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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ガスを処理するためのプラズマ反応器
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20240703BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
H05H1/24
B01J19/08 E
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021556395
(86)(22)【出願日】2020-02-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020020556
(87)【国際公開番号】W WO2020197701
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】62/823,436
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,492
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,505
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,508
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,514
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,517
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,484
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/752,689
(32)【優先日】2020-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514014827
【氏名又は名称】リカーボン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マクレランド, ステファン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド, ザ サード, ジョージ スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】クー, ジェ モ
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-512950(JP,A)
【文献】特表2017-523121(JP,A)
【文献】国際公開第2014/007472(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
B01J 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ発生システムであって、
そこを通してマイクロ波エネルギーを伝送するための導波管と、
プラズマ空洞を画定するために前記導波管内に配置される内壁であって、前記マイクロ波エネルギーを使用して前記プラズマ空洞内でプラズマが発生する、内壁と、
第1のガスを前記プラズマ空洞の中に導入して前記第1のガスを使用して前記プラズマ空洞内に、中空円筒形状を有する第1の渦流れを発生させるように構成される、前記導波管の第1の側に設置される第1のガス入口であって、前記第1のガス入口が、前記プラズマによって処理されたガスが前記プラズマ空洞から外に出るときに通る孔を有する、第1のガス入口と、
前記導波管の第2の側に装着されて前記プラズマ空洞の中へ突出する、円形の中空円筒の形状を有するプラズマスタビライザであって、前記プラズマスタビライザの長手方向が前記第1の渦流れの前記中空円筒形状の長手方向に延在する回転軸に平行である、プラズマスタビライザと
を備えるプラズマ発生システム。
【請求項2】
前記内壁が前記マイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成される、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項3】
