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特許7514357電子霧化装置、霧化器、霧化コアおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】電子霧化装置、霧化器、霧化コアおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240703BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20240703BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023069321
(22)【出願日】2023-04-20
(65)【公開番号】P2023159888
(43)【公開日】2023-11-01
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】202210418908.9
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】呂 紅霞
(72)【発明者】
【氏名】李 沛
(72)【発明者】
【氏名】蒋 振龍
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-061938(JP,A)
【文献】国際公開第2022/021036(WO,A1)
【文献】中国実用新案第216059228(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
H05B 3/00- 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質基材と、発熱層と、保護層と、を含む霧化コアであって、
前記多孔質基材は霧化面を有し、
前記発熱層は前記多孔質基材の前記霧化面に設置され、
前記保護層は前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に設置され、前記保護層は金属アルミニウムおよび酸化アルミニウムを含み、
前記金属アルミニウムの表面は前記酸化アルミニウムに少なくとも部分的に覆われ、酸化アルミニウム層が形成される
ことを特徴とする霧化コア。
【請求項2】
前記金属アルミニウムは、アルミニウム膜層および/またはアルミニウム粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の霧化コア。
【請求項3】
隣接する前記アルミニウム粒子の間に前記酸化アルミニウムが充填され、複数の前記アルミニウム粒子及び前記酸化アルミニウムが発熱層に接触されることを特徴とする請求項2に記載の霧化コア。
【請求項4】
前記発熱層と接触しない複数の前記アルミニウム粒子の表面は前記酸化アルミニウムに完全に覆われることを特徴とする請求項2に記載の霧化コア。
【請求項5】
前記霧化コアはさらに2つの電極を含み、前記電極は前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に設置され、前記発熱層は前記保護層及び2つの前記電極に共に覆われることを特徴とする請求項1に記載の霧化コア。
【請求項6】
前記酸化アルミニウム層の厚さは100nm~600nmであり、および/または前記アルミニウム粒子の粒径が100nm~3μmであり、および/または前記アルミニウム膜層の厚さは100nm~1μmであることを特徴とする請求項2に記載の霧化コア。
【請求項7】
エアロゾル生成基質を貯蔵するための液体貯蔵室および請求項1~6のいずれか一項に記載の前記霧化コアを含む霧化器であって、
前記霧化コアは、前記エアロゾル生成基質を加熱および霧化することに用いられることを特徴とする霧化器。
【請求項8】
電源アセンブリおよび請求項7に記載の前記霧化器を含む電子霧化装置であって、
前記電源アセンブリは、前記霧化器にエネルギーを供給することに用いられることを特徴とする電子霧化装置。
【請求項9】
発熱層が堆積された多孔質基材を得るステップと、
前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に金属アルミニウムを堆積するステップと、
前記金属アルミニウムを酸化するステップと、
ことを含むことを特徴とする霧化コアの製造方法。
【請求項10】
前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に金属アルミニウムを堆積するステップは、前記多孔質基材から離離れた前記発熱層の表面に厚さが100nm~1μmである前記金属アルミニウムを堆積することを含むことを特徴とする請求項9に記載の霧化コアの製造方法。
【請求項11】
アルミニウム金属を酸化するステップは、前記アルミニウム金属を空気雰囲気中、400℃~700℃の温度で50分間~70分間酸化することを含むことを特徴とする請求項9に記載の霧化コアの製造方法。
【請求項12】
前記霧化コアの製造方法は、酸化された前記金属アルミニウムをアニーリングすることをさらに含むことを特徴とする請求項請求項9に記載の霧化コアの製造方法。
【請求項13】
前記酸化された金属アルミニウムをアニーリングするステップは、酸化された前記金属アルミニウムを真空度0.01Pa~100Pa、温度650°C~900°Cで6時間~24時間アニーリングすることを含むことを特徴とする請求項12に記載の霧化コアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は霧化器の技術分野に関し、特に電子霧化装置、霧化器、霧化コアおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子霧化装置は一般に霧化器及び電源アセンブリで構成される。電源アセンブリは霧化器に電力を供給するために使用される。霧化器が通電されて、エアロゾル生成基質を加熱して霧化して、ユーザーが吸入するためのエアロゾルを生成する。霧化コアは多孔質基材及び発熱部品を含む。その中で、霧化器の加熱および霧化プロセスには、主に霧化コアの発熱部品が通電されて熱を発生させ、それにより、エアロゾル生成基質の加熱および霧化を実現する。
