(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】管理システム及び歩行型管理機
(51)【国際特許分類】
A01B 33/16 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A01B33/16
(21)【出願番号】P 2021107663
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 恵一
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159558(JP,A)
【文献】特開2018-077646(JP,A)
【文献】特開昭63-102602(JP,A)
【文献】特開2011-155938(JP,A)
【文献】特開2011-239693(JP,A)
【文献】特開2002-186309(JP,A)
【文献】特開2018-164424(JP,A)
【文献】特開2021-002397(JP,A)
【文献】特開2019-109792(JP,A)
【文献】特開2012-191947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00-33/16
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行型管理機で行った作業に関する作業情報を取得する取得部と、
前記取得部からの前記作業情報を記憶する記憶部と、
前記作業情報を報知する報知部と、
を具備し、
前記作業情報には、
耕耘作業における耕耘深さ
と、
前記作業を行った場所で栽培する作物の情報と、
前記作業を行った場所を識別する情報と、
が含まれ、
前記取得部は、
前記歩行型管理機の機体の前後方向に対する傾斜角度を検出することが可能であり、
前記取得部により検出された傾斜角度、及び、前記歩行型管理機の諸元に基づいて、前記耕耘深さを算出する算出部をさらに具備
し、
前記報知部は、
前記耕耘深さの現在値及び予め設定された設定値の差分が所定の閾値を超えた場合に、前記耕耘深さの調節を促すような報知を行うと共に、
利用者が予め設定した作物が、過去に所定回数連続して同じ場所で栽培されている場合に、連作障害の可能性があることを示すメッセージの報知を行う、
管理システム。
【請求項2】
前記作業情報には、
前記作業に要した時間が含まれる、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記報知部は、
前記歩行型管理機の運転中に、利用者が前記作業情報を視認可能な位置に設置される、
請求項1又は請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記作業情報に基づいて前記歩行型管理機の運転を制御する制御部をさらに具備する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記作業情報には、
前記作業を行った際の前記歩行型管理機のエンジンの回転数が含まれ、
前記制御部は、
前記作業情報として記憶された回転数に基づいて前記エンジンを制御する、
請求項4に記載の管理システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の管理システムを具備する歩行型管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型管理機で行った作業に関する情報を管理する管理システム及び歩行型管理機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行型管理機の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、走行輪、耕耘爪及び操縦用のハンドルを備えた歩行型管理機が開示されている。上記特許文献1に記載された歩行型管理機は、走行輪及び耕耘爪を回転させながらハンドルを操縦することで耕耘作業を行うことができる。
【0004】
特許文献1のような歩行型管理機の利用者は、毎年同じような時期に同じような作物を作ることが想定される。すなわち、ある年に行った作業と同じ作業を、次の年にも行うことがある。しかし、前年の歩行型管理機の作業条件(変速段数や耕深等)を記憶しておくことは困難であり、毎年同じ条件で作業を行おうとする際には不便であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、利便性を向上させることが可能な管理システム及び歩行型管理機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、歩行型管理機で行った作業に関する作業情報を取得する取得部と、前記取得部からの前記作業情報を記憶する記憶部と、前記作業情報を報知する報知部と、を具備し、前記作業情報には、耕耘作業における耕耘深さと、前記作業を行った場所で栽培する作物の情報と、前記作業を行った場所を識別する情報と、が含まれ、前記取得部は、前記歩行型管理機の機体の前後方向に対する傾斜角度を検出することが可能であり、前記取得部により検出された傾斜角度、及び、前記歩行型管理機の諸元に基づいて、前記耕耘深さを算出する算出部をさらに具備し、前記報知部は、前記耕耘深さの現在値及び予め設定された設定値の差分が所定の閾値を超えた場合に、前記耕耘深さの調節を促すような報知を行うと共に、利用者が予め設定した作物が、過去に所定回数連続して同じ場所で栽培されている場合に、連作障害の可能性があることを示すメッセージの報知を行うものである。
【0012】
請求項2においては、前記作業情報には、前記作業に要した時間が含まれるものである。
【0014】
請求項3においては、前記報知部は、前記歩行型管理機の運転中に、利用者が前記作業情報を視認可能な位置に設置されるものである。
【0015】
