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特許7514100プログラム、制御方法、および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】プログラム、制御方法、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20240703BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240703BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20240703BHJP
【FI】
H04W76/10 130
H04W84/12
H04W88/02 110
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020064200
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021164065
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 芳則
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0012117(US,A1)
【文献】特開2018-191252(JP,A)
【文献】特開2013-081248(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153925(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1情報処理装置のコンピュータに、
アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報を、前記第1情報処理装置の外部かつ前記アクセスポイントの外部の通信装置と、前記第1情報処理装置と、の間の通信により、前記通信装置へ送信する送信工程と、
前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報の送信が失敗した後、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報を撮影によって取得するためのコード画像によって無線セットアップを行うための操作をユーザから受け付けた場合に、前記コード画像と、前記第1情報処理装置の外部かつ前記通信装置の外部かつ前記アクセスポイントの外部の第2情報処理装置で前記コード画像を撮影するようユーザに促すメッセージと、を含む画面を表示部に表示する表示工程と、
を実行させ、
前記コード画像が前記第2情報処理装置で撮影されたことに基づいて、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報が前記第2情報処理装置により取得される、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記送信工程において前記情報の送信が成功した場合に、前記表示工程において前記画面を表示しないことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される前記情報は、前記アクセスポイントのサービスセット識別子(SSID)およびパスフレーズを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記表示工程において、暗号化または難読化された前記情報に基づいて表示を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第2情報処理装置は、スマートフォン、タブレット端末、およびデジタルカメラのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記表示工程において、前記コード画像を撮影した前記第2情報処理装置を前記通信装置の読取部にかざすようユーザに促すメッセージを表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記表示工程において表示される前記コード画像は、前記情報と、前記第2情報処理装置が実行するアプリケーションの取得元に関する情報とに基づいて生成された画像であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記表示工程において、前記通信装置と通信可能な距離まで前記第2情報処理装置を移動させるようユーザに促すメッセージを前記表示部に表示することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記コード画像が第2情報処理装置で撮影された場合、前記第2情報処理装置により、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報と、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報を前記通信装置に送信するためのアプリケーションプログラムをインストールするための情報と、の両方が取得されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報は、前記第1情報処理装置と前記通信装置との間のP2P接続により前記通信装置に送信されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報は、WPSにより前記通信装置に送信されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記コード画像は、二次元バーコードであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項13】
