(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】プラズマ安定性のためのプラズマ反応器の排出ガス圧の制御
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
H05H1/24
(21)【出願番号】P 2021556398
(86)(22)【出願日】2020-02-29
(86)【国際出願番号】 US2020020559
(87)【国際公開番号】W WO2020197702
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-01-19
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514014827
【氏名又は名称】リカーボン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド, ザ サード, ジョージ スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】マクレランド, ステファン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シェ, フェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】トム, カーティス ピーター
(72)【発明者】
【氏名】クー, ジェ モ
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/128673(WO,A2)
【文献】特開2004-288482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁を有し、内部を通してマイクロ波エネルギーを伝送する導波管と、
プラズマスタビライザと、
前記導波管に結合され、前記マイクロ波エネルギーを用いて内部にプラズマを発生させるように構成されたプラズマチャンバと、
入力ガスを前記プラズマチャンバに導入する
前進流入口
及び逆流入口と、
前記プラズマチャンバからの排出ガスを運ぶ排出ガス管であって、前記プラズマが前記入力ガスを前記排出ガスに変換する
、排出ガス管と、
前記排出ガス管内に設置され、前記排出ガス管内の前記排出ガスの圧力を制御するように構成された圧力制御装置と
を備え
、
前記プラズマスタビライザは、前記内壁、前記導波管、前記前進流入口、及び前記逆流入口によって取り囲まれるプラズマ空洞の中に突出している、プラズマ発生システム。
【請求項2】
前記圧力制御装置は、少なくとも1つのオリフィスが内部に形成された円盤である、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項3】
前記圧力制御装置は、前記排出ガスが通過する少なくとも1つの孔を有する球体である、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項4】
前記圧力制御装置は、メッシュ生地を含む、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項5】
前記圧力制御装置は、1つまたは複数の縁部切欠きを有する円盤である、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項6】
前記圧力制御装置はチューブであり、前記チューブの直径は前記チューブの下流の方向に沿って変わる、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項7】
前記圧力制御装置は、フィードバック制御ユニットを含むとともに、
前記排出ガス管内の前記排出ガスの圧力を測定するセンサと、
前記排出ガス管内の前記排出ガスの前記圧力を調節する弁と、
前記圧力に関連した信号を受信し、前記信号に応答して前記弁を制御する制御ユニットとを備える、
請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項8】
複数のプラズマ反応器であって、前記複数のプラズマ反応器の各々が、
請求項1に記載の前記導波管、前記プラズマスタビライザ、前記内壁、前記プラズマチャンバ、前記前進流入口、前記逆流入口、前記排出ガス管、及び前記圧力制御装置を含む、複数のプラズマ反応器と、
前記複数のプラズマ反応器の前記排出ガス管に結合され、前記排出ガス管から前記排出ガスを受け入れるように構成されたマニホールドと
を備える
、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項9】
