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特許7514216操作支援装置、操作支援システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】操作支援装置、操作支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/00 20060101AFI20240703BHJP
   B63C 11/48 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
B63C11/00 C
B63C11/48 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021150521
(22)【出願日】2021-09-15
(65)【公開番号】P2023043041
(43)【公開日】2023-03-28
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】西谷 明彦
(72)【発明者】
【氏名】川田 亮一
(72)【発明者】
【氏名】小島 淳一
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-028095(JP,A)
【文献】特開2019-179474(JP,A)
【文献】特開平03-169796(JP,A)
【文献】特開2009-051470(JP,A)
【文献】特開2011-034518(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0351985(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/00 ― 11/48
B63G 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中を潜航する水中潜航体の位置、及び水面に存在して前記水中潜航体に接続された通信ケーブルを用いて通信する水面航行体の位置を取得する位置取得部と、
前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部と、
前記水中構造物の第一端部及び前記水面航行体を通る直線と、前記第一端部と異なる前記水中構造物の第二端部及び前記水面航行体を通る直線とで挟まれる領域のうちの前記水面航行体から見て前記水中構造物の背後の領域を進入禁止区域に設定する区域設定部と、
前記水中潜航体の位置が前記進入禁止区域に含まれている場合に警報を報知する報知部と、
を有する操作支援装置。
【請求項2】
前記区域設定部は、前記進入禁止区域に隣接する所定の領域を警報区域に設定し、
前記報知部は、前記水中潜航体の位置が前記警報区域に含まれている場合に警報を報知する、
請求項1に記載の操作支援装置。
【請求項3】
前記水中潜航体が前記進入禁止区域に入った後に、前記水中潜航体の航行を停止させる移動制御部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の操作支援装置。
【請求項4】
前記水中潜航体が前記進入禁止区域に入った後に、前記水中潜航体の位置を維持するように前記水中潜航体を航行させる移動制御部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の操作支援装置。
【請求項5】
前記水中潜航体が前記進入禁止区域に入った後に、前記水面航行体の位置と前記水中潜航体の位置とが、前記水中構造物を通らない一の直線上に並ぶように前記水面航行体を航行させる移動制御部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の操作支援装置。
【請求項6】
前記区域設定部は、前記水中潜航体が前記進入禁止区域に入った後に、前記水面航行体の位置と前記水中潜航体の位置とが、前記水中構造物を通らない一の直線上に並ぶ一以上の領域を一以上の移動可能領域に設定し、
前記移動制御部は、前記一以上の移動可能領域のうち、前記水面航行体の位置から最も近い位置に前記水面航行体を移動させる、
請求項5に記載の操作支援装置。
【請求項7】
前記水面航行体に搭載された前記水中潜航体が前記水面航行体から発進してから現在までの前記水中潜航体の位置を示す潜航軌跡を水面に写像した水面軌跡に沿って、前記水面航行体の位置から前記水中潜航体の位置を水面上に写像した位置まで、前記水面航行体を航行させる移動制御部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の操作支援装置。
【請求項8】
前記水中構造物と、前記進入禁止区域と、前記水中潜航体の位置と、前記水面航行体の位置とを重ね合わせた前記水中潜航体が潜航する水中の水中地図を、前記水中潜航体を操作するための端末に表示させる表示制御部をさらに有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の操作支援装置。
【請求項9】
前記水面航行体、前記水中潜航体を操作するための端末、又は前記水面航行体及び前記端末と通信可能な情報処理装置のいずれかに搭載されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の操作支援装置。
【請求項10】
