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特許7514047ケーブルの接続構造、ケーブルの接続方法及び接続キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ケーブルの接続構造、ケーブルの接続方法及び接続キット
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/18 20060101AFI20240703BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20240703BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20240703BHJP
   H01R 4/22 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H02G15/18
H02G1/14
H01R43/00 Z
H01R4/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023192846
(22)【出願日】2023-11-13
【審査請求日】2023-11-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523428925
【氏名又は名称】静和通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】浅野 三千雄
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-55278(JP,A)
【文献】特開2001-231123(JP,A)
【文献】特開2007-165235(JP,A)
【文献】特開2022-103987(JP,A)
【文献】特開2022-188575(JP,A)
【文献】特開昭54-100747(JP,A)
【文献】特開2022-63072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/18
H02G 1/14
H01R 43/00
H01R 4/22
H01B 9/00
H01B 11/00
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、前記第1の方向とは逆の方向である第2の方向に前記輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブル接続構造であって、
前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルの端部に取り付けられるケーブル接続部と、
前記ケーブル接続部を収納する筒状部材であって、前記筒状部材は、前記ケーブル接続部の端部側の端部が閉口されており、他方の端部が開口されている、筒状部材と、
前記筒状部材の開口されている前記他方の端部を封止するシーリング部材と、
少なくとも前記筒状部材の前記他方の端部及び前記シーリング部材を被覆する常温収縮チューブと、
を備えるケーブル接続構造。
【請求項2】
第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、前記第1の方向とは逆の方向である第2の方向に前記輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブル接続方法であって、
前記第1のケーブルと、前記第2のケーブルとを接続し、ケーブル接続部を形成する第1工程と、
一方の端部が閉口されており、他方の端部が開口されている筒状部材に、前記ケーブル接続部を挿入し、前記筒状部材の開口部と前記ケーブル接続部との間の間隙をシーリング部材により封止する第2工程と、
前記筒状部材の前記他方の端部及び前記シーリング部材を、常温収縮チューブにより被覆する第3工程と、
を含む、ケーブル接続方法。
【請求項3】
前記第1のケーブルは、第1のケーブル導体と、前記第1のケーブル導体の周囲に配置された第1のケーブル絶縁体と、前記第1のケーブル絶縁体の周囲に配置された第1のケーブル保護シースとを有し、前記第2のケーブルは、第2のケーブル導体と、前記第2のケーブル導体の周囲に配置された第2のケーブル絶縁体と、前記第2のケーブル絶縁体の周囲に配置された第2のケーブル保護シースとを有し、
前記第1工程は、前記第1のケーブル絶縁体及び前記第2のケーブル絶縁体を、各々、前記第1のケーブル保護シース及び前記第2のケーブル保護シースから露出させる工程と、前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルの端部を把握して牽引可能に保持するケーブルグリップを取り付ける工程と、前記ケーブルグリップを前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルに固定する工程と、前記第1のケーブル導体と前記第2のケーブル導体とを接続する工程とを有する、
請求項2に記載のケーブル接続方法。
【請求項4】
前記常温収縮チューブは、拡径可能な円筒状の筒状弾性体を有し、前記筒状弾性体の内部に挿入されたインナーコアによって、前記筒状弾性体の開口端部が拡径保持されており、
前記インナーコアは、前記筒状弾性体の開口端部の内径よりも大きい外径を有する円筒状のインナーコア本体と、前記インナーコア本体の中心軸方向一端部に取り付けられてなる把持部とを備え、
前記第3工程は、前記筒状部材及び前記ケーブル接続部を前記インナーコアに挿入する工程と、前記常温収縮チューブの位置合わせをする工程と、前記把持部を介して前記インナーコアを前記常温収縮チューブから取り外す工程と、を有する、
