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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】靴アッパー用の安定化要素
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/08 20060101AFI20240703BHJP
【FI】
A43B23/08
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023017306
(22)【出願日】2023-02-08
(65)【公開番号】P2023118087
(43)【公開日】2023-08-24
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】10 2022 201 465.0
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ スラック
(72)【発明者】
【氏名】ステファン シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス メース
(72)【発明者】
【氏名】ラース トーベン
(72)【発明者】
【氏名】タチアナ ラジック
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0205511(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0143720(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 23/00-23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴であって、
靴アッパーと、
アウトソールと、
安定化要素と
を備え、
前記安定化要素が、前記アウトソールから前記靴アッパーの足入れ開口に向かって上方に、および前記靴のかかと領域に向かって後方に延びており、
前記安定化要素が外側層を備え、
前記安定化要素が、前記靴アッパーの外部に沿って延びており、
前記靴アッパーの前記外部の一部位が前記安定化要素によって覆われておらず、前記部位は、前記安定化要素と前記アウトソールとの間に位置し、
前記部位は、前記安定化要素によって覆われていない、前記靴アッパーの前記外部のさらなる部位へと連続的に推移し、それにより、前記さらなる部位は、アキレス部位およびアキレス腱付着部を受けるように構成されている前記靴アッパーの部分の中に延び、前記安定化要素の最も後方の点が、前記アキレス腱付着部を受けるように構成されている前記靴アッパーの前記部分に向けて延びており、
前記安定化要素の前記外側層が、前記靴の前記アウトソールと一体成形されている、靴。
【請求項2】
前記さらなる部位が、前記靴の側方側から前記靴の内方側に延びている、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記安定化要素が内側層を備え、前記内側層は、前記外側層よりも高い剛性および/または高い強度を有する、請求項1に記載の靴。
【請求項4】
靴であって、
靴アッパーと、
アウトソールと、
安定化要素と
を備え、
前記安定化要素が、前記アウトソールから前記靴アッパーの足入れ開口に向かって上方に、および前記靴のかかと領域に向かって後方に延びており、
前記安定化要素が、内側層および外側層を備え、
前記内側層と前記外側層とが異なる材料からなり、
前記安定化要素が、前記靴アッパーの外部に沿って延びており、
前記靴アッパーの前記外部の一部位が前記安定化要素によって覆われておらず、前記部位は、前記安定化要素と前記アウトソールとの間に位置し、
前記部位は、前記安定化要素によって覆われていない、前記靴アッパーの前記外部のさらなる部位へと連続的に推移し、それにより、前記さらなる部位は、アキレス部位およびアキレス腱付着部を受けるように構成されている前記靴アッパーの部分の中に延びており、前記安定化要素の最も後方の点が、前記アキレス腱付着部を受けるように構成されている前記靴アッパーの前記部分に向けて延びている、靴。
【請求項5】
前記内側層は、前記外側層よりも高い剛性および/または高い強度を有する、請求項4に記載の靴。
【請求項6】
前記安定化要素の前記外側層が、前記靴の前記アウトソールと一体成形されている、請求項4に記載の靴。
【請求項7】
前記内側層と前記外側層とが異なる材料からなる、請求項3に記載の靴。
【請求項8】
前記部位が、少なくとも100mmの大きさを有する、請求項1に記載の靴。
【請求項9】
前記安定化要素が、翼形状、平行四辺形形状、台形形状、楕円形状、および/または矩形形状を備えている、請求項1に記載の靴。
【請求項10】
前記安定化要素の形状が少なくとも、前記靴アッパーの前記外部に沿って前記足入れ開口に向かって上方に、および前記かかと領域に向かって後方に延びる2つの直線縁部よって制限されている、請求項1に記載の靴。
【請求項11】
前記外側層が、0.01mm~3mmの厚みを備えている、請求項1に記載の靴。
【請求項12】
前記内側層が、0.01mm~3mmの厚みを備えている、請求項3に記載の靴。
【請求項13】
前記内側層の形状が前記外側層の形状に対応している、請求項3に記載の靴。
【請求項14】
前記内側層が前記外側層を越えて延びている、請求項3に記載の靴。
【請求項15】
前記内側層が複合層を備えている、請求項3に記載の靴。
【請求項16】
前記複合層が炭素繊維強化層を含む、請求項15に記載の靴。
【請求項17】
前記外側層が補強リブを備えている、請求項1に記載の靴。
【請求項18】
前記外側層が複合層を備えている、請求項1に記載の靴。
【請求項19】
前記アウトソールから前記足入れ開口まで前記アキレス部位に沿って実質的にまっすぐ延びる、前記靴アッパーの前記外部上の線が、前記内側層および/または前記外側層によって覆われていない、請求項4に記載の靴。
【請求項20】
前記靴が2つの安定化要素を備え、第1の安定化要素が前記靴の側方側に配置され、第2の安定化要素が前記靴の内方側に配置されている、請求項1に記載の靴。
【請求項21】
前記第1の安定化要素および前記第2の安定化要素が、踵骨を留めるように構成されている、請求項20に記載の靴。
【請求項22】
前記第1の安定化要素および前記第2の安定化要素が、前記アキレス部位および前記アキレス腱付着部を受けるように構成されている前記靴アッパーの前記部分を覆わない、請求項20に記載の靴。
【請求項23】
前記第1の安定化要素と前記第2の安定化要素とが、前記靴アッパーの前記外部に沿って、および少なくとも部分的に前記アキレス部位に沿って延びる距離だけ、離間している、請求項20に記載の靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴アッパーと、アウトソールと、安定化要素とを備える靴に関する。さらに、本発明は、靴アッパー内の少なくとも1つの閉じ込め要素と、それぞれの靴アッパーと、前記靴アッパーを備えた靴とを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
靴を設計する際には、快適性、機能性、および安全性の間でしばしば妥協が図られる。例えば、サッカーシューズは、顕著なクッション性に起因して優れた快適性を提供し得る。しかし、その同じサッカーシューズが、顕著なクッション性に起因して、機能性に関する不足、例えばボールに対する限られた感触、および安全性に関する不足、例えば足首の不十分な安定化、を有することがある。
【0003】
それでも、基本的な目的は、靴の機能性および安全性に加えて快適性を向上させることである。特にスポーツおよび屋外活動用の場合、靴が着用して快適であり、負傷のおそれが低いことを保証し、靴に意図される機能を満たすことが不可欠である。この方向において、本発明は、第1および第2の問題を解決することを目的とする。
【0004】
本発明が対象とする第1の問題は、足首の安定化のための安定化要素の設計である。様々な種類の靴には、足首の負傷を防ぐために、および/または靭帯の負傷を回避するために、足首の安定化が求められる。例えば、サッカー選手が柔らかい表面および/または平らでない表面に立ちながらシュートするときには、足首を捻挫するおそれが高くなり、それが負傷につながり得る。そのため、安定化要素が、靴、特にサッカーシューズに適用されることがある。しかし、従来技術で知られている安定化要素にはいくつかの欠点がある。既存の安定化要素は、十分な安定化を提供しないか、および/または脚の健康に影響するほど快適性が低い。
【0005】
第1のグループの既存の安定化要素は、かかと領域を包囲し、靴のアウトソールから内方側足首部位および側方側足首部位に向かって、そしてアキレス部位に向かって延びる。それにより、そのような安定化要素は、靴の側方側から靴の内方側に延び、アキレス部位、特にアキレス腱付着部を少なくとも部分的に包囲する。
【0006】
それらの安定化要素は、かかと領域の周りに形成されるので、着用者に対して良好な足首の安定性をもたらす。これは、それらの安定化要素がかかと部分をきつく留めるからである。しかし、それらは、アキレス部位、特にアキレス腱付着部に圧力を及ぼす。これは、特に走るときに、着用者にとって快適でない。さらに、アキレス部位、特にアキレス腱付着部にかかる前記圧力は、アキレス腱の刺激またはさらには炎症につながり得る。
【0007】
第2のグループの既存の安定化要素は、靴のアウトソールから内方側足首部位または側方側足首部位に向かって延びる。それにより、それらの安定化要素は、靴の側方側から靴の内方側に延びるのではなく、したがってアキレス部位を包囲しない。そうではなく、第1の安定化要素が靴の側方側に設けられ、第2の安定化要素が靴の内方側に設けられる。
【0008】
そのため、そのような安定化要素は、アキレス部位、特にアキレス腱付着部に圧力が加わることを回避し得る。したがって、向上した快適性が提供され得る。さらに、アキレス腱の刺激またはさらには炎症が回避され得る。しかし、第2のグループの既存の安定化要素は、かかと領域をきつく留めないので、着用者に与える安定性が低くなる。
【0009】
したがって、本発明の基礎にある第1の目的は、アキレス部位、特にアキレス腱付着部にかかる圧力を最小にしながら、安定性を最大にする安定化要素を備えた靴を提供することである。
【0010】
本発明が対象とする第2の問題は、好ましくは快適な形で、着用者の足を靴の内部に固定した状態に保つ必要性を指す。
【0011】
一般に、着用者の足を靴の中に固定するために紐が知られている。さらに、伸縮可能な要素および面ファスナーの使用が、着用者の足を靴の中に固定するために一般的である。しかし、場合によっては、脚を靴の中に固定するためのさらなる手段が追加的に望ましい。例示として、靴内部での特に良好な保持が必要とされる場合である。さらに、場合によっては、靴に紐がないことが必要とされることもある。その理由の1つは、頂部の足中央部位でボールに対する特に良好な感触が可能なサッカーシューズを提供するためであり得る。別の理由は、きつい紐がしばしば不快に感じられることである。