前記区域設定部は、前記水中潜航体が進入すべきでない領域の入力を受け付け、受け付けた領域を前記進入禁止区域に設定する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の操作支援装置。
【請求項11】
水中を潜航する水中潜航体の位置、及び水面に存在して前記水中潜航体に接続された通信ケーブルを用いて通信する水面航行体の位置を取得する位置取得部と、
前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部と、
前記水中構造物の第一端部及び前記水面航行体を通る直線と、前記第一端部と異なる前記水中構造物の第二端部及び前記水面航行体を通る直線とで挟まれる領域のうちの前記水面航行体から見て前記水中構造物の背後の領域に隣接する所定の領域を警報区域に設定する区域設定部と、
前記水中潜航体の位置が前記警報区域に含まれている場合に警報を報知する報知部と、
を有する操作支援装置。
【請求項12】
水中を潜航する水中潜航体と、
前記水中潜航体に接続された通信ケーブルを用いて通信する水面航行体と、
前記水中潜航体を操作するための、前記水面航行体と通信する端末と、を有し、
前記端末は、
前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、
前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部と、
前記水中構造物の第一端部及び前記水面航行体を通る直線と、前記第一端部と異なる前記水中構造物の第二端部及び前記水面航行体を通る直線とで挟まれる領域のうちの前記水面航行体から見て前記水中構造物の背後の領域を進入禁止区域に設定する区域設定部と、
前記水中潜航体の位置が前記進入禁止区域に含まれている場合に警報を報知する報知部と、
を有する、操作支援システム。
【請求項13】
水中を潜航する水中潜航体と、
前記水中潜航体に接続された通信ケーブルを用いて通信する水面航行体と、
前記水中潜航体を操作するための、前記水面航行体と通信する端末と、を有し、
前記端末は、
前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、
前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部と、
前記水中構造物の第一端部及び前記水面航行体を通る直線と、前記第一端部と異なる前記水中構造物の第二端部及び前記水面航行体を通る直線とで挟まれる領域のうちの前記水面航行体から見て前記水中構造物の背後の領域に隣接する所定の領域を警報区域に設定する区域設定部と、
前記水中潜航体の位置が前記警報区域に含まれている場合に警報を報知する報知部と、
を有する、操作支援システム。
【請求項14】
水中を潜航する水中潜航体を操作するためのコンピュータに、
前記水中潜航体の位置、及び水面に存在して前記水中潜航体に接続された通信ケーブルを用いて通信する水面航行体の位置を取得する位置取得部、
前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部、
前記水中構造物の第一端部及び前記水面航行体を通る直線と、前記第一端部と異なる前記水中構造物の第二端部及び前記水面航行体を通る直線とで挟まれる領域のうちの前記水面航行体から見て前記水中構造物の背後の領域を進入禁止区域に設定する区域設定部、及び
前記水中潜航体の位置が前記進入禁止区域に含まれている場合に警報を報知する報知部
としての機能を実現させるためのプログラム。
【請求項15】
水中を潜航する水中潜航体を操作するためのコンピュータに、
前記水中潜航体の位置、及び水面に存在して前記水中潜航体に接続された通信ケーブルを用いて通信する水面航行体の位置を取得する位置取得部、
前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部、
前記水中構造物の第一端部及び前記水面航行体を通る直線と、前記第一端部と異なる前記水中構造物の第二端部及び前記水面航行体を通る直線とで挟まれる領域のうちの前記水面航行体から見て前記水中構造物の背後の領域に隣接する所定の領域を警報区域に設定する区域設定部、及び
前記水中潜航体の位置が前記警報区域に含まれている場合に警報を報知する報知部
としての機能を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中を潜航する水中潜航体の遠隔操作を支援する操作支援装置、操作支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人で水中を潜航する水中潜航体を遠隔操作する技術が知られている。例えば、特許文献1には、水中潜航体と水面上に存在する制御装置との間を通信ケーブルで接続することで水中潜航体を遠隔操作する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-51470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水中潜航体を遠隔操作するときに、水中に構造物が存在する区域に水中潜航体が進入してしまうと、通信ケーブルや水中潜航体が構造物にひっかかり、水中潜航体の回収が困難になるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、水中潜航体を回収しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、水中を潜航する水中潜航体の位置、及び水面に存在して前記水中潜航体と通信する水面航行体の位置を取得する位置取得部と、前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部と、水中構造物が存在することにより前記水面航行体が前記水面航行体の位置から直進のみで到達できない領域を進入禁止区域に設定する区域設定部と、前記水中潜航体の位置が前記進入禁止区域に含まれている場合に警報を報知する報知部と、を有する操作支援装置を提供する。