前記通信装置は、印刷装置であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項14】
前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報の前記通信装置への送信が失敗した場合、前記コード画像によって無線セットアップを行うための操作と、WPSによって無線セットアップを行うための操作とを受け付け可能な選択画面を表示する表示制御工程をさらに有し、
前記選択画面において、前記コード画像によって無線セットアップを行うための操作が受け付けられた場合、前記コード画像と前記メッセージとを含む画面が表示される、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項15】
前記コード画像は、前記通信装置によって読み取られることが可能であり、
前記コード画像が前記通信装置によって読み取られたことに基づいて、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報が前記通信装置により取得される、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記コード画像と前記メッセージとを含む画面はさらに、前記通信装置に前記コード画像を読み込ませるようユーザに促すメッセージを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項17】
第1情報処理装置の制御方法であって、
アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報を、前記第1情報処理装置の外部かつ前記アクセスポイントの外部の通信装置と、前記第1情報処理装置と、の間の通信により、前記通信装置へ送信する送信工程と、
前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報の送信が失敗した後、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報を撮影によって取得するためのコード画像によって無線セットアップを行うための操作をユーザから受け付けた場合に、前記コード画像と、前記第1情報処理装置の外部かつ前記通信装置の外部かつ前記アクセスポイントの外部の第2情報処理装置で前記コード画像を撮影するようユーザに促すメッセージと、を含む画面を表示部に表示する表示工程と、
を有し、
前記コード画像が前記第2情報処理装置で撮影されたことに基づいて、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報が前記第2情報処理装置により取得される、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項18】
第1情報処理装置であって、
アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報を、前記第1情報処理装置の外部かつ前記アクセスポイントの外部の通信装置と、前記第1情報処理装置との間の通信により、前記通信装置へ送信する送信手段と、
前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報の送信が失敗した後、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報を撮影によって取得するためのコード画像によって無線セットアップを行うための操作をユーザから受け付けた場合に、前記コード画像と、前記第1情報処理装置の外部かつ前記通信装置の外部かつ前記アクセスポイントの外部の第2情報処理装置で前記コード画像を撮影するようユーザに促すメッセージと、を含む画面を表示する表示手段と、
を有し、
前記コード画像が前記第2情報処理装置で撮影されたことに基づいて、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報が前記第2情報処理装置により取得される、
ことを特徴とする第1情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置を無線LANに参加させるためのプログラム、制御方法、および情報処理装置に関する。


【背景技術】
【0002】
昨今、スマートフォン、PC、タブレットなど、無線通信機能を搭載した情報処理装置を複数所有し、それぞれを用途によって分けて使用するケースが増えている。また、プリンタ、デジタルカメラなどの通信機器にも無線通信機能を搭載したものが多く、これらの機器を同一無線ネットワークに接続することで、情報処理装置から無線ネットワークを介して通信機器を使用する場合も多い。
