(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
B25J9/06 D
(21)【出願番号】P 2020119166
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】栗林 保
(72)【発明者】
【氏名】風間 俊道
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/135986(WO,A1)
【文献】特開平05-318374(JP,A)
【文献】特開平11-156770(JP,A)
【文献】特開2010-069569(JP,A)
【文献】特開2000-006080(JP,A)
【文献】特開2002-266962(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105150240(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/06-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平多関節型の産業用ロボットにおいて、
アームの一部を構成する中空状のアーム部と、前記アーム部の先端部に回動可能に連結される
2個の回動部と、
2個の前記回動部のそれぞれを回動させる
2個の駆動機構とを備え、
2個の前記回動部は、上下方向を回動の軸方向として回動し、
2個の前記回動部の回動中心は、一致しており、
2個の前記駆動機構のそれぞれは、駆動源としてのモータと前記モータ側に固定される駆動プーリとを含む駆動部と、前記回動部側に固定される従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとに掛け渡されるベルトとを備えるとともに、前記アーム部の内部に配置され、
2個の前記従動プーリは、上下方向で重なり、
2個の前記従動プーリの軸心は、前記回動部の回動中心と一致しており、
2個の前記駆動部は、上下方向に直交する前記アーム部の長手方向において互いにずれた位置に配置され、
2個の前記ベルトは、上下方向において互いにずれた位置に配置され、
2個の前記駆動機構のうちの、最も前記アーム部の先端側に配置される前記駆動部を有する前記駆動機構を第1駆動機構とし、前記第1駆動機構を除いた残りの前記駆動機構を第2駆動機構とすると、
前記第2駆動機構は
、前記
第1駆動機構の前記駆動部と、
前記第2駆動機構の前記ベルトとの隙間を確保するための複数のアイドルプーリを備え、
複数の前記アイドルプーリは、前記ベルトの内周側に配置され、前記アーム部の長手方向と上下方向とに直交する前記アーム部の幅方向における前記ベルトの間隔を広げている
とともに、前記アーム部の長手方向において、前記第1駆動機構の前記駆動部と前記従動プーリとの間に配置されていることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記第2駆動機構は、2個の前記アイドルプーリを備え、
2個の前記アイドルプーリは、前記アーム部の幅方向の外側に向かって互いに異なる方向へ前記ベルトを押していることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記回動部は、搬送対象物が搭載されるハンドであることを特徴とする請求項
1または2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記第2駆動機構の前記駆動プーリのピッチ円径は、前記第1駆動機構の前記駆動プーリの前記ピッチ円径よりも大きくなっていることを特徴とする請求項
1から
3のいずれかに記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平多関節型の産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを搬送するための水平多関節型の産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、半導体ウエハが搭載される2個のハンドと、2個のハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。また、特許文献1に記載の産業用ロボットは、2個のハンドのうちの一方のハンドを回動させる第1ハンド駆動機構と、他方のハンドを回動させる第2ハンド駆動機構とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、アームは、第1アーム部と第2アーム部と第3アーム部とから構成されている。本体部には、第1アーム部の基端側が回動可能に連結され、第1アーム部の先端側には、第2アーム部の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部の先端側には、第3アーム部の基端側が回動可能に連結され、第3アーム部の先端側には、2個のハンドが回動可能に連結されている。2個のハンドは、上下方向を回動の軸方向として回動する。2個のハンドの回動中心は一致している。
