(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20240703BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20240703BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B60W30/06
B60R99/00 322
B60R99/00 330
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2020163394
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清川 裕介
(72)【発明者】
【氏名】今井 規夫
(72)【発明者】
【氏名】水瀬 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 拓也
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-131042(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2496905(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B60R 25/00-99/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が駐車する可能性がある駐車空間のサイズを検出する検出処理部と、
前記車両と前記駐車空間の周辺の物体との間に最低限確保すべき余剰空間のサイズを、前記検出処理部により検出された前記駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定する設定処理部と、
前記設定処理部により設定された前記余剰空間のサイズに基づいて、前記駐車空間への前記車両の駐車の支援を実行する支援処理部と、
を備え
、
前記設定処理部は、前記駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、前記余剰空間のサイズを第1サイズに設定し、前記駐車空間のサイズが前記第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、前記余剰空間のサイズを前記第1サイズよりも小さい第2サイズに設定する、駐車支援装置。
【請求項2】
前記検出処理部は、前記駐車空間への前記車両の駐車が完了するまで、前記駐車空間のサイズの検出を繰り返し実行し、
前記設定処理部は、前記駐車空間への前記車両の駐車が完了するまで、前記駐車空間のサイズに応じた前記余剰空間のサイズの前記第1サイズまたは前記第2サイズへの設定を繰り返し実行する、
請求項
1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記設定処理部は、前記駐車空間のサイズが前記第1閾値と前記第2閾値との間である場合、前記余剰空間のサイズを、前記第1サイズおよび前記第2サイズのうち前回設定された方に設定する、
請求項
2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
車両が駐車する可能性がある駐車空間のサイズを検出する検出処理部と、
前記車両と前記駐車空間の周辺の物体との間に最低限確保すべき余剰空間のサイズを、前記検出処理部により検出された前記駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定する設定処理部と、
前記設定処理部により設定された前記余剰空間のサイズに基づいて、前記駐車空間への前記車両の駐車の支援を実行する支援処理部と、
を備え
、
前記支援処理部は、前記車両の制動の制御を含む前記車両の駐車の支援を実行し、
前記設定処理部は、さらに、前記支援処理部に許可する前記車両の制動の最大強さを、前記駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定する、駐車支援装置。
【請求項5】
前記設定処理部は、前記駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、前記車両の制動の最大強さを第1強さに設定し、前記駐車空間のサイズが前記第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、前記車両の制動の最大強さを前記第1強さよりも強い第2強さに設定する、
請求項
4に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
車両が駐車する可能性がある駐車空間のサイズを検出する検出処理部と、
前記車両と前記駐車空間の周辺の物体との間に最低限確保すべき余剰空間のサイズを、前記検出処理部により検出された前記駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定する設定処理部と、
前記設定処理部により設定された前記余剰空間のサイズに基づいて、前記駐車空間への前記車両の駐車の支援を実行する支援処理部と、
を備え
、
前記支援処理部は、前記車両の停止からの発進のタイミングの制御を含む前記車両の駐車の支援を実行し、
前記設定処理部は、さらに、前記支援処理部により制御される前記車両の発進のタイミングを、前記駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定し、その際、前記駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、前記車両の発進のタイミングを第1タイミングに設定し、前記駐車空間のサイズが前記第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、前記車両の発進のタイミングを前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングに設定する、駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転および半自動運転などにより駐車空間への車両の駐車を支援するための技術について従来から検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような技術においては、ドライバに与える恐怖感などを抑制するため、車両と駐車空間の周辺の物体との間にクリアランス(余剰空間)を最低限確保しながら、車両の駐車を支援することが望まれる。
