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  • 特許-竪型破砕機用破砕刃 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】竪型破砕機用破砕刃
(51)【国際特許分類】
   B02C 13/28 20060101AFI20240703BHJP
   B02C 13/18 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B02C13/28 Z
B02C13/18 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020016137
(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公開番号】P2021122759
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100213746
【弁理士】
【氏名又は名称】川成 渉
(72)【発明者】
【氏名】中野 中経
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-159072(JP,U)
【文献】米国特許第03970255(US,A)
【文献】実開昭52-043164(JP,U)
【文献】特開2003-010708(JP,A)
【文献】実開昭52-022267(JP,U)
【文献】登録実用新案第3059210(JP,U)
【文献】特開2011-036767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 13/00-31
B02C 18/00-38
B09B 3/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁面にライナを有する筒形のケーシング内に配置されたフレーム最上段の支持板上で回動するように、
ケーシングの中心軸上に回動自在に配置された回転軸に一端を結合されるアーム部材により形成される連結部と、
該連結部の回転方向側の前面に設けられる破砕部とを含
該破砕部は、
前記支持板との間で鋭角の開口空間を形成する、上方から下方に行くに従って回転方向に対向する方向へと漸次に傾斜する面を含む面状刃
および/または回転方向に向かって延びる少なくとも1つの円錐状または角錐状の突起刃を備える、
竪型破砕機のブレーカに用いられる破砕刃。
【請求項2】
前記破砕部は、方形の略垂直方向に延びる平坦面部と平坦面部の下端から下方に向かうに従って回転方向に対向する方向へと漸次に傾斜する面であるテーパ面部とを有する面状刃と、面状刃の平坦面部から回転方向に向かって延びる少なくとも1つの円錐状または角錐状の突起刃とを含む、請求項1に記載の破砕刃。
【請求項3】
前記連結部は一端を回転軸に結合される方形断面のアーム部材により形成され、前記面状刃は回転方向に関して上方端縁が下方端縁よりも前方に位置するように傾斜されたアーム部材の4面のうちの一つの面である、請求項に記載の破砕刃。
【請求項4】
記破砕部はアーム部材の回転方向側に着脱自在に取り付けられる面状刃および/または突起刃により形成される、請求項1又は2に記載の破砕刃。
【請求項5】
前記連結部のアーム部材並びに破砕部の面状刃または突起刃或いは面状刃および突起刃が別体で形成され、それぞれ相互に着脱自在に結合されるように構成される、請求項に記載の破砕刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粗大ゴミや産業廃棄物などの破砕対象物を破砕処理するための竪型破砕機の破砕刃に関し、特に、破砕対象物を粗破砕するためのブレーカに用いられる破砕刃に関する。
【背景技術】
【0002】
粗大ゴミや産業廃棄物などの破砕対象物は年々増加しており、破砕対象物を破砕処理するための機械としては、国内では、横型に比べて場所的に効率的な竪型破砕機が用いられている。竪型破砕機は、周知のように、ケーシングの上方から投入された破砕対象物をブレーカで粗破砕し、次いで、ブレーカの下方に配置されたグラインダによって所定の大きさまで細破砕するように構成されている。
【0003】
このような竪型破砕機は、種々の寸法、形状、重量を有する破砕対象物を、グラインダで細破砕するのに適した大きさまでブレーカによって粗破砕する必要がある。一方、破砕対象物を見ると、例えば、家電製品のように嵩は大きいが内部空間が大きいものや、黒モータのように嵩は小さいが固くて壊し難いもの等のように、種々の形状、寸法、重量バランス等が異なるものが混在している。
【0004】