請求項2に記載のケーブル接続方法。
【請求項5】
第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、前記第1の方向とは逆の方向である第2の方向に前記輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブル接続方法であって、前記第1のケーブルと、前記第2のケーブルとを接続し、ケーブル接続部を形成する第1工程と、一方の端部が閉口されており、他方の端部が開口されている筒状部材に、前記ケーブル接続部を挿入し、前記筒状部材の開口部と前記ケーブル接続部との間の間隙をシーリング部材により封止する第2工程と、前記筒状部材の前記他方の端部及び前記シーリング部材を、常温収縮チューブにより被覆する第3工程と、を含む、ケーブル接続方法を実施するためのケーブル接続キットであって、
前記筒状部材と、前記シーリング部材と、前記常温収縮チューブとを有し、前記常温収縮チューブは、拡径可能な円筒状の筒状弾性体を有し、前記筒状弾性体の内部に挿入されたインナーコアによって、前記筒状弾性体の開口端部が拡径保持されている、ケーブル接続キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルや通信ケーブル等のケーブルの接続構造、ケーブルの接続方法及び接続キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電力ケーブルや通信ケーブルの接続構造としては、種々様々なものが知られている。例えば電力ケーブルにおいては、電力供給における高信頼性を確保するために、ケーブル本体のみならずケーブル接続構造にも高い遮水性能、密閉性能、耐漏電性能が要求される。そのため、ケーブル接続部の絶縁補強体上に設けられる防水保護層として、ゴムやプラスチックからなる熱収縮チューブが使用されている。
【0003】
しかしながら、熱収縮チューブは、これをケーブル接続部等の上に被せて収縮させるために、熱源が必要である。そのため、狭い場所では、熱源の使用が制限されることがある。また、防水保護の対象物の外径が大きい場合には、熱収縮チューブの収縮に時間がかかるという問題点があった。さらに、熱収縮チューブを均等に加熱することが容易でないため、チューブの収縮開始時間及び収縮速度が不揃いになり易いという問題点があった。
【0004】
上記問題点を解決するために、遮水性能、密閉性能、耐漏電性能を有する常温収縮型チューブが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-231150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、常温収縮型チューブを使用した接続方法は、2本のケーブルの端部同士を接続して1本の連結したケーブル群を形成する直線接続構造、2本のケーブルと、1本のケーブルとを接続部を介して接続される分岐接続構造に適用されたものである。そのため、第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、第1の方向とは逆の方向である第2の方向に輸送対象を送る第2のケーブルとを接続する接続構造においては、依然として熱収縮チューブが使用されている。
【0007】
そこで、本発明は、常温収縮型チューブを使用した、第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、第1の方向とは逆の方向である第2の方向に輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブルの接続構造、ケーブルの接続方法及び接続材料を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のケーブルの接続構造は、
第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、前記第1の方向とは逆の方向である第2の方向に前記輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブル接続構造であって、
前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルの端部に取り付けられるケーブル接続部と、
前記ケーブル接続部を収納する筒状部材であって、前記筒状部材は、前記ケーブル接続部の端部側の端部が閉口されており、他方の端部が開口されている、筒状部材と、
前記筒状部材の開口されている前記他方の端部をシールするシーリング部材と、
少なくとも前記筒状部材の前記他方の端部及び前記シーリング部材を被覆する常温収縮チューブと、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によると、常温収縮型チューブを使用した、第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、第1の方向とは逆の方向である第2の方向に輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブルの接続構造、ケーブルの接続方法及び接続キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るケーブル接続キットの一例の概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係るケーブル接続構造における各構成要素の配置を説明するための概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係るケーブル接続方法の一例のフロー図である。