請求項4においては、前記作業情報に基づいて前記歩行型管理機の運転を制御する制御部をさらに具備するものである。
【0016】
請求項5においては、前記作業情報には、前記作業を行った際の前記歩行型管理機のエンジンの回転数が含まれ、前記制御部は、前記作業情報として記憶された回転数に基づいて前記エンジンを制御するものである。
【0017】
請求項6においては、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の管理システムを具備するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
請求項1においては、作業に関する作業情報を容易に把握可能となるため、利便性を向上させることができる。また、過去の作業で栽培した作物の出来と作業情報に記憶された耕耘深さとにより、耕耘深さが適切であったのか評価することができる。当該評価結果に基づいて耕耘深さを決定することで、適切な耕耘深さで作業を行うことができる。また、成果物の履歴が残ることで、作業意欲を向上させることができる。また、作業の内容を場所ごとに記憶して、作業の内容を細かく管理することができる。また、アドバイスにしたがって作業の内容を適宜変更することで、作業の質を向上させることができる。
【0023】
請求項2においては、作業に要した時間の履歴から、次回以降の作業に要する時間を容易に推定することができ、作業の予定を立て易くなる。
【0025】
請求項3においては、作業情報を視認しながら歩行型管理機を運転することができるため、利便性をより向上させることができる。
【0026】
請求項4においては、過去に行われた作業に応じて歩行型管理機の運転を補助することができるため、利便性をより向上させることができる。
【0027】
請求項5においては、過去に行われた作業に応じてエンジンの回転数を制御することができるため、利便性をより向上させることができる。
【0028】
請求項6においては、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る歩行型管理機を示した側面図。
【
図3】管理システムの構成を概念的に示したブロック図。
【
図6】管理画面で作業内容を表示する様子を示した図。
【
図7】管理画面で運転状態を表示する様子を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0031】
以下では、本発明の一実施形態に係る歩行型管理機10について説明する。
【0032】
図1及び
図2に示す歩行型管理機10は、機体フレーム11、車輪12、エンジン13、燃料タンク14、ボンネット15、カバー16、ミッションケース17、ロータリ18、抵抗棒19、作業板20、クラッチ機構21、ハンドルフレーム22、ハンドル連結部23、操縦ハンドル24、ハンドル操作部25及び管理システム30等を具備する。
【0033】
機体フレーム11は、板材を適宜折り曲げて形成される部材である。機体フレーム11は、左右一対の車輪12に支持される。エンジン13は、機体フレーム11に載置される。エンジン13としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の燃料を用いて駆動する種々のエンジンを採用可能である。燃料タンク14は、エンジン13の後方に配置される。当該エンジン13及び燃料タンク14は、ボンネット15によって覆われる。エンジン13の左側方には、エンジン13の動力をミッションケース17に伝達するクラッチ機構21を覆うカバー16が設けられる。
【0034】
ミッションケース17は、エンジン13からの動力を、車輪12や回転軸17bに伝達する変速機構17aを収容するケースである。変速機構17aは、車輪12や回転軸17bの駆動速度の変速を行う操作が可能な変速レバー17cを備える。変速レバー17cの操作位置と駆動速度の変速(変速段数)との関係は、変速案内板17dで視認することができる(
図10参照)。具体的には、変速案内板17dには、変速レバー17cを案内するガイド溝が形成される。変速レバー17cは、当該ガイド溝に沿って変速操作される。利用者は、変速案内板17dのガイド溝における変速レバー17cの操作位置を視認することで、当該操作位置における変速段数を視認(確認)することができる。
【0035】
本実施形態では、変速レバー17cが
図10に示す「前進1」の位置に操作された場合に、車輪12を正転させて歩行型管理機10を前進させることができる。また、変速レバー17cが「前進2」の位置に操作された場合に、「前進1」よりも速い速度で歩行型管理機10を前進させることができる。また、変速レバー17cが「後進」の位置に操作された場合に、車輪12を逆回転させて歩行型管理機10を後進させることができる。このように、「前進1」、「前進2」及び「後進」の位置では、歩行型管理機10の走行の変速を操作することができる。また、変速レバー17cが「作業」の「正転」又は「逆転」の位置に操作された場合、歩行型管理機10の走行の変速と、耕耘爪18aの変速とをそれぞれ操作することができる。具体的には、変速レバー17cが「作業」の「正転」の位置に操作された場合に、車輪12及び耕耘爪18aをそれぞれ正転させることができる。また、変速レバー17cが「作業」の「逆転」の位置に操作された場合に、車輪12を正転させると共に耕耘爪18aを逆回転させることができる。また、変速レバー17cが「中立」の位置に操作された場合に、耕耘爪18a及び車輪12への動力伝達が遮断される。
【0036】
ロータリ18は、回転軸17bに固定される耕耘爪18aと、耕耘爪18aを上方から覆う耕耘カバー18bと、を具備する。耕耘カバー18bには、抵抗棒19及び作業板20が取り付けられる。
【0037】
クラッチ機構21は、エンジン13から変速機構17a(車輪12や耕耘爪18a)への動力の伝達の可否を切り替えるためのものである。本実施形態のクラッチ機構21としては、プーリに巻回されたベルトに張力(テンション)を付与することで動力を伝達可能とする、いわゆるベルトテンションクラッチを想定している。
