(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】振動検知装置
(51)【国際特許分類】
D06F 33/30 20200101AFI20240703BHJP
D06F 34/05 20200101ALI20240703BHJP
D06F 34/10 20200101ALI20240703BHJP
【FI】
D06F33/30
D06F34/05
D06F34/10
(21)【出願番号】P 2021571197
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(86)【国際出願番号】 JP2021000748
(87)【国際公開番号】W WO2021145323
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2020004391
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 孝
(72)【発明者】
【氏名】北 祐人
(72)【発明者】
【氏名】大江 宏和
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-208858(JP,A)
【文献】特開2014-236766(JP,A)
【文献】特開2011-217761(JP,A)
【文献】特開2018-130412(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139073(JP,U)
【文献】特開2012-239640(JP,A)
【文献】特開2004-073468(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0096358(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 35/00
D06F 33/30
D06F 37/42
G01H 1/00~17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機と接触して配置される装置本体に備えられる振動センサと、
前記振動センサによって検知される前記洗濯機の振動情報をネットワーク通信によって外部に送信する第1通信部とを備えており、
前記振動情報には、振動の強弱を示す振動レベルの情報が含まれ
、
前記装置本体は、前記洗濯機の脚部の下に敷設されることを特徴とする振動検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動検知装置であって、
前記振動センサによって検知される前記洗濯機の
荷重方向の振動レベルが所定の閾値を超えた場合に、前記第1通信部は、所定の通信端末に対して報知を行うことを特徴とする振動検知装置。
【請求項3】
請求項2に記載の振動検知装置であって、
前記閾値は、ユーザが任意に設定可能であることを特徴とする振動検知装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の振動検知装置であって、
当該振動検知装置が前記洗濯機との通信機能を有しており、
前記振動センサによって検知される前記洗濯機の振動レベルが所定の閾値を超えた場合に、前記洗濯機との通信によって前記洗濯機の運転を停止させることを特徴とする振動検知装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の振動検知装置であって、
前記洗濯機に対し、当該振動検知装置を介して電力の供給が可能であり、
前記振動センサによって検知される前記洗濯機の振動レベルが所定の閾値を超えた場合に、前記洗濯機への電力供給を遮断することを特徴とする振動検知装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の振動検知装置であって、
前記装置本体とは別体として設けられ、商用電源のコンセントに差し込んで使用でき、かつ前記装置本体と通信可能な電源部を有し、
前記第1通信部は、前記電源部に備えられることを特徴とする振動検知装置。
【請求項7】
請求項6に記載の振動検知装置であって、
前記装置本体が第2通信部を備え、前記電源部が第3通信部を備えており、
前記装置本体と前記電源部とは、前記第2通信部および前記第3通信部を介した無線通信によって通信可能であることを特徴とする振動検知装置。
【請求項8】
請求
項7に記載の振動検知装置であって、
