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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】飼料提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240703BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240703BHJP
【FI】
G06Q50/02
G06Q30/0601 332
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019202845
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021077055
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 誠
(72)【発明者】
【氏名】肥後 英行
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一弘
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-153302(JP,A)
【文献】特開2018-108075(JP,A)
【文献】特開平06-316336(JP,A)
【文献】特開平06-259139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼料を保管する飼料保管部と、前記飼料保管部に保管されている前記飼料を給餌部へ搬出する飼料搬出部と、前記飼料搬出部を制御する制御部とを有する飼料提供システムにおいて、
前記飼料提供システムは、前記飼料搬出部の前記飼料の搬送経路上に配置されているとともに前記制御部に接続された湿度またはサーマルカメラ、サーモグラフィの撮像素子を用いたセンサによって発酵する前記飼料の特性を計測して前記飼料の量を特定できる搬出量特定部を備え、
前記制御部は、
前記搬出量特定部を用いて、前記飼料搬出部から搬出される前記飼料の量を特定、または、前記給餌部に搬出される前記飼料の量を特定する搬出量特定処理と、
特定された前記飼料の量に基づいて、前記飼料保管部へ供給する飼料の量を特定する飼料供給量特定処理と、を行うこと
を特徴とする飼料提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の飼料提供システムにおいて、
前記制御部は、さらに、前記供給する飼料の量に基づいて、前記供給する飼料の価格を特定すること
を特徴とする飼料提供システム。
【請求項3】
請求項2に記載の飼料提供システムにおいて、
前記制御部は、特定された前記供給する飼料の価格の情報を、前記飼料の供給者または前記飼料保管部の管理者へ通知すること
を特徴とする飼料提供システム。
【請求項4】
請求項3に記載の飼料提供システムにおいて、
前記制御部は、さらに、
通知された前記飼料の価格に対応する金額が前記管理者によって入金されたことまたは前記飼料の価格に対応する金額を支払う意志を示す購入情報を生成し、
生成された前記購入情報を前記供給者へ通知すること
を特徴とする飼料提供システム。
【請求項5】
請求項3に記載の飼料提供システムにおいて、
前記制御部は、通知された前記飼料の価格に対応する金額が前記管理者に入金されなかった、または、購入する意志が入力されなかったことを示す非購入情報を生成し、
生成された前記非購入情報を前記供給者へ通知すること
を特徴とする飼料提供システム。
【請求項6】
請求項5に記載の飼料提供システムにおいて、
前記制御部は、前記非購入情報が生成されていない場合には、所定期間後に前記管理者へ前記入金または前記購入する意志が入力されなかったことを通知すること
を特徴とする飼料提供システム。
【請求項7】
請求項6に記載の飼料提供システムにおいて、
前記制御部は、前記入金または前記購入する意志が入力されなかったことを通知した後に、前記供給者へ前記管理者に対する前記飼料搬送を停止することを通知すること
を特徴とする飼料提供システム。
【請求項8】
請求項1に記載の飼料提供システムにおいて、
前記搬出量特定部は、前記飼料搬出から搬出された前記飼料の量を過去に搬出された飼料の量に基づいて特定すること
