(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240703BHJP
B41J 2/15 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 303
B41J2/15
(21)【出願番号】P 2020180416
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】森上 敬之
(72)【発明者】
【氏名】小林 康彦
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-155192(JP,A)
【文献】特開2006-186755(JP,A)
【文献】特開2022-38103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれインクを吐出する複数のノズルが第1方向に並んで構成された第1ノズル列と、
それぞれインクを吐出する複数のノズルが前記第1方向に並んで構成され、前記第1方向に直交する第2方向に前記第1ノズル列と並んで設けられた第2ノズル列と、
を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを前記第2方向に移動させるヘッド移動装置と、
前記記録ヘッドおよび前記ヘッド移動装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記ヘッド移動装置を制御して、前記記録ヘッドを前記第2方向にスキャンさせる走査制御部と、
前記第2方向に関する印刷解像度が設定される設定部と、
前記設定部で設定された印刷解像度に基づき、前記第1ノズル列の位置を基準とした前記第2方向に関するインクの着弾位置を演算する第1演算部と、
前記第1ノズル列の位置を基準とした前記第2ノズル列の前記第2方向の位置が登録された第1登録部と、
前記第1登録部に登録された前記第2ノズル列の位置と前記第1演算部によって演算されたインクの着弾位置とに基づいて、前記第2方向に関して前記第2ノズル列に最も近い着弾位置と前記第2ノズル列との間の距離を演算する第2演算部と、
前記第2演算部によって演算される距離についての閾値が登録された第2登録部と、
前記記録ヘッドの各スキャンにおける各ノズルのインクの吐出タイミングを印刷データおよび前記設定された印刷解像度に基づいて決定するように構成され、前記第2演算部によって演算された距離が前記閾値以下である場合には、前記第1ノズル列のノズルからのインクの吐出と前記第2ノズル列のノズルからのインクの吐出とを同一スキャン内に行わせる画像処理部と、
を備えている、
インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記第1演算部は、前記設定部で設定された印刷解像度に基づいて前記第2方向に関するインクの着弾間隔を演算し、
前記画像処理部は、前記第1演算部によって演算されたインクの着弾間隔が前記閾値の2倍以下である場合には、前記第1ノズル列のノズルからのインクの吐出と前記第2ノズル列のノズルからのインクの吐出とを同一スキャン内に行わせる、
請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記閾値は、600dpiに対応する距離以下に設定されている、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主走査方向に移動する記録ヘッドからインクを吐出して画像を形成するシャトルヘッド式のインクジェットプリンタが知られている。かかるインクジェットプリンタでは、記録ヘッドは、主走査方向に直交する副走査方向に複数のノズルが並んで構成されたノズル列を複数有している。複数のノズル列は、主走査方向に並んで配置されている。
【0003】
かかるインクジェットプリンタでは、主走査方向に関する複数のノズル列の間の間隔が予め定まっている。そのため、主走査方向に関するインクの着弾位置がノズル列間でずれる場合がある。例えば、第1のノズル列を基準とし、主走査方向の印刷解像度に基づいてプロットしたインクの着弾位置と、第1のノズル列を基準とした第2のノズル列の位置とがずれる場合には、第1のノズル列のインク着弾位置と、第2のノズル列のインク着弾位置とはずれることになる。このような主走査方向のインク着弾位置のずれは、印刷品質を低下させると考えられている。
【0004】