【0038】
耕耘カバー18bの上方には、ハンドルフレーム22が配置される。ハンドルフレーム22は、操縦ハンドル24を支持するためのフレームである。ハンドルフレーム22は、後上方へ延びるように形成される。ハンドルフレーム22の後上端部には、ハンドル連結部23を介して操縦ハンドル24が取り付けられる。
【0039】
操縦ハンドル24は、利用者が歩行型管理機10を操縦するためのものである。
図2に示すように、操縦ハンドル24は、平面視で略三角形状の枠(フレーム)状に形成される。操縦ハンドル24は、ハンドル連結部23から後上方へ延びるように形成される。操縦ハンドル24は、断面視で略円形状の部材を適宜折り曲げて形成される。操縦ハンドル24は、側部24a、後部24b及び横架部24cを具備する。
【0040】
図2に示す側部24aは、操縦ハンドル24の左右両側部を構成する部分である。側部24aは、ハンドル連結部23から、互いに左右方向に離間するように後方(後上方)へ延びる。
【0041】
後部24bは、操縦ハンドル24の後部を構成する部分である。後部24bは、左右の側部24aの後端部同士を連結するように左右方向に延びる。後部24bは、作業者の手指により把持される。
【0042】
横架部24cは、左右の側部24aの前後方向途中部同士を連結する部分である。横架部24cは、操縦ハンドル24の前後方向中央部よりも後方に位置するように設けられる。横架部24cを設けたことで、操縦ハンドル24を補強することができる。
【0043】
ハンドル操作部25は、歩行型管理機10の運転に関する各種の操作を行う部分である。ハンドル操作部25は、操縦ハンドル24に設けられる。ハンドル操作部25は、クラッチレバー25a、エンジンスイッチ25b、始動スイッチ25c及びスロットルレバー25dを具備する。
【0044】
クラッチレバー25aは、クラッチ機構21の作動の操作が可能なレバーである。クラッチレバー25aは、ケーブル(不図示)を介してクラッチ機構21と接続される。クラッチレバー25aは、左右の側部24aの前後方向途中部(横架部24cの後方)の間に設けられる。利用者が、クラッチレバー25aを握るように操作すれば、
図1に示すようにクラッチレバー25aは、左右の側部24aに対して左側面視時計回りに回動する。また、クラッチレバー25aは、利用者が手を離せば、自動的に操作前の位置に戻る。
【0045】
エンジンスイッチ25bは、エンジン13を始動可能な状態と、エンジン13を停止する状態と、を切り替える操作が可能なスイッチである。エンジンスイッチ25bは、適宜の回転操作により、エンジン13を始動可能とする運転位置と、エンジン13を停止する停止位置とに切り替えられる。また、エンジンスイッチ25bは、上記回転操作に加えて、押圧操作が可能とされている。エンジンスイッチ25bは、押圧操作がされることで運転位置から停止位置に切り替え可能とされている。また、エンジンスイッチ25bとしては、例えば、特定のキー(鍵)をシリンダーに差し込んだ状態で当該キーを介した操作を行うものを採用可能である。
【0046】
始動スイッチ25cは、エンジン13を始動させるためのスイッチである。始動スイッチ25cとしては、押圧操作が可能なスイッチを採用可能である。
【0047】
スロットルレバー25dは、エンジン13の出力(回転数)制御の操作が可能なレバーである。スロットルレバー25dは、レバーの操作量を検知する適宜のセンサを有する。スロットルレバー25dとしては、適宜の回転操作が可能なレバーを採用可能である。
【0048】
図2及び
図3に示す管理システム30は、種々の情報を管理するためのものである。管理システム30は、端末40、取付部50、エンジン制御部60及びエンジン通信部70を具備する。
【0049】
図1から
図3までに示す端末40は、各種の情報を入出力可能なものである。端末40は、携帯可能な小型のものを採用可能である。端末40としては、例えばスマートフォン(携帯電話)を採用可能である。また、端末40としては、スマートフォンに限られず、例えばタブレット端末等の種々の端末を採用可能である。端末40は、後述する取付部50を介して、操縦ハンドル24に設けられる。端末40は、
図3に示すように、スピーカ41、カメラ42、傾きセンサ43、位置検出部44、タッチパネル45、制御手段46及び端末通信部47を具備する。
【0050】
スピーカ41は、音声を出力するためのものである。
【0051】
カメラ42は、所定のレンズ部(不図示)を介して画像や映像を撮像可能なものである。カメラ42は、前面カメラ42a及び後面カメラ42bを具備する。
【0052】
図2及び
図3に示す前面カメラ42aは、端末40の前面(後述するタッチパネル45側の面)に設けられるものである。
【0053】
後面カメラ42bは、端末40の後面(タッチパネル45とは反対側の面)に設けられるものである。
【0054】
図3に示す傾きセンサ43は、傾きを検知可能なものである。傾きセンサ43としては、適宜のジャイロセンサ等を採用可能である。本実施形態では、傾きセンサ43により、所定の基準方向(例えば鉛直方向)に対する端末40の傾きを検知可能な構成としている。
【0055】
位置検出部44は、歩行型管理機10の現在の位置を示す情報(以下、「位置情報」と称する)を検出するためのものである。位置検出部44は、GPS衛星からの信号を受信し、端末40の緯度や経度を検出することができる。位置検出部44は、端末40が操縦ハンドル24に取り付けられた状態で当該端末40の緯度等を検出することで、歩行型管理機10の位置情報を検出することができる。なお、歩行型管理機10の位置情報を検出する手段は、上述のようなGPS衛星を用いたものに限るものではない。例えば携帯電話基地局からの信号を受信することで位置情報を検出してもよい。
【0056】