を特徴とする飼料提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
飼料提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平11-46610号公報)には、「飼料の無駄を少なくしながら、新鮮な飼料を給餌できるとともに、飼料受け面を清潔に維持できるようにする。」という課題に対して「作業車が走行する作業通路に沿って飼料受け面を連続的に設け、作業車には、飼料受け面に飼料を供給する飼料供給手段と、飼料受け面から作業通路側にはみ出た飼料を飼料受け面側に掃き寄せる掃き寄せ手段とを設け、作業通路を走行しながら飼料供給手段を作動させて、飼料受け面に飼料を供給する飼料供給運転と、飼料供給手段の作動を停止させた状態で、作業通路を走行しながら掃き寄せ手段を作動させて、はみ出た飼料を飼料受け面側に掃き寄せる飼料掃き寄せ運転とを、飼料供給運転を実行してから、設定時間TSB1,TSB2,TSB3経過した後の設定タイミングで各別に実行させる運転状態制御手段を設る。」ことが開示されている(要約参照)。
【0003】
特許文献2(特開2003-54765号公報)には、「飼料をトレーラーの油圧装置付きの荷台に積載し、油圧装置付きの荷台と着脱可能な飼料コンテナと、飼料コンテナの四隅を吊着する吊着機からなる吊着装置と、飼料コンテナから飼料を小分け用の飼料コンテナに積替える積替装置とからなることを特徴とする飼料運搬方法及びその装置とした。」が開示されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-46610号公報
【文献】特開2003-54765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1(特開平11-46610号公報)には、飼料の無駄を減らしつつ新鮮な飼料を給餌することを目的として、作業通路に沿った飼料受け面を連続的に用意し、作業車が飼料受け面に対して飼料の供給と飼料受け面からはみ出た飼料を掃き出す処理を切り替えることが開示されている。また、飼料ホッパーへの飼料の投入重量と飼料の供給開始からの重量の減少量を用いて作業車の走行量と飼料の排出量を特定するものである。併せて、作業通路にはみ出た飼料を回収するものである。
【0006】
しかし、飼料を飼料受け面全体に効率良く供給することに着目しているが、所定の飼料の量(重量、容量、個数など大小の比較ができる対象をもっているもの全般を「量」と称します)が適切な量であるかについては考慮されていない。つまり、設定された飼料の量が多い場合には、家畜が摂取するよりも多くの量の飼料を購入する場合も生じることがあるため、飼料の購入コストが上昇し、さらには、飼料が無駄になる場合がある。この場合は不要な飼料を購入するだけでなく、飼料の廃棄にも費用がかかり、費用だけでなく環境にも良くない。そのため、家畜が摂取する適切な飼料の量を購入し、適切な量の飼料の供給を受けることは考慮されていない。
【0007】
特許文献2(特開2003-54765号公報)には、飼料コンテナから飼料を小分け用の飼料コンテナに積み替える積替装置を用いた飼料運搬について開示されている。飼料を小分けにすることで飼料の運搬を効率的に行うものであるが、課題として、サイロへ投入できる最大運搬量に対して運搬中の飼料が不足した場合には再度の飼料製造工場へ戻り飼料コンテナへ飼料を再度積み込みをし、運搬効率が悪いことが挙げられている。
【0008】
特許文献2は、顧客である酪農家や農場が現実に必要とする飼料の量について考慮されていないため、飼料の供給者である飼料製造工場や運送側から見た場合に飼料を小分けで配送したところで、サイロから家畜へ供給された量は反映されていないため酪農家や農場が必要とする量を適切に供給できないことがある。
【0009】
つまり、小分けしたがサイロの積載量を多い場合には持ち帰りの発生または小分けにした飼料よりも家畜の飼料消費量が多い場合は、サイロに適切な飼料が供給できない場合がある。
【0010】