【0003】
特許文献1には、PCが無線設定モードのプリンタを検索し、検出したプリンタとPeer to Peer接続(以降、P2P接続と称す)を行い、PC内に保存された無線プロファイルをプリンタに送信し、プリンタの無線設定を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-191252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、PCとプリンタとの距離が遠い場合、または通信環境が悪い場合など、P2P接続によるプリンタの無線設定が失敗する場合がある。このような場合、ユーザは情報処理装置またはプリンタを操作して、アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報を入力する必要があり、通信機器を無線ネットワークに接続するための設定はユーザにとって困難となる場合がある。
【0006】
上記の課題を鑑み、本発明は、通信機器をネットワークに接続するための利便性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述のような課題を解決するため、本発明に係る制御方法の一態様は、プログラムであって、第1情報処理装置のコンピュータに、アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報を、前記第1情報処理装置の外部かつ前記アクセスポイントの外部の通信装置と、前記第1情報処理装置と、の間の通信により、前記通信装置へ送信する送信工程と、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報の送信が失敗した後、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報を撮影によって取得するためのコード画像によって無線セットアップを行うための操作をユーザから受け付けた場合に、前記コード画像と、前記第1情報処理装置とは異なり、かつ前記通信装置の外部かつ前記アクセスポイントの外部の第2情報処理装置で前記コード画像を撮影するようユーザに促すメッセージと、を含む画面を表示部に表示する表示工程と、を実行させ、前記コード画像が前記第2情報処理装置で撮影されたことに基づいて、前記アクセスポイントへの接続の確立に使用される情報が前記第2情報処理装置により取得される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、通信機器をネットワークに接続するための利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るシステムの構成図。
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】印刷装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図4】情報処理装置のセットアッププログラムの処理の流れを示すフローチャートの一例を示す図。
図5】情報処理装置のセットアッププログラムが表示する無線LANセットアップ方法を選択する画面の一例を示す図。
図6】印刷装置に無線LANセットアップを促すコマンドの一例を示す図。
図7】情報処理装置のセットアッププログラムが表示する2次元コード画面の一例を示す図。
図8】情報処理装置のセットアッププログラムが表示する2次元コードを可搬性の高い情報処理装置で撮影する様子を示す図。
図9】印刷装置の無線LANセットアップ処理の流れを示すフローチャートの一例を示す図。
図10】印刷装置の表示装置が表示する無線LANセットアップ方法を選択する画面の一例を示す図。
図11】印刷装置の表示装置が表示する2次元コードの読み込みを促す画面の一例を示す図。
図12】印刷装置の表示装置が表示する無線LANセットアップ成功を通知する画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態を表すシステムの全体構成図である。図1には、情報処理装置101、102、107、および108、印刷装置(通信装置)104~106、情報処理装置101および102は、無線LANルーター(本明細書ではアクセスポイントまたはAPと呼ぶ。)103と接続している。AP103は、無線ネットワークを形成する通信装置であり、一例ではスタートポロジの無線LANネットワークを形成する。AP103のサービスセット識別子(SSID)は、ここでは「aabbccdd」とする。AP103には、さらに印刷装置104が接続済みである。接続済みであることを表すために、図1ではAP103と印刷装置104とを接続する線は実線で示されている。印刷装置105および106はAP103とは未接続である。図1では、未接続であることを表すために印刷装置105および106とAP103とを接続する線は点線で示されている。情報処理装置101と比較して、情報処理装置102の方がより可搬性が高い。さらに、AP103には接続されていない情報処理装置107および108が存在する。情報処理装置107と情報処理装置108との違いは、情報処理装置107はスマートフォンやタブレット端末であり、情報処理装置108はデジタルカメラであることである。
