(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】家具部品用接続システム
(51)【国際特許分類】
F16B 12/20 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
F16B12/20 Z
F16B12/20 E
(21)【出願番号】P 2021543324
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2020051786
(87)【国際公開番号】W WO2020156954
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-05
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521325743
【氏名又は名称】ビロックス、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VILOX AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ボビー、マルコビスキー
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-528442(JP,A)
【文献】特表2012-511986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0000220(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0230600(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0027967(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 12/00- 12/60
F16B 5/00- 5/12
A47B 43/00- 45/00
A47B 47/00- 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1家具部品(10)に形成された雌型連結凹部(30)と、
隣接する第2家具部品(20)の基部面(43)から突出する雄型連結舌部(40)と、
前記第1家具部品(10)の前記雌型連結凹部(30)の第1側(115)に配置された上方ガイド面(110)と、
前記第1家具部品(10)の前記雌型連結凹部(30)の第2側(116)であって、前記第1側(115)の反対側に位置する第2側(116)に配置された下方ガイド面(130)と、
を備える、家具部品(10、20)用の接続システム(1)であって、
前記第1家具部品(10)は、前記雌型連結凹部の2つの側に基部面(21)を含み、
前記第2家具部品(20)の前記基部面(43)は、前記雄型連結舌部の2つの側に延び、前記雌型連結凹部(30)は、前記雄型連結舌部(40)を受容するように適合され、前記雄型連結舌部(40)は、前記雌型連結凹部(30)の対応する第2係止要素(60)とスナップ接続噛み合い係合するように構成された第1係止要素(50)を含み、前記雄型連結舌部(40)は、前記雌型連結凹部(30)より高い可撓性を有するように成形されるともに、前記スナップ接続噛み合い係合を生じさせるように第1方向に偏向するように成形され、
前記上方ガイド面(110)は、前記雄型連結舌部(40)の挿入時に前記雄型連結舌部(40)のためのガイド部を形成するとともに、前記雌型連結凹部(30)の前記第1側(115)に向かう方向における前記雄型連結舌部(40)の移動を制限し、
前記下方ガイド面(130)は、前記雄型連結舌部(40)と係合して前記雄型連結舌部(40)を強制的に弾性偏向させるように構成され、前記雄型連結舌部(40)の前記第1係止要素(50)が前記雌型連結凹部(30)の対応する前記第2係止要素(60)と互いにスナップするまで、前記雄型連結舌部(40)は、そのさらなる挿入時に、前記雄型連結舌部(40)が前記上方ガイド面(110)と係合した状態で前記雌型連結凹部(30)の前記第1側(115)に向かって偏向移動しながら、前記第1方向に弾性偏向するように成形される接続システムにおいて、
前記下方ガイド面(130)は、その最下端部(160)において、前記雌型連結凹部(30)の雌型連結凹部方向(31)に対して本質的に平行に延びる側方係止面(170)に移行し、前記接続システムが接続状態にあるとき、前記雄型連結舌部の2つの側に延びる前記基部面(43)は、前記雌型連結凹部の2つの側における前記基部面(21)に接するように構成される、
接続システム。
【請求項2】
前記下方ガイド面(130)は、前記雄型連結舌部(40)と係合するように構成され、前記雄型連結舌部(40)の前記第1係止要素(50)が前記雌型連結凹部(30)の対応する前記第2係止要素(60)と互いにスナップするまで、前記雄型連結舌部(40)は、そのさらなる挿入時に、前記上方ガイド面(110)と係合した状態で前記雌型連結凹部(30)の前記第1側(115)に向かってJ字形状に偏向移動しながら、弾性偏向するように構成される、
請求項1に記載の接続システム。
【請求項3】
前記第1係止要素は、前記雄型連結舌部(40)から延びる
凸部(240)を含
み、
前記凸部(240)は、前記雄型連結舌部(40)が前記第2家具部品(20)の前記基部面(43)から突出する方向及び前記凸部(240)が前記雄型連結舌部(40)から延びる方向に沿った断面において、連続的に湾曲した球形状である、
請求項1または2に記載の接続システム。
【請求項4】
前記第2係止要素(60)は、前記
凸部との噛み合い係合のために、前記
凸部と少なくとも部分的に一致する凹状係止溝(270)を含む、
請求項3に記載の接続システム。
【請求項5】
前記上方ガイド面(110)は、前記雌型連結凹部(30)の前記雌型連結凹部方向(31)に対して本質的に平行に延び、前記上方ガイド面(110)は、前記雌型連結凹部(30)の前記第2係止要素(60)から、前記雌型連結凹部(30)の挿入開口(32)に向かう方向にまっすぐに延びる、
請求項1または2に記載の接続システム。
【請求項6】
前記下方ガイド面(130)は湾曲している、
請求項1~5のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項7】
前記下方ガイド面(130)は、前記雌型連結凹部(30)の前記雌型連結凹部方向(31)に対して傾斜している、
請求項1~6のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項8】
前記
雌型連結凹部(30)は、前記第1家具部品(10)と一体的に形成され、前記
雄型連結舌部(40)は、前記第2家具部品(20)と一体的に形成される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項9】
側部支持面(181)が前記第2家具部品(20)の雄型連結舌部(40)の基部(41)から、前記第1家具部品(10)の支持面(171)に対して直接隣接するように垂直に延びることにより、前記第1家具部品(10)と前記第2家具部品(20)との間の係止接続状態における対称的な側方安定性および耐曲げ性が提供される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項10】
前記雄型連結舌部(40)の基部(41)における幅(A)は、前記雄型連結舌部(40)の前記第1係止要素(50)における前記雄型連結舌部(40)の幅(B)より大きい、
請求項1~9のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項11】
前記雄型連結舌部(40)の挿入時に、前記下方ガイド面(130)が前記雄型連結舌部(40)に係合して前記雄型連結舌部(40)を強制的に弾性偏向させる前に、前記第1係止要素(50)は、それが前記上方ガイド面(110)の縁部(42)に接するように延び、前記雄型連結舌部(40)は、前記第2家具部品(20)の前記基部面(43)から延び、
前記第2家具部品(20)の前記基部面(43)は、前記雄型連結舌部(40)の長手方向(245)に対して垂直に延び、長さ(D)は、
前記第2家具部品(20)の前記基部面(43)から前記縁部(42)まで延び、前記側方係止面(170)は、前記雌型連結凹部の前記雌型連結凹部方向(31)から上方縁部(44)において角度を付けられ、長さ(C)は、
前記第2家具部品(20)の前記基部面(43)から前記上方縁部(44)まで延び、DはCより小さい、
請求項1~10のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項12】
前記第1係止要素(50)が前記上方ガイド面(110)の前記縁部(42)に接するとき、前記長さCは、前記雄型連結舌部(40)のその長手方向(245)に沿った前記長さFより小さい、
請求項11に記載の接続システム。
【請求項13】
前記雄型連結舌部(40)のその長手方向(245)に沿った前記長さ(F)は、前記雌型連結凹部(30)の深さ(P)より小さい、
請求項1~12のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項14】
前記下方ガイド面(130)が前記雄型連結舌部(40)に係合する前に、前記第1係止要素(50)は、それが前記上方ガイド面(110)の縁部(42)に接するように延び、前記雌型連結凹部(30)は、前記第1家具部品(10)の前記基部面(21)から凹み、