前記振動センサは振動で発電するものであり、前記洗濯機の振動が伝わったときに前記振動センサによって発電した電力を、前記第2通信部の動作電力として使用可能であることを特徴とする振動検知装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載の振動検知装置であって、
前記振動センサを複数備えており、前記振動情報には複数箇所での振動レベルの情報が含まれることを特徴とする振動検知装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の振動検知装置であって、
前記洗濯機が運転中であるか非運転であるかを判断できる機能を有しており、
前記洗濯機が非運転であるときに前記振動センサによって振動が検知された場合には、前記洗濯機内に子供やペットが入り込んだと判断して、所定の通信端末に対して報知を行
うことを特徴とする振動検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に後付けして使用できる振動検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機のオプション装置として防水パンといったものがある。洗濯機用の防水パンは、洗濯機の脚部を載せる架台として用いられるものであり、洗濯機からの漏水が生じたときにこれを受け止めて床面への漏水を防止する機能を有している。特許文献1には、防水パンの構造や形状を工夫することで、位置や高さの調整が行いやすくなる防水パンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された防水パンは、構造や形状の工夫によって効果を得ようとするものであるため、その効果も簡単なものに限定される。
【0005】
これに対し、防水パンなどのオプション装置にセンサ類やネットワーク通信機能を備えれば、より便利な効果を持たせることができると考えられる。例えば、洗濯機の振動を検知する振動検知機能をオプション装置に持たせれば、振動検知機能を持たない洗濯機に同機能を付加することができる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ネットワーク通信機能を備え、洗濯機に後付けして使用できる振動検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の振動検知装置は、洗濯機と接触して配置される装置本体に備えられる振動センサと、前記振動センサによって検知される前記洗濯機の振動情報をネットワーク通信によって外部に送信する第1通信部とを備えており、前記振動情報には、振動の強弱を示す振動レベルの情報が含まれることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、装置本体を洗濯機に後付けし、これによって洗濯機に発生する振動を検知できる。さらに、洗濯機の振動情報(振動レベル)をネットワーク通信によって外部に送信することができ、例えば、ユーザの持つ通信端末(スマートフォンなど)に報知を行ったり、クラウドサーバに振動情報のデータを集めて故障や劣化などの分析や推測に利用したりすることができる。
【0009】
また、上記振動検知装置は、前記振動センサによって検知される前記洗濯機の振動レベルが所定の閾値を超えた場合に、前記第1通信部は、所定の通信端末に対して報知を行う構成とすることができる。
【0010】
上記の構成によれば、前記所定の通信端末を例えばユーザが持つスマートフォンに設定することで、洗濯機に危険レベルの振動が生じた場合などにユーザに報知することができる。
【0011】
また、上記振動検知装置では、前記閾値は、ユーザが任意に設定可能である構成とすることができる。
【0012】
上記の構成によれば、ユーザが希望する任意のレベルで、危険レベルの報知を受けることができる。
【0013】
また、上記振動検知装置では、当該振動検知装置が前記洗濯機との通信機能を有しており、前記振動センサによって検知される前記洗濯機の振動レベルが所定の閾値を超えた場合に、前記洗濯機との通信によって前記洗濯機の運転を停止させる構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、洗濯機に危険レベルの振動が生じた場合に洗濯機の運転を停止させ、安全を確保することができる。
【0015】
また、上記振動検知装置では、前記洗濯機に対し、当該振動検知装置を介して電力の供給が可能であり、前記振動センサによって検知される前記洗濯機の振動レベルが所定の閾値を超えた場合に、前記洗濯機への電力供給を遮断する構成とすることができる。
