(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】イオン的に親水化されたポリイソシアネートおよび酸化防止剤
(51)【国際特許分類】
C08G 18/08 20060101AFI20240703BHJP
C08G 18/38 20060101ALI20240703BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20240703BHJP
C08G 18/79 20060101ALI20240703BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C08G18/08 019
C08G18/08 038
C08G18/38 057
C08G18/38 076
C08G18/48
C08G18/79
C09D175/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019081538
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2022-04-20
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ヨゼフ・ラース
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-533566(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106366291(CN,A)
【文献】米国特許第02957903(US,A)
【文献】米国特許第03715381(US,A)
【文献】米国特許第04064157(US,A)
【文献】独国特許出願公開第19630903(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G,C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホネート基を含有するポリイソシアネートを製造する方法であって、
A)脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族結合したイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネート成分と、
B)少なくとも1つのメルカプト基またはアミノ基を有し、1または複数のスルホン酸基および/またはスルホネート基を含み、前記スルホン酸基が、A)とB)との反応中および/またはその後に少なくとも部分的に中和される少なくとも1種の有機化合物と、および任意選択的に
C)イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有するさらなる非イオン性の親水性または疎水性の有機化合物と、
の反応を含み、
ポリイソシアネート成分A)と有機化合物B)との反応が、少なくとも1種の酸化防止剤D)の存在下で行われ、
前記有機化合物B)が、一般式(II)のアミノ官能性スルホン酸
【化1】
(式中、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、1~8個の炭素原子を有する飽和の、直鎖または分枝の脂肪族または脂環式有機基であり、これらは互いに組み合わさって脂環式環を形成していてもよく、R
6は2~6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の脂肪族基である)
および/またはそれらの塩であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ポリイソシアネート成分A)が、イソシアネート基として脂肪族および/または脂環式結合したイソシアネート基のみを有する、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有するポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機化合物B)が、2-イソプロピルアミノエタン-1-スルホン酸、3-イソプロピルアミノプロパン-1-スルホン酸、4-イソプロピルアミノブタン-1-スルホン酸、2-シクロヘキシルアミノエタン-1-スルホン酸、3-シクロヘキシルアミノプロパン-1-スルホン酸、および/または4-シクロヘキシルアミノブタン-1-スルホン酸および/またはそれらの塩であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機化合物B)が、少なくとも20モル%の範囲で、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジエチルメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジンおよび/またはN-エチルモルホリンによりスルホネート基の形態に中和されて存在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記非イオン性の親水性または疎水性の有機化合物C)が、純粋なポリエチレンオキシドポリエーテルアルコールおよび/またはアルキレンオキシド単位が少なくとも70モル%程度のエチレンオキシド単位で構成される混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコール、および/またはいずれの場合も少なくとも8個の炭素原子を有する脂肪族アルコールまたは脂肪酸エステルアルコールであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化防止剤D)が、ラジカルスカベンジャーおよび/または過酸化物分解剤であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化防止剤D)が、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と脂肪族分枝C
7-~C
9-アルコールとのエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートおよび/またはチオジエチルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化防止剤D)が、単独、および互いに任意の組み合わせで、出発ポリイソシアネートA)の量に基づいて、使用される酸化防止剤の総量として計算して0.001~3.0重量%の量で使用されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリウレタンプラスチックの製造における出発成分としての、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法によって得られたスルホネート基を含有するポリイソシアネートの使用。
【請求項10】
コーティング組成物の製造方法であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法によって得られたスルホネート基を含有するポリイソシアネートを
配合することを含むコーティング組成物
の製造方法。
【請求項11】
コーティングされた基材の製造方法であって、請求項10に記載の方法によって得られたコーティング組成物で基材をコーティングすることを含み、熱の作用によって
当該コーティング組成物を硬化さ
せることを含んでいてもよい
、コーティングされた基材
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホネート基を含有するポリイソシアネートの製造方法、前記方法により得ることができる、または得られるスルホネート基を含有するポリイソシアネート、およびポリウレタンプラスチックを製造するためのこれらの使用に関する。本発明はさらに、スルホネート基を含有するポリイソシアネートを含むコーティング組成物、および前記コーティング組成物でコーティングされた基材に関する。
【背景技術】
【0002】
水性コーティング系は、今日、溶剤型コーティング組成物に代わる環境に優しい代替品として、様々な用途分野でしっかりと確立されている。この場合、親水性変性ポリイソシアネートは、水分散性架橋剤成分として水性二成分ポリウレタン(2K-PUR)コーティングの配合物を可能にするので、質的に価値の高い水性コーティングの原料として特別な役割を果たす。
【0003】
水分散性ポリイソシアネートを製造するための非常に簡単な方法は、例えば、疎水性ポリイソシアネートと親水性ポリエーテルアルコールとの部分反応である(例えば、欧州特許出願公開第0959087号、2頁、25~46行目を参照されたい)。しかしながら、ポリエーテル変性ポリイソシアネートは、水性2K-PURコーティングにおいて架橋剤として使用するのに十分な分散性に必要とされる高いポリエーテル含有量が、得られるコーティングに永続的親水性を付与するという重大な欠点を有する。
【0004】
この欠点を回避するために、イオン性基、特にスルホネート基を組み入れることによって親水性変性自己分散性ポリイソシアネートを製造することが既に試みられている。
【0005】
欧州特許第703255号には、例えば、水性分散液用の添加剤として、スルホネート基を含有する化合物との反応により親水性変性された、脂肪族、脂環式または芳香族結合NCO基を有する水乳化性ポリイソシアネートが記載されている。この公報に記載されている適切な親水化単位は、ヒドロキシ-またはアミノスルホン酸、特に脂肪族結合したOH基を有するもの、例えば、ヒドロキシエタンスルホン酸もしくはヒドロキシプロパンスルホン酸、またはポリエーテルスルホネート、例えば、Tegomer(登録商標)ポリエーテル(Goldschmidt)である。
【0006】
