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特許7514087能動型磁気軸受と共に使用するための改善された信号調整回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】能動型磁気軸受と共に使用するための改善された信号調整回路
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20240703BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20240703BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G01D5/245 E
F16C32/04 A
G01B7/30 M
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020037549
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2020169978
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】1903224.2
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520077458
【氏名又は名称】ウォーキショー ベアリングス エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Waukesha Bearings LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デービス、ナイジェル ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】レオン、チウ ホン
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-091378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00 ~ 5/252
F16C 32/00 ~ 32/06
G01B 7/00 ~ 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導性検出回路であって、
駆動信号を生成するように構成された信号発生器と、
1つまたは複数の検出配置であって、該1つまたは複数の検出配置の各々は、
ハーフブリッジ配置で構成された1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組であって、該1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組は、該駆動信号によって駆動される、
1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組と、
補正信号を生成するように構成された補正信号回路であって、該補正信号は、該駆動信号の調節可能にスケーリングされたバージョンである、補正信号回路と、
該1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組の出力信号を該補正信号と加算するように構成された加算回路と、
を備える、1つまたは複数の検出配置と、
該1つまたは複数の検出配置の各々の該加算回路の出力を復調するように構成された復調回路と、
を備える、誘導性検出回路。
【請求項2】
前記復調回路は、前記1つまたは複数の検出配置の各々の前記加算回路の出力を対応するデジタル出力信号に変換するように構成されたアナログ/デジタル変換器を備える、請求項1に記載の誘導性検出回路。
【請求項3】
前記1つまたは複数の検出配置の各々は、前記補正信号の前記スケーリングを調整するように構成された信号調節手段を更に備える、請求項1または2に記載の誘導性検出回路。
【請求項4】
前記1つまたは複数の検出配置のうちの第1の検出配置の前記誘導性検出素子の2つの組は、ロータの外周の周りに配置される、請求項1から3のいずれかに記載の誘導性検出回路。
【請求項5】
前記1つまたは複数の検出配置のうちの第1の検出配置の前記誘導性検出素子の2つの組は、ロータの軸に沿って配置される、請求項1から4のいずれかに記載の誘導性検出回路。
【請求項6】
前記1つまたは複数の検出配置の各々は、前記加算回路の出力と前記復調回路との間に結合された増幅器回路を更に備える、請求項1から5のいずれかに記載の誘導性検出回路。
【請求項7】
前記1つまたは複数の検出配置の各々の前記補正信号回路から前記信号発生器を分離するための変換器を更に備える、請求項1から6のいずれかに記載の誘導性検出回路。
【請求項8】
前記駆動信号は正弦波信号である、請求項1から7のいずれかに記載の誘導性検出回路。
【請求項9】
前記駆動信号のDC成分を除去するための手段を更に備える、請求項1から8のいずれかに記載の誘導性検出回路。
【請求項10】
前記1つまたは複数の検出配置の各々の前記1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組を駆動するように構成された平衡電圧駆動部を更に備える、請求項1から9のいずれかに記載の誘導性検出回路。
【請求項11】
前記復調回路は、アナログ/デジタル変換器の1つまたは複数の出力に結合された1つまたは複数の同期復調回路を更に備える、請求項1から10のいずれかに記載の誘導性検出回路。
【請求項12】
前記1つまたは複数の同期復調回路は、前記アナログ/デジタル変換器の前記1つまたは複数の出力から雑音を除去するように構成される、請求項11に記載の誘導性検出回路。
【請求項13】
レシオメトリック機能を行うための手段を更に備える、請求項11または12に記載の
誘導性検出回路。
【請求項14】
前記信号発生器は、前記同期復調回路のうちの1つまたは複数に同期信号を提供するように構成される、請求項11から13のいずれかに記載の誘導性検出回路。
【請求項15】
前記誘導性検出素子は渦電流センサ素子である、請求項1から14のいずれかに記載の誘導性検出回路。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の誘導性検出回路を備える能動型磁気軸受。
【請求項17】
1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組の出力信号を補正するための方法であって、該方法は、
