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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイスのための装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20240703BHJP
   A24F 40/57 20200101ALI20240703BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240703BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/57
A24F40/40
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2022552239
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 GB2021050542
(87)【国際公開番号】W WO2021176224
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】2003131.6
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コーラス, アントン
(72)【発明者】
【氏名】ハン ヤン チャン, ジャスティン
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/002613(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/186669(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0009993(KR,A)
【文献】国際公開第2018/195335(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料を加熱し、それによってエアロゾルを生成させるためにサセプタ装置を誘導加熱するための誘導素子を備える加熱回路と、
前記サセプタ装置の温度によって影響を受ける前記加熱回路の1つ以上の電気的特性に基づいて前記サセプタ装置の温度を決定するための温度決定器と、
前記加熱回路を、
ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するために、前記加熱回路に前記サセプタ装置を誘導加熱するための第1の電圧が供給される動作モードと、
前記加熱回路に前記第1の電圧とは異なる連続的な第2の電圧が供給される温度決定モードであって、前記温度決定モードにおいて、前記加熱回路は、前記サセプタ装置を著しく加熱することなく、誘導を介して前記加熱回路にエネルギーを与えるように構成され、前記温度決定器は、前記加熱回路の前記1つ以上の電気的特性に基づいて前記サセプタ装置の前記温度を決定するように構成される、前記温度決定モードと、にて動作させるように構成される制御装置と、を備え、
前記温度決定器は、前記温度決定モードにおいて、前記加熱回路が動作している周波数及び前記加熱回路によって引き出されるDC電流に基づいて前記サセプタ装置の温度を決定するように構成される、
エアロゾル生成デバイスのための装置。
【請求項2】
前記加熱回路の前記1つまたは複数の電気的特性は、前記加熱回路が動作している周波数、および/または前記加熱回路によって引き出される電流、および/または前記加熱回路のインピーダンスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の電圧は、実質的に一定のDC電圧である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
電圧調整器を備え、
前記電圧調整器は、前記温度決定モードにおいて前記第2の電圧を前記加熱回路に供給させ、および/または前記動作モードにおいて前記第1の電圧を前記加熱回路に供給させるように動作可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記動作モードにおいて、前記加熱回路に供給される電圧は、前記電圧調整器によって調整されない、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記電圧調整器は、DC電圧源からの入力電圧を降圧して、前記入力電圧よりも低い大きさを有するDC電圧を前記加熱回路にわたって出力することを可能にするように構成される、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記DC電圧源から前記電圧調整器への前記入力電圧の特性を制御することによって、前記電圧調整器によって出力される前記電圧を制御するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記DC電圧源から前記電圧調整器への前記入力電圧の前記特性は、前記入力電圧のデューティサイクルである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記加熱回路は、共振LC回路である、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記加熱回路は、前記誘導素子と並列に配置される容量素子を含む並列LC回路である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記共振LC回路は、前記共振LC回路の共振周波数で動作して前記サセプタ装置を加熱するように構成されている、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
スイッチング装置を更に備え、
前記スイッチング装置は、前記誘導素子を通る変化する電流を生じさせるために第1の状態と第2の状態とを交互に切り替えるように構成され、前記スイッチング装置は、前記共振LC回路内の電圧振動に応答して前記第1の状態と前記第2の状態とを交互に切り替えるように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記共振LC回路内の前記電圧振動は、前記スイッチング装置を前記第1の状態と前記第2の状態との間で切り替えさせ、それによって前記誘導素子を通る前記変化する電流を前記共振LC回路の前記共振周波数で変化させるように作用する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の電圧は、前記第1の電圧よりも低く、任意選択的に、前記第1の電圧は3V~5Vの範囲内、例えば約4Vであり、および/または、前記第2の電圧は1V~3Vの範囲内、例えば約2Vである、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記温度決定器は、前記温度決定モードにおいて、前記加熱回路が動作している前記周波数及び前記加熱回路によって引き出される前記DC電流に加えて、前記加熱回路に供給される前記第2の電圧に基づいて前記サセプタ装置の温度を決定するように構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記温度決定器は、前記温度決定モードにおいて、
前記加熱回路が動作している前記周波数、前記加熱回路によって引き出される前記DC電流、および前記第2の電圧から、前記誘導素子および前記サセプタ装置の実効集合抵抗を決定し、
前記決定される実効集合抵抗に基づいて前記サセプタ装置の前記温度を決定するように構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
エアロゾル生成材料を加熱し、それによってエアロゾルを生成させるためにサセプタ装置を誘導加熱するための第1の誘導素子を有する加熱回路と、
前記サセプタ装置に誘導結合されるように配置される第2の誘導素子であって、前記サセプタ装置を著しく加熱することなく、前記第2の誘導素子から前記サセプタ装置にエネルギーを誘導的に与えるように配置される前記第2の誘導素子を有する温度感知回路と、
前記温度感知回路の1つまたは複数の電気的特性に基づいて前記サセプタ装置の温度を決定するように構成される温度決定器と、
を備えるエアロゾル生成デバイスのための装置。
【請求項18】
ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するために、前記加熱回路が前記サセプタ装置を誘導加熱するように動作可能である動作モードと、
前記温度感知回路が前記サセプタ装置にエネルギーを誘導的に与えるように動作可能であり、前記温度決定器が前記サセプタ装置の前記温度を決定するように動作可能であり、前記加熱回路が前記ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するために前記サセプタ装置を加熱するように動作可能ではない温度決定モードと、
を前記装置に選択的に動作させるように構成される制御装置を備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記温度感知回路の前記1つまたは複数の電気的特性は、前記温度感知回路が動作している周波数、および/または前記温度感知回路によって引き出される電流、および/または前記温度感知回路のインピーダンスを含む、請求項17または請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記動作モードにおいて、前記加熱回路に前記サセプタ装置を加熱させるために、前記加熱回路に第1のDC電圧が供給され、
前記温度決定モードでは、前記温度感知回路に前記第1のDC電圧とは異なる連続的な第2のDC電圧が供給されて、前記温度感知回路が前記サセプタ装置にエネルギーを誘導的に与え、前記温度決定器が前記サセプタ装置の温度を決定することを可能にする、請求項18または請求項18に従属する場合の請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記第2のDC電圧は、実質的に一定のDC電圧である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記第2のDC電圧は前記第1のDC電圧よりも低く、任意選択的に、前記第1のDC電圧は3V~5Vの範囲内、例えば約4Vであり、および/または前記第2のDC電圧は1V~3Vの範囲内、例えば約2Vである、請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
前記温度感知回路は、
前記第2の誘導素子を含む共振LC回路と、
変化する電流をDC供給電圧から生成させ、エネルギーを前記第2の誘導素子から前記サセプタ装置に誘導的に付与させるため前記第2の誘導素子を通って流れさせるように構成されるスイッチング装置とを備える、請求項17から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記加熱回路は、前記第2の誘導素子と並列に配置される容量素子を備える並列LC回路である、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記共振LC回路は、前記共振LC回路の共振周波数で動作して前記サセプタ装置を加熱するように構成されている、請求項23または24に記載の装置。
【請求項26】
前記スイッチング装置は、前記第2の誘導素子に前記変化する電流を生じさせるために第1の状態と第2の状態とを交互に切り替えるように構成され、前記スイッチング装置は、前記共振LC回路内の電圧振動に応答して前記第1の状態と前記第2の状態とを交互に切り替えるように構成される、請求項23から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記共振LC回路内の前記電圧振動は、前記第1の状態と前記第2の状態との間で前記スイッチング装置を切り替えさせ、それによって前記第2の誘導素子を通る前記電流を前記共振LC回路の前記共振周波数で変化させるように作用する、請求項25に従属する場合の請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記温度感知回路が、DC電圧源から入力電圧を受け取り、前記温度感知回路の前記第2の誘導素子が前記サセプタ装置にエネルギーを誘導的に付与させるために前記温度感知回路にわたって前記第2のDC電圧を出力するように構成される電圧調整器とを備える、請求項20から22、及び、請求項20から22のいずれか一項に従属する場合の請求項23~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記加熱回路は、DC電圧源から入力電圧を受け取り、前記加熱回路の前記第1の誘導素子が前記サセプタ装置を加熱させ、それによって前記ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するために前記加熱回路にわたって前記第1のDC電圧を出力するように構成される電圧調整器を備える、請求項20から22、及び、請求項20から22のいずれか一項に従属する場合の請求項23~28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
請求項1~16のいずれか一項に記載の装置または請求項17~29のいずれか一項に記載の装置を含むエアロゾル生成デバイス。
【請求項31】
請求項17~29のいずれか一項に従属する場合の請求項30に記載のエアロゾル生成デバイスと、
前記第1の誘導素子によって加熱され、それによって前記エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾルの流れを発生させるように配置されるサセプタ装置であって、前記温度決定器を動作させて前記サセプタ装置の温度を決定することができるように前記第2の誘導素子に誘導結合されるように配置される前記サセプタ装置と、
を備えるエアロゾル生成システム。
【請求項32】
前記サセプタ装置は、前記エアロゾル生成デバイスとは別個の構成要素内に設けられ、前記エアロゾル生成デバイスと解放可能に係合するように構成される、請求項31に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項33】
エアロゾル生成デバイスと、前記エアロゾル生成デバイスによって加熱されてエアロゾル生成材料を加熱してエアロゾルの流れを発生させるように配置されるサセプタ装置とを備えるエアロゾル生成システムを動作させる方法であって、
前記エアロゾル生成デバイスは、
前記エアロゾル生成材料を加熱し、それによってエアロゾルを生成させるために前記サセプタ装置を誘導加熱するための誘導素子を備える加熱回路と、
前記サセプタ装置の温度によって影響を受ける前記加熱回路の1つ以上の電気的特性に基づいて前記サセプタ装置の温度を決定するための温度決定器と、
制御装置とを備え、前記方法は、前記制御装置によって、前記装置を、
ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するために、前記加熱回路に前記サセプタ装置を誘導加熱するための第1の電圧が供給される動作モードと、
前記加熱回路に前記第1の電圧とは異なる連続的な第2の電圧が供給される温度決定モードであって、前記温度決定モードにおいて、前記加熱回路は、前記サセプタ装置を著しく加熱することなく、誘導を介して前記加熱回路にエネルギーを与えるように構成され、前記温度決定器は、前記加熱回路の前記1つ以上の電気的特性に基づいて前記サセプタ装置の前記温度を決定するように構成される、温度決定モードと、にて選択的に動作させるように制御し、
前記温度決定器は、前記温度決定モードにおいて、前記加熱回路が動作している周波数及び前記加熱回路によって引き出されるDC電流に基づいて前記サセプタ装置の温度を決定するように構成される、
方法。
【請求項34】
エアロゾル生成デバイスと、前記エアロゾル生成デバイスによって加熱されてエアロゾル生成材料を加熱してエアロゾルの流れを発生させるように配置されるサセプタ装置とを備えるエアロゾル生成システムを動作させる方法であって、
前記エアロゾル生成デバイスは、
エアロゾル生成材料を加熱し、それによってエアロゾルを生成させるためにサセプタ装置を誘導加熱するための第1の誘導素子を備える加熱回路と、
前記サセプタ装置に誘導結合されるように配置され、前記サセプタ装置を著しく加熱することなく前記サセプタ装置にエネルギーを誘導的に与えるように配置される第2の誘導素子、及び温度決定器を備える温度感知回路と、を備え、
前記方法は、前記温度決定器によって、前記温度感知回路の1つ以上の電気的特性に基づいて前記サセプタ装置の温度を決定することを備える、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成デバイスのための装置に関し、特に、誘導加熱され、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾルを生成させるように配置されるサセプタ装置の温度を決定するための温度決定器を備える装置に関する。
【従来技術の説明】
【0002】
[背景]
紙巻たばこ、葉巻たばこなどの喫煙物品は、使用中にたばこを燃焼させてたばこ煙を生成する。燃焼することなく化合物を放出する生成物を作り出すことによって、これらの物品の代替物を提供する試みがなされてきた。そのような製品の例は、材料を加熱するが燃焼させないことによって化合物を放出する、いわゆる「非燃焼加熱」製品またはタバコ加熱装置または製品である。材料は、例えば、タバコまたは他の非タバコ製品であってもよく、ニコチンを含有してもしなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
[概要]
