(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】振込システム、振込方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20240703BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2020047443
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】504404928
【氏名又は名称】株式会社琉球銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】川上 康
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-209302(JP,A)
【文献】特開2018-190206(JP,A)
【文献】特開2014-119790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1銀行サーバが管理する口座から第2銀行サーバが管理する口座に対する振込額を示す第1明細データを複数蓄積し、
蓄積された前記複数の第1明細データを前記第2銀行サーバへ送信し、
前記第2銀行サーバが管理する口座から前記第1銀行サーバが管理する口座に対する入金額を示す複数の第2明細データを受信し、
前記第1銀行サーバは、前記複数の第1明細データに応じた金額を、前記第2銀行サーバの第1銀行名義の口座に振込む電文を送信し、
所定の期間内に、前記第1銀行サーバが管理する第2銀行名義の口座に、前記複数の第2明細データに応じた金額が入金された場合に、
前記第1銀行サーバは、前記複数の第2明細データに基づいて、第2銀行名義の口座から前記第1銀行サーバが管理する口座に資金移動を実行
し、
前記第1銀行サーバの第2銀行名義の口座の残高が、前記複数の第2明細データに応じた金額に対して不足している場合に、
前記第1銀行サーバは、前記複数の第1明細データに応じた金額を組み戻し、
前記蓄積された複数の第1明細データの各々に応じた金額を、前記第2銀行サーバの口座に振込む電文を送信する、振込システム。
【請求項2】
第1銀行サーバが管理する口座から第2銀行サーバが管理する口座に対する振込額を示す第1明細データを複数蓄積し、
蓄積された前記複数の第1明細データを前記第2銀行サーバへ送信し、
前記第2銀行サーバが管理する口座から前記第1銀行サーバが管理する口座に対する入金額を示す複数の第2明細データを受信し、
前記第1銀行サーバは、前記複数の第1明細データに応じた金額を、前記第2銀行サーバの第1銀行名義の口座に振込む電文を送信し、
所定の期間内に、前記第1銀行サーバが管理する第2銀行名義の口座に、前記複数の第2明細データに応じた金額が入金された場合に、
前記第1銀行サーバは、前記複数の第2明細データに基づいて、第2銀行名義の口座から前記第1銀行サーバが管理する口座に資金移動を実行し、
前記所定の期間内に、前記第2銀行名義の口座に入金がなく、所定の情報を受信しない場合、前記第1銀行サーバは、前記複数の第1明細データに応じた金額を組み戻す
、振込システム。
【請求項3】
前記所定の期間内に、前記第1明細データがない場合、前記第2銀行サーバに前記所定の情報を送信する、請求項
2に記載の振込システム。
【請求項4】
前記所定の情報とは、送金額が0円を示す電文である、請求項
2又は3に記載の振込システム。
【請求項5】
第1銀行サーバが管理する口座から第2銀行サーバが管理する口座に対する振込額を示す第1明細データを複数蓄積し、
蓄積された前記複数の第1明細データを前記第2銀行サーバへ送信し、
前記第2銀行サーバが管理する口座から前記第1銀行サーバが管理する口座に対する入金額を示す複数の第2明細データを受信し、
前記第1銀行サーバは、前記複数の第1明細データに応じた金額を、前記第2銀行サーバの第1銀行名義の口座に振込む電文を送信し、
所定の期間内に、前記第1銀行サーバが管理する第2銀行名義の口座に、前記複数の第2明細データに応じた金額が入金された場合に、
前記第1銀行サーバは、前記複数の第2明細データに基づいて、第2銀行名義の口座から前記第1銀行サーバが管理する口座に資金移動を実行
し、
前記第1銀行サーバの第2銀行名義の口座の残高が、前記複数の第2明細データに応じた金額に対して不足している場合に、
前記第1銀行サーバは、前記複数の第1明細データに応じた金額を組み戻し、
前記蓄積された複数の第1明細データの各々に応じた金額を、前記第2銀行サーバの口座に振込む電文を送信する、振込方法。
【請求項6】
第1銀行サーバが管理する口座から第2銀行サーバが管理する口座に対する振込額を示す第1明細データを複数蓄積し、
蓄積された前記複数の第1明細データを前記第2銀行サーバへ送信し、
前記第2銀行サーバが管理する口座から前記第1銀行サーバが管理する口座に対する入金額を示す複数の第2明細データを受信し、
前記第1銀行サーバは、前記複数の第1明細データに応じた金額を、前記第2銀行サーバの第1銀行名義の口座に振込む電文を送信し、
所定の期間内に、前記第1銀行サーバが管理する第2銀行名義の口座に、前記複数の第2明細データに応じた金額が入金された場合に、
前記第1銀行サーバは、前記複数の第2明細データに基づいて、第2銀行名義の口座から前記第1銀行サーバが管理する口座に資金移動を実行し、
前記所定の期間内に、前記第2銀行名義の口座に入金がなく、所定の情報を受信しない場合、前記第1銀行サーバは、前記複数の第1明細データに応じた金額を組み戻す
、振込方法。
【請求項7】
前記所定の期間内に、前記第1明細データがない場合、前記第2銀行サーバに前記所定の情報を送信する、請求項
6に記載の振込方法。
【請求項8】
前記所定の情報とは、送金額が0円を示す電文である、請求項
6又は7に記載の振込方法。
【請求項9】
請求項
5乃至8のいずれか一項に記載の振込方法を、
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、金融機関における振込処理を行う振込システムに関する。
【背景技術】
【0002】
全国銀行資金決済ネットワーク(以下、全銀ネットという)では、個人や企業による振込処理や、金融機関同士の決済を行う仕組みとして、全国銀行データシステム(以下、全銀システム)を運営している。全銀システムを用いることによって、異なる金融機関に対しての振込も、オンラインで処理することが可能となっている。また、全銀システムを利用する金融機関は、電文量に応じた手数料を全銀ネットに支払っている。全銀システムに支払う手数料は、利用した電文量に応じた従量制である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金融機関における振込処理に関して、毎日膨大な量のデータ処理が行われている。したがって、全銀システムへ送信する電文量が増加すると、電文量に応じて全銀システムに支払う手数料が増加してしまう。そのため、各金融機関にとっては、振込処理に伴う手数料の負担が増加している。
【0005】
