(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】高圧法低密度ポリエチレン樹脂
(51)【国際特許分類】
C08F 10/02 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
C08F10/02
(21)【出願番号】P 2020126785
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 義昭
(72)【発明者】
【氏名】竹山 英伸
(72)【発明者】
【氏名】岡本 誠
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-009166(JP,A)
【文献】特開2010-116437(JP,A)
【文献】特表2013-540877(JP,A)
【文献】特開2012-136666(JP,A)
【文献】国際公開第99/016796(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記要件(1)~(3)を満たす高圧法低密度ポリエチレン樹脂;
要件(1):JIS K7112に従って測定した密度が910kg/m
3以上925kg/m
3以下、
要件(2):JIS K7210に従って測定したメルトフローレイト(温度190℃、荷重2.16kg)が20g/10分以上50g/10分以下、
要件(3):GPC-IRにて測定したメチル基数を縦軸に、分子量の対数を横軸としてグラフ化したとき、グラフの傾きが以下の式(4)を満たす。
1.5≦(a-b)/(c-d)≦3.5 式(4)
(式(4)中、
a:分子量10E+5.5のメチル基数(個/1000C)、
b:メチル基数(個/1000C)の最小値、
c:Log(10E+5.5)、
d:Log(メチル基数が最小値である分子量)、
を示す。)
【請求項2】
50℃におけるn-ヘキサン抽出量が2.6重量%以下である、請求項1に記載の高圧法低密度ポリエチレン樹脂。
【請求項3】
前記密度が912kg/m
3以上918kg/m
3以下、前記メルトフローレイトが35g/10分以上50g/10分以下である、請求項1又は2に記載の高圧法低密度ポリエチレン樹脂。
【請求項4】
昇温溶離分別(TREF)の50℃以下の溶出量が8.0重量%以下である、請求項1~3のいずれか一項記載の高圧法低密度ポリエチレン樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用包装材等に好適に用いられる高圧法低密度ポリエチレン樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
低密度ポリエチレンは、低温ヒートシール性、引裂強度、耐衝撃性、透明性等に優れており、食品、医療、電子材料などの包装材や容器として広い分野において使用されている。近年、上記の分野において、臭気や、添加剤・劣化物の溶出による内容物の汚染に関して市場要求が極めて高度化してきており、これらの諸特性を改良したクリーンな素材が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1及び2には、管状反応器を用いたフリーラジカル高圧重合プロセスから形成される低密度のエチレン系ポリマーが開示されており、ヘキサン抽出レベルの低いポリマーが得られたことが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2018-518577号公報
【文献】特表2018-522972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載されたエチレン系ポリマーは、耐汚染性および臭気の観点から、未だ十分な性能を有しているとはいえない。特に食品包装分野においては、内容物への汚染や臭気に関して厳しい基準が設けられているが、加工性を維持しつつ、これらの要求特性を満たす低密度ポリエチレンは未だ得られていない。上記事情に鑑み、本発明は、優れた加工性を有し、且つ、内容物への耐汚染性や低臭気にも優れた低密度ポリエチレンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の密度とMFRを有し、且つ、GPC-IRにて測定したメチル基数を縦軸に、分子量の対数を横軸としてグラフ化したとき、グラフの傾きが特定の式を満たすことで、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
下記要件(1)~(3)を満たす高圧法低密度ポリエチレン樹脂;
要件(1):JIS K7112に従って測定した密度が910kg/m3以上925kg/m3以下、
要件(2):JIS K7210に従って測定したメルトフローレイト(温度190℃、荷重2.16kg)が20g/10分以上50g/10分以下、
要件(3):GPC-IRにて測定したメチル基数を縦軸に、分子量の対数を横軸としてグラフ化したとき、グラフの傾きが以下の式(4)を満たす。
1.5≦(a-b)/(c-d)≦3.5 式(4)
(式(4)中、
a:分子量10E+5.5のメチル基数(個/1000C)、
b:メチル基数(個/1000C)の最小値、
c:Log(10E+5.5)、
d:Log(メチル基数が最小値である分子量)、
を示す。)
[2]
50℃におけるn-ヘキサン抽出量が2.6重量%以下である、上記[1]に記載の高圧法低密度ポリエチレン樹脂。
[3]
前記密度が912kg/m3以上918kg/m3以下、前記メルトフローレイトが35g/10分以上50g/10分以下である、上記[1]又は[2]に記載の高圧法低密度ポリエチレン樹脂。
[4]