【0004】
第1ハンド駆動機構および第2ハンド駆動機構は、中空状に形成される第3アーム部の内部に配置されている。第1ハンド駆動機構は、駆動源となる第1モータと、第1モータに連結される第1減速機と、第1減速機の出力軸に取り付けられる第1駆動プーリと、一方のハンド側に固定される第1従動プーリと、第1駆動プーリと第1従動プーリとに掛け渡される第1ベルトとを備えている。第2ハンド駆動機構は、駆動源となる第2モータと、第2モータに連結される第2減速機と、第2減速機の出力軸に取り付けられる第2駆動プーリと、他方のハンド側に固定される第2従動プーリと、第2駆動プーリと第2従動プーリとに掛け渡される第2ベルトとを備えている。
【0005】
第1従動プーリと第2従動プーリとは、上下方向で重なっており、第1従動プーリの軸心と第2従動プーリの軸心とは一致している。第1モータ、第1減速機および第1駆動プーリは、第2モータ、第2減速機および第2駆動プーリよりも第3アーム部の先端側に配置されている。第2ベルトは、第1ベルトよりも上側に配置されている。第2ベルトの一部は、第1減速機の側方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、第2ベルトの一部が第1減速機の側方に配置されているため、第2ベルトと第1減速機との隙間を確保して、第2ベルトと第1減速機との干渉を防止する必要がある。一方で、
図7の概略平面図に示すように、第2アーム部に対する第3アーム部の回動中心と第2アーム部に対するハンドの回動中心との距離を保ちつつ、第2ベルト101と第1減速機102との隙間を広げていくと、第2従動プーリ103のピッチ円径が大きくなる(
図7の破線参照)。そのため、第2ベルト101と第1減速機102との隙間を確保しようとすると、第2従動プーリ103が配置される第3アーム部の先端部の幅が広くなるおそれがある。なお、
図7において、第2ベルト101は、第2駆動プーリ104と第2従動プーリ103とに掛け渡されている。
【0008】
そこで、本発明の課題は、アーム部の先端部に回動可能に連結される2個のハンド等の2個の回動部と、2個の回動部のそれぞれを回動させる2個の駆動機構とを備える水平多関節型の産業用ロボットにおいて、中空状に形成されるアーム部の内部に、ベルトを有する2個の駆動機構が配置されていても、一方の駆動機構のベルトと他方の駆動機構との干渉を確実に防止しつつ、アーム部の先端部の幅を狭めることが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、水平多関節型の産業用ロボットにおいて、アームの一部を構成する中空状のアーム部と、アーム部の先端部に回動可能に連結される2個の回動部と、2個の回動部のそれぞれを回動させる2個の駆動機構とを備え、2個の回動部は、上下方向を回動の軸方向として回動し、2個の回動部の回動中心は、一致しており、2個の駆動機構のそれぞれは、駆動源としてのモータとモータ側に固定される駆動プーリとを含む駆動部と、回動部側に固定される従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとに掛け渡されるベルトとを備えるとともに、アーム部の内部に配置され、2個の従動プーリは、上下方向で重なり、2個の従動プーリの軸心は、回動部の回動中心と一致しており、2個の駆動部は、上下方向に直交するアーム部の長手方向において互いにずれた位置に配置され、2個のベルトは、上下方向において互いにずれた位置に配置され、2個の駆動機構のうちの、最もアーム部の先端側に配置される駆動部を有する駆動機構を第1駆動機構とし、第1駆動機構を除いた残りの駆動機構を第2駆動機構とすると、第2駆動機構は、第1駆動機構の駆動部と、第2駆動機構のベルトとの隙間を確保するための複数のアイドルプーリを備え、複数のアイドルプーリは、ベルトの内周側に配置され、アーム部の長手方向と上下方向とに直交するアーム部の幅方向におけるベルトの間隔を広げているとともに、アーム部の長手方向において、第1駆動機構の駆動部と従動プーリとの間に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の産業用ロボットでは、中空状のアーム部の内部に配置される2個の駆動機構のうちの、最もアーム部の先端側に配置される駆動部を有する駆動機構を第1駆動機構とし、第1駆動機構を除いた残りの駆動機構を第2駆動機構とすると、第2駆動機構は、第1駆動機構の駆動部と、第2駆動機構のベルトとの隙間を確保するための複数のアイドルプーリを備えており、ベルトの内周側に配置される複数のアイドルプーリは、アーム部の長手方向と上下方向とに直交するアーム部の幅方向におけるベルトの間隔を広げている。