そこで、本発明の一実施形態では、金融機関における振込処理に伴う手数料の軽減を図ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る振込システムは、第1銀行サーバが管理する口座から第2銀行サーバが管理する口座に対する振込額を示す第1明細データを複数蓄積し、蓄積された複数の第1明細データを第2銀行サーバへ送信し、第2銀行サーバが管理する口座から第1銀行サーバが管理する口座に対する入金額を示す複数の第2明細データを受信し、第1銀行サーバは、複数の第1明細データに応じた金額を、第2銀行サーバの第1銀行名義の口座に振込む電文を送信し、所定の期間内に、第1銀行サーバが管理する第2銀行名義の口座に、複数の第2明細データに応じた金額が入金された場合に、第1銀行サーバは、複数の第2明細データに基づいて、第2銀行名義の口座から第1銀行サーバが管理する口座に資金移動を実行する。
【0007】
上記振込システムにおいて、複数の第2明細データに応じた金額が、複数の第1明細データに応じた金額よりも少ない場合、第1銀行サーバは、複数の第2明細データを受信した後、複数の第2明細データを処理する。
【0008】
上記振込システムにおいて、所定の期間内に、第2銀行名義の口座に入金がなく、所定の情報を受信しない場合、第1銀行サーバは、複数の第1明細データに応じた金額を組み戻す。
【0009】
上記振込システムにおいて、所定の期間内に、第1明細データがない場合、第2銀行サーバに所定の情報を送信する。
【0010】
上記振込システムにおいて、所定の情報とは、送金額が0円を示す電文である。
【0011】
本発明の一実施形態に係る振込方法は、第1銀行サーバが管理する口座から第2銀行サーバが管理する口座に対する振込額を示す第1明細データを複数蓄積し、蓄積された複数の第1明細データを第2銀行サーバへ送信し、第2銀行サーバが管理する口座から第1銀行サーバが管理する口座に対する入金額を示す複数の第2明細データを受信し、第1銀行サーバは、複数の第1明細データに応じた金額を、第2銀行サーバの第1銀行名義の口座に振込む電文を送信し、所定の期間内に、第1銀行サーバが管理する第2銀行名義の口座に、複数の第2明細データに応じた金額が入金された場合に、第1銀行サーバは、複数の第2明細データに基づいて、第2銀行名義の口座から第1銀行サーバが管理する口座に資金移動を実行する。
【0012】
上記振り込み方法において、第1銀行サーバの第2銀行名義の口座の残高が、複数の第2明細データに応じた金額に対して不足している場合に、第1銀行サーバは、複数の第1明細データに応じた金額を組み戻し、蓄積された複数の第1明細データの各々に応じた金額を、第2銀行サーバの口座に振込む電文を送信する。
【0013】
上記振込方法において、所定の期間内に、第2銀行名義の口座に入金がなく、所定の情報を受信しない場合、第1銀行サーバは、複数の第1明細データに応じた金額を組み戻す。
【0014】
上記振込方法において、所定の期間内に、第1明細データがない場合、第2銀行サーバに所定の情報を送信する。
【0015】
上記振込方法において、所定の情報とは、送金額が0円を示す電文である。
【0016】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、上記振込方法を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によれば、銀行における振込や送金に伴う手数料の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(A)本発明の一実施形態に係る振込システムの概要を説明する図である。(B)口座間の資金の移動について説明する図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るサーバのハードウェアを説明するブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る明細データの一例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るソフトウェアを説明するブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る振込システムから送信する電文の一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る振込方法を説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る振込システムにおけるデータフロー図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る振込システムにおけるデータフロー図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る振込方法を説明するフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る振込システムにおけるデータフロー図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る振込システムにおけるデータフロー図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る振込システムの概要を説明する図である。
【
図13】口座間の資金の移動について説明する図である。
【
図14】銀行Aと銀行Bとの間で資金移動を実行する場合の一連のデータ処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にA、Bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0020】
(第1実施形態)
[概要]
図14は、銀行Aの顧客と銀行Bの顧客との間で振込処理を実行する場合の一連のデータ処理を説明する図である。銀行Aの顧客と銀行Bの顧客との間で振込処理を実行する場合、例えば、銀行Aサーバ510は、通信端末514から銀行Aから銀行Bへの送金の明細データを受信すると、電文521を生成し、全銀システム40に送信している。また、銀行Bサーバ520は、通信端末524から銀行Bから銀行Aへの送金の明細データを受信すると電文522を生成し、全銀システム40に送信している。全銀システム40では、受信した電文521,522をリアルタイムで処理して、処理した結果を直ちに受取人の銀行に送信する。これと同時に、全銀システム40では、各銀行からの支払指図を集中計算する。一日の業務終了後に、全銀システム40は、銀行毎に算出した受払差額(決済尻)を日銀システム50に送信する。日銀システム50では、全銀システム40からの送信内容に基づいて、各銀行と全銀ネットとの間で、日本銀行当座預金の入金又は引き落としを実行することで、最終的な銀行間の振込処理が完了する。
【0021】
銀行間の為替取引については、毎日膨大な量のデータ処理が行われている。ここで、銀行A及び銀行Bが全銀システム40に支払う手数料は、利用した電文量に応じた従量制である。したがって、利用した電文量が増加すると、電文量に応じて各銀行が全銀システム40に支払う手数料が増加してしまう。そのため、各銀行にとっては、為替取引に伴う手数料の負担が増加している。
【0022】
また、為替取引の処理において、例えば、銀行Aから銀行Bに70万円の送金があり、銀行Bから銀行Aに50万円の送金があると仮定する。上記の送金が、リアルタイムで処理されれば、銀行Bの資金が銀行Aの資金よりも多くなる(銀行Bの勝ち)。これに対し、上記の送金がリアルタイムで処理されない場合、銀行Aは銀行Bよりも20万円資金が多い状態となる(銀行Aの勝ち)。すなわち、ネッティングされるまでの間は、銀行Aが20万円多く保有している状態となる。
