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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240703BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240703BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240703BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 386
G03G21/00 318
G03G15/16
H04N1/00 567M
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020148446
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042830
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 洋
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-148027(JP,A)
【文献】特開2014-240328(JP,A)
【文献】特開2006-071990(JP,A)
【文献】特開2018-112636(JP,A)
【文献】特開2017-090811(JP,A)
【文献】特開2012-042641(JP,A)
【文献】特開2007-065007(JP,A)
【文献】特開2007-133309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 15/16
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収容する収容手段と、
前記シートを搬送する搬送手段と、
前記シートの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記シートの種類に応じて、画像不良を判定するための閾値を決定する決定手段と、
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像を形成された前記シートを読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取り結果のうち、前記シートにおいて前記画像が形成されていない非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された閾値とに基づき画像不良が発生しているかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づき前記画像不良が削減されるように前記画像形成手段の画像形成条件を補正する補正手段と、
を有し、
前記判定手段は、前記非画像領域の読み取り結果が規定値を超えているかどうかを判定するように構成されており、前記非画像領域の読み取り結果が前記規定値を超えている場合に、前記非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された前記閾値とに基づき視認可能な画像不良が発生しているかを判定し、前記非画像領域の読み取り結果が前記規定値を超えていない場合に、前記視認可能な画像不良が発生しているかを判定することをスキップすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
シートを収容する収容手段と、
前記シートを搬送する搬送手段と、
前記シートの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記シートの種類に応じて、画像不良を判定するための閾値を決定する決定手段と、
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像を形成された前記シートを読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取り結果のうち、前記シートにおいて前記画像が形成されていない非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された閾値とに基づき画像不良が発生しているかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づき前記画像不良が削減されるように前記画像形成手段の画像形成条件を補正する補正手段と、
を有し、
前記判定手段は、
前記判別手段により判別された前記シートの種類が第一の種類から第二の種類に変更されたかどうかを判定し、
前記シートの種類が前記第一の種類から前記第二の種類に変更されている場合、前記第一の種類のシートについての前記非画像領域の読み取り結果に基づき、前記第二の種類のシートで視認可能な画像不良が発生するかどうかをさらに判定し、
前記補正手段は、
前記第二の種類のシートで視認可能な画像不良が発生すると判定された場合、前記第二の種類のシートで前記視認可能な画像不良が削減されるように前記画像形成条件を補正し、
前記第二の種類のシートで視認可能な画像不良が発生すると判定されなかった場合、前記画像形成条件を補正しないことを特徴とする像形成装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記第二の種類に応じて前記閾値を決定し、
前記判定手段は、前記第一の種類のシートについての前記非画像領域の読み取り結果を前記第二の種類のシートについての前記非画像領域の読み取り結果に換算し、当該換算の結果と前記第二の種類に応じて決定された前記閾値とに基づき、前記第二の種類のシートで視認可能な画像不良が発生するかどうかを判定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記画像不良が削減されるように前記画像形成条件のうち現像条件または帯電条件を補正することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
シートを収容する収容手段と、
前記シートを搬送する搬送手段と、
前記シートの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記シートの種類に応じて、画像不良を判定するための閾値を決定する決定手段と、
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像を形成された前記シートを読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取り結果のうち、前記シートにおいて前記画像が形成されていない非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された閾値とに基づき画像不良が発生しているかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づき前記画像不良が削減されるように前記画像形成手段の画像形成条件を補正する補正手段と、
を有し、
前記判別手段は、前記シートの白色度と平滑度とに基づき前記シートの種類を判別し、
前記決定手段は、前記判別手段により判別された前記シートの種類を示す情報として前記シートの白色度と平滑度との組に対応する前記閾値を関数またはテーブルを用いて決定することを特徴とする像形成装置。
【請求項6】
前記画像不良はトナーのカブリであり、
前記判定手段は、前記非画像領域のトナー面積率に基づき前記カブリが発生しているかどうかを判定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判別手段は、前記シートの白色度と平滑度とに基づき前記シートの種類を判別することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
シートを収容する収容手段と、
前記シートを搬送する搬送手段と、
前記シートの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記シートの種類に応じて、画像不良を判定するための閾値を決定する決定手段と、
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を清掃する清掃手段と、
前記画像を形成された前記シートを読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取り結果のうち、前記シートにおいて前記画像が形成されていない非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された閾値とに基づき画像不良が発生しているかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づき前記画像形成手段を制御することで前記清掃手段の清掃能力を回復させる回復手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記回復手段は、前記画像形成手段を介して前記清掃手段に対して潤滑剤を供給することで前記清掃手段の清掃能力を回復させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成手段は、感光体を有し、