【0012】
本実施形態では、情報処理装置101および102の少なくともいずれかが、自動無線LANセットアップによって印刷装置105および106の少なくともいずれかをAP103に接続させる場合の処理について説明を行う。なお、ここでの自動無線LANセットアップの方法として、情報処理装置101または102と印刷装置105とが共にAP103に接続する方法を例に説明する。なお、この方法では、情報処理装置101または102と印刷装置105とが、ダイレクト無線通信によりAP103の情報(SSID等)を通信し共有することで、両者がAP103に接続する。
【0013】
情報処理装置の中には、アプリケーションに対して周囲のアクセスポイントの検索結果を取得させないよう制限を設けているものがある。この場合、情報処理装置が無線設定モードのプリンタとP2P接続を行うためには、情報処理装置のOS(Operating System)機能をユーザ自身が操作して、プリンタのSSIDを選択しなければならず、設定を困難にする原因となりうる。また、複数の情報処理装置から無線ネットワークを介して同一のプリンタを使用可能にするためには、全ての情報処理装置を、プリンタへ無線設定を行った情報処理装置が参加している無線ネットワークに接続しなければならない。これに対して、自動無線LANセットアップに失敗した情報処理装置が、2次元コードなどのバーコード画像を他の情報処理装置で読み込むよう促すメッセージを表示することで、プリンタをアクセスポイントに接続させる際の利便性を向上する処理について説明する。
【0014】
図2は、情報処理装置101、102、107および108のハードウェア構成図を表している。情報処理装置101、102、107および108は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)205を有する。また、情報処理装置101、102、107および108は、撮影装置206、表示装置207、入力インタフェース(I/F)208、および無線LAN I/F209を有する。
【0015】
CPU201は、ROM202に格納されたセットアッププログラム203をRAM205に読み出し、実行することで、無線ネットワークの設定をプリンタに指示するための無線設定処理を含む、情報処理装置の動作を制御する各種処理を実行する。ROM202は、上記のセットアップ処理のプログラムを含む各種の処理に対応するプログラム203や、後述する無線プロファイル204などを記憶する記憶部であるしている。また、無線設定処理のプログラム(アプリケーション等)が情報処理装置にインストールされたときに、固有の識別情報もROM202に記憶される。この固有の識別情報は、例えばプリンタの製造者やプリンタ機種に対して一意に決められている。
【0016】
撮影装置206は、情報処理装置に1つ以上配置された、カメラなどの画像取得装置である。表示装置207は、ディスプレイやプロジェクタなどの、情報をユーザに通知するための装置である。入力装置208は、タッチパネルディスプレイ、キーボード、トグルスイッチなどの入力装置である。無線LAN I/F209は、無線送受信回路を含む通信部であって、一例ではIEEE802.11に準拠した無線通信を行うことができる。
【0017】
なお、撮影装置206は、情報処理装置101および102においては省略されてもよい。また無線LANI/F209は、情報処理装置107および108においては省略されてもよい。
【0018】
図3は、印刷装置104、105および106のハードウェア構成図を表している。印刷装置104、105および106は、CPU301、ROM302、RAM305、表示装置306、入力装置307、プリント部308、スキャン部309および無線LAN I/F310を有する。
【0019】
ROM302は、プログラム303や無線プロファイル304などを記憶する記憶部である。CPU301は、プログラム303をROM302からRAM305に読み出し、実行することで、印刷装置による各種の制御を実行する。
【0020】
表示装置306は、ディスプレイやLEDなどの、情報をユーザに通知するための表示部である。入力装置307は、タッチパネルディスプレイ、キーボード、トグルスイッチなどの入力装置である。プリント部308は、記録媒体(シート)に画像を形成する。スキャン部309は、記録媒体上の画像を読み取って画像データを生成する。また、一例では、スキャン部309は、情報処理装置101、102、107、および108の少なくともいずれかの表示部や、記録媒体上に記録された2次元コードを読み取り、2次元コードから情報を取得する読取部としても動作することができる。無線LANI/F310は、無線送受信回路を含む通信部であって、一例ではIEEE802.11に準拠した無線通信を行うことができる。
【0021】
図4は、情報処理装置101または102が実行するセットアッププログラムの処理の流れを示すフローチャートである。セットアッププログラム203は情報処理装置101または102のROM202に格納されており、情報処理装置101または102のCPU201によってRAM205にロードされ実行される。また、図4に示す処理は、情報処理装置101または102が、入力装置208を介してユーザからセットアッププログラムの実行を指示されることで開始される。以下、図4のフローチャートに沿ってセットアッププログラム203の処理の流れを説明する。また、図4の例では、情報処理装置101が印刷装置105をAP103に接続させる処理を実行する場合を例に説明を行う。
