(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240703BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20240703BHJP
F01P 5/06 20060101ALI20240703BHJP
F01P 11/10 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
E02F9/00 Q
B60K11/04 E
F01P5/06 505
F01P11/10 C
(21)【出願番号】P 2021042786
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 達也
(72)【発明者】
【氏名】野口 修平
(72)【発明者】
【氏名】中林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中西 健太
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-320962(JP,A)
【文献】特開2020-159260(JP,A)
【文献】特開2017-155659(JP,A)
【文献】特開2021-025376(JP,A)
【文献】特開2019-171968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B60K 11/00-15/10
F01P 5/06
F01P 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、前記車体の前側に設けられた作業装置とからなり、
前記車体は、
前記作業装置が前側に設けられた車体フレームと、
前記車体フレームに設けられた熱交換器と、
前記熱交換器に冷却風を供給する冷却ファンと、
油圧ポンプを駆動するガスエンジンに供給されるガス燃料を貯留するガス容器と、を備えてなる建設機械において、
前記ガス容器は、前記冷却ファンによる冷却風の流れ方向に対して前記熱交換器よりも上流側に配置され、
前記車体フレームには、前記車体フレーム上に前記ガス容器が収容される容器収容空間を前記冷却風の流れ方向に対して前記熱交換器の上流側に画成する仕切り部材が設けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記車体フレームには、前記容器収容空間を覆うと共に前記熱交換器に供給される冷却風が流入する通風口が設けられたカバーが設けられ、
前記仕切り部材には、前記通風口を通じて前記容器収容空間に流入した冷却風を前記ガス容器に導く導風部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記車体フレームには、作動油を貯留する作動油タンクが設けられ、
前記作動油タンクは、前記仕切り部材により仕切られ、前記容器収容空間とは別の空間内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項4】
前記車体フレームには、前記容器収容空間内に位置して前記ガス容器が取付けられるガス容器取付部が設けられ、
前記ガス容器取付部には、前記ガス容器を前記ガス容器取付部に対して固定する容器固定位置と前記ガス容器取付部から取外すための容器取外し位置との間で移動可能に支持するガス容器支持装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項5】
前記車体フレームには、前記容器収容空間を覆うと共に前記熱交換器に供給される冷却風が流入する通風口が設けられたカバーが設けられ、
前記車体フレームの後側にはカウンタウエイトが設けられ、
前記カバーは、前記カウンタウエイトに隣接し前記容器収容空間を閉塞する閉位置と、前記カウンタウエイトから離間し前記容器収容空間を開放する開位置との間で移動する構成とし、
前記ガス容器支持装置は、前記カバーが開位置に移動した状態で前記カウンタウエイトと前記カバーとの間を通じて前記ガス容器を前記容器収容空間から外部に引き出すことを特徴とする請求項4に記載の建設機械。
【請求項6】
前記ガス容器支持装置は、前記ガス容器取付部に対して水平方向に移動するスライド機構と、前記スライド機構に取付けられ前記ガス容器を保持する容器ホルダとを有し、
前記容器ホルダは、前記ガス容器が嵌合する凹陥部を有し前記ガス容器を下側から支持する支持台と、前記ガス容器を前記支持台の前記凹陥部に嵌合させた状態で前記ガス容器が前記スライド機構の移動方向に変位するのを規制する第1ストッパと、前記ガス容器を前記支持台の前記凹陥部に嵌合させた状態で前記ガス容器が前記スライド機構の移動方向と直交する方向に変位するのを規制する第2ストッパとを含んで構成されていることを特徴とする請求項4に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原動機としてガスエンジンが搭載された油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前側に設けられた作業装置とを備えて構成されている。上部旋回体は、ベースとなる旋回フレームを有し、旋回フレームには、ディーゼルエンジン等の原動機と、原動機によって駆動される油圧ポンプと、作動油を貯える作動油タンクと、これら原動機、油圧ポンプ、作動油タンク等を覆う建屋カバーとが搭載されている。