昇温溶離分別(TREF)の50℃以下の溶出量が8.0重量%以下である、上記[1]~[3]のいずれか記載の高圧法低密度ポリエチレン樹脂。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、優れた加工性を有し、且つ、内容物への汚染性や低臭気にも優れた低密度ポリエチレンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1における高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂は、下記要件(1)~(3)を満たす。
要件(1):JIS K7112に従って測定した密度が910kg/m3以上925kg/m3以下、
要件(2):JIS K7210に従って測定したメルトフローレイト(温度190℃、荷重2.16kg)が20g/10分以上50g/10分以下、
要件(3):GPC-IRにて測定したメチル基数を縦軸に、分子量の対数を横軸としてグラフ化したとき、グラフの傾きが以下の式(4)を満たす。
1.5≦(a-b)/(c-d)≦3.5 式(4)
(式(4)中、
a:分子量10E+5.5のメチル基数(個/1000C)、
b:メチル基数(個/1000C)の最小値、
c:Log(10E+5.5)、
d:Log(メチル基数が最小値である分子量)、
を示す。)
【0012】
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、2種以上を任意の比率でドライブレンド、又はメルトブレンドしたものであってもよい。
【0013】
[要件(1)]
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂は、以下の要件(1)を満たす。
要件(1):JIS K7112に従って測定した密度(以下、「密度」とも言う。)が910kg/m3以上925kg/m3以下
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂の密度は、好ましくは912~918kg/m3であり、より好ましくは913~917kg/m3である。高圧法低密度ポリエチレン樹脂の密度が910kg/m3以上であることにより、適度な硬さを保つことが可能なフィルムとなる。また、高圧法低密度ポリエチレン樹脂の密度が925kg/m3以下であることにより、融点が適度に保たれ、シール性を維持できる。
【0014】
高圧法低密度ポリエチレンの密度は、重合反応温度を上げると下がる傾向にあり、重合圧力を上げると上がる傾向にある。また、高圧法低密度ポリエチレン樹脂の密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0015】
[要件(2)]
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂は、以下の要件(2)を満たす。
要件(2):JIS K7210に従って測定したメルトフローレイト(以下、「MFR」とも言う。)(温度190℃、荷重2.16kg)が20g/10分以上50g/10分以下
高圧法低密度ポリエチレン樹脂のMFRが20g/10分以上であることにより、低温加工性、薄膜加工性が良好となる。一方、高圧法低密度ポリエチレン樹脂のMFRが50g/10分以下であることにより、成型加工安定性が良好となる。
【0016】
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂のMFRは、好ましくは35g/10分~50g/10分であり、より好ましくは40g/10分~50g/10分である。
【0017】
高圧法低密度ポリエチレンのMFRは、重合反応温度を上げると上がる傾向にあり、重合圧力を上げると下がる傾向にある。なお、高圧法低密度ポリエチレン樹脂のMFRは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0018】
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂の分子量分布Mw/Mnは、加工性の観点から好ましくは12~18であり、より好ましくは13~15である。高圧法低密度ポリエチレン樹脂の分子量分布Mw/Mnはその製造条件により制御することができる。
【0019】
[要件(3)]
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂は、以下の要件(3)を満たす。
要件(3):GPC-IRにて測定したメチル基数を縦軸に、分子量の対数を横軸としてグラフ化したとき、グラフの傾きが以下の式(4)を満たす。
1.5≦(a-b)/(c-d)≦3.5 式(4)
(式(4)中、
a:分子量10E+5.5のメチル基数(個/1000C)、
b:メチル基数(個/1000C)の最小値、
c:Log(10E+5.5)、
d:Log(メチル基数が最小値である分子量)、
を示す)
【0020】
ここで、「個/1000C」とは、1000炭素当たりのメチル基数を示す。1000炭素当たりのメチル基数は、高温ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー-IR(GPC-IR)で分子量分布の測定において、溶出成分の赤外分光分析を同時に行い、メチレン基に帰属される吸光度I(メチレン)(吸収波数:2925cm-1)とメチル基に帰属される吸光度I(メチル)(吸収波数:2960cm-1)から両者の比、I(メチル)/I(メチレン)からメチル基数を求めることができる。
【0021】