国際公開第2009/010469号は、ジ-またはポリイソシアネートの親水化のための、単官能性ポリエーテルアルコールと組み合わせた、厳密に1個の第一級または第二級アミノ基を有し、特定の置換パターンを有する芳香族スルホン酸の使用を記載している。
【0007】
米国特許出願第2009/0209711号も同様に、親水性メトキシポリエチレングリコール、特定の疎水性ポリエーテルアルコールおよびアルカリ中和スルホネート基を含有するポリエステルアルコールを使用して製造されたイオン性/非イオン性変性水分散性ポリイソシアネートに関する。
【0008】
特開2015-205957号および特開2016-017157号は、ヒドロキシ官能性スルホン酸アンモニウム塩、好ましくは少なくとも1個の環式置換基を有する第三級アミンを中和アミンとして含むヒドロキシエタンスルホン酸、ヒドロキシプロパンスルホン酸またはヒドロキシメチルベンゼンスルホン酸に基づくもの、および脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ポリイソシアネートを有するそれらの反応生成物を記載している。
【0009】
国際公開第2001/88006号の教示によれば、親水化ポリイソシアネートは、任意のポリイソシアネートを、水性コーティング系における架橋剤としての2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)または3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(CAPS)と反応させることによって得ることができ、高い硬度と優れた耐溶剤性および耐薬品性を有するコーティングが得られる。
【0010】
欧州特許出願公開第3045485A1号は、ポリイソシアネートのための親水化剤として、窒素上で脂環式化合物により置換されたさらなるアミノプロパン-、アミノブタン-および/またはアミノイソブタンスルホン酸の使用を記載している。
【0011】
スルホン酸基はイソシアネートなどの吸水性化合物の存在下で互いに反応して、スルホン酸無水物を生じるか、またはイソシアネート基と反応してスルホン酸とカルバミン酸の混合無水物、いわゆるカルバモイルスルホネートを生じることが知られている。スルホネート基を含有するポリイソシアネート架橋剤を製造するための上記の方法において、これらの二次反応は常に粘度の増加をもたらし、同時に親水性を与える酸基の数を減少させそしてそれ故反応生成物の乳化性を減少させる。
【0012】
さらに、ポリイソシアネート中にスルホン酸基またはスルホネート基を組み込むと、多くの場合色数が悪化することが当業者には公知である。
【0013】
最高品質の水性二成分ポリウレタンコーティングを配合するためには、容易に水相内に攪拌することができる可能な限り低い粘度および可能な限り高い親水性を有する淡色ポリイソシアネート架橋剤が市場から直接要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許出願公開第0959087号
【文献】欧州特許第703255号
【文献】国際公開第2009/010469号
【文献】米国特許出願第2009/0209711号
【文献】特開2015-205957号
【文献】特開2016-017157号
【文献】国際公開第2001/88006号
【文献】欧州特許出願公開第3045485A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、現在知られているものと比較して、著しく低下した色数、より低い粘度、および同時に水性系における改良された組み込み性を有する、スルホネート基を含有する新規なポリイソシアネートを提供することであった。
【0016】
この目的は、下記により詳細に記載されるスルホネート基を含有するポリイソシアネートおよびその製造方法を用いて達成され得る。本発明は、反応が慣用の酸化防止剤の存在下で行われると、ポリイソシアネートとスルホン酸基またはスルホネート基を含有し、1または複数のメルカプト基もしくはアミノ基を有する化合物との反応が、明らかにより低い色の生成物を生じるという驚くべき観察に基づく。酸化防止剤を併用して製造された親水性ポリイソシアネートが、酸化防止剤を併用せずに、現在知られている製造方法によって得られるものと同様に形成されたスルホネート基含有ポリイソシアネートと直接比較して、高いイソシアネート含有量、低い粘度および良好な乳化性を示すことは特に驚くべきことであった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、スルホネート基を含有するポリイソシアネートを製造する方法であって、
A)脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族結合したイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネート成分と、
B)少なくとも1つのメルカプト基またはアミノ基を有し、1または複数のスルホン酸基および/またはスルホネート基を含み、前記スルホン酸基が、A)とB)との反応中および/またはその後に少なくとも部分的に中和される少なくとも1種の有機化合物と、および任意選択的に
C)イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有するさらなる非イオン性の親水性または疎水性の有機化合物と、
の反応を含み、
ポリイソシアネート成分A)と有機化合物B)との反応が、少なくとも1種の酸化防止剤D)の存在下で行われることを特徴とする方法に関する。
【0018】
本発明はまた、この方法によって得ることができるスルホネート基を含有するポリイソシアネート、およびポリウレタンプラスチックの製造のための出発成分としての、特に水溶性もしくは水分散性塗料バインダーまたは塗料バインダー成分のための、このようなバインダーまたはバインダー成分をベースとする水性コーティング組成物を用いたコーティングの製造における、イソシアネート基に対して反応性の基を有する架橋剤としてのその使用にも関する。
【0019】
本発明によれば、用語「含む」または「含有する」は、好ましくは「から本質的になる」を意味し、特に好ましくは「からなる」を意味する。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施形態は、スルホネート基を含有するポリイソシアネートを製造する方法であって、
A)脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族結合したイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネート成分と、
B)イソシアネート基に対して反応性の少なくとも1つの基を有し、1または複数のスルホン酸基および/またはスルホネート基を含み、前記スルホン酸基がA)とB)との反応中および/またはその後に少なくとも部分的に中和される少なくとも1種の有機化合物と、ならびに任意選択的に
C)イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1種の非イオン性親水性有機化合物および/またはイソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1種の疎水性有機化合物と、
の反応を含み、
前記ポリイソシアネート成分A)と前記有機化合物B)との反応が、少なくとも1種のラジカルスカベンジャーおよび/または過酸化物分解剤D)の存在下で行われることを特徴とする方法である。
【0021】
本発明による方法のための出発化合物A)は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族結合イソシアネート基を有する任意のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートである。
【0022】
適切なジイソシアネートA)は、種々の方法で、例えば液相または気相中でのホスゲン化によって、またはホスゲンを含まない経路によって、例えば熱ウレタン開裂によって到達可能な任意のジイソシアネートである。好ましいジイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族結合イソシアネート基を有する分子量140~400の範囲のものであり、例えば1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)イソシアナトメチルシクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、1,3-および1,4-ビス(2-イソシアナトプロパ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、1,5-ジイソシアナトナフタレンまたはそのようなジイソシアネートの任意の混合物である。
【0023】
適切なポリイソシアネートA)は、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有し、単純脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートの変性により生成される任意のポリイソシアネート、例えば上述のタイプのものであり、例えば、J.Prakt.Chem.336(1994)185-200、独国特許出願公開第1670666号、独国特許出願公開第1954093号、独国特許出願公開第2414413号、独国特許出願公開第2452532号、独国特許出願公開第2641380号、独国特許出願公開第3700209号、独国特許出願公開第3900053号および独国特許出願公開第3928503号、または欧州特許出願公開第0336205号、欧州特許出願公開第0339396号および欧州特許出願公開第0798299号に記載のもの、またはそのようなポリイソシアネートの混合物である。これらのポリイソシアネートの製造過程において、実際の変性反応の後に、一般に、未反応の過剰の単量体ジイソシアネートを除去するためのさらなる処理工程が続く。モノマーはそれ自体公知の方法により、好ましくは高真空下での薄膜蒸留によって、またはイソシアネート基に対して不活性な適切な溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタンもしくはシクロヘキサンなどの脂肪族もしくは脂環式炭化水素による抽出によって除去される。