【0023】
日本の銀行においては、上述の理由から一時的に勝ち負けが発生し、かつ着金をもって別の銀行に支払うための原資にするなど、複雑なネッティングとなっている。そのため、勝っている銀行が破たんした場合、破たんした銀行からの入金が受けられなくなる銀行が発生する。さらに、入金が受けられなくなる銀行は、別の銀行に払い込むことができなくなるため、ドミノ倒産が発生するリスクが高まるおそれがある。
【0024】
ドミノ倒産を防止するため、リスク回避基準であるランファルシー基準では、最も大きい金融機関が破たんした場合においても、業務継続が可能となるような基準を設けている。具体的には、全銀システム40では、担保を各金融機関から集め、破たん時には担保を元に支払う形をとっている。
【0025】
本発明の一実施形態では、金融機関における振込処理に伴う手数料の軽減を図ることを目的の一つとする。また、本発明の一実施形態では、新たな担保の差し入れを行うことなく、金融機関における決済不履行の連鎖を防止することを目的の一つとする。
【0026】
図1(A)は、本発明の一実施形態に係る振込システム1000の概要を説明する図である。
図1(B)は、口座間の資金の移動について説明する図である。
図1では、第1銀行サーバ10と第2銀行サーバ20との間で為替取引を実行する場合の一連のデータ処理について説明する。
【0027】
第1銀行サーバ10は、第2銀行サーバ20及び全銀システム40とネットワークを介して接続されている。また、第2銀行サーバ20は、第1銀行サーバ10及び全銀システム40とネットワークを介して接続されている。また、全銀システム40は、日銀システム50、第1銀行サーバ10、及び第2銀行サーバ20とネットワークを介して接続されている。なお、第1銀行サーバ10及び第2銀行サーバ20は、顧客のコンピュータや、ATMなどの通信端末61、62と接続されている。
【0028】
本発明の一実施形態に係る振込システム1000では、予め、第1銀行サーバ10に、第1銀行送金用口座146及び第2銀行入金用口座147を予め用意しておき、第2銀行サーバ20に、第2銀行送金用口座247及び第1銀行入金用口座246を用意しておく。ここで、第1銀行送金用口座146、第2銀行入金用口座147、第2銀行送金用口座247及び第1銀行入金用口座246は、例えば、一時的に資金をプールするための別段預金口座である。なお、口座の種別に関しては、別段預金口座に限定されず、普通預金口座、又は当座預金口座であってもよい。
【0029】
次に、第1銀行サーバ10では、第1銀行サーバ10の顧客の口座から第2銀行サーバ20の顧客の口座に対する振込額を示す第1明細データ11を蓄積しておく。同様に、第2銀行サーバ20では、第2銀行サーバ20の顧客の口座から第1銀行サーバ10の顧客の口座に対する振込額を示す第2明細データ12を蓄積しておく。ここで、第1銀行サーバ10及び第2銀行サーバ20の顧客の口座は、普通預金口座又は当座預金口座であってもよい。所定の期間毎に、第1銀行サーバ10及び第2銀行サーバ20は、蓄積された複数の第1明細データ11及び第2明細データ12を互いに送り合う。
【0030】
次に、第1銀行サーバ10は、第2銀行サーバ20に送信した複数の第1明細データ11に応じた資金(合計金額)を、第1銀行送金用口座146に移動する。第1銀行送金用口座146に資金を移動する口座は、顧客の口座からであっても良いし、第2銀行用の別段預金口座であってもよい。そして、第1銀行サーバ10は、第1銀行送金用口座146から、第2銀行サーバ20の第1銀行入金用口座246宛に、合計金額を送金するための電文21を生成して、全銀システム40に送信する。
【0031】
同様に、第2銀行サーバ20は、第1銀行サーバ10に送信した複数の第1明細データ11に応じた金額(合計金額)を、第2銀行送金用口座247に移動する。第2銀行送金用口座247に資金を移動する口座は、顧客の口座からであってもよいし、第1銀行用の別段預金口座であってもよい。そして、第2銀行サーバ20は、第2銀行送金用口座247から、第1銀行サーバ10の第2銀行入金用口座147宛に、合計金額を送金するための電文22を生成して、全銀システム40に送信する。なお、第2銀行サーバ20は、第1明細データ11を受信する前に、電文22を全銀システム40に送信してもよい。
【0032】
全銀システム40は、第1銀行サーバ10から受信した電文21をリアルタイムで処理して、直ちに受取人の第2銀行サーバ20に処理結果の電文21を送信する。また、第2銀行サーバ20から受信した電文22をリアルタイムで処理して、直ちに受取人の第1銀行サーバ10に処理結果の電文22を送信する。
【0033】
第1銀行サーバ10は、電文22を受信した後、解析した電文22に基づいて、資金を移動する口座を決定して資金の移動を実行する。ここでは、第2銀行入金用口座147に、複数の第2明細データ12の合計金額が入金される。また、第2銀行サーバ20は、電文21を受信した後、解析した電文21に基づいて、資金を移動する口座を決定して資金の移動を実行する。ここでは、第1銀行入金用口座246に複数の第1明細データ11の合計金額が入金される。
【0034】
第1銀行サーバ10は、複数の第2明細データ12に基づいて、第2銀行入金用口座147から、第1銀行の顧客の口座に資金の移動を実行する。同様に、第2銀行サーバ20は、複数の第1明細データ11に基づいて、第2銀行入金用口座147から、第2銀行の顧客の口座に資金の移動を実行する。本発明の一実施形態では、一日の業務の間に、所定の期間毎に上記の処理を繰り返して実行する。
【0035】
全銀システム40では、各銀行からの支払指図を集中計算する。一日の業務終了後に、全銀システム40は、銀行毎に算出した受払差額(決済尻)を日銀システム50に送信する。日銀システム50では、全銀システム40からの送信内容に基づいて、各銀行と全銀ネットとの間で、日本銀行当座預金の入金又は引き落としを実行する。以上により、最終的な銀行間の資金決済が完了する。
【0036】
本発明の一実施形態に係る振込システム1000は、一日の業務の間に、全銀システム40に送信する必要がある数千、数万という電文を、所定の期間毎に生成することができる。そのため、一日の業務の間に生成する必要がある電文を、数電文に集約させることができる。これにより、振込に伴う手数料の負担を軽減させることができる。また、振込システム1000によれば、一日に送信する必要がある電文量が増加するほど、振込に伴う手数料の負担を低減させることができる。
【0037】
また、第1銀行サーバ10が管理する第2銀行入金用口座147の残高が、複数の第2明細データの合計金額に対して不足している場合がある。例えば、第2銀行サーバ20が、第1銀行サーバ10が管理する第2銀行入金用口座147に、複数の第2明細データの合計金額を送金しなかった場合や、第2銀行入金用口座147に入金された金額が、複数の第2明細データの合計金額に対して足りなかった場合などである。この場合には、第1銀行サーバ10は、第2銀行サーバ20の第1銀行入金用口座246に送金した金額を、第1銀行サーバ10の第1銀行送金用口座146に組み戻す処理を実行する。そして、第1銀行サーバ10は、第2銀行サーバ20に、支払う意志を示すために、第2銀行サーバ20に送信した複数の第1明細データ11の各々に応じた電文を生成し、複数の電文を全銀システム40に送信する。全銀システム40は、第1銀行サーバ10から受信した複数の電文をリアルタイムで処理して、直ちに受取人の第2銀行サーバ20に処理結果の電文を送信する。
