(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】原子炉の蒸気発生器
(51)【国際特許分類】
G21D 1/00 20060101AFI20240703BHJP
G21C 15/02 20060101ALI20240703BHJP
G21C 15/12 20060101ALI20240703BHJP
F22B 37/22 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G21D1/00 S
G21C15/02 R
G21C15/12 A
F22B37/22 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023000501
(22)【出願日】2023-01-05
(62)【分割の表示】P 2021078628の分割
【原出願日】2013-04-19
【審査請求日】2023-01-16
(32)【優先日】2012-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511117093
【氏名又は名称】ニュースケール パワー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】グルーム、 ジョン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、 スユン
(72)【発明者】
【氏名】ニランダー、 ジェームズ アラン
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特公昭51-027801(JP,B2)
【文献】米国特許第04357991(US,A)
【文献】特開2006-162339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0316181(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 1/32
G21C 15/02
G21D 1/00
F22B 37/22
F22B 1/06
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉において使用される蒸気発生器であって、
前記原子炉のライザー塔まわりに配置されるように構成されるプレナムと、
前記プレナムに流体連通するように結合される蒸気発生管と
を含み、
前記プレナムは、(a)内側縁部分と、(b)前記内側縁部分よりも前記ライザー塔から遠くに配置される外側縁部分と、(c)一定密度を有する複数の穿孔とを有する管板を含み、
前記蒸気発生管は、前記複数の穿孔のうちの一つの穿孔に結合され、
前記複数の穿孔の密度は前記内側縁部分と前記外側縁部分との間で変化
し、
前記複数の穿孔の密度は、前記内側縁部分から前記外側縁部分に向かう方向に増加する、蒸気発生器。
【請求項2】
前記蒸気発生管は、複数の蒸気発生管のうちの一つの蒸気発生管であり、
前記複数の蒸気発生管の個々の蒸気発生管が、前記複数の穿孔のうちの対応する一つの穿孔に結合される、請求項1の蒸気発生器。
【請求項3】
前記複数の穿孔は、複数の同心円弧に配列される、請求項1の蒸気発生器。
【請求項4】
各穿孔が15.0~20.0ミリメートルの直径を有する、請求項1の蒸気発生器。
【請求項5】
原子炉システムであって、
ライザー塔を含む原子炉と、
前記ライザー塔まわりに配置される蒸気発生器と
を含み、
前記蒸気発生器は、
複数の穿孔を有する管板を含むプレナムと、
前記プレナムから作動流体を受容するべく前記複数の穿孔の一つに流体連通するように流体的に結合される管と
を含み、
前記複数の穿孔は、前記ライザー塔から離れる方向に密度が
増加し、
前記原子炉は、前記管において前記作動流体を加熱するべく構成される、原子炉システム。
【請求項6】
前記プレナムは、前記ライザー塔の上側部に隣接するように配置される第1プレナムを含み、
前記蒸気発生器はさらに、前記ライザー塔の下側部に隣接するように配置される第2プレナムを含み、
前記管によって前記第1プレナムと前記第2プレナムとが結合される、請求項
5の原子炉システム。