【0016】
上記の構成によれば、洗濯機が通信機能を有していない場合であっても、洗濯機に危険レベルの振動が生じた場合に電力供給の遮断によって洗濯機の運転を停止させ、安全を確保することができる。
【0017】
また、上記振動検知装置は、前記装置本体とは別体として設けられ、商用電源のコンセントに差し込んで使用でき、かつ前記装置本体と通信可能な電源部を有し、前記第1通信部は、前記電源部に備えられる構成とすることができる。
【0018】
上記の構成によれば、振動検知装置に操作入力部を備える場合に、電源部に操作入力部を備えることでユーザにとっては操作がしやすくなったり、第1通信部に対する防水対策を省略または簡略化できたりするといった利点がある。
【0019】
また、上記振動検知装置は、前記装置本体が第2通信部を備え、前記電源部が第3通信部を備えており、前記装置本体と前記電源部とは、前記第2通信部および前記第3通信部を介した無線通信によって通信可能である構成とすることができる。
【0020】
上記の構成によれば、装置本体と電源部とがケーブルによる有線通信を行う必要がなく、振動検知装置の設置が容易となる。
【0021】
また、上記振動検知装置では、前記振動センサは振動で発電するものであり、前記洗濯機の振動が伝わったときに前記振動センサによって発電した電力を、前記第2通信部の動作電力として使用可能である構成とすることができる。
【0022】
上記の構成によれば、装置本体が電源部からの電力供給を受けることなく、振動センサから第2通信部の動作電力を得ることができる。
【0023】
また、上記振動検知装置は、前記振動センサを複数備えており、前記振動情報には複数箇所での振動レベルの情報が含まれる構成とすることができる。
【0024】
上記の構成によれば、複数個所での振動情報のデータを比較や演算することで、より精細な振動情報を得ることができる。
【0025】
また、上記振動検知装置は、前記洗濯機が運転中であるか非運転であるかを判断できる機能を有しており、前記洗濯機が非運転であるときに前記振動センサによって振動が検知された場合には、前記洗濯機内に子供やペットが入り込んだと判断して、所定の通信端末に対して報知を行う構成とすることができる。
【0026】
上記の構成によれば、洗濯機内への子供やペットの入り込み検知にも当該振動検知装置を利用可能となる
【発明の効果】
【0027】
本発明の振動検知装置は、ネットワーク通信機能を備え、洗濯機に後付けして使用できるものであり、ユーザの持つ通信端末(スマートフォンなど)に報知を行ったり、クラウドサーバに振動情報のデータを集めて洗濯機の故障や劣化などの分析や推測に利用したりすることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施の形態1に係る防水パンの使用形態を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る防水パンの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態2に係る防水パンの概略構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態3に係る振動検知装置の使用形態を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態3に係る他の振動検知装置の使用形態を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態3に係るさらに他の振動検知装置の使用形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態1では、本発明の振動検知装置を洗濯機用の防水パンに適用した場合を例示して説明を行う。
図1は、本実施の形態1に係る振動検知装置10の使用形態を示す斜視図である。また、
図2は、振動検知装置10の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
振動検知装置10は、
図1に示すように、その上に洗濯機20を載置して使用されるものであり、通常の防水パンとしての機能を有している。すなわち、洗濯機20からの漏水が生じたときにこれを受け止めて床面への漏水を防止する。これに加えて、振動検知装置10は、洗濯機20の振動を検知し、その検知情報を含む信号を外部に送信する機能を有している。尚、洗濯機20の種類は特に限定されるものではなく、縦型洗濯機およびドラム式洗濯機など、どのような洗濯機であってもよい。