【0024】
本発明による方法では、記載のタイプのポリイソシアネートは、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.3重量%未満の単量体ジイソシアネート含有量を有する出発成分A)として使用される。残留モノマー含有量は、DIN EN ISO 10283:2007-11に従って内部標準を用いたガスクロマトグラフィーにより測定される。
【0025】
本発明による方法のための特に好ましいポリイソシアネートA)は、脂肪族および/または脂環式結合イソシアネート基を排他的に有する上記のタイプのものである。
【0026】
特に好ましいポリイソシアネートA)は、PDI、HDI、IPDIおよび/または4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンをベースとしている。
【0027】
適切な、好ましい、特に好ましい、特別に特に好ましい上述のポリイソシアネートA)はイソシアヌレート構造を含み、2.3~5.0、好ましくは2.5~4.5の平均NCO官能価、および6.0~26.0重量%、好ましくは8.0~25.0重量%、特に好ましくは10.0~24.0重量%のイソシアネート基含有量を有する。
【0028】
本発明による方法のための出発化合物B)は、少なくとも1つのメルカプト基またはアミノ基および1または複数のスルホン酸基またはスルホネート基を有する任意の有機化合物である。これらは、メルカプト-またはアミノ-官能性スルホン酸および/またはそれ自体公知のそれらの塩であるか、または任意のそのような化合物の混合物である。1または複数のヒドロキシル基を有するスルホン酸は、明らかに本発明に属さない。このようなヒドロキシル官能性スルホン酸は、それらが一般にその無水物と平衡状態にあるという欠点を有する。特に工業的規模では、多くの場合それらは水溶液の形でしか入手できず、変性ポリイソシアネートを製造するための合成成分としてそれらを使用することがかなり困難となる。
【0029】
適切な出発化合物B)は、例えば、2-メルカプトエタンスルホン酸および3-メルカプトプロパン-1-スルホン酸などのメルカプトスルホン酸および/またはそれらの塩である。
【0030】
出発成分B)として適切なアミノ官能性化合物は、例えば、置換芳香族スルホン酸であり、これらは、最大3個のスルホン酸基を有することができ、最大3個、好ましくは最大2個、特に好ましくは正確に1個の第一級または第二級、好ましくは正確に1個の第一級アミノ基を含み、このアミノ基に対してオルト位の芳香環上の位置は置換されていない。
【0031】
【0032】
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して同一または異なる基であり、水素または飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝の脂肪族、脂環式、芳香脂肪族または芳香族有機基を表し、これらはさらに鎖中にヘテロ原子を含んでもよく、基R2およびR3の少なくとも1つが水素ではないという条件で、R2およびR3は一緒になって、互いに組み合わさって環、好ましくは縮合芳香族環を形成してもよい)
の置換芳香族スルホン酸である。
【0033】
式(I)中の脂肪族または芳香脂肪族基R1、R2およびR3は、好ましくは1~18個の炭素原子を有するもの、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、α、α-ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボンエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキサン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル-、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシキシイソプロピル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、2-メトキシエチル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチルまたは6-エトキシヘキシル基である。
【0034】
式(I)中の脂環式基R1、R2およびR3は、好ましくは5~12個の炭素原子を有するもの、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル基、および飽和もしくは不飽和の二環系、例えばノルボルニルもしくはノルボルネニル基である。
【0035】
式(I)中の芳香族基R1、R2およびR3は、好ましくは6~12個の炭素原子を有するもの、例えば、フェニル、トリル、キシリル、o-ナフチル、β-ナフチル、4-ジフェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-または4-ニトロフェニル、2,4-または2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニルまたはエトキシメチルフェニル基である。
【0036】
式(I)中の基R2およびR3が一緒になって環を形成する場合、R2およびR3は、好ましくはブチル-1,4-イレン鎖、または特に好ましくは1,3-ブタジエン-1,4-イレン鎖であり、この場合の芳香族スルホン酸は、好ましくはテトラヒドロナフタレン構造を有し、または特に好ましくはナフタレン構造を有する。
【0037】
基R1は、特に好ましくは水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基であり、特に好ましくは水素である。
【0038】
基R2およびR3は、特に好ましくは、それぞれ独立に、水素、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、フェニルまたはナフチル基であり、特に好ましくは水素および/またはメチル基である。この場合、好ましくは、基R2およびR3の一方は水素であり、他方は水素以外である。
【0039】
式(I)中のスルホン酸基、ならびに置換基R2およびR3は、第一級または第二級アミノ基を基準として芳香環上のパラ-またはメタ-位置にあり、この場合スルホン酸基は好ましくはメタ-位置である。
【0040】
一般式(I)の適切な芳香族アミノスルホン酸は、例えば4-アミノトルエン-2-スルホン酸、5-アミノトルエン-2-スルホン酸または2-アミノナフタレン-4-スルホン酸であり、特に好ましいのは4-アミノトルエン-2-スルホン酸である。
【0041】
本発明による方法のためのさらなる出発化合物B)は、さらに一般式(II)のアミノ官能性スルホン酸
【化2】
【0042】
(式中、R4およびR5はそれぞれ独立して同一または異なる基であり、水素または飽和もしくは不飽和の、直鎖もしくは分枝の、1~18個の炭素原子を有する、置換もしくは非置換および/または鎖中にヘテロ原子を含む脂肪族もしくは脂環式もしくは芳香族の有機基であり、R4およびR5は、互いに組み合わさって、および任意選択的に1個のさらなる窒素原子もしくは1個の酸素原子と組み合わさって、さらに置換されていてもよい3~8個の炭素原子を有する脂環式または複素環を形成していてもよく、R6は2~6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の脂肪族基である)
でもある。
【0043】
一般式(II)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、好ましくは1~8個の炭素原子を有する飽和の、直鎖または分枝の脂肪族または脂環式有機基であり、これらは互いに組み合わさって脂環式環を形成していてもよく、R6は2~4個の炭素原子を有する直鎖または分枝の脂肪族基である。
【0044】
一般式(II)の適切なアミノスルホン酸は、例えば、2-アミノエタンスルホン酸、3-アミノプロパン-1-スルホン酸、4-アミノブタン-1-スルホン酸、3-アミノブタン-1-スルホン酸、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、4-アミノブタン-2-スルホン酸、2-メチルアミノエタン-1-スルホン酸、2-エチルアミノエタン-1-スルホン酸、2-プロピルアミノエタン-1-スルホン酸、2-イソプロピルアミノエタン-1-スルホン酸、2-n-ブチルアミノエタン-1-スルホン酸、2-(tert-ブチル)アミノエタン-1-スルホン酸、2-ペンチルアミノエタン-1-スルホン酸、2-ヘキシルアミノエタン-1-スルホン酸、2-オクチルアミノエタン-1-スルホン酸、2-アニリノエタン-1-スルホン酸、2-シクロプロピルアミノエタン-1-スルホン酸、2-シクロブチルアミノエタン-1-スルホン酸、2-シクロペンチルアミノエタン-1-スルホン酸、2-シクロヘキシルアミノエタン-1-スルホン酸、異性体2-(メチルシクロヘキシル)アミノエタン-1-スルホン酸、2-(2,3-ジメチルシクロヘキシル)アミノエタン-1-スルホン酸、2-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアミノエタン-1-スルホン酸)、2-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)アミノエタン-1-スルホン酸、2-シクロヘプチルアミノエタン-1-スルホン酸、2-シクロオクチルアミノエタン-1-スルホン酸、2-(2-ノルボルニル)アミノエタン-1-スルホン酸、2-(1-アダマンチル)アミノエタン-1-スルホン酸、2-(3,5-ジメチル-1-アダマンチル)アミノエタン-1-スルホン酸、3-メチルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-エチルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-プロピルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-イソプロピルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-n-ブチルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-(tert-ブチル)アミノプロパン-1-スルホン酸、3-ペンチルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-ヘキシルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-オクチルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-アニリノプロパン-1-スルホン酸、3-シクロプロピルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-シクロブチルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-シクロペンチルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-シクロヘキシルアミノプロパン-1-スルホン酸、異性体3-(メチルシクロヘキシル)アミノプロパン-1-スルホン酸、3-(2,3-ジメチルシクロヘキシル)アミノプロパン-1-スルホン酸、3-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)アミノプロパン-1-スルホン酸、3-シクロヘプチルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-シクロオクチルアミノプロパン-1-スルホン酸、3-(2-ノルボルニル)アミノプロパン-1-スルホン酸、3-(1-アダマンチル)アミノプロパン-1-スルホン酸、3-(3,5-ジメチル-1-アダマンチル)アミノプロパン-1-スルホン酸、3-メチルアミノブタン-1-スルホン酸、3-エチルアミノブタン-1-スルホン酸、3-プロピルアミノブタン-1-スルホン酸、3-イソプロピルアミノブタン-1-スルホン酸、3-n-ブチルアミノブタン-1-スルホン酸、3-(tert-ブチル)アミノブタン-1-スルホン酸、3-ペンチルアミノブタン-1-スルホン酸、3-ヘキシルアミノブタン-1-スルホン酸、3-オクチルアミノブタン-1-スルホン酸、3-アニリノブタン-1-スルホン酸、3-シクロプロピルアミノブタン-1-スルホン酸、3-シクロブチルアミノブタン-1-スルホン酸、3-シクロペンチルアミノブタン-1-スルホン酸、3-シクロヘキシルアミノブタン-1-スルホン酸、異性体3-(メチルシクロヘキシル)アミノブタン-1-スルホン酸、3-(2,3-ジメチルシクロヘキシル)アミノブタン-1-スルホン酸、3-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアミノブタン-1-スルホン酸、3-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)アミノブタン-1-スルホン酸、3-シクロヘプチルアミノブタン-1-スルホン酸、3-シクロオクチルアミノブタン-1-スルホン酸、3-(2-ノルボルニル)アミノブタン-1-スルホン酸、3-(1-アダマンチル)アミノブタン-1-スルホン酸、3-(3,5-ジメチル-1-アダマンチル)アミノブタン-1-スルホン酸、4-メチルアミノブタン-1-スルホン酸、4-エチルアミノブタン-1-スルホン酸、4-プロピルアミノブタン-1-スルホン酸、4-イソプロピルアミノブタン-1-スルホン酸、4-n-ブチルアミノブタン-1-スルホン酸、4-(tert-ブチル)アミノブタン-1-スルホン酸、4-ペンチルアミノブタン-1-スルホン酸、4-ヘキシルアミノブタン-1-スルホン酸、4-オクチルアミノブタン-1-スルホン酸、4-アニリノブタン-1-スルホン酸、4-シクロプロピルアミノブタン-1-スルホン酸、4-シクロブチルアミノブタン-1-スルホン酸、4-シクロペンチルアミノブタン-1-スルホン酸、4-シクロヘキシルアミノブタン-1-スルホン酸、異性体4-(メチルシクロヘキシル)アミノブタン-1-スルホン酸、4-(2,3-ジメチルシクロヘキシル)アミノブタン-1-スルホン酸、4-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアミノブタン-1-スルホン酸、4-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)アミノブタン-1-スルホン酸、4-シクロヘプチルアミノブタン-1-スルホン酸、4-シクロオクチルアミノブタン-1-スルホン酸、4-(2)-ノルボルニル)アミノブタン-1-スルホン酸、4-(1-アダマンチル)アミノブタン-1-スルホン酸、4-(3,5-ジメチル-1-アダマンチル)アミノブタン-1-スルホン酸、3-メチルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-エチルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-プロピルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-イソプロピルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-n-ブチルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-(tert-ブチル)アミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-ペンチルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-ヘキシルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-オクチルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-アニリノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-シクロプロピルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-シクロブチルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-シクロペンチルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-シクロヘキシルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、異性体3-(メチルシクロヘキシル)アミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-(2,3)-(ジメチルシクロヘキシル)アミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)アミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-シクロヘプチルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-シクロオクチルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-(2-ノルボルニル)アミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-(1-アダマンチル)アミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-(3,5-ジメチル-1-アダマンチル)アミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、3-メチルアミノブタン-2-スルホン酸、3-エチルアミノブタン-2-スルホン酸、3-プロピルアミノブタン-2-スルホン酸、3-イソプロピルアミノブタン-2-スルホン酸、3-n-ブチルアミノブタン-2-スルホン酸、3-(tert-ブチル)アミノブタン-2-スルホン酸、3-ペンチルアミノブタン-2-スルホン酸、3-ヘキシルアミノブタン-2-スルホン酸、3-オクチルアミノブタン-2-スルホン酸、3-アニリノブタン-2-スルホン酸、3-シクロプロピルアミノブタン-2-スルホン酸、3-シクロブチルアミノブタン-2-スルホン酸、3-シクロペンチルアミノブタン-2-スルホン酸、3-シクロヘキシルアミノブタン-2-スルホン酸、異性体3-(メチルシクロヘキシル)アミノブタン-2-スルホン酸、3-(2,3-ジメチルシクロヘキシル)アミノブタン-2-スルホン酸、3-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアミノブタン-2-スルホン酸、3-(4-tert-ブチルシクロヘキシル)アミノブタン-2-スルホン酸、3-シクロヘプチルアミノブタン-2-スルホン酸、3-シクロオクチルアミノブタン-2-スルホン酸、3-(2-ノルボルニル)アミノブタン-2-スルホン酸、3-(1-アダマンチル)アミノ-2-スルホン酸および3-(3,5-ジメチル-1-アダマンチル)アミノブタン-2-スルホン酸である。