【請求項7】
前記管板は、第1の平坦な板であり、
前記第2プレナムは、第2の平坦な板を含み、
前記第1の平坦な板及び前記第2の平坦な板はそれぞれが、前記上側部と前記下側部との間に配置される前記ライザー塔の中央部分に向かって面する、請求項
6の原子炉システム。
【請求項8】
前記管板は第1管板であり、
前記第2プレナムは、前記ライザー塔から離れる方向に密度が
増加する複数の穿孔を有する第2管板を含む、請求項6の原子炉システム。
【請求項9】
前記第1管板及び前記第2管板の複数の穿孔は、前記ライザー塔から離れる方向に密度が増加する、請求項
8の原子炉システム。
【請求項10】
前記管は複数の管のうちの一つの管であり、
前記複数の管は、前記ライザー塔まわりにらせん状に延びて前記第1プレナムと前記第2プレナムとを結合する、請求項
6の原子炉システム。
【請求項11】
前記原子炉は、冷却材を加熱するべく構成される炉心を含み、
前記ライザー塔は、前記冷却材を前記炉心から離れるように向かわせるべく配置される、請求項
5の原子炉システム。
【請求項12】
前記ライザー塔は円筒形状を有する、請求項
11の原子炉システム。
【請求項13】
原子炉システムであって、
冷却材を加熱するべく構成される原子炉と、
蒸気発生器と
を含み、
前記蒸気発生器は、
複数の穿孔を有する管板を含むプレナムであって、前記複数の穿孔のうちの一つの穿孔がオリフィスを含み、前記プレナムは作動流体を受容するべく配置される、プレナムと、
前記プレナムからの前記作動流体を受容するべく前記オリフィスに流体連通するように結合される管と
を含み、
前記管は、前記管の長さに沿って前記作動流体を運搬するべく配置され、
前記オリフィスは、前記管の長さによってもたらされる圧力降下全体の少なくとも15.0%の前記作動流体の圧力降下をもたらすように配置され、
前記原子炉は、前記冷却材の流れを配向させるべく配置されるライザー塔を含み、
前記複数の穿孔は、前記ライザー塔から離れる方向に密度が
増加する、原子炉システム。
【請求項14】
前記管は、前記管の中で前記作動流体を蒸発させるべく前記ライザー塔まわりにらせん状に延びる、請求項13の原子炉システム。
【請求項15】
前記管は、複数の管のうちの一つの管であり、
各穿孔は前記オリフィスを含み、
前記複数の管のうちの個々の管は、複数のオリフィスのうち対応する一つのオリフィスに流体的に結合される、請求項
13の原子炉システム。
【請求項16】
前記管板は平坦であり、
各穿孔は15.0~20.0ミリメートルの直径を有する、請求項
15の原子炉システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子炉の蒸気発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉において、核物質の炉心が、反応を生じさせるべく炉内部の小体積に閉じ込めら
れる。多くの例では、制御された核反応が、炉心の燃料交換が必要となる前に、数年のよ
うな長期間にわたり持続し得る。したがって、適切に設計された原子炉は、水を蒸気に変
換するための熱源として使用される場合、無炭素の安定かつ高信頼性のエネルギー源を与
えることができる。
【0003】
原子炉は、水のような作動流体を利用する。この作動流体は、大気圧よりも著しく上の
圧力で蒸気に変換される。加圧された蒸気はその後、機械エネルギーを電流に変換するタ
ービンを駆動するべく使用される。蒸気はその後、凝縮して再び水となって炉へと戻され
る。多くの原子炉では、作動流体の蒸発、凝縮及び蒸発のサイクルが日ごとに及び年ごと
に連続する。
【0004】
このように、原子炉の重要な特徴は、入力側で液体冷却材を受け入れ、その冷却材を原
子炉の熱源にさらすことにより蒸発させ、及びその蒸発した冷却材をタービンに入力する
蒸気発生器ということになる。したがって、蒸気発生器の効率、製造容易性、性能及び安
全機能は、継続した調査、分析及び評価の領域を代表している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2012/047438(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2010/0316181(A1)号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0114705(A1)号明細書