前記圧力制御装置は、少なくとも1つのオリフィスが内部に形成された円盤である、請求項
8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項10】
前記圧力制御装置は、前記排出ガスが通過する少なくとも1つの孔を有する球体である、請求項
8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項11】
前記圧力制御装置は、メッシュ生地を含む、請求項
8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項12】
前記圧力制御装置は、1つまたは複数の縁部切欠きを有する円盤である、請求項
8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項13】
前記圧力制御装置はチューブであり、前記チューブの直径は前記チューブの下流の方向に沿って変わる、請求項
8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項14】
前記圧力制御装置は、フィードバック制御ユニットを含むとともに、
前記排出ガス管内の前記排出ガスの圧力を測定するセンサと、
前記排出ガス管内の前記排出ガスの前記圧力を調節する弁と、
前記圧力に関連した信号を受信し、前記信号に応答して前記弁を制御する制御ユニットとを備える、
請求項
8に記載のプラズマ発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ発生器に関し、より詳細には、プラズマ反応器内のプラズマを安定化する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なタイプのプラズマを発生させるために、マイクロ波技術が適用されている。ガスを処理/改質する従来のプラズマ発生システムは、システム全体のスループットを増加させるために複数のプラズマ反応器を用い、独立した各プラズマ反応器からのガス出力は、共通のマニホールドまたは熱交換器に配管および接続されている。そのような従来のプラズマ発生システムは、しばしば、ジョイント、弁、継ぎ手などの多数の取付け具、ならびにプラズマ反応器をマニホールドに組み付けて提供するのを助けるためのパイピングにおける屈曲部を用いる。
【0003】
典型的には、この幾何学的形状、および結果として得られる取付け具、パイピング、およびマニホールドにおける容積は、最適化されず、反応器生成ガスに定常波を生成し得る。定常波によって、プラズマ反応器チャンバ内に圧力変動が生じるとともにプラズマを不安定にさせる可能性があり、この不安定性は、プラズマにそれ自体を消滅させ、ガスの処理または改質のために最適ではない状態をもたらす可能性がある。さらに、あるプラズマ反応器内の乱れ(すなわち、フレームアウト)が同じ回路内の隣接したプラズマ反応器に伝播するクロストークの問題があり得る。
【発明の概要】
【0004】
したがって、定常波および/またはクロストークを制御し/防ぎ、それによってプラズマ反応器内のプラズマを安定化する機構を有するマイクロ波プラズマシステムの必要がある。
【0005】
本発明の一態様によれば、プラズマ発生システムは、内部を通してマイクロ波エネルギーを伝送する導波管と、導波管に結合され、マイクロ波エネルギーを用いて内部にプラズマを発生させるように構成されたプラズマチャンバと、ガスをプラズマチャンバに導入する流入口と、プラズマチャンバからの排出ガスを運ぶ排出ガス管であって、プラズマがガスを排出ガスに変換する、排出ガスを運ぶ排出ガス管と、排出ガス管内に設置され、排出ガス管内の排出ガスの圧力を制御するように構成された圧力制御装置とを含む。
【0006】
本発明の別の態様によれば、プラズマ発生システムは、複数のプラズマ反応器であって、複数のプラズマ反応器の各々が、内部を通してマイクロ波エネルギーを伝送する導波管、導波管に結合され、マイクロ波エネルギーを用いて内部にプラズマを発生させるように構成されたプラズマチャンバ、ガスをプラズマチャンバに導入する流入口、プラズマチャンバからの排出ガスを運ぶ排出ガス管であって、プラズマがガスを排出ガスに変換する、排出ガスを運ぶ排出ガス管、および排出ガス管内に設置され、排出ガス管内の排出ガスの圧力を制御するように構成された圧力制御装置を含む、複数のプラズマ反応器と、複数のプラズマ反応器の排出ガス管に結合され、排出ガス管から排出ガスを受け入れるように構成されたマニホールドとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の各実施形態による複数のプラズマ反応器を有するプラズマ発生システムの概略図である。
【
図2】本開示の各実施形態による
図1のプラズマ反応器の概略図である。
【
図3】本開示の各実施形態による線3-3に沿って得られる
図2のプラズマチャンバの断面図である。
【
図4】本開示の各実施形態による前進流入口の斜視図である。
【
図5】本開示の各実施形態による線5-5に沿って得られる
図4の前進流入口の断面図である。
【
図6】本開示の各実施形態による逆流入口の斜視図である。
【
図7】本開示の各実施形態による線7-7に沿って得られる
図6の逆流入口の断面図である。
【
図8】本開示の各実施形態による内側渦流れの斜視図である。
【
図9】本開示の各実施形態による外側渦流れの斜視図である。
【
図10A】本開示の各実施形態による圧力制御装置の斜視図である。
【
図10B】本開示の各実施形態による圧力制御装置の斜視図である。
【
図10C】本開示の各実施形態による圧力制御装置の斜視図である。
【
図10D】本開示の各実施形態による圧力制御装置の斜視図である。
【
図10E】本開示の各実施形態による圧力制御装置の斜視図である。
【
図10F】本開示の各実施形態による圧力制御装置の斜視図である。
【
図11】本開示の各実施形態によるプラズマ反応器の概略図である。
【
図12】本開示の各実施形態によるプラズマ反応器の概略図である。
【
図13】本開示の各実施形態によるプラズマチャンバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の明細書において、説明のために、特定の詳細は、本開示の理解を与えるために記載されている。しかしながら、本開示はこれらの詳細なしで実施できることが当業者には明らかであろう。さらに、当業者は、以下に説明される本開示の各実施形態は、いろいろなやり方で実施できると認識するであろう。
【0009】
図に示された構成要素またはモジュールは、本開示の例示的な各実施形態を示しており、本開示を曖昧にするのを防ぐことが意図される。この議論全体にわたって、この構成要素は、サブユニットを含み得る別個の機能的なユニットとして説明され得るが、当業者は、様々な構成要素もしくはその部分が別個の構成要素に分割されてもよく、または単一のシステムまたは構成要素内に統合されることを含めて一緒に統合されてもよいことを認識するであろうことも理解されるはずである。本明細書中で論じられる機能または動作は、構成要素として実現されてもよいことに留意されたい。
【0010】
本明細書における「一実施形態」、「好ましい実施形態」、「ある実施形態」、または「各実施形態」の言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、特性、または機能が、本開示の少なくとも一実施形態に含まれ、2つ以上の実施形態であってもよいことを意味する。また、本明細書中の様々な場所における上述のフレーズの出現は、必ずしも同じ実施形態または各実施形態を全て参照するものではない。
【0011】
本明細書中の様々な場所におけるある種の用語の使用は、例示のためであり、限定として解釈されるべきではない。用語「含む」、「含んでいる」、「備える」、および「備えている」は、オープンタームであると理解されるものとし、以下のリストは例であり、挙げられた項目に限定されることを意味しない。
【0012】
第1図(「
図1」)は、本開示の各実施形態によるプラズマ発生システム100の概略図を示す。図示されるように、プラズマ発生システム100は、1つまたは複数のプラズマ反応器101a~101nと、プラズマ反応器から生成ガス(または均等には排出ガス)を受け取るマニホールド127とを含むことができる。より具体的には、プラズマ発生システム100は、マイクロ波エネルギーを生成し、マイクロ波エネルギーをそれぞれプラズマチャンバ122a~122nに供給するマイクロ波供給ユニット112a~112nと、第1の入力ガスライン124a~124nと、第2の入力ガスライン128a~128nと、排出ガス管125a~125nと、排出ガス管に結合されるとともに流体連通しているマニホールド127とを含むことができる。各実施形態では、各排出ガス管(すなわち、125a)は、各プラズマチャンバ(例えば、122a)からマニホールド127へ排出ガスを運ぶことができる。
【0013】
図2は、本開示の各実施形態によるプラズマ反応器101aの概略図を示す。図示されるように、プラズマ反応器101aは、中空チューブの形状を有するマイクロ波空洞/導波管120と、導波管120に接続されたプラズマチャンバ122aと、導波管120に接続されるとともにマイクロ波導波管120を介してプラズマチャンバ122aにマイクロ波エネルギーを供給するように動作可能であるマイクロ波供給ユニット112aとを含むことができる。各実施形態では、プラズマチャンバ122aは、マイクロ波エネルギーを受信し、受信されたマイクロ波エネルギーを使用することによって入力ガスを処理する。入力ガスは、前進流入口142および逆流入口144の一方または両方によってプラズマチャンバ122aへ導入される。各実施形態では、ガスタンク126は、ガスライン124aを介してプラズマチャンバ122aにガスを供給し、ガスタンク130は、ガスライン128aを介してプラズマチャンバ122aにガスを介して供給する。