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル生成デバイスのための装置であって、当該装置は、エアロゾル生成材料を加熱し、それによってエアロゾルを生成させるためにサセプタ装置を誘導加熱するための誘導素子を備える加熱回路と、前記サセプタ装置の温度によって影響を受ける前記加熱回路の1つ以上の電気的特性に基づいて前記サセプタ装置の温度を決定するための温度決定器と、前記加熱回路を、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するために、前記加熱回路に前記サセプタ装置を誘導加熱するための第1の電圧が供給される動作モードと、前記加熱回路に前記第1の電圧とは異なる連続的な第2の電圧が供給される温度決定モードであって、前記温度決定モードにおいて、前記加熱回路は、前記サセプタ装置を著しく加熱することなく、誘導を介して前記加熱回路にエネルギーを与えるように構成され、前記温度決定器は、前記加熱回路の前記1つ以上の電気的特性に基づいて前記サセプタ装置の前記温度を決定するように構成される、前記温度決定モードと、にて動作させるように構成される制御装置と、を備える。
【0004】
加熱回路の1つまたは複数の電気的特性は、回路が動作している周波数、および/または加熱回路によって引き出される電流、および/または加熱回路のインピーダンスを含むことができる。
【0005】
第2の電圧は、実質的に一定のDC電圧であってもよい。
【0006】
装置は、電圧調整器を備えることができ、電圧調整器は、温度決定モードにおいて加熱回路に第2の電圧を供給させ、および/または動作モードにおいて加熱回路に第1の電圧を供給させるように動作可能である。
【0007】
動作モードにおいて、加熱回路に供給される電圧は、電圧調整器によって調整されなくてもよい。
【0008】
電圧調整器は、DC電圧源からの入力電圧を降圧して、入力電圧よりも低い大きさを有するDC電圧を加熱回路にわたって出力することを可能にするように構成され得る。
【0009】
制御装置は、DC電圧源から電圧調整器への入力電圧の特性を制御することによって、電圧調整器によって出力される電圧を制御するように構成されてもよい。
【0010】
DC電圧源から電圧調整器への入力電圧の特性は、入力電圧のデューティサイクルであってもよい。
【0011】
加熱回路は共振LC回路であってもよい。
【0012】
加熱回路は、誘導素子と並列に配置される容量素子を含む並列LC回路であってもよい。
【0013】
LC共振回路は、LC共振回路の共振周波数で動作してサセプタ装置を加熱するように構成されてもよい。
【0014】
スイッチング装置は、誘導素子を流れる電流を変化させるために第1の状態と第2の状態とを交互に切り替えるように構成することができる。スイッチング装置は、共振回路内の電圧振動に応答して第1の状態と第2の状態との間で切り替えるように構成することができる。
【0015】
共振回路内の電圧振動は、スイッチング装置を第1の状態と第2の状態との間で切り替えさせ、それによって誘導素子を通る電流を共振回路の共振周波数で変化させるように作用することができる。
【0016】
第2電圧は、第1電圧よりも低くてもよい。第1の電圧は、3V~5Vの範囲内、例えば約4Vであってもよい。第2の電圧は、1V~3Vの範囲内、例えば約2Vであってもよい。
【0017】
温度決定器は、温度感知モードにおいて、加熱回路が動作している周波数及び加熱回路によって引き出されるDC電流に基づいてサセプタ装置の温度を決定するように構成されてもよい。
【0018】
温度決定器は、温度感知モードにおいて、加熱回路が動作している周波数及び加熱回路によって引き出されるDC電流に加えて、回路に供給される第2の電圧に基づいて、サセプタ装置の温度を決定するように構成されてもよい。
【0019】
温度決定器は、温度感知モードにおいて、加熱回路が動作している周波数、加熱回路によって引き出されるDC電流、および第2の電圧から、誘導素子およびサセプタ装置の実効集合抵抗を決定するように構成され、決定される実効集合抵抗に基づいてサセプタ装置の前記温度を決定してもよい。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、エアロゾル生成デバイスのための装置が提供され、この装置は、加熱回路を備え、この加熱回路は、エアロゾル生成材料を加熱し、それによってエアロゾルを生成させるためにサセプタ装置を誘導加熱するための第1の誘導素子を有する加熱回路と、前記サセプタ装置に誘導結合されるように配置される第2の誘導素子であって、前記サセプタ装置を著しく加熱することなく、前記第2の誘導素子から前記サセプタ装置にエネルギーを誘導的に与えるように配置される前記第2の誘導素子を有する温度感知回路と、 前記温度感知回路の1つまたは複数の電気的特性に基づいて前記サセプタ装置の温度を決定するように構成される温度決定器と、を備える。
【0021】
本装置は、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するために、加熱回路がサセプタ装置を誘導加熱するように動作可能である動作モードと、温度感知回路がサセプタ装置にエネルギーを誘導的に与えるように動作可能であり、温度決定器が前記サセプタ装置の温度を決定するように動作可能であり、加熱回路がユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するためにサセプタ装置を加熱するように動作可能ではない温度決定モードと、を装置に選択的に動作させるように構成される制御装置を備え得る。
【0022】
温度感知回路の1つまたは複数の電気的特性は、温度感知回路が動作している周波数、および/または温度感知回路によって引き出される電流、および/または温度感知回路のインピーダンスを含み得る。
【0023】
動作モードにおいて、加熱回路にサセプタ装置を加熱させるために、加熱回路に第1のDC電圧が供給されてもよい。温度感知モードでは、温度感知回路に第1のDC電圧とは異なる第2の連続DC電圧が供給されて、温度感知回路がサセプタ装置にエネルギーを誘導的に与え、温度決定器がサセプタ装置の温度を決定できるようにすることができる。
【0024】
第2の電圧は、実質的に一定のDC電圧であってもよい。
【0025】
第2電圧は、第1電圧よりも低くてもよい。第1の電圧は、3V~5Vの範囲内、例えば約4Vであってもよい。第2の電圧は、1V~3Vの範囲内、例えば約2Vであってもよい。
【0026】
温度感知回路は、第2の誘導素子を備えるLC共振回路と、変化する電流をDC供給電圧から生成させ、エネルギーを第2の誘導素子からサセプタ装置に誘導的に付与させるため第2の誘導素子を通って流れさせるように構成されるスイッチング装置とを備えてもよい。
【0027】
加熱回路は、第2の誘導素子と並列に配置される容量素子を備える並列LC回路であってもよい。
【0028】
LC共振回路は、サセプタ装置を加熱するためにLC共振回路の共振周波数で動作するように構成されてもよい。
【0029】
スイッチング装置は、第2の誘導素子に変化する電流を生じさせるために第1の状態と第2の状態とを交互に切り替えるように構成されてもよい。スイッチング装置は、共振回路内の電圧振動に応答して第1の状態と第2の状態との間で切り替えるように構成することができる。
【0030】
共振回路内の電圧振動は、スイッチング装置を第1の状態と第2の状態との間で切り替えさせ、それによって第2の誘導素子を通る電流を共振回路の共振周波数で変化させるように作用することができる。
【0031】
温度感知回路は、DC電圧源から入力電圧を受け取り、温度感知回路の第2の誘導素子がサセプタ装置にエネルギーを誘導的に付与させるように温度感知回路にわたってDC電圧を出力するように構成される電圧調整器を備えてもよい。
【0032】
加熱回路は、DC電圧源から入力電圧を受け取り、加熱回路の第1の誘導素子がサセプタ装置を加熱させ、それによってユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するために加熱回路にわたってDC電圧を出力するように構成される電圧調整器を備えてもよい。
【0033】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様による装置または第2の態様による装置を含むエアロゾル生成デバイスが提供される。
【0034】
本発明の第4の態様によれば、第3の態様によるエアロゾル生成デバイスと、第1の誘導素子によって加熱され、それによってエアロゾル生成材料を加熱してエアロゾルの流れを発生させるように配置されるサセプタ装置であって、温度決定器を動作させてサセプタ装置の温度を決定できるように第2の誘導素子に誘導結合されるように配置されるサセプタ装置を備えるエアロゾル生成システムが提供される。
【0035】
サセプタ装置は、エアロゾル供給装置とは別個の構成要素内に設けられてもよく、エアロゾル供給装置と解放可能に係合するように構成されてもよい。
【0036】
本発明の第5の態様によれば、エアロゾル生成デバイスと、エアロゾル生成デバイスによって加熱されてエアロゾル生成材料を加熱してエアロゾルの流れを発生させるように配置されるサセプタ装置とを備えるエアロゾル生成システムを動作させる方法であって、エアロゾル生成デバイスは、エアロゾル生成材料を加熱し、それによってエアロゾルを生成させるためにサセプタ装置を誘導加熱するための誘導素子を備える加熱回路と、サセプタ装置の温度によって影響を受ける加熱回路の1つ以上の電気的特性に基づいてサセプタ装置の温度を決定するための温度決定器と、制御装置とを備え、方法は、制御装置によって、装置を、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するために、加熱回路にサセプタ装置を誘導加熱するための第1の電圧が供給される動作モードと、加熱回路に第1の電圧とは異なる連続的な第2の電圧が供給される温度決定モードであって、温度決定モードにおいて、加熱回路は、サセプタ装置を著しく加熱することなく、誘導を介して加熱回路にエネルギーを与えるように構成され、温度決定器は、加熱回路の1つ以上の電気的特性に基づいてサセプタ装置の温度を決定するように構成される、温度決定モードと、にて選択的に動作させるように制御する。
【0037】
本発明の第6の態様によれば、エアロゾル生成デバイスと、エアロゾル生成デバイスによって加熱されてエアロゾル生成材料を加熱してエアロゾルの流れを発生させるように配置されるサセプタ装置とを備えるエアロゾル生成システムを動作させる方法であって、エアロゾル生成デバイスは、エアロゾル生成材料を加熱し、それによってエアロゾルを生成させるためにサセプタ装置を誘導加熱するための第1の誘導素子を備える加熱回路と、サセプタ装置に誘導結合されるように配置され、サセプタ装置を著しく加熱することなくサセプタ装置にエネルギーを誘導的に与えるように配置される第2の誘導素子、及び温度決定器を備える温度感知回路と、を備え、方法は、温度決定器によって、温度感知回路の1つ以上の電気的特性に基づいて前記サセプタ装置の温度を決定することを備える。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明は、以下の図面を参照して、単なる例として記載される。
図1図1は、一例によるエアロゾル生成デバイスを概略的に示す図である。
図2図2は、エアロゾル生成デバイスの回路の態様を概略的に示す。
図3図3は、一例による、図2に示される回路の態様をさらに詳細に示す。
図4A図4Aは、実施例による、電圧調整器に入力され、そこから出力される電圧の概略プロットを示す。
図4B図4Bは、実施例による、電圧調整器に入力され、そこから出力される電圧の概略プロットを示す。
図5図5は、第1の例示的な加熱回路を概略的に示す。
図6図6は、第2の例示的な加熱回路を概略的に示す。
図7図7は、第3の例示的な加熱回路を概略的に示す。
図8図8は、第4の例示的な加熱回路を概略的に示す。
図9図9は、実施例による、時間に対する電圧、電流、実効集合抵抗およびサセプタ装置温度のプロットを示す。
図10図10は、一例によるパラメータrに対するサセプタ装置温度のプロットを示す図である。
図11図11は、一例によるパラメータrに対するサセプタ装置温度の複数のプロットの概略図を示す。
図12図12は、別の例によるエアロゾル生成デバイスの回路の態様を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[詳細な説明]
誘導加熱は、電磁誘導によって導電性物体(またはサセプタ)を加熱するプロセスである。誘導加熱器は、誘導素子、例えば誘導コイルと、交流電流などの変動電流を誘導素子に通すための装置とを備えることができる。誘導素子内の変動電流は、変動磁界を生成する。変動磁界は、誘導素子に対して適切に配置されるサセプタを貫通し、サセプタ内に渦電流を発生させる。サセプタは渦電流に対して電気抵抗を有しており、この抵抗に抗して渦電流が流れることにより、サセプタがジュール熱によって加熱される。サセプタが鉄、ニッケルまたはコバルトなどの強磁性材料を含む場合、熱はまた、サセプタ内の磁気ヒステリシス損失によって、すなわち、変化する磁場とのそれらの整列の結果として磁性材料内の磁気双極子の変化する配向によって生成され得る。
【0040】
誘導加熱では、例えば伝導による加熱と比較して、サセプタ内部で熱が発生し、迅速な加熱が可能になる。さらに、誘導加熱器とサセプタとの間にいかなる物理的接触も必要とせず、構造および用途の自由度を高めることができる。
【0041】
誘導加熱器は、誘導素子、例えば、サセプタを誘導加熱するように配置され得る電磁石によって提供されるインダクタンスLと、コンデンサによって提供されるキャパシタンスCとを有するLC回路を備え得る。回路は、場合によっては、抵抗器によって提供される抵抗Rを備えるRLC回路として表されてもよい。いくつかの場合において、抵抗は、インダクタとキャパシタとを接続する回路の一部のオ-ム抵抗によって提供され、したがって、回路は必ずしもそのような抵抗器を含む必要はない。そのような回路は、例えばLC回路と呼ばれることがある。このような回路は、回路素子のインピーダンスまたはアドミッタンスの虚数部が互いに打ち消し合うときに特定の共振周波数で生じる電気的共振を示すことがある。
【0042】
電気的共振を示す回路の一例は、インダクタと、キャパシタと、任意選択で抵抗器とを備えるLC回路である。LC回路の一例は、インダクタとキャパシタが直列に接続される直列回路である。LC回路の別の例は、インダクタとキャパシタが並列に接続される並列LC回路である。インダクタの崩壊磁界がコンデンサを充電する電流をその巻線に発生させ、一方で、放電コンデンサがインダクタに磁界を形成する電流を供給するので、LC回路に共振が生じる。本開示におけるいくつかの例は、並列LC回路を含む。並列LC回路が共振周波数で駆動されるとき、回路の動的インピーダンスは最大であり(インダクタのリアクタンスはキャパシタのリアクタンスに等しいので)、回路電流は最小である。しかしながら、並列LC回路の場合、並列インダクタおよびコンデンサループは、電流乗算器として作用する(ループ内の電流、したがってインダクタを通過する電流を効果的に乗算する)。したがって、共振周波数またはその近傍でRLC回路またはLC回路を駆動することは、サセプタを貫通する磁場の最大値を提供することによって、効果的および/または効率的な誘導加熱を提供し得る。
【0043】
トランジスタは、電子信号をスイッチングするための半導体デバイスである。トランジスタは、通常、電子回路に接続するための少なくとも3つの端子を備える。いくつかの従来技術の例では、所定の周波数、例えば回路の共振周波数でトランジスタをスイッチングさせる駆動信号を供給することによって、トランジスタを使用する回路に交流電流を供給することができる。
【0044】
電界効果トランジスタ(FET)は、印加される電界の効果を用いてトランジスタの有効コンダクタンスを変化させることができるトランジスタである。電界効果トランジスタは、本体Bと、ソース端子Sと、ドレイン端子Dと、ゲート端子Gとを備えることができる。電界効果トランジスタは、ソースSとドレインDとの間で電荷キャリア、電子または正孔が流れることができる半導体を含むアクティブチャネルを有する。チャネルの導電率、すなわちドレインD端子とソースS端子との間の導電率は、例えばゲート端子Gに印加される電位によって生成される、ゲートG端子とソースS端子との間の電位差の関数である。エンハンスメントモードFETでは、実質的に0のゲートGからソースSへの電圧が存在するとき、FETはオフであってもよく(実質的に電流がそこを通過することを防止され)、実質的に非0のゲートG-ソースS電圧があるとき、FETはオンでもよい(すなわち、実質的に電流がそこを通過することを可能にする)。
【0045】
nチャネル(またはn型)電界効果トランジスタ(n-FET)は、チャネルがn型半導体を含む電界効果トランジスタであり、電子が多数キャリアであり、正孔が少数キャリアである。例えば、n型半導体は、ドナ-不純物(例えばリンなど)でド-プされる真性半導体(例えばシリコンなど)を含むことができる。nチャネルFETでは、ドレイン端子Dはソース端子Sよりも高い電位(すなわち、正のドレインソース電圧、換言すれば負のソースドレイン電圧)に置かれる。nチャネルFETを「オン」にするために(すなわち、そこに電流を通過することを可能にするために)、ゲート端子Gには、ソース端子Sの電位よりも高いスイッチング電位が印加される。
【0046】
pチャネル(またはp型)電界効果トランジスタ(p-FET)は、そのチャネルがp型半導体を含む電界効果トランジスタであり、正孔が多数キャリアであり、電子が少数キャリアである。例えば、p型半導体は、アクセプタ不純物(例えばホウ素など)でド-プされる真性半導体(例えばシリコンなど)を含むことができる。pチャネルFETでは、ソース端子Sはドレイン端子Dよりも高い電位(すなわち、負のドレインソース電圧、換言すれば正のソースドレイン電圧)に置かれる。pチャネルFETを「オン」にするために(すなわち、そこに電流を通過することを可能にするために)、ゲート端子Gには、ソース端子Sの電位よりも低いスイッチング電位が印加される。
【0047】