【0038】
本発明の一実施形態に係る振込システム1000では、取引先銀行が破たんしてしまい、取引先銀行から入金がされない場合であっても、取引先銀行に送金した金額を組み戻すことができる。また、振込システム1000から複数の明細データの各々について電文を生成し、全銀システム40に電文を送信することで、取引先銀行に支払う意思を示すことができる。
【0039】
例えば、本発明の一実施形態に係る振込システム及び全銀システム40を利用せずに、2つの銀行間で送金をする場合には、取引先の銀行が破たんした場合に、取引先の銀行に送金した資金が返金されないおそれがある。また、新たに担保の差し入れを行うと、担保を預かる管理機関が必要となる。この場合は、管理機関に手数料を支払う必要があるため、手数料削減の効果が低減してしまう。
【0040】
これに対し、振込システム1000は、取引先銀行が破たんした場合であっても、取引先銀行に送金した資金を取り戻すことが可能となる。したがって、新たに担保の差し入れを行うことなく、振込処理を実行することが可能となる。よって、振込システム1000によれば、決済手数料を削減しつつ、決済不履行の連鎖を防止することができる。
【0041】
[銀行サーバのハードウェア構成]
次に、第1銀行サーバ10のハードウェア構成について、
図2を参照して説明する。以下の説明において、第1銀行サーバ10の構成について説明するが、第2銀行サーバ20の構成も第1銀行サーバ10と同様の構成であってもよい。また、以下の説明において、第1銀行サーバ10と第2銀行サーバとが、互いに振込処理を実行する場合について説明する。
【0042】
図2は、第1銀行サーバ10のハードウェア構成を説明するブロック図である。
図2に示すように、第1銀行サーバ10は、バス160などによって相互に接続された制御部150、主記憶部120、補助記憶部130、通信部110、及び入出力インターフェース部(以下、入出力IF部140と記載する)を有する。
【0043】
制御部150は、中央処理装置(CPU;Central Processing Unit)とも呼ばれ、第1銀行サーバ10内の各構成要素の制御やデータの演算を実行する。また、補助記憶部130に格納されている各種プログラムを、主記憶部120に読み出して実行することができる。
【0044】
主記憶部120は、メインメモリとも呼ばれ、第2銀行サーバ20、全銀システム40、及び通信端末から受信した各種データ、コンピュータが実行可能な命令及び当該命令による演算処理後のデータなどを記憶することができる。
【0045】
補助記憶部130は、ハードディスク(HDD;Hard Disk Drive)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。補助記憶部130は、プログラム131、第1明細データ格納部132、第2明細データ格納部133、顧客データ格納部134、及び口座データ格納部135を有する。なお、第1明細データ格納部132、第2明細データ格納部133、顧客データ格納部134、及び口座データ格納部135は、それぞれ異なる記憶装置であってもよい。
【0046】
プログラム131は、本発明の一実施形態に係るプログラムである。
【0047】
第1明細データ格納部132は、第1銀行サーバ10から第2銀行サーバ20に、振り込みを依頼するための第1明細データを格納する。第1銀行サーバ10は、通信端末61から第1明細データ11を受信すると、第1明細データ格納部132に蓄積する。
図3は、第1明細データ格納部132に格納される第1明細データ11の一例である。第1明細データ11は、例えば、受付番号、振込受付日、振込金融機関、支店名、預金科目及び口座番号、受取人名、依頼人名、振込金額等の振込情報を含む。また、第1明細データとして、振込情報以外に、EDI(Electronic Data Interchange)情報を含んでいてもよい。EDI情報は、XML形式であるため、多くの情報を自由に設定することができるため、様々な情報を添付することが可能である。
【0048】
第2明細データ格納部133は、第2銀行サーバ20から第1銀行サーバ10に振り込みを依頼するための第2明細データ12を格納する。第1銀行サーバ10は、第2銀行サーバ20から、所定の期間毎に、複数の第2明細データ12を受信して、第2明細データ格納部133に蓄積する。第2明細データ12は、図示しないが、第1明細データ11と同様に、例えば、受付番号、振込受付日、振込金融機関、支店名、預金科目及び口座番号、受取人名、依頼人名、振込金額等の振込情報を含む。また、第2明細データ12として、振込情報以外に、EDI情報を含んでいてもよい。第2明細データ12の場合、振込金融機関は、第1銀行となる。
【0049】
顧客データ格納部134には、第1銀行が管理する顧客に関するデータを管理するための顧客管理レコードが記録される。この顧客管理レコードは、顧客登録が行なわれた順に記録される。顧客管理レコードには、例えば、ユーザID、パスワード、口座番号、取引状況に関する情報が記録される。なお、顧客には、個人、企業だけでなく、本実施形態では、第2銀行も含まれる。
【0050】
口座データ格納部135は、第1銀行が管理する口座データが格納されている。この口座レコードには、第1銀行が管理する口座に関する情報が記録される。また、口座レコードには、顧客名、口座番号、顧客と第1銀行との取引状況との情報が記録される。ここで、口座データ格納部135に格納される口座データは、顧客の口座データだけでなく、資金を一時的にプールするための第1銀行送金用口座146や、第2銀行入金用口座147も含まれる。
【0051】
入出力IF部140は、他のシステムや他の装置との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たす。また、入出力IF部140は、ユーザから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供する。また、入出力IF部140は、処理されたデータを表示する表示画面や、当該データを印刷するための印刷手段などを提供する。
【0052】
通信部110は、例えば、インターネット等のネットワークを介して第2銀行サーバ20、全銀システム40、及び通信端末と有線又は無線でのデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0053】
[ソフトウェア構成]
次に、第1銀行サーバ10のソフトウェア構成について、
図4を参照して説明する。第1銀行サーバ10は、明細データ取得部301、明細データ送信部302、電文生成部303、電文送受信部304、電文解析部305、判定部307、及び資金移動実行部306を有する。また、本発明の一実施形態に係るプログラム131は、明細データ送信部302、電文生成部303、電文送受信部304、電文解析部305、判定部307、及び資金移動実行部306における処理を実行する。以降の説明において、第1銀行サーバ10のソフトウェア構成について説明するが、第2銀行サーバ20のソフトウェア構成も第1銀行サーバ10とソフトウェア構成と同様の構成を有している。
【0054】