【0011】
したがって、本発明では、第1駆動機構の駆動部と第2駆動機構のベルトとの隙間を確保するために、アイドルプーリによってアーム部の幅方向におけるベルトの間隔を広げつつ、アイドルプーリよりもアーム部の先端側では、アイドルプーリが配置されていない場合よりも、アーム部の幅方向におけるベルトの間隔を狭めていく度合いを大きくすることが可能になる。
【0012】
そのため、本発明では、第1駆動機構の駆動部と第2駆動機構のベルトとの隙間を確保しつつ、アーム部の先端部に配置される第2駆動機構の従動プーリのピッチ円径を小さくすることが可能になる。その結果、本発明では、中空状のアーム部の内部に、ベルトを有する2個の駆動機構が配置されていても、一方の駆動機構のベルトと他方の駆動機構との干渉を確実に防止しつつ、アーム部の先端部の幅を狭めることが可能になる。また、本発明では、アイドルプーリは、アーム部の長手方向において、第1駆動機構の駆動部と従動プーリとの間に配置されているため、アイドルプーリが、アーム部の長手方向において、第1駆動機構の駆動部と第2駆動機構の駆動部との間に配置されている場合と比較して、第1駆動機構の駆動部と第2駆動機構のベルトとの隙間を確保しやすくなる。
【0013】
本発明において、第2駆動機構は、2個のアイドルプーリを備え、2個のアイドルプーリは、アーム部の幅方向の外側に向かって互いに異なる方向へベルトを押していることが好ましい。このように構成すると、2個のアイドルプーリを用いた簡易な構成でアーム部の幅方向におけるベルトの間隔を広げることが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、回動部は、搬送対象物が搭載されるハンドである。
【0016】
本発明において、第2駆動機構の駆動プーリのピッチ円径は、第1駆動機構の駆動プーリのピッチ円径よりも大きくなっていることが好ましい。このように構成すると、第2駆動機構の駆動プーリのピッチ円径が比較的大きくなるため、第1駆動機構の駆動部と第2駆動機構のベルトとの隙間を確保しやすくなる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明では、アーム部の先端部に回動可能に連結される2個のハンド等の2個の回動部と、2個の回動部のそれぞれを回動させる2個の駆動機構とを備える水平多関節型の産業用ロボットにおいて、中空状に形成されるアーム部の内部に、ベルトを有する2個の駆動機構が配置されていても、一方の駆動機構のベルトと他方の駆動機構との干渉を確実に防止しつつ、アーム部の先端部の幅を狭めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの側面図である。
【
図3】
図1に示すアーム部の内部の構成を説明するための断面図である。
【
図4】
図1に示すアーム部の内部の構成を説明するための平面図である。
【
図5】
図4のE-E断面の構成を説明するための断面図である。
【
図6】
図1に示す産業用ロボットの効果を説明するための平面図である。
【
図7】従来技術の問題点を説明するための概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の側面図である。
図2は、
図1に示す産業用ロボット1の平面図である。
図3は、
図1に示すアーム部12の内部の構成を説明するための断面図である。
【0021】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2を搬送するための水平多関節型のロボットであり、半導体製造システムに組み込まれて使用される。ロボット1は、半導体ウエハ2が搭載される2個のハンド4、5と、ハンド4、5が先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に動作するアーム6と、アーム6の基端側が回動可能に連結される本体部7とを備えている。
【0022】
アーム6は、3個のアーム部10~12によって構成されている。アーム部10の基端部は、本体部7に回動可能に連結されている。アーム部11の基端部は、アーム部10の先端部に回動可能に連結されている。アーム部12の基端部は、アーム部11の先端部に回動可能に連結されている。アーム部10~12は、上下方向を回動の軸方向として回動する。アーム部10~12は、中空状に形成されている。本体部7とアーム部10とアーム部11とアーム部12とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。