タッチパネル45は、情報の入出力を行うためのものである。タッチパネル45は、所定の情報を表示することができる。また、タッチパネル45には、利用者のタッチ操作により各種情報を入力することができる。
【0057】
制御手段46は、端末40を制御するものである。制御手段46は、主としてCPU等の演算処理装置や、ストレージ(記憶装置)等により構成される。制御手段46には、カメラ42(前面カメラ42a及び後面カメラ42b)の撮像結果、傾きセンサ43が検知した傾き、位置検出部44の検出結果、タッチパネル45での操作結果等が入力される。制御手段46は、当該入力結果をストレージに適宜記憶することができる。
【0058】
端末通信部47は、情報を通信可能なものである。端末通信部47は、後述するエンジン通信部70との間で、種々の情報に関する信号を送受信することができる。端末通信部47による情報の通信には、例えば「ブルートゥース(Bluetooth)」(登録商標)等の無線通信技術を採用可能である。なお、端末通信部47が用いる無線通信技術としては、上述した例に限られず、例えば赤外線通信等の種々の無線通信技術を採用可能である。また端末通信部47は、エンジン通信部70と情報をやりとり可能となるように、有線でエンジン通信部70と接続されてもよい。
【0059】
また端末通信部47は、インターネット回線を介して、制御手段46とサーバSとの間で相互に情報通信を行うことができる。本実施形態の制御手段46は、当該情報通信によりストレージに記憶された情報をサーバSへ送信することができる。なお、端末通信部47とサーバSとの情報通信に用いられる回線はインターネット回線に限られず、適宜選択可能である。例えば専用回線等であってもよい。
【0060】
図1及び
図2に示す取付部50は、端末40を取り付け可能なものである。取付部50は、操縦ハンドル24に設けられる。本実施形態では、取付部50を、横架部24cの左右方向中央部に設けた例を示している。取付部50は、端末40を着脱可能に取り付けることができる。取付部50による端末40の取付態様としては、例えば、適宜のアームで端末40の側部を挟むようにして端末40を取り付ける態様を採用可能である。また、例えば、磁石を用いて端末40を取り付ける態様や、適宜のベルト(バンド)等で端末40を取り付ける態様も採用可能である。
【0061】
取付部50は、端末40の前面が後方(後上方)を向いた姿勢で、端末40を取り付けることができる。これにより、取付部50に取り付けられた端末40のタッチパネル45を、歩行型管理機10を運転する利用者の方へ向けることができる。この状態では、前面カメラ43aにより後上方の景色を撮像することができる。また、後面カメラ43bにより前下方の景色を撮像することができる。本実施形態では、後面カメラ43bにより変速案内板17dを撮像することができる(
図10参照)。
【0062】
また、制御手段46は、上述のように取付部50に取り付けられた端末40を用いて、歩行型管理機10の機体の前後方向に対する傾斜角度θ(
図4参照)を検出することができる。具体的には、例えば水平なラインLを基準として、歩行型管理機10の傾きを傾きセンサ43で検出することで、傾斜角度θを検出することができる。さらに制御手段46は、検出された傾斜角度θ及び歩行型管理機10の緒元(例えば、車輪12やロータリ18の寸法や位置関係等)に基づいて、歩行型管理機10の耕深Dを算出(推定)することができる。
【0063】
図3に示すエンジン制御部60は、所定の情報に基づいて、エンジン13の始動や停止、駆動速度の変更等の制御が可能なものである。エンジン制御部60としては、適宜のエンジンコントロールユニット(エンジンコントロールモジュール)を採用可能である。エンジン制御部60は、エンジンスイッチ25b、始動スイッチ25c及びスロットルレバー25dと電気的に接続されており、エンジンスイッチ25b、始動スイッチ25c及びスロットルレバー25dの操作に基づいて、エンジン13の動作の制御を行うことができる。
【0064】
上述の如く構成されるエンジン制御部60は、歩行型管理機10に設けられた適宜のバッテリーの電力を用いて動作可能である。また、エンジン制御部60は、エンジンスイッチ25bが運転位置へ切り替えられた場合に、前記バッテリーから電力供給を受けて動作する。
【0065】
エンジン通信部70は、種々の情報を無線通信可能なものである。エンジン通信部70は、エンジン13の外部に設けられた機器(例えば端末40)との間で情報を送受信することができる。エンジン通信部70による情報の通信には、端末通信部47と同様、種々の無線通信技術を採用可能である。エンジン通信部70は、エンジン制御部60と情報をやりとり可能なように(有線又は無線を問わず)電気的に接続される。
【0066】
エンジン制御部60及びエンジン通信部70は、エンジン13に一体的に設けられる。本実施形態に係るエンジン13によれば、エンジン13、エンジン制御部60及びエンジン通信部70を一体的に取り扱うことができ、エンジン13の組付けや交換の際の作業性を向上させることができる。
【0067】
以下では、上述の如く構成された歩行型管理機10の動作について説明する。
【0068】
エンジンスイッチ25bが運転位置に切り替えられた状態で、利用者により始動スイッチ25cが押圧操作された場合、エンジン13の始動の信号がエンジン制御部60に送信され、エンジン制御部60が上記信号を検出することができる。エンジン制御部60は、上記信号を検出した場合、エンジン13に設けられた適宜のセルモーター(不図示)や点火プラグ(不図示)を動作させることで、エンジン13の始動を行う。
【0069】