【0003】
近年では、地球温暖化、大気汚染等の問題に対処するために排気ガス規制が強化されている。このため、ディーゼルエンジンの高出力化、高効率化を実現するためのコモンレールと呼ばれる燃料噴射装置や、ディーゼルエンジンからの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置が新たに採用され、排気ガス規制に対応するためのコストが上昇している。そこで、ディーゼルエンジンに代えて、排気ガス中に含まれる有害物質が少ないガス燃料、例えば液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)等を燃料とするガスエンジンを搭載した油圧ショベルがある。
【0004】
ガスエンジンが搭載された油圧ショベルは、ガス燃料を貯えるためのガス容器を備えている。ガス容器は、強度が高い金属製の容器からなり、ガス容器の内部には液状となった液化石油ガスが充填されている。ガス容器の供給部は、燃料供給管路を介してガスエンジンに接続され、ガス燃料は、ガスエンジンの負荷に関わらず、供給部から一定の圧力でガスエンジンに供給される。
【0005】
ここで、ガス容器は、通常、旋回フレーム上に搭載されるが、旋回フレーム上には、ガスエンジン、油圧ポンプ、作動油タンク等の他の搭載機器が搭載されている。このため、ガス容器は、他の搭載機器との干渉を避けた状態で旋回フレーム上にレイアウトする必要があり、このレイアウトの一例として、ガス容器をキャブに隣接して旋回フレーム上に配置し、ガス容器の上側に作動油タンクを配置した油圧ショベルが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガス容器は、通常、供給部とは別の排出部を有し、供給部の温度が40℃を超えると、排出部を通じてガス燃料を外部に排出する。これにより、ガス容器の内圧を下げると共に、液状のガス燃料が気体となって排出されるときの気化熱によってガス容器の温度を下げることができる構成となっている。
【0008】
これに対し、特許文献1のように、ガス容器の上側に作動油タンクを配置した場合、作動油タンクは、油圧アクチュエータから還流する高温の作動油によって熱を発生するため、作動油タンクからの輻射熱がガス容器に伝わる。これにより、ガス容器の排出部からガス燃料が排出されたとしても、気化熱による温度低下よりも作動油タンクからの輻射熱による温度上昇によってガス容器が加温され、ガス容器の内圧が上昇してしまうという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、ガス容器を効率良く冷却することができるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、自走可能な車体と、前記車体の前側に設けられた作業装置とからなり、前記車体は、前記作業装置が前側に設けられた車体フレームと、前記車体フレームに設けられた熱交換器と、前記熱交換器に冷却風を供給する冷却ファンと、油圧ポンプを駆動するガスエンジンに供給されるガス燃料を貯留するガス容器と、を備えてなる建設機械において、前記ガス容器は、前記冷却ファンによる冷却風の流れ方向に対して前記熱交換器よりも上流側に配置され、前記車体フレームには、前記車体フレーム上に前記ガス容器が収容される容器収容空間を前記冷却風の流れ方向に対して前記熱交換器の上流側に画成する仕切り部材が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガス容器に対し、熱交換器を通過する前の低温の冷却風を供給することができる。しかも、容器収容空間内に収容されたガス容器は、仕切り部材によって周囲の搭載機器から隔絶されているので、周囲の搭載機器からの輻射熱がガス容器に伝わるのを抑えることができ、冷却風によって効率良くガス容器を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態による油圧ショベルを示す右側面図である。
【
図2】旋回フレーム上にガス容器支持装置を介してガス容器を搭載した状態を示す斜視図である。
【
図3】旋回フレーム、ガスエンジン、熱交換器、ガス容器、仕切り部材等を、ガス容器が容器固定位置にある状態で示す平面図である。
【
図4】旋回フレーム、カウンタウエイト、熱交換器、ガス容器、仕切り部材等を、ガス容器が容器固定位置にある状態で示す斜視図である。
【
図5】ガス容器を後側面カバーによって覆った状態を示す斜視図である。
【
図6】旋回フレーム、ガスエンジン、熱交換器、ガス容器、仕切り部材等を、ガス容器が容器取外し位置に移動した状態で示す
図3と同様位置の平面図である。
【
図7】旋回フレーム、カウンタウエイト、熱交換器、ガス容器、仕切り部材等を、ガス容器が容器取外し位置に移動した状態で示す
図4と同様位置の斜視図である。
【
図8】後側面カバーを開いてガス容器を容器取外し位置に移動させた状態を示す
図5と同等位置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る建設機械の実施形態について、小型の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実施の形態では、油圧ショベルの走行方向を前後方向とし、油圧ショベルの走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。