【0003】
通常、霧化コアの発熱部品は金属発熱膜層であるが、霧化プロセス中にオイルの供給が不十分な場合、金属発熱膜層が酸化して故障しやすく、製品の安定性及び寿命に影響をあたえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、主に、電子霧化装置、霧化器、霧化コアおよびその製造方法を提供し、従来の技術に存在する、霧化コアの金属発熱膜層が霧化プロセス中に故障しやすくその寿命が短いという問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本出願で提供される第1技術的解決策は、霧化コアを提供し、前記霧化コアは、多孔質基材、発熱層および保護層を含み、前記多孔質基材は霧化面を有し、前記発熱層は前記多孔質基材の霧化面に設置され、前記保護層は前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に設置され、前記保護層は金属アルミニウムおよび酸化アルミニウムを含み、前記金属アルミニウムの表面は前記酸化アルミニウムに少なくとも部分的に覆われ、酸化アルミニウム層が形成される。
【0006】
ここで、前記金属アルミニウムは、アルミニウム膜層および/またはアルミニウム粒子を含む。
【0007】
ここで、隣接する前記アルミニウム粒子の間に前記酸化アルミニウムが充填され、複数の前記アルミニウム粒子及び前記酸化アルミニウムが共に前記発熱層に接触される。
【0008】
ここで、前記発熱層と接触しない複数の前記アルミニウム粒子の表面は前記酸化アルミニウムに完全に覆われる。
【0009】
ここで、前記霧化コアはさらに2つの電極を含み、前記電極は前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に設置され、前記発熱層は前記保護層及び2つの前記電極に共に覆われる。
【0010】
ここで、前記酸化アルミニウム層の厚さは100nm~600nmであり、および/または前記アルミニウム粒子の粒径が100nm~3μmであり、および/または前記アルミニウム膜層の厚さは100nm~1μmである。
【0011】
上記技術的問題を解決するために、本出願で提供される第2技術的解決策は、霧化器を提供し、前記霧化器は、エアロゾル生成基質を貯蔵するための液体貯蔵室および任意の前記霧化コアを含み、前記霧化コアは、エアロゾル生成基質を加熱および霧化することに用いられる。
【0012】
上記技術的問題を解決するために、本出願で提供される第3技術的解決策は、電子霧化装置を提供し、前記電子霧化装置は電源アセンブリおよび前記霧化器を含み、前記電源アセンブリは前記霧化器にエネルギーを供給することに用いられる。
【0013】
上記技術的問題を解決するために、本出願で提供される第4技術的解決策は、霧化コアの製造方法を提供し、前記霧化コアの製造方法は発熱層が堆積された多孔質基材を得るステップと、前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に金属アルミニウムを堆積するステップと、前記金属アルミニウムを酸化することを含む。
【0014】
ここで、前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に金属アルミニウムを堆積するステップは、具体的には、前記多孔質基材から離れた前記発熱層の表面に厚さの100nm~1μmである金属アルミニウムを堆積することを含む。
【0015】
ここで、前記アルミニウム金属を酸化するステップは、具体的には、前記アルミニウム金属を空気雰囲気中、400°C~700°Cの温度で50分間~70分間酸化することを含む。
【0016】
ここで、前記霧化コアの製造方法は、酸化された金属アルミニウムをアニーリングすることをさらに含む。
【0017】
ここで、前記酸化された金属アルミニウムをアニーリングするステップは、具体的には、酸化された金属アルミニウムを真空度0.01Pa~100Pa、温度650°C~900°Cで6時間~24時間アニーリングすることを含む。
【発明の効果】
【0018】
本出願は、従来技術の状況とは異なる電子霧化装置、霧化器、霧化コア、およびその製造方法を開示する。霧化コアは、多孔質基材、発熱層および保護層を含む。多孔質基材は霧化面を有し、発熱層は多孔質基材の霧化面に設置され、保護層は多孔質基材から離れた発熱層の表面に設置される。保護層は金属アルミニウムおよび酸化アルミニウムを含む。酸化アルミニウムはアルミニウム金属の表面を少なくとも部分的に覆い、酸化アルミニウム層が形成される。多孔質基材から離れた発熱層の表面に保護層が設置されることにより、加熱霧化プロセス中に、保護層は発熱層を保護し、霧化プロセス中の酸化による発熱層の故障を回避し、発熱層の安定性を改善し、発熱層の耐用年数を延ばす。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本出願の実施形態又は従来技術における技術的解決策をより明確に説明するために、以下では、実施形態又は従来技術の説明において使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は、本出願のいくつかの実施形態にすぎない。当業者にとって創造的な努力なしにこれらの図面から他の図面を得ることができる。