前記清掃手段は、前記感光体に当接して前記感光体に残ったトナーを清掃する清掃部材を有し、
前記回復手段は、前記潤滑剤として、前記感光体にトナー画像を形成し、前記清掃部材と前記感光体との当接部に当該トナー画像を供給することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成手段は、
感光体と、
中間転写体と、
前記感光体から前記中間転写体にトナー画像を転写する転写手段と、
を有し、
前記清掃手段は、前記中間転写体に当接して前記中間転写体に残ったトナーを清掃する清掃部材を有し、
前記回復手段は、前記潤滑剤として、前記感光体にトナー画像を形成し、当該トナー画像を前記中間転写体に転写し、前記中間転写体と前記感光体との当接部に当該トナー画像を供給することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像不良はトナーによるスジ画像であり、
前記判定手段は、前記非画像領域において前記シートの搬送方向と並行に延びるスジ画像の有無を判定することを特徴とする請求項ないし11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
シートを収容する収容手段と、
前記シートを搬送する搬送手段と、
前記シートの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記シートの種類に応じて、画像不良を判定するための閾値を決定する決定手段と、
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像を形成された前記シートを読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取り結果のうち、前記シートにおいて前記画像が形成されていない非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された閾値とに基づき画像不良が発生しているかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果を報知する報知手段と、
を有し、
前記シートの種類は第一の種類であり、
前記判定手段は前記第一の種類のシートについての前記非画像領域の読み取り結果に基づき、前記第一の種類のシートにおいて画像不良が発生しているかどうかと、前記第一の種類とは異なる第二の種類のシートにおいて画像不良が発生するかどうかと、を判定することを特徴とする像形成装置。
【請求項14】
前記判定手段は、前記第一の種類のシートについての前記非画像領域の読み取り結果を前記第二の種類のシートについての前記非画像領域の読み取り結果に換算し、当該換算の結果と前記第二の種類に応じて前記決定手段により決定された前記閾値とに基づき、前記第二の種類のシートで視認可能な画像不良が発生するかどうかを判定することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
シートを収容する収容手段と、
前記シートを搬送する搬送手段と、
前記シートの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記シートの種類に応じて、画像不良を判定するための閾値を決定する決定手段と、
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像を形成された前記シートを読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取り結果のうち、前記シートにおいて前記画像が形成されていない非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された閾値とに基づき画像不良が発生しているかを判定する判定手段と、
を有し、
前記判定手段は、前記非画像領域の読み取り結果が規定値を超えているかどうかを判定するように構成されており、前記非画像領域の読み取り結果が前記規定値を超えている場合に、前記非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された前記閾値とに基づき視認可能な画像不良が発生しているかを判定し、前記非画像領域の読み取り結果が前記規定値を超えていない場合に、前記視認可能な画像不良が発生しているかを判定することをスキップすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
シートを収容する収容手段と、
前記シートを搬送する搬送手段と、
前記シートの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記シートの種類に応じて、画像不良を判定するための閾値を決定する決定手段と、
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像を形成された前記シートを読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取り結果のうち、前記シートにおいて前記画像が形成されていない非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された閾値とに基づき画像不良が発生しているかを判定する判定手段と、
を有し、
前記判別手段は、前記シートの白色度と平滑度とに基づき前記シートの種類を判別し、
前記決定手段は、前記判別手段により判別された前記シートの種類を示す情報としての前記シートの白色度と平滑度との組に対応する前記閾値を関数またはテーブルを用いて決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
シートを収容する収容手段と、
前記シートを搬送する搬送手段と、
前記シートの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記シートの種類に応じて、画像不良を判定するための閾値を決定する決定手段と、
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像を形成された前記シートを読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取り結果のうち、前記シートにおいて前記画像が形成されていない非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された閾値とに基づき画像不良が発生しているかを判定する判定手段と、
を有し、
前記シートの種類は第一の種類であり、
前記判定手段は前記第一の種類のシートについての前記非画像領域の読み取り結果に基づき、前記第一の種類のシートにおいて画像不良が発生しているかどうかと、前記第一の種類とは異なる第二の種類のシートにおいて画像不良が発生するかどうかと、を判定することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置では、シートにカブリまたはスジ画像などの画像不良が発生することがある(特許文献1、2)。カブリとは、本来であればトナー画像が形成されない領域に霧状にトナーが付着してしまう現象である。スジ画像とは、シートに直線状にトナーが付着してしまう現象である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-112636号公報
【文献】特開2014-119619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カブリおよびスジの程度は様々であり、ユーザーが視認できない程度のカブリおよびスジは許容される。しかし、カブリおよびスジの視認性はシートの種類に依存して変化する。平滑なシートではトナー画像の転写性が高まるため、カブリおよびスジの視認性が高くなる。同様に、白色度の高いシートでは、シートの表面とカブリおよびスジとのコントラスト差が大きくなるため、カブリおよびスジの視認性が高くなる。一方、平滑度の低いシートでは、シートの表面に存在する凹凸によってカブリおよびスジが隠れるため、カブリおよびスジの視認性が低くなる。白色度の低いシートでは、シートの表面とカブリおよびスジとのコントラスト差が小さくなるため、カブリおよびスジの視認性が低くなる。ある程度の種類のシートを想定してカブリおよびスジが視認されにくくなるように、画像形成装置は設計される。しかし、世界中には様々な種類のシートが存在し、さらに、年々、シートの種類は増加する。そのため、使用される種類によっては、ユーザーがカブリまたはスジを視認できてしまうことがあるだろう。そこで、本発明は、多種多様なシートに対して画像不良の発生率を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、たとえば、