駆動信号を生成することと、
該駆動信号を適用することによって、該1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組を駆動することと、
補正信号を生成することであって、該補正信号は、該駆動信号の調節可能にスケーリングされたコピーであることと、
該1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組の該出力信号を該補正信号と加算することと、
該加算された信号を復調することと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記加算された信号を復調することは、前記1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組の前記加算された出力信号を、対応するデジタル出力信号に変換することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
信号調節手段を介して前記補正信号の前記スケーリングを調節することを更に含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組の前記加算された出力信号を増幅することを更に含む、請求項17から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記補正信号を生成する際に用いるために前記駆動信号のコピーを分離することを更に含む、請求項17から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記駆動信号のDC成分を除去することを更に含む、請求項17から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記加算された信号を復調することは、デジタル出力信号を同期して復調することを更に含む、請求項17から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記デジタル出力信号を同期して復調することは、前記デジタル出力信号から雑音を除去することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
レシオメトリック機能を実行することを更に含む、請求項23または24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子機器の分野に関する。特に、本発明は、能動型磁気軸受と共に使用するための改善された信号調整回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータを支持するための能動型磁気軸受は、従来から、電子サーボ回路を用いた変位センサによって制御される可変励起を用いた電磁石を含む。変位センサは、基準位置に対するロータの位置の変化に感応する。変位センサは、光学型、静電容量型、渦電流型または誘導型とすることができる。
【0003】
誘導性位置センサは、ステータに固定され、ロータと一体の基準リングまたは「ターゲット」と協働する、可変ギャップを有する誘導性素子の組を含む。基準リングは、従来から、磁気シートで構成されるかまたはフェライトから作製されたリングを含む。製造欠陥および構築公差により誘導性センサ素子の性能が限定されるため、基準リングは、細心の注意を払って製造されなくてはならない。
【0004】
磁気軸受用途で使用されるブリッジ型の誘導性位置センサは、従来から、アナログ電子回路を用いて実施された位相感応(同期)復調回路を用いる。同期復調回路の性能を最適化するために、基準波形の位相は、ロータが中央位置から変位されるとき、センサからの出力信号の位相に整合するように調節されるべきである。アナログ同期復調回路を用いる場合、この移相は、従来から、システムが最終設置状態にあるときに、設置されたフィールドケーブルと整合されるRCフィルタネットワークを用いて実行される。
【0005】
磁気軸受システムの自動化された遠隔コミッショニングに向けた動きにより、コントローラ回路部内のこのタイプの調節は不都合であり、復調回路の位相を遠隔でまたは自動的に最適化する方法が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、磁気軸受と共に使用するための改善された信号調整回路が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、誘導性検出回路であって、駆動信号を生成するように構成された信号発生器と、1つまたは複数の検出配置であって、1つまたは複数の検出配置の各々は、ハーフブリッジ配置で構成された1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組であって、この1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組は駆動信号によって駆動される、1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組と、補正信号を生成するように構成された補正信号回路であって、補正信号は、駆動信号の調節可能にスケーリングされたバージョンである、補正信号回路と、1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組の出力信号を補正信号と加算するように構成された加算回路とを備える、1つまたは複数の検出配置と、1つまたは複数の検出配置の各々の加算回路の出力を復調するように構成された復調回路とを備える、誘導性検出回路を提供する。
【0008】
本発明はまた、1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組の出力信号を補正するための方法であって、方法は、駆動信号を生成することと、駆動信号を適用することによって、1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組を駆動することと、補正信号を生成することであって、補正信号は、駆動信号の調節可能にスケーリングされたコピーであることと、1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組の出力信号を補正信号と加算することと、加算された信号を復調することとを含む、方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、本明細書において開示される誘導性検出回路を備える能動型磁気軸受を提供する。