【0012】
したがって、本発明の基礎となる第2の目的は、靴内部で着用者の足の固定を改良する手段を提供することである。
【発明の概要】
【0013】
本発明の基礎となる第1の目的は、独立請求項の教示によって、特に本発明の第1の態様によって、少なくとも部分的に達成される。さらに、本発明の基礎となる第1の目的は、本発明の第2の態様によって少なくとも部分的に達成される。さらには、本発明の基礎となる第1の目的は、本発明の第3の態様によって少なくとも部分的に達成される。さらに、本発明の基礎となる第2の目的は、本発明の第4の態様によって少なくとも部分的に達成される。
【0014】
第1の代替例による本発明の第1の態様は、靴アッパーと、アウトソールと、安定化要素と、を備えた靴に関する。安定化要素は、アウトソールから靴アッパーの足入れ開口に向かって上方に、および靴のかかと領域に向かって後方に延びる。任意で、安定化要素は、後方に、靴のかかと領域の中に延びる。さらに、安定化要素は、外側層を備えている。さらに、安定化要素は、靴アッパーの外部に沿って延びており、靴アッパーの外部の一部位が安定化要素によって覆われておらず、その部位は、安定化要素とアウトソールとの間に位置する。上記部位は、安定化要素によって覆われていない、靴アッパーの外部のさらなる部位へと連続的に推移し、それにより、さらなる部位は、アキレス部位および/またはアキレス腱付着部を受けるように構成されている靴アッパーの部分の中に延びる。さらに、安定化要素の外側層は、靴のアウトソールと一体成形されている。
【0015】
これに関して、「一体成形される」とは、外側層とアウトソールとの間に材料の境界を識別することができない態様を指すことがある。詳細には、外側層とアウトソールは、射出成形、ダイレクトキャスト、および/または発泡によって一体形成されてよい。さらに、外側層とアウトソールは、ポリマー材料を含んでよい。詳細には、外側層とアウトソールは、ポリアミド、ポリウレタン、および/またはゴムを含んでよい。外側層をアウトソールと一体成形することにより、外側層に、内側層に対するより高い事前張力を与えることができる。そのため、着用者のかかと領域へのより高い圧力が加えられ得る。さらに、必要な作業ステップが減らされ得る。
【0016】
安定化要素によって覆われておらず、安定化要素とアウトソールとの間に位置する、靴アッパーの外部の部位は、アウトソールから安定化要素へと実質的に直角に延びる軸によって少なくとも部分的に制限されてよい。より詳細には、前記軸は、靴のアウトソールの広がりの面から、安定化要素の最も後方の点まで実質的に直角に延びてよい。安定化要素によって覆われていない前記部位は、アキレス部位に対する不快な圧力が加わることを少なくとも部分的に回避する。詳細には、前記部位は、安定化要素がアキレス腱の付着部に圧力を及ぼすことを回避し得る。したがって、靴の快適性を向上させることができ、および/またはアキレス腱の刺激を回避し得る。安定化要素とアウトソールとの間に位置する靴アッパーの外部の部位以外の、靴アッパーのさらなる部位も、安定化要素によって覆われていなくてよいことが理解される。
【0017】
上述のさらなる部位は、アキレス部位に対する不快な圧力が加わることを追加的に回避する。詳細には、前記さらなる部位は、安定化要素がアキレス腱の付着部に圧力を及ぼすことを回避し得る。さらに、靴アッパーの柔軟性は、アキレス部位内および/またはアキレス腱付着部では、安定化要素によって妨げられない可能性がある。したがって、靴の快適性を向上させることができ、および/またはアキレス腱の刺激を回避し得る。さらなる部位は、好ましくは、靴の側方側から靴の内方側に延びる。それにより、前記利点がさらに強調され得る。
【0018】
さらに、安定化要素の外側層が靴アッパーの外部に直接付けられてよいことが理解される。例示として、安定化要素の外側層は、縫い付け、熱溶着、および/または接着によって靴アッパーの外部に取り付けられてよい。しかし、安定化要素の外側層は、靴アッパーの外部に追加的に取り付けられることなく、靴アッパーの外部と接触していてよい。さらには、上記で説明された外側層は、より一般的に「層」と称されてもよいことも理解されるであろう。それでも、下記で説明される本発明によるさらなる特徴を考慮すると、「外側層」という語が理解を助ける。
【0019】
さらに、本発明の第1の態様の第1の代替例による靴の安定化要素は、内側層を備えてよい。内側層は、靴アッパーの外側層と外部との間に配置されてよいことが理解される。内側層を用いて、さらなる支持が与えられてよく、安定化要素内での機能の分離が達成されてよい。例示として、内側層は、着用者の足に支持を与えることができるのに対し、外側層は、内側層を着用者の足の方に向かって留める役割を果たす。それにより、内側層および外側層が、各自が果たす固有の機能に関して最適化されるため、安定化要素に必要とされる材料の量が低減され得る。
【0020】
さらに、安定化要素の下部の後方側縁部は、アウトソールから靴アッパーの足入れ開口に向かって上方に、および靴のかかと領域に向かって後方に延びてよく、このとき、安定化要素の下部の後方側縁部と、アウトソールの広がりの面との間の角度は、好ましくは10°~90°、より好ましくは15°~60°、さらに好ましくは20°~50°、最も好ましくは30°~40°である。下部の後方側縁部は、安定化要素を後ろ方向において少なくとも部分的に制限してよい。さらに、安定化要素は、安定化要素の上部の最も後方の縁部によって後ろ方向において少なくとも部分的に制限されてよく、上部の最も後方の縁部は、アウトソールから足入れ開口に向かって上方に延びるアッパーの最も後方の線からオフセットされて配置されてよい。上部の最も後方の縁部は、下部の後方側縁部から上部方向に配置されてよい。安定化要素は、上部の最も後方の縁部および/または下部の後方側縁部によって、後ろ方向において完全に制限されてもよい。上述により、安定化要素によって覆われておらず、安定化要素とアウトソールとの間に位置する、靴アッパーの外部の上述の部位が代替的に説明され得ることが理解されるであろう。
【0021】
さらに、第2の代替例による本発明の第1の態様は、靴アッパーと、アウトソールと、安定化要素と、を備えた靴を参照する。安定化要素は、アウトソールから靴アッパーの足入れ開口に向かって上方に、および靴のかかと領域に向かって後方に延びる。任意で、安定化要素は、後方に靴のかかと領域の中に延びる。さらに、安定化要素は、内側層および外側層を備える。さらに、内側層と外側層とは異なる材料からなる。安定化要素は、靴アッパーの外部に沿って延びている。
【0022】
異なる材料は、機能を分けることを可能にする。内側層は、外側層よりも高い剛性および/または高い強度をもつ材料からなってよい。例示として、内側層は、繊維強化ポリマーを含んでよい。さらに、外側層は、内側層よりも高い弾性または高い剛性をもつ材料からなってよい。例示として、外側層は、ポリアミド材料を含んでよい。よって、内側層は支持を与え得るのに対し、外側層は、内側層を靴アッパーに留め得る。そのため、安定化要素は、着用者のかかとおよび/または足首に留められ得る。それにより、安定性が向上し得る。さらに、材料の明確な使用により、安定化要素の重量が軽減され得る。例示として、繊維強化ポリマーを含む内側層は、引張り強度がより高いため、低減した厚みを備えることができる。さらに、内側層は、着用者の足の特性に適合させることができるのに対し、外側層は変化させないままであり得る。したがって、異なる材料を使用することによる安定化要素内の機能の分離により、改造の労力が軽減され得る。内側層および/または外側層は、ポリアミド、ポリウレタンおよび/またはゴムなどのポリマーを含んでよい。詳細には、内側層および/または外側層は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド11(PA11)および/またはポリアミド12(PA12)を含んでよい。さらに、内側層および/または外側層は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)および/または熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの熱可塑性エラストマー(TPE)を含んでよい。さらに、内側層および/または外側層は、合成材料、天然材料、および/または金属を含んでよい。
【0023】
第1の代替例による靴の内側層と外側層とは、異なる材料からなってよい。これに関して、前段落の構成および/または利点が検討されてよい。
【0024】
第2の代替例による靴は、靴アッパーの外部の一部位が安定化要素によって覆われておらず、その部位は、安定化要素とアウトソールとの間に位置することが規定されてよい。前記部位は、アウトソールから安定化要素へと実質的に直角に延びる軸によって少なくとも部分的に制限されてよい。より詳細には、前記軸は、靴のアウトソールの広がりの面から、安定化要素の最も後方の点まで実質的に直角に延びてよい。前記軸は仮想の軸であってよく、その部位を画定する役割を果たし得ることが理解されるであろう。前記部位は、アキレス部位に対する不快な圧力が加わることを回避し得る。詳細には、前記部位は、安定化要素がアキレス腱の付着部に圧力を及ぼすことを回避し得る。したがって、靴の快適性を向上させることができ、および/またはアキレス腱の刺激を回避し得る。安定化要素とアウトソールとの間に位置する靴アッパーの外部の部位以外の、靴アッパーのさらなる部位も、安定化要素によって覆われていなくてよいことが理解される。
【0025】
さらに、安定化要素の下部の後方側縁部は、アウトソールから靴アッパーの足入れ開口に向かって上方に、および靴のかかと領域に向かって後方に延びてよく、このとき、安定化要素の下部の後方側縁部と、アウトソールの広がりの面との間の角度は、好ましくは10°~90°、より好ましくは15°~60°、さらに好ましくは20°~50°、最も好ましくは30°~40°である。下部の後方側縁部は、安定化要素を後ろ方向において少なくとも部分的に制限してよい。さらに、安定化要素は、安定化要素の上部の最も後方の縁部によって後ろ方向において少なくとも部分的に制限されてよく、上部の最も後方の縁部は、アウトソールから足入れ開口に向かって上方に延びるアッパーの最も後方の線からオフセットされて配置されてよい。上部の最も後方の縁部は、下部の後方側縁部から上部方向に配置されてよい。安定化要素は、上部の最も後方の縁部および/または下部の後方側縁部によって、後ろ方向において完全に制限されてもよい。上述により、安定化要素によって覆われておらず、安定化要素とアウトソールとの間に位置する、靴アッパーの外部の上述の部位が代替的に説明され得ることが理解されるであろう。
【0026】