シートを収容する収容手段と、
前記シートを搬送する搬送手段と、
前記シートの種類を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記シートの種類に応じて、画像不良を判定するための閾値を決定する決定手段と、
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像を形成された前記シートを読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取り結果のうち、前記シートにおいて前記画像が形成されていない非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された閾値とに基づき画像不良が発生しているかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づき前記画像不良が削減されるように前記画像形成手段の画像形成条件を補正する補正手段と、
を有し、
前記判定手段は、前記非画像領域の読み取り結果が規定値を超えているかどうかを判定するように構成されており、前記非画像領域の読み取り結果が前記規定値を超えている場合に、前記非画像領域の読み取り結果と前記シートの種類に応じて決定された前記閾値とに基づき視認可能な画像不良が発生しているかを判定し、前記非画像領域の読み取り結果が前記規定値を超えていない場合に、前記視認可能な画像不良が発生しているかを判定することをスキップすることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、多種多様なシートに対して画像不良の発生率が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成装置の概略図
図2】センサを説明する図
図3】メディアセンサの測定結果を説明する図
図4】デジタル処理された測定結果を説明する図
図5】シートの種類ごと画像不良の官能評価を説明する図
図6】シートごとの特徴量の分布を説明する図
図7】感光ドラムの帯電電位とトナー検出値との関係を説明する図
図8】CPUの機能を説明する図
図9】制御方法を示すフローチャート
図10】制御方法を示すフローチャート
図11】制御方法を示すフローチャート
図12】制御方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
<実施例1>
●画像形成装置
図1が示すように、画像形成装置100は、電子写真方式でモノクロ画像またはフルカラー画像を形成する画像形成装置である。参照符号の末尾に付与されているYMCK文字はトナーの色であるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを意味している。四色に共通する事項が説明される際には、YMCKの文字は参照符号から省略される。
【0010】
プロセスカートリッジ5は画像形成装置100の本体から着脱可能なカートリッジである。プロセスカートリッジ5は、トナー容器23、感光ドラム1、帯電ローラ2、現像ローラ3、ドラムクリーナ4、回収容器24を有する。帯電電圧(例:-1000[V])を印加される帯電ローラ2は感光ドラム1の表面を一様に帯電させる。これにより、表面電位(帯電電位)は、所定電位(例:-600[V])となる。露光装置7は入力される画像データに応じて光を感光ドラム1の表面に照射することで、画像データに対応した静電潜像を形成する。静電潜像の電位は、たとえば、-100[V]まで低下する。本明細書では、電圧の高低は、電圧の絶対値に基づき表記される。感光ドラム1は一定の速度で回転しているため、静電潜像は現像ローラ3に搬送される。現像ローラ3は、トナー容器23の収容されているトナーを用いて静電潜像を現像してトナー画像を形成する。トナー容器23内のトナーはマイナス帯電されている。したがって、表面電位が低い画像領域(例:-100[V])にはトナーが付着しやすくなり、表面電位が高い非画像領域(例:-600[V])にはトナーが付着しにくい。現像ローラ3には静電潜像へのトナーの付着を促進するために現像電圧が印加されている。現像電圧は、トナーをマイナス帯電させるために、たとえば、-350[V]に設定される。現像ローラ3とトナー容器23は現像器と呼ばれてもよい。
【0011】
一次転写ローラ6は、感光ドラム1から中間転写ベルト8へトナー画像を転写する。一次転写ローラ6には、正極性の一次転写電圧が印加される。中間転写ベルト8は、駆動ローラ9と従動ローラ10に張架されており、駆動ローラ9によって駆動され、矢印Aが示す方向に回転する。従動ローラ10は中間転写ベルト8の回転に従動して回転する。感光ドラム1Y、1M、1C、1Kからそれぞれ異なる色のトナー画像を重畳的に転写されることで、中間転写ベルト8にはフルカラーのトナー画像が形成される。中間転写ベルト8はトナー画像を二次転写ローラ11へ搬送する。
【0012】
シートカセット13は多数のシートPを収容する収容庫である。給送装置12の給送ローラ14はシートを一枚ずつ搬送路へ給送する。給送装置12の搬送ローラ対15はシートPをさらに下流へ搬送する。なお、下流とは、シートPの搬送方向の下流側を指す。レジストレーションローラ対16は、シートPが二次転写ローラ11に到着するタイミングと、トナー画像が二次転写位置に到着するタイミングとを調整するローラ対である。
【0013】
二次転写ローラ11は、二次転写電圧を印加されており、トナー画像をシートPへ転写する。転写を促進する二次転写電圧は正極性の電圧である。定着器17はトナー画像とシートPに対して熱と圧力を加えることでトナー画像をシートP上に定着させる。排出ローラ20はシートPを画像形成装置100の外部へ排出する。
【0014】
●クリーニング機構
ドラムクリーナ4は、感光ドラム1の表面に残留したトナーを清掃するブレード状の清掃部材である。ドラムクリーナ4は感光ドラム1の表面に当接することで、感光ドラム1の表面からトナーを除去する。トナーは回収容器24に回収される。
【0015】
ベルトクリーナ21は、中間転写ベルト8の表面に残留したトナーを清掃するブレード状の清掃部材である。ベルトクリーナ21は中間転写ベルト8の表面に当接することで、中間転写ベルト8の表面からトナーを除去する。トナーは回収容器22に回収される。
【0016】
●センサ
メディアセンサ60は制御基板40によって制御され、シートPの種類を判別するためのセンサである。メディアセンサ60は、搬送ローラ対15とレジストレーションローラ対16との間に配置されており、シートカセット13から搬送されてきたシートPの特性(例:白色度および平滑度)を測定して、測定結果を制御基板40に出力する。制御基板40は測定結果に基づきシートPの種類を判別する。
【0017】
画像センサ70は、画像形成部を通過してきたシートPを読み取り、読取結果を制御基板40へ出力する画像読取装置である。制御基板40は、読取結果に基づきシートPに生じている視認可能な画像不良(例:カブリ、スジ画像)の有無を判定する。
【0018】
図2(A)はメディアセンサ60の構成を示している。図2(A)ではシートPの長手方向(シートPの搬送方向と直交する方向、または感光ドラム1の軸線方向)に沿って見られたメディアセンサ60が示されている。LED61はシートPの表面に対して光を斜めに照射する光源である。シートPの表面と入射光とがなす角度は、10度~15度程度の浅い角度である。ラインセンサ62は、LED61から照射され、シートPの表面で反射した光を受光して受光結果を出力する撮像素子である。ラインセンサ62はシートPの長手方向に沿ってのびた形状をしており、シートPを搬送させながら撮像を繰り返すことで、後述される2次元の画像を得ることができる。なお、ラインセンサ62のサイズは、後述される画像センサ70のようにシートPの長手方向の全域を撮像できるサイズでなくてもよく、シートPの少なくとも一部を撮像できるサイズであればよい。ラインセンサ62としては、たとえば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプの撮像素子が使用されてもよい。ロッドレンズ63は、シートPからの反射光を集光してラインセンサ62に結像させる集光光学素子または結像光学素子である。
【0019】
図3はメディアセンサ60の読取結果の一例を示している。ここでは、シートP上における5mm*5mmの正方形の領域が撮像されている。この実験では以下の四種類のシートPが撮像された。
【0020】
コート紙Pcoatedとは、表面が平滑でかつ光沢のあるシートである。ここでは、キヤノンマーケティングジャパン株式会社のイメージコートグロス158が採用されている。コート紙は光沢紙またはグロス紙と呼ばれてもよい。普通紙Pnormalは、オフィスユースで一般的に使用されるシートである。普通紙の白色度は相対的に高く(例:95%)い。普通紙の平滑度は相対的に高い。ここでは、普通紙として、キヤノンマーケティングジャパン株式会社のオフィス70が採用された。再生紙Precycleとしては、キヤノンマーケティングジャパン株式会社のCS-067R070が採用された。この再生紙の白色度は70%以下である。古紙再生率は70%である。ラフ紙Proughは、平滑度の低いシートである。ここでは、米国、Neenah Inc社のCapitol Bond 24lbが採用された。
