回路は、バッテリモジュールの保護スイッチを開閉制御すべく、バッテリモジュールに応用される。まず、図1に示すように、バッテリモジュール100はカスケード接続される複数のセル11を含む。これらのセル11がカスケード接続されてバッテリ総電圧VBATを形成している。バッテリモジュール100の正極は正の入力/出力(Input+/Output+)101に接続され、負極は負の入力/出力(Input-/Output-)102に接続される。保護スイッチ13は、バッテリモジュール100のハイサイドに設けられる。例えば、保護スイッチ13は、正の入力/出力(Input+/Output+)101とバッテリモジュール100の正極との間に設けられる。本発明において、保護スイッチ13は、Nチャネル電界効果トランジスタ(例えば、NMOS電界効果トランジスタ)のようなトランジスタスイッチである。
【0020】
次に、駆動回路200は、反転スイッチ21、非反転スイッチ22、第1キャパシタ23、第1ダイオード24、第2ダイオード25、エネルギー貯蔵装置26及び駆動スイッチ27を含む。駆動回路200は、PWM信号201を受信し、PWM信号201を利用して反転スイッチ21及び非反転スイッチ22のターンオン又はターンオフを制御する。PWM信号201は、バッテリ管理システム(BMS)又はバッテリ管理チップにより生成可能である。PWM信号201がハイレベルのとき、反転スイッチ21はターンオフし、非反転スイッチ22はターンオンする。また、PWM信号201がローレベルのとき、反転スイッチ21はターンオンし、非反転スイッチ22はターンオフする。
【0021】
更に、反転スイッチ21は、第1スイッチ211、第2スイッチ212及び第3スイッチ213を含む。第1スイッチ211、第2スイッチ212及び第3スイッチ213はいずれもトランジスタスイッチである。第1スイッチ211は、Nチャネル電界効果トランジスタ又はNPNトランジスタとしてもよく、第2スイッチ212及び第3スイッチ213は、Pチャネル電界効果トランジスタ(例えば、PMOS電界効果トランジスタ)又はPNPトランジスタとしてもよい。第1スイッチ211の第1端子(ドレイン又はコレクタ)は基準電圧VREFに接続され、第2端子(ソース又はエミッタ)はグランドに接続され、制御端子(ゲート又はベース)は第1抵抗R1を通じてPWM信号201を受信する。第2スイッチ212の第1端子(ドレイン又はコレクタ)は第2抵抗R2を介してグランドに接続され、第2端子(ソース又はエミッタ)は基準電圧VREFに接続される。また、制御端子(ゲート又はベース)は、第3抵抗R3を介して第1スイッチ211の第1端子に接続され、第4抵抗R4を介して第2スイッチ212の第2端子に接続される。第3スイッチ213の第1端子(ドレイン又はコレクタ)は第5抵抗R5を介して第1ノード281に接続され、第2端子(ソース又はエミッタ)は第6抵抗R6を介して基準電圧VREFに接続され、制御端子(ゲート又はベース)は第2スイッチ212の第1端子に接続される。
【0022】
また、非反転スイッチ22は単一のトランジスタスイッチであり、Nチャネル電界効果トランジスタ又はNPNトランジスタとしてもよい。非反転スイッチ22の第1端子(ドレイン又はコレクタ)は第7抵抗R7を介して第1ノード281に接続され、第2端子(ソース又はエミッタ)はグランドに接続され、制御端子(ゲート又はベース)は、第8抵抗R8を通じてPWM信号210を受信する。
【0023】
続いて、第1キャパシタ23の一端は、反転スイッチ21及び非反転スイッチ22とともに第1ノード281に接続され、他端は第2ノード282に接続される。第1ダイオード24の正極はバッテリモジュール100のバッテリ総電圧VBATに接続され、負極は第2ノード282に接続される。第2ダイオード25の正極は第2ノード282に接続され、負極は第3ノード283に接続される。エネルギー貯蔵装置26は、少なくとも1つのキャパシタで構成されるとともに、一端が第3ノード283に接続され、他端がバッテリ総電圧VBATに接続される。駆動スイッチ27もまたトランジスタスイッチであり、例えば、Pチャネル電界効果トランジスタ又はPNPトランジスタである。駆動スイッチ27の第1端子(ドレイン又はコレクタ)は保護スイッチ13に接続され、第2端子(ソース又はエミッタ)は第3ノード283に接続され、制御端子(ゲート又はベース)はバッテリ総電圧VBATに接続される。そのほか、駆動回路200は、更に、例えば電圧コンバータといった電圧レギュレータ29を含む。電圧レギュレータ29は、バッテリモジュール100に接続され(図示しない)、バッテリモジュール100のバッテリ総電圧VBATを利用して基準電圧VREFを調節する。例えば、電圧レギュレータ29は、100V以上のバッテリ総電圧VBATを12Vの基準電圧VREFに調節する。本発明では、基準電圧VREFは、保護スイッチ13の閾値電圧VTH(例えば、VGS)以上である。
【0024】