上記いずれの先行技術文献も酪農家や農場が必要とする量と、飼料の供給者である飼料工場や飼料運送会社が搬送する飼料の量とのマッチングが取れていないため、適切な量の飼料を供給できないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の飼料提供システムは、飼料を保管する飼料保管部と、保管された飼料を給餌部へ搬出する飼料搬出部と、を有しており、飼料搬出部から搬出される飼料の量を特定、または、給餌部に搬出された飼料の量を特定する搬出量特定部を有し、特定された飼料の量に基づいて、飼料保管部へ供給する飼料の量を特定する飼料供給量特定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、飼料の供給者である飼料工場や飼料運送会社が搬送する飼料の量とのマッチングが取れた適切な量の飼料を供給できるようになる。
【0013】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】飼料提供システムの全体像を示す概念図である。
図2】飼料提供システムのブロック図である。
図3】飼料提供システムの記憶部に記憶されるテーブルを示す図である。
図4】飼料提供システムの代表的な処理のフローチャートである。
図5】飼料提供システムの他の実施例の処理のフローチャートである。
図6】飼料提供システムの他の実施例の記憶部に記憶されるテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明を適用した飼料提供システムの実施例の説明をする。実施例を説明するための全図において、同一の構成には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。異なる図に記載される同一の符号であっても、他の図で説明した同一の符号は、原則として同一の構成であるため、説明を省略する場合がある。また、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0016】
以下、実施例について図1図2を用いて説明する。図1は、本実施例に係る飼料提供システムの全体像を示す概念図である。図2は本実施例に係る飼料提供システムのブロック図を示す。
【0017】
本実施例は酪農家が農場等の敷地内で用いられることを想定しているが、本システムの制御等を行う監視機器170の一部は酪農家の敷地内でなくともクラウド上に配置することも可能である。
【0018】
飼料搬送機構200は、飼料保管部100、飼料搬出部110、搬出量特定部130、飼料給餌部140及び飼料供給部160を備えている。この飼料搬送機構200は、後述する制御部210によって制御され、飼料保管部100に保管されている飼料を飼料給餌部140まで搬送する。
【0019】
飼料保管部100には、飼料供給部160から家畜150や150aの餌となる材料が供給される。家畜150や150aは牛、豚、鳥等であるが、代表して牛と豚を家畜150、150aとして示す。
【0020】
飼料保管部100は、サイロまたはサイレージとも呼ばれており、牧草等の材料を発酵させ、家畜150に必要となる栄養価を高められた飼料を保管するものである。近年では、タンク型のものだけでなく、所定量の牧草等の材料を袋詰めにしたものを平面上に配置するものもある。本実施例では代表して、タンク型の例を用いて説明するが、タンク型に限らず平面上のサイレージであってもよい。
【0021】
飼料搬出部110は、発酵した飼料120を飼料給餌部140まで搬送する。搬送の途中で搬出量特定部130が飼料120の重量、体積、または栄養価や発酵状態を計測する。飼料給餌部140に搬送された飼料120は、家畜150が摂取する。
【0022】
飼料120の重さや発酵状態等を含む飼料120の特性を計測するには制御部210に接続されたセンサ(図示せず)を用いる。センサは重さや匂い、ガス、発酵状態を計測するために温度、サーマルカメラやサーモグラフィの撮像素子等のセンサによって上記した重量、体積、または栄養価や発酵状態を特定する。温度センサを用いる場合には外気と飼料120の温度を観察し比較するとよい。例えば、タンク型の飼料保管部100を用いる場合には、タンク型サイロの搬出口の下部や飼料120の搬送経路上にセンサ等が配置しやすく利便性が高い。
【0023】
制御部210はPLC(Programmal Logic Controller)、IPC(Industrial Personal Computer)、IoT(Internet Of Things)コントローラまたはIoT(Internet Of Things)ゲートウェイ等の監視機器であってもよい。
【0024】