【0045】
本発明による方法のために特に好ましいアミノスルホン酸B)は一般式(II)(式中、基R4およびR5のいずれも水素ではない)のものである。
【0046】
非常に特に好ましいアミノスルホン酸B)は、2-イソプロピルアミノエタン-1-スルホン酸、3-イソプロピルアミノプロパン-1-スルホン酸、4-イソプロピルアミノブタン-1-スルホン酸、2-シクロヘキシルアミノエタン-1-スルホン酸、3-シクロヘキシルアミノプロパン-1-スルホン酸および4-シクロヘキシルアミノブタン-1-スルホン酸である。
【0047】
本発明による方法において、少なくとも1つのメルカプト基またはアミノ基を有するスルホン酸B)は、ポリイソシアネート成分A)との反応の前、最中または後に少なくとも部分的に中和され、このようにしてスルホネート基に変換される。
【0048】
この場合の適切な中和剤は、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物などの任意の塩基であるが、好ましくはアミン、特に第三級モノアミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、異性体トリプロピルおよびトリブチルアミン、N,N-ジメチルエチルアミン、N,N-ジメチルプロピルアミン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジメチルイソブチルアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N,N-ジメチル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルラウリルアミン、N,N-ジエチルメチルアミン、N,N-ジエチルプロピルアミン、N,N-ジエチルブチルアミン、N,N-ジエチルヘキシルアミン、N,N-ジエチルオクチルアミン、N,N-ジエチル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジエチルラウリルアミン、N,N-ジイソプロピルメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジイソプロピルブチルアミン、N,N-ジイソプロピル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジオクチルメチルアミン、N,N-ジメチルアリルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、N,N-ジベンジルメチルアミン、トリベンジルアミン、N,N-ジメチル-4-メチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルエチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、N-メチルピロリジン、N-エチルピロリジン、N-プロピルピロリジン、N-ブチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N-プロピルピペリジン、N-ブチルピペリジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-プロピルモルホリン、N-ブチルモルホリン、N-sec-ブチルモルホリン、N-tert-ブチルモルホリン、N-イソブチルモルホリンおよびキヌクリジンもしくは第3級ジアミン、例えば1,3-ビス(ジメチルアミノ)プロパン、1,4-ビス(ジメチルアミノ)ブタンおよびN,N’-ジメチルピペラジン、またはそのような第三級アミンの任意の混合物である。
【0049】
適切ではあるがあまり好ましくない中和アミンはまた、イソシアネート基に対して反応性である基を有する第三級アミン、例えばジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンなどのアルカノールアミンである。
【0050】
メルカプトスルホン酸またはアミノスルホン酸B)のための好ましい中和アミンは、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジメチル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジエチルメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジイソプロピル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-イソブチルモルホリンまたはそれらの混合物である。
【0051】
N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジエチルメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、N-エチルモルホリンまたはそれらの混合物が特に好ましい。
【0052】
本発明による方法において特定された中和剤は、本発明による方法により得られた生成物中の出発化合物B)のスルホン酸基が、少なくとも20モル%程度まで、好ましくは約50モル%程度まで、特に好ましくは少なくとも90モル%程度まで中和され、および特に好ましくは完全に中和され、スルホネート基の形で存在するような量で添加される。
【0053】
本発明による方法のための出発化合物C)は、イソシアネートに対して反応性である少なくとも1つの基を含む、任意の非イオン性の親水性または疎水性の有機化合物である。化合物C)はB)とは異なる。言い換えると、出発成分C)は、イソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1種の非イオン性親水性有機化合物および/またはイソシアネートに対して反応性の少なくとも1つの基を有する少なくとも1種の疎水性有機化合物を含む。
【0054】
適切な非イオン性親水性有機化合物C)は、例えば、それ自体既知の方法で適切な出発分子のアルコキシル化により得ることができる、1分子当たり統計平均5~50個のエチレンオキシド単位を有する一価または多価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである(例えば、Ullmanns Encyclopadie der technischen Chemie,4th edition,volume 19,Verlag Chemie,Weinheim pp.31-38を参照されたい)。この種の出発分子は、例えば、分子量範囲32~300の任意の一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノール、ヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-メチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、ベンジルアルコール、フェノール、異性クレゾール、オクチルフェノール、ノニルフェノールおよびナフトール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、1,2-エタンジオール1,2-および1,3-プロパンジオール、異性体ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオールおよびオクタンジオール、1,2-および1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビスシクロヘキサノール、1,2,3-プロパントリオール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,1,1-トリメチロールプロパン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールまたは1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートであり得る。
【0055】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシドは、特にエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらはアルコキシル化反応において任意の順序で、または混合物で使用することができる。適切なポリエーテルアルコールは、純粋なポリエチレンオキシドポリエーテルアルコールまたはアルキレンオキシド単位が少なくとも70モル%程度、好ましくは少なくとも80モル%程度のエチレンオキシド単位で構成される混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルのいずれかである。
【0056】
好ましいポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールC)は、出発分子として分子量範囲32~150の上記モノアルコールを用いて製造されたものである。特に好ましいポリエーテルアルコールは、統計平均5~50、特に好ましくは5~25のエチレンオキシド単位を有する純粋なポリエチレングリコールモノメチルエーテルアルコールである。
【0057】
本発明による方法における非イオン性親水性有機化合物C)は、使用するのであれば、出発ポリイソシアネートA)に基づいて最大30重量%、好ましくは最大25重量%、特に好ましくは最大20重量%程度の量で使用される。
【0058】
適切な疎水性有機化合物C)は、例えば、いずれの場合も少なくとも8個の炭素原子を有する脂肪族アルコールまたは脂肪酸エステルアルコールである。
【0059】