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂が要件(3)を満たす場合、低~中分子量のポリエチレン樹脂成分中のメチル基数が少ないことを意味する。低~中分子量のポリエチレン樹脂成分中のメチル基数が少ない場合、分岐が少なく、結晶性が高くなると考えられる。すなわち、本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂は、低~中分子量成分の結晶性が高いことにより、非晶部を通じたブリードや、溶媒への溶出が抑制されると推察される。
なお、上記メカニズムは推察であり、これに限定されるものではない。
【0022】
式(4)において、(a-b)/(c-d)は1.5以上であり、好ましくは1.6以上であり、より好ましくは1.7以上である。(a-b)/(c-d)が1.5未満である場合、低~中分子量成分の分岐が多くなることで結晶性が低下するため、ブリードによる内容物の汚染や、溶媒への溶出リスクが増大する。
一方、上限については、(a-b)/(c-d)は3.5以下であり、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.5以下である。(a-b)/(c-d)が3.5を超える場合、高分子量成分の分岐が多くなり過ぎるため、溶融張力が高くなり、薄膜加工が困難となる。
【0023】
(a-b)/(c-d)を、1.5≦(a-b)/(c-d)≦3.5の範囲に調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、オートクレーブタイプのリアクターを用いる、重合条件として低温及び低圧で重合を行う、エチレンリサイクルラインからのブリード量を増やす、若しくはこれらを組み合わせること等が挙げられる。なお、重合条件として低温及び低圧で重合を行うことで、高分子量成分の分岐を増やすことができる。特に、重合平均温度250℃以下、重合圧力115MPa以下で重合を行うことが好ましい。また、エチレンリサイクルラインからのブリード量を増やすことにより、リサイクルエチレン中にある不純物の混入が少なくなるため、ポリマーが成長しやすく、分岐反応が阻害されるのを抑制することができる。エチレンリサイクルラインからのブリード量は、500kg/Hr以上であることが好ましい。ここで、エチレンリサイクルラインからのブリード量とは、エチレンからポリエチレンへの重合の際に、原料エチレンのリサイクルラインから系外に除かれるエチレンの量を指す。
【0024】
上述したとおり、本実施形態の高圧法低密度ポリエチレンは、非晶部を通じたブリードや、溶媒への溶出が抑制されたものである。
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレンは、50℃におけるn-ヘキサン抽出量が、好ましくは2.6重量%以下であり、より好ましくは2.4重量%以下であり、さらに好ましくは2.2重量%以下である。ここで、50℃におけるn-ヘキサン抽出量は、後述する実施例に記載された方法に従って測定することができる。
【0025】
また、本実施形態の高圧法低密度ポリエチレンは、昇温溶離分別(TREF)の50℃以下の溶出量が、好ましくは8.0重量%以下であり、より好ましくは7.0重量%以下である。ここで、昇温溶離分別(TREF)の50℃以下の溶出量は、後述する実施例に記載された方法に従って測定することができる。
【0026】
[高圧法低密度ポリエチレンの製造方法]
【0027】
本実施形態における高圧法低密度ポリエチレンは、オートクレーブタイプ、あるいはチューブラータイプのリアクターでエチレンをラジカル重合して得ることができる。オートクレーブタイプのリアクターを使用する場合、重合条件は、例えば、開始剤として作用する過酸化物の存在下、200~300℃の重合温度、100~250MPaの重合圧力に設定すればよい。一方、チューブラータイプのリアクターを使用する場合、重合条件は、例えば、過酸化物及び連鎖移動剤の存在下、180~400℃の重合温度、100~400MPa、好ましくは、200~350℃の重合温度、150~350MPaの重合圧力に設定すればよい。
【0028】
上記過酸化物としては、特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、パーオキシケタール類(具体的には1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン等)、ハイドロパーオキサイド類(具体的には、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド類(具体的には、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチルジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン等)、ジアシルパーオキサイド(具体的には、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、パーオキシジカーボネート類(具体的には、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等)、パーオキシエステル類(具体的には、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシオクテート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,6-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等)、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアリルカーボネート等が挙げられる。
【0029】