制御部210は、飼料120を搬送する飼料搬送部110の一例であるベルトコンベアやスクリューコンベア、センサも含めて飼料搬送機構200全体を制御する。クラウド上で制御する場合は、センサで計測したセンサ情報を含め、各種制御情報をIoTゲートウェイ経由でクラウド側と送受信することになる。
【0025】
このとき、制御部210は、家畜150が摂取する量、家畜150の成長度合いや体調等を考慮して搬送すべき飼料120の量を調整することができる。
【0026】
搬送すべき飼料120の量は、飼料供給部160へ供給された分と同様の量を供給することもできるが、サイロである飼料保管部100内部において生じる発酵によって供給した飼料120と飼料搬出部110から搬出され家畜150が消費する飼料120との量は必ずしも一致しないことがある。
【0027】
そのため、家畜150が消費する飼料120の量を特定するため飼料搬出部110から家畜150が消費する経路である搬出量特定部130が飼料120を計量等することで適切な供給すべき飼料120の量を特定することができる。
【0028】
飼料の購入量や飼料120の量は制御部210が特定することも可能である。家畜150が摂取する量を計測した場合に、飼料保管部100に保管されている飼料120の量と飼料搬出部110が搬出すべき飼料120の量を特定できるため、供給すべき飼料120の量を特定することができる。
【0029】
このとき供給を受けるべき飼料120の量とその量に対応する価格の情報を制御部210は通信手段(図示せず)を用いて入出力部230に送信する。入出力部230は受信した情報を表示部(図示せず)に表示させることができるので、本飼料提供システムを利用する酪農家は表示された価格分の飼料120を購入するか否かを確認することができる。
【0030】
なお、入出力部230は、タブレットやスマートフォン等の表示部の一例である出力部とタッチパネルが一体となったものであってもよく、また、表示部であるディスプレイとキーボード等が別体となっているものであっても実施できる。携帯電話や汎用コンピュータを用いたメールによる返信を入力として受け付けることもできる。
【0031】
また、酪農家は、入出力部230を操作して所定量の飼料120を購入し、入金した情報を入出力部230を介して、飼料供給情報制御部240へ入金情報を送信することができる。飼料供給情報制御部240は、受信した入金情報を飼料供給情報記憶部250に記憶しておくことができる。
【0032】
飼料120の供給者(以下、単に供給者と呼ぶ)は、飼料供給情報制御部240へ送信された入金情報を確認し、酪農家に所定量の飼料120を配送することができる。
【0033】
これにより、家畜150の摂取量を考慮しながら、飼料保管部100へ供給される飼料120の量を増減させることで適切な量の飼料120を酪農家に提供することができる。
【0034】
さらに、飼料120の購入量が決まっているようであれば、所定量を自動的に購入するように設定することも可能であり、事前決済や所定期間内に自由に利用できるサブスクリプション型の決済方法を用いて飼料120の購入と供給を行うこともできる。例えば、家畜150の成長を考慮し、月ごとの供給量を変化させることも可能である。
【0035】
この場合は、購入処理の手間が減り、酪農家の飼料120の管理コストを低減させることができる。また、供給者も一定量の購入が約束されているため、飼料受注発注の管理コストを低減させることができる。
【0036】
ここで、飼料供給情報制御部240は、必ずしも酪農家側のシステムとして持つ必要はなく、供給者が有する別システムに対して飼料の発注だけできる形であっても実施できる。この場合、入出力部230は当該別システムに連携されており、飼料120を購入した情報を飼料120の供給者に伝達することになる。
【0037】
飼料供給情報制御部240を供給者が有しているケースでは、各酪農家から購入したあるいは購入していない等の情報を酪農家ごとにまとめて飼料供給情報記憶部250に記憶させる利用方法も可能である。これによって、飼料120の供給者は酪農家ごとに配送手配をすべき飼料120の種類と配送先を計画することが容易となる。
【0038】
上記一連の処理によって、飼料保管部100から家畜150へスムーズに飼料120を提供することができる。また、適切な量の飼料120を家畜150だけでなく、酪農家にも提供できるため、酪農経営を効率的に行うことができる。
【0039】