前記第1の渦流れが、螺旋運動で前記導波管の前記第2の側の方に前進する前記中空円筒形状の外側領域、および螺旋運動で前記導波管の前記第1の側の方に前進する前記中空円筒形状の内側領域を有し、前記プラズマが前記第1の渦流れの前記内側領域内に発生する、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項4】
前記第1のガス入口が1つまたは複数の通路を有し、前記第1のガスが前記1つまたは複数の通路を通って前記プラズマ空洞の中に導入され、前記1つまたは複数の通路の各々が、そこを通過する前記第1のガスに渦運動を加えるように配置構成される、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項5】
第2のガスを前記プラズマスタビライザの方に導入するように構成される、前記導波管の前記第2の側に設置される第2のガス入口
をさらに備え、
前記第2のガス入口が、前記第2のガスを使用して前記プラズマ空洞内に第2の渦流れを発生させるように構成される
請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項6】
前記第2の渦流れが前記第1の渦流れの前記中空円筒形状の中心の中空部分内部に位置し、前記プラズマが前記第2の渦流れ内で発生する、請求項5に記載のプラズマ発生システム。
【請求項7】
前記第2のガス入口が1つまたは複数の通路を有し、前記第2のガスが前記1つまたは複数の通路を通って流れ、前記1つまたは複数の通路の各々が、そこを通過する前記第2のガスに渦運動を加えるように配置構成される、請求項5に記載のプラズマ発生システム。
【請求項8】
前記第2のガスの流量が、前記プラズマ空洞の中へ流れるガスの全流量の質量の5%~95%の範囲である、請求項5に記載のプラズマ発生システム。
【請求項9】
前記内壁および前記プラズマスタビライザのうちの少なくとも一方が、表面に接触するガスに螺旋運動を加えるために螺旋溝を有する表面を有する、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項10】
プラズマ発生システムであって、
そこを通してマイクロ波エネルギーを伝送するための導波管と、
プラズマ空洞を画定するために前記導波管内に配置される内壁であって、前記マイクロ波エネルギーを使用して前記プラズマ空洞内でプラズマが発生する、内壁と、
第1のガスを前記プラズマ空洞の中に導入して前記第1のガスを使用して前記プラズマ空洞内に、中空円筒形状を有する第1の渦流れを発生させるように構成される、前記導波管の第1の側に設置される第1のガス入口であって、前記第1のガス入口が、前記プラズマによって処理されたガスが前記プラズマ空洞から外に出るときに通る孔を有する、第1のガス入口と、
前記第1のガス入口に装着される、円形の中空円筒の形状を有するプラズマスタビライザであって、前記プラズマスタビライザの長手方向が前記第1の渦流れの前記中空円筒形状の長手方向に延在する回転軸に平行である、プラズマスタビライザと
を備えるプラズマ発生システム。
【請求項11】
前記内壁が前記マイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成される、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項12】
前記第1の渦流れが、螺旋運動で前記導波管の第2の側の方に前進する前記中空円筒形状の外側領域、および螺旋運動で前記導波管の前記第1の側の方に前進する前記中空円筒形状の内側領域を有し、前記プラズマが前記第1の渦流れの前記内側領域内に発生する、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項13】
前記第1の渦流れが、螺旋運動で前記導波管の第2の側の方に前進する外側領域、および螺旋運動で前記導波管の前記第1の側の方に前進する内側領域を有し、前記プラズマスタビライザが前記第1の渦流れの内側領域と外側領域との間の境界に位置する、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項14】
前記第1のガス入口が1つまたは複数の通路を有し、前記第1のガスが前記1つまたは複数の通路を通って前記プラズマ空洞の中に導入され、前記1つまたは複数の通路の各々が、そこを通過する前記第1のガスに渦運動を加えるように配置構成される、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項15】
第2のガスを前記プラズマスタビライザの方に導入するように構成される、前記導波管の第2の側に設置される第2のガス入口
をさらに備え、
前記第2のガス入口が、前記第2のガスを使用して前記プラズマ空洞内に第2の渦流れを発生させるように構成される