過酸化物はイソパラフィン系の溶剤で希釈された状態で重合反応器にフィードしても良い。イソパラフィン系の溶剤は特に限定されないが、例えば、炭素数が10以上15以下の溶媒が好ましく、具体的には、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン等が好適である。
【0030】
分子量調整のための連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、炭素数が3~6のパラフィン、オレフィン、及び、ケトン類が挙げられ、具体的には、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジプロピルケトン等が挙げられる。
【0031】
[添加剤]
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂には、必要に応じて、スリップ剤、酸化防止剤、耐光安定剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤等の添加剤を添加して樹脂組成物とすることもできる。
【0032】
スリップ剤としては、特に限定されないが、脂肪族炭化水素、アルコールの脂肪酸エステル、ワックス、高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン等が挙げられる。樹脂組成物中のスリップ剤の含有量は、特に限定されないが、2000ppm以下であり、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下であり、耐汚染性や低臭気性の観点からは、実質的に0質量%(無添加)であることが好ましい。
【0033】
酸化防止剤としては、特に限定されないが、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、n-オクタデシル-3-(4-ヒドロキ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒサロキシハイドロシンナメート))メタン等のフェノール系酸化防止剤、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレン-ジ-ホスフォナイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-t-ブチルフェニルフォスファイト)等のリン系酸化防止剤、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等のフェノールリン系酸化防止剤等が挙げられる。樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、2000ppm以下であり、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下であり、耐汚染性や低臭気性の観点からは、実質的に0質量%(無添加)であることが好ましい。
【0034】
耐光安定剤としては、特に限定されないが、具体的には、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系耐光安定剤;ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)セバケート、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系耐光安定剤が挙げられる。樹脂組成物中の耐光安定剤の含有量は、特に限定されないが、2000ppm以下であり、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、耐汚染性や低臭気性の観点からは、実質的に0質量%(無添加)であることが好ましい。
【0035】
アンチブロッキング剤としては、特に限定されないが、例えば、アルミノケイ酸塩、カオリン、天然シリカ、合成シリカ、タルク、珪藻土等が挙げられる。
【0036】
帯電防止剤としては、特に限定されないが、例えば、非イオン性活性剤、イオン性活性剤、両性活性剤やその混合物等が挙げられる。
【0037】
樹脂組成物中に添加剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されないが、耐汚染性や低臭気性の観点からは、実質的に0質量%(無添加)であることが好ましい。なお、ここでの「実質的に」とは、ポリエチレン樹脂の製造中に不可避的に添加剤が微量混入するような場合、あるいは触媒や反応開始剤などが微量残存するような場合には含有していても構わないことを意図するものである。
【0038】
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂は、ポリエチレン樹脂単層もしくは、ポリエチレン樹脂をシーラント層として有する積層体であってもよい。シーラント層とはヒートシールが可能で内容物と直接接触する層を指し、その厚みは特に限定されるものではない。
【0039】
シーラント層と積層される層の材質としては、セロハン、エチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、PP樹脂、CPP樹脂、PET樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ビニルアルコール樹脂、エバール樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、カーボネート樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン・メチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン・エチルアクリレート樹脂およびこれらのKコートタイプ、アルミニウム蒸着、シリカ蒸着タイプ、アルミナ蒸着タイプ、さらには上質紙、クラフト紙、グラシン紙、パーチメント紙等の各種紙類、アルミ箔等が挙げられる。これらの材質からなる層は、それぞれ単独でシーラント層と積層してもよいし、2種以上を併用して積層しても構わない。積層方法はドライラミネーション法、押出しラミネーション法、ウェットラミネーション法、ホットメルトラミネーション法、共押出インフレーション成形法、共押出キャスト成形法などの公知の方法を採用することができる。