図1】本出願の一実施形態に係る電子霧化装置の構造模式図である。
図2図1に提供される電子霧化装置における霧化器の概略構造図である。
図3図2の霧化コアの第1実施形態の概略構造図である。
図4図3の霧化コアの概略上面構造図である。
図5図2の霧化コアの第2実施形態の概略構造図である。
図6図5の霧化コアの別の実施形態の概略構造図である。
図7図5の霧化コアのさらに別の実施形態の概略構造図である。
図8】本出願が提供される霧化コアの製造方法の一実施形態のフローチャートである。
図9図8で提供される霧化コアの製造方法におけるステップS3の表面構造の概略図である。
図10】本出願が提供される霧化コアの製造方法の別の実施形態のフローチャートである。
図11図10で提供される霧化コアの製造方法におけるステップS4の表面構造の概略図である。
【0020】
以下、本出願の実施形態の図面を参照しながら本出願の実施形態の技術方案を明確且つ完全に説明する。理解されるように、記載された実施形態は、本出願の実施形態の一部にすぎず、それらのすべてではない。本出願の実施形態に基づいて、当業者が進歩性のある労働を必要とせずに取得するすべての他の実施形態は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0021】
本出願における用語「第1」、「第2」、「第3」等は、説明目的でのみ使用され、相対的な重要性を示しまたは暗示したり、示された技術的特徴の数を暗示したりすると解釈されるべきではない。従いまして、「第1」、「第2」、「第3」として定義される特徴は、その特徴の少なくとも一つを明示的または黙示的に含むことができる。本出願の説明において、「複数」とは、別段の明確かつ具体的な定義がない限り、少なくとも二つ、例えば二つ、三つなどを意味する。また、用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図している。例えば、一連のステップ又はユニットを含む過程、方法、システム、製品又は装置は列挙したステップ又はユニットに限定されず、選択的に列挙しないステップ又はユニットを更に含み、又は選択的にこれらの過程、方法、製品又は装置固有の他のステップ又はユニットを更に含む。
【0022】
本明細書に言及した「実施形態」とは、実施形態を参照して説明した特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施形態に含まれてもよいことを意味する。明細書の各箇所に該連語が出現することは必ずしもいずれもが同じ実施形態を指すとは限らず、他の実施形態と相互排他的な独立した又は代替の実施形態でもない。当業者であれば明示的及び暗示的に理解されるように、本明細書に説明される実施形態は他の実施形態と組み合わせられることができる。
【0023】
図1および図2を参照すると、図1は本出願で提供される電子霧化装置の概略構造図であり、図2図1で提供される電子霧化装置における霧化器の概略構造図である。
【0024】
図1を参照すると、本出願は電子霧化装置300を提供する。電子霧化装置300は霧化器100および電源アセンブリ200を含む。電源アセンブリ200は霧化器100にエネルギーを供給するために使用され、霧化器は通電されて、エアロゾル生成基質を加熱して霧化して、使用者が吸入するためのエアロゾルを生成させる。
【0025】
選択的に、電子霧化装置300における霧化器100および電源アセンブリ200は、一体構造であってもよく、または取り外し可能に接続されることができ、必要に応じて設計することができる。
【0026】
図2に示すように、霧化器100は、液体貯蔵室90、出気管30、霧化コア10及び霧化器100に形成された霧化室20を含む。液体貯蔵室90は、エアロゾル生成基質を貯蔵するために使用される。霧化コア10は、液体貯蔵室90におけるエアロゾル生成基質を吸収するために使用され、吸収されたエアロゾル生成基質を加熱および霧化して最終的にエアロゾルを生成させる。霧化によって生成されたエアロゾルは霧化室20に、外部気流と共に出気管30を通って流れ、最終的に霧化器100から流出され、使用者によって吸入される。
【0027】
霧化コア10の発熱部品は、一般的に金属発熱膜層である。金属発熱膜層のナノ粒子は、焼結および霧化プロセス中に酸化および故障しやすく、特にオイルの供給が不十分な場合、酸化および故障しやすい。金属発熱膜層が酸化及び故障しやすいという問題に対して、従来技術はこの技術的問題を解決するために、一般的に金属発熱膜層の表面に金や白金などの貴金属で形成された保護層を設置している。しかし、金、白金などの粒子は、エアロゾル生成基質が少ないと焼過ぎやすく、貴金属粒子が凝集し、これにより、金属発熱膜層が空気に暴露されて酸化および故障し、さらに貴金属で形成された保護層のコストが高い。これを考慮して、本出願は霧化コア10を提供し、以下に詳細に説明する。
【0028】
図3および図4を参照すると、図3は、図2の霧化コアの第1実施形態の概略構造図であり、図4は、図3の霧化コアの概略上面構造図である。
【0029】