【0007】
前記区域設定部は、前記進入禁止区域に隣接する所定の領域を警報区域に設定し、前記報知部は、前記水中潜航体の位置が前記警報区域に含まれている場合に警報を報知してもよい。
【0008】
前記操作支援装置は、前記水中潜航体が前記進入禁止区域に入った後に、前記水中潜航体の航行を停止させる移動制御部をさらに有してもよい。
【0009】
前記操作支援装置は、前記水中潜航体が前記進入禁止区域に入った後に、前記水中潜航体の位置を維持するように前記水中潜航体を航行させる移動制御部をさらに有してもよい。
【0010】
前記操作支援装置は、前記水中潜航体が前記進入禁止区域に入った後に、前記水面航行体の位置と前記水中潜航体の位置とが、前記水中構造物を通らない一の直線上に並ぶように前記水面航行体を航行させる移動制御部をさらに有してもよい。
【0011】
前記区域設定部は、前記水中潜航体が前記進入禁止区域に入った後に、前記水面航行体の位置と前記水中潜航体の位置とが、前記水中構造物を通らない一の直線上に並ぶ一以上の領域を一以上の移動可能領域に設定し、前記移動制御部は、前記一以上の移動可能領域のうち、前記水面航行体の位置から最も近い位置に前記水面航行体を移動させてもよい。
【0012】
前記操作支援装置は、前記水面航行体に搭載された前記水中潜航体が前記水面航行体から発進してから現在までの前記水中潜航体の位置を示す潜航軌跡を水面に写像した水面軌跡に沿って、前記水面航行体の位置から前記水中潜航体の位置を水面上に写像した位置まで、前記水面航行体を航行させる移動制御部をさらに有してもよい。
【0013】
前記操作支援装置は、前記水中構造物と、前記進入禁止区域と、前記水中潜航体の位置と、前記水面航行体の位置とを重ね合わせた前記水中潜航体が潜航する水中の水中地図を、前記水中潜航体を操作するための端末に表示させる表示制御部をさらに有してもよい。
【0014】
前記操作支援装置は、前記水面航行体、前記水中潜航体を操作するための端末、又は前記水面航行体及び前記端末と通信可能な情報処理装置のいずれかに搭載されていてもよい。
【0015】
前記区域設定部は、前記水中潜航体が進入すべきでない領域の入力を受け付け、受け付けた領域を前記進入禁止区域に設定してもよい。
【0016】
本発明の第2の態様においては、水中を潜航する水中潜航体の位置、及び水面に存在して前記水中潜航体と通信する水面航行体の位置を取得する位置取得部と、前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部と、水中構造物が存在することにより前記水面航行体が前記水面航行体の位置から直進のみで到達できない領域に隣接する所定の領域を警報区域に設定する区域設定部と、前記水中潜航体の位置が前記警報区域に含まれている場合に警報を報知する報知部と、を有する操作支援装置を提供する。
【0017】
本発明の第3の態様においては、水中を潜航する水中潜航体と、前記水中潜航体と通信する水面航行体と、前記水中潜航体を操作するための、前記水面航行体と通信する端末と、を有し、前記端末は、前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部と、水中構造物が存在することにより前記水面航行体が前記水面航行体の位置から直進のみで到達できない領域を進入禁止区域に設定する区域設定部と、前記水中潜航体の位置が前記進入禁止区域に含まれている場合に警報を報知する報知部と、を有する、操作支援システムを提供する。
【0018】
本発明の第4の態様においては、水中を潜航する水中潜航体と、前記水中潜航体と通信する水面航行体と、前記水中潜航体を操作するための、前記水面航行体と通信する端末と、を有し、前記端末は、前記水中潜航体の位置及び前記水面航行体の位置を取得する位置取得部と、前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部と、水中構造物が存在することにより前記水面航行体が前記水面航行体の位置から直進のみで到達できない領域に隣接する所定の領域を警報区域に設定する区域設定部と、前記水中潜航体の位置が前記警報区域に含まれている場合に警報を報知する報知部と、を有する、操作支援システムを提供する。
【0019】
本発明の第5の態様においては、水中を潜航する水中潜航体を操作するためのコンピュータに、前記水中潜航体の位置、及び水面に存在して前記水中潜航体と通信する水面航行体の位置を取得する位置取得部、前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部、水中構造物が存在することにより前記水面航行体が前記水面航行体の位置から直進のみで到達できない領域を進入禁止区域に設定する区域設定部、及び前記水中潜航体の位置が前記進入禁止区域に含まれている場合に警報を報知する報知部としての機能を実現させるためのプログラムを提供する。