【0014】
各実施形態では、マイクロ波供給ユニット112aは、マイクロ波エネルギーをプラズマチャンバ122aに供給し、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生器114と、マイクロ波発生器114に電力を供給する電源116と、プラズマチャンバ122aから反射しマイクロ波発生器114の方へ進むマイクロ波エネルギーを減少させるチューナ118とを含む。各実施形態では、マイクロ波供給ユニット112aは、マイクロ波発生器114の方へ伝播する反射したマイクロ波エネルギーを放散するダミー負荷を有するアイソレータ、および反射したマイクロ波エネルギーをダミー負荷へ向けるサーキュレータ、および導波管120の端部に配置されたスライド式短絡などの他の構成要素を含むことができる。
【0015】
図3は、本開示の各実施形態による線3-3に沿って得られる
図2のプラズマチャンバ122aの断面図を示す。図示されるように、プラズマチャンバ122aは、内壁140と、プラズマスタビライザ138と、ガスライン124aに接続されるとともに前進流をプラズマチャンバに導入するように構成された前進流入口142と、ガスライン128aに接続されるとともに逆流をプラズマチャンバに導入するように構成された逆流入口144とを含む。ここで、プラズマ空洞という用語は、内壁140、導波管120、前進流入口122、および逆流入口144で取り囲まれる閉鎖空間を指し、そこで、逆流ガスおよび前進流は、プラズマ146によってプラズマ空洞内で処理/改質され、プラズマ146は、導波管120を介して伝送されるマイクロ波エネルギーによって維持される。
【0016】
各実施形態では、内壁140は、石英またはセラミックなどのマイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成されている。各実施形態では、内壁140は、均一な流れ、熱抵抗、耐化学薬品性、および電磁透過性に望ましい任意の他の適切な誘電材料で形成されている。各実施形態では、内壁140は、中空円筒の形状を有することが好ましいが、中空円筒の形状に限定されない。
【0017】
図4は、本開示の各実施形態による前進流入口142の斜視図を示す。
図5は、本開示の各実施形態による線5-5に沿って得られる前進流入口142の断面図を示す。図示されるように、前進流入口142は、ガスライン124に結合する孔/アダプタ147と、その壁に形成された1つまたは複数のガス通路148とを有する。各実施形態では、ガス通路148の出口は、プラズマスタビライザ138の内側に位置し、プラズマスタビライザ138は、ガス通路148から出る流れを用いて内側渦流れ143を形成するようになっている。各実施形態では、プラズマスタビライザ138の内径は、内側渦流れ143の外径を調節するように変更することができる。各実施形態では、上述したように、プラズマスタビライザ138は、中空円筒であり前進流入口142に同心に配置された形状を有することができる。
【0018】
各実施形態では、各ガス通路148は、前進流がガス通路148を介してプラズマ空洞に入るときに前進流にスパイラル運動を付与するように配置構成される。各実施形態では、各ガス通路148は、前進流の渦度を高めるように曲がっていてもよい。
【0019】
各実施形態では、プラズマスタビライザ138は、マイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成され、好ましくは、内壁140と同じ材料で形成される。各実施形態では、プラズマスタビライザ138は、導波管120に取り付けられ、プラズマ空洞の中に突出しており、プラズマスタビライザ138の軸方向は、y軸に平行である。各実施形態では、上述したように、内壁140は、中空円筒の形状を有してもよく、プラズマスタビライザ138は、内壁140に同心に設置することができる。各実施形態では、プラズマスタビライザ138の内側の前進流は、内側渦流れ143を形成し、導波管120の他端の方へ、より具体的には、ガス出口132の方へ進行する。
図8は、本開示の各実施形態による内側渦流れ143の斜視図を示す。図示されるように、前進流(または均等には、内側渦流れ)は、内側渦流れがガス出口132から出るまで螺旋運動で内壁140の長さだけ進む。