【0023】
ハンド4、5は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。ハンド4、5の基端部は、アーム部12の先端部に回動可能に連結されている。ハンド4、5は、上下方向を回動の軸方向として回動する。ハンド4の基端部とハンド5の基端部とは上下方向で重なっている。本形態では、ハンド4が上側に配置され、ハンド5が下側に配置されている。ハンド4の回動中心とハンド5の回動中心とは一致している。すなわち、2個のハンド4、5の回動中心は一致している。ハンド4、5は、アーム部12よりも上側に配置されている。本形態のハンド4、5は、アーム部12の先端部に回動可能に連結される回動部であり、ロボット1は、2個の回動部を備えている。
【0024】
本体部7は、筐体13と、アーム部10の基端部が回動可能に連結される柱状部材(図示省略)とを備えている。アーム部10の基端部は、柱状部材の上端部に回動可能に連結されている。筐体13の内部には、柱状部材を昇降させるアーム昇降機構(図示省略)が収納されている。アーム昇降機構は、柱状部材が筐体13に収容される位置と、柱状部材が筐体13から上側に突出する位置との間で、アーム6および柱状部材を昇降させる。
【0025】
また、ロボット1は、アーム部10、11を回動させてアーム部10とアーム部11とからなるアーム6の一部を伸縮させるアーム駆動機構(図示省略)と、アーム部11に対してアーム部12を回動させるアーム回動機構(図示省略)とを備えている。さらに、ロボット1は、アーム部12に対してハンド4を回動させるハンド駆動機構16と、アーム部12に対してハンド5を回動させるハンド駆動機構17とを備えている。すなわち、ロボット1は、2個のハンド4、5のそれぞれを回動させる2個のハンド駆動機構16、17を備えている。以下、アーム部12およびハンド駆動機構16、17の具体的な構成について説明する。
【0026】
(アーム部およびハンド駆動機構の構成)
図4は、
図1に示すアーム部12の内部の構成を説明するための平面図である。
図5は、
図4のE-E断面の構成を説明するための断面図である。
【0027】
アーム部12は、上下方向から見たときの形状が略長円形状となる箱状に形成されている。また、アーム部12は、上下方向の厚さが薄い扁平な箱状に形成されている。アーム部12は、上下の両面に開口部が形成されるアーム部本体20と、アーム部本体20の上面の開口部を塞ぐ上カバー21と、アーム部本体20の下面の開口部を塞ぐ下カバー22とを備えている。
図4では、上カバー21が取り外された状態のアーム部12が図示されている。
【0028】
以下では、説明の便宜上、上下方向に直交する方向のうちの、略長円形状をなすアーム部12の長手方向(
図4等のX方向)を「左右方向」とし、上下方向と左右方向とに直交するアーム部12の幅方向(アーム部12の短手方向、
図4等のY方向)を「前後方向」とする。また、以下の説明では、左右方向の一方側である
図4等のX1方向側を「右」側とし、その反対側である
図4等のX2方向側を「左」側とする。本形態では、右側(X1方向側)がアーム部12の基端側となっており、左側(X2方向側)がアーム部12の先端側となっている。
【0029】
ハンド駆動機構16は、アーム部12の内部に配置されている。ハンド駆動機構16は、駆動源としてのモータ25と、モータ25側に固定される駆動プーリ26と、ハンド4側に固定される従動プーリ27と、駆動プーリ26と従動プーリ27とに掛け渡されるベルト28とを備えている。また、ハンド駆動機構16は、モータ25の出力軸に連結される減速機29を備えている。
【0030】
ハンド駆動機構17は、アーム部12の内部に配置されている。ハンド駆動機構17は、ハンド駆動機構16と同様に、駆動源としてのモータ30と、モータ30側に固定される駆動プーリ31と、ハンド5側に固定される従動プーリ32と、駆動プーリ31と従動プーリ32とに掛け渡されるベルト33とを備えている。また、ハンド駆動機構17は、モータ30の出力軸に連結される減速機34を備えている。
【0031】
従動プーリ27、32は、アーム部12の先端部の内部に配置されている。従動プーリ27と従動プーリ32とは、上下方向で重なっている。本形態では、従動プーリ27が従動プーリ32の下側に配置されている。従動プーリ27の軸心と従動プーリ32の軸心とは一致している。また、従動プーリ27、32の軸心は、ハンド4、5の回動中心と一致している。従動プーリ27のピッチ円径(ピッチ円外径)と従動プーリ32のピッチ円径とは等しくなっている。