【0020】
本発明の第6の態様においては、水中を潜航する水中潜航体を操作するためのコンピュータに、前記水中潜航体の位置、及び水面に存在して前記水中潜航体と通信する水面航行体の位置を取得する位置取得部、前記水中潜航体が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する構造物情報取得部、水中構造物が存在することにより前記水面航行体が前記水面航行体の位置から直進のみで到達できない領域に隣接する所定の領域を警報区域に設定する区域設定部、及び前記水中潜航体の位置が前記警報区域に含まれている場合に警報を報知する報知部としての機能を実現させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、水中潜航体を回収しやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】操作支援システムの概要を説明するための図である。
図2】操作支援システムの各装置の構成を説明するための図である。
図3】水中潜航体が潜航可能な範囲を説明するための図である。
図4】進入禁止区域と警報区域を説明するための図である。
図5】移動可能領域を説明するための図である。
図6】操作支援装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[操作支援システムS]
図1は、操作支援システムSの概要を説明するための図である。操作支援システムSは、操作支援装置4、端末3、水面航行体2及び水中潜航体1を有する。
【0024】
水中潜航体1は、水中を潜航可能な無人機である。水中潜航体1は、水中を潜航しながら、例えば水中の様子を撮像したり水中で測定したりする。水面航行体2は、水面を航行する無人機である。水中潜航体1と水面航行体2は、通信ケーブル5を介して通信可能に接続されている。水中潜航体1が撮像した画像又は水中潜航体1が測定したデータは、水面航行体2及びネットワークNを介して端末3に送信される。
【0025】
ユーザUは、湖、河川、ダム、及び養殖場などにおいて水中の様子を監視する監視員である。水中潜航体1を操作するための端末3は、ユーザUが使用するコンピュータであり、例えば、水面航行体2から受信した画像を表示する。ユーザUは、表示された画像を確認しながら、端末3を介して水中潜航体1を遠隔操作する。端末3は、水面航行体2から受信した水中潜航体1の位置を示す画像を表示し、ユーザUは、表示された位置を確認しながら水中潜航体1を遠隔操作してもよい。
【0026】
操作支援装置4は、ユーザUが行う水中潜航体1の遠隔操作を支援する情報処理装置(サーバ)である。水中潜航体1が撮像可能な範囲が限られているため、ユーザUは、水中に存在する水中構造物の存在を把握できずに、水中潜航体1を水中構造物が存在する区域に進入させてしまうことがある。水中構造物が存在する区域に水中潜航体1を進入させてしまうと、水中潜航体1や、水中潜航体1と水面航行体2を接続する通信ケーブル5が水中構造物にひっかかり、水中潜航体1の回収が困難になってしまう。
【0027】
そこで、操作支援装置4は、水中潜航体1が水面航行体2の位置から直進のみで到達できない進入禁止区域に水中潜航体1が進入したら、端末3に警報を報知させる。このようにすることで、ユーザUは、水中潜航体1が進入禁止区域に進入してしまったことを把握できる。その結果、ユーザUは、水中潜航体1を進入禁止区域から退出するように操作したり、水中潜航体1を回収しやすい位置に水面航行体2を移動させたりすることができるので、水中潜航体1を回収しやすくなる。
【0028】
以下、図2を参照しながら、操作支援システムSの各装置の構成を具体的に説明する。図2は、操作支援システムSの各装置の構成を説明するための図である。
【0029】
[水中潜航体1の構成]
水中潜航体1は、水中を撮像するためのカメラ、及び水面航行体2と通信するための通信モジュールを備える。水中潜航体1は、ユーザUの操作に従って水中を潜航しながら水中を撮像する。水中潜航体1は、水面航行体2と通信ケーブル5を用いて通信可能に接続されている。通信ケーブル5の長さは、10メートルから数百メールである。本実施形態の通信ケーブル5の長さは、20メートルである。なお、水中潜航体1は、通信ケーブル5を用いずに、水中無線通信を用いて通信可能に接続されていてもよい。
【0030】
水中潜航体1は、音響測位を用いて基準点に対する水中潜航体1の相対位置を取得する。音響測位は、例えば、Long Base Line方式、Short Base Line方式、及びUSBL(Ultra Short Base Line)方式もしくはSSBL(Super Short Base Line)方式の少なくともいずれかを用いることができる。本実施形態の水中潜航体1は、USBL方式を用いている。USBL方式の音響測位は、音波の波長と同程度の間隔で設置された各受信器が受信した音波の位相差と、各受信器で受信した信号の時間差から求められる距離に基づいて、基準点に対する相対位置を計測する方法である。基準点は、例えば水面航行体2の位置である。なお、水中潜航体1は、上記に限らず、水中潜航体1にかかる加速度を用いた慣性航法により水中潜航体1の相対位置を取得してもよい。