【0031】
振動検知装置10は、洗濯機20を載置するための防水パン(装置本体)101と、電源部102とを有している。電源部102は、住宅に設けられた商用電源のコンセントに差し込んで使用するためのプラグを有している。防水パン101と電源部102とは、ケーブル103によって接続されており、ケーブル103を用いての有線通信や電力供給が可能となっている。
【0032】
さらに、振動検知装置10は、
図2に示すように、少なくとも1つ(好ましくは複数)の振動センサ104と、振動検知結果を外部に送信する第1通信部105と、振動検知装置10を制御する制御部106とを備えている。振動センサ104は、防水パン101に備えられる。第1通信部105および制御部106は、電源部102に備えられることが好ましい。
【0033】
尚、
図1に示す振動検知装置10は、防水パン101と電源部102とを別体とした構成例とされているが、これには以下の利点がある。例えば、振動検知装置10の変形例として、振動センサ104、第1通信部105および制御部106などの全ての機能部を防水パン101に備え、防水パン101に電源コードをつなげてコンセントから電源供給される構成(電源部102を省略した構成)とすることも考えられる。但し、この構成では、振動検知装置10に操作入力部を備える場合、その操作入力部も防水パン101に設ける必要があり、ユーザにとっては操作のしにくいものとなる。これに対し、電源部102を防水パン101と別体として設ければ、電源部102に操作入力部を備えることができ、ユーザにとっては操作がしやすくなる。また、第1通信部105および制御部106を防水パン101に備える場合、これらに対して振動対策や防水対策が必要となるが、第1通信部105および制御部106を電源部102に備えれば、これらに対する振動対策や防水対策を省略または簡略化でき、低コストで高信頼性の振動検知装置10を提供できる。
【0034】
洗濯機20において振動が発生する場合、その振動は洗濯機20に接触配置された防水パン101にも伝達し、振動センサ104によって検知可能となる。振動センサ104による検知信号は、ケーブル103を介して制御部106に送られる。制御部106は、第1通信部105を用いて、振動センサ104の検知情報(洗濯機20の振動情報)を含む信号を、クラウドサーバ30やユーザが持つ通信端末(例えばスマートフォン)40などに送信することができる。
【0035】
具体的には、第1通信部105は、無線LANによってルータ50と通信し、ルータ50を介してクラウドサーバ30とネットワーク接続することができる。クラウドサーバ30においては、振動検知装置10の個体識別情報とユーザが持つ通信端末40の情報とが対応付けて登録(ユーザによる事前登録)されている。振動検知装置10の個体識別情報としては、第1通信部105の固有アドレス(MACアドレス等)や振動検知装置10の製造番号などを用いることができる。また、ユーザが持つ通信端末40の情報としては、メールアドレスや各種ネットワークサービスのユーザIDなどを利用することができる。これにより、第1通信部105は、ルータ50およびクラウドサーバ30を介して通信端末40と通信を行うことができる。
【0036】
振動センサ104には、ロードセル(重量センサ)や加速度センサなどが使用可能であるが、本実施の形態1では振動センサ104にロードセルを用いるものとする。この場合のロードセルは、洗濯機20の荷重が掛かりやすいように、洗濯機20の脚部の下付近に配置されることが好ましく、また、洗濯機20の振動エネルギーが伝わりやすい前側脚部の下に配置されていることがさらに好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、ロードセルを用いた振動センサ104には、洗濯機20の荷重が掛かる配置構造とされていれば、その配置箇所は特に限定されない。
【0037】
防水パン101に備えられたロードセルは、防水パン101に載置された洗濯機20の荷重を検知する。洗濯機20が振動するとロードセルが検知する荷重(出力電圧)にも振動が生じるため、振動センサ104としてロードセルを使用することが可能となる。また、振動センサ104の出力電圧における振幅量から、洗濯機20の振動の強弱を判定することも可能となる。
【0038】
制御部106は、振動センサ104の出力に基づいて洗濯機20の振動の強弱を判定し、洗濯機20の振動レベルが所定の閾値以上となった場合は、危険レベルの振動であるとしてユーザの通信端末40に報知を行う。また、洗濯機20自体が通信機能を有しており、振動検知装置10と同じルータ50に接続されている場合、危険レベルの振動を検知した振動検知装置10が洗濯機20を停止させる(停止コマンドを送信する)ようにしてもよい。振動検知装置10が停止コマンドを送信する機能は、ユーザが振動検知装置10において選択的に設定するものであってもよい。