図4】本発明の一実施形態に係るケーブル接続構造の一例の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係るケーブル接続構造、ケーブル接続方法及びケーブル接続キットについて、図を参照して説明する。
【0012】
本明細書におけるケーブルとは、ケーブル導体の周囲にケーブル絶縁体によって絶縁を施した1本乃至複数本の絶縁電線の周囲にケーブル保護シース(保護外被覆、シースとも呼ぶことがある)が配置された電線を指す。また、本ケーブルの輸送対象(伝送対象)は、電力であっても電気信号であっても良い。
【0013】
また、本実施形態に係るケーブル接続構造、ケーブル接続方法及びケーブル接続キットは、第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、第1の方向とは逆の方向である第2の方向に輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブル接続構造、ケーブル接続方法及びケーブル接続キットである。なお、当然ではあるが、第1のケーブル及び第2のケーブルは、各々、1つのケーブルであっても良いが、複数のケーブル群であっても良い。
【0014】
(ケーブル接続キット)
先ずは、図1を参照して、本実施形態にかかるケーブル接続方法を実施する際の、ケーブル接続キットについて説明する。図1に、本発明の一実施形態に係るケーブル接続キットの一例の概略図を示す。また、図2に、本発明の一実施形態に係るケーブル接続構造における各構成要素の配置を説明するための概略図を示す。なお、本実施形態においては、第1のケーブル150及び第2のケーブル160を接続するケーブル接続構造について説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るケーブル接続キット100は、一方の端部112が閉口されている又は塞がれており、他方の端部114が開口されている筒状部材110を有する。なお、筒状部材110は、図1に示すような円筒形状であっても良いが、紡錘形状等の他の形状であっても良い。
【0016】
筒状部材110は、通常、電気絶縁性を有する材料から形成され、例えば、ケーブル接続における公知の端末キャップを使用することができる。他にも、例えば、円筒形の筒状部材を、一方の端部を公知の蓋状部材で塞いだもの等を使用することができる。
【0017】
また、本実施形態に係るケーブル接続キット100は、常温収縮チューブ120を有する。常温収縮チューブ120とは、チューブを高温に加熱することで収縮を起こさせる熱収縮チューブに対し、常温の状態で加熱することなくチューブを収縮させることができるものを指す。別の言い方をすると、常温収縮チューブ120は、拡径保持した状態から元の寸法に近い状態に復元する特性を有するチューブである。
【0018】
そのため、本実施形態に係るケーブル接続キット100における常温収縮チューブ120は、拡径可能な円筒状の筒状弾性体122を有し、この筒状弾性体122の内部に挿入されたインナーコア124によって、筒状弾性体122の開口端部が拡径保持されている。
【0019】
使用できる常温収縮チューブとしては、電気絶縁性を有していれば特に制限はなく、シリコーンゴム、エチレン・プロピレンゴム等が挙げられる。
【0020】
なお、本実施形態において、インナーコア124の内径は、筒状部材110の外径よりも大きいものが使用される。
【0021】
インナーコア124は、インナーコア124のリードである把持部126と一体的に形成されており、把持部126を引っ張ることで、インナーコア124を筒状弾性体122から引き抜くことができる。
【0022】
また、本実施形態に係るケーブル接続キット100は、シーリング部材130を有する。シーリング部材130は、筒状部材110の開口部116とケーブルとの間の間隙を封止するための部材である。
【0023】
シーリング部材130の具体例としては、電気絶縁性を有していれば特に限定されないが、電気絶縁性を有するパテ等を好適に使用することができる。
【0024】
(ケーブル接続方法及びケーブル接続構造)
次に、図1を参照して説明したケーブル接続キットを用いた、ケーブル接続方法及びケーブル接続構造について、図3及び図4を参照して説明する。
【0025】
図3に、本発明の一実施形態に係るケーブル接続方法の一例のフロー図を示し、図4に、本発明の一実施形態に係るケーブル接続構造の一例の写真を示す。
【0026】
上述の通り、本実施形態に係るケーブル接続方法は、第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、第1の方向とは逆の方向である第2の方向に輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブル接続方法である。
【0027】
図2に示す通り、本実施形態に係るケーブル接続方法は、第1のケーブルと、前記第2のケーブルとを接続し、ケーブル接続部を形成する第1工程(S200)と、一方の端部が閉口されており、他方の端部が開口されている筒状部材に、前記ケーブル接続部を挿入し、前記開口部と前記ケーブル接続部との間の間隙をシーリング部材により封止する第2工程(S220)と、前記筒状部材の前記他方の端部及び前記シーリング部材を、常温収縮チューブにより被覆する第3工程(S240)と、を含む。各々の工程について、下記に詳細に説明する。
【0028】
第1の工程S200は、第1のケーブルと、前記第2のケーブルとを接続し、ケーブル接続部を形成する工程であり、別の言い方をすると、接続対象のケーブル導体(接続対象芯線)同士を接続する工程である。