上記したような主走査方向に関するインクの着弾位置のずれを補正する技術が従来から知られている。例えば特許文献1には、基準のノズル列からの主走査方向の距離に対応した調整データをノズル列ごとの画像データに付加する調整方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1に開示されているようなインクの着弾位置の補正は、実際には種々の制約の中でしか実現できない。インクを吐出するための駆動信号は、通常、記録ヘッドの全てのノズルで共通である。そのため、ノズルからのインク吐出のタイミングは、必ずしも所望のように補正できない。
【0007】
そのため、主走査方向に関するインクの着弾位置がノズル列間でずれることが印刷解像度およびノズル列の間隔から分かっている場合には印刷を禁止する制御が、従来から行われてきた。または、上記のような場合には、インク着弾位置がずれるノズル列のノズルからインクを吐出させない制御が行われてきた。後者の場合、インクを吐出させなかったノズル列のノズルからのインクの吐出は、記録ヘッドの別のスキャン時に行われる。ただし、前者のような制御を行うと印刷ができなくなり、後者のような制御を行うと、記録ヘッドのスキャン数が増加し、印刷のスループットが低下する。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、印刷品質を確保しつつ、印刷のスループットの低下を抑制できるインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに開示するインクジェットプリンタは、記録ヘッドと、ヘッド移動装置と、前記記録ヘッドおよび前記ヘッド移動装置を制御する制御装置と、を備えている。前記記録ヘッドは、それぞれインクを吐出する複数のノズルが第1方向に並んで構成された第1ノズル列と、それぞれインクを吐出する複数のノズルが前記第1方向に並んで構成され、前記第1方向に直交する第2方向に前記第1ノズル列と並んで設けられた第2ノズル列と、を有している。前記ヘッド移動装置は、前記記録ヘッドを前記第2方向に移動させる。前記制御装置は、走査制御部と、設定部と、第1演算部と、第1登録部と、第2演算部と、第2登録部と、画像処理部と、を備えている。前記走査制御部は、前記ヘッド移動装置を制御して、前記記録ヘッドを前記第2方向にスキャンさせる。前記設定部では、前記第2方向に関する印刷解像度が設定される。前記第1演算部は、前記設定部で設定された印刷解像度に基づき、前記第1ノズル列の位置を基準とした前記第2方向に関するインクの着弾位置を演算する。前記第1登録部には、前記第1ノズル列の位置を基準とした前記第2ノズル列の前記第2方向の位置が登録されている。前記第2演算部は、前記第1登録部に登録された前記第2ノズル列の位置と前記第1演算部によって演算されたインクの着弾位置とに基づいて、前記第2方向に関して前記第2ノズル列に最も近い着弾位置と前記第2ノズル列との間の距離を演算する。前記第2登録部には、前記第2演算部によって演算される距離についての閾値が登録されている。前記画像処理部は、前記記録ヘッドの各スキャンにおける各ノズルのインクの吐出タイミングを印刷データおよび前記設定された印刷解像度に基づいて決定するように構成され、前記第2演算部によって演算された距離が前記閾値以下である場合には、前記第1ノズル列のノズルからのインクの吐出と前記第2ノズル列のノズルからのインクの吐出とを同一スキャン内に行わせる。
【0010】
上記インクジェットプリンタによれば、第1ノズル列と第2ノズル列との間における主走査方向のインクの着弾位置のずれが閾値以下と見込まれる場合には、ずれを許容し、第1ノズル列のノズルからのインクの吐出と第2ノズル列のノズルからのインクの吐出とが同一スキャン内に行われる。これにより、スキャン数の増加を抑えて印刷のスループットの低下を抑制できる。かつ、閾値によって表される品質以上の印刷品質を確保できる。そのため、上記インクジェットプリンタによれば、印刷品質を確保しつつ、印刷のスループットの低下を抑制できる。
【0011】
また、ここに開示する他のインクジェットプリンタは、記録ヘッドと、ヘッド移動装置と、前記記録ヘッドおよび前記ヘッド移動装置を制御する制御装置と、を備えている。前記記録ヘッドは、それぞれインクを吐出する複数のノズルが第1方向に並んで構成された第1ノズル列と、それぞれインクを吐出する複数のノズルが前記第1方向に並んで構成され、前記第1方向に直交する第2方向に前記第1ノズル列と並んで設けられた第2ノズル列と、を有している。前記ヘッド移動装置は、前記記録ヘッドを前記第2方向に移動させる。前記制御装置は、走査制御部と、設定部と、登録部と、画像処理部と、を備えている。前記走査制御部は、前記ヘッド移動装置を制御して、前記記録ヘッドを前記第2方向にスキャンさせる。前記設定部では、前記第2方向に関する印刷解像度が設定される。前記登録部には、前記第2方向の印刷解像度についての閾値が登録されている。前記画像処理部は、前記記録ヘッドの各スキャンにおける各ノズルのインクの吐出タイミングを印刷データおよび前記設定部で設定された印刷解像度に基づいて決定するように構成され、前記設定された印刷解像度が前記閾値以上である場合には、前記第1ノズル列のノズルからのインクの吐出と前記第2ノズル列のノズルからのインクの吐出とを同一スキャン内に行わせる。