前記第1家具部品(10)の前記基部面(21)は、前記雌型連結凹部(30)の長手方向に対して垂直に延び、長さ(E)は
前記第1家具部品(10)の前記基部面(21)から前記縁部(42)まで延び、前記雄型連結舌部(40)は、前記雄型連結舌部(40)の長手方向(245)に対して本質的に平行であって前記第2側(116)に面する鉛直面(45)を有する基部(41)を含み、前記鉛直面(45)は、前記長手方向(245)に対して縁部(46)において傾斜面(47)に移行し、前記雄型連結舌部(40)は、前記第2家具部品(20)の基部面(43)から延び、
前記第2家具部品(20)の前記基部面(43)は前記長手方向(245)に対して垂直に延び、長さ(K)は、
前記第2家具部品(20)の前記基部面(43)から前記縁部(46)まで延び、EはKより小さい、
請求項1~13のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項15】
前記雄型連結舌部(40)は、前記雄型連結舌部(40)の長手方向(245)に対して本質的に平行であって前記第2側(116)に面する鉛直面(45)を有する基部(41)を含み、前記側方係止面(170)と第1係止要素(50)と前記鉛直面(45)とは、前記雄型連結舌部(40)を、前記長手方向(245)対して垂直である水平方向に係止する、
請求項1~14のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項16】
前記雄型連結舌部(40)は、前記雄型連結舌部(40)の長手方向(245)に対して本質的に平行であって前記第2側(116)に面する鉛直面(45)を有する基部(41)を含み、前記鉛直面(45)は、前記長手方向(245)に対して傾斜面(47)に移行し、前記傾斜面(47)は、接続状態において、前記雌型連結凹部(30)の対向する第2傾斜面(48)に面し、前記第2傾斜面(48)は前記側方係止面(170)に移行し、接続状態において、前記傾斜面(47)と前記第2傾斜面(48)とは、距離(d1)だけ離間する、
請求項1~15のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項17】
前記上方ガイド面(110)は、接続状態において、前記雄型連結舌部(40)の対向する第2面(49)に面し、接続状態において、前記ガイド面(110)と前記第2面(49)とは距離(d2)だけ離間する、
請求項1~16のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項18】
前記雄型連結舌部(40)は、前記雄型連結舌部(40)の外郭を規定する取り外し可能な係止要素(240)を含み、前記
取り外し可能な係止要素(240)は、前記雌型連結凹部(30)内に配置されるように構成され、
前記取り外し可能な係止要素(240)は、
前記第1係止要素(50)を含む、
請求項1~17のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項19】
前記雄型連結舌部(40)は、各嵌め合い面(243、244)の噛み合い位置において前記取り外し可能な係止要素(240)のキャビティ(242)の内部に配置可能なコア部(241)を含み、これにより、前記取り外し可能な係止要素(240)は、前記雄型連結舌部(40)の前記外郭を規定し、前記嵌め合い面は、前記雄型連結舌部(40)の長手方向(245)に対して少なくとも部分的に対称に整列し、これにより、前記取り外し可能な係止要素(240)は、前記第1係止要素(50)が第1径方向(r1)に延びる第1位置、および前記第1係止要素(50)が前記第1径方向(r1)と反対の第2径方向(r2)に延びる第2方向において、前記コア部の周囲に配置可能である、
請求項18に記載の接続システム。
【請求項20】
前記取り外し可能な係止要素(240)は、全体としてU字形状を有する、
請求項18または19に記載の接続システム。
【請求項21】
前記雌型連結凹部(30)は、前記第1家具部品(10)の長さ(L)に沿って延び、前記
取り外し可能な係止要素(240)は、前記噛み合い係合にあるとき、前記雌型連結凹部(30)から押し出されて前記第1および第2家具部品(10、20)から取り外されるように、前記長さ(L)に沿って前記雄型連結舌部(40)に対して摺動可能であり、これにより、取り外し時の前記第1家具部品(10)と前記第2家具部品(20)との意図的な分離が可能とされる、
請求項1
8~20のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項22】
前記第1係止要素(50)は、前記第2家具部品(20)の長さ(L’)に沿う前記雄型連結舌部(40)の断続長さ(L1’)に沿って延び、前記断続長さ(L1’)は、雄型分断セクション(L2’)により分離され、前記第2係止要素(60)は、前記第1家具部品(0)の長さ(L)に沿う前記雌型連結凹部(30)の断続長さ(L1)に沿って延び、前記断続長さ(L1’)は、雌型分断セクション(L2)より分離され、これにより、前記第1および第2家具部品は、前記噛み合い係合において、前記長さ(L、L’)に沿って、分断状態になるまで互いに摺動可能であり、前記分断状態において、前記雄型分断セクション(L2’)は前記第2係止要素(60)に重なり、前記雌型分断セクション(L2)は前記第1係止要素(50)に重なることで、前記第1家具部品(10)と前記第2家具部品(20)との意図的な分離が可能とされる、
請求項1~21のいずれか一項に記載の接続システム。
【請求項23】
前記第1および第2家具部品(10、20)は、傾斜したコーナー面(301)に沿ってそのコーナー接続部(300)において接続され、前記第1および第2家具部品(10、20)は、前記第2家具部品に凹部(304)として、および前記第1家具部品(10)に凸部(303)として形成された相互噛み合い面を含み、前記凹部(304)は、前記雄型連結舌部(40)と前記コーナー接続部(300)のコーナー縁部(302)との間に配置される、
請求項1~22のいずれか一項に記載の接続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1家具部品に形成された雌型連結凹部を備える、家具部品用の接続システムに関する。雌型連結凹部は、隣接する第2家具部品から突出する雄型連結舌部を受容するように適合されている。
【背景技術】
【0002】
近年、家具業界では、釘やボルト・ナット接続要素を使用した伝統的な締結接続方法に代わり、種々のスナップ係止接続システムが用いられるようになっている。この傾向により、例えば本棚、衣装箪笥、食器棚等の家具の設置が非常に容易になっている。このような接続システムの一例は、US 9 714 672(B2)に記載されている。この例では、パネルのセットが、第1主平面を有する第1パネルと、第2主平面を有する第2パネルとを含んでいる。パネルは、第1パネルの第1縁部を第2パネルの第2縁部に係止するための機械的係止装置を設けられている。機械的係止装置は、第1縁部に縁部セクション溝を含み、第2縁部の縁部セクションが縁部セクション溝に挿入可能である。可撓性舌部が、縁部セクション溝に設けられた挿入溝に予め嵌め込まれて、第2パネルの縁部セクションに設けられた舌部溝と協働する。先行技術の接続システムは複雑であるため製造プロセスが複雑になり高価になる、という問題がある。先行技術のさらなる問題点は、特定の荷重方向での安定性の欠如である。一部の例では、構造的な対称性がないため、側方安定性および耐曲げ性が不十分である。ある方向の力を受けた場合の安定性は十分であるかもしれない。別の方向、通常は反対方向に力を受けた場合には、先行技術の接続システムは弱く、最終的に不所望に屈曲、偏向、または曲がる可能性がある。家具の設計に際して接続部のこのような不均一な安定性を考慮する必要があるため、設計プロセスにおいて採り得る設計の選択肢が制限される場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、先行技術の単数または複数の制限を少なくとも部分的に克服することである。具体的には、本発明の目的は、既存の接続システムと比較して、製造が複雑でなく、多方向の側方安定性が向上された頑丈な改良された接続システムを提供することである。
【0004】
本発明の第1態様において、本目的は、第1家具部品に形成された雌型連結凹部と、隣接する第2家具部品から突出する雄型連結舌部と、を備える家具部品用の接続システムであって、前記雌型連結凹部は前記雄型連結舌部を受容するように適合され、雄型連結舌部は、前記雌型連結凹部の対応する第2係止要素とスナップ接続噛み合い係合するように構成された第1係止要素を含み、雄型連結舌部は、雌型連結凹部よりも可撓性を有するように構成される接続システムにより達成される。接続システムは、第1家具部品の雌型連結凹部の第1側に配置された上方ガイド面であって、雄型連結舌部の挿入時に雄型連結舌部に対する本質的に非弾性のガイド部を形成するとともに、雌型連結凹部の第1側に向かう方向への雄型連結舌部の移動を制限する上方ガイド面を備える。接続システムは、第1家具部品の雌型連結凹部の第2側であって、前記第1側の反対側に位置する第2側に配置された下方ガイド面を備える。雄型連結舌部の第1係止要素が雌型連結凹部の対応する第2係止要素と互いにスナップするまで、前記下方ガイド面は、雄型連結舌部を、そのさらなる挿入時に、前記上方ガイド面と係合させた状態で雌型連結凹部の前記第1側に向かって偏向移動させながら強制的に弾性偏向させるように構成される。下方ガイド面は、その最下端部において、雌型連結凹部の長手方向に対して本質的に平行に延びる側方係止面に移行する。前記側方係止面は、水平方向圧力を、雄型連結舌部に、雌型連結凹部の第1側に向けて及ぼすように構成され、これにより、第1家具部品と第2家具部品との接続状態において、雄型連結舌部および雌型連結凹部の第1係止要素と第2係止要素とは互いに係合した状態に保持される。