【0039】
また、洗濯機20自体が通信機能を有していない場合には、危険レベルの振動を検知した振動検知装置10が別の方法で洗濯機20を停止させる構成とすることもできる。この場合の構成としては、電源部102に電源プラグを差し込むためのコンセント部102A(
図1参照)を設ける。洗濯機20は、商用電源のコンセントではなく、電源部102のコンセント部102Aに電源プラグを差し込んで使用される。すなわち、洗濯機20は、商用電源から直接ではなく、電源部102を介して電力が供給される。さらに、電源部102は、コンセント部102Aからの電力の供給/遮断を切り替え可能であり、振動検知装置10が危険レベルの振動を検知した場合には、コンセント部102Aからの電力供給を遮断して洗濯機20の動作を停止することができる。
【0040】
上記説明では、洗濯機20の振動が所定の閾値以上となった場合に危険レベルの振動であると判定しているが、この場合の閾値はユーザが任意に設定可能であってもよい。すなわち、危険レベルの振動を判定する閾値は、メーカが予めデフォルト値と設定しているが、メーカの設定する基準よりも低い振動でも洗濯機20を停止したいと考えるユーザも存在する。このため、危険レベルの振動を判定する閾値をユーザが任意に設定可能とすることで、ユーザにとっての利便性が向上する。ユーザによる閾値の設定は、電源部102に操作入力部(操作ボタンなど)を設け、ユーザが操作入力部を介して設定を行えるようにすればよい。また、ユーザが持つ通信端末40を介して設定を行えるようにしてもよい。
【0041】
また、振動検知装置10は、洗濯機20の振動を複数の閾値と比較して複数段階の振動レベルを検知し、各振動レベルに応じて通信端末40への報知やクラウドサーバ30への通知を行ってもよい。例えば、洗濯機20の振動が第1閾値未満であるときには、洗濯機20において振動無しと判定する。洗濯機20の振動が第1閾値以上かつ第2閾値未満であるときには、小レベルの振動と判定し、この判定結果をクラウドサーバ30へ通知してもよい。また、小レベルの振動検知は、洗濯機20の近くでの人検知に活用することも考えられる。すなわち、小レベルの振動検知を、洗濯機20の近くを人(ユーザ)が歩いた場合や人(ユーザ)が洗濯機20を操作した場合の振動であるとみなし、表示や庫内灯の点灯制御や、ユーザに向けての情報の発話制御に用いることが考えられる。洗濯機20の振動が第2閾値以上かつ第3閾値未満であるときには、大レベルの振動と判定し、この判定結果をクラウドサーバ30へ通知してもよい。また、大レベルの振動を検知した場合は、通信端末40への報知を併せて行い、洗濯機20における運転コースや運転条件(洗濯槽の回転速度など)の変更をユーザに促してもよい(例えば、運転コースを標準コースから毛布コースに変更することなどで振動を低減できる場合がある)。そして、洗濯機20の振動が第3閾値以上であるときには、危険レベルの振動と判定し、この判定結果を通信端末40へ報知すればよい。
【0042】
また、振動検知装置10は、振動レベルの検知に加えて、振動周期に応じて通信端末40への報知やクラウドサーバ30への通知を行ってもよい。例えば、洗濯機20の振動が所定の閾値以上を検出した場合であっても、所定時間内に続けて所定の閾値以上の振動を検出しなければ、上記における小レベルの振動と判定、または振動無しと判定する。洗濯機20の所定の閾値以上の振動が所定時間内に続けて検出された場合は、上記における大レベルの振動と判定する。そして、洗濯機20の振動が所定時間内に続けて第3閾値以上の振動であるときは、危険レベルの振動と判定する。これにより、洗濯機20に人や物がぶつかった場合などに、大レベルや危険レベルの振動と判定してしまうことを抑制できる。
【0043】
また、上記説明では、洗濯機20の振動レベルの判定を振動検知装置10自体が行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、振動レベルの判定をクラウドサーバ30で行うようにしてもよい。この場合は、振動検知装置10が洗濯機20の振動を検知した場合、その振動レベルに関わらず、振動レベルの情報を含む信号をクラウドサーバ30に送信する。上記信号を受けたクラウドサーバ30は、洗濯機20の振動が危険レベルであるか否かを判定し、危険レベルであれば通信端末40への報知を行う。尚、危険レベルの判定をクラウドサーバ30で行う場合も、これを判定する閾値はユーザが任意に設定可能である。この設定は、ユーザが通信端末40からクラウドサーバ30にアクセスし、クラウドサーバ30に対して設定を行うようにすればよい。