【0029】
本実施形態に係る第1の工程S200、第2の工程S220及び第3の工程S240の具体例について、第1のケーブルと第2のケーブルとを接続する場合について説明する。第1のケーブルは、第1のケーブル導体と、第1のケーブル導体の周囲に配置された第1のケーブル絶縁体と、第1のケーブル絶縁体の周囲に配置された第1のケーブル保護シースとを有し、第2のケーブルは、第2のケーブル導体と、第2のケーブル導体の周囲に配置された第2のケーブル絶縁体と、第2のケーブル絶縁体の周囲に配置された第2のケーブル保護シースとを有する。
【0030】
先ず、第1のケーブル保護シース及び第2のケーブル保護シースを剥き、各々、第1のケーブル絶縁体及び第2のケーブル絶縁体を露出させる。限定はされないが、通常、各々のケーブル保護シースは、約10cm~12cm程度剥き、ケーブル絶縁体を露出させる。
【0031】
次に、第1のケーブル及び第2のケーブルにケーブルグリップ(アミソ、アミソウ、編組と呼ぶことがある)を取り付けることが好ましい。ケーブルグリップを使用することで、各々のケーブル導体がどの役割を果たすかを記録すると共に、ケーブル端部を把握して牽引可能に保持することができる。ケーブルグリップを使用する場合、通常、ケーブルグリップの口元(開口端部側)は、テープ等の公知の固定手段により、第1のケーブル及び第2のケーブルに固定することが好ましい。
【0032】
そして、第1のケーブル導体と第2のケーブル導体とを接続(接続対象のケーブル導体同士の接続)を実施してケーブル接続部を形成させることで、第1工程S200を終了する。ケーブル導体の接続は、公知のコネクタを使用することができ、本実施形態においては、Scotchlok(登録商標)UYコネクタを使用して接続した。
【0033】
第2の工程(S220)は、図1を参照して説明した筒状部材110を使用して、ケーブル接続部を保護する工程である。
【0034】
本実施形態に係る第2の工程S220の具体例について、第1のケーブルと第2のケーブルとを接続する場合について説明する。
【0035】
前述の通り、筒状部材110は、一方の端部112が閉口されており、他方の端部114が開口されている。この開口している他方の端部114側から、ケーブル接続部を挿入する。そして、他方の端部114の開口部とケーブル接続部との間の間隙をシーリング部材130により封止して、第2工程S220を終了する。
【0036】
第3の工程(S240)は、図1を参照して説明した常温収縮チューブ120を使用して、筒状部材110の他方の端部114及びシーリング部材130を保護する工程である。
【0037】
本実施形態に係る第3の工程S240の具体例について、拡径可能な円筒状の筒状弾性体122と、筒状弾性体122の内部に挿入されたインナーコア124とを有する常温収縮チューブを使用する場合について説明する。また、インナーコア124は、このインナーコア124のリードとなる把持部126と一体的に形成されている。
【0038】
第3の工程(S240)では、先ず、筒状部材110及びケーブル接続部を、インナーコア124に挿入する。そして、常温収縮チューブ120の位置合わせを行う。常温収縮チューブ120の位置は、常温収縮チューブ120の筒状弾性体122が、筒状部材110の他方の端部114を含む少なくとも一部及びシーリング部材130を覆う位置となるようにする。そして、把持部126を引くことで、インナーコア124を筒状弾性体122(常温収縮チューブ120)から取り外して、第3の工程(S240)を終了する。
【0039】
なお、本実施形態に係るケーブル接続構造を解体する場合、公知の刃物(例えば、ナイフ)等を使用して、常温収縮チューブ120の軸方向の一端部から他端部へと切り込みを入れることで、容易に常温収縮チューブ120を取り外すことができる。なお、再接続の際には、新しい常温収縮チューブを使用することで再接続して繰り返し組み立てが可能である。
【0040】
(実施例)
上記のケーブル接続方法によりケーブル接続構造を形成した。なお、使用した材料としては、下記のものを使用した。
筒状部材110:硬質ポリ塩化ビニル管 VP管サイズ30(株式会社クボタケミックス製)の一方の端部をポリ塩化ビニル閉塞キャップ TSキャップ サイズ30(株式会社クボタケミックス製)で塞いだもの;
ケーブル導体の接続:スコッチロックUYコネクター(Corning International k.k.製);
シーリング部材130:ネオシール・プラシール(日東化成工業株式会社製);
常温収縮チューブ120:常温収縮チューブ を半分に分割したもの(デンカエレクトロン株式会社製)を半分に分割したもの;
を使用した。
形成したケーブル接続構造をバケツ内に入れ、筒状部材及び常温収縮チューブが水没するようにバケツ内に水を入れ、1週間の間水没させた。
【0041】
250Vの絶縁抵抗計(MY-10、横河電機株式会社製)を使用し、バケツ内の水とケーブルのケーブル導体(芯線、水没していない)との間で測定したところ、測定値は50MΩ以上であり、絶縁不良が発生していないことがわかった。また、同様に、ケーブルのケーブル導体間で同様に測定したところ、測定値は50MΩ以上であり、絶縁不良が発生していないことがわかった。さらに、同様に、一部のケーブル導体を水没させ、水没していないケーブル導体間で同様の測定したところ、測定値は0Ω(絶縁不良)であり、漏電の発生が懸念される場合においても、正常に確認できることを確認した。
【0042】
これにより、本実施形態に係るケーブル接続方法を使用することで、漏電なくケーブル接続できることがわかった。
【0043】
