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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】画像処理装置及び方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2343 20110101AFI20240703BHJP
   H04N 21/262 20110101ALI20240703BHJP
   G06T 15/20 20110101ALI20240703BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240703BHJP
【FI】
H04N21/2343
H04N21/262
G06T15/20 500
G06T19/00 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023020969
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2019025784の分割
【原出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2023057124
(43)【公開日】2023-04-20
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 祥吾
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-191261(JP,A)
【文献】特開2006-115298(JP,A)
【文献】特開2018-036955(JP,A)
【文献】特開2018-093312(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030206(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/199052(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
G06T 15/00 -17/00
G06T 19/00 -19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想視点画像の表示の間にユーザによる仮想視点の変更指示を受け付ける受付手段と、
前記変更指示により前記仮想視点を変更したときの仮想視点画像の第1再生時刻から所定時間を差し引いた第2再生時刻に対応する仮想視点画像であって、当該変更指示による変更後の仮想視点に対応した仮想視点画像を生成する生成手段と、を備え、
前記生成手段により生成される仮想視点画像を用いて前記表示を継続することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記変更後の仮想視点に関連付けて前記所定時間が記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記所定時間は、前記変更指示による変更前の仮想視点の撮像範囲と前記変更後の仮想視点の撮像範囲との重複率に基づいて決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記所定時間は、前記重複率が高いほど長くなることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定時間は、前記変更指示による変更前の仮想視点と前記変更後の仮想視点との距離に基づいて決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記所定時間は、前記距離が長いほど長くなることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
仮想視点の変更指示を受け付ける受付手段と、
前記変更指示による変更後の仮想視点に関連付けられた再生時刻の当該変更後の仮想視点に対応した仮想視点画像を生成する生成手段と、を備え、
前記変更後の仮想視点に関連付けて複数のハイライトシーンの時刻が記憶されており、
前記変更指示は、前記複数のハイライトシーンの時刻から1つの時刻を前記再生時刻として特定する指示を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
前記変更指示は、前記仮想視点と異なる仮想視点に切り替える指示であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記生成手段は、前記変更指示を受け付けていない場合、前記変更指示による変更前の仮想視点に対応する仮想視点画像を生成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
仮想視点画像の表示の間にユーザによる仮想視点の変更指示を受け付ける受付工程と、
前記変更指示により前記仮想視点を変更したときの仮想視点画像の第1再生時刻から所定時間を差し引いた第2再生時刻に対応する仮想視点画像であって、当該変更指示による変更後の仮想視点に対応した仮想視点画像を生成する生成工程と、を備え、
前記生成工程により生成される仮想視点画像を用いて前記表示を継続することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
仮想視点の変更指示を受け付ける受付工程と、
前記変更指示による変更後の仮想視点に関連付けられた再生時刻の当該変更後の仮想視点に対応した仮想視点画像を生成する生成工程と、を備え、
前記変更後の仮想視点関連付けて複数のハイライトシーンの時刻が記憶されており、
前記変更指示は、前記複数のハイライトシーンの時刻から1つの時刻を前記再生時刻として特定する指示を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