適切な脂肪族疎水性アルコールは、例えば、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、異性体ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノールおよび3-フェニル-2-プロペノール(シンナミルアルコール)ならびにさらにこれらのアルコールから出発する疎水性ポリアルキレンオキシドアルコールであり、そのアルキレンオキシド単位は少なくとも80モル%程度まで、好ましくは少なくとも90モル%、特に好ましくは排他的にプロピレンオキシド単位で構成される。
【0060】
適切な脂肪酸エステルアルコールC)は、ヒドロキシ酢酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-および4-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシコハク酸(リンゴ酸)、2,3-ジヒドロキシコハク酸(酒石酸)、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸(クエン酸)、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、サリチル酸およびマンデル酸などの、ヒドロキシ官能性脂肪酸と、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノールまたはn-ドデカノールなどのアルコールとのエステル化生成物であり、ここで脂肪酸およびエステル化アルコールの炭素原子の合計は少なくとも8個である。
【0061】
本発明による方法における疎水性有機化合物C)は、使用するのであれば、出発ポリイソシアネートA)に基づいて最大30重量%、好ましくは最大20重量%、特に好ましくは最大10重量%程度の量で使用される。
【0062】
本発明によれば、ポリイソシアネート成分A)とスルホン酸基またはスルホネート基を含有する有機化合物B)との反応は、少なくとも1種の酸化防止剤D)の存在下で行われる。
【0063】
適切な酸化防止剤D)は、例えば酸素の影響によって引き起こされる望ましくない酸化老化プロセスを防止するために、塗料またはコーティング技術において使用され、自己酸化の間に生じるフリーラジカルのためのラジカルスカベンジャーまたは過酸化物分解剤として一般に作用するそれ自体公知の任意の有機化合物である。塗料業界で通例の適切な酸化防止剤は、例えば、フェノール、チオエーテルおよび/または二置換もしくは三置換亜リン酸エステルである。
【0064】
適切なフェノールD)は、特に立体障害性フェノール、例えば、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、トリエチレングリコールビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と脂肪族分枝C7-~C9-アルコールとのエステル、例えば、イソヘプチル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートまたはイソノニル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソトリデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、1,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸)ヒドラジド、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル4’-ヒドロキシ-3’、5’-ジ-tert-ブチルベンゾエート、(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)メチルチオ酢酸と脂肪族分枝C10-~C14アルコールとのエステル、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2-メチル-4,6-ビス(オクチルチオメチル)フェノール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートまたは2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノンである。
【0065】
適切なチオエーテルD)は、例えば、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネートまたはジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネートであり、これらは好ましくは特定の種類のフェノール系酸化防止剤と組み合わせて使用される。
【0066】
適切な亜リン酸エステルD)は、例えば、亜リン酸ジブチルおよび亜リン酸ジベンジル、亜リン酸トリエチルおよび亜リン酸トリブチルなどの二置換または好ましくは三置換亜リン酸エステルである。亜リン酸エステル型の酸化防止剤D)は、好ましくは置換基の少なくとも1つが6~18個の炭素原子を有する、置換されていてもよい芳香族基または9~18個の炭素原子を有する直鎖または分枝脂肪族基である三置換亜リン酸エステルであり、例えば、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)もしくは亜リン酸トリス(ノニルフェニル)などの亜リン酸アリール、亜リン酸ジフェニルイソオクチル、亜リン酸ジフェニルイソデシル、亜リン酸ジイソデシルフェニル、亜リン酸ジイソオクチルフェニル、亜リン酸フェニルネオペンチルグリコールもしくは亜リン酸2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル(2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール)などのアルキル-アリール亜リン酸エステル、亜リン酸トリイソデシル、亜リン酸トリラウリルもしくは亜リン酸トリス(トリデシル)などの亜リン酸アルキル、またはジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert.-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトもしくはテトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイトなどの芳香族もしくは脂肪族置換ジホスファイトである。
【0067】
本発明による方法のための好ましい酸化防止剤D)は特定されたタイプのフェノール化合物であり、特に好ましくは2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール構造を含む立体障害性フェノールである。特に好ましい酸化防止剤D)は、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と脂肪族、分枝C7-~C9-アルコールとのエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートおよび/またはチオジエチルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である。
【0068】
酸化防止剤D)は、本発明による方法において、単独、および互いに任意の組み合わせの両方で、出発ポリイソシアネートA)の量に基づいて、使用される酸化防止剤の総量として計算して、0.001~3.0重量%、好ましくは0.002~2.0重量%、特に好ましくは約0.005~1.0重量%、特に好ましくは0.01~0.5重量%の量で使用することができる。
【0069】
本発明による方法を実施するためには、出発成分A)、B)および任意選択的にC)を酸化防止剤D)の存在下で40~150℃、好ましくは50~130℃、特に好ましくは70~110℃の温度において、好ましくは理論的に計算されたNCO含有量が達成されるまでNCO基とNCO基に対して反応性の基との当量比を2:1~400:1、好ましくは4:1~250:1に維持しながら互いに反応させ、反応経過は、例えばNCO含有量の滴定分析によりモニターすることができる。NCO含有量は、DIN EN ISO 11909:2007-05に従って好ましくは滴定法により決定される。
【0070】
この場合、本発明に必須の酸化防止剤D)は、反応相手、ポリイソシアネート成分A)、スルホン酸基またはスルホネート基を有し、メルカプト基またはアミノ基を有する化合物B)および/または任意選択的に非イオン性の親水性もしくは疎水性の有機化合物C)の1または複数と、実際の反応の開始前に上記で特定された量で混合されていてもよい。しかしながら、酸化防止剤はまた、反応相手の計量添加中の任意の所望の時点またはその後、好ましくは計量添加の開始時に反応混合物に添加することができる。
【0071】
メルカプトスルホン酸またはアミノスルホン酸B)を使用する場合、これらは、本発明による方法において、上記のように、上記のタイプの中和剤を上記の量で添加することにより、ポリイソシアネート成分A)との反応の前、反応中または反応後に少なくとも部分的に中和され、スルホネート基に変換される。中和が反応前または反応中に行われる場合には、酸化防止剤D)を中和剤、好ましくは前記のタイプの第三級アミンと混合することも可能である。
【0072】
酸化防止剤D)は、ポリイソシアネート成分A)の反応の開始前に添加するのが好ましい。
【0073】