明細データ取得部301は、個人若しくは企業の通信端末、ATM又は第2銀行サーバ20から明細データを取得する。明細データ取得部301は、明細データを取得すると、第2銀行に振り込みを依頼する第1明細データ11か、第2銀行から第1銀行に振り込みを依頼する第2明細データ12か、第2銀行以外の銀行に振り込みを依頼する明細データか、を判定してもよい。明細データ取得部301が第1明細データ11であると判定する場合は、第1明細データ格納部132に第1明細データ11を蓄積する。または、明細データ取得部301が第2明細データ12であると判定する場合には、第2明細データ格納部133に第2明細データを蓄積する。なお、明細データ取得部301が他の銀行に振り込みを依頼する明細データであると判定する場合は、後に説明する。
【0055】
明細データ送信部302は、第1明細データ格納部132に格納された第1明細データ11を所定の期間分読み出し、第2銀行サーバ20に送信する。
【0056】
電文生成部303は、第1銀行送金用口座146から第1銀行入金用口座246に送金するための電文21を生成する。また、第1銀行入金用口座246から第1銀行送金用口座146に組み戻しを要求する場合には、電文生成部303は、第2銀行サーバ20に組み戻しを要求するための電文を生成する。また、電文生成部303は、複数の第1明細データの各々に応じた電文を生成してもよい。例えば、電文生成部303は、複数の第2明細データの各々に基づいて複数の電文を生成してもよいし、他の銀行に振り込みを依頼する明細データに基づいて電文を生成してもよい。
【0057】
図5は、電文生成部303によって生成された電文21の一例である。
図5に示す電文は、第1銀行送金用口座146から、第1銀行入金用口座246に、複数の第1明細データ11の合計金額を振り込む場合を示している。EDI欄には、例えば、本発明の一実施形態に係る振込システムが使用されることや、送信する電文21に含まれる第1明細データの件数等が入力される。
【0058】
電文送受信部304は、電文生成部303で生成された電文21を、全銀システム40に送信する。また、電文送受信部304は、全銀システム40から送信された電文を受信する。
【0059】
電文解析部305は、全銀システム40から受信した電文を解析して、電文の配信先及び入出金口座を決定する。例えば、電文解析部305は電文22を解析することで、電文22が第2銀行入金用口座147への入金であると決定する。
【0060】
資金移動実行部306は、電文解析部305で解析された電文又は第2明細データ12に基づいて、口座データ格納部135に格納された口座データの内容を更新する。電文解析部305で解析された電文が、第2銀行送金用口座247から第2銀行入金用口座147への振り込みを依頼する電文である場合には、資金移動実行部306は、第2銀行入金用口座147の口座データを更新する。また、資金移動実行部306は、第2銀行サーバ20から受信した複数の第2明細データの各々に基づいて、第2銀行入金用口座147から、第1銀行の顧客の口座に資金を移動するように、データを更新する。
【0061】
判定部307は、口座データ格納部135に格納されている第2銀行入金用口座147の口座データを読み出し、第2銀行入金用口座147の金額が、複数の第2明細データの合計金額を満たすか否かを判定する。判定部307は、第2銀行入金用口座147の金額が、複数の第2明細データ12の合計金額を満たすと判定する場合には、資金移動実行部306に、第2銀行入金用口座147から、第1銀行の顧客の口座に資金を移動するように、データを更新させる。判定部307が、第2銀行入金用口座147の金額が、複数の第2明細データ12の合計金額を満たさないと判定する場合には、電文生成部303に組み戻し電文を生成させる。
【0062】
ここで、明細データ取得部301が、第2銀行以外に振り込みを依頼する明細データであると判定する場合について説明する。この場合、明細データ取得部301から明細データを電文生成部303に送信する。電文生成部303は、当該明細データに基づく電文を生成し、電文送受信部304は、生成された電文を、全銀システム40を介して、振込相手の銀行に送信する。
【0063】
[フローチャート]
次に、本発明の一実施形態に係る振込方法について、
図6~
図11を参照して説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る振込方法を説明するフローチャートである。本発明の一実施形態に係るプログラムは、
図6に示す振込方法を、制御部150に実行させる。
図7及び
図8は、本発明の一実施形態に係る振込システム1000におけるデータフロー図である。
図7及び
図8は、具体的には、第1銀行サーバ10及び第2銀行サーバ20各々が管理する口座間での資金移動について示す図である。
【0064】
図7及び
図8に示すように、第1銀行サーバ10は、顧客A口座141、顧客B口座142、顧客C口座143、顧客D口座144、第2銀行口座145、第1銀行送金用口座146、及び第2銀行入金用口座147を管理する。また、第2銀行サーバ20は、顧客H口座241、顧客I口座242、顧客J口座243、顧客K口座244、第1銀行口座245、第2銀行送金用口座247、及び第1銀行入金用口座246を管理する。なお、第2銀行口座145は、第1銀行サーバ10に設けられる別段預金口座であり、第1銀行口座245は、第2銀行サーバ20に設けられる別段預金口座である。
【0065】
図7及び
図8においては、所定の期間に、顧客A口座141から顧客H口座241への振り込み、顧客B口座142から顧客I口座242への振り込み、顧客J口座243から顧客C口座143への振り込み、顧客K口座244から顧客D口座144への振り込みが依頼される場合について説明する。
【0066】
第1銀行サーバ10が、顧客A口座141から顧客H口座241への振り込みを依頼する第1明細データ11、及び顧客B口座142から顧客I口座242への振り込みの依頼する第1明細データ11を受信したとする。この場合、第1銀行サーバ10が第1明細データ11を受信したと同時に、資金移動実行部306に、顧客の口座から第2銀行口座145に一時的に移動するように、口座データを更新させる。ここでは、顧客A口座141から顧客H口座241への振り込み金額が、顧客A口座141から第2銀行口座145に一時的に移動され、顧客B口座142から顧客I口座242への振り込み金額が、顧客B口座142から第2銀行口座145に一時的に移動される。
【0067】
第1明細データ格納部132は、所定の期間、第1明細データ11を蓄積する。所定の期間とは、例えば、1時間~数時間である。銀行間の振込処理では、リアルタイム性は求められない。そのため、1営業日以内において、全て処理されればよいため、ここでは厳密な時間設定をしなくてもよい。
【0068】
所定の期間経過後に、振込処理が開始される(START)。第1銀行サーバ10は、第1明細データ11及び電文21を第2銀行サーバ20に送信する(ステップS401)。まず、明細データ送信部302は、第1明細データ格納部132から所定の期間に蓄積された複数の第1明細データ11を読み出し、第2銀行サーバ20に送信する。このとき、資金移動実行部306は、第2銀行サーバ20に送信した複数の第1明細データを集計して、合計した金額を、第2銀行口座145から第1銀行送金用口座146に一時的に移動するように、口座データを更新する。ここでは、顧客A口座141から顧客H口座241への振り込み金額及び顧客B口座142から顧客I口座242への振り込み金額が合計された金額が、第2銀行口座145から第1銀行送金用口座146に一時的に移動される。