【0005】
雄型連結舌部の第1係止要素が雌型連結凹部の対応する第2係止要素と互いにスナップするまで、雄型連結舌部を、そのさらなる挿入時に、上方ガイド面と係合させた状態で雌型連結凹部の第1側に向かって偏向移動させながら強制的に弾性偏向させるように構成された下方ガイド面を有することにより、多方向の側方安定性を有する頑丈な接続システムでありながら、製造が複雑でない接続システムが提供される。
【0006】
本発明のさらなる目的は、先行技術の単数または複数の制限を少なくとも部分的に克服することである。具体的には、本発明の目的は、製造が複雑でなく、より頑丈でありながら所望の場合には簡単に組立及び分解可能な、家具部品用の改善された接続システムを提供することである。
【0007】
本発明の一態様において、本目的は、第1家具部品に形成された雌型連結凹部と、隣接する第2家具部品から突出する雄型連結舌部と、を備える家具部品用の接続システムにより達成される。雌型連結凹部は、雄型連結舌部を受容するように適合されており、雄型連結舌部は、前記雌型連結凹部の対応する第2係止要素とスナップ接続噛み合い係合するように構成された第1係止要素を含む。第1係止要素は、雄型連結舌部と一体的に形成される可撓性係止凸部であって、雄型連結舌部から横方向に延びる可撓性係止凸部を含む。前記雌型連結凹部の第2係止要素は、前記噛み合い係合のために可撓性係止凸部を受容する係止溝を含む。雌型連結凹部は、雌型連結凹部に係止されたときに雄型連結舌部の可撓性係止凸部に面する開放端部を有する連結解除チャネルを含む。連結解除チャネルは、連結解除ロッドを受容するように適合されており、連結解除ロッドは、第1家具部品を第2家具部品から意図的に分離するように、可撓性係止凸部と係合して可撓性係止凸部を強制的に屈曲させて雌型連結凹部の係合溝との係合から解除する。
【0008】
本発明のさらなる態様において、本目的は、家具部品用の接続システムを係止解除するための方法により達成される。本方法は、第1家具部品を第2家具部品から意図的に分離するように、連結解除ロッドを連結解除チャネルに挿入して、可撓性係止凸部を強制的に屈曲させて雌型連結凹部の係合溝との係合から解除することによる、第1態様による接続システムを係止解除するステップを備える。
【0009】
雄型連結舌部と一体的に形成された可撓性係止凸部と、可撓性係止凸部を受容する係止溝を含む雌型連結凹部と、可撓性係止凸部に面する開放端部を有する連結解除チャネルとを有することにより、製造が複雑でなく、頑丈でありながら所望の場合には簡単に分解可能な接続システムが提供される。
【0010】
連結解除チャネルは、雌型連結凹部の長手方向に対して傾斜し得る。連結解除チャネルは、雌型連結凹部の長手方向に対して、130~160度の区間、有利には136~146度の区間にある傾斜角度で傾斜し得る。他の有利な例において、連結解除チャネルの傾斜角度は、本質的に141度である。
【0011】
可撓性係止凸部は、雄型連結舌部の長手方向に対して傾斜し得る。可撓性係止凸部は、雄型連結舌部の長手方向に対して、40~73度の有利な区間にある傾斜角度で傾斜し得る。他の有利な例において、可撓性係止凸部の傾斜角度は、本質的に64度であり得る。
【0012】
連結解除ロッドは、全体として矩形の断面を有し得る。あるいは、連結解除ロッドは、2つの横方向に延びる端部の間に位置する中央腰部を有する全体としてI形梁形状の断面を有している。
【0013】
連結解除ロッドは、少なくとも部分的にテーパを付けられて、その先端部から、またはこれから距離を置いてその基部に向かって増大する断面積を有し得る。連結解除ロッドは、一定の断面積を有するとともに前記先端部からテーパ状係止解除セクションまで延びる導入セクションを含み得る。テーパ状係止解除セクションは、前記連結解除ロッドの基部530に向かって増大する断面積を有している。
【0014】
テーパ状係止解除セクションの長さは、導入セクションの長さを超え得る。導入セクションの長さは、テーパ状係止解除セクションの長さの30%~50%であり得る。導入セクションの長さは、テーパ状係止解除セクション長さの40%であり得る。
【0015】
一例において、テーパ状係止解除セクションは、直線的なテーパ輪郭を含んでいる。別の例において、テーパ状係止解除セクションは、非直線的なテーパ輪郭を含んでいる。このような実施形態において、テーパ状係止解除セクションは、凹状テーパ輪郭を含み得る。テーパ状係止解除セクションは、凸状テーパ輪郭を含み得る。
【0016】
雄型連結舌部の可撓性係止凸部が雌型連結凹部の係止溝に着座している場合、連結解除チャネルの長手方向軸と可撓性係止凸部の長手方向軸とは、第1交差角度で交差する。連結解除ロッドが前記可撓係止凸部と雌型連結凹部の係止溝との間の解除点に向けて連結解除チャネルに導入されると、第1交差角度は第2交差角度に増大する。これにより、可撓性係止凸部は、テーパが付けられた連結解除ロッドにより、偏向して係止溝との係合から解除される。第1交差角度は90度未満であり得る。第2交差角度は本質的に90度であり得る。前記連結凸部が雌型連結凹部の係止溝から離れるにつれて連結解除ロッドが前記連結凸部470解除点まで挿入されたとき、可撓性係止凸部は、連結解除チャネルに対して本質的に垂直であり得る。
【0017】
連結解除ロッドは、その基部に操作ハンドルを含み得る。連結解除ロッドは、ポリマー材料および/または金属から構成され得る。
【0018】
可撓性係止凸部は、雌型連結凹部の係止溝の対応する湾曲部と係合するように適合された湾曲した球形状の先端部を呈し得る。可撓性係止凸部の湾曲した球形状の先端部は、可撓性係止凸部の長手方向対称軸を均一にまたぐ限定されたセグメント角度によって規定される前記先端部の部分セグメントに沿って、雌型連結凹部の前記係止溝の湾曲部に係合するような形状とされる。
【0019】
雄型連結舌部の長手方向軸に対する雄型連結舌部の基部の横方向延在部は、雄型連結舌部の長手方向軸に対する可撓性係止凸部の横方向延在部を超え得る。
【0020】
スロットが、雄型連結舌部の可撓性係止凸部と基部との間に位置し得る。このスロットは、連結解除ロッドが連結解除溝に受容されたときに、可撓性係止凸部が前記基部向かって偏向するための余地を残すように適合されている。
【0021】
スロットは、可撓性の連結解除凸部に対して本質的に平行に延び得る。
【0022】
接続システムを係止解除する方法は、家具接続部の第1ストレッチの当初係止解除に続いて、第2家具部品を第1家具部品に対して又は第1家具部品を第2家具部品に対して角度付けるステップあって、前記角度付けにより前記家具接続部の残りのストレッチの漸進的な係止解除がもたらされるステップを備え得る。
【0023】
さらに、本方法は、共通の家具部品において互から距離を置いた2つの家具接続部と対応する2つの別の家具部品とを、連結解除ロッドを各家具接続部の連結解除チャネルに同時に挿入することにより係止解除するステップを備え得る。
【0024】
本発明の他の目的、特徴および利点は、詳細な説明ならびに図面から明らかになるであろう。
【0025】
本発明の実施形態を、添付の概略図面を参照しつつ例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本開示の一例による接続システムの側面図であって、接続システムは、2つの家具部品間の例示的な基本家具の90度コーナー接続部に適用されている。本図は、完全に接続され係止された位置にある接続システムを示し、家具部品の一方から延びる雄型連結舌部が他方の家具部品に形成された雌型連結凹部に係合している。
【
図2】
図2は、
図1と同様の側面図であるが、本図では、第2家具部品の雄型連結舌部が第1家具部品の雌型連結凹部に係合する前の位置にある。
【
図3】
図3は、中間挿入位置にある接続システムの更なる側面図であり、雄型連結舌部が、
図1に示す最終係止位置に最終的にスナップする直前に、図中左方向に弾性偏向している。
【
図5】中間挿入位置にある接続システムの更なる側面図であり、雄型連結舌部は、さらなる挿入の前に、雌型連結凹部内の縁部に接している。
【
図6】
図6は、接続システムのコーナー接続部の側面図である。
【
図7a】
図7aは、
図2と同様の側面図であるが、着脱可能な係止要素が雄型連結舌部のコア部に配置されている例を示す。
【
図7b】
図7bは、着脱可能な係止要素を有する雄型連結舌部が雌型連結凹部と噛み合った状態で配置されている更なる側面図である。
【
図7c】
図7cは、
図7aと同様の側面図であるが、着脱可能な係止要素が雄型連結舌部から取り外されている。
【
図8b】
図8bは、
図7bと同様の側面図であるが、雌型連結凹部の底面部分に溝が設けられている。
【
図9】
図9は、第1および第2家具部品の斜視図であって、それらの横方向の相対移動による取り外しが実施されている。
【
図10】
図10は、本開示の一例による接続システムの拡大側面図であって、接続システムは、2つの家具部品間の例示的な基本家具の90度コーナー接続部に適用されている。本図は、完全に接続され係止された位置にある接続システムを示し、家具部品の一方から延びる雄型連結舌部が他方の家具部品に形成された雌型連結凹部に係合している。