【0044】
振動レベルの判定をクラウドサーバ30で行う場合、クラウドサーバ30には、振動検知装置10で検知された振動の振動レベルの情報を含む信号が送られてくる。また、クラウドサーバ30には、不特定多数の振動検知装置10から上記信号が送られてくることが想定される。したがって、クラウドサーバ30において、不特定多数の振動検知装置10から洗濯機の振動に関するデータを集めることができ、集めたデータから洗濯機の故障や劣化などの分析や推測することができる。例えば、振動センサ104の荷重情報から、容量が同クラスの洗濯機の振動データを集めて統計を取り、同クラスの洗濯機に比べて振動が著しく大きいユーザへは、設置環境の確認や、洗濯機の劣化などの情報を通知することができる。また、同じ振動検知装置10からの振動データの経時情報から、洗濯機の劣化などの情報を通知してもよい。これにより、ユーザに洗濯機の故障や劣化などの可能性があることを予め通知でき、故障前に対策を講じる動機を与えることができる。
【0045】
また、振動検知装置10は、振動センサ104以外のセンサを有し、振動以外の情報を報知可能であってもよい。例えば、防水パン101が適切な箇所に水漏れ検知センサを有しており、洗濯機20からの漏水をこの水漏れ検知センサで検知して、振動検知装置10がユーザの通信端末40へ報知を行うようにしてもよい。また、振動検知装置10は、洗濯機20からの漏水をこの水漏れ検知センサで検知した場合、洗濯機20の運転を停止させるようにしてもよい。
【0046】
〔実施の形態2〕
実施の形態1に係る振動検知装置10は、防水パン101と電源部102とがケーブル103によって接続されている。すなわち、防水パン101は電源部102からケーブル103を介して電力が供給され、防水パン101と電源部102との間の通信はケーブル103を介した有線通信によって行われている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、防水パン101と電源部102との間の通信は無線通信によって行われるものであってもよい。
【0047】
図3は、本実施の形態2に係る振動検知装置11の概略構成を示すブロック図である。振動検知装置11は、防水パン(装置本体)111と電源部112とを有している。防水パン111は、振動センサ104に加えて、第2通信部113を備えている点で、防水パン101とは異なるものとなっている。電源部112は、第1通信部105および制御部106に加えて、第3通信部114を備えている点で、電源部102とは異なるものとなっている。
【0048】
振動検知装置11において、防水パン111と電源部112との間の通信は、第2通信部113と第3通信部114との無線通信によって行われている。この無線通信は近距離無線通信であるため、Bluetooth(登録商標)通信もしくは赤外線通線によって行われることが好ましい。また、第1通信部105はルータ50との間で無線LAN通信を行うものであるため、電源部112はゲートウェイとして機能することになる。
【0049】
防水パン111と電源部112とはケーブル接続されていないため、防水パン111は電源部112から電力の供給を受けることができない。このため、防水パン111は、電池から電力供給を受けることが好ましい。用いられる電池は、乾電池などの一次電池であってもよく、二次電池であってもよい。二次電池を用いる場合は、振動センサ104として振動発電素子を用いて、この振動発電素子と二次電池とを組み合わせることで、振動発電素子が洗濯機20の振動によって発電を行い、発電した電力を二次電池に充電して第2通信部113の動作電力として用いることができる。このとき、二次電池をキャパシタなどにして、振動発電素子が所定時間内に所定閾値以上の振動を受けた場合に、第2通信部113を動作可能とする電力を二次電池に蓄電するようにしてもよい。これにより、実施の形態1における大レベルや危険レベルの振動の情報だけを外部からの電源供給無しに電源部112へ通信することができる。
【0050】
〔実施の形態3〕
上記実施の形態1,2では、本発明の振動検知装置を防水パンに適用した場合を例示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、防水パン以外に本発明を適用することも可能である。