金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、ゲート端子Gが絶縁層によって半導体チャネルから電気的に絶縁される電界効果トランジスタである。いくつかの例では、ゲート端子Gは金属であってよく、絶縁層は酸化物(例えば二酸化ケイ素など)であってもよく、したがって「金属-酸化物-半導体」である。しかしながら、他の例では、ゲートは、ポリシリコンなどの金属以外の材料から作られてもよく、および/または絶縁層は、他の誘電体材料などの酸化物以外の材料から作られてもよい。それにもかかわらず、そのようなデバイスは、通常、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と呼ばれ、本明細書で使用される場合、金属酸化物半導体電界効果トランジスタまたはMOSFETという用語は、そのようなデバイスを含むものとして解釈されるべきであることを理解されるい。
【0048】
MOSFETは、半導体がn型であるnチャネル(またはn型)MOSFETであってもよい。nチャネルMOSFET(n-MOSFET)は、nチャネルFETについて上述したのと同じ方法で動作させることができる。別の例として、MOSFETは、半導体がp型であるpチャネル(またはp型)MOSFETであってもよい。pチャネルMOSFET(p-MOSFET)は、pチャネルFETについて上述したのと同じ方法で動作させることができる。n-MOSFETは、典型的には、p-MOSFETよりも低いソースドレイン抵抗を有する。したがって、「オン」状態にあるとき(すなわち、そこに電流が流れるとき)、n-MOSFETは、p-MOSFETと比較してより少ない熱を生成し、したがって、動作中にp-MOSFETよりも少ないエネルギーを浪費し得る。さらに、n-MOSFETは、典型的には、p-MOSFETと比較してより短いスイッチング時間(すなわち、ゲート端子Gに与えられるスイッチング電位を変化させてからMOSFETに電流が流れるか否かを変化させるまでの特性応答時間)を有する。これは、より高いスイッチング速度および改善されるスイッチング制御を可能にする。
【0049】
図1は、一例によるエアロゾル生成デバイス100を概略的に示す。エアロゾル生成デバイス100は、DC電源104(この例では電池104)と、サセプタ装置110と、サセプタ装置110を加熱するための誘導素子158を備える回路140とを備える。サセプタ装置110は、エアロゾル生成材料116を加熱し、それによって例えばユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成させるように構成される。
【0050】
図1の例では、サセプタ装置110は、エアロゾル生成材料116と共に消耗品120内に配置される。DC電源104は、回路140に電気的に接続され、回路140にDC電力を供給するように構成される。
【0051】
回路140は、後述するように、温度決定器の機能を実行するように構成される制御装置106(図1には図示せず)を備え、他の機能も実行することができる。回路140はまた、誘導素子158を含む加熱回路150を含む。
【0052】
制御装置106は、例えばユーザ入力に応答してデバイス100をオン及びオフに切り換える手段を含むことができる。制御装置106は、例えば、それ自体知られているような吸煙検出器(図示せず)を備えてもよく、および/または少なくとも1つのボタン若しくはタッチコントロール(図示せず)を介してユーザ入力を取得してもよい。制御装置106は、デバイス100の構成要素又は装置内に挿入される消耗品120の構成要素の温度を監視するための手段を含むことができる。
【0053】
誘導素子158は、例えば平面体であり得るコイルであってもよい。誘導素子158は、例えば、銅(比較的低い抵抗率を有する)から形成することができる。回路140は、以下でより詳細に説明されるように、DC電源104からの入力DC電流を、誘導素子158を通る変動電流、例えば交流電流に変換するように構成される。回路140は、誘導素子158を通る変動電流を駆動するように構成される。
【0054】
サセプタ装置110は、誘導素子158からサセプタ装置110への誘導エネルギー伝達のために誘導素子158に対して配置される。サセプタ装置110は、誘導加熱することができる任意の適切な材料、例えば金属または金属合金、例えば鋼から形成することができる。いくつかの実装形態では、サセプタ装置110は、鉄、ニッケル、およびコバルトなどの例示的な金属のうちの1つまたは組合せを含み得る強磁性材料を含むか、またはそれから完全に形成され得る。いくつかの実装形態では、サセプタ装置110は、非強磁性材料、たとえばアルミニウムを含むか、またはそれから全体的に形成され得る。誘導素子158は、それを通して駆動される変動電流を有し、上述のように、ジュール加熱および/または磁気ヒステリシス加熱によってサセプタ装置110を加熱させる。サセプタ装置110は、使用時にエアロゾルを生成させるために、例えば伝導、対流、および/または放射加熱によってエアロゾル生成材料116を加熱するように構成される。いくつかの例では、サセプタ装置110およびエアロゾル生成材料116は、エアロゾル生成デバイス100に挿入および/またはそこから取り外すことができる一体型ユニットを形成し、使い捨てであってもよい。いくつかの例では、誘導素子158は、例えば交換のためにデバイス100から取り外し可能であってもよい。エアロゾル生成デバイス100は、手持ち式であってもよい。
【0055】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル生成材料」という用語は、典型的には蒸気またはエアロゾルの形態で、加熱時に揮発成分を提供する材料を含むことに留意されるい。エアロゾル生成材料は、非タバコ含有材料またはタバコ含有材料であってもよい。例えば、エアロゾル生成材料はタバコであってもよく、またはタバコを含んでもよい。エアロゾル生成材料は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再構成タバコ、タバコ抽出物、均質化したタバコまたはタバコ代替物のうちの1つ以上を含み得る。エアロゾル生成材料は、粉砕タバコ、切断ラグタバコ、押出タバコ、再構成タバコ、再構成材料、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、または凝集体などの形態であってもよい。エアロゾル生成材料はまた、製品に応じてニコチンを含有してもしなくてもよい他の非タバコ製品を含んでもよい。エアロゾル生成材料は、グリセロールまたはプロピレングリコールなどの1つ以上の湿潤剤を含んでもよい。
【0056】
エアロゾル生成デバイス100は、DC電源104を収容する外側本体112と、誘導素子158を備える回路140とを備える。エアロゾル生成材料116を含み、この例ではサセプタ装置110も含む消耗品120は、使用のためにデバイス100を構成するために本体112に挿入される。外側本体112は、使用中に生成されるエアロゾルがデバイス100から出ることを可能にするマウスピース114を備える。
【0057】
使用時に、ユーザは、例えばボタン(図示せず)又は吸煙検出器(図示せず)を介して回路140を作動させて、誘導素子158を通して駆動される変動電流、例えば交流電流を生じさせ、それによってサセプタ装置110を誘導加熱し、これが次にエアロゾル生成材料116を加熱し、それによってエアロゾル生成材料116にエアロゾルを生成させる。エアロゾルは、空気入口(図示せず)からデバイス100内に引き込まれた空気中に生成され、それによってマウスピース114に運ばれ、そこでエアロゾルは、ユーザによる吸入のためにデバイス100を出る。他の例では、デバイス100自体がマウスピースを含まなくてもよい。例えば、消耗品120は、生成されるエアロゾルの流れを吸入するためにユーザによって係合されるように構成され得る。
【0058】
デバイス100は、エアロゾル生成材料を燃焼させることなくエアロゾル生成材料116の少なくとも1つの成分を揮発させる温度範囲までエアロゾル生成材料116を加熱するように構成されてもよい。例えば、温度範囲は、約50℃~約350℃、例えば、約50℃~約300℃、約100℃~約300℃、約150℃~約300℃、約100℃~約200℃、約200℃~約300℃、または約150℃~約250℃であってもよい。いくつかの例では、温度範囲は約170℃~約250℃である。いくつかの例では、温度範囲はこの範囲以外であってもよく、温度範囲の上限は300℃超であってもよい。
【0059】
サセプタ装置110の温度とエアロゾル生成材料116の温度との間には、例えばサセプタ装置110の加熱中に、例えば加熱速度が大きい場合に、差があってもよいことが理解されよう。したがって、いくつかの例では、サセプタ装置110が加熱される温度は、例えば、エアロゾル生成材料116が加熱されることが望ましい温度よりも高くてもよいことが理解されよう。
【0060】
この例では、サセプタ装置110は、使用のためにデバイス100を構成するためにデバイス100に挿入可能な消耗品120の一部である。しかしながら、他の例では、サセプタ装置110は、デバイス100の一部を形成してもよい。例えば、サセプタ装置110は、エアロゾル生成材料116を受け入れて加熱することができる加熱チャンバを画定する管を形成してもよい。
【0061】
図2は、一例による、デバイス100の回路140および電圧源104の概略図を示す。
【0062】
回路140は、制御装置106および共振回路150を備える。共振回路150は、誘導素子158と、サセプタ装置110を誘導加熱するために誘導素子158に変動電流、例えば交流電流を流すように構成されるスイッチング装置180とを備える。サセプタ装置110は、明確にするために図2に示されていない。
【0063】
この例では、回路140は、電圧調整器154も備える。電圧調整器154は、共振回路150に供給される電圧を制御することができる。回路150に供給される電圧を制御することにより、共振回路150を流れる電流が制御され、したがって、共振回路150によってサセプタ装置110に伝達されるエネルギーを制御することができる。
【0064】
回路140は、加熱回路150が吸入用エアロゾルを生成させるようにサセプタ装置110を加熱動作可能である動作モードで動作するように動作可能である。回路140はまた、温度感知モードで動作するように動作可能である。温度感知モードでは、加熱回路150は、サセプタ装置110を実質的に加熱することなく、サセプタ装置110にエネルギーを誘導的に与えるようにされる。温度感知モードでは、制御装置106は、加熱回路150の1つ以上の電気的特性に基づいてサセプタ装置110の温度を決定するように動作可能である。これについては以下でより詳細に説明する。
【0065】
したがって、回路140は、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するための加熱モード、またはサセプタ装置110に有意なエネルギーが与えられることなくサセプタ装置110の温度が決定されている温度感知モードで、任意の時点で動作していてもよい。したがって、温度感知モードは、サセプタ装置110を加熱することなくサセプタ装置110の温度を決定することを可能にする。
【0066】
回路140を動作加熱モードで動作させることは、加熱回路150に第1のDC電圧を供給することを含み、回路140を温度感知モードで動作させることは、第1のDC電圧とは異なり、この例では第1のDC電圧よりも低い第2のDC電圧を加熱回路150に供給することを含む。温度感知モードでは、第2のDC電圧が加熱回路150に連続的に供給される。これにより、低電圧温度感知モードが提供され、サセプタ装置110を望ましくない加熱をすることなくサセプタ装置110の温度を監視することができる。
【0067】
いくつかの例では、電圧調整器154は、加熱回路150に供給される電圧を制御するために使用され得る。例えば、電圧調整器154は、動作モードにおいて第1のDC電圧を供給し、温度感知モードにおいて第2のDC電圧を供給するように構成することができる。いくつかの例では、電圧調整器154はまた、動作加熱モードにおいて変動電圧を加熱回路150に供給するように構成されてもよい。これにより、加熱回路150の加熱電力を調整することができる。
【0068】
制御装置106は、電圧調整器154によって加熱回路150に供給される電圧を制御できるように、電圧調整器154の動作を制御することができる。例えば、制御装置106は、電圧調整器154に供給される入力電圧のデューティサイクルを制御することができる。
【0069】
いくつかの例では、電圧調整器154は、電圧源104から受け取った電圧を所与の量だけステップダウンするように構成されるバックレギュレータである。これにより、加熱回路150に供給される電圧を、動作モードで使用される第1の電圧と温度感知モードで使用される第2の電圧との間で切り替えることができる。電圧調整器154はまた、動作モードにおいて、加熱回路150に供給される電圧を制御することによって、加熱電力が制御される、例えば低減されることを可能にし得る。
【0070】
いくつかの例では、電圧調整器154は、動作モードおよび/または温度感知モードにおいて、一定の電圧が加熱回路150に供給されることを確実にするために使用され得る。これは、サセプタ装置110を加熱するために(動作モードにおいて)、またはサセプタ装置110を励起してその温度を決定することができるようにするために(温度感知モードにおいて)、回路150によって提供される電力のより良好な制御を可能にすることができる。
【0071】
いくつかの例では、動作モードにおいて、加熱回路150に供給される電圧は、電圧調整器154によって調整されなくてもよい。例えば、加熱回路150に供給される電圧は、加熱回路150によって提供される負荷に基づいて変化することができ、この負荷は、他の要因の中でも特に、サセプタ装置110の温度に基づいて変化することができる。例えば、動作モードでは、生電池電圧が加熱回路150に供給されてもよい。これは、例えば、電圧調整器154がバイパスされることを可能にすることによって、動作モードにおけるより低いエネルギー損失を可能にし得る。
【0072】
電圧調整器154は、動作モードと温度感知モードとの間で回路140を切り替えるために使用され得る。電圧調整器154は、温度感知モードにおいて加熱回路150に供給される既知の、例えば一定の電圧を提供するために使用されてもよい。これにより、サセプタ装置110の温度を決定する際に制御装置106によって実行される計算を簡略化することができる。例えば、以下で説明するように、制御装置106は、加熱回路が動作している1つ又は複数の周波数、加熱回路によって引き出される電流、及び加熱回路150の両端間のインピーダンスなどの加熱回路150の1つ又は複数の電気的特性に基づいて、サセプタ装置110の温度を決定することができる。加熱回路150に供給されるDC電圧もまた、そのような決定において使用され得る。いくつかの例では、サセプタ装置110の温度をそのような電気的特性の1つ以上の所定の値に関連付けるルックアップテーブルは、サセプタ装置110の温度を決定するために制御装置106によってアクセス可能であってもよい。温度感知モードにおいて既知の、例えば一定の電圧を提供することは、より少ないエントリを有するルックアップテーブルが維持されることを可能にし得、したがって、記憶要件を低減し、および/または温度決定プロセスを簡略化し得る。
【0073】
いくつかの例では、加熱回路150にとって誘導素子158を通る変動電流を生成するために提供する、スイッチング装置180を駆動するための電圧が供給されてもよい。図2に示す例では、スイッチング装置180は、制御装置106から駆動電圧を受け取る。制御装置106は、例えば、スイッチング装置180の様々な構成要素に電力を供給し、および/または制御するために、スイッチング装置180に供給される電圧信号を提供することができる。スイッチング装置180の例については、以下でより詳細に説明する。
【0074】
制御装置106は、いくつかの例では、電圧源104から入力を受け取り、センサなどから様々な他の入力を受信するように構成されるマイクロコントローラユニット(MCU)を含むことができる。MCUはまた、加熱回路150に電力を供給し、スイッチング装置180に駆動電圧を供給するための1つ以上の出力などの様々な出力をデバイス100の構成要素に供給するように構成されてもよい。制御装置106は、回路150のインピーダンス、回路150が動作している周波数、回路150の両端の電圧、および/または回路150によって引き出される電流などの、温度感知モードにおける加熱回路150の特定の電気的特性を監視するように構成されてもよい。これらの特性は、サセプタ装置110の温度を決定するために制御装置106によって使用されてもよい。
【0075】
図3は、一例による電圧調整器154及び加熱回路150を示す。図3の電圧調整器154は、制御装置106からV0の入力電圧を受け取り、加熱回路150の両端間に電圧V1を出力するように構成されるバックレギュレータである。電圧調整器154は、出力電圧V1が入力電圧V0よりも低い大きさを有するように、入力電圧V0が出力電圧V1に降圧されることを可能にするように構成される。したがって、この例では、電圧調整器154はバックレギュレータと呼ばれることがある。
【0076】
電圧調整器154を動作させてDC出力電圧V1を変化させることによって、回路140は、動作モードと温度感知モードとの間で切り替えられ得る。例えば、出力電圧V1は、動作モードにおいて、例えば3V~5V、又は例えば約4Vの第1の大きさを有してもよい。出力電圧V1は、温度感知モードにおいて、第1の大きさよりも小さい第2の大きさを有してもよい。例えば、温度感知モードでは、電圧V1は、1V~3V又は約2Vであってもよい。サセプタ装置110を誘導加熱するために加熱回路150によって供給される加熱電力は、加熱回路150が動作している電圧に依存する。したがって、電圧調整器の出力電圧V1を低下させることにより、動作モードと温度感知モードとの間の切替えが可能になる。
【0077】