【0020】
各実施形態では、プラズマ点火器(
図3に図示せず)によってプラズマプルーム(または要するにプラズマ)146を点火すると、プラズマ146は、マイクロ波発生器114により伝送されるマイクロ波エネルギーによって維持される。各実施形態では、プラズマ146は、内側渦流れ143のガス粒子がプラズマ146を通過するように内側渦流れ143内に位置する。各実施形態では、プラズマスタビライザ138は、内側渦流れ143の外径を決定し、ガス出口132を通ってプラズマ空洞から出る前に前進流がプラズマ146をバイパスするのを防ぐ。各実施形態では、プラズマスタビライザ138は、内側渦流れ143を外側渦流れ145から分離することによってプラズマ146を安定に保つのを助ける。
【0021】
図6は、本開示の各実施形態による逆流入口144の斜視図を示す。
図7は、本開示の各実施形態による線7-7に沿って得られる逆流入口144の断面図を示す。図示されるように、逆流入口144は、ガスライン128aに結合する孔/アダプタ152と、ガス出口132を形成する孔と、逆流入口144の壁内に形成される1つまたは複数のガス通路151とを有する。各実施形態では、各ガス通路151は、逆流がガス通路151を介してプラズマ空洞に入るときに逆流にスパイラル運動を付与するように配置構成される。各実施形態では、各ガス通路151は、逆流の渦度を高めるように曲がっていてもよい。
【0022】
各実施形態では、逆流入口144から出る逆流は、内壁140の方に向かって進み、次いで螺旋運動で内壁140に沿って導波管120の他端の方へ上向き(y軸方向)に進行する。続いて、逆流は、下向きに進行し、外側渦流れ145を形成するように流れの方向を逆にする。各実施形態では、外側渦流れ145の回転軸は、y軸にほぼ平行である。
図9は、本開示の各実施形態による外側渦流れ145の斜視図を示す。図示されるように、外側渦流れ145は、中空円筒形状を有し、内側下降流領域145-1および外側上昇流領域145-2という2つの流れ領域を有する。各実施形態では、内側渦流れ143は、外側渦流れ145の中央中空部分に配置構成され、内側下降流領域145-1によって取り囲まれる。
【0023】
各実施形態では、外側渦流れ145は、内側渦流れ143を取り囲み、それによってプラズマ146から内壁140をシールドする。各実施形態では、逆流入口144から出る逆流は、周囲温度を有し、外側渦流れ145が螺旋運動で内壁140に沿って上向きに進むときに内壁140から熱エネルギーをとることができる。
【0024】
各実施形態では、上述したように、プラズマスタビライザ138の内径が、内側渦流れ143の径寸法を決定する。したがって、各実施形態では、プラズマスタビライザ138の内径は、外側渦流れ145が内側渦流れ143を取り囲み、安定したやり方で内側渦流れ143の流れの状況(flow regime)を保持するように調節することができ、それによってプラズマを安定化し、改善されたスループットおよび効率をもたらす。
【0025】
各実施形態では、プラズマ146は、入口ガスを所望の生成ガスに改質するために使用され、入口ガスが、前進流入口142および逆流入口144の一方または両方によってプラズマ空洞の中に導入される。各実施形態では、前進流入口142から出る内側渦流れのガス組成は、CO2、CH4、およびO2を含み、ガス出口132から出るガスは、COおよびH2、ならびに前進流ガスの非反応部分を含む。各実施形態では、前進流の好ましい分布は、プラズマチャンバ122aに入る全ての流れの0質量%~100質量%である。各実施形態では、逆流は、前進流の同じガス組成を有し得る。代替の各実施形態では、前進流は、逆流とは異なるガス組成を有してもよい。各実施形態では、前進流および逆流のガス組成および流量は、プラズマチャンバ122a内の化学反応のプラズマの安定性および効率を高めるために調節することができる。
【0026】
図3に示されるように、圧力制御装置300は、プラズマチャンバ122aから出る排出ガスの圧力を調節してプラズマチャンバ内に背圧を作り出すために排出ガス管125a内に設置することができる。各実施形態では、圧力制御装置300は、排出ガス管を通って伝播する圧力波を減衰させるために排出ガス管125aの断面積を制限/変更することができる(すなわち、圧力制御装置300は、流れインピーダンスを与えることができる)。
図10Aは、本開示の各実施形態による圧力制御装置1000の斜視図を示す。各実施形態では、圧力制御装置1000は、
図3の圧力制御装置300として使用されてもよい。本開示では、例示のために、排出ガス管(例えば、125a)の断面形状は円であり、一方、排出ガス管は、楕円または長方形などの他の適切な断面形状を有し得ると仮定される。
【0027】