請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項16】
前記第2の渦流れが前記第1の渦流れの前記中空円筒形状の中心の中空部分内部に位置し、前記プラズマが前記第2の渦流れ内で発生する、請求項15に記載のプラズマ発生システム。
【請求項17】
前記第2の渦流れが前記第1の渦流れの中に配置される、請求項15に記載のプラズマ発生システム。
【請求項18】
前記第2のガス入口が1つまたは複数の通路を有し、前記第2のガスが前記1つまたは複数の通路を通って流れ、前記1つまたは複数の通路の各々が、そこを通過する前記第2のガスに渦運動を加えるように配置構成される、請求項15に記載のプラズマ発生システム。
【請求項19】
前記第2のガスの流量が、前記プラズマ空洞の中へのガスの全流量の質量の5%~95%の範囲である、請求項15に記載のプラズマ発生システム。
【請求項20】
前記内壁および前記プラズマスタビライザのうちの少なくとも一方が、表面に接触するガスに螺旋運動を加えるために螺旋溝を有する表面を有する、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマ発生器に関し、より詳細には、マイクロ波プラズマを使用してガスを処理するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロ波テクノロジが種々の種類のプラズマを発生させるのに適用されている。通常、プラズマ源として利用されるマイクロ波放電が、マイクロ波エネルギーを、処理されるべきガスを収容する放電チャンバに結び付けることにより達成される。従来のマイクロ波プラズマシステムを動作させることにおける問題の1つには、プラズマを安定して維持することが含まれる。反応器の幾何形状、ガス入口のマニホルド、チャンバのデザイン、またはガス流量などが準最適であることの結果としてプラズマが不安定であることにより、ガスの処理または改質のための状態が最適ではなくなる可能性があり、さらにはプラズマ自体が消滅したりまたは反応器がダメージを受けたりする可能性がある。
【0003】
したがって、経済性を向上させることを目的としてより高い効率性の反応器およびスループットを生み出すためにプラズマの安定性の向上したマイクロ波プラズマシステムが必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によると、プラズマ発生システムが、そこを通してマイクロ波エネルギーを伝送するための導波管と、プラズマ空洞を画定するために導波管内に配置される内壁であって、マイクロ波エネルギーを使用してプラズマ空洞内でプラズマが発生する、内壁と、第1のガスをプラズマ空洞の中に導入して第1のガスを使用してプラズマ空洞内に第1の渦流れを発生させるように構成される、導波管の第1の側に設置される第1のガス入口であって、第1のガス入口が、プラズマによって処理されたガスがプラズマ空洞から外に出るときに通る孔を有する、第1のガス入口と、導波管の第2の側に装着される、円形の中空円筒の形状を有するプラズマスタビライザであって、プラズマスタビライザの軸方向が第1の渦流れの回転軸に平行である、プラズマスタビライザと、を有する。
【0005】
本発明の別の態様によると、プラズマ発生システムが、そこを通してマイクロ波エネルギーを伝送するための導波管と、プラズマ空洞を画定するために導波管内に配置される内壁であって、マイクロ波エネルギーを使用してプラズマ空洞内でプラズマが発生する、内壁と、第1のガスをプラズマ空洞の中に導入して第1のガスを使用してプラズマ空洞内に第1の渦流れを発生させるように構成される、導波管の第1の側に設置される第1のガス入口であって、第1のガス入口が、プラズマによって処理されたガスがプラズマ空洞から外に出るときに通る孔を有する、第1のガス入口と、第1のガス入口に装着される、円形の中空円筒の形状を有するプラズマスタビライザであって、プラズマスタビライザの軸方向が第1の渦流れの回転軸に平行である、プラズマスタビライザと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の実施形態によるプラズマ発生システムを示す概略図である。
図2】本開示の実施形態による、線2-2に沿う、図1のプラズマチャンバを示す断面図である。
図3】本開示の実施形態による前進流入口を示す斜視図である。
図4】本開示の実施形態による、線4-4に沿う、図3の前進流入口を示す断面図である。
図5】本開示の実施形態による、逆流入口を示す斜視図である。
図6】本開示の実施形態による、線6-6に沿う、図5の逆流入口を示す断面図である。
図7】本開示の実施形態による内側渦流れを示す斜視図である。