【0021】
図4は、撮像結果をデジタル処理した結果を示している。ここでは、制御基板40がノイズを削減するためのモザイク処理を実行している。モザイク処理では、たとえば、n×n個の画素の輝度値が平均化される。制御基板40は、処理結果に基づき反射光の明暗の変化量を積分することで、シートPの表面の平滑度を示す情報を生成する。明暗の積分量が大きいシートPは、表面の凹み量と凸量の差分が大きく、すなわち表面が粗いシートである。一方、明暗の積分量が相対的に小さいシートPは、凹み量と凸量の差分が小さく、すなわち表面が平滑なシートである。
【0022】
制御基板40は、ラインセンサ62の検知結果に基づきシートPの白色度も識別できる。これは、シートPからの反射光の受光強度が大きくなるほど、シートPの白色度が高くなることに基づく。シートPからの反射光の受光強度が小さくなるほど、シートPの白色度が低くなる。このように、制御基板40は、受光強度に基づきシートPの白色度を判別できる。
【0023】
このように、コート紙Pcoatedは平滑度が高くかつ白色度の高いシートである。再生紙Precycleは平滑度が低くかつ白色度の低いシートである。普通紙Pnormalの白色度とラフ紙Proughの白色度は、コート紙Pcoatedの白色度と再生紙Precycleの白色度との間の値となる。普通紙Pnormalの平滑度は、コート紙Pcoatedの平滑度には及ばないものの、相対的に高い。
【0024】
図2(B)は画像センサ70とシートPとの関係を示している。すでに図1が示すように、画像センサ70は定着器17と排出ローラ20との間に配置されている。つまり、画像センサ70は、トナー画像が定着したシートPの表面を読み取ることができる。画像センサ70は、発光素子72とCIS71とを有する画像読取装置である。CISは接触型イメージセンサの略称である。発光素子72とCIS71はシートPの搬送方向と直交する長手方向にわたって全域に配置されている。そのため、CIS71はシートPの長手方向(主走査方向)の全域を読み取ることができる。シートPが搬送されることで、副走査が実行される。CIS71は読み取り結果を順次、制御基板40へ出力する。制御基板40は、読み取り結果に基づき画像不良の有無を判定する。
【0025】
●シートの種類に依存した画像不良の視認性
カブリおよびスジ画像などの画像不良は、シートP上の領域のうち、トナー画像が形成されている画像領域よりも、トナー画像が形成されていない非画像領域で視認されやすい。そこで、制御基板40は、非画像領域の読み取り結果に基づき画像不良を判定する。
【0026】
カブリは、現像ローラ3によるトナーの帯電性能が低下することで発生する。一般に、現像ローラ3の通紙枚数または現像ローラ3の累積回転回数が増加するにつれて、現像ローラ3の帯電性能が低下する。感光ドラム1上および中間転写ベルト8上に生じているカブリは、現像ローラ3の帯電性能に依存し、シートPの種類に依存しない。しかし、像担持体上では同じレベルのカブリが生じていても、シートPの種類に依存してカブリの視認性が異なる。そのため、ユーザーによるカブリの知覚レベル(官能評価値)はシートPの種類に依存して変化する。
【0027】
図5は、異なる種類のシートPについての画像形成条件と画像不良の官能評価との関係を示している。縦軸はトナー検出値を示している。画像形成条件として、ここでは7つの現像条件i~viiが採用されている。同一の現像条件を採用すれば、中間転写ベルト8上でのカブリの発生量もほぼ同一となる。しかし、シートPの種類に応じて転写性と定着性とが異なるため、カブリについてのトナー検出値もシートPの種類に応じて異なる。トナー検出値は、シートP上の非画像領域におけるカブリを画像センサ70で読み取ることで取得された、トナー画像の面積率である。
【0028】
図5において、Good(良好)、Poor(許容可能)、Bad(許容困難)は、トナー画像を印刷されたシートPについての複数人による官能評価を示している。Poorは、参加者の50%以上がカブリを認識したことを意味する。Badは参加者の80%以上がカブリを認識したことを意味する。Goodは参加者の50%未満がカブリを認識したことを意味している。
【0029】
図5が示すように、像担持体上のカブリトナーの量(現像条件)が同一であっても、ユーザーが視認するシートP上のカブリのレベルは異なることがわかる。平滑度の高いコート紙では、トナー検出値が1.9未満である場合、官能評価はGoodとなる。トナー検出値が1.9以上かつ2.3未満である場合、官能評価はPoorとなる。さらに、トナー検出値が2.3以上になると、官能評価はBadとなる。平滑度の低いラフ紙では、トナー検出値が3.3未満である場合、官能評価はGoodとなる。トナー検出値が3.3以上かつ3.9未満である場合、官能評価はPoorとなる。さらに、トナー検出値が3.9以上になると、官能評価はBadとなる。普通紙では、トナー検出値が2.4未満である場合、官能評価はGoodとなる。トナー検出値が2.4以上かつ2.9未満である場合、官能評価はPoorとなる。さらに、トナー検出値が2.9以上になると、官能評価はBadとなる。再生紙では、トナー検出値が3.0未満である場合、官能評価はGoodとなる。トナー検出値が3.0以上かつ3.8未満である場合、官能評価はPoorとなる。さらに、トナー検出値が3.8以上になると、官能評価はBadとなる。
【0030】
このように像担持体上のカブリトナーの量が同じであっても、ユーザーが感知するカブリのレベルはシートPの種類に依存する。この原因は、シートPの平滑度に依存してカブリトナーの転写性が異なることと、シートPの白色度に依存してシートPの表面に対するトナーのコントラストが異なることにある。シートPの表面の凹凸差が小さい(平滑な)シートPでは、像担持体上のトナー画像とシートPの表面との密着性が高まるため、転写性が高くなる。一方、ラフ紙などシートPの表面の凹凸差が大きい(平滑度の低い)シートPでは、シートPの表面とトナー画像との間の密着性が低下するため、相対的に転写性が低くなる。シートPの表面に存在する凹凸によってトナーが隠れることで、カブリの視認性が低くなる。
【0031】
図6(A)はコート紙と判別される表面性(平滑度)と白色度との関係を示している。図6(B)は普通紙と判別される表面性と白色度との関係を示している。図6(C)は再生紙と判別される表面性と白色度との関係を示している。図6(D)はラフ紙と判別される表面性と白色度との関係を示している。さらに、図6(A)ないし図6(D)では各シートの種類ごとの画像不良の官能評価も示されている。官能評価は、上述された三段階で示されている。横軸は表面性を示す。縦軸は白色度を示す。図6(A)ないし図6(D)から、コート紙の平滑度は非常に高く、コート紙の白色度も非常に高いことがわかる。普通紙としては、坪量の小さい60g/m^2程度のシートから坪量の大きな120g/m^2程度のシートが含まれることがわかる。「^2」は二乗を意味する。普通紙に関しては、表面性と白色度の分布も非常に広いことがわかる。再生紙については、古紙の再生率に依存するもの、白色度は相対的に低く、表面性も粗い。ラフ紙については、白色度は相対的に高いものの、表面性は粗い。
【0032】
図6(A)ないし図6(D)に示されたシートPの種類ごとの白色度と平滑度の分布はあらかじめメモリなどに記憶されていてもよい。制御基板40は、メディアセンサ60により取得された白色度と平滑度との組み合わせ(座標)と、記憶されている分布とに基づき、シートPの種類を判別できる。さらに、シートPの表面性と白色度は、カブリの視認性を示す特徴量として役立つことがわかる。なお、図6に示されたシートの種類と特徴量との関係は一例に過ぎない。また、シートPの種類は5種類以上であってもよい。
【0033】
図6に示された官能評価の結果は、トナー検出値を用いて画像不良を判定するための閾値を示しているともいえる。つまり、制御基板40は、シートPの種類ごとに閾値を記憶しておくことで、トナー検出値に基づき閾値を決定できるようになる。これにより、制御基板40は、様々な種類のシートPについて、視認可能な画像不良が発生していることを精度よく判定できるようになろう。
【0034】
ところで、ユーザーがある特定の普通紙のみを使用する場合、普通紙の通紙枚数が増加するにつれて現像ローラ3の現像特性は徐々に低下して行く。したがって、カブリのレベルもGoodからPoorへと変化する。GoodからPoorへ移行する期間における画像品質は良好である。また、PoorからBadへ移行する期間においても画像形成が継続されてもよい。官能評価がPoorである場合、たいていのユーザーは画像不良を視認できないからである。ここで、図5を振り返ってみると、ある現像条件で普通紙についてのトナー検出値が2.3である場合、官能評価はGoodである。しかし、これと同一の現像条件でコート紙に画像を形成すると、図5から、官能評価がBadになってしまうことがわかる。カブリの顕在化したシートPは廃棄されてしまうため、資源の無駄遣いとなる。
【0035】