【文献】特開2001-188093号公報
【文献】国際公開第2011/097597(A1)号
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態において、原子炉用の蒸気発生器は、炉容器の塔の底部と交差する
第1平面に近接する3つ以上のプレナムを含む。蒸気発生器はさらに、第1平面と近似的
に平行であって当該塔の頂部と交差する第2平面に近接する3つ以上のプレナムを含む。
蒸気発生器はさらに、第1平面に近接して配置された3つ以上のプレナムの一つから第2
平面に近接する3つ以上のプレナムの少なくとも一つへ冷却材を送達する流路からの複数
の蒸気発生管を含む。
【0007】
他の実施形態において、蒸気発生器の頂部は、ライザー塔のまわりに近似的に90度お
きに一平面内に設けられた3つ以上のプレナムを含む。3つ以上のプレナムの少なくとも
一つのプレナムは、蒸気発生器の底部に面する近似的に平坦な管板を含む。少なくとも一
つのプレナムの近似的に平坦な管板は複数の穿孔を含む。複数の穿孔は、少なくとも一つ
のプレナムの内側縁近くの領域と少なくとも一つのプレナムの外側縁近くの領域との間で
密度が変化する。
【0008】
他の実施形態において、原子炉を操作する方法は、3つ以上のプレナムの第1群から複
数の流路へ作動流体を送達することと、当該複数の流路の少なくともいくつかにおいて当
該作動流体を蒸発させることとを含む。その蒸発は少なくとも部分的に、炉冷却材から当
該複数の流路の当該少なくともいくつかへの熱エネルギーの結合によってもたらされる。
方法はさらに、蒸発した冷却材を3つ以上のプレナムの第2群へ移送することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図面を参照して非限定的かつ非網羅的な態様が説明される。
【0010】
【
図1】一例の実施形態に係る蒸気発生器を用いた原子炉モジュールの図である。
【
図2】一例の実施形態に係る蒸気発生器を、近似的に円筒状のライザー塔まわりの二等角斜視図で示す。
【
図3】一例の実施形態に係る蒸気発生器を、近似的に円筒状のライザー塔まわりの底面図で示す。
【
図4】一例の実施形態に係る原子炉用蒸気発生器に使用されるプレナムの詳細を示す。
【
図5】一例の実施形態に係る原子炉用蒸気発生器に使用されるプレナムの上面図を示す。
【
図6】一例の実施形態に係る原子炉の蒸気発生器に使用されるプレナムの管板穿孔に使用されるオリフィスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
原子炉に使用される蒸気発生器の様々なシステム及び配列が記載される。複数の実装に
おいて、4つのプレナムを含む一群のプレナムが、原子炉の近似的に円筒状のライザー塔
の底部まわりに90度の増分で第1平面内に配列される。4つのプレナムを含む第2群の
プレナムが、原子炉の円筒状の塔の頂部まわりに90度の増分で第2平面内に配列される
。円筒状のライザー塔の頂部及び底部双方に配置されたプレナムは、当該複数の蒸気発生
器管の一つに結合することが許容された穿孔を有する実質的に又は近似的に平坦な管板を
含む。いくつかの実施形態において、円筒状のライザー塔の底部に近接するプレナムの穿
孔の少なくともいくつかの中にオリフィスが設けられる。オリフィスの存在により少なく
とも部分的に、ライザーの底部において流体がプレナムから上方に流れるにつれて圧力低
下が生じる。
【0012】
一定の他の実施形態において、3つのプレナムが、原子炉の近似的に円筒状のライザー
塔の底部まわりに120度で第1平面内に配列される。3つのプレナムを含む第2群のプ
レナムが、原子炉の円筒状のライザー塔の頂部まわりに120度で第2平面内に配列され
る。円筒状のライザー塔の頂部及び底部双方に配置されたプレナムは、複数の蒸気発生器
管の一以上に結合することが許容された穿孔を有する実質的に又は近似的に平坦な管板を
含む。複数の蒸気発生器管は、円筒状のライザー塔の底部に配置されたプレナムと頂部に