霧化コア10は、多孔質基材11、発熱層12および保護層13を含む。多孔質基材11は霧化面111を有し、発熱層12は多孔質基材11の霧化面111に設置され、保護層13は多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に設置され、且つ発熱層12を覆っている。保護層13は、金属アルミニウム及び酸化アルミニウムを含む。金属アルミニウムの表面は酸化アルミニウムに少なくとも部分的に覆われ、酸化アルミニウム層132が形成される。多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に保護層13を設置することにより、霧化プロセス中に発熱層12が空気と直接に接触して酸化されること、電極14の焼結プロセス中に発熱層12が酸化されて、発熱層12の故障などの問題を引き起こすことを回避することができる。従来技術の金属発熱膜層が電極の焼結および霧化プロセス中に容易に酸化及び故障するという問題を解決し、同時に、従来技術で貴金属材料が保護層として使用される際、エアロゾル生成基質が不十分な場合、貴金属粒子が容易に過燃焼して凝集し、霧化コア10が故障するという問題を解決できる。これにより、霧化コア10の安定性を改善し、霧化コア10の耐用年数を延ばすことは有益である。
【0030】
図3を参照すると、本実施形態では、保護層13は、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に設置される。保護層13は金属アルミニウムおよび酸化アルミニウムを含む。金属アルミニウムはアルミニウム膜層130である。アルミニウム膜層130は、連続的な多孔質構造体またはネットワーク構造体である。アルミニウム金属の表面は酸化アルミニウムに覆われ、酸化アルミニウム層132が形成される。酸化アルミニウム層132は、多孔質基材11から離れたアルミニウム膜層130の表面に位置される。酸化アルミニウム層132は安定性が高く、化学的性質が比較的安定し、融点及び沸点が比較的高く、高温耐性が強い。霧化プロセス中に、霧化コア10におけるエアロゾル生成基質が不十分である際、その過燃焼が発生した場合でも、保護層13は、過燃焼により粒子を凝集することを発生させず、霧化コア10の故障を引き起こしない。これにより、従来技術における上述の問題が効果的に解決される。同時に、従来技術の金や白金などの貴金属材料で形成される保護層13と比較して、保護層13の材料は金属アルミニウム及び酸化アルミニウムを採用して、その製造コストが低く、霧化器100の製造コストを効果的に節約できる。
【0031】
具体的には、保護層13は発熱層12の表面に堆積された金属アルミニウムが酸化されることにより形成され、堆積された金属アルミニウムの酸化された部分は酸化アルミニウム層132が形成され、堆積された金属アルミニウムの酸化されない部分はアルミニウム膜層130が形成される。酸化アルミニウム層132の厚さは、100nm~600nmであり、好ましくは100nm~300nmであり、より好ましくは180nm~220nmである。本実施形態では、酸化アルミニウム層132の厚さは200nmである。理解できるように、酸化アルミニウム層132の厚さが小さすぎると、その構造の強度が低下し、霧化コア10の安定性が低下しやすくなると同時に、酸化アルミニウム層132の空気またはエアロゾルに対する阻隔能力も弱められ、すなわち、発熱層12に対する保護性能が弱められ、空気が発熱層12に接触し、発熱層12が酸化され且つ故障する危険性が依然として存在し、それによって霧化コア10の安定性および耐用年数に影響を与える。酸化アルミニウム層132の厚さが大きすぎると、霧化コア10の全体的な抵抗が大幅に減少し、それによって霧化コア10の加熱効率に影響を与える。アルミニウム膜層130の厚さは100nm~1μmであり、その厚さは酸化の程度に関係し、形成された酸化アルミニウム層132の厚さに対し相反の関係にある。すなわち、酸化アルミニウム層132が厚いほど、アルミニウム膜層130は薄い。
【0032】
多孔質基材11の形状や大きさは制限されない。多孔質基材11は、多孔性構造を有する材料から形成される。例えば、多孔質基材11は、多孔質セラミック、多孔質ガラス、多孔質プラスチック、多孔質金属などから形成されることができる。本実施形態では、多孔質基材11の材料は、多孔質セラミックである。多孔質セラミックは孔隙を有し、液体を伝導および貯蔵する機能を有するため、液体貯蔵室90におけるエアロゾル生成基質は、多孔質基材11によって吸収され、霧化面111に浸透して加熱され且つ霧化される。同時に、多孔質セラミックスは、安定した化学的性質を持ち、エアロゾル生成基質と化学的に反応せず、多孔質セラミックスは高温に耐え、霧化プロセス中の過高の加熱温度によっても変形しない。多孔質セラミックは絶縁体であり、その表面に設置される発熱層12と電気的に接続されて短絡して霧化コア10を故障させることがなく、多孔質セラミックの製造が容易であり、そのコストが低い。本実施形態では、多孔質基材11は、直方体の多孔質セラミック基材である。
【0033】
いくつかの実施形態では、多孔質セラミックは、30%~70%の孔隙率を有する。孔隙率とは、多孔質媒体における小さな孔隙の総体積と多孔質媒体の総体積との比率を指す。孔隙率のサイズは、エアロゾル生成基質の成分に応じて調整できる。たとえば、エアロゾル生成基質の粘度が比較的大きい場合、液体の伝導効果を確保するために、より高い孔隙率が選択される。
【0034】
他の実施形態では、多孔質セラミックの孔隙率は50%~60%であってもよい。多孔質セラミックスの孔隙率は50%~60%であり、一方では、多孔質セラミックスが良好な液体の伝導効率を有することを保証し、エアロゾル生成基質の循環不良による空焼きの発生を防ぐことができ、霧化器100の霧化効果を改善することができる。他方では、多孔質セラミックの孔隙率が大きすぎ、液体の伝導速度が速すぎて液体をロックし難くし、液体漏れの可能性が大幅に増加し、霧化器100の性能に影響を与えることを回避できる。
【0035】
他の実施形態では、多孔質構造を有する他の材料を使用して多孔質基材11を形成する場合、多孔質基材11の孔隙率の比率などの設定は、多孔質セラミックの設定を参照して設定することができるが、本出願はここでそれらを繰り返さない。
【0036】