【0051】
図4は、本実施の形態3に係る振動検知装置12の使用形態を示す斜視図である。振動検知装置12は、洗濯機20を載置するためのマット部(装置本体)121と、電源部112とを有している。マット部121は、外観的な形態は防水パン111と異なるが、機能的な構成は
図3に示す防水パン111と同じである。マット部121は、振動センサ104を含むマット122を洗濯機20の脚部の下に敷き(接触配置させ)、洗濯機20からマット122に伝わる振動を検知する。また、マット122には第2通信部113を含む通信用子機123が接続されており、マット部121は通信用子機123を介して電源部112と通信可能となっている。
【0052】
図4に示す振動検知装置12においてはマット122を2つ用いているが、マット122の数は特に限定されるものではない。例えば、マット122の数を4つとし、洗濯機20の4本の脚部の全てにマット122を敷くようにしてもよい。また、マット122を複数用いる場合、振動センサ104を全てのマット122に含める必要はない。例えば、4つのマット122を洗濯機20の4本の脚部の全てに敷くが、振動センサ104を含めるのは洗濯機20の前側の2本の脚部のみであってもよい。
【0053】
図5は、本実施の形態3に係る他の振動検知装置13の使用形態を示す斜視図である。振動検知装置13は、洗濯機20を載置するためのゴム足部(装置本体)131と、電源部112とを有している。ゴム足部131は、外観的な形態は防水パン111と異なるが、機能的な構成は
図3に示す防水パン111と同じである。すなわち、ゴム足部131は、振動センサ104および第2通信部113を含んでいる。ゴム足部131は、洗濯機20の脚部の下に置かれる(接触配置される)ことで、洗濯機20からゴム足部131に伝わる振動を検知する。また、ゴム足部131は、第2通信部113を介して電源部112と通信可能となっている。
【0054】
図5に示す振動検知装置13においてはゴム足部131を2つ用いているが、ゴム足部131の数は特に限定されるものではない。例えば、ゴム足部131の数を4つとし、洗濯機20の4本の脚部の全てにゴム足部131を置くようにしてもよい。また、洗濯機20に対して、振動センサ104および第2通信部113を含むゴム足部131と、センサや通信部を含まない一般的なゴム足とを併用して用いてもよい。例えば、洗濯機20の前側の2本の脚部に対してはゴム足部131を用い、後側の2本の脚部に対しては一般的なゴム足を用いてもよい。
【0055】
図6は、本実施の形態3に係るさらに他の振動検知装置14の使用形態を示す斜視図である。振動検知装置14は、洗濯機20の筐体側面にマグネットなどで貼り付けて(接触配置させて)用いる検知部(装置本体)141と、電源部112とを有している。検知部141は、外観的な形態は防水パン111と異なるが、機能的な構成は
図3に示す防水パン111と同じである。すなわち、検知部141は、振動センサ104および第2通信部113を含んでいる。但し、検知部141は、防水パン111とは異なり、その上に洗濯機20に載せるものではないので、振動センサ104に用いるのはロードセルではなく加速度センサとすることが好ましい。また、検知部141は、第2通信部113を介して電源部112と通信可能となっている。
【0056】
図6に示す振動検知装置14においては検知部141を1つ用いているが、検知部141の数は特に限定されるものではない。検知部141において、振動センサ104として用いられる加速度センサは所定方向の振動量を検知できるため、2つの検知部141を用いて、異なる2方向の振動を検知してもよい。
【0057】
例えば、洗濯機20が縦型洗濯機である場合、縦型洗濯機における振動は左右方向および前後方向の振動が支配的となる。この場合、洗濯機20の背面および側面のそれぞれに検知部141を貼り付け、背面側の検知部141で前後方向の振動を検知し、側面側の検知部141で左右方向の振動を検知するようにしてもよい。また、洗濯機20がドラム式洗濯機である場合、ドラム式洗濯機における振動は左右方向および上下方向の振動が支配的となる。この場合、洗濯機20の側面および上面のそれぞれに検知部141を貼り付け側面側の検知部141で左右方向の振動を検知し、上面側の検知部141で上下方向の振動を検知するようにしてもよい。
【0058】
このように、異なる2方向の振動情報を振動検知装置14によって検知し、その振動に関する情報をクラウドサーバ30に集めれば、集めた情報を洗濯機の開発に利用する場合に、その利用価値がより高いものとなる。
【0059】