図3に示される電圧調整器154は、第1のトランジスタ351と、第2のトランジスタ352と、ゲートドライバ353と、出力インダクタ361と、出力キャパシタ362とを備える。第1のトランジスタ351および第2のトランジスタ352は両方ともnチャネルFETである。第1のトランジスタ351及び第2のトランジスタ352の各々は、ゲート端子G、ドレイン端子D、及びソース端子Sを有する。第1および第2のトランジスタ351,352のゲート端子Gは両方ともゲートドライバ353に接続される。ゲートドライバ353は、この例では制御装置106からゲート駆動信号Vgを受信し、トランジスタ351,352を動作させるためのゲート電圧を供給するように構成される。制御装置106は、図3にてそれぞれ+および-とラベル付けされる正端子および負端子間に電圧V0を供給する。正端子+は、第1のトランジスタ351のドレイン端子Dに接続される。第1のトランジスタ351のソース端子Sは、第2のトランジスタ352のドレイン端子Dに接続され、これらの端子の両方は、出力インダクタ361の第1の側に接続される。第2のトランジスタ352のソース端子Sは接地151に接続される。電圧調整器154の出力キャパシタ362は、出力インダクタ361の第2の側と接地151との間に接続される。加熱回路150は、出力キャパシタ362と並列に、すなわち出力インダクタ361の第2の側と接地151との間に接続される。
【0078】
一例では、正端子+と負端子-との間の電圧V0は、制御装置106から供給される固定周波数電圧信号である。固定周波数電圧信号V0のデューティサイクルは、制御装置106によって可変であってもよい。デューティサイクルを減少させることは、電圧調整器154の出力電圧V1が低減されることを可能にし得る。したがって、電圧調整器154は、所望のDC電圧V1を加熱回路150に供給するように構成することができる。
【0079】
図4Aおよび図4Bは、異なるデューティサイクルを有する入力電圧V0に対して電圧調整器154によって出力される結果として生じる出力電圧V1の理想化される表現を概略的に示す。図4Aおよび4Bは、水平軸上の時間tに対する垂直軸上の電圧Vの概略プロットを示す。図4Aには、約50%の第1のデューティサイクルを有する入力電圧信号V0の第1の例が示されている。すなわち、電圧信号V0は、サイクルの約半分の間「オン」状態にあり、サイクルの残りの間「オフ」状態にある。この第1の例による電圧調整器154によって出力される電圧V1は、「オン」状態における電圧信号V0の大きさよりも小さい大きさを有する定常DC電圧である。図4Aに示される第1の例では、電圧調整器154によって出力される電圧V1は、「オン」状態の入力信号V0の約半分の大きさを有し得る。図4Bには、入力電圧信号V0が「オン」状態において第1の例と同じ大きさを有するが、異なるデューティサイクルを有する第2の例が示されている。図4Bは、約30%のデューティサイクルを有する入力電圧信号V0を示す。図4Bにおいて、出力電圧V1は、再び、「オン」状態における入力電圧V0の大きさよりも小さい大きさを有する定常DC出力電圧である。しかしながら、図4Bにおける入力信号V0のより低いデューティサイクルのために、図4BにおけるV1の大きさは、図4AにおけるV1の大きさと比較して対応して低減される。例えば、図4Bにおいて、V1は、「オン」状態における入力電圧V0の実質的に30%の大きさを有し得る。
【0080】
図4A及び図4Bに概略的に示される原理に従って動作すると、デューティサイクルを変更することにより、サセプタ装置110を加熱するための動作高電圧モードと、実質的な加熱を引き起こすことなくサセプタ装置110の温度を決定するための温度検知低電圧モードとから回路140を切り替えるための出力電圧V1を低下させることができる。
【0081】
図3に示される回路の変形形態(図示せず)では、出力インダクタ361、出力キャパシタ362が省略される。いくつかの例では、出力インダクタ361によって提供されるインダクタンスおよび出力キャパシタ362によって提供されるキャパシタンスは、加熱回路150によって提供することができ、加熱回路150は本明細書で説明するとおりであることが分かっている。これにより、回路140の部品点数を削減することができる。
【0082】
ここで図5を参照すると、第1の例による加熱回路150のさらなる詳細が示されている。この例では、加熱回路150は、サセプタ装置110の誘導加熱のために配置される共振LC回路である。したがって、加熱回路150は、以下の例では共振回路と呼ばれることがある。
【0083】
共振回路150は、この例では第1のトランジスタM1及び第2のトランジスタM2を含むスイッチング装置180を含む。第1のトランジスタM1および第2のトランジスタM2はそれぞれ、第1端子G、第2端子Dおよび第3端子Sを備える。誘導素子158とコンデンサ156とは並列に接続されている。以下にて詳細に説明するように、第1のトランジスタM1および第2のトランジスタM2の第2の端子Dは、誘導素子158およびキャパシタ156の並列組合せのいずれかの側に接続される。第1のトランジスタM1および第2のトランジスタM2の第3の端子Sは接地151に接続されている。第1のトランジスタM1及び第2のトランジスタM2は共に、第1のゲート端子Gと、第2のドレイン端子Dと、第3のソース端子Sとを有するMOSFETである。トランジスタM1,M2は、この例ではいずれもnチャネルMOSFETである。
【0084】
代替例では、上述のMOSFETの代わりに他のタイプのトランジスタが使用され得ることが理解されよう。
【0085】
共振回路150は、インダクタンスL及びキャパシタンスCを有する。共振回路150のインダクタンスLは、誘導素子158によって提供され、誘導素子158による誘導加熱のために配置されるサセプタ装置110のインダクタンスによっても影響され得る。サセプタ装置110の誘導加熱は、誘導素子158によって生成される変動磁界によるものであり、上述のように、サセプタ装置110においてジュール加熱および/または磁気ヒステリシス損失を誘導する。共振回路150のインダクタンスLの一部は、サセプタ装置110の透磁率に起因し得る。誘導素子158によって生成される変動磁界は、誘導素子158を流れる変動電流、例えば交流電流によって生成される。
【0086】
誘導素子158は、例えば、コイル状導電素子の形態であってもよい。例えば、誘導素子158は銅コイルであってもよい。誘導素子158は、例えば、リッツ線などのマルチストランドワイヤ、例えば、一緒に撚られたいくつかの個々に絶縁されるワイヤを含むワイヤを含み得る。マルチストランドワイヤのAC抵抗は周波数の関数であり、マルチストランドワイヤは、誘導素子の電力吸収が駆動周波数で低減されるように構成することができる。別の例として、誘導素子158は、例えば、プリント回路基板上のコイル状トラックとすることができる。プリント回路基板上でコイル状トラックを使用することは、(高価であり得る)多重撚り線の任意の要件を不要にする断面と共に、剛性かつ自己支持型のトラックを提供するので有用であり得、それゆえ低コストかつ高い再現性で大量生産され得る。1つの誘導素子158が示されているが、1つ以上のサセプタ装置110の誘導加熱のために配置される2つ以上の誘導素子158が存在してもよいことが容易に理解されるであローう。
【0087】
共振回路150のキャパシタンスCは、キャパシタ156によって提供される。コンデンサ156は、例えば、クラス1セラミックコンデンサ、例えばC0Gタイプのコンデンサであってもよい。全容量Cはまた、共振回路150の浮遊容量を含んでもよい。しかしながら、これは、キャパシタ156によって提供されるキャパシタンスと比較して無視できるようにされるか、または無視できるようにされ得る。
【0088】
共振回路150の抵抗は図5に示されていないが、回路の抵抗は、共振回路150の構成要素を接続するトラックまたはワイヤの抵抗、インダクタ158の抵抗、および/またはインダクタ158とのエネルギー伝達のために配置されるサセプタ装置110によって提供される共振回路150を通って流れる電流に対する抵抗によって提供され得ることを理解されるい。いくつかの例では、1つまたは複数の専用抵抗器(図示せず)が共振回路150に含まれ得る。
【0089】
共振回路150には、上述したように、直流電源104から電圧調整器154を介して供給される直流電源電圧V1が供給される。電圧調整器154は、共振回路150の両端にDC電圧V1を出力する。共振回路150の第1の点159および第2の点160は電圧V1であり、MOSFETM1およびM2の両方のソース端子は接地151に接続される。
【0090】
したがって、共振回路150は、ブリッジの2つのアーム間に並列に接続される誘導素子158およびキャパシタ156を有する電気ブリッジとして接続されていると考えることができる。共振回路150は、以下に説明されるスイッチング効果を生成するように作用し、その結果、変化する、例えば交流の電流が誘導素子158を通って引き出され、したがって交流磁場を生成し、サセプタ装置110を加熱する。
【0091】
第1の点159は、誘導素子158とキャパシタ156との並列結合の第1の側に位置する第1のノードAに接続される。第2の点160は、誘導素子158とキャパシタ156との並列結合の第2の側である第2のノードBに接続される。第1のチョークインダクタ161は、第1の点159と第1のノードAとの間に直列に接続され、第2のチョークインダクタ162は、第2の点160と第2のノードBとの間に直列に接続される。第1および第2のチョーク161および162は、それぞれ第1の点159および第2の点160から回路に入ることからAC周波数をフィルタ除去するように作用するが、DC電流がインダクタ158に引き込まれ、それを通ることを可能にする。チョーク161および162は、AおよびBにおける電圧が、第1の点159または第2の点160において目に見える影響をほとんどまたは全く伴わずに振動することを可能にする。
【0092】
この特定の例では、第1のMOSFET M1および第2のMOSFET M2は、nチャネルエンハンスメントモードMOSFETである。第1のMOSFETM1ののドレイン端子は導線等を介して第1ノードAに接続され、第2のMOSFET M2のドレイン端子は導線等を介して第2ノードBに接続される。各MOSFET M1,M2のソース端子は、接地151に接続される。
【0093】
共振回路150は、第1および第2のMOSFET M1およびM2のゲート端子Gに電圧を供給するために使用される第3の点165に接続される正端子を有する第2の電圧源V2、ゲート電圧源(または本明細書では制御電圧と呼ばれることもある)を備える。この例では、第3の点165に供給される制御電圧V2は、第1および第2の点159、160に供給される電圧V1から独立しており、これにより、制御電圧V2に影響を与えることなく電圧V1を変化させることができる。第1のプルアップ抵抗器163は、第3の点165と第1のMOSFETM1のゲート端子Gとの間に接続される。第2のプルアップ抵抗器164は、第3の点165と第2のMOSFET M2のゲート端子Gとの間に接続される。この例における制御電圧V2は、電圧源104から電力を受け取る制御装置106から出力される。
【0094】
他の例では、異なるタイプのFETなど、異なるタイプのトランジスタが使用され得る。以下で説明するスイッチング効果は、「オン」状態から「オフ」状態にスイッチングすることができる異なるタイプのトランジスタについても同様に達成することができることが理解されよう。供給電圧V1及びV2の値及び極性は、使用されるトランジスタ及び回路内の他の構成要素の特性に関連して選択することができる。例えば、供給電圧は、nチャネルトランジスタまたはpチャネルトランジスタが使用されるかどうかに依存して、またはトランジスタが接続される構成に依存して、またはトランジスタがオンまたはオフのいずれかになるトランジスタの端子間に印加される電位差の差に依存して選択され得る。
【0095】
共振回路150は、この例ではショットキーダイオードである第1のダイオードd1および第2のダイオードd2をさらに備えるが、他の例では、任意の他の適切なタイプのダイオードが使用され得る。第1のMOSFETM1のゲート端子Gは、第1のダイオードd1を介して第2のMOSFET M2のドレイン端子Dに接続され、第1のダイオードd1の順方向は、第2のMOSFET M2のドレインDに向かっている。
【0096】
第2のMOSFET M2のゲート端子Gは、第2のダイオードd2を介して第1の第2のMOSFET M1のドレインDに接続されており、第2のダイオードd2の順方向は、第1のMOSFETM1のドレインDに向かっている。第1および第2のショットキーダイオードd1およびd2は、約0.3Vのダイオード閾値電圧を有することができる。他の例では、約0.7Vのダイオード閾値電圧を有するシリコンダイオードが使用されてもよい。実施例では、使用されるダイオードのタイプは、ゲート閾値電圧と併せて選択され、MOSFETM1およびM2の所望のスイッチングを可能にする。ダイオードおよびゲート供給電圧V2のタイプはまた、プルアップ抵抗器163および164、ならびに共振回路150の他の構成要素の値に関連して選択され得ることが理解されよう。
【0097】
共振回路150は、第1および第2のMOSFET M1およびM2のスイッチングによる変動電流である、誘導素子158を通る電流をサポ-トする。この例では、MOSFETM1およびM2はエンハンスメントモードMOSFETであるので、MOSFETのうちの1つのゲート端子Gに印加される電圧が、ゲートソース間電圧がそのMOSFETの所定の閾値よりも高いようなものである場合、MOSFETはオン状態になる。電流は、ドレイン端子Dから接地151に接続されるソース端子Sに流れる。このオン状態におけるMOSFETの直列抵抗は、回路の動作の目的のために無視でき、ドレイン端子Dは、MOSFETがオン状態にあるときに接地電位にあると考えることができる。MOSFETのゲートソース閾値は、共振回路150に適した任意の値とすることができ、電圧V2の大きさ及び抵抗器163,164の抵抗は、MOSFETM1,M2のゲートソース閾値電圧に応じて、本質的に電圧V2がゲート閾値電圧よりも大きくなるように選択されることが理解されよう。
【0098】
誘導素子158を流れる電流を変化させる共振回路150のスイッチング手順について、第1のノードAの電圧が高く、第2のノードBの電圧が低い状態から説明する。
【0099】
ノードAにおける電圧が高いとき、第1のMOSFET M1のドレイン端子Dにおける電圧も高い。なぜなら、M1のドレイン端子は、この例では、導線を介してノードAに直接接続されているからである。同時に、ノードBにおける電圧は低く保持され、第2のMOSFETM2のドレイン端子Dにおける電圧は対応して低い(M2のドレイン端子は、この例では、導線を介してノードBに直接接続されている)。
【0100】
したがって、このとき、M1のドレイン電圧の値は高く、M2のゲート電圧よりも大きい。したがって、第2のダイオードd2は、この時点で逆バイアスされる。このときのM2のゲート電圧はM2のソース端子電圧よりも大きく、電圧V2は、M2におけるゲートソース間電圧がMOSFETM2のオン閾値よりも大きくなるような電圧である。したがって、この時点でM2はオンである。
【0101】
同時に、M2のドレイン電圧は低く、第1のダイオードd1は、M1のゲート端子へのゲート電圧供給V2により順方向バイアスされる。したがって、M1のゲート端子は、順方向バイアスされる第1のダイオードd1を介して第2のMOSFETM2の低電圧ドレイン端子に接続され、したがって、M1のゲート電圧も低い。言い換えれば、M2はオンであるので、接地クランプとして作用し、その結果、第1のダイオードd1は順方向バイアスされ、M1のゲート電圧は低くなる。したがって、M1のゲートソース間電圧はオン閾値を下回り、第1のMOSFETM1はオフである。
【0102】
要約すると、この時点で、回路150は第1の状態にある。
【0103】
ノードAの電圧はハイであり、
ノードBの電圧はローであり、
第1のダイオードd1は順方向バイアスされ、
第2のMOSFET M2がオンであり、
第2のダイオードd2は逆バイアスされ、
MOSFET M1はオフである。
【0104】
この点から、第2のMOSFET M2がオン状態にあり、第1のMOSFET M1がオフ状態にある状態で、電流は、電源V1から第1のチョーク161および誘導素子158を通って引き出される。誘導チョーク161が存在するため、ノードAの電圧は自由に振動する。誘導素子158はコンデンサ156と並列であるので、ノードAで観測される電圧は、半正弦波電圧プロファイルの電圧に従う。ノードAにおいて観測される電圧の周波数は、回路150の共振周波数fに等しい。
【0105】
ノードAにおける電圧は、ノードAにおけるエネルギー減衰の結果として、その最大値から0に向かって時間的に正弦的に減少する。ノードBにおける電圧は低く保持され(MOSFETM2がオンであるため)、インダクタLはDC電源V1から充電される。MOSFET M2は、ノードAにおける電圧がM2のゲートしきい値電圧にd2の順方向バイアス電圧を加えたもの以下である時点でオフに切り替えられる。ノードAの電圧が最終的に0に達すると、MOSFETM2は完全にオフになる。
【0106】
同時にまたはその直後に、ノードBの電圧が高くなる。これは、誘導素子158とコンデンサ156との間のエネルギーの共振伝達によって起こる。このエネルギーの共振伝達によってノードBの電圧が高くなると、ノードAおよびBならびにMOSFETM1およびM2に関して上述した状況が逆転する。すなわち、Aにおける電圧が0に向かって低下すると、M1のドレイン電圧が低下する。M1のドレイン電圧は、第2のダイオードd2がもはや逆バイアスされず、順バイアスされる点まで低下する。同様に、ノードBにおける電圧はその最大値まで上昇し、第1のダイオードd1は順方向バイアスから逆方向バイアスに切り換わる。これが起こると、M1のゲート電圧はもはやM2のドレイン電圧に結合されず、したがってM1のゲート電圧は、ゲート供給電圧V2の印加の下で高くなる。したがって、第1のMOSFETM1は、そのゲートソース間電圧がスイッチオンの閾値よりも高いので、オン状態に切り替えられる。M2のゲート端子は順方向バイアスされる第2のダイオードd2を介してM1の低電圧ドレイン端子に接続されているので、M2のゲート電圧は低い。したがって、M2はオフ状態に切り替えられる。