以下は、本発明の第1の態様の第1の代替例および本発明の第1の態様の第2の代替例を対象とすることが理解されるであろう。さらに、本発明によると、靴に関する「後方」という語は、靴の先端から靴のアキレス部位に向かう方向を言う。したがって、靴の要素の「最も後方の」点は、靴の先端から最も大きい距離を有する点である。さらに、本発明によると、「上方」という語は、アウトソールから靴アッパーに向かう方向を言う。
【0027】
本発明による靴は、スポーツシューズ、日中用の靴、カジュアルシューズ、および/または作業靴であってよい。さらに、前記靴は、サッカーシューズ、ランニングシューズ、登山靴、クライミングブーツ、スキーブーツ、クロスカントリースキーブーツ、および/またはバスケットボールシューズであってよい。上述の例は決定的なものではない。
【0028】
靴アッパーは、ポリマー材料、ならびに/または皮革および/もしくは天然繊維などの天然材料を含んでよい。さらに、靴アッパーは、織られた材料、編まれた材料、単方向繊維を有する材料、および/または繊維を含まない材料を含んでよい。好ましくは、靴アッパーの主要部の材料は、安定化要素の内側層および/または外側層の材料よりも低い剛性を備える。
【0029】
安定化要素は、着用者のかかとを靴の中で固定する役割を果たしてよい。詳細には、安定化要素は、かかとを靴底に向かって押してよい。それにより、好ましくはアキレス部位、特にアキレス腱付着部に負荷を加えることなく、主として踵骨が靴底に向かって押され得る。着用者のかかとを靴の中で固定することにより、靴内部でかかとが滑ることによる不安定性が回避され得る。したがって、安定化要素は、着用者の足首を少なくとも間接的に安定させる役割を果たしてよい。さらに、着用者の足首を少なくとも間接的に安定させることにより、足首の捻挫が回避され得る。本発明における足首という語は、足関節と称してもよい。
【0030】
安定化要素は、アウトソールと接触していてよい。これに関して、安定化要素は、靴の後ろ半分から延びてよい。さらに、安定化要素は、靴のかかと領域および/または靴の足裏部位から延びていてよい。本発明によると、かかと領域は、着用者のかかとおよび/または踵骨を包囲する領域と称されてよい。足入れ開口は、喉開口と称されてもよい。
【0031】
少なくとも2つの層、すなわち内側層および外側層、の使用は、安定化の段階化が実現されることを可能にし得る。例示として、靴アッパーのうちそれほど安定化を必要としない部位は、1つのみの層で覆われてよく、より多くの安定化を必要とする部位は、少なくとも2つの層で覆われてよい。さらに、安定化要素の少なくとも2つの層を用いて、機能の分離が実現されてよい。内側層は、外側層と比べて硬くてよく、および/または安定した形状をもたらすように設計されてよい。外側層は、内側層と比べて弾性があってよく、および/または内側層を靴の内部に向けて留めるように設計されてよい。したがって、機能の分離を利用して、安定化要素自体に安定した形状が与えられてよく、安定化要素がさらに、かかと領域および/または足首領域に十分な圧力を提供してよい。両方の態様とも、改善された安定化に寄与する。さらに、代替の実施形態においては、外側層は、内側層と比べて硬くてよく、および/または安定した形状をもたらすように設計されてよい。内側層は、外側層と比べて弾性があってよく、および/または足の形状に従うように設計されてよい。
【0032】
安定化要素は、内側層および外側層の他にさらなる層を備えてよい。靴アッパーの内側層と外部との間に、粘着層が適用されてよい。さらに例示として、内側層と外側層との間にも粘着層が適用されてよい。
【0033】
靴アッパーの外部に沿って延びる安定化要素は、靴アッパーの外部に固定的に取り付けられてよい。詳細には、内側層および/または外側層は、靴アッパーの外部に縫い付ける、接着される、および/または熱溶着されてよい。よって、安定化要素を利用した安定化がさらに向上され得る。
【0034】
安定化要素によって覆われておらず、安定化要素とアウトソールとの間に位置する、靴アッパーの外部の部位は、少なくとも100mm、好ましくは少なくとも150mm、より好ましくは少なくとも200mm、さらに好ましくは少なくとも250mm、最も好ましくは少なくとも300mmの大きさを有してよい。これらの大きさは、アキレス部位に加えられる圧力が最小になることを確実にする。詳細には、アキレス腱付着部に圧力が加わることが、少なくとも部分的に回避され得る。
【0035】
第1の態様の第2の代替例による靴において、安定化要素によって覆われておらず、安定化要素とアウトソールとの間に位置する、靴アッパーの外部の部位は、安定化要素によって覆われていない、靴アッパーの外部のさらなる部位へと連続的に推移してよい。これに関して、さらなる部位は、アキレス部位および/またはアキレス腱付着部を受けるように構成されている靴アッパーの部分の中に延び、さらなる部位は好ましくは、靴の側方側から靴の内方側に延びる。前記さらなる部位は、アキレス部位に対する不快な圧力が加わることを追加的に回避し得る。詳細には、前記さらなる部位は、安定化要素がアキレス腱の付着部に圧力を及ぼすことを回避し得る。さらに、靴アッパーの柔軟性は、アキレス部位内および/またはアキレス腱付着部では、安定化要素によって妨げられない可能性がある。したがって、靴の快適性を向上させることができ、および/またはアキレス腱の刺激を回避し得る。
【0036】
安定化要素は、翼形状、平行四辺形形状、台形形状、楕円形状、および/または矩形形状を有してよい。これに関して、これらの形状は、丸められた縁部を備えてよい。さらに、明確な幾何学的相当物は必要とされないことが理解されるであろう。詳細には、内側層および/または外側層は、翼形状、平行四辺形形状、台形形状、楕円形状、および/または矩形形状を有してよい。これらの形状は、足首部位を最適に覆うように働き得る。詳細には、平行四辺形形状は、1つの辺がアウトソールに取り付けられるかまたはアウトソールと一体成形され得るため、有益であり得、その場合、2つの平行な辺が、かかと領域に向かって、および任意でかかと領域の中に、延び、かつ足入れ開口に向かって上方に延びる。上述したように、平行四辺形形状の明確な幾何学的相当物は必要とされない。したがって、平行四辺形形状に関して、かかと領域に向かって、および任意でかかと領域の中に、延び、かつ足入れ開口に向かって上方に延びる2つの平行な辺は、正確に平行である必要はないことが理解されるであろう。
【0037】
安定化要素の形状は、少なくとも、靴アッパーの外部に沿って足入れ開口に向かって上方に、およびかかと領域に向かって後方に延びる2つの直線縁部によって制限されてよく、2つの縁部は、好ましくは少なくとも10mm、より好ましくは少なくとも15mm、さらに好ましくは少なくとも20mm、最も好ましくは少なくとも25mm、の長さを有する。直線縁部は、必ずしも幾何学的な意味で正確に直線である必要はないことが理解されるであろう。直線縁部は、幾何学的な意味で実質的に直線であってよい。これには、例えばアウトソールによって画定される表面から見て減少していく勾配または増加していく勾配で、直線縁部の少なくとも1つがわずかに湾曲していることが含まれてよい。2つの直線縁部は、内側層および/または外側層の形状を制限してよい。これに関して、アウトソールと直線縁部の少なくとも1つとの間の角度は、5度~70度、好ましくは10度~60度、より好ましくは15度~50度、さらに好ましくは20度~40度、最も好ましくは25度~35度の範囲であってよい。前記2つの直線縁部が安定化要素の形状を制限しているため、アキレス腱付着部に圧力が加わらないかまたは低下した圧力がかかることを保証することができる。
【0038】
内側層および/または外側層は、各々、0.01mm~3mm、好ましくは0.1mm~2mm、より好ましくは0.2mm~1mm、さらに好ましくは0.25mm~0.5mm、最も好ましくは0.28mm~0.32mmの厚みを有してよい。前記厚みの範囲は、剛性、すなわち足の安定化、と快適性との間の良好な妥協を可能にする。
【0039】
安定化要素は、少なくとも部分的に、側方側足首部位または内方側足首部位の中に延びてよい。本発明による足首部位という語は、一般に、足首、すなわち足関節、を含む足の部位を覆う靴アッパーの部位を言うことがある。本発明による内方側足首部位という語は、脛骨と踵骨との間の靭帯を含む足の部位を覆う、靴アッパーの部位を言うことがある。さらに、本発明による側方側足首部位という語は、腓骨と踵骨との間の靭帯を含む足の部位を覆う、靴アッパーの部位を言うことがある。
【0040】
本発明の第1の態様の第2の代替例による靴の安定化要素の外側層は、靴のアウトソールと一体成形されてよい。これに関して、「一体成形される」とは、外側層とアウトソールとの間に材料の境界を識別することができない態様を指すことがある。詳細には、外側層とアウトソールは、射出成形、ダイレクトキャストおよび/または発泡によって一体形成されてよい。さらに、外側層およびアウトソールは、ポリマー材料を含んでよい。詳細には、外側層およびアウトソールは、ポリアミド、ポリウレタン、および/またはゴムを含んでよい。外側層をアウトソールと一体成形することにより、外側層に、内側層に対するより高い事前張力を与えることができる。そのため、着用者のかかと領域へのより高い圧力が加えられ得る。さらに、必要な作業ステップが減らされ得る。
【0041】
内側層の形状は、外側層の形状に対応してよい。「対応する」という語は、外側層の形状が内側層の中に位置する、ならびに/または内側層および/もしくは外側層の少なくとも1つの縁部が実質的に平行である、態様を指すことがある。このことにより、負荷が内側層と外側層との間で連続的に伝達されることが可能になる。それにより、均一な応力分散が実現され得る。したがって、応力の集中による材料の損傷が回避され得る。
【0042】
内側層は、外側層を越えて延びてよい。好ましくは、内側層は、外側層を越えて、アキレス部位に向かって後方に、および/または足入れ開口に向かって上方に延びてよい。よって、内側層は、足に対する安定化要素の支持を向上することができる。さらに、内側層は、外側層を越えて、前方向に足の指先領域に向かって延びてよい。それにより、外側層は、内側層を靴の内部の方に押す役割を果たしてよい。したがって、靴アッパーのうち安定化されるべき部位が、内側層を適合させることによって容易に修正できるのに対し、外側層は、変化させないままであり得る。
【0043】
内側層は、外側層よりも大きい外形を有してよい。詳細には、内側層は、靴アッパーのうち安定化されるべき部位を覆う役割を果たしてよい。それにより、外側層は、内側層を靴の内部の方に押す役割を果たしてよい。したがって、靴アッパーのうち安定化されるべき部位が、内側層を適合させることによって容易に修正できるのに対し、外側層は、変化させないままであり得る。
【0044】
内側層は、複合層からなってよく、複合層は、好ましくは繊維強化層である。「複合」という語は、層が、異なる材料特性をもつ少なくとも2つの材料からなる態様を指すことがある。これに関して、複合層は、繊維強化ポリマーを含んでよい。詳細には、複合層は、炭素繊維強化ポリマー、ガラス繊維強化ポリマー、天然繊維強化ポリマー、セラミック繊維強化ポリマーおよび/またはアラミド繊維強化ポリマーを含んでよい。したがって、内側層は、より高い強度および/または高い剛性を与え得る。さらに、内側層の重量が軽減され得る。