【0012】
第2方向の印刷解像度が大きければ、第2方向に関するインクの着弾間隔は小さくなる。そのため、第2方向の印刷解像度が大きければ、第1ノズル列と第2ノズル列との間における第2方向のインクの着弾位置のずれは小さくなる。上記インクジェットプリンタでは、印刷解像度に閾値を設定し、第2方向の印刷解像度が閾値以上である場合には、第1ノズル列と第2ノズル列との間における第2方向のインクの着弾位置のずれを許容し、第1ノズル列のノズルからのインクの吐出と第2ノズル列のノズルからのインクの吐出とが同一スキャン内に行われる。これにより、最初のインクジェットプリンタと同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】キャリッジの下面の構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】本実施形態に係る画像処理のフローチャートである。
【
図5】ドット位置とノズル列との位置関係を示す模式的な平面図である。
【
図6】ドット位置とインクを吐出するノズルとを示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。以下の説明では、インクジェットプリンタを正面から見たときに、インクジェットプリンタから遠ざかる方を前方、インクジェットプリンタに近づく方を後方とする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表している。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、インクジェットプリンタの設置態様等を限定するものではない。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、一実施形態に係る大判のインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」とする。)10の正面図である。
図1に示すように、プリンタ10は、プラテン15と、搬送装置20と、キャリッジ30と、記録ヘッド40と、ヘッド移動装置50と、制御装置60とを備えている。プリンタ10は、ロール状の記録媒体5を前後方向に移動させるとともに、左右方向に移動するキャリッジ30に搭載された記録ヘッド40からインクを吐出することによって、記録媒体5上に画像を印刷する。以下では、キャリッジ30が移動する左右方向を主走査方向Y、記録媒体5が移動する前後方向を副走査方向X(
図2参照)とも呼ぶ。主走査方向Yと副走査方向Xとは直交している。
【0016】
記録媒体5は、画像が印刷される対象物である。記録媒体5は特に限定されない。記録媒体5は、例えば、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類であってもよいし、樹脂製やガラス製などの透明なシートであってもよい。金属製やゴム製等のシートであってもよい。また、布帛であってもよい。
【0017】
プラテン15は、記録媒体5が載置される支持台である。搬送装置20は、プラテン15に載置された記録媒体5を副走査方向Xに搬送する。
図1に示すように、搬送装置20は、ピンチローラ21と、グリットローラ22と、フィードモータ23(
図3参照)とを備えている。ピンチローラ21はプラテン15の上方に設けられ、記録媒体5を上から押下する。プラテン15には、グリットローラ22が設けられている。グリットローラ22は、ピンチローラ21の下方に配置されている。グリットローラ22は、ピンチローラ21と対向する位置に設けられている。グリットローラ22は、フィードモータ23に連結されている。グリットローラ22は、フィードモータ23の駆動力を受けて回転可能に形成されている。フィードモータ23は、制御装置60と電気的に接続されている。フィードモータ23は、制御装置60によって制御される。ピンチローラ21とグリットローラ22との間に記録媒体5が挟まれた状態でグリットローラ22が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。
【0018】
図2は、キャリッジ30の下面の構成を模式的に示す平面図である。