理解できるように、多孔質基材11が多孔質ガラス、多孔質プラスチックまたは多孔質金属である場合、多孔質ガラス、多孔質プラスチックまたは多孔質金属は、緻密なガラス基材、プラスチック基材または金属基材に孔を開けることによって形成できる。
【0037】
多孔質基材11が多孔質金属である場合、多孔質基材11と発熱層12との間に絶縁層が設置される。絶縁層は、多孔質基材11と発熱層12とを絶縁させるために用いられ、多孔質基材11と発熱層12とが電気的に接続されて短絡することを防止する。
【0038】
発熱層12は、多孔質基材11の霧化面111に設置される。発熱層12が通電されると発熱し、エアロゾル生成基質を加熱して霧化する。選択的に、発熱層12は、発熱膜、発熱コーティング、発熱回路、発熱シート、または発熱ネットのうちの少なくとも1つである。本実施形態では、発熱層12は多孔質発熱膜構造体である。理解できるように、発熱層12の多孔質構造によって、液体のエアロゾル生成基質が発熱層12または霧化面111の表面により効率的に浸透できる。それにより、発熱層12の液体伝導率および熱伝導効率を改善し、霧化コア10の霧化効果を向上させる。
【0039】
発熱層12の材料は、多孔質基材11と結合してより安定する材料から選択することができる。例えば、発熱層12は、チタン、ジルコニウム、チタンーアルミニウム合金、チタンージルコニウム合金、チタンーモリブデン合金、チタンーニオブ合金、鉄アルミニウム合金、タンタルアルミニウム合金、ステンレス鋼などの材料で形成されることができる。
【0040】
チタン及びジルコニウムは以下の特性を有する。チタン及びジルコニウムは生体適合性に優れた金属であり、特にチタンは生体親和性の高い金属元素であり、その安全性が高い。チタン及びジルコニウムは金属材料でも抵抗率が比較的大きい。室温で特定の比率でチタン及びジルコニウムが合金化された後に、形成された合金は元の3倍の抵抗率を持ち、発熱層12の材料としてより適する。チタン及びジルコニウムは熱膨張係数が小さく、チタン及びジルコニウムが合金化された後の熱膨張係数がさらに小さくなり、多孔質セラミックとの熱的適合性が高い。特定の比率でチタン及びジルコニウム合金化された後に、合金の融点が低くなり、マグネトロンスパッタリングコーティングの成膜特性が向上する。金属コーティング後に、電子顕微鏡の分析により、その微細な粒子が球状であり、粒子と粒子とが集まってカリフラワーに似た微細な形態を形成することがわかる。それに対して、チタンージルコニウム合金で形成されたフィルムは、電子顕微鏡の分析により、その微細な粒子がフレーク状であり、粒子間の粒界の一部が消失し、連続性が向上することがわかる。チタン及びジルコニウムは両方とも優れた可塑性と伸びを持ち、チタンージルコニウム合金膜の熱サイクル及び電流衝撃に対するより優れた耐性を持っている。チタンは金属やセラミックスの応力緩衝層として使用され、またはセラミックメタライゼーションの活性要素としてよく使用される。チタンはセラミック界面と反応し、比較的強い化学結合を形成し、フィルムの接着性を向上させることができる。チタンおよびジルコニウムの上記の特性に基づいて、本実施形態では、発熱層12は、チタンージルコニウム合金で形成されることができる。
【0041】
発熱層12の厚さは0.1μm~10μmである。具体的には、発熱層12の厚さは、0.1μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、または10μmの中の任意の一つであってもよく。好ましくは、発熱層12の厚さは2μm~5μmである。この厚さは、発熱層12の厚さが多孔質基材11の孔径と適合することを保証でき、発熱層12が液体を伝導および貯蔵するための多孔質基材11の微細孔を塞ぐのを防止することができ、霧化コア10の霧化プロセス中の液体供給の安定性を改善し、その耐用年数を延ばすことができる。
【0042】
選択的に、発熱層12は、物理気相堆積または化学気相堆積などの技術によって、多孔質基材11の霧化面111に形成されることができる。例えば、発熱層12は、スパッタリング、蒸着コーティング、原子層堆積などの技術によって形成されることができる。本実施形態では、発熱層12はスパッタリング技術により形成される。
【0043】
本実施形態では、チタンージルコニウム合金からなるチタンージルコニウム合金膜の自体は局所的に緻密なフィルムである。しかし、多孔質基材11自体が多孔質構造体であるため、多孔質基材11の表面に形成されたチタンージルコニウム合金膜も多孔質連続構造体となり、且つチタンージルコニウム合金膜の孔径は、多孔質基材11の表面の細孔の孔径よりもわずかに小さい。
【0044】
本実施形態では、図3および図4に示すように、霧化コア10はさらに2つの電極14を含む。2つの電極14は、電子霧化装置300における電源アセンブリ200にそれぞれ電気的に接続され、霧化コア10の発熱層12に電力を供給するために使用される。これにより、発熱層12が通電されると発熱し、多孔質基材11に吸収されたエアロゾル生成基質を加熱して霧化し、エアロゾルを生成させる。
【0045】
具体的には、2つの電極14は両方とも多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に設置され、それぞれ保護層13の両側に位置される。保護層13は、2つの電極14によって覆われない発熱層12の部分を覆い、発熱層12が保護層13および2つの電極14によって完全に覆われることを保証する。これにより、霧化プロセス中、発熱層12が空気と接触して酸化されることを発生させず、酸化により発熱層12が故障する問題を回避できる。さらに、霧化コア10の安定性が改善され、霧化コア10の耐用年数が延長される。
【0046】