【0010】
本発明の更なる詳細、態様および実施形態は、図面を参照して単なる例として説明される。図面において、類似の参照符号が、同様の、または機能的に似た要素を識別するのに用いられる。図面における要素は、単純かつ明確にするために示され、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】典型的な径方向の誘導性位置センサ配置のハイレベル・ブロック図である。
【0012】
図2】誘導性位置センサ素子配置の典型的なデジタル実装のブロック図である。
【0013】
図3】理想的なシステムについて、ロータが1つの運動軸において、一方の側でタッチダウン軸受に接触する状態から、機械的中心位置を通って、他方の側でタッチダウン軸受に接触する状態に横断する際に、誘導性センサ素子の対向する対によって形成されるハーフブリッジの出力信号の例を示す図である。
【0014】
図4】センサ素子の電気的または機械的中心を、タッチダウン軸受の機械的中心からオフセットさせる、構築公差の結果として生じるオフセット波形の例を示す図である。
【0015】
図5】能動型磁気軸受システム内で用いられる径方向の誘導性位置センサのための典型的な配列を示す図である。
【0016】
図6】能動型磁気軸受システム内で用いられる軸方向の誘導性位置センサのための典型的な配列を示す図である。
【0017】
図7】能動型磁気軸受システム内で用いられる軸方向の誘導性位置センサのための基準リングとしてディスクを用いる典型的な配列を示す図である。
【0018】
図8】本開示の実施形態による、誘導性位置センサ配置のための改善されたセンサ設計を示す図である。
【0019】
図9】改善されたセンサ設計を用いて得られた図4等における未加工センサ信号から導出された例示的な補正波形を、補正波形の同相成分と共に示す図である。
【0020】
図10】誘導性センサ配置からの出力信号を調整するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に開示される本発明の実施形態は、基準リングまたは誘導性センサ素子の製造公差からの誤差に耐性があるのみでなく、対向する誘導性検出素子のインピーダンスの不一致にも耐性がある誘導性位置検出装置および方法を提供する。
【0022】
以下の開示全体を通じて、「誘導性センサ素子」に言及する。各誘導性センサ素子は、単一の誘導性センサ素子でなくてもよく、代わりに、直列構成の1つまたは複数の誘導性センサ素子であってもよいことを理解されたい。
【0023】
図1は、典型的な径方向の誘導性位置センサ配置の概略ブロック図を示す。通常、信号の「同相」成分の同期復調を用いて、センサ出力から雑音および/または干渉信号を除去する。図1は、ロータ102の外周の周りに配置された複数の誘導性センサ素子132a、132b、134aおよび134bを示す。誘導性センサ素子132aおよび132bは第1の対を形成する。誘導性センサ素子134aおよび134bは第2の対を形成する。誘導性センサ素子132aおよび132bの第1の対は、周方向に、ロータ102の回転軸に対して互いに正反対に配置される。同様に、誘導性センサ素子134aおよび134bの第2の対は、周方向に、ロータ102の回転軸に対して互いに正反対に配置される。信号発生器110は、正弦波駆動信号112を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、駆動信号は、非正弦波である場合があり、例えば、方形波であり得る。信号発生器110は、平衡電圧駆動部120に作動的に結合される。また、信号発生器110は、第1のおよび第2の同期復調回路部152および154に同期信号を提供する。この同期信号は、第1のおよび第2の同期復調回路部152および154において同期復調を行うのに用いられる畳み込みアルゴリズムへの1つの入力を提供することができる。
【0024】
誘導性センサ素子132aおよび132bは第1の対は、第1のハーフブリッジ配置で接続される。誘導性センサ素子134aおよび134bの第2の対は、第2のハーフブリッジ配置で接続される。平衡電圧駆動部120の第1の出力122は、第1および第2のハーフブリッジ配置の各々の第1の入力に結合される。平衡電圧駆動部120の第2の出力124は、第1および第2のハーフブリッジ配置の各々の第2の入力に結合される。任意選択で、平衡電圧駆動部120は、信号発生器110からの正弦波駆動信号112を増幅させるように構成された回路部を含むことができる。本明細書における例および実施形態は平衡電圧駆動部120の使用を参照するが、いくつかの代替的な実施形態において、代わりに、シングルエンド電圧駆動部が用いられてもよいことを理解されたい。第1のハーフブリッジ配置からの出力142は、第1のオプションの信号調整回路部180の第1の入力に作動的に結合される。第1のオプションの信号調整回路部180の第1の出力142’は、第2の同期復調回路部154の第1の入力に結合される。第2のハーフブリッジ配置からの出力144は、第1のオプションの信号調整回路部180の第2の入力に作動的に結合される。第1のオプションの信号調整回路部180の第2の出力144’は、第2の同期復調回路部154の第2の入力に結合される。第2の同期復調回路部154は、第1の(132a、132b)および第2の(134a、134b)ハーフブリッジ誘導性センサ素子配置またはオプションの信号調整回路部180の出力142’および144’の各々から、雑音および/または干渉信号を除去し、それぞれのセンサ出力(すなわち、特定の軸に沿ったロータ102の位置を示す信号)のみが残るようにするように構成される。
【0025】
素子158は、平衡電圧駆動部120の出力122および124(一方または双方)のコピーを、シングルエンド信号159に変換する。素子158からのシングルエンド信号159は、第2のオプションの信号調整回路部181の入力に作動的に結合される。第2のオプションの信号調整回路部181の出力159’は、第1の同期復調回路部152の入力に結合される。第1の同期復調回路部152は、シングルエンド信号159から雑音および/または干渉信号を除去するように構成される。第2の同期復調回路部154の第1および第2の出力162および164は、レシオメトリックブロック156の第1および第2の入力に作動的に結合される。第1の同期復調回路部152の出力166は、レシオメトリックブロック156の第3の入力に作動的に結合される。図1では、第1および第2の同期復調回路部152および154が別個のブロックとして示されているが、これらは、単一の回路として、または2つ以上の別個の回路として実施されてもよい。同様に、第1および第2のオプションの信号調整回路部180および181は、単一の回路または複数の独立回路として実施されてもよい。レシオメトリックブロック156は、センサ信号162および164を、能動型磁気軸受のアクチュエータおよび/または電磁石を制御する際に用いるための意味のある出力信号に変換するように構成される。信号166は、平衡電圧駆動部120の出力における変動によって生じる任意の影響を排除するために信号162および164を変換する際の基準信号として用いられる。同期復調は、アナログ実装またはデジタル実装のいずれを用いても行うことができる。