【0031】
[水面航行体2の構成]
水面航行体2は、水面を航行する無人機である。水面航行体2は、空中を飛行することができてもよい。水面航行体2は、水中潜航体1を搭載して、ユーザUが監視する対象である目標水域まで飛行する。水面航行体2は、目標水域に着水した後、水中潜航体1を発進させる。
【0032】
水面航行体2は、無線通信部21と、水中通信部22と、制御部23とを備える。無線通信部21は、操作支援装置4と通信するための無線通信モジュールである。無線通信部21は、例えばネットワークNを介して操作支援装置4と情報を送受信する。また、無線通信部21は、操作支援装置4を介して、端末3からの各種指示を受信したり、水中潜航体1が撮像した画像を端末3に送信したりする。
【0033】
水中通信部22は、水中潜航体1と通信するための水中通信モジュールである。水中通信部22は、例えば通信ケーブル5を介して水中潜航体1と情報を送受信する。なお、水中通信部22は、水中無線通信を用いて情報を送受信してもよい。水中無線通信は、例えば可視光通信、音波通信、及び低周波電波通信の少なくともいずれかである。水中無線通信を用いて通信可能な範囲は、例えば10メートルから数百メートルである。
【0034】
制御部23は、水面航行体2の各構成部を制御する、例えばCPUである。制御部23は、端末3に入力されたユーザUの指示に従って水面航行体2及び水中潜航体1を制御する。
【0035】
また、水面航行体2は、図示しないGPS(Global Positioning System)受信機を備え、GPS受信機が受信した電波に基づいて水面航行体2の位置を取得する。GPS受信機は、GPSの衛星から送信される電波を受信し、水面航行体2の位置を示す2次元上の座標を特定する。水面航行体2は、特定した水面航行体2の位置を操作支援装置4に送信する。
【0036】
水面航行体2の制御部23は、音響測位を用いて基準点である水面航行体2に対する水中潜航体1の相対位置を算出する。水面航行体2は、水中潜航体1の相対位置及び水面航行体2の位置に基づいて水中潜航体1の絶対位置を算出する。水中潜航体1の絶対位置は、緯度、経度及び水深を示す3次元上の座標である。水面航行体2は、算出した絶対位置を水中潜航体1及び操作支援装置4に送信する。
【0037】
[操作支援装置4の構成]
操作支援装置4は、通信部41と、記憶部42と、制御部43とを有する。
【0038】
通信部41は、端末3及び水面航行体2と通信するための通信モジュールである。通信部41は、ネットワークNを介して端末3及び水面航行体2と情報を送受信する。通信部41は、ユーザUが端末3に入力した指示を水面航行体2に送信する。また、通信部41は、水中潜航体1が撮像した画像を端末3に送信する。
【0039】
記憶部42は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部42は、制御部43が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部42は、水中潜航体1が潜航する水中に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を記憶している。水中構造物情報は、水中潜航体1が潜航する水中に存在する水中構造物の設計図等に基づき予め作成されている。水中構造物は、例えば橋げた、護岸、ダムである。
【0040】
制御部43は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部43は、記憶部42に記憶されたプログラムを実行することにより、位置取得部431、構造物情報取得部432、区域設定部433、報知部434、移動制御部435及び表示制御部436としての機能を実現する。
【0041】
位置取得部431は、水中潜航体1の位置及び水面航行体2の位置を水面航行体2から取得する。位置取得部431は、水中潜航体1の位置を取得する毎に記憶部42に記憶させることにより、水面航行体2に搭載された水中潜航体1が水面航行体2から発進してから現在までの水中潜航体1の位置を示す潜航軌跡を記憶部42に記憶させる。
【0042】
構造物情報取得部432は、記憶部42に記憶された水中構造物情報を取得する。例えば、構造物情報取得部432は、水面航行体2の位置を含む所定範囲内に存在する水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得する。所定範囲は、例えば水中潜航体1が潜航可能な範囲である。水中潜航体1と水面航行体2が通信ケーブル5で接続されている場合、構造物情報取得部432は、例えば、通信ケーブル5を送り出せる最大の長さ(最大送出長)である20メートル以内に存在する水中構造物を示す水中構造物情報を取得する。
【0043】
図3は、水中潜航体1が潜航可能な範囲を説明するための図である。破線rは、通信ケーブル5の最大送出長を示す。水中潜航体1は、水面航行体2の位置を中心とし、通信ケーブル5の最大送出長を半径とする半球A内を潜航することができる。この場合、構造物情報取得部432は、半球A内に存在する水中構造物を示す水中構造物情報を取得する。なお、半球Aの底面は、水面に含まれている。
【0044】
