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  • 特許-チャックユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】チャックユニット
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20240703BHJP
   B25B 23/10 20060101ALI20240703BHJP
   B25B 23/04 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B23P19/06 C
B25B23/10 C
B25B23/04 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020197758
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022085977
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-107158(JP,A)
【文献】実開昭61-071326(JP,U)
【文献】実開平03-087578(JP,U)
【文献】特開2000-198031(JP,A)
【文献】特開2018-047539(JP,A)
【文献】米国特許第06341542(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/06
B25B 23/10
B25B 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭付き棒状部品と嵌合するビットあるいは前記頭付き棒状部品を吸着保持する吸着パイ
プを挿通自在なチャック本体と、このチャック本体に揺動自在に配される一対のチャック
爪と、このチャック爪の揺動面に交差しかつ斜め後方に向かって延びるホース取付金具と
、このホース取付金具と前記チャック爪との間に配され前記チャック爪の揺動面から離反
する方向へ揺動自在な供給パイプと、この供給パイプに連動して揺動可能な揺動板とを備
え、
前記チャック爪には、前記ビットあるいは吸着パイプの軸線上に前記頭付き棒状部品を
保持可能な保持穴および保持穴の前方に連続するガイド穴が形成され、
前記揺動板には、前記保持穴の前方を常時閉鎖するとともに当該揺動板の揺動により保
持穴の前方から離脱可能な閉鎖部が設けられ
前記閉鎖部は、前記保持穴およびガイド穴の境界部分との間隔が頭付き棒状部品の軸部
の軸方向寸法より長くなるような位置に配置されているとともに、揺動板の揺動により保
持穴の前方から離脱可能に構成されていることを特徴とするチャックユニット。
【請求項2】
前記閉鎖部は、前記チャック本体を通過した前記ビットあるいは吸着パイプが前記チャ
ック爪から突出するより前に前記保持穴の前方から離脱するよう寸法設定されていること
を特徴とする請求項1に記載のチャックユニット。
【請求項3】
前記閉鎖部は、前記チャック爪との間隔が頭付き棒状部品の軸方向寸法より短くなるよ
うに配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチャックユニット
【請求項4】
前記閉鎖部は、揺動板から着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1ないし
請求項3の何れかに記載のチャックユニット。
【請求項5】
前記揺動板には、閉じた前記チャック爪に嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴
とする請求項1ないし請求項の何れかに記載のチャックユニット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された頭付き棒状部品を保持するチャックユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ねじ締め機等において圧送されてきたねじ等の頭付き棒状部品を一旦保持するチャックユニットとして、先行特許1に開示されたものが知られている。このチャックユニットは、ねじと嵌合可能なビットあるいはこのビットを内包する吸着パイプが貫通するチャック本体と、このチャック本体に揺動自在に取り付けられ、その対抗面にねじを保持する保持穴が形成された一対のチャック爪と、このチャック爪の保持穴にねじを供給する吸着パイプと、この供給パイプに連動する揺動板とから構成されている。