したがって、制御基板40は、トナー画像が形成された普通紙を読み取ることで、普通紙に画像不良が生じていることを判定するだけでなく、普通紙からコート紙に変更されたときにコート紙に画像不良が生じることを判定してもよい。制御基板40は、現像条件または帯電条件などの画像条件を補正することで、画像不良を低減してもよい。
【0036】
●ガブリの低減方法について
ここでは、現像条件を補正することでカブリを低減することが説明される。電子写真方式によるトナー現像では、潜像電位とトナーの帯電電位との電位差によって静電潜像にトナーが付着する。その一方で、感光ドラム1上の帯電電位とトナーの帯電電位との電位差によってトナーの移動が規制される。そのため、トナーの帯電電位が低下すると、電位差による規制効果が弱くなる。その結果、静電潜像の領域だけでなく、帯電電位の領域(非画像領域)にもトナーが付着してしまう。これがカブリとなる。
【0037】
実施例1では、制御基板40は、非画像領域のトナー検出値が閾値を超えると、現像条件(現像ローラ3に印加される現像電圧)を補正することで静電潜像電位を変更する。これにより、非画像領域へのトナーの付着が規制される。なお、制御基板40は、帯電条件(帯電ローラ2に印加される帯電電圧)を補正することで静電潜像電位を変更してもよい。
【0038】
図7は、感光ドラム1の帯電電位(表面電位)とトナー検出値との関係を示している。横軸は帯電電位を示す。縦軸はトナー検出値を示す。図7が示すように、感光ドラム1の帯電電位を低下させることで、トナー検出値が低下することがわかる。なぜなら、非画像領域の帯電電位とトナーの帯電電位との差が小さくなると、トナーが非画像領域に付着しにくくなるからである。つまり、感光ドラム1の帯電電位を低下させることで、カブリの視認性が低下する。なお、現像電圧を増加させることでも、非画像領域の帯電電位とトナーの帯電電位との差が小さくなる。
【0039】
カブリを低減する現像条件の補正は、非画像領域に隣接するトナー画像の太さおよび濃さなどを考慮してもよい。これは、非画像領域に隣接するトナー画像が太くなればなるほど、または、トナー画像の濃度が濃くなればなるほど、カブリが発生しやすくなるからである。したがって、非画像領域に隣接するトナー画像が太くなればなるほど、または、トナー画像の濃度が濃くなればなるほど、現像条件の補正量が大きくされてもよい。
【0040】
ところで、帯電性能が高い新品のトナーでは、現像性が高まりすぎてしまうことがある。その結果、次のような画像不良が発生する場合がある。トナーの帯電電位が高すぎる場合、静電潜像の領域だけでなく、静電潜像の周囲にもトナー画像が付着し、トナー画像が太くなってしまう。あるいは、静電潜像の領域においても必要以上のトナーが付着してしまい、トナーの使用量が増えてしまう。したがって、トナーが新品である場合、現像条件を補正することでカブリを低減することは難しい。
【0041】
一般に、現像条件は、現像ローラ3の通紙枚数に応じて変更され、これにより、現像ローラ3の寿命を通して現像条件が良好に設定される。つまり、現像条件は、ユーザーが使用するシートPの影響を含めて設定されるものではない。そのため、異なるシートPが使用され場合に、画像不良が発生してしまうことがある。
【0042】
実施例1では、カブリの読み取り結果(トナー検出値)が大きくなってきた場合、現像ローラ3に印加されている現像電圧を増加することで、トナーの帯電電位が増加される。これにより、非画像領域の帯電電位とトナーの帯電電位との差が小さくなり、静電潜像の電位とトナーの帯電電位との差が大きくなるため、トナーが非画像領域に付着しにくくなる。その結果、カブリが低減される。現像電圧に代えて、帯電電圧が変更されてもよい。あるいは、露光強度の変更により、潜像電位が変更されてもよい。
【0043】
●制御基板
図8は制御基板40に搭載されているCPU800とメモリ820とを示している。CPU800はメモリ820のROM領域に記憶されている制御プログラムを実行することで様々な機能を実現する。これらの機能のうちの一部またはすべてのASICまたはFPGAなどのハードウエア回路により実現されてもよい。ASICは特定用途集積回路の略称である。FPGAはフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。CPU800は、一つまたは複数のプロセッサ回路を有していてもよい。
【0044】
判別部801は、メディアセンサ60によるシートPの特徴量の測定結果に基づきシートPの種類を判別する。メモリ820は、測定結果をシートPの種類に変換するメディアテーブル821を記憶していてもよい。決定部802は、シートPの種類に応じて、画像不良の判定に使用される閾値を決定する。メモリ820は、シートPの種類を閾値に変換する閾値テーブル822を記憶していてもよい。なお、CPU800は、メディアセンサ60によるシートPの測定結果823をメモリ820のRAM領域に保持しておいてもよい。CPU800は、i-1番目のシートPの測定結果823とi番目のシートPの測定結果とを比較することで、シートPの種類が変更されたことを判定してもよい。
【0045】
判定部803は、画像センサ70による非画像領域の測定結果に基づきユーザーにより視認可能な画像不良が生じているかどうかを判定する。たとえば、カブリ検知部804は、決定部802により設定された閾値と測定結果とに基づきカブリの有無を検知する。スジ検知部805は画像不良の一種であるスジ画像の有無を検知する。スジ検知部805の詳細は実施例3で説明される。
【0046】
補正部806は、判定部803の判定結果に基づき画像不良が減少するように画像形成条件を補正する。たとえば、電源部811が生成する現像電圧、帯電電圧、および転写電圧のうちの一つ以上が補正される。回復部807は、スジ画像が減少するようにスジ画像の発生原因となっている画像形成部812を制御する。回復部807の詳細は実施例3で説明される。画像形成部812は、画像形成エンジンとも呼ばれ、図1に記載された画像形成に関与する機構の総称である。報知部808は、判定部803の判定結果をユーザーに報知する。たとえば、報知部808は、表示装置813に報知情報を表示する。報知部808の詳細は実施例4で説明される。
【0047】
メモリ820に記憶されている換算テーブル824は、ある種類のシートPについての測定結果を他の種類のシートPの測定結果に換算するテーブルである。たとえば、ある画像形成条件について普通紙の測定結果では画像不良が視認されなかったものの、コート紙では画像不良が視認可能となることがある。この場合、普通紙の測定結果をコート紙の測定結果に換算し、換算結果とコート紙用の閾値とを比較することで、コート紙についての画像不良の判定結果(予測結果)が得られるようになる。
【0048】
●フローチャート
図9はCPU800が制御プログラムにしたがって実行する制御方法を示している。印刷ジョブが投入されるとCPU800は以下の処理を実行する。
【0049】
S901でCPU800(判別部801)は給送装置12を制御してシートPの搬送を開始し、メディアセンサ60によりシートPの特性(例:白色度、平滑度)を測定する。なお、CPU800は測定結果をメモリ820のRAM領域に保存してもよい。判別部801は、測定結果に基づきシートPの種類を判別する。たとえば、判別部801は、測定結果に基づきメディアテーブル821を参照することでシートPの種類を判別する。
【0050】
S902でCPU800(決定部802)はメディアセンサ60の測定結果またはシートPの種類に基づき、画像不良の閾値を決定する。たとえば、決定部802は、測定結果に基づき閾値テーブル822を参照することで閾値を決定してもよい。
【0051】
S903でCPU800は、印刷ジョブに付随する入力画像データに基づき画像形成部812を制御することでシートPにトナー画像を形成する。S904でCPU800(判定部803)は画像センサ70にシートPを読み取らせることで非画像領域を測定する。たとえば、判定部803は、入力画像データを解析することで非画像領域の座標を特定する。判定部803は、非画像領域の座標に基づき、シートPの読み取り結果である画像データから、非画像領域の測定結果を取得する。判定部803は、上述した画像処理を適用することでトナー検出値を演算してもよい。以下では、測定結果はトナー検出値を意味するものとする。
【0052】
S905でCPU800(判定部803)は、トナー検出値の測定結果が増加傾向にあるかどうかを判定する。判定部803は、先行するシートPの測定結果と今回のシートPの測定結果とを比較することで、測定結果が増加傾向にあるかどうかを判定してもよい。たとえば、先行するシートPの測定結果と今回のシートPの測定結果との差分が傾向閾値を超えている場合に、判定部803は、測定結果が増加傾向にあると判定してもよい。傾向閾値もメモリ820のROM領域に記憶されている。測定結果が増加傾向にある場合、CPU800はS906に進む。測定結果が増加傾向にない場合、CPU800はS906とS907をスキップして、制御方法を終了する。
【0053】