区域設定部433は、水中潜航体1が進入すべきでない進入禁止区域及び警報区域を設定する。例えば、区域設定部433は、水中構造物が存在することにより水中潜航体1が水面航行体2の位置から直進のみで到達できない領域を進入禁止区域に設定する。また、区域設定部433は、水中潜航体1が進入すべきでない領域の入力を受け付け、受け付けた領域を進入禁止区域に設定してもよい。この場合、ユーザUは、水中潜航体1が進入すべきでない領域を端末3に入力できる。警報区域は、進入禁止区域に隣接する所定の領域である。
【0045】
図4は、進入禁止区域と警報区域を説明するための図である。図4において、右上がりの斜線領域は、進入禁止区域7である。図4において、縦線の領域は警報区域8である。進入禁止区域7は、水面航行体2の位置を起点として水中構造物6と交わる複数の直線における、水中構造物6に対して水面航行体2と反対側の領域である。区域設定部433は、水面航行体2の位置が変化した場合、進入禁止区域7を再度設定する。このようにすることで、区域設定部433は、水流や風の影響を受けて水面航行体2の位置が変化しても適切な進入禁止区域7を設定できる。
【0046】
区域設定部433は、進入禁止区域7に隣接する所定の領域を警報区域8に設定する。警報区域8は、例えば進入禁止区域7と警報区域8との境界からの距離が所定距離以内の領域である。区域設定部433は、例えば水中潜航体1が潜航する水中の水流の速さが大きいほど所定距離を大きくしてもよい。所定距離の具体的な値は例えば5メートルである。
【0047】
区域設定部433は、水中測位の誤差が大きくなるほど広くなるように警報区域8を設定してもよい。具体例を挙げると、水中潜航体1と水面航行体2の距離が大きいほど水中測位の誤差が大きくなるので、区域設定部433は、水面航行体2からの距離が大きいほど、進入禁止区域7と警報区域8との境界からの所定距離を長くした警報区域8を設定する。また、区域設定部433は、水中潜航体1の移動速度が速いほど警報区域を広くしてもよく、水中雑音が大きいほど警報区域8を広くしてもよい。区域設定部433は、再設定した進入禁止区域7に応じて警報区域8も再設定する。
【0048】
水中潜航体1は、進入禁止区域7に到達するためには、水面航行体2を通る直線に沿った経路では到達できず、水中構造物6を迂回する経路や旋回する経路に沿って潜航する必要がある。このように、水中構造物6を迂回する経路や旋回する経路に沿って水中潜航体1が潜航すると、水中潜航体1や通信ケーブル5が水中構造物6にひっかかってしまい、水中潜航体1の回収が困難になる。そのため、進入禁止区域7は、水中潜航体1が進入すべきでない領域である。
【0049】
図4に示すとおり、警報区域8は、進入禁止区域7に隣接している。警報区域8は、水中潜航体1が進入禁止区域7に進入してしまうおそれがあるため、ユーザUに注意を促すための警報を報知すべき領域である。
【0050】
報知部434は、進入禁止区域7に隣接する警報区域8に水中潜航体1が進入したら、警報区域8に進入したことを示す第1警報を報知する。言い換えると、報知部434は、水中潜航体1の位置が警報区域8に含まれている場合に、端末3を介してユーザUに第1警報を報知する。第1警報は、例えば「進入禁止区域7に近づきました」という音声メッセージ、又はビープ音である。このようにすることで、ユーザUは、水中潜航体1が進入禁止区域7に近づいていることを把握できるので、水中潜航体1が警報区域8から進入禁止区域7に進入しないように水中潜航体1を操作できる。そして、報知部434は、水中潜航体1が警報区域8から退出して、水中潜航体1の位置が警報区域8外に含まれる場合、第1警報を停止させる。
【0051】
報知部434は、水中潜航体1が進入禁止区域7に入ったら、進入禁止区域7に進入したことを示す第2警報を報知する。言い換えると、報知部434は、水中潜航体1の位置が進入禁止区域7に含まれている場合に、端末3を介してユーザUに第2警報を報知する。第2警報は、第1警報と異なる警報であり、例えば「進入禁止区域7に入りました」という音声メッセージ、又は第1警報よりも大きなビープ音である。報知部434は、水中潜航体1の位置が進入禁止区域7に含まれている間、第2警報を報知し続ける。報知部434は、水中潜航体1が進入禁止区域7から退出して、水中潜航体1の位置が進入禁止区域7外に含まれる場合、第2警報を停止する。
【0052】
このようにすることで、ユーザUは、水中潜航体1が進入禁止区域7に進入したことを把握できる。その結果、ユーザUは、水中潜航体1を進入禁止区域7から退出するように操作したり、水中潜航体1を回収しやすい位置に水面航行体2を移動させたりすることができるので、水中潜航体1を回収しやすくなる。
【0053】
移動制御部435は、水中潜航体1の潜航を制御する。例えば、移動制御部435は、水中潜航体1が進入禁止区域7に進入した後に、水中潜航体1の潜航を停止させる。また、移動制御部435は、水中潜航体1の現在の位置を維持するように水中潜航体1を潜航させてもよい。このようにすることで、移動制御部435は、水中潜航体1が進入禁止区域7に進入した位置に水中潜航体1を留めておくことができるので、水中潜航体1が進入禁止区域7の奥に向かって潜航してしまうことを抑制できる。
【0054】
移動制御部435は、水中潜航体1が進入禁止区域7に入った後、水中潜航体1が進入した進入禁止区域7に隣接する警報区域8のうち、水中潜航体1の位置から最も近い位置に水中潜航体1を潜航させる。また、移動制御部435は、潜航軌跡に沿って水面航行体2に向かうように水中潜航体1を潜航させてもよい。このようにすることで、移動制御部435は、水中潜航体1が進入禁止区域7に進入しても、水面航行体2が水中潜航体1を回収可能な位置に水中潜航体1を移動させることができる。