コンピュータを請求項1乃至のいずれか1項に記載された画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のカメラを異なる位置に設置して多視点で同期撮影し、当該撮影により得られた複数視点画像を用いて、カメラ設置位置の画像だけでなく任意の視点からなる仮想視点画像を生成する技術が注目されている。複数視点画像に基づく仮想視点画像は、複数のカメラが撮影した複数視点画像をサーバなどの画像処理部に集約し、画像処理部にて、仮想視点に基づくレンダリングなどの処理を施すことにより生成される。生成された仮想視点画像はユーザ端末に転送、表示され、ユーザはこれを閲覧する。
【0003】
上記のような仮想視点画像を用いたサービスでは、従来の撮影画像と比較してユーザに高臨場感を与えることができる。例えば、映像制作者は、サッカーやバスケットボールの試合を撮影した映像から、迫力のある視点のコンテンツを制作することが可能になる。また、コンテンツを視聴しているユーザ自身が自由に視点を移動しながら試合観戦することが出来るようになる。また録画コンテンツを使用することで、視点の移動だけでなく再生時刻の変更により早戻し、一時停止、スロー再生などリプレイ視聴が可能となる。
【0004】
特許文献1では、被写体を取り囲むように複数のカメラを配置して被写体を撮影した画像を用いて、任意の視点に応じた仮想視点画像を生成、表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-15756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
仮想視点画像の動画コンテンツを視聴するユーザが、ある視点から別の視点へ仮想視点を切り替えた場合、特に仮想視点の位置及び向きが大きく変化した場合には、切り替え後に表示されたシーンの状況がすぐには把握できない場合が考えられる。また、ゴールシーンなどの注目すべきイベントが発生したことに気づいたユーザがそのイベントを見やすい視点に切り替えたとしても、すでにそのイベントは終わってしまっている。そのため、ユーザがそのイベントを所望の視点で改めて見たい場合には、視点を切り替えた後に再生時刻を戻す操作を行うことになり、ユーザの手間が大きくなる。
【0007】
本発明は、仮想視点画像の再生に係る仮想視点を変更する場合のユーザの利便性を向上する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による情報処理装置は以下の構成を備える。すなわち、
仮想視点画像の表示の間にユーザによる仮想視点の変更指示を受け付ける受付手段と、
前記変更指示により前記仮想視点を変更したときの仮想視点画像の第1再生時刻から所定時間を差し引いた第2再生時刻に対応する仮想視点画像であって、当該変更指示による変更後の仮想視点に対応した仮想視点画像を生成する生成手段と、を備え、
前記生成手段により生成される仮想視点画像を用いて前記表示を継続する
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、仮想視点画像の再生に係る仮想視点を変更する場合のユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は第1実施形態による画像処理システムの構成例を示す図、(b)は画像生成装置のハードウェア構成例を示すブロック図。
図2】画像処理システムにおける撮影装置の設置例を示す図。
図3】画像生成装置の機能構成例を示すブロック図。
図4】第1実施形態による仮想視点画像の生成処理を示すフローチャート。
図5】(a)は第1実施形態による仮想空間と仮想視点の配置例を示す概念図、(b)及び(c)は第1実施形態による画面表示例を示す図。
図6】第2実施形態による仮想視点画像の生成処理を示すフローチャート。
図7】(a)は第2実施形態に係る仮想空間と仮想視点の配置例を示す概念図、(b)及び(c)は第2実施形態による画面表示例を示す図。
図8】第3実施形態による仮想視点画像の生成処理を示すフローチャート。
図9】(a)は第3実施形態による仮想空間と仮想視点の配置例を示す概念図、(b)及び(c)は第3実施形態による画面表示例を示す図。
図10】第4実施形態による仮想視点画像の生成処理を示すフローチャート。
図11】(a)は第4実施形態による履歴情報を説明する図、(b)及び(c)は第4実施形態による画面表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<第1実施形態>
図1(a)は、第1実施形態に係る画像処理システム100の構成例を示す図である。画像処理システム100は、複数の撮影装置110と、情報処理装置の一例である画像生成装置120と、端末装置130と、を有している。複数の撮影装置110の各々と画像生成装置120は、LAN(Local Area Network)ケーブル等の通信ケーブルを介して接続している。なお、第1実施形態においては、通信ケーブルはLANケーブルであるものとするが、通信ケーブルは実施形態に限定されるものではない。
【0013】
撮影装置110は、例えば画像(静止画及び動画)を撮影可能なデジタルカメラである。複数の撮影装置110がサッカー場等の競技場や特定の被写体を取り囲むように設置され、画像(映像)を撮影する。撮影された画像は、撮影装置110から画像生成装置120に送信される。図2は、撮影装置110の設置例を示す図である。第1実施形態においては、複数の撮影装置110は、それぞれサッカー場のすべて又は一部を撮影するように設置されているものとする。つまり、第1実施形態の画像処理システム100には、被写体を複数の方向から撮影するための複数の撮影装置110が含まれる。
【0014】