【0022】
まず情報処理装置101は、S401において情報処理装置101の表示装置207に無線LANセットアップ方法の選択を促す画面501を表示する。図5に表示画面例を示す。図5の『手動設定』、『ルーターのボタンで設定(WPS)』、および『2次元コード』のいずれかを選択して『次へ』ボタン502を選択することで、ユーザは印刷装置105の無線LANセットアップを実行する方法を選択することができる。なお、一例では、直接無線接続(P2P接続)モードにあるプリンタへ情報処理装置101が接続し、無線通信を介してAP103への接続の確立に使用するSSID、パスフレーズなどの情報を送信してもよい。
【0023】
本実施形態では、S401においてユーザ操作によって『2次元コードによる』方法が選択されたものとして説明を行う。一方、S401において、ユーザが別の『手動設定』や『ルーターのボタンで設定(WPS)』による方法を選択し、その方法が失敗した後であらためてユーザが『2次元コードによる』方法を選択した場合に後述する処理が適用されてもよい。また、情報処理装置101は、P2P接続によってプリンタ105にAP103への接続の確立に使用する情報の送信を試行し、失敗した場合にS401の処理を実行してもよい。
【0024】
S401においてユーザ操作によって『2次元コードによる』方法が選択され、ユーザ操作によって[次へ]ボタン502がマウス等の入力装置208によって選択されると、情報処理装置101は処理をS402に進める。S402において、情報処理装置101は、ROM202から情報処理装置101が現在接続状態にあるAP103との接続情報が格納された無線プロファイル204を取得する。
【0025】
次に情報処理装置101は処理をS403に進め、取得した無線プロファイル204を2次元コードに変換する。例えば、SSIDが『aabbccdd』、パスフレーズが『password』である場合、SSIDおよびパスフレーズを含むコマンドを生成して、生成したコマンドを2次元コードに変換してもよい。例えば、印刷装置105に無線LANセットアップを促すコマンド601として、図6に示す『DoWLANSetup;aabbccdd;password』のような文字列に基づいて2次元コードが生成されてもよい。この文字列をセットアッププログラム203が2次元コード化すればよい。また、セキュリティ強化の観点から、SSIDやパスフレーズをそのまま2次元コード化するのでなく、暗号化や難読化の技術を使って変換してから2次元コード化する手法も考えられる。例えば、情報処理装置101のセットアッププログラム203および印刷装置105のプログラム303が有する秘密鍵を使用して復号することで図6のコマンド601を抽出できるよう暗号化を行ってもよい。また、例えば、コマンド601をバイナリに変換するなど、所定の関数を使用して難読化を行ってもよい。
【0026】
次に情報処理装置101は処理をS404に進め、S403で生成した2次元コードと、より可搬性の高い情報処理装置を使用して無線LANセットアップを行うよう促すメッセージとを含む画面701を情報処理装置101の表示装置207に表示する。ここで情報処理装置101が、可搬性の高い機器である場合は、表示装置207の表示画面を印刷装置105のスキャン部309に直接読み込ませることが可能なので、そのまま図9のフローへ進む。
【0027】
情報処理装置101の可搬性が低く、表示装置207の表示画面を印刷装置105のスキャン部309に直接読み込ませることが難しい場合であっても、ユーザは画面701に表示されたメッセージに従い無線LANセットアップを継続する。例えば、メッセージは、図7に示すように「この画面をスキャナに読み込ませるのが難しい場合、バーコードを撮影可能なデバイスで撮影してから読み込ませることもできます」というメッセージである。別の例では、「スマートフォンなどでこのバーコードを撮影し、撮影した画像をプリンタのスキャナに読み込ませてください」というものであってもよい。
【0028】
例えば、図8に示すように、ユーザは、情報処理装置101と比較して可搬性の高い情報処理装置107または108で2次元コードを撮影することで、情報処理装置107または108に該コード読み込ませる。なお、情報処理装置107または108の読み込みは、ユーザが撮影装置206を操作して読込の指示を行うことで実行される。情報処理装置107または108が情報処理装置101に表示された2次元コードを読み取ることで、情報処理装置107または108は、AP103への接続の確立に使用する情報を取得することができる。一例では、2次元コードは、情報処理装置107または108に無線LANセットアップ処理を実行させるためのプログラム(アプリケーション)の取得元に関する情報を含んでもよい。これによって、情報処理装置107または108は、取得元に関する情報を使用して、上述した自動無線LANセットアップを実行するためのアプリケーションをダウンロードし、該プログラムをインストールすることができる。これによりユーザは、印刷装置105をAP103に接続させるための撮影操作により、該プログラムを情報処理装置107または108にインストールすることができる。そのため、該インストールのための操作を別途行わなくても、情報処理装置107または108に該プログラムをインストールすることができる。