S906でCPU800(判定部803)はトナー検出値の測定結果と、決定部802により決定された閾値とに基づき視認可能な画像不良が発生しているかどうかを判定する。図5および図6を用いて説明されたように、カブリを判定するための閾値は、シートPの種類に応じて切り替えられる。また、閾値は、PoorとBadとの境界となるトナー検出値である。トナー検出値が閾値以上である場合、カブリ検知部804は、ユーザーにより視認可能な画像不良(カブリ)が発生していると判定する。トナー検出値が閾値以上でない場合、カブリ検知部804は、ユーザーにより視認可能な画像不良(カブリ)が発生していないと判定する。図5を用いて説明されるように、閾値は、官能評価に基づき予め決定されている。ユーザーにより視認可能な画像不良が発生していない場合、CPU800はS907をスキップして、制御方法を終了する。ユーザーにより視認可能な画像不良が発生している場合、CPU800はS907に進む。
【0054】
S907でCPU800(補正部806)は、視認可能な画像不良(カブリ)が削減されるように、画像形成条件を補正する。たとえば、補正部806は、現像条件である現像電圧を増加することで視認可能な画像不良(カブリ)を削減してもよい。あるいは、補正部806は、帯電条件である帯電電圧を現象させることで視認可能な画像不良(カブリ)を削減してもよい。
【0055】
このように、シートPの種類に応じて適切な閾値が決定されるため、シートPの種類に依存することなく、画像不良の判定精度が向上する。また、画像不良が視認可能となる確率が高い場合、画像不良が減少するように画像形成条件が補正される。これにより、廃棄されるシートPの枚数が減るであろう。
【0056】
<実施例2>
上述されたように同一の画像形成条件が採用されたとしても第一の種類のシートPでは画像不良が目立たないが、第二の種類のシートPでは画像不良が目立つことがある。そこで、メディアセンサ60によりシートPの種類が変更されたことが検知されると、変更後の種類のシートPで画像不良が発生しうるかどうかが判定される。そして、画像不良が発生しうる場合は、画像形成条件が補正される。
【0057】
図10はCPU800が制御プログラムにしたがって実行する制御方法を示している。印刷ジョブが投入されるとCPU800は以下の処理を実行する。なお、図10において図9と共通するステップには同一の参照符号が付与されており、その説明は省略される。S901とS902とが実行された後でCPU800はS1001に進む。
【0058】
S1001でCPU800(判定部803)は、メディアセンサ60の測定結果に基づきシートPの種類が変更されたかどうかを判定する。たとえば、判定部803は、メモリ820に保持されている前回給送されたシートPの種類情報または特性の測定結果と、今回給送されたシートPの種類情報または特性の測定結果とを比較することで、シートPの種類が変更されたかどうかを判定してもよい。シートPの種類が変更されていなければ、CPU800は、S903ないしS907を実行する。一方で、シートPの種類が変更されていれば、CPU800は、S1002に進む。
【0059】
S1002でCPU800(判定部803)は、メモリ820に記憶されている前回給送されたシートPについての画像センサ70による測定結果を、今回給送されたシートPについての測定結果に換算する。たとえば、第一の種類のシートPから第二の種類のシートPに変更された場合、判定部803は、換算テーブル824を参照することで、第一の種類のシートPの測定結果を第二の種類のシートPの測定結果へ換算する。この換算処理は、第一の種類のシートPの測定結果から第二の種類のシートPの測定結果を推定または予測する処理である。そのため換算処理は推定処理または予測処理と呼ばれてもよい。たとえば、普通紙のトナー検出値が2.0であった場合、コート紙のトナー検出値は2.3と換算される。
【0060】
S1003でCPU800(判定部803)は、種類が変更されたシートP(第二の種類シートP)についての換算結果に基づき当該シートPにおいて視認可能な画像不良が発生しうるかどうかを判定する。カブリ検知部804は、第二の種類シートPについてのトナー検出値の換算結果と、第二の種類シートPについての閾値とに基づき、第一の種類のシートPにカブリが発生するかどうかを判定する。第二の種類シートPについての閾値はS902で決定されている。視認可能な画像不良が発生しないと判定された場合、CPU800は、画像形成条件を維持し、S1005に進む。視認可能な画像不良が発生しうると判定された場合、CPU800は、S1004に進む。
【0061】
S1004でCPU800(補正部806)は、換算結果に基づき視認可能な画像不良が削減されるように画像形成条件を補正する。この補正処理は、S907と同様の処理である。画像形成条件はメモリ820に保持されている。
【0062】
S1005でCPU800は、メモリに保持されている画像形成条件に基づき電源部811および画像形成部812を制御してシートPにトナー画像を形成する。ステップ1005の後でS904が実行されてもよい。つまり、1枚目の第二の種類のシートPについての非画像領域の測定結果が取得されて、メモリ820に保持されてもよい。この測定結果は、第二の種類のシートPについてのトナー検出値の初期値であり、2枚目以降の第二の種類のシートPについての判定処理で使用される。
【0063】
図5によれば、普通紙においてトナー検出値が2.0となる現像条件が、そのままコート紙に適用された場合、コート紙についてのトナー検出値は2.3となる。これは、コート紙についての閾値を超えてしまう。つまり、ユーザーにより視認可能なカブリが発生することがわかる。このようなケースでは、帯電電圧を低下させることで表面の帯電電位が-600[V]から-575[V]に変更されると、トナー検出値が1.9を下回る。その結果、コート紙においてもカブリが削減される。
【0064】
画像センサ70の画像読み取り条件(照明光量、増幅ゲイン、感度、その他)は、シートPの種類によらず同一であってもよいが、異なってもよい。たとえば、メモリ820のROM領域にはシートPの種類ごとに適切となる画像読み取り条件が記憶されていてもよい。CPU800は、メディアセンサ60により取得されたシートPの種類に対応した画像読み取り条件をメモリ820から読み出して画像センサ70に設定してもよい。これにより、画像センサ70の測定精度が向上するであろう。たとえば、画像不良の視認性の低い種類のシートPでは、画像センサ70の感度を高めるために、照射光量が増加されたり、読み取り解像度が増加されたりしてもよい。画像不良の視認性の高い種類のシートPでは、画像センサ70の感度を下げるために、照射光量が削減されたり、読み取り解像度が削減されたりしてもよい。
【0065】
<実施例3>
画像不良としてはカブリの他にスジ画像が知られている。像担持体(例:感光ドラム1、中間転写ベルト8)に対して清掃部材は当接している。像担持体および清掃部材の摩耗を軽減するために、像担持体と清掃部材との当接部(ニップ部)には潤滑剤が必要となる。潤滑剤としてはトナーが便利である。スジ画像は、ニップ部に潤滑剤が不足することで発生することがある。そこで、実施例3では、S906で画像不良であるスジ画像が検出された場合に、清掃能力の回復処理が実行される。
【0066】
回復処理では、トナーが清掃部材に供給される。ドラムクリーナ4にトナーを供給することでドラムクリーナ4の清掃能力が回復する。たとえば、ドラムクリーナ4の幅(回転軸方向における長さ)よりも狭い幅で、かつ、感光ドラム1の回転方向の長さが十mm程度の矩形形状のトナー画像が感光ドラム1に形成される。感光ドラム1が回転することでこのトナー画像が潤滑剤としてドラムクリーナ4へ供給される。同様に、ベルトクリーナ21にトナーを供給することでベルトクリーナ21の清掃能力が回復する。同様のサイズの清掃用トナー画像が形成されて、中間転写ベルト8上に転写される。中間転写ベルト8が回転することで、トナー画像が潤滑剤としてベルトクリーナ21に供給される。
【0067】
図1からわかるように、清掃用のトナー画像は二次転写部(二次転写ニップ部)を経由してベルトクリーナ21に搬送される。トナー画像が二次転写ローラ11に付着しないようにするために、二次転写ローラ11にはトナーの極性と同じ極性(負極性)の電圧が印加される。なお、ドラムクリーナ4へトナー画像を供給する際には、一次転写ローラ6に、トナーの極性と同じ極性(負極性)の電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト8へのトナー画像の転写が抑制される。
【0068】
潤滑剤としてのトナーを清掃部材に供給する頻度およびトナー量は、画像形成装置100およびプロセスカートリッジ5の仕様に依存する。一度に供給されるトナー量は微量であるが、供給頻度が多く設定されてもよい。あるいは、供給頻度は少ないものの供給されるトナー量が多く設定されてもよい。なお、回復処理はスジ画像が検知されたタイミングに加え、ユーザーにより回復処理の実行を指示されたタイミングであってもよい。
【0069】