図2に示すように、キャリッジ30の下面には、記録ヘッド40が設けられている。記録ヘッド40は、複数のノズル41を備えている。各ノズル41は、下方に向かってインクを吐出するように構成されている。複数のノズル41は、複数のノズル列42を形成している。例えば、第1ノズル列42Aは、複数のノズル41Aが副走査方向Xに並んで構成されている。第2ノズル列42Bは、複数のノズル41Bが副走査方向Xに並んで構成され、第1ノズル列42Aと主走査方向Yに並んで設けられている。第3ノズル列42Cは、複数のノズル41Cが副走査方向Xに並んで構成され、第1ノズル列42Aおよび第2ノズル列42Bと主走査方向Yに並んで設けられている。他のノズル列42も同様に、複数のノズル41が副走査方向Xに並んで構成されている。複数のノズル列42は、主走査方向Yに並んで設けられている。
【0019】
本実施形態では、ノズル列42の数量は「24」である。ただし、記録ヘッド40が有するノズル列42の数量は限定されるわけではない。24のノズル列42は、ここでは、隣接する6つのノズル列42によってそれぞれ構成される4つのノズル列群43からなっている。1つのノズル列群43のノズル41は、同じ種類のインク、例えば、CMYKのうちの1種類のインクを吐出する。1つのノズル列群43の中の6つのノズル列42は、比較的近い距離に配置されている。複数のノズル列群43同士は、比較的離れて配置されている。複数のノズル列42同士の間の主走査方向Yに関する距離は、本実施形態では、等間隔ではない。ただし、複数のノズル列42同士の間の主走査方向Yに関する距離は、等間隔であってもよい。
【0020】
本実施形態では、1つのノズル列42における複数のノズル41は、50dpiのピッチで設けられている。従って、ノズル列42のノズルピッチは、50分の1インチである。ただし、1つのノズル列群43に属する6つのノズル列42は、副走査方向Xのノズル41の位置が互いに50dpi相当分の距離だけずれるように設けられている。そのため、1つのノズル列群43としてのノズルピッチは300dpi相当(300分の1インチ)である。そのため、記録ヘッド40は、1つの種類のインクを副走査方向Xに関して300dpiのピッチで吐出することが可能である。ただし、ノズル列42のノズルピッチは、特に限定されるわけではない。
【0021】
なお、本実施形態では、複数のノズル列42の副走査方向Xの位置は揃っているが、揃っていなくてもよい。複数のノズル列42は、いわゆるスタガ配置され、副走査方向Xの位置がずれたノズル列42を含んでいてもよい。また、本実施形態では、記録ヘッド40は、複数のノズル列42が形成された1つのインクヘッドからなっているが、そうでなくてもよい。記録ヘッド40は、1つまたは複数のノズル列42がそれぞれ形成された複数のインクヘッドによって構成されていてもよい。
【0022】
記録ヘッド40は、それぞれ1つのノズル41に対応した複数のアクチュエータを備えている。アクチュエータは、例えば、圧電素子を含んでいる。各アクチュエータは、制御装置60に接続され、制御装置60によって制御されている。制御装置60は、全てのアクチュエータに対して印加される共通の駆動信号を生成している。駆動信号は、所定の形状の波形を有している。制御装置60は、各アクチュエータを駆動させるタイミングでアクチュエータに駆動信号を印加する。圧電素子を含むアクチュエータは駆動信号の印加により変位する。アクチュエータが変位することにより、ノズル41に連通し、インクが貯留される圧力室が膨張・収縮される。これにより、ノズル41からインクが吐出される。
【0023】
ただし、記録ヘッド40に適用されるインクジェット方式は、圧電素子を利用するものに限定されない。記録ヘッド40に適用されるインクジェット方式は、例えば、サーマル方式などの各種のオンデマンド方式であってもよく、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式であってもよい。その他、主走査方向Yに並んだ2つ以上のノズル列42を有することを除いて、記録ヘッド40の構成は限定されない。
【0024】
ヘッド移動装置50は、記録ヘッド40を主走査方向Yに移動させるように構成されている。
図1に示すように、ヘッド移動装置50は、ガイドレール51と、ベルト52と、図示しない左右のプーリと、キャリッジモータ53(
図3参照)とを備えている。ガイドレール51は、左右方向に延びている。ガイドレール51には、キャリッジ30が摺動自在に係合している。ベルト52は、キャリッジ30に固定されている。ベルト52は、無端状のベルトである。ベルト52は、ガイドレール51の右側に設けられたプーリおよび左側に設けられたプーリに巻き掛けられている。一方のプーリにはキャリッジモータ53が取り付けられている。キャリッジモータ53は、制御装置60と電気的に接続されている。キャリッジモータ53は、制御装置60によって制御される。キャリッジモータ53が駆動するとプーリが回転し、ベルト52が走行する。それにより、キャリッジ30がガイドレール51に沿って左右方向に移動する。キャリッジ30に搭載された記録ヘッド40は、キャリッジ30とともに左右方向に移動する。