このチャックユニットの揺動板には、閉じた状態のチャック爪と嵌合する嵌合部が設けられており、チャック爪の揺動を規制可能に構成されていた。これにより、圧送されてきたねじがチャック爪を押し開けて外部へ飛び出すことを防止可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5873305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のチャックユニットは、揺動板が円滑に揺動するために嵌合部とチャック爪との間に若干の隙間が設けられており、チャック爪は、当該隙間により揺動板に規制されている状態であっても僅かに揺動可能であった。そのため、軸部径と頭部径との差が小さいねじを圧送した場合、前記揺動によりねじがチャック爪から飛び出す可能性があった。これにより、ねじの圧送速度を速くすることができず、サイクルタイムが長くなる等の問題が生じていた。また、前記揺動を小さくするために嵌合部とチャック爪との隙間を小さくすると、嵌合部がチャック爪に引っかかり、揺動板が円滑に揺動できないという課題があった。さらに、別途チャック爪の開閉を制御する開閉駆動源等を設けると、当該チャックユニットを実装するねじ締め機等の制御が複雑化され、装置の高額化を引き起こす等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、部品供給時、頭付き棒状部品が外部に飛び出さないチャックユニットの提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、頭付き棒状部品と嵌合するビットあるいは前記頭付き棒状部品を吸着保持する吸着パイプを挿通自在なチャック本体と、このチャック本体に揺動自在に配される一対のチャック爪と、このチャック爪の揺動面に交差しかつ斜め後方に向かって延びるホース取付金具と、このホース取付金具と前記チャック爪との間に配され前記チャック爪の揺動面から離反する方向へ揺動自在な供給パイプと、この供給パイプに連動して揺動可能な揺動板とを備え、前記チャック爪には、前記ビットあるいは吸着パイプの軸線上に前記頭付き棒状部品を保持可能な保持穴が形成されており、前記揺動板には、前記保持穴の前方を常時閉鎖するとともに当該揺動板の揺動により保持穴の前方から離脱可能な閉鎖部が設けられていることを特徴とする。これにより、頭付き棒状部品は、保持穴の前方に位置する閉鎖部に衝突して停止する。なお、前記閉鎖部は、前記チャック本体を通過した前記ビットあるいは吸着パイプが前記チャック爪から突出するより前に前記保持穴の前方から離脱するよう寸法設定されていることが好ましい。また、前記閉鎖部は、前記チャック爪との間隔が頭付き棒状部品の軸方向寸法より短くなるように配置されていることが好ましい。これにより、閉鎖部と衝突した頭付き棒状部品の頭部がチャック爪に挟持されることとなる。さらに、前記チャック爪の保持穴は、その前方にガイド穴が連続しており、前記閉鎖部は、前記保持穴およびガイド穴の境界部分との間隔が、頭付き棒状部品の軸部の軸方向寸法より長くなるよう位置に配置されていることが好ましい。これにより、チャック爪を押し開けて前進する頭付き棒状部品のみが閉鎖部に衝突することとなる。また、前記閉鎖部は、揺動板から着脱自在に構成されていることが好ましい。さらに前記揺動板には、閉じた前記チャック爪に嵌合する嵌合部が設けられていることが好ましい。これにより、頭付き棒状部品がチャック爪を大きく開くことが規制される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、圧送されてきた頭付き棒状部品は、保持穴の前方に位置する閉鎖部に衝突して停止するため、チャックユニットの外部に飛び出すことが防止される等の利点がある。また、チャック爪を開閉させる駆動源等を必要としないため、制御が容易等の利点がある。また、吸着パイプおよびビットがチャック爪と接触する前に保持穴の先端から離脱するため、閉鎖部が吸着パイプあるいはビットの移動を阻害することがない等の利点がある。さらに、閉鎖部と衝突した頭付き棒状部品の頭部がチャック爪に挟持されるため、頭付き棒状部品が脱落することが防止される。しかも、チャック爪を押し開けて前進する頭付き棒状部品のみが閉鎖部に衝突するため、飛び出しを防止しつつ閉鎖部を長期間使用することが可能となる。また、閉鎖部が揺動板から着脱自在に構成されているため、閉鎖部が変形、破損した際、容易に交換可能等の利点がある。さらに、揺動板に嵌合部が設けられており、チャック爪が大きく開くことが規制されているため、頭付き棒状部品は、チャック爪の保持穴に沿って移動し、確実に閉鎖部に衝突する等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るチャックユニットの構造を示す斜視図である。