また、ケーブル接続構造をバケツから取り外し、上述の方法により常温収縮チューブを取り外し、筒状構造を取り外すことでケーブル接続構造を解体した。ケーブル接続体を目視により浸水状態を確認したが、浸水は見受けられなかった。
【0044】
これにより、本実施形態に係るケーブル接続方法を使用することで、浸水なくケーブル接続できることがわかった。
【0045】
以上、本実施形態に係るケーブル接続構造は、
第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、前記第1の方向とは逆の方向である第2の方向に前記輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブル接続構造であって、
前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルの端部に取り付けられるケーブル接続部と、
前記ケーブル接続部を収納する筒状部材であって、前記筒状部材は、前記ケーブル接続部の端部側の端部が閉口されており、他方の端部が開口されている、筒状部材と、
前記筒状部材の開口されている前記他方の端部を封止するシーリング部材と、
少なくとも前記筒状部材の前記他方の端部及び前記シーリング部材を被覆する常温収縮チューブと、を備える。
【0046】
本実施形態に係るケーブル接続構造は、従来の熱収縮チューブを使用したケーブル接続構造と比較して、接続に必要な材料も少なく、また、十分な漏電性、密閉性及び防水性を確保することができる。
【0047】
また、本実施形態に係るケーブル接続方法は、
第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、前記第1の方向とは逆の方向である第2の方向に前記輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブル接続方法であって、
前記第1のケーブルと、前記第2のケーブルとを接続し、ケーブル接続部を形成する第1工程と、
一方の端部が閉口されており、他方の端部が開口されている筒状部材に、前記ケーブル接続部を挿入し、前記筒状部材の開口部と前記ケーブル接続部との間の間隙をシーリング部材により封止する第2工程と、
前記筒状部材の前記他方の端部及び前記シーリング部材を、常温収縮チューブにより被覆する第3工程と、
を含む。
【0048】
本実施形態に係るケーブル接続方法は、従来の熱収縮チューブを使用した接続方法と比較して、接続時に火器を使用せずに接続できるため、安全で、ケーブルやケーブル導体を傷つける恐れがなく、かつ、十分な十分な漏電性、密閉性及び防水性を確保することができる接続方法である。また、従来の熱収縮チューブを使用した接続方法と比較して、作業工程も少なく、接続時の作業時間を大幅に短縮することができる。
【0049】
また、本実施形態に係るケーブル接続方法は、従来の熱収縮チューブを使用した接続方法と比較して、接続時に接着剤等を使用する必要がない。従来の熱収縮チューブを使用した接続方法では、接着剤を使用するため、解体にも大変な手間がかかる上、特に月日の経過とともに、接着剤が固着するという問題点があった。また、解体時にケーブルやケーブル導体を傷つけることがあるという問題点があった。一方、実施形態に係るケーブル接続方法は、接続時に接着剤等を使用する必要がないため、解体も容易であり、常温収縮チューブに切り込みを入れるだけで取り外すことが可能であるため、ケーブルやケーブル導体を傷つける恐れがない。
【0050】
さらに、従来の熱収縮チューブを使用した接続方法は、再接続に関して、解体の際にケーブルサポートまで切り込みを入れて解体するため、再接続の際にケーブルサポートに改めてケーブルを通すため、接続したケーブル導体をすべて切り離す必要があった。そのため、接続する際には、必ず通信断が発生するという問題があった。一方、本実施形態に係るケーブル接続方法は、接続箇所を切り離す必要がなく、常温収縮チューブを交換することで再接続が可能であり、繰り返し組み立てが可能である。
【符号の説明】
【0051】
100 ケーブル接続キット
110 筒状部材
112 一方の端部
114 他方の端部
116 開口部
120 常温収縮チューブ
122 筒状弾性体
124 インナーコア
126 把持部
130 シーリング部材
140 第1のケーブル
150 第2のケーブル
S200 第1工程
S220 第2工程
S240 第3工程
【要約】
【課題】常温収縮型チューブを使用した、第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、第1の方向とは逆の方向である第2の方向に輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブルの接続構造、ケーブルの接続方法及び接続キットを提供する。
【解決手段】 第1の方向に輸送対象を送る第1のケーブルと、前記第1の方向とは逆の方向である第2の方向に前記輸送対象を送る第2のケーブルとを接続するケーブル接続構造であって、前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルの端部に取り付けられるケーブル接続部と、前記ケーブル接続部を収納する筒状部材であって、前記筒状部材は、前記ケーブル接続部の端部側の端部が閉口されており、他方の端部が開口されている、筒状部材と、前記筒状部材の開口されている前記他方の端部をシールするシーリング部材と、少なくとも前記筒状部材の前記他方の端部及び前記シーリング部材を被覆する常温収縮チューブと、を備えるケーブル接続構造。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4