具体的に、駆動回路200は、動作時にPWM信号201を受信する。図1に示すように、PWM信号201がハイレベルのときには、反転スイッチ21の第1スイッチ211がターンオンし、第2スイッチ212がターンオンし、第3スイッチ213がターンオフし、非反転スイッチ22がターンオンし、バッテリ総電圧VBATが第1キャパシタ23に充電することで、第1キャパシタ23に蓄電により蓄積電圧Vが形成される。図2に示すように、PWM信号201がローレベルのときには、反転スイッチ21の第1スイッチ211がターンオフし、第2スイッチ212がターンオフし、第3スイッチ213がターンオンし、非反転スイッチ22がターンオフする。これにより、基準電圧VREFが、ターンオンした第3スイッチ213を介して第1ノード281に電気的に接続されることで、蓄積電圧Vと基準電圧VREFを重畳した電圧V=V+VREFが第2ノード282に形成される。
【0025】
そして、PWM信号201がハイレベルとローレベルの切り替えを繰り返し行い、第1キャパシタ23がバッテリ総電圧VBATによって充電され続ける。これにより、第2ノード282における重畳電圧Vがバッテリ総電圧VBATよりも高くなったとき、エネルギー貯蔵装置26にブースト電圧V=V+VREFが形成される。
【0026】
PWM信号201が引き続きハイレベルとローレベルの切り替えを繰り返し行い、第1キャパシタ23がバッテリ総電圧VBATによって充電され続けることで、第1キャパシタ23に形成される蓄積電圧Vはバッテリ総電圧VBATと等しくなる。すると、バッテリ総電圧VBATと等しい当該蓄積電圧V=VBATに基準電圧VREFが重畳されることで、第2ノード282に重畳電圧V=VBAT+VREFが形成される。そして、エネルギー貯蔵装置26に、最終的なブースト電圧VBF=VBAT+VREFが形成される。
【0027】
最終的なブースト電圧VBF=VBAT+VREFがエネルギー貯蔵装置26に形成されたあと、最終的なブースト電圧VBF=VBAT+VREFとバッテリ総電圧VBATとの電圧差V=VREFが駆動スイッチ27の閾値電圧VTH(例えば、VSG)よりも大きくなることで、駆動スイッチ27がターンオン駆動される。その後、最終的なブースト電圧VBF=VBAT+VREFが保護スイッチ13のゲート駆動電圧となることで、駆動スイッチ27により保護スイッチ13がターンオン駆動される。
【0028】
よって、本発明の駆動回路200は、PWM信号201によりスイッチ21,22のターンオン又はターンオフを制御することで、第1キャパシタ23の充電、又は、基準電圧VREFと第1キャパシタ23の蓄積電圧Vとの重畳を実行する。そして、基準電圧VREFと第1キャパシタ23の蓄積電圧Vを重畳した電圧Vがバッテリ総電圧VBATよりも大きくなったとき、エネルギー貯蔵装置26においてバッテリ総電圧VBATよりも高いブースト電圧Vが取得される。続いて、第1キャパシタ23が更に充電されて、蓄積電圧Vがバッテリ総電圧VBATと等しくなったとき、エネルギー貯蔵装置26において、バッテリ総電圧VBATと基準電圧VREFを重畳した最終的なブースト電圧VBFが取得される。この最終的なブースト電圧VBFは、バッテリ総電圧VBATと保護スイッチ13の閾値電圧VTHとの合計よりも高くなる。これにより、最終的なブースト電圧VBFが、ゲート駆動電圧となって保護スイッチ13をターンオン駆動可能とする。
【0029】
このように実施することで、本発明における駆動回路200の回路設計では、バッテリ総電圧VBATをベースに、保護スイッチ13の閾値電圧VTHよりも高い基準電圧VREFを更に重畳することで、重畳により得られる最終的なブースト電圧VBFがバッテリ総電圧VBATと保護スイッチ13の閾値電圧VTHとの合計よりも常に高くなるようにする。よって、バッテリモジュール100が超高圧のバッテリモジュール100であったとしても、本発明の駆動回路200は、適時に超高圧のゲート駆動電圧を供給して保護スイッチ13をターンオン駆動させられる。
【0030】
加えて、本発明の好ましい実施例において、第1キャパシタ23及びエネルギー貯蔵装置26には、大容量のキャパシタを蓄電素子として選択してもよく、反転スイッチ21及び非反転スイッチ22には、耐圧性の高いトランジスタをスイッチング素子として選択してもよい。これにより、本発明の駆動回路200を高圧のバッテリモジュール100における保護スイッチ13の駆動に応用可能となる。
【0031】
以上の記載は本発明の一実施例にすぎず、本発明の実施範囲を限定するものではない。即ち、本発明の特許請求の範囲に記載する形状、構造、特徴及び精神に基づきなされる等価の変形及び改変は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0032】
100 バッテリモジュール
101 正の入力/出力
102 負の入力/出力
11 セル
13 保護スイッチ
200 駆動回路
201 PWM信号
21 反転スイッチ
211 第1スイッチ
212 第2スイッチ
213 第3スイッチ
22 非反転スイッチ
23 第1キャパシタ
24 第1ダイオード
25 第2ダイオード
26 エネルギー貯蔵装置
27 駆動スイッチ
281 第1ノード
282 第2ノード
283 第3ノード
29 電圧レギュレータ
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
R3 第3抵抗
R4 第4抵抗
R5 第5抵抗
R6 第6抵抗
R7 第7抵抗
R8 第8抵抗
図1
図2