【0026】
いくつかの例において、誘導性センサ素子132a、132b、134aおよび134bは、ロータ102の外周の周りで等間隔に離間することができる(すなわち、誘導性センサ素子132a、132b、134aおよび134bの各々の間が90°)。いくつかの実施形態では、誘導性センサ素子132a、132b、134aおよび134b間の間隔は等しくない場合がある。しかしながら、誘導性センサ素子132aおよび132bは依然として正反対にあることができ、誘導性センサ素子134aおよび134bは依然として正反対にあることができる。
【0027】
図2は、誘導性位置センサ素子出力信号の同期復調のデジタル実装と共に使用するための典型的なセンサ設計を示す。図2の回路は、ボックス170内の図1の素子の実装を提供する。図2は、要求される周波数の正弦波駆動信号112を生成するのに用いられる信号発生器110を示す。図2の実施形態において、信号発生器110は、信号をデジタルで生成するが、代替的な実施形態は、代わりに、アナログ信号生成段を用いてもよい。信号発生器110は、デジタル/アナログ変換器(DAC)212に作動的に結合される。デジタル/アナログ変換器(DAC)212の出力は、交流(AC)結合214に作動的に結合される。AC結合214は、正弦波駆動信号112の任意の直流(DC)成分を排除するように構成される。AC結合214は、例えば、適切な大きさのコンデンサとすることができる。AC結合214の出力は、電力増幅器216に作動的に結合される。電力増幅器216は、平衡電圧駆動部120に結合される。図2の実施形態において、平衡電圧駆動部120は、複数の二次巻線を有する変換器を用いて実施されるが、他の実施形態では、平衡電圧駆動部を実施する代替的な手段が用いられてもよい。平衡電圧駆動部120からの基準信号は、レシオメトリックブロック156のレシオメトリック機能を実行するための基準信号を提供するために、増幅器240に結合される。平衡電圧駆動部120の第1の出力122は、第1の(132a、132b)および第2の(134a、134b)ハーフブリッジ誘導性センサ素子配置の各々の第1の入力に結合される。平衡電圧駆動部120の第2の出力124は、第1の(132a、132b)および第2の(134a、134b)ハーフブリッジ誘導性センサ素子配置の各々の第2の入力に結合される。誘導性センサ素子132a、132bの第1の対からの検出信号142は、増幅器242に結合される。誘導性センサ素子134a、134bの第2の対からの検出信号144は、増幅器244に結合される。いくつかの実施形態では、増幅器段240、242および244は、調節可能な利得を有することができる。増幅器段240、242および244のそれぞれの出力241、243および245は、各々、1つまたは複数のアナログ/デジタル変換器(ADC)250の入力に結合される。アナログ/デジタル変換器250は、アナログ信号241、243および245を、それぞれ、デジタル信号159’、142’および144’に変換するように構成される。アナログ/デジタル変換器250の出力159’は、図1の第1の同期復調回路部152の入力に結合される。アナログ/デジタル変換器250の出力142’および144’は、図1の第2の同期復調回路部154の第1および第2の出力に結合される。増幅器段240、242および244ならびにアナログ/デジタル変換器250は、図1の信号調整要素180および181に対応することができる。第1および第2の同期復調回路部152および154は、図1と同じ方式でレシオメトリックブロック156に結合される。図2の実施形態において、同期復調回路部152および154、ならびに/またはレシオメトリックブロック156はデジタルで実施される。
【0028】
同期復調回路部152および154のいくつかのデジタル実装、ならびにレシオメトリックブロック156は、同期復調を行うために用いられる移相および乗算機能を扱うためのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他の制御ロジックと、レシオメトリック機能を扱うためのデジタル信号プロセッサ(DSP)または他の制御処理とを組み合わせることができる。また、DSPを用いて、能動型磁気軸受サーボ制御機能を行うことができる。いくつかの実施形態では、出力信号のデジタル同期復調は、要求される周波数で正弦波駆動信号112を構築するのに用いられるプログラム可能な信号発生器110を含むことができる。正弦波駆動信号112に加えて、信号発生器110は、第1および第2の同期復調回路部152および154、ならびに/またはレシオメトリックブロック156によって使用するための同期パルスを出力するように構成することができる。信号発生器110は、データ通信も担当することができる監督FPGAもしくは他の制御ロジック、および/またはアクチュエータ素子もしくは電磁素子を含むことができる能動型磁気軸受制御システム全体の優先順位付けを制御する監督ステートマシンもしくは他の制御ロジックの制御下におくことができる。所与の設備において使用するための各能動型磁気軸受は、独自の制御ロジックおよび/もしくは処理を有することができるか、または制御ロジックおよび/もしくは処理は所与の設備において複数の能動型磁気軸受間で共有することができる。
【0029】
本開示による能動型磁気軸受システムによってサポートされるロータ102の動きは、通常、機械的「タッチダウン軸受」(ロータ102の各端部に1つ)によって制約される場合がある。これらは、一般的には、空隙を有して動作可能であるが、ロータが適所を外れて移動すると、ロータはタッチダウン軸受に接触する場合がある。能動型磁気軸受システムは、一般的には、センサ空隙の機械的中心またはアクチュエータの空隙の機械的中心ではなく、タッチダウン軸受空隙の機械的中心によって定義される「中心」位置を用いて構成される。