【0045】
さらに、内側層は、異方性の材料特性を備えてよい。異方性の材料特性を利用して、内側層を特定の負荷事例に適合させ得る。例示として、内側層内の繊維が、高い曲げ剛性および低いねじれ剛性を与えるように配向されてよい。よって、靴は、柔軟性を提供し得、それと同時に、足首の捻挫を防ぐ安定性を提供する。
【0046】
外側層は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)および/または熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの熱可塑性エラストマー(TPE)、の材料のうちの少なくとも1つを含んでよい。したがって、外側層は、内側層を靴アッパーに留めるための高い剛性を提供し得る。さらに、外側層は、それによりアウトソールと一体成形されてよい。
【0047】
外側層は、三角形の断面を有してよい。これに関して、外側層の断面は、3つの隅部を備えてよい。前記隅部は、少なくとも部分的に丸められてよい。さらに、外側層の断面は、3つの縁部を備えてよい。これに関して、それらの3つの縁部は、直線であってもまたは部分的に湾曲していてよい。詳細には、1つの縁部および/または隅部のうち2つが、内側層と接触していてよい。三角形の断面は、特に同じ面積をもつ実質的に矩形の断面と比べて、外側層の面積慣性モーメントを増す。したがって、外側層の剛性を向上させることができる。
【0048】
外側層は、変化する厚みを備えてよい。例示として、外側層の第1の部分が、外側層の第2の部分よりも大きい厚みを有してよい。例示として、第1の部分と第2の部分とは、外側層の表面にある段によって分けられてよい。前記段は、外側層の表面上の非連続的な変化であってよい。
【0049】
外側層は、補強リブを備えてよい。補強リブは、上記で定義されたように、外側層の第1の部分と第2の部分とを分割する段を備えてよい。補強リブは、アウトソールから、安定化要素の外側層に沿って延びてよい。好ましくは、安定化要素の外側層は、アウトソールまたはアウトソールの構成部品と一体形成される。補強リブは、基本的に安定化要素の全長さに沿って延びてよい。補強リブは、少なくとも部分的にアウトソールに沿って延びてよい。補強リブは、外側層の面積慣性モーメントを増大する。したがって、外側層の剛性を向上させることができる。
【0050】
外側層は、複合層からなってよい。外側層が複合層からなることにより、安定化要素の剛性をさらに向上させることができる。よって、安定化要素は、さらに高い安定性を提供し得る。
【0051】
アウトソールは、複数の部分を備えてよい。例示として、アウトソールは、モジュール式の組み立て品として形成されてよい。これに関して、アウトソールのモジュール式の組み立て品の少なくとも1つのモジュールが、複合モジュールであってよい。複合モジュールは、好ましくは繊維強化モジュールである。「複合」という語は、部分が、異なる材料特性をもつ少なくとも2つの材料からなる態様を指すことがある。これに関して、複合モジュールは、繊維強化ポリマーを含んでよい。詳細には、複合モジュールは、炭素繊維強化ポリマー、ガラス繊維強化ポリマー、天然繊維強化ポリマー、セラミック繊維強化ポリマーおよび/またはアラミド繊維強化ポリマーを含んでよい。例示として、複合モジュールは、板または棒であり得るが、それらに限定されない。アウトソールは、複数の複合モジュールを備えてよい。
【0052】
さらに、少なくとも1つのモジュールが、安定化要素の内側層および/または外側層に接続されてよい。詳細には、モジュールは、内側層および/または外側層と一体成形されてよい。これに関して、「一体成形される」とは、外側層とモジュールとの間に材料の境界を識別することができない態様を指すことがある。
【0053】
さらに、アウトソールから足入れ開口までアキレス部位に沿って実質的にまっすぐ延びる、靴アッパーの外部上の線が、内側層および/または外側層によって覆われていなくてよい。これに関して、好ましくは前記線は、安定化要素によって覆われない。アウトソールから足入れ開口までアキレス部位に沿って実質的にまっすぐ延び、内側層および/または外側層によって覆われていない、靴アッパーの外部上の前記線により、アキレス腱の可動性を高めることができ、快適性および/または機能性を改善する。これは、アキレス腱の伸展および/または弛緩に対する内側層および/または外側層の影響が少なくとも軽減されるためである。詳細には、その場合、アキレス腱の伸展および/または弛緩が、主として靴アッパーの材料によって制限され得るためである。これらの利点は、特に下記で述べるように靴が2つの安定化要素を備える場合に該当する。
【0054】
靴は、上記で定義されたように2つの安定化要素を備えてよく、第1の安定化要素が靴の側方側に配置され、さらに好ましくは、第2の安定化要素が靴の内方側に配置される。それにより、向上した側方側および内方側の安定性を有する靴が提供され得る。よって、側方および内方方向で捻挫するおそれが軽減される。さらに、安定化要素は、上記のように、アキレス部位、特にアキレス腱付着部に圧力を加えることを回避し得る。
【0055】
第1の安定化要素の内側層と第2の安定化要素の内側層とは、第1の接続要素によって互いと接続されてよい。第1の接続要素は、少なくとも部分的に靴の靴底領域に沿って延びてよい。第1の接続要素は、第1の安定化要素の内側層および第2の安定化要素の内側層と一体成形されてよい。
【0056】
第1の安定化要素の内側層および第2の安定化要素の内側層は、アウトソールのモジュール式組み立て品のモジュールに接続されてよい。詳細には、前記内側層は、上記のようにそのモジュールと一体成形されてよい。さらに、第1の安定化要素の内側層および第2の安定化要素の内側層は、アウトソールのモジュール式組み立て品の同じモジュールに接続されてよい。よって、内側層同士は、そのモジュールを介して互いと接続されてよい。それにより、アキレス部位、特にアキレス腱付着部に圧力を加えることなく、安定化がさらに改善され得る。
【0057】
第1の安定化要素の外側層および第2の安定化要素の外側層は、第2の接続要素によって互いと接続されてよい。第2の接続要素は、少なくとも部分的に靴の靴底領域に沿って延びてよい。第2の接続要素は、第1の安定化要素の外側層および第2の安定化要素の外側層と一体成形されてよい。
【0058】
第1の安定化要素の外側層および第2の安定化要素の外側層は、アウトソールのモジュール式組み立て品のモジュールに接続されてよい。詳細には、外側層は、上記のようにそのモジュールと一体成形されてよい。さらに、第1の安定化要素の外側層および第2の安定化要素の外側層は、アウトソールのモジュール式組み立て品の同じモジュールに接続されてよい。よって、外側層同士は、そのモジュールを介して互いと接続されてよい。それにより、アキレス部位、特にアキレス腱付着部に圧力を加えることなく、安定化がさらに改善され得る。
【0059】
第1の安定化要素は、少なくとも部分的に側方側足首部位の中に延びてよく、第2の安定化要素は、少なくとも部分的に内方側足首部位の中に延びてよい。したがって、足首、すなわち足関節が、捻挫および/または負傷からさらに保護され得る。
【0060】
第1の安定化要素および第2の安定化要素は、踵骨を留めるのを助け、それにより、好ましくはアキレス部位および/またはアキレス腱付着部に圧力を加えないように構成されてよい。踵骨を留めることにより、着用者のかかとを靴の中で固定することができる。着用者のかかとを靴の中で固定することにより、靴内部でかかとが滑ることによる不安定性が回避され得る。アキレス部位および/またはアキレス腱付着部に圧力が加わることを回避することにより、快適性を向上することができ、刺激さらには炎症のおそれを軽減することができる。
【0061】
さらに、第1の安定化要素および第2の安定化要素は、アキレス部位および/またはアキレス腱付着部を受けるように構成されている、靴アッパーの部分を覆わなくてよい。したがって、アキレス部位および/またはアキレス腱付着部を受けるように構成されている、靴アッパーの部分が、安定化要素から覆われないままであってよい。そのような部分を覆うことを回避することにより、アキレス部位および/またはアキレス腱付着部に圧力が加わることが回避され得る。よって、快適性を向上することができ、刺激さらには炎症のおそれを軽減することができる。
【0062】
第1の安定化要素と第2の安定化要素とは、靴アッパーの外部に沿って、および少なくとも部分的にアキレス部位に沿って延びる距離だけ、離間していてよい。これにより、アキレス部位に対する不快な圧力が加わることを回避し得る。詳細には、安定化要素がアキレス腱の付着部に圧力を及ぼすことが回避され得る。したがって、靴の快適性を向上させることができ、および/またはアキレス腱の刺激を回避し得る。上記距離は、少なくとも部分的にアキレス部位に沿って、および靴アッパーの外部に沿って延びているので、距離は曲線によって表され得ることが理解されるであろう。さらに、距離は、第1の安定化要素の最も後方の点から、第2の安定化要素の最も後方の点まで測定されてよい。距離は、10mm~50mmの範囲、好ましくは20mm~35mmの範囲、より好ましくは25mm~30mmの範囲であってよい。前記距離は、十分な安定化をもたらし、それと同時にアキレス部位に圧力が加わることを回避することが判明している。距離は、靴のアウトソールの広がりの面に対して直角の面で測定されてよい。
【0063】
さらに、安定化要素の内側層または外側層の少なくとも一方が、靴アッパーの最も内側の層と最も外側の層との間に位置してよい。よって、安定化要素の内側層または外側層の少なくとも一方が、靴アッパーの内側層または中間層の外部に沿って延びてよい。
【0064】
上述したように、本発明の基礎となる第1の目的は、本発明の第2の態様によって少なくとも部分的に達成される。
【0065】
本発明の第2の態様は、靴であって、
靴アッパーと、
アウトソールと、
第1の安定化要素であって、
第1の安定化要素が、アウトソールの側方側から、靴アッパーの足入れ開口に向かって上方に、および靴のかかと領域に向かって(例えばその中へ)後方に延び、
第1の安定化要素が内側層および外側層を備え、
第1の安定化要素が、靴アッパーの外部に沿って延びている、第1の安定化要素と、
第2の安定化要素であって、
第2の安定化要素が、アウトソールの内方側から、靴アッパーの足入れ開口に向かって上方に、および靴のかかと領域に向かって(例えばその中へ)後方に延び、
第2の安定化要素が内側層および外側層を備え、
第2の安定化要素が靴アッパーの外部に沿って延びている、第2の安定化要素と、を備え、
第1の安定化要素と第2の安定化要素とが、靴アッパーの外部に沿って、および少なくとも部分的にアキレス部位に沿って延びる距離だけ離間している、靴に関する。
【0066】