配置されたプレナムとの間に流路を形成する。いくつかの実施形態において、円筒状のラ
イザー塔の底部に近接して配置されたプレナムの少なくともいくつかの穿孔の中にオリフ
ィスが設けられる。オリフィスの存在により少なくとも部分的に、ライザーの底部におい
て流体がプレナムから上方に流れるにつれて圧力低下が生じる。
【0013】
一定の実施形態において、プレナムの近似的に平坦な管板の一以上における穿孔は、円
筒状のライザー塔に近いプレナムの縁近傍では密度が低く(例えば管板の単位面積当たり
の数が少なく)、かつ、蒸気発生器を封入する炉容器の外壁の近くでは密度が高い(例え
ば単位面積当たりの数が多い)。近似的に平坦な管板における穿孔の当該密度変化により
、炉容器内の一次流体から蒸気発生器管内の二次作動流体への近似的に均一の熱結合がも
たらされる。
【0014】
ここに使用されるように、かつ、以下のセクションにおいて詳細に記載されるように、
本発明のいくつかの実施形態は様々な原子炉技術を含む。すなわち、複数の実装が、酸化
ウラン、水素化ウラン、窒化ウラン、炭化ウラン、混合酸化物及び/又は他のタイプの放
射性燃料を用いる原子炉を含む。留意すべきことだが、実施形態は、任意の特定タイプの
炉冷却メカニズムにも、核反応の中で熱を生成するべく用いられ又は核反応に関連する任
意の特定タイプの燃料にも限られない。
【0015】
図1は、一例の実施形態に係る蒸気発生器を用いた原子炉モジュールの図である。
図1
において、炉心5は、円筒形状又はカプセル形状の炉容器20の底部に位置決めされる。
炉心5は、例えば数年のような期間にわたって生じる制御された反応を起こす一定量の核
分裂性物質を含む。
図1には明示的に示されていないが、制御棒は、炉心5内の核分裂速
度を制御するべく用いられる。制御棒は、銀、インジウム、カドミウム、ホウ素、コバル
ト、ハフニウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、サマリウム、エルビウム及びユーロピ
ウム又はこれらの合金及び化合物を含む。しかしながら、これらは単に、多くの可能な制
御棒材料のいくつかにすぎない。
【0016】
複数の実装において、円筒形状又はカプセル形状の格納容器10が炉容器20を取り囲
む。格納容器は、水又は他の流体冷却材のプール内に部分的に又は完全に浸されている。
炉容器20と格納容器10との間の体積は、炉容器20から外部環境への熱伝達を低減す
るべく部分的に又は完全に排気される。しかしながら、他の実施形態において、炉容器2
0と格納容器10との間の体積は、炉容器と格納容器との間の熱伝達を増加させる気体及
び/又は流体によって少なくとも部分的に充填されてもよい。
【0017】
特定の実装において、炉心5は、例えばホウ素又は他の添加物を含む水のような流体の
中に部分的に又は完全に浸される。流体は炉心表面との接触後に上昇する。
図1において
、加熱された冷却材の上方の動きが、炉心5の上の矢印15によって表されている。冷却
材は、少なくとも部分的に又は近似的に円筒形状のライザー塔30を通って上方に進行し
て蒸気発生器40及び42の頂上を超え、そして、対流により炉容器20の内側壁に沿っ
て下方に引き戻される。こうして、冷却材は蒸気発生器40及び42に熱を付与すること
ができる。炉容器の底部に到達した後、炉心5との接触により、矢印15によって象徴さ
れるように冷却材の加熱がもたらされる。
【0018】
図1では蒸気発生器40及び42が別個の要素として示されているが、蒸気発生器40
及び42は、円筒状の形状を含むライザー塔30まわりに巻きつけられた一定数のらせん
コイルを表してもよい。もう一つの実装において、他の一定数のらせんコイルが、ライザ
ー塔30の上側部分に反対方向に巻きつけられる。例えば、第1らせんコイルが反時計回
り方向に巻きつけられる一方、第2らせんコイルが時計回り方向に巻きつけられる。しか
しながら、異なった構成の及び/又は異なった配向の熱交換器の使用が妨げられるわけで
はないので、実施形態がこの点に限られるわけではない。さらに、流体線70が蒸気発生
器40及び42の上側部分の直上に位置決めされるように示されているが、他の実装では
、炉容器20はこれよりも少ない又は多い量の冷却材を含む。