また、利用者によりスロットルレバー25dが操作された場合、スロットルレバー25dの操作量に基づく信号がエンジン制御部60に送信され、エンジン制御部60が上記信号を検出することができる。エンジン制御部60は、上記信号を検出した場合、当該信号に基づいてエンジン13に設けられた適宜の燃料噴射装置(インジェクタ)による燃料の噴射量や、スロットルバルブの開度(吸気量)を調節することでエンジン13の出力を制御する。上記燃料噴射装置としては、コモンレールシステム等、適宜の電子制御式のものを採用可能である。これにより、エンジン13(車輪12や耕耘爪18a)の駆動速度の加速又は減速を行うことができる。このように、本実施形態に係る歩行型管理機10は、電子制御によりエンジン13の始動や出力の制御を行うことができる。また、エンジン制御部60は、当該エンジン13の回転数を検出可能なセンサからの信号を受信して、エンジン13の回転数を取得することができる。
【0070】
また、利用者が、クラッチレバー25aを握るように操作すれば、前記ベルトに張力が付与されてクラッチ機構21が作動される。これにより、エンジン13からの動力が、変速機構17aを介して車輪12や回転軸17bへと伝達される。これによって、歩行型管理機10は、走行したり、耕耘爪18aを回転させて圃場を耕耘する(耕耘作業を行う)ことができる。
【0071】
また、利用者がクラッチレバー25aの操作を解除することで、前記ベルトへの張力の付与が停止され、クラッチ機構21の作動が停止される。これにより、車輪12や耕耘爪18aの回転が停止される。
【0072】
また、エンジン制御部60は、利用者によりエンジンスイッチ25bが押圧操作された場合に送信されるエンジン13の停止の信号を検出すれば、エンジン13の燃料噴射装置やスロットルバルブ、点火プラグ等を制御し、エンジン13を停止させる。
【0073】
管理システム30は、このような歩行型管理機10の動作により行われた作業(本実施形態では耕耘作業)に関する作業情報を制御手段46のストレージに記憶することができる。作業情報は、過去に行われた作業の内容を示す情報である。
【0074】
制御手段46のストレージは、上記作業情報として、圃場に成形する畝の名称及び作業日時(耕耘作業の年月日及び時刻)を記憶することができる。また、上記作業情報として、作業時間(耕耘作業に要した時間の長さ)、耕耘距離、耕深D、エンジン13の回転数、変速段数、畝で栽培する作物の名称、作業時の歩行型管理機10の位置情報及び作物の出来等の情報を、上記畝の名称及び作業日時ごとに記憶することができる。こうして管理システム30は、どの畝でいつ頃にどのような条件(耕深D及び変速段数)で作業したのかを管理することができる。なお、上記作業時間等を記憶する手順については後述する。
【0075】
管理システム30は、端末40に記憶された作業情報の管理を行うための管理画面Gを端末40のタッチパネル45に表示することができる。以下では、
図5から
図7までを用いて管理画面Gについて説明する。
【0076】
図5に示す管理画面Gは、タッチパネル45が適宜操作されたことを契機に制御手段46により作成される。例えば、利用者によるタッチパネル45の操作により、管理画面Gを表示するアプリが端末40で起動されたことを契機に作成される。管理画面Gでは、後述するように、利用者が選択した畝ごとに、過去に行われた耕耘作業における耕深Dやエンジン13の回転数等の情報を表示することができる。管理画面Gには、項目タブG1及び情報表示部G2が含まれる。
【0077】
項目タブG1は、情報表示部G2に表示される項目を総称した名称を示す部分である。項目タブG1は、左右に複数表示される。管理画面Gでは、項目タブG1がタップ操作されることで、当該項目タブG1が示す項目が情報表示部G2に表示される。項目タブG1には、畝選択タブG11、履歴表示タブG12及び情報記憶タブG13が含まれる。
【0078】
畝選択タブG11は、利用者が畝を選択するためのタブである。
図5に示すように、畝選択タブG11がタップ操作されると、端末40に記憶された畝の名称(畝を識別する情報)が表示される。なお、畝の名称は、利用者により予め設定される。また、畝の名称は、圃場ごとに設定される。
【0079】
本実施形態の畝の名称には、一例として「畝1-1」や「畝1-2」等が設定されている。また、
図5には、一例として、当該畝の名称を圃場ごとに表示した管理画面Gが記載されている。利用者は、こうして表示された畝を選択(タップ操作)することで、複数の圃場及び複数の畝の中から1つの畝を選択することができる。
図5では、選択された畝の色が反転する。こうして畝選択タブG11では、利用者が選択した畝を識別することができる。なお、畝を表示する態様は、
図5に限るものではなく、例えば
図8に示すような圃場を示す地図情報に畝を重ねて表示させたものであってもよい。
【0080】
履歴表示タブG12は、過去に行われた耕耘作業の情報(履歴)を表示するためのタブである。
図6に示すように、履歴表示タブG12がタップ操作されると、畝選択タブG11で選択された畝の名称、作業日時、畝で栽培された作物の名称、作物の出来、変速段数、作業時間、耕耘距離、エンジン13の回転数及び耕深Dが表示される。なお、変速段数には、変速案内板17dに表示された変速レバー17cの操作位置の名称(
図10に示す「前進1」、「作業(正転)」等)が表示される。また、エンジン13の回転数及び耕深Dは、耕耘距離との関係がグラフで表示される。これにより、利用者は、回転数及び耕深Dを詳細に把握することができる。また、耕耘作業の情報を畝ごと(作業場所ごと)に把握することができる。
【0081】
また、履歴表示タブG12では、作業日時がタップ操作されることで、過去に行われた耕耘作業の作業日時(例えば、1年前の耕耘作業及び2年前の耕耘作業)を任意に選択できる。こうして作業日時が選択されると、当該作業日時に対応する作物の名称等が表示される。
【0082】
情報記憶タブG13は、耕耘作業を記憶するためのタブである。
図7に示すように、情報記憶タブG13がタップ操作されると、畝選択タブG11で選択された畝の名称が表示される。また、畝で栽培する作物の名称、変速段数、作業時間、耕耘距離、エンジン13の回転数及び耕深Dも表示される。上記作物の名称等は、現在値、設定値及び履歴が一覧で表示される。