【0005】
しかしながら、最低限確保すべき余剰空間のサイズを常に一定に設定すると、駐車空間のサイズ(および車両のサイズ)によっては、余剰空間を侵食しないような車両の移動を実現することが難しく、車両の駐車を適切に支援することができなくなる場合がある。このため、最低限確保すべき余剰空間のサイズを適宜変更しながら、車両の駐車の支援を適切に実行することが望まれる。
【0006】
そこで、本開示の課題の一つは、最低限確保すべき余剰空間のサイズを適宜変更しながら、車両の駐車の支援を適切に実行することが可能な駐車支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例としての駐車支援装置は、車両が駐車する可能性がある駐車空間のサイズを検出する検出処理部と、車両と駐車空間の周辺の物体との間に最低限確保すべき余剰空間のサイズを、検出処理部により検出された駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定する設定処理部と、設定処理部により設定された余剰空間のサイズに基づいて、駐車空間への車両の駐車の支援を実行する支援処理部と、を備える。
【0008】
上述した駐車支援装置によれば、最低限確保すべき余剰空間のサイズを駐車空間のサイズに応じて適宜変更しながら、車両の駐車の支援を適切に実行することができる。
【0009】
上述した駐車支援装置において、設定処理部は、駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、余剰空間のサイズを第1サイズに設定し、駐車空間のサイズが第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、余剰空間のサイズを第1サイズよりも小さい第2サイズに設定する。このような構成によれば、駐車空間のサイズと第1閾値および第2閾値との比較により、余剰空間のサイズを第1サイズおよび第2サイズのいずれかに容易に設定することができる。
【0010】
この場合において、検出処理部は、駐車空間への車両の駐車が完了するまで、駐車空間のサイズの検出を繰り返し実行し、設定処理部は、駐車空間への車両の駐車が完了するまで、駐車空間のサイズに応じた余剰空間のサイズの第1サイズまたは第2サイズへの設定を繰り返し実行する。このような構成によれば、駐車空間のサイズの最新の検出結果に応じて余剰空間のサイズを適切に更新することができる。
【0011】
また、この場合において、設定処理部は、駐車空間のサイズが第1閾値と第2閾値との間である場合、余剰空間のサイズを、第1サイズおよび第2サイズのうち前回設定された方に設定する。このような構成によれば、前回の履歴を考慮して、余剰空間のサイズが第1サイズと第2サイズとの間で頻繁に切り替わるのを抑制することができる。
【0012】
また、上述した駐車支援装置において、支援処理部は、車両の制動の制御を含む車両の駐車の支援を実行し、設定処理部は、さらに、支援処理部に許可する車両の制動の最大強さを、駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定する。このような構成によれば、車両の制動の最大強さを適宜変更することで、駐車空間のサイズに応じて、余剰空間を侵食しないような車両の移動を容易に実現することができる。
【0013】
この場合において、設定処理部は、駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、車両の制動の最大強さを第1強さに設定し、駐車空間のサイズが第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、車両の制動の最大強さを第1強さよりも強い第2強さに設定する。このような構成によれば、駐車空間のサイズと第1閾値および第2閾値との比較により、制動の最大強さを第1強さおよび第2強さのいずれかに容易に設定することができる。
【0014】
また、上述した駐車支援装置において、支援処理部は、車両の停止からの発進のタイミングの制御を含む車両の駐車の支援を実行し、設定処理部は、さらに、支援処理部により制御される車両の発進のタイミングを、駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定する。このような構成によれば、車両の発進のタイミングを適宜変更することで、駐車空間のサイズに応じて、余剰空間を侵食しないような車両の移動を容易に実現することができる。
【0015】
この場合において、設定処理部は、駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、車両の発進のタイミングを第1タイミングに設定し、駐車空間のサイズが第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、車両の発進のタイミングを第1タイミングよりも遅い第2タイミングに設定する。このような構成によれば、駐車空間のサイズと第1閾値および第2閾値との比較により、車両の発進のタイミングを第1タイミングおよび第2タイミングのいずれかに容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる車両の車室内の構成を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる車両を上方から見た外観を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる車両のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態において実行されうる駐車支援処理の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる駐車支援装置の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態において実行されうる駐車空間のサイズに応じた制御を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる駐車支援装置が駐車支援処理として実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態および変形例を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0018】