図8】本開示の実施形態による外側渦流れを示す斜視図である。
図9】本開示の実施形態によるプラズマチャンバを示す断面図である。
図10】本開示の実施形態による内側渦流れを示す斜視図である。
図11】本開示の実施形態によるプラズマチャンバを示す断面図である。
図12】本開示の実施形態による外側渦流れを示す斜視図である。
図13】本開示の実施形態によるプラズマチャンバを示す断面図である。
図14A】本開示の実施形態による中空円筒を示す斜視図である。
図14B】本開示の実施形態による中空円筒を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の記述では、説明のために、本開示を理解するのを可能にする具体的な細部が記載される。しかし、本開示がこれらの細部なしでも実施され得ることが当業者には明らかであろう。さらに、以下で説明される本開示の実施形態が多様な手法で実装され得ることを当業者であれば認識するであろう。
【0008】
図に示される構成要素またはモジュールは本開示の例示の実施形態を説明するためのものであり、本開示を不明瞭するのを回避することを意図される。さらに、本考察の全体を通して構成要素がサブユニットを含んでよい別個の機能ユニットとして説明され得ることが理解されるであろうが、種々の構成要素またはその部分が別個の構成要素として分割されてもよいか、あるいは単一のシステムまたは構成要素内で一体化されることを含めて一体に統合されてもよいことを当業者であれば認識するであろう。本明細書で考察される機能または動作が構成要素として実装され得ることに留意されたい。
【0009】
本明細書において、「1つの実施形態(one embodiment)」、「好適な実施形態(preferred embodiment)」、「一実施形態(an embodimet)」または「実施形態(embodiments)」を参照することは、この実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、特性、または機能が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれ、さらに2つ以上の実施形態に存在してもよい、ことを意味する。さらに、上で述べたフレーズが本明細書の多様な場所で現れることは、必ずしもすべてが同じ実施形態を意味するわけではない。
【0010】
本明細書の多様な場所で特定の用語を使用することは例示のためであり、限定するものとして解釈すべきではない。「含む、有する(include)」、「含む、有する(including)」、「備える(comprise)」、および「備える(comprising)」という用語は非限定の用語であると理解されるものであり、後述のいかなるリストも例であり、列記されるアイテムのみに限定されることを意図されない。
【0011】
図1は、本開示の実施形態によるプラズマ発生システム10の概略図を示す。描かれるように、プラズマ発生システム10が、中空チューブの形状を有するマイクロ波空洞/導波管20と、導波管20に接続されるプラズマチャンバ22と、マイクロ波導波管20を介してプラズマチャンバ22にマイクロ波エネルギーを提供するように動作可能である、導波管20に接続されるマイクロ波供給ユニット12と、を有する。実施形態では、プラズマチャンバ22がマイクロ波エネルギーを受け取り、受け取ったマイクロ波エネルギーを使用することによりガスを処理する。実施形態では、ガスタンク26がガスライン24を介してプラズマチャンバ22にガスを提供し、ガスタンク30がガスライン28を介してプラズマチャンバ22にガスを提供する。
【0012】
マイクロ波供給ユニット12がプラズマチャンバ22にマイクロ波エネルギーを提供し、マイクロ波供給ユニット12が、マイクロ波を発生させるためのマイクロ波発生器14と、マイクロ波発生器14に電力を供給するための電源16と、プラズマチャンバ22から反射してマイクロ波発生器14の方に移動するマイクロ波エネルギーを低減するためのチューナー18と、を有する。実施形態では、マイクロ波供給ユニット12が、マイクロ波発生器14の方に伝播する反射マイクロ波エネルギーを消散させるための擬似負荷を有するアイソレータ、反射マイクロ波エネルギーを擬似負荷まで誘導するためのサーキュレータ、および導波管20の端部のところに配置されるスライド式の短絡回路(sliding short circuit)などの、他の構成要素を有することができる。
【0013】