【0069】
電文生成部303は、第1銀行送金用口座146から第1銀行入金用口座246に送金を依頼するための電文21を生成する。このとき、電文21のEDI欄には、第2銀行サーバ20に送信した複数の第1明細データ11の件数が入力される。電文送受信部304は、電文生成部303で生成された電文21を、全銀システム40に送信する。全銀システム40は、電文21を処理した結果の電文21を、第2銀行サーバ20に送信する。これにより、第1銀行送金用口座146から第1銀行入金用口座246に、複数の第1明細データ11の合計金額が送金される。
【0070】
次に、第1銀行サーバ10は、第2銀行サーバ20から、第2明細データ12及び電文22を受信したか否かを判定する(ステップS402)。明細データ取得部301は、第2銀行サーバ20から第2明細データ12を受信する。明細データ取得部301は、第2銀行サーバ20で所定の期間蓄積された複数の第2明細データ12を受信する。ここでは、顧客J口座243から顧客C口座143への振り込みを依頼する第2明細データ12、及び顧客K口座244から顧客D口座144への振り込み依頼する第2明細データ12を受信したとする。明細データ取得部301は、複数の第2明細データ12を受信すると、第2明細データ格納部133に格納する。電文送受信部304は、全銀システム40から電文22を受信する。第1銀行サーバ10が第2明細データ12及び電文22を受信したと判定する場合(ステップS402;Yes)、ステップS403の処理に進む。第1銀行サーバ10が第2明細データ12及び電文22を受信していないと判定する場合(ステップS402;No)、ステップS408の処理に進む。
【0071】
電文解析部305は、電文22を解析して、電文22の配信先及び入出金口座を決定する(ステップS403)。ここでは、電文22は、第2銀行送金用口座247から第2銀行入金用口座147に送金を依頼する電文である。したがって、電文解析部305は、電文22の配信先を資金移動実行部306及び入出金口座を第2銀行入金用口座147に決定する。
【0072】
資金移動実行部306は、電文22に基づいて、第2銀行入金用口座147の口座データを更新する(ステップS404)。ここでは、第2銀行入金用口座147には、複数の第2明細データ12の合計金額が振り込まれるように、第2銀行入金用口座147の口座データが更新される。
【0073】
判定部307は、第2銀行入金用口座147の金額が、第2明細データを処理するために必要な金額を満たすか否かを判定する(ステップS405)。判定部307は、第2銀行入金用口座147の金額が、複数の第2明細データ12を処理するために必要な金額(複数の第2明細データの合計金額)を満たすと判定する場合(ステップS408;Yes)、ステップS406の処理に進む。また、第2銀行入金用口座147の金額が、複数の第2明細データ12を処理するために必要な金額を満たさないと判定する場合(ステップS408;No)の場合、ステップS410の処理に進む。
【0074】
第2銀行入金用口座147の金額が、複数の第2明細データ12を処理するために必要な金額を満たす場合、資金移動実行部306は、複数の第2明細データ12に基づいて、資金移動を実行する(ステップS406)。資金移動実行部306は、複数の第2明細データ12に基づいて、第2銀行入金用口座147から、第1銀行の各顧客名義の口座に資金を移動するように、口座データを更新する(ステップS407)。ここでは、顧客J口座243から顧客C口座143への振り込みを依頼する第2明細データ12、及び顧客K口座244から顧客D口座144への振り込みを依頼する第2明細データ12に基づいて、第2銀行入金用口座147から、顧客C口座143及び顧客D口座144に資金を移動するように口座データを更新する。
【0075】
以上により、第1銀行サーバ10における振込処理が終了する(END)。振込処理が終了した後、処理が完了した複数の第1明細データ11を、第1明細データ格納部132から削除しても良いし、格納されたままであってもよい。また、処理が完了した複数の第2明細データ12は、第2明細データ格納部133から削除されても良いし、格納されたままであってもよい。
【0076】
次に、ステップS402において、第1銀行サーバ10が第2明細データ12及び電文22を受信していないと判定する場合(ステップS402;No)について説明する。ステップS402において、第2明細データ又は電文22が受信されない場合には、ステップS408に進む。ステップS408において、所定の期間が経過したか否かを判定する。ここで、所定の期間とは、例えば、1時間~数時間である。また、所定の期間は、第1銀行サーバ10が第1明細データ11を送ってから、明細データを送り合う次の期間が始まるまでの期間である。または、所定の期間は、振込処理が開始されてから、明細データを送り合う次の期間が始まるまでの期間である。第1銀行サーバ10が第1明細データ11及び電文21を受信してから、所定の期間が経過するまで(ステップS408;No)は、ステップS402とステップS408との処理を繰り返す。第1銀行サーバ10が第1明細データ11及び電文21を受信してから所定の期間が経過すると(ステップS408;Yes)と、ステップS410の組み戻し処理を開始する。
【0077】
また、ステップS405において、第2銀行入金用口座147の金額が、複数の第2明細データを処理するために必要な金額を満たさないと判定する場合(ステップS405;No)について説明する。ステップS408において、判定部307が第2銀行入金用口座147の金額が、第2明細データを処理するために必要な金額を満たさないと判定する場合には、ステップS410の組み戻し処理を開始する。
【0078】
次に、ステップS410における組み戻し処理について
図9乃至
図11を参照して説明する。
図9は、組み戻し処理を説明するフローチャートである。
図10及び
図11は、本発明の一実施形態に係る振込システム1000におけるデータフロー図である。ステップS410において、組み戻し処理が開始されると、電文生成部303は、組み戻し電文27を生成する(ステップS411)。本実施形態において、組み戻し電文27とは、第1銀行入金用口座246に送金した金額を、第1銀行送金用口座146に戻すための電文である。この場合、第1銀行サーバ10は、第2銀行サーバ20から受信した第2明細データを処理せずに、削除する。
【0079】
次に、電文送受信部404は、全銀システム40に組み戻し電文27を送信する(ステップS412)。
図10では、第1銀行サーバ10から、第1銀行送金用口座146に組み戻す電文27を送信している。全銀システム40では、組み戻し電文27を処理した結果の電文27を、第2銀行サーバ20に送信する。第2銀行サーバ20は、全銀システム40から電文27を受信すると、第1銀行入金用口座246から第1銀行送金用口座146に送金する電文28を生成して、全銀システム40に送信する。全銀システム40では、返金する電文28を処理した結果の電文28を、第1銀行サーバ10に送信する。
【0080】
次に、電文送受信部404は、全銀システム40から電文28を受信する(ステップS413)と、電文解析部305は、電文28を解析する(ステップS414)。ここでは、電文28は、第1銀行入金用口座246から第1銀行送金用口座146に送金を依頼する電文である。したがって、電文解析部305は、電文28の配信先を、第2銀行入金用口座147に決定する。