【0029】
また、情報処理装置107は、本実施形態のためのアプリケーションを用いることで、上記2次元コードを撮影するようにしてもよい。そして、2次元コードに含まれるAP103の情報により、自身もAP103に接続するように動作してもよい。この場合、例えば情報処理装置107の該アプリケーションは、2次元コードから取得されたAP103のSSID、パスワードを、情報処理装置107のOSに対して指定することで、情報処理装置107をAP103に接続させる。そして、後述する操作により、2次元コードの撮影画像を用いて、印刷装置105もAP103に接続させることができる。
【0030】
さらに情報処理装置107の該アプリケーションは、2次元コードが撮影された際に、自動無線LANセットアップのプログラムを情報処理装置107にインストールするか否か、また情報処理装置107をAP103に接続させるか否かを、ユーザに問い合わせる画面を表示してもよい。そして、該画面に対するユーザの指示に応じて、プログラムのインストールやAP103への接続が行われる。
【0031】
次に、2次元コードの撮影画像を用いて印刷装置105をAP103に接続する方法について説明する。情報処理装置107または108は情報処理装置101に比べて可搬性が高いため、情報処理装置107または108の表示装置207に表示された2次元コードは、印刷装置105のスキャン部309に直接読み込ませることが可能である。このため、ユーザは情報処理装置107または108を印刷装置105の近くに移動させ、後述する図9のフローへ進む。
【0032】
S404における2次元コードの表示に基づいて、ユーザは、1台以上の印刷装置の無線LANセットアップを行うことができる。例えば、ユーザは情報処理装置101の表示装置207に表示された[次へ]ボタン702を選択することで複数の印刷装置の無線LANセットアップを行う。
【0033】
[次へ]ボタン702が選択されると、次にステップS405において、情報処理装置101は、特定のプリンタ(例えば印刷装置105)だけでなく、複数のプリンタのセットアップがユーザにより指定されたか判定する。具体的には、画面701においてユーザにより『複数のプリンタを無線LANセットアップする』の設定としてONが選択されていたか否かが判定される。『複数のプリンタを無線LANセットアップする』が選択されていた場合、情報処理装置101は、S406で後述する無線LANセットアップの完了した印刷装置105を検索する処理を省略してプログラムを終了する。
【0034】
一方、ユーザにより『複数のプリンタを無線LANセットアップする』の設定としてOFFが選択されていた場合は、セットアッププログラム203は、処理をS406に進める。次に情報処理装置101はS406において、無線LANセットアップを行ったのは1台であるとして、無線LANセットアップが完了した印刷装置105の検索を行う。具体的には、図4に示す処理が開始される前に、セットアップ対象のプリンタ機種が特定されている。例えば、図4に示す処理を実行するプログラムに予め機種情報が設定されていてもよいし、図4に示す処理が実行されるときにユーザが機種を指定してもよい。そして、S406においては、情報処理装置101と同じネットワーク内で、当該機種情報のプリンタが検索される。また、同一機種の複数のプリンタが検索された場合、該複数のプリンタのリストが表示され、ユーザがセットアップ対象として所望のプリンタを選択する。次に情報処理装置101は処理をS407に進め、無線LANセットアップが完了した印刷装置105の検索に成功した場合はプログラムを終了する。検索に失敗した場合は、情報処理装置101は処理をS401、つまりセットアッププログラム203の最初に戻って、あらためてセットアップ処理を再開する。例えば、特定の機種のプリンタが1台でも検索された場合、無線LANセットアップが完了した印刷装置105の検索に成功したものとする。
【0035】
なお、『複数のプリンタを無線LANセットアップする』の設定としてONが選択されていた場合でも、特定の機種が検索され、ユーザが所望のプリンタを選択してもよい。
【0036】
図9は、印刷装置105または106が実行する無線LANセットアップ処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、印刷装置105が図9の処理を実行する場合を例に説明を行う。まずS901において、印刷装置105は無線LANセットアップの方法の選択をユーザから受け付ける。選択はユーザによって、印刷装置105の表示装置306と入力装置307によって行われる。ユーザが選択を行う状態を表現する一例として図10がある。この例では、印刷装置105には液晶パネルという表示装置306とタッチパネルという入力装置307が装備されている。ほかには表示装置306として画面ではなくLEDランプのみのものや、それらを組み合わせたもの、入力装置307としては、ボタンのみのものやそれらを組み合わせたものがある。図10は、ユーザが印刷装置105の無線LANセットアップ方法として『2次元コードを読み込む』を選択している様子を表している。