図2】本発明に係るチャックユニットのねじ締め時の状態を示す斜視図である。
図3】本発明に係るチャックユニットの構造を示す一部断面側面図である。
図4】本発明に係るチャックユニットのねじが閉鎖部に当接する状態を示す一部断面側面図である。
図5】本発明に係るチャックユニットの揺動板がチャック爪から外れた状態を示す一部断面側面図である。
図6】本発明に係るチャックユニットの他の実施形態を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図5において1は、供給装置(図示せず)から圧送される頭付き棒状部品の一例であるねじSを一旦保持するチャックユニットである。このチャックユニット1は、図1に示すようにねじSを吸着保持可能な吸着パイプ6の移動経路上に設置されるチャック本体2と、このチャック本体2に揺動自在に支持される一対のチャック爪3,3と、このチャック爪3,3にねじSを供給する供給パイプ4と、この供給パイプ4と連動する揺動板5とから構成されている。
【0009】
前記吸着パイプ6は、前後方向に延びる略円筒状の中空部材であり、その前側開口部の穴径は、ねじSの頭部径より若干大きく構成されている。この吸着パイプ6の後端部には、エア吸引可能な吸引装置(図示せず)が接続されており、この吸引装置が駆動することで吸着パイプ6の前側開口部にねじSを吸着保持可能に構成されている。また、この吸着パイプ6は、その内部に前記ねじSの頭部に形成される駆動穴(図示せず)と嵌合可能なビット7が挿通している。このビット7は、回転駆動源(図示せず)に連結されており、その回転駆動を受けて、吸着パイプ6内で回転可能に構成されている。これら吸着パイプ6およびビット7は、往復駆動源(図示せず)に連結されており、この往復駆動源の駆動を受けて、軸方向に往復移動可能に構成されている。さらに、前記吸着パイプ6は、クッションばね(図示せず)により常時前方に付勢されており、このクッションばねが撓むことで吸着パイプ6は、ビット7に対して軸方向に相対移動し、その前側開口部からビット7を突出させることが可能に構成される。
【0010】
前記チャック本体2には、前記吸着パイプ6の最大径より大きい穴径の案内穴21が貫通形成されており、この案内穴21は、吸着パイプ6が軸方向に挿通自在に構成されている。このチャック本体2の両側面には、案内穴21を挟むように一対の前記チャック爪3,3が揺動自在に装着されており、このチャック爪3,3は、チャック本体2との間に挟設された爪ばね(図示せず)により、常時前側が閉じるよう付勢されている。このチャック爪3,3の対向面には、前記案内穴21の延長線上に保持穴31が分割形成されている。この保持穴31は、前記ねじSの頭部径より大きい穴径に形成されており、その前方には、ねじSの首部径より大きくかつ頭部径より小さい穴径のガイド穴32が連続している。これにより、チャック爪3,3は、図3に示すように保持穴31およびガイド穴32の境界部分に頭部座面を当接させてねじSを保持する。
【0011】
また、前記チャック本体2には、前記案内穴21に対して傾斜し、それぞれの延長線が交差する傾斜穴22が形成されており、この傾斜穴22には、前記供給装置から伸びる供給ホース(図示せず)が接続されるホース取付金具23が設置されている。このホース取付金具23は、ねじSが通過可能に構成された円筒状部材であり、このホース取付金具23と前記チャック爪3,3との間には、前記供給パイプ4が連結されている。この供給パイプ4もねじSが通過可能に構成された円筒状部材であり、チャック本体2の両側面それぞれに配された止めねじ24,24を支軸として前記チャック爪3,3の揺動面から離反する方向へ揺動可能に装着されている。この供給パイプ4は、常時ホース取付金具23に連通し、なおかつその先端部がチャック爪3,3の保持穴31の後端部に連続するようねじりコイルばね25により付勢されており、このねじりコイルばね25は、その端部が前記止めねじ24,24に巻き付けられている。