【0040】
また、本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂は、他の高圧法低密度ポリエチレン、チーグラー触媒またはメタロセン触媒を用いて重合して得られる直鎖状低密度ポリエチレン、チーグラー触媒またはメタロセン触媒を用いて重合して得られる高密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合ポリマー、エチレン・アクリル酸共重合ポリマー、エチレン・メタクリル酸共重合ポリマー、エチレン・メチルアクリレート共重合ポリマー、エチレン・メチルアクリレート共重合ポリマー、エチレン・エチルアクリレート共重合ポリマー、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の熱可塑性樹脂の1種類または2種類以上とドライブレンド、あるいはメルトブレンドして用いてもよい。
【0041】
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂は、水、ジュース、牛乳、清酒・焼酎などの酒類等の各種飲料、米飯類、並びに調理食品、調理中間品、菓子・パン、農産類、畜産類、水産類、練り製品、水物、油物等の各種食品、チルド食品、レトルト食品、冷凍食品、調味料、医薬・医療用品、農薬類等の包装に好適に用いられる。
【実施例】
【0042】
本発明を実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定されるものではない。
実施例、比較例における各種物性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
(MFR)
JIS K7210-1に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
【0043】
(密度)
JIS K7112に記載のD法(密度勾配管)に準拠して測定した。
【0044】
(メチル基傾き:(a-b)/(c-d))
高温ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー-IR(GPC-IR)から求められる分子量分布と、IRによる分布に応じたメチル基数を測定した。GPC測定は、下記条件で行った。分子量の校正は、東ソー(株)製標準ポリスチレンのMW(Molecular weight)が10,500,000~2,060,000の範囲の12点で行い、それぞれの標準ポリスチレンのMWに係数0.43を乗じてポリエチレン換算分子量とし、溶出時間とポリエチレン換算分子量のプロットから一次校正直線を作成して決定した。メチル基数を縦軸に、分子量の対数を横軸としてグラフ化し、分子量10E+5.5のメチル基数とメチル基数が最小値である分子量を求め、グラフの傾きを求めた。尚、横軸の分子量の範囲は10E+3.5から10E+6.0とした。
GPC-IR測定の条件は、より詳細には以下のとおりとした。
装置 :Polymer Char社製GPC-IR
検出器 :Polymer Char社製IR5
カラム :昭和電工(株)製UT-807(1本)と東ソー(株)製GMHHR-H(S)HT(2本)を直列に接続して使用
移動相 :オルトジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量 :1.0mL/分
試料濃度 :20mg/10mL
試料溶解温度:140℃
試料溶解時間:60分
【0045】
(昇温溶離分別(TREF)溶出量)
昇温溶離分別(TREF)による溶出温度-溶出量曲線を以下のように測定し、各温度での溶出量、及び溶出積分量を求めた。
まず、充填剤を含有したカラムを140℃に昇温し、ポリエチレン樹脂をオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液を導入して120分間保持した。
次に、降温速度0.5℃/分で30℃まで降温した後、20分間保持し、試料を充填剤表面に析出させた。その後、カラムの温度を、昇温速度20℃/分で30℃から120℃まで1℃間隔で昇温した。なお、各温度で20分間保持した後に昇温を行い、各温度で溶出した試料(ポリエチレン)の濃度を検出した。そして、試料の溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度-溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量、及び溶出積分量を得た。上記のようにして得られた溶出温度-溶出量曲線から、50℃以下の溶出量を求めた。
なお、測定の条件は、より詳細には以下のとおりとした。
・装置:Polymer ChAR社製Automated 3D analyzer CFC-2
・カラム:ステンレススチールマイクロボールカラム(3/8”o.d x 150
mm)
・溶離液:o-ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・試料溶液濃度:試料(ポリエチレン)20mg/o-ジクロロベンゼン20mL
・注入量:0.5mL
・ポンプ流量:1.0mL/分
・検出器:Polymer ChAR社製赤外分光光度計IR4