【0025】
図3は、本実施形態に係るプリンタ10のブロック図である。
図3に示すように、制御装置60は、フィードモータ23、記録ヘッド40、およびキャリッジモータ53に電気的に接続され、それらの動作を制御している。制御装置60の構成は特に限定されない。制御装置60は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置とを備えている。なお、制御装置60は必ずしもプリンタ10の内部に設けられている必要はなく、例えば、プリンタ10の外部に設置され、有線または無線を介してプリンタ10と通信可能に接続されたコンピュータ等であってもよい。
【0026】
図4に示すように、制御装置60は、走査制御部61と、搬送制御部62と、画質設定部63と、画像処理部64と、第1演算部65と、第1登録部66と、第2演算部67と、第2登録部68と、吐出制御部69と、を備えている。制御装置60は上記した以外の処理部を備えていてもよいが、ここでは図示および説明を省略する。
【0027】
走査制御部61は、ヘッド移動装置50を制御して、記録ヘッド40を主走査方向Yにスキャンさせる。1スキャンとは、インクを吐出しながらの記録ヘッド40の1回の移動を意味する。いわゆる単方向印刷では、記録ヘッド40からのインクの吐出は、記録ヘッド40が主走査方向Yの一方(左方または右方)に向かって移動しているときに行われる。単方向印刷では、記録ヘッド40が主走査方向Yの他方に向かって移動しているときには、インクは吐出されない。単方向印刷の場合には、インクを吐出させながら記録ヘッド40を主走査方向Yの一方に向かって1回移動すると、1スキャンとカウントされる。双方向印刷では、記録ヘッド40が主走査方向Yの一方に向かって移動しているとき、および他方に向かって移動しているときにインクが吐出される。双方向印刷の場合には、インクを吐出させながら記録ヘッド40を主走査方向Yの一方に向かって1回移動すると1スキャンとカウントされ、記録ヘッド40を主走査方向Yの他方に向かって戻しながらインクを吐出させると、さらに1スキャンとカウントされる。
【0028】
搬送制御部62は、搬送装置20を制御して、記録媒体5を副走査方向Xに移動させる。記録媒体5は、副走査方向Xの1位置で印刷が完了すると、副走査方向Xの次の位置に移動される。搬送制御部62は、設定された副走査方向Xの印刷解像度で画像が形成されるように、記録媒体5を漸次搬送する。
【0029】
画質設定部63では、画質、少なくとも主走査方向Yに関する印刷解像度が設定される。画質設定部63では、その他に、副走査方向Xに関する印刷解像度などが設定されてもよい。画質は、画像データとともに外部機器から送信された指示に基づいて自動設定されてもよく、プリンタ10の操作パネル等の操作により設定されてもよい。
【0030】
画像処理部64では、画像データをインクドットのデータに変換するハーフトーン処理と、ハーフトーン処理されたデータをスキャン毎のデータに変換するラスタライズ処理とが行われる。画像処理部64は、ハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部64aと、ラスタライズ処理を行うラスタライズ処理部64bとを備えている。ラスタライズ処理部64bは、記録ヘッド40の各スキャンにおける各ノズル41のインクの吐出タイミングを、印刷データおよび設定された印刷解像度に基づいて決定するように構成されている。なお、「各スキャンにおける各ノズル41のインクの吐出タイミング」とは、一部のスキャンにおいて結果的にインクの吐出が行われないことも含むものである。
【0031】
第1演算部65は、画質設定部63で設定された主走査方向Yの印刷解像度に基づき、第1ノズル列42Aの位置を基準とした主走査方向Yに関するインクの着弾位置を演算する。例えば、主走査方向Yの印刷解像度が300dpiに設定された場合には、第1ノズル列42Aの位置を起点として主走査方向Yに300分の1インチごとに、インクの着弾位置が仮想的に想定される。言い換えると、第1演算部65は、画質設定部63で設定された主走査方向Yの印刷解像度に基づいて、主走査方向Yに関するインクの着弾間隔(上記例の場合には、300分の1インチ)を演算する。以下では、第1演算部65によって演算された、第1ノズル列42Aの位置を基準とした主走査方向Yに関するインクの着弾位置を「ドット位置」とも呼ぶこととする。
【0032】
第1登録部66には、第1ノズル列42Aの位置を基準とした他のノズル列42の主走査方向Yの位置が登録されている。例えば、第1登録部66には、第1ノズル列42Aの位置を基準とした第2ノズル列42Bの主走査方向Yの位置として、第1ノズル列42Aから右方に距離D1(