【0107】
要約すると、この時点で、回路150は第2の状態にある。
【0108】
ノードAの電圧は低く、
ノードBの電圧はハイであり、
第1のダイオードd1は逆バイアスされ、
第2のMOSFET M2がオフであり、
第2のダイオードd2は順方向バイアスされ、
第1のMOSFET M1はオンである。
【0109】
この時点で、電流は、第2のチョーク162を介して供給電圧V1から誘導素子158を通って引き出される。したがって、電流の方向は、共振回路150のスイッチング動作によって反転している。共振回路150は、第1のMOSFETM1がオフであり、第2のMOSFET M2がオンである上述の第1の状態と、第1のMOSFET M1がオンであり、第2のMOSFET M2がオフである上述の第2の状態との間で切り替わり続ける。
【0110】
動作の定常状態では、エネルギーは、静電ドメイン(すなわち、キャパシタ156内)と磁気ドメイン(すなわち、インダクタ158)との間で伝達され、逆もまた同様である。
【0111】
正味のスイッチング効果は、共振回路150内の電圧振動に応答し、静電分域(すなわち、コンデンサ156内)と磁気分域(すなわち、インダクタ158)との間のエネルギー伝達を有し、したがって、共振回路150の共振周波数で変動する時間変動電流を並列LC回路内に生成する。これは、共振回路150がその最適効率レベルで動作するので、誘導素子158とサセプタ装置110との間のエネルギー伝達にとって有利である。動作モードにおいて、これは、共振から外れて動作する回路と比較して、エアロゾル生成材料116のより効率的な加熱を可能にしうる。上述のスイッチング装置は、共振回路150が変化する負荷条件下で共振周波数でそれ自体を駆動することを可能にするので有利である。これが意味することは、共振回路150の特性が変化する場合(例えば、サセプタ110が存在するか否か、またはサセプタの温度が変化する場合、またはサセプタ素子110の物理的移動でさえも)、共振回路150の動的性質は、その共振点を最適な様式でエネルギーを伝達するように連続的に適合させ、したがって、共振回路150が常に共振で駆動されることを意味する。さらに、共振回路150の構成は、スイッチングを行うためにMOSFETのゲートに制御電圧信号を印加するために外部コントローラなどを必要としないようなものである。
【0112】
上述の例では、ゲート端子Gには、ソース電圧V1用の電源とは異なる第2の電源を介してゲート電圧が供給される。しかしながら、いくつかの例では、ゲート端子には、ソース電圧V1と同じ電圧源が供給され得る。そのような例では、回路150内の第1の点159、第2の点160、および第3の点165は、たとえば、電圧調整器154からの同じ電力レ-ル出力に接続され得る。そのような例では、回路の構成要素の特性は、説明されるスイッチング動作が行われることを可能にするように選択されなければならないことが理解されよう。例えば、ゲート供給電圧およびダイオードしきい値電圧は、回路の振動が適切なレベルでMOSFETのスイッチングをトリガするように選択されるべきである。ゲート供給電圧V2とソース電圧V1とに別個の電圧値を与えることにより、回路のスイッチング機構の動作に影響を与えることなく、ソース電圧V1をゲート供給電圧V2とは無関係に変化させることができる。
【0113】
回路150の共振周波数fは、MHz範囲内、例えば0.5MHz~4MHzの範囲内、例えば2MHz~3MHzの範囲内であってよい。共振回路150の共振周波数fは、上述したように、回路150のインダクタンスLおよびキャパシタンスCに依存し、インダクタンスLおよびキャパシタンスCは、誘導素子158、コンデンサ156、さらにはサセプタ装置110に依存することが理解されよう。したがって、回路150の共振周波数fは、実装形態ごとに異なり得る。例えば、周波数は、0.1MHz~4MHzの範囲内、または0.5MHz~2MHzの範囲内、または0.3MHz~1.2MHzの範囲内であり得る。他の例では、共振周波数は、上記で説明した範囲とは異なる範囲内にあり得る。一般に、共振周波数は、サセプタ装置110を含む使用される構成要素の電気的および/または物理的特性などの回路の特性に依存する。
【0114】
共振回路150の特性は、所与のサセプタ装置110についての他の要因に基づいて選択され得ることも理解されよう。例えば、誘導素子158からサセプタ装置110へのエネルギーの伝達を改善するために、サセプタ装置110の材料特性に基づいて、表皮深さ(すなわち、少なくとも周波数の関数である、1/eだけ電流密度が低下するサセプタ装置110の表面からの深さ)を選択することが有用であり得る。表皮深さは、サセプタ装置110の異なる材料によって異なり、駆動周波数が増加するにつれて減少する。一方、例えば、電子機器内で熱として失われる共振回路150および/または駆動要素に供給される電力の割合を低減するために、比較的低い周波数でそれ自体を駆動する回路を有することが有益であり得る。この例では駆動周波数は共振周波数に等しいので、駆動周波数に関するここでの考慮は、例えばサセプタ装置110を設計することによって、および/または特定のキャパシタンスを有するコンデンサ156及び特定のインダクタンスを有する誘導素子158を使用することによって、適切な共振周波数を得ることに関してなされる。したがって、いくつかの例では、これらの要因の間の妥協が、適切におよび/または所望に応じて選択され得る。
【0115】
図5の共振回路150は、電流Iが最小化され、動的インピーダンスが最大化される共振周波数fを有する。共振回路150は、この共振周波数でそれ自体を駆動し、したがって、インダクタ158によって生成される振動磁場は最大であり、誘導素子158によるサセプタ装置110への誘導エネルギー伝達は最大化される。
【0116】
電圧調整器154は、共振回路150によるサセプタ装置110の誘導加熱が、共振回路150に供給される供給電圧V1を制御することによって制御されることを可能にする。供給電圧V1を制御することは、次に、共振回路150内を流れる電流を制御し、したがって、共振回路150によってサセプタ装置110に伝達されるエネルギー、したがってサセプタ装置110が加熱される程度を制御することができる。いくつかの例では、サセプタ装置110の温度が監視されるにつれて、サセプタ装置110がより高いまたはより低い程度に加熱されるべきかどうかの決定が行われる。動作加熱モードで使用される所望の加熱電力は、それに応じて決定されてもよい。次いで、所望の加熱電力は、動作加熱モードにおいて共振回路150に供給されるDC電圧V1の大きさを変更するために電圧調整器154を使用することによって供給され得る。
【0117】
上述のように、共振回路150のインダクタンスLは、サセプタ装置110の誘導加熱のために配置される誘導素子158によって提供される。共振回路150のインダクタンスLの少なくとも一部は、サセプタ装置110の透磁率によるものである。したがって、インダクタンスL、したがって共振回路150の共振周波数fは、使用される特定のサセプタ(複数可)および誘導素子(複数可)158に対するその位置決めに依存することがあり、それは時々変化することがある。さらに、サセプタ装置110の透磁率は、サセプタ110の温度の変化に伴って変化してもよい。
【0118】
図6は、共振回路250の第2の例を示す。第2の共振回路250は、共振回路150と同じ構成要素の多くを備え、共振回路150、250の各々における同様の構成要素には同じ参照番号が与えられ、再度詳細に説明されない。
【0119】
第2回路250は、第2回路250がダイオードd1、d2を含まない点で第1回路150と異なり、ダイオードd1、d2を介して、トランジスタM1,M2の各々のゲート端子G1,G2は、トランジスタM1,M2の他方のドレイン端子D1、D2にそれぞれ接続される。第1回路150に含まれるダイオードd1、d2の代わりに、第2回路250は、第3のMOSFETM3および第4のMOSFET M4を備える。
【0120】
第2回路250において、第1のMOSFET M1のゲートG1は、第3のMOSFET M3を介して第2のMOSFET M2のドレインD2に接続されている。第2のMOSFETM2のゲートG2は、同様に、第4のMOSFET M4を介して第1のMOSFET M1のドレインD1に接続される。制御電圧V2は、点165から第3のMOSFETM3および第4のMOSFET M4の両方のゲート端子G3、G4に供給される。図6によって表される例などの例では、第3のMOSFET M3および第4のMOSFETM4のゲート端子G3、G4は、電気導体、たとえば電気トラックを介して互いに接続され、電圧V2が電気導体上の点に供給される。第3のMOSFET M3および第4のMOSFETM4の各々は、しきい値電圧よりも高い電圧がそのゲート端子G3、G4に印加されると、それぞれのMOSFET M3、M4が「オン」にされて、電流がそのドレイン端子からそのソース端子に流れることができるようなゲートしきい値電圧を有することが理解されよう。例では、電圧V2は、制御電圧V2を印加することが第3および第4のMOSFETM3、M4をオン状態にするように、第3および第4のMOSFET M3、M4のしきい値電圧よりも大きい。一例では、第3のMOSFET M3の閾値電圧は、第4のMOSFETM4の閾値電圧に等しい。いくつかの例では、第2の回路250は、第1および第2のMOSFET M1,M2のゲートG1,G2と接地との間に接続される1つまたは複数のプルダウン抵抗器(図6には図示せず)を備え得る。
【0121】
第2の回路250は、自励発振回路として動作し、図5を参照して第1の例示的な回路150を参照して説明した方法で、変動電流を誘導素子158に流す。ダイオードd1、d2ではなくMOSFETM3、M4を使用することによる第1の例示的な回路150の挙動との第2回路250の挙動の差は、以下の説明から明らかになるであローう。
【0122】
次に、誘導素子158を流れる電流を変化させる第2の回路250のスイッチング手順について説明する。
【0123】
第3及び第4のMOSFET M3,M4のゲートG3,G4に電圧V2が印加されると、第3及び第4のMOSFET M3,M4がオンする。この時点で電圧V1を仮定すると、第1、第2、第3および第4のMOSFETM1~M4の各々はオン状態にある。この時点で、ノードAおよびBの電圧は降下し始める。例えば、MOSFET M1~M4間の抵抗の差、または回路内に存在するインダクタの値の特性など、特定の不均衡が回路250内に存在し得る。これらの不均衡は、ノードAまたはBの一方における電圧が、これらのノードA、Bの他方における電圧よりも速く降下し始めるように作用する。電圧が最も速く降下するノードA、Bに対応するMOSFETM1,M2は、オン状態のままである。ノードA,Bの他方に対応するMOSFET M1,M2の他方はオフ状態に切り換えられる。以下では、ノードAの電圧が振動し始め、ノードBの電圧が0のままである状況について説明する。しかし、同様に、ノードAの電圧が0ボルトのままである間に発振を開始するのはノードBの電圧である場合がある。
【0124】
ノードAの電圧が上昇すると、第1のMOSFET M1のドレイン端子D1は導線を介してノードAに接続されているので、第1のMOSFETM1のドレイン端子D1の電圧も上昇する。同時に、ノードBにおける電圧は低く保持され、第2のMOSFET M2のドレイン端子D2における電圧は対応して低い(第2のMOSFETM2のドレイン端子D2は、この例では、導線を介してノードBに直接接続されている)。
【0125】
第1のMOSFET M1のノードAおよびドレインD1の電圧が上昇すると、第2のMOSFET M2のゲートG2の電圧が上昇する。これは、ドレインD1が第4のMOSFETM4を介して第2のMOSFET M2のゲートG2に接続され、第4のMOSFET M4がそのゲート端子G4に印加される電圧V2により「オン」になることによる。
【0126】
第1のMOSFET M1のドレインD1における電圧が上昇すると、第2のMOSFET M2のゲートG2における電圧は、最大電圧値VMaxに達するまで上昇し続ける。第2のMOSFETM2のゲートG2において到達される最大電圧値VMaxは、制御電圧V2および第4のMOSFET M4のゲートソース電圧(VgsM4)に依存する。最大値VMaxは、VMax=V2VgsM4と表すことができる。
【0127】
回路250の共振周波数での発振の半サイクル後、第1のMOSFET M1のドレインD1における電圧は減少し始める。第1のMOSFETM1のドレインD1における電圧は、0Vに達するまで低下する。この時点で、第1のMOSFET M1は「オフ」から「オン」に変わり、第2のMOSFETM2は「オン」から「オフ」に変わる。
【0128】
次に、回路は、ノードBが自由に発振する間ノードAが0ボルトのままであることを除いて、上述と同様の方法で発振し続ける。すなわち、第2のMOSFETM2のドレインD2およびノードBにおける電圧は上昇し始めるが、第1のMOSFET M1のドレインD1およびノードAにおける電圧は0のままである。
【0129】
ノードBおよび第2のMOSFET M2のドレインD2における電圧が上昇すると、ドレインD2が第3のMOSFET M3を介して第1のMOSFETM1のゲートG1に接続され、第3のMOSFET M3がそのゲート端子G3に印加される電圧V2により「オン」であるため、第1のMOSFET M1のゲートG1における電圧が上昇する。
【0130】
第2のMOSFET M2のドレインD2における電圧が上昇すると、第1のMOSFET M1のゲートG1における電圧は、最大電圧値VMaxに達するまで上昇し続ける。ゲートG1において到達される最大電圧値VMaxは、制御電圧V2および第3のMOSFETM3のゲートソース電圧(VgsM3)に依存する。最大値VMaxは、VMax=V2VgsM3で表すことができる。この例では、第3および第4のMOSFETM3、M4のゲートソース電圧は互いに等しく、すなわちVgsM3=VgsM4である。
【0131】
第2の回路250の共振周波数での発振の半サイクル後、第2のMOSFET M2のドレインD2における電圧は減少し始める。第2のMOSFETM2のドレインD2における電圧は、0Vに達するまで低下する。この時点で、第2のMOSFET M2は「オフ」から「オン」に変わり、第1のMOSFETM1は「オン」から「オフ」に変わる。
【0132】
第1の例示的な回路150を参照して説明したように、第2のMOSFET M2がオン状態にあり、第1のMOSFET M1がオフ状態にあるとき、電流は、電源V1から第1のチョーク161および誘導素子158を通って引き出される。第1のMOSFETM1がオン状態にあり、第2のMOSFET M2がオフ状態にあるとき、電流は、電源V1から第2のチョーク162および誘導素子158を通って引き出される。したがって、第2の例示的な回路250は、第1の例示的な回路150について説明したのと同じように発振し、電流の方向は、回路250の各スイッチング動作とともに反転する。
【0133】
いくつかの例では、第3および第4のMOSFET M3、M4の使用は、より低いエネルギー損失を可能にし得るので有利であり得る。すなわち、第1の例示的な回路150は、プルアップ抵抗器163,164を通って接地151に引き出されるいくらかの電流による抵抗損失をもたらし得る。例えば、第1のMOSFETM1がオン状態にあるとき、第2のダイオードd2は順方向バイアスされ、したがって、小さい電流が第2のプルアップ抵抗器164を通して引き出され得、抵抗損失をもたらす。同様に、第2のMOSFETM2がオン状態にあるとき、第1のプルアップ抵抗器163を通して引き出される電流による抵抗損失が存在し得る。例における第2の例示的な回路は、抵抗器163,164を省略することができる。第2の例示的な回路250は、第3および第4のMOSFETM3、M4をプルアップ抵抗器163,164およびダイオードd1、d2で置き換えることによって、そのような損失を低減し得る。たとえば、第2の例示的な回路250では、第1のMOSFETM1がオフ状態にあるとき、第3のMOSFET M3を通して引き込まれる電流は、本質的に0であり得る。同様に、第2の例示的な回路250では、第2のMOSFET M2がオフ状態にあるとき、第4のMOSFETM4を通って引き出される電流は本質的に0であり得る。したがって、抵抗損失は、第2の回路250に示される構成を使用することによって低減され得る。さらに、第1のMOSFETM1および第2のMOSFET M2のゲートG1,G2を充電および放電するためにエネルギーが必要とされ得る。第2回路250は、このエネルギーがノードAおよびBから効果的に供給されるようにすることができる。
【0134】
2つのチョークインダクタ161、162を備える上記の例示的な回路が説明される。別の例では、例示的な誘導加熱回路は、1つのチョークインダクタのみを備えてもよい。そのような例示的な回路では、インダクタコイル158は「センタータップ」され得る。
【0135】
図7は、第1の例示的な回路150の変形である第3の例示的な回路350を示し、コイル158はセンタータップコイルであり、単一のチョークインダクタ461が第1および第2のチョークインダクタ161、162に取って代わる。この場合も、図5に示す回路150内の構成要素と同じ構成要素には、図7において同じ参照番号が与えられている。
【0136】
第3回路350において、電圧V1は、チョークインダクタ461を介してインダクタコイル158の中心に、第1の例示的な回路150における第1および第2の点159、160とは対照的に単一の点459で印加される。第1および第2の例示的な回路150、250のように、回路の共振振動によって回路の電流の方向が変化するときに、第1のチョーク161および第2のチョーク162を通して電流が交互に引き出されるのではなく、回路350の電流振動がMOSFETM1,M2のスイッチング動作によって方向を変化させるときに、単一のチョークインダクタ461を通して電流が引き出され、インダクタ158の第1の部分158aおよびインダクタ158の第2の部分158bを通して交互に引き出される。第3回路350は、他の点では第1回路150と同等に動作する。