図2は、本開示の実施形態による、線2-2に沿う(つまり、紙に平行な平面に沿って切断される)、図1のプラズマチャンバ22の断面図を示す。描かれるように、プラズマチャンバ22が、内壁40と、プラズマスタビライザ38と、プラズマチャンバの中に前進流を導入するように構成される、ガスライン24に接続される前進流入口42と、プラズマチャンバの中に逆流を導入するように構成される、ガスライン28に接続される逆流入口44と、を有する。ここでは、プラズマ空洞という用語は、内壁40と、導波管20と、前進流入口42と、逆流入口44とによって囲まれる閉鎖空間を意味し、逆流および前進流が、導波管20を介して伝送されるマイクロ波エネルギーによりプラズマ空洞内で処理/改質される。
【0014】
実施形態では、内壁40が、石英またはセラミックなどの、マイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成される。実施形態では、内壁40が、一様な流れ、熱抵抗、化学的耐久性、および電磁透過性のために所望される任意適切な他の誘電材料で形成される。実施形態では、内壁40が、限定しないが、好適には中空円形の円筒の形状を有する。
【0015】
図3は、本開示の実施形態による前進流入口42の斜視図を示す。図4は、本開示の実施形態による、線4-4に沿う、前進流入口42の断面図を示す。描かれるように、前進流入口42が、ガスライン24と、その壁の中に形成される1つまたは複数のガス通路48とを結び付けるための孔/アダプタ47を有する。実施形態では、ガス通路48の出口がプラズマスタビライザ38の内部に位置し、その結果、プラズマスタビライザ38が、ガス通路48から外に出る流れを使用して内側渦流れ43を形成する。実施形態では、プラズマスタビライザ38の内径が内側渦流れ43の外径を調整するために変更され得る。実施形態では、上で考察したように、プラズマスタビライザ38が、中空円形の円筒の形状を有することができ、前進流入口42と同心円状に配置され得る。
【0016】
実施形態では、各ガス通路48が、ガス通路48を介して前進流がプラズマ空洞に入るときに前進流にスパイラル運動を加えるように配置構成される。実施形態では、各ガス通路48が前進流の渦度を向上させるように湾曲していてよい。実施形態では、前進流入口42がセラミックなどの任意適切な材料で形成され、その結果、入口が導波管20から電気的に隔離され、プラズマ46からの熱エネルギーに耐える。
【0017】
実施形態では、プラズマスタビライザ38が、マイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成され、好適には内壁40と同じ材料で形成される。実施形態では、プラズマスタビライザ38が導波管20に取り付けられ、プラズマ空洞の中へ突出しており、ここでは、プラズマスタビライザ38の軸方向がy軸に平行である。実施形態では、上で考察したように、内壁40が中空円形の円筒の形状を有することができ、プラズマスタビライザ38が内壁40に同心円状に装着され得る。実施形態では、プラズマスタビライザ38の内部の前進流が内側渦流れ43を形成し、導波管20のもう一方の端部の方に、またより具体的には、ガス出口32の方に、前進する。図7は、本開示の実施形態による内側渦流れ43の斜視図を示す。描かれるように、前進流(または等価の意味で、内側渦流れ)が螺旋運動で内壁40の長さ方向に移動し、最終的に内側渦流れがガス出口32から外に出る。
【0018】
実施形態では、プラズマ点火器(図2には示されない)によるプラズマプルーム(または簡単に言うと、プラズマ)46の点火時、プラズマ46がマイクロ波発生器14によって伝送されるマイクロ波エネルギーによって維持される。実施形態では、プラズマ46が内側渦流れ43内に位置し、その結果、内側渦流れ43のガス粒子がプラズマ46を通過する。実施形態では、プラズマスタビライザ38が内側渦流れ43の外径を決定し、それによりガス出口32を通ってプラズマ空洞から外に出る前に前進流がプラズマ46を迂回することが防止される。実施形態では、プラズマスタビライザ38が、内側渦流れ43を外側渦流れ45から分離することによりプラズマ46を安定状態で維持するのを補助する。
【0019】
図5は、本開示の実施形態による逆流入口44の斜視図を示す。図6は、本開示の実施形態による、線6-6に沿う、逆流入口44の断面図を示す。描かれるように、逆流入口44が、ガスライン28に結び付けるための孔/アダプタ52と、ガス出口32を形成するための孔と、逆流入口44の壁内に形成される1つまたは複数のガス通路51と、を有する。実施形態では、実施形態では、各ガス通路51が、ガス通路51を介して逆流がプラズマ空洞に入るときに逆流にスパイラル運動を加えるように配置構成される。実施形態では、各ガス通路51が逆流の渦度を向上させるように湾曲していてよい。実施形態では、逆流入口44が、限定しないが、好適には、インコネルまたはハステロイなどのNi合金で形成される。