図2参照)だけ離れた位置が登録されている。他のノズル列42についても同様である。なお、「位置の登録」には、例えばμmのような長さの単位による登録と、例えばdpiのような長さに置換可能な単位による登録とが含まれる。
【0033】
第2演算部67は、第1登録部66に登録された各ノズル列42の位置と第1演算部65によって演算されたドット位置とに基づき、主走査方向Yに関して、各ノズル列42に最も近いドット位置と各ノズル列42との間の距離を演算する。例えば第2ノズル列42Bに関する場合、第2演算部67は、主走査方向Yに関して第2ノズル列42Bに最も近いドット位置と第2ノズル列42Bとの間の距離を演算する。他のノズル列42についても同様である。以下、この第2演算部67によって求められる距離を各ノズル列42に関する「ズレ距離」とも呼ぶこととする。なお、「距離の演算」には、例えばμmのような長さの単位で演算することと、例えばdpiのような長さに置換可能な単位で演算することとが含まれる。
【0034】
第2登録部68には、第2演算部67によって演算されるズレ距離についての閾値V1(
図4参照)が登録されている。閾値V1は、ここでは、600dpi相当の距離(600分の1インチ=約42μm)に設定されている。ただし、閾値V1は、後述する理由によって印刷品質が担保される値であればよく、特に限定されるわけではない。例えば、より高度な印刷品質を担保したい場合には、閾値V1は、600dpi相当の距離よりも小さい距離に設定されてもよい。
【0035】
本実施形態では、画像処理部64のラスタライズ処理部64bは、第2演算部67によって演算されたズレ距離と閾値V1とに基づいて、スキャン毎のインクドットのデータを決定するように構成されている。詳しくは、ラスタライズ処理部64bは、ズレ距離が閾値V1以下であるノズル列42のノズル41からのインクの吐出を、第1ノズル列42Aのノズル41Aからのインクの吐出と同一スキャン内に行わせるように設定されている。例えば第2ノズル列42Bに関する場合、ラスタライズ処理部64bは、第2演算部67によって演算されたズレ距離が閾値V1以下である場合には、第1ノズル列42Aのノズル41Aからのインクの吐出と第2ノズル列42Bのノズル41Bからのインクの吐出とを同一スキャン内に行わせる。他のノズル列42についても同様である。
【0036】
吐出制御部69は、ラスタライズ処理部64bによって決定されたスキャン毎のインクドットのデータに基づいて各アクチュエータを制御し、記録ヘッド40にインクを吐出させる。
【0037】
[画像処理プロセス]
以下では、プリンタ10への画像データの送信からラスタライズ処理までの画像処理プロセスについて、フローチャートを参照しながら説明する。
図4は、本実施形態に係る画像処理のフローチャートである。なお、以下では、第2ノズル列42Bに関する場合だけを説明するが、他のノズル列42についてもプロセスは同様である。
図4に示すように、画像処理プロセスのステップS01では、プリンタ10に画像データが送信される。ステップS02では、主走査方向Yおよび副走査方向Xの印刷解像度が設定される。ステップS03では、画像データがハーフトーン処理され、インクドットのデータに変換される。
【0038】
続くステップS04では、ドット位置、すなわち、第1ノズル列42Aの位置を基準とする主走査方向Yに関するインクの想定着弾位置が求められる。
図5は、ドット位置P1とノズル列42との位置関係を示す模式的な平面図である。
図5に示す仮想的な記録媒体上は、主走査方向Yと副走査方向Xとにマトリクス状に仕切られている。マトリクスの1マスの主走査方向Yの長さは、600dpi相当の長さ(以下、単に600dpiと言う、他の長さについても同様)を表している。マトリクスの1マスの副走査方向Xの長さは、600dpiを表している。ドット位置P1は、
図5ではハッチングが施されたマスである。ここでは、主走査方向Yおよび副走査方向Xの印刷解像度は、いずれも300dpiに設定されたものとする。従って、ドット位置P1は、第1ノズル列42Aから、主走査方向Yに300dpiごとに並んでいる。
図5では、ドット位置P1は、第1ノズル列42Aから主走査方向Yに1マス置きに並んでいる。また、ドット位置P1は、
図5では、副走査方向Xに1マス置きに並んでいる。副走査方向Xに関して、ドット位置P1は、同じノズル列群43に属する6つのノズル列42のノズル41のいずれかの位置に対応している。なお、
図5では、第1ノズル列42Aのノズル41Aおよび第2ノズル列42Bのノズル41Bの位置だけを図示し、他のノズル列42についての図示は省略している。