【0137】
第4の例示的な回路を図8に示す。この場合も、図5に示す回路150内の構成要素と同じ構成要素には、図8において同じ参照番号が与えられている。第4の回路450は、第3の回路350の単一のキャパシタ156を備えるのではなく、第4の回路450に第1のキャパシタ156aおよび第2のキャパシタ156bが設けられるという点で、第3の回路350とは異なる。第4の回路450は、第3の回路350と同様に、第1の部分158aおよび第2の部分158bを備えるインダクタを有するセンタータップ構成を備える。電圧V1は、チョークインダクタ461を介してインダクタコイル158の中心に印加され(図6の構成のように)、さらに、インダクタコイル158の中心は、第1のキャパシタ156aと第2のキャパシタ156bとの間の点に電気的に接続される。したがって、2つの隣接する回路ループが提供され、一方は第1のインダクタ部分158aおよび第1のキャパシタ156aを備え、他方は第2のインダクタ部分158bおよび第2のキャパシタ156bを備える。第4回路450は、他の点では第3回路350と同等に動作する。
【0138】
図7および図8を参照して説明したセンタータップ構成は、図6を参照して説明したように、ダイオードの代わりに第3および第4のMOSFETを使用する構成に同様に適用することができる。回路を組み立てるのに必要な部品の数を減らすことができるので、センタータップ構成の使用は有利である。例えば、チョークインダクタの数を2つから1つに減らすことができる。
【0139】
本明細書に記載の例では、サセプタ装置110は消耗品内に収容され、したがって交換可能である。例えば、サセプタ装置110は使い捨てであってもよく、例えば、加熱するように構成されるエアロゾル生成材料116と一体化されてもよい。共振回路150は、回路が共振周波数で駆動されることを可能にし、サセプタ装置110が交換されるときに、異なるサセプタ装置110間の構造および/または材料タイプの差、および/または誘導素子158に対するサセプタ装置110の配置の差を自動的に考慮する。さらに、共振回路150は、特定の誘導素子158、または実際には使用される共振回路150の任意の構成要素にかかわらず、共振でそれ自体を駆動するように構成される。これは、サセプタ装置110に関してだけでなく、回路150の他の構成要素に関しても、製造における変動に対応するのに特に有用である。例えば、共振回路150は、異なる値のインダクタンスを有する異なる誘導素子158の使用、および/またはサセプタ装置110に対する誘導素子158の配置の差にかかわらず、回路が共振周波数で自身を駆動し続けることを可能にする。回路150はまた、デバイスの寿命にわたって構成要素が交換される場合であっても、共振でそれ自体を駆動することができる。
【0140】
いくつかの例では、エアロゾル生成デバイス100は、複数の異なる種類の消耗品と共に使用可能であるように構成され、その消耗品の各々は、他の消耗品とは異なる種類のサセプタ装置を備える。
【0141】
異なるサセプタ装置は、例えば、異なる材料から形成されてもよく、又は異なる形状若しくは異なるサイズ、又は異なる材料若しくは形状若しくはサイズの異なる組み合わせから形成されてもよい。
【0142】
使用中、回路150の共振周波数は、どのタイプの消耗品がデバイス100に結合されているか、例えばデバイス100に挿入されているかにかかわらず、特定のサセプタ装置に依存する。しかしながら、共振回路の誘導素子158を通る交流周波数は、回路150の自励発振構成に起因して、誘導素子への異なるサセプタ/消耗品の結合によって引き起こされる共振周波数の変化に一致するように自己調整するように構成される。したがって、回路は、サセプタ装置または消耗品の特性にかかわらず、その消耗品がデバイス100に結合されるときに回路150の共振周波数で所与のサセプタ装置にエネルギーを誘導的に伝達するように構成される。
【0143】
いくつかの例では、エアロゾル生成デバイス100は、第1のサセプタ装置を有する第1の消耗品を受容するように構成され、デバイスはまた、第1のサセプタ装置とは異なる第2のサセプタ装置を有する第2の消耗品を受容するように構成される。
【0144】
例えば、デバイス100は、特定のサイズのアルミニウムサセプタを含む第1の消耗品を受け入れるように構成されてもよく、また、アルミニウムサセプタとは異なる形状および/またはサイズであってもよい鋼サセプタを含む第2の消耗品を受け入れるように構成されてもよい。
【0145】
回路150内の変動電流は、第1の消耗品がデバイスに結合されるときに共振回路150の第1の共振周波数に維持され、第2の消耗品がデバイス100に結合されるときに共振回路の第2の共振周波数に維持される。
【0146】
例におけるエアロゾル生成デバイス100は、消耗品を受容するための受容部分を備える。収容部は、第1の消耗品または第2の消耗品などの複数の種類の消耗品を収容するように構成されてもよい。図1は、エアロゾル生成デバイス100の受容部分130に受容されるように概略的に示される消耗品120を受容したエアロゾル生成デバイス100を示す。受容部分130は、デバイスの本体112内の空洞またはチャンバであってもよい。消耗品120が受容部分130内にあるとき、消耗品120のサセプタ装置110は、誘導素子158による誘導結合及び加熱のために近接して配置される。
【0147】
デバイス100は、異なる形状の複数の異なる消耗品を受け入れるように構成されてもよい。
【0148】
例では、上述のように、誘導素子158は導電性コイルである。そのような例では、消耗品のサセプタ装置の少なくとも一部は、コイル内に受け入れられるように構成されてもよい。これは、サセプタ装置と誘導素子との間に効率的な誘導結合を提供し、したがって、サセプタ装置の効率的な加熱を提供することができる。
【0149】
次に、共振回路150を備えるエアロゾル生成デバイス100の動作の特定の特徴について、一例に従って説明する。デバイス100がオンにされる前に、デバイス100は「オフ」状態にあってもよく、すなわち、共振回路150に電流は流れない。デバイス100は、例えばユーザがデバイス100をオンにすることによって、「オン」状態に切り替えられる。デバイス100のスイッチをオンにすると、回路140は、電圧が電圧調整器154を介して加熱回路150に供給され、誘導素子158を通る電流が共振周波数fで変化するように、電圧源104から電流を引き出し始める。デバイス100は、さらなる入力が制御装置106によって受信されるまで、例えば、ユーザがもはやボタン(図示せず)を押さなくなるまで、または吸煙検出器(図示せず)がもはや起動されなくなるまで、または最大加熱持続時間が経過するまで、オン状態のままであり得る。共振周波数f0で駆動される共振回路150によって交流電流Iが共振回路150及び誘導素子158に流れ、したがってサセプタ装置110が動作加熱モードで誘導加熱される。
【0150】
サセプタ装置110が誘導加熱されると、その温度(したがって、エアロゾル生成材料116の温度)が上昇する。この例では、サセプタ装置110(及びエアロゾル生成材料116)は、定常温度TMAXに達するように加熱される。温度TMAXは、実質的な量のエアロゾルがエアロゾル生成材料116によって発生する温度以上である温度であってもよい。温度TMAXは、例えば約200℃と約300℃との間であってもよい(ただし、当然ながら、材料116、サセプタ装置110、デバイス100全体の構成、ならびに/または他の要件および/もしくは条件に応じて異なる温度であってもよい)。したがって、デバイス100は「加熱」状態またはモードにあり、エアロゾル生成材料116は、エアロゾルが実質的に生成されているか、または相当量のエアロゾルが生成されている温度に達する。すべてではないにしてもほとんどの場合、サセプタ装置110の温度が変化すると、共振回路150の共振周波数fも変化することを理解される。これは、サセプタ装置110の透磁率が温度の関数であり、上述したように、サセプタ装置110の透磁率が誘導素子158とサセプタ装置110との間の結合、したがって共振回路150の共振周波数fに影響を及ぼすためである。
【0151】
上述のように、制御装置106はまた、デバイス100を温度感知モードで動作させるように構成される。温度感知モードでは、回路140は、動作モードについて上述したのと同様に動作して、サセプタ装置110にエネルギーを誘導的に伝達する。しかしながら、サセプタ装置110へのエネルギーの誘導伝達がサセプタ装置110を実質的に加熱しないが、サセプタ装置110の温度が決定されることを可能にするように、動作モードよりも温度感知モードにおいて異なる、例えばより低い電圧が共振回路150に供給される。すなわち、温度感知モードにおけるサセプタ装置110へのエネルギーの誘導伝達(またはエネルギー、すなわち電力の供給速度)は、サセプタ装置110の温度を上昇させるのに十分ではない。
【0152】
様々な例では、制御装置106は、異なる制御方式に従って動作モードと温度感知モードとの間で切り替わるように構成され得る。例えば、制御装置106は、所定の期間にわたって固定電圧を使用して回路140を動作モードで動作させることができる。次いで、コントローラ106は、所定の間隔にわたって回路140を温度感知モードで動作させて、サセプタ装置110の温度を決定することができる。これは、温度感知モードおよび動作モードの交互の期間の所定のスケジュールと考えることができる。サセプタ装置110の決定される温度に依存して動作が行われてもよい。例えば、サセプタ装置110が目標温度以上である場合、制御装置106は、例えばサセプタ装置110が目標温度に向かって冷却することを可能にするために、次のスケジュールされる期間の間、回路140を動作加熱モードで動作させなくてもよい。
【0153】
一例では、制御装置106は、決定される温度と目標温度との間の比較の結果に応じて回路140の動作を制御するように構成することができる。例えば、制御装置106が、加熱回路150に供給される電圧を調整する、例えば電圧調整器154を使用して加熱回路150によって供給される電力を調整する、をできる場合、制御装置106は、デルタTと呼ばれ得る、決定される温度と目標温度との間の差に基づく大きさを有する電圧を供給することができる。例えば、デルタTが大きい場合、制御装置106は、動作モードにおいて対応する大きな電圧を加熱回路150に供給させ、それにより、サセプタ装置110の温度をより迅速に上昇させるために高い加熱電力を供給することができる。逆に、デルタTが小さい場合、制御装置106は、加熱回路150に供給される電圧を低下させることができる。加熱が必要とされない一例では、制御装置106は、温度感知モードで印加される電圧と大きさが等しい電圧を印加させることができる。
【0154】
目標温度は、いくつかの実施例では、例えば、所定の加熱プロファイルに従って、使用セッションを通して変化してもよい。
【0155】
別の例では、制御装置106は、回路140が動作加熱モードで動作する時間の割合に対する回路140が温度感知モードで動作する時間の割合を調整するように構成されてもよい。例えば、サセプタ装置110の温度が目標温度よりも高い場合、回路140が動作モードで動作する時間の割合を低減することによって、サセプタ装置110を加熱するために供給される平均加熱電力を低減することができる。動作モード中に供給される電圧の大きさが制御され得る方法と同様に、制御装置106は、決定されるデルタTに基づいて、回路140が動作モードで動作する時間の割合を制御するように構成され得る。
【0156】
本明細書に記載の温度感知モードは低電圧で動作することができるので、より高い電圧で動作する場合よりも長い時間にわたって温度測定を行う目的で、サセプタ装置110にエネルギーを誘導的に与えることができる。この1つの利点は、監視されている回路150の電気的特性の測定をより長い期間にわたって行うことができ、より正確な測定を可能にすることである。例えば、加熱回路150が温度感知モードで動作している周波数の測定は、より正確な平均値が決定されることを可能にするより長い期間にわたって行われ得る。したがって、サセプタ装置110を加熱することなく、サセプタ装置110の温度を正確に監視することができる。
【0157】
いくつかの例では、サセプタ装置110を加熱するために回路が動作モードで動作している間にサセプタ装置110の温度も監視され得るが、いくつかの実装形態では、サセプタ装置110の温度は動作モード中に上昇することがあり、したがって温度の測定は、たとえば、温度感知モードで行われるときよりも正確でないことがある。温度感知モードでサセプタ装置110の温度を決定するために使用されるのと同じ原理が、温度を決定するために動作モードで典型的に使用されるより高い電圧で適用されてもよい。そのような例では、コントローラは、感知モード中および/または動作加熱モード中に決定される温度に応じて、後続の期間にわたって動作モードに入ること、または動作加熱モード中に特定の電圧を印加することなど、取るべきアクションを決定することができる。一例では、動作モードでの動作から決定される温度測定値は、サセプタ装置110の温度を監視するために使用されてもよく、サセプタ装置110をどのように加熱するかに関してコントローラによって行われるべき動作は、温度感知モード中に行われた測定値に基づいて行われてもよい。
【0158】
本開示は、LC並列回路構成がサセプタ装置110を加熱するために電力供給される構成を主に説明する。上述のように、共振時のLC並列回路では、インピーダンスは最大であり、電流は最小である。最小である電流は、一般に、並列LCル-プの外側、例えばチョーク161の左側またはチョーク162の右側で観測される電流を指すことに留意されるい。逆に、直列LC回路では、電流は最大であり、一般的に言えば、回路内の特定の電気部品への損傷を防止するために電流を安全な値に制限するために抵抗器を挿入することができる。これは、エネルギーが抵抗器を介して失われるので、回路の効率を低下させる可能性がある。共振で動作する並列回路は、そのような制限を有さなくてもよい。
【0159】
いくつかの例では、サセプタ装置110はアルミニウムを含むか、またはアルミニウムからなる。アルミニウムは非鉄材料の一例であり、したがって1に近い比透磁率を有する。これが意味することは、アルミニウムが印加される磁界に応答して一般に低い磁化度を有することである。したがって、特にエアロゾル供給システムで使用されるような低電圧でアルミニウムを誘導加熱することは一般に困難であると考えられてきた。共振周波数で回路を駆動することは、誘導素子158とサセプタ装置110との間の最適な結合を提供するので有利であることも一般的に分かっている。アルミニウムについては、共振周波数からのわずかな偏差が、サセプタ装置110と誘導素子158との間の誘導結合の顕著な低減を引き起こし、したがって、加熱効率の顕著な低減(場合によっては、加熱がもはや観察されない程度まで)を引き起こすことが観察される。上述したように、サセプタ装置110の温度が変化すると、回路150の共振周波数も変化する。したがって、サセプタ装置110がアルミニウムなどの非鉄サセプタを含むかまたはそれからなる場合、本開示の共振回路150は、回路が常に(任意の外部制御機構から独立して)共振周波数で駆動されるという点で有利である。これは、最大の誘導結合、したがって最大の加熱効率が常に達成され、アルミニウムを効率的に加熱することができることを意味する。アルミニウムサセプタを含む消耗品が、閉電気回路を形成し、かつ/または50ミクローン未満の厚さを有するアルミニウムラップを含む場合に、消耗品を効率的に加熱できることが見出される。
【0160】
サセプタ装置110が消耗品の一部を形成する例では、消耗品は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるPCT/EP2016/070178に記載されている形態をとることができる。
【0161】
上述したように、デバイス100には、使用時にサセプタ装置110の温度を決定する温度決定器が設けられている。上述したように、温度決定器は、制御装置106、例えば、デバイス100の全体的な動作を制御するプロセッサであってもよい。温度決定器106は、加熱回路150の1つ以上の特性、例えば、加熱回路150が駆動されている周波数、加熱回路150によって引き出されているDC電流、及び加熱回路150に供給されているDC電圧のうちの1つ以上に基づいて、サセプタ装置110の温度を決定する。
【0162】
本明細書に記載される例では、温度決定器106は、サセプタ装置110の温度を決定するために温度感知モードで動作する。一例では、サセプタ装置110の温度は、温度感知モードで動作しているときのサセプタ装置110の温度と加熱回路150の電気的特性との間の決定される相関関係に基づいて決定することができる。
【0163】
一例では、温度決定が行われる電気的特性は、回路150に供給されるDC電圧、例えば電圧調整器154からの出力電圧V1と、加熱回路150によって引き出されるDC電流とを含む。加熱回路150によって引き出される電流は、例えば、電流感知抵抗器を使用することによって測定され、サセプタ装置110の温度がそこから決定されるように制御装置106に提供されてもよい。
【0164】
別の例では、サセプタ装置110の温度は、サセプタ110の温度と、回路150に供給されるDC電圧、例えば電圧調整器154からの出力電圧V1と、回路150が動作している周波数との間の決定される相関関係に基づいて決定されてもよい。回路150が動作している周波数は、例えば、スイッチング装置180が状態を変化させる周波数を測定することによって決定することができる。例えば、MOSFETM1、M2のいずれかまたは両方がオン状態とオフ状態との間で変化する周波数は、監視され得、回路150における発振の周波数を示すために使用され得る。
【0165】
さらに別の例では、サセプタ装置110の温度は、サセプタ110の温度と、回路150に供給されるDC電圧、例えば電圧調整器154からの出力電圧V1と、回路150のインピーダンスとの間の決定される相関関係に基づいて決定されてもよい。