図5図7を参照すると、図5図2の霧化コアの第2実施形態の概略構造図であり、図6図5の霧化コアの別の実施形態の概略構造図であり、図7図5の霧化コアのさらに別の実施形態の構造概略図である。
【0047】
図5を参照すると、本実施形態において、霧化コア10における保護層13の構造は、霧化コア10の第1実施形態における保護層13の構造とは異なり、残りの構造は、霧化コア10の第1実施形態のものと同じであり、ここでは繰り返さない。
【0048】
本実施形態において、保護層13は、金属アルミニウムおよび酸化アルミニウムを含む。金属アルミニウムは複数のアルミニウム粒子131を含み、すなわち、保護層13は、複数のアルミニウム粒子131および酸化アルミニウム層132を含む。具体的には、複数のアルミニウム粒子131は、図3のアルミニウム膜層130が高温でアニーリングされた後に、凝集して形成された複数の粒状構造体である。酸化アルミニウム層132は、多孔質基材11から離れた複数のアルミニウム粒子131の側に位置される。アルミニウム粒子131の粒径は100nm~3μmである。理解できるように、アルミニウム膜層130はアニーリング工程で凝集して複数のアルミニウム粒子131を形成し、アルミニウム粒子131の粒子直径はアルミニウム膜層130の厚さよりも大きい。複数のアルミニウム粒子131は互いに間隔をあけて設置され、隣接する2つのアルミニウム粒子131の間に酸化アルミニウムが充填される。酸化アルミニウムは発熱層12と接触しない複数のアルミニウム粒子131の表面を完全に覆って包み込む。すなわち、酸化アルミニウム層132と発熱層12とが共に複数のアルミニウム粒子131を包み込む。理解できるように、酸化アルミニウム層132自体の材料は酸化物であり、その耐酸化性は比較的強い。酸化アルミニウム層132が霧化プロセス中に空気と接触すると、その酸化反応は容易に起こらず、その性能を変化させないため、霧化コア10の安定性が保証される。同時に、酸化アルミニウム層132は緻密性が高く、空気に対する阻隔能力が強く、酸化アルミニウム層132は複数のアルミニウム粒子131を完全に覆いて包み込み、且つ隣接する2つのアルミニウム粒子131の間に酸化アルミニウム層132が充填される。これにより、複数のアルミニウム粒子131が相互に接触して保護層13の緻密性に影響を与え、さらに保護層13が空気に対する阻隔能力に影響を与え、保護層13が発熱層12に対する保護効果を弱め、発熱層12が空気と接触することによる発熱層12が酸化され且つ故障するリスクを引き起こすことを回避できる。
【0049】
アルミニウム粒子131は良好な熱伝導性を有する。それにより、霧化コア10の電気伝導性および熱伝導性を改善し、酸化アルミニウム層132も特定の霧化効果を発揮することができ、霧化プロセス中に発熱層12の電気伝導性および熱伝導性が強くなり、霧化コア10の霧化効率がより高くなる。 複数のアルミニウム粒子131及び酸化アルミニウム層132がすべて発熱層12と接触されるため、発熱層12と酸化アルミニウム層132との結合性はより良好である。同時に、複数のアルミニウム粒子131が粒状であり、酸化アルミニウム層132の発熱層12を覆う面積が増加し、保護層13の発熱層12に対する保護効果がより強くなる。
【0050】
また、アルミニウム粒子131は、発熱層12の表面に設置され、且つ発熱層12とともに焼結される。発熱層12の表面に間隔のある突起を設けることと等価となり、発熱層12の表面積および発熱層12に近い酸化アルミニウム層132の表面の面積が増加される。同時に、複数のアルミニウム粒子 131が発熱層12の表面から突出し、霧化効果の向上に役立ち、同時に平面応力が減少し、霧化コア10の使用中に保護層13が破断する可能性がなくなり、霧化コア10の寿命が効果的に向上する。
【0051】
理解できるように、図3の金属アルミニウムが高温アニーリング工程中にアルミニウム粒子131に完全に変換されない場合、保護層13はアルミニウム膜層130(連続な多孔質構造体またはネットワーク構造体)および複数のアルミニウム膜層130を含む。
【0052】
引き続き図5を参照すると、本実施形態では、電極14の構造は、霧化コア10の第1実施形態における電極14の構造と同じであり、ここでは繰り返さない。
【0053】
別の実施形態では、図6に示すように、保護層13は多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に設置される。2つの電極14は多孔質基材11から離れた保護層13の表面に相互に間隔をあけて設置される。2つの電極14は、保護層13に覆われない発熱層12の部分を覆い、且つ2つの電極14は、保護層13、発熱層12および多孔質基材11と接触される。保護層13及び発熱層12の側面は2つの電極14に覆われる。これにより、保護層13の両側に電極14を設置した場合に、電極14と保護層13との間に隙間が生じ空気と発熱層12との接触を完全に遮断することができないために霧化コア10が故障することを防止できる。
【0054】
さらに別の実施形態では、図7に示すように、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面および発熱層12の側面は保護層13に完全に覆われることができる。すなわち、発熱層12は保護層13に完全に包み込まれ、発熱層12を空気との接触から完全に隔離する。孔を開ける方式によって、保護層13に互いに間隔をあける2つの貫通孔(図示せず)が設置され、2つの電極14はそれぞれ保護層13の2つの貫通孔を介して発熱層12に電気的に接続され、且つ2つの電極14は多孔質基材11から離れた保護層13の表面に露出され、電源アセンブリ200に電気的に接続される。
【0055】