【
図11】
図11は、
図10と同様の拡大側面であるが、本図では、第2家具部品の雄型連結舌部が第1家具部品の雌型連結凹部に係合する前の位置にある。
【
図12】
図12は、接続システムの更なる拡大側面図であり、雄型連結舌部が導入接続位置にある。導入接続位置において、可撓性係止凸部が傾斜ガイド面に一時的に接し、雄型連結舌部が雌型連結凹部の2つのガイド面に初期接触する状態にある。
【
図13】
図13は、接続システムの更なる拡大側面図であり、雄型連結舌部が雌型連結凹部にさらに押し込まれてこれと係合した状態にある。ここで、挿入中に、可撓性係止凸部は、雌型連結凹部の係止溝に入る直前に、雄型連結舌部に向かって内方に一時的に弾性偏向することを余儀なくされる。可撓性係止凸部が弾性偏向している間、雄型連結舌部の残りの部分は、雌型連結凹部に配置された4つの係止面により、雌型連結凹部と横方向に整列して保持されている。
【
図14】
図14は、接続システムの更なる拡大側面図であり、雄型連結舌部が雌型連結凹部にさらに押し込まれてこれと完全に係合した状態にある。ここで、可撓性係止凸部は、雌型連結凹部の係止溝にスナップ係合しているため、雄型連結舌部が雌型連結凹部から分離することが防止されている。
【
図15】
図15は、
図14と同様の図であるが、接続解除前に、連結解除ロッドが連結解除チャネルに部分的に挿入されている。
【
図16】
図16は、
図15と同様の側面図であり、連結解除ロッドの係止解除セクションが連結解除チャネルに入り、可撓性係止凸部を強制的に屈曲させて雌型連結凹部の係止溝との係合から解除することで、第1家具部品は第2家具部品から意図的に分離される。
【
図17】
図17は、本開示の一例による連結解除ロッドの拡大側面図であって、テーパ状係止解除セクションは、直線的なテーパ輪郭を呈している。
【
図18】
図18は、本開示の一例による連結解除ロッドの拡大側面図であって、テーパ状係止解除セクションは、凹状テーパ輪郭を呈している。
【
図19】
図19は、本開示の一例による連結解除ロッドの拡大側面図であって、テーパ状係止解除セクションは、凸状テーパ輪郭を呈している。
【
図20】
図20は、連結解除ロッドの第1の例示的な断面形状を示す断面図である。
【
図21】
図21は、連結解除ロッドの第2の例示的な断面形状を示す断面図である。
【
図22】
図22は、連結解除ロッドの第3の例示的な断面形状を示す断面図である。
【
図23】
図23は、本開示の実施例による接続システムを備えた引出しであって、2つの連結解除ロッドにより2つの上部家具接続部で分解される様子を示す斜視図である。
【
図24A】
図24Aは、家具部品用の接続システムを係止解除する方法を示すフローチャートを示す。
【
図24B】
図24Bは、家具部品用の接続システムを係止解除する方法を示すフローチャートを示す。
【
図25】
図25は、参照2で説明した実施形態の接続システムを正面から見た斜視図である。
【
図26】
図26は、参照2で説明した実施形態の接続システムを背面から見た斜視図である。
【
図27】
図27は、参照2で説明した実施形態の接続システムの左側から見た平面側面図である。
【
図28】
図28は、参照2で説明した実施形態の接続システムの右側から見た平面側面図である。
【
図29】
図29は、参照2で説明した実施形態の接続システムの上方からの平面図である。
【
図30】
図30は、参照2で説明した実施形態の接続システムの下方から見た平面図である。
【
図31】
図31は、参照2で説明した実施形態の接続システムの前方から見た平面図である。
【
図32】
図32は、参照2で説明した実施形態の接続システムの後方から見た平面図である。
【
図33】
図33は、係止システムが2つの家具要素のコーナー接続部用の解除可能な係止システムである実施形態を示す。
【
図34】
図34は、連結解除ロッドが接続を解除するように挿入されたときの、コーナー接続用の解除可能な係止システムの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態を、全部ではないが一部の実施形態を示す添付図面を参照して、より詳細に説明する。本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるべきではない。
【0028】
図1は、家具部品10、20用の接続システム1の概略図である。接続システム1は、第1家具部品10に形成された雌型連結凹部30と、隣接する第2家具部品20から突出する雄型連結舌部40と、を備えている。雌型連結凹部30は、雄型連結舌部40を受容するように適合されており、雄型連結舌部40は、雌型連結凹部30の対応する第2係止要素60とスナップ接続噛み合い係合するように構成された第1係止要素50を含んでいる。雄型連結舌部40は、雌型連結凹部30より高い可撓性を有するように構成されている。
【0029】
したがって、雌型連結凹部30を囲む材料は、雄型連結舌部40より高い剛性を有している。雄型連結舌部40は、本質的に弾性を有するように構成され得るのに対し、雌型連結凹部30は本質的に剛性を有して非弾性であるように構成される。上方ガイド面110が、第1家具部品10の雌型連結凹部30の第1側115に配置されている。上方ガイド面110は、雄型連結舌部40の挿入時に雄型連結舌部40に対する本質的に剛性または非弾性のガイド部を形成するとともに、雌型連結凹部30の第1側115に向かう方向への雄型連結舌部40の移動を制限する。接続システム1は、第1家具部品10の雌型連結凹部30の第2側116であって、その第1側115の反対側に位置する第2側116に設けられた下方ガイド面130を備えている。
図3に概略的に示すように、下方ガイド面130は、雄型連結舌部40を、そのさらなる挿入時に上方ガイド面110と係合した状態で偏向移動させながら強制的に弾性偏向させるように構成されている。雄型連結舌部40の第1係止要素50が雌型連結凹部30の対応する第2係止要素60と互いにスナップするまで、すなわち、
図1に示す接続状態を取るまで、雄型連結舌部40は、雌型連結凹部30の第1側115に向かって偏向する。第1係止要素60は、雄型連結舌部40と一体的に形成された一体型凸部60を含み得る。凸部60は、雄型連結舌部40が延びる長手方向245に対して本質的に垂直である方向に延び得る。第2係止要素60は、凸部60を受容するための凹部60を含み得る。
【0030】
下方ガイド面130は、その最下端部160において、雌型連結凹部30の長手方向に対して本質的に平行に延びる側方係止面170に移行している。
図1に概略的に示すように、側方係止面170は、水平方向圧力(P)を、雄型連結舌部40に、雌型連結凹部30の第1側115に向けて及ぼすように構成されている。水平方向圧力(P)により、第1家具部品10と第2家具部品20との接続状態において、雄型連結舌部40および雌型連結凹部30の第1係止要素50と第2係止要素60とは互いに係合した状態に保持される。したがって、第1家具部品10と第2家具部品20とは、例えば
図1に示すように90度の角度で接続され得る。第1家具部品10と第2家具部品20とは、
図1の例に示す垂直角度以外の様々な角度で、すなわち斜角または鋭角で接続され得ることを理解されたい。
【0031】
第1係止要素50が対応する第2係止要素60と互いにスナップするまで、雄型連結舌部40を、そのさらなる挿入時に、雌型連結凹部30の第1側115に向かって偏向移動させながら上方ガイド面110と係合させつつ強制的に弾性偏向させるように構成された下方ガイド面130を有することにより、多方向の側方安定性が向上された頑丈な接続システム1でありながら、製造が複雑でない接続システム1が提供される。雄型連結舌部40と一体的に形成された一体型凸部60を含む第1係止要素60を有する場合、第1家具部品10と第2家具部品20との噛み合い状態にさらに高い安定性および高い強度が提供される。例えば、先行技術の接続システムの欠点は、一般に家具部品同士を噛み合わせるために別個の可撓性のポリマー製舌部が必要であり、これを製造中に予め嵌め込まなくてはならないことである。これにより、生産ラインや製造プロセスが複雑になり得るとともに、接続システムがより高価になり得る。さらに大量生産時の生産ラインの処理量も制限される可能性がある。したがって、一体型構造の単一部品であることで、より多くの方向においてより大きな力の負荷を吸収できるより頑丈で強度の高い接続システム1が提供されるだけでなく、その製造が容易化される。家具部品10、20は、接続システム1を使用して互いに組み付けられる、引出し、衣装箪笥、棚、机、キャビネット等の種々の家具アイテムの様々な部品に相当し得る。
【0032】
図2に示すように、下方ガイド面130は、雌型連結凹部30の第2側116の側方係止面170および傾斜面48の接続縁部に形成された頂点に配置され得る。上述の傾斜面48の少なくとも一部は、下方ガイド面130を形成し得る。例えば、雄型連結舌部40が雌型連結凹部30に挿入されるにつれて、雄型連結舌部40の下部が、傾斜面48によって
図5に示す位置に最初にガイドされ得る。雄型連結舌部40にその継続的な挿入のために力が加えられると、雄型連結舌部40にその偏向のために向かう反力は、側方係止面170と傾斜面48との頂点、すなわち
図3でガイド面130が示されている位置にさらに集中する。
【0033】