【0166】
一例では、温度決定器106は、共振加熱回路150が駆動されている周波数、加熱回路150によって引き出されているDC電流、及び加熱回路150に供給されているDC電圧に基づいて、サセプタ装置110の温度を決定する。ここで、この例によるサセプタ装置110の温度を決定する方法をより詳細に説明する。
【0167】
加熱回路150の上述の電気的特性のいずれかとサセプタ装置110の温度との間の相関関係は、較正プロセスを実行することによって決定することができる。例えば、そのような特性の値は、加熱回路150によって加熱されている間に、サセプタ装置110の温度が温度センサによって測定される間に測定されてもよい。
【0168】
理論に束縛されることを望むものではないが、以下の説明は、本明細書に記載されるいくつかの例におけるサセプタ装置110の温度を決定することを可能にする共振回路150の電気的特性と物理的特性との間の関係の導出を説明する。
【0169】
使用中、誘導素子158とコンデンサ156との並列結合の共振時のインピーダンスは、動的インピーダンスRdynである。
【0170】
上述したように、スイッチング装置M1及びM2の動作により、DC電圧源、例えば電圧調整器154から引き出されるDC電流が、誘導素子158及びコンデンサ156を流れる交流電流に変換される。誘導交流電圧はまた、誘導素子158とコンデンサ156との間に生成される。
【0171】
共振回路150の振動性質の結果として、発振回路を見たインピーダンスは、所与の電源電圧Vに対してRdynであり、これは、上述の特定の例示的な回路における電圧調整器154によって回路150にわたって出力される電圧V1である。電流IはRdynに応答して引き出される。したがって、共振回路150の負荷Rdynのインピーダンスは、有効な電圧および電流引き込みのインピーダンスと等しくすることができる。これは、以下の式(1)のように、DC電圧V及びDC電流Iの決定、例えば測定値を介して負荷のインピーダンスを決定することを可能にする。
【数1】
【0172】
共振周波数fにおいて、動的インピーダンスRdynは以下のようになる。
【0173】
【数2】
【0174】
ここで、パラメータrは、誘導素子158の実効集合抵抗及びサセプタ装置110(存在する場合)の影響を表すと考えることができ、上述のように、Lは誘導素子158のインダクタンスであり、Cはコンデンサ156のキャパシタンスである。パラメータrは、本明細書では実効集合抵抗として説明される。以下の説明から理解されるように、パラメータrは抵抗の単位(オーム)を有するが、特定の状況では、回路150の物理的/実際の抵抗を表すとは考えられない場合がある。
【0175】
上述したように、誘導素子158のインダクタンスは、ここでは誘導素子158とサセプタ装置110との相互作用を考慮する。したがって、インダクタンスLは、サセプタ装置110の特性および誘導素子158に対するサセプタ装置110の位置に依存する。誘導素子158の、したがって共振回路150のインダクタンスLは、他の要因の中でも特に、サセプタ装置110の透磁率μに依存する。透磁率μは、それ自体の中で磁場の形成を支持する材料の能力の尺度であり、印加磁場に応答して材料が得る磁化の程度を表す。サセプタ装置110を構成する材料の透磁率μは、温度と共に変化し得る。
【0176】
式(1)および(2)から、以下の式(3)が得られる。
【0177】
【数3】
【0178】
インダクタンスLおよびキャパシタンスCに対する共振周波数fの関係は、以下の式(4aおよび4b)によって与えられる少なくとも2つの方法でモデル化することができる。
【0179】
【数4】

【数5】
【0180】
式(4a)は、インダクタLおよびキャパシタCを備える並列LC回路を使用してモデル化される共振周波数を表し、式(4b)は、インダクタLに直列接続される追加の抵抗器rを有する並列LC回路を使用してモデル化される共振周波数を表す。式(4b)では、rが0に近づくにつれて、式(4b)は式(4a)に近づくことを理解されるい。
【0181】
以下では、rが小さいと仮定し、したがって式(4a)を利用することができる。以下で説明するように、この近似は、Lの表現内で回路150内(たとえば、インダクタンスおよび温度)の変化を組み合わせるので、うまく機能する。式(3)および式(4a)から、以下の式が得られる。
【0182】
【数6】
【0183】
式(5)は、測定可能な量または既知の量に関するパラメータrの式を提供することが理解されるであろう。ここで、パラメータrは、共振回路150における誘導結合によって影響を受けることを理解される。装填されるとき、すなわちサセプタ装置が存在するとき、パラメータrの値が小さいと考えることができるのは事実ではない。この場合、パラメータrはもはや群抵抗の正確な表現ではなく、rは回路150における有効な誘導結合によって影響されるパラメータである。パラメータrは、サセプタ装置110の特性及びサセプタ装置の温度Tに依存する動的パラメータであると言われる。DC電源Vの値は既知である(例えば、電圧調整器154によって出力される電圧V1)、もしくは、引き出されるDC電流Iの値は、例えば、電流感知抵抗器を横断する電圧を測定するなど、任意の好適な手段によって測定されてもよい。
【0184】
周波数fは、パラメータrが得られることを可能にするように測定および/または決定され得る。
【0185】
一例では、周波数fは、周波数-電圧(F/V)変換器210の使用を介して測定され得る。F/V変換器210は、例えば、第1のMOSFETM1または第2のMOSFET M2のうちの1つのゲート端子に結合され得る。他のタイプのトランジスタが回路のスイッチング機構において使用される例では、F/V変換器210は、トランジスタのうちの1つのスイッチング周波数に等しい周波数を有する周期的電圧信号を提供するゲート端子または他の端子に結合され得る。したがって、F/V変換器210は、共振回路150の共振周波数fを表すMOSFETM1、M2のうちの1つのゲート端子から信号を受信することができる。F/V変換器210によって受信される信号は、共振回路210の共振周波数を表す周期を有するほぼ方形波表現であり得る。そして、F/V変換器210は、この期間を用いて、共振周波数fを出力電圧として表してもよい。
【0186】
したがって、Cはコンデンサ156の静電容量の値から既知であり、V、Iおよびfは、例えば上述のように測定することができるので、パラメータrは、これらの測定値および既知の値から決定することができる。
【0187】
誘導素子158のパラメータrは、温度の関数として、さらにインダクタンスLの関数として変化する。これは、共振回路150が「無負荷」状態にあるとき、すなわち誘導素子158がサセプタ装置110に誘導結合されていないときにパラメータrが第1の値を有し、回路が「負荷」状態に移行するとき、すなわち誘導素子158とサセプタ装置110とが互いに誘導結合されるときにrの値が変化することを意味する。
【0188】
サセプタ装置110の温度を決定するために本明細書に記載の方法を温度感知モードで使用する際に、回路が「負荷」状態にあるか「無負荷」状態にあるかを考慮に入れることができる。例えば、特定の構成における誘導素子158のパラメータrの値は既知であってもよく、測定値と比較して、回路が「負荷」または「無負荷」であるかを判定してもよい。いくつかの例では、共振回路150が無負荷であるか負荷であるかは、制御装置106がサセプタ装置110のデバイス100への挿入を検出すること、例えばサセプタ装置110を含む消耗品のデバイス100への挿入を検出することによって決定されてもよい。サセプタ装置110の挿入は、例えば光学センサまたは容量センサなどの任意の適切な手段を介して検出することができる。他の例では、パラメータrのアンロードされる値は既知であり、制御装置106に記憶され得る。いくつかの例では、サセプタ装置110は、デバイス100の一部を含むことができ、したがって、共振回路150は、負荷状態にあると継続的に見なされ得る。
【0189】
共振回路150が負荷状態にあり、サセプタ装置110が誘導素子158に誘導結合されていると判定されるか又は仮定されると、パラメータrの変化は、サセプタ装置110の温度の変化を示すと仮定することができる。例えば、rの変化は、誘導素子158によるサセプタ装置110の誘導加熱を示すと考えることができる。
【0190】
デバイス100(または事実上共振回路150)は、温度決定器106がパラメータrの測定に基づいてサセプタ装置110の温度を決定することを可能にするように較正されてもよい。
【0191】
較正は、パラメータrの複数の所与の値において、熱電対などの適切な温度センサを用いてサセプタ装置110の温度Tを測定し、Tに対するrのプロットを取ることによって、共振回路150自体に対して(または較正目的で使用される同一の試験回路に対して)実行され得る。
【0192】
図9は、x軸上の共振回路150の動作の時間tに対するy軸上に示されるV、I、r、及びTの測定値の例を示す。約4Vの本質的に一定のDC供給電圧Vにおいて、約30秒の時間tにわたって、DC電流Iは約2.5Aから約3Aに増加し、パラメータrは約1.7~1.8Ωから約2.5Ωに増加することが分かる。同時に、温度Tは約20~25℃から約250~260℃に上昇する。図9は、約4Vの供給電圧での加熱回路150の動作を示し、これは、より低い電圧の温度感知モードよりも動作加熱モードに対してより典型的であり得るが、図9を参照して説明される温度決定の原理は、温度感知モードにおいて使用されるより低い供給電圧において同じである。
【0193】
図10は、図9に示され、上述されるrおよびTの値に基づく較正グラフを示す。図10では、サセプタ装置110の温度Tがy軸に示され、パラメータrがx軸に示されている。図10の例では、関数がrに対するTのプロットに適合されており、この例では、関数は3次多項式関数である。この関数は、温度Tの変化に対応するrの値に適合される。上述のように、パラメータrの値は、無負荷状態(サセプタ装置110が存在しないとき)と負荷状態(サセプタ装置110が存在するとき)との間で変化してもよいが、これは図10には示されていない。したがって、そのような較正のためにプロットされるように選択されるrの範囲は、回路の変化、例えば、「負荷」および「無負荷」状態への/からの変化によるrの任意の変化を排除するように選択されてもよい。他の例では、他の関数をプロットに当てはめてもよく、またはrおよびTの値の配列をルックアップフォーマットで、例えばルックアップテーブルに記憶してもよい。上述したように、負荷状態ではrが小さいとは考えられないが、式4aの近似は依然として温度の正確な追跡を可能にすることが分かっている。理論に束縛されることを望むものではないが、回路の様々な電気的及び磁気的パラメータの変化は、式4aのLの値に「包まれる」と考えられる。
【0194】
使用中、温度決定器106は、DC電圧V、DC電流I、および周波数fの値を受信し、上記の式5に従ってパラメータrの値を決定することができる。温度決定器は、例えば、図10に示されるような関数を使用して温度を計算することによって、又は上述のように較正によって得られたパラメータr及び温度Tの値のテーブル内でルックアップを実行することによって、パラメータrの計算される値を使用してサセプタ装置110の温度の値を決定することができる。
【0195】
いくつかの例では、これは、制御装置106がサセプタ110の決定される温度に基づいて動作を行うことを可能にし得る。例えば、上述したように、サセプタ装置110の温度が目標値よりも低いと判定される場合、回路140を動作モードで動作させてサセプタ装置110を加熱することができる。例えば、決定される温度が目標値を上回る場合、制御装置106は、決定される温度が目標温度以下に低下するまで、回路140に温度感知モードでの動作を継続させてもよい(動作加熱モードに切り替わらない)。
【0196】
いくつかの例では、パラメータrから温度Tを決定する方法は、Tとrとの間の関係を仮定することと、rの変化を決定することと、rの変化から温度Tの変化を決定することとを含み得る。
【0197】
図10は、特定のサセプタ装置110の幾何学的形状、材料の種類、および/または誘導素子158に対する相対的な位置を表す単一の較正曲線を表す。いくつかの実装形態では、特に、広く類似したサセプタ装置110がデバイス100において使用されるべきである実装形態では、単一の較正曲線が、たとえば製造公差を考慮するのに十分であり得る。換言すれば、(rの決定される値からの)温度測定における誤差は、単一のサセプタ装置110の様々な製造公差を考慮するために許容可能であり得る。したがって、制御装置106は、rの値を決定し、続いて温度Tの値を決定する動作を実行するように構成される(例えば、上記のような多項式曲線またはルックアップテーブルを使用して)。
【0198】
他の例では、特にサセプタが異なる形状を有するおよび/または異なる材料で形成される例では、異なる較正曲線(例えば、異なる三次多項式)が、異なるサセプタ装置110毎に必要とされ得る。図11は、3つの較正曲線のセットの基本的表現を示し、その各々は、それに適合される関連する多項式関数(図示せず)を有する。図10と同様に、サセプタ装置110の温度Tはy軸上に示され、実効集団抵抗rはx軸上に示される。純粋に例として、そして説明の目的のみのために、曲線Aはステンレス鋼サセプタを表し得、曲線Bは鉄サセプタを表し得、そして曲線Cはアルミニウムサセプタを表し得る。
【0199】
異なるサセプタ装置110を受け入れて加熱することができるエアロゾル生成デバイス100において、制御回路106は、(例えば、図11の曲線A、B、またはCから選択するための)較正曲線のうちのどれが、挿入されるサセプタ装置110に使用する正しい曲線であるかを決定するようにさらに構成されてもよい。一例では、エアロゾル生成デバイス100は、デバイス100に関連する温度を測定するように構成される温度センサ(図示せず)を備えていてもよい。一実装形態では、温度センサは、デバイス100を取り囲む環境の温度(すなわち、周囲温度)を検出するように構成され得る。この温度は、サセプタ装置が挿入前に直接の環境以外の任意の他の手段によって温められないと仮定して、装置110内への挿入直前のサセプタ装置110の温度を表し得る。他の例では、温度センサは、消耗品120を受け入れるように構成されるチャンバの温度を測定するように構成することができる。
【0200】
図11によって広く示されるように、rの値は、式(5)に基づいて決定することができる(rdet)。rdetは、サセプタ装置110がデバイス100内に配置されるとすぐに(誘導素子158が現在アクティブである場合)、または誘導素子158がアクティブ化されるとすぐに(すなわち、電流が回路150に流れ始めるとすぐに)測定される。すなわち、rdetは、誘導素子158からのエネルギー伝達によって引き起こされる追加の加熱がない状態で決定されることが好ましい。図11から分かるように、所与のrdetについて、複数の可能な温度(T1、T2、およびT3)があり、それぞれは、較正曲線のうちの1つの上の点に対応する。デバイス100に現在挿入されているサセプタ装置110に使用するのに最も適切な較正曲線を区別するために、制御装置106は、最初にrの値を決定するように構成される(上述のように)。制御装置106は、温度センサから温度測定値(または温度測定値の表示)を取得/受信し、温度測定値を、較正曲線の各々(または較正曲線のサブセット)について決定されるr値に対応する温度値と比較するように構成される。例として、図11を参照すると、温度センサがT1に等しい温度Tを感知する場合、制御装置は、感知される温度Tを、各較正曲線A、B、およびCについて決定されるr値に対応する3つの温度値T1、T2、T3と比較する。比較の結果に応じて、制御装置は、測定/感知される温度値に最も近い温度値を有する較正曲線をそのサセプタ装置110の較正曲線として設定する。上記の例では、較正曲線Aは、挿入されるサセプタ110の較正曲線として制御装置106によって設定される。その後、rの値が制御装置106によって決定されるたびに、サセプタ装置110の温度が、選択される較正曲線(曲線A)に基づいて計算される。較正曲線が選択/設定されることを上記で説明したが、これは、曲線を表す多項式が選択されるか、又は例えばルックアップテーブル内の曲線に対応する較正値のセットが選択されるかのいずれかを意味し得ることを理解される。
【0201】
これに関して、上述の比較ステップは、任意の適切な比較アルゴリズムに従って実施することができる。例えば、感知される温度TがT1とT2との間にあると仮定する。制御装置106は、使用されるアルゴリズムに応じて曲線Aまたは曲線Bのいずれかを選択することができる。アルゴリズムは、最小の差を有する曲線を選択することができる(すなわち、T2-tまたはt-T1のいずれかが最小である)。最大値(この場合はT2)を選択するような他のアルゴリズムを実施してもよい。本開示の原理は、この点において特定のアルゴリズムに限定されない。
【0202】
加えて、制御装置106は、特定の条件において較正曲線を決定するためのプロセスを繰り返すように構成されてもよい。例えば、デバイスが電源投入されるたびに、制御装置106は、適切な時間(例えば、誘導素子158に最初に電流が供給されるとき)に適切な曲線を識別するプロセスを繰り返すように構成されてもよい。これに関して、デバイス100は、バッテリからの電力が制御装置106に供給される(しかし共振回路150には供給されない)初期電源オン状態などのいくつかの動作モードを有することができる。この状態は、例えば、ユーザがデバイス100の表面上のボタンを押すことによって遷移することができる。デバイス100はまた、電力が共振回路150に追加的に供給されるエアロゾル生成モードを有してもよい。これは、(上述したように)ボタン又は吸煙センサのいずれかを介して起動され得る。したがって、制御装置106は、エアロゾル生成モードが最初に選択されるときに適切な較正曲線を選択するためのプロセスを繰り返すように構成されてもよい。あるいは、制御装置106は、サセプタ装置がデバイス100から取り外される(またはデバイス100に挿入される)ときを決定するように構成されてもよく、次の適切な機会に較正曲線を決定するためのプロセスを繰り返すように構成される。