【0014】
図1において、建設機械の代表例である油圧ショベル1は、前後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備えている。下部走行体2と上部旋回体3とは、油圧ショベル1の車体を構成している。上部旋回体3の前側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4を用いて掘削作業等が行われる。
【0015】
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回装置5を介して旋回可能に搭載されている。上部旋回体3は、後述の旋回フレーム6、カウンタウエイト7、ガスエンジン9、冷却ファン11、熱交換器12、作動油タンク13、建屋カバー14、仕切り部材15、ガス容器17、ガス容器支持装置18等を含んで構成されている。ここで、上部旋回体3の左右方向の幅寸法は、下部走行体2の車幅と同等な寸法に設定されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体3が下部走行体2上で旋回したときに、カウンタウエイト7の外周面7Aが、下部走行体2の車幅の120%以内に収まる後方超小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
【0016】
作業装置4は、旋回フレーム6の前端に左右方向に揺動(スイング)可能に取付けられたスイングポスト4Aと、スイングポスト4Aに俯仰動可能に取付けられたブーム4Bと、ブーム4Bの先端に回動可能に取付けられたアーム4Cと、アーム4Cの先端に回動可能に取付けられたバケット4Dと、ブームシリンダ4E、アームシリンダ4F、バケットシリンダ4Gを備えて構成されている。また、旋回フレーム6とスイングポスト4Aとの間には、スイングポスト4Aを左右方向に揺動させるスイングシリンダ4Hが設けられている。
【0017】
車体フレームとしての旋回フレーム6は、上部旋回体3のベースを構成している。旋回フレーム6の前側には、作業装置4が設けられている。
図2および
図3に示すように、旋回フレーム6は、底板6Aと、左縦板6Bと、右縦板6Cと、横板6Dと、上板6Eと、左サイドフレーム6Fと、右サイドフレーム6Gとを含んで構成されている。底板6Aは、厚肉な鋼板を用いて形成され、前後方向に延びている。左縦板6Bおよび右縦板6Cは底板6A上に立設され、前側から後側に向けて左右方向の間隔が広がるように前後方向に延びている。横板6Dは、底板6A上に立設されて左右方向に延び、左縦板6Bと右縦板6Cとの間を連結している。上板6Eは、左縦板6Bおよび右縦板6Cの上部に設けられ、左縦板6Bおよび右縦板6Cの前後方向の中間部から前側へと延びている。
【0018】
左サイドフレーム6Fは、底板6Aから左側に張出した複数の左張出しビーム6F1の先端に取付けられ、湾曲しつつ前後方向に延びている。右サイドフレーム6Gは、底板6Aから右側に張出した複数の右張出しビーム6G1の先端に取付けられ、湾曲しつつ前,後方向に延びている。底板6A、左縦板6B、右縦板6Cおよび上板6Eの前端は、前方に突出した作業装置支持部6Hとなっている。この作業装置支持部6Hには、作業装置4のスイングポスト4Aが左右方向に揺動可能に取付けられている。
【0019】
ガス容器取付部としてのガス容器取付台6Jは、右縦板6Cと右サイドフレーム6Gとの間に設けられている。ガス容器取付台6Jは、例えばC字型の断面形状を有する枠状に形成され、底板6Aと右サイドフレーム6Gとの間を連結する複数の右張出しビーム6G1の上面に固定された状態で、前後方向に延びている。ガス容器取付台6Jは、後述する容器収容空間16内に配置され、ガス容器取付台6J上には、ガス容器支持装置18を介してガス容器17が取付けられる。
【0020】
カウンタウエイト7は、旋回フレーム6の後側に設けられている。カウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとる重量物である。カウンタウエイト7の外周面7Aは、左右方向の中央部が後方に突出した円弧状をなしている。これにより、上部旋回体3が旋回したときに、カウンタウエイト7の外周面7Aは一定の旋回半径内に収まる構成となっている。
【0021】
キャブ8は、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6の左側に配置されている。キャブ8は運転室を画成するボックス形状をなし、キャブ8の内部には、運転席、走行用レバー・ペダル装置、操作レバー装置等(いずれも図示せず)が設けられている。キャブ8に搭乗したオペレータは、運転席に座り、走行用レバー・ペダル装置によって下部走行体2の走行動作を制御すると共に、操作レバー装置によって上部旋回体3の旋回動作および作業装置4の動作を制御する。
【0022】
ガスエンジン9は、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6に搭載されている。ガスエンジン9は、旋回フレーム6の横板6Dよりも後側に複数のマウント部材(図示せず)を介して支持されている。ガスエンジン9は、ガス燃料としての液化石油ガス(LPG)を燃料として用いるもので、左右方向に延在する横置き状態で旋回フレーム6に搭載されている。
【0023】