雄型連結舌部40の第1係止要素50が雌型連結凹部30の対応する第2係止要素60にスナップするまで、下方ガイド面130は、雄型連結舌部40を、そのさらなる挿入時に前記上方ガイド面110に係合した状態で雌型連結凹部30の第1側115に向かって湾曲したJ字形状に偏向移動させながら、強制的に弾性偏向させるように構成され得る。このような偏向移動を、
図3の概略例に示す。このようにして、雄型連結舌部40の噛み合い位置への容易な挿入が提供されるとともに、頑丈で安定した噛み合い状態が達成され得る。
【0034】
例えば
図3に示すように、第1係止要素50は、雄型連結舌部40から延びる連続的に湾曲した球形状の凸部240を含み得る。これにより、望ましくない変形のリスクが低減された改善された構造的一体性が得られるとともに、第1係止要素50の製造が容易にされ得る。
【0035】
図1に示すように、第2係止要素60は、球形状の凸部240との噛み合い係合のために、球形状の凸部240と少なくとも部分的に一致する凹状係止溝270を含み得る。したがって、球形状の凸部240は、凹状係止溝270と滑らかに係合し得るとともに、両者同士の接触面積が最大化されるため、第1または第2家具部品10、20に荷重がかかった場合でも、圧力が増加する局所的な個所が低減される。
【0036】
図2に概略的に示すように、上方ガイド面110は、雌型連結凹部30の長手方向31に対して本質的に平行に延び得る。上方ガイド面110は、雌型連結凹部30の第2係止要素60から、前記雌型連結凹部30の挿入開口32に向かう方向に、まっすぐに延び得る。上方ガイド面110のこのような配置により、第1係止要素50は、長手方向31に沿った隣接する第2係止要素60内の正しい噛み合い位置に効果的かつ確実に案内される。
【0037】
下方ガイド面130は、湾曲していてもよい。湾曲したガイド面130を有することにより、雄型連結舌部40の雌型連結凹部30内での最終噛み合い状態への案内が容易化される。なぜならば、ガイド面130は、徐々に変化する方向において、雄型連結舌部40が最終位置に向けて下方に推し進められる際に上述のごとく偏向するように、雄型連結舌部40に力を及ぼし得るからである。上述のように、下方ガイド面130は、傾斜面48および側方係止面170の一部を形成し得る。これらは、湾曲した下方ガイド面130を形成するように効果的に組み合わされる。
図3の例は、ガイド面130の参照符号が示された所定の縁部を示すが、傾斜面48および側方係止面170がより滑らかな移行部を形成することも考えられる。
【0038】
したがって、下方ガイド面130は、雌型連結凹部30の長手方向31に対して傾斜し得る。すなわち、例えば
図2に示すように、下方ガイド面130は、雌型連結凹部30の第2側116の傾斜面48により少なくとも部分的に効果的に規定され得る。
【0039】
雄型連結舌部40は、第1家具部品10と一体的に形成され得るとともに、雌型連結凹部30は、第2家具部品20と一体的に形成され得る。これにより、さらに大きい力の負荷を吸収できる頑丈な接続システム1が提供されるとともに、個々の部品数が少ないため接続システム1の製造が容易化される。
【0040】
図2に概略的に示すように、雄型連結舌部40は、第2家具部品20の雄型連結舌部40の基部41から垂直に延び得る側部支持面181を含み得る。側部支持面181は、第1家具部品10の側部支持面171に直接隣接するように配置される。これにより、第1家具部品10と第2家具部品20との係止接続状態における対称的な側方安定性および耐曲げ性が提供される。
【0041】
図4に示すように、雄型連結舌部40の基部41の幅(A)は、雄型連結舌部40の第1係止要素50における幅(B)より大きくてもよい。幅広の基部41を有することにより、接続システム1にさらに向上した側方安定性が提供される。
図4に示すように、幅(B)は、雌型連結凹部30の上方ガイド面110における幅(G)より大きくてもよい。これにより、効果的で頑丈な噛み合い機構が提供される。側方係止面170での、雄型連結舌部40の最遠位部の幅(H)は、幅A、BおよびGより小さくてもよい。これにより、
図3に示すように、雄型連結舌部40の遠位部の偏向が容易になるとともに、頑丈な基部41および確実な噛み合い機構が得られる。
【0042】
雄型連結舌部40の挿入時に、下方ガイド面130が雄型連結舌部40を強制的に弾性偏向させる(
図3)前に、
図5に示すように、第1係止要素50は上方ガイド面110の縁部42に接し得る。再び
図5に戻ると、雄型連結舌部40は、第2家具部品20の基部面43から延びている。基部面43は、雄型連結舌部40の長手方向245に対して垂直に延びている。
図5に示すように、長さDは、基部面43から上述の縁部42まで延びている。側方係止面170は、上縁部44において雌型連結凹部30の長手方向31から角度が付けられている。したがって、
図4に示すように、上縁部44は、側方係止面170が雌型連結凹部30の第2側の傾斜面48に接続するまたは移行する場所の頂点または先端部に対応する。長さCは、基部面43から前記上縁部44まで延びている。一例において、長さDは、長さCより小さい。
【0043】
一例において、
図5に示すように、第1係止要素50が上方ガイド面110の縁部42に接しているとき、長さCは、雄型連結舌部40のその長手方向245に沿った長さFより小さくてもよい。したがって、第1係止要素50が上方ガイド面110の縁部42に接するとき、雄型連結舌部40の一部は、側方係止面170に対して所定の位置に既に案内されている。これにより、第1側115に向かって偏向する前の雄型連結舌部40の位置の制御が改善される。これにより、第1家具部品10と第2家具部品20との頑丈な噛み合い機構が提供される。
図5に示すように、長さKより小さい長さVを有することによっても、第1側115に向かって偏向する前の雄型連結舌部40の位置の制御が改善される。長さVは、雄型連結舌部40の基部面43から雌型連結凹部のガイド面Sの上縁部まで延びている。長さKは、雄型連結舌部40の基部面43から縁部46まで延びている。
【0044】
図4の例に示すように、雄型連結舌部40のその長手方向245に沿った長さFは、雌型連結凹部30の深さPより小さくてもよい。これにより、雄型連結舌部40の先端部と雌型連結凹部30の基部との間の不要な引張力を回避することができるとともに、製造公差の変動に適応することができる。
【0045】
上述のように、雄型連結舌部40の挿入時に、下方ガイド面130が雄型連結舌部40を強制的に弾性偏向させる前に、第1係止要素50は、上方ガイド面110の縁部42に接し得る。雌型連結凹部30は、第1家具部品10の基部面21から凹み得る。基部面21は、雌型連結凹部30の長手方向31に対して垂直に延びている。
図5に示すように、長さEは、前記縁部42の基部面21から前記縁部42まで延びている。雄型連結舌部40は、噛み合い状態において第2側116に面する鉛直面45を有する基部41を含み得る。鉛直面45は、雄型連結舌部40の長手方向245に対して本質的に平行であり得る。
図5にさらに示すように、鉛直面45は、長手方向245に対して縁部46において傾斜面47に移行し得る。上述のように、雄型連結舌部40は、第2家具部品20の基部面43からさらに延び得る。基部面43は、長手方向245に対して垂直に延びている。長さKは、基部面43から縁部46まで延びている。長さEは、長さKより小さくてもよい。
【0046】
雄型連結舌部40は、噛み合い状態において第2側116に面する鉛直面45を有する基部41を含み得る。鉛直面45は、雄型連結舌部40の長手方向245に対して本質的に平行であり得る。
図4に示すように、側方係止面170と第1係止要素50と鉛直面45とは、長手方向245に対して垂直である水平方向において雄型連結舌部40を係止するように配置され得る。
図5に示すように、側方係止面170は、雌型連結凹部30の対向する第2面172に面している。雄型連結舌部40と第2面172とは、距離d3だけ離間し得る。これにより、公差の変動に適応できるとともに、雄型連結舌部40と雌型連結凹部30との間の不要な引張力を防止することができる。
【0047】
雄型連結舌部40の上述の鉛直面45は、長手方向245に対して傾斜面47に移行し得る。
図4の例に示すように、傾斜面47は、接続状態において、雌型連結凹部30の対向する第2傾斜面48に面し得る。第2傾斜面48は、側方係止面170に移行し得る。
図4にさらに示すように、傾斜面47と第2傾斜面48とは、接続状態において距離d1だけ離間し得る。これにより、接続状態において鉛直方向の力が加えられた時の雄型連結舌部40と雌型連結凹部30との間の不要な引張力が回避される。これに代えて、力が第1および第2家具部品10、20の水平な基部面21、43に集中してもよい。例えば
図5の例に示すように、雌型連結凹部30の両側の基部面21は、雌型連結凹部30に対して同一高さに配置され得る。このような対称性により、多方向における荷重の吸収性が改善された頑丈な接続システム1が提供される。後者の例において、雄型連結舌部40の両側の対応する基部面43は、長手方向245に沿って同様に同一位置に配置される。しかしながら、第2家具部品20が90度とは異なる角度、例えば70度、50度、45度、30度等の角度で第1家具部品10に接続する場合、基部面43は、このような角度構成に適応するように対応して角度が付けられ得ることを理解されたい。
【0048】
上方ガイド面110は、接続状態において雄型連結舌部40の対向する第2面49に面し得る。
図4に示すように、ガイド面110と第2面49とは、接続状態において距離d2だけ離間し得る。
【0049】
図5にSで示す雌型連結凹部30の第2側116の面は、雄型連結舌部40が上方ガイド面110を噛み合い係合に至るまで摺動するとき、雄型連結舌部40に対抗する力を提供する。