図10Aに示されるように、圧力制御装置1000は、オリフィス(または均等には孔)1002が内部に形成されている平らな円盤の形状を有してもよい。オリフィス1002の寸法は、障害物の幾何学的形状を変えるために変更されてもよく、それによってプラズマチャンバ内の背圧の量を制御するとともに、プラズマ146の安定性を最適化する。各実施形態では、定常波などの波は、排出ガス管125aおよび/またはマニホールド127内に形成される場合があり、波は、時間で変わる圧力の変動に関連し得る。各実施形態では、圧力制御装置1000は、排出ガス管125a内の時間で変わる圧力の変動を制御/変調することができ、それにプラズマ146の安定性を最適化する。
【0028】
圧力制御装置1000が使用されない場合、あるプラズマチャンバ(例えば、122a)内の圧力の乱れは、排出ガス管125a、マニホールド127、および排出ガス管125bを通って別のプラズマチャンバ(例えば、122b)へ伝搬し得、すなわち、クロストークが、2つ以上のプラズマチャンバ間で生じ得る。各実施形態では、圧力制御装置1000は、プラズマ安定性を高めるために、クロストークを抑制することもできる。
【0029】
排出ガス管125aを通しての圧力の変動/乱れの伝播を抑制しつつ排出ガス管125a内の圧力およびプラズマチャンバ122a内の背圧を最適化するために、圧力制御装置1000が2つ以上のオリフィスを含んでよいことは、当業者に明らかなはずである。
【0030】
各実施形態では、圧力制御装置300は、
図10B~
図10Gに示されるように、他の適切な形状を有してもよい。
図10Bは、本開示の各実施形態による圧力制御装置1010を示す。
図10Bに示されるように、圧力制御装置1010は、1つまたは複数の孔1012を有する球体であってもよい。各実施形態では、圧力制御装置1010の直径は、排出ガス管125aの内径と同じであってもよい。各実施形態では、孔1012のサイズおよび個数は、圧力の変動/乱れの伝播を抑制しつつ排出ガス管125a内の圧力およびプラズマチャンバ122a内の背圧を最適化するために変更されてもよい。
【0031】
図10Cは、本開示の各実施形態による圧力制御装置1020を示す。
図10Cに示されるように、圧力制御装置1020は、メッシュ生地1022で形成されてもよく、メッシュ生地は、金属、非金属、または両方などの適切な材料で形成されてもよい。各実施形態では、メッシュ生地1022のストランドが、絡んでいてもよく、または格子状構造を有してもよく、ストランドのサイズおよびストランド間の間隔は、排出ガス管125aを通して圧力の変動/乱れの伝播を抑制しつつ排出ガス管125a内の圧力およびプラズマチャンバ122a内の背圧を最適化するために変更されてもよい。
【0032】
図10Dは、本開示の各実施形態による圧力制御装置1030を示す。
図10Dに示されるように、圧力制御装置1030は、1つまたは複数の縁部切欠きを有する平らな円盤であってもよく/溝1032は、この円盤の側面に沿って形成されてもよい。圧力制御装置1000のように、縁部切欠き1032のサイズおよび個数は、排出ガス管125aを通して圧力の変動/乱れの伝播を抑制しつつ排出ガス管125a内の圧力およびプラズマチャンバ122a内の背圧を最適化するために変更されてもよい。
【0033】
図10Eは、本開示の各実施形態による圧力制御装置1040を示す。
図10Eに示されるように、圧力制御装置1040は、チューブの断面寸法がチューブの軸方向に沿って変わり得るチューブであり得る。各実施形態では、チューブの両端におけるチューブの外径D2は、排出ガス管125aの内径と同じでもよい。各実施形態では、チューブ1040の最小内径D1は、排出ガス管125aを通して圧力の変動/乱れの伝播を抑制しつつ排出ガス管125a内の圧力およびプラズマチャンバ122a内の背圧を最適化するために変更されてもよい。
【0034】
図10Fは、本開示の各実施形態による圧力制御装置1050を示す。図示されるように、圧力制御装置1050は、排出ガス管125aの内面に固定されている一連のバッフル1052を含んでもよい。
図10Gは、本開示の各実施形態によるバッフル1052の正面図を示す。各実施形態では、バッフル1052の個数および形状は、排出ガス管125aを通して圧力の変動/乱れの伝播を抑制しつつ排出ガス管125a内の圧力およびプラズマチャンバ122a内の背圧を最適化するために変更されてもよい。
【0035】