【0083】
現在値は、歩行型管理機10の現在の状態を示すものである。耕耘作業を行う際には、歩行型管理機10の状態等に応じて現在値が適宜更新される。例えば、エンジン制御部60から制御手段46への信号に基づいて、エンジン13の回転数が更新される。また、傾きセンサ43の検出結果に基づいて耕深Dが更新される。こうして利用者は、歩行型管理機10の状態を耕耘作業中にリアルタイムに把握することができる。なお、畝で栽培される作物の名称及び変速段数は、利用者が作物の名称等を後述する設定値で設定すると、その内容が反映される。
【0084】
設定値は、利用者が任意に設定した値を示すものである。設定値は、タッチパネル45の操作により、適宜の値を設定することができる。設定値は、例えば、畝で栽培する作物や、耕耘作業に適した条件が適宜設定される。具体的には、畝で栽培する作物に適した耕深D等が設定される。利用者は、耕耘作業時に設定値及び現在値を確認することで、歩行型管理機10を適切に運転しているのかを容易に把握することができる。
【0085】
また、制御手段46は、利用者が設定した作物の名称(畝で栽培する作物)が適切であるのかチェックする。具体的には、一部の作物(例えば、ナス科の作物等)は、毎年同じ場所で栽培を行うと、生育不良等を引き起こすこと(連作障害の発生)が懸念される。
【0086】
そこで、制御手段46は、ストレージに記憶された情報を用いて、連作障害の発生が懸念されるか否かを判定する。例えば制御手段46は、利用者が設定した作物(今回栽培予定の作物)が、過去に所定回数連続して同じ畝で栽培されていると判定した場合に、連作障害の可能性があることを示すメッセージを報知する。この場合の報知の方法としては、例えば所定のメッセージ(「連作障害が発生する可能性があります」等)をタッチパネル45に表示させたり、当該メッセージをスピーカ41から音声により出力したりする方法がある。利用者はこの報知に従って栽培する作物や畝を変更することで、連作障害の発生を未然に防ぐことができる。
【0087】
また、情報記憶タブG13における履歴には、履歴表示タブG12で表示された情報が反映される。利用者は、履歴の表示に基づいて、設定値を容易に設定することもできる。
【0088】
また、情報記憶タブG13は、アシスト機能を実行するか否かを選択するための項目(ラジオボタン)が配置される。なお、アシスト機能については後述する。
【0089】
利用者は、上述のような情報記憶タブG13で設定値を設定し、歩行型管理機10で耕耘作業を行う。端末40は、エンジン制御部60からエンジン13の回転数を取得し、当該回転数が所定の閾値を超えた場合に、情報の記憶を開始する。
【0090】
具体的には、制御手段46は、情報の記憶を開始した際の日時を作業日時として記憶する。また、制御手段46は、設定値で設定された作物の名称及び変速段数を記憶する。また、制御手段46は、作業日時からの経過時間を求めることで作業時間を算出し、当該算出結果を作業時間の現在値に反映する。具体的には、
図7に表示された「現在値」の「作業時間」の欄に作業時間の算出結果の値を表示する。
【0091】
また、制御手段46は、エンジン13の回転数、変速段数及び車輪12の外径等に基づいて耕耘距離を算出し、当該算出結果を耕耘距離の現在値に反映する。また、制御手段46は、エンジン13の回転数を耕耘距離と関連付けて記憶する。また制御手段46は、傾きセンサ43の検出結果から算出した傾斜角度θから耕深Dを算出し、当該耕深Dも耕耘距離と関連付けて記憶する。
【0092】
制御手段46は、このような作業時間及び耕耘距離の算出、並びにエンジン13の回転数及び耕深Dを記憶する処理を所定の微小時間(例えば0.1秒~1秒)ごとに行う。こうして制御手段46は、エンジン13の回転数及び耕深Dの情報を細かく管理する(例えば、
図6に示すようにグラフで表示する)ことができる。
【0093】
また、制御手段46は、エンジン13の回転数が所定の閾値以下となった場合に、情報の記憶を終了する。制御手段46は、このときの作業時間及び耕耘距離をストレージに記憶する。
【0094】
なお、作物の出来(
図6参照)は、作物の収穫後等に利用者により端末40に記憶される。本実施形態では、作物の出来を示す文字が記憶されるものとしているが、これに限定されるものではなく、例えば作物をカメラ42で撮像した結果が記憶されてもよい。
【0095】
このように、本実施形態では、管理画面G(情報記憶タブG13)により耕耘作業の情報を容易に端末40の制御手段46(ストレージ)に記憶することができる。また、制御手段46に記憶された情報を管理画面G(履歴表示タブG12)で容易に確認することができる。これにより、利用者は、耕耘作業の管理(情報の記憶や表示)を容易に行うことができ、利便性を向上させることができる。また、耕耘作業の履歴が残ることで、作業意欲(作業の楽しさ)を向上させることもできる。
【0096】
また、制御手段46に作物の名称や出来が記憶されることで、成果物の履歴を残すことができ、作業意欲をより向上させることができる。特に、作物の出来を記憶することで、過去に行われた耕耘作業の履歴を今後の作業に有効に活用することができるため、作業の質を向上させることができる。例えば、作物の出来が良かった際の耕深Dを参考にして耕耘作業を行うことで、適切な耕深Dで作業を行うことができる。
【0097】
以下では、アシスト機能について説明する。
【0098】
アシスト機能は、耕耘作業中の歩行型管理機10の状態が、
図7に示す情報記憶タブG13に表示された設定値に近づくように、歩行型管理機10の運転を補助する機能である。アシスト機能を実行するか否かは、情報記憶タブG13に配置されたラジオボタンで決定できる。アシスト機能は、制御手段46により実行される。以下、アシスト機能の内容について説明する。
【0099】