画像生成装置120は、撮影装置110により得られた撮影画像を蓄積する。画像生成装置120は、端末装置130におけるユーザ操作により仮想視点情報と再生時刻情報とが入力されると、蓄積した撮影画像と仮想視点情報が示す仮想視点とに基づいて、再生時刻情報が示す再生時刻からの仮想視点画像を生成する。仮想視点情報は、撮影画像から構築される仮想空間における仮想的な視点(仮想視点)の3次元的な位置と角度とを示す情報である。仮想視点情報は、撮影した競技場の中央など所定位置に対する相対的な位置、つまり所定位置に対する前後、左右、上下の位置情報、その所定位置からの向き、つまり前後、左右、上下を軸とする角度の方向情報とを少なくとも含む。また再生時刻情報とは、撮影画像の録画開始時刻からの時刻情報である。画像生成装置120は、再生時刻情報により指定される再生時刻の仮想視点画像を生成する。
【0015】
画像生成装置120は、例えば、サーバ装置であり、データベース機能や、画像処理機能を備えている。画像生成装置120は、競技の開始前など予め被写体が存在しない状態の競技会場の場面を撮影装置110により撮影した画像を、背景画像としてデータベースに保持する。また、画像生成装置120は、競技中の選手など被写体が存在するシーンでは、被写体となる特定のオブジェクト等を画像処理により前景として分離し、特定オブジェクト画像としてデータベースに保持する。なお、特定オブジェクトは、競技する選手だけでなく、例えば、他の特定人物(控え選手、監督、審判など)であってもよく、ボールやゴールなど、画像パターンが予め定められている物体であってもよい。
【0016】
仮想視点情報に対応した仮想視点画像は、データベースで管理された背景画像と特定オブジェクト画像とから生成される。仮想視点画像の生成方式として、例えばモデルベースレンダリング(Model-Based Rendering:MBR)が用いられる。MBRとは、被写体を複数の方向から撮影した複数の撮影画像に基づいて生成される三次元モデルを用いて仮想視点画像を生成する方式である。より具体的には、MBRとは、視体積交差法、Multi-View-Stereo(MVS)などの三次元形状復元手法により得られた対象シーンの三次元形状(モデル)を利用し、仮想視点からのシーンの見えを画像として生成する技術である。なお、仮想視点画像の生成方法には、MBR以外のレンダリング手法が用いられてもよい。画像生成装置120は、生成した仮想視点画像を、LANケーブルなどを介して、端末装置130に伝送する。
【0017】
端末装置130は、例えば、PC(Personal Computer)やタブレットである。コントローラ131は、例えば、マウス、キーボード、6軸コントローラ、タッチパネルであり、これらを用いてユーザは操作し、画面上に静止画像や動画像を表示する。端末装置130は、例えば、画像生成装置120から受信した仮想視点画像を画面132に表示する。端末装置130は、さらに、接続されたコントローラ131に対するユーザ操作に応じて、再生時刻と仮想視点の移動の指示(移動量と移動方向に関する指示)を受け付け、受け付けた指示に応じた指示情報を示す伝送信号を画像生成装置120に送信する。
【0018】
図1(b)は、第1実施形態による情報処理装置としての画像生成装置120のハードウェア構成例を示すブロック図である。画像生成装置120は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、HDD204と、表示部205と、入力部206と、通信部207とを有している。
【0019】
CPU201は、ROM202に記憶された制御プログラムを読み出して各種処理を実行するプロセッサである。ROM202は読み出し専用のメモリ(Read Only Memory)である。RAM203は、随時書き込みが可能なメモリ(Random Access Memory)であり、CPU201の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD204は、各種データや各種プログラム等を記憶する、ハードディスクなどの記憶媒体である。表示部205は、各種情報を表示する。入力部206は、キーボードやマウスを有し、ユーザによる各種操作を受け付ける。通信部207は、ネットワークを介して撮影装置110等の外部装置との通信処理を行う。なお、ネットワークとしては、イーサネット(登録商標)が挙げられる。また、他の例として、通信部207は、無線により外部装置との通信を行ってもよい。
【0020】
なお、後述する画像生成装置120の機能や処理は、CPU201がROM202又はHDD204に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することにより実現されるものである。但し、後述する画像生成装置120の機能の一部またはすべてが専用のハードウェアにより実現されてもよいし、あるいは専用のハードウェアとソフトウェアとの協働により実現されてもよい。また、端末装置130のハードウェア構成は、画像生成装置120のハードウェア構成と同様である。
【0021】
図3は、画像生成装置120の機能構成例を示すブロック図である。画像入力部301は、撮影装置110からLANケーブルを介して入力された伝送信号を撮影画像データに変換して分離部302へ出力する。分離部302は、画像入力部301から入力された撮影画像のうち、競技の開始前など予め被写体が存在しない状態の競技会場の場面を撮影した画像を背景画像データとして画像保存部303へ出力する。また、競技中に撮影された画像から選手など被写体を抽出し、前景画像データとして画像保存部303へ出力する。画像保存部303は、分離部302から入力された撮影画像データのうち、被写体が存在しない状態で予め撮影された画像を背景画像データとして保存するデータベースとして機能する。また、画像保存部303は、背景画像データと被写体の存在する撮影画像データとの差分データを前景画像データとして保存する。また、画像保存部303は、形状生成部305に前景画像データを出力する。また、画像保存部303は、画像生成部310により指定された背景画像データと前景画像データを画像生成部310へ出力する。