【0050】
図7aの例に概略的に示すように、雄型連結舌部40は、雄型連結舌部40の外郭を規定する取り外し可能な係止要素240を含み得る。
図7bに示すように、係止要素240は、雌型連結凹部30内に配置されるように構成されている。したがって、取り外し可能な係止要素240は、雌型連結凹部30の対応する第2係止要素60とスナップ接続噛み合い係合するように構成された前記第1係止要素50を含んでいる。係止要素240は取り外し可能に取り付けられているため、第1家具部品10および第2家具部品20の様々な装着オプションが容易化され得る。例えば、
図7cの第2家具部品20は、取り外し可能な係止要素240を雄型連結舌部40に取り付ける前に、第2家具部品20を長手方向245を中心として回動させることにより2つの異なる方向で装着され得る。取り外し可能な係止要素240が取り付けられた雄型連結舌部40は、次いで雌型連結凹部30に接続され得る。
図7a~
図7cの雌型連結凹部30は、2つの対向する係止要素60、60’を示しているが、上述の二重装着オプションは、上述のように係止要素240が取り外し可能であるため、1つしか係止要素60を有さない雌型連結凹部30でも実現されることを理解されたい。
【0051】
雄型連結舌部40は、各嵌め合い面243、244の噛み合い位置において取り外し可能な係止要素240のキャビティ242の内部に配置可能なコア部241を含み得る。これにより、取り外し可能な係止要素240は、雄型連結舌部40の外郭を規定する。嵌め合い面243、244は、雄型連結舌部40の長手方向245に対して少なくとも部分的に対称的に整列し得る。これにより、
図7cに示すように、取り外し可能な係止要素240は、第1係止要素50が第1径方向r1に延びる第1位置、および第1係止要素50が第1径方向r1と反対の第2径方向r2に延びる第2方向において、コア部の周囲に配置可能である。
【0052】
同様に、対称的に整列する嵌め合い面243、244により、コア部241がキャビティ242内に配置される前に、第2家具部品20が長手方向軸245を中心として反転(flipped)していても、取り外し可能な係止要素240は、一方向に、例えば第1係止要素50が第1径方向r1を向く方向に維持され得る。
【0053】
係止要素240は、雌型連結凹部30の対応する第2係止要素60と噛み合い係合にある場合に、第1家具部品10と第2家具部品20との間に加えられる分離力を受けたとき、家具部品10、20の相互分離を防止するように配置され得る。したがって、これにより、第1家具部品10と第2家具部品20との係止接続状態において、雄型連結舌部40が、雄型連結舌部40の長手方向において雌型連結凹部30に対して移動することが防止される。
【0054】
係止要素240は、
図7a~
図7cの例に示すように、全体としてU字形状を有し得る。係止要素240は、ポリマー材料を含み得る。
【0055】
図8aの斜視図に示すように、雌型連結凹部30は、第1家具部品10の長さLに沿って延び得る。係止要素240は、噛み合い係合にあるとき、雌型連結凹部30から押し出されて第1家具部品10と第2家具部品20とから取り外されるように、長さLに沿って雄型連結舌部40に対して摺動可能であり得る。これにより、取り外し時の第1家具部品10と第2家具部品20との間の意図的な分離が可能とされる。雌型連結凹部30は、その底部に溝246を含み得る。これにより、係止要素240とこれを雌型連結凹部30から押し出すためのツールとの係合が容易にされる。
【0056】
図9の概略的斜視図に示すように、第1係止要素50は、第2家具部品20の長さL’に沿う雄型連結舌部40の断続長さL1’に沿って延び得る。断続長さL1’は、雄型分断セクションL2’によって分離され得る。第2係止要素60は、第1家具部品10の長さLに沿う雌型連結凹部30の断続長さL1に沿って延び得る。断続長さL1’は、雌型分断セクションL2によって分離され得る。第1および2家具部品10、20は、前記噛み合い係合において、前記長さL、L’に沿って分断状態になるまで互いに対して摺動可能であり得る。分断状態において、雄型分断セクションL2’は第2係止要素60と重なり、雌型分断セクションL2は第1係止要素50と重なることで、第1家具部品10と第2家具部品20との間の意図的な分離が可能とされる。このようにして容易な分離が提供される。したがって、雄型分断セクションL2’は、保持力で第2係止要素60に係合することなくこれを通過して自由に摺動し得る。
【0057】
同様に雌型分断セクションL2は、第1係止要素50に係合することなく自由にこれを通過し得る。雄型および雌型分断セクションL2’、L2は、例えば凸部240や溝270のない平坦な面を含み得る。
【0058】
図6に示すように、第1及び第2家具部品10、20は、傾斜したコーナー(角部/隅部)面301に沿ってそのコーナー接続部300において接続され得る。コーナー面301は、45度の傾斜を有し得る。第1家具部品10と第2家具部品20とは、第2家具部品に凹部304として、および第1家具部品10に凸部303として形成された相互噛み合い面を含み得る。凹部304は、雄型連結舌部40とコーナー接続部300のコーナー縁部302との間に配置され得る。これにより、頑丈で確実なコーナー接続部300が提供され得る。
【0059】
図10を参照すると、本図は、2つの家具部品410、420間の例示的な基本家具の90度コーナー接続部に適用された接続システム1の拡大側面図を示す。
図10は、完全に接続されて係止された位置にある接続システム1を示す。接続システム1は、第1家具部品410に形成された雌型連結凹部430と、隣接する第2家具部品420から突出する雄型連結舌部440と、を備えている。雌型連結凹部430は、雄型連結舌部440を受容するように適合されている。雄型連結舌部440は、雌型連結凹部430の対応する第2係止要素460とスナップ接続噛み合い係合するように構成された第1係止要素450を含んでいる。雄型連結舌部440の第1係止要素450は、雄型連結舌部440と一体的に形成された可撓性係止凸部470を含んでいる。
【0060】
この係止凸部470は、雄型連結舌部440から横方向に延びている。雌型連結凹部430の第2係止要素460は、係止溝480を含んでいる。
【0061】
雌型連結凹部430は、雌型連結凹部430に係止されたときに雄型連結舌部440の可撓性係止凸部470に面する開放端部500を有する連結解除チャネル490を含んでいる。連結解除チャネル490は、連結解除ロッドを受容するように適合されている。例えば
図15に示すように、連結解除ロッドは、連結解除チャネル490の内部にぴったり合う断面寸法を有する細長いロッドであり得る。第1家具部品410を第2家具部品420から意図的に分離するように、連結解除ロッドは、可撓性係止凸部470と係合して可撓性係止凸部470を強制的に屈曲させて雌型連結凹部430の係止溝480との係合から解除し得る。雄型連結舌部440と一体的に形成された可撓性係止凸部470、および可撓性係止凸部470を受容する係止溝480を含む雌型連結凹部430、ならびに可撓性係止凸部470に面する開放端部500を有する連結解除チャネル490を有することにより、製造が複雑でなく、頑丈でありながら所望の場合には簡単に分解可能な接続システム1が提供される。
【0062】
例えば、先行技術の接続システムの欠点は、一般に家具部品同士を噛み合わせるために別個の可撓性のポリマー製舌部が必要であり、これを製造中に予め嵌め込まなくてはならないことである。これにより、生産ラインや製造プロセスが複雑になり得る。結果として、接続システムがより高価になり得る。大量生産時の生産ラインの処理量も制限される可能性がある。さらに、このような従前の接続システムでは、家具部品を分解するには、別個のポリマー製舌部を、別個のピースとして取り外す必要がある。可撓性係止凸部470に面する開放端部500を有する連結解除チャネル490を備える本開示に記載の接続システム1は、これに代えて、連結解除ロッドを用いて可撓性係止凸部470を強制的に屈曲させてその係止溝480との係合から解除することによる容易な分解を提供する。より多くの方向においてより大きな力の負荷を吸収できるより頑丈で強度の高い接続システム1を提供することに加えて、その単一部品からなる一体型の構造により、別個の部品の個数が少ないため、所望の場合にユーザにより繰り返し容易に組立および分解をすることができる。家具部品410、420は、引出し、衣装箪笥、棚、机、キャビネット等、接続システム1を利用して一緒に組み立てられる種々の家具アイテムのピースの様々な部品に対応することができる。
【0063】
図11は、
図10と同様の拡大側面図であるが、ここでは、第2家具部品420の雄型連結舌部440は、第1家具部品410の雌型連結凹部430に係合する前の位置にある。
図11の例に示すように、連結解除チャネル490は、雌型連結凹部430の長手方向441に対して傾斜角度(A)で傾斜し得る。すなわち、連結解除チャネル490の長手方向軸700は、図示のように長手方向441に対する傾斜角度(A)を形成している。これにより、連結解除ロッドとの可撓性係止凸部470の係合が容易化されるとともにより効果的になる。傾斜角度(A)は、本開示の例において、30~60度の区間にあり得る。可撓性係止凸部470との係合をさらに容易にするには、傾斜角度(A)は、36~46度の区間にあり得る。
図11に示すように、特に有利な例において、傾斜角度(A)は、本質的に41度であり得る。
【0064】