【0012】
前記揺動板5は、前記供給パイプ4と同様、前記止めねじ24,24を支軸として揺動可能に構成されており、前記ねじりコイルばね25により、常時チャック爪3,3側に付勢されている。この揺動板5には、供給パイプ4が前記案内穴21の延長線上に位置する時、前記チャック爪3,3の保持穴31の延長線上に位置し、保持穴31の前方を閉鎖可能な閉鎖部51が設けられている。この閉鎖部51は、チャック爪3,3の先端までの間隔がねじSの軸方向寸法より短くなり、なおかつ前記保持穴31およびガイド穴32の境界部分までの間隔がねじSの軸部の軸方向寸法より長くなる範囲に配置されている。これにより、ねじSが閉鎖部51と当接した際、ねじSは、その頭部がチャック爪に挟持されるとともに、ねじSの頭部座面と前記保持穴31およびガイド穴32の境界部分とが当接可能かつ当該当接時、閉鎖部51とねじSの軸部先端との間に若干の隙間が設けられる。また、閉鎖部51は、前記吸着パイプ6がチャック爪3,3から突出する前に保持穴31の延長線上から離脱し、保持穴31の前方を開放するように寸法設定されている。さらに、前記揺動板5には、二又の嵌合部52,52が形成されている。この嵌合部52,52は、前記供給パイプ4が前記案内穴21の延長線上に位置する時、チャック爪3,3と嵌合し、チャック爪3,3が開くことを強制的に規制可能に構成されている。この嵌合部52,52は、前記チャック爪3,3が前記吸着パイプ6に押し開けられる前に当該チャック爪3,3から外れるように寸法設定されている。なお、嵌合部52は、揺動板5が円滑に揺動できるようチャック爪3,3との間に若干の隙間が設けられている。
【0013】
次に、上記のように構成されたチャックユニット1の作用を説明する。
ねじ締め機(図示せず)等から駆動信号が入力されると前記供給装置は、ねじSをチャックユニット1に向けて圧送する。この圧送されたねじSは、前記供給ホースおよび供給パイプ4を通じて前記チャック爪3,3の保持穴31まで供給される。この時、チャック爪3,3が嵌合部52,52に規制されており、ねじSを圧送するための圧送エア、供給パイプ4とチャック爪3との接続箇所等でねじSが方向変換する際の衝撃、および圧送されてきたねじSの頭部座面が前記保持穴31およびガイド穴32の境界部分に接触する衝撃等によってチャック爪3,3が大きく押し開けられることが防止されている。このようにチャック爪3,3の揺動が防止されているため、ねじSは、図3に示すようにその頭部が前記保持穴31およびガイド穴32の境界部分に当接して停止する。結果、ねじSは、頭部が保持穴31にガイドされ、軸部がガイド穴32にガイドされる正しい姿勢でチャック爪3,3の内部に保持される。
【0014】
また、チャック爪3,3は、嵌合部52との間に隙間が設けられており、揺動可能であるため、当該揺動により、保持穴31およびガイド穴32が拡開可能となっている。このため、本実施形態のねじSのように頭部径と軸部径との差が小さい場合、その圧送時の姿勢や速度等条件によっては、ねじSは、チャック爪3,3を押し開ける途中で、前記頭部座面が境界部分から外れて前方に飛び出そうとすることがあった。しかしながら、図4に示すようにチャック爪3,3の前方は、閉鎖部51により閉鎖されているため、当該ねじSは、閉鎖部51に衝突して停止する。このように、境界部分から外れ、飛び出そうとするねじSを停止させる閉鎖部51を備え、ねじSの飛び出しが防止されるため、ねじSの圧送速度を速くでき、サイクルタイムを向上させることが可能となる。また、閉鎖部51は、チャック爪3,3の先端までの間隔がねじSの軸方向寸法より短くなり、これに衝突したねじSの頭部がチャック爪に挟持される位置に配置されている。これにより、ねじSの脱落が防止される。
【0015】
上述のように保持穴31にねじSが供給された後、前記往復駆動源および前記吸引装置が作動して前記ビット7および吸着パイプ6をねじSに向かって前進させるとともに、吸着パイプ6の先端からエア吸引を開始する。これにより、前進する吸着パイプ6に押されて前記供給パイプ4がチャック爪3,3の揺動面から離反する方向に揺動する。この時、図5に示すように前記揺動板5も供給パイプ4に連動してチャック爪3,3の揺動面から離反する方向に揺動する。これにより、前記閉鎖部51が保持穴31の延長線上から離脱し、当該保持穴31を開放するとともに前記嵌合部52,52がチャック爪3,3から外れ、チャック爪3,3が自在に揺動可能となる。その後、前記吸着パイプ6が前記保持穴31内に侵入してその前側開口部内にねじSを吸着保持する。この時、前述のようにねじSが保持穴31内に正しい姿勢で保持されるため、吸着パイプ6の先端に確実にねじSを吸着保持することが可能となる。