・検出波数:3.42μm
・試料溶解条件:140℃×120分溶解
【0046】
(n-ヘキサン抽出量)
汚染性の指標評価として、以下の条件でn-ヘキサン抽出量を測定した。
アメリカ食品医薬品局(FDA)の連邦規制基準(CFR Title21)§177.1520オレフィンポリマー(d)(3)n-Hexaneによる最高抽出分(ii)オレフィンコポリマーおよびPolyethyleneに準拠して測定した。n-ヘキサン抽出量が2.6重量%以下であれば汚染性:〇、2.6重量%を超える場合は汚染性:×とした。
【0047】
(溶融張力(MT)測定)
低温加工性の指標評価として、以下の条件で溶融張力を測定した。
2.095mm径、長さ8.0mmのキャピラリーを備えた東洋精機(株)製;キャピログラフ1Dを用い、60mm/分でポリエチレン樹脂を120℃で押し出し、キャピラリーから出てきたストランドを2m/分で引き取る時の張力を測定して得た。
溶融張力が50mN未満であれば、低温加工性:〇、50mN以上であっても測定可能であれば、低温加工性:△、ストランドが切れて測定できなければ、低温加工性:×とした。
【0048】
(臭気官能検査判定)
T-ダイ製膜機(北進産業株式会社製HM40N、スクリュー径40mm、ダイ300mm幅)を用い、シリンダー温度170℃、ダイ温度170℃、押出量5kg/時間で成形し、幅30cm、厚さ50μmのポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。
T&Tオルファクトメトリー(嗅覚測定用基準臭)によって正常な臭覚を有していると判断されたパネラー10人に対して、上記のT-ダイ成形で得られるフィルムサンプル500cm2を1cm角に切出し、1リットルの蓋つき広口ガラス瓶に入れ、50℃、30分間加熱した後、23℃、30分間静置した後、臭気官能検査を実施した。臭気のランクを6段階(1:全く感じない、2:非常に弱く感じる、3:弱く感じる、4:はっきりと感じる、5:強く感じる、6:非常に強く感じる)に分け、10名の数値の平均値が2以下であれば臭気:〇、2を超え、4未満であれば臭気:△、4以上であれば、臭気:×として判定した。
【0049】
(低温ヒートシール性)
200mm×100mmの未晒クラフト紙(王子製袋製、75g/m2)と上記のT-ダイ成形で得られるフィルムサンプル200mm×100mmを重ね合わせ、ヒートシールテスター(テスター産業製、TP―701―C)を用いて、下記の条件でヒートシールを実施し、未晒しクラフト紙とフィルムを剥がした時にフィルムへ紙繊維が付着するかを判定した。紙繊維付着なし:×、シール面積の50%に紙繊維付着あり:△、シール面積全面に紙繊維付着あり:〇とした。
ヒートシールバー:150mm×20mm
ヒートシール温度:120℃
シール圧力(ゲージ圧):3MPa
シール時間:2秒
【0050】
[実施例1]
オートクレーブリアクターの中で、重合平均温度248℃、重合圧力108MPa、エチレンリサイクルラインのエチレンブリード量900kg/hr、開始剤に過酸化物としてt-ブチルパーオキシアセテートを用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂を重合した。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂は密度が916kg/m
3、MFRが50g/10分であった。
得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きは1.7、TREFの50℃以下溶出量は6.6重量%であった。高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きを
図1に、得られたポリエチレン樹脂の評価結果を表2に示す。
【0051】
[実施例2]
オートクレーブリアクターで、重合平均温度250℃、重合圧力108MPa、エチレンリサイクルラインのエチレンブリード量1000kg/hr、開始剤に過酸化物としてt-ブチルパーオキシアセテートを用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂を重合した。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂は密度が915kg/m3、MFRが45g/10分であった。
得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きは2.3、TREFの50℃以下溶出量は6.8重量%であった。
得られたポリエチレン樹脂の評価結果を表2に示す。
【0052】
[実施例3]
オートクレーブリアクターで、重合平均温度250℃、重合圧力110MPa、エチレンリサイクルラインのエチレンブリード量900kg/hr、開始剤に過酸化物としてt-ブチルパーオキシアセテートを用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂を重合した。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂は密度が915kg/m3、MFRが40g/10分であった。
得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きは2.4、TREFの50℃以下溶出量は6.0重量%であった。
得られたポリエチレン樹脂の評価結果を表2に示す。
【0053】
[実施例4]