【0022】
パラメータ保持部304は、競技場を取り囲むように配置された複数の撮影装置110の各々の位置情報、焦点距離、シャッタースピードなどをカメラパラメータ情報として保持する。撮影装置110の設置についてはあらかじめ決められた位置に設置することとする。また、パラメータ保持部304は、カメラパラメータ情報を形状生成部305と画像生成部310へ出力する。形状生成部305は、画像保存部303から入力された前景画像データと、パラメータ保持部304から入力されたカメラパラメータ情報とを用いて、被写体の形状を推定する。例えば、形状生成部305は、視体積交差法などの三次元形状復元手法を用いて被写体の被写体形状情報を生成する。形状生成部305は、生成した被写体形状情報を画像生成部310へ出力する。
【0023】
ユーザ入力部306は、端末装置130からLANケーブルを介して入力された伝送信号をユーザ入力データに変換する。ユーザ入力データが再生時刻情報と仮想視点情報である場合、再生時刻情報と仮想視点情報を情報設定部307へ出力する。また、ユーザ入力データが仮想視点切り替え指示である場合、仮想視点切り替え指示を情報設定部307へ出力する。ここで、仮想視点切り替え指示とは、例えば予めゴール付近の仮想視点の位置と「ゴール前1」などのタグ名を保存管理しておき、そのタグ名をユーザ入力部306から入力することにより、この保存された位置へ瞬時に移動する動作を指す。すなわち、ユーザは、サッカーのシュートシーンが発生する録画時刻にタグ名「ゴール前1」を指定することで、ゴール付近の仮想視点からのシュートシーンを見ることができる。
【0024】
情報設定部307は、ユーザ入力部306から入力された仮想視点情報に基づいて、画像生成部310が仮想視点画像の生成に用いる仮想視点を更新する。また、情報設定部307は、ユーザ入力部306から仮想視点切り替え指示を入力した場合、入力された仮想視点切り替え指示に基づいて視点保持部309に保持されている仮想視点情報を取得し、画像生成部310が用いる仮想視点情報を更新する。また、情報設定部307は、仮想視点切り替え指示を入力した場合、時刻保持部308に保存されている再生時刻情報を取得し、画像生成部310が用いる再生時刻情報を更新する。情報設定部307は、仮想視点情報と再生時刻情報を画像生成部310へ出力する。なお、仮想空間の原点として競技場の中心などが予め設定されている。
【0025】
時刻保持部308と視点保持部309は、所定の仮想視点と再生時刻情報とを対応付けて保持する保持部として機能する構成の一例である。ここで、所定の仮想視点は、仮想視点切り替え指示により仮想視点の切り替え先として指定される仮想視点である。時刻保持部308は、所定の仮想視点に対応した再生時刻情報を保持し、情報設定部307へ出力する。本実施形態では、再生時刻情報は、例えば、0時0分3秒などのような時刻差分値を含む。なお、ここでは時刻差分値を例としたが、再生時刻情報の内容はこれに限定されるものではなく、録画の開始時刻からの所定の経過時刻を保持するようにしてもよい。視点保持部309は、所定の仮想視点(位置、方向)を示す仮想視点情報を保持し、情報設定部307へ出力する。視点保持部309は、例えばサッカー場のゴールを正面から見る仮想視点を仮想視点情報とし、タグ名と関連付けて保持する。
【0026】
情報設定部307は、仮想視点切り替え指示において「ゴール前1」などのタグ名を指定することにより、切り替え後の仮想視点情報と再生時刻情報を取得する。なお、所定の仮想視点は、ユーザが任意に指定できるものとする。従って、情報設定部307は、仮想視点を所定の仮想視点へ切り替える指示に応じて、仮想視点画像の生成に用いられる仮想視点を当該所定の仮想視点に設定する機能を実現する構成の一例である。また、情報設定部307は、当該切り替える指示に応じて、仮想視点画像の再生時刻を、所定の仮想視点に対応づけて保持されている再生時刻情報に基づいて設定する機能を実現する構成の一例である。
【0027】
画像生成部310は、複数の撮影画像から、情報設定部307により設定された仮想視点から観察される、情報設定部307により設定された再生時刻の仮想視点画像を生成する。画像生成部310は、画像保存部303から前景画像データおよび背景画像データを、パラメータ保持部304からカメラパラメータを、形状生成部305から被写体形状情報を、情報設定部307から再生時刻情報および仮想視点情報を取得する。次に、画像生成部310は、取得した情報に基づいて、該当時刻に撮影された背景画像データを仮想視点から見た形状に投影変換や画像処理を施して仮想視点画像の背景とする。次に、画像生成部310は、仮想視点位置から見た被写体形状に対して、該当時刻に実カメラで撮影された画像データの色情報でレンダリング(着色処理)して仮想視点画像を生成する。例えば、仮想視点から被写体形状情報に基づく被写体が見えている状況で、被写体形状情報の位置から所定の範囲内に実カメラ位置情報がある場合、画像生成部310は、その実カメラの前景画像データを形状モデルの色として使用する。
【0028】
以上の、情報設定部307、時刻保持部308および視点保持部309は、複数の撮影装置により取得される複数の撮影画像から仮想視点画像を生成するために用いられる仮想視点と再生時刻を決定する仮想視点設定装置として機能する。この仮想視点設定装置により設定された仮想視点と再生時刻を用いて、画像生成装置120の画像生成部310は、複数の撮影装置により取得される複数の撮影画像から仮想視点画像を生成する。画像出力部311は、画像生成部310が生成した仮想視点画像(画像データ)を、端末装置130へ伝送可能な伝送信号に変換して出力する。なお、比較部321、距離算出部331、履歴保持部341については、それぞれ第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態で用いられる構成であり、第1実施形態では省略可能である。これらの機能構成については、それぞれの実施形態において後述する。