本発明の第2の態様による靴は、アキレス部位に対する不快な圧力が加わることを回避し得る。詳細には、安定化要素がアキレス腱の付着部に圧力を及ぼすことが回避され得る。したがって、靴の快適性を向上させることができ、および/またはアキレス腱の刺激を回避し得る。上記距離は、少なくとも部分的にアキレス部位に沿って、および靴アッパーの外部に沿って延びているので、距離は曲線によって表され得ることが理解されるであろう。さらに、距離は、第1の安定化要素の最も後方の点から、第2の安定化要素の最も後方の点まで測定されてよい。距離は、10mm~50mmの範囲、好ましくは20mm~35mmの範囲、より好ましくは25mm~30mmの範囲であってよい。前記距離は、十分な安定化をもたらし、それと同時にアキレス部位に圧力が加わることを回避することが判明している。距離は、靴のアウトソールの広がりの面に対して直角の面で測定されてよい。本発明の第1の態様による第1の安定化要素の上部の最も後方の縁部は、第1の安定化要素の前記最も後方の点を含んでよい。本発明の第1の態様による第2の安定化要素の上部の最も後方の縁部は、第2の安定化要素の前記最も後方の点を含んでよい。さらに、代替の実施形態において、距離は、第1の安定化要素の上部の最も後方の縁部から第2の安定化要素の上部の最も後方の縁部まで測定されてよい。
【0067】
本発明の第2の態様による靴において、アウトソールから足入れ開口までアキレス部位に沿って実質的にまっすぐ延びる、靴アッパーの外部上の線が、第1の安定化要素および/または第2の安定化要素の内側層および/または外側層によって覆われていなくてよい。これに関して、好ましくは前記線は、第1の安定化要素によっても第2の安定化要素によっても覆われない。アウトソールから足入れ開口までアキレス部位に沿って実質的にまっすぐ延び、第1の安定化要素および/または第2の安定化要素の内側層および/または外側層によって覆われていない、靴アッパーの外部上の前記線により、アキレス腱の可動性を高めることができ、快適性および/または機能性を改善する。これは、アキレス腱の伸展および/または弛緩に対する内側層および/または外側層の影響が少なくとも軽減されるためである。詳細には、その場合、アキレス腱の伸展および/または弛緩が、主として靴アッパーの材料によって制限され得るためである。
【0068】
本発明の第1の態様の特徴が本発明の第2の態様と組み合わされてよいことが理解される。詳細には、本発明の第2の態様の第1の安定化要素および/または第2の安定化要素が、本明細書に記載される本発明の第1の態様の安定化要素の特徴を備えてよい。したがって、本発明の第1の態様の利点は、本発明の第2の態様にも当てはまることがあり、その逆も同様である。
【0069】
上述したように、本発明の基礎となる第1の目的は、本発明の第3の態様によって少なくとも部分的に達成される。
【0070】
本発明の第3の態様は、靴アッパーと、アウトソールと、安定化要素とを備える靴に関する。安定化要素は、アウトソールから靴アッパーの足入れ開口に向かって上方に、および靴のかかと領域に向かって後方に延びる。さらに、安定化要素は、内側層および外側層を備える。さらに、安定化要素は、靴アッパーの外部に沿って延びる。さらに、安定化要素は、少なくとも部分的に、アッパーの足中央領域に沿って延びる。前記足中央領域は、中足骨に対応するアッパーの領域を含んでよい。本発明の第1の態様の特徴が本発明の第3の態様に適用されてよいことが理解される。詳細には、本発明の第3の態様の第1の安定化要素が、本明細書に記載される本発明の第1の態様の安定化要素の特徴を備えてよい。したがって、本発明の第1の態様の利点は、本発明の第3の態様にも当てはまることがあり、その逆も同様である。
【0071】
さらに、靴が着用されたとき、安定化要素の最も後方の縁部は、前記安定化要素が配置される、足の一方の側のくるぶしから前方向に配置されてよい。さらに、安定化要素は、着用者の足の足中央部分を実質的に留めてよい。さらに、安定化要素は、靴の前半分から延びてよい。これに関して、本発明の第1の態様の安定化要素に関して提案された形状は、着用者の足の形状に合わせて適合され足中央部分に改善された安定化を提供する安定化要素を可能にし得る。
【0072】
上述したように、本発明の基礎となる第2の目的は、本発明の第4の態様によって少なくとも部分的に達成される。
【0073】
本発明の第4の態様は、靴アッパー内に少なくとも1つの閉じ込め要素を製造するための方法に関する。方法は、靴アッパーを用意するステップと、靴アッパーに少なくとも1つの凹みをエンボス加工するステップと、凹みに少なくとも部分的に発泡体を充填するステップとを含む。
【0074】
本発明による閉じ込め要素は、少なくとも部分的に発泡体が充填された、エンボス凹みと称されてよい。閉じ込め要素は、着用者の足を靴内部に固定した状態に保つように配置される。詳細には、閉じ込め要素は、着用者の足を靴の内部に閉じ込める役割を果たしてよい。さらに、閉じ込め要素は、靴の足中央部位で足が滑って脱げるのを防止し得る。
【0075】
靴アッパーは、ポリマー材料、ならびに/または皮革および/もしくは天然繊維などの天然材料を含んでよい。さらに、靴アッパーは、織られた材料、編まれた材料、単方向繊維を有する材料、および/または繊維を含まない材料を含んでよい。靴アッパーは、スポーツシューズ、日中用の靴、カジュアルシューズ、および/または作業靴用であってよい。さらに、靴アッパーは、サッカーシューズ、ランニングシューズ、登山靴、クライミングブーツ、スキーブーツ、クロスカントリースキーブーツ、および/またはバスケットボールシューズ用であってよい。上述の例はすべてを網羅するものではない。
【0076】
エンボス加工するステップは、発泡体のための必要な空間を作る。さらに、エンボス加工するステップは、少なくとも部分的に発泡体が充填されている、形成された凹みの弛緩および/または伸展を低減する。よって、閉じ込め要素のより高い剛性、したがって安定性が得られ得る。これは特に、紐なしのサッカーシューズなど紐なしの靴に必要とされる。
【0077】
エンボス加工するステップは、エンボス加工機を用いて行われてよい。エンボス加工機は、正金型および/または負金型を備えてよい。さらに、エンボス加工するステップは、靴アッパーおよび/または少なくとも1つの金型を加熱することを含んでよい。それにより、エンボス加工中に、靴アッパーの材料が、少なくとも部分的に、ガラス転移温度を超え得る。さらに、エンボス加工中に、靴アッパーは少なくとも部分的に溶融されてよい。よって、凹みの形状が恒久的に形成され得る。
【0078】
エンボス加工中に、凹みに隣接する表面が、少なくとも部分的に溶融および/または加圧されてよい。したがって、隣接する表面の硬さを増大させ得る。よって、閉じ込め要素の安定性をさらに向上させ得る。
【0079】
凹み内の発泡体は、足が靴アッパーに挿入されるときに圧縮され得る。この圧縮のために、発泡体は、足に対して圧力を及ぼし得る。前記圧力は、足が滑って靴アッパーから脱げるのを防止し得る。発泡体は、ポリマー発泡体であってよい。詳細には、発泡体は、エチレン酢酸ビニル発泡体、ネオプレン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリスチロール発泡体、またはポリエチレンテレフタラート発泡体であってよい。特にエチレン酢酸ビニル発泡体とネオプレン発泡体は、環境条件に抗する高い耐久性をもたらす。
【0080】
方法は、凹みの上に層を設け、それにより凹みが少なくとも部分的に閉じられるステップをさらに含んでよい。さらに、凹みは、その層によって完全に閉じられてもよい。層は、メッシュ布地層などの布地層であってよい。さらに、層は、凹み内部の発泡体を固定するおよび/または保護する役割を果たし得る。この層により、靴アッパーと接触している足が、エンボス凹みの縁部によって刺激を受けることが回避される。
【0081】
凹みは、凹みの形状が好ましくは靴アッパーの外部上で突出するように、靴アッパーの内側表面にエンボス加工されてよい。したがって、発泡体は、靴アッパーの内部に突出してよい。よって、発泡体は、靴アッパーの内側表面と接触している足に圧力を及ぼし得る。
【0082】
発泡体は、エンボス加工されなかった、凹みに隣接する靴アッパーの表面と比べて、靴アッパーから内側および/または外側に突出してよい。よって、発泡体は、圧縮され得る十分な体積を有し得、それにより、靴アッパーと接触する足に十分な力が加えられ得る。
【0083】
凹みは、靴アッパーの側方側および/または内方側にエンボス加工されてよい。したがって、足の側方側および/または内方側が靴アッパーの内部で固定され得る。
【0084】
凹みは、少なくとも部分的に環状、長円形、楕円形、三角形、および/または矩形である断面を有してよい。前記断面により、閉じ込め要素のばね特性および/または制動特性を適合させ得る。例示として、三角形の断面を用いると、矩形の断面を用いるよりも漸進的なばね特性が得られ得る。漸進的なばね特性は、快適性を与え、それと同時に靴アッパーからの滑り脱げに対抗する十分な保護を与え得る。
【0085】
凹みは、靴アッパーに沿って細長くてよい。それにより、足が靴アッパーに接触するときに、凹みの内部の発泡体が、靴アッパーに沿って力を加え得る。したがって、足の複数の部位が固定され、および/または制動され得る。さらに、足に加えられる力が分散され得る。よって、靴アッパーはより快適になり得る。
【0086】
凹みは、靴アッパーの足首部位から靴アッパーの足中央部位の中に延びてよい。詳細には、凹みは、靴アッパーの足首部位から靴アッパーの頂部の足中央部位の中に延びてよい。よって、足が足中央部位で滑って脱げることが防止され得る。さらに、同時に、足が足首部位で滑って脱げることが防止され得る。
【0087】
本発明における足首という語は、足関節と称されてもよい。さらに、本発明に従う足首部位という語は、一般に、足首、すなわち足関節、を含む足の部位を覆う、靴アッパーの部位を言う。本発明に従う内方側足首部位という語は、脛骨と踵骨との間の靭帯を含む足の部位を覆う、靴アッパーの部位を言うことがある。さらに、本発明に従う側方側足首部位という語は、腓骨と踵骨との間の靭帯を含む足の部位を覆う、靴アッパーの部位を言うことがある。
【0088】
凹みは、長さおよび幅を有してよく、幅に対する長さの比は、好ましくは5~18、より好ましくは7~16、さらに好ましくは9~14、最も好ましくは10~12である。これに関して、この比は、最大の幅および/または最大の長さによって定められてよい。これらの比は、改善された安定化をもたらし、それと同時に着用者の足にとって快適である。特に好ましい実施形態では、幅に対する長さの比は、5~8である。
【0089】
凹みは、靴アッパーの長さの20%~80%、好ましくは25%~75%、より好ましくは30%~65%、さらに好ましくは40%~60%、最も好ましくは45%~55%に沿って延びてよい。これらの範囲は、余分な凹み空間を回避しながら、着用者の足に十分な圧力を与えることが分かっている。
【0090】