従来のブレーカは、一般的に、回転する棒状のブレーカによって破砕対象物を弾き飛ばし、ケーシング内壁に設けられたライナに衝突させることにより破砕するか(特許文献1および2参照)、或いは、回転する棒状のブレーカの回転方向先端に設けられた破砕刃により、混在する種々の破砕対象物を切断破砕する(特許文献3参照)ように構成されている。そのため、特に嵩は大きいが内部空間が大きい破砕対象物、中でも重量バランスが不均等な冷蔵庫のような破砕対象物を破砕するとき、回動するブレーカによって破砕対象物が掬われて転がることで破砕が行われず、破砕刃が破砕対象物に作用を及ぼす状態になるまでに時間を要している。破砕対象物をグラインダへ送出可能な寸法の破砕片に破砕する時間が長くなることは、ブレーカから後段のグラインダに破砕片が送られず、破砕機全体として空転状態となる時間を招くこととなり、破砕処理時間を無用に長引かせ、作業効率の低下、処理コストの増加等を引き起こす要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-36145号公報
【文献】特開2013-132631号公報
【文献】特開2003-10708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、竪型破砕機の初段階であるブレーカによる破砕対象物の破砕を確実に行うことができ、それにより、破砕機に空転時間が生じるのを回避し、破砕処理の作業効率を高め、破砕対象物の破砕処理コストを低減することができる竪型破砕機用破砕刃を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による竪型破砕機のブレーカに用いられる破砕刃は、内壁面にライナを有する筒形のケーシング内に配置されたフレーム最上段の支持板上で回動するように、ケーシングの中心軸上に回動自在に配置された回転軸に一端を取り付けられる連結部と、該連結部の回転方向側の前面に設けられる破砕部とを含む。
【0008】
本発明による破砕刃の破砕部は、方形の略垂直方向に延びる平坦面部と平坦面部の下端から下方に向かうに従って回転方向に対向する方向へと漸次に傾斜するテーパ面部とを有する面状刃と、面状刃の平坦面部から回転方向に向かって延びる少なくとも1つの円錐状または角錐状の突起刃とを含むようにも構成できる。また、本発明による破砕刃は、破砕部が回転方向に向かって延びる少なくとも1つの円錐状または角錐状の突起刃を含むこともでき、さらにまた、破砕部が上方から下方に行くに従って回転方向に対向する方向へと漸次に傾斜する面状刃を含むこともできる。
【0009】
また、本発明による破砕刃の連結部は一端を回転軸に結合されるアーム部材により形成し、破砕部をアーム部材の回転方向側に着脱自在に取り付けられる面状刃および/または突起刃により形成することもできる。さらに、連結部のアーム部材並びに破砕部の面状刃または突起刃或いは面状刃および突起刃を別体で形成し、両者を相互に着脱自在に結合するように構成することもできる。さらにまた、一端を回転軸に結合される連結部のアーム部材を方形断面を有する部材で形成し、アーム部材の4面のうちの一つの面の上方端縁が回転方向に関して下方端縁よりも前方に位置するように傾斜させることにより面状刃として機能させることもできる。
【発明の効果】
【0010】
黒モータのように小さく固い破砕対象物を破砕するとき、破砕対象物は破砕刃のテーパ面部と支持板との間に保持された形態で回転されるため、破砕対象物がブレーカ上を飛び跳ねてしまうのを回避することができ、それにより、ケーシング内壁面のライナに確実に衝突させて破砕することができる。
【0011】
一方、冷蔵庫のような破砕対象物を破砕する場合には、突起刃が破砕対象物に貫入することによって破砕対象物が掬われて転がってしまうのを阻止し、破砕対象物を遠心力によりケーシング内壁面に設けられたライナと衝突させて確実に破砕すると共に、平坦面部の下方に設けられたテーパ面部と破砕刃の下方に隣接して配置された円盤状の支持板とが協働して破砕対象物を確実に破砕することができ、それにより、ブレーカの下方に配置された細破砕のためのグラインダで破砕可能な大きさに粗破砕された破砕片に短時間で破砕して送り込むことができる。
【0012】
本発明による破砕刃はまた、破砕刃を回転アームに着脱自在に取り付け、或いはまた、突起刃を面状刃に着脱自在に取り付けていることにより、破砕作業によって破砕刃に変形や欠損等を生じた場合、簡単に修理または交換することができ、破砕作業の作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例による破砕刃を用いた竪型破砕機の例を示す断面図である。
図2図1に示す破砕刃を回転軸方向に見た概要図である。
図3図2に示す破砕刃を回転方向側から見た概要図である。
図4図2に示す破砕刃を回転半径方向外方側から見た概要図である。
図5】本発明の実施例による破砕刃の変形例を示す図4と同様な図である。
図6】本発明の実施例による破砕刃の別の変形例を示す図4と同様な図である。