<実施形態>
まず、
図1および
図2を用いて、実施形態にかかる車両1の概略的な構成について説明する。
【0019】
図1は、実施形態にかかる車両1の車室2a内の構成を示した例示的かつ模式的な図であり、
図2は、実施形態にかかる車両1を上方から見た外観を示した例示的かつ模式的な図である。
【0020】
図1に示されるように、実施形態にかかる車両1は、ユーザとしての運転者を含む乗員が乗車する車室2aを有している。車室2a内には、ユーザが座席2bから操作可能な状態で、制動操作部4、加速操作部5、操舵操作部6、および変速操作部7などが設けられている。
【0021】
制動操作部4は、車両1に制動力を発生させるための制動機構に対するドライバの操作入力を受け付ける操作入力デバイスである。また、加速操作部5は、車両1に加速力を発生させるための加速機構に対するドライバの操作入力を受け付ける操作入力デバイスである。また、操舵操作部6は、車両1の転舵輪を転舵させるための転舵機構に対するドライバの操作入力を受け付ける操作入力デバイスである。また、変速操作部7は、車両1の変速比を切り替える変速機構に対するドライバの操作入力を受け付ける操作入力デバイスである。
【0022】
たとえば、
図1に示される例において、制動操作部4は、運転者の足下に設けられたブレーキペダルである。また、加速操作部5は、運転者の足下に設けられたアクセルペダルである。また、操舵操作部6は、ダッシュボード(インストルメントパネル)から突出したステアリングホイールである。また、変速操作部7は、センターコンソールから突出したシフトレバーである。
【0023】
車室2a内には、各種の画像を出力可能な表示部8と、各種の音を出力可能な音声出力部9と、を有するモニタ装置11が設けられている。モニタ装置11は、たとえば、車室2a内のダッシュボードの幅方向(左右方向)の中央部に設けられる。なお、表示部8は、たとえばLCD(液晶ディスプレイ)やOELD(有機エレクトロルミネセンスディスプレイ)などで構成されている。
【0024】
ここで、表示部8において画像が表示される領域としての表示画面には、操作入力部10が設けられている。操作入力部10は、たとえば、指やスタイラスなどの指示体が近接(接触を含む)した位置の座標を検出可能なタッチパネルとして構成されている。これにより、ユーザ(運転者)は、表示部8の表示画面に表示される画像を視認することができるとともに、操作入力部10上で指示体を用いたタッチ(またはタップ)操作などを行うことで、各種の操作入力を実行することができる。
【0025】
なお、実施形態では、操作入力部10が、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタンなどといった、各種の物理的なインターフェースであってもよい。また、実施形態では、車室2a内におけるモニタ装置11の位置とは異なる位置に、他の音声出力装置が設けられていてもよい。この場合、音声出力部9および他の音声出力装置の両方から、各種の音情報を出力することができる。また、実施形態では、モニタ装置11が、ナビゲーションシステムやオーディオシステムなどの各種システムに関する情報を表示可能に構成されていてもよい。
【0026】
また、
図1および
図2に示されるように、実施形態にかかる車両1は、左右2つの前輪3Fと、左右2つの後輪3Rと、を有した四輪の自動車として構成されている。以下では、簡単化のため、前輪3Fおよび後輪3Rを、総称して車輪と記載することがある。実施形態では、4つの車輪の一部または全部の横滑り角が、操舵部303aの操作などに応じて変化(転舵)する。
【0027】
また、車両1には、周辺監視用の撮像部としての複数(
図1および
図2に示される例では4つ)の車載カメラ15a~15dが搭載されている。車載カメラ15aは、車体2の後側の端部2e(たとえば、リヤトランクのドア2hの下方)に設けられ、車両1の後方の領域を撮像する。また、車載カメラ15bは、車体2の右側の端部2fのドアミラー2gに設けられ、車両1の右側方の領域を撮像する。また、車載カメラ15cは、車体2の前側の端部2c(たとえば、フロントバンパ)に設けられ、車両1の前方の領域を撮像する。また、車載カメラ15dは、車体2の左側の端部2dのドアミラー2gに設けられ、車両1の左側方の領域を撮像する。以下では、特に区別する必要が無い場合、車載カメラ15a~15dを単に車載カメラ15と記載することがある。
【0028】
車載カメラ15は、たとえば、CCD(電荷結合素子)やCIS(CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ)などといった撮像素子を有したいわゆるデジタルカメラである。車載カメラ15は、所定のフレームレートで車両1の周囲の撮像を行い、当該撮像によって得られた撮像画像の画像データを出力する。車載カメラ15により得られる画像データは、フレーム画像として動画像を構成することも可能である。
【0029】
また、車体2には、車両1の周辺に存在する人および物(路面を含む)などのオブジェクトまでの距離を検出するための測距センサとして利用可能な測距部16および17が設けられている。測距部16および17は、波動の送受信に基づいてオブジェクトまでの距離を検出するソナーまたはレーザレーダなどとして構成されている。
図2に示される例において、測距部16は、4つの測距部16a~16dにより構成されており、測距部17は、7つの測距部17a~17hにより構成されている。
【0030】
測距部16は、車両1の側方のオブジェクトを検出するように設けられており、測距部17は、車両1の前方および後方のオブジェクトを検出するように設けられている。また、測距部16は、たとえば車両1に対して比較的遠い位置のオブジェクトを検出するように構成されており、測距部17は、たとえば車両1に対して比較的近い距離にあるオブジェクトを検出するように構成されている。
【0031】
次に、
図3を用いて、実施形態にかかる車両1において各種の制御を実現するために設けられるシステム構成について説明する。なお、
図3に示されるシステム構成は、あくまで一例であるので、様々に変更可能である。
【0032】
図3は、実施形態にかかる車両1のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0033】