【0020】
実施形態では、逆流入口44から外に出る逆流が内壁40の方に移動し、さらに、螺旋運動で、内壁40に沿って導波管20のもう一方の端部の方へと上方に前進する(y軸方向)。次いで、逆流が、下方に前進して外側渦流れ45を形成するように、流れ方向を反対にする。実施形態では、外側渦流れ45の回転軸がy軸に実質的に平行である。図8は、本開示の実施形態による外側渦流れ45の斜視図を示す。描かれるように、外側渦流れ45が中空円筒形状を有し、2つの流れ領域、内側下向きの流れ領域45-1および外側上向きの流れ領域45-2、を有する。実施形態では、内側渦流れ43が外側渦流れ45の中心の中空部分内に配置され、内側下向きの流れ領域45-1によって囲まれる。前進流入口42からのガスが逆流入口44からの流れに混合され、それにより内側渦流れ43を形成することに留意されたい。
【0021】
実施形態では、外側渦流れ45が内側渦流れ43を囲み、それにより内壁40をプラズマ46から遮蔽する。実施形態では、逆流入口44から外に出る逆流が周囲温度を有することができ、螺旋運動で内壁40に沿わせて外側渦流れ45を上方に移動させるときに内壁40から熱エネルギーを獲得することができる。
【0022】
実施形態では、上で考察したように、プラズマスタビライザ38の内径が内側渦流れ43の半径方向寸法を決定する。したがって、実施形態では、プラズマスタビライザ38の内径が、外側渦流れ45により内側渦流れ43を囲んで内側渦流れ43の流れ形態を安定して維持するように、調整され得、それによりプラズマを安定させ、スループットおよび効率を向上させる。
【0023】
実施形態では、プラズマ46が流入ガスを所望の製品ガスへと改質するのに使用され、ここでは、流入ガスが前進流入口42および逆流入口44によりプラズマ空洞に導入される。実施形態では、前進流入口42から外に出る内側渦流れのガス組成が、CO、CH、およびOを含み、ガス出口32から外に出るガスがCOおよびHさらには前進流ガスの未反応部分を含む。実施形態では、前進流の好適な配分が、プラズマチャンバ22に入る全体の流れの質量の5%~95%である。実施形態では、逆流が前進流と同じガス組成を有することができる。代替的実施形態では、前進流が逆流とは異なるガス組成を有することができる。さらに、動作中、前進流(および/または、逆流)のガス組成が変えられ得る。例えば、前進流がプラズマ46の点火を補助するためにアルゴンの塊を含むことができる。実施形態では、プラズマの安定性およびプラズマチャンバ22内の化学反応の効率を向上させるために前進流および逆流のガス組成および流量が調整され得る。
【0024】
図9は、本開示の実施形態によるプラズマチャンバ122の断面図を示す。描かれるように、プラズマチャンバ122は図2のプラズマチャンバ22と同様であるが、プラズマスタビライザ138が逆流入口144上に配置されてプラズマ空洞へ突出することが異なる。実施形態では、プラズマスタビライザ138が外側渦流れ145の内部に位置し、好適には、外側渦流れ143の内側上向きの流れ領域(45-1に類似する)を外側渦流れ143の外側下向きの流れ領域(45-2に類似する)から分離し、つまり、プラズマスタビライザ138が外側渦流れ143の内側流れ領域と外側流れ領域との間の境界のところに位置する。
【0025】
描かれるように、プラズマチャンバ122の構成要素が、内壁140と、導波管120と、前進入口142および逆流入口144と、を含み、これらの構成要素が、それぞれ、それらの対応する部分と同様の構造および機能を有する。プラズマチャンバ22とは異なり、前進流の半径方向寸法がプラズマスタビライザ138の内径によって制御されず、代わりに、内側渦流れ143の半径方向寸法が、前進流入口142から外に出る前進流の流量によって決定される。したがって、図10に示されるように、内側渦流れ143が長手方向(y軸)に沿って実質的に一様な半径方向寸法を有することができる。実施形態では、外側渦流れ145が図8の外側渦流れ45と同様の幾何形状を有する。
【0026】
実施形態では、プラズマスタビライザ138が外側渦流れ145の内部に位置し、動作中、外側渦流れ145の内側上向きの流れ領域(45-1に類似する)の半径方向寸法の変動に打ち勝ち、それにより、内側渦流れ143の全体の流れ形態を安定させ、さらにはプラズマ146を安定させる。
【0027】
図11は、本開示の実施形態によるプラズマチャンバ222の断面図を示す。図12は、本開示の実施形態による外側渦流れ245の斜視図を示す。描かれるように、プラズマチャンバ222は図2のプラズマチャンバ22と同様であるが、プラズマチャンバ222が前進流入口を一切有さないことが異なる。したがって、プラズマチャンバ222がプラズマ空洞内部で外側渦流れ245のみを発生させ、外側渦流れ245が内側下向きの流れ領域245-1および外側上向きの流れ領域245-2を有する。