ところで、トナーによる潤滑機能が低下するケースとして、シートPから発生した紙粉が潤滑剤に混じることがある。潤滑機能が低下した潤滑剤は、像担持体と清掃部材の先端との接触状態を不安定にさせる。その結果、像担持体上に残ったトナーが清掃部材の先端を擦り抜けてしまい、スジ画像が発生する。清掃不良に起因したスジ画像の視認性は、カブリと同様に、シートPの種類に依存する。そこで、実施例3では、シートP上に発生したスジ画像の視認性に応じて清掃部材の回復処理が実行される。これにより、シートPとトナーの無駄な消費が減少する。
【0070】
図11はCPU800が制御プログラムにしたがって実行する制御方法を示している。印刷ジョブが投入されるとCPU800は以下の処理を実行する。なお、図11において図9と共通するステップには同一の参照符号が付与されており、その説明は省略される。S904で非画像領域におけるスジ画像が測定される。S905ではスジ画像の測定結果が増加傾向にあるかどうかが判定される。S906では視認可能な画像不良であるスジ画像の有無が閾値を用いて判定される。スジ画像(トナー検出値)のレベルが閾値を超えている場合、CPU800はS1101に進む。なお、カブリ検知用の閾値とスジ画像検知用の閾値とは異なる。一般に、スジ画像は、シートPの搬送方向と平行に並んだ画素列ごとの画素値(画素ごとの光学濃度)の和が閾値を超えているかどうかに基づき判定される。ここで、画素列は一列であってもよいが、スジ画像の太さと同程度となるように複数の列から構成されてもよい。
【0071】
S1101でCPU800(回復部807)は清掃部材の回復処理を実行する。回復部807は電源部811および画像形成部812を制御して清掃用のトナー画像を感光ドラム1に形成し、一次転写ローラ6に通過用の転写電圧を印加し、清掃用のトナー画像をドラムクリーナ4に供給する。これにより、ドラムクリーナ4の清掃能力が回復する。同様に、回復部807は電源部811および画像形成部812を制御して清掃用のトナー画像を感光ドラム1に形成し、一次転写ローラ6に転写用の転写電圧を印加し、中間転写ベルト8に転写する。回復部807は電源部811および画像形成部812を制御して、二次転写ローラ11に通過用の転写電圧を印加し、清掃用のトナー画像をベルトクリーナ21へ供給する。これにより、ベルトクリーナ21の清掃能力が回復する。
【0072】
このように視認可能なスジ画像が発生すると、清掃部材の回復処理が実行される。これにより、スジ画像が削減され、資源の無駄な消費が抑制される。ところで、回復処理を実行してもスジ画像が改善しないことがある。これは、清掃部材の破損などが原因である。そこで、報知部808は、複数回にわたり回復処理を実行しても十分に清掃能力が回復しない場合に、画像形成装置100の確認を促すメッセージを表示装置813に表示してもよい。このメッセージは清掃部材の確認、メンテナンスまたは交換を促すものであってもよい。
【0073】
<実施例4>
実施例4は、シートカセット13から給送された第一の種類のシートPの非画像領域を測定し、その測定結果に基づき画像不良の有無を判定し、判定結果を報知する。さらに、実施例4は、第一の種類と異なる第二の種類のシートPの測定結果を推定または予測し、その結果に基づき、画像不良の有無を報知してもよい。上述されたように、第一の種類のシートPの測定結果は、第二の種類のシートPの測定結果に換算可能である。そのため、第二の種類のシートPを直接的に測定しなくても、画像不良の有無が推定または予測される。
【0074】
たとえば、普通紙が継続して使用されたことで、普通紙における画像不良の判定結果がBadレベルに近いPoorレベルになることがある。図5に示したように、このような状態で、普通紙からコート紙に切り替えられると、コート紙では多数のユーザーが画像不良を視認できてしまうだろう。そこで、CPU800は、画像不良の可能性を早期にユーザーに報知することで、現像ローラ3を含むプロセスカートリッジ5の交換や、交換の準備をユーザーに促してもよい。これにより、画像形成装置100を使用できなくなる期間が削減されよう。報知部808は、(i)「異なるシートPを使った場合、画像不良が発生する可能性がある」ことを示すメッセージを表示装置813に表示してもよい。表示装置813は、画像形成装置100に設けられていてもよいし、画像形成装置100に対してネットワークを介して接続されているパソコンに設けられていてもよい。報知部808は、当該メッセージを画像形成装置100の管理者および/または販売会社の担当者に送信してもよい。
【0075】
図12はCPU800が制御プログラムにしたがって実行する制御方法を示している。印刷ジョブが投入されるとCPU800は以下の処理を実行する。なお、図12において図9などと共通するステップには同一の参照符号が付与されており、その説明は省略される。S904でシートカセット13から給送されたシートPについての非画像領域の測定結果が実行されると、CPU800はS1201に進む。
【0076】
S1201でCPU800(判定部803)は、画像センサ70によるある種類シートPの非画像領域の測定結果を、他の種類のシートについての測定結果に換算する。S1002で説明されたように、判定部803は、換算テーブル824を参照することで、第一の種類のシートPの測定結果を他の種類(例:第二の種類)の測定結果に換算する。他の種類は、二つ以上の種類であってもよい。第一の種類のシートPの測定結果が、第三の種類のシートPの測定結果、第四の種類のシートPの測定結果、・・・・、および、第n番目の種類のシートPの測定結果に換算されてもよい。
【0077】
S1202でCPU800(判定部803)は、第一の種類のシートPの測定結果と第一の種類のシートPのための閾値とに基づき、第一の種類のシートPにおいて視認可能な画像不良が発生しているかどうかを判定する。さらに、判定部803は、第i番目の種類のシートPの測定結果と第i番目の種類のシートPのための閾値とに基づき、第i番目の種類のシートPにおいて視認可能な画像不良が発生しうるかどうかを判定する。iは2以上であり、n以下の整数である。なお、nは2であってもよい。また、第i番目の種類のシートPの測定結果は、第一の種類のシートPの測定結果から換算されたものである。いずれかの種類のシートPで画像不良が発生しうる場合、CPU800はS1203に進む。いずれの種類のシートPでも画像不良が発生しない場合、CPU800はS1203をスキップする。
【0078】
S1203でCPU800(報知部808)は、画像不良について報知する。上述されたように、この報知は、画像形成装置100または他のコンピュータに設けられた表示装置813へのメッセージの表示であってもよいし、予め定められたネットワークアドレス(例:メールアドレス)へのメッセージの送信であってもよい。
【0079】
メッセージの具体例としては、例えば、以下のものが考えられる。(i)「異なった種類のシートPが使用されると、画像不良を経験する可能性があります。」(ii)「(異なった種類のシートPとして)コート紙が使用されると、画像不良を経験する可能性があります。」(iii)「画像不良を経験する可能性があるため、消耗品の交換および/または交換の準備をお願いします。」メッセージは、画像不良の発生する確率が高まっていることを報知する情報を含んでもよい。メッセージは、異なる種類のシートP(より白色度が高いか、より平滑度の高い種類のシート)が使用されると、発生確率がさらに高まることを報知する情報を含んでもよい。メッセージは、消耗品の交換および/または準備の必要性が高まっていることを報知する情報を含んでもよい。
【0080】
なお、上記の実施例においてはメディアセンサ60がラインセンサ62を備える構成について説明されたが、本発明はこれに限定されない。ラインセンサ62の代わりにエリアセンサが設けられてもよい。また、撮像タイプのセンサでなくてもよく、光量受光タイプのフォトダイオードなどが代わりに設けられてもよい。
【0081】
また、上記の実施例においてはシートPの種類を判別するために、反射光を受光するタイプのメディアセンサ60が説明されたが、本発明はこれに限定されない。シートPの表面に対して光を照射し、透過光を受光するタイプのセンサが採用されてもよい。このようなセンサはシートPの厚みを検知することができるため、CPU800はこの情報をもとにシートPの種類を判別できる。また、シートPの表面に対して超音波を照射し、シートPを介して減衰した超音波を反対側で受信するタイプのセンサが採用されてもよい。このようなセンサはシートPの坪量(単位面積当たりの重量)を検知することができるため、CPU800はこの情報をもとにシートPの種類を判別できる。
【0082】
また、メディアセンサ60は上述された各種センサを組み合わせて構成されていてもよい。たとえば、ラインセンサ62と超音波センサとの両方を備えた構成は、表面性、白色度に加えて坪量も検知できる。そのため、ラインセンサ62のみを備えた構成に比べて、シートPの種類の判別精度が向上する。
【0083】
また、上記の実施例においては、画像形成装置100は、メディアセンサ60を備え、シートカセット13に収容されたシートPの種類を自動的に判別している。しかし、本発明は、これに限定されない。オペレーションパネルなどの操作部が画像形成装置100に設けられ、ユーザーやサービスマンが、操作部から自ら使用するシートPの種類を入力してもよい。CPU800は入力されたこの情報に基づいて画像不良を判定するための閾値を決定してもよい。