図3に示されるように、実施形態にかかる車両1は、制動システム301と、加速システム302と、操舵システム303と、変速システム304と、障害物センサ305と、走行状態センサ306と、車載カメラ15と、モニタ装置11と、車両制御装置310と、車載ネットワーク350と、を有している。
【0034】
制動システム301は、車両1の減速を制御する。制動システム301は、制動部301aと、制動制御部301bと、制動部センサ301cと、を有している。
【0035】
制動部301aは、車両1の制動機構を駆動するためのたとえばアクチュエータである。制動部301aは、制動操作部4に対する操作をアシストする形で作動してもよいし、制動操作部4に対する操作とは別個に作動してもよい。
【0036】
制動制御部301bは、たとえば、CPU(中央演算処理装置)などのようなハードウェアプロセッサを有したマイクロコンピュータとして構成される。制動制御部301bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいて制動部301aを作動させることで、車両1の減速度合を制御する。
【0037】
制動部センサ301cは、制動部301a(および制動操作部4)の状態を検出するためのセンシングデバイスである。制動部センサ301cによる検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用される。
【0038】
加速システム302は、車両1の加速を制御する。加速システム302は、加速部302aと、加速制御部302bと、加速部センサ302cと、を有している。
【0039】
加速部302aは、車両1の加速機構を駆動するためのたとえばアクチュエータである。制動部301aは、加速操作部5に対する操作をアシストする形で作動してもよいし、加速操作部5に対する操作とは別個に作動してもよい。
【0040】
加速制御部302bは、たとえば、CPUなどのようなハードウェアプロセッサを有したマイクロコンピュータとして構成される。加速制御部302bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいて加速部302aを作動させることで、車両1の加速度合を制御する。
【0041】
加速部センサ302cは、加速部302a(および加速操作部5)の状態を検出するためのセンシングデバイスである。加速部センサ302cによる検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用される。
【0042】
操舵システム303は、車両1の進行方向を制御する。操舵システム303は、操舵部303aと、操舵制御部303bと、操舵部センサ303cと、を有している。
【0043】
操舵部303aは、車両1の転舵機構を駆動するためのたとえばアクチュエータである。操舵部303aは、操舵操作部6に対する操作をアシストする形で作動してもよいし、操舵操作部6に対する操作とは別個に作動してもよい。
【0044】
操舵制御部303bは、たとえば、CPUなどのようなハードウェアプロセッサを有したマイクロコンピュータとして構成される。操舵制御部303bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいて操舵部303aを作動させることで、車両1の進行方向を制御する。
【0045】
操舵部センサ303cは、操舵部303a(および操舵操作部6)の状態を検出するためのセンシングデバイスである。操舵部センサ303cによる検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用される。
【0046】
変速システム304は、車両1の変速比を制御する。変速システム304は、変速部304aと、変速制御部304bと、変速部センサ304cと、を有している。
【0047】
変速部304aは、車両1の変速機構を駆動するためのたとえばアクチュエータである。変速部304aは、変速操作部7に対する操作をアシストする形で作動してもよいし、変速操作部7に対する操作とは別個に作動してもよい。
【0048】
変速制御部304bは、たとえば、CPUなどのようなハードウェアプロセッサを有したコンピュータとして構成される。変速制御部304bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいて変速部304aを作動させることで、車両1の変速比を制御する。
【0049】
変速部センサ304cは、変速部304a(および変速操作部7)の状態を検出するためのセンシングデバイスである。変速部センサ304cによる検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用されうる。
【0050】
障害物センサ305は、車両1の周囲に存在しうる物体(障害物)に関するデータを検出するためのセンシングデバイスである。障害物センサ305は、車両1の周囲に存在する物体までの距離を取得する測距センサとしての測距部16および17を含んでいる。なお、障害物センサ305は、車両1の周囲の状況を画像として取得する車載カメラ15を含んでいてもよい。障害物センサ305による検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用されうる。
【0051】
走行状態センサ306は、車両1の走行状態を検出するための装置である。走行状態センサ306は、たとえば、車両1の車輪速を検出する車輪速センサや、車両1の前後方向または左右方向の加速度を検出する加速度センサや、車両1の旋回速度(角速度)を検出するジャイロセンサなどを含んでいる。走行状態センサ306による検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用されうる。
【0052】
車両制御装置310は、たとえば、車両1に設けられる各種のシステムを統括的に制御することで各種の機能を実現するECU(電子制御装置)として構成されている。詳細は後述するが、実施形態にかかる車両制御装置310は、自動運転および半自動運転などにより駐車空間への車両1の駐車(たとえば縦列駐車)を支援するための駐車支援処理を実行可能に構成されている。
【0053】
車両制御装置310は、CPU310aと、ROM(リードオンリーメモリ)310bと、RAM(ランダムアクセスメモリ)310cと、SSD(ソリッドステートドライブ)310dと、表示制御部310eと、音声制御部310fと、を有している。