【0029】
次に、画像生成装置120の動作について説明する。図4は、第1実施形態の画像生成装置120による仮想視点画像の生成処理を示すフローチャートである。
【0030】
ユーザ入力部306は、受信したデータが端末装置130からのユーザ入力データであるか否か監視する(S401)。受信したデータがユーザ入力データ以外のデータである場合は待機する(S401でNO)。受信したデータがユーザ入力データである場合(S401でYES)、情報設定部307は、受信したユーザ入力データが視点切り替え指示であるか否かを判断する(S402)。
【0031】
ユーザ入力データが視点切り替え指示であると判断された場合(S402でYES)、情報設定部307は、視点保持部309に保存されている仮想視点情報と、時刻保持部308に保存されている再生時刻情報を取得する(S403)。なお、視点切り替え指示は、切り替え先の仮想視点を示すタグ名を含み、情報設定部307は、指定されたタグ名の仮想視点情報とこれに対応する再生時刻情報(時刻差分値)を取得する。一方、ユーザ入力データが視点切り替え指示ではない場合(S402でNO)、情報設定部307は、ユーザ入力部306から、再生時刻と仮想視点を取得する(S404)。なお、ユーザ入力部306から再生時刻情報が入力されない場合、情報設定部307は、仮想視点画像の現在の再生時刻に継続する時刻を再生時刻として用いるようにしてもよい。
【0032】
情報設定部307は、S403またはS404で取得した仮想視点情報と再生時刻情報でもって、画像生成部310が使用する仮想視点と再生時刻を更新する(S405)。ここで、S403で再生時刻情報が取得された場合、情報設定部307は、再生時刻情報に含まれている時刻差分値を用いて仮想視点の切り替え時の再生時刻を変更する。本実施形態では、情報設定部307は、切り替え時の再生時刻から時刻差分値を差し引いた時刻を切り替え後の再生時刻として設定することで、再生時刻を過去の時刻へ戻す。画像生成部310は、更新された再生時刻と仮想視点に基づき、該当する時刻に撮影された前景画像データと背景画像データを画像保存部303から取得する(S406)。また、画像生成部310は、被写体形状情報を形状生成部305から取得する(S407)。さらに、画像生成部310は、カメラパラメータ情報をパラメータ保持部304から取得する(S408)。
【0033】
画像生成部310は、背景画像データを、仮想視点情報が示す仮想視点から見た形状に投影変換や画像処理を施して仮想視点画像の背景とする。次に、画像生成部310は、仮想視点から見た被写体形状に対して、実カメラで撮影された画像データの色情報でレンダリング(着色処理)して仮想視点画像を生成する(S409)。こうして、S405で更新された再生時刻を開始時刻として、S405で更新された仮想視点の仮想視点画像が生成される。
【0034】
図5(a)は、第1実施形態による仮想空間の概念図である。撮影装置110の撮影画像をもとに生成された仮想空間上で、ユーザが操作する仮想視点501は、被写体510を撮影しており、被写体510のシュートシーンに対して十分離れた位置にある。また仮想視点502は視点保持部309に保存されている仮想視点情報に基づく位置を示しており、ゴール前のシュートシーンが撮影しやすい位置に配置されている。仮想視点502は、例えば、「ゴール前1」というタグ名と関連付けられた仮想視点情報により指定される仮想視点である。
【0035】
図5(b)は、端末装置130における仮想視点画像の表示例である。仮想視点501から被写体510を撮影すると図5(b)のように表示される。またこの時の再生時刻は11:22:33であるとする。この状態で、「ゴール前1」という仮想視点への仮想視点切り替え指示をユーザが端末装置130を介して実行すると、情報設定部307は、画像生成部310が用いる仮想視点を、仮想視点502の位置へ移動する。また、この時、情報設定部307は、「ゴール前1」に対応する再生時刻情報(0時0分3秒)を時刻保持部308から取得し、画像生成部310が用いる再生時刻を3秒前に戻す。結果、画像生成部310が生成し、端末装置130が表示する仮想視点画像は、図5(c)のように表示される。このときの再生時刻は、図5(b)の再生時刻から3秒戻り、11:22:30となる。このように、ユーザ操作により仮想視点の切り替えが実行された場合、再生時刻を予め保持している時刻差分値をもとに変更することで、仮想視点切り替え時のシーンの脈絡が把握しやすくなる。また、ユーザはいちいち再生時刻を設定する必要がなく、操作性が向上する。
【0036】
以上のように、第1実施形態によれば、ユーザ操作による仮想視点の切り替え時に、切り替え時よりも前の再生時刻の仮想視点画像が自動的に生成されるので、容易なユーザ操作で好適なシーン閲覧が可能となる。なお、時刻保持部308が所定の仮想視点に対応する再生時刻情報として所定の再生時刻(録画の開始時刻からの経過時刻)を保持し、情報設定部307は、所定の仮想視点への切り替え後の再生時刻を当該所定の再生時刻に設定するように構成してもよい。また、そのような構成において、再生時刻情報が示す再生時刻が現在の再生時刻よりも時間的に後である場合には、切り替え後の再生時刻を切り替え時の再生時刻から継続させるようにしてもよい。もちろん、再生時刻情報が示す再生時刻が現在の再生時刻よりも時間的に後であっても切り替え後の再生時刻を再生時刻情報に従って更新するようにしてもよい。例えば、ハイライトシーンの時刻を設定しておくことにより、所望の仮想視点からのハイライトシーンを所望のタイミング(当該ハイライトシーンの時刻より前でも後でも)で再生させることができる。