さらに、家畜150の需要に合わせた適切な量の飼料120を飼料保管部100に提供することができるため、飼料120の提供者や飼料120を運ぶ運送員の人的コストも低減することができる。ひいては、酪農家または飼料供給者は飼料120の過剰在庫を減らすことになるため、飼料120の廃棄量を低減することができ、環境に優しい飼料提供システムを提供することができる。
【実施例1】
【0040】
次に、図3を用いて本実施例の飼料提供システムの処理の一例をフローチャートを用いて説明する。本フローチャートは、制御部210が飼料搬送機構200を制御することにより実行される。図3に示される処理は、酪農家側の飼料120を飼料保管部100から搬出する処理である。ステップS310から始まり、ステップS320では飼料保管部100から飼料給餌部140へ所定量の飼料120を搬送する。
【0041】
次に、ステップS330では搬出される飼料120の量を搬出量特定部130で計測することによる特定または飼料給餌部140で家畜150に供給される飼料120の量を計測する。いずれの方法で飼料120の量を計測してもよく、計測することで実際に家畜150に供給される飼料120の実測値が特定できる。
【0042】
その後、ステップS340では特定された飼料120の量に基づいて、飼料保管部100へ供給する飼料の量を特定する。つまり、実際に搬出された飼料120の量または家畜150が摂取した量に基づいて飼料保管部100へ供給する飼料120の量を特定することができるため、酪農家は適切な量の飼料120の供給を受けることが可能となる。
【0043】
飼料120の量に基づいて自動で供給量を特定されると望ましいが、飼料保管部100の発酵状態等で使用不可となる飼料120が生じる場合には、別途酪農家が購入量を調整し入出力部230に入力することができる。
【0044】
次に、ステップS350では、供給する飼料120の量に基づいて、飼料供給者が酪農家へ供給する飼料の対価を特定するステップである。飼料120の対価は飼料の種類に対応する単価と供給する飼料の量を乗算した値である。飼料の供給前または後に酪農家が飼料の対価を飼料供給者に支払うことができる。なお、ステップS340とステップS350はいずれを先に実施しても構わない。
【0045】
先に説明したように酪農家が供給される飼料の量を変更することも可能であるため、酪農家が必要な量の飼料と対応する価格が明確となり、酪農家の需要量と飼料供給者の供給量のマッチングが取れた飼料120を取引きすることができる。
【0046】
図4を用いて飼料供給情報記憶部250に記憶される飼料120を購入する処理に関する購入情報の管理に用いる飼料管理テーブル410について説明する。
【0047】
酪農家であるユーザAに関する情報が記憶されている。飼料供給情報記憶部250には、代表して家畜150が摂取する飼料120の種類を示す飼料情報、飼料120の単価を示す資料単価情報、酪農家が購入する飼料120の量を示す飼料購入量情報、飼料120の単価と酪農家が購入する飼料120の量とを乗算した飼料価格情報とが記憶されている。
【0048】
本実施例の飼料提供システムでは、図2に示す入出力部230の表示部に、飼料単価情報、飼料購入量、飼料購入量情報、飼料価格情報を表示させることができる。酪農家であるユーザAは、供給される飼料120の量と価格を確認することができる。このとき、ユーザAが購入するか否かを確認してもよい。購入方法については他の実施例で説明する。また、ユーザAが供給される飼料120の量や種類が正しいか否かを確認し、正しいことを示す情報を入出力部230に入力することができ、正しい場合に飼料供給者が飼料を供給するように処理することもできる。
【0049】
これにより、配送すべき飼料120の種類と配送する量を一元化できるため飼料供給者は飼料120を各酪農家へ向けた配送計画の立案を容易にできる。
【実施例2】
【0050】
以下、本発明を適用した実施例2を図5図6を用いて説明する。飼料提供システムは図1及び図2に示したシステムと同じであり、実施例1と同一の符号の説明は省略する。
【0051】
図5は酪農家であるユーザが飼料120を購入する場合としない場合の処理を示すフローチャートである。本フローチャートも、制御部210が飼料搬送機構200を制御することにより実行される。図3のS310からS350までは同一の処理であるため、説明を省略する。
【0052】