凹みの断面積および/または凹みの幅は、凹みの長さに0.3~0.7、好ましくは0.35~0.65、より好ましくは0.4~0.6、さらに好ましくは0.45~0.55、最も好ましくは0.48~0.52の率を乗算した長さだけ、凹みの一端から離間していることが好ましい凹みの中間部分で、最大値に達してよい。それにより、閉じ込め要素の発泡体が、頂部の足中央部位と足首部位との間の真ん中に位置する足の部位に最も高い圧力を加え得る。よって、最も滑って脱げやすい足のこの部位が、最も大きい圧力を受ける。さらに、足はそれにより、靴アッパー内で後方に向かって押されて、かかと部分に入り得る。これは、滑り脱げに対するさらなる防御を提供し得る。
【0091】
凹みの断面積および/または凹みの幅は、足中央部位および/または足首部位で最小値に達してもよい。これは、閉じ込め要素の圧力が両端に向かって減衰することを可能にする。したがって、着用者の快適さが向上し得る。さらに、圧力の加わりが、必要とされる圧力がより少ない部位および/または圧力が不快である部位、すなわち足首部位および/または足中央部位、において低減され得る。
【0092】
第1の凹みが、靴アッパーの側方側にエンボス加工されてよく、第2の凹みが、靴アッパーの内方側にエンボス加工されてよい。したがって、足の側方側と内方側が、滑り脱げに対抗するように等しく固定され得る。第2の凹みは、第1の凹みよりも上方に、すなわち足入れ開口のより近くに、位置してよい。よって、閉じ込め要素の位置付けが、着用者の足の解剖学的構造に合わせて適合される。第1の凹みおよび第2の凹みには少なくとも部分的に発泡体が充填されてよいことが理解されるであろう。
【0093】
さらに、本発明の第2の目的は、少なくとも1つの閉じ込め要素を備える靴アッパーによって少なくとも部分的に達成され、閉じ込め要素は、上記で説明されたような方法によって製造される。
【0094】
さらには、本発明の第2の目的は、前段落に記載の靴アッパーを備える靴によって少なくとも部分的に達成される。これに関して、靴は、スポーツシューズ、日中用の靴、カジュアルシューズ、および/または作業靴であってよい。さらに、前記靴は、サッカーシューズ、ランニングシューズ、登山靴、クライミングブーツ、スキーブーツ、クロスカントリースキーブーツ、および/またはバスケットボールシューズであってよい。上述の例はすべてを網羅するものではない。
【0095】
以下に、添付図面が簡単に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】本発明の第1の態様による例示的な靴を側面視で示す図である。
図2】本発明の第1の態様および第4の態様による例示的な靴を側面視で示すである。
図3】本発明の第1の態様および第4の態様による例示的な靴の後部部分の詳細な図を側面視で示す図である。
図4】本発明の第1の態様および第4の態様による例示的な靴の後部部分の詳細な図を内方視で示す図である。
図5】本発明の第1の態様および第4の態様による例示的な靴の詳細な図を側面視で示す図である。
図6】本発明の第4の態様による、靴アッパー内に少なくとも1つの閉じ込め要素を製造するための例示的方法を示す図である。
図7】本発明の第1の態様、第2の態様および第4の態様による第2の例示的な靴を背面視で示す図である。
図8】本発明の第1の態様および第4の態様による第2の例示的な靴の底面視を示す図である。
図9】本発明の第4の態様による第3の例示的な靴の正面視を示す図である。
図10】本発明の第1の態様および第4の態様による第2の例示的な靴を内方視で示す図である。
図11】本発明の第1の態様および第4の態様による第2の例示的な靴の詳細な図である。
図12】本発明の第1の態様、第2の態様および第4の態様による第2の例示的な靴の詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
図1は、本発明の第1の態様による例示的な靴1を側面視で示す。靴1は、サッカーシューズである。しかし、この靴は、ランニングシューズ、登山靴、クライミングブーツ、スキーブーツ、クロスカントリースキーブーツ、および/またはバスケットボールシューズであってもよいことが理解される。さらには、靴は、任意の他のスポーツシューズ、日中用の靴、カジュアルシューズ、および/または作業靴であってよい。上述の例はすべてを網羅するものではない。
【0098】
本発明の第1の態様による図1は、靴アッパー2と、アウトソール3と、安定化要素10とを備える靴1を示している。
【0099】
安定化要素10は、着用者のかかとを靴1の中で固定し、着用者の足首を安定させる役割を果たす。着用者のかかとを靴1の中で固定することにより、靴内部でかかとが滑ることによる不安定性を回避することができる。さらに、着用者の足首を安定させることにより、足首の捻挫が回避され得る。
【0100】
前記安定化要素10は、アウトソール3から靴アッパー2の足入れ開口4に向かって上方に、および靴1のかかと領域5に向かって後方に延びる。詳細には、安定化要素10は、後方に、靴1のかかと領域5の中に延びる。前記安定化要素10は、外側層12を備えている。さらに、安定化要素10は、靴アッパー2の外部6に沿って延びる。それにより、外側層12は、靴アッパー2の外部6と接触している。外側層12は、例えば熱溶着、接着、および/または縫い付けにより、靴アッパー2の外部6に取り付けられてよいことが理解されるであろう。さらに、安定化要素10とアウトソール3との間に位置する靴アッパー2の外部6の部位13は、安定化要素10によって覆われていない。
【0101】
安定化要素10によって覆われていない前記部位13は、アキレス部位に加わる圧力を回避するかまたは少なくとも低減する。詳細には、前記部位は、安定化要素10がアキレス腱の付着部に圧力を及ぼすことを回避し得る。したがって、靴1の快適性を向上させることができ、および/またはアキレス腱の刺激を回避し得る。
【0102】
図1にさらに示されるように、また本発明の第1の態様に従い、安定化要素10の外側層12は、靴1のアウトソール3と一体成形されている。外側層をアウトソールと一体成形することにより、外側層により高い事前張力を与えることができる。そのため、着用者のかかと領域へのより高い圧力が加えられ得る。さらに、必要な製造ステップが減らされ得る。図1で、安定化要素は1つの層しか備えていないため、「外側層」はより一般的に「層」と称されてもよいことが理解されるであろう。
【0103】
図2は、本発明の第1の態様および第4の態様による例示的な靴1を側面視で示す。靴1は、紐なしのサッカーシューズである。しかし、この靴は、ランニングシューズ、登山靴、クライミングブーツ、スキーブーツ、クロスカントリースキーブーツ、および/またはバスケットボールシューズであってもよいことが理解される。さらには、靴は、任意の他のスポーツシューズ、日中用の靴、カジュアルシューズ、および/または作業靴であってよい。上述の例はすべてを網羅するものではない。
【0104】
本発明の第1の態様による図2は、靴アッパー2と、アウトソール3と、安定化要素10とを備える靴1を示している。
【0105】
安定化要素10は、着用者のかかとを靴1の中で固定し、着用者の足首を安定させる役割を果たす。着用者のかかとを靴1の中で固定することにより、靴内部でかかとが滑ることによる不安定性を回避することができる。さらに、着用者の足首を安定させることにより、足首の捻挫が回避され得る。
【0106】
前記安定化要素10は、アウトソール3から靴アッパー2の足入れ開口4に向かって上方に、および靴1のかかと領域5に向かって、すなわちその中に、後方に延びる。前記安定化要素10は、内側層11および外側層12を備えている。さらに、安定化要素10は、靴アッパー2の外部6に沿って延びる。さらに、安定化要素10とアウトソール3の間に位置する、靴アッパー2の外部6の部位13は、安定化要素10によって覆われていない。内側層11および外側層12は、異なる材料からなる。
【0107】
安定化要素10によって覆われていない前記部位13は、アキレス部位に加わる圧力を回避するかまたは少なくとも低減する。詳細には、前記部位(13)は、安定化要素10がアキレス腱の付着部に圧力を及ぼすことを回避し得る。したがって、靴1の快適性を向上させることができ、および/またはアキレス腱の刺激を回避し得る。
【0108】
安定化要素10によって覆われておらず、安定化要素10とアウトソール3との間に位置する、靴アッパー2の外部6の部位13は安定化要素10によって覆われていない靴アッパー2の外部6のさらなる部位18へと連続的に推移する。これに関して、例えば図7および図11により詳細に示されるように、さらなる部位18は、アキレス部位および/またはアキレス腱付着部を受けるように構成される靴アッパー2の一部分の中に延び、それにより、さらなる部位18は、靴1の側方側から靴1の内方側に延びる。前記さらなる部位18は、アキレス部位に対する不快な圧力が加わることを回避し得る。詳細には、前記さらなる部位18は、安定化要素10がアキレス腱の付着部に圧力を及ぼすことを回避し得る。さらに、靴アッパー2の柔軟性は、アキレス部位内および/またはアキレス腱付着部では、安定化要素10によって妨げられない可能性がある。したがって、靴1の快適性を向上させることができ、および/またはアキレス腱の刺激を回避することができる。
【0109】
異なる材料の使用は、機能を分けることを可能にする。内側層は、好ましくは、外側層よりも高い剛性および/または高い強度をもつ材料からなる。さらに、外側層は、内側層よりも高い弾性をもつ材料からなってよい。よって、内側層は、剛性および/または強度を与えることができるのに対し、外側層は、内側層を靴アッパーに留め得る。そのため、安定化要素は、着用者のかかとおよび/または足首に堅固に留められ得る。それにより、安定性が向上し得る。さらに、材料の明確な使用により、安定化要素の重量が軽減され得る。さらに、内側層は、着用者の足の特性に適合させることができるのに対し、外側層は変化させないままであり得る。したがって、安定化要素内での異なる材料の使用と機能の分離により、改造の労力が軽減され得る。
【0110】
さらに本発明の第1の態様によると、図2の靴1は、2つの安定化要素10、15を備えており、第1の安定化要素10は靴1の側方側に配置されている。第2の安定化要素15は、靴1の内方側に配置されている。ただし、前記第2の安定化要素15は図2では隠されているが、図4に示されている。前記第1の安定化要素10は、少なくとも部分的に、側方側足首部位7aの中に延びている。第1の安定化要素10および第2の安定化要素15は、踵骨を留め、それにより、アキレス腱付着部に圧力を加えないように構成されている。
【0111】
本発明の第4の態様による図2は、靴アッパー2を備えた靴1を示し、靴アッパー2は閉じ込め要素20を備えている。閉じ込め要素20は、図6に示される方法100に従って製造された。
【0112】
図3は、本発明の第1の態様および第4の態様による例示的な靴の後部部分の詳細な図を側面視で示す。
【0113】
本発明の第1の態様による図3は、安定化要素10の形状は、少なくとも、靴アッパー2の外部6に沿って足入れ開口に向かって上方に、およびかかと領域5に向かって後方に延びる2つの直線縁部14a、14bによって制限されることを示している。これに関して、2つの縁部14a、14bは、少なくとも15mmの長さを有する。前記2つの直線縁部14a、14bが安定化要素10の形状を制限しているため、アキレス腱付着部に圧力が加わらないかまたは軽減された圧力のみがかかることを保証することができる。