図11は、本開示の各実施形態によるプラズマ反応器1100の概略図を示す。図示されるように、プラズマ反応器1100は、フィードバック制御ユニット1103が排出ガス管1125内の圧力を制御するために使用され得るという差を伴って、プラズマ反応器101aと類似し得る。各実施形態では、フィードバック制御ユニット1103は、排出ガス管1125内のガス圧を測定する圧力変換器などのセンサ1106と、排出ガス管1125内のガス圧を制御する可変オリフィス弁などの弁1108と、センサ1106および弁1108に結合され、センサ1106および弁1108を制御するように構成された制御ユニット1110とを含むことができる。各実施形態では、コンピューティング装置であり得る制御ユニット1110は、センサ1106から信号を受信し、この信号に応答して、排出ガス管1125を通じての圧力を調節するように弁1108を制御することができ、それによって排出ガス管1125を通しての圧力の変動/乱れの伝播を抑制しつつ排出ガス管1125内の圧力およびプラズマチャンバ1122内の背圧を最適化する。
【0036】
各実施形態では、プラズマ反応器101a~101nの各々は、フィードバック制御ユニット1103を有してもよい。代替の各実施形態では、プラズマ反応器101a~101nの各々は、センサ1106および弁1108を有することができ、一方、プラズマ反応器のセンサおよび弁は、1つの制御ユニット1110によって制御され、すなわち、排出ガス圧は、1つの集中型制御ユニットによって制御される。
【0037】
図12は、本開示の各実施形態によるプラズマ反応器1200の概略図を示す。図示されるように、プラズマ反応器1200は、容器1206が排出ガス管1202に取り付けられ、排出ガス管1202と流体連通していることができるという差を伴って、プラズマ反応器101aと類似し得るものであり、容器1206は、排出ガス管1202内の定常波の周波数を狂わせる(disrupt)またはシフトさせるために使用することができ、それによってプラズマ安定性を改善し、および/またはマニホールド1227を通してのプラズマ反応器間のクロストークを減衰させる。
【0038】
図3のプラズマチャンバ122aは、異なる構成要素、および構成要素の配置を有してもよいことに留意されたい。例えば、プラズマチャンバは、前進流入口142を含まなくてもよい。別の例では、プラズマスタビライザ138は、逆流入口144上に装着されてもよい。プラズマチャンバ122aの様々な実施形態の説明は、2020年1月26日に出願された「Plasma reactor for processing gas」という名称の同時係属している米国特許出願第16/752,689号に見つけることができ、この出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0039】
各実施形態では、
図3のプラズマチャンバ122aは、逆流入口144を含まなくてもよい。
図13は、本開示の各実施形態によるプラズマチャンバ400の断面図を示す。各実施形態では、プラズマチャンバ400は、
図1のプラズマ反応器に使用され得る。図示されるように、プラズマチャンバ400は、
図3の前進流入口142と同様の構造および機能を有する前進流入口442を含むが、プラズマチャンバ400は、逆流入口を含まない。各実施形態では、プラズマスタビライザ438は、適宜の構成要素である。各実施形態では、プラズマ446によって処理されるガスは、ガス出口432を通って出て行き、排出ガス管445内に設置された圧力制御装置500は、圧力制御装置300と同様の構造および機能を有する。
【0040】
上述したように、
図1のプラズマ反応器101a~101nの各々は、
図10A~
図10Gの圧力制御装置を使用することができる。また、
図11のフィードバック制御ユニット1103および
図12のチャンバ1206は、プラズマ安定性を改善するとともに、マニホールド127を通してのプラズマ反応器間のクロストークを減衰させるために使用されてもよい。したがって、
図1の各プラズマ反応器が、
図10A~
図10Gの圧力制御装置、
図11のフィードバック制御ユニット1103、および
図12のチャンバ1206のうちの1つまたは複数を使用することができることは、当業者に明らかなはずである。同様に、
図13のプラズマチャンバが、
図10A~
図10Gの圧力制御装置、
図11のフィードバック制御ユニット1103、および
図12のチャンバ1206のうちの1つまたは複数を使用することができることは、当業者に明らかなはずである。
【0041】
前述の各例および各実施形態は、例示であり、本開示の範囲を限定しないことが当業者に理解されるであろう。本明細書を読むとともに図面を研究すると当業者に明らかである全ての置換、強化、均等、組合せ、それに対する改善は、本開示の真の趣旨および範囲内に含まれることが意図されている。任意の請求の範囲の要素は、複数の従属、構成、および組合せを有することを含んで別の仕方で配置構成されてもよいことにも留意されたい。