【0054】
CPU310aは、車両制御装置310を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU310aは、ROM310bなどに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。なお、ここで言及している制御プログラムには、上述した駐車支援処理を実行するための駐車支援プログラムが含まれる。
【0055】
ROM310bは、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
【0056】
RAM310cは、CPU310aの作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
【0057】
SSD310dは、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる車両制御装置310においては、補助記憶装置として、SSD310dに替えて(またはSSD310dに加えて)、HDD(ハードディスクドライブ)が設けられてもよい。
【0058】
表示制御部310eは、車両制御装置310で実行されうる各種の処理のうち、主として、車載カメラ15から取得される撮像画像に対する画像処理や、モニタ装置11の表示部8に出力する画像データの生成などを司る。
【0059】
音声制御部310fは、車両制御装置310で実行されうる各種の処理のうち、主として、モニタ装置11の音声出力部9に出力する音声データの生成などを司る。
【0060】
車載ネットワーク350は、制動システム301と、加速システム302と、操舵システム303と、変速システム304と、障害物センサ305と、走行状態センサ306と、モニタ装置11の操作入力部10と、車両制御装置310と、を通信可能に接続する。
【0061】
ここで、自動運転および半自動運転などにより駐車空間への車両1の駐車を支援する駐車支援処理の技術について従来から検討されている。このような技術においては、ドライバに与える恐怖感などを抑制するため、車両1と駐車空間の周辺の物体との間にクリアランス(余剰空間)を最低限確保しながら駐車支援処理を実行することが望まれる。
【0062】
たとえば、
図4は、実施形態において実行されうる駐車支援処理の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0063】
図4に示される例では、他車両1aおよび1bの間に設けられる長さL1の空間S1が、駐車空間に相当する。車両1は、この駐車空間としての空間S1に向けて矢印Cで示される移動経路に沿って移動することで、縦列駐車を実行する。
【0064】
上記のような縦列駐車は、一般に、空間S1の長さL1が車両1の長さL0よりも一定以上大きい場合に実行される。このため、空間S1への縦列駐車が完了すると、他車両1aと車両1との間と、他車両1bと車両1との間とには、長さαの空間S1aが上記の余剰空間として確保されることになる。そして、この場合、他車両1aと車両1との間と、他車両1bと車両1との間との間には、長さαの空間S1aの他に、駐車支援処理における車両1の移動の誤差を吸収するための長さβの空間S1bも確保されることになる。
【0065】
従来では、最低限確保すべき余剰空間としての空間S1aの長さα(空間S1bの長さβも同様)が、車両1のスペック(車両1の長さ、および制動部301aおよび加速部302aの応答性能など)などに応じた一定の値として予め決められていた。
【0066】
しかしながら、最低限確保すべき余剰空間のサイズを常に一定に設定すると、駐車空間のサイズ(および車両1のサイズ)によっては、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を実現することが難しく、車両1の駐車を適切に支援することができなくなる場合がある。このため、最低限確保すべき余剰空間のサイズを適宜変更しながら、車両1の駐車の支援を適切に実行することが望まれる。
【0067】
そこで、実施形態は、次の
図5に示されるような機能を有した駐車支援装置500を車両制御装置310により実現することで、最低限確保すべき余剰空間のサイズを適宜変更しながら、車両1の駐車の支援を適切に実行することを実現する。
【0068】
図5は、実施形態にかかる駐車支援装置500の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0069】
図5に示される機能は、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって車両制御装置310内に実現される。すなわち、
図5に示される機能は、車両制御装置310のCPU310aがROM310bなどに記憶された制御プログラムとしての駐車支援プログラムを読み出して実行した結果として実現される。なお、実施形態では、
図5に示される機能の少なくとも一部が専用のハードウェア(回路)として実現されてもよい。
【0070】
図5に示されるように、実施形態にかかる駐車支援装置500は、検出処理部501と、設定処理部502と、支援処理部503と、を備えている。
【0071】
検出処理部501は、障害物センサ305の検出結果に基づいて、車両1が駐車する可能性がある駐車空間のサイズを検出する。たとえば、上述した
図4に示される例において、検出処理部501は、駐車空間のサイズとして、他車両1aおよび1bの間の空間S1の長さL1を検出する。
【0072】
そして、設定処理部502は、車両1と駐車空間の周辺の物体との間に最低限確保すべき余剰空間のサイズを、検出処理部501により検出された駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定する。
【0073】
たとえば、駐車空間のサイズが広い場合、余剰空間のサイズを、ドライバに与える恐怖心を低減するように車両1のスペックなどに応じて予め決められた従来と同様の一定の値に設定しても、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を実現することが容易である。
【0074】