【0084】
<実施例から導き出される技術思想>
[観点1、17]
シートカセット13はシートPを収容する収容手段の一例である。搬送ローラ対15などは、シートPを搬送する搬送手段の一例である。メディアセンサ60、CPU800および判別部801は、シートPの種類を判別する判別手段として機能する。CPU800および決定部802は、判別手段により判別されたシートPの種類に応じて、画像不良を判定するための閾値を決定する決定手段の一例である。画像形成部812はシートPに画像を形成する画像形成手段の一例である。画像センサ70は、画像を形成されたシートPを読み取る読取手段として機能する。CPU800および判定部803は、読取手段の読み取り結果のうち、非画像領域の読み取り結果とシートPの種類に応じて決定された閾値とに基づき画像不良が発生しているかを判定する判定手段として機能する。非画像領域とはシートPにおいて画像が形成されていない領域である。CPU800および補正部806は、判定手段の判定結果に基づき画像不良が削減されるように画像形成手段の画像形成条件を補正する補正手段として機能する。なお、画像不良は、視認可能なものであってもよいし、視認可能でないものであってもよい。画像不良としては、たとえば、カブリまたはスジなどある。
【0085】
このように、実施形態によれば、シートの種類に応じて閾値が決定されるため、多種多様なシートに対してユーザーにより視認可能なカブリまたはスジなどの画像不良が精度よく検知されるようになる。さらに、画像不良が削減されるように画像形成条件が補正されるため、画像不良の発生率が低減される。
【0086】
[観点2]
判定部803は、非画像領域の読み取り結果が規定値を超えているかどうかを判定するように構成されていてもよい。S905に関して説明されたように、判定部803は、非画像領域の読み取り結果が規定値を超えている場合に、非画像領域の読み取り結果とシートの種類に応じて決定された閾値とに基づき視認可能な画像不良が発生しているかを判定してもよい。判定部803は、非画像領域の読み取り結果が規定値を超えていない場合に、視認可能な画像不良が発生しているかを判定することをスキップしてもよい。規定値は、たとえば、メモリ820に保持されている先行するシートPについての非画像領域の読み取り結果であってもよい。なお、非画像領域は、トナー画像が形成されていない領域であれば、十分である。非画像領域は、たとえば、文章が印刷されたシートP上におけるマージン領域、または、文章に含まれる文字と文字との間にある領域であってもよい。
【0087】
[観点3]
補正部806は、画像不良が削減されるように画像形成条件のうち現像条件または帯電条件を補正してもよい。これにより、効率よく、画像不良の発生率が低減される。
【0088】
[観点4]
図10に関連して説明されたように、判定部803は、判別手段により判別されたシートPの種類が第一の種類から第二の種類に変更されたかどうかを判定してもよい。第二の種類は、任意の他の種類であってもよいし、特定の他の種類であってもよい。判定部803は、シートPの種類が第一の種類から第二の種類に変更されている場合、第一の種類のシートPについての非画像領域の読み取り結果に基づき、第二の種類のシートPで視認可能な画像不良が発生するかどうかをさらに判定しいてもよい。これにより、他の種類のシートPについて視認可能な画像不良の発生率を推定または予測することが可能となる。
【0089】
補正部806は、第二の種類のシートで視認可能な画像不良が発生すると判定された場合、第二の種類のシートで視認可能な画像不良が削減されるように画像形成条件を補正してもよい。これにより、第二の種類のシートPで視認可能な画像不良の発生率が低減されよう。補正部806は、第二の種類のシートで視認可能な画像不良が発生すると判定されなかった場合、画像形成条件を補正しなくてもよい。
【0090】
[観点5]
図10が示すように、決定部802は、第二の種類に応じて閾値を決定してもよい。判定部803は、第一の種類のシートPについての非画像領域の読み取り結果を第二の種類のシートPについての非画像領域の読み取り結果に換算してもよい。判定部803は、当該換算の結果と第二の種類に応じて決定された閾値とに基づき、第二の種類のシートPで視認可能な画像不良が発生するかどうかを判定してもよい。このように、第二の種類のシートPについての非画像領域を直接的に読み取らずに、視認可能な画像不良の有無が判定可能となる。また、第二の種類のシートPについての非画像領域を直接的に読み取らずに、画像形成条件が補正される。これにより、第二の種類のシートPが無駄に廃棄されないようになろう。
【0091】
[観点6]
画像不良はトナーのカブリであってもよい。判定部803のカブリ検知部804は、非画像領域のトナー面積率に基づきカブリが発生しているかどうかを判定してもよい。なお、トナー面積率は、トナー検出値から求められてもよい。トナー検出値がそのままトナー面積率として採用されてもよい。
【0092】
[観点7]
判別部801は、シートPの白色度と平滑度とに基づきシートPの種類を判別してもよい。とりわけ、白色度と平滑度は画像不良の視認性に影響を与えるからである。
【0093】
[観点8]
決定部802は、判別手段により判別されたシートPの種類を示す情報としてシートPの白色度と平滑度との組を利用してもよい。決定部802は、この組に対応する閾値を、関数(数式など)またはテーブル(例:メディアテーブル821)を用いて、決定してもよい。これにより、画像不良の視認性に影響を与える特性値に基づき、画像不良を判定するための閾値が適切に決定されるようになろう。
【0094】
[観点9]
ドラムクリーナ4およびベルトクリーナ21は画像形成手段(例:感光ドラム1、中間転写ベルト8)を清掃する清掃手段として機能する。CPU800および回復部807は、判定手段の判定結果に基づき画像形成手段を制御することで清掃手段の清掃能力を回復させる回復手段として機能する。これにより、視認可能な画像不良が削減されてもよい。
【0095】
[観点10]
回復部807は、画像形成手段を介して清掃手段に対して潤滑剤(例:トナー)を供給することで清掃手段の清掃能力を回復させてもよい。これにより、比較的に容易且つ短時間に清掃能力を回復することが可能となる。
【0096】
[観点11]
画像形成手段は、感光体(例:感光ドラム1)を有してもよい。清掃手段は、感光体に当接して感光体に残ったトナーを清掃する清掃部材(例:ブレード状のドラムクリーナ4)を有してもよい。回復部807は、潤滑剤として、感光体にトナー画像を形成し、清掃部材と感光体との当接部に当該トナー画像を供給してもよい。これにより、比較的に容易且つ短時間に清掃能力を回復することが可能となる。
【0097】
[観点12]
画像形成手段は、感光体と、中間転写体(例:中間転写ベルト8)と、感光体から中間転写体にトナー画像を転写する転写手段(例:一次転写ローラ6)と、を有してもよい。清掃手段は、中間転写体に当接して中間転写体に残ったトナーを清掃する清掃部材(ブレード状のベルトクリーナ21)を有してもよい。回復部807は、潤滑剤として、感光体にトナー画像を形成し、当該トナー画像を中間転写体に転写し、中間転写体と感光体との当接部に当該トナー画像を供給してもよい。これにより、比較的に容易且つ短時間に清掃能力を回復することが可能となる。
【0098】
[観点13]
画像不良はトナーによるスジ画像であってもよい。判定部803のスジ検知部805は、非画像領域においてシートPの搬送方向と並行に延びるスジ画像の有無を判定してもよい。これにより、スジ画像が効率よく検知される。
【0099】
[観点14]
報知部808は、判定手段の判定結果を報知する報知手段として機能する。これによりユーザーは、画像不良の判定結果を知ることが可能となる。
【0100】
[観点15]
シートの種類は第一の種類(例:普通紙)であってもよい。判定部803は第一の種類のシートPについての非画像領域の読み取り結果に基づき、第一の種類のシートにおいて画像不良が発生しているかどうかを判定する。さらに、判定部803は、第一の種類のシートPについての非画像領域の読み取り結果に基づき、第一の種類とは異なる第二の種類のシートP(例:コート紙)において画像不良が発生するかどうかを判定してもよい。このように、シートカセット13から給送されたシートPの種類とは異なる他の種類のシートPについても画像不良の発生をユーザーに対して注意喚起することが可能となる。
【0101】
[観点16]
判定部803は、第一の種類のシートについての非画像領域の読み取り結果を第二の種類のシートについての非画像領域の読み取り結果に換算してもよい。判定部803は、当該換算の結果と第二の種類に応じて決定手段により決定された閾値とに基づき、第二の種類のシートで視認可能な画像不良が発生するかどうかを判定してもよい。
【0102】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0103】
13:シートカセット、15:搬送ローラ対、40:制御基板、60:メディアセンサ、70:画像センサ、100:画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12