【0055】
移動制御部435は、水中潜航体1に替えて水面航行体2を航行させてもよい。例えば、移動制御部435は、水中潜航体1や通信ケーブル5が水中構造物6にひっかかるおそれがあり、進入禁止区域7に入った水中潜航体1を移動させられない場合に水面航行体2を航行させる。具体的には、移動制御部435は、水面航行体2の位置と水中潜航体1の位置とが、水中構造物を通らない一の直線上に並ぶように水面航行体2を航行させる。この場合、区域設定部433は、水面航行体2の位置と水中潜航体1の位置とが、水中構造物を通らない一の直線上に並ぶ一以上の領域を一以上の移動可能領域に設定する。移動可能領域は、水中潜航体1の位置から水中潜航体1が直進のみで到達可能な水面の領域である。
【0056】
図5は、移動可能領域9を説明するための図である。図5の右下がりの斜線で塗りつぶした領域は、移動可能領域9である。区域設定部433は、図5に示す水中潜航体1を起点として水中構造物と交わらない複数の直線で構成される領域を移動可能領域9に設定する。
【0057】
そして、移動制御部435は、一以上の移動可能領域9のうち、水面航行体2の位置から最も近い位置Pに水面航行体2を移動させる。具体的には、移動制御部435は、水面航行体2に水面を航行させて、水面航行体2を位置Pに移動させる。また、移動制御部435は、飛行可能な水面航行体2に空中を飛行させて、水面航行体2を位置Pにおいて着水させてもよい。このように、移動制御部435は、水中潜航体1が移動できなくとも、水中潜航体1を回収しやすい位置に水面航行体2を移動させるので、水中潜航体1の回収が容易になる。
【0058】
また、移動制御部435は、移動可能領域9のうち、水面航行体2が直線のみで移動可能であり、水中潜航体1から最も近い位置Qに水面航行体2を移動させてもよい。このようにすることで、移動制御部435は、水中潜航体1を回収するために水中潜航体1を移動させる距離を短くすることができる。
【0059】
移動制御部435は、進入禁止区域7に進入した水中潜航体1を移動させられない場合、水中潜航体1が水中を潜航した軌跡を水面に写像した2次元の軌跡に沿って水面航行体を航行させてもよい。移動制御部435は、潜航軌跡を水面に写像した水面軌跡に沿って、水面航行体2の位置から水中潜航体1の位置を水面上に写像した位置まで、水面航行体2を航行させる。このようにすることで、移動制御部435は、進入禁止区域7に進入した水中潜航体1の位置が取得できなくなっても、水中潜航体1を回収できる蓋然性が高い位置に水面航行体2を移動させることができる。
【0060】
表示制御部436は、水中潜航体1が潜航する水中の水中地図を、水中潜航体1を操作するための端末3の表示部31に表示させる。例えば、表示制御部436は、水中構造物と、進入禁止区域7と、水中潜航体1の位置と、水面航行体2の位置とを重ね合わせた水中地図を端末3に送信する。端末3は、表示制御部436から送信された水中地図を表示部31に表示させる。また、表示制御部436は、上記に加えて、警報区域8を重ね合わせた水中地図を表示させてもよい。このようにすることで、表示部31に表示された水中地図を確認したユーザUは、水中潜航体1及び水面航行体2の位置や、水中構造物、進入禁止区域7及び警報区域8の位置及び形状を確認できる。その結果、ユーザUは、進入禁止区域7及び警報区域8に水中潜航体1が近付かないように水中潜航体1を操作できる。
【0061】
[操作支援装置4が実行する処理]
図6は、操作支援装置4が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、水中潜航体1が水面航行体2から発進した後、所定時間毎に実行される。所定時間は、例えば1秒である。また、構造物情報取得部432は、水中潜航体1が潜航する水中の水中構造物情報を取得している。
【0062】
まず、位置取得部431は、水面航行体2及び水中潜航体1の位置を取得する(ステップS1)。具体的には、位置取得部431は、水面航行体2が取得した水面航行体2の位置及び水中潜航体1の位置を、水面航行体2からネットワークNを介して取得する。
【0063】
次に、区域設定部433は、水中潜航体1が進入すべきでない進入禁止区域7と、進入禁止区域に隣接する警報区域8とを設定する(ステップS2)。具体的には、まず、区域設定部433は、水中構造物が存在することにより水中潜航体1が水面航行体2の位置から直進のみで到達できない領域を進入禁止区域7に設定する。続いて、区域設定部433は、進入禁止区域7に隣接し、水面航行体2からの距離が大きくなるほど広くなる警報区域8を設定する。
【0064】
報知部434は、水中潜航体1の位置が警報区域8内であるか否かを判定する(ステップS3)。報知部434は、水中潜航体1の位置が警報区域8内である場合(ステップS3でYes)、水中潜航体1が警報区域8に進入したことを示す第1警報を端末3に報知させる(ステップS4)。
【0065】
移動制御部435は、水中潜航体1の位置が警報区域8外である場合(ステップS3でNo)、又はステップS4で第1警報を報知させた後、水中潜航体1の位置が進入禁止区域7内か否かを判定する(ステップS5)。報知部434は、水中潜航体1の位置が進入禁止区域7外である場合(ステップS5でNo)、ステップS1に戻る。