アシスト機能を実行する場合、制御手段46は、エンジン制御部60にエンジン13の回転数を指示する信号を送信する。エンジン制御部60は、当該信号に基づいてエンジン13の回転数を制御する。こうして制御手段46は、利用者の操作よりも優先してエンジン13を制御し、設定値で設定された回転数で歩行型管理機10を動作させる。
【0100】
また、制御手段46は、耕深Dの現在値及び設定値の差分を算出し、当該差分が所定の閾値を超えた場合に、耕深D(傾斜角度θ)の調整を促すような報知を行う。この場合の報知の方法としては、例えば連作障害の可能性があることを報知する場合と同様の方法を採用することができる。利用者はこの報知に従って耕深Dを調整することで、予め設定した耕深Dで耕耘作業を行い易くなる。
【0101】
以上の如く、本実施形態に係る管理システム30は、歩行型管理機10で行った作業に関する作業情報(本実施形態では、畝の名称、作業日時、作業時間、耕耘距離、耕深D、エンジン13の回転数、変速段数、作物の名称及び作物の出来)を取得する取得部(傾きセンサ43、タッチパネル45及びエンジン制御部60)と、前記取得部からの前記作業情報を記憶する記憶部(制御手段46のストレージ)と、前記作業情報を報知する報知部(タッチパネル45)と、を具備するものである。
【0102】
このように構成することにより、利便性及び作業意欲(作業の楽しさ)を向上させることができる。また、過去に行われた作業の内容が残ることで、作業意欲(作業の楽しさ)を向上させることができる。
【0103】
また、前記作業情報には、前記作業を行った場所で栽培する作物の情報(作物を識別可能な情報、本実施形態では作物の名称)が含まれるものである。
【0104】
このように構成することにより、成果物(栽培した作物)の履歴を残すことができ、作業意欲をより向上させることができる。
【0105】
また、前記作業情報には、前記作業を行った場所を識別する情報(本実施形態では畝の名称)が含まれるものである。
【0106】
このように構成することにより、作業の内容を場所ごと(例えば、畝ごと)に記憶して、作業の内容を細かく管理することができる。
【0107】
また、前記作業情報には、耕耘作業における耕耘深さ(耕深D)が含まれるものである。
【0108】
このように構成することにより、適切な耕耘深さで作業を行うことができる。
【0109】
また、前記作業情報には、前記作業に要した時間(作業時間)が含まれるものである。
【0110】
このように構成することにより、作業に要した時間の履歴から、次回以降の作業に要する時間(作業予定時間)を容易に推定することができ、作業の予定を立て易くなる。また、作業に要した時間の履歴が残ることで、過去に行った作業に対する達成感を得ることもできる。
【0111】
また、前記報知部は、前記作業情報に基づいて前記作業に関するアドバイス(本実施形態では、連作障害の可能性及び耕深Dの調整)を報知するものである。
【0112】
このように構成することにより、作業の質を向上させることができる。
【0113】
また、前記報知部は、前記歩行型管理機10の運転中に、利用者が前記作業情報を視認可能な位置に設置されるものである。
【0114】
このように構成することにより、作業情報を視認しながら歩行型管理機10を運転することができるため、利便性をより向上させることができる。
【0115】
また、前記作業情報に基づいて前記歩行型管理機10の運転を制御する制御部(エンジン制御部60)をさらに具備するものである。
【0116】
このように構成することにより、過去に行われた作業に応じて歩行型管理機10の運転を補助することができるため、利便性をより向上させることができる。
【0117】
また、前記作業情報には、前記作業を行った際の前記歩行型管理機10のエンジン13の回転数が含まれ、前記制御部は、前記作業情報として記憶された回転数に基づいて前記エンジン13を制御するものである。
【0118】
このように構成することにより、過去に行われた作業に応じてエンジン13の回転数を制御することができるため、利便性をより向上させることができる。
【0119】
また、以上の如く、本実施形態に係る歩行型管理機10は、前記管理システム30を具備するものである。
【0120】
このように構成することにより、作業に関する作業情報(履歴)を容易に把握可能となるため、利便性を向上させることができる。
【0121】
なお、本実施形態に係る傾きセンサ43、タッチパネル45及びエンジン制御部60は、本発明に係る取得部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る制御手段46のストレージは、本発明に係る記憶部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るタッチパネル45は、本発明に係る報知部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るエンジン制御部60は、本発明に係る制御部の実施の一形態である。
【0122】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0123】
例えば、上記実施形態における歩行型管理機10の態様は限られない。例えば、歩行型の除雪機や芝刈り機や草刈り機等であってもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、取付部50を操縦ハンドル24に設けた例を示したが、このような態様に限定されない。例えば側部24a上に設けてもよいし、エンジン13、燃料タンク14、ボンネット15等に設けてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、エンジン制御部60及びエンジン通信部70を、エンジン13に一体的に設けた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、エンジン制御部60及びエンジン通信部70を、エンジン13と別体に設けるようにしてもよい。