【0016】
上述のようにねじSを吸着保持した吸着パイプ6は、前記往復駆動源の駆動を受けてさらに前進する。これにより、当該吸着パイプ6が前記チャック爪3,3に接触し、徐々にチャック爪3,3を拡開させる。なお、この時既に嵌合部52,52はチャック爪3,3から外れており、チャック爪3,3は、円滑に揺動可能であるため、チャック爪3,3を押し開ける過程でのクッションばねの撓みが最小限に抑えられる。結果、吸着パイプ6の前側開口部からビット7が突出し、ねじSが脱落すること等が防止される。また、前記閉鎖部51は、図2および図5に示すように前記吸着パイプ6がチャックユニット1から突出する前にその移動経路上から離脱しているため、閉鎖部51が吸着パイプ6に干渉することがない。これにより、閉鎖部51と吸着パイプ6とが接触し、吸着パイプ6内に保持されるねじSが脱落することや、ねじSの姿勢が崩れること等が防止される。これにより、ビット7との嵌合不良や被締結部材(図示せず)に形成される下穴(図示せず)から位置ずれすることが防止され、ねじ締め精度が向上する。その後、チャック爪3,3から突出した吸着パイプ6が被締結部材(図示せず)の表面に当接すると、前記クッションばねが撓み、ビット7のみが前進する。この時、ビット7は、前記回転駆動源の駆動を受けて回転しており、吸着パイプ6内でビット7がねじSと嵌合するため、ねじSを被締結部材に締結可能となる。
【0017】
また、閉鎖部51は、前述のようにねじSの頭部座面と前記境界部分とが当接時、閉鎖部51とねじSの軸部先端との間に若干の隙間を有し、境界部分で停止しなかったねじSのみが衝突する位置に配置されている。このため、ねじSが外部に飛び出すことを防止しつつ、全てのねじが閉鎖部51に衝突する構成に比べ、閉鎖部51の変形、破損を防ぎ、長期間使用可能となる。さらに上述のねじSの圧送時、チャック爪3,3と被締結部材との間には、閉鎖部51が設けられている。これにより、ねじSを圧送するための圧送エアが被締結部材に直撃することが防止され、当該圧送エア内に含まれる塵や水分等が被締結部材に当たることが防止される。しかも、閉鎖部51および嵌合部52,52の両方が揺動板5に設けられているため、前記ねじりコイルばね25および前記吸着パイプ6等を往復駆動させる往復駆動源以外に別途これらを個別駆動させる駆動源を備える必要がない。このため、本件チャックユニット1を実装するねじ締め機等の制御部の単純化が望めるという利点がある。
【0018】
なお、本発明に係るチャックユニット1は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、図6に示すように閉鎖部51が揺動板5にねじ止め等により着脱自在に固定されている構成であってもよい。これにより、ねじSの衝突により、変形または破損しやすい閉鎖部51を容易に交換することが可能となる。また、ねじSが変更させた場合に閉鎖部51の位置を変更するあるいは、ねじSに合わせて交換することが可能となる。また、閉鎖部51のチャック爪3,3側の面には、ゴム等の弾性部材が貼り付けられていても良い。これにより、ねじSの衝突時の衝撃を和らげることが可能となり、長期間の使用においても閉鎖部51の変形、破損が防止される。さらに、前記閉鎖部51は、L字形状に限定されずチャックを覆う略箱形状等、他の形状であっても良い。しかも、本発明は、チャック爪3の保持穴31およびガイド穴32の前方を閉鎖部51により閉鎖する構成であれば、前記チャック本体2にビット6のみが挿通している構成や、チャック本体2に吸着パイプ7のみが挿通している構成であっても何ら問題無い。
【符号の説明】
【0019】
1 … チャックユニット
2 … チャック本体
3 … チャック爪
31 … 保持穴
32 … ガイド穴
4 … 供給パイプ
5 … 揺動板
51 … 閉鎖部
52 … 嵌合部
6 … 吸着パイプ
7 … ビット
S … 頭付き棒状部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6