図8および図9を参照すると、図8は本出願で提供される霧化コアの製造方法の一つの実施形態のフローチャートであり、図9図8に提供される霧化コアの製造方法のステップS3の表面構造の概略図である。
【0056】
本出願における霧化コア10の製造方法は、具体的には、以下のステップを含む。
【0057】
ステップ(S1):発熱層12が堆積された多孔質基材11を得る。
【0058】
具体的には、多孔質基材11は、多孔質構造を有する材料からなる。本実施形態では、多孔質基材11の材料は多孔質セラミックである。他の実施形態では、多孔質基材11は、多孔質ガラス、多孔質プラスチック、多孔質金属などからなることができる。
【0059】
多孔質基材11は霧化面111を有し、多孔質基材11の霧化面111に発熱層12を堆積させ、発熱層12が堆積された多孔質基材11を得る。発熱層12の材料は、多孔質基材11と結合してより安定する材料から選択することができる。例えば、発熱層12は、チタン、ジルコニウム、チタンーアルミニウム合金、チタンージルコニウム合金、チタンーモリブデン合金、チタンーニオブ合金、鉄アルミニウム合金、タンタルアルミニウム合金、ステンレス鋼などの材料で形成されることができる。本実施形態では、発熱層12は、チタンージルコニウム合金からなる。発熱層12は、堆積方法によって多孔質基材11の霧化面111に形成される。発熱層12は、物理気相堆積または化学気相堆積(例えば、スパッタリング、蒸着コーティング、原子層堆積)などの技術によって多孔質基材11の霧化面111に形成されることができる。本実施形態では、多孔質基材11の霧化面111にスパッタリング技術により発熱層12を形成した後、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に発熱層12の両端にそれぞれ2つの電極14が設置される。2つの電極14は間隔をあけて設置され、発熱層12及び電源アセンブリ200に電気的に接続され、形成された霧化コア10にエネルギーを提供することに用いられる。
【0060】
ステップ(S2):多孔質基材から離れた発熱層の表面に金属アルミニウムを堆積させる。
【0061】
具体的には、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に金属アルミニウムを堆積させるステップは、S21:多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に金属アルミニウムを100nm~1μmの厚さで堆積させることを含む。
【0062】
多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に堆積方法によって金属アルミニウムが形成される。多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に、物理気相堆積または化学気相堆積(例えば、スパッタリング、蒸着コーティング、原子層堆積)などの技術によって金属アルミニウムが形成される。
【0063】
本実施形態では、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面にスパッタリング技術により金属アルミニウムを形成する。発熱層12に対してスパッタリング処理を行う前に、発熱層12から離れた2つの電極14の表面にマスクを設置して、金属アルミニウムが2つの電極14にスパッタリングされるのを防止する。金属アルミニウムが2つの電極14にスパッタリングされた後に、2つの電極14に設置されたマスクは除去される。スパッタリングプロセスの後、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面で、金属アルミニウムおよび2つの電極14は多孔質基材11から離れた発熱層12の表面を完全に覆う。スパッタリングされた金属アルミニウムの厚さは100nm~1μmである。
【0064】
ステップ(S3):金属アルミニウムを酸化する。
【0065】
具体的には、金属アルミニウムを空気雰囲気中、400℃~700℃の温度で50分間~70分間酸化する。
【0066】
金属アルミニウムを大気雰囲及び高温環境で酸化してアルミニウム膜層130及び酸化アルミニウム層132を形成し、図3に示す霧化コア10の保護層13を形成する。金属アルミニウムは多孔質基材11から離れた側から多孔質基材11に近づく方向に酸化されるため、酸化アルミニウム層132は多孔質基材11から離れたアルミニウム膜層130の側に位置される。酸化プロセスは400℃~700℃の温度で行われ、酸化プロセス全体の高温時間は約50分間~70分間であり、全体の昇温時間および冷却時間は約50分間~70分間である。理解できるように、発熱層12の表面に堆積された金属アルミニウムの表面に形成された酸化アルミニウム層132の厚さは、明らかに酸化プロセスの時間と酸化プロセスの温度に関連する。具体的に、酸化時間が長いほど、焼結温度が高くなり、生成された酸化アルミニウムが多く、酸化アルミニウム層132の厚さが大きくなる。酸化プロセス後、酸化アルミニウム層132の厚さは、100nm~600nmである。好ましくは、酸化アルミニウム層132の厚さは、100nm~300nmである。より好ましくは、酸化アルミニウム層132の厚さが180nm~200nmである際、霧化コア10の霧化効果はより強い。本実施形態では、発熱層12をより良好に保護するために、酸化アルミニウム層132の厚さは200nmである。
【0067】
図10および図11を参照すると、図10は本出願が提供される霧化コアの製造方法の別の実施形態のフローチャートであり、図11図10に提供される霧化コアの製造方法のステップS4の表面構造の概略図である。
【0068】