油圧ポンプ10は、ガスエンジン9の左側に取付けられている。油圧ポンプ10は、ガスエンジン9によって駆動され、作動油タンク13に貯えられた作動油を、作業装置4の各シリンダ4E,4F,4G,4H、下部走行体2の走行油圧モータ(図示せず)、旋回装置5の旋回油圧モータ(図示せず)等の油圧アクチュエータに供給する。
【0024】
冷却ファン11は、ガスエンジン9の右側に配置され、ガスエンジン9の回転軸(図示せず)に取付けられている。冷却ファン11は、ガスエンジン9によって回転駆動される軸流ファンからなり、上部旋回体3の外部から取込んだ外気を冷却風Fとして熱交換器12に供給する。なお、冷却ファン11の動力源としては、ガスエンジン9に限らず、電動モータ等を用いることもできる。
【0025】
熱交換器12は、冷却ファン11の右側に位置して旋回フレーム6に搭載されている。熱交換器12は、ラジエータ12A、オイルクーラ12B等を含んで構成され、ガスエンジン9とガス容器17との間に配置されている。ラジエータ12Aは、冷却ファン11によって供給された冷却風F中にエンジン冷却水の熱を放熱することにより、加熱されたエンジン冷却水を冷却する。オイルクーラ12Bは、各種の油圧アクチュエータから作動油タンク13に環流する作動油(戻り油)の熱を、冷却ファン11によって供給された冷却風F中に放熱することにより、加熱された作動油を冷却する。
【0026】
作動油タンク13は、旋回フレーム6の前部右側に設けられている。作動油タンク13は、ガス容器取付台6Jの前側に位置して右縦板6Cと右サイドフレーム6Gとの間に配置され、底板6Aと右サイドフレーム6Gとの間を連結する右張出しビーム6G1の上面に搭載されている。作動油タンク13は、上下方向に延びる直方体の容器からなり、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯留している。
【0027】
建屋カバー14は、カウンタウエイト7の前側、およびキャブ8の右側に隣接して旋回フレーム6上に設けられている。建屋カバー14は、例えば後上面カバー14A、前上面カバー14B、後側面カバー14C、前側面カバー14Dを含んで構成され、旋回フレーム6に立設されたサポート部材によって支持されている。後上面カバー14Aは、カウンタウエイト7の上端から前方に向けて水平に延び、熱交換器12、後述の容器収容空間16等を上方から覆っている。前上面カバー14Bは、後上面カバー14Aの前端から前方に向けて高さ寸法が徐々に小さくなるように湾曲しつつ斜め前方に延び、作動油タンク13、容器収容空間16等を上方から覆っている。
【0028】
後側面カバー14Cは、後上面カバー14Aの右端と右サイドフレーム6Gとの間を上下方向に延び、熱交換器12、容器収容空間16等を右側方から開閉可能に覆っている。即ち、後側面カバー14Cは、カウンタウエイト7の右前側に隣接し容器収容空間16を閉塞する閉位置(
図3および
図5の位置)と、カウンタウエイト7から離間し容器収容空間16を開放する開位置(
図6および
図8の位置)との間で移動(開閉)する。前側面カバー14Dは、前上面カバー14Bの右端と右サイドフレーム6Gとの間を上下方向に延び、作動油タンク13、容器収容空間16等を右側方から覆っている。後側面カバー14Cには通風口14Eが設けられ、前側面カバー14Dには通風口14Fが設けられている。従って、ガスエンジン9の作動時に冷却ファン11が回転することにより、通風口14E,14Fを通じて外気が建屋カバー14内に流入し、この外気が冷却風Fとなってガス容器17、熱交換器12等に供給される。
【0029】
仕切り部材15は、ガス容器取付台6Jと作動油タンク13との間に位置して旋回フレーム6に設けられている。
図9に示すように、仕切り部材15は、鋼板材に曲げ加工等を施すことにより一体形成され、遮熱板15Aと、導風部としての導風板15Bとを含んで構成されている。遮熱板15Aは、上下方向に延びる2枚の長方形がL字型に交差した板体からなり、左右方向に延びる横板部15A1と、前後方向に延びる縦板部15A2とを有している。
【0030】
導風板15Bは、遮熱板15Aの縦板部15A2の前端から右斜め前方に延び、導風板15Bの前端15Cは、前側面カバー14Dの前端側まで延びている(
図3参照)。ここで、導風板15Bは、遮熱板15Aとの境界部から前端15Cに向けて円弧状(ラッパ状)に湾曲している。また、導風板15Bは前上面カバー14Bの下側に配置されるため、導風板15Bの上縁部は、遮熱板15Aとの境界部から前端15Cに向けて、前上面カバー14Bの形状に沿った湾曲形状に形成されている。
【0031】
遮熱板15A(横板部15A1)の下端には複数のボルト挿通孔15Dが設けられ、このボルト挿通孔15Dに挿通されたボルト(図示せず)は、旋回フレーム6の右張出しビーム6G1に螺着される。これにより、仕切り部材15は旋回フレーム6上に立設され、仕切り部材15の上端15Eは、建屋カバー14の後上面カバー14Aおよび前上面カバー14Bまで延びている。
図3に示すように、仕切り部材15が旋回フレーム6上に立設された状態で、遮熱板15Aの横板部15A1は、熱交換器12(オイルクーラ12B)の前端に隣接し、張出しビーム6G1上を右縦板6Cからガス容器取付台6Jの左端まで右側方に延びている。遮熱板15Aの縦板部15A2は、横板部15A1の右端から前方に延び、ガス容器取付台6Jの前端まで達している。導風板15Bは、縦板部15A2の前端から右斜め前方に延び、ガス容器取付台6Jと作動油タンク13との間を通って前側面カバー14Dまで達している。