【0019】
図1において、原子炉の通常運転が、加熱された冷却材がライザー塔30によって画定
されるチャネルを通って上昇しかつ蒸気発生器40及び42と接触する態様で進められる
。冷却材は、蒸気発生器40及び42との接触後、矢印25によって示される熱サイフォ
ン過程を引き起こす態様で炉容器20の底に向かって沈む。
図1の例において、炉容器2
0内の冷却材は圧力が大気圧よりも高いままであり、それゆえ冷却材は蒸発(すなわち沸
騰)なしで高温に維持される。蒸気発生器40及び42内の冷却材の温度が増加すると、
冷却材は沸騰を開始する。沸騰が開始すると、蒸発した冷却材は、熱交換器40及び42
の頂部から引き回されてタービン80及び82の一以上を駆動する。タービン80及び8
2は、蒸気の熱ポテンシャルエネルギーを電気エネルギーに変換する。冷却材は凝縮後、
熱交換器40及び42の底部まで戻る。
【0020】
プレナム85が、
図1の蒸気発生器40及び42の入力ポートに配置される。いくつか
の実施形態において、プレナム85は、タービン80/82からの冷却材を蒸気発生器4
0/42に結合させる近似的に平坦な管板を含む。ライザー塔30の下側部と交差する第
1水平面に近接して配置されたプレナム85の少なくとも一つは、ライザー塔30の上側
部と交差する平面に向かって上方に面する近似的に平坦な管板を含む。ライザー塔30の
上側部と交差する第2水平面に近接して配置されたプレナム87の少なくとも一つは、ラ
イザー塔30と交差する平面の下側部に向かって面する近似的に平坦な管板を含む。
【0021】
図2は、一例の実施形態に係る蒸気発生器を、近似的に円筒状のライザー塔まわりの二
等角斜視図で示す。
図2において、密接な間隔に置かれた管のいくつかの層を含む流路が
、プレナム100とプレナム120との間にらせん状に延びていることわかる。いくつか
の実施形態において、プレナム100は、平面105のような第1平面内で、ライザー塔
を取り囲む近似的に円筒状の形状まわりに90度おきに離間される。プレナム100及び
プレナム120は双方とも、蒸気発生器110の中央セクションと交差する平面115に
向かって面する近似的に平坦な管板を含む。
図2において、プレナム100及び120間
に延びる管は、近似的に24.0から30.0メートルの長さを含む。一定の実装におい
て、平面105に近接する3つ以上のプレナム及び平面125に近接する3つ以上のプレ
ナムにより少なくとも部分的に、例えばプレナム120の一つとプレナム100の一以上
との間に流路を形成する蒸気発生器管それぞれの長さのばらつきを所定しきい値まで低減
することができる。
【0022】
しかしながら、他の実装では、プレナム100と120との間にもう一つの流路を形成
する蒸気発生器管が、22.0メートル、20.0メートル、18.0メートル及び他の
例示的長さのような24.0メートル未満の長さを含み得ることに留意すべきである。さ
らに他の実装では、プレナム100と120との間に延びる管は、32.0メートル、3
5.0メートル、40.0メートル及び他の例示的長さのような30.0メートルを超え
る長さを含む。さらに、本発明の実装及び実施形態がこの点に限られないことを理解すべ
きである。
【0023】
ライザー塔の底部近くの平面125内に近似的に配置されたプレナム120もまた、9
0度おきに離間される。
図2において、プレナム100及び120は双方とも、近似的に
平坦な管板を含む。各管板は、プレナムから蒸気発生器110の管へと冷却材を結合する
穿孔を含む。
図2の実施形態では、平面105に近接する各プレナム100は、平面12
5に近接する複数のプレナム120のうち対応するプレナムの近似的に上又は直上に示さ
れる。しかしながら、複数のプレナム100の一以上が平面105内をプレナム120に
対して回転することが妨げられるわけではない。
【0024】
いくつかの実施形態において、管板は、蒸気発生器110の管に結合される15.0か
ら20.0mmの直径を有する穿孔を含む。しかしながら、他の実施形態は、直径が12
.0mm、10.0mm又はこれらより小さいような、15.0mm未満の穿孔を有する
管板を使用する。加えて、一定の他の実施形態は、25.0mm、30.0mm、35.