オートクレーブリアクターで、重合平均温度250℃、重合圧力112MPa、エチレンリサイクルラインのエチレンブリード量900kg/hr、開始剤に過酸化物としてt-ブチルパーオキシアセテートを用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂を重合した。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂は密度が916kg/m3、MFRが30g/10分であった。
得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きは2.4、TREFの50℃以下溶出量は5.6重量%であった。
得られたポリエチレン樹脂の評価結果を表2に示す。
【0054】
[比較例1]
オートクレーブリアクターで、重合平均温度260℃、重合圧力125MPa、エチレンリサイクルラインのエチレンブリード量100kg/hr、開始剤に過酸化物としてt-ブチルパーオキシアセテートを用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂を重合した。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂は密度が915kg/m3、MFRが45g/10分であった。
得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きは0.8、TREFの50℃以下溶出量は10.4重量%であった。
得られたポリエチレン樹脂の評価結果を表2に示す。
【0055】
[比較例2]
オートクレーブリアクターで、重合平均温度265℃、重合圧力125MPa、エチレンリサイクルラインのエチレンブリード量100kg/hr、開始剤に過酸化物としてt-ブチルパーオキシアセテートを用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂を重合した。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂は密度が915kg/m3、MFRが28g/10分であった。
得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きは0.9、TREFの50℃以下溶出量は9.5重量%であった。
得られたポリエチレン樹脂の評価結果を表2に示す。
【0056】
[比較例3]
チューブリアクターで、重合平均温度260℃、重合圧力210MPa、エチレンリサイクルラインのエチレンブリード量130kg/hr、開始剤に過酸化物としてt-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、空気、連鎖移動剤としてプロピレンを用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂を重合した。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂は密度が917kg/m3、MFRが55g/10分であった。
得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きは、高分子量側が低くなり、傾きはマイナスであった。TREFの50℃以下溶出量は20.3重量%であった。
得られたポリエチレン樹脂の評価結果を表2に示す。
【0057】
[比較例4]
チューブリアクターで、重合平均温度260℃、重合圧力205MPa、エチレンリサイクルラインのエチレンブリード量200kg/hr、開始剤に過酸化物としてt-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、空気、連鎖移動剤としてプロピレンを用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂を重合した。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂は密度が917kg/m3、MFRが20g/10分であった。
得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きは高分子量側が低くなり、傾きはマイナスであった。TREFの50℃以下溶出量は10.9重量%であった。
得られたポリエチレン樹脂の評価結果を表2に示す。
【0058】
[比較例5]
オートクレーブリアクターで、重合平均温度250℃、重合圧力180MPa、エチレンリサイクルラインのエチレンブリード量130kg/hr、開始剤に過酸化物としてt-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、連鎖移動剤としてブタンを用い高圧法低密度ポリエチレン樹脂を重合した。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂は密度が923kg/m3、MFRが5g/10分であった。
得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂のメチル基傾きは2.4、TREFの50℃以下溶出量は2.5重量%であった。
得られたポリエチレン樹脂の評価結果を表2に示す。溶融張力は測定温度120℃で押出が不可であり、測定温度を130℃としたが、ストランドが切れてしまうため、測定不可であった。
【0059】
【表1】
*:高分子量側のメチル基数が少ない場合、マイナスと表示した。
【0060】
【表2】
*:押出ができないため、130℃で測定したが、押出ストランドが切れて測定不可であった。
【0061】
表2に示したとおり、本実施形態の高圧法低密度ポリエチレンは、優れた加工性を有し、且つ、内容物への汚染性や低臭気にも優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の高圧法低密度ポリエチレンは、特に食品用包装材として好適に用いることができる。