成分A)とB)および任意選択的にC)との反応は一般に十分に迅速に進行するが、ポリウレタン化学において慣用の公知の触媒が、反応を促進するために本発明による方法において使用されていてもよく、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-エンドエチレンピペラジン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノシクロヘキサン、N,N’-ジメチルピペラジンなどのさらなる第三級アミン、または塩化鉄(III)、アルミニウムトリ(エチルアセトアセテート)、亜鉛塩化物、n-オクタン酸亜鉛(II)、2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)、2-エチルカプロン酸亜鉛(II)、ステアリン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)、アセチルアセトネート亜鉛(II)、n-オクタン酸スズ(II)、2-エチル-1-ヘキサン酸スズ(II)、エチルカプロン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、パルミチン酸スズ(II)、ジブチルスズ(IV)オキシド、ジブチルスズ(IV)ジクロリド、ジブチルスズ(IV)ジアセテート、ジブチルスズ(IV)ジマレート、ジブチルスズ(IV)ジラウレート、ジオクチルスズ(IV)ジアセテート、モリブデングリコレートなどの金属塩またはそのような触媒のいずれかを使用することができる。
【0074】
これらの触媒F)は、使用するのであれば、反応相手の総重量に基づいて0.001~2重量%、好ましくは0.005~0.5重量%の量で本発明による方法において使用される。
【0075】
本発明の方法は、好ましくは溶媒なしで行われる。しかしながら、所望であれば、出発成分の反応性基に対して、特にイソシアネート基に対して不活性な適切な溶媒もまた使用することができる。適切な溶媒の例は、それ自体公知である慣用の塗料溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、3-メトキシ-n-ブチルアセテート、アセトン、2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ホワイトスピリット、比較的置換度の高い芳香族化合物、例えばソルベントナフサ、Solvesso(登録商標)、Isopar(登録商標)、Nappar(登録商標)(Deutsche EXXON CHEMICAL GmbH、Cologne、DE)およびShellsol(登録商標)(Deutsche Shell、Chemie GmbH、Eschborn、DE)の商品名で市販されているもの、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2-エチレンカーボネートおよび1,2-プロピレンカーボネートなどの炭酸エステル、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよびε-メチルカプロラクトンなどのラクトン、ならびにプロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ブチルグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、1,3-ジオキソラン、N-メチルピロリドンおよびN-メチルカプロラクタムなどのさらなる溶媒、またはこれらの溶媒の任意の混合物である。
【0076】
スルホネート基を含有するポリイソシアネートはプロセス生成物として得られ、これらは、先行技術により現在知られている製造方法によって得られる、酸化防止剤を併用せずに同様に形成されたスルホネート基含有ポリイソシアネートと直接比較して高いイソシアネート含有量、低い色数、特に低い粘度および良好な乳化性を特徴とする。それらは一般的に単に水中に攪拌することによって高い剪断力を使用することなく沈降安定性分散液に容易に変換することができる。
【0077】
本発明による方法に好ましいと指定された特徴は、本発明のさらなる主題にも好ましい。
【0078】
したがって、本発明はさらに、本発明による方法によって得ることができる、または得られる、スルホネート基を含有するポリイソシアネートに関する。上記の相違に加えて、イソシアネート基との化学反応も、使用されるラジカルスカベンジャーおよび/または過酸化物分解剤D)に応じて起こり得る。したがって、例えばラジカルスカベンジャーおよび/または過酸化物分解剤D)として上述のフェノール化合物を使用する場合、本発明はさらに、フェノール基に結合している1または複数のウレタン基、好ましくは0.005~0.9重量%のウレタン基(-NHCOO-として計算;分子量=59g/モル)を含むことを特徴とする、スルホネート基を含有するポリイソシアネートに関する。
【0079】
任意のさらなる非親水化ポリイソシアネート、例えば適切な出発ポリイソシアネートA)として挙げたタイプのものが、本発明によるスルホネート基を含有するポリイソシアネートに添加されていてもよく、これらは概して
(i)本発明によりスルホネート基で親水性に変性されたポリイソシアネート、および
(ii)例として挙げたタイプの未変性ポリイソシアネート、
の混合物からなるので、それによって本発明によるポリイソシアネート混合物を同様に表すポリイソシアネート混合物が得られる。
【0080】
そのような混合物において、本発明によるスルホネート基を含有するポリイソシアネートは、その後に混入される非親水性ポリイソシアネートの割合に対して乳化剤の機能を担う。
【0081】
本発明によるポリイソシアネート混合物は、イソシアネート重付加法によるポリウレタンプラスチックの製造のための有用な出発材料を表す。この目的のために、このポリイソシアネート混合物は、水性二成分系の状況で水中に分散されたポリヒドロキシル化合物と組み合わせて反応させることができる水性エマルジョンの形態で使用するのが好ましい。
【0082】
本発明はさらに、1または複数の酸化防止剤D)、好ましくは2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール構造を含む1または複数の立体障害性フェノールの、スルホネート基を含有するポリイソシアネートの水性系への組み込み性改善のための使用に関する。
【0083】
本発明によるスルホネート基を含むポリイソシアネート混合物は、イソシアネート基に反応性の基、特にアルコール性ヒドロキシル基に反応性の基を有する、水中に溶解または分散された塗料バインダーまたは塗料バインダー成分の架橋剤として、このようなバインダーまたはバインダー成分をベースとする水性コーティング組成物を使用するコーティングの製造において特に好ましく使用される。乳化されていてもよい形態の架橋剤は、コーティング組成物を加工する前に任意の方法による単純な攪拌によって、または二成分スプレーガンの使用によっても、ここでバインダーまたはバインダー成分と組み合わせることができる。
【0084】
これに関連して挙げることができる塗料バインダーまたは塗料バインダー成分としては、水に溶解または分散されたヒドロキシル基を含むポリアクリレート、特に架橋剤として有機ポリイソシアネートを有する有用な二成分バインダーである分子量範囲1000~20000のもの、またはポリエステルおよびアルキド樹脂化学により公知のタイプの、水に分散された、ヒドロキシル基を含むウレタン変性されていてもよいポリエステル樹脂が挙げられる。原則として、本発明によるポリイソシアネート混合物に対する反応相手として適しているのは、イソシアネートに反応性の基を含む、水中に溶解または分散された任意のバインダーである。これらには、例えば、ウレタンまたは尿素基中に存在する活性水素原子によりポリイソシアネートと架橋することができる、水中に分散されたポリウレタンまたはポリ尿素も含まれる。
【0085】
本発明はさらに、本発明によるスルホネート基を含有する少なくとも1種のポリイソシアネートを含むコーティング組成物に関する。
【0086】
水性塗料バインダーのための架橋剤成分として本発明に従って使用する場合、本発明によるスルホネート基を含むポリイソシアネート混合物は一般に、NCO基対NCO基に対して反応性である基、特にアルコール性ヒドロキシル基の当量比が0.5:1~2:1に相当する量で使用される。
【0087】
しかしながら、本発明によるポリイソシアネート混合物は、非常に特殊な性質を達成する目的で、例えば接着性を改良するための添加剤として、非官能性水性塗料バインダーと少量で混合されていてもよい。
【0088】
本発明によるポリイソシアネート混合物は、当然のことながら、水性一成分系PURベーキングシステムとして前述の水性塗料バインダーまたは塗料バインダー成分と組み合わせて、ポリウレタン化学によりそれ自体公知のブロッキング剤でブロックされた形態で使用することもできる。適切なブロッキング剤は、例えば、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトンオキシム、ブタノンオキシム、ε-カプロラクタム、3,5-ジメチルピラゾール、1,2,4-トリアゾール、ジメチル-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール、またはこれらのブロッキング剤のいずれかの混合物である。
【0089】
スルホネート基を含む本発明のポリイソシアネート混合物を使用して配合される水性コーティングに関して企図される基材としては、例えば、金属、木材、ガラス、石、セラミック材料、コンクリート、硬質および軟質プラスチック、織物、皮革、および紙などの任意の所望の基材が挙げられ、これらにはコーティング前に慣用の下塗り剤が提供されていてもよい。
【0090】
一般に、本発明によるポリイソシアネート混合物を配合した水性コーティング組成物は、その組成物中に塗料分野で慣用の助剤および添加剤が配合されていてもよく、例としては、流動制御助剤、染料、着色顔料、充填剤、艶消し剤または乳化剤であり、室温乾燥の場合でも優れた技術的コーティング特性を有する。当然のことながら、それらは強制的に高温でまたは最高260℃の温度で焼くことによって乾燥させることもできる。
【0091】