【0030】
図3は、理想的なシステムについて、(例えば、図1または図2の信号発生器110によって生成される正弦波駆動信号112とすることができる)正弦波駆動信号波形310と、ロータ102が(1つの運動軸において)一方の側でタッチダウン軸受に接触する状態(波形320)から、機械的中心位置を通って(波形324)、反対側でタッチダウン軸受に接触する状態(波形322)に横断する際の、ハーフブリッジ誘導性センサ素子配置(例えば、ハーフブリッジ誘導性センサ素子配置132a、132b、またはハーフブリッジ誘導性センサ素子配置134a、134bとすることができる)の理想的な出力信号とを示す。
【0031】
アナログ/デジタル変換器250における入力利得は、(一方の側でタッチダウン軸受に接触する状態と、他方の側でタッチダウン軸受に接触する状態との間の)許容可能な運動範囲についての利用可能なアナログ/デジタル変換器250の入力範囲の使用を最適化するように設定することができる。これは、信号対雑音比を最大にし、量子化雑音(すなわち、ADC250への信号入力の実際のアナログ値と、入力信号に関連付けられたサンプリングされた出力値との間の誤差によって生じる雑音)の影響を最小限にするために行われる。同様の入力範囲の検討が、同調復調回路およびレシオメトリックブロックのアナログ実装に当てはまる。
【0032】
しかしながら、構築公差に起因して、ハーフブリッジ誘導性センサ素子配置の機械的中心は、タッチダウン軸受の機械的中心からオフセットされる場合がある(すなわち、ハーフブリッジ誘導性センサ素子配置の機械的中心と、タッチダウン軸受の機械的中心との間の不整合)。この場合、ロータ102が(1つの運動軸において)一方の側でタッチダウン軸受に接触する状態(波形420)から、タッチダウン軸受の機械的中心位置を通って(波形424)、反対側でタッチダウン軸受に接触する状態(波形422)に横断する際の、センサの出力信号は、例えば図4に示す通りとなり得る。
【0033】
更に、誘導性センサ素子の構造的公差および材料公差に起因して、誘導性センサ素子は、必ずしも完全に整合されていない場合があり、結果として、ハーフブリッジ誘導性センサ素子配置からのヌル(最小)出力が、ハーフブリッジ配置の機械的中心からオフセットされることになる。このヌルは、ハーフブリッジ誘導性センサ素子配置の電気的中心と呼ばれる。
【0034】
図4の特定の事例において、アナログ/デジタル変換器250のための入力利得は、ロータ102が横断するときに観測される最も大きな信号(例えば、図4における振幅3Aを有し、ここでAは、信号の振幅を表す任意の値である)がアナログ/デジタル変換器250(または、同調復調がアナログ成分を用いて実施される場合、アナログ回路のフロントエンド)によって正しくサンプリングすることができるように設定することができる。図4に示す特定の事例において、この影響は、同期復調回路152、154(またはアナログ/デジタル変換器250)の入力における感度が1/3だけ低減することであり、信号対雑音比がこれに対応して減少する。
【0035】
図5は、図1のように能動型磁気軸受システム内で用いられる径方向の誘導性センサ配置の典型的構造の例を示す。図5は、積層された基準リング510を有するロータ軸502を示す。誘導性センサ素子R1+は、積層されたコア520ならびにコイル522および524を有する。誘導性センサ素子R2+は、積層されたコア530ならびにコイル532および534を有する。誘導性センサ素子R1-は、積層されたコア540ならびにコイル542および544を有する。誘導性センサ素子R2-は、積層されたコア550ならびにコイル552および554を有する。誘導性センサ素子R1+は、誘導性センサ素子R1-の正反対に配置される。誘導性センサ素子R2+は、誘導性センサ素子R2-の正反対に配置される。誘導性センサ素子R1+およびR1-は、第1のハーフブリッジ配置において電気的に接続される。誘導性センサ素子R2+およびR2-は、第2のハーフブリッジ配置において電気的に接続される。図5は、能動型磁気軸受システムのアクチュエータ部またはタッチダウン軸受のいずれも示しておらず、単に、センサ素子の1つの例示的な配置を示す役割を果たす。
【0036】
図6は、ロータ軸に沿ってロータの位置を検出するのに用いることができる、能動型磁気軸受システム内で用いられる軸方向の誘導性スリップセンサ配置の典型的構造の例を示す。図5の径方向のセンサ配置について、軸方向の配置において、誘導性センサは、対向する誘導性センサ素子の対から形成され、各々が、ハーフブリッジ配置を形成するように配線され、ロータの軸に沿って配置される。図6は、積層された基準リング610を有するコアシャフトまたはロータ602を示す。積層された基準リング610は、非能動型機械支持部612および614によってサポートすることができ、これらは非磁気材料から構築することができる。非能動型機械支持部612および614は、積層された基準リング610の積層を圧縮された状態に保持する役割を果たすことができる。非能動型機械支持部612および614は、積層された基準リング610の磁気材料と、非能動型機械支持部612および614との間の境界も提供することができる。誘導性検出素子620および640(代替的に、軸センサリングと呼ばれる場合もある)は、合わせて、ハーフブリッジ配置の1つの素子を形成する。検出素子630および650は、合わせて、ハーフブリッジ配置の他の素子を形成する。図6は、能動型磁気軸受システムのアクチュエータ部またはタッチダウン軸受のうちのいずれも示しておらず、単に、センサ素子の1つの例示的な配置を示す役割を果たす。
【0037】
図7は、ディスクをターゲットとして用いた軸方向の誘導性センサ配置の典型的な構造の代替的な例を示す。図7は、ソリッドフェライトディスクまたは積層された基準リング710を有するロータ702を示す。誘導性検出素子720および740は、合わせて、ハーフブリッジ配置の一方の素子を形成する。誘導性検出素子730および750は、ハーフブリッジ配置の他方の素子を形成する。図7は、能動型磁気軸受システムのアクチュエータ部またはタッチダウン軸受のうちのいずれも示しておらず、単に、センサ素子の1つの例示的な配置を示す役割を果たす。
【0038】
本明細書に開示される改善された信号調整回路により、ハーフブリッジ誘導性センサ素子配置(132a、132b;134a、134b)によって出力される信号に対し、駆動回路内で用いられる正弦波駆動信号の制御された量が加算されることになる。加算される信号は、制御された振幅を有し、特定の軸に対するものであり、特定のハーフブリッジセンサ素子配置に必要な補正に依拠して正または負の位相のいずれかを有することができる。