【0032】
このように、仕切り部材15は、熱交換器12の前側に隣接して旋回フレーム6に設けられ、ガス容器取付台6Jに取付けられたガス容器17を、作動油タンク13およびガスエンジン9に対して仕切っている。これにより、建屋カバー14内には、旋回フレーム6の右縦板6C、熱交換器12、建屋カバー14、仕切り部材15等によって囲まれた容器収容空間16が形成されている。容器収容空間16は、冷却風Fの流れ方向に対して熱交換器12の上流側に画成され、ガス容器17を周囲の搭載機器(作動油タンク13、ガスエンジン9等)から隔絶した状態で収容している。また、作動油タンク13は、仕切り部材15によってガス容器17から仕切られ、容器収容空間16とは別の空間内に配置されている(
図6参照)。
【0033】
仕切り部材15の遮熱板15Aは、作動油タンク13からの輻射熱をガス容器17に対して遮断する。仕切り部材15の導風板15Bは、後側面カバー14Cの通風口14E、前側面カバー14Dの通風口14Fを通じて建屋カバー14内に流入した冷却風Fを、容器収容空間16へと導く。このように、作動油タンク13からガス容器17に伝わる輻射熱が遮断されると共に、容器収容空間16内に大量の冷却風Fが供給されることにより、ガス容器17が効率良く冷却される構成となっている。
【0034】
次に、本実施形態に用いられるガス容器17、およびガス容器支持装置18について、詳細に説明する。
【0035】
ガス容器17は、ガス容器支持装置18を介して旋回フレーム6のガス容器取付台6Jに取付けられ、前後方向に延びる縦置き状態で容器収容空間16内に収容されている。ガス容器17は、人手によって運搬可能な密閉容器からなり、ガスエンジン9に供給されるLPG等のガス燃料が貯留されている。ガス容器17は、密閉された円筒体からなる容器本体17Aと、容器本体17Aの長さ方向の一端側の中心部に設けられたコック17Bと、コック17Bの周囲を取囲むように容器本体17Aに設けられた円筒状のプロテクタ17Cと、プロテクタ17Cの先端に設けられたリング部材17Dとを含んで構成されている。
【0036】
コック17Bは、燃料供給管路(図示せず)を介してガスエンジン9に接続され、ガスエンジン9に供給されるガス燃料の供給量を調整する。プロテクタ17Cの周方向の複数個所、例えばコック17Bを挟んで径方向で対面する2箇所には、開口部17Eが形成されている。これにより、リング部材17Dのうち開口部17Eに対応する2箇所は把手17Fとなり、作業者は、把手17Fを把持した状態でガス容器17を運搬する。
【0037】
ガス容器支持装置18は、旋回フレーム6のガス容器取付台6Jに設けられている。ガス容器支持装置18は、ガス容器17をガス容器取付台6Jに対して固定する容器固定位置(
図3ないし
図5の位置)と、ガス容器17をガス容器取付台6Jから取外すための容器取外し位置(
図6ないし
図8の位置)との間で移動可能に支持している。
図10に示すように、ガス容器支持装置18は、ガス容器取付台6Jに対して水平方向(前後方向)に移動するスライド機構19と、スライド機構19に取付けられ、ガス容器17を保持する容器ホルダ20とを含んで構成されている。
【0038】
スライド機構19は、ガス容器取付台6Jの上面側に設けられている。スライド機構19は、ガス容器取付台6Jの上面に固定された左右一対(2列)のレール19Aと、レール19Aに沿って移動する左右一対(2列)のスライダ19Bとを有している。一対のレール19Aは、ガス容器取付台6Jと同等な前後方向の長さ寸法を有し、左右方向に一定の間隔を保った状態でガス容器取付台6Jの上面に固定され、前後方向に延びている。一対のレール19Aの上面側には、長さ方向の全域に亘って上側が開口した溝状の切欠部19Cが形成されている。
【0039】
一対のスライダ19Bは、レール19Aと同等な前後方向の長さ寸法を有し、レール19Aの上面に移動可能に取付けられた状態で前後方向に延びている。一対のスライダ19Bの下面側には前後方向に延びる直線状の突起部19Dが設けられ、この突起部19Dは、レール19Aの切欠部19Cに摺動可能に嵌合している。従って、スライド機構19のスライダ19Bは、突起部19Dがレール19Aの切欠部19Cに嵌合することにより、容器ホルダ20が固定された状態でレール19Aに沿って前後方向に移動する構成となっている。
【0040】
容器ホルダ20は、スライド機構19を構成する一対のスライダ19Bに取付けられ、ガス容器17を支持している。容器ホルダ20は、ガス容器17を下側から支持する支持台20Aと、支持台20Aに設けられた後側第1ストッパ20Eおよび前側第1ストッパ20Fと、支持台20Aに設けられた複数の第2ストッパ20Gとを含んで構成されている。支持台20Aは、ガス容器17の容器本体17Aと同等な前後方向の長さ寸法を有する四角形の鋼板等を用いて形成されている。支持台20Aの上面側には、左右方向の中央部に位置して前後方向に延びる凹陥部20Bが設けられている。凹陥部20Bは、前後方向に延びる軸線を中心とした円弧状をなし、ガス容器17(容器本体17A)の外周面と同等な曲率を有している。ガス容器17は、凹陥部20Bに容器本体17Aが嵌合することにより、支持台20Aによって下側から安定した状態で支持されている。
【0041】