【0037】
<第2実施形態>
第2実施形態では、仮想視点の切り替え時に、仮想視点切り替え前の表示範囲と切り替え後の表示範囲との位置関係に基づいて、再生時刻の変更量を変える。
【0038】
第2実施形態では、図3に示される比較部321が用いられる。比較部321は、仮想視点の切り替え前の仮想視点画像の表示範囲と、仮想視点の切り替え後の仮想視点画像の表示範囲との重複の状態を判定する判定部として機能する構成の一例である。本実施形態の比較部321は、情報設定部307から仮想視点切り替え前の仮想視点情報と仮想視点切り替え後の仮想視点情報を取得し、それぞれの仮想視点による表示範囲を比較する。そして、比較部321は、仮想視点切り替え前の表示範囲と仮想視点切り替え後の表示範囲に重複する部分があるか否かを判定し、その結果を重複情報として出力する。なお、重複情報は、重複する部分の有無を示すものに限られず、例えば、重複する部分の面積や、仮想視点切り替え前の表示範囲に対する重複部分の割合を算出して、その情報(重複の状態を示す情報)を保持するようにしてもよい。
【0039】
第2実施形態の情報設定部307は、上記のようにして判定された重複の状態に基づいて、切り替え時の再生時刻から切り替え後の再生時刻への変更量を異ならせる。より具体的に説明すると、まず、情報設定部307は、ユーザ入力部306から仮想視点切り替え指示を入力した場合、当該指示による切り替え先の仮想視点に対応した仮想視点情報を視点保持部309から入力する。そして、情報設定部307は、仮想視点切り替え直前の仮想視点情報と、視点保持部309から取得した仮想視点情報とを比較部321へ出力する。情報設定部307は、比較部321から重複情報を取得し、この重複情報に応じて時刻保持部308から取得した再生時刻情報により画像生成部310が用いる再生時刻を更新する。例えば、重複情報が仮想視点切り替え前後の表示範囲に重複部分があることを示す場合の再生時刻情報(時刻差分値)は0時0分3秒とする。一方、例えば、重複情報が重複部分のないことを示す場合の再生時刻情報は0時0分5秒とする。このように、仮想視点の切り替えの前後で表示範囲が重複部分を含まない場合の時刻差分値は、これら表示範囲が重複部分含む場合の時刻差分値に比べて大きい値に設定されている。
【0040】
図6は、第2実施形態による画像生成装置120による仮想視点画像の生成処理を示すフローチャートである。なお、図6に示す処理のうち、図4に示す処理と同じ処理については、同一の参照番号を付してある。
【0041】
S402の処理の後、情報設定部307は、視点保持部309が保持している仮想視点情報を取得する(S601)。次に、比較部321は、仮想視点の切り替え前の仮想視点情報と視点保持部309から取得した仮想視点情報とを情報設定部307から取得し、表示範囲を比較することにより重複情報を生成する(S902)。情報設定部307は、重複情報を参照して、仮想視点の切り替え前後の表示範囲が重複部分を有するか否かに応じて、時刻保持部308から取得する再生時刻情報を切り替える(S903)。例えば、仮想視点の切り替え前後の表示範囲が重複部分を含まないことを重複情報が示す場合は第1の時刻差分値が、その他の場合には第2の時刻差分値が取得される。ここで、第1の時刻差分値は第2の時刻差分値よりも大きい。例えば、第1の時刻差分値は0時0分5秒、第2の時刻差分値は0時0分3秒とする。S405以降の処理は、第1実施形態と同様である。
【0042】
図7(a)は、第2実施形態による仮想空間の概念図である。図5(a)に対し、仮想視点701と被写体710が加えられている。仮想視点701は、仮想視点502とは異なる仮想視点であり、視点保持部309に保存されている仮想視点情報に基づく仮想空間上の位置を示している。仮想視点701は、被写体710を撮影しやすい位置に配置されている。
【0043】
図7(b)は、第2実施形態の端末装置130における仮想視点画像の画面表示例である。第2実施形態では、情報設定部307は、表示範囲における重複部分の存否の判定をしており、その判定結果に応じて再生時刻情報を変更する。例えば、仮想視点501から仮想視点502へ切り替えられた場合、視点切り替え前後の表示範囲に重複部分が含まれるため、再生時刻の設定に用いる時刻差分値は0時0分3秒とする。結果、視点切り替えの前後において、図7(b)(図5(b)と同じ)および図5(c)に示した表示が得られる。一方、仮想視点501から仮想視点701へ切り替えられた場合、視点切り替え前後の表示範囲に重複部分がないので、重複部分がある場合に比較して大きな時刻差分値(0時0分5秒)が用いられる。その結果、図7(c)に示されるように、仮想視点画像の再生時刻は、11時22分28秒となる。
【0044】
以上のように、第2実施形態によれば、仮想空間上で視点切り替え表示する場合、切り替え前後で表示範囲に重複する部分があるか否かに応じて再生時刻が変更される。そのため、視点切り替え前後の表示内容に応じた時刻を自動的に設定することが可能となる。なお、上記第2実施形態では、表示範囲が重複するか否かに応じて再生時刻の変更量を決定したが、表示範囲の重複部分の大きさなどに基づいて複数段階に変更量が調整されるようにしてもよい。また、上記構成では重複情報に応じて時刻差分値を選択するが、これに限られるものではない。時刻保持部308は1つの仮想視点について1つの時刻差分値を保持し、情報設定部307が、時刻保持部308から取得した時刻差分値を重複情報に従って増減させるようにしてもよい。
【0045】
<第3実施形態>
第3実施形態では、仮想視点の切り替え時に、切り替え前後の仮想視点の空間的な距離に応じて、再生時刻の変更量を変える。
【0046】