【0203】
制御装置が式4aおよび式5を利用することを上記で説明したが、同一または同様の効果を達成する他の式が本開示の原理に従って使用され得ることを理解されるい。一例では、Rdynは、回路150内の電流および電圧のAC値に基づいて計算することができる。例えば、ノードAにおける電圧を測定することができ、これはV-とは異なることが分かっている。この電圧をVACと呼ぶ。VACは、任意の適切な手段によって実際に測定することができるが、並列LCループ内のAC電圧である。これを使用して、ACおよびDC電力を等しくすることによってAC電流,IACを決定することができる。すなわち、VACAC=Vである。パラメータVおよびIは、式5またはパラメータrについての任意の他の適切な式において、それらのAC等価物で置換され得る。この場合、較正曲線の異なるセットが実現され得ることを理解される。
【0204】
上記の説明は、共振周波数で自己駆動するように構成される回路150の文脈で温度測定概念の動作を説明したが、上記の概念は、共振周波数で駆動されるように構成されていない誘導加熱回路にも適用可能である。例えば、サセプタの温度を決定する上述の方法は、回路の共振周波数でなくてもよい所定の周波数で駆動される誘導加熱回路と共に用いられてもよい。1つのそのような例では、誘導加熱回路は、複数のMOSFETなどのスイッチング機構を備えるHブリッジを介して駆動され得る。Hブリッジは、マイクロコントローラによって設定されるHブリッジのスイッチング周波数でインダクタコイルに交流電流を供給するためにDC電圧を使用するように、マイクロコントローラなどを介して制御することができる。そのような例では、式(1)~(5)に記載される上記の関係は、共振周波数を含む周波数範囲内の周波数に対する温度Tの有効な、例えば使用可能な推定値を保持し、提供すると仮定される。一例では、上述の方法は、共振周波数におけるパラメータrと温度Tとの間の較正を得るために使用することができ、回路が共振で駆動されないときにrとTとを関連付けるために同じ較正が使用される。しかしながら、式5の導出は、回路150が共振周波数fで動作することを仮定することを理解される。したがって、決定される温度に関連する誤差は、共振周波数fと所定の駆動周波数との間の差が増大するにつれて増大する可能性がある。換言すれば、回路が共振周波数またはそれに近い周波数で駆動されるとき、より高い精度で温度測定値を決定することができる。例えば、rおよびTを関連付けて決定する上記の方法は、範囲f-Δfからf+Δf内の周波数に対して使用されてもよく、Δfは、例えば、サセプタTの温度を直接測定し、上記の導出される関係を試験することによって実験的に決定することができるものでよい。例えば、Δfのより大きい値は、サセプタの温度Tの決定においてより低い精度を提供し得るが、依然として使用可能であり得る。
【0205】
いくつかの例では、本方法は、VおよびIを定数値に割り当て、これらの値がパラメータrを計算する際に変化しないと仮定することを含み得る。この場合、サセプタの温度を推定するために電圧V及び電流Iを測定する必要はない。例えば、電圧および電流は、電源および回路の特性、例えば、電圧調整器150の構成および電圧調整器に入力される電圧信号から近似的に知ることができ、使用される温度の範囲にわたって一定であると仮定することができる。そのような例では、温度Tは、次いで、回路が動作している周波数のみを測定し、電圧および電流について仮定されるまたは以前に測定される値を使用することによって推定され得る。したがって、本発明は、回路の動作周波数を測定することによってサセプタの温度を決定する方法を提供することができる。したがって、いくつかの実装形態では、本発明は、回路の動作周波数を測定することのみによってサセプタの温度を決定する方法を提供することができる。
【0206】
別の例では、エアロゾル生成デバイス100用の回路は、サセプタ装置を加熱するための加熱回路と、サセプタ装置を実質的に加熱することなくサセプタ装置にエネルギーを誘導的に与えるための温度感知回路と、温度感知回路の1つ以上の電気的特性に基づいてサセプタ装置の温度を決定するための温度決定器とを備える。
【0207】
図12は、そのような例を示し、電圧源104は、制御装置106および加熱回路150、さらに温度感知回路1050を備える回路1400に給電する。回路1400内の加熱回路150は、先の図を参照して上述した特徴のいずれかを有することができ、サセプタ装置110を誘導加熱するために上述した方法で動作する。加熱回路150の説明はここでは繰り返さない。
【0208】
この例では、制御装置106は、エアロゾルを生成するためにサセプタ装置110を加熱するように加熱回路150が動作される動作モードと、温度感知回路1050は、サセプタ装置110を著しく加熱することなく、サセプタ装置110の温度を決定するように動作可能である温度感知モードとのそれぞれにおいて、回路1400を選択的に動作させるように動作可能である。
【0209】
温度感知回路1050への入力電圧は、この例では、電圧調整器1054によって供給される。電圧調整器1054は、先の例の電圧調整器154を参照して上述した特徴のいずれかを有することができる。この例における電圧調整器1054は、固定される低電圧を温度感知回路に供給するように動作して、温度感知回路がサセプタ装置110を著しく加熱することなくサセプタ装置110にエネルギーを誘導的に与えることを可能にする。
【0210】
温度検知回路1050は、誘導素子1058及びスイッチング装置1080を有する。先の例を参照して上述したように、スイッチング装置1080は、変化する電流が誘導素子1058を通過するように動作し、これによりエネルギーがサセプタ装置110に誘導的に付与される。温度感知回路1050、ならびにその構成要素である誘導素子1058およびスイッチング装置1080は、加熱回路150およびその対応する構成要素について上述した特徴のいずれかを有することができる。
【0211】
図12の例において、加熱回路150は、サセプタ装置110を加熱することが望まれるときにのみ動作可能であってもよい。この構成では、加熱回路150が温度感知モードで動作する必要がないので、電圧調整器154を省略することができる。加熱回路150への供給から電圧調整器154を省くことは、サセプタ装置110を加熱することが望まれる場合に、より低い損失及びより高い効率を提供することができる。例えば、加熱回路150は、生バッテリ電圧を供給されてもよい。代替的に、先の例を参照して説明される電圧調整器154は、回路150の加熱電力が制御されることを可能にするために、加熱回路150への供給に含まれ得る。これはまた、調整される(場合によっては一定の)電圧が誘導素子158に供給されるように、枯渇する電圧供給(例えば、バッテリ)出力を考慮してもよい。あるいは、変動電圧調整器(すなわち、2つ以上の異なる電圧を出力するように制御することができる電圧調整器)を、電圧調整器154および1054の代わりに電圧源と制御装置106との間に配置する(または制御装置と一体化する)ことができ、動作モードに応じて所望の調整電圧を誘導素子158または1058に供給するように選択的に制御することができる。
【0212】
温度感知モードにおいて、温度感知回路1050は、動作加熱モードにおける加熱回路150よりも少ないエネルギーをサセプタ装置110に与えるように構成される。したがって、例えば、温度感知回路と加熱回路の電気的特性が類似している場合、温度感知回路1050には、加熱回路150よりも低い電圧を供給することができる。一般に、温度感知回路1050は、加熱回路とは異なる特性を有することができ、例えば、温度感知回路1050の誘導素子1058は、加熱回路150の誘導素子158とは異なるインダクタンスを有することができる。したがって、温度感知回路1050は、温度感知モードにおいて、サセプタ装置110を著しく加熱することなくサセプタ装置の温度を決定することを可能にするためにサセプタ装置110にエネルギーを与える効果を達成するための任意の適切な電圧を供給されてもよい。
【0213】
温度感知モードでは、サセプタ装置110の温度は、温度検知回路1050の1つ以上の電気的特性から決定されてもよい。これは、加熱回路150が温度感知モードで動作する先の例を参照して上述した方法のいずれかで行うことができる。
【0214】
図12に示されるもの等の実施例では、別個の加熱回路が使用され、加熱回路150内の動作周波数、電圧、および/または電流等のパラメータを監視する必要がなくてもよい。これは、デバイス100で使用される回路を単純化することができる。さらに、上述したように、加熱回路150に供給される電圧を調整する必要がなく、損失を低減することができる。
【0215】
制御装置106は、例えば、回路1400が動作加熱モードで動作する時間の割合に対する回路1400が温度感知モードで動作する時間の割合が、決定される温度とサセプタ装置110の目標温度との間の差に依存する上述の制御スキームを動作させることができる。
【0216】
上述のいくつかの例は、その共振周波数で自己駆動するように構成される回路を含むが、上述の概念は、共振周波数で駆動されるように構成されていない誘導加熱回路にも適用可能である。例えば、上述の原理は、回路の共振周波数でなくてもよい所定の周波数で駆動される誘導加熱回路において使用されてもよい。1つのそのような例では、誘導加熱回路は、複数のMOSFETなどのスイッチング機構を備えるHブリッジを介して駆動され得る。Hブリッジは、マイクロコントローラによって設定されるHブリッジのスイッチング周波数でインダクタコイルに交流電流を供給するためにDC電圧を使用するように、マイクロコントローラなどを介して制御することができる。
【0217】
上述した例では、電圧調整器は、DC電圧源からの電圧を降圧するように構成されるバックレギュレータであるが、他の例では、電圧調整器は、DC電圧源の出力電圧よりも大きい電圧を出力する、すなわち電圧を昇圧するように構成されるブーストレギュレータであってもよい。このタイプの電圧調整器は、ブーストレギュレータと呼ばれることがある。さらに他の例では、電圧調整器は、電圧を上げることと電圧を下げることの両方のための機能を提供するように構成されてもよく、すなわち、電圧調整器は、電圧源からの入力電圧よりも小さいおよび大きい電圧の範囲を出力するように制御可能であってもよい。このタイプの電圧調整器は、バック/ブーストレギュレータ、またはバック/ブーストコンバ-タと呼ばれることがある。
【0218】
本明細書に記載される特定の例は、「送達システム」または送達システムの一部を形成し得る。特定の例では、送達システムは、「不燃性」エアロゾル供給システムであってもよく、これは不燃性エアロゾル生成システムとも呼ばれ得る。本開示によれば、不燃性エアロゾル供給システムは、ユーザへの少なくとも1つの物質の送達を促進するために、エアロゾル供給システムの構成エアロゾル生成材料(またはその構成要素)が燃焼されないか、または燃焼されるものである。
【0219】
いくつかの例では、不燃性エアロゾル供給システムは、ベイピング装置または電子ニコチン送達システム(END)としても知られる電子たばこであるが、エアロゾル生成材料中のニコチンの存在は要件ではないことに留意されるい。
【0220】
いくつかの例では、不燃性エアロゾル供給システムは、熱非燃焼システムとしても知られるエアロゾル生成材料加熱システムである。そのようなシステムの例は、タバコ加熱システムである。
【0221】
いくつかの例において、不燃性エアロゾル供給システムは、エアロゾル生成材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成させるためのハイブリッドシステムであり、その1つまたは複数は加熱されてもよい。エアロゾル生成材料のそれぞれは、例えば、固体、液体またはゲルの形態であってもよく、ニコチンを含有してもしなくてもよい。いくつかの例では、ハイブリッドシステムは、液体またはゲルエアロゾル生成材料および固体エアロゾル生成材料を含む。固体エアロゾル生成材料は、例えば、タバコまたは非タバコ製品を含みうる。
【0222】
典型的には、不燃性エアロゾル供給システムは、不燃性エアロゾル供給装置と、不燃性エアロゾル供給装置と共に使用するための消耗品とを備えてもよい。
【0223】
上記のように、エアロゾル供給システムは、本明細書ではエアロゾル生成システムと呼ばれることがあり、さらに、エアロゾル供給装置は、本明細書ではエアロゾル生成デバイスと呼ばれることがある。
【0224】
いくつかの例では、本開示は、エアロゾル生成材料を含み、不燃性エアロゾル供給装置と共に使用されるように構成される消耗品に関する。これらの消耗品は、本開示全体を通して物品又はエアロゾル生成物品と呼ばれることがある。
【0225】
いくつかの例では、不燃性エアロゾル供給システムは、消耗品を受容するための領域、エアロゾル生成器、エアロゾル生成領域、ハウジング、マウスピース、フィルターおよび/またはエアロゾル変性剤を含み得る。
【0226】
いくつかの例では、不燃性エアロゾル供給装置と共に使用するための消耗品は、エアロゾル生成材料、エアロゾル生成材料貯蔵領域、エアロゾル生成材料移動構成要素、エアロゾル生成器、エアロゾル生成領域、ハウジング、ラッパー、フィルター、マウスピース、および/またはエアロゾル変性剤を含み得る。
【0227】
いくつかの例では、送達される物質は、エアロゾル生成材料またはエアロゾル化されることを意図しない材料であってもよい。必要に応じて、いずれかの材料は、1つ以上の活性成分、1つ以上の香味料、1つ以上のエアロゾル形成材料、および/または1つ以上の他の機能性材料を含んでもよい。
【0228】
エアロゾル生成材料は、例えば加熱され、照射され、または任意の他の方法でエネルギーを与えられたときに、エアロゾルを生成することができる材料である。エアロゾル生成材料は、例えば、活性物質および/または風味剤を含有してもしなくてもよい固体、液体またはゲルの形態であってもよい。いくつかの例では、エアロゾル生成材料は「非晶質固体」を含んでもよく、これは代替的に「モノリシック固体」(すなわち、「モノリシック固体」)と呼ばれてもよい。非繊維状)。いくつかの例において、非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その中に液体などの何らかの流体を保持することができる固体材料である。いくつかの例では、エアロゾル生成材料は、例えば、約50重量%、60重量%または70重量%の非晶質固体から、約90重量%、95重量%または100重量%の非晶質固体を含んでもよい。
【0229】
エアロゾル生成材料は、1つ以上の活性物質および/または香味料、1つ以上のエアロゾル形成材料、ならびに任意選択的に1つ以上の他の機能性材料を含み得る。
【0230】
材料は、支持体上または支持体内に存在して、基板を形成してもよい。支持体は、例えば、紙、カード、板紙、厚紙、再構成材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属、または金属合金であってもよく、またはそれらを含んでもよい。いくつかの例では、支持体はサセプタを含む。いくつかの例では、サセプタは材料内に埋め込まれる。いくつかの代替例では、サセプタは、材料の片側または両側にある。
【0231】
消耗品は、エアロゾル生成材料を含むかまたはそれからなる物品であり、その一部またはすべては、使用者による使用中に消費されることが意図される。消耗品は、エアロゾル生成材料貯蔵領域、エアロゾル生成材料移動構成要素、エアロゾル生成領域、ハウジング、ラッパー、マウスピース、フィルターおよび/またはエアロゾル変性剤などの1つまたは複数の他の構成要素を含み得る。消耗品はまた、使用時にエアロゾル生成材料にエアロゾルを生成させるために熱を放出するヒーターなどのエアロゾル生成器を含んでもよい。ヒ-タは、例えば、可燃性材料、電気伝導によって加熱可能な材料、又はサセプタを含むことができる。
【0232】
サセプタは、交番磁場などの変動磁界の侵入によって加熱可能な材料である。サセプタは、導電性材料であってもよく、その結果、変動磁界によるその貫通は、加熱材料の誘導加熱を引き起こす。加熱材料は磁性材料であってもよく、その結果、変化する磁場による加熱材料の貫通は、加熱材料の磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。サセプタは、導電性および磁性の両方であり得、その結果、サセプタは、両方の加熱機構によって加熱可能である。変動磁界を生成するように構成されるデバイスは、本明細書では誘導素子と呼ばれるが、磁場発生器と呼ばれることもある。
【0233】
エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成される装置である。本開示の例において、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料から1つまたは複数の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するように、エアロゾル生成材料を熱エネルギーにさらすように構成される。
【0234】
上記の実施例は、本発明の例示的な実施例として理解されるべきである。任意の1つの実施例に関して説明される任意の特徴は、単独で、または説明される他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、任意の他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせて、または任意の他の他の実施例の任意の組み合わせで使用されてもよいことを理解されるい。さらに、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明されていない均等物および修正形態も採用され得る。
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