図11に示すように、可撓性係止凸部470は、雄型連結舌部440の長手方向750に対して傾斜角度(B)で傾斜し得る。傾斜角度(A)および(B)は、連結解除ロッド410が連結解除チャネル490に挿入される際に可撓性係止凸部470への運動量(momentum)の効果的な伝達が提供されるように、互いに対して最適化され得る。可撓性係止凸部470は、雄型連結舌部440の長手方向750に対して鋭角の傾斜角度(B)で傾斜し得る。これにより、雌型連結凹部430に対する雄型連結舌部440の接続が容易にされ得るとともに、噛み合い状態における第1係止要素450と第2係止要素460との間の保持力が増大し得る。傾斜角度(B)は、家具部品410及び家具部品420の接続をさらに容易にし強力な噛み合い係合を得るために、40~73度の区間にあり得る。
図11に示すように、特に有利な例において、傾斜角度(B)は、本質的に64度であり得る。
【0065】
図12は、接続システム1の別の拡大側面図であり、導入接続位置にある雄型連結舌部440を示す。導入接続位置において、可撓性係止凸部470は傾斜ガイド面IP1に一時的に接し、雄型連結舌部440は雌型連結凹部430の2つのガイド面IP2およびIP3に初期接触している。雌型連結凹部430の2つのガイド面IP2およびIP3は、雄型連結舌部440を雌型連結凹部430内の正しい位置に案内する一方、可撓性係止凸部470は傾斜ガイド面IP1に接触配置されることで、続いて傾斜ガイド面IP1により可撓性係止凸部470に力が加えられるようになっている。図示の傾斜ガイド面IP1を有することにより、可撓性係止凸部470の偏向が容易にされ得る。
【0066】
図13は、接続システムの別の拡大側面図であり、雄型連結舌部440は、雌型連結凹部430内にさらに押し込まれてこれと係合している。ここで、挿入中において、可撓性係止凸部470は、雌型連結凹部430の係止溝480に入る直前に、雄型連結舌部440に向けて一時的に内方に強制的に弾性偏向される。
図13に示すように、可撓性係止凸部470がこのように弾性偏向している間、雄型連結舌部440の残りの部分は、雌型連結凹部430に配置された4つの係止面LS1、LS2、LS3およびLS4によって、雌型連結凹部430と横方向に整列して保持され得る。これにより、安定性が向上するとともに、雌型連結凹部430と雄型連結舌部440とが最終的な噛み合い係合に正しく案内され得る。
【0067】
図14は、接続システムの別の拡大側面図であり、雄型連結舌部440は、雌型連結凹部430内にさらに押し込まれてこれと完全に係合している。ここで、可撓性係止凸部470は、雌型連結凹部430の係止溝にスナップ係合しているため、雄型連結舌部440の雌型連結凹部430からの分離が防止されている。
図14に示すように、可撓性係止凸部470は、雌型連結凹部430の係止溝480の対応する湾曲部430と係合するように適合された湾曲した球形状の先端部720を呈し得る。湾曲した球形状の先端部420により、可撓性係止凸部470の係止溝480との係合が容易にされ得るとともに、それら同士の保持力が増大され得る。可撓性係止凸部470の湾曲した球形状の先端部720は、可撓性係止凸部470の長手方向対称軸440を均一にまたぐ限定されたセグメント角度(SA)によって規定される前記先端部720の部分セグメントSに沿って、雌型連結凹部430の前記係止溝480の湾曲部と係合する形状とされ得る。部分セグメント(S)の長さ、およびその関連するセグメント角度(SA)は、可撓性係止凸部470と係止溝480との接続を容易にするとともに、それらの頑丈な噛み合い係合が提供されるように最適化され得る。
【0068】
図15は
図14と同様の図であるが、接続解除に先立って、連結解除ロッド510が連結解除溝490に部分的に挿入されている。
図15に示す例において、前記雄型連結舌部440の長手方向軸750に対する雄型連結舌部440の基部450の横方向延在部(Lb)は、前記雄型連結舌部440の長手方向軸750に対する可撓性係止凸部470の横方向延在部(Lb)を超えている。
【0069】
例えば
図15に概略的に示すように、接続システム1は、雄型連結舌部440の可撓性係止凸部470と基部450との間に配置されたスロット760を備え得る。スロット760は、連結解除ロッド510が連結解除溝490に挿入されたときに、可撓性係止凸部470が前記基部450に向かって偏向するための余地を残すように適合されている。したがって、これにより、可撓性係止凸部470の偏向が容易にされ得る。例えば、雄型連結舌部440を雌型連結凹部430に噛み合わせるために必要とされる力が低減され得る。スロット760は、可撓性連結解除凸部470に対して本質的に平行に延び得る。これにより、可撓性係止凸部470の偏向がさらに容易にされ得る。
【0070】
連結解除ロッド510は、少なくとも部分的にテーパが付けられ、その先端部720から、またはこれから距離を置いてその基部430に向かって増大する断面積を有し得る。したがって、
図16の例に示すように、連結解除ロッド510が連結解除チャネル490に徐々に挿入されるにしたがって、断面の寸法が大きくなることで可撓性連結解除凸部470が押され得る。しかしながら、他の例において、一定の断面を有する連結解除ロッド510を用いても、可撓性連結解除凸部470は十分に押されて係止溝480から解放され得ることを理解されたい。少なくとも部分的にテーパが付けられた連結解除ロッド510を有することにより、一部の例において、可撓性連結解除凸部470の偏向、および接続システム1の分離が容易にされ得る。
【0071】
図16は
図15と同様の図であり、第1家具部品410を第2家具部品420から意図的に分離するために、連結解除ロッド510の係止解除セクション490が連結解除チャネル490に入り、可撓性係止凸部480を強制的に屈曲させて雌型連結凹部430の係止溝480との係合から解除している。連結解除ロッド510の係止解除セクション490は、テーパが付けられ得る。
【0072】
図15および
図16を参照すると、雄型連結舌部440の可撓性係止凸部470が雌型連結凹部430の係止溝480に着座している場合、連結解除チャネル490の長手方向軸700と可撓性係止凸部470の長手方向軸710とは、第1交差角度(IA)で交差し得る。テーパが付けられた連結解除ロッド510が前記可撓性係止凸部470と雌型連結凹部430の係止溝480との解除点に向けて連結解除チャネル490に導入されると、第1交差角度(IA)は、第2交差角度(IA’)に増大し得る。この位置において、可撓性係止凸部470は、連結解除ロッド510により屈曲して係止溝480との係合から解除される。一例において、第1交差角度(IA)は、490度未満であり得るとともに、第2交差角度(IA’)は、本質的に90度、または90度より大きくてもよい。
【0073】
連結凸部470が雌型連結凹部430の係止溝480から離れるにつれて連結解除ロッド510が前記連結凸部470の解除点まで挿入されたとき、可撓性係止凸部470は、連結解除チャネル490に対して本質的に垂直であり得る。すなわち、連結解除チャネル490の長手方向軸700は、可撓性係止凸部470の長手方向軸710に対して本質的に垂直であり得る。
【0074】
図17、18および19に示すように、連結解除ロッド510は、一定の断面積を有するとともに前記先端部720からテーパ状係止解除セクション590まで延びる導入セクション580を含み得る。テーパ状係止解除セクション590は、前記連結解除ロッド510の基部530に向かって増大する断面積を有している。
【0075】
テーパ状係止解除セクション590の長さ(Lt)は、導入セクション580の長さ(Li)を超え得る。導入セクション580により、テーパ状係止解除セクション590が解除のために可撓性係止凸部470を押し始める前に、連結解除ロッド510を連結解除チャネル590内に案内することが容易にされ得る。一部の例において、導入セクションの長さ(Li)は、テーパ状係止解除セクション590の長さ(Lt)の30%~50%であり得る。導入セクション580の長さ(Li)は、有利な一例において、テーパ状係止解除セクション590の長さ(Lt)の40%であり得る。
【0076】
さらに、
図17は、テーパ状係止解除セクション590が直線的なテーパ状輪郭を呈する、テーパ状連結解除ロッド510の第1例を示す。
図18は、テーパ状係止解除セクション590が凹状のテーパ状輪郭を呈する、テーパ状連結解除ロッド510の第2例を示す。
図19は、テーパ状係止解除セクション590が凸状のテーパ状輪郭を呈する、テーパ状連結解除ロッド510の拡大側面図を示す。
図17、
図18および
図19に示すように、連結解除ロッド510は、その基部530に操作ハンドル595を含み得る。連結解除ロッド510は、ポリマー材料から構成され得る。代替的または追加的に、連結解除ロッド510は、金属等の他の材料から構成され得る。
【0077】
図20は、連結解除ロッド510の第1の例示的な断面形状の断面図を示す。本例において、連結解除ロッド510は、全体として矩形の断面を有している。
【0078】
図21は、連結解除ロッド510の第2の例示的な断面形状の断面図を示す。本例において、連結解除ロッド510は、同様に全体として矩形の断面を有しているが、ここでは断面が縁部においてより丸みを帯びている。
【0079】
図22は、連結解除ロッド510の第3の例示的な断面形状の断面図を示す。本例において、連結解除ロッド510は、2つの横方向に延びる端部570の間に位置する中央腰部560を有する全体としてI形梁形状の断面を有している。
【0080】