ステップS510では、供給する飼料120の量または供給する飼料120の価格の情報を入出力部230の表示部に表示させることで酪農家に通知する。なお、酪農家が飼料120の単価がわかっていれば、価格も計算できるため、飼料120の量だけを通知するようにしても良い。
【0053】
供給する飼料120の量または供給する飼料120の価格が通知された酪農家は、その飼料120を購入するか否かを判断し、その判断結果を入出力部230に入力する。ステップS520では、制御部210が入出力部230に入力された情報を判断し、購入する場合はステップS530の処理に移行し、購入しない場合はステップS540の処理に移行する。
【0054】
ステップS530では、飼料120を購入することを示す購入情報が飼料情報制御部240に送信される。供給者は飼料情報制御部240に送信された購入情報を確認することができる。確認方法は、供給者が直接飼料情報制御部240にアクセスする方法、逆に供給者が飼料情報制御システムに登録した情報端末に通知させる方法等がある。このとき、酪農家の購入の意志を示す情報の通知に限られず、入金や決済に関する入金情報を通知してもよい。
【0055】
言い換えると、酪農家は通知された飼料120の量や価格を確認した上で、通知された飼料120の代金を入金または購入する意志を示す購入情報を入出力部230に入力する。その後、供給者へ入出力部230に入力された入金または購入する意志を示す購入情報が通知される。
【0056】
以上により、酪農家の意志を供給者が確認でき、購入量や購入する種類を知ることができるため、配送すべき飼料120の種類と量の準備を行うことができる。
【0057】
一方、ステップS520で飼料を購入しないと判断した場合には、ステップS540に進む。ステップS540では、制御部210は、酪農家が入出力部230に入力した情報に従い、飼料120の量を変更したい場合なのか飼料120の量を変更もせずに購入しない場合なのかを判断する。
【0058】
飼料120の量を変更して購入する場合は、入出力部230に入力された変更された量を制御部210が判断してステップS530へ進む。なお、ここで変更するのは飼料120の量に限られず種類を変更することもできる。
【0059】
一方、制御部210が入出力部230に入力された情報から飼料120の量を変更もせず購入もしないと判断した場合は、ステップS550へ進む。ステップS550では、飼料120を購入しない意志である非購入または非入金を示す情報が飼料情報制御部240に送信される。供給者は飼料情報制御部240に送信された非購入または非入金を示す情報を確認することができる。確認方法は、供給者が直接飼料情報制御部240にアクセスする方法、逆に供給者が資料情報制御システムに登録した情報端末に通知させる方法等がある。
【0060】
言い換えると、酪農家は通知された飼料120の量や価格を確認した上で、通知された飼料120の代金を入金しないまたは購入しない意志を示すことを入出力部230に入力する。その後、制御部210は非入金情報を生成する。生成された非入金情報は供給者へ通知される。
【0061】
これにより、酪農家が飼料120の購入をしないことを供給者が知ることができる。非入金情報は飼料120の価格を入金しないことを示す情報である。また、非購入または非入金情報は決済していないことを示す情報であってもよい。
【0062】
さらに、供給者へ非入金情報が通知された後に、所定期間が経過すると、再度、供給者へ購入情報が生成されていないこと、すなわち、酪農家が飼料120を購入する意志がないことを改めて供給者へ通知する。このとき、酪農家の入出力部230に飼料120の代金が未入金、または購入の意志を示していないことを表示するとよい。数回に分けて酪農家と供給者に通知することもできる。つまり、酪農家または供給者が購入情報を確認するリマインド機能である。供給者は酪農家が飼料120を購入する意志がないことを事前に知ることや、システムトラブルにより購入できていない可能性があることを知ることができる。
【0063】
例えば、飼料120の配送の都合、いつまでに購入または入金することを入出力部230に表示し、決済や入金の情報が得られない場合には、飼料の供給者へ非購入または非入金情報を送信することができる。
【0064】