第3実施形態の画像生成装置120は、図3の構成において、距離算出部331を有する。距離算出部331は、情報設定部307から入力された仮想視点切り替え前の仮想視点情報と仮想視点切り替え後の仮想視点情報から、仮想視点の移動距離を算出し、移動距離情報として情報設定部307へ供給する。距離算出部331は、切り替え前の仮想視点と切り替え後の仮想視点との距離を算出する算出部として機能する構成の一例である。
【0047】
情報設定部307は、距離算出部331により算出された距離に基づいて、仮想視点の切り替え時の再生時刻から切り替え後の再生時刻への変更量を異ならせる。より具体的に説明すると、まず、情報設定部307は、ユーザ入力部306から仮想視点切り替え指示を入力した場合、その仮想視点切り替え指示により指定された切り替え先の仮想視点情報を視点保持部309から取得する。情報設定部307は、仮想視点切り替え直前の仮想視点情報と、視点保持部309から取得した仮想視点情報とを距離算出部331へ提供する。距離算出部331は、提供された2つの仮想視点情報により示される2つの仮想視点の間の距離を算出する。情報設定部307は、距離算出部331が算出した距離を示す移動距離情報を取得し、これに応じて、時刻保持部308から再生時刻情報を取得し、取得した再生時刻情報により再生時刻情報を更新する。
【0048】
例えば、時刻保持部308は、上記の切り替え先の仮想視点に関して、移動距離が40m以下の場合の再生時刻情報として0時0分3秒、移動距離が40mより大きい場合の再生時刻情報として0時0分5秒を保持しているとする。情報設定部307は、距離算出部331から取得した移動距離情報が、移動距離30mを表す場合、時刻保持部308から再生時刻情報として0時0分3秒を取得する。一方、移動距離情報が移動距離50mを表す場合、情報設定部307は、時刻保持部308から再生時刻情報として0時0分5秒を取得する。その後、情報設定部307は、取得した再生時刻情報を用いて再生時刻情報を更新し、仮想視点情報を切り替え先の仮想視点で更新し、更新された情報を画像生成部310へ提供する。
【0049】
図8は、第3実施形態の画像生成装置120による、仮想視点画像の生成処理を示すフローチャートである。なお、図8に示す処理のうち、図4に示す各処理と同じ処理については、図4と同一の参照番号を付してある。
【0050】
S402の処理の後、情報設定部307は、視点保持部309から仮想視点の切り替え後の仮想視点情報を取得する(S801)。距離算出部331は、仮想視点切り替え前の仮想視点情報と、情報設定部307が視点保持部309から取得した仮想視点切り替え後の仮想視点情報とから、当該切り替え前後における仮想視点の距離を示す移動距離情報を取得する(S802)。
【0051】
続いて、情報設定部307は、移動距離情報に応じた時刻差分値を時刻保持部308から取得する(S803)。具体的には、距離算出部331から取得した移動距離情報が所定値以下の移動距離を示す場合(上記例では移動距離が40m以下の場合)、時刻保持部308から取得される再生時刻情報(時刻差分値)は0時0分3秒となる。一方、距離算出部331から取得した移動距離情報が所定値より大きい移動距離を示す場合(上記例では移動距離が40mより大きい場合)、時刻保持部308から取得される再生時刻情報(時刻差分値)は0時0分5秒となる。S405以降の処理は、第1実施形態と同様である。
【0052】
図9(a)は、第3実施形態による仮想空間の概念図である。図5(a)に加えて、仮想視点901は、視点保持部309に保存されている仮想視点情報に基づく仮想空間上の位置を示しており、仮想視点501の位置から見て、仮想視点502の位置よりも離れた位置にある。
【0053】
図9(b)、図9(c)は、第3実施形態の端末装置130における仮想視点画像の画面表示例を示す。図9(b)は、仮想視点501における仮想視点画像の表示例を示している(図5(b)と同じ画像)。第3実施形態では、仮想視点の移動距離に基づいて再生時刻を設定している。上記の例において、仮想視点501から仮想視点502への視点切り替えの場合は、視点切り替え前後で仮想視点の移動距離が30mであり、時刻差分値は0時0分3秒となる。結果、仮想視点502への切り替え後は上述した図5(c)のように、再生時刻は11時22分30秒となる。一方、仮想視点501から仮想視点901への視点切り替えの場合は、視点切り替え前後で仮想視点の移動距離が50mであり、時刻差分値は0時0分5秒となる。結果、切り替え後の再生時刻は、図9(c)のように、11時22分28秒となる。すなわち、より遠い位置への視点切り替えに対して、再生時刻をより過去に戻すことになる。
【0054】
以上のように、第3実施形態によれば、仮想空間上で視点切り替え表示する場合、切り替え前後での移動距離に応じて再生時刻が変更されるので、視点切り替え前後の表示内容に応じた時刻設定をすることが可能となる。なお、第3実施形態では、仮想視点の移動距離が所定値より大きいか否かに応じて再生時刻の変更量を決定したが、これに限られるものではない。仮想視点の移動距離が大きいほど変更量が大きくなればよく、例えば、2つ以上の閾値により移動距離を3段階以上に分けて、各段階に応じた変更量が用いられるようにしてもよい。
【0055】
<第4実施形態>
第4実施形態では、切り替え先の仮想視点として視点保持部309に保持されている仮想視点に対応する仮想視点画像について、再生時刻と再生回数の関係を示す履歴情報を保持し、切り替え後の再生時刻を、履歴情報に基づいて設定する。例えば、仮想視点の切り替え時に、切り替え後の仮想視点の再生時刻のうち視聴回数の多い時刻が履歴情報から取得され、仮想視点画像の再生時刻に設定される。
【0056】