【0028】
描かれるように、プラズマ246が外側渦流れ245の内部で維持され、より具体的には、外側渦流れ245の内側下向きの流れ部分245-1の内部で維持される。実施形態では、プラズマ246が、外側渦流れ245の内側下向きの流れ部分245-1中のガス粒子を処理/改質し、改質されたガスが逆流入口244内に形成されるガス出口から外に出る。
【0029】
実施形態では、プラズマスタビライザ238の高さ(つまり、y軸に沿う長さ)が外側渦流れ245の高さに影響する。理論によって縛られるわけではないが、プラズマスタビライザ238がプラズマ空洞内の流れ形態の変動に打ち勝つとみなされ、それにより、外側渦流れ245を、および外側渦流れ245内部に形成されるプラズマ246を、安定させる。
【0030】
図13は、本開示の実施形態によるプラズマチャンバ322の断面図を示す。描かれるように、プラズマチャンバ322は図9のプラズマチャンバ122と同様であるが、プラズマチャンバ322が前進流入口を一切有さないことが異なる。実施形態では、プラズマスタビライザ338が、外側渦流れ245と同様の外側渦流れ345内部に位置し、好適には、外側渦流れ345の内側上向きの流れ領域(245-1に類似する)を外側渦流れ345の外側下向きの流れ領域(245-2に類似する)から分離し、つまり、プラズマスタビライザ338が外側渦流れ345の内側流れ領域と外側流れ領域との間の境界のところに位置する。
【0031】
実施形態では、プラズマスタビライザ338が外側渦流れ345の内部に位置し、動作中、外側渦流れ345の内側上向きの流れ領域の半径方向寸法の変動に打ち勝ち、それにより、外側渦流れ345の全体の流れ形態を安定させ、さらにはプラズマ346を安定させる。
【0032】
実施形態では、図1~13の内側渦流れおよび外側渦流れの渦運動がプラズマ空洞内の流れ形態の安定性を向上させる。実施形態では、図1~13のプラズマチャンバ内の構成要素のうちの1つまたは複数の構成要素が、渦流れにさらに渦運動を加えるために螺旋溝またはフィンを有することができる。例えば、外側渦流れ45が内壁40の内側表面に直接に接触し、したがって、内壁40の内側表面が、外側渦流れに螺旋運動を加えるために螺旋溝またはフィンを有することができる。別の実施例では、プラズマスタビライザ38が内側渦流れ43に直接に接触し、したがって、プラズマスタビライザ38の内側表面が、内側渦流れに螺旋運動を加えるために螺旋溝またはフィンを有することができる。図14Aは、本開示の実施形態による中空円筒400の斜視図を示す。描かれるように、中空円筒400の内側表面が、円筒の内側表面に沿ってガスが流れるときにガスに螺旋運動を加えるための1つまたは複数の溝(または、フィン)402を有する。実施形態では、円筒400が、図1~13のプラズマスタビライザおよび/または内壁として使用され得る。
【0033】
実施形態では、プラズマスタビライザ(例えば、338)が外側渦流れ(例えば、345)の内部に位置し、したがって、プラズマスタビライザ338の内側表面および外側表面が、外側渦流れ345にさらに螺旋運動を加えるために螺旋溝またはフィンを有することができる。図14Bは、本開示の実施形態による中空円筒420の斜視図を示す。描かれるように、中空円筒420の内側表面および外側表面が、円筒の内側表面および/または外側表面に沿ってガスが流れるときにガスに螺旋運動を加えるための1つまたは複数の溝(または、フィン)422を有する。実施形態では、円筒420が、図1~13のプラズマスタビライザおよび/または内壁として使用され得る。
【0034】
本開示を実施するのに計算システムまたはプログラミング言語が重要ではないことを当業者であれば認識するであろう。さらに、上述の多数の要素が、物理的におよび/または機能的にサブモジュールに分離されるか、または一緒に組み合わされ得ることを当業者であれば認識するであろう。
【0035】
上記の実施例および実施形態が例示であり、本開示の範囲を限定するものではないことを当業者であれば認識するであろう。本明細書および図面の考察を読むことにより当業者には明らかとなる、上記の実施例および実施形態に対しての、あらゆる置換形態、拡張形態、均等物、組み合わせ、および改善形態は、本開示の真の精神および範囲内に含まれることを意図される。さらに、任意の請求項の要素が、複数の従属関係、構成、および組み合わせを有することを含めて多様な形で、配置構成され得ることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B