支持台20Aの下面側には、凹陥部20Bを挟んで左右方向で対面する一対の取付脚20Cが設けられ、これら一対の取付脚20Cの下端は、一対のスライダ19Bの上面に溶接等の手段を用いて固定されている。また、支持台20Aの左右方向の両端は、それぞれ下向きに屈曲した屈曲部20Dとなり、これら一対の屈曲部20Dには、複数の第2ストッパ20Gが取付けられている。
【0042】
後側第1ストッパ20Eは、支持台20Aの後端に設けられ、前側第1ストッパ20Fは、支持台20Aの前端に設けられている。後側第1ストッパ20Eは、支持台20Aの凹陥部20Bに対応する形状を有し、支持台20Aの後端に固定されることにより凹陥部20Bの後端側を閉塞している。前側第1ストッパ20Fも、支持台20Aの凹陥部20Bに対応する形状を有し、支持台20Aの前端に固定されることにより凹陥部20Bの前端側を閉塞している。従って、支持台20Aの凹陥部20Bにガス容器17の容器本体17Aを嵌合させた状態で、容器本体17Aは、後側第1ストッパ20Eと前側第1ストッパ20Fとの間に挟込まれる。これにより、ガス容器17は、支持台20Aの凹陥部20Bに嵌合した状態で、スライド機構19(スライダ19B)の移動方向(前後方向)への変位が、後側第1ストッパ20Eおよび前側第1ストッパ20Fによって規制されている。
【0043】
複数(例えば3個)の第2ストッパ20Gは、支持台20Aの左右方向の両端に設けられた屈曲部20D間に設けられている。第2ストッパ20Gは、例えば薄肉な鋼板等により形成されたベルトからなり、長さ方向の両端側には、それぞれボルト挿通孔(図示せず)が形成されている。そして、支持台20Aの凹陥部20Bにガス容器17の容器本体17Aを嵌合させた状態で、第2ストッパ20Gの両端側のボルト挿通孔にボルト20Hを挿通し、このボルト20Hを支持台20Aの左右の屈曲部20Dに螺着する。これにより、ガス容器17は、支持台20Aと複数の第2ストッパ20Gとによって径方向に締付けられ、スライド機構19(スライダ19B)の移動方向と直交する方向(左右方向)への変位が、第2ストッパ20Gによって規制されている。
【0044】
このように、ガス容器17は、後側第1ストッパ20Eと前側第1ストッパ20Fとによってスライド機構19の移動方向への変位が規制され、複数の第2ストッパ20Gによってスライド機構19の移動方向と直交する方向への変位が規制された状態で、支持台20Aによって支持されている。そして、支持台20Aが固定されたスライド機構19のスライダ19Bが、レール19Aに沿って前後方向に移動することにより、ガス容器17は、ガス容器取付台6Jに固定された容器固定位置と、ガス容器取付台6Jから取外すための容器取外し位置との間で安定して移動することができる。
【0045】
ここで、ガス容器17が容器固定位置に移動したときには、スライダ19Bは、スライダ固定具21を用いてレール19Aに固定される。
図10に示すように、スライダ固定具21は、例えば上下方向に延びるピン21Aと、ピン21Aの上側に形成された雄ねじ部21Bに螺着されるナット21Cとにより構成されている。レール19Aとスライダ19Bの後端側には、ピン21Aが挿通されるピン孔(図示せず)が同心上に形成され、スライダ19Bに形成されたピン孔の内周面には雌ねじ(図示せず)が設けられている。従って、スライダ19Bのピン孔に設けられた雌ねじに、ピン21Aの雄ねじ部21Bを螺合させ、スライダ19Bの上面側に突出した雄ねじ部21Bにナット21Cを螺着することにより、スライダ19Bがレール19Aに固定される。
【0046】
本実施形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1の動作について説明する。
【0047】
油圧ショベル1を用いて掘削作業等を行う場合には、ガス容器17は容器固定位置に位置決めされ、スライダ固定具21によってスライダ19Bをレール19Aに固定することによりスライド機構19がロックされる。この状態で、オペレータは、キャブ8に搭乗してガスエンジン9を作動させ、走行用レバー・ペダル装置(図示せず)によって下部走行体2の走行動作を制御すると共に、操作レバー装置(図示せず)によって上部旋回体3の旋回動作および作業装置4の動作を制御する。これにより、油圧ショベル1を所望の作業現場まで自走させ、上部旋回体3を旋回させつつ、作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0048】
ガスエンジン9の作動時には、冷却ファン11が回転することにより、後側面カバー14Cの通風口14E、前側面カバー14Dの通風口14Fを通じて建屋カバー14内に外気が流入し、この外気が冷却風Fとなってガス容器17、熱交換器12等に供給される。これにより、ガス容器17が冷却されると共に、熱交換器12は、エンジン冷却水、作動油等の熱を冷却風F中に放熱してこれらを冷却する。熱交換器12を通過した冷却風Fは、ガスエンジン9等を通過した後、冷却風排出口(図示せず)を通じて上部旋回体3の外部に排出される。
【0049】
ここで、ガス容器17は、冷却風Fの流れ方向に対して熱交換器12よりも上流側に配置されている。これにより、熱交換器12を通過する前の低温の冷却風Fをガス容器17に供給することができ、ガス容器17を効率良く冷却することができる。この場合、仕切り部材15の導風板15Bは、後側面カバー14Cの通風口14Eおよび前側面カバー14Dの通風口14Fを通じて冷却風Fが建屋カバー14内に流入したときに、この冷却風Fを容器収容空間16へと導く。これにより、容器収容空間16内に大量の冷却風Fを供給することができ、ガス容器17を一層効率良く冷却することができる。