【0126】
また、上記各実施形態では、エンジン13からの動力で歩行型管理機10が動作される例を示したが、このような態様に限られない。例えば、電気を用いて駆動するモータで歩行型管理機10が動作されるものでもよい。
【0127】
また、制御手段46には、畝の名称や作業日時等が記憶されるものとしたが、制御手段46に記憶される作業情報は、過去に行われた作業の内容を示す情報であれば特に限定されるものではない。また、作業情報を記憶する機器は、端末40(制御手段46のストレージ)に限定されるものではなく、任意に選択可能である。例えばエンジン制御部60等に作業情報が記憶されてもよい。
【0128】
また、本実施形態では、傾きセンサ43、タッチパネル45及びエンジン制御部60により畝の名称等の情報が取得されるものとしたが、情報の取得に用いられる機器は、特に限定されるものではなく、種々の機器を用いて情報を取得可能である。
【0129】
また、本実施形態では、タッチパネル45により情報の報知が行われるものとしたが、情報の報知に用いられる機器は、特に限定されるものではなく、種々の機器を用いて報知可能である。例えば、スピーカ41による音声出力により、情報を報知してもよい。
【0130】
また、本実施形態では、畝の名称から作業場所が識別されるものとしたが、作業場所の識別に用いられる情報は、作業場所を一意に特定可能であれば、畝の名称に限定されるものではない。当該情報は、例えば、畝の位置情報(緯度及び経度)等であってもよい。また、畝ではなく、圃場の名称や位置情報等であってもよい。また、一列の畝に対して複数の作物情報を入力および記憶できるようにしてもよい。これにより、一列の畝に対して複数の作物を栽培する際の利便性が向上する。
【0131】
また、本実施形態では、作物の名称が記憶されるものとしたが、制御手段46には、必ずしも栽培される作物が何であるのかが詳細に記憶される必要はなく、例えば作物の分類(ナス科等)が記憶されるものであってもよい。このように、制御手段46に作物の情報が記憶される場合、当該情報は、栽培する作物に関連する情報であればよい。
【0132】
また、本実施形態では、エンジン13の回転数及び耕深Dがグラフで表示されるものとしたが(
図6参照)、利用者が過去の作業における回転数を把握可能であれば、回転数等の表示態様は特に限定されるものではない。例えば
図9のように数字で表示されるものであってもよい。この場合、所定の範囲(
図9では、0~10m)におけるエンジン13の回転数及び耕深Dの平均値を表示することができる。
【0133】
また、耕耘距離は、エンジン13の回転数、変速段数及び車輪12の外径等に基づいて算出されるものとしたが、耕耘距離を算出する手法は特に限定されるものではなく、種々の手法により算出可能である。例えば、耕耘距離は、歩行型管理機10の走行軌跡(位置検出部44の検出結果)に基づいて算出されてもよい。
【0134】
また、変速段数は、手動で入力されるものとしたが、これに限定されるものではなく、自動的に入力されるものであってもよい。具体的には、制御手段46は、耕耘作業の情報を記録する際に、
図10に示すように、後面カメラ42bを起動させて変速案内板17d及び変速レバー17cを撮像し、当該撮像結果を解析することで変速レバー17cの操作位置(変速段数)を検出する。このような構成により、変速段数の入力の手間を省いて利便性を向上させることができる。
【0135】
また、本実施形態では、作業に関する情報から連作障害の発生の可能性について報知されるものとしたが、これに限定されるものではなく、連作障害以外の情報を適宜報知するものであってもよい。例えば、過去に栽培した作物と同じ作物を栽培しようとしているにも関わらず、利用者が設定した運転の条件(耕深D等)が過去の情報と大きく乖離している場合に、設定値を見直すことを報知してもよい。
【0136】
また、制御手段46には、過去に行われた作業の情報が記憶されるものであればよい。よって、制御手段46には、本実施形態のような耕耘作業の情報だけではなく、他の作業(例えば、畝立て作業や草刈り作業や除雪作業等)が記憶されてもよい。
【0137】
また、本実施形態では、アシスト機能の実行時にエンジン13の回転数が制御されるものとしたが、アシスト機能で制御するパラメータは特に限定されるものではなく、任意に設定可能である。よって、アシスト機能の実行時に変速段数や機体の傾斜角度θ等が制御されるものでもよい。
【0138】
また、本実施形態の管理システム30は、アシスト機能や連作障害の可能性を報知する報知機能を有するものとしたが、管理システム30は作業に関する情報を管理するものであればよい。したがって管理システム30は、アシスト機能や報知機能を有しないものであってもよい。
【0139】
また、本実施形態では、エンジン13の回転数が所定の閾値を超えたことを契機に情報の記憶が開始されたが、情報の記憶を開始するための手法は、任意に変更可能である。例えば、制御手段46は、クラッチレバー25aが操作されたことを契機に、記憶を開始してもよい。また制御手段46は、利用者からの指示(例えば、タッチパネル45のタップ操作)を契機に情報の記憶を開始してもよい。
【0140】
また、本実施形態では、耕耘作業の情報が1つの機器(制御手段46)だけに記憶されるものとしたが、これに限定されるものではなく、複数の機器に記憶されてもよい。例えば、制御手段46及びサーバSにそれぞれ情報が記憶されてもよい。これにより、サーバSで情報を一元管理することができ、利便性を向上させることができる。また、端末40のストレージに障害が発生して耕耘作業の情報が読み取り不能となった場合に、サーバSの情報を用いて端末40に情報を容易にリストア(復元)することができる。
【符号の説明】
【0141】
10 歩行型管理機
30 管理システム
43 傾きセンサ(取得部)
46 制御手段(記憶部)
45 タッチパネル(取得部、表示部)
60 エンジン制御部(取得部)