図7】本発明の実施例による破砕刃のさらに別の変形例を示す図4と同様な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による一実施形態について、以下、添付の図面に沿って説明する。
【0015】
本発明の一実施形態による破砕刃を適用可能な竪型破砕機は、概して汎用的な構造形体を有する竪型破砕機であり、図1に例示するように、円筒形、倒立截頭錐体形またはその他の適当な中空筒状形体(図示の場合、円筒形)を有するケーシング1と、ケーシング1の中心軸上に配置される回転軸2と、Vベルト、歯車機構またはその他の適当な力伝達手段(図示なし)を介して回転軸2を回動させるためのモータまたはその他の適当な動力源(図示なし)とを備える。
【0016】
回転軸2には、回転軸2の上端側に破砕対象物を粗破砕するためのブレーカ3が装着され、ブレーカ3の下方側に粗破砕された破砕対象物を細破砕するためのグラインダ4が装着される。グラインダ4は細破砕を行うことができる手段であればどのような手段であってもよく、図示の場合、公知の多段式リングハンマ41が用いられている。このグラインダ4の構成および作用効果については当業者であれば容易に理解し得るので本説明ではその説明を割愛する。
【0017】
本発明の特色であるブレーカ3は、回転軸2に一端を結合された少なくとも1つ(図示の場合、2つ)のアーム部材50と、アーム部材50の回転方向側に取り付けられる破砕刃5と、破砕刃5の下方に隣接して設けられる円盤状の支持板6から構成される。破砕刃5は、図2~4に示すように、アーム部材50の回転方向に対して略垂直方向に延びるように取り付けられる方形の平坦面部511と平坦面部511の下端から下方に向かうに従って漸次に回転方向に対向する方向へ延びるテーパ面部512とを有する面状刃51と、面状刃51から回転方向へ延びる少なくとも1つ(図示の場合、2つ)の円錐状または角錐状の突起刃52とから構成される。ここにおいて、支持板6は、慣用の竪型破砕機のブレーカに用いられているものと同様な構造および作用効果を有するものであるので、その詳細については割愛するが、面状刃51のテーパ面部512との間で鋭角の開口空間を形成することに留意されたい。
【0018】
面状刃51は、破砕対象物による損傷を避けるために沈頭ボルト513によってアーム部材50に着脱自在に取り付けられる。突起刃52は、破砕作業中に変形または損傷等のダメージを受けた際に簡単に補修または交換できるように、螺着またはその他の適当な着脱自在な手段で面状刃51に取り付けられる。
【0019】
上述の如く構成される本発明の破砕刃は、破砕対象物がケーシング1の上方から投入されると、周知の竪型破砕機と同様に、ブレーカ3によって粗破砕された後、ブレーカ3からグラインダ4に送られて細破砕される。破砕対象物が黒モータのように嵩は小さいが固くて壊し難いものである場合、破砕対象物は、面状刃51のテーパ面部512と支持板6とにより形成される空間に部分的に保持された状態で回転されるため、ケーシング1の内周壁に設けられたライナ11に確実に衝突させて破砕することができる。一方、破砕対象物が冷蔵庫のように嵩は大きいが内部空間が大きい場合、破砕対象物は、円錐状の突起刃52が破砕対象物に貫入して保持し、アーム部材50の回転時に破砕対象物が掬われて転がってしまうのを阻止することができ、それにより、破砕対象物を遠心力によりケーシング1のライナ11に衝突させて破砕すると共に、面状刃51のテーパ面部512と破砕刃の下方に隣接して配置された支持板6とが協働して破砕対象物を確実に破砕して、ブレーカ3の下方に配置されたグラインダ4に送出可能な大きさに粗破砕された破砕片を短時間で作成して送り込むことができる。
【0020】
上述の説明において、本発明の破砕刃5が突起刃52と面状刃51とを併せ持つように説明したが、図5および図6に例示するように、重量バランスが不均等な破砕対象物を主とする場合には、突起刃52のみ(図5参照)を、また、小さく固い破砕対象物の場合には、面状刃51のみ(図6参照)を備えていれば十分に適合できることは容易に理解されよう。さらに、面状刃51のみの場合、図7に示すように、アーム部材50を方形断面の部材で作成し、回転方向に関して上方端縁が下方端縁よりも前方に位置するように設置することにより、アーム部材50の4面のうちの一つの面をテーパ面部512として機能させることができることもまた容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0021】
1 ケーシング
11 ライナ
2 回転軸
3 ブレーカ
4 グラインダ
41 多段式リングハンマ
5 破砕刃
50 アーム部材
51 面状刃
511 平坦面部
512 テーパ面部
513 沈頭ボルト
52 突起刃
6 支持板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7