【0050】
また、ガス容器17は、旋回フレーム6の右縦板6C、熱交換器12、建屋カバー14、仕切り部材15等によって囲まれた容器収容空間16内に配置され、周囲の搭載機器(作動油タンク13、ガスエンジン9等)から隔絶されている。これにより、ガスエンジン9が作動時に発生する熱、油圧アクチュエータから還流する高温の作動油によって作動油タンク13が発生する熱を、ガス容器17に対して遮断することができる。この結果、ガスエンジン9、作動油タンク13からの輻射熱によってガス容器17が温度上昇するのを抑えることができる。特に、ガス容器17が容器固定位置に位置決めされている状態では、ガス容器17は作動油タンク13に近接しているが、ガス容器17と作動油タンク13との間は、仕切り部材15によって仕切られている。この結果、作動油タンク13からの輻射熱を仕切り部材15によって確実に遮断することができ、ガス容器17の温度上昇を抑えることができる。
【0051】
次に、ガス燃料を補充するために新たなガス容器17に交換する場合には、例えば
図6および
図8に示すように、建屋カバー14の後側面カバー14Cを開位置へと移動させ、容器収容空間16を開放する。このように、後側面カバー14Cを開位置に移動させることにより、カウンタウエイト7と後側面カバー14Cとの間に大きな作業スペースを確保することができる。この状態で、スライダ固定具21をスライダ19Bから取外し、スライド機構19のロック状態を解除する。この状態で、ガス容器17の把手17Fを把持し、ガス容器17を後方に引っ張ることにより、ガス容器17を、ガス容器支持装置18によって支持した状態で、旋回フレーム6のガス容器取付台6Jから取外すための容器取外し位置まで容易に移動させることができる。
【0052】
このとき、ガス容器17は、容器ホルダ20の支持台20Aの凹陥部20Bに容器本体17Aを嵌合させた状態で、後側第1ストッパ20Eおよび前側第1ストッパ20Fによってスライド機構19の移動方向への変位が規制され、第2ストッパ20Gによってスライド機構19の移動方向と直交する方向への変位が規制されている。これにより、容器ホルダ20に保持されたガス容器17を、スライド機構19によって容器固定位置から容器取外し位置へと安定して移動させることができる。
【0053】
このようにして、ガス容器支持装置18は、ガス容器17を容器取外し位置に移動させることにより、カウンタウエイト7と開位置に移動した後側面カバー14Cとの間を通じてガス容器17を容器収容空間16から外部に引き出す。このとき、カウンタウエイト7と後側面カバー14Cとの間には、大きな作業スペースが確保されている。この状態で、容器収容空間16から外部に引出された容器ホルダ20から第2ストッパ20Gを取外し、クレーン等(図示せず)を用いてガス容器17を吊上げることにより、ガス容器17をガス容器取付台6Jから迅速かつ容易に取外すことができる。
【0054】
次に、交換すべき新たなガス容器17をクレーン等を用いて吊上げ、ガス容器支持装置18の容器ホルダ20(支持台20A)に取付ける。そして、ガス容器17の容器本体17Aを、後側第1ストッパ20Eおよび前側第1ストッパ20Fによってスライド機構19の移動方向に固定すると共に、複数の第2ストッパ20Gによってスライド機構19の移動方向と直交する方向に固定する。この状態で、ガス容器17を前方に押込むことにより、スライド機構19によってガス容器17を容器固定位置まで移動させた後、スライダ固定具21によってスライダ19Bをレール19Aに固定する。このようにして、スライド機構19をロックし、新たなガス容器17を容器固定位置に固定した状態で、後側面カバー14Cを閉位置として容器収容空間16を閉塞することにより、ガス容器17の交換作業が終了する。
【0055】
このように、ガス燃料を補充するためにガス容器17を交換する場合に、重量物であるガス容器17を、ガス容器支持装置18によって支持することにより、容器固定位置と容器取外し位置との間で迅速かつ安定して移動させることができる。この結果、ガス容器17を交換するときの作業性を高めることができる。
【0056】
かくして、実施形態では、上部旋回体3は、作業装置4が前側に設けられた旋回フレーム6と、旋回フレーム6に設けられた熱交換器12と、熱交換器12に冷却風Fを供給する冷却ファン11と、油圧ポンプ10を駆動するガスエンジン9に供給されるガス燃料を貯留するガス容器17と、を備えてなる油圧ショベル1において、ガス容器17は、冷却ファン11による冷却風Fの流れ方向に対して熱交換器12よりも上流側に配置され、旋回フレーム6には、旋回フレーム6上にガス容器17が収容される容器収容空間16を冷却風の流れ方向に対して熱交換器12の上流側に画成する仕切り部材15が設けられている。
【0057】
この構成によれば、ガス容器17に対し、熱交換器12を通過する前の低温の冷却風Fを供給することができ、ガス容器17を冷却することができる。しかも、容器収容空間16内に収容されたガス容器17は、仕切り部材15によってガスエンジン9、作動油タンク13等の周囲の搭載機器から隔絶されている。この結果、周囲の搭載機器が熱を発生したとしても、この熱がガス容器17に伝わるのを抑えることができ、冷却風Fによって効率良くガス容器17を冷却することができる。
【0058】