0mm等の例示的直径のような、20.0mmより大きな直径の穿孔を有する管板を使用
する。
【0025】
図3は、一例の実施形態に係る蒸気発生器を、近似的に円筒状のライザー塔まわりの底
面図で示す。
図3において、プレナム220は、例えば
図1のライザー塔30を表す近似
的に円形状のまわりに、例えば近似的に90度おきに離間される。
図3はまた、ライザー
塔を取り囲む蒸気発生器管の様々な同心層も示す。
【0026】
図4は、一例の実施形態に係る原子炉用蒸気発生器に使用されるプレナムの上面図を示
す。
図4において示されるのは、蒸気発生器の個々の管に結合されるのに適した穿孔を有
する近似的に平坦な管板である。
図4の穿孔は同心の円弧に配列される。外側縁260の
ような外側縁に向かって、内側縁250(例えば低密度)よりも単位面積当たり多数(例
えば高密度)の穿孔が存在する。
図5において、縁250は、円筒状のライザー塔に近い
方のプレナムの一部分に対応する。外側縁260は、
図1の炉容器20のような炉容器壁
に近い方のプレナムの一部分に対応する。
【0027】
図5は、一例の実施形態に係る原子炉用蒸気発生器に使用されるプレナムの詳細を示す
。
図5において、管板330は、近似的に平坦に示され、かつ、ライザー塔の縁335か
らの距離が増加するにつれて密度が増加する穿孔を含む。炉容器壁の縁340に近い方の
プレナム320の一部分では、ライザー塔の縁335に近い方の管板の一部分よりもかな
り高密度の穿孔が存在する。
【0028】
図6は、一例の実施形態に係る原子炉の蒸気発生器に使用されるプレナムの管板穿孔に
使用されるオリフィスを示す。いくつかの実施形態において、オリフィスは、冷却材35
0の圧力を低減するべく使用される。恐らく、蒸気発生器管の長さによってもたらされる
圧力降下全体の、例えば少なくとも15.0%の量だけ低減される。いくつかの実施形態
において、冷却材350の圧力を低減することにより、例えば起動状態中に特に懸念され
る圧力安定性を高めることができる。
図5の管板330の穿孔の少なくともいくつかの中
に配置された
図6のオリフィスを使用して圧力を安定させることにより、例えば、
図1の
原子炉モジュールの低出力運転中に特によく見られる湿り蒸気と乾き蒸気との間の瞬間的
な振動を低減又はなくすことができる。そして、これにより、例えばタービン80及び8
2の一以上の性能を劣化させ得るような、湿り蒸気が
図1のタービン80及び82に結合
される可能性が低減される。
【0029】
いくつかの実施形態において、原子炉の運転方法は、恐らくは例えば炉容器の第1平面
内に配置された3つ以上のプレナムの第1群から複数の流路へ作動流体を送達することを
含む。この送達は、流動不安定性を防止するのに十分な量だけ作動流体の圧力を低減する
ことを含む。一実施形態において、圧力降下のパーセンテージは、第1平面に配置された
第1プレナムと第2平面に配置された第2プレナムとの間に延びる蒸気発生器配管の長さ
によってもたらされる圧力降下全体の少なくとも15.0%を含む。送達は、3つ以上の
プレナムの第1群の少なくとも一つのプレナムの近似的に平坦な管板を通る流路に作動流
体を結合することを含む。方法はさらに、当該複数の流路の少なくともいくつかにおいて
作動流体を蒸発させることを含む。この蒸発は少なくとも部分的に、炉冷却材から当該流
路の少なくともいくつかへ熱エネルギーを結合することによってもたらされる。方法はさ
らに、蒸発する冷却材を3つ以上のプレナムの第2群へ移送して、恐らくはこれらのプレ
ナムの少なくとも一つの近似的に平坦な管板を通るようにすることを含む。
【0030】
いくつかの例を例示かつ記載してきたが、当業者には、以下の特許請求の範囲から逸脱
することなく様々な他の修正がなされ及び均等物に置換され得ることが理解される。