【0032】
従動プーリ27は、中空状の回動軸35の下端部に固定されている。回動軸35の上端部は、ハンド4の基端部の下側に固定されている。すなわち、従動プーリ27は、回動軸35を介してハンド4に固定されている。従動プーリ32は、中空状の回動軸36の下端部に固定されている。回動軸36は、回動軸35の外周側に配置されている。回動軸36の上端部は、ハンド5の基端部の下側に固定されている。すなわち、従動プーリ32は、回動軸36を介してハンド5に固定されている。
【0033】
モータ25は、アーム部本体20に固定されている。具体的には、
図5に示すように、モータ25は、アーム部本体20に固定されるモータ固定部材39に固定されている。すなわち、モータ25は、モータ固定部材39を介してアーム部本体20に固定されている。同様に、モータ30は、アーム部本体20に固定されるモータ固定部材40(
図4参照)に固定されており、モータ30は、モータ固定部材40を介してアーム部本体20に固定されている。モータ25、30の出力軸は、下側に向かって突出している。モータ25とモータ30とは、同じモータである。
【0034】
減速機29、34は、径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。具体的には、減速機29、34は、中空状に形成される中空波動歯車装置(ハーモニックドライブ(登録商標))である。減速機29と減速機34とは、同じ減速機である。減速機29の入力軸は、モータ25の出力軸に連結されている。モータ25の出力軸と減速機29の入力軸とは同軸上に配置されている。同様に、減速機34の入力軸は、モータ30の出力軸に連結されている。モータ30の出力軸と減速機34の入力軸とは同軸上に配置されている。
【0035】
駆動プーリ26は、減速機29の出力軸に固定されている。モータ25の出力軸と駆動プーリ26とは同軸上に配置されている。同様に、駆動プーリ31は、減速機34の出力軸に固定されている。モータ30の出力軸と駆動プーリ31とは同軸上に配置されている。駆動プーリ31のピッチ円径(ピッチ円外径)は、駆動プーリ26のピッチ円径よりも大きくなっている。また、駆動プーリ26のピッチ円径および駆動プーリ31のピッチ円径は、従動プーリ27、32のピッチ円径よりも大きくなっている。
【0036】
本形態では、モータ25、駆動プーリ26、減速機29およびモータ固定部材39等によって、モータ25および駆動プーリ26を含む駆動部42が構成されている。また、本形態では、モータ30、駆動プーリ31、減速機34およびモータ固定部材40等によって、モータ30および駆動プーリ31を含む駆動部43が構成されている。
【0037】
2個の駆動部42、43は、左右方向(アーム部12の長手方向)において互いにずれた位置に配置されている。具体的には、駆動部42は、駆動部43よりも左側に配置されている。すなわち、駆動部42は、駆動部43よりもアーム部12の先端側に配置されている。駆動部42と駆動部43は、上下方向において同じ位置に配置されている。また、駆動部42と駆動部43は、前後方向において同じ位置に配置されている。
【0038】
本形態のハンド駆動機構16、17は、2個のハンド4、5のそれぞれを回動させる駆動機構であり、ロボット1は、2個の駆動機構を備えている。また、本形態のハンド駆動機構16は、2個の駆動機構(ハンド駆動機構16、17)のうちの、最もアーム部12の先端側に配置される駆動部42を有する駆動機構である第1駆動機構となっており、
ハンド駆動機構17は、第1駆動機構であるハンド駆動機構16を除いた残りの駆動機構である第2駆動機構となっている。
【0039】
ベルト28、33は、環状に形成される無端ベルトである。また、ベルト28、33は、内周側に歯が形成される歯付きベルトである。2個のベルト28、33は、上下方向において互いにずれた位置に配置されている。具体的には、ベルト28がベルト33よりも下側に配置されている。すなわち、駆動プーリ26の、ベルト28が係合する部分は、駆動プーリ31の、ベルト33が係合する部分よりも下側に配置されている。ベルト33の一部は、駆動部42の側方に配置されている。具体的には、ベルト33の一部は、モータ固定部材39の前後方向の外側に配置されている(
図5参照)。
【0040】
ハンド駆動機構17は、上記の構成に加えて、駆動部42とベルト33との隙間(具体的には、モータ固定部材39とベルト33との隙間)を確保するための複数のアイドルプーリ45を備えている。すなわち、ハンド駆動機構17は、ハンド駆動機構17の駆動部43よりもアーム部12の先端側に配置される駆動部42を有するハンド駆動機構16の駆動部42と、ハンド駆動機構17のベルト33との隙間を確保するための複数のアイドルプーリ45を備えている。本形態のハンド駆動機構17は、2個のアイドルプーリ45を備えている。アイドルプーリ45は、アーム部本体20に回転可能に保持されている。アイドルプーリ45は、上下方向を回転の軸方向として回転可能になっている。