【0039】
図8は、本開示の実施形態による改善されたセンサおよび信号調整回路設計の概略図を示す。図8の改善された信号調整回路は、図2の信号調整回路の改善されたバージョンである。したがって、同じ参照符号を用いて、図2に示すものと同じ要素を示す。図8は、要求される周波数で正弦波駆動信号を生成するのに用いられる信号発生器110を示す。信号発生器110は、駆動信号112のコピーを供給するための接続811によって、負の利得回路部820(代替的に、単位利得を有する場合も有しない場合もある反転増幅器と呼ばれる場合もある)に、ならびに第1および第2の補正信号調節手段832および834(ここで、補正信号調節手段832および834は、例えばポテンショメータとすることができる)の各々の第1の入力に結合される。負の利得回路部820は、反転された極性を有する駆動信号112のコピーを生成するように構成される。負の利得回路部820の出力は、接続821によって、第1および第2の補正信号調節ポテンショメータ832および834の各々の第2の入力に結合される。第1および第2の補正信号調節ポテンショメータ832および834は各々、811および821における信号の振幅および/または極性を調整することによって、第1および第2の補正信号をスケーリングするように動作可能である。第1の補正信号調節ポテンショメータ832の第1の補正信号出力833は、加算ブロック842において、誘導性センサ素子132a、132bの第1の対からの検出信号142と加算される。同様に、第2の補正信号調節ポテンショメータ834の第2の補正信号出力835は、加算ブロック844において、誘導性センサ素子134a、134bの第2の対からの検出信号144と加算される。加算ブロック842および844の出力843および845はそれぞれ、増幅器段242および244それぞれによって増幅される。図2におけるように、増幅器段240、242および244の出力241、243および245はそれぞれ、1つまたは複数のアナログ/デジタル変換器(ADC)250の入力に結合される。ブロック801内の要素は、集合的に、信号補正回路部801と呼ばれる場合がある。
【0040】
任意選択で、第1および第2の補正信号833および835は、第1および第2の補正信号833および835におけるグランド雑音の影響を低減するために、変換器810または他のそのような分離手段の使用により信号発生器110から分離することができる。いくつかの実施形態では、別個の分離手段を補正信号833および835の各々に用いることができる。
【0041】
図8において、第1および第2の補正信号833および835のスケーリングは、第1および第2の補正信号調節ポテンショメータ832および834によって制御されるものとして示されるが、補正信号のスケーリングは、代替的に、ポテンショメータ、デジタル制御されたポテンショメータ、選択された固定レジスタ等を含む広範な技法を用いて実施されてもよい。これらの技法は、非限定的な例のみであることが意図される。
【0042】
図8の実施形態は、能動型磁気軸受の2軸検出のための、誘導性センサ素子配置および信号調整回路を提供する。代替的な実施形態は、1つまたは複数の検出軸のためのセンサ素子配置および信号調整回路を提供してもよい。
【0043】
(理想的な回路の場合、)補正信号を適用する効果は、ロータがタッチダウン軸受の機械的中心にあるときに、結果として得られる信号振幅をゼロにし、図3に示す理想的な波形のように、2つの極端な位置において類似の振幅(ただし、2つの極端な位置について反対の位相を有する)を達成することである。
【0044】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアナログ/デジタル変換器250の入力における増幅器段242および244は、図2に関して上述したように、アナログ/デジタル変換器250(または、アナログ実装の場合は、アナログ同期復調回路部)の入力範囲に対する信号増幅器の更なる最適化を容易にするように調整可能であり得る。
【0045】
実際には、インダクタンスの不整合、容量性ケーブルの効果および抵抗に起因して、機械的中心位置における補正された出力信号は、非ゼロ直交信号となる場合があるが、同期して復調されると、これは所望のゼロ同相信号を与える。図9Bは、機械的中心位置における信号(波形924)が非ゼロ直交信号である補正された出力信号の例を示し、ここで、波形920は、ロータ102の正の最大変位の場合の信号を示し、波形922は、ロータ102の負の最大変位の場合の信号を示す。機械的中心位置にあるときの不完全な直交信号は、本明細書において開示される改善された信号調整回路によって達成される信号対雑音比の改善に影響を及ぼさない。図9Cは、補正波形の同相成分(930、932、934)を示す。ここで、波形930は、ロータ102の正の最大変位の場合の信号を示し、波形932は、ロータ102の負の最大変位の場合の信号を示し、波形934は、機械的中心位置にあるロータ102の信号を示す。
【0046】
図10は、誘導性センサ素子の対の出力信号を調節するための例示的な方法1000を示す。ブロック1010において、駆動信号が生成される。いくつかの例では、これは、図1の信号発生器110等の信号発生器によって実行することができる。いくつかの例では、駆動信号は図1の正弦波駆動信号112とすることができる。ブロック1020において、駆動信号は、誘導性センサ素子の対を駆動するのに用いられる。いくつかの例では、誘導性センサ素子の対は、ハーフブリッジ配置で接続することができる。誘導性センサ素子の対は、図1の誘導性センサ素子配置132a、132bまたは誘導性センサ素子配置134a、134bと同じとすることができる。ブロック1030において、駆動信号の調節可能にスケーリングされたコピーが生成される。いくつかの例では、駆動信号の調節可能にスケーリングされたコピーは、分離手段を介して駆動信号から分離される。いくつかの例では、分離手段は、1つまたは複数の分離変換器とすることができる。いくつかの例では、駆動信号のスケーリングされたコピーは、ポテンショメータ、デジタル制御されたポテンショメータ、または選択された固定のレジスタのうちの1つまたは複数を介して調整される。ブロック1040において、誘導性センサ素子の対の出力信号は、駆動信号の調節可能にスケーリングされたコピーと加算される。ブロック1050において、加算された信号は、デジタル信号に変換される。いくつかの例では、加算された信号は、図2または図5のアナログ/デジタル変換器250等の1つまたは複数のアナログ/デジタル変換器を用いて変換される。