図10に提供される霧化コア10の製造方法と図8に提供される霧化コア10の製造方法との相違点は、図10に提供される霧化コア10の製造方法がステップS3の後にステップS4も含むことである。
【0069】
ステップ(S4):酸化された金属アルミニウムをアニーリングする。
【0070】
具体的には、酸化された金属アルミニウムを真空度0.01pa~100pa、温度650℃~900℃で6時間~24時間アニーリングする。
【0071】
発熱層12の表面に堆積された金属アルミニウムを酸化した後、形成された酸化アルミニウム層132およびアルミニウム膜層130を高真空環境でアニーリングして、発熱層12および酸化アルミニウム層132をより良好に結合することができる。具体的には、アニーリングプロセスは0.01Pa~100Paの真空で実施され、アニーリング温度は650℃~900℃であり、アニーリング時間は6時間~24時間である。アルミニウム膜層130および酸化アルミニウム層132がアニーリングされた後に、アルミニウム膜層130は高温で凝集して相互に間隔をあける複数のアルミニウム粒子131を形成し、アルミニウム粒子131の粒径は100nm~3μmであり、図5に示すような霧化コア10の保護層13を形成する。酸化アルミニウム層132はアルミニウム粒子131を完全に覆い、且つ隣接するアルミニウム粒子131の間に酸化アルミニウム層132が充填され、酸化アルミニウム層132及びアルミニウム粒子131の両方が発熱層12に接触される。アニーリング後に、酸化アルミニウム層132と発熱層12との結合性はより良好である同時に、発熱層12の電気伝導率および熱伝導率が改善され、霧化コア10の加熱効率が改善される。発熱層12の表面における酸化アルミニウム層132および複数のアルミニウム粒子131は、保護層13を構成する。保護層13は発熱層12を保護するために使用され、発熱層12が空気と接触して酸化され且つ故障し、霧化コア10の安定性と耐用年数に影響を与えるのを防止する。 同時に、アニーリングされた後の発熱層12の結晶化度が高くなるため、霧化がより均一になり、霧化して生成されるエアロゾルが大幅に増加し、霧化コア10の霧化効率が高くなる。金属アルミニウムは、酸化およびアニーリングプロセス中に酸化アルミニウム層132およびアルミニウム粒子131に変換されるので、酸化アルミニウム層132とアルミニウム粒子131との間の結合はより強い。図9及び図11を比較すると、アニーリングプロセスの後に、発熱層12の結晶性が高くなり、同時に、発熱層12と保護層13との結合性が良くなり、霧化コア10の霧化がより均一になり、霧化コア10はより多くのエアロゾルを生成し、その霧化効率がより高くなる。
【0072】
理解できるように、アルミニウム金属が酸化およびアニーリングされた後に2つの電極14を設けることもできる。例えば、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に金属アルミニウムを堆積する前に、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面の両端に互いに間隔をあけて2つのマスクが設置され、マスクが設置されない発熱層12の表面に金属アルミニウムを堆積させた後に、マスクを除去し、金属アルミニウムを酸化およびアニーリングした後に、マスクが除去される位置に2つの電極14が設置され、2つの電極14は発熱層12および電源アセンブリ200に電気的に接続される。または、発熱層12の表面にマスクを設けずに、多孔質基材11から離れた発熱層12の表面に金属アルミニウムを直接に堆積させ、金属アルミニウムが発熱層12の表面を完全に覆うようにしてもよい。次に、金属アルミニウムを酸化およびアニーリングし、安定な保護層13を形成した後、孔を開ける方法により、保護層13に互いに間隔をあける2つの貫通孔を設置する。2つの電極14は、保護層13の貫通孔を通過して発熱層12に電気的に接続され、且つ2つの電極14は多孔質基材11から離れた保護層13の表面に露出され、2つの電極14と電源アセンブリ200との安定した電気接続を確保できる。
【0073】
本実施形態では、霧化コア10の上述の製造方法により、霧化コア10が酸化され故障すること、および貴金属粒子の凝集により霧化コア10が故障することを効果的に回避することができ、霧化コア10の安定性および耐用年数を改善することは有益である。
【0074】
本出願は、従来技術とは異なる電子霧化装置、霧化器、霧化コアおよびその製造方法を開示する。霧化コアは、多孔質基材、発熱層および保護層を含む。多孔質基材は霧化面を有し、発熱層は多孔質基材の霧化面に設置され、保護層は多孔質基材から離れた発熱層の表面に設置される。保護層は金属アルミニウムおよび酸化アルミニウムを含む。アルミニウム金属の表面は酸化アルミニウムに少なくとも部分的に覆われ、酸化アルミニウム層が形成される。多孔質基材から離れた発熱層の表面に金属アルミニウム及び酸化アルミニウムからなる保護層が設置されることによって、霧化プロセス中に霧化コアの発熱層が空気と直接に接触して酸化され及び故障し霧化コアの安定性と耐用年数に影響を与えるのを防止できる。同時に、従来技術では、貴金属材料を発熱層の保護層として使用する場合、霧化コアにおけるエアロゾル生成基質が不十分であると貴金属粒子を過燃焼して貴金属粒子が凝集されることによる霧化コアの故障の問題を解決し、霧化コアの製造コストを削減する。
【0075】
以上は本出願の実施形態であって、本出願の特許範囲を制限するものではなく、本出願の明細書及び図面の内容を利用して行われる等価構造又は等価プロセス変換、又は他の関連する技術分野に直接又は間接的に適用されるものは、いずれも同様に本出願の特許保護範囲内に含まれる。
図1
図2
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図11