【0081】
このようにして、第1銀行入金用口座246から第1銀行送金用口座146に返金される(ステップS415)。資金移動実行部306では、電文28に基づいて、第1銀行送金用口座146の口座データを更新することで、資金移動を実行する。ここでは、第1銀行入金用口座246から第1銀行送金用口座146に、複数の第1明細データ11の合計金額が振り込まれるように、第1銀行送金用口座146の口座データが更新される。以上により、組み戻し処理が終了して、ステップS411の処理に進む。
【0082】
次に、電文生成部303は、所定の期間の複数の第1明細データ11を読み出して、複数の第1明細データ11各々の電文を生成する(ステップS411)。
図11では、顧客A口座141から顧客H口座241への振り込みを依頼する第1明細データ11に基づいて電文21_1を生成し、顧客B口座142から顧客I口座242への振り込みを依頼する第2明細データ12に基づいて電文21_2を生成する。
【0083】
次に、電文送受信部404は、複数の電文21_1、21_2を、全銀システム40に送信する(ステップS412)。全銀システム40は、複数の電文21_1、21_2を処理した結果の電文21_1、21_2を、第2銀行サーバ20に送信する。以上により、第1銀行サーバ10の振込処理が終了する(END)。
【0084】
なお、ステップS401において、第2銀行サーバ20が処理をする必要がある第1明細データ11が0件の場合がある。この場合は、第1銀行サーバ10から第1明細データ11が0件であるという電文を、全銀システム40を介して第2銀行サーバ20へ送信する。当該電文には、第1銀行送金用口座146から第1銀行入金用口座246への振込金額が0円であり、EDI欄には、第1明細データ11が0件であることが記載される。なお、第1銀行送金用口座146から第1銀行入金用口座246への振込金額が0円であるという第1明細データ11を生成して、第2銀行サーバ20へ送信してもよい。
【0085】
なお、ステップS402において、第1銀行サーバ10が処理をする必要がある第2明細データ12が0件の場合がある。この場合は、第2銀行サーバ20から第2明細データ12が0件であるという電文を受信する。当該電文には、第2銀行送金用口座247から第2銀行入金用口座147への振込金額振込金額が0円であり、EDI欄には、0件であることが記載されている。なお、第2銀行送金用口座247から第2銀行入金用口座147への振込金額が0円であるという第2明細データ12を生成して、第1銀行サーバ10へ送信してもよい。
【0086】
ステップS403において、電文解析部305は、当該電文を解析して、電文の配信先及び入出金口座を決定する。電文は、第2銀行送金用口座247から第2銀行入金用口座147に送金する金額が0円であることを示す電文である。したがって、電文解析部305は、電文の配信先を資金移動実行部306及び入出金口座を第2銀行入金用口座147に決定する。
【0087】
ステップS404において、資金移動実行部306は、電文に基づいて、第2銀行入金用口座147の口座データを更新する。ここでは、第2銀行入金用口座147には、0円が振り込まれるように、第2銀行入金用口座147の口座データが更新される。
【0088】
ステップS405において、判定部307は、第2銀行入金用口座147の金額が、第2明細データを処理するために必要な金額を満たすか否かを判定する。ここでは、第2明細データ12は0件であり、第2銀行入金用口座147に振り込まれた金額が0円であるため、判定部307は、第2明細データ12を処理するために必要な金額を満たすと判定する。
【0089】
第2明細データ12が0件である場合には、第2明細データ12の処理、及び各顧客名義の口座に資金を移動する必要がない。そのため、ステップS406及びステップS407の処理は省略されてもよい。以上により、第1銀行サーバ10の振込処理が終了する(END)。
【0090】
本発明の一実施形態に係る振込システム1000により、全銀システム40に送信する必要がある数千、数万という電文を、所定の期間毎に生成することができる。そのため、一日の業務の間に生成する必要がある電文を、数電文に集約させることができる。これにより、振込に伴う手数料の負担を軽減させることができる。また、振込システム1000によれば、一日に送信する必要がある電文量が増加するほど、振込に伴う手数料の負担を低減させることができる。
【0091】
また、振込システム1000は、取引先銀行が破たんした場合であっても、取引先銀行に送金した資金を取り戻すことが可能となる。したがって、新たに担保の差し入れを行うことなく、振込処理を実行することが可能となる。よって、振込システム1000によれば、決済手数料を削減しつつ、決済不履行の連鎖を防止することができる。
【0092】
(第2実施形態)
第1実施形態においては、第1銀行と第2銀行間の振込処理に関する方法について説明したが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。例えば、3銀行間で振込処理を実行するについても同様に適用することができる。以下、3銀行間で振込処理を実行する場合について、
図12及び
図13を参照して説明する。なお、第1実施形態で説明した内容と重複する箇所については適宜説明を省略する。
【0093】
図12は、本発明の一実施形態に係る振込システム1000Aの概要を説明する図である。
図13は、口座間の資金の移動について説明する図である。
図12では、第1銀行サーバ10及び第2銀行サーバ20に加えて、第3銀行サーバ30との間で、為替取引を実行する場合の一連のデータ処理について説明する。なお、以下の説明において、第1銀行サーバ10を主体として説明するが、第2銀行サーバ20及び第3銀行サーバ30においても、第1銀行サーバ10と同様のシステムを有し、同様の処理を実行するものとする。
【0094】
第1銀行サーバ10は、第2銀行サーバ20、第3銀行サーバ30、及び全銀システム40とネットワークを介して接続されている。第2銀行サーバ20は、第1銀行サーバ10、第3銀行サーバ30、及び全銀システム40とネットワークを介して接続されている。また、第3銀行サーバ30は、第1銀行サーバ10、第2銀行サーバ20、及び全銀システム40とネットワークを介して接続されている。全銀システム40は、日銀システム50、第1銀行サーバ10、第2銀行サーバ20、及び第3銀行サーバ30とネットワークを介して接続されている。また、図示しないが、第1銀行サーバ10、第2銀行サーバ20、及び第3銀行サーバ30には、顧客のコンピュータや、ATMなどの通信端末が接続されている。
【0095】
本発明の一実施形態に係る振込システム1000Aでは、予め、第1銀行サーバ10で、第1銀行送金用口座146、第2銀行入金用口座147、及び第3銀行入金用口座148を用意しておく。第2銀行サーバ20では、第1銀行入金用口座246、第2銀行送金用口座247、及び第3銀行入金用口座248を用意しておく。また、第3銀行サーバ30では、第1銀行入金用口座346、第2銀行入金用口座347、及び第3銀行送金用口座348を用意しておく。ここで、第3銀行入金用口座148、第3銀行入金用口座248、第3銀行送金用口座348は、例えば、別段預金口座であってもよいし、普通預金口座又は当座預金口座であってもよい。