図23は、上述のような2つの接続システム1であって
図23では上方家具接続部680、681として示される接続システム1を備えた引出しの斜視図である。
図23は、上方家具接続部680、681が、2つの連結解除ロッド510により分解される様子を示す概略図である。
【0081】
図24Aは、
図10~
図24Bを参照して説明した家具部品410、420用の接続システム1を係止解除するための方法400の関連フローチャートである。方法400は、第1家具部品410を第2家具部品420から意図的に分離するように、連結解除ロッド510を連結解除チャネル490に挿入することにより、可撓性係止凸部470を強制的に屈曲させて雌型連結凹部430の係止溝480との係合から解除することで接続システム1を係止解除するステップ401を備えている。
【0082】
図24Bは、家具部品410、420用の接続システム1を係止解除するための方法400の別のフローチャートである。方法400は、家具接続部480の第1ストレッチ470の当初係止解除に続いて、第2家具部品420を第1家具部品410に対して、または第1家具部品410を第2家具部品420に対して角度付けるステップ402であって、前記角度付けにより前記家具接続部480の残りの範囲(stretch)490の漸進的な係止解除がもたらされるステップ402をさらに備え得る。
【0083】
方法400は、連結解除ロッドを各家具接続部680、681の係止解除チャネル490に挿入することにより、共通の家具部品600において互いから距離を置いて配置された2つの家具接続部680、681と2つの別の対応する家具部品610、620とを係止解除するステップ403を備え得る。係止解除ロッドは、各家具接続部680、681の連結解除溝490に同時に挿入され得る。
【0084】
図25は、参照2で説明した実施形態の接続システムを前方から見た斜視図である。接続システムは、第1家具部品に形成された雌型連結凹部と、隣接する第2家具部品から突出する雄型連結舌部と、を備えている。雌型連結凹部は、雄型連結舌部を受容するように適合されており、雄型連結舌部は、雌型連結凹部の対応する第2係止要素60とスナップ接続噛み合い係合するように構成された第1係止要素50を含んでいる。雄型連結舌部は、雌型連結凹部より高い可撓性を有するように構成されている。
【0085】
したがって、雌型連結凹部を囲む材料は、雄型連結舌部より高い剛性を有している。雄型連結舌部は、本質的に弾性を有するように構成され得るのに対し、雌型連結凹部は本質的に剛性を有して非弾性であるように構成される。上方ガイド面110が、第1家具部品の雌型連結凹部の第1側に配置されている。上方ガイド面110は、雄型連結舌部の挿入時に雄型連結舌部に対する本質的に剛性または非弾性のガイド部を形成するとともに、雌型連結凹部の第1側に向かう方向への雄型連結舌部の移動を制限する。接続システムは、第1家具部品の雌型連結凹部の第2側であって、その前記第1側の反対側に位置する第2側に配置された下方ガイド面130を備えている。下方ガイド面130は、雄型連結舌部を、そのさらなる挿入時に上方ガイド面110と係合した状態で偏向移動させながら強制的に弾性偏向させるように構成されている。雄型連結舌部の第1係止要素50が雌型連結凹部の対応する第2係止要素60と互いにスナップするまで、すなわち、
図1に示す接続状態を取るまで、雄型連結舌部は、雌型連結凹部の第1側115に向かって偏向する。第1係止要素60は、雄型連結舌部と一体的に形成された一体型凸部60を含み得る。凸部60は、雄型連結舌部が延びる長手方向245に対して本質的に垂直である方向に延び得る。第2係止要素60は、凸部60を受容するための凹部60を含み得る。
【0086】
下方ガイド面130は、その最下端部において、雌型連結凹部の長手方向に対して本質的に平行に延びる側方係止面170に移行している。側方係止面170は、水平方向圧力を、雄型連結舌部に、雌型連結凹部の第1側に向けて及ぼすように構成されている。水平方向圧力により、第1家具部品と第2家具部品との接続状態において、雄型連結舌部および雌型連結凹部の第1係止要素50と第2係止要素60とは互いに係合した状態に維持される。したがって、第1家具部品と第2家具部品とは、例えば
図1に示すように90度の角度で接続され得る。第1家具部品と第2家具部品とは、
図1の例に示す垂直角度以外の様々な角度で、すなわち斜角または鋭角で接続され得ることを理解されたい。
【0087】
第1係止要素50が対応する第2係止要素60と互いにスナップするまで、雄型連結舌部を、そのさらなる挿入時に上方ガイド面110と係合した状態で雌型連結凹部の第1側に向けて偏向移動させながら強制的に弾性偏向させるように構成された下方ガイド面130を有することにより、多方向の側方安定性が向上された頑丈な接続システムでありながら、製造が複雑でない接続システムが提供される。雄型連結舌部と一体的に形成された一体型凸部60を含む第1係止要素60を有する場合、第1家具部品と第2家具部品との噛み合い状態にさらに高い安定性および高い強度が提供される。例えば、先行技術の接続システムの欠点は、一般に家具部品同士を噛み合わせるために別個の可撓性のポリマー製舌部が必要であり、これを製造中に予め嵌め込まなくてはならないことである。これにより、生産ラインや製造プロセスが複雑になり得るとともに、接続システムがより高価になり得る。さらに大量生産時の生産ラインの処理量も制限される可能性がある。したがって、一体型構造の単一部品であることで、より多くの方向においてより大きな力の負荷を吸収できるより頑丈で強度の高い接続システムが提供されるだけでなく、その製造が容易化される。家具部品は、接続システムを使用して互いに組付けられる、引出し、衣装箪笥、棚、机、キャビネット等の、種々の家具アイテムの様々な部品に相当し得る。
【0088】
図26は、参照2で説明した実施形態の接続システムを後方から見た斜視図である。
図26の参照符号は、
図25および
図1~
図2と同じである。
【0089】
図27は、参照2で説明した実施形態の接続システムの左側からの側方平面図であり、第1の家具部品10および第2の家具部品20を示している。
【0090】
図28は、参照2で説明した実施形態の接続システムの右側からの側方平面図であり、第1の家具部品10および第2の家具部品20を示している。
【0091】
図29は、参照2で説明した実施形態の接続システムの上方からの平面図であり、第1の家具部品10および第2の家具部品20を示している。
【0092】
図30は、参照2で説明した実施形態の接続システムの下方からの平面図であり、第1家具部品10を示している。
【0093】
図31は、参照2で説明した実施形態の接続システムの前方からの平面図である。
図26の参照符号は、
図25および
図1~
図2と同じである。
【0094】
図32は、参照2で説明した実施形態の接続システムの後方からの平面図である。
図26の参照符号は、
図25および
図1~
図2と同じである。
【0095】
図33は、
図6を参照して開示した接続システムに類似する、家具部品10、20用の接続システムの概略図である。接続システムは、第1家具部品10に形成された雌型連結凹部30と、隣接する第2家具部品20から突出する雄型連結舌部40と、を備えている。雌型連結凹部30は、雄型連結舌部40を受容するように適合されており、雄型連結舌部40は、雌型連結凹部30の対応する第2係止要素60とスナップ接続噛み合い係合するように構成された第1係止要素50を含んでいる。雄型連結舌部40は、雌型連結凹部30より高い可撓性を有するように構成されている。
図33において、
図6と同様に、第1家具部品10と第2家具部品20とは、傾斜したコーナー面301に沿ってそのコーナー接続部300において接続されている。コーナー面301は、約45度の傾斜を有し得る。
図33に示す実施形態は、第1係止要素50および第2係止要素60がスナップ接続係止を生じさせるように互いに係合するように構成された実質的に水平な係止面を有している点において
図6に示す実施形態と異なっている。また、
図33の実施形態は、雄型連結舌部40に隣接して配置された連結解除チャネル490に配設可能な連結解除ロッドを使用することで解除可能な解除可能接続部を形成している点でも異なっている。
【0096】
図34は、係止システムの同一実施形態を示す
図33と同様の図であるが、接続解除に先立って、連結解除ロッド510が連結解除チャネル490に挿入された様子をしている。連結解除ロッド510は、図において右方に雄型連結舌部40を押すことにより、第1係止要素50が第2係止要素60から係合解除される。これにより係止が解除されて第1家具部品10と第2家具部品20とが互いに分離され得る。連結解除ロッド510は、例えば、
図17~
図19を参照して説明した連結解除ロッドの一方であり得る。連結解除ロッド510によって生じる挿入および圧力が、雄型連結舌部40を強制的にJ字形状に屈曲させることで、雄型連結舌部40の上部が図中右に移動する。
【0097】
本発明による接続システムは、例えば無垢材、集成材、MDF材やHDF材のような異なるタイプのファイバーボード材、PVCのようなプラスチックや複合ポリマー材、あるいはその他のポリマー材やアルミニウムのような金属など、多種多様な材料に同様に適用可能である。接続システムは、プラスチック、スチール、アルミニウムなどの中空輪郭を有する梁の接続にも使用され得る。
【0098】
本発明は、上述および図面に示された実施形態に限定されるものではなく、添付の請求項の範囲内で多くの変更および修正が可能であることを当業者は認識し得ることを理解されたい。