【0037】
S901にて印刷装置105が無線LANセットアップ方法の選択を受け付けると、印刷装置105は処理をS902へ進める。S902では、印刷装置105は、ユーザに2次元コードのスキャンを促すメッセージを表示する。図11は印刷装置105の表示装置306が表示する2次元コードの読み込みを促すメッセージである。S902では、印刷装置105はスキャン部309に2次元コードがセットされるのを待機する。例えば、ユーザは、図4のS404で情報処理装置101の表示装置207に表示された2次元コード、または当該2次元コードを可搬性の高い情報処理装置107または108で撮影して表示装置207に表示された2次元コードをセットする。セットした後にユーザが図11の画面で[次へ]を選択すると読み取りが開始する。次に印刷装置105は処理をS903に進め、情報処理装置101、107または108の表示装置207に表示された2次元コードを読み取る。次に印刷装置105は処理をS904に進め、読み取った2次元コードの撮影データから、無線LANセットアップで使用するコマンド601を取得する。取得する際、印刷装置105は図4のフローのS403で説明したような暗号化、難読化の復号を行ってもよい。無線LANセットアップで使用するコマンド601を取得した印刷装置105は、そのコマンド601を用いて、AP103への接続を試みる。次に印刷装置105は処理をS905に進め、AP103への接続が失敗した場合(S905でNo)は、処理をS901へ戻して無線LANセットアップ処理を再度繰り返す。AP103への接続が成功した場合(S905でYes)は、処理をS906へ進める。次にS906において、印刷装置105は、無線LANセットアップが成功したことを表示装置306に表示する。図12は印刷装置105の表示装置306が表示する無線LANセットアップ成功メッセージである。ここでユーザが[OK]を入力装置307から選択すると、印刷装置105の無線LANセットアップ処理は完了する。
【0038】
ここで図9に示したフローを印刷装置106にも同様に実行することで、同じAP103への接続処理が2台分を行うことができる。当然ながら、3台以上の印刷装置に対して無線LANセットアップ処理を行うことも可能である。
【0039】
<その他の実施形態>
第1実施形態では、情報処理装置101の2次元コードを読み取った情報処理装置107または108は、2次元コードを表示することで印刷装置105に無線LANセットアップ処理を実行させた。一例では、情報処理装置107または108は、印刷装置105にP2P接続して、無線通信を介してAP103への接続の確立に使用される情報を送信してもよい。この場合、情報処理装置101の2次元コードは、AP103への接続の確立に使用される情報に加え、印刷装置105との接続の確立に使用される情報に基づいて生成されてもよい。また、この場合、印刷装置105は、S902で所定の時間内に2次元コードを読み取れなかった場合に、P2P接続を待ち受けてもよい。あるいは、印刷装置105は、2次元コードによる無線LANセットアップ処理の実行をS901で指示された場合に、P2P接続を待ち受けてもよい。また、この場合、図7に示す画面701には、「プリンタから10m以内に近づいてください」などの印刷装置105との通信可能な距離まで情報処理装置107または108を移動させることを促すメッセージが表示されてもよい。あるいは、図7に示す画面701には、「2次元コードを読み取ったスマートフォンをプリンタのNFC通信部にかざしてください」といったメッセージが表示されてもよい。また、一例では、画面701には、プリンタのNFC通信部を示す画像を表示してもよい。これによって、ユーザは、2次元コードを読み取ったスマートフォンをプリンタの近くに移動させる、またはプリンタにかざすだけで印刷装置105をAP103に接続させる無線LANセットアップ処理を簡便に実行させることができる。
【0040】
第1実施形態では、情報処理装置107または108は、情報処理装置101に表示された2次元コードを読み取り、AP103への接続の確立に使用される情報を取得するものとして説明した。一例では、情報処理装置107または108は、カメラアプリによって、情報処理装置101に表示された2次元コードを撮影し、撮影した撮影データを表示部に表示し、プリンタ105の読取部にかざしてもよい。これによって、AP103への接続の確立に使用される情報が暗号化または難読化されている場合であっても、情報処理装置107または108は暗号化または難読化を復号することなくプリンタ105に無線LANセットアップ処理を実行させることができる。
【0041】
なお、上述した2次元コードに代えて、バーコード等の各種のコードが用いられてもよい。
【0042】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0043】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0044】
101、102:情報処理装置、103:無線LANルーター、104~106:印刷装置、107、108:情報処理装置
図1
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図12