【0114】
図3にさらに示されるように、また本発明の第1の態様に従い、安定化要素10の外側層12は、靴1のアウトソール3と一体成形されている。外側層をアウトソールと一体成形することにより、外側層に、内側層に対するより高い事前張力が与えられ得る。そのため、着用者のかかと領域に対するより高い圧力が加えられ得る。さらに、必要な製造ステップが減らされ得る。
【0115】
内側層11の形状は、外側層12の形状に対応する。このことにより、内側層と外側層との間で負荷が連続的に伝達されることが可能になる。それにより、均一な応力分散が実現され得る。したがって、応力の集中による材料の損傷が回避され得る。さらに、内側層11は、外側層12よりも大きい外形を有する。それにより、内側層は、安定化されるべき靴アッパーの部位を覆う役割を果たし、外側層は、内側層を靴の内部の方に押す役割を果たす。
【0116】
内側層11は、好ましくは複合層からなり、複合層は、好ましくは繊維強化層である。
【0117】
図4は、本発明の第1の態様および第4の態様による例示的な靴の後部部分の詳細な図を内方視で示す。
【0118】
本発明の第1の態様による図4は、少なくとも部分的に内方側足首部位7bの中に延びている安定化要素15を示す。靴アッパーの側方側に配置された安定化要素10に関して上記で説明されたことは、靴アッパーの内方側に配置された安定化要素15にも同様に当てはまる。ただし、他の実施形態では、側方側安定化要素と内方側安定化要素は、例えばそれらの大きさ、形状、材料等に関して異なってよい。
【0119】
図5は、本発明の第1の態様および第4の態様による例示的な靴の詳細な図を側面視で示す。
【0120】
本発明の第4の態様による図5は、図2に示された靴1の細部を示し、靴1は靴アッパー2を備え、靴アッパー2は閉じ込め要素20を備えている。前記閉じ込め要素20は、図6に示される方法100に従って製造された。前記方法100は、靴アッパー2を用意するステップ110と、靴アッパー2に少なくとも1つの凹み21をエンボス加工するステップ120と、凹み21に少なくとも部分的に発泡体を充填するステップ130とを含む。さらに、方法100は、凹み21の上に層を設け、それにより凹み21が少なくとも部分的に閉じられるステップ140をさらに含んでよい。
【0121】
示されるように、凹み21は、凹み21の形状が靴アッパー2の外部6上に突出するように、靴アッパー2の内側表面30にエンボス加工される120。これに関して、隠れている発泡体は、エンボス加工されなかった、凹み21に隣接する靴アッパー2の表面23と比べて、靴アッパー2から内側および/または外側に突出してよい。
【0122】
凹み21は靴アッパー2の側方側にエンボス加工され、少なくとも部分的に三角形である断面を有する。さらに、凹み21は、靴アッパー2に沿って細長い。これに関して、凹み21は、靴アッパー2の足首部位7aから、靴アッパー2の足中央部位8の中に延びている。詳細には、図5では凹み21は側方側足首部位7aから延びているのに対し、図4では凹み21は内方側足首部位7bから延びている。これに関して、凹み21は、靴アッパー2の長さの30%~65%に沿って延びている。この範囲は、着用者の足にかかる十分な圧力を与え、一方で余分な凹み空間を回避する。
【0123】
さらに、凹み21の断面積および凹み21の幅は、凹み21の長さに0.45~0.55の率を乗算した長さだけ凹み21の一端から離間している凹み21の中間部分で、最大値に達する。それにより、閉じ込め要素の発泡体が、頂部の足中央部位と足首部位との間の中間に位置する足の部位に最も高い圧力を加える。よって、最も滑って脱げやすい足のこの部位が、最も大きい圧力を受ける。さらに、足はそれにより、靴アッパー内で後方に向かって押されて、かかと部分に入り得る。これは、滑り脱げに対するさらなる防御を提供し得る。
【0124】
さらに、凹み21の断面積および凹み21の幅は、足中央部位8および足首部位7a、7bで最小値に達する。これにより、閉じ込め要素の圧力が両端に向かって減衰することを可能にする。したがって、着用者の快適さが向上し得る。
【0125】
図4および図5によって示されるように、第1の凹み21は、靴アッパー2の側方側にエンボス加工され、第2の凹み26は、靴アッパー2の内方側にエンボス加工されている。したがって、足の側方側と内方側が、滑り脱げに対抗するように等しく固定される。
【0126】
図6は、本発明の第4の態様による、靴アッパー2内に少なくとも1つの閉じ込め要素20を製造するための例示的方法100を示す。方法100は、靴アッパー2を用意するステップ110と、靴アッパー2に少なくとも1つの凹み21をエンボス加工するステップ120と、凹み21に少なくとも部分的に発泡体を充填するステップ130とを含む。さらに、方法100は、凹み21の上に層を設け、それにより凹み21が少なくとも部分的に閉じられるステップ140をさらに含んでよい。
【0127】
図7は、本発明の第1の態様、第2の態様および第4の態様による第2の例示的な靴1を背面視で示す。これに関して、第1の安定化要素10と第2の安定化要素15とは、少なくとも部分的にアキレス部位に沿って、および靴アッパー2の外部に沿って延びる距離30だけ、離間している。それにより、アキレス部位に対する不快な圧力が加わることが回避され得る。詳細には、安定化要素10、15がアキレス腱の付着部に圧力を及ぼすことが回避され得る。したがって、靴1の快適性を向上させることができ、および/またはアキレス腱の刺激を回避し得る。図7に示されるように、距離30は、第1の安定化要素10の最も後方の点から、第2の安定化要素15の最も後方の点まで測定される。
【0128】
さらに、本発明の第2の態様に従い、図7は、靴アッパー2と、アウトソール3と、第1の安定化要素10と、第2の安定化要素15とを備えた第2の例示的な靴1を示している。第1の安定化要素10は、アウトソール3の側方側から、靴アッパー2の足入れ開口4に向かって上方に、および靴1のかかと領域5の中へと後方に延びる。さらに、第1の安定化要素10は、内側層11および外側層12を備えている。さらに、第1の安定化要素10は、靴アッパー2の外部6に沿って延びている。第2の安定化要素15は、アウトソール3の内方側から靴アッパー2の足入れ開口4に向かって上方に、および靴1のかかと領域5の中へ後方に延びる。さらに、第2の安定化要素15は、内側層16および外側層17を備えている。さらに、第2の安定化要素15は、靴アッパー2の外部6に沿って延びている。第1の安定化要素10と第2の安定化要素15は、靴アッパー2の外部6に沿って、および少なくとも部分的にアキレス部位に沿って延びる距離30だけ離間している。
【0129】
図7および図12だけが、本発明の第2の態様によって提案される第1の安定化要素および第2の安定化要素を示しているが、図8図10、および図11に示されている特徴も本発明の第2の態様の一部を形成し得ることが理解されるであろう。これは、図7図8、および図10図12はすべて第2の例示的な靴を示しているためである。さらに、第1の例示的な靴の特徴は、本発明の第2の態様の一部を形成してもよいことが理解されるであろう。これは、図2および図4に示される通り、第1の例示的な靴も、本発明の第2の態様によって提案されるような第1の安定化要素および第2の安定化要素を備えているためである。
【0130】
図8は、本発明の第1の態様および第4の態様による第2の例示的な靴1の底面視を示す。図示されるように、アウトソール3が、埋め込まれたカーボン靴底インサート40を備えている。カーボン靴底インサート40は、上記のように複合モジュールと称されてよい。そのため、安定化要素10、15の内側層同士は、カーボン靴底インサート40、すなわち複合モジュール、を介して互いと接続され得る。同じことが外側層にも当てはまる。それにより、アキレス部位、特にアキレス腱付着部に圧力を加えることなく、安定化がさらに改善され得る。
【0131】
図9は、本発明の第4の態様による第3の例示的な靴1の正面視を示す。図示されるように、第1の凹み21が、靴アッパー2の側方側にエンボス加工され、第2の凹み26が、靴アッパー2の内方側にエンボス加工されている。これにより、足の側方側と内方側が、滑り脱げに対抗するように等しく固定され得る。さらに図示されるように、第2の凹み26は、第1の凹み21よりも上方に、すなわち足入れ開口4のより近くに、位置する。よって、閉じ込め要素20、25の位置付けは、着用者の足の解剖学的構造に合わせて適合される。
【0132】
図10は、本発明の第1の態様および第4の態様による第2の例示的な靴を内方視で示す。
【0133】
本発明の第1の態様に従い、第2の安定化要素15の内側層16は、第2の安定化要素15の外側層17を越えて延びている。詳細には、内側層16は、外側層17を越えて、アキレス部位に向かって後方に、および足入れ開口に向かって上方に延びている。よって、内側層は、足に対する安定化要素の支持を向上することができる。さらに、内側層16は、外側層17を越えて、前方向に足の指先領域に向かって延びる。それにより、外側層17は、内側層16を靴1の内部の方に押す役割を果たすことができる。したがって、靴アッパー2のうち安定化されるべき部位が、内側層16を適合させることによって容易に修正できるのに対し、外側層17は変化させないままであり得る。
【0134】
本発明の第1の態様にさらに従うと、第2の安定化要素15の内側層16の形状は、第2の安定化要素15の外側層17の形状に対応している。詳細には、外側層17の形状は、内側層の中に位置し、内側層および外側層の3つの端部が実質的に平行である。このことにより、負荷が内側層と外側層との間で連続的に伝達されることが可能になる。それにより、均一な応力分散が実現され得る。
【0135】
本発明の第4の態様によると、第2の閉じ込め要素25のエンボス加工された第2の凹み26は、少なくとも部分的に環状である断面を有する。図2図5に例示的に示される実質的に三角形の断面と比較すると、より漸進的でないばね特性が得られ得る。より漸進的でないばね特性は、向上した快適性を提供し得る。
【0136】
図11は、本発明の第1の態様および第4の態様による第2の例示的な靴1の詳細な図を示す。図示されるように、第2の安定化要素15の外側層17は、変化する厚みを備えている。詳細には、外側層17の表面にある段51が、異なる厚みを有する外側層17の部分同士を分けている。前記段51は、外側層17の表面上の非連続的な変化である。さらに図示されるように、外側層17は、段51を含む補強リブ50を備えている。図12に示されるように、第1の安定化要素10も、第2の安定化要素15と同様に、補強リブ50を備えている。
【0137】