一方、駐車空間のサイズが狭い場合、余剰空間のサイズを、車両1のスペックなどに応じた従来と同様の一定の値に設定すると、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を実現することが難しい。しかしながら、この場合であっても、ドライバに与える恐怖心をある程度許容して、余剰空間のサイズを通常よりも小さくすれば、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を実現しうる。
【0075】
そこで、設定処理部502は、駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、余剰空間のサイズを第1サイズに設定し、駐車空間のサイズが第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、余剰空間のサイズを第1サイズよりも小さい第2サイズに設定する。
【0076】
なお、実施形態において、障害物センサ305の検出結果は、誤差を含みうるので、駐車空間のサイズの検出結果は、車両1の移動に応じて変動しうる。このため、検出処理部501は、駐車空間のサイズの検出を1回だけで終了することなく、駐車空間への車両1の駐車が完了するまで、駐車空間のサイズの検出を繰り返し実行する。そして、設定処理部502は、駐車空間への車両1の駐車が完了するまで、駐車空間のサイズに応じた余剰空間のサイズの第1サイズまたは第2サイズへの設定を繰り返し実行する。
【0077】
ただし、余剰空間のサイズが第1サイズと第2サイズとの間で頻繁に変動するのは望ましくない。したがって、設定処理部502は、駐車空間のサイズが第1閾値と第2閾値との間である場合、余剰空間のサイズを、第1サイズおよび第2サイズのうち前回設定された方に設定する。なお、余剰空間のサイズを初回に設定する場合、設定処理部502は、余剰空間のサイズを、第1サイズおよび第2サイズのうち初期値として予め決められた方に設定する。
【0078】
そして、支援処理部503は、設定処理部502により設定された余剰空間のサイズに基づいて、駐車空間への車両1の駐車の支援を実行する。より具体的に、支援処理部503は、設定処理部502により設定された余剰空間のサイズに基づいて、駐車空間に至るまでに車両1が辿るべき走行経路を算出し、当該走行経路に沿って車両1が移動するように、制動システム301、加速システム302、操舵システム303、および変速システム304のうち1以上の制御を含む駐車支援処理を実行する。
【0079】
なお、実施形態では、余剰空間のサイズ以外のパラメータも、駐車空間のサイズに応じた設定(変更)の対象となりうる。
【0080】
たとえば、実施形態では、駐車空間のサイズが広い場合、支援処理部503に制御を許可する車両1の制動の最大強さを、制動のショックによる乗り心地の悪化を十分に低減可能な程度に弱くしても、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を実現することが容易である。
【0081】
一方、駐車空間のサイズが狭い場合、車両1の制動の最大強さを上記と同様に弱くすると、制動距離が長くなりやすいので、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を実現することが難しい。しかしながら、この場合であっても、制動のショックによる乗り心地の悪化をある程度許容して、車両1の制動の最大強さを強くすれば、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を実現しうる。
【0082】
したがって、実施形態において、設定処理部502は、支援処理部503に許可する車両1の制動の最大強さも、駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定しうる。より具体的に、設定処理部502は、駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、車両1の制動の最大強さを第1強さに設定し、駐車空間のサイズが第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、車両1の制動の最大強さを第1強さよりも強い第2強さに設定しうる。
【0083】
さらに、実施形態では、駐車空間のサイズが広い場合、支援処理部503により制御される車両1の停止からの発進のタイミングを、発進の遅延による乗り心地の悪化を十分に低減可能な程度に早くしても、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を実現することが容易である。
【0084】
一方、駐車空間のサイズが狭い場合、支援処理部503により制御される車両1の発進のタイミングを上記と同様に早くすると、車両1の飛び出しが発生しやすいので、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を実現することが難しい。しかしながら、この場合であっても、発進の遅延による乗り心地の悪化をある程度許容して、車両1の発進のタイミングを遅くすれば、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を実現しうる。
【0085】
したがって、実施形態において、設定処理部502は、支援処理部503により制御される車両1の発進のタイミングも、駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定しうる。より具体的に、設定処理部502は、駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、車両1の発進のタイミングを第1タイミングに設定し、駐車空間のサイズが第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、車両1の発進のタイミングを第1タイミングよりも遅い第2タイミングに設定しうる。
【0086】
なお、駐車空間のサイズが第1閾値と第2閾値との間である場合、車両1の制動の最大強さ、および車両1の発進のタイミングのいずれも、駐車空間のサイズに応じて余剰空間の長さを設定する上述した例と同様の発想で設定されうる。つまり、駐車空間のサイズが第1閾値と第2閾値との間である場合、車両1の制動の最大強さは、第1強さおよび第2強さのうち前回設定された方に設定され、車両1の発進のタイミングは、第1タイミングおよび第2タイミングのうち前回設定された方に設定されうる。
【0087】