【0039】
図5に示す例では、第2ノズル列42Bのノズル41Bの主走査方向Yに関する位置は、ドット位置P1とずれている。詳しくは、
図5に示すように、第2ノズル列42Bのノズル41Bの主走査方向Yに関する位置は、ドット位置P1とマトリクス1マス分(600dpi)ずれている。ステップS05では、第1登録部66に登録された各ノズル列42の位置と第1演算部65によって演算されたドット位置とに基づいて、このズレ距離G1が演算される。
図5の例の場合は、ズレ距離G1は600dpiである。
【0040】
従来のプリンタでは、上記したように第2ノズル列42Bのノズル41Bの主走査方向Yに関する位置がドット位置P1とずれることが分かっている場合には、第2ノズル列42Bのノズル41Bからのインクの吐出は、第1ノズル列42Aとは別のスキャンで行われていた。または、印刷が禁止されていた。上記状況は、複数のノズル列42間でインクの着弾位置がずれることを意味している。そのため、画質の低下を招くとして、従来のプリンタでは、上記したような制御がされていた。ただし、第2ノズル列42Bのノズル41Bからのインクの吐出を第1ノズル列42Aと別のスキャンで行うと、スキャン数が増加し、印刷のスループットが低下してしまう。
【0041】
なお、第2ノズル列42Bのノズル41Bの主走査方向Yに関する位置がドット位置P1とずれる場合とは、言い換えると、第1ノズル列42Aと第2ノズル列42Bとの間の距離D1(
図2も参照)が、主走査方向Yの印刷解像度に対応するドット位置P1同士の距離(
図5の例では、マトリクスの2マス=300dpi)の倍数になっておらず、除算において剰余が発生する場合である。
【0042】
かかる問題に対して、本願発明者は、複数のノズル列42間でのインクの着弾位置のずれは、求められる画像の品質を考慮して、ある程度許容可能なのではないかと考えた。そして、本願発明者は、複数のノズル列42間でのインクの着弾位置のずれが600dpi以内であれば、印刷品質にほとんど影響がないことを見出した。なお、求められる画像の品質が低ければ、許容可能なインクの着弾位置のずれは、600dpiよりも大きくてもよい。
【0043】
上記した本願発明者の知見に基づき、本実施形態のステップS06では、ステップS05において演算されたズレ距離G1と、予め定められた閾値V1(ここでは600dpi)とが比較される。ズレ距離G1が閾値V1以下である場合(ステップS06の結果がYESである場合)、画像処理部64は、ステップS07において、第1ノズル列42Aのノズル41Aからのインクの吐出と第2ノズル列42Bのノズル41Bからのインクの吐出とが同一スキャン内に行われるようにラスタライズ処理を行う。インクを吐出するための駆動信号は、記録ヘッド40の全てのノズル41で共通であるため、この場合には、第1ノズル列42Aのノズル41Aからのインクの吐出と第2ノズル列42Bのノズル41Bからのインクの吐出とは、同時に行われる。
【0044】
ズレ距離G1が閾値V1よりも大きい場合(ステップS06の結果がNOである場合)、画像処理部64は、ステップS08において、第1ノズル列42Aのノズル41Aからのインクの吐出と第2ノズル列42Bのノズル41Bからのインクの吐出とが別のスキャンで行われるようにラスタライズ処理を行う。
【0045】
図5に示す例の場合には、画像処理部64は、第1ノズル列42Aのノズル41Aからのインクの吐出と第2ノズル列42Bのノズル41Bからのインクの吐出とが同一スキャン内に行われるようにラスタライズ処理を行う。
図6は、ドット位置P1とインクを吐出するノズル41とを示す模式的な平面図である。
図6では、同一スキャン内でインクを吐出するノズル41を二重丸で示している。
図6に示すように、本実施形態では、第1ノズル列42Aのノズル41Aと同時に、第2ノズル列42Bのノズル41Bからもインクが吐出される。ただし、
図6は模式的な図示であり、各スキャンにおいて二重丸で示すノズル41Aおよび41Bのうちのどのノズルからインクが吐出されるかは、印刷画像による。
【0046】
本実施形態に係るプリンタ10によれば、第1ノズル列42Aのノズル41Aから吐出されるインクの着弾位置と第2ノズル列42Bのノズル41Bから吐出されるインクの着弾位置とがずれることにより、形成される画像はわずかに乱れるものの、閾値V1に表現されている印刷品質は確保されている。かつ、本実施形態に係るプリンタ10によれば、ズレ距離G1が閾値V1以下のノズル列42については第1ノズル列42Aと同一スキャン内でインクが吐出される。そのため、上記したような場合には、画像の印刷に係るスキャン数を低減することができる。その結果、印刷のスループットを向上させることができる。
【0047】