【0041】
図4に示すように、2個のアイドルプーリ45は、ベルト33の内周側に配置されている。また、2個のアイドルプーリ45は、左右方向において同じ位置に配置されている。さらに、2個のアイドルプーリ45は、前後方向において間隔をあけた状態で配置されており、前後方向(アーム部12の幅方向)におけるベルト33の間隔を広げている。すなわち、前側に配置されるアイドルプーリ45の前端および後ろ側に配置されるアイドルプーリ45の後端は、2個のアイドルプーリ45が配置されていない状態で駆動プーリ31と従動プーリ32とに掛け渡されているとした場合のベルト33の内周面の位置よりも前後方向の外側に配置されており、2個のアイドルプーリ45は、前後方向の外側に向かって互いに異なる方向へベルト33を押している。
【0042】
また、アイドルプーリ45は、左右方向において、駆動部42と従動プーリ32との間に配置されている。具体的には、アイドルプーリ45は、駆動部42と従動プーリ32との間の左右方向の中心位置よりも右側に配置されている。すなわち、アイドルプーリ45は、駆動部42と従動プーリ32との間の左右方向の中心位置より駆動部42側に配置されている。前側に配置されるアイドルプーリ45の前端と、後ろ側に配置されるアイドルプーリ45の後端との前後方向の距離は、駆動プーリ31のピッチ円径よりも短くなっている。
【0043】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ハンド駆動機構17は、ハンド駆動機構17の駆動部43よりもアーム部12の先端側に配置される駆動部42を有するハンド駆動機構16の駆動部42と、ハンド駆動機構17のベルト33との隙間を確保するための2個のアイドルプーリ45を備えており、ベルト33の内周側に配置される2個のアイドルプーリ45がアーム部12の幅方向(前後方向)におけるベルト33の間隔を広げている。
【0044】
したがって、本形態では、駆動部42とベルト33との隙間を確保するために、アイドルプーリ45によってアーム部12の幅方向におけるベルト33の間隔を広げつつ、アイドルプーリ45よりもアーム部12の先端側では、アイドルプーリ45が配置されていない場合よりも、アーム部12の幅方向におけるベルト33の間隔を狭めていく度合いを大きくすることが可能になる。そのため、本形態では、駆動部42とベルト33との隙間を確保しつつ、従動プーリ32のピッチ円径を小さくすることが可能になる。
【0045】
すなわち、アイドルプーリ45を使用せずに、駆動部42とベルト33との間に、アイドルプーリ45を使用した場合と同程度の隙間を確保しようとすると、アーム部12の先端側において、
図6の二点鎖線で示すように、アイドルプーリ45が配置されている場合よりも、アーム部12の幅方向におけるベルト33の間隔を狭めていく度合いが小さくなり、その結果、従動プーリ32のピッチ円径が大きくなる。
【0046】
これに対して、本形態では、駆動部42とベルト33との隙間を確保しつつ、アーム部12の先端部に配置される従動プーリ32のピッチ円径を小さくすることが可能になる。したがって、本形態では、中空状のアーム部12の内部に2個のハンド駆動機構16、17が配置されていても、ハンド駆動機構17のベルト33とハンド駆動機構16との干渉を確実に防止しつつ、アーム部12の先端部の幅を狭めることが可能になる。
【0047】
本形態では、アイドルプーリ45は、左右方向(アーム部12の長手方向)において駆動部42と従動プーリ32との間に配置されている。そのため、本形態では、アイドルプーリ45が左右方向において駆動部42と駆動部43との間に配置されている場合と比較して、駆動部42とベルト33との隙間を確保しやすくなる。また、本形態では、駆動プーリ31のピッチ円径が駆動プーリ26のピッチ円径よりも大きくなっており、駆動プーリ31のピッチ円径が比較的大きくなっているため、駆動部42とベルト33との隙間を確保しやすくなる。
【0048】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0049】