以上をまとめると、実施形態において駐車空間のサイズに応じて実行される制御は、次の
図6に示される通りである。
【0088】
図6は、実施形態において実行されうる駐車空間のサイズに応じた制御を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【0089】
図6に示されるように、実施形態では、検出処理部501により検出される駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、第1長さの余剰空間と、最大強さが第1強さの制動と、第1タイミングでの発進と、を実現するような制御が実行される。
【0090】
また、実施形態では、駐車空間のサイズが第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、第1長さよりも短い第2長さの余剰空間と、最大強さが第1強さよりも強い第2強さの制動と、第1タイミングよりも遅い第2タイミングでの発進と、を実現するような制御が実行される。
【0091】
また、実施形態では、駐車空間のサイズが第1閾値と第2閾値との間である場合、前回のパラメータが第1長さ、第1強さ、および第1タイミングであればこれらのパラメータが引き続き採用され、前回のパラメータが第2長さ、第2強さ、および第2タイミングであればこれらのパラメータが引き続き採用される。なお、前回のパラメータが存在しない初回は、第1長さ、第1強さ、および第1タイミングの組み合わせと、第2長さ、第2強さ、および第2タイミングの組み合わせと、のうち初期値として予め決められた方が採用される。
【0092】
以上の構成に基づき、実施形態にかかる駐車支援装置500は、駐車支援処理として、次の
図7に示されるような一連の処理を実行する。
図7に示される一連の処理は、たとえば検出処理部501により検出される駐車空間のサイズが所定のサイズ以上である場合に開始する。
【0093】
図7は、実施形態にかかる駐車支援装置500が駐車支援処理として実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
【0094】
図7に示されるように、実施形態では、まず、S701において、駐車支援装置500の検出処理部501は、障害物センサ305の検出結果を取得する。
【0095】
そして、S702において、検出処理部402は、S701で取得された情報に基づいて、車両1が駐車する可能性がある駐車空間のサイズ(たとえば長さ)を検出する。
【0096】
そして、S703において、駐車支援装置500の設定処理部502は、S702の検出結果に基づいて、駐車空間の狭さを判定する。より具体的に、設定処理部502は、駐車空間のサイズが上述した第1閾値以上である場合、駐車空間が広いと判定し、駐車空間のサイズが上述した第2閾値以下である場合、駐車空間が狭いと判定する。また、設定処理部502は、駐車空間のサイズが第1閾値と第2閾値との間である場合、前回のS702の判定結果をそのまま引き継ぐ。ただし、S702の処理が初回に実行される場合、設定処理部502は、予め決められた設定に従い、たとえば駐車空間が狭いと判定する。
【0097】
そして、S704において、設定処理部502は、S702で駐車空間のサイズが狭いと判定されたか否かを判定する。
【0098】
S704において、駐車空間のサイズが狭いと判定された場合、S705に処理が進む。そして、S705において、設定処理部502は、駐車支援処理において考慮すべき余剰空間の長さを、ドライバに与える恐怖心を低減するように車両1のスペックなどに応じて予め決められた通常の第1長さよりも短い第2長さに設定する。
【0099】
そして、S706において、設定処理部502は、駐車支援処理において支援処理部503に許可する制動の最大強さを、制動のショックによる乗り心地の悪化を十分に低減可能な程度に設定された通常の第1強さよりも強い第2強さに設定する。
【0100】
そして、S707において、設定処理部502は、駐車支援処理において支援処理部503により制御される車両1の停止からの発進のタイミングを、発進の遅延による乗り心地の悪化を十分に低減可能な程度に設定された通常の第1タイミングよりも遅い第2タイミングに設定する。
【0101】
一方、S704において、駐車空間のサイズが広いと判定された場合、S708に処理が進む。そして、S708において、設定処理部502は、駐車支援処理において考慮すべき余剰空間の長さを、通常の第1長さに設定する。
【0102】
そして、S709において、設定処理部502は、駐車支援処理において支援処理部503に許可する制動の最大強さを、通常の第1強さに設定する。
【0103】
そして、S710において、設定処理部502は、駐車支援処理において支援処理部503により制御される車両1の停止からの発進のタイミングを、通常の第1タイミングに設定する。
【0104】
S705~S707の処理またはS708~S710の処理により、駐車支援処理において考慮されるパラメータの設定が完了すると、S711に処理が進む。そして、S711において、支援処理部503は、余剰空間の長さ(第1長さまたは第2長さ)に基づいて、駐車空間に至るまでの車両1の移動経路を生成する。
【0105】
そして、S712において、支援処理部503は、制動の最大強さ(第1強さまたは第2強さ)と、発進のタイミング(第1タイミングまたは第2タイミング)と、を考慮して、制動システム301、加速システム302、操舵システム303、および変速システム304のうち1以上を制御し、S711で生成された移動経路に沿って車両1を移動させる。
【0106】
そして、S713において、支援処理部503は、駐車空間への車両1の駐車が完了したか否かを判定する。
【0107】
S713において、駐車が完了していないと判定された場合、S701に処理が戻る。一方、S713において、駐車が完了したと判定された場合、処理が終了する。このようにして、実施形態にかかる駐車支援処理が実行される。
【0108】
以上説明したように、実施形態にかかる駐車支援装置500は、検出処理部501と、設定処理部502と、支援処理部503と、を備えている。検出処理部501は、車両1が駐車する可能性がある駐車空間のサイズ(長さ)を検出する。そして、設定処理部502は、車両1と駐車空間の周辺の物体との間に最低限確保すべき余剰空間のサイズ(長さ)を、検出処理部501により検出された駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定する。そして、支援処理部503は、設定処理部502により設定された余剰空間のサイズに基づいて、駐車空間への車両1の駐車の支援を実行する。