実施形態では、旋回フレーム6には、容器収容空間16を覆うと共に熱交換器12に供給される冷却風Fが流入する通風口14Eが設けられた後側面カバー14Cおよび通風口14Fが設けられた前側面カバー14Dが設けられ、仕切り部材15には、通風口14E,14Fを通じて容器収容空間16に流入した冷却風Fをガス容器17に導く導風板15Bが設けられている。この構成によれば、冷却風Fが、後側面カバー14Cの通風口14Eおよび前側面カバー14Dの通風口14Fを通じて建屋カバー14内に流入したときに、この冷却風Fを、導風板15Bによって容器収容空間16へと導くことができる。これにより、容器収容空間16内に大量の冷却風Fを供給することができ、ガス容器17を一層効率良く冷却することができる。
【0059】
実施形態では、旋回フレーム6には、作動油を貯留する作動油タンク13が設けられ、作動油タンク13は、仕切り部材15により仕切られ、容器収容空間16とは別の空間内に配置されている。この構成によれば、油圧アクチュエータから還流する高温の作動油によって作動油タンク13が熱を発生したとしても、容器収容空間16内に配置されたガス容器17に対し、作動油タンク13からの輻射熱を仕切り部材15によって遮断することができる。
【0060】
実施形態では、旋回フレーム6には、容器収容空間16内に位置してガス容器17が取付けられるガス容器取付台6Jが設けられ、ガス容器取付台6Jには、ガス容器17をガス容器取付台6Jに対して固定する容器固定位置と、ガス容器取付台6Jから取外すための容器取外し位置との間で移動可能に支持するガス容器支持装置18が設けられている。この構成によれば、ガス燃料を補充するためにガス容器17を交換する場合に、重量物であるガス容器17を、ガス容器支持装置18によって支持することにより、容器委固定位置と容器取外し位置との間で迅速かつ容易に移動させることができ、ガス容器17を交換するときの作業性を高めることができる。
【0061】
実施形態では、旋回フレーム6の後側にはカウンタウエイト7が設けられ、後側面カバー14Cは、カウンタウエイト7に隣接し容器収容空間16を閉塞する閉位置と、カウンタウエイト7から離間し容器収容空間16を開放する開位置との間で移動する構成とし、ガス容器支持装置18は、後側面カバー14Cが開位置に移動した状態でカウンタウエイト7と後側面カバー14Cとの間を通じてガス容器17を容器収容空間16から外部に引出す。この構成によれば、後側面カバー14Cを開位置に移動させることにより、カウンタウエイト7と後側面カバー14Cとの間に大きな作業スペースを確保することができる。この結果、ガス容器支持装置18に対してガス容器17を取付け、取外しするときの作業性を高めることができる。
【0062】
実施形態では、ガス容器支持装置18は、ガス容器取付台6Jに対して水平方向に移動するスライド機構19と、スライド機構19に取付けられガス容器17を保持する容器ホルダ20とを有し、容器ホルダ20は、ガス容器17が嵌合する凹陥部20Bを有しガス容器17を下側から支持する支持台20Aと、ガス容器17を支持台20Aの凹陥部20Bに嵌合させた状態でガス容器17がスライド機構19の移動方向に変位するのを規制する後側第1ストッパ20Eおよび前側第1ストッパ20Fと、ガス容器17を支持台20Aの凹陥部20Bに嵌合させた状態でガス容器17がスライド機構19の移動方向と直交する方向に変位するのを規制する第2ストッパ20Gとを含んで構成されている。
【0063】
この構成によれば、支持台20Aの凹陥部20Bにガス容器17の容器本体17Aを嵌合させた状態で、スライド機構19の移動方向へのガス容器17の変位を後側第1ストッパ20Eおよび前側第1ストッパ20Fによって規制し、スライド機構19の移動方向と直交する方向へのガス容器17の変位を第2ストッパ20Gによって規制することができる。この結果、容器ホルダ20に保持されたガス容器17を、スライド機構19によって容器固定位置と容器取外し位置との間で安定して移動させることができる。
【0064】
なお、実施形態では、ガス容器17を前後方向に延びる縦置き状態で旋回フレーム6上に搭載した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばガス容器を左右方向に延びる横置き状態、上下方向に延びる立上げ状態で旋回フレーム上に搭載しても良い。
【0065】
また、実施形態では、ガス容器17内に充填されるガス燃料として、液化石油ガス(LPG)を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば液化天然ガス(LNG)等の他のガス燃料を用いることができる。
【0066】
さらに、実施形態では、旋回フレーム6をベースとする上部旋回体3を備えた油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイールローダ等の上部旋回体を有しない建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
4 作業装置
6 旋回フレーム
6J ガス容器取付台(ガス容器取付部)
7 カウンタウエイト
9 ガスエンジン
10 油圧ポンプ
11 冷却ファン
12 熱交換器
13 作動油タンク
14C 後側面カバー
14D 前側面カバー
14E,14F 通風口
15 仕切り部材
15B 導風板(導風部)
16 容器収容空間
17 ガス容器
18 ガス容器支持装置
19 スライド機構
20容器ホルダ
20E 後側第1ストッパ
20F 前側第1ストッパ
20G 第2ストッパ