尚、上述の振動検知装置12~14では、マット部121、ゴム足部131および検知部141は何れも、無線通信によって電源部112と通信を行う構成とされている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ケーブルを用いた有線通信を行うものであってもよい。すなわち、振動検知装置12~14の機能的な構成を、
図2に示す振動検知装置10と同じにしてもよい。
【0060】
〔実施の形態4〕
上記実施の形態1では、振動検知装置10が洗濯機20の運転時における危険レベルの振動を検知した場合に、これをユーザに報知できることを説明した。しかしながら、本発明における振動検知には他の応用もある。本実施の形態4では、振動検知装置10の他の応用例を説明する。無論、このような応用例は、実施の形態2~3における振動検知装置11~14にも適用可能である。
【0061】
例えば、振動検知装置10は、洗濯機20内に子供やペットが入り込んだときに、これを検知して通信端末40に報知することができる。すなわち、洗濯機20が運転を行っていないにも関わらず洗濯機20の振動が振動検知装置10によって検知されれば、洗濯機20内に子供やペットが入り込んだと想定される。
【0062】
尚、上記方法で振動検知装置10が子供やペットの入り込みを検知するには、振動検知装置10は洗濯機20の運転状況(運転中か非運転か)を認識する必要がある。これについては、洗濯機20が通信機能を有しており、洗濯機20と振動検知装置10との間で通信可能であれば、通信によって振動検知装置10が洗濯機20の運転状況を受け取ることが可能である。
【0063】
一方、洗濯機20が通信機能を有していない場合は、電源部102のコンセント部102Aに洗濯機20の電源プラグを差し込み、電源部102を介して洗濯機20に電力をする構成とすることで洗濯機20の運転状況を判定できる。この場合、振動検知装置10は、洗濯機20に供給される電力量を監視することで、洗濯機20の運転状況を判定できる。すなわち、洗濯機20の運転中はモータ駆動によって電力供給量が増加し、洗濯機20の非運転時はモータ停止によって電力供給量が減少する。これにより、洗濯機20への電力供給量を所定の閾値と比較し、電力供給量が閾値以上なら洗濯機20が運転中、閾値未満なら非運転と判定することができる。
【0064】
また、振動検知装置10が子供やペット(特に子供)の入り込みを検知するにあたって、振動センサ104にロードセルを用いている場合には、振動センサ104が検知する荷重の増加量や増加率に基づく検知も可能である。すなわち、洗濯機20に子供が入り込んだ場合、振動センサ104が検知する荷重は、洗濯物が投入される場合に比べて増加量も大きく、かつ、短時間で荷重が大きく変動する(増加率が高い)。また、洗濯機20にペットが入り込んだ場合でも、振動センサ104が検知する荷重は、洗濯物が投入される場合に比べて短時間で荷重が大きく変動する。このため、振動センサ104が検知する荷重の増加に基づいて、子供やペットの入り込みを検知することも可能である。
【0065】
また、振動検知装置10は、地震の検知にも用いることができる。地震の検知を行うにあたっては、クラウドサーバ30において、振動検知装置10の個体識別情報と洗濯機20の所在地の住所とが対応付けて登録されているものとする。クラウドサーバ30において、特定の地域の不特定多数の振動検知装置10から同時に振動検知の情報が送られてきた場合、クラウドサーバ30は、上記特定の地域で地震が発生したと検知することができる。
【0066】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0067】
〔援用の記載〕
本国際出願は、2020年1月15日に日本特許庁に出願された日本国特許出願第2020-004391号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2020-004391号の全内容を参照により本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0068】
10,11,12,13,14 振動検知装置
101,111 防水パン(装置本体)
102,112 電源部
102A コンセント部
103 ケーブル
104 振動センサ
105 第1通信部
106 制御部
113 第2通信部
114 第3通信部
121 マット部(装置本体)
122 マット
123 通信用子機
131 ゴム足部(装置本体)
141 検知部(装置本体)
20 洗濯機
30 クラウドサーバ
40 通信端末
50 ルータ