【0047】
本明細書に開示される改善された信号調整回路の利点は、改善された信号調整回路により、依然として最適な信号対雑音比を維持しながら、タッチダウン軸受間の同心性に対し、より緩い公差が可能となることである。改善された信号調整回路は、各ハーフブリッジ配置を形成する対向する誘導性センサ素子におけるインピーダンスの不整合も許容する。
【0048】
本明細書に開示される改善された信号調整回路は、能動型磁気軸受システムにおいて用いられる径方向および軸方向双方のセンサ配置に適用可能である。
【0049】
軸方向の軸受の場合、改善された信号調整回路の使用により、軸方向におけるハーフブリッジ誘導性センサ配置の電気的中心を軸方向におけるタッチダウン軸受の機械的中心と位置合わせするのに一般的に用いられる機械的シムの必要性を低減することができる。
【0050】
典型的な能動型磁気軸受の場合、典型的には、能動型磁気軸受システムの各軸に1つの信号調整回路が存在する。
【0051】
本明細書における教示は、誘導性位置検出素子を参照して提示される。教示は、渦電流位置検出素子に等しく適用可能であることが理解されるべきである。渦電流センサ素子を実施するいくつかの実施形態では、基準リングは、固体の伝導性材料から構築することができる。渦電流センサ素子を用いるいくつかの実施形態では、正弦波駆動信号の周波数は、誘導性位置検出素子を用いた実装よりも高くすることができる。
【0052】
本開示においていくつかの実施形態が提供されたが、開示されるシステムおよび方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、多くの他の特定の形態で実現されてもよいことが理解されるべきである。本例は、限定的ではなく例示とみなされるべきであり、本明細書に与えられる詳細に限定されないことが意図される。例えば、様々な素子または構成要素は組み合わされるかもしくは別のシステムに統合されてもよく、またはいくつかの特徴は省かれるかもしくは実施されなくてもよい。
【0053】
また、様々な実施形態において離散したまたは別個のものとして説明され例示された技法、システム、サブシステムおよび方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステム、モジュール、技法または方法と組み合わされるかまたは統合されてもよい。互いに結合されるかまたは直接結合されるかまたは通信するものとして示されるかまたは論考された他のアイテムは、何らかのインタフェース、デバイス、または中間構成要素を通じて、電気的に、機械的に、または他の形のいずれであろうと、間接的に結合されるかまたは通信してもよい。変更、置換および変形の他の例は、当業者には解明可能であり、本明細書に開示される範囲から逸脱することなく作成することができる。
【0054】
本発明の例は、誘導性検出回路であって、駆動信号を生成するように構成された信号発生器と、1つまたは複数の検出配置であって、1つまたは複数の検出配置の各々は、ハーフブリッジ配置で構成された1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組であって、この1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組は駆動信号によって駆動される、1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組と、補正信号を生成するように構成された補正信号回路であって、補正信号は、駆動信号の調節可能にスケーリングされたバージョンである、補正信号回路と、1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組の出力信号を補正信号と加算するように構成された加算回路とを備える、1つまたは複数の検出配置と、1つまたは複数の検出配置の各々の加算回路の出力を復調するように構成された復調回路とを備える、誘導性検出回路を提供する。
【0055】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、復調回路は、1つまたは複数の検出配置の各々の加算回路の出力を対応するデジタル出力信号に変換するように構成されたアナログ/デジタル変換器を備える。
【0056】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、1つまたは複数の検出配置の各々は、補正信号のスケーリングを調整するように構成された信号調節手段を更に備える。
【0057】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、信号調節手段はポテンショメータである。
【0058】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、1つまたは複数の検出配置のうちの第1の検出配置の誘導性検出素子の2つの組は、ロータの外周の周りに配置される。
【0059】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、1つまたは複数の検出配置のうちの第1の検出配置の誘導性検出素子の2つの組は、ロータの軸に沿って配置される。ロータの軸に沿って配置された誘導性検出素子の2つの組は、ロータの回転軸に沿って配置されてもよく、またはロータの外周の周りでロータの回転軸に対し直交する角度で配置されてもよい。いくつかの例では、第1の検出配置の誘導性検出素子の2つの組は、第1の検出配置の誘導性検出素子の2つの組に対し、ロータの外周の周りで或る角度を成して位置決めされた第2の検出配置の誘導性検出素子の2つの組と組み合わせて、第3の検出配置の誘導性検出素子の2つの組の実際の位置角に直交する仮想位置角を生成することができる。
【0060】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、1つまたは複数の検出配置の各々は、加算回路の出力と復調回路との間に結合された増幅器回路を更に備える。
【0061】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、1つまたは複数の検出配置の各々の補正信号回路から信号発生器を分離するための変換器を更に備える。