【0096】
第1銀行サーバ10では、第1銀行サーバ10の顧客の口座から、第2銀行サーバ20の顧客の口座に対する振り込み金額を示す第1明細データ11、及び第1銀行サーバ10の顧客の口座から、第3銀行サーバ30の顧客の口座に対する振り込み金額を示す第3明細データ13を蓄積しておく。第2銀行サーバ20では、第2銀行サーバ20の顧客の口座から、第1銀行サーバ10の顧客の口座に対する振り込み金額を示す第2明細データ12、及び第2銀行サーバ20の顧客の口座から、第3銀行サーバ30の顧客の口座に対する振り込み金額を示す第4明細データ14を蓄積しておく。第3銀行サーバ30では、第3銀行サーバ30の顧客の口座から、第1銀行サーバ10の顧客の口座に対する振り込み金額を示す第5明細データ15、及び第3銀行サーバ30の顧客の口座から、第2銀行サーバ20の顧客の口座に対する振り込み金額を示す第6明細データ16を蓄積しておく。
【0097】
所定の期間毎に、第1銀行サーバ10及び第2銀行サーバ20は、蓄積された複数の第1明細データ11及び第2明細データ12を互いに送り合う。第1銀行サーバ10及び第3銀行サーバ30は、蓄積された複数の第3明細データ13及び第4明細データ14を送り合う。同様に、所定の期間毎に、第2銀行サーバ20及び第3銀行サーバ30は、蓄積された複数の第5明細データ15及び第6明細データ16を互いに送り合う。
【0098】
次に、第1銀行サーバ10は、第2銀行サーバ20に送信した複数の第1明細データ11に応じた資金(合計金額)を、第1銀行送金用口座146から、第1銀行入金用口座246宛に送金するための電文21を生成して、全銀システム40に送信する。第1銀行サーバ10は、第3銀行サーバ30に送信した複数の第3明細データ13に応じた資金(合計金額)を、第1銀行送金用口座146から第1銀行入金用口座346宛に送金するための電文23を生成して、全銀システム40に送信する。
【0099】
次に、第2銀行サーバ20は、第1銀行サーバ10に送信した複数の第2明細データ12に応じた資金(合計金額)を、第2銀行送金用口座247から、第2銀行入金用口座147宛に送金するための電文22を生成して、全銀システム40に送信する。第2銀行サーバ20は、第3銀行サーバ30に送信した複数の第4明細データ14に応じた資金(合計金額)を、第2銀行送金用口座247から、第3銀行サーバ30の第2銀行入金用口座347宛に送金するための電文24を生成して、全銀システム40に送信する。
【0100】
次に、第3銀行サーバ30は、第1銀行サーバ10に送信した複数の第1明細データ11に応じた資金(合計金額)を、第1銀行送金用口座146から第3銀行入金用口座148宛に送金するための電文25を生成して、全銀システム40に送信する。第3銀行サーバ30は、第2銀行サーバ20に送信した複数の第6明細データ16に応じた資金(合計金額)を、第3銀行送金用口座348から、第2銀行サーバ20の第3銀行入金用口座248宛に送金するための電文26を生成して、全銀システム40に送信する。
【0101】
全銀システム40は、第1銀行サーバ10から受信した電文21、電文23をリアルタイムで処理して、直ちに受取人の第2銀行サーバ20に処理結果の電文21、第3銀行サーバ30に処理結果の電文23を送信する。また、全銀システム40は、第2銀行サーバ20から受信した電文22、電文24をリアルタイムで処理して、直ちに受取人の第1銀行サーバ10に処理結果の電文22、第3銀行サーバ30に処理結果の電文24を送信する。全銀システム40は、第3銀行サーバ30から受信した電文25、電文26をリアルタイムで処理して、直ちに受取人の第1銀行サーバ10に処理結果の電文25、第3銀行サーバ30に処理結果の電文26を送信する。
【0102】
第1銀行サーバ10は、電文22、25を受信した後、解析した電文22、25に基づいて、資金を移動する口座を決定して資金の移動を実行する。ここでは、第2銀行入金用口座147に、複数の第2明細データ12の合計金額及び複数の第3明細データの合計金額が入金される。また、第2銀行サーバ20は、電文21、26を受信した後、解析した電文21、26に基づいて、資金を移動する口座を決定して資金の移動を実行する。ここでは、第1銀行入金用口座246に複数の第1明細データ11の合計金額及び複数の第5明細データ15の合計金額が入金される。また、第3銀行サーバ30は、電文23、24を受信した後、解析した電文23、24に基づいて、資金を移動する口座を決定して資金の移動を実行する。ここでは、第1銀行入金用口座346に複数の第3明細データ13の合計金額及び複数の第4明細データ14の合計金額が入金される。
【0103】
第1銀行サーバ10は、複数の第2明細データ12に基づいて、第2銀行入金用口座147から、第1銀行の顧客の口座に資金の移動を実行する。また、第1銀行サーバ10は、複数の第3明細データ13に基づいて、第3銀行入金用口座148から、第1銀行の顧客の口座に資金の移動を実行する。同様に、第2銀行サーバ20は、複数の第1明細データ11に基づいて、第1銀行入金用口座246から、第2銀行の顧客の口座に資金の移動を実行する。第2銀行サーバ20は、複数の第6明細データ16に基づいて、第3銀行入金用口座248から、第2銀行の顧客の口座に資金の移動を実行する。同様に、第3銀行サーバ30は、複数の第3明細データ13に基づいて、第1銀行入金用口座346から、第3銀行の顧客の口座に資金の移動を実行する。第3銀行サーバ30は、複数の第4明細データ14に基づいて、第2銀行入金用口座347から、第3銀行の顧客の口座に資金の移動を実行する。
【0104】
本発明の一実施形態では、一日の業務の間に、所定の期間毎に上記の処理を繰り返して実行する。
【0105】
以上説明した通り、本発明の一実施形態に係る振込システム1000Aは、2銀行間だけでなく、3銀行間における振込処理に対しても適用可能である。本発明の一実施形態に係る振込システムは、4銀行間以上であっても、同様に適用可能である。
【0106】
なお、本発明の好適な実施形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0107】
10:第1銀行サーバ、11~16:第1明細データ~第6明細データ、20:第2銀行サーバ、21~28:電文、30:第3銀行サーバ、40:全銀システム、50:日銀システム、61:通信端末、62:通信端末、110:通信部、120:主記憶部、130:補助記憶部、131:プログラム、132:第1明細データ格納部、133:第2明細データ格納部、134:顧客データ格納部、135:口座データ格納部、140:入出力IF部、141~144:口座、145:第2銀行口座、146:第1銀行送金用口座、147:第2銀行入金用口座、148:第3銀行入金用口座、150:制御部、160:バス、241~244:口座、245:第1銀行口座、246:第1銀行入金用口座、247:第2銀行送金用口座、248:第3銀行入金用口座、301:明細データ取得部、302:明細データ送信部、303:電文生成部、304:電文送受信部、305:電文解析部、306:資金移動実行部、307:判定部、346:第1銀行入金用口座、347:第2銀行入金用口座、348:第3銀行送金用口座、404:電文送受信部、510:サーバ、514:通信端末、520:サーバ、521:電文、522:電文、524:通信端末、1000:振込システム、1000A:振込システム