本実施形態では、閾値V1は、600dpiに対応する距離(600分の1インチ)に設定されている。本願発明者の知見によるように、複数のノズル列42間でのインクの着弾位置のずれが600dpi以内であれば、印刷品質にはほとんど影響がない。従って、本実施形態に係るプリンタ10によれば、印刷品質を低下させることなく印刷を行うことができる。なお、閾値V1は、600dpiに対応する距離(600分の1インチ)よりも小さい距離に設定されていてもよい。
【0048】
上記で例示した画像処理プロセスから理解されるように、第1演算部65によって演算されるインクの着弾間隔(ドット位置P1同士の間の主走査方向Yに関する距離、
図5では300dpi)が閾値V1(
図5では600dpi)の2倍以内であれば、ズレ距離G1は必然的に閾値V1以内となる。これは、ズレの方向が左方であるか右方であるかを問わないためである。上記は、第1ノズル列42Aと他のノズル列42との間の距離によらない。そこで、画像処理部64は、第1演算部65によって演算されたインクの着弾間隔が閾値V1の2倍以下である場合には、他の判定処理を行うことなく、第1ノズル列42Aのノズル41Aからのインクの吐出と他の全てのノズル列42のノズル41からのインクの吐出とを同一スキャン内に行わせてもよい。かかる処理を行うことにより、画像処理プロセスにおける演算量が少なくなり、制御装置60の負荷を軽減することができる。
【0049】
[第2実施形態]
第2実施形態では、画像処理部64は、画質設定部63で設定された印刷解像度と、印刷解像度について予め設定された閾値とを直接比較する。本実施形態に係るプリンタ10は、主走査方向Yの印刷解像度についての閾値が登録された登録部を備えている。本実施形態に係るプリンタ10では、画質設定部63で設定された印刷解像度が登録部に登録された閾値以上である場合には、第1ノズル列42Aのノズル41Aからのインクの吐出と他の全てのノズル列42のノズル41からのインクの吐出とを同一スキャン内に行わせる。主走査方向Yの印刷解像度が大きければ、主走査方向Yに関するインクの着弾間隔は小さくなる。そのため、主走査方向Yの印刷解像度が大きければ、第1ノズル列42Aと他の全てのノズル列42との間における主走査方向Yのインクの着弾位置のずれは小さくなる。そこで、第2実施形態に係るプリンタ10では、印刷解像度に閾値を設定し、主走査方向Yの印刷解像度が閾値以上である場合には、第1ノズル列42Aと他のノズル列42との間における主走査方向のインクの着弾位置のずれを許容する。そして、第1ノズル列42Aのノズル41Aからのインクの吐出と、他のノズル列42のノズル41からのインクの吐出とが同一スキャン内に行われる。
【0050】
かかる構成によれば、主走査方向Yの印刷解像度が閾値よりも大きければスキャン数が増えないため、印刷のスループットの低下を抑制できる。また、印刷品質も、閾値によって表される品質を確保できる。さらに、第1実施形態よりも画像処理プロセスにおける演算量が少なくなり、制御装置60の負荷を軽減することができる。ただし、主走査方向Yの印刷解像度が大きくない場合にも、第1実施形態で言うところの「ズレ距離」が小さくなる場合があり得る。本実施形態に係るプリンタ10は、そのような場合には、スキャン数を削減するような処理を行わない。第2実施形態は、第1実施形態を簡易化した形態である。
【0051】
なお、本実施形態において、第1実施形態におけるズレ距離の閾値(600dpi相当)に対応する印刷解像度の閾値は、300dpiである。本実施形態において印刷解像度の閾値を300dpiに設定すれば、本願発明者の知見により、問題のない画像が得られる。従って、本実施形態では、閾値は、300dpi以上に設定されることが好ましい。ただし、閾値をどのような値に設定するかは所望の印刷品質に係るものであり、特に限定されない。
【0052】
[他の実施形態]
以上、好適ないくつかの実施形態について説明した。しかし、上記した実施形態は例示に過ぎず、ここに開示する技術は他の種々の形態で実施することができる。例えば、インクジェットプリンタの構成については、特に言及がない限りにおいて限定されない。例えば、ここに開示する技術は、フラットベッドタイプのインクジェットプリンタなどに対しても利用できる。また、例えば、カッティングヘッド付きインクジェットプリンタなどのように、その一部にインクジェットプリンタが組み込まれた装置にも利用できる。
【符号の説明】
【0053】
10 インクジェットプリンタ
40 記録ヘッド
41 ノズル
42A 第1ノズル列
42B 第2ノズル列
50 ヘッド移動装置
60 制御装置
61 走査制御部
63 画質設定部(設定部)
64 画像処理部
65 第1演算部
66 第1登録部
67 第2演算部
68 第2登録部
G1 ズレ距離
P1 ドット位置
V1 閾値