この供給の停止を確認できるようにすることにより、誤って飼料の供給者が酪農家へ飼料120を配送することを防止することができる。その後、ステップS580で処理が終了する。改めて飼料120の酪農家が購入を希望する場合には、ステップS310から開始することもできる。
【0065】
上記のフローチャートに対応する飼料供給情報記憶部250に記憶される飼料120を購入する処理に関する購入情報の管理に用いる飼料管理テーブル610について図6を用いて説明する。なお、図4で説明した飼料管理テーブル410と重複する符号については、説明を省略する。 飼料管理テーブル610は、飼料管理テーブル410に、飼料価格情報に基づいて酪農家が飼料120を購入したか否かを示す購入情報、購入した場合に飼料120をいつまでに供給する、もしくは、購入しない場合に飼料120の供給を停止すべきであるかを示す飼料供給量情報が追加されている。
【0066】
ユーザAの場合は、図2に示す入出力部230に、飼料単価情報、飼料購入量、飼料購入量情報、飼料価格情報を表示し、ユーザAに表示された量の飼料120を購入するか否かを通知する。
【0067】
通知を受けたユーザAは入出力部230から情報を入力することでに購入する意志を示す。意志の示し方はどのような方法であってもよく、購入した後に支払う形でもよいし、別途購入の意志を示した後に、別のシステムで入金、引き落とし等の処理を行っても良い。もちろん、本システム内で決済まで行うことも可能である。
【0068】
具体的には、ユーザAの飼料120の購入する意志を示す情報が図2に示す入出力部230に入力されると、入出力部230は飼料供給情報制御部240に対して飼料120を購入または購入する意志を示す情報を送信する。図6に示す例では、ユーザAが2019年10月15日に飼料aをxkgであって価格がaa×x円購入したとの情報が送信される。
【0069】
飼料供給情報制御部240は受信した購入情報を飼料供給情報記憶部250に記憶させる。この受信した購入情報を基に、供給者はユーザAに対して飼料aをxkg配送する計画を立て、実際に配送を行う。
【0070】
別途記憶させる飼料保管部100の状況を入出力部230と飼料供給情報制御部240とがやりとりすることで、飼料保管部100の空き容量を考慮し複数回に分けて配送されるように購入量を特定することもできる。この場合は、ユーザAの飼料保管部100の空き容量を超えないように配送することができ、余った分の飼料120を飼料供給者が持ち帰る必要がなくなる。
【0071】
また、飼料の供給者が供給する飼料の量と、酪農家であるユーザAが必要とする飼料の量を調整するには、過去に消費した飼料の量や、現在消費している飼料の量がわかるとよい。そこで、本例では、過去である先月の2019年9月の飼料の消費量を参照しつつ、現在の月である2019年10月の飼料の消費量を比較することができる。10月の飼料の消費量は10月p日現在とすることで、搬出量特定部130が計量した値を表示することができる。これにより先月との比較ができ、必要な飼料や搬送が差し迫っているかどうかの判定が可能となる。
【0072】
また、例えば、参照日を2019年10月現在を基準として2018年10月や周辺の月の飼料の消費量を表示すると、対応する月や季節に応じた家畜150の飼料120の消費量を比較することができ飼料の消費量だけなく、家畜150の成長度合いも確認でき有効である。飼料の供給者は、ユーザBのように2019年10月に配送すべきykgと残り配送量zkgを比較することで飼料120の搬送計画が立てやすくなる。
【0073】
これらの過去の家畜150の消費量と搬出量特定部130で計量した消費した飼料120の量に基づいて、来月の飼料購入量を設定することもできる。これにより、現在の消費量を用いて来月に必要な飼料120の量を特定でき、家畜150の成長に応じた飼料120の量の供給を酪農家は受けることができる。
【0074】
搬出量特定部130で計量した実際に家畜150へ供給した飼料120の量は、酪農家から飼料供給者へ提供すると上記の効果を得ることができる。また、酪農家側のシステムでは、家畜150や家畜150aそれぞれの飼料120の消費量を特定し、表示することもできる。ユーザB、Cも同様に過去と現在(参照日が属する月)の情報を確認することができる。
【0075】
次に、ユーザBについて説明する。ユーザBは飼料bをykgであってbb×y円の表示がなされたが、購入しない場合を示している。購入していないため、購入情報は2019年11月に配送予定であった飼料が未購入であることが示されている。つまり、このまま購入されない場合には、2019年11月には飼料供給者はユーザBに対して飼料bの配送をしないこととなる。