第4実施形態の画像生成装置120の機能構成では、図3に示される履歴保持部341が用いられる。履歴保持部341は、視点保持部309が保持している仮想視点について、その仮想視点に対応する仮想視点画像の再生時刻と再生回数の関係を示す履歴情報を保持する。図11(a)に示されるように、切り替え先として利用可能な仮想視点について、過去の再生時刻と再生回数(視聴回数)が保持されている。視聴回数は、例えば、同一コンテンツの仮想空間上の位置、再生時刻でユーザが視聴した回数を加算することにより得られる。本例では、例えば時刻t3~t5の間の仮想視点画像が再生されると、時刻t3,t4、t5における視聴回数が1つカウントアップする。例えば、サッカーのゴール付近の仮想視点による仮想視点画像を、シュートシーンが起きた時刻で多くのユーザが視聴したり繰り返し視聴したりすることで、当該仮想視点画像が高視聴率となる。情報設定部307は、切り替え後の仮想視点情報に対する高視聴時刻の提供を履歴保持部341に要求する。履歴保持部341は、この要求に応じて、当該仮想視点情報に関して視聴回数の最も多い再生時刻を、高視聴再生時刻情報として情報設定部307へ提供する。
【0057】
情報設定部307は、ユーザ入力部306から仮想視点切り替え指示を入力した場合、入力された仮想視点切り替え指示に基づく切り替え後の仮想視点情報を視点保持部309から取得する。また、履歴保持部341から、切り替え後の仮想視点情報における高視聴再生時刻情報を取得する。そして、情報設定部307は、取得した切り替え後の仮想視点情報を用いて画像生成部310が用いる仮想視点情報を更新し、取得した高視聴再生時刻情報を用いて画像生成部310が用いる再生時刻情報を更新する。
【0058】
図10は、第4実施形態の画像生成装置120による仮想視点画像の生成処理を示すフローチャートである。なお、図10に示す処理のうち、図4に示す各処理と同じ処理については、同一の参照番号を付してある。
【0059】
S402の処理の後、情報設定部307は、視点保持部309から仮想視点情報を取得する(S1001)。次に、情報設定部307は、視点保持部309から取得した仮想視点情報に対応する仮想視点位置の高視聴再生時刻情報を、履歴保持部341から取得する。(S1002)。情報設定部307は、高視聴再生時刻情報を用いて仮想視点切り替え後の再生時刻情報を更新する。例えば、高視聴再生時刻情報が仮想視点切り替え時の再生時刻よりも過去の時刻であれば、その時刻を仮想視点切り替え後の再生時刻とする。なお、高視聴再生時刻情報が仮想視点の切り替え時の再生時刻よりも後の時刻である場合、情報設定部307は、仮想視点の切り替え時の再生時刻を切り替え後の仮想視点画像の再生開始時刻とする。但し、高視聴再生時刻情報が切り替え時の再生時刻よりも後の時刻であっても、高視聴再生時刻情報が示す時刻を切り替え後の仮想視点画像の再生開始時刻としてもよい。S405以降の処理は、第1実施形態と同様である。すなわち、視点切り替え指示を受け付けた場合、視点保持部309が保持している仮想視点と、履歴保持部341が保持している履歴情報から最も視聴回数の多い再生時刻を用いて仮想視点画像が生成されることになる。
【0060】
図11(b)、(c)は、第4実施形態の端末装置130における仮想視点画像の画面表示例を示す。仮想視点501から仮想視点502への切り替えにおいて、仮想視点切り替え後の位置を示す仮想視点502のうち、最も高視聴回数となった時刻(高視聴再生時刻情報)が、時刻11時22分27秒であったとする。この場合、画面表示は、図11(b)に示される仮想視点501の仮想視点画像(時刻11時22分33秒)の表示から、図11(c)に示される仮想視点502の仮想視点画像の表示に切り替わる。この時、再生時刻11時22分27秒から仮想視点502からの仮想視点画像の再生が行われる。なお、仮想視点の切り替えが行われた際に、高視聴の再生時刻よりも所定時間前の時刻から仮想視点画像が再生されてもよい。例えば上記の例であれば、仮想視点501から仮想視点502に切り替わる場合に、最も高視聴の11時22分27秒より3秒前の11時22分24秒から仮想視点502の仮想視点画像が再生されてもよい。これにより、ユーザは、重要なシーンと併せてその直前のシーンも確認することができる。
【0061】
以上のように、第4実施形態によれば、仮想空間上で視点切り替え表示する場合、切り替え後の仮想視点における高視聴時刻に応じて再生時刻が変更される。このため、ユーザは簡易な操作で、仮想視点の切り替え後の仮想視点画像の再生を、適切な再生時刻で行うことができる。なお、高視聴時刻は視聴履歴をもとに設定したが、これに限らずコンテンツ製作者側で、高視聴時刻となりうる時刻を事前にコンテンツ視聴などにより判定しておき、予め設定しておいてもよい。
【0062】
以上、第1実施形態から第4実施形態において、仮想視点情報については、ただ1か所のみではなく、複数または所定の領域範囲が存在し、その中からさらに選択するようにしてもよい。また、再生時刻についても1か所のみではなく、1つまたは複数の時刻範囲が存在し、その中からさらに選択するようにしてもよい。なお、仮想視点の切り替えは、予め設定された複数の視点の中から切り替え先の視点を選択するユーザ操作に応じて行われてもよいし、これに限らず、切り替え先の視点の位置及び方向の少なくとも何れかを直接指定するユーザ操作に応じて行われてもよい。すなわち、画像生成装置120が切り替え先の候補となる所定の仮想視点を保存しておくことは必須ではない。
【0063】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0064】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
100:画像処理システム、110:撮影装置、120:画像生成装置、130:端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
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