【0062】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、駆動信号は正弦波信号である。いくつかの例では、駆動信号は、代わりに方形波信号とすることができる。正弦波駆動信号は、誘導性センサ素子を駆動するための「よりクリーンな」信号を提供するという利点を与えることができる。正弦波駆動信号は、方形波駆動信号と比較して、高調波に起因した望ましくない影響をより引き起こさないという利点を与えることができる。
【0063】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、駆動信号はデジタルで生成される。
【0064】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、信号発生器の出力に結合されたデジタル/アナログ変換器を更に備える。
【0065】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、駆動信号のDC成分を除去するための手段を更に備える。
【0066】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、1つまたは複数の検出配置の各々の1つまたは複数の誘導性検出素子の2つの組を駆動するように構成された平衡電圧駆動部を更に備える。いくつかの例では、電圧駆動部は、代わりにシングルエンドであってもよい。
【0067】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、平衡電圧駆動部は、複数の二次巻線を有する変換器を備える。
【0068】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、復調回路は、アナログ/デジタル変換器の1つまたは複数の出力に結合された1つまたは複数の同期復調回路を更に備える。
【0069】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、1つまたは複数の同期復調回路は、アナログ/デジタル変換器の1つまたは複数の出力から雑音を除去するように構成される。
【0070】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、レシオメトリック機能を行うための手段を更に備える。
【0071】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、信号発生器は、同期復調回路のうちの1つまたは複数に同期信号を提供するように構成される。
【0072】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、誘導性センサ素子は渦電流センサ素子である。
【0073】
本発明の例は、本明細書における任意の例または実施形態の誘導性検出回路を備える能動型磁気軸受を提供する。
【0074】
例は、1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組の出力信号を補正するための方法であって、方法は、駆動信号を生成することと、駆動信号を適用することによって、1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組を駆動することと、補正信号を生成することであって、補正信号は、駆動信号の調節可能にスケーリングされたコピーであることと、1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組の出力信号を補正信号と加算することと、加算された信号を復調することとを含む、方法を提供する。
【0075】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、加算された信号を復調することは、1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組の加算された出力信号を、対応するデジタル出力信号に変換することを含む。
【0076】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、信号調節手段を介して補正信号のスケーリングを調節することを更に含む。
【0077】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、信号調節手段はポテンショメータである。
【0078】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、1つまたは複数の誘導性センサ素子の2つの組の加算された出力信号を増幅することを更に含む。
【0079】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、補正信号を生成する際に用いるために駆動信号のコピーを分離することを更に含む。
【0080】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、駆動信号は正弦波信号である。
【0081】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、駆動信号はデジタルで生成される。
【0082】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、デジタルで生成された駆動信号をアナログ駆動信号に変換することを更に含む。
【0083】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、駆動信号のDC成分を除去することを更に含む。
【0084】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、加算された信号を復調することは、デジタル出力信号を同期して復調することを更に含む。
【0085】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、デジタル出力信号を同期して復調することは、デジタル出力信号から雑音を除去することを含む。
【0086】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例は、レシオメトリック機能を実行することを更に含む。
【0087】
いくつかの例または本明細書に開示される任意の他の実施形態もしくは例において、誘導性センサ素子は渦電流センサ素子である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10