本発明はさらに、熱の作用によって硬化されていてもよい本発明によるコーティング組成物でコーティングされた基材を提供する。
【0092】
水性塗料バインダー中で均一な、特に細かい分配を可能にするそれらの優れた水乳化性のため、本発明によるポリイソシアネート混合物の水性ポリウレタンコーティング用の架橋剤成分としての使用は、顕著な光学的性質、特に高い表面光沢、流動性および高い透明性を有するコーティングをもたらす。
【0093】
水性2K-PURコーティングのための架橋剤成分としての好ましい使用に加えて、本発明によるスルホネート基を含むポリイソシアネート混合物は、水性分散接着剤、皮革およびテキスタイルコーティングもしくはテキスタイル印刷ペーストのための架橋剤として、AOX非含有紙助剤として、または鉱物建材、例えばコンクリートもしくはモルタル用の添加剤としても非常に適している。
【0094】
本発明による方法に好ましいと指定された特徴は、本発明のさらなる主題にも好ましい。
【0095】
以下の実施例は本発明の例示に役立つが、保護の範囲に何らかの制限を課すものとして理解されるべきでは決してない。
【0096】
実施例
特記しない限り、百分率はすべて重量基準である。
【0097】
NCO含有量は、DIN EN ISO 11909:2007-05に従って滴定法により決定した。
【0098】
すべての粘度測定は、DIN EN ISO 3219:1994-10に従って、Anton Paar Germany GmbH(DE)製のPhysica MCR 51レオメーターを用いて250/秒の剪断速度で記録した。
【0099】
残留モノマー含有量は、DIN EN ISO 10283:2007-11に従って内部標準を用いたガスクロマトグラフィーにより測定した。
【0100】
含水量は、Methrom製のTitrando 841自動滴定装置を用いて、DIN 53715(DIN 51777 Part 1(1973年版)に基づいて作成された)に従って、カールフィッシャーによる容量滴定によって決定した。この方法の測定範囲は、0.01~99重量%である。
【0101】
25%水性エマルジョンの中位径(MPS)は、親水性ポリイソシアネートの乳化性の尺度として役立つ。この目的のために、いずれの場合も25gの本発明のポリイソシアネート混合物を三角フラスコ中の75gの脱イオン水に添加して、その都度固形分25重量%相当とし、次いで混合物をそれぞれ1分間900rpmにおいてマグネチックスターラーを用いて攪拌した。このようにして得られた水性エマルジョンの中位径[nm]を次にMalvern Instruments GmbH(DE)製のDTS5100型ゼータサイザーを用いて決定した。中位径が小さいほど、水相(塗料バインダー)中の架橋剤の分布が細かくなり、得られるコーティングフィルムがより透き通ってより輝いたものになる。
【0102】
ハーゼン色数は、Lange、Germany製のLICO 400分光光度計を用いてDIN EN ISO 6271-2:2005-03に従った分光光度法によって測定した。
【0103】
出発化合物
ポリイソシアネートA)
出発ポリイソシアネートA1)
粗混合物のNCO含有量が40%になるようにリン酸ジブチルを添加することにより反応を停止させる変更を行って、欧州特許出願公開第330966号の実施例11に基づいてHDIの触媒三量体化により製造された、イソシアヌレート基含有HDIポリイソシアネート。続いて、未変換のHDIを130℃の温度および0.2ミリバールの圧力で薄膜蒸留により除去した。
【0104】
NCO含有量: 21.7%
NCOの官能価: 3.4
単量体HDI: 0.1%
粘度(23℃): 3080mPas
色数(ハーゼン): 18
出発ポリイソシアネートA2)
イソプロパノール/メタノール(2:1)中二フッ化水素テトラブチルホスホニウムの50%溶液を触媒として用いてHDIを三量体化することにより、欧州特許出願公開第0962455号の実施例4に従って調製された、イソシアヌレート基およびイミノオキサジアジンジオン基を含有するHDIポリイソシアネート。リン酸ジブチルを添加することにより、粗混合物のNCO含有量43%において反応を停止させた。続いて、未変換のHDIを130℃の温度および0.2ミリバールの圧力で薄膜蒸留により除去した。
【0105】
NCO含有量: 23.4%
NCOの官能価: 3.2
単量体HDI: 0.2%
粘度(23℃): 700mPas
色数(ハーゼン): 14
出発ポリイソシアネートA3)
欧州特許出願公開第0003765号の実施例2に従ってIPDIを触媒的に三量体化することにより調製された、イソシアヌレート基を含有するIPDIポリイソシアネート。使用した触媒量を基準にして等モル量のリン酸ジブチルを添加し、さらに80℃で30分間攪拌することにより、粗混合物のNCO含有量30.1%において反応を停止させた。次いで、未変換IPDIを170℃の温度および0.3ミリバールの圧力での薄膜蒸留により除去し、そして得られた固体樹脂を酢酸ブチルで70%の固形分に希釈した。
【0106】
NCO含有量: 11.9%
NCOの官能価: 3.3
単量体IPDI: 0.28%
粘度(23℃): 620mPas
色数(ハーゼン): 14
出発ポリイソシアネートA4)
ポリイソシアネート成分A2)について国際公開第2016/146579号に記載されている方法によるPDIの触媒三量体化によって製造される、イソシアヌレート基を含むPDIポリイソシアネート。使用した触媒量を基準にして等モル量のリン酸ジブチルを添加し、さらに80℃で30分間攪拌することにより、粗混合物のNCO含有量36.7%において反応を停止させた。続いて、未変換のPDIを140℃の温度および0.5ミリバールの圧力で薄膜蒸留により除去した。
【0107】
NCO含有量: 21.8%
NCOの官能価: 3.5
単量体PDI: 0.09%
粘度(23℃): 9850mPas
色数(ハーゼン): 34
アミノスルホン酸B)
CAPS:3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(Sigma-Aldrich Chemie Gmbh、Munich、DE)、供給時含水量:1.7%
CABS:4-(シクロヘキシルアミノ)ブタンスルホン酸(Santa Cruz Biotechnology、Inc.、Heidelberg、DE)、供給時含水量:4.5%
両方のアミノスルホン酸をそれぞれ100℃において真空下(約0.5ミリバール)で4時間乾燥させた。実施例では、CAPSを0.15%の含水量で、CABSを0.30%の含水量で使用した。
【0108】
酸化防止剤D)
酸化防止剤D1
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(Merck Schuchardt OHG、Hohenbrunn、DE)
酸化防止剤D2
脂肪族分枝C7-~C9-モノアルコールを有する3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル(Irganox(登録商標)1135、BASF SE、Ludwigshafen、DE)
酸化防止剤D3
3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシルエステル(Irganox(登録商標)1076、BASF SE、Ludwigshafen、DE)
酸化防止剤D4
チオジエチルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox(登録商標)1035、BASF SE、Ludwigshafen、DE)
実施例1(非発明品)
957.3g(4.95val)のイソシアヌレート基含有出発ポリイソシアネートA1)を27.1g(0.12val)の3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(CAPS)および15.6g(0.12モル)のジメチルシクロヘキシルアミンと共に100℃において乾燥窒素下で6時間攪拌した。室温に冷却した後、スルホネート基を含有するほぼ透明なポリイソシアネート混合物が存在した。T5500フィルター層(Seitz)で濾過した後、以下の特性データを決定した:
NCO含有量: 20.0%
NCOの官能価: 3.3
粘度(23℃): 7410mPas
色数(ハーゼン): 65
乳化性(MPS): 468nm
実施例2(本発明品)
957.3g(4.95val)のイソシアヌレート基含有出発ポリイソシアネートA1)を0.2g(200ppm)の酸化防止剤D1)に添加し、次いで混合物を27.1g(0.12val)の3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(CAPS)および15.6g(0.12モル)のジメチルシクロヘキシルアミンと共に攪拌し、100℃において6時間、乾燥窒素下で乾燥させた。室温に冷却した後、スルホネート基を含有するほぼ透明なポリイソシアネート混合物が存在した。T5500フィルター層(Seitz)で濾過した後、以下の特性データを決定した:
NCO含有量: 20.2%
NCOの官能価: 3.3
粘度(23℃): 6840mPas
色数(ハーゼン): 14
乳化性(MPS): 223nm
実施例1(非発明品)と2(本発明品)の比較は、他の点では同一の生成物組成で酸化防止剤の存在下で製造される本発明の親水性ポリイソシアネートが、より高いNCO含有量、より低い粘度および色数、さらに良好な乳化性を有することを示している。
【0109】
実施例3~16(本発明品と比較品)
実施例2に記載した方法に従って、異なるポリイソシアネートA)を、異なる酸化防止剤D)の存在下および非存在下(それぞれ比較)でアミノスルホン酸B)と反応させた。以下の表1は、反応混合物の組成を重量部で示し、使用する酸化防止剤の量をそれぞれの総量に基づいてppmで示し、さらに得られた生成物の特性データを示す。
【表1】
【表2】