【0109】
実施形態にかかる駐車支援装置500によれば、最低限確保すべき余剰空間のサイズを駐車空間のサイズに応じて適宜変更しながら、車両1の駐車の支援を適切に実行することができる。
【0110】
より具体的に、実施形態において、設定処理部502は、駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、余剰空間のサイズを第1サイズ(第1長さ)に設定し、駐車空間のサイズが第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、余剰空間のサイズを第1サイズよりも小さい第2サイズ(第2長さ)に設定する。このような構成によれば、駐車空間のサイズと第1閾値および第2閾値との比較により、余剰空間のサイズを第1サイズおよび第2サイズのいずれかに容易に設定することができる。
【0111】
また、実施形態において、検出処理部501は、駐車空間への車両1の駐車が完了するまで、駐車空間のサイズの検出を繰り返し実行する。そして、設定処理部502は、駐車空間への車両1の駐車が完了するまで、駐車空間のサイズに応じた余剰空間のサイズの第1サイズまたは第2サイズへの設定を繰り返し実行する。このような構成によれば、駐車空間のサイズの最新の検出結果に応じて余剰空間のサイズを適切に更新することができる。
【0112】
また、実施形態において、設定処理部502は、駐車空間のサイズが第1閾値と第2閾値との間である場合、余剰空間のサイズを、第1サイズおよび第2サイズのうち前回設定された方に設定する。このような構成によれば、前回の履歴を考慮して、余剰空間のサイズが第1サイズと第2サイズとの間で頻繁に切り替わるのを抑制することができる。
【0113】
ここで、実施形態において、支援処理部503は、車両1の制動の制御を含む車両1の駐車の支援を実行しうる。この場合、設定処理部502は、さらに、支援処理部503に許可する車両1の制動の最大強さを、駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定しうる。このような構成によれば、車両1の制動の最大強さを適宜変更することで、駐車空間のサイズに応じて、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を容易に実現することができる。
【0114】
より具体的に、実施形態において、設定処理部502は、駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、車両1の制動の最大強さを第1強さに設定し、駐車空間のサイズが第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、車両1の制動の最大強さを第1強さよりも強い第2強さに設定しうる。このような構成によれば、駐車空間のサイズと第1閾値および第2閾値との比較により、制動の最大強さを第1強さおよび第2強さのいずれかに容易に設定することができる。
【0115】
また、実施形態において、支援処理部503は、車両1の停止からの発進のタイミングの制御を含む車両1の駐車の支援を実行しうる。この場合、設定処理部502は、さらに、支援処理部503により制御される車両1の発進のタイミングを、駐車空間のサイズに応じて変更しながら設定しうる。このような構成によれば、車両1の発進のタイミングを適宜変更することで、駐車空間のサイズに応じて、余剰空間を侵食しないような車両1の移動を容易に実現することができる。
【0116】
より具体的に、実施形態において、設定処理部502は、駐車空間のサイズが第1閾値以上である場合、車両1の発進のタイミングを第1タイミングに設定し、駐車空間のサイズが第1閾値よりも小さい第2閾値以下である場合、車両1の発進のタイミングを第1タイミングよりも遅い第2タイミングに設定する。このような構成によれば、駐車空間のサイズと第1閾値および第2閾値との比較により、車両1の発進のタイミングを第1タイミングおよび第2タイミングのいずれかに容易に設定することができる。
【0117】
なお、実施形態にかかる車両制御装置310において実行される駐車支援プログラムは、必ずしもROM310bなどに予め記憶されている必要はない。たとえば、実施形態にかかる情報処理プログラムは、磁気ディスクまたは光ディスクなどといった、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にインストール可能な形式または実行可能な形式で記録されたコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0118】
また、実施形態にかかる駐車支援プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布されてもよい。すなわち、実施形態にかかる駐車支援プログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納された状態で、ネットワーク経由でのダウンロードを受け付ける、といった形で提供されてもよい。
【0119】
<変形例>
上述した実施形態では、縦列駐車のための駐車支援処理の実行時に、駐車空間のサイズに応じた余剰空間の長さの変更が実行される構成が例示されている。しかしながら、駐車空間のサイズに応じた余剰空間の長さの変更は、たとえば並列駐車のような、縦列駐車以外の駐車のための駐車支援処理の実行時にも有効である。また、駐車空間のサイズに応じた余剰空間の長さの変更は、たとえば駐車空間からの車両1の出庫を支援するための出庫支援処理のような、駐車支援処理以外の他の走行支援処理の実行時にも有効な場合がある。
【0120】
また、上述した実施形態では、余剰空間の長さ、制動の最大強さ、および発進のタイミングがそれぞれ2段階で変更される構成が例示されている。しかしながら、余剰空間の長さ、制動の最大強さ、および発進のタイミングは、3段階以上で変更されてもよいし、無段階で連続的に変更されてもよい。
【0121】
以上、本開示の実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0122】
1 車両
500 駐車支援装置
501 検出処理部
502 設定処理部
503 支援処理部