【0076】
一方で、2019年10月分は購入済みであるため、飼料供給者はユーザBに対して残りの配送料zkgを10月31日までに配送しなければならないことが飼料供給量情報に記載されている。
【0077】
これにより、配送すべき飼料120の種類と配送する量を一元化できるため飼料供給者は飼料120を各酪農家へ向けた配送計画の立案を容易にできる。また、ユーザBが未購入である場合には、未購入情報であることを未購入通知情報に記憶させることができる。ユーザBが購入手続を忘れている可能性もあるので、購入を促す通知をすることができビジネスを円滑に進めることができる。
【0078】
また、未購入通知情報には、購入を促す通知をした回数を記憶させることにより、過度な通知を抑制することで、供給者と管理者のコミュニケーションを円滑にすることができる。併せて、通知を行った日を記憶させることもでき、一定期間ごとにリマインダーを通知することもできる。なお、飼料120を購入した場合には、未購入通知情報には通知不要と記憶することで、不要な通知しないよう管理できる。
【0079】
このように、飼料の購入を停止することが予め確認できるため、飼料供給者自身の仕入れや飼料の製造量の調整が従来よりも容易となる。
【0080】
次に、ユーザCについて説明する。飼料購入量と価格の説明はユーザAとBと同様のため省略する。ユーザCが他のユーザと異なる点は決済方法である。
【0081】
ユーザCは、購入(入金)情報の欄に、2020年3月まで購入済みとされ、2019年度(2019年4月から2020年3月まで)は、kg単価cc円の飼料cを毎月zkgまで自由に利用できることを示している。飼料供給者は家畜150らの消費量に応じて、毎月zkgまで搬送することができる。
【0082】
なお、例えば、ユーザCは2019年度の10月に飼料cが足りなくなった場合には、追加で購入することもできるが、この場合は従量課金であり、ユーザCから飼料供給者へ追加した飼料の分に応じた費用の支払いが必要となる。飼料供給者は、ユーザCに対して従量課金分の飼料を通常の購入に比べてディスカウントすることも可能である。従量課金分をディスカウントすることで、必要分を細かく購入する通常の決済方法に比べて年や月で一定量をまとめて供給するサブスプリクション型決済方式を導入することで、供給者と酪農家双方が決済や飼料の保管料の監視が勘弁になり、また、搬送計画が容易に立てられるため、酪農全体の効率が向上する。
【0083】
また、ユーザCは2019年度の飼料をまとめて購入しているが、2020年度(2020年4月から2021年3月)については決済していない。そこで、未購入情報の欄に、2020年2月1日に2021年度の飼料を事前決済を行うかの通知をする情報を記憶させることで、ユーザCが来年度分の決済を忘れないようリマインドすることができる。事前決済が早い場合には、所定量のディスカウントをする仕組みを導入することができる。ディスカウントした場合であっても飼料供給者は来年度分の需要を知ることができ、飼料の製造計画を早くから立てることができるため有効である。
【0084】
以上説明した各実施例の構成を取ることにより、飼料の供給者である飼料工場や飼料運送会社が搬送する飼料の量とのマッチングが取れた適切な量の飼料を供給できるようになる。ひいては、適切な量の飼料の供給と供与によって廃棄される飼料を低減させることによって、環境負荷を小さくすることができる。また、飼料の需要に対応する量の飼料の搬送を行うことできるため、消費される飼料の量を確認しながら搬送計画を早期に立案でき、搬送コストを低減させつつ効率的な搬送が行えるため、人手不足への貢献ができる。
【0085】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、様々の変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0086】
100:飼料保管部(サイロ)、110:飼料搬出部、120:飼料、130:搬出料特定部、140:飼料給餌部、150、150a:家畜、160:飼料供給部、170:監視機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6