【0066】
移動制御部435は、水中潜航体1の位置が進入禁止区域7内である場合(ステップS5でYes)、水中潜航体1の潜航を停止させる(ステップS6)。そして、移動制御部435は、水中潜航体1が進入禁止区域7から退出するように水中潜航体1を移動させる(ステップS7)。例えば、移動制御部435は、水中潜航体1が進入した進入禁止区域7に隣接する警報区域8のうち、水中潜航体1の位置から最も近い位置に水中潜航体1を潜航させる。
【0067】
移動制御部435は、水中潜航体1を潜航させた後、水中潜航体1が進入禁止区域7から退出したか否かを判定する(ステップS8)。移動制御部435は、水中潜航体1が進入禁止区域7から退出した場合(ステップS8でYes)、ステップS1に戻る。
【0068】
移動制御部435は、水中潜航体1が進入禁止区域7内に留まっている場合(ステップS8でNo)、水中潜航体1を回収可能な位置に水面航行体2を移動させる(ステップS9)。例えば、移動制御部435は、水面航行体2と水中潜航体1が水中構造物を通らない一の直線上に並ぶように設定された水面上の移動可能領域9に、水面航行体2を航行させる。
【0069】
(変形例1)
上記の実施形態に限らず、水面航行体2である船舶が、水中潜航体1を搭載して目標水域まで水上を航行してもよい。船舶は操作支援装置4及び端末3を搭載し、船舶上でユーザUが端末3を介して水中潜航体1を操作してもよい。
【0070】
(変形例2)
水面航行体2は、航行及び飛行しなくてもよく、例えば端末3と通信可能なブイでもよい。ブイである水面航行体2は、例えば太陽光発電システム等の発電システムを有し、外部からの電力供給がなくとも機能するのが望ましい。
【0071】
(変形例3)
移動制御部435は、水中潜航体1が進入禁止区域7に入った場合、水面航行体2を飛行させてもよい。この場合、構造物情報取得部432は、水面航行体2と水中潜航体1が水中構造物を通らない一の直線上に並ぶ一以上の空中の領域を一以上の移動可能領域に設定する。そして、移動制御部435は、空中に設定された移動可能領域のうち、水面航行体2の位置から最も近い位置に向かうように水面航行体2を飛行させる。
【0072】
(変形例4)
操作支援装置4は、サーバでなくともよく、例えば端末3又は水面航行体2に搭載されていてもよい。また、端末3又は3が操作支援装置4と同様の機能を実現するためのプログラムを実行することにより、端末3又は水面航行体2が操作支援装置4として機能してもよい。
【0073】
(変形例5)
区域設定部433は、水中潜航体1が進入すべきでない領域の入力を受け付けた場合、入力を受け付けた進入禁止領域への進入を許可する水中潜航体1の設定を受け付けてもよい。具体的には、区域設定部433は、水中潜航体1が進入すべきでない領域への進入を許可する水中潜航体1を識別するための識別情報を端末3から取得する。この場合、報知部434は、進入禁止区域への進入が許可された水中潜航体1が進入禁止区域に進入しても警報を報知しない。言い換えると、報知部434は、進入禁止区域7に位置が含まれている水中潜航体1が、当該進入禁止区域7への進入が許可されている場合、警報を報知しない。
【0074】
(変形例6)
構造物情報取得部432は、ユーザUが端末3に入力した水中構造物の位置及び形状を示す水中構造物情報を取得してもよい。この場合、ユーザUは、水中構造物だけでなく、水中潜航体1を潜航させる水中で水中潜航体1が進入すべきでない領域を水中構造物として入力できる。例えば、ユーザUは、水中潜航体1を潜航させる水中において、他の装置が存在する領域や、他の船舶の航行を妨げるおそれがある領域などを水中構造物として入力できる。この場合、区域設定部433は、ユーザUが入力した水中構造物を含む領域を進入禁止区域に設定する。また、区域設定部433は、水中構造物を囲む領域を進入禁止区域に設定してもよい。
【0075】
[操作支援装置4の効果]
以上説明したとおり、操作支援装置4は、水中構造物が存在することにより水中潜航体1が水面航行体2の位置から直進のみで到達できない進入禁止区域7に水中潜航体1が進入したら、警報を報知する。このようにすることで、操作支援装置4は、水中潜航体1が進入禁止区域に進入してしまったことをユーザUに知らせることができる。その結果、ユーザUは、水中潜航体1を進入禁止区域から退出するように操作したり、水中潜航体1を回収しやすい位置に水面航行体2を移動させたりすることができるので、水中潜航体1を回収しやすくなる。
【0076】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0077】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0078】
S 操作支援システム
1 水中潜航体
2 水面航行体
21 無線通信部
22 水中通信部
23 制御部
3 端末
31 表示部
4 操作支援装置
41 通信部
42 記憶部
43 制御部
431 位置取得部
432 構造物情報取得部
433 区域設定部
434 報知部
435 移動制御部
436 表示制御部
5 通信ケーブル
6 水中構造物
7 進入禁止区域
8 警報区域
9 移動可能領域
N ネットワーク
U ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6