図12は、本発明の第1の態様、第2の態様および第4の態様による第2の例示的な靴の詳細な図を示す。第1の安定化要素10の補強リブ50は、アウトソール3から、安定化要素10の外側層12に沿って延びている。安定化要素の外側層12は、アウトソールまたはアウトソールの構成部品と一体形成されている。さらに、補強リブ50は、基本的に安定化要素10の全長さに沿って延びている。補強リブ50はさらに、少なくとも部分的にアウトソール3に沿って延び、この態様は図10にも示されている。
【符号の説明】
【0138】
1 靴
2 靴アッパー
3 アウトソール
4 足入れ開口
5 かかと領域
6 靴アッパーの外部
7a 側方側足首部位
7b 内方側足首部位
10 第1の安定化要素
11 第1の安定化要素の内側層
12 第1の安定化要素の外側層
13 靴アッパーの外部の部位
14a、14b 直線縁部
15 第2の安定化要素
16 第2の安定化要素の内側層
17 第2の安定化要素の外側層
18 靴アッパーの外部のさらなる部位
20 閉じ込め要素
21 第1の凹み
23 エンボス加工されなかった表面
25 第2の閉じ込め要素
26 第2の凹み
30 距離
40 カーボン靴底インサート
50 補強リブ
51 段
100 靴アッパー内に少なくとも1つの閉じ込め要素を製造するための方法
110 靴アッパーを用意するステップ
120 靴アッパーに少なくとも少なくとも1つの凹みをエンボス加工するステップ
130 凹みに少なくとも部分的に発泡体を充填するステップ
140 凹みの上に層を設けるステップ
本発明の第4の態様による実施形態:
1.靴アッパー2内に少なくとも1つの閉じ込め要素20、25を製造するための方法100であって、方法100が、
a.靴アッパー2を用意するステップ110と、
b.靴アッパー2に少なくとも1つの凹み21をエンボス加工するステップ120と、
c.凹み21に少なくとも部分的に発泡体を充填するステップ130と、を含む方法100。
2.方法100が、
d.凹み21の上に層を設け、それにより凹み21が少なくとも部分的に閉じられるステップ140
をさらに含む、実施形態1に記載の方法100。
3.凹み21は、凹み21の形状が好ましくは靴アッパー2の外部6上に突出するように、靴アッパー2の内側表面にエンボス加工される120、上記実施形態の1つに記載の方法100。
4.発泡体は、エンボス加工されなかった、凹み21に隣接する靴アッパー2の表面23と比べて、靴アッパー2から内側および/または外側に突出する、上記実施形態の1つに記載の方法100。
5.凹み21が、靴アッパー2の側方側および/または内方側にエンボス加工される、上記実施形態の1つに記載の方法100。
6.凹み21が、少なくとも部分的に環状、長円形、楕円形、三角形、および/または矩形である断面を有する、上記実施形態の1つに記載の方法100。
7.凹み21が靴アッパー2に沿って細長い、上記実施形態の1つに記載の方法100。
8.凹み21が、靴アッパー2の足首部位7a、7bから靴アッパー2の足中央部位8の中に延びている、上記実施形態に記載の方法100。
9.凹み21が長さおよび幅を備え、幅に対する長さの比が、好ましくは5~18、より好ましくは7~16、さらに好ましくは9~14、最も好ましくは10~12である、実施形態7または8に記載の方法100。
10.凹み21が、靴アッパー2の長さの20%~80%、好ましくは25%~75%、より好ましくは30%~65%、さらに好ましくは40%~60%、最も好ましくは45%~55%に沿って延びている、実施形態7~9の1つに記載の方法100。
11.凹み21の断面積および/または凹み21の幅が、凹み21の長さに0.3~0.7、好ましくは0.35~0.65、より好ましくは0.4~0.6、さらに好ましくは0.45~0.55、最も好ましくは0.48~0.52の率を乗算した長さだけ、凹み21の一端から離間していることが好ましい凹み21の中間部分で、最大値に達する、実施形態9または10に記載の方法100。
12.凹み21の断面積および/または凹み21の幅が、足中央部位8および/または足首部位7a、7bで最小値に達する、実施形態9~11の1つに記載の方法100。
13.第1の凹み21が、靴アッパー2の側方側にエンボス加工され、第2の凹み26が、靴アッパー2の内方側にエンボス加工されている、上記実施形態の1つに記載の方法100。
14.少なくとも1つの閉じ込め要素20を備える靴アッパー2であって、閉じ込め要素20が、実施形態1~13の1つに記載の方法100によって製造される、靴アッパー2。
15.実施形態14に記載の靴アッパー2を備えた、靴1。
さらに、本発明は以下の実施形態を含む。
[25]靴(1)であって、
靴アッパー(2)と、
アウトソール(3)と、
安定化要素(10)と、を備え、
安定化要素(10)が、アウトソール(3)から靴アッパー(2)の足入れ開口(4)に向かって上方に、および靴(1)のかかと領域(5)に向かって後方に延びており、
安定化要素(10)が外側層(12)を備え、
安定化要素(10)が、靴アッパー(2)の外部(6)に沿って延びており、
靴アッパー(2)の外部(6)の一部位(13)が安定化要素(10)によって覆われておらず、部位(13)は、安定化要素(10)とアウトソール(3)との間に位置し、
部位(13)は、安定化要素(10)によって覆われていない、靴アッパー(2)の外部(6)のさらなる部位(18)へと連続的に推移し、それにより、さらなる部位(18)は、アキレス部位および/またはアキレス腱付着部を受けるように構成されている靴アッパー(2)の部分の中に延び、
安定化要素(10)の外側層(12)が、靴(1)のアウトソール(3)と一体成形されている、靴(1)。
[26]さらなる部位(18)が、靴(1)の側方側から靴(1)の内方側に延びている、[1]に記載の靴(1)。
[27]安定化要素(10)が内側層(11)を備えている、[1]または[2]に記載の靴(1)。
[28]靴(1)であって、
靴アッパー(2)と、
アウトソール(3)と、
安定化要素(10)と、を備え、
安定化要素(10)が、アウトソール(3)から靴アッパー(2)の足入れ開口(4)に向かって上方に、および靴(1)のかかと領域(5)に向かって後方に延びており、
安定化要素(10)が、内側層(11)および外側層(12)を備え、
内側層(11)と外側層(12)とが、異なる材料からなり、
安定化要素(10)が、靴アッパー(2)の外部(6)に沿って延びている、靴(1)。
[29]安定化要素(10)の外側層(12)が、靴(1)のアウトソール(3)と一体成形されている、[1]~[4]の1つに記載の靴(1)。
[30]内側層(11)と外側層(12)とが、異なる材料からなる、[3]に記載の靴(1)。
[31]靴アッパー(2)の外部(6)の一部位(13)が安定化要素(10)によって覆われておらず、部位(13)が、安定化要素(10)とアウトソール(3)との間に位置する、[4]に記載の靴(1)。
[32]部位(13)は、安定化要素(10)によって覆われていない、靴アッパー(2)の外部(6)のさらなる部位(18)へと連続的に推移し、それにより、さらなる部位(18)は、アキレス部位および/またはアキレス腱付着部を受けるように構成されている靴アッパー(2)の部分の中に延び、さらなる部位(18)は好ましくは、靴(1)の側方側から靴(1)の内方側に延びる、[1]~[7]の1つに記載の靴(1)。
[33]部位(13)が、少なくとも100mm2、好ましくは少なくとも150mm2、より好ましくは少なくとも200mm2、さらに好ましくは少なくとも250mm2、最も好ましくは少なくとも300mm2の大きさを有する、[1]~[3]および[6]~[8]の1つに記載の靴(1)。
[34]安定化要素(10)が、翼形状、平行四辺形形状、台形形状、楕円形状、および/または矩形形状を有する、[1]~[9]の1つに記載の靴(1)。
[35]安定化要素(10)の形状が少なくとも、靴アッパー(2)の外部(6)に沿って足入れ開口(4)に向かって上方に、およびかかと領域(5)に向かって後方に延びる2つの直線縁部(14a、14b)によって制限されており、2つの直線縁部(14a、14b)が、好ましくは少なくとも10mm、より好ましくは少なくとも15mm、さらに好ましくは少なくとも20mm、最も好ましくは少なくとも25mmの長さを有する、[1]~[10]の1つに記載の靴(1)。
[36]外側層(12)が、0.01mm~3mm、好ましくは0.1mm~2mm、より好ましくは0.2mm~1mm、さらに好ましくは0.25mm~0.5mm、最も好ましくは0.28mm~0.32mmの厚みを備えている、[1]~[11]の1つに記載の靴(1)。
[37]内側層(11)が、0.01mm~3mm、好ましくは0.1mm~2mm、より好ましくは0.2mm~1mm、さらに好ましくは0.25mm~0.5mm、最も好ましくは0.28mm~0.32mmの厚みを備えている、[3]~[12]の1つに記載の靴(1)。
[38]内側層(11)の形状が外側層(12)の形状に対応している、[3]~[13]の1つに記載の靴(1)。
[39]内側層(11)が外側層(12)を越えて延びている、[3]~[14]の1つに記載の靴(1)。
[40]内側層(11)が複合層を備え、複合層が好ましくは繊維強化層である、[3]~[15]の1つに記載の靴(1)。
[41]複合層が炭素繊維強化層を含む、[1]~[16]の1つに記載の靴(1)。
[42]外側層(12)が、好ましくはアウトソールから安定化要素(10)の外側層(12)に沿って延びる、補強リブ(50)を備えている、[1]~[17]の1つに記載の靴(1)。
[43]外側層(12)が複合層を備え、外側層(12)が好ましくは、アウトソール(3)の複合モジュールから延びている、[1]~[18]の1つに記載の靴(1)。
[44]アウトソール(3)から足入れ開口(4)までアキレス部位に沿って実質的にまっすぐ延びる、靴アッパー(2)の外部(6)上の線が、内側層(11)および/または外側層(12)によって覆われておらず、好ましくは、前記線が安定化要素(10)によって覆われていない、[1]~[19]の1つに記載の靴(1)。
[45]靴(1)が、[1]~[20]の1つに定められるような2つの安定化要素(10、15)を備え、好ましくは、第1の安定化要素(10)が靴(1)の側方側に配置され、さらに好ましくは、第2の安定化要素(15)が靴(1)の内方側に配置されている、[1]~[20]の1つに記載の靴(1)。
[46]第1の安定化要素(10)および第2の安定化要素(15)が、踵骨を留めるように構成されており、それにより、好ましくはアキレス部位および/またはアキレス腱付着部に圧力を加えない、[21]に記載の靴(1)。
[47]第1の安定化要素(10)および第2の安定化要素(15)が、アキレス部位および/またはアキレス腱付着部を受けるように構成されている靴アッパー(2)の部分を覆わない、[21]または[22]に記載の靴(1)。
[48]第1の安定化要素(10)と第2の安定化要素(15)とが、靴アッパー(2)の外部(6)に沿って、および少なくとも部分的にアキレス部位に沿って延びる距離(30)だけ、離間している、[21]~[23]の1つに記載の靴(1)。
図1
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図12