上述した形態において、駆動プーリ26は、減速機29を介さずにモータ25の出力軸に連結されていても良い。すなわち、駆動部42は、減速機29を備えていなくても良い。同様に、駆動プーリ31は、減速機34を介さずにモータ30の出力軸に連結定されていても良い。すなわち、駆動部43は、減速機34を備えていなくても良い。また、上述した形態において、モータ25は、アーム部本体20に直接固定されていても良い。すなわち、駆動部42は、モータ固定部材39を備えていなくても良い。同様に、モータ30は、アーム部本体20に直接固定されていても良い。すなわち、駆動部43は、モータ固定部材40を備えていなくても良い。
【0050】
上述した形態において、2個のアイドルプーリ45は、左右方向において互いにずれた位置に配置されていても良い。また、上述した形態において、アイドルプーリ45は、左右方向において駆動部42と駆動部43との間に配置されていても良い。また、上述した形態において、駆動プーリ31のピッチ円径は、駆動プーリ26のピッチ円径以下となっていても良い。さらに、上述した形態において、ハンド駆動機構17は、3個以上のアイドルプーリ45を備えていても良い。ただし、上述した形態のように、ハンド駆動機構17が有するアイドルプーリ45の数が2個である場合には、2個のアイドルプーリ45を用いた簡易な構成で前後方向におけるベルト33の間隔を広げることが可能になる。
【0051】
上述した形態において、ロボット1は、回動中心が一致する3個以上のハンドと、3個以上のハンドのそれぞれを回動させる3個以上のハンド駆動機構とを備えていても良い。たとえば、ロボット1は、回動中心が一致する3個のハンドと、3個のハンドのそれぞれを回動させる3個のハンド駆動機構とを備えていても良い。この場合には、3個のハンド駆動機構の駆動部が左右方向において互いにずれた位置に配置され、3本のベルトが上下方向において互いにずれた位置に配置されている。
【0052】
また、この場合には、3個のハンド駆動機構のうちの、最も左側(アーム部12の先端側)に配置される駆動部を有するハンド駆動機構が第1駆動機構となり、残りの2個のハンド駆動機構が第2駆動機構となる。3個のハンド駆動機構のうちで、左から2番目に配置される駆動部を有するハンド駆動機構は、最も左側に配置される駆動部を有するハンド駆動機構の駆動部と、左から2番目に配置される駆動部を有するハンド駆動機構のベルトとの隙間を確保するための複数のアイドルプーリ(たとえば、2個のアイドルプーリ)を備えている。
【0053】
また、3個のハンド駆動機構のうちで、最も右側に配置される駆動部を有するハンド駆動機構は、最も左側に配置される駆動部を有するハンド駆動機構の駆動部と、最も右側に配置される駆動部を有するハンド駆動機構のベルトとの隙間、および、左から2番目に配置される駆動部を有するハンド駆動機構の駆動部と、最も右側に配置される駆動部を有するハンド駆動機構のベルトとの隙間を確保するための複数のアイドルプーリ(たとえば、2個のアイドルプーリ)を備えている。
【0054】
この場合には、左から2番目に配置される駆動部を有するハンド駆動機構のベルトと最も左側に配置される駆動部を有するハンド駆動機構の駆動部との干渉、最も右側に配置される駆動部を有するハンド駆動機構のベルトと最も左側に配置される駆動部を有するハンド駆動機構の駆動部との干渉、および、最も右側に配置される駆動部を有するハンド駆動機構のベルトと左から2番目に配置される駆動部を有するハンド駆動機構の駆動部との干渉を確実に防止しつつ、アーム部12の先端部の幅を狭めることが可能になる。
【0055】
上述した形態において、2個のハンド4、5に代えて、アーム部12の先端部に2個のアーム部が回動可能に連結されていても良い。この場合には、2個のアーム部の回動中心は一致している。また、この場合には、ロボット1は、2個のアーム部のうちの一方のアーム部を回動させる第1駆動機構と、他方のアーム部を回動させる第2駆動機構とを備えており、第1駆動機構は、ハンド駆動機構16と同様に構成され、第2駆動機構は、ハンド駆動機構17と同様に構成されている。また、この場合には、アーム部12の先端部に連結されるアーム部が回動部となる。
【0056】
上述した形態において、アーム6は、2個のアーム部によって構成されても良いし、4個以上のアーム部によって構成されても良い。また、上述した形態において、ロボット1は、半導体ウエハ2以外の搬送対象物を搬送するためのロボットであっても良いし、その他の用途で使用される水平多関節型のロボットであっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ、搬送対象物)
4、5 ハンド(回動部)
6 アーム
12 アーム部
16 ハンド駆動機構(駆動機構、第1駆動機構)
17 ハンド駆動機構(駆動機構、第2駆動機構)
25、30 モータ
26、31 駆動プーリ
27、32 従動プーリ
28、33 ベルト
42、43 駆動部
45 アイドルプーリ
X アーム部の長手方向
Y アーム部の幅方向